2017-05-23 (Tue)
5/3にBSでやってたニッポンアニメ100の感想をそういえば書いてなかったなと思ったのですが
司会の上川隆也氏を始めゲストの皆さんがガチでとてもよかったというのが大部分です(笑)。
ランキングでタイトルが発表されるたびにワイプから
「あ~」「映画のやつ」「二期だ」「名作ですよ」とか聞こえてくるのがおっかしくて笑いまくったし、
ガルパンの聖地巡礼話とかごちうさの説明の難しさとか「ここに少ハリきますか!」とか
「君に届けは風早くんがかわいいアニメ」とか「うたプリBプロみんな見よう」などの
呼吸するかのようなアニメトークにめっちゃ加わりたくて
テレビにツッコミ入れたり同意しまくって楽しかったです。(家族はドン引いてたけど気にしない)
白蛇伝とかホルスの大冒険みたいな大御所からユーリやこの世界の片隅にのような最新作まで
ゲストさんもお客さんも知ってるの前提でストーリーもキャラや世界観の解説も全部すっとばされて
どんどん話が進んでいってましたね。
リミテッドアニメーションなど業界用語や監督やスタッフの名前も当たり前のように出されて
(カルピス劇場に富野さんが参加されてたとかビバップの菅野さんのNYイベントのこととか)
いちいちうなずいてばかりでした。
攻殻が基礎教養扱いで話がすすむ番組なんてアニメギガとかBSアニメ夜話以来じゃないのか…!
(でもってあの時も加藤夏希さんは出演されていた覚えがある)
そして全体通して上川さんが進行からコメントまで本当にすばらしい。
出崎ガンバを語ってくれたり化物語の螺旋階段からウテナの話をしてくれたり
井上さんがベン・ベックマンの話始めたらパッと「能力を持ってない」と指摘したり
与太郎の生アフレコした関さんに「すばらしい!」「かっこよかったです!」と惜しみない拍手を送り
原作ナウシカはハードSFとか、あの花を滂沱の涙を流してご覧になったとかさあ…なんという慕わしさ。
グレンラガンに出演されてたの知らなかったけど
一視聴者として見ていたのでアフレコ台本でネタバレくらって悲しかったってエピソードまじ…!
ちょっと次は上川さんがお好きなアニメについて3時間ぶっ通しで語る番組作ってほしい。
ランキングも色々と物議をかもしてますけれども
毎日こつこつとタイバニやラブライブやまどマギに入れた人が多かった結果だと思うので
作品の価値ランキングじゃないっていうか、
アニメ好きでもこの番組の存在や投票やってるの知らなかったり
ネット環境なくて投票できなかった人、知ってたけど興味なくて投票しなかった人とか当然いたわけで
そういう人が参加していたり投票方法や時期が違ったらまた別の結果になってたと思う。
人の好みは人の数ほどあることと、ランキングは必ずしも世論を反映していないことを知っとけばいいんでないかな。
あと上川さんも指摘してたけどオリジナルアニメが多くランクインしてたのもよかったな~。


ところで番組の後、上位にランクインしたアニメをいくつか放送してましたけど
タイバニと銀英伝とデジモンを見たら十数年ぶりにデジモンブームがやってきて
無印や02をだだっと見返してついでにtri.も見てしまいました。
あと2章で終わるんだなーどうなるのかな!
ちなみにどれくらいブームかといいますとネットのインタビュー記事や感想を読みあさったり
公式PVずっとつけてたり二次創作やMAD探したり
作業中のBGMがButter-FlyとBraveheartと春イ短調のエンドレスだったり
学校の近くを通りかかってホイッスルが聞こえると「ファ!?」ってなったり
空にヘリが飛んでるの見てトゲモンを思い出したりするくらいには中毒です。やばい。
あとウォーゲーム改めて見て思ったけどサマウォってやっぱりセルフリメイクだったんだな…。

以下はtri.のとりとめない雑感。
(いつものように書いてたらありえないくらい長くなりすぎたので箇条書きにまとめました。それでも長いけど)

・折りたたみ携帯!(ちゃんと3年後ってことですね)(肩に挟んでしゃべるの懐かしいね)
・キャラデザがすっきりして(つり球っぽいと思ったら宇木さんですね)顔が全体的に眠そう、目が小さい、みんな足長くなったねえ
・バトルシーンの迫力がすごい
・バトルシーンに比べて日常シーンの作画がちょっと足りない
・てかストーリー都合みたいな展開や粗が目につく
・02ラストにちゃんと繋がるのかな
・スタッフ疲れてる?完成遅くなってもええんやで
・とはいえ懐古厨のツボを殴打したり傷をえぐる描写多し
・たとえば…
・Butter-Fly!
・平田さんのナレーション!
・太一の髪型!!
・なんだかんだ絡みの多い太ヤマ
・兄貴のことで苦労するタケヒカ
・サッカー続けてる太一
・バンドもハーモニカも続けてるヤマト
・空の手芸センス
・光子郎が手伝ってる友人はロスのメール仲間かしら
・丈先輩はいつも受験
・インターナショナルミミ
・また歪みか
・またおまえかクワガーモン
・石田パパは今もテレビ局勤務かな
・太一のゴーグル姿再び(ゆがみ感知システム付き)
・タケルがサマーキャンプTシャツ着てる
・ミミが気になる光子郎
・オメガモンだー!
・Brave heart!
・あの手つなぎ後ろ姿は「怖いか」「怖くない…と言えばウソだ」かな??
・I wishとkeep on!
・「パソコンがないのが島根」「何年前の話だバカにすんな」
・八神兄妹まだ同室なんですか
・着替えとかどうしてるんだ
・太一が部屋の外出るんだろうね(自己完結)
・ミミちゃんオーガモンと戦うのつらかったろうな
・安定の歩く死亡フラグレオモン
・光子郎と烏龍茶
・パタモンとタケルのトラウマ
・タケルの携帯着信音がティーンエイジウルブス
・ヒカリさんの電波受信
・ガブモンには弱音を吐くヤマト
・電車と電信柱と郵便ポストと線路
・ホイッスル
・寝床奉行の丈
・安定の散り散り
・そして懐かしの場所をめぐる(ただしパートナーはシャッフル)
・エレキモ~ン!
・ダークマスターズまたおまえらか
・ホメオスタシスとイグドラシルはいつになったらケンカしなくなるのか
・アグモンとガブモンまじツートップ
・ピヨモンかっこよかったよ
・成長を感じたり新しかったり萌えポイントや疑問点もありました
・たとえば…
・空とヤマトのカップル関係どこ??(当時あまり納得いかなかったけどなかったことにされるとそれはそれでモニョる懐古厨)
・タケルが女性慣れしてヒカリの肩ポンしたり芽心の写メ撮ったり兄のライブに女子を何人か誘ったあげく(中止になっちゃうけど)「心配しなくてもお兄ちゃんがいちばん好きだよ」だの「ぼくの一番は…ねっ」だのあざとい
・そんな弟にヤマトも「何言ってんだよ」「巻き込むなよ」みたいな返事ができるようになってて感慨深い
・ミミの行動力が上がって臆せずバトルするわみんなを温泉に連れていくわ、DWでも歩くのを苦にしなくなったね(おいしいものは相変わらず大好き)
・デジモンのデータっぽさが増した
・ネットワークも広大になった
・誰かが誰かを抱きかかえて横っ飛びに攻撃かわしたり誰かのピンチに敵の攻撃を味方の攻撃で粉砕するシーンが目立つけど無印もこうでしたっけ(大好物)
・太一の進路はラストまでに決まるのか
・というか高校生活ですね…!
・墨をする独法エージェントとは
・光子郎とご両親の食事会はフレンチでフランス語
・「太一、でっかくなったなあ!」「おまえ小っちゃくなったなあ」
・映像技術の進歩で超絶気合いの入った進化シーンになって!卵に包まれるバンクもエフェクトもかっこいい
・ゴマモンの「きちゃった」かわいすぎしぬ
・1年以上も会えてなかったのか…
・テイルモン姐さんの食レポ
・ケンカしたり情報収集したり
・「ああ…ミミさん」「光子郎はんがオシャレな服を探す日がくるなんて…」「テントモン泣かないで」
・被害と復興を考え始めた
・パートナーにしか言えないこと
・男2人で観覧車
・それを撮影するミミ
・さらにモニター越しに見守るアグガブ
・それは答えのない問いだよ太一
・率先して戦うヤマガブ
・アルファモンかっこよすぎ
・逃げちゃダメだ
・温泉話はちょっといたたまれなかった
・でも空が丈にゴマモンの写真を送ったのはよかった
・足湯で泳ぎ方講座とか
・「本命は兄貴と太一さんだから」とか
・手ぬぐい被って湯船浸かるガブモンあたりのかわいさやあざとさは異常
・「恐縮です~」
・「感染してもオーガモンはオーガモンでしょ?」
・スクーター免許とったヤマト
・乗せるのはタケルでも空でもなく太一
・「その時すべきことはきっちりわかるやつだった」「わかったうえで来られなかったのかも」「…わかってるよ」
・「いつまで選ばれし子どもでいなきゃならない?」
・ゴマモンおまえ丈のベッドで寝てんのかい
・和食作れるテントモン
・ミミと芽心が百合っぽい
・「来てませんが心配ないと思います」って光子郎が遠回しに言ったのに丈に伝わらなくて、太一からあっさり伝わるやつ
・バンドでヤマトの歯が輝く古典的イケメン演出、直後にタケルも歯が光るし、この兄弟まじ
・そしてドン引きするヒカリ
・てかバンド名変わりすぎ
・ヤマトの壁ドン
・からの舌打ち
・レオモンのキャラ崩壊
・メイクーモンあざとかわいい
・「ガブモンは何位だ!」
・浴衣男子エンディングに丈先輩がいねえええ(温泉行かなかったから)
・芽心そんなに謝らなくてええんやで
・「究極進化できるやつが増えればオメガモンに頼る必要もなくなる、おまえも楽になるんじゃね?」
・別にヤマトだって街壊していいと思ってるわけじゃないもんね…
・02組の家行ったり姫川さんに確認するだけじゃなくもっと連絡とろうず、タケヒカは中学校同じだしタケルと伊織同じマンションじゃん
・進化した丈先輩
・パタモンの告白からの「「「えーーっ!」」」
・ヤマトにおんぶしてるガブモン
・「そういうキャラじゃない?」
・タケルのゲンドウポーズからの「兄さんがまたバンド解散するんじゃないかって」つらい
・後で自分にも言えなかったと知ってヤマトどう思ったかな
・「わたしは空のこと気にするよ」
・「変わらないよ」
・テントモンと光子郎はんの熱い展開(櫻井孝宏の真骨頂)
・ハグ
・光子郎は諦めなかった
・「いつかなんて待ってたらあっという間に大人になっちまうよな」
・「小学生の時に経験した僕らに言いますか?」
・拳を押さえたタケル
・てか芽心よりタケルの方が大人に見えるのはレギュラー年数の差でしょうか
・黒いD3??
・紋章持ってるんだ???
・賢じゃなかった、よかった
・エンディング歌っちゃうヤマト(歌詞:forガブモン PV:for太一)(アルバムver.の方が個人的に好き…キーボードが加わると音が広がるねえ…)
・サイレント映画風の姫川さんたちの過去
・デジタマに戻れなかったらそりゃ諦めきれないわな…
・そういえば西島先生の名前は大吾
・無印1話の逆パターンを子どもたちが経験してると思うと
・そしてみんなキャンプに余裕がある
・食べないでくださ~い
・好みの分かれるミミちゃんスペシャル
・たかいたか~い
・太一がやっと仕切りだしたのはDWだと迷わなくなるからかな
・レジャーシートを女子に譲る男子
・空だけピヨモンと仲良くできてないの普通気づくだろおまえらいい加減にしろ
・何が正解かをタケルに聞こうとする兄貴たち
・パートナーのいないところでデジモンにパートナーについて語る子どもたちが本音出しまくり…本人がいないから言えることもあるよね
・「ヤマト…く~ん」「呼びすてにしてもいいのかなあ」からの「ヤマトー!」最高
・いいんだよって言ってやれよ太一
・ヤマトはアグモンの頭なでて「期待しすぎちまうんだ」って言ったぞ素直に
・やたら光子郎を呼ぶテントモンに「きっと気が合うのよ!」って言うミミは天使
・パルモンの絵心
・黒ゲンナイがきもちわるい(絶許)
・バクモンと出会う前までリブートしちゃったの?
・つか02組のデジモンもリブートしてる可能性が…残り2章で02組出るのか果たして
・メイクーとロイヤルナイツがリブート回避したのか、それともあそこはDWじゃないのか
・プロットモンはこのままでっていうのわかるけど彼女ウィザーモンのこと忘れてるわけで、でもあのウィザーモンならそれでもいいとか言いそうで、あうあう
・ガブモンにできるか聞く→放り投げる→プチファイヤー→抱っこ→ちゃんとほめる(完璧)
・てかtriでのプチファイヤーの活躍ぶりときたら
・水中のヤマトのセリフは無印51話のガブモンのセリフへ18年越しに返答したような
・でも溺れて復活するとこはよくわからなかった
・からのウォーグレイモン&メタルガルルモンに騎乗しての浮上は胸アツ
・空は無印26話のピヨモンの気持ちを身をもって体験したのかな
・からのホウオウモンとセラフィモンとヘラクルカブテリモン
・夜空に舞うホウオウモンの美しさ
・空をがっちり受け止める丈先輩のパズー以上の腕力
・ボレロまだ?(ハピネットのCMには流れたけど)
・松澤アナご出演おめでとう~

お話が進むのがゆっくりで、今はまだ物語の途中で不明な点も多くて何とも言えませんが
無印や02を知る人のツボはしっかり押さえてる感じ。
でもいまいちこう…ツボな部分もありますがどうも違和感が拭えなくて
今後の伏線回収次第でまた印象が変わるかどうかですね。
前の冒険は無理矢理だったけど今回は自分たちで選んでDWに行くっていうのがキーになってる気もするし。
triから入ったらまた別の感想だったかもしれないけど…とりあえず最後まで見届けてから総括します。
あと、個人的に無印時代から似合うなと思ってるパートナー同士のシチュエーションは
・太一とアグモン、タケルとパタモン、ヒカリとテイルモンは抱っこしたり抱きつかれたりしてる
・ヤマトとガブモン、光子郎とテントモンは背中合わせしてる
・空とピヨモン、ミミとパルモンは向かい合って手をつないでる
・丈とゴマモンは寄り添っている
なんですけど、triでもそんな感じが引き継がれていてよかったです。

子どもたちの声優さんは個人的になじんでる方と別方向から聞こえてくる方がいますが要は慣れだと思う、
デジモン先輩たちは続投なのでしっくり。
花江さんや田村さん、榎木さんは無印リアタイ視聴者でゲームでも遊んだ子ども時代を過ごされて
まさかの新作出演なんですね!長寿シリーズあるある。
他にも、花江さんが実写っぽいって言ってるのがすごくしっくりきたり
細谷さんが太一とヤマトを悟空とベジータに例えてるのがおもしろかったり
(おふたりとも自分の内面を見つめながらお芝居されてたっていうのがムズムズする)、
三森さんが空とヤマトの関係を突っ込んでて「せやなー!」って同意したり
3章のアフレコで榎木さんより松本さんの方が号泣してたっていうのも「パタモン…」って泣いた。
あとリンク貼らないけどデジモン先輩たちは食事に行くと「ビール」「ビール」「ビール」って手が挙がるとか
ゴマモンがかわいすぎて池田さんがアフレコ中の竹内さんをあやうく抱きしめかけたとか
色んな裏話があっちこっちから供給されて萌えがとまりません。どうもありがとう。
ハックモンの中の人10代ってほんと!!???渋かっこよすぎる。


和田光司さんの訃報は当時ポカンとしてしまって今もって実感がないですけど
どうぞお空の上でもゴキゲンな蝶になってきらめく風に乗って歌い続けてください。
水谷優子さんにもきっと届いているはず。
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2017-05-19 (Fri)
東京都美術館の「ブリューゲル『バベルの塔』展 16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて」に行ってきました。
ヒエロニムス・ボスに影響を受けたピーテル・ブリューゲル1世の版画や絵画、
ボスを始めネーデルラントの画家による作品が来日していて
圧巻は1フロアにピンスポットで展示されているブリューゲルの「バベルの塔」!
存在を知ってからずっとずっと本物を見たくてようやく念願かないました、関係者の皆様ありがとう。

まずはネーデルラントの美術史から。
16世紀に作られた木彫り彫刻はキリストや聖職者や天使のモデルが多くて
教会などの建物の装飾として飾られていたそうです。
ほとんど色落ちして茶色かったけど一部色が残っているものもあったし、
あと本を持っている人が多いのが印象的だった。
180度ぐるっと見られるように展示されていたけど、
後ろに回ってみると背中に空洞があったり平坦な板状になってるものが多くて
これは扉や壁についてたからなのかな?
これらの多くは19世紀に切り離され売却されてしまったんだそうで…
19世紀というと日本でも廃仏毀釈などの影響で美術品の売却があったけど
世界中どこでもそういうことが行われる時代や時期がありますね。

ネーデルラント絵画で初期に描かれ始めたのは油絵の人物画。
ディーリク・バウツ「キリストの頭部」はキリストのバストアップを描いたものですが
その後の美術史におけるキリストの顔や骨格は彼の絵をもとに描かれていくそうで
お手本になった絵なんですね…!
(ちなみにキリストに荊冠を初めてかぶせて描いたのもバウツなんだそうだ)
枝葉の刺繍の画家による「聖カタリナ」「聖バルバラ」が美しかった~!
2人とも片手に本を持ち、カタリナは剣を、バルバラは薄を持っていて
画家の通称のとおり刺繍のような筆致で描かれていて布絵かと見まごうほどの完成度です。やばし。
元々はどこかの扉絵だったと思われる「ノールトウェイクの聖ヒエロニムス」「聖アダルベルト」は
彫刻を絵に描いたのかな、そういう立体感がありました。
「風景の中の聖母子」と「本と水差し、水盤のある静物画」は表裏一体の絵画で
静物画はマリアの寓意を表現しているそうですけども
本のページがめくれる風で天使の来訪を表すとか…ほんとにこの時代の絵画は頭を使うな…!
「学生の肖像」は赤い帽子をかぶった制服姿の、ラテン語を学ぶ12歳の少年の絵で
手に持つ紙にはラテン語で”豊かなのは欲しない人 豊かでないのは守銭奴”という意味の言葉が書いてあって
当時の学習の様子とかもわかるんだなあ。

16世紀になると風俗画や風景画が増えてくるのですが
宗教モチーフが多めとはいえイタリアより前に風景画が描かれるようになっていたんですね。
ネーデルラントで最初の風景画家といわれるパティニールの「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」は
赤黒い火事と夜の森のコントラストの対比が強烈だった。
逃げる天使とロトたちはものすごくちっちゃく描かれてて
塩の柱にされてしまったロトの妻なんてロトたちよりも小さかったです。
(あとこういう時にタブーを破る役割というのはだいたい女性に振り分けられているな…)
「ロトと娘たち」はその後を描いたものですが
野宿するロトたちのところまで火の粉が降り注いでいるのが火事の規模を物語るようですごい。
「牧草を食べるロバのいる風景」あたりは宗教色はなさそうだったけど
遠近法も既に編み出されていてのどかな田園風景がすてき。
「オリュンポスの神々」は水浴場にいる神々の様子ですが
こちらはどことなくイタリアルネサンス期の絵画に近いような感じでした。

ヒエロニムス・ボスについてはほとんど知識がなくて絵も見るのは初めてで
今回来日した「放浪者(行商人)」「聖クリストフォロス」を見たときは色んな意味で「はじまりの絵だなあ」と思いました。
人物はもちろん動物や建物や風景などをとにかく描いてみる的な。
テーマがどうのというより当時の価値観やキリスト教の寓意などを1枚にごちゃっと描いてて
絵のそこここから色んなことが読み取れる。
そういうのはボスに限らないけど、今回のボスの絵は特にそういう面を強く感じました。
人間のほかに魚やカエルや猫や壺など謎モチーフのオンパレードですが
クリストフォロスの背景にある壺のツリーハウスはちょっと、かわいい。
版画の「樹木人間」とかも、壺みたいな帽子をかぶって体が木で足に小舟の靴を履いてる生き物がいて
なんだこりゃ?って首をかしげたくなるけど妙におもしろくて笑ってしまった。

そんなボスに基づいたり模倣したりする作家や版画もおもしろい。
「聖アントニウスの誘惑」や「様々な幻想的なものたち」とかは北斎漫画みたいな感じだし
「青い船」はカーニバルの青い船組合をモチーフだそうだけどテニルみたいな奇妙さもあるし
「ムール貝」は大きな貝がパカンと開いて中に人々がひしめいて
当時のことですから寓意があるんだと思うけどさっぱり想像がつきません。。
そんな中で台頭してきたのがブリューゲル1世だそうです。
イタリアから帰国したブリューゲルにヒエロニムス・コックという版画業者がボス風の版画を依頼したのが始まりで
彼は「第二のボス」「ボスの生まれ変わり」などと当時の書物に書かれたりしているとか。
(狩野探幽も永徳の再来とか言われた時期がありますけど似たようなものかしら)
ボス風ということで絵の雰囲気やモチーフは確かにボスっぽいけど
ボスほどの癖はあんまり感じなくて、
どちらかというとすっきりまとめているのが多くてそういうところはブリューゲルっぽい感じ。
農民や農村の風景をよく描いたのは版画というものが大衆向けだったからかもしれないけど
ブリューゲル本人が町に出かけてお祭などを観察するのが好きだったらしいので
彼の好みも反映されているのでしょうな。

そして「バベルの塔」。
ブリューゲルの晩年である1568年前後の制作とされる今作は
イタリアのコロッセオをモデルに当時としては珍しく建物を全面的に押し出して描かれた作品です。
(昔の西洋画って人物、というか聖書の登場人物や聖職者や身分の高い人の絵が多いと思う…絵画の出発点てそこなので)
絵そのものはそんなに大きくないのですが、実物を前にすると塔がとても立体的・威圧的に見えて
「でかっ!」って思ったのが最初の感想。
日本で暮らしてると石造りの建物を見る機会があまりないせいかどっしりして見えましたね…
塔の下の煉瓦は色褪せていて、上に積み上げられた煉瓦ほど真っ赤なのは
きっと相当の年月が経過しているからかな…年月も感じさせるのがリアルだなあ。
煉瓦を持ち上げる滑車が16世紀に実在した物だったり、風景の港はアントワープの海がモデルだったり
馬に乗って移動してる人がいたり洗濯物が干されていたり教会があったりと町っぽくなっていて
バベルの塔というはるか昔の物語の情景を描きながら
当時の建築技術や風俗が反映されているので時代考証が目的の絵ではないのかもしれぬ。
誰も見たことないわけだから身の回りの物を参考にするしかないよね…。
今となっては当時を知る貴重な資料になるので色んな面を持った作品でもあります。
よくこんな綺麗にとっといてくれたもんです。学芸員さんの努力のたまもの。

ブリューゲル1世は塔の絵を2枚描いていて、今回来日したのは2作目です。
1作目もいつか本物を見てみたいな…ウィーンにあって2作目より小さめらしいのですが。
あと、わたしがバベルのお話を知ったのはCLAMPの東京BABYLONなのですが
その後に宮崎駿氏のラピュタが今作をモデルにしていると聞いて初めて画集でこの絵を見て
「似てるわー!」と声出た覚えがあります。
宮崎さんはブリューゲルお好きだもんね。

「かくして主、彼の人々をここより全地に散らすが故、彼の人々町を創るを止む。ゆえにその名はバベルと呼ばる。
災いなるかなバビロン、そのもろもろの神の像は砕けて地に伏したり」
(旧約聖書創世記・第11章)

そしてこの冬にはブリューゲル展が同館で開催されるので楽しみだ~☆
子どもの遊戯は!来ますか!!(落ち着け)

babel3.jpg
エスカレーターのとこにあった比較パネル。
東京藝術大学のチームが検証したそうですが、もしこの塔が実物大で実在したときの大きさは
塔の人物の平均身長を170cmとして計算すると510mほどになるそうで…!
通天閣や東京タワーより高くてスカイツリーよりは低めだけど
何せ幅がでかいので存在感がやばそう、ちなみに直径は高さ以上になるらしいです。

babel2.jpg
展覧会公式キャラクターのタラ夫。
ブリューゲル「大きな魚は小さな魚を食う」からのキャラ化だそうです。
足が妙にリアルで一瞬、本当に人が入って立っているのかと思ってしまった。。

babel4.jpg
大友克洋・河村康輔両氏による「INSIDE BABEL」。
調査に基づくバベルの塔の内部構造を大友氏が描き、河村氏がデジタルコラージュで合成しています。
塔をぱっくり切ったらこういう断面図ができそうっていうくらい、リアルで緻密でかっこよかった。


babel5.jpg
都美を後にして東京藝術大学Arts&Science LABの「Study of BABEL」へ。
COI拠点のチームが科学分析をもとに立体化したバベルの塔がどーんと展示されていました☆
ちなみにさっき書いた、塔の高さの計算を510mとはじきだしたのも同チームで
この複製はその計算をもとに約1/150スケールの3mで再現されています。

babel6.jpg
絵で見た人々や家、建築現場の道具などまで完璧に再現されている件。
色も絵の具を調べて塗ってあるそうです。

babel7.jpg
教会に集まる人々。
こうやって3Dにしてくれると自分と対比できるのでスケールが想像しやすいですね…。
窓の青い液晶の中でチラチラしているのは「バベルの塔で働こう」というインスタレーションで、
会場のiPadで自分の顔を撮影すると液晶にデータが転送され、
まるで自分が塔で働いているような気分が味わえます。


あと、この日は国際博物館の日で東博常設展が無料だったので見に行きました。
2017tohaku70.jpg
勝川春章「東扇・初代中村仲蔵」かっこよすぎる!
忠臣蔵で斧定九郎が口から流した血が膝に垂れる演技がありますけど
あれを考案したのが彼だそうで、大好評となったため現代までその様に演じ伝えられてきています。
どうやって思いついたんだか…歌舞伎座で初めて見たときは驚いたもんです。

2017tohaku71.jpg
西川祐信「婦女納涼図」。
京都の水辺で優雅にくつろぐ女性たちがとても素敵。

babel1.jpg
上野駅エキュート内に展示されていた、
東京大学LEGO部が約46,000ピースのレゴブロックで再現したバベルの塔。
そういえばネットで情報見かけたなと思い出して帰りに見に行きましたらちょうどこの日までの展示でした!
ギリギリセーフで見られてよかったです。
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2017-05-15 (Mon)
hyakunekoten_1.jpg
目黒雅叙園の「福ねこ展at百段階段」に行ってきました(ΦωΦ)☆
9人の現代作家さんによる絵画、立体、陶芸、人形、彫刻、写真などの猫作品を集めた展覧会です。
百段階段は都の有形文化財に指定されていて普段は撮影禁止なのですが
今回は全室撮影OK!ということで遠慮なく撮らせてもらいました。
おうちにかわいい猫たちの画像をお持ち帰りできるのは有難い。

hyakunekoten_2.jpg
豪華絢爛なエレベーターを出たところで最初に目にするのは
写真家のアクセント氏による猫のアクション写真。
飛んだり跳ねたりしている猫の一瞬を切り取る「のら猫拳」シリーズが有名な方で
全身をバネのように伸ばしたり縮んだり、ひねったり大の字になったりしている猫たちが
生き生きとした写真で紹介されていました。
朝や昼、夕焼けなど時間帯も様々で逆光とかもあっておもしろい。

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アイツの裏拳!

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百段階段最初のお部屋、十畝の間はもりわじん氏による「招きたんと猫神様の世界」。

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巨大なケーキの上で好景気を招く親玉「好景気猫」。洒落がきいてておもしろい!
ケーキは作りものですが本物みたいな質感ですごくおいしそうで
展示室出たところでケーキ食べたくなりました。ぐうぅ。

hyakunekoten_6.jpg
好景気猫の周りにズラリと並んだ、誕生日猫「招きたん」シリーズ。
1月1日から12月31日まで366匹の猫たちが様々な表情やポーズをとっています。
ひとつひとつ全部手作りで、笑ったり微笑んだり目が点だったり鼻水でてたりアカンベーしてたりと
同じ表情・同じポースがいっこもないのすごい!
(ちなみに写真がなぜ12月22日かというとあの人の命日だからです。こういう撮り方もあります。
自分の誕生日の猫さんもちゃんと撮ったけど)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆ >> ReadMore
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2017-05-11 (Thu)
kinbi1.jpg
東京国立近代美術館の「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」を見てきました。
写真は展示室の出口にあった写真撮影コーナーで
置かれている茶碗は初代長次郎の万代屋黒(複製)です。

kinbi2.jpg
万代屋黒の名前に何となく聞き覚えがあったのですが、東博の茶の湯展に展示されてたのを思い出して
「利休が持ってたあの渋黒くんかあ!」って、ちょっと感慨深かったです。
この複製はアルミ合金製の509g(本物の万代屋黒は317g)で持ってみたら確かにずっしりきまして
お寺などで接待を受けたときにいただくお茶碗よりは重く感じました。
長次郎が利休のために作ったお茶碗を、レプリカとはいえ持てるのはドキドキしたし
映画で海老さんが使ってたこととかも考えるとやっぱりドキドキした。
本当に最近はさわれる展示が増えてありがたいことです。美術館の配慮に感謝。


樂家に関しては前回の茶の湯展と同様にほとんど知識のないままでしたが
(長次郎や宗入など一部の宗家の名前を知ってる程度です)、
展示室のパネルに人物紹介や歴史がコンパクトにまとまっていたので助かりました。
あとキャプションが非常にシンプルで、タイトル・作者・年代が書いてあるだけで
歴史的・美術史の観点からの説明がまったくなかったのも特徴のような。
わたしはよく、キャプションに説明が書いてあったら読んだりメモ取ったりしますけど
今回の展示は説明が欲しかったら要所要所に設置されてるパネルに書いてあるの読めばわかるようになってたし
メモ帳をしまって無心で作品と向き合うのも、たまにはいいなと思いました。

樂焼は聚楽第の近くで茶碗を作っていた長次郎という人が
秀吉から「樂」の印字を与えられたのが始まりだそうです。
ろくろや型を使わず手で土をこねる作風が当代まで貫かれているそうで、
言われてみれば磁器みたいなすっきり感がなくてしっとりというか、手の形が見える茶碗が多いなあと思った。
利休のために作ることの多かった長次郎の黒は、真っ黒というわけではなくかすかに薄い部分もあって
面影とか太夫黒なんかは微妙に褪せた部分があったりする。
禿も利休が持っていた茶碗で利休忌の時にだけ使われるらしくて
名前は、利休のそばにいつもいた茶碗ということで遊郭の太夫のそばにいる禿から取られたとか。
無一物や太郎坊などの赤楽茶碗も真っ茶色ってわけじゃなく白釉を残していたりして、
これも利休の好みだったのかな。
絵や模様をほとんど入れてないのも特徴的というか…ほんとにすっきりまとめてるんですね。
あと、長次郎の現存する作品でもっとも古いとされる二彩獅子像(1574年)もあって
彫刻を作る人だったこともわかります。
阿吽のお獅子は茶色く色落ちしてしまってたけど、お尻を高く上げてきゅーっと目をこちらに向けていて
沖縄のシーサーみたいな迫力があった。

樂家二代目の常慶は、長次郎とともに作陶を行っていた田中宗慶の子で
以降の樂家は世襲だったり養子だったりしつつ現代まで一子相伝で続けられてきています。
宗慶の三彩獅子香炉は緑や黄色がしっかり残っていて
口をくぱあと大きく開けて胴体がふっくらして、足を踏ん張って立っててかわいらしさ満載☆
茶碗の作り方も長次郎と似通っていて、いさら井などは利休好みの形ですね。
常慶は時代が古田織部と被っているためか、
黒木などは織部好みを反映して中央がぐにゃっとへこんでいたりして一気に変わった感じがする。
また彼は本阿弥光悦に作陶を教えた人であり、
樂家三代目の道入は光悦から教わっているので作風のつながりが見られるのも楽しいです。
道入の青山は漆黒の中央に大胆に白を残しているし
僧正は赤に市松模様のような小さな四角い金色がぽつぽつ入っていて素敵~これちょっと使ってみたい…!
2人の間に生きた光悦の樂茶碗も、村雲は飲み口がぐにゃっと飛び出てるし
雨雲は飲み口が真っ白で糸尻までの漆黒のグラデーションが美しいし
白樂の冠雪はしんしんと積もる雪が赤い点々で表現されていて
織部から江戸初期ルネサンスの時代を生きた人感がめっちゃ出てました。
光悦ってこういう人だったんだなー!同時代の人と見比べるとめっちゃ楽しい。
光悦が宗達の下絵(蓮)に百人一首を描いた和歌巻断簡とか
宗達の舞楽図屏風(醍醐寺)にも久々に再会できてうれしかったです☆

四代目の一入の時代には色々と工夫がされるようになって
黒の山里には棒を持った人物(ふっくらしてかわいい)が白いラインで描かれていたりする。
五代目の宗入は尾形光琳・乾山の父である宗謙の弟・三右衛門の子で光琳たちとはいとこにあたり、
また宗謙・三右衛門の祖母は本阿弥光悦の姉なので
樂家と尾形家と本阿弥家は親戚になるのですな~。
この頃は初代回帰というか、長次郎の作風を意識しながらも
亀毛の金粉とか見てるとモダンさも忘れてないように思うし、
近くに展示されていた乾山の染付松図茶碗と見比べるとお互いに影響し合っていたかなあとも思う。
六代目左入の霏々や七代目長入の赤樂などを見てると先代とそんなに変わってなくて
作風が落ち着いた時代だったのかも。
早逝した八代目得入の萬代の友は黒地に2匹の亀がゆったり泳いでいてかわいい。
九代目了入の巌や白釉筒茶碗はごつごつした崖のような肌をしているし
十代目旦入の不二之絵黒樂の大胆な白とか秋海棠の赤色に緑べったりな色使いがすごい!
彼は織部や瀬戸など様々な技法を取り入れた人だそうですね。
十一代目慶入の潮干は茶碗の底に貝殻をつけて焼き上げてて
新しい!使いづらそう!でも面白い!って気持ちが行ったり来たりしてワクワク。
十二代目弘入の家祖年忌は長次郎300回忌で茶碗を300個作ったときのひとつで
初代を意識したのか割と小ぶりでした。
赤楽の羅漢は樂印をあっちこっちに押しまくってて鈴木其一展で見た「秋草に鶉水月図」を思い出しました。
こういうデザインする人ってどこにでもいるんだな^^

近代以降になると渋さは押さえつつも色遣いがわっと賑やかになってくるのは
折から入ってくる印象派やキュビスムの影響とかもあったのでしょうか。
十三代目惺入の若草は黒地につくし模様がかわいいし、
十四代目覚入の緑釉栄螺水指は黒々としたサザエが立派でかっこいいし
綵衣は赤・黄・茶・黒が絶妙なバランスで配置されてるし
杉木立は白地にざくざくした赤模様がするどい木を思わせるし、覚入のデザインは模様がでっかいねえ。
最後に十五代樂吉左衛門(当代)の作品がどっさり展示されていて
東博の法隆寺宝物館みたいな、一作品につき一展示ケースで360度ぐるっと見られるようになってた。
長次郎を思わせる黒からカラフルで大きなデザイン性高いものまで、
伝統的なものと斬新なものとはっきり分けて作られている。
夜の航海シリーズや岑雲に浮かんでシリーズは実際の茶会で使われるとしたら
和服でも洋服でも様になりそうな雰囲気でデザイン性の高さを感じます。
そして次代を継がれる篤人さんの作品は、長次郎の黒が見えるような黒と
お父上の白とは違う色彩を連想するようなモダンさがおもしろかった。

特別展の後は常設展を鑑賞します。
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この日は上村松園「母子」が展示されていると聞いていたのでワクワクしながら行きましたー!
はあぁあやっぱりきれいで柔らかくてあったかい…無言でボーっと見つめてしまったよ。
モデルは松園の孫である淳之さんと母のたねさんです。

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工芸館の方にも行きまして、開催中の「動物集合」を鑑賞。
近現代の作家による動物をテーマにした作品を集めた展覧会です。
鳥、虫、馬、うさぎ、象など大きいのから小さいのまでたくさんの工芸品を見ましたが
目が行くのはやっぱり猫(笑)。
特に写真の結城美栄子「猫に小判」は最高にかわいかった!(撮影OKでした)

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志村ふくみさんの紬「鈴虫」。
秋の夜に聞こえる鈴虫の声を色にしたらこんなかなあ、きれいでした。


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近美と工芸館の間にはさまれている国立公文書館では「誕生 日本国憲法」展を開催中で
無料だったので見てきました。
天皇の署名原本や憲法ができるまでの計画、議事録、草案、写真などから
憲法がどのように作られ施行されたのかをたどる内容です。
「あたらしい憲法のはなし」は教科書で読んだなあ…三権分立とか戦争放棄の挿絵とか。
「憲法改正草案に関する想定問答」には思わず吹き出してしまって。こんなのも考えられてたんですな…
答弁した金森徳次郎はNDL初代館長で納本制度を始めた人ですが
憲法制定にあたり大臣を務めていたのは知らなかった、勉強になりました。

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個人的に一番ドキドキした憲法公布原議書。
最終的にこの文章でいきましょうと閣議決定されたもので
赤であちこち修正が入ってて細かく作られてるなあと思う一方、
なんだか淡々と事務的にも感じられました。
憲法できた!っていうととてもドラマチックに聞こえるけど(ドラマや映画で人がワーッと集まって歓声あげるみたいな)、
実際は小さな作業の積み重ねなんですよね。

おしまいにあった「日本国憲法は国立公文書館で大切に保存しています」の看板の頼もしさよ…
何気ないひとことですけど大切なことなので色んな人に公文書館の仕事を知ってほしいな。


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2017-05-07 (Sun)
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東博で開催中の「茶の湯」展に行ってきました。
曜変天目茶碗が見たくて、でも展示物が小さいうえに混んでると聞いていつにするか迷っているうちに
曜変の展示がGWととともに終了すると知り泡をくって「待ってえええ」と飛んでいきましたよ。
わたしは茶道に関してはさっぱりですが(建仁寺の栄西が茶祖と呼ばれてるよね、くらいの知識)
きれいなお茶碗や茶室の道具、茶碗をめぐる人間模様などがわかりやすく解説されていて
楽しくて2時間以上ウロウロしてしまいました。
仁清や乾山など好きな陶芸家もいるのでまったく初心者ってわけでもなかったし。

先に行った人々から「曜変天目(稲葉)の前であなたはチューチュートレインにな~る」とか
半ば催眠術のような予言をされてどういうことだってばよ?と思ってたけど
いざ展示ケースを前にしたら自動的にそうなる自分に気づきました。
展示物が小さいという理由もあるけど、お茶碗の中とか側面とかあっちこっち見たい部分が多くて
背伸びしたりしゃがんだりケースの周りをグルグルせざるを得ない!
そもそも人多くて見づらいし、国宝だからみんな見たいだろうし
あの展示ケース人が集まってる~何だろう?みたいな人も寄って来たろうし(わたしだ)、
集団が発生してしまうのは仕方ないですな。
そんなシュールな会場でしたけどもお茶碗そのものはとても美しかったです。
漆黒の本体に白や水色や群青などのグラデーションが螺鈿のようにきらめいていて
宇宙とも星空とも深海ともいえない不思議な景色。
曜変の曜は星のことなので昔の人は星空のように感じてそう名付けたのかもしれない。
豊臣秀吉から秀次へ受けつがれたという油滴天目は
外側も内側も銀色に輝く粒でびっしり覆われていて、その規則性のバランスがすさまじい。
天目茶碗は職人の意図ではなく窯の中の偶発的な科学変化で生まれるそうですが
焼き上げてこんなの出来上がってたらそらびっくりしますわな…。
ちなみに室町時代の芸道書『君台観左右帳記』には「曜変 建盞の内の無上也」「建盞 ゆてきの次也」とあり、
曜変1番油滴は2番ということだったみたい。

お茶碗そのものも味わい深いのですが、
個人的にはやっぱり誰かの手を経てきた茶碗や茶道具に心惹かれます。
灰被天目の「夕陽」は黒にオレンジが点々として、同「虹」(伝足利義政所持)はうっすらレインボーが見えて
両方とも東大寺や酒井家を経て残ってきたものだそうです。
青磁輪花茶碗「馬蝗絆」は雨過天晴と呼ばれるほど美しい青磁の茶碗ですが
数か所に鎹が打たれた痛々しい姿になってしまっていて、
これは義政が愛用していた時ヒビが入ってしまったので宋に代わりの物をリクエストしたところ
これ以上の青磁は作れませんと鎹を打たれて送り返されてきたので
それならばと鎹を蝗に見立てて名付けてしまったとのこと。
義政さんてほんとそういう遊び心あるよなー!(将軍としてはああでこうだけども)
北野大茶会にも出されたという唐物肩衝茶入(北野)も義政所持だったらしいし
前田家伝来の木葉天目はお茶碗の中に葉っぱのような模様があっておもしろいし
唐物茶壺「松花」は信長→秀吉→家康と持ち主が変わってて
唐物茄子茶入「富士」に至っては足利氏の医師から信長がぶんどって→秀吉→家康ともたらされて
お前らわっかりやすいな…!ってなる。
三好長慶が所蔵していた三好粉引、釉薬のかけ残した地の茶色が刀の切っ先に見えるという
うっかりをプラスに変える見方は長慶さんのセンスですな…かっこいい。
作品の価値に加えて「あの人が持ってたもの」というのも大切な歴史なんだよね。

武野紹鴎・千利休師弟による侘茶の大成あたりからは展示にぐっと渋さが増します。
紹鴎が持っていたという緑色の点々が美しい白天目や、将軍の御成にも使われた備前水差「青海」は
さっきまでと違って白黒くっきりしてツルツルピカピカしてることもなくて
土の表情が何となく見える気もする。
利休の所持品コーナーはさらに黒が増えて、
樂家の初代・長次郎が利休のために作った黒樂茶碗の俊寛(利休命銘)やムキ栗(覚々斎原叟の命銘)なんかは
最たる黒のような気もします。
しかもムキ栗は四角いんだよね…なかなかないよねこういう形。
唐物茶壷「橋立」は信長から譲り受けたのち秀吉に何度も所望されながら最後まで譲らなかった壺で
地味で小さいけれどもそこが利休の好みだったのかなあ、などと。
利休の手紙もいくつかあって、
小田原攻めの従軍時に古田織部が送ってきた茶筒を受け取りましたという知らせや
沼田天目につけた「黄てんもくにて候 利」という鑑定書のような一筆や
2/14に堺へ船出するとき織部と三斎が見送りに来たという別れの手紙(2週間後に利休切腹)など
仕事や人生を物語る直筆にドキドキしました。
弟子の織部の所持品だった伊賀花入「生爪」は、いかにも織部好みに口が歪んでいて緑がだらっとしている。
なぜ爪の名前がついたかというと、織部がこれを手放すとき「爪をはがすような辛さ」と言って一筆添えたみたいで、
かなり太い字で書かれているのがかえっておかしくて笑ってしまった。
みんなそれぞれ大切にするものが異なっていて面白いですね。
あと、茶杓にも人柄が出るなあと思いました!
紹鴎の竹茶杓はゆるやかで、利休の茶杓は真っすぐなのや歪んでるのなどがあって
織部の小倉山は凸凹だし三斎(忠興)は「けつりそこなひ」と名付けてしまう自由さがある。
さらに下って小堀遠州の茶杓はすっきりしていましたね。

あと、当時はいわゆる「古筆切」というやつ…古い絵巻物や色紙をスパスパ切って
床の間や茶室に飾るのが流行したんですよね。
室町時代の足利将軍たち…義満や義教、義政あたりまでは水墨画や文人画などを掛けていたのが
紹鴎の頃からは漢詩などの古筆も掛け始めたのだそう。
(藤原定家の小倉色紙「あまのはら」を最初に茶室に掛けたのが紹鴎らしい)
史料クラスタとしてはおまえら何やっとんじゃー!と怒りたい気持ちもあるけど、
彼らは何でもかんでも切ってしまったわけではなくて
利休が双庵という人に出した「易元吉画巻跋」の添え状には
「墨跡が一段と見事なので切らずにそのまま飾るのがいい」という判断をして止めさせたりしている。
切られてしまったのはもう元に戻らないしその結果散逸しちゃったものとかあるけど
でも彼らが切って子孫が保存したから現代まで残ってきたものもあるし
当時の人々が何を考えて切ったり切らなかったりしてここまで残されてきたのかという一通りの歴史は
今となっては次世代の人たちのために必ず残しておかねばならぬ…ううむ。
ちなみに禅僧画家の玉澗が描いた「廬山図」は
佐久間将監が裁断したものと判明しているそうです。佐久間おまえちょっとそこ座r(ry

江戸時代の銘品も。
国宝の志野茶碗「卯花墻」は白い本体に赤い模様が縦横に入っていて
それを卯の花が咲く垣根に見立てているそうです。
樂家の初代・長次郎の赤茶碗や黒茶碗は手にすっぽりなじみそうな大きさで
万代屋黒などは落ち着いた漆黒が渋くてかっこいい。
(ちなみにこの茶碗は映画『利休にたずねよ』で
海老蔵さんと中谷美紀さんが実際にお茶を淹れて飲んだそうです。ひええ)
本阿弥光悦の赤楽茶碗は長次郎よりもふっくらとした半筒形で赤みが強い感じ。
そして仁清のあたりになると形がよりすっきりして色彩がぐっと華やかになるんですよ!
若松図茶壷や鱗波文茶碗の模様がすごく細かいし、鶴香合はかわいいし
特に玄猪香合は銀杏を添えて十文字に紐をかけた小箱を焼き物で見事に再現していて
銀杏が!紐が!こんな細かいのよくパキッとかしないで焼けるなおい!仁清やばい!!
隣に乾山の梅文香合もあって師弟で並んでるのうれしかったけど
時間をかけて眺めたのは断然、仁清の方でした…師匠すごい。
美濃焼の織部さげ髪香合とかミミズク香合とかもあってかわいかったな~。
あと最後に益田鈍翁のコレクションがいくつかあって
鈍翁と名乗る由来になった黒楽茶碗「鈍太郎」も展示されていました。
凸凹の黒いボディに地の茶色を満月のように残していて、名前の通り鈍く光る黒だった。
江戸時代が終わり近代になると大名家の茶道具を手に入れた財界人たちによる茶会がブームになり、
鈍翁が主催した茶会「大師会」は今も年に一度行われているそうです。
(そういえば東博庭園に建っている応挙館は鈍翁の品川の自宅から移築したものですな)


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岐阜県の陶芸美術館が再現した古田織部の茶室「燕庵」。撮影可でした。
本物は京都の茶道藪内流宗家の敷地内にありますが、
これは初代宗家の妻が織部の妹だったことからの縁だそうです。

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柱がぐにゃりと曲がってるとことか、すごく織部って感じ。
あと窓を少しずらして配置してあるのも織部の工夫だそう。


特別展の後は本館の茶の美術も鑑賞してきました。
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中国の灰被天目。渋いです。銀河の中に一等星がぽつぽつ見えるみたいな。

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志野茶碗、銘「振袖」。
ススキが薄く描かれていて優美です。

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美濃焼の織部向付。
「うぎゃあ」とか言いたくなる形がすごくおもしろいです。

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同じく美濃焼の織部開扇向付は骨まで細かい!

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野々村仁清の色絵牡丹図水指。
大きな牡丹と緻密な模様がホレボレしてしまう…かっこいい。

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仁阿弥道八の色絵桜樹図透鉢はやっぱり美しい☆

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景徳鎮の天啓赤絵羅漢図反鉢はそこ反らすんだ!ってデザイン。

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東博本館の庭園に移築されている転合庵。
小堀遠州が茶入「於大名」を披露するために京都の六地蔵に建てた茶室で、
その後何人かの持ち主を経てここに寄贈されたそうです。
普段は扉が閉められて外観のみの見学ですが、この日は内部も見学できました。
ちなみに茶入「於大名」も茶の湯展で見られまして
耳付茶入というそうですが、猫耳みたいな取っ手がついててかわいかった。

あと、茶の湯展に関連して近代美術館の樂家展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事にて書きたいと思います☆
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2017-05-03 (Wed)
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奈良&京都旅行2日目です。1日目はこちら
今日もいっぱい歩くので、朝ごはんをしっかり食べてレッツゴー!

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奈良公園を抜けて東大寺に歩いてきたら
南大門手前の駐輪場に自転車ではなく鹿さんたちが駐輪していた件。
地面の上で朝日も当たってポカポカするのでしょうか、おはようございます☆
園内では早起きの鹿さんがすでにお客さんから鹿せんべいをもらってもりもり食べたりしていた。

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ナンダイモーン!
今日は奈良国立博物館に快慶展を見に行くのですが、
その前に慶派の人々が手がけた金剛力士像を見に来ました。つまり第2会場です。

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快慶とその工房が手掛けたという阿形さま。

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吽形さま。
ここには何度も訪れていますが、
このおふたりの間に立って双方から睨まれるともう感極まって言葉なんか出てこないですね、
今回も無事にお会いできてうれしいです本当にありがとうございます!
慶派の技術と800年の歴史と圧倒的感謝と感動。やばし。

東大寺金剛力士像は近年に調査された像内納入文書によると
制作の総指揮を運慶がとり、快慶や湛慶を始め慶派の仏師たちがおよそ2ヶ月で仕上げたもの。
ノミを入れてからわずか2週間で台座と基本的な体格を作ってあとは補正・修正と彩色だったそうで
(できた当時は赤い肌に緑や青の裳をつけていたらしい)
ものすごいスピード仕事だったのよな…。
みんなちゃんと寝てごはん食べてたかしら、本当にお疲れさまでした。

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東大寺に行くといつも会う猫さまに今回も会えました!
近づくと逃げられてしまうので遠くからこっそり観察。癒されますありがとうございます。

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というわけで奈良博の快慶展に向かいますよ~第1会場!
南大門が第2会場なら昨日の安倍文殊院は第3会場かな、そしてやっと第1会場(笑)。

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2017-04-29 (Sat)
奈良と京都に行ってきました☆
今年は吉備真備・玄昉・阿倍仲麻呂・井真成ら第9次遣唐使が717年に海を渡ってから
1300年の節目の年にあたるため、
ちょっと思い立って彼らのゆかりの場所を巡ってまいりました。
あと奈良博でやってる快慶展と、京博でやってる海北友松展にも行きたかったし。

例によって夜行バスで移動、奈良のホテルに荷物を預けてからバスに乗りまして
まずは福智院へ。
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バス停から道を1本入ってすぐ。
遣唐学問僧として唐に渡った玄昉が帰国後に建立した清水寺というお寺が
中世に福智院地蔵堂として再興されたそうです。
朝早かったためか境内は人が全然いなくて静かでした。

2017nara_2.jpg
本堂。
お茶と飴の接待を受けながらご住職のお話を伺いました。
ご本尊の地蔵菩薩坐像(鎌倉時代)が内陣の中央にどーん!といらっしゃってかっこいい☆
めずらしく光背を背負ったお地蔵様で、
六地蔵と閻魔・太山王のほか560体もの小型化仏がびっしりと連なっていて
これは56億7千万年後に現れる弥勒菩薩の信仰が影響しているとか。

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玄昉僧正顕彰之碑。没後1250年を記念して建立されたものです。
本堂には玄昉の小さな像もありまして、眉の太いイケメンさんだった。

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いただいた御朱印。
ご本尊の地蔵菩薩さんは毎月27日が縁日で、見開きの御朱印はこの日だけいただけます。
あと玄昉の御朱印もあったので書いていただきました!
さりげなく「元清水寺」と入ってますが、これは玄昉が建立した際の寺名ですね。
彼がいた頃とお寺の名前は変わってしまったけど繋がっているような気がして
お寺のお心遣いに泣きそうになった。

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境内の八重桜。ソメイヨシノよりも遅れて咲くそうです。
他にも牡丹や白菖蒲など花がたくさん咲いたお庭はとても賑やかでした。

2017nara_6.jpg
福智院から歩いて5分。頭塔の見学に来ました。
頭塔はホテルウェルネス飛鳥路の敷地内にありまして、
ホテルのフロントに見学料300円を支払うとパンフレットをいただけて入口を教えてもらえます。
ではではいってみよー!

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2017-04-23 (Sun)
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読んで、久々に音楽、特にピアノ曲が聴きたくなって
部屋中のCDとか動画サイトで音源を漁りまくっていたゆさです、こんばんは。
(この記事も聴きながら書いています)
同書は浜松市のピアノコンクールを舞台に、4人の主人公と彼らをとりまく人々の心の動きが
ピアニストたちの演奏とともに描かれていく小説です。
あちこちで話題になってますしわたしの周辺でも好意的な感想が多かったので楽しみで、
パッと開いたら2段組みで500ページ超えててうおお?ってなったけど
読み始めたらあっという間でした。おもしろかった。
タイトルはたぶん、主役の1人である塵くんの父親が養蜂家であることと
三次予選前に塵くんが散歩中に見かけた冬の雷からきているのかな。
その後、塵くんが調律師さんに言った「天まで届く音にして」のセリフには心の奥底までしびれた。

ピアニストたちの来歴や思考やパフォーマンスが細かく描写されているので
彼らの弾き方もピアノの鍵盤からあふれでる音色も全部違って聴こえてくる感じがするし、
主催者や審査員、調律師、記者や家族など様々な視点の言い分やコンクールの在り方もさりげなく語られて
群像劇になっていますね。
わたし自身も学生時代にピアノを習ってましたし、合唱ですがコンクールに参加した経験もあるので
予選前のピアニストたちの気持ちとかめちゃめちゃわかってしまってムズムズしたし
付き添ってくれたレッスンの先生や部活顧問の先生はこんなこと考えてたかもしれないなと思ったし
審査員の先生方がルールを取るか音楽を取るかの試されてる感とかものすごく想像ついちゃって
そこも読んでて面白かったです。
楽譜通りに弾くのは正しいけど自分が弾く意味とか考えちゃうし
年齢とかメンタルとか審査員の好みとか意識しちゃうのわかるし
そういう緊張感と無縁のコンテニストを見ると、焦ったり打ちのめされたりするけど
本番の時間はあっという間にやってきて過ぎ去っていく。
一次、二次、三次と予選がすすむ中で
登場人物たちがコンクールの雰囲気に慣れたり新たな課題を発見してもがく姿は抱きしめたくなります。
がんばってるよお~君たち。

ホフマンが塵くんをギフトと表現していたとき、なんとなく意味の想像はついて
読み進めていくうちに「やっぱりな」みたいな確信に変わったのは
学生時代にコンクールで彼みたいな人たちを何度か見た経験があるからかもしれない。
ギフトの概念を知ったのはル=グウィンの『ギフト』からですけども
『少年ノート』のユタカくんや『陰陽師 瘤取り晴明』のときの源博雅くんみたいな、
ストレートに音楽を信じていて人々に演奏したいと思わせてしまう演奏ができる塵くんは
とても危ういし魅せられてしまいます。
コンクールに1人か2人はああいう人がヒョッと出てきますよな…コンクールであることを忘れて
「あの人の音好き」とか「すごい」としか言えない演奏をする人たち。
そういう瞬間があるからコンクールって楽しいんですよな^^
高島さんは『葬送』のショパンみたいな緊張感があったし
栄伝さんとアナトールさんは君嘘の公生くんやかをりさんを思い出した。
特に栄伝さんは内省的すぎるほど内省的で
そんなに考え込まなくて大丈夫だよとか、余計なお世話ですが声をかけたくなったというか
だから彼女が肩の力を抜いて弾けるレベルまで自力でたどり着けたときは「よかったー!」ってなって
本を持ったまま部屋の中をぐるぐる回ってしまった。。
そして彼らのいいところは本番前に思いつめるほど思い詰めてても
本番ではきっちりパフォーマンスできるところなんですよ…そういう人たちだから上位に残っていくんですけど。

ピアノの調律や音響についても書かれていて、
以前に宮下奈都『羊と鋼の森』を読んだこともあるので
クールなプロフェッショナルがピアニストたちの要望を聞いて会場の音響と合わせて調整していくのが
ワクワクしましたね~。
浅野さんの「お望みどおり、何でもするよ」の一言が頼もしい。
ピアノをなるべくステージの前の方に置きたいとか、いや奥に並べたいとか
観客がぎっしりの会場は思った以上に音を吸収するとか
床が少しくぼんだところでは音の響きが違うみたいなところは「そう、そうなの!」って思わず声に出ちゃったよ。
ちょっとしたことで音響ってずいぶん変わりますのでね…
そしてそれは容赦なく審査員の耳に影響する。音響とても大事。うん。
(そういえば去年の本屋大賞が『羊と鋼の森』で、今年が表題作ですから
2年続けて音楽関係の本が受賞したんですね。
この2冊が、クラシック音楽業界が少しでも盛り上がる一助になってくれるといいな)

コンクールの結果も頼むから全員受からせてやってくれよってなりましたね…仕方ないんだけど。
(とか思ってたら恩田さんもインタビューで似たようなこと答えてらしてホッとした→こちら
宮下奈都『よろこびの歌』、中田永一『くちびるに歌を』、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』、
武田綾乃『響け!ユーフォニアム』などを読んでいたときや
ミュージカル『コーラス・ライン』などを観たときも登場人物全員に肩入れしてしまって
みんなこんなにがんばってるんだから報われてほしい…とか、祈るような気持ちでした。
発表の瞬間てすごくストレスたまるけどカタルシスでもあるよね。
終盤で、塵くんが海辺で巻き貝と渦巻雲を眺めながら
ホフマンとの思い出を追想しつつフィボナッチ数列をつぶやくところは
『天と地の方程式』のラストをふと思い出して、
そういえば雷の音って音階であらわせるんだろうか?と気になってぐぐってみたら
何人か音階で聞こえるとおっしゃってる意見がヒットしてひえぇってなった。


余談ですが、音楽について書いたり描いたりしたものを見るといつも
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド』に
こんなことが書かれているのを思い出します。

「音楽:きわめて重要なもので、常に善であり、おそらく魔法でもあり、
特に竪琴で奏でた場合にはその傾向が強い。どうやら闇の王は音痴らしい」

闇の王が音痴かどうかは知らないけど、
言われてみれば小説や映画で歌がうまい悪役キャラクターがパッと思いつかないけど誰かいましたっけ…。
ミュージカルやディズニーの悪役みたいな、ストーリーの筋として歌を歌うんじゃなくて
「歌がうまい設定」になってる悪キャラ。
あと、歌を歌うと物が修復できるとか世界が救われるみたいな
歌がストーリーのキーポイントになってる物語も結構ありますけど、
そのときに歌う役割というのはだいたい女声に振り分けられてる気もする。
男声だと夢の守り人のユグノあたりが思いつきますが他にもいるかなあ。


週末に西の方へ旅をしてきますのでちょっと留守にします~Twitterには出没しています。
帰って来たらレポ書くですよ☆
| 一般書 | COM(0) | TB(0) |
2017-04-19 (Wed)
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キッチンに段ボールを放っておいたら何か入っていたので。
何を考えているのかな~。

hakoneko4.jpg
別の向きから撮ったら目をパチリと開きました。
たぶん気配を感じたんだと思う。

hakoneko5.jpg
正面。
じーっと待ってるうちに眠たくなったのか目を閉じかけましたが、

hakoneko6.jpg
誰かが横を通ると「!?」みたいな顔で反応してた。
箱の中は安心ですが背後の視界はさえぎられるので安全というわけにはいかないねえ。

hakoneko7.jpg
また別の日。
この角度からですと耳だけ見えてるのですが、

hakoneko8.jpg
「にゃーん」と呼びかけたら目が出てきた(笑)。うひひかわいい。

suwaricat1.jpg
こたつ布団にお尻をぺったんこして座っている姿がけしからぬかわいさで撮影。
おしりもお腹ももっちもち~のモフモフです最高です!
神様は猫の姿形を本当に完璧におつくりになったなぁ…(しみじみ)。

suwaricat2.jpg
頭の上から。
お腹にちょこんと置かれたおててと、お腹の下からちょこんと出たあんよがめんこい。


今日はレディスデーだったので映画『名探偵コナン から紅の恋歌』を観てきました。
冒頭から伸縮サスペンダーとボール射出ベルトが大活躍する飛ばしぶりですごい迫力だったよ~。
コナンくんはこれから先もスケボーを一体いくつぶっ壊すのか、
何度も作ってくれる阿笠博士は本当にいい人ですね…そして物は大事にしようね…。
平次くんと和葉ちゃんがそれぞれすごい、というか2人のスペックどんどん上がっていくし
静華さんの隠れた才能もいきなり出てきてやばい(笑)。
予告編にあった「手ぇ離したら殺すで」はスパーンと言い放たれてかっこよさがストップ高!
平和無双ありがとうございました。堀川さん宮村さん本当にお疲れさまでした。
パンフレットに載ってる堀川さんの平次愛にまみれたインタビューがアツいし、
そんな平ちゃんに大滝さん役の若本さんが寄せたコメントがシンプルながら愛にあふれて素敵です。

あと今回久し振りに(?)ミステリー要素が最後まで仕込まれていて
舞台が大阪と京都で、しかも百人一首がテーマになっててワクワク。
競技かるた大会のシーンの作画も超かっこよかった~~まさに畳の上の格闘技!
メインキャラクターが口にした歌は紫式部、崇徳院、平兼盛、紅葉が歌われているものなどで
イメージ映像やかるたの試合シーンで絵札や取り札がパラパラと表示されて
そのたびに「躬恒」「遍照だ」「持統天皇いた~」とか、いちいち反応してしまった。
小野小町は試合で取り札が一瞬映ったのを見つけたけど篁は見つけられなかったです…
DVDが出たらコマ送りで探すぞ!
倉木麻衣さんの歌うエンディングテーマのバックに流れるロケ地が秋の京都で
源光庵や嵯峨野など北山や嵐山の紅葉がいっぱいですごく綺麗でした~渡月橋も少し映った。
思えばコナン映画の季節が秋なのって珍しいね(゚∀゚)☆
途中で取り札がヒラヒラと舞って、藤原定家と式子内親王が一瞬並んで「あっ」てなりましたので
歴オタはエンディングだからと席を立たずにぜひ最後まで観て確認してください。
あと「In memory of 古内一成」と追悼クレジットがあって泣きそうになりました…
古内さんが書く劇場版コナンの脚本好きだったのでさみしいです。ご冥福を。

あとポケモン映画が20周年なんだね~☆
満を持してホウオウの話をやるみたいですが
サトピカの出会いもキラキラ作画でリメイクされるんですね(複雑な初期ポケファン心)。
メアリと魔女の花の予告編も見られた!マロさんがんばってほしい、見に行くぞ。
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2017-04-15 (Sat)
shingodzi.jpg
去年、劇場に観に行った弟くんにあれこれ解説してもらいながら
先日やっと映画『シン・ゴジラ』を観ました。
予告編とずいぶん印象が違うなと思いましたが、
特撮と日本のいちばん長い日とエヴァンゲリオンと野村萬斎を知っている人と
現美の特撮博物館を鑑賞した人にはものすごく見ごたえのある映画だと思います。
キャストがメイン~ワンカットしか出ない人まで「どこかで見たことある」人ばかりだし
(パンフレットのクレジットで「この人どこに出てた?」って思って
もう一度見返して「あーいた!」って見つけた俳優さんも何人かいました)、
スタッフも庵野・樋口両監督を始め野口さん柘植さん神山さん摩砂雪さんほか
やっぱり「どこかで見たことある」人ばかり。
音楽に鷺巣さんを起用しながら本編のそこかしことEDTに
伊福部さんのオリジナル音源を使ってくれた庵野さんと握手して乾杯したい。
ギドラにメカゴジにラドンに怪獣大戦争!ぐぎゃあ~~(ゴロンゴロンゴロン)
ありがとうございますありがとうございます!!
伊福部さんはコントラバスの使い方が超かっこいいよね。

以下とりとめのない所感。
ネタバレどっさりですので未見の方はご注意ください。


タイトルロゴのデザインからしてドッキドキ~のわっくわく!
「東宝映画作品」→「シン・ゴジラ(初代の鳴き声つき)」→「映倫」→本編→「終」の流れ最高。
庵野氏はこの映画の日本を「円谷英二がいなくて怪獣映画が存在しない」としているらしく、
つまり1954年のゴジラをみんな知らない世界なわけですが
随所に54年ゴジラの引用やオマージュがみられて往年のファンはニヤリとするのでは。
(わたしはニヤニヤしっぱなしだった)
登場人物がみんな「想定外の生物を初めて見た人たち」だったり
ゴジラの名前が、大戸島の老人が伝説の怪物の名前としてあげている呉爾羅からとられていたり
「巨大生物をゴジラと呼称します」とか「生命の保証はできません」とか。
和光の時計を始め銀座4丁目がぶっ壊されたのに歌舞伎座は無事っぽいのが何だかもう。。
…なんて言ってたらわたしよりも遥かに特撮力高い人々の発見がまとめられてました。
『シン・ゴジラ』で見つけたオマージュや小ネタ
制作側も楽しんで仕込んでる感じするし、受け手に届いてるのもたまりませんね。

蒲田くんの第一印象は「これがゴジラ!?」と一瞬引いてしまったけど
よく考えてみれば歴代ゴジラもはじめからあの姿だったわけじゃなくて
放射性物質を吸収したり食べたりした結果巨大化して二足歩行になったわけで、
蒲田くんはそうなる前から描かれたゴジラと考えればいいんだな。
まんまる白目で意志が感じられず「生きてる」だけというか、ひたすら前進する生き物で
泳いでてたまたま上陸したのが日本だったみたいな感じ。
進化前に一度倒れたときのバターン!ってSEが
ウルトラマンとか怪獣とかが倒れる音にそっくりだったよ!(細かすぎて伝わらない以下略)
品川で両手が生えて立ちあがったときの鳴き声が54年の声で
その後も鎌倉くんは84年→東京駅くんは95年と変化してるのがツボです。
第4形態の尻尾は歴代ゴジラのデザインの中で一番長そうですが、先端がああなってるのは
パンフレットに「すべての生物の要素が入っている解釈」とありますね~すごい。
そしてゴジラと言えば熱線!ですが事前情報で非常に良い出来栄えと聞いていて
どれどれと思っていたんですけど該当シーンを見てびっくりしました。
あれは見事だった…!庵野さんの真骨頂ですね。
下顎があんな風にパカっと開いちゃうのはあんまりゴジラっぽくないけど
人智を超えた生き物っぽさは伝わってきました。
「生態系の頂点にいるので耳も瞼もなく手が小さいし咬み合わせもズレてる」というパンフの解説とか読むと
あ~だからエネルギー切れで止まっちゃっても他の生き物に襲われる心配がないから
安心して停止したまま空気エネルギーチャージできるんだなと思った。
そんなゴジラのスーツアクターが萬斎さんと聞いたのは公開日でしたが→こちら
実際に映像を見たら薩摩剣八郎さんみたいな、腰を落として摺り足で重心が超安定してました。
手が上向きなのは「神仏や龍が宝玉を持つイメージ」と自ら提案されたとおっしゃってたし
「狂言で狐など四足歩行の獣が神になると二足になる」というお話も聞いたときゾクッとした、
蒲田くんも這った後で二足になったから。
ゴジラのカメラワークというか見せ方も、地響き→足→手元→頭(+咆哮)とかじゃなく
いきなり蒲田くんの全身が画面にバーンと出てその異様さにぎょっとしたんですよね。
ああいう驚かせ方は庵野さんの手法だなと思う。

ロケ地はしっかりテロップが出て「あ~ゴジラ今あのへんか」とか何となくわかるのは
歴代ゴジラ映画もそうでしたけど、
登場人物の氏名・役職名はおろか建造物名、メカの名前、略称や愛称まで表示されるとは。。
ハセヒロ氏がやってた矢口さんは54年ゴジラでいう宝田明ポジションでしょうけど
平田昭彦や志村喬に当たる人物は出てこなかったね。
カヨコ・パタースンは河内桃子さんとは正反対のタイプだし、
赤坂さんを始め政治家や官僚たちはかなり割り切ってる人物像な感じがしました。
立場や思惑の差はあれどみんな早口で頭が回るのは庵野さんのキャラクターたちだなあ、
基本的にはまじめで愚か者がいなくて
パニック映画とかでよくある「どうなってるんだ!」とか怒鳴り散らす演出がなくて気持ちいい。
わたし映画でも小説でも、プロ集団を描くときは
大声によるコミュニケーションを極力なくして欲しいなと常々思ってまして…。
どんなに大変な状況でも淡々と仕事するのがプロだよね。
あ。ちょっと首をかしげたのが、
生物学の有識者として呼ばれた3人のモデルが押井守・宮崎駿・高畑勲なんだろうけど
(演じたのは映画監督の犬童一心氏・原一男氏・緒方明氏)、
風刺にしてもパロディにしてもちょっと悪趣味かなと(笑)宮崎さんたちは観たのかなあ。

映画の前半は会議ばかりですが、発言で一番印象に残ってるのは「議事録は残るんだ」。
こういう意識を総理大臣がちゃんと言葉にするのいいね!(職業病)
政府の会見にL字で字幕が流れるのも、手話通訳がいるのもリアルだったし
(ゴジラの名前がついたら手話も両手を曲げた表現になってた)、
初期対応のときオドオドしてた官僚たちが(無理もない)防災服着たらシャキッとしてたけど
そうそう官僚の防災服って強い色だよね…と思ったらそこもきちんと考証入ってるそうで。
パンフの解説で、とにかく現場を取材しまくって可能な限り現場に近いものを再現することに凝ったとかで
柘植さんが「数十年後にこの映画が時代劇になったときドキュメンタリーのような価値が出る」
みたいなことをおっしゃってて、確かにそうだなと思いました。
あ。あと会議室に片岡球子の「めでたき富士」が掛かっていて
霞ヶ関落ちの際に運び出されている演出にホッとした。
警察庁長官の部屋にあった額の「人皆知有用之用而莫知無用之用也」(荘子第四編)の字は
石飛博光氏が書いたのかな…そしてあれは無事だったのかな。

巨災対の会議でネルフの戦闘配置BGMが流れるの胸アツ。デーンデーンデーンデーンドンドン('◇')ゝ
鷺巣さんはティンパニーの使い方が超かっこいいんじゃ!
政府の会議と違ってこっちは打ち合わせっぽい雰囲気なのよね。
人事に影響はないから自由に発言してくださいってなって
通称"首を斜めに振らない"人たちから情報がどんどん出てくるのワクワク。
森さんがメンバーにいちいちニックネームつけながら仕切るのおもしろすぎるし
尾頭さんがピクリとも顔の筋肉動かさずに仕事するのかっこいいし
間さんがゴジラについて模造紙に書きなぐった先の「分かりそう!」が切実だし
安田さんの「あ゙ーっ!あ゙ーっ!!こんなんありかよ」かわいい。
志村さんが矢口さんの前では善良な官僚ですが裏取引を辞さないところ、
俗物感まる出しの泉さんが「まずは君が落ち着け」とか
矢口さんを送り出す時の「幹事長なら任せておけ」って言ったのがギャップ萌え。
愛すべきメンバーたちだなと思います。
緊急事態の連続ですから作業中はみんな表情がほとんどなくて
折り紙だ…のとことかカタルシスになりそうですがあくまで冷静に分析・判断していくのが生々しいよね。
(余談ですが最近"#巨災対の日常"なるハッシュタグを見つけてしまった…あれは力作ぞろいだ。沼だ)

矢口さんが立川に移動する途中でゴジラを初めて目視するシーンにぞわってした…。
映像でしか見たことなかった彼もきっと肌で実感したでしょう。
官房長官に「這ってでも行きます」って言ったら本当に歩いていくハメになったシーンとかも
なぜだろうな、彼が体を動かしているせいか妙に肌触り感がありました。
(官房長官で思い出したけど柄本さんはスペゴジ以来のゴジラ映画ですぬ~。
渡辺さんもキンゴジやモスゴジにいらしたっけ)
あとゴジラが停止したり去ったりした後も人々の意識はゴジラ一色ってわけではなく
電車は走るし人々は通勤通学するし電気も物流も止まらないし証券取引所も動くとか
そういうとこ強調するのもすごく庵野さんだなと思いました。
戦後や震災後がそうだったみたいに「各自できることをする」みたいな、世界の行動。

クライマックスが科学技術館の屋上で伊福部さんのオリジナル音源まで流れたのは感動した!
(福生の滑走路で髪をなびかせながら見守るカヨコさんのかっこいいこと)
タバ作戦にしてもヤシオリ作戦にしても庵野さんは総力戦がお好きだなあとつくづく思います。
N700系など無人車両が突っ込むのがやりたくてクライマックスを東京駅に持ってきたのかな…
ゴジラと電車の縁は切っても切れませんからね。
白眉だったのが自衛隊の攻撃が全部命中していたこと。
前に歴代ゴジラ映画で自衛隊の攻撃があまりに当たらないことに現場からお叱りがあって
平成ガメラシリースのレギオン映画は一発も外さない攻撃が描かれたことで有名ですな。
建物が壊れて土埃が舞ったりする方が画面的には派手に見えるとかの効果もあるだろうけど
あくまで建物を壊すのはゴジラだけで人間は(ヤシオリ時以外)壊さないというのが徹底されてましたね。
レギオンを撮った樋口さんが特技監督やってる影響もありそう。
(どうでもいいけど特技監督というクレジットに樋口さんの特撮愛を感じます)

キャストクレジットが50音順!!
メインキャストは肩書長いから役名と俳優を並べて表示するのは難しかったんだろうな…。
名無しのキャストもたくさんいて「東京湾で何あれ?って言った女性」とか
「巨災対事務員の全員避難を確認して最後に事務室を出た自衛隊員」とか
「アクアラインから避難するとき動画撮ってた人」とか「おばあさんを負ぶって踏切渡ったおじさん」とか
そういうことになるからやっぱり難しいと思う。
音楽は伊福部メドレーですが、伊福部さんの名前と引用曲名の中に平成メカゴジを見つけて
えっいつ使われたっけ?ってびっくりしてるとラストで流れ始めたところで
うおおお!って鳥肌立つまでが本編です。庵野さん最後までありがとうありがとう。

牧悟郎…。
マキゴロウの発音は84年ゴジラでチラッと出てますが別人かしら。
「私は好きにした、君らも好きにしろ」のメッセージもあれだけど、とりあえず彼に言いたいのは
「芹沢博士以下ゴジラ映画に登場する科学者を見習え」かな…。
彼らはマッドサイエンティストで化学兵器や生物の理論を完成させはしても
最終的には実現を望まない人たちなのでな。
(それらを第三者が実現させて大変な目に遭うという教訓になってるのもシリーズ通して描かれ続けて来ている)

そんなわけで大体においては非常に見ごたえあったのですが、どうにもモニョッとしてしまうのは
たぶんタンクローリーがゴジラにとどめを刺した前例がないからだと思う。
東京駅丸の内駅舎にへたれこむゴジラに凝固剤を流し込む大型車の群れは
従来の怪獣映画とはほど遠い絵ヅラで、
そんなわけでわたしにとってこの映画はゴジラ映画でも怪獣映画でもなく、災害対策映画になりました。
ゴジラが最後の力を振り絞るように立ち上がって屹立しながら固まったとこは
ゴジラの生き物としての意地のような気もしたし(結局見せ物みたいになっちゃうけど)、
何だかんだでやっぱり庵野さんゴジラの立つ姿が好きなんだろうな。
あと、作戦が終了した後も巨災対や官僚たちは「バンザーイ!」とかやらないで
「はあ~終わった…」みたいに脱力してて、それもリアリティあった。
尾頭さんが「半減期が20日だから除染のめども立つ、よかった」って微笑んだけど
実際はいつまたゴジラが動き出すかわからない&国連の核攻撃も中断でスタンバイはとかれず
全然めでたしめでたしじゃないのよね…。
矢口さんも「事態の収束にはほど遠いからまだ(政治家は)辞めない」って言ってるし。


あと、これは余談になりますけども。
シンゴジを観た後でLWAの眠れる森のスーシィ回を見ると
「すぐ真似するスーシィ」が内閣総辞職ビームをパロってるのがよくわかります。
ちゃんとご丁寧に墜落するヘリまで描いてあるよ…大河内総理~。
(そういえば大河内ってメカゴジラやデストロイアを撮った大河原氏にちなんでいるのだろうか)

あと、男性におんぶされて踏切を渡っていたおばあさんは原知佐子さんだったと最近知って
弟と一緒に「えええー!」って声出ました。。
彼女の夫はウルトラシリーズでやたら変化球な演出ばっかりやってた実相寺昭雄氏ですよ!!
氏の演出したジャミラや怪獣墓場の回は涙なしには見られません…メトロン星人は笑ったけど^^
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