猫・本・歴史・アートなど、その日見たもの考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。
第2333回「最近読んでいる本や好きな本は何ですか?」
2017年10月20日 (金) | 編集 |

こんにちは!FC2トラックバックテーマ担当の神田です
今日のテーマは「最近読んでいる本や好きな本は何ですか?」です
食欲の秋、運動の秋など○○の秋というフレーズがたくさんありますが、やっぱり「読書の秋」は欠かせません!
小学生の頃にはよく「秋の読書月間」とかやっていたなぁと感じます...
FC2 トラックバックテーマ:「最近読んでいる本や好きな本は何ですか?」


読書の秋ですねえ。
最近読んだ本は高楼方子さんの『街角には物語が……』で
具体的に地名は記されませんがヨーロッパ風の旧市街が舞台の連作短編集です。
6編のお話にそれぞれ主人公がいて、彼らはみんな想像力が豊かで
部屋の窓から見える光景からたらればを妄想したり、仕事先の同僚の転職理由を本当かな?と疑ったり
友達とのティータイムに話が続かない理由を考えたり、おじさんのくれた瓶に一喜一憂する少年がいたり
子どもの頃からずっとシューティングゲームを続ける男性にお店の夫妻が想像をめぐらせたりと
想像の中で自由に遊ぶ人も、自分の想像に自分でおびえてしまう人もいる。
中には本当に不思議に遭遇する人もいて、絵本の表紙に描かれた少女に
「わたしと入れ替わってみない?」と誘われてOKしてしまう少女は
ちっとも怖がらずにあっさり受け入れて夢を見続けていて…果たして街に戻ってくるのかどうか。。
恋人の真正面の顔しか知らないという青年に占い師が助け舟を出す話が一番何でもなく終わったな…
高楼さんはこういう、ぞくっとする話としあわせな話を組み合わせた物語づくりがうまいので
毎回、これどうやって終わるんだろう…とドキドキしながら読めるのが楽しかったりします。
オチもああよかった!と思うときと、ん?本当に良かったのかな…と思うときと
いやいやいやいやいやってなるときと、おお丸く収まったすげぇ…ってなるときがあります。

あと平松洋さんの『猫の西洋絵画』にて油絵や水彩画の猫たちに癒されました(=^ω^=)ニャー
18世紀~20世紀の、主にヨーロッパの画家たちによる猫の絵が紹介されていて
(それまで絵画の脇役だった動物たちが絵のモデルとして描かれるようになり
動物画というジャンルが確立されてきたのがこの時代なのだそうです)、
猫たちが中心の絵が多いのですが子どもたちや女性たちと一緒にいる絵もあって
どの子も目がくりっとして毛もふわふわで、猫をよく知っている人たちが描いてるなあと思う。
過去に猫まみれ展で見たアンリエット・ロナー=ニップ(この本ではヘンリエッタ・ロナー=クニップ表記)の絵もあり
黄色いクッションに白猫がゆったりと座って、周りに子猫たちが寄り添って寝たりごはん食べたりして
思い思いの行動をしながら過ごしているのがほんとにかわいい^^
あと猫関係の本では『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』とか『猫ミス!』が気になっていて
どちらも数人の作家たちによるアンソロジーなので読んでみたい。
桜井海さんがTwitterで連載している『おじさまと猫』もほのぼのしてかわいいマンガです、おすすめ。
映画「劇場版岩合光昭の世界ネコ歩き」もそろそろ公開されますね。

マンガですと最近読んだのは浅野りん『であいもん』、宇佐江みつこ『ミュージアムの女』、
小沢かな『ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部』、桐丸ゆい『江戸の蔦屋さん』、
小林ロク『ぶっカフェ!』、さもえど太郎『Artiste』、白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』、
鷹野久『バスキュレ』、灰原薬『応天の門』、ユペチカ『サトコとナダ』
あたりですかな。
であいもんは和菓子が猛烈においしそうだし、バスキュレは硬派な世界観がすごく深いし
ぶっカフェは天上天下唯我独尊~!って言いながらドンペリ開けるの最高に笑ったし
江戸の蔦屋さんは鳥山石燕と喜多川歌麿の師弟関係が個人的にツボでかわいかったし
ミュージアムの女の美術館あるあるは同意と尊敬と戒めのオンパレードだった。
ブルーサーマルは熊谷市が舞台の青春マンガですので埼玉県民のみなさま読んでみてくだされ、
コミックバンチのサイトで一部無料で読める話もありますぞ。
(ガイコツ書店員本田さんにWebで売れたマンガは紙でも売れる法則の話が載ってたけどあれ超わかる…
最近は余程一目ぼれしたり自信がない限りはジャケ買いしないので
数ページでも1話でも1冊でも試し読みができるのは本当に有難いです。
仕事や趣味など色んな理由で本を読む日々ですが勘で全部買ってたら当たり外れもあるので
本棚に置き場所がなくなるし(ゆさは電子書籍推進派の紙書籍派です)、
お財布と相談したり図書館で借りて読んだ中でうおおおお!ってなった本を手元に置いてます)


好きな本に関しては自己紹介記事や過去記事に何度か書いているので割愛しますが
相変わらず本の好みは変わってないように思います。
絵本や児童書、エッセイ、マンガ、画集、古典、学術書などを主に読んでいて
一般小説や歴史小説は気が向いたり気になったタイトルがあったりしたら読みます。
最近読むようになった作家さんは辻村深月さんや松田青子さんですね~。
色んなこと想像したり考えたりしながら読める文章を書く人たちなので
読み終えると「うおお読書した」って実感します。汗をかくほどじゃないけど充実した時間というか。
話題のカズオ・イシグロ氏の本は過去に『浮世の画家』と『わたしを離さないで』を読みましたが
どちらも読了後にどっと疲れた覚えがあるな…彼の本は体力のあるときじゃないと読めないですね。

なぜかわからないのですが昔から文字や文章が好きで、親に本読んでって絵本を持って行ったり
布団で読んでもらってる最中に親が寝オチしたら「続きは!?」って起こしたり(疲れてたんだろうなぁごめん)、
読めるようになったら家の本棚から手ごろな本を勝手に引っぱり出して読んだり
国語の教科書や社会科の資料集はもらった時点でさっさと読んじゃったし
学校の図書室には入り浸ったし図書委員も何度か経験してる。
物語だけじゃなく辞書や年鑑、統計、時刻表、楽譜、同人誌なども読むの好きだし
本の帯や雑誌のアオリ文、新聞、パンフレットやチラシ、広告、ゲーム画面の説明文やセリフ、
缶や瓶のラベル、ファストフード店のトレイに敷いてある紙、神社やお寺に貼ってある〇〇の言葉みたいな貼り紙、
石鹸やシャンプーのパッケージのフローラルの香りみたいな宣伝文なども面白がりながら育ってきまして
そんな日々に今はネットが加わってしまったのでもはや飽食状態。常にお腹がいっぱいです。
ブログやTwitterはどんどん言葉が流れてくるからつい時間を忘れて読んでしまいます…
あれも一種の読書だよね。
スポンサーサイト
連れていけるのは生きたい命。
2017年09月14日 (木) | 編集 |
柏葉幸子さんの『涙倉の夢』を読みました。
山あいのおばあちゃんの家(屋号:さがえ)にやってきた亜美が
「(お仕置きや病気の隔離などで)倉に入れられた人はみんな泣く」ことから涙倉と呼ばれる倉にふと入って
数十年前の時代に迷い込んで昔のさがえの様子を目撃するところから物語が動き始めます。
(「蔵」ではなく「倉」なのは何か理由があるのかしら…たとえばこういう記事がありますけども)
当時温泉宿を経営していたさがえに住んでいたのは人間だけど、
時々その中にエッちゃんと呼ばれる猿が人間の子をあやしていたり
鼠の顔に着物を着たおばあさんに「おまえではない」と声をかけられたりして
現代に戻ってもハヤブサや猿や蛙の顔をした(ように見える)人がさがえにいることに気づいて
どうも人間の姿になってさがえで生活している動物がいるらしいと亜美は気づきます。
人が動物の顔に見えるのは亜美だけで、彼女の家族や町の人々はまったく気づかないでいるけど
はっきりした理由は最後まで明かされなかったね…
ラストで亜美が自分なりに考えて結論づけていたけど。

亜美がおばあちゃんとお出かけしたり、山から来たハヤブサの隼人や猿のエッちゃん先生と仲良くなったり
そういう心温まる交流シーンも素敵なんですけど
ねずみのばば様が話してくれたさがえの昔話がとにかくものすごいインパクトでした。
「ねずみにひかれる」という言葉が物語前半のキーワードになっていて
これは人間の世界(里)から動物の世界(山)へ連れていかれることだと町の人々が言っていて
亜美も過去と現代を行き来するうちに神隠しとか人身御供じゃないかと想像したりするんですけど、
2回目の過去への訪問で山と里を仲介するねずみのばば様に会って話を聞いたら
どうもそう単純な話ではなかったらしく。。
大昔に様々な理由から動物が山から里へ、人が里から山へ移動することがたまにあって
その仲介役を担っていたのがねずみのばば様だったので
里から山へ人が引き取られると「ねずみにひかれる」と人々は言ったと。
そして「ねずみにひかれる」ことは元々は親が育てられない子どもを殺すことの隠語で
間引かれた人の子どもを山が引き取る代わりに里へ動物を人間の姿にしてよこしていて
(山へ何人も引き取るわけにはいかないので)、
そうして山のものが里に混じる代わりに里で生きられない命を山で引き取る約束を人と動物は交わして
その仲介の場所がさがえで、ねずみのばば様は宿の西の塔にとどまり役目を果たしていたと。
引き取られていく人の中には間引かれる子だけではなく病人もいて、彼らは山の気に溶け込んでいき
山で生きられなくなった動物も里でなら生きる場所があってWinWinな場合もあったみたいだし
「戻りたい」とばば様に言えば戻ることも可能だそうですが、
子どもを間引いた親は本当のことは言いにくいから「ねずみにひかれた」と言って隠していて
やがて子どもが間引かれる時代ではなくなったので約束は忘れられていき、
さがえが宿を閉めて山との交流がなくなると「ねずみにひかれる」という言葉だけが残って
「悪さをすると鼠に連れていかれるよ」的なしつけに使われたりするようになる。
子どもが間引かれなくなるのはいいことだけど
言葉だけが形骸化した教訓として伝えられていく過程にぞっとしました。
これってたとえば、平安時代の鬼が姿を見せず詩や歌や音楽など風流を愛する生き物だったのに
いつしか陰陽道の丑寅と結びつけられ牛の角・虎パンツのいでたちに形づくられ
「悪さすると鬼に食べられるよ」的な、しつけに使われるようになっていくのと似てるな…。
しきたりが今なぜそうあるかを調査していったら
過去の人たちの決めごとの枠だけが残った結果今の状態になっているとわかる事例って
歴史を見てもいくらでもあるので、一定期間ごとに学び直すことと次世代へ伝達することって
本当に大事だと改めて思いました。
あと「猿がかでてる」って言葉も、過去の世界でエッちゃんがしていたみたいに
昔は文字通り山から下りてきた猿が人間の子育てを助けるっていう意味だったのに
亜美たちの時代には「赤ん坊が泣きやまないこと」の意味になっていて
言葉の語源が忘れられているのも怖かったです。
それらを物語に落とし込める柏葉さんはやっぱりすごいや。

約束が形骸化した後、動物たちが里に混じる理由は人間が山を崩して道路やダムを作ったり
山へ何かしようとするときに仲介者を通して動物たちに知らせるためという感じになっていて
そうして山や、山に暮らすものたちを守っていると。
ジブリのぽんぽこも人間世界での狸たちの生きづらさが描かれますが
この物語における動物たちの生きづらさもハンパなく生々しい。
エッちゃんは山を下りて里で成長できたけど夫や子どもに自分のルーツを話せるまでには至っていなくて
山から来たとバレないように気を張って生きていたし
(彼女は怪我をして群に置いていかれたので山では生きられず里なら生きられた猿だった)、
ねずみのばば様は現代ではもういなくなっていたから隼人は里へ混じるのも大変だったみたいで
ふとしたときにハヤブサだった頃の癖で飛ぼうとして塀から落っこちたりする。
亜美が汲んできた鳴滝の水を隼人が飲んで「なつかしい」と涙をこぼすシーンはちょっとウルッときた…
今の生活圏にある水道水もミネラルウォーターもまずいって飲めなくて
やっと飲めた水が生まれ育った場所の水だったっていう。
終盤でバイト仲間の家の井戸水が「まあまあ飲める」って発見できてよかったね^^
帰命寺横丁の夏の記事にもカズと裕介の読書シーンについて書いたけど
柏葉さんの物語はこういう何気ないシーンがすごく胸を打ちます。好きっ)
ねずみのばば様、柏葉さんの描くおばあちゃんキャラは目力が強いイメージですけども
このおばあちゃんは無言で見つめられると威圧感があるイメージ。
着物姿でお茶飲んでる挿絵はちょっとドキドキしました。
あ。挿絵!
読みながらどうも見たことある絵柄だなあと思ったら青山浩行氏だったー!
シンプルな線だけで動物の毛並みまで描き出す表現力は見習いたい。

『岬のマヨイガ』を読んだときも感じたけど柏葉さんはしゃべる動物たちを描くのが自然体でいいなあ、
素朴で、生きる意志が強くて、人間の世界や用語に精通していて、時々ちょっと怖くて。
ねずみのばば様が「おまえじゃないね」って手をしっと振ると人を里へ戻す力を持っていることとか
隼人が亜美の尾行に気づいて「なんのまねだ」って睨むところなんかは
亜美も猛禽類に狙われた獲物の気分と言ってるけどわたしも読んでてうわってなった。
でもってその怖さも悪意があるわけじゃなく結果としての怖さだったりもする…
マヨイガの海ヘビがそうだったように今回も山の気がひとりの人を狂わせてしまって
でもそれは山へひかれた怒りや里への未練かもしれなくて…
西遊記の金閣銀閣みたいな解決法だったのも、誰も傷つかなくてなるほどなあって思ったし
できることなら水じしゃくを使って水脈を動かすところも見てみたかったけど
それは山の領域で行われるもので人間が見るものではないのかもしれない、
すぐりさんが使うのか、それとも鳴滝の誰かが使うのかな…。
すぐりさんがまた亜美たち家族に会えるのかはわかりませんが
涙倉があくびをしてしまったので当分は無理かな、また会えるといいですね。
亜美のお母さんが倉を買ったのも涙倉からすぐりさんの泣き声が聞こえるといわれたからだしね。
それにしてもあくびする倉を想像するとちょっとおもしろい(笑)付喪神みたい。

自分が過去へ行けたのは涙倉が目覚める前に見た夢に迷い込んだせいだと亜美は判断するんだけど
夢見る倉って、眠っている倉ってなんだかロマンだ…。
荻原規子さんのRDGでも九頭龍大神が見る夢が真澄だったりしたけど
物語で人でないものが見る夢は人のできないことをヒョイと具現化させてしまうことが多い気がします。
そして涙倉のその後にもだいぶびっくりしました。よくある話だけど、したたかだなあ。
第2282回「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」
2017年06月21日 (水) | 編集 |

こんにちは!トラックバックテーマ担当の岡山です。
今日のテーマは「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」です。
梅雨シーズンがやってきましたね。
雨の日はなかなかテンションが上がらず困っちゃいますが、私が雨の日にテンションを上げる方法は雨音に紛れて...
FC2トラックバックテーマ 第2282回「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」


「今日は雨か~、じゃあアウトドアはやめて美術館に行こうかな」とか考えます。
駅直結の施設とかだったら濡れなくて済むし。
(というかそもそも、わたしの最近のお出かけは屋根のある場所ばっかりですけども)


先日、青い日記帳監修『カフェのある美術館-素敵な時間を楽しむ』を読みました。
ミュージアムに併設されたカフェがきれいな写真入りで紹介されている本です。
お出かけしてる最中に雨に降られると手近なカフェに飛び込むことが多いのですが
そういえば美術館カフェに行く場合もあるなあと思ったので記事にトラックバックしてみました。

目次はこちらに一覧がありますが、
掲載されている中でわたしが美術館も併設カフェも訪れたことがある施設は以下でした。
・三菱一号館美術館(東京)Café 1894
・三井記念美術館(東京)ミュージアムカフェ
・根津美術館(東京)NEZU CAFÉ
・世田谷美術館(東京)ル・ジャルダン
・山種美術館(東京)Cafe 椿
・細見美術館(京都)CAFÉ CUBE・古香庵
・東洋文庫ミュージアム(東京)Orient cafe
・国立科学博物館(東京)ムーセイオン
・Bunkamura(東京)ドゥ マゴ パリ

意外と少ない…。
三菱一号館のカフェは近代建築の銀行の雰囲気がものすごくよくて
ああいう洋館が好きな人は絶対に楽しい空間だと思います。
あとね、たまにやってるアフタヌーンティーがとても…おしゃれです…!いついただきに行くべきか。はやく行きたい。
NEZU CAFEも、庭園にあるカフェってすごく好きなんですけど
あんなに過ごしやすい庭園カフェ空間をわたしは知らない。
陽差しが強い日でもとても心地よく陽光が店内に取り入れられているんです、日焼けしない光量。
東洋文庫のカフェはほんとにオリエントって感じするし
山種美術館の椿も菊屋さんの美しい和菓子がいただけるし
細見のキューブはスタイリッシュで古香庵でいただくお抹茶最高ですし
科博のムーセイオンは広くて家族連れなどで賑やかです。
最近は美術館に行くことを決めたら公式サイトや食べログとかでレストランやカフェがあるか確認して
さらに展覧会限定メニューがないかとSNSなどで探してしまいます。
アートをイメージしたお料理ってまさにアートだと思う。

ちなみに美術館は行ったけどカフェは行ってないところは以下でした。

・国立新美術館(東京)ブラッスリーポール・ボキューズミュゼ
・箱根ラリック美術館(神奈川)LE TRAIN
・京都文化博物館(京都)前田珈琲
・ポーラ美術館(神奈川)レストラン アレイ
・ワタリウム美術館(東京)オン・サンデーズ
・金沢21世紀美術館(石川)カフェレストラン "Fusion21"
・横須賀美術館(神奈川)ACQUA MARE
・石川県立美術館(石川)ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA
・京都国立近代美術館(京都)Cafe de 505
・春日大社国宝殿(奈良)春日荷茶屋

ワタリウムは実際はショップだけなのですが(展示室が閉まってた)カウントしちゃいました、
いつか展示室に入ってみたい。
ラリック美術館のカフェはオリエント急行で実際に使われた車両の中に入ってお茶できると聞いて
「い、行きてえええ!」ってなってるんですが当日の予約がすぐいっぱいになってしまうみたいで、
始発で間に合うかわからないから泊まりで行く方が確実かしら。
新美は何度も行ってるのに3Fレストランは未踏の地だなァ…いつかお金ためておしゃれして行くんだ…!(ハードル高い)

美術館もカフェも未訪問なのは以下でした。

・アサヒビール大山崎山荘美術館(京都)喫茶室
・ホキ美術館(千葉)イタリアンレストランはなう
・神奈川県立近代美術館 葉山館(神奈川)レストラン オランジュ・ブルー
・山口県立美術館(山口)La Plume Bleue
・原美術館(東京)カフェ ダール
・那珂川町馬頭広重美術館(栃木)JOZO CAFÉ 雪月花
・大分県立美術館(大分)café Charité
・菊池寛実記念智美術館(東京)レストラン ヴォワ・ラクテ
・日本近代文学館(東京)BUNDAN COFFEE&BEER
・畠山記念館(東京)

こうして見ると1/3ずつくらいですね。
原美術館は展覧会のイメージケーキが毎回あるみたいで気になってますが
さっきカフェを確認するために公式サイト行ったら
クリックのたびに「♪ポンポンポン」ってかわいらしい音がして(たぶんちゃんと耳に心地よい音が選ばれてる感じする)
素敵じゃないか原美術館。
畠山記念館は展示室でお抹茶がいただけるそうで気になっています。展示室でお抹茶。気になる。(2回言った)

他に行ったことある美術館カフェは…

・東京国立博物館(東京)ゆりの木
・東京都美術館(東京)IVORY
・奈良国立博物館(奈良)レストラン葉風泰夢
・京都国立博物館(京都)The Muses (ザ・ミューゼス)・からふね屋
・東京富士美術館(東京)セーヌ
・サントリー美術館(東京)加賀麩 不室屋
・江戸東京博物館(東京)桜茶寮
・六本木シティビュースカイギャラリー(東京)THE SUN&THE MOON
・歌舞伎座ギャラリー(東京)寿月堂
・世田谷文学館(東京)喫茶どんぐり
・三鷹の森ジブリ美術館(東京)カフェ麦わらぼうし
・国際版画美術館(東京)カフェけやき
・群馬県立館林美術館(群馬)イル・コルネット
・栃木県立美術館(栃木)レストランつくし
・横浜美術館(神奈川)ブラッスリ―・ティーズ・ミュゼ
・岡田美術館(神奈川)足湯カフェ
・星の王子さまミュージアム(神奈川)Le Petit Prince
・千葉市美術館(千葉)かぼちゃわいん
・青森県立美術館(青森)cafe4匹の猫
・宮沢賢治記念館(岩手)レストラン山猫軒
・MIHO MUSEUM(滋賀)カフェPine View
・広島市現代美術館(広島)喫茶室アーチ
・島根県立古代出雲歴史博物館(島根)マルカフェ

美術館は入ってないけどカフェに行ったことがあるのは
・ひろしま美術館(広島)ジャルダン
かなー。
行った理由はそのとき特に食べたいものが思いつかなかったのと単純に美術館カフェに行きたくて決めたんだったけど
そこかしこに猫のモチーフが置いてある素晴らしいカフェでしたっ…!おすすめです。
Once upon a time in 室町その2。
2017年06月17日 (土) | 編集 |
呉座勇一『応仁の乱』が売れているらしいですね。
京都の人がよく「前の戦争」などとおっしゃる11年にもおよぶグダグダな大乱を
約300ページというコンパクトな内容にまとめた新書です。
室町時代って学校の授業とかでも地味な扱いをされがちですけど(わたしも全然詳しくないけど)
たまに少し勉強すると想像以上の出来事や人々が出てきて手におえなくて頭が「えらいこっちゃ」ってなるので
あまり手を付けてこなかったのですが、
今回は書名だけ見て何も考えずに「読んでみよう」と思った本でした。
タイトルがシンプルなところにまず惹かれて、読み終えたら「これはやばい」ってなりました。
中公新書で売れた本の中では『ゾウの時間ネズミの時間』とか『理科系の作文技術』あたりは読みましたけど
あれらは気が付いたら売れていたのと興味があったから読んでみた感じでしたが、
今回の応仁の乱は確かベストセラーになる前から読もうと思っていた…はず。
しかも発売早々に読み始めたにも関わらず、数百人もの人物や出来事が浮上しては消えていくので
脳内処理が追いつかなくて何日もかけて咀嚼しながら読むハメになりました。
こういう読書はひさしぶりでしたなァ…。
ただ、読んでる最中は乱と同じように頭の中がぐちゃぐちゃだけど
読み終えると「こりゃダメだ11年続くの当たり前だわ…」ということがストンと腑に落ちてすっきりしました。
複雑だけどわかりやすい、そんな本です。
有難いのが、文章の後ろに()書きで出典がきちんと明記されていることで
自力で一次資料に当たろうと思ったときとても便利だろうなと思いました。
新書みたいな本はページ数が少ないので割愛される率が高いから…こういうのスタンダードになったらいいですね。

帯にも書いてあったけど、物語風ではなくひたすらリアルでわかりやすい英雄も悪役もいなくて
発生した問題にひとつひとつ対応していく将軍と管領と各地の武士たちの行動を追いかけていく感じで
読み終えても何の爽快感もありませんでした(^ ^;)。
ギリシャや北欧神話を読むときみたいな忍耐力が必要とでもいえばいいのか…
読み始めた当初は、せっかくだからひとつひとつの出来事をちゃんと覚えて
全体像を把握しながら効率的に読み進めよう、などと考えていたのですが
蓋を開けたらとにかく無数の小競り合いの連続で1ページや半ページどころか1行で話題が変わるので
第一章を詠み終えた時点で細かい部分を覚えるのを諦めたよ。。
ゲームに例えると無数のプレイヤーが参加する上、
勝利条件が参加プレイヤーごとに違うので(幕府を牛耳る、この国はおれのもの、あいつ絶許など)
もういっそ草鞋を履いて当時の人々の生活視点まで降りてみて
「どうなるの」「どうすればいいの」「もういい加減に終わらせようよ」とかイライラしながら読むと
すごくリアルに感じられてわかりやすいと思う。

本文は()書きであらゆる史料を提示してくれてるけど
ベースになっているのは当時、興福寺の別当を務めていた経覚と尋尊という2人の僧侶の日記です。
現代では奈良といえば東大寺ですが、当時は大和といえば興福寺のことで
源平合戦で奈良が燃えてから大和には守護大名が置かれず興福寺が実質的に守護を担当していたと。
藤原氏の氏寺ですから主に摂関家の子どもが僧侶として入っていくわけですけど
相続財産の大きさから各地の院跡を掌握することが多く、それが原因でしばしば揉め事があったそうな。
しかも摂関家の当主は京都住まいということもあって
大乱の舞台である京都からは距離があってもかなりの影響を及ぼしていたみたいです。
というかそもそも室町時代の奈良について全然知らなかったので本当に勉強になりました。
第一章のタイトルが「畿内の火薬庫、大和」となってるのからしてもう、すごい。
院跡の国民が荘園をめぐってしばしばケンカして、南北朝時代にはそれぞれ両陣営についてやっぱり揉めて
このとき北朝側にいた畠山氏の影響が応仁の乱勃発の小さな原因のひとつになっていたりしますが
将軍と一緒に各地の一揆を鎮めたり、でも何度も駆り出されるうちにしんどくなって断ったら怒られて
将軍の死後に大和内の武士たちの紛争をなだめたり色んなことをやっている。
お寺の経営でも、荘園の管理を任せた人が急にいなくなったり別の人を任じたら適当にやられたり
困って武士にお願いしたら「その代わりうちの〇〇を取り立ててください、でなきゃ嫌です」とか言われたり、
また大きいお寺なので各地に寺領があってそこから年貢をとるにしても問題が山積みになっていたりして
当時の政治や経済が細かくわかるようにまとめられていました。

で、さっきの畠山くんですよ…関東管領の長男に生まれた畠山義就が叔父に家督を奪われたのでぷっつんして
将軍の命令も聞かずに京都で爆ぜてしまって(そして11年居座る)、
おそらくこれがきっかけになった大乱についても、文字通り「どうしてこうなった」のかが順を追って書かれています。
とても全部は説明できませんが、幕府の体制が守護大名の在京制だった頃に
義教の暗殺後に勃発した細川・畠山管領家の争いを鎮めるために山名が飛び込んで
それが収まると山名・細川で揉めてにっちもさっちもいかなくなったみたい。
誰もが納得できる落としどころを見つけられないまま意図しない大乱に発展したような印象を受けました。
最初の武力衝突は畠山義就+山名・斯波軍と畠山政長+赤松・六角軍+細川・京極ですが
中立性を保った義政がストップをかけて数日で終わったと思いきや義政が細川に味方して
畠山や山名をなんとかしないといけなくなって細川も義視もこのままじゃ終われねえ状態で
止めるタイミングをなくしてしまったりしている。
しかも東軍西軍とも武将たちの結束が長年の信頼ではなく急な寄せ集め状態なので
各地から他の大名や家臣たちを呼んで次々に参戦させたり、お蔭で補給が追いつかなくなったり
戦争の長期化でそれに見合う報酬を大名も幕府も用意できなくなっていく。
誰もが大乱の収束を図っているはずなのにどうしても取りこぼしが出て
山名・細川がいなくなっても別の大名や武将たちが挙兵して思いも寄らぬ方向からまた火種が爆発したり
もうしっちゃかめっちゃか。
後半戦では兵隊が戦闘そのものに疲れて毬杖で遊んでたらしいしな…(そのせいで余計に士気ガタ落ち)。
戦争が相手を制圧して終わりではないことは歴史を学ぶうちに知りましたけど
こんなことになっていたとは思いませんでした。
義政も色々やってるんだけど命令が朝令暮改だったり優柔不断だったりするし
義尚に将軍職を譲った後も何かと口出したり誰かが義政に求めた意見が幕府に持ち込まれちゃったりして
さらに義尚がすねる、みたいな悪循環が。あわわ。
(義尚についてもわたしほとんど知らないんですけどちゃんと将軍してたんやね…そりゃそうですね…
義政の子だからといってえまきもの読みたいマンってだけじゃなかったんだ。うむ)
あと富子が諸悪の根源みたいな書き方してる本が未だにたくさんあるけどそれもばっさり払拭してくれて、
でも後から考えるとさらに長引く要因になった面も書かれているので
歴史ってほんとに一面的ではないなと思います…
誰かのせいって場合もありますが、それだってそうなった要因があるし。

この後、今川を筆頭に北条や朝倉や織田など戦国大名と呼ばれる人々がばんばん出てくるわけですが
これだけ京都がぐっちゃぐっちゃになっていたらそら自分たちで条例作って自治区しますってなるわな…
今川仮名目録は氏親パッパの最高傑作ですけども
あれの成立の過渡に応仁の乱があったと考えるとすごく納得がいく。
終章「応仁の乱が残したもの」のひとつとして京都文化の地方伝播についても語られていますが
言われてみれば奈良や京都の文化が東に北に伝わったのは伝えた人がいたからで
何故そうなったんだっけと考えたときに、
武士が地元に帰る←明応の政変←都壊れる←大乱←大名たちのごたごた←義教暗殺←幕府軍派遣でもめる←大和内のごたごた←興福寺の大和守護←源平合戦
というのが頭の中をドバっと駆け抜けて「わー!うわーー!!」って声出ました。
こうやって流れが繋がる瞬間がものすごい好きなんですよ…歴史を学ぶ醍醐味。
そういえば大乱の火事で洛中の文化財もすごい被害を被って建築も絵巻物とかも焼失してしまったので
後土御門天皇が三条西実隆に命じて大和に残る絵巻物の模写を土佐派にさせたって
高岸輝氏が『天皇の美術史』に書いてたっけ。
春日権現絵とか長谷寺縁起とか明恵上人絵とか…興福寺周辺のお寺が色々持ってたらしいのですね。

そういえば呉座氏が前に書かれた『戦争の日本中世史』の中で
元寇で竹崎季長が突撃した事例に「『さすが季長、おれたちができないことを平然とやってのける。
そこにシビれる!あこがれるゥ!』と賞賛したいところだが」とか唐突にぶっ込まれてて面食らったのですが、
今回の本にも「終わらぬ、大乱」という見出しの章があったなあ。
びっくりしましたよ中世史の本でこういうネタに遭遇するって…。
もしかしてと思って奥付のプロフィールを確認したら呉座氏は1980年生まれでした。どんぴしゃですな。


そういえば時代はちょっと下りますが、先日『江戸の蔵書家たち』という本を読んでいたら
学者たちの裏話を収録した『しりうごと』(1832年刊)という本が紹介されていまして。
その中の一節に、国学者の岸本由豆流が古今集に注釈を加えようとあれこれ書き散らしているところへ
なんと紀貫之が現れ(!)、『土佐日記』の由豆流の考証に対してひと通り文句を言ったあげく
「一体その方が考証はただ書ぬきを並べ立て見る人宜しきに従えなどといふのみ、
肝心の祭文のおもしろきところをば考証もせず只校合ばかりしたるは何の用にもたたぬことなり。
岸もとにさける𣑊うべしこそ実の一つだになき学びなれ」
みたいな皮肉まみれの言葉と歌を残して去ったとか書かれているらしいんですが、
これ要するに貫之が草葉の陰で泣いてますよみたいなことを言いたいんだろうけど
過去の人物の口を借りて当世人を批評したり揶揄したりする文法が、何だかちょっとおもしろい。
創作物じゃなく随想でなされるという何でもあり感がまた、現代に通じる気もします。


あと最近見つけた『日本の歴史人物事典 美麗イラストで楽しむ!』(成美堂出版)の目次に
小野氏の人々が3人(妹子・篁・小町)いたので読んだんですけど
この本、人物の見出しがいちいちおもしろいです(笑)。
しかも戦国時代や江戸時代は「猛将」「マルチな天才」とか割とありきたりな見出しなのに
古代~中古は「手紙を届けたら怒られた(特技:花を生ける)」小野妹子とか「実は尽くすタイプ」な藤原鎌足とか
「怒ると怖い学問の神」菅原道真とか「新皇におれはなる!」の平将門とか遊びまくってる!
ちなみに小野篁は「冥界でバイトした型破りな異才」「ひねくれ者の天才児」でした。まあ予想の範囲内だ。
そして各位歴史本におかれましてはそろそろそういう評価から脱してほしいような気もする。

あとこれ、たまに思うことなんですけど
なんで篁の夜の仕事は「バイト」と表記されることが多いのかな、単純に「昼は朝廷、夜は冥府でお仕事」じゃだめなのかな?
昼の公務員=正規で夜=非正規っていう意味なのかもしれないけどその根拠はどこなのかっていうか、
昼と夜で雇用形態が異なる(という認識が多い)理由は何だろう。
閻魔の補助を現代に照らし合わせたらバイトと認識して執筆・編集する人が多いってことだろうけども
昼が本業で夜が副業と考えたとしても、副業=非正規とは限らない気がするけど…(よく知らないでしゃべってます)。
どなたか検証してないだろうか。
まちがったいろ?そんなものはない。
2017年05月27日 (土) | 編集 |
ericcarle1.jpg
世田谷美術館のエリック・カール展に行ってきました。
アメリカの絵本作家エリック・カールさんの仕事を紹介する展覧会です。
絵本の原画はもちろん、カールさんのスケッチや習作や画材、影響を受けた作家の作品などもあって
カールさんの人生とお仕事をたどれる内容になっていました。
入口にカールさん(御年87歳!)からのビデオメッセージが上映されていて
白いお鬚もじゃもじゃの、気さくそうな青い目のおじいさまが
「日本のみなさん楽しんでくださいね~」とかニコニコと短く挨拶してくださっていてこちらも笑顔に(^^)。
ご本人によるとボストンにあるエリック・カール美術館はアメリカで唯一の絵本美術館だそうです。

とにかく絵本原画がすごかったです。
カールさんの絵本は大好きで家にある絵本はボロボロになるくらい読んでますけども
ナマ原画を見るのは初めてでどんなものかしらと楽しみでした。
びっくりしたのがどの原画も絵本よりずっと色鮮やかだったこと!
印刷と原画の差はわかっているつもりでしたがこんなに違うものかと…
美術館にいくといつも「これだから美術館通いはやめられないな」って思うんだけど
今回はいつにも増してズンときました。たぶん一生やめられないぞおおおお٩( ᐛ )و
代表作『はらぺこあおむし』の原画の前でやっぱりたたずんでしまいましたね…
りんごやオレンジの色が鮮やかであおむしも強烈な緑と赤で
本当はこんな色をしていたんだなって感動しました。
最終的に絵本になった原画のほかに別案原画も今回は展示されていて
月明かりに照らされるあおむしの卵の葉っぱが、完成原画は黒いんですけど
くっきり緑色のままの別案もあったようで、カールさんはより夜っぽさを強調したのかなと。
『ゆめのゆき』の最終原画と別案原画の比較もおもしろかった~。
仕事を終えた農夫が着替えて、やがてサンタクロースであると判明する絵本なのですが
別案では12/24の日付のカレンダーが決定稿では時計になっていたり
長靴だったのが黒い靴になっていたりして
より最後に「サンタだった!」みたいな驚きに向けてボルテージ上げる構成になってる印象を受けました。
使わなかった原画を捨てずにとっておくカールさんとっても慕わしい。

また、カールさんがこれまでに出版された絵本はほとんどが紙によるコラージュですが
『くもさん おへんじどうしたの』のクモは紙にクモの手足を描き、上から模様を色付けしたアクリル板を乗せたり
『ゆっくりがいっぱい』の雨に降られるナマケモノの雨粒がやっぱり別シートだったりして
立体感を出されているのを初めて知ってやっぱ美術館通いやめられねえなって改めて思いました。
著者の工夫がみられるっていうのがほんとに好きなので…!
『ぼくのエプロン』(未邦訳)はコラージュした紙の上にキャラクターの輪郭線を描いた透明シートを乗せていて
(フェルナン・レジェの作風に触発されたそうです)、
なんだかステンドグラスみたいな原画になっていておもしろかったです。
働いた後の少年がふっと帽子を上げる仕草の絵があったけど表情がとってもよくて!
カールさんはあまりキャラクターの表情を作らない人なので意外に思いました、
これぜひ邦訳して出版してくださらないだろうか。
あと絵本に必ずついてるエンドペーパー(遊び紙のページ)も絵の具だったりコラージュだったりして
やっぱり絵本よりずっとくっきりした色できれいでしたね。

カールさんの人生についての展示。
若い頃に制作されたニューヨークの街や地下鉄の風景のリノカットはシックでかっこよくて
ゴシック感あふれる建物などもおしゃれでした~この頃から版画で作ってらっしゃるんですね。
カバや虎、牛などのスケッチもあって相変わらず太っとい線でかっこいい。
フランツ・マルクやアンリ・マティス、パウル・クレーの作品がお好きだそうで
特に動物をよく描いたマルクの影響が強かったらしいです。
カールさんは青い馬を何度か絵本に登場させているけどあれはマルクの青い馬だったんですね…。
『えをかく かく かく』はそんなマルクに捧げられた絵本だそうで
あれは内容もすばらしいですがカバー折り返し部分に添えられた描く自由の宣言みたいな文章がすごく好き。
間違った色はなくてぴったりの色を自由に自分でさがす的な言葉にわたしはずっと救われて生きてきたので
誰かへの捧げものだったんだなあと思ってうれしかったしもっと好きになりました。
クレーへのオマージュとして制作された天使(最新作!)は紙や布、ダンボールに絵の具をべったり塗って
確かにクレーがコラージュ作ったらこうなりそう…と思った。
マグリットの「イメージの裏切り」を冒頭に据えた『ナンセンス・ショウ』(未邦訳)は
人面ライオンがライオン人間にサーカスさせられていたり人面馬に馬人間が乗っていたり
アヒルに人の足(ズボンと靴履いてる)がくっついててまさにシュールレアリスム。
また、モーツァルトの音楽がお好きだそうで
2001年にマサチューセッツで魔笛が舞台化された際には衣装や舞台セットのデザインを依頼されたそうで
そのデザイン画もあったのですがスケッチとかじゃなく切り絵で作っててぶれないなあと思ったし、
「very simple」という書きこみがすべてを物語っている気がしました。
そういえば『うたがみえる きこえるよ』はモーツァルトのメヌエットを意識したんじゃなかったっけ…
あれも絵から音楽が聴こえてくる絵本だよね。
レオ・レオニは画家としての先輩にあたり彼の紹介で絵本を出されたこともあるそうで
『巨人にきをつけろ!』はレオニに捧げた絵本なんだとか。
レオニのねずみ原画も展示されていて見比べることができました。やっぱりかわいいなー。
2人とも紙のコラージュで絵本を作るのは共通してるけど、レオニは色で遊んでいて
カールさんは色で研究してるみたいな感じがしますね。
いわむらかずおさんと共作した『どこへいくの? /Too see my friend』は
ページをめくっていくとアメリカの男の子と日本の女の子が絵本の真ん中で出会うようになっていて
周りに動物たちもいてすごく幸せな絵本だなあと。
和服に触発されて制作されたという「キモノ」もすてきでした~ちょっとこの柄の着物作ってほしい。

子どもが家庭から小学校へ上がる間には深い淵があって
そこに橋を架けたいとおっしゃっているカールさんが描いた赤と青の橋の絵が印象的で
橋は色がついてるけど淵のなかが白のままというのがちょっと新鮮だった。
淵や谷底って黒のイメージがあるので…ただの空間なのかもっていう視点を提供してもらった気がします。
最後に展示されていた絵の具だらけのスモックや絵筆などにもテンション上がったけど
絵の具がついたままの刷毛の毛先に赤や黄色模様のリボンをくるくるっとつけていて
オッシャレー!って叫びそうになった☆
画材の紹介展示にリボンつけるとか初めて見たよ!赤い刷毛は赤、青い刷毛は青って統一感もあって素敵。

ericcarle2.jpg
展示の終わりにあった撮影コーナー。
蝶の前に立つと背中からカラフルな羽が生えたような写真が撮れますよ!

ericcarle3.jpg
あおむし見つけた☆
美術館ボランティアさんの手作りだそうです。

ericcarle4.jpg
カールさん描きおろし新作イラストを使ったグッズもあったのでゲット!
カラフルな「ARIGATO」のコラージュとあおむしのツーショットです。中味はラムネ。
他にも「KONNICHIWA」「DAISUKI」のグッズがありましたよ~→こちら
熊蜂の飛行。
2017年04月23日 (日) | 編集 |
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読んで、久々に音楽、特にピアノ曲が聴きたくなって
部屋中のCDとか動画サイトで音源を漁りまくっていたゆさです、こんばんは。
(この記事も聴きながら書いています)
同書は浜松市のピアノコンクールを舞台に、4人の主人公と彼らをとりまく人々の心の動きが
ピアニストたちの演奏とともに描かれていく小説です。
あちこちで話題になってますしわたしの周辺でも好意的な感想が多かったので楽しみで、
パッと開いたら2段組みで500ページ超えててうおお?ってなったけど
読み始めたらあっという間でした。おもしろかった。
タイトルはたぶん、主役の1人である塵くんの父親が養蜂家であることと
三次予選前に塵くんが散歩中に見かけた冬の雷からきているのかな。
その後、塵くんが調律師さんに言った「天まで届く音にして」のセリフには心の奥底までしびれた。

ピアニストたちの来歴や思考やパフォーマンスが細かく描写されているので
彼らの弾き方もピアノの鍵盤からあふれでる音色も全部違って聴こえてくる感じがするし、
主催者や審査員、調律師、記者や家族など様々な視点の言い分やコンクールの在り方もさりげなく語られて
群像劇になっていますね。
わたし自身も学生時代にピアノを習ってましたし、合唱ですがコンクールに参加した経験もあるので
予選前のピアニストたちの気持ちとかめちゃめちゃわかってしまってムズムズしたし
付き添ってくれたレッスンの先生や部活顧問の先生はこんなこと考えてたかもしれないなと思ったし
審査員の先生方がルールを取るか音楽を取るかの試されてる感とかものすごく想像ついちゃって
そこも読んでて面白かったです。
楽譜通りに弾くのは正しいけど自分が弾く意味とか考えちゃうし
年齢とかメンタルとか審査員の好みとか意識しちゃうのわかるし
そういう緊張感と無縁のコンテニストを見ると、焦ったり打ちのめされたりするけど
本番の時間はあっという間にやってきて過ぎ去っていく。
一次、二次、三次と予選がすすむ中で
登場人物たちがコンクールの雰囲気に慣れたり新たな課題を発見してもがく姿は抱きしめたくなります。
がんばってるよお~君たち。

ホフマンが塵くんをギフトと表現していたとき、なんとなく意味の想像はついて
読み進めていくうちに「やっぱりな」みたいな確信に変わったのは
学生時代にコンクールで彼みたいな人たちを何度か見た経験があるからかもしれない。
ギフトの概念を知ったのはル=グウィンの『ギフト』からですけども
『少年ノート』のユタカくんや『陰陽師 瘤取り晴明』のときの源博雅くんみたいな、
ストレートに音楽を信じていて人々に演奏したいと思わせてしまう演奏ができる塵くんは
とても危ういし魅せられてしまいます。
コンクールに1人か2人はああいう人がヒョッと出てきますよな…コンクールであることを忘れて
「あの人の音好き」とか「すごい」としか言えない演奏をする人たち。
そういう瞬間があるからコンクールって楽しいんですよな^^
高島さんは『葬送』のショパンみたいな緊張感があったし
栄伝さんとアナトールさんは君嘘の公生くんやかをりさんを思い出した。
特に栄伝さんは内省的すぎるほど内省的で
そんなに考え込まなくて大丈夫だよとか、余計なお世話ですが声をかけたくなったというか
だから彼女が肩の力を抜いて弾けるレベルまで自力でたどり着けたときは「よかったー!」ってなって
本を持ったまま部屋の中をぐるぐる回ってしまった。。
そして彼らのいいところは本番前に思いつめるほど思い詰めてても
本番ではきっちりパフォーマンスできるところなんですよ…そういう人たちだから上位に残っていくんですけど。

ピアノの調律や音響についても書かれていて、
以前に宮下奈都『羊と鋼の森』を読んだこともあるので
クールなプロフェッショナルがピアニストたちの要望を聞いて会場の音響と合わせて調整していくのが
ワクワクしましたね~。
浅野さんの「お望みどおり、何でもするよ」の一言が頼もしい。
ピアノをなるべくステージの前の方に置きたいとか、いや奥に並べたいとか
観客がぎっしりの会場は思った以上に音を吸収するとか
床が少しくぼんだところでは音の響きが違うみたいなところは「そう、そうなの!」って思わず声に出ちゃったよ。
ちょっとしたことで音響ってずいぶん変わりますのでね…
そしてそれは容赦なく審査員の耳に影響する。音響とても大事。うん。
(そういえば去年の本屋大賞が『羊と鋼の森』で、今年が表題作ですから
2年続けて音楽関係の本が受賞したんですね。
この2冊が、クラシック音楽業界が少しでも盛り上がる一助になってくれるといいな)

コンクールの結果も頼むから全員受からせてやってくれよってなりましたね…仕方ないんだけど。
(とか思ってたら恩田さんもインタビューで似たようなこと答えてらしてホッとした→こちら
宮下奈都『よろこびの歌』、中田永一『くちびるに歌を』、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』、
武田綾乃『響け!ユーフォニアム』などを読んでいたときや
ミュージカル『コーラス・ライン』などを観たときも登場人物全員に肩入れしてしまって
みんなこんなにがんばってるんだから報われてほしい…とか、祈るような気持ちでした。
発表の瞬間てすごくストレスたまるけどカタルシスでもあるよね。
終盤で、塵くんが海辺で巻き貝と渦巻雲を眺めながら
ホフマンとの思い出を追想しつつフィボナッチ数列をつぶやくところは
『天と地の方程式』のラストをふと思い出して、
そういえば雷の音って音階であらわせるんだろうか?と気になってぐぐってみたら
何人か音階で聞こえるとおっしゃってる意見がヒットしてひえぇってなった。


余談ですが、音楽について書いたり描いたりしたものを見るといつも
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド』に
こんなことが書かれているのを思い出します。

「音楽:きわめて重要なもので、常に善であり、おそらく魔法でもあり、
特に竪琴で奏でた場合にはその傾向が強い。どうやら闇の王は音痴らしい」

闇の王が音痴かどうかは知らないけど、
言われてみれば小説や映画で歌がうまい悪役キャラクターがパッと思いつかないけど誰かいましたっけ…。
ミュージカルやディズニーの悪役みたいな、ストーリーの筋として歌を歌うんじゃなくて
「歌がうまい設定」になってる悪キャラ。
あと、歌を歌うと物が修復できるとか世界が救われるみたいな
歌がストーリーのキーポイントになってる物語も結構ありますけど、
そのときに歌う役割というのはだいたい女声に振り分けられてる気もする。
男声だと夢の守り人のユグノあたりが思いつきますが他にもいるかなあ。


週末に西の方へ旅をしてきますのでちょっと留守にします~Twitterには出没しています。
帰って来たらレポ書くですよ☆
食卓に珈琲の匂い流れ。
2017年03月14日 (火) | 編集 |
『茨木のり子の献立帖』を読んでいます。
作家のおやつとか画家の食卓みたいな本がありますが、あんな感じの本で
茨木さんが生前に書き残したレシピノートから再現した料理写真と
台所実測図や日常の写真、日記の一部などから
彼女が普段の生活の中でご家族やご友人と何を食べていたかが紹介されています。
茨木さんに限りませんがこういう本読むと「ああこの人、ほんとに生きて生活してたんだなあ」という
ごく当たり前のことをしみじみと感じずにはいられない。
茨木さんの詩は生活感があるけど、何よりもぴしっと伸びた背筋を感じさせる詩が多いので
三大欲求の面に触れるとなんだかホッとしますのです。ご飯はいいね。

通勤医の夫さんは普段は家にいらっしゃらない方だったので
茨木さんは自宅で家事をこなしながら詩のお仕事をされていたんだよね。
レシピも誰でも作れそうなものからちょっと手間暇かかりそうなものまで色々。
カレーに始まりサラダ、水炊き、茶椀蒸し、ナポリタン、リゾット、揚げ物、漬物、スープ、焼き魚、お汁に卵焼き。
ポテトキャセロールとか栗ぜんざいとか、鶏とびわの甘酢あんかけとか
マカロニナポリタン(うどん代用鶏もつ)とかおいしそう。
「ヤンソンさんの誘惑 スエーデン」はてっきりトーベ・ヤンソンのことかと思ったら
スウェーデンのクリスマス料理の名前なんですね。
じゃがいもやアンチョビなどを使った家庭料理ですごくおいしそうで作ってみたくなりました。
ノートには基本的にレシピと簡単な調理法しか書かれてないみたいですが
「1時間ほど煮るのが水炊きのコツ」とか、ガスパチョにパンくず入れると分離しにくいとか
蒸し物を何度も蒸し直さないとかちょっとしたメモ書きがあったり、
ご友人に教えてもらったレシピにその人の名前をつけたり
教えてもらったらノートに「〇〇さんより」と書いていたりするのが
お人柄が偲ばれるなあと思う。
チーズケーキのレシピの「衿子さんより」の添え書きは岸田衿子さん(岸田今日子さんのお姉様)ですね。
茨木さんが川崎洋さんと創刊した詩誌『櫂』に参加したりお互いに著書で言及したり
ずっとお付き合いがあったんですよな…。
お知り合いが亡くなられたとき茨木さんが岸田さんに「衿子さん私より先にしんじゃいやよ」と言われたと
岸田さんがどこかで語ってらして切なくなった覚えがあります。
(岸田さんも6年前になくなりましたけども)

レシピと一緒に書かれた日記も一部収録され仕事に家事に大忙しな日々が綴られていて
個人的にはこれが一番読めてうれしい。茨木さんの字はかわいい!
買い物や外食や初詣や同窓会に出かけたり、手紙書いたり書き物の仕事したり
丸善に万年筆を直しに行ったり、雑誌や中公新書や「日本史概説」を読んでいたり
関東大震災から50年目の防災訓練のこととか
大谷友右衞門(四代目中村雀右衛門)や幸田文のエッセイに一考したりとか
暮しの手帖展で花森安治に会ったとか、ドラマの大岡越前や勝海舟をご覧になっていたりとか
ディオニソスよ見捨てたまふなと呟いたりとか
すっきり晴れた夜空にシリウスと木星を見たりとか。
そして合間に色んな詩人の詩集を読んでひとこと感想を書き留めている。
茨木さんの日記は手短でまるでご本人の詩のようにてきぱきとして
その時その時の気持ちも一言主のように言い切っておられて
やっぱりそういうとこ上手いなあと思います。
あと、茨木さんの手料理を喜んで食べる夫の安信さんも日記に「Y」として登場していて
「Y、よろこぶ」「Y、ごきげん」「Yとランデブー」などと書かれてるのかわいい^^
お酒はおふたりともいける口だったらしくて
そういえば本のレシピも焼き鳥やお豆腐など、おつまみみたいなのも載ってます。

甥の宮崎治さんが茨木さんのお料理について言及されているのは何度か読んだことありますけど
今回の本にもエッセイを寄せておられました。
茨木さんは外食でおいしいと思ったものを台所で再現できる特技があったとかで
食事中に「このソースに何が入ってるか当ててみなさい」と言われたとか
レストランのウエイターに「これどうやって作るの」と尋ねるのを見たとか、
ずっと彼女の詩集を読んできた身には、なんて"らしい"のかと感心するエピソードがちらほら。
毎日毎日ごはん作るの大変だったろうし楽しくもあったろうし、
新しい味を知ると作ってみたくなるとか、たまには奮発しておいしいもの食べに行こうとか
茨木さんも考えることあったかなあ。

茨木さんの60代の頃の詩に『食卓に珈琲の匂い流れ』というのがあって
この本にも一部が引用されていましたが
(添えられた写真に写っている藍色のテーブルクロスに白い四角模様が点々とあるのが
なんだか渋好みの茨木さんらしい感じ)、
茨木さんは東伏見の自宅から夫妻で吉祥寺によく出かけて映画を見たりコーヒーを飲んだとか
ちらほら書き残されているんですよね。
日記に書いたことを詩にも書いていて、繋がってるなあと思いました。
夫さんが秋口に「コートいらないからこれ欲しい」というほど気に入って買った椅子の記述があって
その椅子はずっと保管されてて後年『倚りかからず』のモデルになったそうで…。
(茨木さんは夫さんの遺品をほぼそのままにしていたらしい)
あと『夏の声』に出てくる「いくじなしのむうちゃん!」の記述が8月の日記にあって
本当に真夏に聞こえた声だったんですね。

ごはんの本読むとごはんを作って食べたくなります。
ぐりとぐらのカステラまた作りたいし赤毛のアンのマリラの料理も気になるし
ブシメシのお味噌汁すごいおいしそうだったし、パパと親父のウチご飯の唐揚げと鍋やりたいし
カルテットの4人がごはん作って食べるシーンがいつも楽しそうだし
(フードスタイリストの飯島奈美さんのお仕事が光っておられる…☆
そして家森さんがワシにもくれ!とかあれー?ってジブリみあるのかわいい、中の人が聖司くんだからかな)、
きのう何食べた?のトーストに苺ジャムごろごろ乗っけたやつにアイス乗せるのやりたい~。

dokushoneko1.jpg
本日の猫さま。
わたしの読書中ずっと膝でおねんねされていました。

dokushoneko2.jpg
そういえば茨木さんの詩に猫はいたっけ…と手元の詩集をパラパラとめくったら
『もっと強く』という詩にこんな一節がありました。
「猫脊をのばしあなたは叫んでいいのだ 今年もついに土用の鰻と会わなかったと」
わあ。
[READ MORE...]
図書室と5つの物語。
2017年01月17日 (火) | 編集 |
『ぐるぐるの図書室』を読みました。
まはら三桃さん、菅野雪虫さん、濱野京子さん、廣嶋玲子さん、工藤純子さんの5人の作家さんたちが
デビュー10周年記念に書きおろした放課後の学校図書室が舞台のリレー短編集です。
皆さま2006年にデビューされたので「2006年組」と呼ばれているそう。
工藤純子さんは読んだことないけど、他の作家さんはずいぶん前から読んでた気がしていて
去年で10年だったと聞いて「おおっそんなに経つ…いやでもまだ10年…」とか
何だか長いような短いような不思議な気持ちに。
どの作家さんも深いお話作りをされるのでこれからもゆっくり追いかけていこうと思います。
とりあえず工藤純子さんの本を今度読んでみよう。

5つのお話に共通しているのは、
・主人公たちが全員同じ学校に通う小学5年生
・放課後の図書室の扉に茜色のきれいな貼り紙を見つけて入室する
・白い服の司書から図書室の仕事を頼まれたり本を薦められたりする
の3点。
あとはそれぞれの作家さんの持ち味が存分に発揮されています。
日常の学校や図書室が舞台だったり、まったく違う世界でのお話もあって
キャンディボックスやクッキー缶の色々な味を楽しむような気分で読みました。
茜色の紙が見えるのは誰でもというわけではなく、
本を読む子とも限らず全然興味のない子でも見える子は見えるっていう
決して本好きな子ばかりではないのが現実感ありますね。
見えるのは「いま、その本を必要としている子」たちで、他にも見える子がきっといて
この本はたまたまこの5人の場合を書いたんだろうなと思う。
(ランガナタンが言った「すべての人にその本を」みたいな感じの)
子どもたちは過去と未来を行き来したり、妖怪のためにご飯を作ったり、秘境で絶体絶命になりかけたり
わかり合える相手を探してみたり、書きかけの読書感想文のために大冒険をしたりして
本を通した体験を終えるとみんな少しだけ元気になっているのがいいなと。
しかも冒険の始まりがすべて1冊の本であるというところに
ビブリオ・ファンタジーとかドラクエのぼうけんの書とか二ノ国のマジックマスターみたいなロマンを感じる☆
人生の節目に本があるって素敵だ。

ひとくちに小学5年生といっても主人公たちの性格や人間性は様々で
ひたすら元気な子や何となくふわふわしてる子、責任感の強い子や厭世的な子まで様々。
ただどことなく地に足が着くか着いてないかみたいな危うさとか、
目の前の出来事をストンと受け入れて大冒険するにはギリギリ可能な子たちな感じは
共通しているように思いました。
だからこそ誰かの助けが必要で、それが彼らの場合は本だったってことかもしれなくて
それをあの司書さんは見抜いて彼らに声をかけたのかもしれない。
何という理想のレファレンス!
図書館で働いてると完璧なレファレンスなんて都市伝説じゃないかと思いがちですが
こういう物語や夜明けの図書館とか読んでるとやっぱりがんばろう…!って思う。

狂言回しの司書さんの口調がどのお話も同じように描いてあるのはあえて統一されたんだろうな。
(この本の発売後に行われたトークセッションで(遠くて行けなかった)、
図書室も扉は木なのか、ガラス張りなのか、何階にあるのかなど話し合われたと聞いた)
彼女のいでたちが背が高くて黒のロングヘアに白いワンピースという描写で、
白いワンピースの人といえば竹下文子さんの『青い羊の丘』にもそんな人が出てたな…と
ふと思い出しました。
主人公たちにだけ見えてるっぽかったけど他の子たちはどうなのかな、
茜色の紙が見えれば司書さんのことも見えて、紙が見えなかったらやっぱり見えないとかなのかな…
そもそも人間なのかどうかもわかりませんけども
(人でないとしたら精霊なのか神様なのか妖怪なのかどう呼べばいいのかもわからないけど)、
人間誰でも人生の中で一度はこういう人に出会う、みたいな雰囲気の人に感じました。
図書館や本の神様がどんな形をしているかというのはたまに妄想しますが、
日本にそういう神っていましたっけ…思金神とかは知恵の神だしな…。
(書物が御神体みたいな神社ってないですよね)
西洋だと書物や図書館の守護聖人はアレクサンドリアのカタリナとかローマのラウレンティウスですかね。


巻末に5人の作家さんたちによる座談会が掲載されていて、
本との出会いや、どんな本を読んできたか、これからの読書の展望みたいなトークが交わされていました。
空想することがお好きだったという工藤さんが「子どもの頃に授業中に色んなことを想像しても
他のクラスメイトはやってないから「自分は変なのかも」と思っていたけど、
読書好きのお友達ができて一緒に物語を書いたらとても気持ちよかった」とおっしゃっていたり
菅野さんが「読んだ本を友達にプレゼンするときちょっと盛って面白く話した」とおっしゃるのとか
わ、わかる…!と同意しまくり。
まはらさんの「わからないところはとりあえずそのままにして読み進めてもいい、読書に訓練は必要」とか
濱野さんの「講演などで本は読まなきゃいけないものではなく読まなくても生きていけると話すけど
同時に読書をしないのはもったいないと伝えています」とか
名言もたくさん飛び出していた。
菅野さんの「わたし絵本もマンガも大好き!どのジャンルにもどんどん手を出して!」にも全力で頷いた。
この年齢にならなきゃ読んじゃいけないとか、この年齢でこれ読むのはみっともないとかたまに聞くけど
そんなのはないんだよー!
本は本だしその人はその人、あなたはあなただよって伝えたい。。

あと、まはらさんが「弓道がテーマの小説『たまごを持つように』を書いたとき弓道の取材をしたけど
弓を引く感触を探る気持ちで書くためにあえてその場では引かなかった」みたいなお話をされていて
それはわたしも何となくわかる気がしました。
歴史もののお話を書くために色々調べはするけど、必ず意識するのが書く対象の年齢なんです。
わたしたちは未来人ですから歴史上の人たちがどう生きて死んだかある程度わかっているけど、
ご当人は自分がどうなっていくのかまったく知らないわけです。
なのでうっかり「その人物がその時までに経験してないこと」を書かないように結構、神経使います。
結果を知ってるとどうしても伏線張りたくなったりしますけどね…
ニヤリとするくらいはやってもいいけど、できるだけやらずに描きたいなあといつも思います。
リアリティとフィクションのバランスって難しい。
ニャンコ先生と和物づくし。
2016年11月15日 (火) | 編集 |
natumeda1.jpg
池袋西武ギャラリーの夏目友人帳大原画展に行ってきました☆
連載10周年を記念して2013年に開催されて以来(リブロ池袋があった頃だなァ)3年ぶりに
今度はアニメ5期放送記念の開催です。
原作者緑川さんのカラー原画や直筆原稿、無数のニャンコ先生グッズ、
アニメの設定画やアフレコ台本や声優さんたちからのメッセージほか
読者投票があったり夏目とニャンコ先生(神谷さんと和彦さん)による音声ガイドも聞けるよー。
会場の様子→こちら 大ヒット祈願ニャンコ先生は今宮神社からの出張かなあ。

緑川さんの描くやさしさと暖かさと少しの怖さが同居する原画ほんと美しい…!
扉やコミックスで見たものから、懸賞やイベント用に描かれたものまであって
「これあそこで見たな」「これ初めて見る!」など再会と初めましてを両方楽しめました。
直筆原稿は修正の跡や「10%」とかのトーン指示が描きこまれていて
こうして原稿はできあがっていくんだなあとワクワクしたし、
カラー原画は雑誌やコミックスの表紙で見るのとは違って色彩が鮮やか!
印刷技術も日々進化していますが、やっぱりこれが原画展の醍醐味だと思います。
3年前にも思ったけど緑川さんはペンやコピックのタッチがやさしいですね、
コピックは無限の可能性を秘めた画材だわ…。
読者が選んだ「好きなお話」「好きなセリフ」ランキングの1位が露神様で納得、
あのお話本当につよいね!
発表時から評価高いし定期的な読者アンケートで常に不動の地位を保ってる。わたしも大好きです。
音劇で神谷さんと和彦さんが着た羽織服も展示されていてすごく綺麗だった、
緑川さんは夏目友人帳のキャラクターたちに大きな柄の着物を着せることが多いですが
音劇で神谷さんたちも大きくモダンな柄のお着物を召されたんですね。

訪れていた人も若い人からご家族連れ、塔子さん滋さんみたいなご年配のご夫婦までいらして
幅広い年齢層に愛されているなあと感じたし、
その人たちが絵を見ながら「このお話は~」とか「これあの時のじゃない?」「こんなキャラいたねえ」とか
楽しそうにお話されているのを横耳に聞いてるとますます楽しくなって
心の中で「わかります~」「ですよね~」とか同意しまくった。
ファンイベントは仲間がいることがわかるからいいですね。

natumeda2.jpg
展示室の一番奥にあったニャンコ先生神社☆ここだけ写真撮影可でした。
お賽銭箱あったらよかったけどなかった、
つか先生だったらお金よりもお酒や七辻屋のお饅頭やエビフライの方がお好きかなあ。

あと、撮影禁止だったけど隣に絵馬コーナーがあって
漫画のキャラクターたちが自由に描いたみたいになってました。
ニャンコ先生は肉球の署名で「イカ焼き食いたい」とか書いてるし
夏目(小学生)は「カレーを一緒に食べられる友達がほしい」とかでウルッときます。
主要キャラのほか中級たちや子ぎつね、蛍から柴田くんまで色んな願い事がありました。
藤原夫妻は揃って貴志くんの幸せを願っていて泣きそうになったよ。

natumeda3.jpg
公式パンフは買うつもりでしたが友人帳メモ用紙とニャンコ先生かんざしは予定外だった、
でも買ったよ!
特に友人帳みたいな「作中にあるもの」がグッズ化されて出てくるの大好物です。
記念品もいいけど日常的に使える物はテンションあがるというか
キャラクターが使ってるのと同じもしくは似た物を次元を超えて共有したい気持ちっていうんですか、
あのキャラとわたし今同じもの持ってる!ことに萌えたりするのですよ。
というわけで白泉社さんは和紙などで忠実に再現したレイコさん直筆入り友人帳をお願いします。ほしい。
かんざしは着物に友人帳アイテムがつけられる!と燃えてゲットしました。うひひ(^皿^)

natumeda4.jpg
スタンプラリーもやってきたよ。
池袋駅から乙女ロード沿いのお店にスタンプが設置されていて、
全部集めると虎猫ぬいぐるみを着こんだニャンコ先生のステッカーがもらえます。
お店にも夏目グッズが売っていまして
特に池袋GiGOの巨大ニャンコ先生ぬいぐるみのお腹にはダイブしたくなった。

nyankocake.jpg
スタンプラリー中に東急ハンズの前を通りかかったら
パティスリー・スワロウテイルさんのニャンコ先生ケーキを発見ーーー!!うおおおお!!!
まったく知らなくて完全に不意打ちくらってフワー!って声出そうになりました。
別にハンズにスタンプがあったわけではないんだけどたまたま寄ったわたしグッジョブ\(^o^)/
店員さんに伺ったらLaLa40周年記念の期間限定でちょうどこの日からの販売だったそうで
この後まだ予定があったので持ち歩く時間を考えて一瞬迷いましたが、
「待ってどうせこの後三越行くから屋上で食べればいいじゃない」という考えが電撃のようにひらめき
ケーキを買って地下鉄で移動。
というわけで写真は三越屋上のスペースで撮影しました。雨降ってなくてよかった。
スワロウテイルさんのケーキはちょっとお高いけどクオリティ高くてすばらしいのだ。

mitsulion.jpg
秋の火災予防運動の一環でライオン口のライオンさんたちも火の用心。たすきかっこいい。
(ちなみに銀座三越のライオンさんは消防服を着ているそうです)

rakushu1.jpg
三越訪問の目的はこれ~京都の洛趣展。この日が最終日でした。

rakushu2.jpg
とらやのスペースに行ったらトラりん、じゃなかった尾形光琳の虎柄の羊羹のディスプレイ。
光琳はとらやのお菓子を友達に贈ったりしているよね。

rakushu3.jpg
京都のとらやのお菓子をゲット!九重の月と洛陽のみちです。
九重の月の九重は宮中のことで、つまり京都を照らす月なのだなあと。
洛陽のみちは、かつて唐の洛陽に例えられた京都の街の紅葉をあらわしていて
(京都の街を洛中、鴨川の向こうを洛外などと呼ぶのはこれが由来)、
両方ともあんこぎっしりで大変おいしゅうございました。
とらやのお菓子は甘すぎず味もすっきりしていて食べやすい。

rakushu4.jpg
感動した菓匠花見さんの今月のお菓子、「参道」。
店頭で名前を伺ったとたん神社やお寺の参道がぶわっと鮮やかにイメージできて
参道の先に広がる境内や鳥居まで思い浮かんで止まらなくなって、すごいデザインだと思いました。
銀杏の舞い散る石畳だなんて!どこまで奥深いのでしょう和菓子の世界。


そういえば昨夜はスーパームーンが見られる日でしたけど、
関東は夕方から雨だったため夜空のお月見はかないませんでした。
chihirotukimi.jpg
ので、千と千尋花札から月見酒を引っぱりだしてきました。
九重の月のお菓子で満月も食べられたし、無月でもお月見を楽しめる方法はいっぱいあるのだ。
(それにしてもハクはともかく銭婆の紅茶すげえな、寿ラテアートやってみたい)


ところで11月15日は七五三ということできものの日でもありまして。
2016kimonod1.jpg
さっきも少し書いたけど、夏目友人帳のカラーは大きくて大胆な柄の着物が登場することが多くて
原画展を見ていたら久々に大きな柄物を着たくなって出してきました。
本当は原画展に着ていけたらよかったけど雨の予報だったから…。

2016kimonod2.jpg
会場で買ったニャンコ先生のかんざし早速つけてみた☆
先生もかわいいし金色の友人帳もほんと素敵で、連れて帰って来てよかったなー。

2016kimonod3.jpg
すっかりテンション上がって鳥獣戯画の帯と根付も引っぱり出してきました。
着物はお気に入りの猫柄。

2016kimonod4.jpg
ニャンコ先生乱入!(笑)
わたしは短髪派なのでかんざしつけるタイミングは来ないかなと思っていたのですが
ある時「かんざしは帯にさしてもかわいいんですよ」って教えてくださった
某着物ショップの店員さんのことは一生忘れない。
髪飾りという視点しかなかった時期にはきっと思いつかなかったコラボをお蔭で楽しめています。
感謝とともに、わたしもあんな風に和服の楽しさを布教できる人になりたいなあ。
ライブラリー・トランスフォーム。
2016年11月11日 (金) | 編集 |
今年も雪見だいふくの季節がやってきたので買いに行きまして
新作のクリーミースイートポテト味が濃厚すぎてお茶が欲しくなったゆさです、こんばんは。
ほんとにスイートポテトの味がしたよ!
箱入りの苺ソースのチーズケーキ味も食べたら濃厚でおいしかったので
もう一箱買ってくるか検討中…あれ2個入りとか出してくれませんかね。
今年の雪見だいふくは濃厚路線でいくようですな、来年は何味が出てくるかな。


18tosho1.jpg
今年も図書館総合展に出張してきました。
何度も来てるのに限られた時間内で出展ブースを効率よく回る方法が未だにわからず
2~3回同じ場所を回って「あれーさっき気づかなかったけどこんなのあったんだ!」ってなるのもしばしば。
もうちょっと周りに注意を払える人間になりたい。
例によって色んなソフトやシステムに心奪われながら見学したり体験させてもらって
図書館界の進化について本気出して考えました。
とりあえず職場にペッパーが1人ほしい、ルンバみたく癒される気がする。

18tosho2.jpg
キハラさんブースの充実っぷりが今年もすごい、
禁帯出と館内に続き貴重書と書庫マグネットが出たよー!
今のところマグネットは4種類ですが別売りのシールとか見てると寄贈書や学書とかあるので
次年度以降に出てくるだろう可能性を考えています。楽しみ←
マステは犬と猫、ブックパンケーキ。猫のステッカーはお買い物するともらえるやつです。

去年の記事にも割と散財したようなこと書きましたけど、今年はダークホースがいましたので出費は倍。
18tosho3.jpg
おまわりさんこいつです、ブックトラックUSB!!
価格が普通のUSBの3倍はするうえ数量限定と聞いていたので在庫があるか不安でしたが
ブースのカウンターをちらりと見たらご丁寧に箱入りで限定品っぽさが醸し出されてて
実際にこの目で見るまでは買うかどうか迷ってたのに思わず手が伸びてゲットしてしまった!
あなにくし実物の力。いとをかしキハラさんのデザイン力。
8GBでセキュリティついてるからちょっとした量のデータ保存とかに使おうかな。

18tosho4.jpg
USBはこんな感じにディスプレイしてありました。
両脇の阿蘇のメイスイペットボトル(100円)、パッケージにご注目。
キハラのわんこはともかく「禁帯出」と「館内」シールのパッケージ!
図書館ペットボトルって感じ…こんなの飲みながらカウンターでお仕事したいよ…(館内は飲食禁止です)。

18tosho5.jpg
他にもブースを巡って買ったりもらったりしたもの。
「図書館の自由に関する宣言」は図書館戦争で有名になりましたが
日図協さんのブースでポストカードを見つけてゲット!誰に贈ろうかな。
土佐和紙の見本はブースでアンケートに答えたらいただけました。
帝京大学の本おみくじ今年も引いたよ~。

18tosho7.jpg
土佐和紙を使った修復実演を見学。
昔の本は酸性紙が多くてちょっとしたことですぐベリっといってヒィ!ってなるのですけど
ちぎった和紙を貼ると元通りになったりします。
(貼るのは極薄の和紙で文字が透けるので問題なく読めるのだ)
糊をつけるとき網戸のあみを使うと便利だとか、
貼った後は水分を逃がすために紙を挟んだりアイロンかけるといいですよ~など
職場で実践できるようなお知恵を拝借しました。
専門家さんの話を直接聞ける機会ってなかなかないのでな…
修復の専門家ってNDLくらいしか常駐いませんのでね。

18tosho6.jpg
図書館におすすめの本コーナーとか、社会福祉団体とか、出版社のブースもあるよ。
写真は偕成社さんです。ノンタンとはらぺこあおむし!
80周年おめでとうございます~~あおむしのぬいぐるみと穴の開いたリンゴのディスプレイもあった。

18tosho8.jpg
帝京大学メディアライブラリーセンターの「共読ライブラリー」は今年も立体的。
去年みたいな2階建てではなかったけど、本棚がいくつか立ってて
おすすめ本と紹介文がポップにディスプレイされてるのおもしろいです。
学生さんが生き生きと説明してる姿を見ると元気が出ます。がんばってる姿はかっこいい。
左奥の黒板にメッセージを残すと本おみくじが1回引けるのだ。

18tosho9.jpg
ポスターセッションもやってます。
Kumoriさんのポスターは今年もかわいかった!参加者が自分でしおりを書いてぶら下げる参加型でした。
しおりの裏にはナルニア国物語、アリス、はてしない物語などからの引用があるよ。

18tosho10.jpg
災害コーナー。
これまでにも阪神や新潟、東日本の震災が登場してきましたが今年は熊本。
倒れた本棚や散らばった本の再現と、対策についての展示がありました。
全国各地、土地や気候が異なるなら災害の状況も規模も異なりますので
その都度その場に合った対策を取らなくてはなりません。
来年は鳥取・島根の特集だろうか…会場には募金箱もあったので寄付してきました。

yokoirumi1.jpg
夕方のフォーラムを終えて外へ出るとすっかり日が落ちていました、冬至ももうすぐだねー。
みなとみらい駅の観覧車がレインボーできれい。

yokoirumi2.jpg
駅のクリスマスツリー☆
今年は海の生き物がたくさんいました。

yokoirumi3.jpg
小雨が降ってたけど、ちょうど横浜のイルミネーションが始まる日だったので少し見学。
星が降ってきて木にひっかかったような。

yokoirumi4.jpg
イルカ!
長い時間と波、そしてあっという間の先の、解放。
2016年10月09日 (日) | 編集 |
左右社の『〆切本』を読みました。
夏目漱石から現代作家までによる、〆切に関する随筆や手紙や日記を集めたアンソロジーです。
タイトルと表紙見たとたんに笑える気持ちと笑えない気持ちが同時におこって
なかみを読んでやっぱり笑って震えて胸が苦しくなって元気出た。
仕事や趣味でものを書いてる人にはものすごくクる本だと思います。とてもおすすめ。


扉を開くと真っ先に掲載されているのが白川静による「締切」の漢字の解説だったから
そこから!?ってなったし、かえって企画した編集部の本気度もよくわかった。
(ちなみに締は祭卓の足を結んで締めるの意、切は七(切断した骨)に刀を加える→切るの意)
白川さんも〆切に追われたことあったんだろうか…このアンソロには載ってないけども。

ざっと引用するだけでも悲喜交々なのですが
「ああ、いやだ、いやだ。小説なんか書くのはいやだ」田山花袋
「精神的にも肉体的にも直きに疲労する。だから二十分とは根気が続かない」谷崎潤一郎
「〆切が五日のところ十五日迄延ばしたのですが、とうてい書く気が出ず上京して断りました」梶井基次郎
「純粋な考え方からすれば、むろん断るべきであった」江戸川乱歩
「第一回分四十枚ばかりを書いた。結末がどうなるかという見通しは全然ついていないのである」江戸川乱歩
「書けないときに書かすと云うことはその執筆者を殺すことだ」横光利一
「どうしても書けぬ。あやまりに文芸春秋社に行く」「どうしてもといわれるが、筆が進まぬ」高見順
「かんにんしてくれ給へ。どうしても書けないんだ」吉川英治
「才能がないのではないかと、悲観するのは、新しい小説にとりかかる前、いつも感じる気持ちである」遠藤周作

やばいお腹痛くなってきた。(中断)
あと泉鏡花は「昼よりも夜の方が余程筆が早い」と書いているように夜型だったらしいのですが
この時間帯なら書けるみたいなのも確かにあると思うし、
坂口安吾が「眠るべからざる時に眠りをむさぼる。その快楽が近年の私には最も愛すべき友である」とか
木下順二が「フォークナーか誰かは、鉛筆を何本も削ってばかりいるというのではなかったか」と書いてたり
仕事がつらくて2~3時間はボンヤリしちゃう菊池寛とか
原稿の合間にオペラや文楽へ出かけてしまう有吉佐和子とか
仕事以外のことをやってしまうというのもよくある話だと思う。
試験勉強期間は部屋の掃除や本棚の整理がはかどるとか。(わたしだ)

"〆切はゴムのように延びず"というのは、わたしが高校時代に在籍した部活の格言でしたが
まあ当然ですが延ばした事例はいくらでもあるようで、
島崎藤村は「来年一ぱいには全部を書き終りたいと思ひます。丁度一年だけ後れる訳になります」とか
〆切を1年も延ばしたつわものだったりする。
長谷川町子は「カツオの表情がどうも気に入りません。描き直すので1時間だけ待っていただけませんか」と
配達の人を玄関先に待たせて仕上げたらしい4コマを描いています。
(そういえばサザエさんに出てくる伊佐坂先生はいつも〆切に追われてますね)
ただ、個人的にすごく怖かったのはそのあとのコマで
原稿を描きなおした長谷川さんがボツ原稿を破ったら、なんと破ったのは描きなおした方(!)で
仕方ないのでボツ原稿をそのまま渡したという話…
思い出したくもないですがわたしも似たような経験があるのでほんとに怖かった、
人間、慌ててると手が滑って何するかわからないから気をつけましょうもの書きの皆様…。

長谷川さんで思い出したけど、漫画家さんの〆切前の悲鳴はしょっちゅう耳にしますけど
このアンソロには載ってないけど、武内直子が前に描いてたエッセイ漫画に
セーラームーンの原稿間に合わないどうしようって編集(おさぶさん)に電話したら
「ええ~っノート(付録)だけで本編のないなかよしが200万部も書店に並ぶなんてやだ~!」と泣かれて
どうにかこうにか仕上げたみたいな話があったね…。
手塚治虫は逃亡の常習犯で映画館や駅やホテルに探しに来られては連れ戻されたらしいし
藤子不二雄コンビは眠いときはペンを手に突き刺しながら原稿描いたそうだし
鳥山明も「あと1コマで終わる!」とか言ってる自画像を漫画に描いたことあるし
きっと昨日も今日もどこかで漫画家と編集者の奮闘が起きてるのでしょうね…
漫画家の皆様お疲れさまです。いつも面白い漫画をありがとうございます。
そういえば先月、こち亀が連載終了するというので秋元治がテレビに出てたけど
「常に原稿をいくつかストックしておいて落とさないようにしていた」とおっしゃってて
すげぇ本当にこういう人いるんだって思った。
〆切前に仕上げる作家というと国木田独歩や川端康成、三島由紀夫などを聞いたことがある。
逆に伝説並の遅筆だったのは、トットてれびでもやってたけど向田邦子ですね…
〆切過ぎてから書くとかザラだったらしい。

「仕事はのばせばいくらでものびる。
しかしそれでは、死という締切までにでき上る原稿はほとんどなくなってしまう」外山滋比古

編集者とのやり取りも。
「様子をみにきたのですよといはれてほろりとする」林芙美子とか、
「ただいま大宮でカンヅメになり仕事中です」と手紙に書いた太宰治とか
「カンヅメなるものを非難拒否していたが、やむにやまれずカンヅメされることを受諾」した高見順とか
相当やり合ってきた時間を彷彿とさせる文章が。。
執筆中に体調を崩す人もいて、パブロフの犬というか職業病だったり仮病(?)だったり様々。
寺田寅彦は書くときに頭痛や胃痛がしたそうですが
「大した事はなく、遊んで居ればいゝといふ誠に我儘病で慚愧の至り」と編集に手紙を出しています。
井上ひさしは原稿の依頼を引き受けてからの行動を缶詰病と呼んでいて
最初は「傑作を書く」などと言ってハイになり、次に睡眠をむさぼり、やがて放浪癖が目立ち、
しまいには「次号廻しにしてください」「殺してください」などと言い始めますが
ホテルなどに缶詰にされると全快するらしい。
梅崎春生と編集者の「ほんとに風邪ひいたんですか」「ほんとだよ」のやり取りみたいに
本当に体調を崩しても疑われることもあったとか、
何本も連載抱えてた松本清張が「ゲラ入れだけでも徹夜になる」とかぼやいてるの見ると
延ばしてあげてほしいとも思ってしまうけど、
編集者も「原稿依頼はたいてい多少のサバを読んである」「ほどよいところに締切日を置く」(高田宏)とか
ちゃんと考えて依頼してることがわかる文章も載ってて、もどかしいですね…。
(岡崎京子は6日もサバを読まれたことがあるそうな)
ちなみに高田宏は「書くことも、編集することも、相手に惚れなかったら、はじまらないのではないか」という
名言も書き残している。(川本三郎の章から)

外山滋比古の章に原稿性発熱(〆切になっても一字も書けず発熱して気分が悪くなり、
またの機会にと断られると熱が下がる遅筆の作家の事例)なる言葉があって、
それを左右社さんが栞に作ってしまったのが→こちら
これちょっと現物欲しい。

作家はサボってるわけではないし、編集者も意地悪してるわけではなくて
お互いに仕事に対する情熱やポテンシャルがぶつかってしまうだけであって
それがうまくはたらけばいいけど、ドツボにはまってしまった時にきっと
こういう文章たちが生まれてくるんだろうなと思いながら読んでいたら
幸田文の「私というものが認められることは全然なかったから、"私に"といって、
書くようにすすめられた時は本当にうれしかったのでした」とか
三浦綾子の「一気に十八枚口述して、何とか〆切に間に合わす」(晩年は彼女の夫が書き取ってた)とか
米原万里の、何でもいいというよりはテーマと枚数と〆切を与えられて書くと
「嘘みたいに仕事がはかどる」「不自由な方が自由になれる」みたいな文章も載ってるから
書くことの奥深さを知る本でもありました。
「終わりが間近に迫っているという危機感が、知に、勇気ある飛躍を促し、
ときに驚異的な洞察をもたらす」(大澤真幸)もよくわかるし…。

「自分の中では、なに、たまたまさ、
潮が引けば、じきに元の、暇に恵まれた日々に戻るさね、という考えがある」大沢在昌


ドラマ「夏目漱石の妻」を毎週、拳を握りしめながら見てるんですが
あれの漱石は精神病で書けないみたいになってて〆切に関する話は特に出てないような。
ちなみに漱石は吾輩は猫であるを書いている最中に
「猫は明日から奮発してかくんですが、かうなると苦しくなりますよ。だれか代作が頼みたい位だ。
然し十七八日までにはあげます。君と活版屋に口をあけさしては済まない」
と書いた葉書を、高浜虚子宛に送っているそうです。
弱音を吐きながらも弟子に気を使わせないようにする漱石せんせいは逞しい。
現代の天岩戸。
2016年06月29日 (水) | 編集 |
富安陽子さんの『天と地の方程式』がおもしろいです。
3冊とも発売とほぼ同時に読んで、たまたまですけど全3巻読み返したのが先週の夏至だったので
ちょっと感想めいたもの書いてみることにします。
(物語のクライマックスが夏至の日の出来事なのだ)
ちなみに1巻を読んだのは歌舞伎座で幕見席のチケット買うために並んだ時だったと記憶してる…
本のページをめくりながら目の端に映っていた風景の記憶が待機列の椅子なので。
夏至に読み返したい本がまた増えましたお~。
真夏の夜の夢とか、ムーミン谷の夏祭りとか、ハウルの動く城とか、精霊の守り人とか。

ニュータウンにできた小中一貫校に通い始める男の子とクラスメイトが
ある日学校の廊下でヒョイと異空間「カクレド」に迷いこむところから物語が動き始めます。
やがて現れた「頭の中に日本語で話しかけてくる猿」によって
それは天ツ神と黄泉ツ神の戦いにカンナギとして選ばれたためと判明します。
カクレドは黄泉ツ神がもっさり入っている繭であり、あの手この手で容赦なく襲いかかってくるので
彼らをかわしながら繭のほころびを探して穴をうがち脱出する…と書くとRPGみたいだし、
カンナギ同士でタッチするとカクレドに放り込まれるのはわかっても
カンナギは目印がついてるわけじゃないからタッチするまでわからないジレンマもあれど
次第に一人、また一人と仲間が増えていくのも何だかRPGみたいですが
黄泉ツ神の攻撃が意識を乗っ取るとかカンナギの恐怖を食べるとかの精神系のため
ドキドキというよりちょっと、怖い感じ。
冨安さんの物語は神や妖怪を親しみやすく感じさせてくれますけど
同時に彼らは理不尽であり祟るものであるというのも思い出させてくれますな。

カンナギは巫(神子のこと)だし、選ばれるのは6~14歳の子どもに限られていたりするし
黄泉ツ神たちがみんな片目だったり、鏡の光が脅威だったり
米粒で結界張るとか稲荷祭文との関係性とか、閏年生まれの子は誕生日にしか年を取らないとか
ルールがいちいち神話的民俗学的なのも相変わらずの富安文法。
クライマックスで円周率を唱え、フルートを奏し、千引岩に見立てた巨大柱で黄泉ツ神を封印するのは
黄泉比良坂と天岩戸を現代ヴァージョンでやるとこうなる、みたいなひとつの形式みたいな…。
引用先の心当たりが無数にありすぎて想像すればきりがありませんが
それらと、これまで富安さんが書いてこられた物語の要素がてんこ盛りになっているなと
読み終えて思いました。

アレイは富安さんの物語によくいる典型的な巻きこまれ型主人公ですけど
富安さんの男の子主人公、久し振りに読んだ気がする。
(他に男の子主人公ってムジナ探偵局とかオバケ科シリーズとか、あと2~3冊くらいですよな)
記憶媒体並みの記憶能力は彼にとって強さであり重荷でトラウマでもあったのが
Qがコントロールできるようになれば大丈夫ってアドバイスしたとき救われるとまではいかなくても
考え方として腑に落ちたみたいだったのが少し安心しました。
名前が森有礼(アリノリ)と同じって最初に出てきたけど
古事記から見つけた稗田阿礼を意識してアレイと自称してるのがおもしろいし、
名前の設定をここぞというところやクライマックスで思ってもみないほどに活かすのが
富安さんのすごいところだと思う。
音楽と円周率をつなげるとか誰が思いつきますか…!
学者やクラスタさんが数字や数式を音楽にたとえるのはよく聞きますけど
それを(物語の中とはいえ)実際にやってくれて
しかもπを数百桁ぶん唱えるアレイむちゃくちゃかっこいいんですけど!
「○○できるのはおまえしかいない」っていうセリフは汎用性高いなと思うし
無数の物語で合計数千、いや数万回以上言い尽くされてる言葉でしょうけど
聞くたびにうおおお!!ってたぎる。
それにしても天音をどこかで聞いたことあるって言ってていざ思い出したら
ドレミを数字に置き換える癖から円周率だと導き出すくだりはわたしにはとてもできない発想でした。
数学クラスタさんだったら気づくのかな…。

でもQの話を聞いてると数学おもしろそうって思えるから不思議。
すべての法則や公式は発明ではなく発見だとか、
オウム貝の渦巻きを拡大するとハリケーンになり、さらに拡大すると星雲になるとか。
数学は神の設計図であり世界システムかあ…。
彼が口にする用語にいちいち「そんな問題あるんだ」「そんな定理あるんだ」などと
つぶやいてる程度には数学オンチなので、注釈あったらよかったなと初読時は思ったのですが
再度読み返したときに展開があまりにもスピーディーなことに気づいて
これ注釈ついてるとかえって物語に集中できないからこのままでいいかなとも思いました。
気になる人は辞書引いたり教科書見れば載ってるかもしれないよね。
3巻のラストで「超新星爆発の音はファ、赤ちゃんの泣き声はラ。宇宙では死と生がハモっている」とか言い出したときは
「へー」と「どうしたんだQ、ポエマーじゃないか」と同時に思いました、
マンガで読んだって言ってたけどそれ現実に存在しますか…読みたい。
…というかこの本で一番謎だらけなのはQのお姉さんですよ…。
Qが電話かけたり事後報告する時しか出てこないけどコロンボの「うちのかみさん」レベルに姿なき存在感。
お姉さんのカンナギ経験については目覚めずに終わった人という推理をイナミがしてたけど
もし経験済みでQに秘密にしてるだけだったとしたら前日譚が書けそうだなと思った。
ぜひ検討してほしい~。

ヒカリは頭脳派というより感覚派の天才肌なのかな、
ピアノ弾いてるシーンは音楽の申し子のような描写だし、自分のイメージのままに奏でてそう。
自身のトラウマからピコを助けに行こうとするあたりが人の良さが出ていて好き。
「ピコくんが混乱するから」と自分を名字じゃなくヒカリ呼びにしていいと言う場面は心がポカポカしました。
アレイもアレイ呼びでいいって言いやすくなったしね。
春来は戸籍名はハルコだけど訓読みにするとハルクになって、普段から力持ちな子ですが
みんながハルクって呼んでる時の方がとんでもない力を発揮してる感じ。
アレイもだけど、ハルコも名前の力を感じずにはいられませんでした。
本人の意志は真逆ですが^^;
ピコくんは大きいお兄さんお姉さんに囲まれているのであまりしゃべりませんが
お兄さんお姉さんたちから全幅の信頼を一身にあびて仕事してるのすごいかわいい。
安川くんは最初ただのチンピラかと思ってましたごめんなさい、
猿を介してお話してたのはみんなに信じやすくさせるためだったけど
日輪と猿が切っても切れない関係という言い伝えが背景にあると思います。
猿田彦とか日吉丸(豊臣秀吉の幼名)とかの。
関西ことばでしゃべるのも、日本神話や古事記は関西から生まれたものだしなあ。
というかイナミ…名探偵コナン君でさえ「見た目は子ども、頭脳は大人」ってちょっとややこしい設定だけど
イナミは「見た目は大人、中味は子ども、でも子どものときは大人の時の記憶とカンナギの知識があって
大人のときは子どもの記憶はなくて子どもの人格の方が無駄に頭がいい」という、更にややこしい設定で
本人による説明セリフ3回くらい読み返しました。。
4年に1度の誕生日に年を取るって、ありそうでなかった設定ですよな…。
よく物語に出てくる、主人公より長く生きて知識のある人たちって渋かっこいい場合が多いけど
(ジグロとかハヤとか、または雪政みたいな残念なイケメンとか)、
富安さんがそういう人を書くとイナミとか菜の子先生とかムジナ探偵とかホオズキ先生とか
夜叉丸おじさんみたいになるのはなぜなんだぜ。
いや、おもしろいんですけど(笑)。

あとここにもちょっと書いたような、富安さんの古典と科学と神話の混ぜこぜっぷりも健在でした。
結界をテリトリーと言ったり、黄泉ツ神たちをザコキャラとボスキャラにたとえたり
カクレドのほころびを「靴下に穴があくみたいなもの?」ってまとめちゃったり
天ツ神はこの世のどこにでも宿ってるという点で細菌と同じようなものって言っちゃってるのは
この本くらいじゃないかぬ(笑)。
ファンタジーや冒険ぽいところからいきなり現実へ引き戻されるこの感覚…嫌いじゃないぜ…!
(わたしが今まで一番秀逸と思った言い回しは、
荻原規子さんのRDG3巻で泉水子が姫神をうまくおろせなくて言った「山側だと入らないとか」に対する
深行のセリフ「携帯の電波が入らないみたいな言い方だな」です)

あと少し戸惑ったところがあって、
ハーメルンの笛吹きについてイナミが結構細かく生徒たちに説明してたんだけど
もしかして笛吹きの話ってすでに説明が必要なくらい「みんなが知ってるお話」ではなくなってる…?
何をどこまで説明するかは著者と編集者の判断だと思いますがあえて入れたってことは。うむむ。

五十嵐大介さんの表紙画、ポップな感じとおどろおどろしさが共存してておもしろいです。
漫勉でもザクザク描いてらしたタッチがいい感じに出ている。
イナミがやたらイケメンなんですけど、この口から子どもの声が出ると思うとシュールだな…。
1巻に数字、2巻に音符、3巻に惑星記号が飛び交ってる装丁デザインもすてき。


さて、さて。
2016mina.jpg
夏越の祓が近いので花扇さんにて水無月をゲットしました。
白い外郎は氷をかたどったもので、小豆の赤い色は魔除けになるそうです。
雨が降らなければどこかの茅の輪をくぐりに行きたい。

himuro.jpg
先週の玉川高島屋「若き匠たちの挑戦(通称:ワカタク」のお菓子たち。
巌邑堂「紫都」と高林堂「煌」は福島県産ブルーベリーを使った和菓子で甘酸っぱかったし、
雅風堂「氷室饅頭」は加賀藩の氷室にまつわる金沢銘菓です。
江戸時代、毎年7月1日に加賀藩は江戸城に雪氷を献上する役割があって
無事に届けられるようにと神社にお饅頭をお供えして祈願したのですって。
期間限定で買えるかわかりませんでしたが無事ゲット。いただくの初めて(*´∀`*)。

2016年がもう半分終わるわけで時の流れに神秘を感じますが、
この厄除けが終われば本格的に夏が始まりますね。
今年も夏への扉が開くぜ、ピート。
精霊の書き手。
2016年06月20日 (月) | 編集 |
uehashi1.jpg
世田谷文学館にて開催中の上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展に行ってきました。
守り人シリーズを中心に上橋さんの作品世界や研究内容、お人柄に迫る展覧会です。
この文学館が行う作家展はキュレーションが本当にすばらしくて
ファンの「そう!それが知りたかったの!!」という部分を見事についてくれるので
今回も色々びっくりさせてもらいたくて事前情報はあまりチェックせずに行きました。
(上橋さんのエッセイや講演会などでお人柄については何となく存じ上げているという理由もありますが)

入口の真っ青なポスターは旅人シリーズの佐竹美保さん描きおろし、
向かい側に原画も展示されていて間近で見られます。
ポスター前にはドラマ守り人で使われたバルサの短槍(レプリカ)もありました。
ドラマご覧になった方はおわかりかと思いますが、綾瀬はるかさんの身長よりちょっと低めの長さ。
照明で尖端がギラリと輝いてかっこよかったです。

展示は上橋さんあての2通のお手紙(1979年6月と1982年1月)から始まっていて、
差出人はルーシー・M・ボストン!
高校のとき学校の研修旅行でイギリスに行った上橋さんは事前にボストンさんに手紙を出したら
「ぜひいらっしゃい」とお返事があったそうでケンブリッジのマナーハウスに会いに行っているのですよね。
ボストンさん(当時80代)直筆のお手紙!すげー本物!
マナーハウスの外観やボストンさんとツーショットのお写真も展示されていました。
グリーンノウの子どもたちが遊んでいた木馬に乗った高校生の上橋さん、楽しそう(^ω^)。

上橋さん曰く「偕成社から奇跡的に見つかった」精霊の守り人初稿(1993~1994年)。
バルサは35歳だし(出版後は30歳)新ヨゴ国も別の名前だったなど裏話もキャプションにありました。
隣に再現されたシリーズ原稿の束と、虚空の頃まで愛用されていたノートパソコンも。
会場に流れていたインタビュー映像でもおっしゃってたけど
上橋さんは編集者さんと特に打ち合わせしないで、まず物語をまるっと書き上げてから
「1冊書けたけど読みますか?」と連絡を入れるんだそうです。
まず午前中に前日書いたものを読み返して、続きを書いて
午後にまたイメージが浮かぶこともあれば浮かばない日もあるとか。
あと、原稿は400字詰原稿用紙ではなく実際に読者のもとに届くレイアウトで書くんだそうで
ほほうつまり、わたしの本棚にある守り人と上橋さんが読む原稿は同じスタイル…
ちょっと、たのしい。

上橋さんは守り人を始め数々の賞を受賞されていますが、
賞のトロフィーや賞状を展示したコーナーはどこかの博物館のようだった。
産経児童出版文化賞と路傍の石文学賞のトロフィー超かわいい…!本屋大賞のスケルトンきれい。
国際アンデルセン賞を受賞されたときのメダルや賞状、
デンマーク女王マルガレーテ2世からのサイン本のお礼のお手紙もありました。
上橋さんは眼鏡ウォンバットつきのサインをなさったらしい、かっこいい。
(著書にときどき出てきますが上橋さんの自画像は眼鏡をかけたウォンバットです。かわいい)

uehashi2.jpg
撮影コーナー☆
ドラマ守り人で俳優さんたちが着用された衣装が並んでいます。
バルサ、チャグム(旅姿)、チャグム(皇太子姿)、新ヨゴ王家紋章つき瓔珞、狩人、新ヨゴ王家の旗。
チャグムの旅衣装はNHK衣装部が所蔵していた経年変化した布を組み合わせているとのこと。
狩人の鎖帷子は3㎏もあって、俳優さんはこれをつけて殺陣の撮影をされたそうで
松田悟志さんはその重さに耐えておられたと思うと個人的に萌えポイント高し←

uehashi3.jpg
バルサの衣装のベストは皮を編みこんだものだそうで、
宮城の南三陸の人々によって制作されたとキャプションにありました。
後ろに回ると背中がちょっと見られましたがザックリ切れていて
1~2話の激しい戦闘時に確かバルサが背中を斬られるシーンがあって、その殺陣の痕かな…。
次回シリーズの放送は来年ですがバルサはまたこの衣装で活躍するのでしょうか、
背中の切れ目はタンダが縫ってくれるに違いない…。
あっでも、シーズン1のラストでログサムに短槍投げちゃったのでそんな暇はないかしら。
獅童ちゃんの王様姿完璧すぎて今も思い出し笑いする。

ドラマの小道具もありまして、
ツツジがモデルというシグ・サルアの白い花とか(ツツジは蜜がおいしいからかな)、
青々とした精霊の卵とか(ドラマでは卵の中に小さな地球と雲がCGでついてたよね)、
新ヨゴの夏至祭で使われるトルガル王のお面とか(魔物と王の顔が表裏一体になってるやつ)、
チャグムの部屋にあったおもちゃ、ヨゴ文字の石板、帝の冠(ビショップの冠と卵の形がモデル)、
星読ノ塔や最上階、タンダの家の木の模型なども精巧に作られていました。
星読ノ塔は133m(ビル30階建て)という設定らしい。

uehashi4.jpg
衣装コーナーの隣、黒いカーテンの向こうはどうなっているかというと。

uehashi5.jpg
床一面にドラマのキービジュアル!

uehashi6.jpg
実はこれ、ナユグを体験できるインスタレーションです。
人が入るとセンサーが感知して映像が動きだします。
こんな風に波がおこって、白から緑、青、赤、黄色、紫など次々に色が変化して
壁が合わせ鏡になっているので世界や道がどこまでも続いているように感じる。

uehashi7.jpg
わたしはナユグに行くとこんな姿に見えるんだろうか…ゴボゴボいってるけど…(笑)。

uehashi8.jpg
こちらは展覧会の入場チケットですが、
インスタレーションの部屋に行くと新ヨゴ王家の紋章が浮かび上がるようになってます。
いやはや楽しい。

インスタレーションの一部は文学館のTwitterで見られますのでどうぞ→こちら

守り人・旅人シリーズの挿絵もいくつか展示されていました。
二木真希子さんの守り人シリーズやっぱり最高です…。
精霊からは最終ページの挿絵、バルサがカンバルへ戻る途中で雨に降られるカットで
個人的にこの本で一番好きな絵なので原画が見られてうれしかった!
他にも表紙の卵を抱くチャグムとか、守り人世界の地図とか。
佐竹美保さんの旅人シリーズも挿絵や設定画まであって
軽く寄りかかるヒュウゴのラフに惚れそうになったよ…かっこよすぎるよヒュウゴ。
(ドラマのシーズン2で鈴木亮平さん演じる彼が楽しみで仕方ない)
あと萩尾望都さんと対談なさったときにモー様から贈られた直筆のバルサとチャグムの色紙とか
上橋さん自らイメージスケッチされたキャラクターたちのスケッチブックもありました。
二木さんにも見せたというティティ・ラン、オコジョに乗った人かわいい( *°∀°)و✧
(ちなみにイメージの固定を避けるため他の絵は見せていないそうです)
タンダとチャグムがドラマの俳優さんにそっくりだったのがまるで予想したかのようでびっくりしました、
そんなわけで上橋さんは東出さんがタンダにぴったりと思ったのですって。

そして…。
守り人出版前の1994年5月、上橋さんが偕成社に出した「挿絵を二木さんにお願いしたい」というお手紙が
全文が展示されていてマジ感動。
こ、ここからすべてが始まったんだー!二木さん…!!
上橋さんはデビュー作『精霊の木』を出版された際に二木さんの『世界の真ん中の木』を読んだそうで
同時期だったのかなと思ってぐぐったら同じ1989年出版なんですね。
「二木さんはお忙しいが(この時ぽんぽこか耳すまの制作真っ最中)お願いしたい、
もしお引き受けいただいても挿絵が遅れるかも、それでも可能なら…」など熱い思いに満ちていました。
どういう経緯で二木さんに決まったのか知らなかったのですが上橋さんのリクエストだったんですね、
二木さんの挿絵は海外で翻訳出版された守り人でも使われているそうです。

文化人類学の研究についても、フィールドワークに使う地図やサングラスやカメラ、調査ノート、
写真や現地でもらったブーメランなどが展示されていました。
『隣のアボリジニ』の表紙を飾ったドット・ペインティング「Honey art Dreaming」の実物は
思っていたよりも結構大きかったです。アボリジニのご友人のお手製だそう。
各誌に発表された論文や著書、分厚い博士論文「ヤマジ」などを見ていると
うわ本当に研究者なんだ…などと当たり前のことを今更のように考えたりしました。
わたしはどちらかというと作家としての印象が強いですけど
大学で上橋さんの講義を受けている学生さんたちにとっては教授でもあり作家でもあるのですよな…。
(Ciniiで上橋さんのお名前を検索すると論文がいくつかヒットするしね)

海外文献コーナー。
守り人をはじめ上橋さんの著書は英語や中国語、フランス語、イタリア語ほか各言語に翻訳出版されてて
(アメリカ版の表紙は個人的に五条大橋の義経を思い出すような迫力です→こちら
英語版は翻訳にあたり平野キャシーさんが担当されたそうで、
最初はメールでやりとりをしていたのがだんだん確認事項が増えて長くなってきたため
「やりますか!」と高松のホテルで缶詰なさったとインタビュー映像でおっしゃっていた。
(ホテルのロビーでバルサの槍ポーズをとったりしたらしい)
会場にやりとりの一部がパネルで紹介されていましたけど
平野さんが細部まで読み込んで翻訳しようとなさっている奮闘ぶりがうかがえました。
ルイシャの青はBlueかGreenか?→Blueで、とかきっぱりお答えなさる場合もあれば
こういう印象なんです、と言葉を尽くして説明された事項もあったようで…。
また別のインタビュー映像では、自国では出版されてないけどアメリカの友達に送ってもらって読んだという
ウクライナのティーンエイジャーから熱烈な感想と続きが読みたいという願いがお手紙に綴られてきて
物語が広がっていくのはうれしいともおっしゃっていました。

持ち物コーナー。
再現されたご自宅の本棚にはサトクリフやル=グゥインなど岩波系が多かったり
イランやポーランドから持ち帰られたという小箱やティッシュケースはカラフルなデザインだし
「上橋菜穂子の目」のタイトルで旅先で撮影された写真群は
建物や料理、馬車や刀剣など多岐にわたっています。
アルハンブラ宮殿を見たときの圧倒された感はチャグムがタルシュ帝国を訪れた時の驚きだとか
鹿の王を書いていたときはヴィエリチカ岩塩坑の風景が浮かんでいたとか
中世の騎士が履いていたサンダルが知りたくて銅像の足を撮影したとか
コメントも楽しかったです。
海外と日本では水質が違うため旅先に必ず持って行くというリトルポコポコ(携帯湯沸かし器)欲しい…。
高校時代の文化祭で悲劇の脚本を書いて主演したそうですが
同級生だった片桐はいりさんが見事に喜劇にしてしまったという裏話も(笑)。
国語科文集の開かれていたページで、上橋さんは「人間の歴史」の感想文を書いていたけど
片桐さんは「堕落論」を書いてて何というか、その後のおふたりの進路を考えるとさもありなんという気がした。
(展覧会図録では片桐さんが上橋さんについて文章を寄稿しています)
また、『明日は、いずこの空の下』の表紙を飾ったグラナダの空の絵は
お父様で画家の上橋薫さんが描いたものだそうで、本物の展示もありました。

メディアミックスコーナーにはアニメの設定資料、ドラマのイメージボードや制作資料がたくさん。
アニメ資料は余白に書かれたスタッフさんのメモがおもしろくて
「ラルンガ:冬眠する」に一瞬、笑いそうになった(笑)。
グロくなく獣にしたいという書きこみと、色をキレイにしたいという熱意に胸キュン、
うーん個人的な感想としてはちょっとグロかったけど色はカラフルでしたね…。
他にもトーヤとサヤは定食屋が捨てた箸を再利用してるとか
細かすぎて視聴者に伝わらない(たぶん伝わらなくても問題ない)ネタが随所にあった。
アニメのドイツ語版DVDとかあってびっくり、翻訳されてるんですね。
ドラマのイメージボードも、そのまま実写にしたらこういう絵になるなあと思ったくらい細かくて
これを設計図にあの迫力が再現されたのかと思うとwktk。
藤原カムイさんと結布さんによる精霊、闇の漫画原稿もやっぱりわくわくしました。
狐笛のかなたが舞台化されたのはどこかで聞いた覚えがありますが
会場が新歌舞伎座で主演が早乙女太一くんとは知りませんでした(滝汗)。
うおお早乙女くんの野火めっちゃ見たかった…!

出口付近にスケッチブックがひとつ置いてあって
今回のために描かれた上橋さん直筆の「眼鏡ウォンバット自画像」があった(笑)。
書斎にいる姿を、ということでパソコンの前に座ったウォンバット上橋さんだそうです。
かわいい。

出口に小さな立て札があったので見たら
5月に亡くなった二木真希子さんへの、上橋さんからの追悼文でした。
早すぎるとのお言葉にうなずきながらわたしも先月のショックを思い出したんですけど、
さっきまで二木さん推しのお手紙や原画を鑑賞していて、うれしいのと同じくらい実は悲しかったけど
でも原画を拝見できるなんて次はいつかわからないので時間をかけて見せてもらいました。
またこういう機会があったらいいな。
(二木さんの原画で好きなのはナウシカと王蟲の子、ラピュタのシータと鳩、トトロのドンドコ踊り、
草花に寝転がるキキ、波の上を疾走するポニョです。
あと毎年作られるトトロのイヤープレートも二木さんが描いていたそうです。
二木さんがどういう人かは『世界の真ん中の木』解説で宮崎駿氏が書いてますのでそちらをどうぞ)

donguri1.jpg
展示を堪能した後はゴジラ2000ミレニアムで実際に使われた着ぐるみが(なぜか)展示されている
文学館の喫茶どんぐりに入店。
すげ~スーツアクターさんが中に入ってたのかあれ…(実はゆさはスーツアクタークラスタ)。

donguri2.jpg
ランチにトーストを注文。
守り人に出てくるバム(無発酵パン)や獣の奏者のファコ(同)の気分でいただきました。
上橋さんの「住める世界を書きたい」という思いは作品にも表れていて
おいしそうな食べ物がたくさん出てくるよね。

donguri3.jpg
展覧会限定のフルーツタルト。

そういえば明日は守り人でも重要な日の位置づけになっている夏至ですね。
どこかで誰かから無事に卵が生まれますように。
日記の日に読む日記。
2016年06月12日 (日) | 編集 |
吉川弘文館の現代語訳『小右記』を読み始めました。
このブログでもたびたび書いている藤原実資(957~1046)がつけていた日記です。
タイトルの由来は「小野宮の右大臣が書いた日記」ということで「小右記」。
(小野宮は烏丸にある、滋賀の小野に隠棲した惟喬親王の邸があった土地で
実資の祖父実頼がそこに住むようになり一族が小野宮家と呼ばれるようになって
実資も小野宮の右大臣と呼ばれたわけです)
小右記は当時の世の中を知る貴重な資料であるとともに、実資の意見や感慨もぽつぽつ書いてあって
平安時代ファンと実資ファンとしては2度おいしいのですが、
注釈つきの本がいくつか出版されてはいるけどわたしの知る限り現代語訳は初めてで
刊行に踏み切ってくれた吉川弘文館さんには感謝の言葉もありません!
だってこれで実資の日記がスラスラ読めるんだもの!!
少しでも本人に近づきたいなら原文を読むのが一番ではありますが、
ドナルド・キーン氏が折に触れておっしゃる「古典に親しむには現代語訳を読めばいいのです」のおことばが
本当に胸にしみる。

現代語訳は全16巻の予定だそうで、現在1~2巻が刊行済み。
1巻の書き出しは977年3月、実資は20歳の青年でした。
20歳ってことは高梨沙羅さんや橋本愛さんや玉井詩織さん、ポケモン赤緑と同い年で
えっこの時つまりかみっきーや羽生くんやエマ・ワトソンより年下なんだ!ひえぇ~。
当たり前ですが歴史上の人物にも青少年だった頃があると思うと胸熱です。
そして右大臣まであと44年。

基本的にはその日に仕事先で見聞きした出来事と、実資の行動についての記述がほとんどで
朝廷の儀式、貴族の冠婚葬祭、年中行事や徐目などの公式イベントについての記録は
前日までの準備から当日のプログラムまで細かく書いてあって、
こういう風に進められていたんだなあと。
時々「いかがなものか」「奇妙な出来事である」「知らんがな」「前例ないけどどうかな」
などなど、その日のつぶやきみたいな言葉も見られてクスッと笑うことも^^
よく見られる記述として2~3日に1回は穢・物忌み・修法イベントが発生していることと
(内裏に牛が乗りつけたとか犬の死骸があったとかで陰陽師がしょっちゅう呼ばれて
占ったり祓ったりして安全を確かめたりしている)、
月一くらいの頻度で清水寺に詣でていること。
982年3月18日には沐浴の後、馬に騎って行ったと書いてありまして
清水さんにお参りする25歳の青年実資を妄想するとなかなか楽しいです。
行った日だけでなく行かなかった日も「参らなかった」と書いてるから相当気にしていた様子。
あと、室町にお姉さんが住んでいたらしく時々相談事を持ち込んでいて
仲の良さそうな雰囲気もあります。
(少し後のことですが、お姉さんが亡くなったとき実資は服喪のため仕事を休もうとして不受理になっている)


以下、個人的におもしろかった箇所を適当にメモしてみます。

982年1月17日。
射遺に参議(藤原佐理)を召すように奏上があって蔵人(藤原宣孝)に伝えて帰宅した記録。
(このとき実資は右少将や蔵人頭を兼務している)
三跡の佐理に、紫式部の夫の宣孝!
実資25歳、佐理38歳、宣孝は生年不明ですが実資と同年代じゃなかったか…紫式部はまだ子どものはず。
ちなみに次の日、佐理はちゃんと射遺所に参入しました。
この4ヶ月後に申文帖(藤原頼忠への長文詫び状)を書いていると思うと訳もなく楽しくなってくる。

984年10月19日、武蔵秩父駒牽。
ちょっと武蔵国民としては注目せざるを得なかった^^
駒牽というのは東国4国にある勅旨牧から献上される馬を天皇が見る儀式で
この日は秩父からの馬が来ていたようです。
上野や甲斐にも勅旨牧があったみたいでこの前後も何日か連続して行われています。

986年6月には花山天皇の退位騒動があったはずですが
それらしい記述がほとんどなくて(というか986年は記事がものすごく少ない)、
実資が書いていないのか散逸してしまったのか…。
前年7月に天皇の女御だった藤原忯子が亡くなった記事は細かく書いてあるし
筆まめな本人のことを考えると後者かもしれない。
(現存する小右記は他にも983年の記事が丸ごとなかったり、年によって記事が多かったり少なかったりする)
12月にすうっ…と一条天皇の読書始めについて書かれていて
ああ天皇代わってもう半年経ってすでに日常になってるな、と思った。
990年1月に11歳の一条天皇が笛を吹く姿を眺める33歳の実資やばし。

988年閏5月9日、藤原保輔の強盗露見。6月14日に追補宣旨。
で、出たー!保輔!(゚Д゚)
北花園寺にて保輔が剃髪出家した通報を受けて検非違使が駆けつけたとき、
彼はすでに逃亡した後で出家のため切り捨てた髪と衣と指貫だけが残っていたっていう話に
ドラマかよ!って突っ込んだ学生時代の思い出(笑)。
実資は書いてませんが、このとき保輔の父藤原致忠が簾のない車に乗せられて監視される事態になって
致忠も保輔を見つけ次第差し出すっていう請文を提出してるんですが、
それでも本人が出てこないので朝廷は捕らえた者に歓賞を与えるという宣旨を出してるんですね。
直後に保輔の出家がわかって、4日後に彼は足羽忠信の邸を訪ねたところを捕まって
次の日獄死しちゃうんですけど。
藤原保輔を知ったのは杉本苑子さんの小説『散華』ですが
わたしがアウトロー好きということもあるんですけど、すごくわたし好みなセンチメンタルヤクザ男子になってて
そこから史実調べたりするうちにいつの間にかハマった人物だったりします。
あと彼の一族は曲者が多すぎる(元方とか陳忠とか保昌とか)。

989年1月23日、藤原兼家が雑談のさなかに出家の本意について実資たちに語ったそうですが
語りながら泣いていたそうで、実資は「宿願を催したてまつったのか」と書いています。
このとき兼家は還暦を迎えていて、実資は32歳。
青年が壮年期に入りそろそろ年齢や人生について考え始めたのではないかな…。
(ちなみに年末に太政大臣になりますけどね兼家)
また、2月11日に尊勝法・泰山府君祭があり御祭について安倍晴明が行っています。
晴明も儀式の日時を勘伸したり吉日を調べたりと、たびたび小右記に名前が出てきまして
御祭のときは68歳。
あと、985年4月25日に藤原為時、987年6月6日に藤原為頼、989年6月21日に藤原伊祐の名前があって
うおお~~紫式部のパパと伯父さんと従兄くんではないか!と興奮ひとしきり。

990年7月に実資は長女を亡くしていて
(毎日祈祷したり穢に気をつけたり栄養のある食事を用意したり
仏師を10人あつめて長女の等身大不動尊(フルカラー彩色)を作らせたり色々していた)、
「悲嘆・泣血」「悲慟に耐えない」「心神不覚」など悲しい記述が続くのですが
17日の初七日に「諷誦を珍皇寺で修した」の記述に一瞬、いろんなものが頭から全部吹っ飛びました。
六道珍皇寺じゃないすか!!( Ꙩ௰ꙩ )
長女の遺体は東山に置かれたとのことで(当時東山や鳥部野辺りは風葬墓地だった)、
東山のお寺で法事が行われるのはまあ当然ですが、まさか珍皇寺とは。
もしかしなくても小野篁のこと聞いてたり知ってたのかなああぁぁ実資、ありがとうございます(混乱)。
また8月3日には紫宸殿に異鳥が飛んできたとあって
カワセミのような姿形をしたそれは「水乞鳥(アカショウビン)」ではないかと物議をかもし、
次の日にどこへともなく飛び去って行ったそうで…
その鳥がそうだったかはともかく、アカショウビンがこの頃から日本にいたことにびっくりしたし
その時行われた占いが「病気や火事があるかも」という結果だったらしいのもびっくりした。
あと989年10月に着裳の儀を行った藤原定子が
1年後の990年10月に皇后になったときは「きたきた~~」ってテンション上がりました☆
実資は立后の儀式を記録しまくって(誰がいつ来て何をして退出したっていうのを数十人ぶん書いてる)、
定子や一条天皇については全然書いてないんだけど。

食べ物に関する描写もありまして、
985年6月18日に子どもの五十日の儀でお餅を準備したり
990年10月21日は亥の日なので尚侍の藤原綏子が亥子餅を用意していたり
993年7月28日に公卿たちに甘瓜が下賜されたり。
(饗応の記録もたくさんあるけど実資たんお酒のことしか書いてない)
あと食べ物関係というか、990年11月16日に実資は左大臣の話を聞きに行くはずが
二日酔いがひどくて行けなかったとか、
993年4月18日に風脚病(痛風)のため呵梨勒丸(正倉院にもある香薬)を飲んだとか
病気の治療が加持祈祷だけではなかったことも裏付けられますな。
ちなみに呵梨勒丸は医心坊(984年の医学書)にも書いてあって風病に効くとされていたものです。
(風病はすきま風のように人の体に入って頭痛や発熱を引き起こす邪気、つまり風邪のことで
呵梨勒丸はそれを撃退すると考えられていたそうな)

993年6月25日、菅丞相に贈位・贈官。
903年に亡くなった菅原道真に正一位左大臣と太政大臣が贈られたわけで、没後90年ですな。
実資のメモは「託宣によって行われるものである、ということだ」で、
翌7月5日の記事に外記多米国定が書いた贈位・贈官の儀式についての日記の一部を転写しています。
太宰府天満宮への勅使は菅原幹正、道真のひ孫にあたる人ですな。

藤原道長と藤原伊周の記述がぐっと増えた995年(実資38歳)の記事で2巻が終わっています。
とうとうあの騒動に向かっていくのだな…。
そして賢人右府まであと26年。

999年9月に一条天皇が猫のために行った産養の儀を「奇怪」って言っちゃったりとか(嗚呼)、
1018年5月に殿上が暑すぎて氷水を飲んだとか(真夏ですからね)、
同年10月の宴会で道長の望月歌をうっかり書いちゃったとか(お蔭で現代まで伝わりました)、
1019年のお正月に養子の資平が藤原彰子を訪問したら為時女が取り次いだとか
(お蔭で紫式部がこの頃まで生きていたと現代人は知ることができています)、
はやくその辺りも読んでみたいものだ。

…とか楽しんでたら国立公文書館さんが小右記の画像をツイートしてた、何というタイムリーな。
982年1月1日の画像ですから円融天皇の物忌みがあった日で
公卿は本来慶賀を奏上するのにしなかった、旧事を知らんのかと正月早々文句言ってる記事です。
このとき実資たん26歳。
今日は日記の日でしたか…入唐求法巡礼行記、土佐、紫式部、更級、
アンネやオルコットの日記あたりをまた読みたい。
そして…いつかどなたか出してください明月記の全現代語訳を~~!(他力本願)
ミラクル・ロマンス。
2016年05月10日 (火) | 編集 |
sailormoon1.jpg
六本木ヒルズ展望台スカイギャラリーで開催中の美少女戦士セーラームーン展に行ってきました☆
初日から大行列と聞いていましたがGWも終わったし、そろそろ大丈夫かなと思ったので。
わたしはアニメから入ってなかよしの原作を読み始めて最後まで追いかけた派で
アニメ後期やミュージカルはよく知らなくて全部はわからなかったけど、それでも楽しかったです☆
写真は入口のロゴ。細い三日月がアニメのサブタイトルバックみたいできれい!

sailormoon2.jpg
エントランスはシルバーミレニアムのお城をイメージした展示になっていて
コミックス完全版の表紙を飾ったタペストリーが下がっています。
これ満月の夜とかに見に来たら最高のシチュエーションですな。

sailormoon18.jpg
セーラームーンのバックに東京タワー。
たいへん!誰かと視線がかち合ったら異世界へ飛ばされちゃうよ!(それ別のアニメ)
(東京タワーでレイアース展やったら何の冗談かと言われそうですが楽しいだろうなと思う)
相変わらず見晴らしがよくて、マンガの舞台は麻布十番なのでここからもよく見えました。

sailormoon3.jpg
セーラー戦士たちのパネル☆
この前に大きなカメラが設置されて、スタッフさんが無料で写真を撮ってくれて
小さなカードにプリントして持ち帰ることができます。
皆さん「愛と正義の…」のポーズや「月に代わっておしおきよ」のポーズとか取ってて楽しそうでした^^

sailormoon7.jpg
セーラー戦士パネルの足元のガラスケースにはなかよしや原作コミックスに混じって
アニメから派生した絵本やコミックス、フィギュアやぬいぐるみ、文房具からおもちゃなどが
ぎっしり並んでいました。
「これ持ってた!」「なつかしいー」「今も持ってる」的な会話がたくさん聞こえてきた^^
(展覧会の内容上、鑑賞者はわたしと同年代がほとんどで
お友達同士やカップルやベビーカーを押すお母さんたちなどでしたが
シックな方フリルな方ゴスロリな方コスプレみたいな方などファッションは多彩だった)
ゲーム「場外乱闘!主役争奪戦」のプレイ画面がスト2そっくりで
やっぱあのゲームの影響は計り知れないなあと思わざるを得なかった。

sailormoon8.jpg
アルテミースっ☆
アニメージュは何度もセーラー戦士が表紙を飾っていたなあとなつかしく思い出すと同時に
巻末のキャラクター投票ではるかさんが数年にわたり君臨していたなあとやっぱりなつかしく。

sailormoon4.jpg
今回の展覧会のために武内直子氏が描きおろしたプリンセス・セレニティのタペストリー。
当時と変わらずしっとりキラキラした色づかいで
銀が主体ではないのに銀色に見えるのはさすがだなと思う。
セレニティはアナログ、アクセと背景はデジタルで仕上げられているのが近くで見るとわかるけど
遠くからだと色が混ざって全然違和感がなかった。
大きく引き伸ばしてくれるとデジタルでもタッチがわかりますから、効果などの勉強にもなる。

sailormoon5.jpg
みんなの憧れ、ムーンスティック☆おととし発売されたものです。
子どもの頃に見たままに再現されているのが高ポイント☆
当時はこれが欲しくてもなかなか買ってもらえなくて、友達に借りて一緒に遊んでいた覚えがあります。
わたしが持っていた銀水晶(これは買ってもらえた)をセットすると光と音が変わったのだ。

sailormoon6.jpg
こちらも最近発売の聖杯・レインボームーンカリス。
ガラスケースの展示なので浮いてるみたいに見えて、むちゃくちゃきれいだった。

セーラームーン公式年表パネルはクイーン・セレニティからセーラーコスモスまで
原作のストーリーが大まかにまとまっていたし、
コミックスのカットをまとめたスペシャルムービーも気づいたら3回くらい見ていた。。
第1話をカラー化した原稿パネルは全ページが展示されていて
当時ワクワクしながら読んでいた気持ちを思い出せました。
モノクロマンガに色がつくと生き生きして見えるねえ。
うさぎが初めてセーラームーンとして名乗りを上げるシーンが大きく引き伸ばされていて
わたしの大好きなシーンなのでうれしかった。
ひとつ発見があって、当時はムーンフリスビーだったセリフがムーンティアラブーメランになっていて
あっそうか、それでクリスタルアニメはフリスビーじゃなくブーメランだったのかと理解できました。
フリスビーはアニメではムーンティアラアクションに変更されているので
初版の原作Onlyの貴重な技なんだな~。
第1話が掲載されたなかよし1992年2月号もあって
表紙のセーラームーンもかわいいのですけど、他の連載陣を見ると→こちら
きんぎょ注意報もミラクルガールズもわんころべえも同時期にやってたんだなあと思って
ぐわっと懐かしい気分になって
さらに隣の展示ケースにはなかよしのふろくに懸賞グッズ、応募者全員サービスなどもあって
思わずうおおおおおって叫ぶところだった。
サービスと言いながらしっかり切手(後に郵便為替になった)でグッズ分の料金を取っていた
あの応募者全員サービスというやつ!!
ちびうさの時空の鍵と鏡(マジックミラーになってて日光を反射させて壁に当てると月マークが映る)とか
持ってたよまったくもう~~いつの間にかどこかへやってしまったけど。
ふろくはノートにトランプにレターセットなど、懐かしすぎて手に汗かいた。

アニメコーナーは92年にアニメ化されたときの制作資料や
当時発売された変身グッズ、フィギュア、着せ替え人形、お菓子、ステーショナリーやインテリア家具などが
壁と展示ケースにぎっしり。
壁一面に貼られた設定資料や当時の雑誌切り抜き記事からスタッフの奮闘がうかがえます。
背景画やキャラクターデザイン画は家具の配置、髪の毛のハイライトとか目やアクセの色とか
制作にあたっての指示が「ほ~こういう考え方なのか」とかわかって好きなのですが、
たまにスタッフさんの遊び心あふれる何気ない書きこみがあって楽しい。
ジュピターちゃんのアンテナは「たまに出して敵を倒します」みたいなことが書いてあったり
ブラックレディの布は天女の羽衣みたいにヒラヒラさせたり手に持たせるなど臨機応変に!とあったり
スーパーズ編でヴィーナスちゃんに「なんとピアスの形が変わりました!」と書いてあったり
デスバスターズ編の全キャラ身長対比画の土萠教授だけ真っ黒でふふふってなってて
神谷明氏の声が聞こえてくるようだったし、
セーラーギャラクシアの身長が実はスターメイカーと同じくらいだったりするとか
裏設定が色々見られてワクワクした。
各国版セーラームーンのコミックスはフランス語とイタリア語がかろうじて読めたけど
タイ語やスペイン語とかになるともう読めないね…^^;
関連グッズも何から何まで懐かしくて、
ムーンキャッスルとムーン・マーズ・ジュピター・ちびうさ・ルナPのミニフィギュアとかうちにあったよ!
何年も前に親戚のお子ちゃんに差し上げてしまったけど。。
すぐ剥がせるマニキュアとか通信機型ウォッチとか電子手帳とか(当時は電子手帳がやたら流行っていた)
あれもこれも欲しかったなあ、友達と貸し借りしたなあとか色々思い出してしまった。
あとこのゾーンで一番笑いそうになったのはセーラー戦士がプリントされた自転車と
ムーバー「いけいけセーラームーン」です(笑)。
昔なつかしいデパートの屋上遊園地みたいなとこにあった乗り物で
100円入れると音楽が流れて数分動いてくれるアレです→こちらの1分45秒くらいにあります
さすがにもう乗りたいとは思いませんが、
子どもの頃のわたしが見たら乗りたくて乗りたくて気が狂いそうになっていたに違いない。

sailormoon9.jpg
ネオクイーン・セレニティとキング・エンディミオンの衣装再現コーナー!撮影できます☆
ウェディングドレスとか作ってるブランドさんが再現したそうです。

sailormoon10.jpg
襟や胸飾りの細かさにホレボレ、このまま結婚式の衣装として使えそう。
セレニティのティアラも憧れだったなあ。

アニメ第1話の絵コンテや台本もよかった。
絵コンテは必要最小限のト書きとセリフだけ書いてあるんですが
変身シーンは結構細かく描いてあって完成映像が目に見えるようだったし、
これだけ設計がしっかりしてればあのクオリティになるなあと。
最後のポーズのト書き「決める」で吹きだしてしまった(笑)ポーズじゃないんだ、キメ顔なんだあそこ!
セル画も様々なカットがパネルにたくさんあって
どのシリーズの話か、内容はどんなだったか言えてしまう自分がこわいし
次々に当てていく鑑賞者さんもいてやっぱりこわい(笑)。
この作監さんは毎回きれいで楽しみだったなあとか、あの作画さんは癖が強いんだよなあとか
子どもながらに色々楽しんで見ていたような覚えが。
4つのパネルにびっしり貼られたカードダスのカードが懐かしすぎて泣きそうでした、
亜美ちゃんとかセレニティのキラカード持ってる子は問答無用で尊敬されてたなあ…。
ミュージカルで実際に使われたガーネット・ロッドとサイレンス・グレイブは
たぶんプルートとサターンが実在したら原寸大と思われるようなリアリティで
このロッドで時間止めてみたい、グレイブ振り下ろしてみたい…!という背徳感に襲われかねない。
ミュージカル映像もモニターで少し流れてました~♪
タキシード仮面を大和悠河さんが演じるということで話題になったよね。
劇中で大和さんが実際に着用したエンディミオンの衣装も展示されてて、結構がっちりした作りだった。
最近、復刻や再発売され始めたグッズも展示されてて
フィギュアやコスメやアクセサリーが中心なのは
大人になったセーラームーンファンを意識してのことなのでしょうか。
マスカレイドの扉絵のうさぎ&まもちゃんと、月に座るセレニティの再現率が高くて欲しくなっちゃった。

あとモニターで歴代オープニング&エンディング映像がノンクレジットで延々流れていて
全部で20分くらいあるんですけど結局棒立ちのまま全部見てしまった。。
ムーンライト伝説がやっぱり一番好きですが、セーラースターソングも何だかんだで歌えるので
結構気に入ってたんだろうなあ自分。(武内氏の詞もかっこいいし)
乙女のポリシーむっちゃテンションあがるし、プリンセスムーンや風も空もきっと好きだったし
タキシードミラージュはセーラー戦士たちの斉唱が心震えます!
(挿入歌の夢見るだけじゃダメとか愛の戦士も好きだったなーあと亜美ちゃんの同じ涙を分け合ってとか)
そして92~97年にかけて映像技術が飛躍的に進化していく様を目の当たりにしたぜ…!
特にスーパーズやスターズのキャラの動かし方とか武器の輝きとか、花の舞い散る様とか
ああこの辺りの技術がウテナにつながっていくんだなとか思うと胸熱でした。
幾原氏がRの監督だったと知ったのはウテナを見た後だけど
現在BSで再放送中のRを見ていると、過渡期というか経過というか、自然な流れを感じる。

sailormoon11.jpg
お待ちかね!武内直子氏の原画コーナーにきたよ。
キービジュアルにもなっているセーラームーンの足元には直筆サインがありました~かわいい☆
カラーインクで幻想的な雰囲気の初期絵からデジタルに移行された最新まで
なつかしのなかよし扉絵やコミックスの表紙がズラリと。
第2部クライマックスのときの扉絵、ネオクイーン・セレニティがかっこよかった!
うさぎちゃんはプリンセスのときはかわいいけどクイーンになると品格が加わるよね、ほんとかっこいい。
FRaUの表紙にもなった清川あさみさんとのコラボは毛糸と宝石と花がすごく自然に配置されていて
キラキラしていてきれいだった。
ギャラクシア様がめっちゃ美しくて原画を見られたことに感謝。
わたし何気に敵キャラの中でギャラクシア様が一番好きなんですけど(強いし誇り高いし)、
原作クライマックスでセーラームーンが自分の星だと気づくくだりがもう泣けて泣けて。
(スターライツと火球の絵がなかったけど次回の展示替えでは出てくるかな…)
描きおろし原画は2点。→こちら
セレニティはさっき巨大なタペストリーを見たけど原画もやっぱり幻想的だし、
戦士集合絵の、戦士たちが身につけているアクセや桜の花が本物の画像からコラージュされてて
それをアナログとなじませるのではなくあえてそのまま使っていて、でもやっぱり違和感なくて
こういう表現もありだ、と提示された感じがして恐れ入りました。
昔はシールやマステを使ってそういうのも描いたけど、今はデジタルでそれができるんだな…
いい時代になりましたね。

sailormoon12.jpg
出口には現在放送中のクリスタル3期のキャラクターパネル☆
等身大のようだったので背比べをしたらわたしはジュピターちゃんと身長がほぼ同じで
ウラヌスとプルートは頭一つ大きく、あとの戦士は少し低かったです。ちびムーン小っちゃ!(笑)
わたしにとってのバイブルはやっぱり90年代アニメの声優さんですけど、
クリスタルも見慣れてきたのでキャラデザを見れば今の声優さんの声が聞こえるようになりました。
緒方さんと勝生さんのウラネプは永遠ですが、皆川さんと大原さんのウラネプも超かっこいいんじゃ…!
特にてよだわ言葉でしゃべるはるかさんをアニメで見たかったので
再現してくれたクリスタルスタッフには大感謝しています。

sailormoon13.jpg
ギャラリーに併設しているカフェが期間限定でちびうさカフェになっています☆
セーラー戦士をイメージしたお料理が食べられるのでやって来ましたが
入場待ちの行列ができていて30分ほど待ちました。

sailormoon14.jpg
カフェにin!
テーブルにはセーラー戦士とタキシード仮面がランダムにプリントされていて
わたしはちびムーンとブラックレディのお席でした^^

sailormoon15.jpg
3種のタリスマンカリー☆
イカ墨(甘口)、イエロー(中辛)、ほうれん草(辛口)のカレーの上に
プルートのガーネットオーブ、ウラヌスのスペースソード、ネプチューンのディープアクアミラーが乗ってます。
カレーの色がそれぞれの髪色のイメージになっててすばらしい☆
そしてネプチューンめっちゃ辛かった;;あまりしたことないんだけどお冷のおかわりしました。
(あと食べてる時に思い出したのですが無限学園は無限州(天王洲がモデル)にあるわけで
東京タワーの向こうだから六本木からもだいぶ近いなと思った)

sailormoon16.jpg
天空のミラクル・ロマンスパフェ☆
展覧会のキービジュアルをイメージしたパフェで
アイスとパイ生地とイチゴとクリームの下に4層のゼリーがぎっしり詰まってます。
なんだか仙台藩主の兜みたいな月が印象的。ゼリーのグラデーションがすばらしいんじゃ!
白クリームと青ゼリーのところにリボンがついてるのがセーラー服の襟みたいで絶妙な配置☆
月とリボンはチョコレートでした。

sailormoon17.jpg
てっぺんのフランボワーズのソルベ!この日はアイスクリームの日でもありました。
普段はあまりアイス食べないんですが、こういう時はなぜか食べられる( *´艸`)ベツバラ
他にも変身ブローチをイメージしたハンバーガーとか、ルナPボールのケーキとかの食品サンプルが
入口に展示してあったので写真いっぱい撮ってしまった。
タキシード仮面のパスタ、バラが散らしてあるパスタって初めて見ました^^;どんな味だろう。
いろはにほへと読書記録。
2016年03月31日 (木) | 編集 |
#春の読書好き五十音フェア なるハッシュタグをTwitterで見かけて面白そうだなと思ってやってみました。
すでに呟き済ですが、うっかり「む」を入れ忘れてツイートしてしまったのと
140字では入り切らなかった本もついでに入れて完全版を作りたかったので記事にしようと思います。
(最初は1文字につき1作品に絞って頑張っていたけど好きな本多すぎて途中で頑張れなくなりました、
我慢は精神衛生上よろしくありませんので欲望のままに書くよ)
ではいってみよー。

あ:『赤毛のアン』ルーシー・モンゴメリ、『アギーの祈り』濱野京子、『アサギをよぶ声』森川成美、『天と地の方程式』富安陽子
い:『家守綺譚』梨木香歩
う:『うろんな客』エドワード・ゴーリー
え:『営繕かるかや怪異譚』小野不由美
お:『オリビア』イアン・ファルコナー、『鬼の橋』伊藤遊、『陰陽師』夢枕獏
か:『鏡のなかの鏡』ミヒャエル・エンデ、『かぎばあさんの魔法のかぎ』手島悠介、『華氏451度』レイ・ブラッドベリ、『風の陣』高橋克彦、『カブキブ!』榎田ユウリ、『髪結い伊三次捕物余話』宇江佐真理、『カーテン』アガサ・クリスティ
き:『きもの』幸田文、『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子、『ギャシュリークラムのちびっ子たち』エドワード・ゴーリー、『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
く:『くちびるに歌を』中田永一、『クラバート』オトフリート・プロイスラー、『グリーン・ノウの子どもたち』ルーシー・ボストン、『車のいろは空のいろ』あまんきみこ、『黒ねこサンゴロウ』竹下文子
け:『獣の奏者』上橋菜穂子
こ:『こわれた腕輪(ゲド戦記)』アーシュラ・K・ル=グゥイン、『コンビニたそがれ堂』村山早紀
さ:『さんぞうほうしのかえりみち』せなけいこ
し:『シノダ!』富安陽子、『少女海賊ユーリ』みおちづる、『地獄変』芥川龍之介、『シャガールと木の葉』谷川俊太郎、『十一月の扉』高楼方子、『十二国記』小野不由美
す:『スイミー』レオ・レオニ、『砂の本』ホルヘ・ルイス・ボルヘス
せ:『精霊の守り人』上橋菜穂子、『絶海にあらず』北方謙三
そ:『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ、『空色勾玉』荻原規子
た:『タンタンタンゴはパパふたり』ジャスティン・リチャードソンとピーター・パーネル、『檀林皇后私譜』杉本苑子
ち:『ちいさいモモちゃん』松谷みよ子
つ:『つるばら村のパン屋さん』茂市久美子
て:『天山の巫女ソニン』菅野雪虫
と:『時の旅人』アリソン・アトリー、『図書館ねこデューイ』ヴィッキー・マイロン、『図書室で暮らしたい』辻村深月、『鳥彦』今野寿美、『ドルフィン・エクスプレス』竹下文子
な:『直樹とゆう子の物語』松谷みよ子、『夏への扉』ロバート・ハインライン
に:『庭師の娘』ジークリート・ラウベ
ぬ:『ぬいぐるみおとまりかい』風木一人
ね:『猫語の教科書』ポール・ギャリコ
の:『農場に暮らして』アリソン・アトリー
は:『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ、『花闇』皆川博子、『晴れた日は図書館へ行こう』緑川聖司、『パディントン発4時50分』アガサ・クリスティ
ひ:『緋色の研究』コナン・ドイル、『ピーターラビットのおはなし』ビアトリクス・ポター
ふ:『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
へ:『碧空の果てに』濱野京子
ほ:『ボッコちゃん』星新一
ま:『魔女の宅急便』角野栄子、『魔法使いハウルと火の悪魔』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
み:『緑の精にまた会う日』リンダ・ニューベリー
む:『ムーミン谷の彗星』トーベ・ヤンソン
め:『名探偵カメラちゃん』ディビッド・アドラー
も:『モモ』ミヒャエル・エンデ
や:『闇の左手』アーシュラ・K・ル=グゥイン
ゆ:『床下の小人たち』メアリー・ノートン
よ:『倚りかからず』茨木のり子
ら:『ライラックの花の下』ルイザ・メイ・オルコット
り:『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ
る:『ルリユール』村山早紀
れ:『レッドデータガール』荻原規子
ろ:『路地裏のあやかしたち』行田尚希
わ:『わからん薬学事始』まはら三桃、『和菓子のアン』坂木司

小説と絵本と詩集が混ざってますが、基本的には読みもの中心です。
「あ」「く」「し」「と」「は」が好きなタイトル多すぎてめちゃくちゃ悩みまくりました!
パッと思い出してすぐ埋まるのとなかなか思いつかないのと差が激しい、けど楽しい。

ついでに漫画もやってみよう。

あ:『赤髪の白雪姫』あきづき空太、『赤ずきんチャチャ』彩花みん、『あさりちゃん』室山まゆみ、『ARIA』天野こずえ、『アルテ』大久保圭
い:『犬夜叉』高橋留美子
う:『嘘解きレトリック』都戸利津、『詠う!平安京』真柴真、『ウラカタ!』葉鳥ビスコ
え:『E'S』結賀さとる、『X』CLAMP、『えへん龍之介』松田奈緒子
お:『王国の子』びっけ、『おいらんガール』響ワタル、『鬼さん、どちら』有永イネ
か:『カードキャプターさくら』CLAMP、『怪盗セイント・テール』立川恵、『かげきしょうじょ!』斉木久美子、『風の谷のナウシカ』宮崎駿、『鞄図書館』芳崎せいむ、『かぶき伊左』紗久楽さわ、『ガラスの仮面』美内すずえ
き:『鬼外カルテ』碧也ぴんく、『きのう何食べた?』よしながふみ、『銀のトゲ』喜多尚江、『銀の匙』荒川弘
く:『くるねこ』くるねこ大和
け:『結界師』田辺イエロウ
こ:『胡鶴捕物帳』片桐美亜
さ:『さよならソルシエ』穂積
し:『重版出来!』松田奈緒子
す:『スパイラル~推理の絆~』城平京・水野英多
せ:『戦国ストレイズ』七海慎吾、『千年万年りんごの子』田中相
そ:『総員玉砕せよ!』水木しげる
た:『たまゆら童子』佐野絵里子、『たむらまろさん』ユキムラ
ち:『千歳ヲチコチ』D・キッサン、『チンプイ』藤子・F・不二雄
つ:『TWIN SIGNAL』大清水さち
て:『天上の虹』里中満智子
と:『東京BABYLON』CLAMP、『東京物語』ふくやまけいこ、『翔んで埼玉』魔夜峰央
な:『夏目友人帳』緑川ゆき
に:『20世紀少年』浦沢直樹
ぬ:『』
ね:『猫嬢ムーム』今日マチ子、『猫絵十兵衛御伽草紙』永尾まる
の:『のだめカンタービレ』二ノ宮知子
は:『ハイキュー!』古舘春一、『鋼の錬金術師』荒川弘、『BIRDMEN』田辺イエロウ、『PandoraHearts』望月淳、『パタリロ』魔夜峰央
ひ:『日出処の天子』山岸涼子、『美少女戦士セーラームーン』武内直子、『ひなぎく純真女学園』ふくやまけいこ、『ヒノコ』津田雅美、『ヒカルの碁』ほったゆみ・小畑健、『ピーナッツ』チャールズ・シュルツ
ふ:『フルーツバスケット』高屋奈月、『ぶっしのぶっしん』鎌谷悠希、『BLACKJACK』手塚治虫、『文豪ストレイドッグス』朝霧カフカ・春河35、『プライベートアイズ』野村あきこ
へ:『ベルサイユのばら』池田理代子
ほ:『封神演義』藤崎竜、『ホイッスル!』樋口大輔、『ぼくの地球を守って』日渡早紀、『ポーの一族』萩尾望都
ま:『魔法騎士レイアース』CLAMP、『まぼろし谷のねんねこ姫』ふくやまけいこ
み:『耳をすませば』柊あおい、『ミントな僕ら』吉住渉
む:『向ヒ兎堂日記』鷹野久、『夢幻伝説タカマガハラ』立川恵、『蟲師』漆原友紀
め:『名探偵コナン』青山剛昌
も:『もやしもん』石川雅之
や:『ヤマノススメ』しろ
ゆ:『幽遊白書』富樫義博
よ:『夜明けの図書館』埜納タオ
ら:『らんま1/2』高橋留美子
り:『聖伝(リグ・ヴェーダ)』CLAMP、『竜のかわいい七つの子』九井諒子
る:『るろうに剣心』和月伸宏
れ:『』
ろ:『倫敦館夜想曲』野村あきこ
わ:『ワールドトリガー』葦原大介

何だか小説絵本ver.より節操なくなってしまった…選べなかった。
「ぬ」と「れ」が思いつかない、何かあったかな??
思いついたり、他にも「あ、これ」と思い出したら足していくかもです。


【問題】なぜ同じ作家の本がいくつも入っているのか?
【答え】同じ作家の本ばかり読んでいたから

基本的にわたしは昔から作家読みをしていて、
ひとつの作品を読んで気に入ったら「この人ほかにどんな本書いてるんだろう」と興味がわいて
過去作を一通り読みとおす場合が多いです。
最近になってようやく作品読みができるようになってきまして
色んなジャンルに手を出すようになったかなと思います。
あと、一度気に入った本は3回は繰り返し読みますので
「趣味は読書」とはいえそんなにたくさんの数を読んだわけではないですね。
初読でワクワクし、2回目で伏線や読み落とした部分を発見し、3回目は内容を忘れた頃に読むのが楽しい。
ので、人から「おもしろい本教えて」とか言われると大変困惑します。。
一応、相手に興味の範囲を聞いて、わたしの範囲と似ていれば薦めやすいですが
人間十人十色ですから少し違ったり真逆だったりすることの方が多いですし、
何よりわたし自身がそんなに数を知らないので偏ってしまわないか心配。
それでも、取っかかりになればといくつか列挙してみて
相手が読んで有意義な時間だったと思ってもらえればうれしいし、
もしそうならなくてもそれはタイミングが悪かったりご縁がなかっただけなので
特に落ち込むことはないです。(昔は落ち込みましたが)
次の機会にはもうちょっとうまくやれたらいいな、とは思いますけども。
春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香久山。
2016年03月23日 (水) | 編集 |
単行本の完結巻が去年発売したばかりだったので
文庫になるのは2~3年先かなあと呑気に考えていたのですが、
先日、書店の漫画文庫コーナーをふらりと眺めたらなんと発売されていましたので
びっくりしてそのままレジに『天上の虹』文庫最終巻を持って行きました。
会計を終えて奥付を見たら去年の11月刊行だった…知らなかったよ…。
あの時ほんとに、ほんとにふと文庫コーナーに足が向いてよかった、でなきゃ気づかないままだった。

tenjoniji.jpg
並べると壮観。

『天上の虹』は持統天皇が生まれてから死ぬまでの57年の生涯を
史実とフィクションを織り交ぜて描かれた歴史漫画です。
わたしは普段、そんなに歴史小説や漫画を読む方ではないのですが
この漫画は読ませる力が強くて読み始めると止まらなくて、
「そういえばあのセリフが」とか「あの場面どうだったっけ」とか、何かのきっかけでページを開くと
最初からだろうが途中からだろうがキリのいい部分まで読んでしまう。
額田王と柿本人麻呂がすごくいい立ち位置で、忍壁とか大津皇子とかも好きですが
やっぱり惹きつけられてしまうのは主人公の持統天皇かなあ。
万葉集の歌がいくつか、さらりと、しかし印象深く残るように使われていて、そこも見どころかと。

七人の侍やガンバの冒険みたいな「社会的に弱い立場の者たちが力を合わせて理不尽とたたかう」話は
たいへん燃えるゆさでありますが
「社会的に上に立つ者の立場ゆえの力と苦悩」のようなものを描いた作品も大好きだったりします。
天上の虹も、天智・天武・持統の3人が感情よりも政治を優先せざるを得ない部分を描きつつ
時折垣間見える優しさや情愛や苦悩がうまく緩急を作り出しているので
読んでいて飽きません。
どの人物も人間として複雑かつ深く描かれているのがいいなあと思う。
誠実に国づくりをしたいと思っていてもいざという時はシビアにならなきゃいけなかったり
でも感情で納得できなかったり、必死に言い聞かせながら執行したり
晩年にはその揺らぎもだんだん失っていく持統天皇から目が離せません。
氷高皇女や、後半の但馬皇女もそんな感じだなあ。
逆に草壁皇子や文武天皇は感情をコントロールできない誠実な人たちとして描かれていて
個人的には彼らの気持ちの方がわかる気もする。
そんな風に振り回されてしまう人や、抗おうとする人、支える人、静観する人など本当にたくさんの人間がいて
全員性格も考え方も描き分けられていて被ってないのすごい。
史や三千代など欲望のままに生きる人のことも憎めないのは里中さんのまなざしの暖かさというか
「人間誰しもそういう感情はある、でも行動に起こしたら想像以上の化学反応が起きる」ことを両立させて
誠実に描いていらっしゃるからのようにも感じます。
三谷幸喜さんとか、宮藤官九郎さんとかもそうだけど。

ストーリーや演出もさることながら、里中さんの絵やページ構成の力も強いと思う。
「教科書で」「写真集で」「研究書で」「美術館や博物館で」「別の作品の挿絵で」見たもの知ったものが
衣装や髪型はもちろん、小道具や建物まで細かく再現されていて見ごたえがあります。
女性たちの衣装は、前に平城京遷都1300年祭の衣装体験で着たなあとか
藤原宮子のベッドは正倉院展で見た聖武天皇のベッドみたいだなあとか。
あと、いわゆる「歴史書の行間」におけるドラマの作り方が濃いです。
たとえば10月にある場所にいた主人公が、11月に別の場所にいるまでの間にこんなエピソードがあって
それが後々、史実のこの出来事に関わってきてどんな影響を及ぼすのか…みたいな。
一瞬、ぎょっとするようなエピソードもこの漫画においては必要だったんだと思わせるような
説得力が随所にあります。
もちろん、それらは里中さんの解釈なので様々な意見があると思いますが
わたしはこういう漫画だからなーと思って読んでいたので特に気になりませんでした。

エピローグに、後世に盗人によって天武・持統陵から持ち出された持統の骨壺から
骨だけが山の中に捨てられて壺が戻されたというエピソードが紹介されていました。
天武・持統陵は10年以上前、飛鳥を旅行した際に訪れたら
木がもっさり生えてて森のようだったのを覚えています。
その日はちょうど晴天にめぐまれたのと、とても静かな場所だったのでまたお参りに行きたいな…。

というわけで記事タイトルは完結記念に百人一首2番です。
(万葉集は「夏来たるらし」ですがわたしが慣れ親しんでいるのは百人一首の「来にけらし」なのでこちらを引用)
里中さん32年間の執筆本当にお疲れ様でした。
掲載雑誌が休刊になって引越し先も休刊、他のお仕事とも併走しながら描きおろしで続けられて
参考文献は1500冊を超えたため巻末に記載できなかったそうです。いやはや。
(確か夢枕獏さんの『沙門空海~』もそんな感じで何年もかけて完結したんじゃなかったかな…
来月に歌舞伎座で染五郎さんが演じるので観に行きたい)


わたしが持統天皇を初めて知ったのは百人一首だったように思います。
子どもの頃に姫めくりや坊主めくりで遊んでいたし、
2番目の歌だったこともあって(1番目は天智天皇ですね)覚えやすかったんですね。
学校の古典の授業で「できるだけ数を暗記してこい」的な宿題が出たときにまったく覚えられなくて
(今でこそ歌の鑑賞も人物の研究も好きですが、当時のわたしは
「この人どんな人生送ったんだろう」的なパーソナリティの方に興味があって歌は二の次だったんです)、
「とにかく女性の歌だけでも覚えよう!」と女性の歌人たちの絵札を引っぱり出して書き写して
やっぱり最初に覚えたのも持統天皇でした。
万葉歌人の特徴ですが、言葉が平易でわかりやすかったのと景色がありありと想像できる歌で
今もそらで詠じられるし書けます。
ちなみに次に覚えたのは小野小町で、その次に覚えたのは式子内親王か小式部内侍だったような…
前者はカラフルな絵札とセットで歌も覚えた感じで、後者は内容に強さを感じて。
好きな歌は紫式部のと伊勢大輔の。情景が美しいから。


そういえば先日、竹宮恵子さんの自伝『少年の名はジルベール』を読んでいたら
手塚治虫からCLAMPまで、色んな漫画家さんのお名前が随所に出てきておもしろかったです。
「戦国時代のようであった」らしい出版社の記念パーティや謝恩会会場では
「講談社は里中満智子さん、大和和紀さんの2人が時代を席巻して一歩リードという雰囲気を濃厚に漂わせていた」
なる一文がp.128にあってもう、光景がありありと目に見える気がしました。
別に出版社のパーティに行ったことあるわけじゃないんだけど。
(しかしこの本すごく読みごたえあります…文章に熱があって血が流れてる気がする。
風と木の詩を連載にこぎつけるまでの編集部との攻防が手に汗握るし、
山岸涼子さんたちとのヨーロッパ旅行の取材はこっち(読み手)の五感も刺激してくる文だし
ファラオの墓は時代考証をしっかりしつつ面白さを優先して嘘をついた部分もあるとか…
「仏の嘘を方便と言い、武士の嘘を武略と言う」と言ったとされるのは明智光秀ですが
漫画家の嘘は演出と呼ばれる日が来るかもしれないね。
そしてそんなに詳しく描かれているわけではないはずの萩尾望都さんの存在感が
全ページにわたり濃厚に漂っているのもすごい。
モー様は先日、「浦沢直樹の漫勉」で筆致を拝見できてしあわせでした。ポーの一族読み返したい)
目覚めよと呼ぶ声が聞こえ。
2016年02月10日 (水) | 編集 |
森川成美さんの『アサギをよぶ声』全3冊を読みました。
スカイエマさんの力強いタッチの表紙にひかれて何となく読んでみたら
続きがどんどん気になってワーッと一気読み。
古代日本のような世界観の、ひとりの少女の生きざまを描く物語です。
(人生でも生き方でもない、生きざまって感じだなと読み終えて思いましたので…
シンプルなタイトルの児童書ですが内容はすっげえ硬派でハードボイルドだった)

「男だったらよかった」とか親に言われる、紫式部日記のような書き出しに始まり
弓矢で獲物をとり布を織り金銭ではなく物々交換で生計が成り立つ時代の小さな村が舞台。
子どもたちは12歳になると成人扱いされて男の子は男屋に入って戦士になるため武術訓練に励んで
女の子は女屋に入って機織りの仕事をする…みたいなルールが
アサギの「戦士になりたい」という行動とともにさりげなく説明されて
だからハヤがアサギを追い払わなかったときは「よっしゃあ話が動き始める!」と胸が熱くなりました。
男屋の男の子たちがエスカレーター式に戦士になれるのを羨ましがりながら
夜な夜なハヤのもとに通って矢尻作りと「モノノミカタ」を習得していくわけですが、
毎日訓練ができる男の子たちと違ってアサギはハヤに毎日会えるわけじゃないから
どうしても遅れを取ってしまう。
それでも男の子たちとの何気ない会話や山で出会った猿との交流、時々聞こえる声を通して
「物事をありのままに見て、なにものにもとらわれずに意味を考え」られるようになっていく姿は
翼を手に入れたかのようで、知識は武器だなあと改めて。
戦士になるための競い合いに出場して勝ち抜いても
長老たちの反対にあって結局その時は戦士にはなれなかったけど、
その現実をまずは見つめてまた別のアプローチをかける姿勢に彼女の本気が見えて泣けた。
わたしは弓を射たことはないけど、「バスッ」のト書きはお腹に響いたな…。

タイトルにもある「声」をアサギやハヤが聞くのは無意識の具現化というか、
単に人より働く勘が声となって聞こえているようにわたしには思えたのだけど
その感覚に体が追いつけるのは本人の能力だと思う。
的を見たとき、どこにどれだけの力で矢を放てばいいかすぐわかってしかも完遂できる感じ。
(ハイキューでスパイカーが「(打つポイントが)見える」と言って綺麗にスパイク決めたりしますけど
あれに近い気がします)
ああいう現象がスピリチュアルなのかオカルトなのか、いわゆる「天に愛された」的なものか
わたしにはわかりませんけども
「今だ」「そこだ」「ちがう」など単語が多いのが古事記の一言主みたいだなって思うし
無骨な雰囲気も相まって古代っぽくてじわじわくる。
アサギはまだ子どもなので声をたよりに矢を放ってるけど、
いつか弓の名手になったら聞こえなくなるのかもしれないな…。
で、また別の新しいことを考えたり学ばなきゃならなくなったら、また別の声が聞こえるんだと思う。

ハヤのかっこよさは本人の生き方と物の見方からにじみ出ている。
山頂で火をたく夜の見張りをしながら、アサギの話をちゃんと聞いてくれて
戦士の仕事とアサギの能力と、やるべきことを具体的に示して見守ってくれるし
アサギの力量を「女の子だから」ではなく「今のこいつの力はこのくらい」的な計り方なのもいい。
1巻のラストで、仲間にするみたいな仕草でアサギの肩を抱くシーンが好き~。
読みながらなんとなく精霊の守り人のジグロを思い出していたのですが
(亡くなった親友の娘を教育するおじさんという点で共通しているなと)、
ジグロはほぼ放任してたけどハヤはつかず離れず的な関わり方ですね。
最後は諦めないでほしかったけどかっこよかった…!
あの村人たちの中にあって、彼が自分の考えを保ちながら立ち位置を確保できているのは
本人の訓練と昔からのルールがあるせいかな。
風立ちぬの「会社は全力で君を守る、君が役に立つ間は」のセリフではないですが
戦士として強いことが支えになってる部分はあると思う。

イブキとアサギの関係、イブキがアサギの気持ちを半分もわかっていなかったように
アサギもイブキの気持ちをほとんど理解できてなさそうだけど
向いてる方向が一緒なのでこれからも話し合いながらいい関係を築いていくんじゃないかと。
サコ姉さんはたぶん、アサギの生き方にはついていけない人ですが
ストレートにアサギを大切に思ってて必ず味方でいてくれるのが船を待つ港のようで好き。
ヤチとタケはいい関係だったと思うんだけどなあ…!
巫女のおばあちゃんは物語の中盤、アサギの話を聞いて頼りにしてくれるようになったら
大好きになりました。
おばあちゃんは昔アサギだったんじゃないかな…と思えるくらい話ぶりが現実的で
過去に色々諦めたり譲らなかったりしたような印象が個人的にはありますがどうなんだろう。
アサギたちが出陣するとき、舞は省略するけどお祈りだけねってしてくれるのがいいなー。
あと、何気に好きなのは機織りのおばあちゃんとナータ。
おばあちゃんは兵糧支度の手際の良さがめちゃくちゃかっこよくて
きっとダイとハヤを怒鳴りつけながら見守って来た人だろうなと思う(╹◡╹)。
ナータは「戦はいい商いになるの」のセリフでガチだ!って思ったし
経験に裏打ちされたリスクマネジメントからちょっとやそっとじゃ動じなくてまさに「商人」って感じ。
アサギと同じようにロールモデルを持たない彼女だから
何にもとらわれずに見て考えて判断する癖が無意識についてそうで
主体的に生きてますね、たくましい。
アサギに商売の仕組みや舟の漕ぎ方を教えるシーンがほほえましい。

読んでるうちにこれはやばいんじゃないかと思ってたことが杞憂に終わったのもよかった。
なりたくてたまらなかった戦士が、どういう仕事かわからない時ほど憧れて
おばあちゃんに「おまえを戦士にする」って言われた時には嫌というほど知ってしまった後なので
全然うれしくないってアサギの気持ちがとにかくリアルでした。
実際なっても、今度は「新米だから」と話を聞いてもらえなくて
やりたいことのためには戦士である必要はないかもしれない、とあっさり見切りをつけたり
みんなを不安にさせないために大言壮語なこと言わなきゃならなかったり
逆にみんなをまとめておくために言えないことがあったり
倒れている人(味方か敵かもわからない)の背中から矢を取って使ったり
何もかもが初めてな中でアサギが考え、声を聞きながら戦うのもものすごいリアリティ。
すべてが終わってもアサギが勝利者を自覚しないのもよかったし、
終わりではなく始まりを迎えたところで終幕なのは
レッドデータガールや風の万里黎明の空とかもそうじゃなかったっけかな。
アサギは今後、攻殻機動隊の素子さんみたいな人になっていくのか
それとも獣の奏者のエリンみたいになっていくのかどうか…ちょっと読みたい気もする。

スカイエマさんの表紙と挿絵めっちゃかっこいい~。
児童書やYAコーナーでよく見かける方ですが一般図書の装画も手掛けてらっしゃるようです。

「歌えや歌え 祈れや祈れ さあ 言葉よ命になれ
あらゆる軌跡 あらゆる出会いが 私を守ってる」
(鬼束ちひろ「The Way To Your Heartbeat」より)

そういえば猿が出てくるから申年にぴったりですね、この本。
あの猿たちは要所要所でアサギに道案内するのがいい、あとしゃべらないのがポイント高し。

他にも『さる・るるる』『おさるのジョージ』『タンタンのぼうし』『おさる日記』『ひとまねこざる』
『西遊記』『古事記』『地獄変』『天と地の方程式』あたりもよさそう。
あとドンキーコングやりたいし猿之助さんのお芝居もいっぱい見たいー!
(『猿之助、比叡山に千日回峰行者を訪ねる』はたいへん有意義な内容でした)


sansetsu.jpg
先月東博で見た、狩野山雪「猿猴図」。
猿猴捉月の故事がモチーフになってて下に水面のゆらゆらがさりげなく描かれていますが
なんかこのお猿さんは落ちなさそう…(笑)。
墨のにじみがすばらしくて、体毛のフワフワまで感じられたな~ナマ絵は、よい。
図書館分類は本とデザインの夢を見るか。
2015年11月13日 (金) | 編集 |
雪見だいふくモンブラン味がとてもお上品な味わいで感動したゆさです、こんばんは。
クッキー&クリームはピンとこなかったけど、モンブランはモンブランだった。おいしい☆
1個分けてあげて食べた弟の感想が「ロッテかっけぇ」だったことをここに記します。
キャラメル味は試してませんが生チョコレート味もおいしかったので
箱もいいけど2個パッケージも出ないかな。


図書館総合展に出張してきたのですが、出展や参加者の情熱もさることながら
フォーラム会議室に並べられた机や椅子やPCやマイクを見ると
今日までにセッティングした人たちがいたんだなぁお疲れ様です…と思う癖が近頃つきました。
これが大人になるということです。
あと、みなとみらい駅の観覧車きれいだしクリスマスツリーが大きくて写メ撮ってしまった。

企業や団体さんの出展ブースや大学のポスターセッションもおもしろかったです。
うちの職場もお世話になっているキハラさんのブースがもう毎年のことですが大繁盛していて
今年もレジには大行列ができてました。
フォーラムがパリコレならキハラブースはコミケかデザフェス。ならば買う。買わねばならぬなにごとも。
libraryfair1.jpg
手に取ってレジに並んでるときは楽しくて鼻歌混じりだったけど
帰宅して鞄の中からグッズ引っぱり出したら、なんというかその、頭が冷えました。あわわわ…。
図書館司書キャラクター「コモちゃん」のシールはスタッフさんが譲ってくれました~。
LINEスタンプにもなってるみたいで
殺伐としたTLにブックトラックをカートにした図書館司書が(ry なんてことが起きそう。
貸出カードはメッセージカードになってて封筒がついてるんですが
散りばめられた禁帯出と館内マークの中にひとつだけ貴重書マークがあって胸熱、
来年にはぜひ貴重書マグネットを作っていただきたいものだ。

libraryfair2.jpg
去年は売切れで血涙をながした禁帯出マグネットを!ゲット!
キハラブースは「完売御礼」「売切れ」「本日の配布は終了しました」に耐えるメンタルが求められます。
「これありますか」「申し訳ありません…」の会話の近くでラストワンをレジに通すような地獄絵図が
最終日に限らず見られたりするのです。
きょうは閉館しました缶バッジはくじ引いたら出てきたのですが一体どう使えばいいのか、
ぬいぐるみにつけて休館日に入口に置いたら和みますか…?
ちなみにわたしは買わなかったけど禁帯出シールなるものもありますので
よそへの貸出を禁止したい人が周囲にいる方はどうぞ。

libraryfair3.jpg
夜明けの図書館も置いてあった。
マンガは現在も連載中で4巻を楽しみに待っているところです。すすめレファレンスマンガ!

libraryfair4.jpg
日本財団が今年から始めた「これも学習マンガだ!」の選書がブックトラックに乗っていて
チラシもあったのでもらってきました。
わたしも手元に置いてるマンガがリストにたくさん載ってるし、気になってたのもあるし
タイトルも作者さんも知らなかったのもある。

libraryfair5.jpg
分類キャラクター「ブックパンケーキ」のマスキングテープ!近頃流行りのマスキングテープ!
図書館の棚の間を歩いていると「哲学」「歴史」「小説」などの見出しが挟まってると思いますが
あれをキャラクターにしてさらにマステにするという二段構えのキハラさんすごい。
「本棚にぬいぐるみを置くような感覚で」というコンセプトで作られたのに
その後本当にぬいぐるみ作っちゃうのすごい。
クリアファイル売ってたから買ったしチラシももらってきました。ゆるキャラ好きの後輩に布教しなくちゃ。

libraryfair6.jpg
帝京大学メディアライブラリーセンターさんの「共読ライブラリー」は4年前から続く展示で
いつも2階建てブースになってて、こちらも分類キャラが活躍している。
しかもそれぞれの分野に1種類とかじゃなく、歴史は王様や探検家がいたり
自然科学には科学者や物理学者がいたりと色んな職業で表現されてておもしろかったです。

他にも色々回りましたが、人が多すぎたのとブースでお話に夢中になったのと楽しかったのとで
あまり写真撮らずに帰って来てしまった。
埼玉福祉会のブースで声優さんがオーディオブックを公開録音してて技術の高さに唸ったり
カーリルさんがソース配ってたりB&Bが北欧家具売ってたりししょまろはんはビラビラしてたり
あちこちでプレゼンやトークやワークショップがあり毎年回り切れずに時間切れになってる気がする。
あと電動棚とか、電子系のブースにペッパーをちらほら見かけました~。
確か山中湖の図書館ではペッパーが職員として働いていたっけな。


そういえば話は変わりますが、世の中には本棚マスキングテープというのがありましてな。
masute.jpg
新宿トゥールズで見つけた時は即レジに連れてったよね!
だからマステ沼は深いって言ったのに…。
ちなみに型抜きで、写真だとわかりづらいかもですが本のサイズに合わせて凸凹しています。
手作業かどうかはわからない。
あとこれ眺めてると「これ分類どうなってんだろう?棚は何層?全集と単行本混ざってない?
棚毎に余裕はありそうだしスピンは全部入れ込んであるな、司書GJ」とか、職業病を発症します。
傾いて生きろ。
2015年08月29日 (土) | 編集 |
前回記事に少し書きましたが、『カブキブ!』おもしろいです。
書店で表紙だけ見かけてなんとなく読まずにいたのですが、
ブロともの春さんがおすすめしていらっしゃったので読んだらどっぷりハマりました。。
高校生!歌舞伎!部活!アツイ!まぶしい!青春グラフィティ!!
歌舞伎大好きな主人公が高校入学と同時に歌舞伎の部活動をやるため走り回るお話で
後先考えず好きなことを思いっきり楽しくやるスタンスが気持ちいいです。
なにより彼らの通う高校の名前が「河内山高校」
(河竹黙阿弥作「天花粉上野初花」に出てくる数寄屋坊主の名前)ってのが、まず素敵よね。

以下とりとめのない所感。
ネタバレせずに語るのが難しくて結構、遠慮なく書いてますので未読の方ご注意ください。


既刊3冊手に入れて1巻の1章分だけ読むつもりでうっかり開いたのが真夜中だったのですが
結局怒涛のようにページめくって、読み終えて時計を見たら3時でした。丑三つ時も過ぎちゃった。
次の日は寝不足(しかし充実した寝不足)でしたが、
歌舞伎座へ向かう電車の中で2巻と3巻を走り抜けるように読んだ!
おもしろさが加速していくんですよ…うっかり東銀座駅乗り過ごすところだった。
タイトルについてる「!」が、大河ドラマ「新選組!」みたいな力強さとポップさがあって
ストーリーも風が吹き抜けていくような朗らかさを感じる。
主人公の名前が黒悟(くろご)っていうのと、芳先輩が立役も女形もできそうっていうのと
蛯原くんが細面で軸が強い体格ってとこであ、この著者さんガチだってわかったし。
あと3巻にいきなり佐々木蔵之介の名前が出てきたんでシートに座ったまま飛び上がりそうになった(笑)、
よく歌舞伎役者みたいな名前って言われるよね。

歌舞伎オタクの黒子兼狂言方、万能すぎる事務方、演劇部のスター、日本舞踊の名取、
神と呼ばれる衣裳担当、暗記が苦手な芝居の天才、研究熱心な梨園の秀才、
まったく初心者のヘタレ顧問にチャキチャキの江戸っ子大向こうおじさんほか
個性的な人たちがワイワイやっててお祭りみたいなストーリーが、王道だけどとっても気持ちいい。
どの人も実際に会いたくなるし、お芝居見てみたいって思う。
演技は大根だけど歌舞伎への愛と情熱のために
どうかするとアクセル全開になりがちな黒悟くんかわいい、カブ友になりたい。
そんな彼をクールになだめるトンボくんも素敵です。
記念すべき初舞台が不発に終わって、ヘコむ黒悟くんにトンボくんがやり甲斐を与えるシーンは
まったくもって胸に刺さるけどひたすら現実って感じしました。
あれは黒悟くんじゃなくてもトンボくんに惚れるわ。

花満先輩の藤娘がどんなにすばらしいかは容易に想像ついたけど、
本人はきっとまだまだ上達したいだろうし、「また毛が伸びちゃって」と折にふれて嘆くに違いない。
丸ちゃんの衣装を誰よりも着こなしているのは彼だと思います…
というか丸ちゃんとオタ友になりたい。というか師匠とお呼びしたい(突然)ついていきます師匠。
阿久津くんと蛯原くんがコインの裏表状態なのは、ドラマチックな生まれも相まって
じれったいし抱きしめたいし背中をばしっと叩きたくなります。愛すべきツンデレどもめ!
読んでいくほどに阿久津くん小学生みたいって思ったけどいざというときの救世主感ハンパないし
蛯原くんもう素直じゃなくていいよそのままの君でいればいいよって思えてきた。
逆に誰よりも二枚目なのは芳先輩だよね~本番に強くて、一人称が「私」なのが好き。
かっこよさの中にパリッと引き締まった強さがある感じ。
ずっと立役かと思ってたら女形にも興味がありそうで、
その声を黒悟くんがちゃんと拾ってて「今度先輩に合う女形考えよう」ってなってて
ああ彼、ほんと演出向きだなって思いました。
村瀬歩さんあたりのハキハキした声でしゃべりそうな気がする。
トンボくんがぼそぼそしゃべるたびに津田健次郎氏の音声で脳内再生されるのなんとかしたい、
ってか、トンボくんと芳先輩の関係いいっすね…キュン
黒悟くん&トンボくんや花満先輩&梨里先輩のような、いつも一緒にいる仲の良さとはまた違って
自立した大人同士の友情みたいな空気を感じる。
いや高校生同士だけど。いいなあ。

黒悟くんが芳先輩と花満先輩を初めての歌舞伎に連れていくのが新橋演舞場で、
個人的な理由からうれしかったです~わたしの初歌舞伎も演舞場だったから(´▽`)。
歌舞伎座は殿堂ですから派手でどっしりしてて、明治座や浅草公会堂は気軽に行けて
演舞場はその中間くらいの劇場ですからちょうどいいんじゃないかな~。
つか寺子屋がデビューですかえらいもん観せますね黒悟くんも、遠見先生に行けって言った正蔵さんも…
たまたまやってたからかもしれないけど。
主君のために子どもを身代わりにする話は「熊谷陣屋」「伽羅先代萩」もそうだなァと思ってたら
3巻で黒悟くんが、歌舞伎好きだったおじいちゃんを亡くした後に見たのが先代萩だと判明して
「歌舞伎座が建替え中だったから演舞場で」のセリフにふと、どうなのかなって調べたら
2011年3月の演舞場で本当に先代萩が出されてました!→こちら
黒悟くんが見たのはきっとこれだね、スゲーなちゃんと調べて書いてあるよこの本!
その後もイヤホンガイド借りるといいとよか、お弁当持ってきたのねとか
ドブ席とはいえ7列目とは奮発しましたなあとか、読みながらどうでもいいことばかり目にとまって
全然先に進めない歌舞伎脳なわたしでした。まったくもう。
観終えた後に芳先輩がソイラテ飲みながら「何で小太郎ちゃん死ぬの!?」とか言ってるのもよかった、
だって真剣に観てくれたってことだから。
でも楽しい部分もみつけてくれて、先輩たちが「やってみようか」って言ってくれたときは
おおやっと物語が始まるぜ!ってワクワクしました。

2巻の外郎売で劇部と勝負するとこ、教頭先生も言ってますが
阿久津くんの外郎売まじ、めっちゃ見たいんですけど…!
「とざい、東西ーーー」で始まるとこ反則だよ、電車で読んでたのに一緒になって節つけそうになった。
暗記が苦手な阿久津くんのためにあれこれ手を尽くす黒悟くんが
正蔵さんの「そんな必死な外郎売はいねえだろ」を聞くまで芝居をさせることに気づかないのは
やっぱり高校生だなって思ったけど
阿久津くんに「おまえに外郎売になってもらう」って宣言して実行するのはしびれた。。
高校生って急に化けるからたまんないですね←
そうそう、正蔵さん、とにかく粋なおじさんで
「今はハンドルネームもアカウントもあるんだから、衣裳担当に屋号があったっていい」とか
「芝居見物にめかしこむのは当然」とか
「あいつらにとっちゃ檜舞台だろ、酒届けたいところだ」ってコーラ届けたりとか。
若者にとってこんな風に応援してくれる大人は貴重ですね。
外郎売は亡くなった團十郎さんのしか見たことないですがすごいですよ→こちら
演劇部の人も叩き上げるようにセリフ読んだんだろうな~アナウンス風だとどんなか聞いてみたい。
すべてはキリコさんの手のひらの上でみんな踊らされてたっていうオチも
キリコさんかっこよすぎて惚れるレベル。

3巻のクライマックスはクロくんやったねーーってなりましたよ今までで最高の盛り上がり。うおおお!
もう蛯原くんのダメ出しが、きみちょっとそれ、完全に役者目線のアドバイスだよ(笑)。
全否定じゃなく演じ手の体格や性格を見抜いて、出し物のためによくしようとしてるのがいいです。
言うだけじゃなく言わない選択もするしね、阿久津くんのためにね^^
数馬くんにアドバイスするときの「続いて次に控えしは!」がヤベーーーーー!!!
節が聞こえてくるようでした…よく通るいい声をしてるんだろうな…。
彼の赤星十三郎が目に浮かぶようです、きっと一番目立たなくて、一番見てしまうと思う。
阿久津くんの力丸も芳先輩の弁天小僧も見たい~~。
稲瀬川勢揃いの場は3月の南座で若手さんたちのを見たけど、
あんな雰囲気で高校生たちが衣装とカツラばっちり決めて舞台に仁王立ちしてるとこ想像すると
正蔵さんが大向こう飛ばしてサイコさんが感動して大泣きする図しか浮かばないですね。

ラスト1文が最っ高な次巻への幕開けになってて、4巻発売がとても楽しみ。
青い目の能楽師だっている時代ですよ!大丈夫。阿久津くんだって最初は金髪で和尚吉三演ったしね。


…さて、話は変わりますが。

2015noryo10.jpg
歌舞伎座納涼歌舞伎・千穐楽おめでとうございます☆
仕方なかったんだ金曜日が代休だったんだ、つかなんで金曜日が千穐楽なんだ!
というわけで棒しばり観に行ってきました。幕見で。
あとわたし、今月は家で棒しばりの話ばっかりしてたんですけど
母が「そんなに面白いなら行くわ」ってある日突然チケット取ってました。
いや、前に取り方をレクチャーしたらメモとってたけどさ…いつの間に。

2015noryo11.jpg
今回はこの位置から。幕見席最前列に座れました。

よく考えたら千穐楽の観劇って初めてでして、幕が開いたらびっくり。
こんなに気合いが入ってるのかと、舞台からほとばしる熱気が今までと全然違って見えた。
主人に呼ばれて返事をする太郎冠者の第一声がのびるのびる、先週こんな伸びてなかった!ってくらい
みっくんが思い切り伸ばしててやばい、
おちくぼ物語にも出た後なのにこの声量、喉と肺活量どうなってんのって思う。
じゃんけんに負けての踊りも足は鳴るしステップがダイナミック。
次郎冠者が高速でダダッとバックしていって下手ギリギリでぴたっと止まって切り返してくるし
クルクル回りながら戻って来るのも余裕のある笑顔ですごい。
扇を今までで一番高く放り投げてキャッチしてた~勘九郎兄さんブラボー!
役者さんはプロだから信じてるけど無事キャッチできるか毎回ハラハラしました、よかった。
今後おふたりで長いこと踊っていくのかな、どう変化していくのか楽しみです。

歌舞伎座の外で母と落ち合いましたら(彼女は1階席でおちくぼと棒しばり両方とも観た)、
「七之助きれいねぇ隼人イケメンねぇええ勘九郎と巳之助の踊りすっごい踊りよくあんな動けるねえ!
彌十郎の踊りよかった、てか棒しばり笑ったわー超楽しめたもん!」って絶賛でした。
今月ちょこちょこ見ていたわたしもこの日が一番すごかったと思いましたから
母は一番いい内容のを見たと思う。よかったよかった。

棒しばりの後は歌舞伎座5階にある寿月堂さんにて一休み。
観る前にお店に行って予約させていただいたら、
カウンター奥のお席を用意して待っててくださいました!
お蔭でゆっくり過ごせましたよ~店員さん本当にありがとうございました。
2015noryo12.jpg
幕見チケットでしたからお昼は奮発しました。6月からの新メニュー、和のアフタヌーンティー☆
シーフードサンドに手まり寿司、野菜のケーキにヴィシソワーズ、
抹茶パンケーキにほうじ茶パンナコッタ、抹茶とフランボワーズのフィナンシェ。
ほうじ茶はおかわり自由ということで遠慮なくいただいてしまった(´▽`)ホッとおいしい。

2015noryo13.jpg
とどめは抹茶ソフトクリームと抹茶カプチーノです。Macchaコンボ。
お抹茶はその場で点てていただけます。
まだ数回しか飲んだことないけどやっぱり濃い。結構なお点前でした(╹◡╹)。
抹茶ソフトが甘いからお抹茶によく合う。

2015noryo14.jpg
お会計のとき「よかったらどうぞ」ってお土産までもらっちゃいましたー!
さすが染五郎さん御用達、もともと大好きなお店ですがどんどん好きになっていく…。
次回はお茶漬けがいただきたいな。

この後は池袋のハンズメッセをブラブラして、夕ごはんを食べに寄った和食屋さんで
お茶をいただきながら、
母「飲むぞ飲むぞ」
わたし「飲め飲め」
母「(一口飲んで)いやーさても一段とよいお茶じゃ」
食事を終えてお店を出るときには、
母「そろそろ行くぞ」
わたし「心得た」
棒しばりごっこ楽しい(笑)。