猫・本・歴史・アートなど、その日見たもの考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。
第2333回「最近読んでいる本や好きな本は何ですか?」
2017年10月20日 (金) | 編集 |

こんにちは!FC2トラックバックテーマ担当の神田です
今日のテーマは「最近読んでいる本や好きな本は何ですか?」です
食欲の秋、運動の秋など○○の秋というフレーズがたくさんありますが、やっぱり「読書の秋」は欠かせません!
小学生の頃にはよく「秋の読書月間」とかやっていたなぁと感じます...
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読書の秋ですねえ。
最近読んだ本は高楼方子さんの『街角には物語が……』で
具体的に地名は記されませんがヨーロッパ風の旧市街が舞台の連作短編集です。
6編のお話にそれぞれ主人公がいて、彼らはみんな想像力が豊かで
部屋の窓から見える光景からたらればを妄想したり、仕事先の同僚の転職理由を本当かな?と疑ったり
友達とのティータイムに話が続かない理由を考えたり、おじさんのくれた瓶に一喜一憂する少年がいたり
子どもの頃からずっとシューティングゲームを続ける男性にお店の夫妻が想像をめぐらせたりと
想像の中で自由に遊ぶ人も、自分の想像に自分でおびえてしまう人もいる。
中には本当に不思議に遭遇する人もいて、絵本の表紙に描かれた少女に
「わたしと入れ替わってみない?」と誘われてOKしてしまう少女は
ちっとも怖がらずにあっさり受け入れて夢を見続けていて…果たして街に戻ってくるのかどうか。。
恋人の真正面の顔しか知らないという青年に占い師が助け舟を出す話が一番何でもなく終わったな…
高楼さんはこういう、ぞくっとする話としあわせな話を組み合わせた物語づくりがうまいので
毎回、これどうやって終わるんだろう…とドキドキしながら読めるのが楽しかったりします。
オチもああよかった!と思うときと、ん?本当に良かったのかな…と思うときと
いやいやいやいやいやってなるときと、おお丸く収まったすげぇ…ってなるときがあります。

あと平松洋さんの『猫の西洋絵画』にて油絵や水彩画の猫たちに癒されました(=^ω^=)ニャー
18世紀~20世紀の、主にヨーロッパの画家たちによる猫の絵が紹介されていて
(それまで絵画の脇役だった動物たちが絵のモデルとして描かれるようになり
動物画というジャンルが確立されてきたのがこの時代なのだそうです)、
猫たちが中心の絵が多いのですが子どもたちや女性たちと一緒にいる絵もあって
どの子も目がくりっとして毛もふわふわで、猫をよく知っている人たちが描いてるなあと思う。
過去に猫まみれ展で見たアンリエット・ロナー=ニップ(この本ではヘンリエッタ・ロナー=クニップ表記)の絵もあり
黄色いクッションに白猫がゆったりと座って、周りに子猫たちが寄り添って寝たりごはん食べたりして
思い思いの行動をしながら過ごしているのがほんとにかわいい^^
あと猫関係の本では『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』とか『猫ミス!』が気になっていて
どちらも数人の作家たちによるアンソロジーなので読んでみたい。
桜井海さんがTwitterで連載している『おじさまと猫』もほのぼのしてかわいいマンガです、おすすめ。
映画「劇場版岩合光昭の世界ネコ歩き」もそろそろ公開されますね。

マンガですと最近読んだのは浅野りん『であいもん』、宇佐江みつこ『ミュージアムの女』、
小沢かな『ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部』、桐丸ゆい『江戸の蔦屋さん』、
小林ロク『ぶっカフェ!』、さもえど太郎『Artiste』、白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』、
鷹野久『バスキュレ』、灰原薬『応天の門』、ユペチカ『サトコとナダ』
あたりですかな。
であいもんは和菓子が猛烈においしそうだし、バスキュレは硬派な世界観がすごく深いし
ぶっカフェは天上天下唯我独尊~!って言いながらドンペリ開けるの最高に笑ったし
江戸の蔦屋さんは鳥山石燕と喜多川歌麿の師弟関係が個人的にツボでかわいかったし
ミュージアムの女の美術館あるあるは同意と尊敬と戒めのオンパレードだった。
ブルーサーマルは熊谷市が舞台の青春マンガですので埼玉県民のみなさま読んでみてくだされ、
コミックバンチのサイトで一部無料で読める話もありますぞ。
(ガイコツ書店員本田さんにWebで売れたマンガは紙でも売れる法則の話が載ってたけどあれ超わかる…
最近は余程一目ぼれしたり自信がない限りはジャケ買いしないので
数ページでも1話でも1冊でも試し読みができるのは本当に有難いです。
仕事や趣味など色んな理由で本を読む日々ですが勘で全部買ってたら当たり外れもあるので
本棚に置き場所がなくなるし(ゆさは電子書籍推進派の紙書籍派です)、
お財布と相談したり図書館で借りて読んだ中でうおおおお!ってなった本を手元に置いてます)


好きな本に関しては自己紹介記事や過去記事に何度か書いているので割愛しますが
相変わらず本の好みは変わってないように思います。
絵本や児童書、エッセイ、マンガ、画集、古典、学術書などを主に読んでいて
一般小説や歴史小説は気が向いたり気になったタイトルがあったりしたら読みます。
最近読むようになった作家さんは辻村深月さんや松田青子さんですね~。
色んなこと想像したり考えたりしながら読める文章を書く人たちなので
読み終えると「うおお読書した」って実感します。汗をかくほどじゃないけど充実した時間というか。
話題のカズオ・イシグロ氏の本は過去に『浮世の画家』と『わたしを離さないで』を読みましたが
どちらも読了後にどっと疲れた覚えがあるな…彼の本は体力のあるときじゃないと読めないですね。

なぜかわからないのですが昔から文字や文章が好きで、親に本読んでって絵本を持って行ったり
布団で読んでもらってる最中に親が寝オチしたら「続きは!?」って起こしたり(疲れてたんだろうなぁごめん)、
読めるようになったら家の本棚から手ごろな本を勝手に引っぱり出して読んだり
国語の教科書や社会科の資料集はもらった時点でさっさと読んじゃったし
学校の図書室には入り浸ったし図書委員も何度か経験してる。
物語だけじゃなく辞書や年鑑、統計、時刻表、楽譜、同人誌なども読むの好きだし
本の帯や雑誌のアオリ文、新聞、パンフレットやチラシ、広告、ゲーム画面の説明文やセリフ、
缶や瓶のラベル、ファストフード店のトレイに敷いてある紙、神社やお寺に貼ってある〇〇の言葉みたいな貼り紙、
石鹸やシャンプーのパッケージのフローラルの香りみたいな宣伝文なども面白がりながら育ってきまして
そんな日々に今はネットが加わってしまったのでもはや飽食状態。常にお腹がいっぱいです。
ブログやTwitterはどんどん言葉が流れてくるからつい時間を忘れて読んでしまいます…
あれも一種の読書だよね。
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第2282回「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」
2017年06月21日 (水) | 編集 |

こんにちは!トラックバックテーマ担当の岡山です。
今日のテーマは「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」です。
梅雨シーズンがやってきましたね。
雨の日はなかなかテンションが上がらず困っちゃいますが、私が雨の日にテンションを上げる方法は雨音に紛れて...
FC2トラックバックテーマ 第2282回「雨の日はどのようにテンションを上げますか?」


「今日は雨か~、じゃあアウトドアはやめて美術館に行こうかな」とか考えます。
駅直結の施設とかだったら濡れなくて済むし。
(というかそもそも、わたしの最近のお出かけは屋根のある場所ばっかりですけども)


先日、青い日記帳監修『カフェのある美術館-素敵な時間を楽しむ』を読みました。
ミュージアムに併設されたカフェがきれいな写真入りで紹介されている本です。
お出かけしてる最中に雨に降られると手近なカフェに飛び込むことが多いのですが
そういえば美術館カフェに行く場合もあるなあと思ったので記事にトラックバックしてみました。

目次はこちらに一覧がありますが、
掲載されている中でわたしが美術館も併設カフェも訪れたことがある施設は以下でした。
・三菱一号館美術館(東京)Café 1894
・三井記念美術館(東京)ミュージアムカフェ
・根津美術館(東京)NEZU CAFÉ
・世田谷美術館(東京)ル・ジャルダン
・山種美術館(東京)Cafe 椿
・細見美術館(京都)CAFÉ CUBE・古香庵
・東洋文庫ミュージアム(東京)Orient cafe
・国立科学博物館(東京)ムーセイオン
・Bunkamura(東京)ドゥ マゴ パリ

意外と少ない…。
三菱一号館のカフェは近代建築の銀行の雰囲気がものすごくよくて
ああいう洋館が好きな人は絶対に楽しい空間だと思います。
あとね、たまにやってるアフタヌーンティーがとても…おしゃれです…!いついただきに行くべきか。はやく行きたい。
NEZU CAFEも、庭園にあるカフェってすごく好きなんですけど
あんなに過ごしやすい庭園カフェ空間をわたしは知らない。
陽差しが強い日でもとても心地よく陽光が店内に取り入れられているんです、日焼けしない光量。
東洋文庫のカフェはほんとにオリエントって感じするし
山種美術館の椿も菊屋さんの美しい和菓子がいただけるし
細見のキューブはスタイリッシュで古香庵でいただくお抹茶最高ですし
科博のムーセイオンは広くて家族連れなどで賑やかです。
最近は美術館に行くことを決めたら公式サイトや食べログとかでレストランやカフェがあるか確認して
さらに展覧会限定メニューがないかとSNSなどで探してしまいます。
アートをイメージしたお料理ってまさにアートだと思う。

ちなみに美術館は行ったけどカフェは行ってないところは以下でした。

・国立新美術館(東京)ブラッスリーポール・ボキューズミュゼ
・箱根ラリック美術館(神奈川)LE TRAIN
・京都文化博物館(京都)前田珈琲
・ポーラ美術館(神奈川)レストラン アレイ
・ワタリウム美術館(東京)オン・サンデーズ
・金沢21世紀美術館(石川)カフェレストラン "Fusion21"
・横須賀美術館(神奈川)ACQUA MARE
・石川県立美術館(石川)ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA
・京都国立近代美術館(京都)Cafe de 505
・春日大社国宝殿(奈良)春日荷茶屋

ワタリウムは実際はショップだけなのですが(展示室が閉まってた)カウントしちゃいました、
いつか展示室に入ってみたい。
ラリック美術館のカフェはオリエント急行で実際に使われた車両の中に入ってお茶できると聞いて
「い、行きてえええ!」ってなってるんですが当日の予約がすぐいっぱいになってしまうみたいで、
始発で間に合うかわからないから泊まりで行く方が確実かしら。
新美は何度も行ってるのに3Fレストランは未踏の地だなァ…いつかお金ためておしゃれして行くんだ…!(ハードル高い)

美術館もカフェも未訪問なのは以下でした。

・アサヒビール大山崎山荘美術館(京都)喫茶室
・ホキ美術館(千葉)イタリアンレストランはなう
・神奈川県立近代美術館 葉山館(神奈川)レストラン オランジュ・ブルー
・山口県立美術館(山口)La Plume Bleue
・原美術館(東京)カフェ ダール
・那珂川町馬頭広重美術館(栃木)JOZO CAFÉ 雪月花
・大分県立美術館(大分)café Charité
・菊池寛実記念智美術館(東京)レストラン ヴォワ・ラクテ
・日本近代文学館(東京)BUNDAN COFFEE&BEER
・畠山記念館(東京)

こうして見ると1/3ずつくらいですね。
原美術館は展覧会のイメージケーキが毎回あるみたいで気になってますが
さっきカフェを確認するために公式サイト行ったら
クリックのたびに「♪ポンポンポン」ってかわいらしい音がして(たぶんちゃんと耳に心地よい音が選ばれてる感じする)
素敵じゃないか原美術館。
畠山記念館は展示室でお抹茶がいただけるそうで気になっています。展示室でお抹茶。気になる。(2回言った)

他に行ったことある美術館カフェは…

・東京国立博物館(東京)ゆりの木
・東京都美術館(東京)IVORY
・奈良国立博物館(奈良)レストラン葉風泰夢
・京都国立博物館(京都)The Muses (ザ・ミューゼス)・からふね屋
・東京富士美術館(東京)セーヌ
・サントリー美術館(東京)加賀麩 不室屋
・江戸東京博物館(東京)桜茶寮
・六本木シティビュースカイギャラリー(東京)THE SUN&THE MOON
・歌舞伎座ギャラリー(東京)寿月堂
・世田谷文学館(東京)喫茶どんぐり
・三鷹の森ジブリ美術館(東京)カフェ麦わらぼうし
・国際版画美術館(東京)カフェけやき
・群馬県立館林美術館(群馬)イル・コルネット
・栃木県立美術館(栃木)レストランつくし
・横浜美術館(神奈川)ブラッスリ―・ティーズ・ミュゼ
・岡田美術館(神奈川)足湯カフェ
・星の王子さまミュージアム(神奈川)Le Petit Prince
・千葉市美術館(千葉)かぼちゃわいん
・青森県立美術館(青森)cafe4匹の猫
・宮沢賢治記念館(岩手)レストラン山猫軒
・MIHO MUSEUM(滋賀)カフェPine View
・広島市現代美術館(広島)喫茶室アーチ
・島根県立古代出雲歴史博物館(島根)マルカフェ

美術館は入ってないけどカフェに行ったことがあるのは
・ひろしま美術館(広島)ジャルダン
かなー。
行った理由はそのとき特に食べたいものが思いつかなかったのと単純に美術館カフェに行きたくて決めたんだったけど
そこかしこに猫のモチーフが置いてある素晴らしいカフェでしたっ…!おすすめです。
熊蜂の飛行。
2017年04月23日 (日) | 編集 |
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読んで、久々に音楽、特にピアノ曲が聴きたくなって
部屋中のCDとか動画サイトで音源を漁りまくっていたゆさです、こんばんは。
(この記事も聴きながら書いています)
同書は浜松市のピアノコンクールを舞台に、4人の主人公と彼らをとりまく人々の心の動きが
ピアニストたちの演奏とともに描かれていく小説です。
あちこちで話題になってますしわたしの周辺でも好意的な感想が多かったので楽しみで、
パッと開いたら2段組みで500ページ超えててうおお?ってなったけど
読み始めたらあっという間でした。おもしろかった。
タイトルはたぶん、主役の1人である塵くんの父親が養蜂家であることと
三次予選前に塵くんが散歩中に見かけた冬の雷からきているのかな。
その後、塵くんが調律師さんに言った「天まで届く音にして」のセリフには心の奥底までしびれた。

ピアニストたちの来歴や思考やパフォーマンスが細かく描写されているので
彼らの弾き方もピアノの鍵盤からあふれでる音色も全部違って聴こえてくる感じがするし、
主催者や審査員、調律師、記者や家族など様々な視点の言い分やコンクールの在り方もさりげなく語られて
群像劇になっていますね。
わたし自身も学生時代にピアノを習ってましたし、合唱ですがコンクールに参加した経験もあるので
予選前のピアニストたちの気持ちとかめちゃめちゃわかってしまってムズムズしたし
付き添ってくれたレッスンの先生や部活顧問の先生はこんなこと考えてたかもしれないなと思ったし
審査員の先生方がルールを取るか音楽を取るかの試されてる感とかものすごく想像ついちゃって
そこも読んでて面白かったです。
楽譜通りに弾くのは正しいけど自分が弾く意味とか考えちゃうし
年齢とかメンタルとか審査員の好みとか意識しちゃうのわかるし
そういう緊張感と無縁のコンテニストを見ると、焦ったり打ちのめされたりするけど
本番の時間はあっという間にやってきて過ぎ去っていく。
一次、二次、三次と予選がすすむ中で
登場人物たちがコンクールの雰囲気に慣れたり新たな課題を発見してもがく姿は抱きしめたくなります。
がんばってるよお~君たち。

ホフマンが塵くんをギフトと表現していたとき、なんとなく意味の想像はついて
読み進めていくうちに「やっぱりな」みたいな確信に変わったのは
学生時代にコンクールで彼みたいな人たちを何度か見た経験があるからかもしれない。
ギフトの概念を知ったのはル=グウィンの『ギフト』からですけども
『少年ノート』のユタカくんや『陰陽師 瘤取り晴明』のときの源博雅くんみたいな、
ストレートに音楽を信じていて人々に演奏したいと思わせてしまう演奏ができる塵くんは
とても危ういし魅せられてしまいます。
コンクールに1人か2人はああいう人がヒョッと出てきますよな…コンクールであることを忘れて
「あの人の音好き」とか「すごい」としか言えない演奏をする人たち。
そういう瞬間があるからコンクールって楽しいんですよな^^
高島さんは『葬送』のショパンみたいな緊張感があったし
栄伝さんとアナトールさんは君嘘の公生くんやかをりさんを思い出した。
特に栄伝さんは内省的すぎるほど内省的で
そんなに考え込まなくて大丈夫だよとか、余計なお世話ですが声をかけたくなったというか
だから彼女が肩の力を抜いて弾けるレベルまで自力でたどり着けたときは「よかったー!」ってなって
本を持ったまま部屋の中をぐるぐる回ってしまった。。
そして彼らのいいところは本番前に思いつめるほど思い詰めてても
本番ではきっちりパフォーマンスできるところなんですよ…そういう人たちだから上位に残っていくんですけど。

ピアノの調律や音響についても書かれていて、
以前に宮下奈都『羊と鋼の森』を読んだこともあるので
クールなプロフェッショナルがピアニストたちの要望を聞いて会場の音響と合わせて調整していくのが
ワクワクしましたね~。
浅野さんの「お望みどおり、何でもするよ」の一言が頼もしい。
ピアノをなるべくステージの前の方に置きたいとか、いや奥に並べたいとか
観客がぎっしりの会場は思った以上に音を吸収するとか
床が少しくぼんだところでは音の響きが違うみたいなところは「そう、そうなの!」って思わず声に出ちゃったよ。
ちょっとしたことで音響ってずいぶん変わりますのでね…
そしてそれは容赦なく審査員の耳に影響する。音響とても大事。うん。
(そういえば去年の本屋大賞が『羊と鋼の森』で、今年が表題作ですから
2年続けて音楽関係の本が受賞したんですね。
この2冊が、クラシック音楽業界が少しでも盛り上がる一助になってくれるといいな)

コンクールの結果も頼むから全員受からせてやってくれよってなりましたね…仕方ないんだけど。
(とか思ってたら恩田さんもインタビューで似たようなこと答えてらしてホッとした→こちら
宮下奈都『よろこびの歌』、中田永一『くちびるに歌を』、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』、
武田綾乃『響け!ユーフォニアム』などを読んでいたときや
ミュージカル『コーラス・ライン』などを観たときも登場人物全員に肩入れしてしまって
みんなこんなにがんばってるんだから報われてほしい…とか、祈るような気持ちでした。
発表の瞬間てすごくストレスたまるけどカタルシスでもあるよね。
終盤で、塵くんが海辺で巻き貝と渦巻雲を眺めながら
ホフマンとの思い出を追想しつつフィボナッチ数列をつぶやくところは
『天と地の方程式』のラストをふと思い出して、
そういえば雷の音って音階であらわせるんだろうか?と気になってぐぐってみたら
何人か音階で聞こえるとおっしゃってる意見がヒットしてひえぇってなった。


余談ですが、音楽について書いたり描いたりしたものを見るといつも
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド』に
こんなことが書かれているのを思い出します。

「音楽:きわめて重要なもので、常に善であり、おそらく魔法でもあり、
特に竪琴で奏でた場合にはその傾向が強い。どうやら闇の王は音痴らしい」

闇の王が音痴かどうかは知らないけど、
言われてみれば小説や映画で歌がうまい悪役キャラクターがパッと思いつかないけど誰かいましたっけ…。
ミュージカルやディズニーの悪役みたいな、ストーリーの筋として歌を歌うんじゃなくて
「歌がうまい設定」になってる悪キャラ。
あと、歌を歌うと物が修復できるとか世界が救われるみたいな
歌がストーリーのキーポイントになってる物語も結構ありますけど、
そのときに歌う役割というのはだいたい女声に振り分けられてる気もする。
男声だと夢の守り人のユグノあたりが思いつきますが他にもいるかなあ。


週末に西の方へ旅をしてきますのでちょっと留守にします~Twitterには出没しています。
帰って来たらレポ書くですよ☆
食卓に珈琲の匂い流れ。
2017年03月14日 (火) | 編集 |
『茨木のり子の献立帖』を読んでいます。
作家のおやつとか画家の食卓みたいな本がありますが、あんな感じの本で
茨木さんが生前に書き残したレシピノートから再現した料理写真と
台所実測図や日常の写真、日記の一部などから
彼女が普段の生活の中でご家族やご友人と何を食べていたかが紹介されています。
茨木さんに限りませんがこういう本読むと「ああこの人、ほんとに生きて生活してたんだなあ」という
ごく当たり前のことをしみじみと感じずにはいられない。
茨木さんの詩は生活感があるけど、何よりもぴしっと伸びた背筋を感じさせる詩が多いので
三大欲求の面に触れるとなんだかホッとしますのです。ご飯はいいね。

通勤医の夫さんは普段は家にいらっしゃらない方だったので
茨木さんは自宅で家事をこなしながら詩のお仕事をされていたんだよね。
レシピも誰でも作れそうなものからちょっと手間暇かかりそうなものまで色々。
カレーに始まりサラダ、水炊き、茶椀蒸し、ナポリタン、リゾット、揚げ物、漬物、スープ、焼き魚、お汁に卵焼き。
ポテトキャセロールとか栗ぜんざいとか、鶏とびわの甘酢あんかけとか
マカロニナポリタン(うどん代用鶏もつ)とかおいしそう。
「ヤンソンさんの誘惑 スエーデン」はてっきりトーベ・ヤンソンのことかと思ったら
スウェーデンのクリスマス料理の名前なんですね。
じゃがいもやアンチョビなどを使った家庭料理ですごくおいしそうで作ってみたくなりました。
ノートには基本的にレシピと簡単な調理法しか書かれてないみたいですが
「1時間ほど煮るのが水炊きのコツ」とか、ガスパチョにパンくず入れると分離しにくいとか
蒸し物を何度も蒸し直さないとかちょっとしたメモ書きがあったり、
ご友人に教えてもらったレシピにその人の名前をつけたり
教えてもらったらノートに「〇〇さんより」と書いていたりするのが
お人柄が偲ばれるなあと思う。
チーズケーキのレシピの「衿子さんより」の添え書きは岸田衿子さん(岸田今日子さんのお姉様)ですね。
茨木さんが川崎洋さんと創刊した詩誌『櫂』に参加したりお互いに著書で言及したり
ずっとお付き合いがあったんですよな…。
お知り合いが亡くなられたとき茨木さんが岸田さんに「衿子さん私より先にしんじゃいやよ」と言われたと
岸田さんがどこかで語ってらして切なくなった覚えがあります。
(岸田さんも6年前になくなりましたけども)

レシピと一緒に書かれた日記も一部収録され仕事に家事に大忙しな日々が綴られていて
個人的にはこれが一番読めてうれしい。茨木さんの字はかわいい!
買い物や外食や初詣や同窓会に出かけたり、手紙書いたり書き物の仕事したり
丸善に万年筆を直しに行ったり、雑誌や中公新書や「日本史概説」を読んでいたり
関東大震災から50年目の防災訓練のこととか
大谷友右衞門(四代目中村雀右衛門)や幸田文のエッセイに一考したりとか
暮しの手帖展で花森安治に会ったとか、ドラマの大岡越前や勝海舟をご覧になっていたりとか
ディオニソスよ見捨てたまふなと呟いたりとか
すっきり晴れた夜空にシリウスと木星を見たりとか。
そして合間に色んな詩人の詩集を読んでひとこと感想を書き留めている。
茨木さんの日記は手短でまるでご本人の詩のようにてきぱきとして
その時その時の気持ちも一言主のように言い切っておられて
やっぱりそういうとこ上手いなあと思います。
あと、茨木さんの手料理を喜んで食べる夫の安信さんも日記に「Y」として登場していて
「Y、よろこぶ」「Y、ごきげん」「Yとランデブー」などと書かれてるのかわいい^^
お酒はおふたりともいける口だったらしくて
そういえば本のレシピも焼き鳥やお豆腐など、おつまみみたいなのも載ってます。

甥の宮崎治さんが茨木さんのお料理について言及されているのは何度か読んだことありますけど
今回の本にもエッセイを寄せておられました。
茨木さんは外食でおいしいと思ったものを台所で再現できる特技があったとかで
食事中に「このソースに何が入ってるか当ててみなさい」と言われたとか
レストランのウエイターに「これどうやって作るの」と尋ねるのを見たとか、
ずっと彼女の詩集を読んできた身には、なんて"らしい"のかと感心するエピソードがちらほら。
毎日毎日ごはん作るの大変だったろうし楽しくもあったろうし、
新しい味を知ると作ってみたくなるとか、たまには奮発しておいしいもの食べに行こうとか
茨木さんも考えることあったかなあ。

茨木さんの60代の頃の詩に『食卓に珈琲の匂い流れ』というのがあって
この本にも一部が引用されていましたが
(添えられた写真に写っている藍色のテーブルクロスに白い四角模様が点々とあるのが
なんだか渋好みの茨木さんらしい感じ)、
茨木さんは東伏見の自宅から夫妻で吉祥寺によく出かけて映画を見たりコーヒーを飲んだとか
ちらほら書き残されているんですよね。
日記に書いたことを詩にも書いていて、繋がってるなあと思いました。
夫さんが秋口に「コートいらないからこれ欲しい」というほど気に入って買った椅子の記述があって
その椅子はずっと保管されてて後年『倚りかからず』のモデルになったそうで…。
(茨木さんは夫さんの遺品をほぼそのままにしていたらしい)
あと『夏の声』に出てくる「いくじなしのむうちゃん!」の記述が8月の日記にあって
本当に真夏に聞こえた声だったんですね。

ごはんの本読むとごはんを作って食べたくなります。
ぐりとぐらのカステラまた作りたいし赤毛のアンのマリラの料理も気になるし
ブシメシのお味噌汁すごいおいしそうだったし、パパと親父のウチご飯の唐揚げと鍋やりたいし
カルテットの4人がごはん作って食べるシーンがいつも楽しそうだし
(フードスタイリストの飯島奈美さんのお仕事が光っておられる…☆
そして家森さんがワシにもくれ!とかあれー?ってジブリみあるのかわいい、中の人が聖司くんだからかな)、
きのう何食べた?のトーストに苺ジャムごろごろ乗っけたやつにアイス乗せるのやりたい~。

dokushoneko1.jpg
本日の猫さま。
わたしの読書中ずっと膝でおねんねされていました。

dokushoneko2.jpg
そういえば茨木さんの詩に猫はいたっけ…と手元の詩集をパラパラとめくったら
『もっと強く』という詩にこんな一節がありました。
「猫脊をのばしあなたは叫んでいいのだ 今年もついに土用の鰻と会わなかったと」
わあ。
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長い時間と波、そしてあっという間の先の、解放。
2016年10月09日 (日) | 編集 |
左右社の『〆切本』を読みました。
夏目漱石から現代作家までによる、〆切に関する随筆や手紙や日記を集めたアンソロジーです。
タイトルと表紙見たとたんに笑える気持ちと笑えない気持ちが同時におこって
なかみを読んでやっぱり笑って震えて胸が苦しくなって元気出た。
仕事や趣味でものを書いてる人にはものすごくクる本だと思います。とてもおすすめ。


扉を開くと真っ先に掲載されているのが白川静による「締切」の漢字の解説だったから
そこから!?ってなったし、かえって企画した編集部の本気度もよくわかった。
(ちなみに締は祭卓の足を結んで締めるの意、切は七(切断した骨)に刀を加える→切るの意)
白川さんも〆切に追われたことあったんだろうか…このアンソロには載ってないけども。

ざっと引用するだけでも悲喜交々なのですが
「ああ、いやだ、いやだ。小説なんか書くのはいやだ」田山花袋
「精神的にも肉体的にも直きに疲労する。だから二十分とは根気が続かない」谷崎潤一郎
「〆切が五日のところ十五日迄延ばしたのですが、とうてい書く気が出ず上京して断りました」梶井基次郎
「純粋な考え方からすれば、むろん断るべきであった」江戸川乱歩
「第一回分四十枚ばかりを書いた。結末がどうなるかという見通しは全然ついていないのである」江戸川乱歩
「書けないときに書かすと云うことはその執筆者を殺すことだ」横光利一
「どうしても書けぬ。あやまりに文芸春秋社に行く」「どうしてもといわれるが、筆が進まぬ」高見順
「かんにんしてくれ給へ。どうしても書けないんだ」吉川英治
「才能がないのではないかと、悲観するのは、新しい小説にとりかかる前、いつも感じる気持ちである」遠藤周作

やばいお腹痛くなってきた。(中断)
あと泉鏡花は「昼よりも夜の方が余程筆が早い」と書いているように夜型だったらしいのですが
この時間帯なら書けるみたいなのも確かにあると思うし、
坂口安吾が「眠るべからざる時に眠りをむさぼる。その快楽が近年の私には最も愛すべき友である」とか
木下順二が「フォークナーか誰かは、鉛筆を何本も削ってばかりいるというのではなかったか」と書いてたり
仕事がつらくて2~3時間はボンヤリしちゃう菊池寛とか
原稿の合間にオペラや文楽へ出かけてしまう有吉佐和子とか
仕事以外のことをやってしまうというのもよくある話だと思う。
試験勉強期間は部屋の掃除や本棚の整理がはかどるとか。(わたしだ)

"〆切はゴムのように延びず"というのは、わたしが高校時代に在籍した部活の格言でしたが
まあ当然ですが延ばした事例はいくらでもあるようで、
島崎藤村は「来年一ぱいには全部を書き終りたいと思ひます。丁度一年だけ後れる訳になります」とか
〆切を1年も延ばしたつわものだったりする。
長谷川町子は「カツオの表情がどうも気に入りません。描き直すので1時間だけ待っていただけませんか」と
配達の人を玄関先に待たせて仕上げたらしい4コマを描いています。
(そういえばサザエさんに出てくる伊佐坂先生はいつも〆切に追われてますね)
ただ、個人的にすごく怖かったのはそのあとのコマで
原稿を描きなおした長谷川さんがボツ原稿を破ったら、なんと破ったのは描きなおした方(!)で
仕方ないのでボツ原稿をそのまま渡したという話…
思い出したくもないですがわたしも似たような経験があるのでほんとに怖かった、
人間、慌ててると手が滑って何するかわからないから気をつけましょうもの書きの皆様…。

長谷川さんで思い出したけど、漫画家さんの〆切前の悲鳴はしょっちゅう耳にしますけど
このアンソロには載ってないけど、武内直子が前に描いてたエッセイ漫画に
セーラームーンの原稿間に合わないどうしようって編集(おさぶさん)に電話したら
「ええ~っノート(付録)だけで本編のないなかよしが200万部も書店に並ぶなんてやだ~!」と泣かれて
どうにかこうにか仕上げたみたいな話があったね…。
手塚治虫は逃亡の常習犯で映画館や駅やホテルに探しに来られては連れ戻されたらしいし
藤子不二雄コンビは眠いときはペンを手に突き刺しながら原稿描いたそうだし
鳥山明も「あと1コマで終わる!」とか言ってる自画像を漫画に描いたことあるし
きっと昨日も今日もどこかで漫画家と編集者の奮闘が起きてるのでしょうね…
漫画家の皆様お疲れさまです。いつも面白い漫画をありがとうございます。
そういえば先月、こち亀が連載終了するというので秋元治がテレビに出てたけど
「常に原稿をいくつかストックしておいて落とさないようにしていた」とおっしゃってて
すげぇ本当にこういう人いるんだって思った。
〆切前に仕上げる作家というと国木田独歩や川端康成、三島由紀夫などを聞いたことがある。
逆に伝説並の遅筆だったのは、トットてれびでもやってたけど向田邦子ですね…
〆切過ぎてから書くとかザラだったらしい。

「仕事はのばせばいくらでものびる。
しかしそれでは、死という締切までにでき上る原稿はほとんどなくなってしまう」外山滋比古

編集者とのやり取りも。
「様子をみにきたのですよといはれてほろりとする」林芙美子とか、
「ただいま大宮でカンヅメになり仕事中です」と手紙に書いた太宰治とか
「カンヅメなるものを非難拒否していたが、やむにやまれずカンヅメされることを受諾」した高見順とか
相当やり合ってきた時間を彷彿とさせる文章が。。
執筆中に体調を崩す人もいて、パブロフの犬というか職業病だったり仮病(?)だったり様々。
寺田寅彦は書くときに頭痛や胃痛がしたそうですが
「大した事はなく、遊んで居ればいゝといふ誠に我儘病で慚愧の至り」と編集に手紙を出しています。
井上ひさしは原稿の依頼を引き受けてからの行動を缶詰病と呼んでいて
最初は「傑作を書く」などと言ってハイになり、次に睡眠をむさぼり、やがて放浪癖が目立ち、
しまいには「次号廻しにしてください」「殺してください」などと言い始めますが
ホテルなどに缶詰にされると全快するらしい。
梅崎春生と編集者の「ほんとに風邪ひいたんですか」「ほんとだよ」のやり取りみたいに
本当に体調を崩しても疑われることもあったとか、
何本も連載抱えてた松本清張が「ゲラ入れだけでも徹夜になる」とかぼやいてるの見ると
延ばしてあげてほしいとも思ってしまうけど、
編集者も「原稿依頼はたいてい多少のサバを読んである」「ほどよいところに締切日を置く」(高田宏)とか
ちゃんと考えて依頼してることがわかる文章も載ってて、もどかしいですね…。
(岡崎京子は6日もサバを読まれたことがあるそうな)
ちなみに高田宏は「書くことも、編集することも、相手に惚れなかったら、はじまらないのではないか」という
名言も書き残している。(川本三郎の章から)

外山滋比古の章に原稿性発熱(〆切になっても一字も書けず発熱して気分が悪くなり、
またの機会にと断られると熱が下がる遅筆の作家の事例)なる言葉があって、
それを左右社さんが栞に作ってしまったのが→こちら
これちょっと現物欲しい。

作家はサボってるわけではないし、編集者も意地悪してるわけではなくて
お互いに仕事に対する情熱やポテンシャルがぶつかってしまうだけであって
それがうまくはたらけばいいけど、ドツボにはまってしまった時にきっと
こういう文章たちが生まれてくるんだろうなと思いながら読んでいたら
幸田文の「私というものが認められることは全然なかったから、"私に"といって、
書くようにすすめられた時は本当にうれしかったのでした」とか
三浦綾子の「一気に十八枚口述して、何とか〆切に間に合わす」(晩年は彼女の夫が書き取ってた)とか
米原万里の、何でもいいというよりはテーマと枚数と〆切を与えられて書くと
「嘘みたいに仕事がはかどる」「不自由な方が自由になれる」みたいな文章も載ってるから
書くことの奥深さを知る本でもありました。
「終わりが間近に迫っているという危機感が、知に、勇気ある飛躍を促し、
ときに驚異的な洞察をもたらす」(大澤真幸)もよくわかるし…。

「自分の中では、なに、たまたまさ、
潮が引けば、じきに元の、暇に恵まれた日々に戻るさね、という考えがある」大沢在昌


ドラマ「夏目漱石の妻」を毎週、拳を握りしめながら見てるんですが
あれの漱石は精神病で書けないみたいになってて〆切に関する話は特に出てないような。
ちなみに漱石は吾輩は猫であるを書いている最中に
「猫は明日から奮発してかくんですが、かうなると苦しくなりますよ。だれか代作が頼みたい位だ。
然し十七八日までにはあげます。君と活版屋に口をあけさしては済まない」
と書いた葉書を、高浜虚子宛に送っているそうです。
弱音を吐きながらも弟子に気を使わせないようにする漱石せんせいは逞しい。
精霊の書き手。
2016年06月20日 (月) | 編集 |
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世田谷文学館にて開催中の上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展に行ってきました。
守り人シリーズを中心に上橋さんの作品世界や研究内容、お人柄に迫る展覧会です。
この文学館が行う作家展はキュレーションが本当にすばらしくて
ファンの「そう!それが知りたかったの!!」という部分を見事についてくれるので
今回も色々びっくりさせてもらいたくて事前情報はあまりチェックせずに行きました。
(上橋さんのエッセイや講演会などでお人柄については何となく存じ上げているという理由もありますが)

入口の真っ青なポスターは旅人シリーズの佐竹美保さん描きおろし、
向かい側に原画も展示されていて間近で見られます。
ポスター前にはドラマ守り人で使われたバルサの短槍(レプリカ)もありました。
ドラマご覧になった方はおわかりかと思いますが、綾瀬はるかさんの身長よりちょっと低めの長さ。
照明で尖端がギラリと輝いてかっこよかったです。

展示は上橋さんあての2通のお手紙(1979年6月と1982年1月)から始まっていて、
差出人はルーシー・M・ボストン!
高校のとき学校の研修旅行でイギリスに行った上橋さんは事前にボストンさんに手紙を出したら
「ぜひいらっしゃい」とお返事があったそうでケンブリッジのマナーハウスに会いに行っているのですよね。
ボストンさん(当時80代)直筆のお手紙!すげー本物!
マナーハウスの外観やボストンさんとツーショットのお写真も展示されていました。
グリーンノウの子どもたちが遊んでいた木馬に乗った高校生の上橋さん、楽しそう(^ω^)。

上橋さん曰く「偕成社から奇跡的に見つかった」精霊の守り人初稿(1993~1994年)。
バルサは35歳だし(出版後は30歳)新ヨゴ国も別の名前だったなど裏話もキャプションにありました。
隣に再現されたシリーズ原稿の束と、虚空の頃まで愛用されていたノートパソコンも。
会場に流れていたインタビュー映像でもおっしゃってたけど
上橋さんは編集者さんと特に打ち合わせしないで、まず物語をまるっと書き上げてから
「1冊書けたけど読みますか?」と連絡を入れるんだそうです。
まず午前中に前日書いたものを読み返して、続きを書いて
午後にまたイメージが浮かぶこともあれば浮かばない日もあるとか。
あと、原稿は400字詰原稿用紙ではなく実際に読者のもとに届くレイアウトで書くんだそうで
ほほうつまり、わたしの本棚にある守り人と上橋さんが読む原稿は同じスタイル…
ちょっと、たのしい。

上橋さんは守り人を始め数々の賞を受賞されていますが、
賞のトロフィーや賞状を展示したコーナーはどこかの博物館のようだった。
産経児童出版文化賞と路傍の石文学賞のトロフィー超かわいい…!本屋大賞のスケルトンきれい。
国際アンデルセン賞を受賞されたときのメダルや賞状、
デンマーク女王マルガレーテ2世からのサイン本のお礼のお手紙もありました。
上橋さんは眼鏡ウォンバットつきのサインをなさったらしい、かっこいい。
(著書にときどき出てきますが上橋さんの自画像は眼鏡をかけたウォンバットです。かわいい)

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撮影コーナー☆
ドラマ守り人で俳優さんたちが着用された衣装が並んでいます。
バルサ、チャグム(旅姿)、チャグム(皇太子姿)、新ヨゴ王家紋章つき瓔珞、狩人、新ヨゴ王家の旗。
チャグムの旅衣装はNHK衣装部が所蔵していた経年変化した布を組み合わせているとのこと。
狩人の鎖帷子は3㎏もあって、俳優さんはこれをつけて殺陣の撮影をされたそうで
松田悟志さんはその重さに耐えておられたと思うと個人的に萌えポイント高し←

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バルサの衣装のベストは皮を編みこんだものだそうで、
宮城の南三陸の人々によって制作されたとキャプションにありました。
後ろに回ると背中がちょっと見られましたがザックリ切れていて
1~2話の激しい戦闘時に確かバルサが背中を斬られるシーンがあって、その殺陣の痕かな…。
次回シリーズの放送は来年ですがバルサはまたこの衣装で活躍するのでしょうか、
背中の切れ目はタンダが縫ってくれるに違いない…。
あっでも、シーズン1のラストでログサムに短槍投げちゃったのでそんな暇はないかしら。
獅童ちゃんの王様姿完璧すぎて今も思い出し笑いする。

ドラマの小道具もありまして、
ツツジがモデルというシグ・サルアの白い花とか(ツツジは蜜がおいしいからかな)、
青々とした精霊の卵とか(ドラマでは卵の中に小さな地球と雲がCGでついてたよね)、
新ヨゴの夏至祭で使われるトルガル王のお面とか(魔物と王の顔が表裏一体になってるやつ)、
チャグムの部屋にあったおもちゃ、ヨゴ文字の石板、帝の冠(ビショップの冠と卵の形がモデル)、
星読ノ塔や最上階、タンダの家の木の模型なども精巧に作られていました。
星読ノ塔は133m(ビル30階建て)という設定らしい。

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衣装コーナーの隣、黒いカーテンの向こうはどうなっているかというと。

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床一面にドラマのキービジュアル!

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実はこれ、ナユグを体験できるインスタレーションです。
人が入るとセンサーが感知して映像が動きだします。
こんな風に波がおこって、白から緑、青、赤、黄色、紫など次々に色が変化して
壁が合わせ鏡になっているので世界や道がどこまでも続いているように感じる。

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わたしはナユグに行くとこんな姿に見えるんだろうか…ゴボゴボいってるけど…(笑)。

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こちらは展覧会の入場チケットですが、
インスタレーションの部屋に行くと新ヨゴ王家の紋章が浮かび上がるようになってます。
いやはや楽しい。

インスタレーションの一部は文学館のTwitterで見られますのでどうぞ→こちら

守り人・旅人シリーズの挿絵もいくつか展示されていました。
二木真希子さんの守り人シリーズやっぱり最高です…。
精霊からは最終ページの挿絵、バルサがカンバルへ戻る途中で雨に降られるカットで
個人的にこの本で一番好きな絵なので原画が見られてうれしかった!
他にも表紙の卵を抱くチャグムとか、守り人世界の地図とか。
佐竹美保さんの旅人シリーズも挿絵や設定画まであって
軽く寄りかかるヒュウゴのラフに惚れそうになったよ…かっこよすぎるよヒュウゴ。
(ドラマのシーズン2で鈴木亮平さん演じる彼が楽しみで仕方ない)
あと萩尾望都さんと対談なさったときにモー様から贈られた直筆のバルサとチャグムの色紙とか
上橋さん自らイメージスケッチされたキャラクターたちのスケッチブックもありました。
二木さんにも見せたというティティ・ラン、オコジョに乗った人かわいい( *°∀°)و✧
(ちなみにイメージの固定を避けるため他の絵は見せていないそうです)
タンダとチャグムがドラマの俳優さんにそっくりだったのがまるで予想したかのようでびっくりしました、
そんなわけで上橋さんは東出さんがタンダにぴったりと思ったのですって。

そして…。
守り人出版前の1994年5月、上橋さんが偕成社に出した「挿絵を二木さんにお願いしたい」というお手紙が
全文が展示されていてマジ感動。
こ、ここからすべてが始まったんだー!二木さん…!!
上橋さんはデビュー作『精霊の木』を出版された際に二木さんの『世界の真ん中の木』を読んだそうで
同時期だったのかなと思ってぐぐったら同じ1989年出版なんですね。
「二木さんはお忙しいが(この時ぽんぽこか耳すまの制作真っ最中)お願いしたい、
もしお引き受けいただいても挿絵が遅れるかも、それでも可能なら…」など熱い思いに満ちていました。
どういう経緯で二木さんに決まったのか知らなかったのですが上橋さんのリクエストだったんですね、
二木さんの挿絵は海外で翻訳出版された守り人でも使われているそうです。

文化人類学の研究についても、フィールドワークに使う地図やサングラスやカメラ、調査ノート、
写真や現地でもらったブーメランなどが展示されていました。
『隣のアボリジニ』の表紙を飾ったドット・ペインティング「Honey art Dreaming」の実物は
思っていたよりも結構大きかったです。アボリジニのご友人のお手製だそう。
各誌に発表された論文や著書、分厚い博士論文「ヤマジ」などを見ていると
うわ本当に研究者なんだ…などと当たり前のことを今更のように考えたりしました。
わたしはどちらかというと作家としての印象が強いですけど
大学で上橋さんの講義を受けている学生さんたちにとっては教授でもあり作家でもあるのですよな…。
(Ciniiで上橋さんのお名前を検索すると論文がいくつかヒットするしね)

海外文献コーナー。
守り人をはじめ上橋さんの著書は英語や中国語、フランス語、イタリア語ほか各言語に翻訳出版されてて
(アメリカ版の表紙は個人的に五条大橋の義経を思い出すような迫力です→こちら
英語版は翻訳にあたり平野キャシーさんが担当されたそうで、
最初はメールでやりとりをしていたのがだんだん確認事項が増えて長くなってきたため
「やりますか!」と高松のホテルで缶詰なさったとインタビュー映像でおっしゃっていた。
(ホテルのロビーでバルサの槍ポーズをとったりしたらしい)
会場にやりとりの一部がパネルで紹介されていましたけど
平野さんが細部まで読み込んで翻訳しようとなさっている奮闘ぶりがうかがえました。
ルイシャの青はBlueかGreenか?→Blueで、とかきっぱりお答えなさる場合もあれば
こういう印象なんです、と言葉を尽くして説明された事項もあったようで…。
また別のインタビュー映像では、自国では出版されてないけどアメリカの友達に送ってもらって読んだという
ウクライナのティーンエイジャーから熱烈な感想と続きが読みたいという願いがお手紙に綴られてきて
物語が広がっていくのはうれしいともおっしゃっていました。

持ち物コーナー。
再現されたご自宅の本棚にはサトクリフやル=グゥインなど岩波系が多かったり
イランやポーランドから持ち帰られたという小箱やティッシュケースはカラフルなデザインだし
「上橋菜穂子の目」のタイトルで旅先で撮影された写真群は
建物や料理、馬車や刀剣など多岐にわたっています。
アルハンブラ宮殿を見たときの圧倒された感はチャグムがタルシュ帝国を訪れた時の驚きだとか
鹿の王を書いていたときはヴィエリチカ岩塩坑の風景が浮かんでいたとか
中世の騎士が履いていたサンダルが知りたくて銅像の足を撮影したとか
コメントも楽しかったです。
海外と日本では水質が違うため旅先に必ず持って行くというリトルポコポコ(携帯湯沸かし器)欲しい…。
高校時代の文化祭で悲劇の脚本を書いて主演したそうですが
同級生だった片桐はいりさんが見事に喜劇にしてしまったという裏話も(笑)。
国語科文集の開かれていたページで、上橋さんは「人間の歴史」の感想文を書いていたけど
片桐さんは「堕落論」を書いてて何というか、その後のおふたりの進路を考えるとさもありなんという気がした。
(展覧会図録では片桐さんが上橋さんについて文章を寄稿しています)
また、『明日は、いずこの空の下』の表紙を飾ったグラナダの空の絵は
お父様で画家の上橋薫さんが描いたものだそうで、本物の展示もありました。

メディアミックスコーナーにはアニメの設定資料、ドラマのイメージボードや制作資料がたくさん。
アニメ資料は余白に書かれたスタッフさんのメモがおもしろくて
「ラルンガ:冬眠する」に一瞬、笑いそうになった(笑)。
グロくなく獣にしたいという書きこみと、色をキレイにしたいという熱意に胸キュン、
うーん個人的な感想としてはちょっとグロかったけど色はカラフルでしたね…。
他にもトーヤとサヤは定食屋が捨てた箸を再利用してるとか
細かすぎて視聴者に伝わらない(たぶん伝わらなくても問題ない)ネタが随所にあった。
アニメのドイツ語版DVDとかあってびっくり、翻訳されてるんですね。
ドラマのイメージボードも、そのまま実写にしたらこういう絵になるなあと思ったくらい細かくて
これを設計図にあの迫力が再現されたのかと思うとwktk。
藤原カムイさんと結布さんによる精霊、闇の漫画原稿もやっぱりわくわくしました。
狐笛のかなたが舞台化されたのはどこかで聞いた覚えがありますが
会場が新歌舞伎座で主演が早乙女太一くんとは知りませんでした(滝汗)。
うおお早乙女くんの野火めっちゃ見たかった…!

出口付近にスケッチブックがひとつ置いてあって
今回のために描かれた上橋さん直筆の「眼鏡ウォンバット自画像」があった(笑)。
書斎にいる姿を、ということでパソコンの前に座ったウォンバット上橋さんだそうです。
かわいい。

出口に小さな立て札があったので見たら
5月に亡くなった二木真希子さんへの、上橋さんからの追悼文でした。
早すぎるとのお言葉にうなずきながらわたしも先月のショックを思い出したんですけど、
さっきまで二木さん推しのお手紙や原画を鑑賞していて、うれしいのと同じくらい実は悲しかったけど
でも原画を拝見できるなんて次はいつかわからないので時間をかけて見せてもらいました。
またこういう機会があったらいいな。
(二木さんの原画で好きなのはナウシカと王蟲の子、ラピュタのシータと鳩、トトロのドンドコ踊り、
草花に寝転がるキキ、波の上を疾走するポニョです。
あと毎年作られるトトロのイヤープレートも二木さんが描いていたそうです。
二木さんがどういう人かは『世界の真ん中の木』解説で宮崎駿氏が書いてますのでそちらをどうぞ)

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展示を堪能した後はゴジラ2000ミレニアムで実際に使われた着ぐるみが(なぜか)展示されている
文学館の喫茶どんぐりに入店。
すげ~スーツアクターさんが中に入ってたのかあれ…(実はゆさはスーツアクタークラスタ)。

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ランチにトーストを注文。
守り人に出てくるバム(無発酵パン)や獣の奏者のファコ(同)の気分でいただきました。
上橋さんの「住める世界を書きたい」という思いは作品にも表れていて
おいしそうな食べ物がたくさん出てくるよね。

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展覧会限定のフルーツタルト。

そういえば明日は守り人でも重要な日の位置づけになっている夏至ですね。
どこかで誰かから無事に卵が生まれますように。
いろはにほへと読書記録。
2016年03月31日 (木) | 編集 |
#春の読書好き五十音フェア なるハッシュタグをTwitterで見かけて面白そうだなと思ってやってみました。
すでに呟き済ですが、うっかり「む」を入れ忘れてツイートしてしまったのと
140字では入り切らなかった本もついでに入れて完全版を作りたかったので記事にしようと思います。
(最初は1文字につき1作品に絞って頑張っていたけど好きな本多すぎて途中で頑張れなくなりました、
我慢は精神衛生上よろしくありませんので欲望のままに書くよ)
ではいってみよー。

あ:『赤毛のアン』ルーシー・モンゴメリ、『アギーの祈り』濱野京子、『アサギをよぶ声』森川成美、『天と地の方程式』富安陽子
い:『家守綺譚』梨木香歩
う:『うろんな客』エドワード・ゴーリー
え:『営繕かるかや怪異譚』小野不由美
お:『オリビア』イアン・ファルコナー、『鬼の橋』伊藤遊、『陰陽師』夢枕獏
か:『鏡のなかの鏡』ミヒャエル・エンデ、『かぎばあさんの魔法のかぎ』手島悠介、『華氏451度』レイ・ブラッドベリ、『風の陣』高橋克彦、『カブキブ!』榎田ユウリ、『髪結い伊三次捕物余話』宇江佐真理、『カーテン』アガサ・クリスティ
き:『きもの』幸田文、『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子、『ギャシュリークラムのちびっ子たち』エドワード・ゴーリー、『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
く:『くちびるに歌を』中田永一、『クラバート』オトフリート・プロイスラー、『グリーン・ノウの子どもたち』ルーシー・ボストン、『車のいろは空のいろ』あまんきみこ、『黒ねこサンゴロウ』竹下文子
け:『獣の奏者』上橋菜穂子
こ:『こわれた腕輪(ゲド戦記)』アーシュラ・K・ル=グゥイン、『コンビニたそがれ堂』村山早紀
さ:『さんぞうほうしのかえりみち』せなけいこ
し:『シノダ!』富安陽子、『少女海賊ユーリ』みおちづる、『地獄変』芥川龍之介、『シャガールと木の葉』谷川俊太郎、『十一月の扉』高楼方子、『十二国記』小野不由美
す:『スイミー』レオ・レオニ、『砂の本』ホルヘ・ルイス・ボルヘス
せ:『精霊の守り人』上橋菜穂子、『絶海にあらず』北方謙三
そ:『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ、『空色勾玉』荻原規子
た:『タンタンタンゴはパパふたり』ジャスティン・リチャードソンとピーター・パーネル、『檀林皇后私譜』杉本苑子
ち:『ちいさいモモちゃん』松谷みよ子
つ:『つるばら村のパン屋さん』茂市久美子
て:『天山の巫女ソニン』菅野雪虫
と:『時の旅人』アリソン・アトリー、『図書館ねこデューイ』ヴィッキー・マイロン、『図書室で暮らしたい』辻村深月、『鳥彦』今野寿美、『ドルフィン・エクスプレス』竹下文子
な:『直樹とゆう子の物語』松谷みよ子、『夏への扉』ロバート・ハインライン
に:『庭師の娘』ジークリート・ラウベ
ぬ:『ぬいぐるみおとまりかい』風木一人
ね:『猫語の教科書』ポール・ギャリコ
の:『農場に暮らして』アリソン・アトリー
は:『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ、『花闇』皆川博子、『晴れた日は図書館へ行こう』緑川聖司、『パディントン発4時50分』アガサ・クリスティ
ひ:『緋色の研究』コナン・ドイル、『ピーターラビットのおはなし』ビアトリクス・ポター
ふ:『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
へ:『碧空の果てに』濱野京子
ほ:『ボッコちゃん』星新一
ま:『魔女の宅急便』角野栄子、『魔法使いハウルと火の悪魔』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
み:『緑の精にまた会う日』リンダ・ニューベリー
む:『ムーミン谷の彗星』トーベ・ヤンソン
め:『名探偵カメラちゃん』ディビッド・アドラー
も:『モモ』ミヒャエル・エンデ
や:『闇の左手』アーシュラ・K・ル=グゥイン
ゆ:『床下の小人たち』メアリー・ノートン
よ:『倚りかからず』茨木のり子
ら:『ライラックの花の下』ルイザ・メイ・オルコット
り:『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ
る:『ルリユール』村山早紀
れ:『レッドデータガール』荻原規子
ろ:『路地裏のあやかしたち』行田尚希
わ:『わからん薬学事始』まはら三桃、『和菓子のアン』坂木司

小説と絵本と詩集が混ざってますが、基本的には読みもの中心です。
「あ」「く」「し」「と」「は」が好きなタイトル多すぎてめちゃくちゃ悩みまくりました!
パッと思い出してすぐ埋まるのとなかなか思いつかないのと差が激しい、けど楽しい。

ついでに漫画もやってみよう。

あ:『赤髪の白雪姫』あきづき空太、『赤ずきんチャチャ』彩花みん、『あさりちゃん』室山まゆみ、『ARIA』天野こずえ、『アルテ』大久保圭
い:『犬夜叉』高橋留美子
う:『嘘解きレトリック』都戸利津、『詠う!平安京』真柴真、『ウラカタ!』葉鳥ビスコ
え:『E'S』結賀さとる、『X』CLAMP、『えへん龍之介』松田奈緒子
お:『王国の子』びっけ、『おいらんガール』響ワタル、『鬼さん、どちら』有永イネ
か:『カードキャプターさくら』CLAMP、『怪盗セイント・テール』立川恵、『かげきしょうじょ!』斉木久美子、『風の谷のナウシカ』宮崎駿、『鞄図書館』芳崎せいむ、『かぶき伊左』紗久楽さわ、『ガラスの仮面』美内すずえ
き:『鬼外カルテ』碧也ぴんく、『きのう何食べた?』よしながふみ、『銀のトゲ』喜多尚江、『銀の匙』荒川弘
く:『くるねこ』くるねこ大和
け:『結界師』田辺イエロウ
こ:『胡鶴捕物帳』片桐美亜
さ:『さよならソルシエ』穂積
し:『重版出来!』松田奈緒子
す:『スパイラル~推理の絆~』城平京・水野英多
せ:『戦国ストレイズ』七海慎吾、『千年万年りんごの子』田中相
そ:『総員玉砕せよ!』水木しげる
た:『たまゆら童子』佐野絵里子、『たむらまろさん』ユキムラ
ち:『千歳ヲチコチ』D・キッサン、『チンプイ』藤子・F・不二雄
つ:『TWIN SIGNAL』大清水さち
て:『天上の虹』里中満智子
と:『東京BABYLON』CLAMP、『東京物語』ふくやまけいこ、『翔んで埼玉』魔夜峰央
な:『夏目友人帳』緑川ゆき
に:『20世紀少年』浦沢直樹
ぬ:『』
ね:『猫嬢ムーム』今日マチ子、『猫絵十兵衛御伽草紙』永尾まる
の:『のだめカンタービレ』二ノ宮知子
は:『ハイキュー!』古舘春一、『鋼の錬金術師』荒川弘、『BIRDMEN』田辺イエロウ、『PandoraHearts』望月淳、『パタリロ』魔夜峰央
ひ:『日出処の天子』山岸涼子、『美少女戦士セーラームーン』武内直子、『ひなぎく純真女学園』ふくやまけいこ、『ヒノコ』津田雅美、『ヒカルの碁』ほったゆみ・小畑健、『ピーナッツ』チャールズ・シュルツ
ふ:『フルーツバスケット』高屋奈月、『ぶっしのぶっしん』鎌谷悠希、『BLACKJACK』手塚治虫、『文豪ストレイドッグス』朝霧カフカ・春河35、『プライベートアイズ』野村あきこ
へ:『ベルサイユのばら』池田理代子
ほ:『封神演義』藤崎竜、『ホイッスル!』樋口大輔、『ぼくの地球を守って』日渡早紀、『ポーの一族』萩尾望都
ま:『魔法騎士レイアース』CLAMP、『まぼろし谷のねんねこ姫』ふくやまけいこ
み:『耳をすませば』柊あおい、『ミントな僕ら』吉住渉
む:『向ヒ兎堂日記』鷹野久、『夢幻伝説タカマガハラ』立川恵、『蟲師』漆原友紀
め:『名探偵コナン』青山剛昌
も:『もやしもん』石川雅之
や:『ヤマノススメ』しろ
ゆ:『幽遊白書』富樫義博
よ:『夜明けの図書館』埜納タオ
ら:『らんま1/2』高橋留美子
り:『聖伝(リグ・ヴェーダ)』CLAMP、『竜のかわいい七つの子』九井諒子
る:『るろうに剣心』和月伸宏
れ:『』
ろ:『倫敦館夜想曲』野村あきこ
わ:『ワールドトリガー』葦原大介

何だか小説絵本ver.より節操なくなってしまった…選べなかった。
「ぬ」と「れ」が思いつかない、何かあったかな??
思いついたり、他にも「あ、これ」と思い出したら足していくかもです。


【問題】なぜ同じ作家の本がいくつも入っているのか?
【答え】同じ作家の本ばかり読んでいたから

基本的にわたしは昔から作家読みをしていて、
ひとつの作品を読んで気に入ったら「この人ほかにどんな本書いてるんだろう」と興味がわいて
過去作を一通り読みとおす場合が多いです。
最近になってようやく作品読みができるようになってきまして
色んなジャンルに手を出すようになったかなと思います。
あと、一度気に入った本は3回は繰り返し読みますので
「趣味は読書」とはいえそんなにたくさんの数を読んだわけではないですね。
初読でワクワクし、2回目で伏線や読み落とした部分を発見し、3回目は内容を忘れた頃に読むのが楽しい。
ので、人から「おもしろい本教えて」とか言われると大変困惑します。。
一応、相手に興味の範囲を聞いて、わたしの範囲と似ていれば薦めやすいですが
人間十人十色ですから少し違ったり真逆だったりすることの方が多いですし、
何よりわたし自身がそんなに数を知らないので偏ってしまわないか心配。
それでも、取っかかりになればといくつか列挙してみて
相手が読んで有意義な時間だったと思ってもらえればうれしいし、
もしそうならなくてもそれはタイミングが悪かったりご縁がなかっただけなので
特に落ち込むことはないです。(昔は落ち込みましたが)
次の機会にはもうちょっとうまくやれたらいいな、とは思いますけども。
傾いて生きろ。
2015年08月29日 (土) | 編集 |
前回記事に少し書きましたが、『カブキブ!』おもしろいです。
書店で表紙だけ見かけてなんとなく読まずにいたのですが、
ブロともの春さんがおすすめしていらっしゃったので読んだらどっぷりハマりました。。
高校生!歌舞伎!部活!アツイ!まぶしい!青春グラフィティ!!
歌舞伎大好きな主人公が高校入学と同時に歌舞伎の部活動をやるため走り回るお話で
後先考えず好きなことを思いっきり楽しくやるスタンスが気持ちいいです。
なにより彼らの通う高校の名前が「河内山高校」
(河竹黙阿弥作「天花粉上野初花」に出てくる数寄屋坊主の名前)ってのが、まず素敵よね。

以下とりとめのない所感。
ネタバレせずに語るのが難しくて結構、遠慮なく書いてますので未読の方ご注意ください。


既刊3冊手に入れて1巻の1章分だけ読むつもりでうっかり開いたのが真夜中だったのですが
結局怒涛のようにページめくって、読み終えて時計を見たら3時でした。丑三つ時も過ぎちゃった。
次の日は寝不足(しかし充実した寝不足)でしたが、
歌舞伎座へ向かう電車の中で2巻と3巻を走り抜けるように読んだ!
おもしろさが加速していくんですよ…うっかり東銀座駅乗り過ごすところだった。
タイトルについてる「!」が、大河ドラマ「新選組!」みたいな力強さとポップさがあって
ストーリーも風が吹き抜けていくような朗らかさを感じる。
主人公の名前が黒悟(くろご)っていうのと、芳先輩が立役も女形もできそうっていうのと
蛯原くんが細面で軸が強い体格ってとこであ、この著者さんガチだってわかったし。
あと3巻にいきなり佐々木蔵之介の名前が出てきたんでシートに座ったまま飛び上がりそうになった(笑)、
よく歌舞伎役者みたいな名前って言われるよね。

歌舞伎オタクの黒子兼狂言方、万能すぎる事務方、演劇部のスター、日本舞踊の名取、
神と呼ばれる衣裳担当、暗記が苦手な芝居の天才、研究熱心な梨園の秀才、
まったく初心者のヘタレ顧問にチャキチャキの江戸っ子大向こうおじさんほか
個性的な人たちがワイワイやっててお祭りみたいなストーリーが、王道だけどとっても気持ちいい。
どの人も実際に会いたくなるし、お芝居見てみたいって思う。
演技は大根だけど歌舞伎への愛と情熱のために
どうかするとアクセル全開になりがちな黒悟くんかわいい、カブ友になりたい。
そんな彼をクールになだめるトンボくんも素敵です。
記念すべき初舞台が不発に終わって、ヘコむ黒悟くんにトンボくんがやり甲斐を与えるシーンは
まったくもって胸に刺さるけどひたすら現実って感じしました。
あれは黒悟くんじゃなくてもトンボくんに惚れるわ。

花満先輩の藤娘がどんなにすばらしいかは容易に想像ついたけど、
本人はきっとまだまだ上達したいだろうし、「また毛が伸びちゃって」と折にふれて嘆くに違いない。
丸ちゃんの衣装を誰よりも着こなしているのは彼だと思います…
というか丸ちゃんとオタ友になりたい。というか師匠とお呼びしたい(突然)ついていきます師匠。
阿久津くんと蛯原くんがコインの裏表状態なのは、ドラマチックな生まれも相まって
じれったいし抱きしめたいし背中をばしっと叩きたくなります。愛すべきツンデレどもめ!
読んでいくほどに阿久津くん小学生みたいって思ったけどいざというときの救世主感ハンパないし
蛯原くんもう素直じゃなくていいよそのままの君でいればいいよって思えてきた。
逆に誰よりも二枚目なのは芳先輩だよね~本番に強くて、一人称が「私」なのが好き。
かっこよさの中にパリッと引き締まった強さがある感じ。
ずっと立役かと思ってたら女形にも興味がありそうで、
その声を黒悟くんがちゃんと拾ってて「今度先輩に合う女形考えよう」ってなってて
ああ彼、ほんと演出向きだなって思いました。
村瀬歩さんあたりのハキハキした声でしゃべりそうな気がする。
トンボくんがぼそぼそしゃべるたびに津田健次郎氏の音声で脳内再生されるのなんとかしたい、
ってか、トンボくんと芳先輩の関係いいっすね…キュン
黒悟くん&トンボくんや花満先輩&梨里先輩のような、いつも一緒にいる仲の良さとはまた違って
自立した大人同士の友情みたいな空気を感じる。
いや高校生同士だけど。いいなあ。

黒悟くんが芳先輩と花満先輩を初めての歌舞伎に連れていくのが新橋演舞場で、
個人的な理由からうれしかったです~わたしの初歌舞伎も演舞場だったから(´▽`)。
歌舞伎座は殿堂ですから派手でどっしりしてて、明治座や浅草公会堂は気軽に行けて
演舞場はその中間くらいの劇場ですからちょうどいいんじゃないかな~。
つか寺子屋がデビューですかえらいもん観せますね黒悟くんも、遠見先生に行けって言った正蔵さんも…
たまたまやってたからかもしれないけど。
主君のために子どもを身代わりにする話は「熊谷陣屋」「伽羅先代萩」もそうだなァと思ってたら
3巻で黒悟くんが、歌舞伎好きだったおじいちゃんを亡くした後に見たのが先代萩だと判明して
「歌舞伎座が建替え中だったから演舞場で」のセリフにふと、どうなのかなって調べたら
2011年3月の演舞場で本当に先代萩が出されてました!→こちら
黒悟くんが見たのはきっとこれだね、スゲーなちゃんと調べて書いてあるよこの本!
その後もイヤホンガイド借りるといいとよか、お弁当持ってきたのねとか
ドブ席とはいえ7列目とは奮発しましたなあとか、読みながらどうでもいいことばかり目にとまって
全然先に進めない歌舞伎脳なわたしでした。まったくもう。
観終えた後に芳先輩がソイラテ飲みながら「何で小太郎ちゃん死ぬの!?」とか言ってるのもよかった、
だって真剣に観てくれたってことだから。
でも楽しい部分もみつけてくれて、先輩たちが「やってみようか」って言ってくれたときは
おおやっと物語が始まるぜ!ってワクワクしました。

2巻の外郎売で劇部と勝負するとこ、教頭先生も言ってますが
阿久津くんの外郎売まじ、めっちゃ見たいんですけど…!
「とざい、東西ーーー」で始まるとこ反則だよ、電車で読んでたのに一緒になって節つけそうになった。
暗記が苦手な阿久津くんのためにあれこれ手を尽くす黒悟くんが
正蔵さんの「そんな必死な外郎売はいねえだろ」を聞くまで芝居をさせることに気づかないのは
やっぱり高校生だなって思ったけど
阿久津くんに「おまえに外郎売になってもらう」って宣言して実行するのはしびれた。。
高校生って急に化けるからたまんないですね←
そうそう、正蔵さん、とにかく粋なおじさんで
「今はハンドルネームもアカウントもあるんだから、衣裳担当に屋号があったっていい」とか
「芝居見物にめかしこむのは当然」とか
「あいつらにとっちゃ檜舞台だろ、酒届けたいところだ」ってコーラ届けたりとか。
若者にとってこんな風に応援してくれる大人は貴重ですね。
外郎売は亡くなった團十郎さんのしか見たことないですがすごいですよ→こちら
演劇部の人も叩き上げるようにセリフ読んだんだろうな~アナウンス風だとどんなか聞いてみたい。
すべてはキリコさんの手のひらの上でみんな踊らされてたっていうオチも
キリコさんかっこよすぎて惚れるレベル。

3巻のクライマックスはクロくんやったねーーってなりましたよ今までで最高の盛り上がり。うおおお!
もう蛯原くんのダメ出しが、きみちょっとそれ、完全に役者目線のアドバイスだよ(笑)。
全否定じゃなく演じ手の体格や性格を見抜いて、出し物のためによくしようとしてるのがいいです。
言うだけじゃなく言わない選択もするしね、阿久津くんのためにね^^
数馬くんにアドバイスするときの「続いて次に控えしは!」がヤベーーーーー!!!
節が聞こえてくるようでした…よく通るいい声をしてるんだろうな…。
彼の赤星十三郎が目に浮かぶようです、きっと一番目立たなくて、一番見てしまうと思う。
阿久津くんの力丸も芳先輩の弁天小僧も見たい~~。
稲瀬川勢揃いの場は3月の南座で若手さんたちのを見たけど、
あんな雰囲気で高校生たちが衣装とカツラばっちり決めて舞台に仁王立ちしてるとこ想像すると
正蔵さんが大向こう飛ばしてサイコさんが感動して大泣きする図しか浮かばないですね。

ラスト1文が最っ高な次巻への幕開けになってて、4巻発売がとても楽しみ。
青い目の能楽師だっている時代ですよ!大丈夫。阿久津くんだって最初は金髪で和尚吉三演ったしね。


…さて、話は変わりますが。

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歌舞伎座納涼歌舞伎・千穐楽おめでとうございます☆
仕方なかったんだ金曜日が代休だったんだ、つかなんで金曜日が千穐楽なんだ!
というわけで棒しばり観に行ってきました。幕見で。
あとわたし、今月は家で棒しばりの話ばっかりしてたんですけど
母が「そんなに面白いなら行くわ」ってある日突然チケット取ってました。
いや、前に取り方をレクチャーしたらメモとってたけどさ…いつの間に。

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今回はこの位置から。幕見席最前列に座れました。

よく考えたら千穐楽の観劇って初めてでして、幕が開いたらびっくり。
こんなに気合いが入ってるのかと、舞台からほとばしる熱気が今までと全然違って見えた。
主人に呼ばれて返事をする太郎冠者の第一声がのびるのびる、先週こんな伸びてなかった!ってくらい
みっくんが思い切り伸ばしててやばい、
おちくぼ物語にも出た後なのにこの声量、喉と肺活量どうなってんのって思う。
じゃんけんに負けての踊りも足は鳴るしステップがダイナミック。
次郎冠者が高速でダダッとバックしていって下手ギリギリでぴたっと止まって切り返してくるし
クルクル回りながら戻って来るのも余裕のある笑顔ですごい。
扇を今までで一番高く放り投げてキャッチしてた~勘九郎兄さんブラボー!
役者さんはプロだから信じてるけど無事キャッチできるか毎回ハラハラしました、よかった。
今後おふたりで長いこと踊っていくのかな、どう変化していくのか楽しみです。

歌舞伎座の外で母と落ち合いましたら(彼女は1階席でおちくぼと棒しばり両方とも観た)、
「七之助きれいねぇ隼人イケメンねぇええ勘九郎と巳之助の踊りすっごい踊りよくあんな動けるねえ!
彌十郎の踊りよかった、てか棒しばり笑ったわー超楽しめたもん!」って絶賛でした。
今月ちょこちょこ見ていたわたしもこの日が一番すごかったと思いましたから
母は一番いい内容のを見たと思う。よかったよかった。

棒しばりの後は歌舞伎座5階にある寿月堂さんにて一休み。
観る前にお店に行って予約させていただいたら、
カウンター奥のお席を用意して待っててくださいました!
お蔭でゆっくり過ごせましたよ~店員さん本当にありがとうございました。
2015noryo12.jpg
幕見チケットでしたからお昼は奮発しました。6月からの新メニュー、和のアフタヌーンティー☆
シーフードサンドに手まり寿司、野菜のケーキにヴィシソワーズ、
抹茶パンケーキにほうじ茶パンナコッタ、抹茶とフランボワーズのフィナンシェ。
ほうじ茶はおかわり自由ということで遠慮なくいただいてしまった(´▽`)ホッとおいしい。

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とどめは抹茶ソフトクリームと抹茶カプチーノです。Macchaコンボ。
お抹茶はその場で点てていただけます。
まだ数回しか飲んだことないけどやっぱり濃い。結構なお点前でした(╹◡╹)。
抹茶ソフトが甘いからお抹茶によく合う。

2015noryo14.jpg
お会計のとき「よかったらどうぞ」ってお土産までもらっちゃいましたー!
さすが染五郎さん御用達、もともと大好きなお店ですがどんどん好きになっていく…。
次回はお茶漬けがいただきたいな。

この後は池袋のハンズメッセをブラブラして、夕ごはんを食べに寄った和食屋さんで
お茶をいただきながら、
母「飲むぞ飲むぞ」
わたし「飲め飲め」
母「(一口飲んで)いやーさても一段とよいお茶じゃ」
食事を終えてお店を出るときには、
母「そろそろ行くぞ」
わたし「心得た」
棒しばりごっこ楽しい(笑)。
よりそう着物。
2015年06月18日 (木) | 編集 |
幸田文さんの『きもの』を読みました。
何の気なしに図書館の棚を眺めていて背表紙が目に留まりまして
中身をざっと見て借りて帰って本能のままに一気読みしてしまった。はぁお腹いっぱい。
(* ̄ω ̄*)=3

こちら著者の自伝的小説だそうで
(お父さんのモデルは幸田露伴でお母さんは早くに亡くなられたお母様だと思う)、
舞台が戦前ということもあって読んでるとエーッてなったり
「いやいやいやいやないわ」ってドン引きする部分もたくさんあったけど、
着物描写や生活の知恵のくだりがおもしろくて目からウロコの連続で
へーへーそうなんだ!って何度口走りそうになったかわかりませんでした。
今までなんとなく覚えていた物事に裏付けをしてもらったというか。
このブログをお読みの方はすでにお察しかと存じますが、
わたし生活史とか風俗史とか文化史といったものに果てしないときめきを覚えることが多くて
この本はまさにそんな知識が満載でMy好奇心をパンパンに満たしてくれたわけです。
その物がそうあるのは何のためか、
この時に使うのがこれじゃなくそれなのはなぜかといった事例を
できるだけ多く知りたいといつも思っています。
事例って人それぞれで同じものいっこもないもんね。

着物は着心地!見た目じゃないわ!がモットーのるつ子に心から共感しまくりました。
綿がぎっしり詰まった胴着は肩のところで袖がつまって腕がまっすぐ上に上げられないから嫌い、
よそ行きの着物は重たいし裾長で足にからみついてくるから嫌い、
手拭ゆかたの洗いざらしは軽く、しなやかで自分の思うままになるから好き、
紋羽二重の羽織は着ているか着ていないかわからないほど軽くて好き、
「柄や模様より気持ちのいいのが第一」というるつ子の心情は
なんかもう、わかりすぎるくらいよくわかる…。
わたしも、サイズや着心地の合わない服を着てるとその日1日ブルーですが
ぴったりの服だと自然と元気になるから不思議。
見た目ももちろん大切なので趣味に合ったのを選んで着ているわけですけども、
着ていて気持ちのいい服は人の機嫌も世界の見え方も変えると思っているので
服を買うときは見た目でピンときたら素材を確認して触ってみることにしています。
(あとクリーニングじゃなく洗濯機で洗えるかどうかが大事)
メリンス(毛織物)で肌がかぶれたり、お寺の和尚さんの着物にこっそり手を通してみたり
薬屋さんの掛軸にいる神農像の着物が何でできているか気になったり
結婚して家を出たお姉さんが里帰りに着ている派手な服に目をひそめたり
お葬式のバックヤードで動き回るときも薄汚れた物ではなくこざっぱりした銘仙に割烹着を着たり
震災で崩れた街から帰って来たお父さんの洋服姿に節度を見たり
結婚することになって染めの着物に身を包んだ時になって気づいてしまったことがあったり
様々な場面での様々な服を見たるつ子のファーストインプレッションと思考が
時にさっぱり、時に丁寧につづられるのを追いかけるのが楽しかったです。

るつ子とおばあさんが病気のお母さんのために縮緬の布団を作るときの描写がとってもわくわく。
お古の子ども用の縮緬着物を使って作るのですが、
柄が大柄すぎやしないかと思案するるつ子に、おばあさんが
・布団てものは、大柄な方が上品に見える
・作るのは敷布団だから、どうせ敷布で柄は見えなくなる
・大事なのは寝心地、縮緬の柔らかさがあればすべてよし
というわけで、かつてない派手な布団が出来上がっていくのはとても楽しく感じます。
「布団を新しくするのは嬉しいものだよ」と言うおばあさんのセリフにも首肯。
というか、おばあさんが折にふれて語る着物や家事の知恵のひとつひとつが
経験に基づいて理にかなっているからするりと納得がいきます。
着物についても木綿、毛織、銘仙、絹、いつどの素材を着るか、また何故その着物なのかが
的確に語られるのがとても勉強になって
今後着物着るときはるつ子のおばあさんの知恵を全面的に師匠にしようと思ったくらい!
そしてそれは関東大震災の描写でもっとも顕著にあらわれていたな…。
揺れが収まって真っ先にるつ子へ出した指示が「足袋をお履き」っていうのが
びっくりするくらい説得力あるし、
2人で避難するときお米とドロップを2つの包みに分けるのも
はぐれたときのことを考えているっていうのがもう、リアリティあるなあと思いました。
たくましいおばあさんかっこよす。
(あ。ひとつだけ共感できなかったのはるつ子が痴漢に遭ったときのコメントね。
当時の社会を考えるとそう言うしかなかったんだろうけど、そういうことじゃないって突っ込んでしまった)

るつ子の家がずっとお世話になっていた呉服屋さんがある日大盤振る舞いをして
数日後に店をたたんでいなくなってしまって、
お姉さんが「固いお得意さんだけを呼んでこっそり安売りしたのね」ってぽつりと言ったときに
お店の人にもうちの買い物がいくらか足しになったろうか…と
自分ではどうにもならない理不尽について考えるるつ子がとてもよかったな。
あと、震災で避難しているときにおばあさんをどこかで休ませようと思ったるつ子が
山の手の大きなお屋敷の人へ声をかけたときに
突然、自分は少しだけどお金を持っていた、お金で堂々と交渉する手段があったのだと
元気が出るシーンもあって、それもよかったです。
(ちなみにお屋敷の人はお金を受け取らずに休ませてくれた)
あと、るつ子のお兄さんが震災で炊き出しのおにぎりをこしらえるとき
いちいち手に塩をつけるのが面倒だからと、釜の中へ塩をまいてかき混ぜて
お茶碗で型抜きして作ったというのが頭いいなあと思った。

ラストがちょっと唐突なのですが、巻末の解説によるとこれは連載が止まったためだそうで
できればもっと続きを読んでみたかったです。
まあ、なんとなく想像はできますけど…。


幸田さんは着物エッセイも書いていたと知って『幸田文 きもの帖』を読んでみたら
冒頭から「夏は絶対に洋服へ軍配を挙げます」「洋装に越したことはありません」と書いてあって
うおおおおおこの人本物だ!って思わず両手の拳握った。
こういうことを率先して言ってくださると着物クラスタとしてホッとします、選ぶ自由がある気がして。
続きに「若い和服がいいのはやはり雪と花と紅葉でしょうか」ってあるのも
首が折れるほどうなずきましたよ。
何より「雪と花と紅葉」って言い回しがさ…最高ですね…!
冬と春と秋じゃないんだよ!雪と花と紅葉だよ!!
(ゆさはしゃべり言葉フェチでもあります)
とはいえ、夏に着物をお召しにならない著者では、もちろんありません。
ゆかたを「正装でないことは常識である」としながらも
・糊気を置いて着れば肌を離れて風を入れてくれる
・糊気を落として着れば高原の冷やつく夜気を庇い、肌に添って冷えを防いでくれる
ということから「情けのある着物である」と情緒たっぷりに語っていらっしゃって
こんな風に着物をそばに感じて着こなせたらなあ…とは思うのですが
いざ自分がやってみるとなかなか難しいもので四苦八苦すると同時に
改めて幸田さんのような方への憧れを抱いたりする今日この頃です。

また、幸田さんの娘の青木玉さんも、お母さんの着物の本を書いてらっしゃって
『幸田文の箪笥の引き出し』とかを読んでみると
親子でお着物ライフを楽しんでおられたのが伝わってきます。
(幸田さんは生涯、着物で過ごした方でした)
様々な着物を着た幸田さんの写真も載っていて、飼い猫を抱いた写真がとても素敵だったのだけど
名前が「阪急」といったらしくて、なんか笑ってしまった。


korin7.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その6。5はこちら
家を売って引越しを終えた光琳、乾山の焼き物に絵付をする仕事から始めることにしました。
下絵のアイディアをひねっていると中村内蔵助が訪ねてきます。

内蔵助「こんにちは」
光琳「おや、こんにちは」
内蔵助「二条様の使いで参りました。お庭に窯を開きたいとのことでおふたりとお話されたいそうです」
光琳「へ?窯??」
内蔵助「絵やお能も引き続きご所望だそうですが、さしあたっては窯をと」
光琳「そりゃまた」
乾山「良かったね兄ちゃん、仕事になるしお招きいただけるじゃない、法橋の話もしやすくなるよ」
光琳「………いいな、それ」
乾山「でしょ」

ものは考えよう、な光琳と乾山なのでした。借金で苦労している身には大切なことです(キリッ

乾山が著した『陶磁製方』には「最初之絵ハ皆々光琳自筆」とあり、
焼き物を始めた頃は光琳が絵をつけていたようです。
その後、乾山が作陶と画賛を入れて仕上げていました。

中村内蔵助は京都の銀座役人で、公私にわたり光琳を援助してくれている人です。
また、二条家は藤原摂関家の公卿で
当主の綱平は東福門院の孫の栄子内親王と結婚したことから尾形家とも交流がありました。
光琳は綱平の絵の師となり能や舞も披露し、2人の交流は長く続きました。
名探偵のテーブルマナー。
2015年03月02日 (月) | 編集 |
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神田の早川書房さんのビル1Fにあるカフェ・クリスティが
1~2月に名探偵エルキュール・ポアロとコラボしていたので足繁く通っておりました☆
普段はモーニングやパスタなどがいただけるお店なのですが、
期間限定でポアロや原作者クリスティに関連したメニューが出ると聞いて
時間の許す限り行かなくては!と思ったので\\ ٩( 'ω' )و //

カフェクリスティさんはこれまでにもパブ・シャーロックホームズやフィリップ・K・ディック酒場など
コンセプトカフェを企画してくださっていますね。
パブ・ホームズは行けませんでしたが(平日夜しか開いてなくて通える距離でもなかったのです)、
ポアロは休日も営業してくださるとのことで
わたしの灰色の脳細胞が完全に呼ばれている気がしたわけです(一体何を言っているんだ)。

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入店したらもらえたスタンプカード。
オリエント急行の乗車券みたいなデザインです。ステキです。

メニューはこちら。お昼と夜があってそれぞれの時間にいただけます。
お料理は『アガサ・クリスティの晩餐会 ミステリの女王が愛した料理』という本をもとに
再現されているそうだ。

Poirot2.jpg
店内にはポアロに関する書籍や舞台、映画、ドラマのポスターや俳優さんの写真が飾ってあります。
デビッド・スーシェ氏大好きだ~!かっこよすぎる。
肉声も大好きですが、吹替えの熊倉一雄氏の「ムッシュ」とか「メルシー」がたまらんよね…
あれ絶対語尾にハートマーク付いてると思う。
三谷幸喜氏脚本のドラマ「オリエント急行殺人事件」のポスターもあったよ。
(ドラマは第一夜がクリスティの原作で第二夜が三谷氏オリジナルでしたね、
萬斎さんとっても楽しそうだった^^
ヘクター・マックイーン→幕内平太とか、登場人物の名前がオリジナルをもじってて面白かったなあ。
入念に仕込んだはずの計画が関わった人々の思いによってあっけなく空中分解していく様と、
松嶋さんとニノの「なんで燃やすかなー」「燃やしたくなっちゃったんですよ!」の会話が
三谷節が炸裂してて大笑いしました)

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入口にある背広と山高帽は自由に借りてポアロコスができます。付け髭もあったよ!
わたしが行ったときも何人か借りて楽しんでいる人がいました。

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イラストレーターで作家の桜井一氏が制作した
『そして誰もいなくなった』のインディアン島の模型(1986年のミステリー・魅ステリアス展に出品されたもの)も。
うおおあのホテルがあの入江がっ!!殺人場所には赤ついてるし。
これでメニューに薫製ニシンがあったらわたし真っ先に注文したわ~(なかったけど)。

そして誰も~はアクロイド殺人事件と同じくらい好きな小説です…ひたひたと忍び寄る恐怖にドキドキ。
島の描写も美しくて不気味さを誘って、張りつめた静けさが目に浮かぶようです。
いやABCも捨てがたい…ポアロのクリスマスも…予告殺人も…スリーピングマーダーも…
だめだきりがない。
秘密機関はトミーとタペンスがキャッキャしながら事件解決してて楽しくて
あっという間に読んだ覚えがあります。謎解きはスポーツ!それにしては疲れるスポーツ。
パディントン発4時50分は殺人を目撃するシーンの秀逸さと完璧すぎるメイドさんに軍配。
一番はカーテン。鉄壁。

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壁には早川書房から翻訳刊行されているクリスティ著作の表紙が☆
これだけでひとつのアートですよな。

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ポアロ風スタッフドキャベツ。
メニューに添えられた「クリスティの別荘グリーンウェイハウスでは
こんなご馳走が出ていたのかもしれません」の言葉どおり、
キャベツと挽肉が交互にサンドされトマトソースとチーズがかけてあってそれはそれは美味でした。

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ポアロのアフタヌーンティーセットをいただきながらアガサ・ノートを読む至福の時間。
コンセプトカフェで作家の本を読むのが…夢だったの…!叶ってうれしい。
この本はわたしの手持ちですが、店内にはポアロの文庫本も置いてあって借りてる方もいらっしゃったし
推理小説談義に花を咲かせる人たちもいらっしゃった。
ポアロのドラマBGMが流れる店内でポアロ談義。最高のシチュエーションですね。

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ちょっとしたゲームも。
店内に「え」「う」「か」などの平仮名を書いた紙がバラバラに貼りつけてあって
ぜんぶ見つけて並び替えると、あるポアロ作品のタイトルになるというもの。
大喜びで探して回答したら無事に正解できまして、ポイントカードにスタンプ押していただきました。

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こちらは別の日にいただいたイングリッシュ・マフィンサンド・ポアロ風。
マフィンもスクランブルエッグもふかふかでおいしかったです。

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クリスティ研究家の数藤康雄氏がクリスティ本人から送られたお手紙もいくつか展示されていて
こちらは「近くまで来るなら別荘に泊まりなさい」と書かれているもの!
他にもクリスティが選んだ著作ベスト10とか、作品内容についての数藤氏の問い合わせへの返答、
「ミス・マープルにモデルはいません」ときっぱり書かれたお手紙もありました。そうなのか~。

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クリスティとお孫さんのマシュー・プリチャード。
プリチャード氏はクリスティ著作を読むと序や後書きなどで必ずお名前を拝見する
アガサ・クリスティ社の会長さんですね。

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カフェでもらえたコースター。
アルファベットが書いてあって、全部集めるとポアロの名前になります☆
もったいなくて使えない…(´ω`)。

他にもチキンの巣ごもりとか羊肉と白インゲン(『マギンティ夫人は死んだ』から)とか
キドニーパイ(『ヘラクレスの冒険』から)とかポアロのホットチョコレートとか
色々ありましたが通いきれなかった。
でもでも、本当に楽しかったです!
ポアロの著作やメディア作品に囲まれてポアロをイメージしたお料理をいただく機会って
すごく憧れでしたので素敵な企画でした。
またやってくれないかなー!
あ。キドニーパイはパブ・ホームズのときも評判がよかったそうで、いただきたかったのですが
イギリス料理の定番だから他のお店でもいただけるかもしれん。探してみよう。

…ところで。
ファンの心を刺激してやまない早川書房さんはとうとうこんなメニューまで始めたようです→こちら
ノンアルコール「ピンク色の研究」って!エッグ・ベネディクト・カンバーバッチって!なんぞ!!
(ドラマシャーロックSeason4が待ちきれないよ~撮影は今年で、BBCでの放映は来年だとか。
マイクロフト役のマーク・ゲイティスさんによるとクリスマス用特番の撮影は既に始まってるらしい)


週末に京都へ旅行に行ってきますので、少し留守にします。南座で花形歌舞伎を観るのだ☆
Twitterには出没しております(・ω・)ノ
迷宮物件。
2015年02月06日 (金) | 編集 |
小野不由美さんの『営繕かるかや怪異譚』を読みました。
城下町に建つお屋敷や古民家に住む人々と、家に起こる怪異と、それを修繕する人を描く短編集です。
お話はそれぞれ独立していて、登場人物も舞台となる家も異なっていて
もちろん怪異も多種多様。
共通して登場するのが営繕屋の尾端さんで、
一見、どうという特徴のないこの職人さん(と、読んだ限りでは思える)が
家にまつわる怪異を修繕します。
雑誌『幽』には今後も連載予定とのことで、シリーズ化するのかな。したらいいなあ。

実は小野主上のホラー小説読んだのものすごく久し振りで(たぶん魔性の子以来だと思う)、
あ、そうそうこんなリズムの文章だったわって懐かしい感覚にかられながらも
主人公たちに迫る怪異の筆力にただただひれ伏しました。。
淡々としたト書きなのですが、事実を次々に述べていくだけなのでかえって凄まじさがビリビリくるし
くらのかみのようなジメリ感も相まって、今まさに鼻先5センチで何か起きてるような手触りがあって
たまに声出しそうになったよ。
やばいやばいこれマジやばい!!って怖さがピークに達したところで
「大工さんに頼まれまして」ってヒョッコリ登場する尾端さんの仕事ぶりがまた事務的で、
窓を開けるとか、水をためておくとか、瓦を置いておくとか、えっそれだけでいいの?みたいな
全面的に解決するというよりとりあえず何とかしたら大丈夫になった結末ばかりで
かえってリアリティと説得力がありました。
なにせ相手が相手なので、お互いに干渉しない共存方法を生きてる人たちが探すといいますか
あなたと一緒に生きることはできない、でも存在を否定はしませんって感じが
なんかアパートやマンションの人間関係みたいだなあと思いました。

尾端さんは最初、なんか面白い人だなと呑気に思っていましたが
読み進めるうちにどんどん頼もしく見えてきて、
幽霊やばい怖い早く来てえええ!ってページをめくって彼が登場したらホッとしたりしました。
本当に破綻寸前になってから来るので…。
(小野主上は十二国記とかでも主人公を容赦なく追い詰めまくってから救い上げる方であることも
やっと思い出したりした)
かるかや(苅萱)というと思い出すのは高野山の苅萱堂ですが、
調べてみたらそもそもは、俗世と縁を断ってお山や寺院などに身を隠して生きる遁世者の葛藤を語った
お説経の名前なのだそうな。
そんな風に聞くと、尾端さんのプロフィールがとても気になりますな…。
プライベートを匂わせる描写が、作中にまったくないので。

このお話に出てくる怪異は、鬼太郎や妖怪ウォッチとは違って
もっと意識的なものというか、人とコミュニケーションを取るのが困難な怪異だったりします。
こう、「そういうふうに縛られているから行動パターンを変えられない」みたいな切実感があって
ルールを決めてこういう風にしましょうね、とか話し合うわけにはいかない。
生きてる人からすれば、見えない(たまに見える時もある)相手の目的が何なのかまったくわからないから
何か起きるたびに恐怖しか感じられないんだけど、
彼らには彼らなりの理由があって行動しているわけで
それを尾端さんが調べて判明すると理解できたり共感が生まれたり、いとおしくなったりする。
その人が化けて出るのは伝えたいことがあるからだ、というテーマは
シックスセンスを始め多くのホラーや怪談で示されてきていますね。
存在する次元が異なるので共存は難しくても、耳をかたむけるって大事ですな…。

あと、このお話の主人公さんたちは自分で家を建てたわけではなく
引越し先の家や継いだ家で怪異を見ることになって、
でも引っ越すにはお金がかかるし、かといって対策も全然わからないし…という
とても現実的な問題で困ってしまうのもリアリティがあるなと。
金銭に関しては本当に社会問題になっているし、
対策は、つまり引継ぎがしっかりされていないってことになるよな…。
長生きした建物には色んな人が住んできたし色んな出来事があったわけですが、
4編目の「異形のひと」の中で女の子と大工さんが交わす
「人が死んだ家なんて嫌」「家では必ず人が死ぬもんさ」の会話が
時間が経っても建物は残るけど住む人は変わるのだ…という当たり前を思い出させてくれました。
(その後に大工さんが「死ねば必ず化けて出るってもんでなし」と付け加えていて有難さを感じる)
でも、5編目「潮満ちの井戸」でお庭にあった小さな祠を調べもせず壊して平気平気とか言ってる人には
あーあ、と思わなくもない気がする(苦笑)。

公式サイトのインタビューによると、お話を思いつかれたきっかけは
小野主上のお宅に出入りしていた工務店の若い職人さんと、
テレビ番組「大改造劇的ビフォーアフター」なのだそう。
工務店とお化け屋敷の組み合わせは楽しいかなと思われたのですって。
作中でも言及されていますけど、建築関係者、特に現場経験の長い職人さんなどは
験担ぎや家相などといった建物のおまじないや禁忌について詳しいイメージが個人的にもあります。
我が家も昔、両親が建て直したので地鎮祭にはじまる行事は一通り経験しましたので…。
(あと、小野主上は確か、十二国の設定を思いつかれたのは銀英伝を読まれたときに
理想的な君主はラインハルトかトリューニヒトか?と考えて
ある作家さんの「死なないラインハルトがいい」という言葉についてお考えなさったところからだと
銀英伝文庫9巻に寄稿しておられたはず。
アイディアってどこから降ってくるか本当にわからないものですね…)

表紙の漆原友紀さんの絵も、建物の室内が暗かったり草木の緑色がくすんでいたりして
暗くじめっとしたお話の雰囲気が感じられました。
空を青色に塗らないのも徹底してる…。
あちこちに作中のあれこれがさりげなく描かれているのもドキドキします。
それとも、こういうのってあまり探さない方がいいのかな…?(^ ^;)
尾端さんの表情がちょっとギンコに似てる。

しばらくシャッターと冷蔵庫と箪笥の引出しとお風呂の蓋あけるの怖い。

そしてそして…もうしょっちゅう言ってますけども泰麒と李斎はどうなるんですか小野主上~~~!!
新潮社から長編の刊行が予定されているそうですが戴のお話なのかな…戴だといいな…(゜ー゜)。


本日のお絵かき↓
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太宰府天満宮の屋根にいる菅原道真と風神・雷神。
道真さんに寄り添っているのは牛さんです。
これを描いている間中ずっと「月灯りふんわり落ちてくる夜は~」の歌が脳内でエンドレス再生されていた。

北野天満宮や太宰府を始め、全国の天神社には必ずといっていいほど臥牛像があります。
道真が丑年生まれであること、流罪の道中付き添ってきた牛がいたこと、
亡くなった道真を乗せた牛車が今の天満宮付近にさしかかったところ牛が動かなくなったため
人々が亡骸を葬り宮を建てたこと、などの言い伝えがあるためだそうです。
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路地裏の向こうは不思議の町でした。
2015年01月21日 (水) | 編集 |
行田尚希『路地裏のあやかしたち-綾櫛横丁加納表具店』を読みました。
煙草屋の隣の細い路地…綾櫛横丁を訪ねた男子高校生が
ひょんなことから横丁の表具のお店「加納表具店」に弟子入りして、
お店に(というか店主に)持ち込まれる小さな事件をひとつひとつ紐解いていく連作小説です。
よくある妖怪退治ものかと思って1年くらい読まずにいたのですが
思い切って読んだらとてもさわやかな気持ちの読後を迎えることができて
迷っていた過去の自分に「読め!いますぐ」って言うためだけにタイムマシン乗りたい。

お話そのものは非常にシンプル、特に大きな事件も起きずちょっと不思議な日常生活という感じで
全体的にサラッとした風が吹いてるみたいな雰囲気がよかったなあ。
セリフやト書きも多すぎず少なすぎず絶妙なバランス。
表具師の店主をはじめ横丁の住人たちが全員妖怪で
持ち込まれる案件がだいたい絵に関する怪異である点はまあよくあるパターンとしても、
齢数百年の店主がハンバーガーショップの新作を必ずチェックしていたり
天狗の男の子がランドセル背負って小学校に通っていたり
詐欺師の狸がカモから騙されていたり
セーターの似合う猫又が時々ふらっといなくなってまた帰って来たり
氷屋でバイトしてる雪女がコスメに夢中だったりするのはなかなかないような気がします( ˘ー˘ )。
みんな言葉が現代語で「~じゃ」とか語尾についてないのもかえってリアリティがあるというか
仕事したりハンバーガー食べたりカフェや美容院に行ったりしながらふつうに現代人やってるのが
全然違和感なく書かれていて
鬼外カルテとかRDGみたいな、隣に何気なく暮らす多様性を当たり前としているのに好感が持てました。
何より登場人物、絵や表具など古いものに対するリスペクトが感じられて(ここ超大事)、
妖怪や絵にまつわる怪異が退治されてしまうことがないのがとても良かったです。
人と異なる生き物を折伏したり排除したりする退治ものバトルものが最近どうも読めなくてですね…
こういう本と出会いたかったのですよ。食わず嫌いにしててもったいなかった。

洸之介くんがすごく誠実な男の子なのが、このお話にバランスが取れている理由かなと思います。
(もし癖のある主人公だったらかなり印象が変わると思う)
妖怪さんたちがどんなにぶっとんでいても、洸之介くんは最初は慌てるんだけど
妖怪さんたちの行動を見たり話を聞くうちに「まあこんなもんか」と水を飲むみたいにヒョイと受け入れたり、
環さんたちにお酒をすすめられても「未成年です!」って断って
自分より見た目が幼い妖怪たちが飲んでても「たぶんみんな20歳は超えてるだろう」とスルーしたりと
結構、頭回るし順応性高いなあと思う。
古いものに対しても素直に感動して、環さんの指導のもと技法を習得しながら
たまに妙な調査のために引っ張られていったりする典型的な巻き込まれ型主人公ですが
たぶん本人もまんざらではないと思ってるだろうな。お人好し少年☆
揚羽さんにオゴられたと知って仕事を断れなかったりとか、
2階から落ちかけた同級生を桜汰くんが助けたとき「あー桜汰が天狗でよかった…」って
心底ホッとしてるのとか、たまにヘタレ。
日常を失いかけてだんだん不安が膨張していくくだりは、ラストが予想できてはいてもドキドキしました。
妖怪さんたちに叱られて「ケータイ死んでました」って謝るしかないのがおかしくて笑ってしまった^^

店主の環さんのかっこよさは筋金入りですね~。
腕のいい表具師で、数百年生きてるから知識も経験もあるけどいい具合に肩の力が抜けてるから
洸之介くんにとってそんなに堅苦しい師匠ではない。
なにより普段着が着物で街へ出かけるときも着物なのが!スバラシイネ!
環さんが鮮やかなオレンジの着物姿で鰯チーズバーガーを頬張る描写が
かつて着物でマックに入って月見バーガーを食べた自分と重なって(おこがましい)、
なんだかうれしかったです。
(これで環さんが着物を洗濯機でガラガラ洗って干してアイロンかける描写があったら完璧だったわ)
猫又の揚羽さんや雪女の蓮華さんがキャッキャするのもすごくかわいくて、
でも2人とも環さんより年下とはいえ数百年生きてるから色んなことも経験してて
揚羽さんが戦争中に経験したこととか、蓮華さんがサラリと口にする葛藤とか
会話の節々にふと過去の影がよぎるのが切ない。
それを洸之介くんが黙って聞いてて、彼女たちの言葉の奥にある本音を思いやってるのがいいよね。
彼女たちも洸之介くんだから話せてるわけで、
そういう、お互いに相手の意図を汲み取れる信頼関係があるパターンは好きです。
うつけのふりとか、道化を演じてるとかね。ありがちですけど大好き。

表具に関する描写もワクワクしました!
裏打ち作業のときに紙をずらさないようにする緊張感とか、
僧侶の袈裟を表具につかったのが金地の表具の始まりみたいな豆知識とか。
糊作りで失敗してしまった洸之介くんに環さんが「裏打ちによっては腐らせた糊を使うから大丈夫」と
助け船を出しているのが、
仕事をポジティブにすすめるバイタリティを感じていいなあと思いました。
「糊ははがしやすくしておく。100年後の人が修理するときすぐに剥がせないと困るから」と聞いて
洸之介くんは目まいがしていたみたいだけど、
確かテレビで日光東照宮の修復をしていた職人さんが似たようなことおっしゃってたなあと
読んでて思い出しました。
100年後の人たちが修理する時わかりやすいように印をつけておく、みたいな言葉だったと思う。
また、「自分たちは100年前の人たちからこの仕事を引き継いだ。
100年後の人たちに恥ずかしくないような仕事をする」とも聞いたな…。
それは彼らにとってはすごいことでも何でもなくて、仕事でいつもそうしてるってだけだと思うけど。
尊敬。

そうそう忘れちゃいけない、猫又の話に凡河内躬恒の歌がふいに出て来てびっくり^^
「笹の葉におく初霜の夜を寒み しみはつくとも色にいでめや」古今和歌首巻十三・六六三番
揚羽さんは躬恒の歌と知っているのかな、環さんは作者まで教えてさしあげたのだろうか。
環さんはどこで知ったのかな、戦国時代あたりから生きてるし
彼女のお師匠建部宗由(実在の茶人)は金森宗和や小堀遠州と親交があった、当時のインテリですから
歌集とか持ってたかもしれないし。

本の帯に「文字の向こうに色彩が見えた」と選考委員の方がコメントを寄せていて確かに!とはげど。
特に環さんの着物の色彩と、怪異が解決したときに生じる色がすごく美しく思い浮かびました。

続編が出ているようなので読んでみたいと思います!
ひさびさに素敵な妖怪ものに出会えてしあわせでした☆
よい読書時間を過ごすと精神が潤いますね(´ー`)。
ノーと言えるようになりたいその2。
2014年12月29日 (月) | 編集 |
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ヴァニラ画廊の「エドワード・ゴーリーの世界2 Gorey library」展に行ってきました。
去年に引き続き、濱中利信氏のゴーリーコレクションから
ゴーリーが関わった本の装丁やブックフェアのポスター、
しかけ絵本に豆本、パラパラマンガ、クリスマスカードなど「本」に特化した展示になっています。
前回と同じけだるいBGMも手伝って、かわいくホラーな世界観に心地よくひたることができましたよ☆
ヴァニラ画廊さんは奇妙な歪みと安らぎのたゆたう雰囲気の会場なので
ゴーリーみたいな作家の展示はぴったりですな。
(余談ですが去年の展覧会めぐり納めがここのゴーリー展、今年も同じ場所でゴーリー展と
2年連続ゴーリーで締めることになりましたね…意図したわけでもないのですが)

前回がものすごい混雑だったので今回も早めに行こうと開廊と同時にすべり込んだのですけど
そんなに人いなくて快適な鑑賞環境でよかったです。
入って早々に、チケット売り場と展示室の間のスペースに設置してある白い棚(3段)に
ゴーリーキャットのぬいぐるみ(売り物)がズラーーっと並んでてびっくりしました(笑)。
1匹だけマグカップに頭つっこんでて、それもナイスだなあと^^
棚のそばの壁にはゴーリーが愛猫と一緒に写っている写真がかけてあって感動。
おお…のっけからゴーリーの猫趣味をプッシュしてくるとは…おおお…!

しかし猫趣味展示が本気で火を噴いたのは展示室に入ってからであった。
展示室の真ん中にあった黒い安楽椅子の上にゴーリーキャットのぬいぐるみが座っていて
額装されたリトグラフ(制作年不明)が1枚置いてあったのですが、
それが安楽椅子に腰かけて本を読む男性の膝の上や本棚の上、床に積まれた本の上などで
猫たちが気持ちよさそうに寝ているという絵で→こちら(の原画かな?)
うおおこれは、特にタイトルには書いてないですがまるでゴーリーの自画像のような…!
なんだかほのぼの(´w`)。
その脇には木の戸棚があってガラス扉の中にうろんな客人形とグッズがいくつか入ってて
お人形は去年も見たので1年ぶりの再会でうれしい☆
戸棚のてっぺんにガイコツがひとつ置いてあって上にカラスの剥製がとまり鍵をくわえて
どことなく不安定な雰囲気をかもし出していてワクワクしました(´w`)。
戸棚やグッズが整然と並べられているから余計にアンバランスに見えてくらくらするのかもしれない…。
あと、ちょうどクリスマスシーズンだったのでクリスマスツリーが出ていて
ゴーリーキャットのぬいぐるみがいっぱい吊るされてて超かわいかったです→こちら
ちょ、これツリーごと持って帰ってうちに飾りたい!
側に展示されていたクリスマスカードも人がリボンに巻き付かれていたり真っ黒だったりと
ちょっと飾るのをためらうレベルのゴシックなデザイン。
飾れるとすれば龍のあたまから生命の樹が生えている絵のカードと
猫がリボンつきリース持ってるの、部屋中を埋め尽くした長いマフラーの中央に猫がちょこんといるの、
くらいかなあ。

絵本『キャッテゴーリー』の原画もありまして、52番がかわいかったな~後ろ姿の猫がリボン振ってるの。
キャプションで知ったのですが、『キャッテゴーリー』はかつてゴーリーがアンソロジー本を刊行した際に
1~50まで番号のついた猫の水彩画を限定50部の付録でつけており、
それらを1冊にまとめたものなのだそうな。
確かに、1枚1枚に描かれた猫さんたち幸せそうなお顔でお腹ぼってぼてで本当にかわいいので
限定版で配っておしまいにしてしまうのはもったいない!
(大量生産すると限定版の意味がないような気もしますが、
直筆と印刷という点ではやっぱり直筆の価値に勝るものはないと思うのでこれでいいのだ)
他にもゴーリーキャットのペーパードール(きせかえ)とかブックフェアのポスターとか
猫をかわいくステキに描いた作品を見ることができて幸せでした。
猫好きの人が猫を描くとほんとにかわいい。愛があふれてるのがわかりますな~。
たぶんわたしが猫好きというのもあるかもしれないけど。

ゴーリーは作家活動に入る前は出版社でブックカバーのデザインを担当していたそうで、
そんなデザイナーの頃に担当した本がいくつか並んでいました。
ざっと見たところおとぎ話やミステリの表紙をよく作ってたのかな…闇や古い建物や怪物、
レトロなコートを羽織った人物たちが多いような印象を受けました。
(書店や出版社のミステリーブックフェアのために作ったポスターもありまして
こちらは割と猫率が高めでしたが)
レタリングの線がよれよれだったり、遠近法がおかしかったり、画面の真ん中に大胆に空白があったりと
なんとなくアンバランスな雰囲気の表紙が多くて不安も覚えるんだけど
妙に怖さを感じないのがいつ見ても不思議だなあと思います。
ゴーリーの絵って、一枚絵でも本の表紙でも「あ、これ」って目を引くインパクトがないというか
一見しただけでは通り過ぎてしまうこともあるんだけど、
「ん?なに今の黒いの」「なんか赤いの見た」「さっきのモノクロ気になる」って二度見してしまうというか
そういう引力があるような気がする…。
あと、ヒッチコックとか堤幸彦氏の映像レイアウトとか見ててもそうなんですけど
ゴーリーのレイアウトって綺麗に画面に収まってる例がないような。
どこかしらはみ出したり、もったいないくらいの空白があったり余計な描きこみがあったりして
でもその違和感がおもしろいっていうか、味なんですよね。
そこに一度魅力を感じてしまうと抜けられなくなるのかもしれない。

本格的に作家活動に入ってからは、自由に好きなものを作っていたようで
よくこんなに色んなもの作ったなあと感心しました。
『The Dwindling Party』は飛び出す絵本なのですが、
開かれたページでは早速、怪獣に人がぱっくり食べられていてよりによってこれかと思いましたが(笑)、
壁に投映されていた映像がすべてのページをめくって見せてくれていました。
折りたたみ絵本『The Tunnel Calamity』はアコーディオンみたいに伸ばして表紙の穴から覗くと
登場人物たちが立体的に見えるというもので、これも去年の展示にあったやつ。
1ページが縦に3つに分割されてて好きなページをめくると好きなお話が作れる本もあって
絵もついているのですが、
1ページぶち抜きで描かれた女の人の体が当然、首と胴体と足が3つに割れてて
パラパラめくると着せ替えができるようになってておもしろいと思いました。
豆本もかわいくて、5センチ四方の小さな絵本にアルファベットや景色が描かれていて
装丁もハードカバーでしっかり作ってありました。
小さいからといって、いや小さいからこそ手を抜かないのかなゴーリーは…。
タロットカードはいわゆる魔術師や愚者のいるアルカナとは違って
うろんな客をはじめゴーリーのキャラクターたちが1枚1枚描かれているもの。
これ、どうやって占うんだろう…というか、何を占っても不幸な結果しか出ない気がする(;´▽`)。
そしてその不幸を回避するために死に物狂いで生きなきゃならないんだと思う。

会場を出ると、やっぱり世界が歪んで見えました…。
この中毒性、嫌いじゃないぜ。
しかしヴァニラ画廊さん、まさか2年続けてゴーリーの展覧会をやってくださるとは思っていなかったので
すごくうれしかったし感激でした!
前回も大好評だったみたいですし、次の年末にも何かの形でやってくださらないだろうか。

そういえば今年に翻訳出版された新刊『蟲の神』と『むしのほん』を読んだのですが
『蟲の神』がものすごくゴーリーだなと思った一方で、
『むしのほん』はゴーリーこれは、何かイヤなことでもあったのかな…って思いました。
なんかこう、いつものゴーリーと違って強い自己主張を感じるような絵本で
なるほどこういう面を持つ人でもあったのかと。
蟲の神の“虫”が“insect”でむしのほんは“bug”と表記されているせいもあるかもしれない…。
両方とも、また時間を置いて読んでみたいと思います。


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画廊を出たあとは銀座東武ホテルのオアシスでアフタヌーンティーしました☆
サンドイッチとスコーンにケーキ、フルーツ盛り合わせ、これで2,000円弱とか安い!
紅茶もおかわり自由でたいへん満足でした。

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ホテルから歌舞伎座へてくてくと。
十二月大歌舞伎の千穐楽だったようで、大きな垂れ幕がかかっていました。
また来年くるよ!くるからね!

(余談ですがこの記事を書いている29日にすごくステキな言葉をテレビで聞きました。
関ジャニ7歌舞伎SPで、30歳になったし歌舞伎に触れなきゃいけない…とおっしゃる安田章大さんに
中村翫雀さんがおっしゃった言葉。ちょっと長いですが引用します。
ある意味、30歳になったその年齢でいいよ。
恋愛の話ひとつ、惚れたはれたがわかってから観た方がいい話(が歌舞伎には)いっぱいある。
そういう内容の方が多いわけ。
30歳になってそう思ってくれたら、それでええわけ。
娯楽と思って観たいと思った時に観てくれる方がうれしい。
で、決してその時に『今度勉強してから行きます』って絶対言うたらあかんで。娯楽なんやから。
遊ぶつもりで、ただ楽しむつもりで来てくれたらいい。
これがアカンかったら、もうこっちが悪い。おもろうなかったら

わたしも2年前にふと「あ、歌舞伎行こう」ってノリで観に行っていま猛烈に楽しんでるのですが
その選択は間違ってなかったのかな…^^)

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東京駅で途中下車して、京葉ストリートのシレトコファクトリーにて東京駅100周年記念ショコラを購入。
甘くてちょっとビターでおいしかったです。


さてさて、今年も色んな事がありました。
歌舞伎と狂言と文楽と美術と白石加代子さんで大騒ぎして
福岡と山口と箱根と川越と京都と奈良でやっぱり大騒ぎして
ソチ五輪とサッカーW杯と若田光一船長と三陸鉄道全線運行再開とはやぶさ2打ち上げに感動して
セイントテール再放送とハイキューとくつだると蟲師とセーラームーンとFateと君嘘でフィーバーして
妖怪ウォッチと雅楽と京焼にめざめて
アンネの日記破損と2月の大雪と図書館総合展とNARUTO完結と和紙の世界遺産登録で色々考えて
身内の入退院やエリアメールにあたふたして投票行って…と、毎日何かしら感じて考えていました。

ネット上でもブロともさんたちとお会いしてお話できたり、京都琳派の連載をしてみたりと
すてきな交流やチャレンジをさせていただいて充実していました。
拍手やコメントいつも本当にありがとうございます!とても励みになっています。
来年も琳派の連載とお仕事がんばれますように~。
SNSはTwitterのほかにnoteをぼちぼち始めてみました。シェアできる世の中楽しいな。

本年の更新は今日で終わりにいたします。皆様どうぞよいお年をお迎えください。
来年も皆様にとって素敵な1年になりますように☆

「あはれにも暮れゆく年の日かずかな 返らむことは夜のまと思ふに」相模
(千載集巻六冬・四七一番)
あの世界の果ての虹にとどくまでは。
2014年08月20日 (水) | 編集 |
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青山Gofaで開催中の「十二国記画集刊行記念 山田章博展Exhibition & Cafe」に行ってきました☆
山田章博画伯による十二国記画集『久遠の庭』刊行記念の原画展です。
(画集タイトルの命名は原作者である小野不由美主上だそうだ)

会期は8月いっぱいで前期・後期の2期ありまして、
前期:『魔性の子』~『東の海神西の滄海』まで
後期:『風の万里黎明の空』~『丕緒の鳥』まで
の、ホワイトハート版&新潮社版のカバーイラストや挿絵原画がそれぞれ展示されていました。
十二国記愛読歴10年以上のキャリアを持つ身としては両方行くよね?ということで
前期は早々に行きまして、今日から後期展示が始まったのでやっぱり早々に行ってまいりましたので
ようやくレポを書くことにしたわけです。
2期ともわたしが行ったときはそんなに混んでませんでしたが、会場がそんなに広くなくて
土日など人が増える日には整理券をつけて入場制限をするそうなので
これから行かれる方はお気をつけください~。

初めて近くで見る山田画伯のナマ原画はとても良かったです!
カラーはやっぱり本物の色が見られるのがいいですね。
図南の翼表紙の珠晶の髪飾りの赤とか、印刷と全然色が違うし。
黄昏の岸~のホワイトハート版麒麟大集合絵とか
華胥の幽夢表紙の采麟がホワイトハートも新潮社もすごく美しくて!
山田画伯はコピックユーザーでもいらっしゃるので、カラーを拝見するとすごく勉強になるというか
わたしには全然思いつかない色遣いをされてて
これ何番と何番で塗ってるの?どうやってぼかしてるの??と気になる点がたくさんあって
もしその場に画伯がいらしたら解説していただきたい(あつかましい)くらい興奮しました。
他にもカレンダー、関連商品パッケージ、読者プレゼントなどに描かれたカラー生原画が並んでて
人物の髪の毛や服装、画面を彩る装飾の塗り方にほれぼれ…。

モノクロの挿絵も、筆ペンで一気にザクザク描いたようなホワイトハート版も
ペンでザクザク描いた新潮社版もこんなに近くで見られるなんて!
下書きや修正液などの跡が見られるのも生原画の醍醐味で
こうして作家さんが制作していたというのが感じ取れるの最高ですありがとうございます。
(ホワイトハートより新潮社の方が原画が大きいのですね)
ホワイトハート版は主線がそんなに多くなくて、影で立体感をつけているのさすがだなと思います。
妖魔と闘う陽子とか、蝕に翻弄される汕子と流される泰果とか
妖魔の口に赤子を入れる更夜とか、斡由に剣をつきつける尚隆とか
慶で追われて桓魋に手をさしのべられる祥瓊とか、景麒に騎乗して乱を止めようとする陽子とか
影がグレーじゃなく黒なんですよね、くっきりした黒。うまいつけ方ですよね…。
新潮社版もそんなに描きこんでないけど絵としてよくまとまってて、
紙をひっかいたようなタッチがかえって立体感を出してるのがいつ見てもすごいと思う。
『丕緒の鳥』収録の標仲が雪道を行く挿絵に、白黒の世界にものすごい奥行き感があって
あまりの完成度の高さに見とれちゃいました。
「青条の蘭」はどこの国の話なのかわからないまま読んでいくと
クライマックスで出てくる王宮の名前でああもう大丈夫だ!ってカタルシスが圧巻でしたな…。

あああ何もかもみな懐かしい&新鮮!
ひとつひとつ見ていくと物語を次々に思い出しちゃうし、画伯の絵の変遷も感じ取れて
十二国記と山田章博の歴史を同時に見られるっていうのが感慨深かったです。
(画伯が十二国記の絵を20年以上描き続けていると気づいて呆然としたのは内緒)
画集はもちろんゲットしましたよ。
前期鑑賞時にギャラリーでサイン入りが注文できるというのでお願いして、
本日ようやく受け取ってまいりました。ほくほく☆
山田画伯のサインはなんというか、描かれる絵そのままですね。絵のようなサイン。大事にします!

あ。
会場入口でチケットを買うと、この原画展のために山田画伯が描き下ろした
A4サイズのウェルカムペーパーがもらえます!
イラストは夏服を着たさわやか陽子さんです~うおー主上~~☆
会場内に原画も展示されてまして、
「本編にないシーンですけどこういう想像をお許しいただけるでしょうか」的な画伯のコメントがついてました。
許す!!(笑)
画伯はどんどん想像の翼を広げて十二国の住人を描くべき。ぜひ描くべき。(落ち着け)


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建物の1Fにはコラボカフェがありまして、十二国記からイメージしたドリンクやスイーツがいただけます。
カプチーノのラテアートが3種類あって、陽子・景麒・楽俊でした~。

わたしが行ったときは普通に座れましたけど、こちらもそんなに広くないので
土日には行列ができるそうですし、
すごいときは閉店前にメニューが売り切れてしまうこともあるとか!
山田画伯と十二国記の人気もはや空高く渦巻きすぎて蝕起こすレベル。

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前期鑑賞後に注文した陽子カプチーノと、麒麟のための冷製粥と、楽俊の桃グラッセ☆
メニューひとつごとにコースターがもらえまして、わたしは3つ頼んだのでコンプリートできました!

楽俊の桃はあれですね、『月の影影の海』下巻で行き倒れになっていた陽子を助けた楽俊が
「酒につけた桃を砂糖で煮たのだ」って持ってきてくれる桃ですね^^
ほたほた歩く楽俊の姿を思い浮かべながらパクッと食べたらゼリー?ムース?が猛烈に甘くて
「甘っ!」って突っ込みそうになった。
どれくらいかというと、恭から御物を持ち出して柳で捕まりかけた祥瓊くらい甘かった。(意味不明)
桃はほどよい甘さでするするいただけて、
楽俊と陽子のコースター(写真左下)を添えたら月の影影の海ごっこができました。

お粥は、「麒麟のための」とついていますがなぜか鶏肉が入ってます。あれー?
食したファンの間では「蓬莱で肉食を強いられた泰台輔のお苦しみを追体験する」という
コンセプトになっているようです(泣笑)。
生姜が効いてておいしかった!

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陽子さんかっこよすうおおおお!!
個人的に十二国記でイケメンを挙げろと言われたら利広さまと陽子さんって答えます。
ちなみにわたしの中では十二国記におけるヒーロー:陽子と珠晶、オヤジ:尚隆、兄貴:六太、
姉御:琅燦、執事:冗祐というカテゴリになっています。ひどい。
景麒はヒロインかな…。楽俊は天使。(キリッ

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本日、後期展示を鑑賞した後で注文した景麒のケーキ(笑)。
マンゴー(麒麟の金髪をイメージしているらしい)が乗ってるレイヤーケーキでした~。
あまり甘くなくて食べやすかった(*´∀`*)。

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コラボカフェのテラスのテーブルにはこんな旗がひらひら☆
新潮社版の裏表紙に使われている絵です。写真は左が魔性の子で、右が丕緒の鳥。
他の文庫の裏表紙もあるよ!


山田画伯の十二国記画集は第二弾も計画中だそうです、待ち遠しい。
あと、時期は未発表ですが小野主上による原作の新作長編も新潮社から刊行予定とのことだし
まだまだあの世界が小説でも絵でも楽しめるんだなー生きねば!オラわくわくすっぞ!
(原作に関してはあまりに待ちすぎていつから待ってるかもわからなくなってますので
今後ものんびり待つつもりです。
はやく泰麒と戴の人々を何とかしてあげてください主上~)


sotatsu4.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その4。3はこちら
2日後、宗達は出張のためお休みしていたお店(絵屋)を再開しました。
じっとしていないへんな生き物たちをつかまえた宗達と光悦の図。

宗達「こら、乾いてねえのに触んな」
光悦「すっかりなつかれてるな」
宗達「まいったなあ、納期遅れちまう。日暮れまで面倒みててくれねえか」
光悦「いいよ。そいや、こいつらなんて呼ぶ」
宗達「なんか風と雷っぽいから、フウとライ」
光悦「そのまんまだな」
宗達「うん」

というわけで、宗達と風雷と、ときどき光悦、の奇妙な共同生活が始まりました。
独りごとより対話を求めて。
2014年05月28日 (水) | 編集 |
土曜日に世田谷と吉祥寺をぶらぶらしてきました☆
世田谷文学館の「茨木のり子」展が目的のお出かけだったのですが、
ついでにどこか寄りたいな~寄れないかなと適当にぐぐっていたら
白髭のシュークリーム工房と旅する約100人のブックカバー展がヒットしまして
おおおこれは!とまとめて行ってくることにしたわけです。
最近はお出かけの目的地のほかにぽつぽつ寄るところを意識的に作ってます。たのしい^^

totoshu1.jpg
まず電車で、世田谷代田の白髭のシュークリーム工房に来ました。
ここ、トトロの形をしたシュークリームを作っているお店なんです☆
ひとつひとつ手作りのため大量生産ができず、早いと午前中には売り切れてしまいます!
ので、何が何でも午前中に来たかったのでした。

お店は木々に囲まれた静かな場所にあって、店内もナチュラルな雰囲気が素敵で
トトロのフィギュアやイラストや、宮崎駿さんのサイン色紙がいくつも飾ってあったりします。
シュークリームのほかにクッキーやケーキも買えますよ!

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念願のトトロシュークリーム!!うおおお!!
ちゃんとトトロの形のシュー皮で自立します!目と鼻がチョコでついてます!感動するしかない!
何もかもがパーフェクトな造形に体中を電流が駆け抜けていきました。
持ち帰りだと鞄の中で潰れてしまうかもしれない、どうしようと迷っていたら
すぐ食べられるようにと店員さんが紙皿に入れてくださって大感謝。
もったいなーい眺めていたいーーってさんざん悶えたけど結局おいしくいただきました。イチゴ味最高。
トトロは、食欲に、負けた!(笑)

実はトトロのシュークリームがあると知ったのがちょうど1年前でして、1度来たこともあったのですが
着いたのが夕方だったので完売していて買えなかった苦い思い出がありまして…。
つまり今回はリベンジでした。買えてよかったーーー!
他にもカスタードとか抹茶とかチョコ味とかあるのでまた近くに用があればリピートしたいと思います。

日傘をさしてトトロを食べながら(誤解を招きそうな表現)下北沢駅まで歩いて
井の頭線と京王線経由で芦花公園駅へ。
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世田谷文学館にやって来ました。
わたしの大好きな詩人である茨木のり子さんの回顧展が開催中なのです。

展示内容は茨木さんの手書き原稿やご自宅の写真、谷川俊太郎さん川崎洋さんらと交わしたお手紙、
生前出版された詩集や絵本、詩人仲間たちと作った同人誌、新聞記事のスクラップブック、
愛用の眼鏡やアクセサリーや韓国語の辞書、日記帳やレシピ本などたくさんありました。
お家の写真は『茨木のり子の家』でも見たので久し振りな感じでした。
今も東伏見に建っていて、甥御さんが管理なさっているそうです。

茨木さんが川崎洋さんと一緒に創刊した雑誌「櫂」が1~33号までずらりと。
真っ白な表紙に「櫂」と大きな楷書のタイトルが書かれたシンプルな装丁でした。
川崎さんが櫂を創刊するときに茨木さんを誘った直筆手紙もあって
「最初創刊号を茨木さんと2人だけで作り、少数精鋭主義で月刊を守っていきたいと思うのです」と
決意を示す一文があっておおおここから始まったのかーとしみじみ。
しかし川崎さんは字がかわいい(笑)。
で、10日ほど考えた茨木さんが「表現する内容は異つても、日本語に対するいろいろの実験、
そんなものを旗じるし(?)といへば言へる同人雑誌にしたらおもしろいのではないでせうか」と返事を書いて
めでたく発刊が決まったそうな。
その時、歴史が、動いた!!(笑)
そして茨木さんも字がかわいい!
櫂にはその後、谷川俊太郎、大岡信、寺山修司、岸田衿子など錚々たるメンバーが参加しています。

俳優・山本安英さんとの交流も。
茨木さんの「汲む」という詩がありまして、わたしも大好きなのですが
これ実は山本さんに宛てて書かれた詩なのです。
「大人になるというのはすれっからしになることだと思い込んでいた」茨木さんに
「初々しさが大切なの」と語りかけた山本さんを見て
「頼りない生牡蠣のような感受性を鍛える必要は少しもなかったのだ」とつづられる詩の
ハッとしたやさしさというか暖かさというか、とてもすてき。
おふたりが並んだ写真やラジオ劇の台本などから、交流の深さが伝わってきました。

で、隣のガラスケースを見たら
分厚い原稿の束の表紙に「大雅と玉瀾」と書かれた文字がヒョイと飛び込んできて叫びそうになった。
池大雅&玉瀾夫妻の戯曲だそうです!なんてこった茨木さんが!マジすか!知らなかった!!
草稿のメモもあって、それによると
春の京都の八坂神社の境内に扇を並べて、隣で大雅が墨を摺る場面が書き出し。
台本は完成し山本さんに贈られたそうですが色々あって上演されなかったんですって、
ぬああぁぁにいぃぃぃいい読みたいよーってか上演してほしい!
どなたかやってくださらないかな、たとえ場所が遠かろうとチケットとって観に行きますよ。

茨木さんが訳した現代の韓国詩人たちの詩集『韓国現代詩選』の資料展示も。
茨木さんは少女だった頃から韓国へのあこがれがあり、50歳から勉強を始められて
翻訳詩集も出版しています。
展示された原稿や付箋だらけの本、韓国語の先生である金裕鴻氏とのお手紙から
「訳す過程で、ハングルにはハングルの、日本語には日本語の良さがあると痛感させられ」ながら
ひとつひとつ心をこめて翻訳されたんだなあとつくづく。
わたしまだ翻訳詩集読めてないんでした、読まねば。

(余談になりますけど、もう何年も前ですがわたし茨木さんの随筆集で尹東柱を知って
京都の同志社大学今出川キャンパス内にある詩碑を見に行ったことがあります。
(彼は同大に通うクリスチャン詩人でした)
訪れたのは平日の昼間でしたが、きれいな花束がたくさん供えられていまして
こういう人がいたのだと胸にずしんときたのを覚えています。
興味のある方行ってみてください~。同志社礼拝堂のすぐ隣にちょこんとあります)

音声のコーナーもありまして、茨木さんの肉声や茨木さん作のラジオドラマなどが聴けました。
「わたしが一番きれいだったとき」のご本人朗読CDが聴けてよかったです!
わたしが茨木さんの詩に初めて触れたのが中学校の国語の教科書に載っていたこの詩でして、
それから気になってたまに詩集を読むようになって、一番読んでいたのは大学時代だったかな…。
電車の中、図書館にいるとき、卒論を書いていたときなどよく開いては
心の支えにしていました。
茨木さんを知るきっかけになった詩をご本人の肉声で聴けるのはとてもうれしかったです。
高くもなく低くもなく、言葉を丁寧にはっきりと発音されていて
わたしがイメージしていた茨木さんのお声そのままでじーんときました。
(この詩は32歳の茨木さんが20歳の自分を振り返って書いたそうですが、
わたし今20歳の自分を振り返ってあんな詩書けるかなあ…)
あと、山本安英の会主催の「ことばの勉強会」の録音テープも聴きました。
出演が谷川俊太郎、金子光晴、茨木さんの3人という何とも豪華なメンバー。
谷川さんが金子さんに詩について質問して、金子さんが長々としゃべりまくって
途中で茨木さんが軌道修正したりしてて面白かった(笑)。

この世からのお別れの言葉原稿。
茨木さんが亡くなられた1か月後に、親しい人たちに送られたお手紙です。
見る前はちょっと気が引けていたのですが、実物を目にしたら「ああ、見てよかった」と思いました。
8年前に新聞で見た「このたび私○年○月○日、○○にて
この世におさらばすることになりました」と、なんともあっけらかんと始まる文面が
かわいい字でしたためられていました。
じゃあまた今度、みたいな、旅先から何気なく出したような印象で
締めが「深い感謝を捧げつつ、お別れの言葉に代えさせて頂きます。ありがとうございました」とか
かっこよすぎでしょう…。

茨木さんの訃報は新聞で知ったのですけど、当時は一瞬何のことだかわからなくて
「え、ちょ、はあ、ええ!?」て変な声が出たっけ。
年齢が年齢でしたけど、あと10年くらいは詩を書いてくださるだろうと勝手に思い込んでいたので
正直、今もいなくなられた感じがしていないです。
で、ときどき書店で茨木さんの詩集を見つけては「もう続きが出ることはないんだな」としんみりしてます。

そして、薄い白みがかったカーテンの向こうに「Yの箱」の展示が。
詩集『歳月』は刊行当時に読んでいるので、この箱の存在は知っていましたけど
まさか現物が展示されているなんて。
正直、「見ていいのかなあ…」と少々遠慮しながらも鑑賞させていただきました。
いくつかのクリップで留められた原稿用紙に綴られた詩から、夫・安信さんへの深い愛が伝わってきました。
展示室にあった日記帳にも「Yが」「Yは」などと綴られていたっけ。

ひさびさに茨木さんの凛とした言葉に触れられた充実した時間でした。
図録も買っちゃったよー♪
あと、会場に置いてあった展覧会のチラシが4種類もあって笑ってしまった。
谷川俊太郎さんが撮影した茨木さんのポートレートが表裏全部で8枚使われていて
そういえばその写真やカメラの展示もありましたな。
きりっと前を向く茨木さん、笑顔の茨木さん、ちょっと斜に構えた茨木さん、すてき☆

(そういえば茨木さんのペンネームが茨木童子と同じ名前~って勝手に喜んでた時期があって
数年後に茨木さんのエッセイでほんとに長唄の茨木からとられていたと知って大喜びした数年前。
全然別方面から好きになった人たちに接点見つけるとうれしいよね)


展覧会を堪能したので、今度は京王線と井の頭線経由で
茨木さんもよく訪れていたという吉祥寺にやって来ました。
cyanoyu.jpg
カフェ「茶の愉」でひと休み。
店内はとっても明るくて、ガラス窓の向こうには青い紅葉が風に揺れていました。
遅いランチもいただきました。かぼちゃのキッシュおいしかったです☆

bookcover.jpg
お腹がいっぱいになったので、歩いて吉祥寺ロフトの約100人のブックカバー展に来ました。
イラストレーターやデザイナー、ショップから学生まで約100人の人たちが作ったブックカバーを
たくさん見ることができる&買うこともできる展示会が現在、各地を巡回中なのです。
少し前に渋谷ヒカリエで開催されてたんですけど、行きそびれてしまったのですごくうれしかった☆

bookcover2.jpg
ゲットしたカバーです。
白クマと小鳥と猫と読書する人たち。なんの本くるもうかなあ!٩( ᐛ )و
ノーと言えるようになりたい。
2013年12月29日 (日) | 編集 |
どんどん変になる。
ヴァニラ画廊のエドワード・ゴーリーの世界展に行ってきました。
『エドワード・ゴーリーの世界』の著者である濱中利信氏のゴーリーコレクションから
約100点を展示。
内容は直筆絵はもちろん、シリアルナンバーやゴーリーのサイン入り絵やエッチング、
宣伝ポスター、レコードジャケット、人形やカンバッチ、本の表紙など多岐にわたります。
「これゴーリーに返却してください」的なメモ書きついてる絵とかあって笑っちゃった。
なんでこんな適当に扱われてるの(笑)。

ゴーリーって知る人ぞ知るみたいな作家なのでご存知ない方は濱中氏のサイトをご覧ください→こちら
とりあえず変な絵いっぱい描いてます!
何て言えばいいのか、ティム・バートンから濃さを抜いて毒気を足したような、
アダムス・ファミリーから濃さとコメディ色を抜いたような、
一見シンプルで実は緻密なライン、フリーハンドの味わいと不気味さと目力のワルツ。たまらん。

濱中氏がパンフレットの解説で
「書店で、ある本を手にしてパラパラとめくる。「ふ〜ん」と唸って棚に戻して他の棚に移る。
しかし、しばらくすると戻って来て再度同じ本を手に取って読み直す…。
初めてゴーリーの作品に接した時、この様な行動をとった方も多いのではないでしょうか」
と書いてらっしゃいますけど
わたし数年前にゴーリーの絵本を初めて書店で見たとき、まさにこの行動を取りまして。
確かゴーリーの復刊フェアか何かで10冊くらい平積みされてて
最初に手に取ったのがギャシュリークラムか蒼い時かうろんな客か覚えてないのですがたぶんどれかで
へんなのってパラ見して棚に戻して去ろうとして、
もいっかいギャシュリークラムか蒼い時かうろんな客かどれかパラ見して
結局その場の平積み全部読んでしまった。
こんな絵描く人がいるんだ…ってしばらく気になってじわじわ好きになった作家ですね。
(そして好きなものが紫式部とアリスとアガサ・クリスティと猫、と本人のインタビュー集で知って
ますます親近感が湧いた。
自分の好きなものを自分の好きな作家も好きってわかると嬉しくなっちゃうよねえ)

大の猫好きで猫も飼っていたゴーリーの猫絵は萌え絵の極地ですな…。
「キャッテゴーリー」って絵本がありますけど、もうほんとかわいくて。
リボン持ってたり本読んでたり、空飛んだり、とぼけたお顔で何もせずちょこんと立ってたり
アルファベットで遊んでたりするの。
Tシャツからぼってぼてのお腹がはみ出たにゃんこが半開きのギョロ目でこちらを見つめてくるっていう萌え絵。
わたしを殺す気か。本望だ。
(ゴーリーの作品では人間はひどい目に遭うけど猫は幸せな絵が多くて、
それは本人が猫をひどい目に遭わせる絵が描けないからっていう理由だったりします、猫好きの鑑)
ちなみにゴーリーが犬を描くとやっぱりお腹ぼってぼてでトレーナー着てます。
で、やっぱり飛びます。自分で飛んだり吊られて揺れたりします。ちくしょー!(バンバンバン!←床叩)
さらに、ゴーリーが象を描くとやっぱりお腹ぼってぼt(ry
で、やっぱり飛びm(ry

TV番組「MYSTERY!」のポスターもな~もう何ていったらいいのか。
「ジキルとハイド」や「スウィーニー・トッド」「ブラウン神父」などの宣伝なのですが
ジキルとハイドは背中がくっついてるしスウィーニー・トッドはカミソリと首飾りだし
それ描く!?的なぞくりとする内容。
ストーリーの核になる最低限のモチーフでシンプルなデザインなのに底冷えする。
10周年記念ポスターには画面いっぱいに大きな樹が描かれ、
ポワロ、マープル、ホームズ&ワトソン、キャンピオン、ダルグリッシュ、モースら名探偵がいっぱい。
じーっと見ていたら木に魚が刺さってたり根元に倒れた人が描かれているのに気づいて息のんじゃった。
あとゴーリーが舞台セットと衣装を担当した「ドラキュラ」のポスターな…。
真っ暗闇にガイコツ顔の天使が飛ぶわガイコツ顔の月が浮かぶわ、怖いんだかかわいいんだか。
今宵は…長くなりそうだぜ…!
他にもハムレットやバーナビーの物語や国際犯罪作家会議のポスターとか描いてるんですが
なんでこのモチーフなの、なんで?って小一時間、じゃない五時間くらいインタビューしたい。

ゴーリーが表紙を描いた本の展示。
シルクハット被った猫たちやふんぞり返った王様、長いレースを纏った女性、遊ぶ子どもたち。
宇宙戦争や荒涼館、失踪者、ルンペルシュティルツキンなども描いてるんですね。
「The Cut Direct」の表紙、写真なんですがゴーリー本人が殺されてましたよ。好きそう、こういうの。
友達の文章に挿絵を描いたり表紙デザインをすることもあったそうで、
いくつかそんな本の展示もありました。
「いつか一緒に本を出そう」と約束していた友達との合作は
家族のクリスマスの風景が表紙のカラフルな絵本だったみたいです。いいなあ。

グッズもいくつかありまして、猫たちの缶バッチやコウモリのぬいぐるみ、スタンプ、トランプ、
ゴーリーと飼い猫が仲良く写る写真も。
折りたたみ絵本はアコーディオンみたいに伸ばすことができて表紙にレンズがついていて
中を覗くと登場人物たちが立体的に見えるというもの。
これ楽しいなあー伸ばしたり縮めたりすると奥行きが変わるんだ!
ゴーリーは人形制作もしていたらしく(テレビ見ながら縫ってたそうな)、
手縫いの変な人形がありましたよ。
クリスマスカードは虎の縞模様でMerry Christmasと書いてあったりしてわ、わ、欲しい~!!
とどめはケースにちょこんと立っていたうろんな客人形。
つるすべな布製、ふわりと巻かれたマフラーときゅっとした白靴。
うおちょっとこれ超クオリティ高い持って帰りたい…!という気持ちをぐっと抑えて見つめてきた。

外に出たとき、世界が歪んで見えました……。
ほんとに中毒性高いなあ。
ゴーリーの絵って見ているうちにどんどん変になって戻れなくなるというか、
自分の中の変な部分や気がつかなかった部分、無意識に考えている部分を引き出される気がして
でもそれは全然怖くなくむしろあ、自分こんなこと思ってたんだって発見したり
それもあなたの一部だよってゴーリーに背中押されてる感じで面白いです。
人間って変ないきものだ!
たぶん一生好きな作家です、ゴーリー。

「わたしはいわば、潜在意識からそれらを呼び寄せてどんどん変になっていく順番で並べただけですよ」
(エドワード・ゴーリーのインタビュー集より)



さてさて、今年も色んなことがありました。
歌舞伎と能と浮世絵と妖怪画と深海とミュシャとターナーとゴーリーと久石さんの第九で大騒ぎしたり
京都と仙台と東大と熊野と伊勢でやっぱり大騒ぎしたり
『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』に泣いたり、宮崎さんの引退発言にしみじみしたり
パンスターズ彗星とイプシロンロケットとアイソン彗星に一喜一憂したり
八重の桜とあまちゃんと半沢直樹とお天気お姉さんと猫侍と相棒とリーガルハイと事件救命医とSPEC零と
ガルガンティアと有頂天家族と銀の匙とサバサビと京騒戯画とキルラキルとのんのんびよりでフィーバーしたり
和食の世界遺産登録と小笠原の新島とNDLのひなぎくとBMの春画展とBLのFlickrCommonsに感動したり
相変わらずのエリアメールと政局にあたふたしたりと、色んなものを見て感じた1年でした。

ネット上でもブロとも&リンともの皆様ととても仲良くさせていただいたり、
歌人たちの連載をしてみたり
超美麗イラストをいただいたり交換させていただいたりと充実していました。
いただける拍手やコメントがすごく励みになっています。皆様本当に本当にありがとうございます!
来年も余裕があれば連載にチャレンジしてみたいと思っています。
お仕事もがんばれますように!
Twitterはフォロワーさんも増えてますます楽しくなってます~。

本年の更新は今日で終わりです。来年も皆様にとってよい年でありますように☆

「雪降りて年の暮れぬる時にこそ つひにもみぢぬ松も見えけれ」読人不知
(古今和歌集巻六・三四〇番)
神は天にいまし、すべて世は事もなし。
2013年06月27日 (木) | 編集 |
朝ドラの「あまちゃん」をドキドキしながら追いかける毎日ですが、
先日発表された来春の朝ドラが「花子とアン」で村岡花子さんの生涯と聞いて
今年何度目かわかりませんがぴぎゃーーーーー!!!ってなりました。
『赤毛のアン』を翻訳された方ですよ!
『エミリー』シリーズや『ポリアンナ』『王子と乞食』『あしながおじさん』『クリスマス・キャロル』
なども訳された方ですよ~!
ほわああぁ…なんてこったおめでとう…見るしかない。

アンの翻訳はいくつか種類があって、出している出版社も結構ありますが
日本で一番最初にアンを日本語訳したのが村岡花子さんです。
教師として訪日していたロレッタ・ショー宣教師が、戦争のためカナダへ帰国する際に
この本を日本で紹介してくださいと『Anne of Green Gables』を手渡されたのが
村岡さんとアンとの出会いで、
村岡さんは戦争中も翻訳を続けて(空襲警報が鳴るたびに原稿を防空壕へ持ち込んだそうな)、
戦後に『赤毛のアン』のタイトルで出版されるや大ヒット。
(出版社は三笠書房だったらしい)
ほかにも自宅に家庭文庫を開いたり、ラジオでしゃべってみたり、女性参政権運動に協力したり
何かと活動されているすごい人です。
ちなみに村岡さんの文庫は今も運営されていますよー。→こちら
まさかまさかドラマで見られる日がやってくるなんて…。
生きてるといいことありますねえ。

同時代に活躍した人としては芥川龍之介、堀辰雄、佐々木信綱、同じ大学だった片山広子や柳原白蓮など。
埼玉の偉人である石井桃子さんとも一緒に家庭文庫の活動をなさっています。
…石井さん出てくるんだろうか?wktk(´∀`)
村岡さんの周囲には文学女子がいっぱいいたので、みんな出てくるといいな。
特に柳原白蓮とは同級生で仲が良かったらしいので
つまりあれだ、やるんですね、失踪とか、公開絶縁状とか、やるんですね??
昼ドラじゃないよ朝ドラだよ!!
色んな意味でチャレンジャーなドラマになりそうな予感がいたします。
脚本がドクターXの中園ミホ氏なので濃いキャラ+パリッとかっこよいドラマになるって信じてる。

村岡花子さんについてはお孫さんが書いている『アンのゆりかご-村岡花子の生涯』と
村岡さんご本人の『わが少女の日』でほとんどわかると思います。
興味のある方ぜひ。
アンのシリーズも読み返したくなってきた。


『赤毛のアン』を初めて読んだのが何歳だったか、正確には覚えていないのですが
最初に読んだのが小学生のときで、本は子ども向けのダイジェスト版だったのは記憶にある…。
完訳は大学生のときに読みました。シリーズ全10巻を一気読み。
なつかしいなあ。
新潮社の村岡さん訳も好きですが、講談社の掛川恭子さん訳も好き~。
翻訳者が違うと訳も違ってくるので、読み比べると楽しいです。
たとえば村岡さんは「A bosom friend」を「腹心の友」と訳されているのですが
掛川さんは「宿命の友」あるいは「相呼ぶ魂」と訳されていて
ホワー!ってなりました。
両方ともずしっとくる訳。
「the White Way of Delight」は、お二方とも「喜びの白い道」だけども。
あと、アンの息子のWalterを村岡さんは「ウォルター」、掛川さんは「ウォールター」と表記していて
わたしは村岡さんの方が読みやすいのですが、
英語の発音を聞いてみると掛川さんの表記が近いのかもしれない、と思うこともあります。
全体をとおしてみると、手堅く読めるのが村岡さん訳で、スッキリ読めるのは掛川さん訳かな。

他の翻訳は読んだことがないのですが(ダイジェスト版はどなたの訳だったか覚えてない…)、
岸田衿子さんや猪熊葉子さんも訳されているそうで、どんな訳か気になります。
特に岸田さんは、アニメ『赤毛のアン』主題歌の作詞もなさっているし。


そういえば名前の表記でふと思い出したのですが。
わたしアガサ・クリスティのエルキュール・ポワロは「ポワロ」で覚えて育ったのですけど
最近のドラマや新訳を見たら「ポアロ」になっていますよね。
発音としてはポアロの方が原語に近いのでしょうか…よくわからん。
あと、数年前に図書館で見た岩波少年文庫のシャーロック・ホームズが
「ホウムズ」表記になっていてものすごくびっくりしました。
わたしの知らない間に世の中は動いている。
ね、ヒツジの絵を描いて。
2013年05月13日 (月) | 編集 |
GWに友達と、寄居の「星の王子さまパーキングエリア」に行きました。
サン=テクジュペリの「星の王子さま」がコンセプトという、ありそうでなかったパーキングエリアです♪
ここ、オープンしたのがずいぶん前で、できた当初から行きたいなあと思っていまして
今回やっと行けましたよー楽しかったよー(*´∀`*)。

入口は9:00~20:00まで。
パーキングエリアというと、ふつうは高速道路に乗らなければ入れないのですけれども
ここは一般道からでも入れます☆
施設の後ろに細い道がありますよ~。

小さな町。
全体はこんな感じ。
煙突がずんぐりむっくりで壁の色はパステルカラーで、おもちゃの町みたい!かわいい~♪
レストランやショップなどの壁や看板には、「星の王子さま」の中から引用された言葉が
フランス語で書いてあったりします。
絵本クラスタ魂がたぎる!

小さなおみせ。
ショップ「Cenq cents millions de Grelot (五億の鈴)」。
輸入お菓子やアクセサリー、書籍、王子さまグッズ、パーキングでしか買えない限定お菓子とかあります。
キツネや、ゾウを呑んだウワバミや、ヒツジのぬいぐるみがやっぱりたぎるね…。
わたしは、このパーキングエリアの夜景ポストカードをゲット。
夜間には施設のライトがあたたかく灯るようです。

お店の屋根の下に書かれているのは、あのフレーズですね。
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかしそのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)」

バラのガーデン!
カフェのとなり、お庭の入口には王子さまがー!
周りの植物はバラだそうです。バラの季節に来たらきっと綺麗だろうな☆

ね、ヒツジの絵を描いて。
うおおおお!
絵本から飛び出したままのような王子さまではないか。
そして足元にはキツネが!何気に好きなキャラだったりします、このキツネ。哲学してるし。

サン=テクジュペリは自分で描いた王子さまの肖像を「実物を比べると月とスッポン」と言っていますね。
どんだけかわいかったんだ王子さま。

わたし、雑草じゃないのよ。
バラの花。少しですが咲いていました(^ ^)。
王子さまが「あたりまえのバラの花」と呼び、「この世にたった一つしかない花」とも呼んだ花♪
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思っているのは、
そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」というキツネのセリフが本の中にありますね。
心に染みるねえ。

バラのアーチ。
渡り鳥のプロムナード。右の緑のトンネルをくぐると…。

小さな庭。
広いガーデンに出ます。大きな木は桜だそうです。

小さな家。
ガーデンの一番奥には、実業屋の小屋が。
たぶん小屋に向かって「タバコの火が消えてますよ」と声をかけたら
「そんなの、知っちゃいないよ」と言われてしまうに違いない。

そういえば『星の王子さま』本編に実業屋と王子さまの会話でこんなやりとり↓があるのですが。
「どうすれば、星を自分のものにできるの?」
「星はいったい、だれのものかね」
「ぼく、知らないけど、だれのものでもないでしょ」
「じゃ、おれのものだよ。だっておれが一番に、星を持つことを考えたんだからな」
「考えるだけでいいの?」
「そうともさ」
なんだか、夢枕獏氏の安倍清明と似たようなこと言う人だな、と思ったのは、つい最近です(^ ^)。
『陰陽師』で博雅と清明が、あの月を誰かにあげたらどうなるとか、どうこう言ってる、あのくだりね。

ごくり。
ぼくの描いたのは、帽子ではありません。ゾウをこなしているウワバミの絵です。(キリッ

読めない( ˘ω˘ )。
看板もフランス語。これちょっと詰め込みすぎだよね(笑)。
壁の言葉は「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ…」というオアシスっぷり。

チカチカ☆
サテリットのカフェの中。
こんな飾りがたくさん吊られて、中にはイルミネーションも輝いています。
パンやオムライス、アイスクリームなどが食べられますよ~。

ちなみに、このお店の真向かいにパーキングの地図の看板があって
その下にはでーーーーーっかいバオバブの木の絵が描いてあります(笑)。
みんな気をつけてー。

小さなアイス。
ソフトクリーム屋さん「Magnifique image (すばらしい絵)」で買った
チョコとバニラのミックスソフトクリーム☆
この日は日差しが強く、日蔭でも汗ばむ陽気だったのでとてもおいしくいただけました。

気づいたら2時間近く滞在していましたねえ。
ショップもお庭も見るところがたくさんあって長居してしまうし、
壁やお庭の言葉を探すのも楽しいです。
おいしいものもいっぱいあるのですが、レストランにパン屋にカフェに、メニューもたくさんで
何度か通わないと制覇できないレベル。
「ゾウを呑んだウワバミ焼き」とか売ってるし(笑)。

また何かの折にリピートしたいです(*^ ^*)☆



秋深き。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その19。18はこちら
古今集奏上から半年後の秋、友則邸にて和楽と紅葉狩りに興じる4人の図。
友則が和琴をつまびき、貫之が琴を奏でます。

忠岑「秋風にかきなす琴の声にさへ はかなく人の恋しかるらむ」
貫之「あっ、おまえ、そういう歌なんで今頃詠むんだよ。出しちまったのに」
忠岑「だから言ったろ、加えといて」
友則「なんの話?」
躬恒「ゆっきーが気に入るまで、あの歌集に歌を足したらいいって話ですよ」
忠岑「おれの助言」
友則「岑くんいいこと言うー。じゃ、わたしも。…秋ちかう野はなりにけり白露の 置ける草葉も色かはりゆく」
貫之「なんだよ、おまえまで…」
友則「貫之もやろうよ。歌は世の中を明るくするよ」
忠岑「よっしゃ、ぶっ潰れるまで飲んで歌うぞー」

その笑顔。※クリックで大きくなります
結局さんざん飲んで歌って、夜半過ぎに退散することになりました。
貫之「じゃあな、また明日来るから」
友則「うん、また明日」
友則は笑って手を振りました。貫之が今まで見た中で、一番の笑顔でした。

しかし次の日になって、貫之は約束を果たせなくなりました。
友則が眠りについたまま、どんなに呼びかけても起きなかったのです。

(こういう展開が苦手な方ごめんなさいごめんなさい。。)
人生は1冊の厚い本のようなもの。
2012年12月05日 (水) | 編集 |
先日、桶川で行われた上橋菜穂子さんの講演会「本との旅路―これまでと、これから」に
行ってきました。
メモいっぱい取りましたけど、ネットに細かく書かないという上橋さんとの約束がありますので(^ ^)、
詳細は省略いたします。
以下はメモからの抜粋です。雰囲気だけでも感じ取っていただけたらと思います。

・バルサのイメージからか人に会うと小さいですねと言われる
・子どもの頃におばあちゃんから口頭伝承をたくさん聞かせてもらった
・中には父(息子)Ver.と上橋さん(孫)Ver.があった
・文学中毒者の基準
・アニメのエリンのこと
・武道家だったおじいちゃん
・画家の父からウルトラマン視聴禁止令が出た
・マンガ禁止令も出た
・本禁止令も出た
・ちなみに現在も施行中
・トーマの心臓のこと
・行きつけの本屋さんに通ううちに棚の並びを全部覚えてしまった
・お陰で人の役に立てたことがあった
・成績表でサーフィンができると言われた
・生と死について猛烈に考えた思春期
・BJは好みのタイプ
・ローズマリ・サトクリフのこと
・アレキサンダー大王の従者のこと
・大学に入って文化人類学へ
・次回作はまだわからない
・本のおともはミルクティー☆

こんな感じに、ご自身の人生と本とのかかわりを、ユーモアを混ぜながら話してくださいました。
さすが大学の先生で、言葉をよどみなく紡いでくださってとても聴きやすく、
あっという間の1時間半でした。
こういう講演を聴く時いつも思うのですが、もっともっと聴いていたかった。楽しかった☆

お話を聞きながら、上橋さんの著書の登場人物や場面が思い浮かぶことがあり、
あっこれあの部分に反映されているのかな、とか、想像が尽きませんでした。
「おばあちゃんの膝に頭を乗せてお話を聴いた」との言葉にエリンとソヨンを思い浮かべたり
「ウルトラマンの死を泣きながらおかあさんに語った」くだりでジェシを連想したり
武道家のおじいちゃんと聞いてジグロが重なったり
伝承を語るおばあちゃんといえばトロガイだなと思ったり。
他にも他にも、上橋さんが時にはバルサに、ヒュウゴに、チャグムに、小夜に、エリンに見えてきて
あまりにもめまぐるしくて脳内が軽くパニックになりました。。
サトクリフのことを話している際にふいに上着を脱いだときには手に槍でも出てくるかと思った。
バルサは上橋さんのかっこいい部分がぎゅっと凝縮されたキャラクターだと思います。

上橋さんが列挙する本がことごとくわたしの好きな本or既読本だったのでめっちゃ嬉しかったです!
感激して泣くかと思いました。
こんなに一致してしまっていいのだろうか…これが泣かずにいられますか!いや泣く!
(自分の好きな作家さんの好きなものって自分も好きなことが多い気がします。なんでだろう)
指輪物語、ホビットの冒険、ゲド戦記、太陽の戦士、たくさんあったなー。
本と同じくらいマンガやアニメもお好きだそうで、
書名やタイトルがポンポン飛び出てきて叫びそうになるのを頷きながらこらえてました☆
(わたしの両脇に座ってた人たちきっと、こいつ頭うごかしすぎだろって思ってたろうな…^ ^;)
攻殻がお好きらしいとどこかで聞いたけどあれ本当なのかな。
ちなみにガンダムはお好きだそうです。

アニメのエリンもシーンによっては賛否両論がすごかったそうですが、
わたしは、制作側の人たちがものすごく気を遣いながらもごまかさずにやってくれて
良いアニメだったと思ってます。
エリンはかわいくてイアルがイケメン、シュナンとセィミヤは凛々しかった。
ちっちゃなリランは抱きしめたくて大きくなったらもふもふになった。ダミヤはテラ石田氏…。
竪琴の音色も好きだったな…歌うような音色。

それにしても上橋さんのおばあちゃんはよほど話上手な方だったに違いない。
小さな上橋さんがおばあちゃんから聞いたお話のいくつかを紹介してくださったのですが、
ふらりと姿を消した飼い猫が帰ってきて尻尾が割れていたら「免許皆伝」らしい、という話が
個人的に一番ウケました(笑)。
猫は山の中で修行して猫又になれたら猫の親分から皆伝をもらう、ということだそうです。
なんて世知辛いんだ猫の世界。
(どうでもいいけど猫の親分と聞いて思い出すのは『注文の多い料理店』だ)

司会者の男性が上橋さんのファンだったらしく、かなり緊張しながら進行されていて笑った。
お気持ち、よくわかります(笑)。

あと、ブロともの春さんも聴きにいらしてたのでご挨拶できました☆
春さんーそのうちまた上橋さんを語り倒す会やりましょうねー(´▽`)ノ♪


本日のお絵かき↓
ニワトリ好き。※クリックで大きくなります
伊藤若冲。
何となく小柄なイメージがあります。背が低いわけじゃなくて、実際はそれなりに身長あるけど
見た目の印象と本来のサイズが一致しないタイプって感じ。なんでだろう。

あれか、小さな巨人(違)。(でも里中くんは大好きサ…)

背景は若冲のニワトリです。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
旅するミュージアム。
2012年08月29日 (水) | 編集 |
先日、本屋さんで『スケッチトラベル』をゲットしてきました☆
世界中のクリエイターが1冊のスケッチブックの1ページにそれぞれ絵を描いて
回覧板のように世界中に回して創り上げたアート画集です。
「必ず手渡しする」というルールさえ守れば、絵は何を描いてもよし、工作を貼り付けてもよし。
そうしてこうして約4年半、スケッチブックが世界を回り、参加したアーティスト計71名!
よく回ったもんだなー。
世界を旅したスケブが、複製とはいえ手元にあると思うと感慨深いです。
ページをめくるたびに全然テイストの違う絵が出てきて楽しいわぁ。みんな違ってみんないい。

もともとは企画者のジェラルド・ゲルレ氏と堤大介氏が
「世界のアーティストと仲良くなろう」みたいな遊び感覚で始めたことなのだそうな。
自分たちが会いたいアーティストの家や仕事場まで会いに行って、
スケブを直接手渡して絵を描いてもらって
みんなで繋がろうというコンセプトになっていったようです。
実際、ゲルレ氏も堤氏もこのプロジェクトを通してアーティストの友達がたくさんできたとか。
二つ返事で引き受けてくれる人もいれば、なかなか描いてくれない人もいたり
(「もういいです他の人に頼みます」って言うとあっという間に描いてくれた人もいたそうな)
隣のページのアーティストとコラボしたいと言う人もいて、本当に色々なことがあったようですが
無事に目的は達成できたわけですなぁ。良かったなぁ☆

堤氏がインタビューで「予想以上にすごい本になった」とおっしゃっているけど
メンバーを見ても確かにすごいです。
マイク・リーとか、ジョン・ハウとか、カーター・グッドリッチとか、フレデリック・バックとか
わたしでも知ってるんですけど…(^ ^;)。
日本からは松本大洋氏や寺田克也氏、丹地陽子氏に福島敦子氏、宮崎駿氏などなどこちらも豪華メンバー。
もうこれだけでもわくわくしてきますねぇ。
本には、スケブがそれぞれのアーティストの手に渡される様子の写真も掲載されていて
これがまたすごく楽しい。
だいたいの人は笑顔で写っているのですが、たまにスケブの引っ張り合いっこをしたり
壁づたいに手渡ししたり、正座して渡したりしている人もいます(笑)。
やることがいちいちアーティスティック。
あと、スケブは最初、何にも入れられずに丸腰で旅をしていたらしいのですが
途中のアーティストが「それじゃ危ないから」と木製のキャリングケースを作って入れてくれて
いつの間にか箱ごと手渡しされるようになっていったという話がこちらに載っていました。
イイハナシダナー(*´∀`*)。

本の内容は、がっつり描き込んだものからあっさりしたスケッチまであって
どの作品もとても素敵なのですが
かわいいなぁと思ったのがアレクサンドラ・ボイガーの作品とエンリコ・カサローサの作品。
前者は天使たちのコンサートを、
後者はスケブに何を描くか考えながら無数のポーズをとる自分自身をコミカルに描いたものです。
特に後者の「トライアングルポーズ」と「ナマステ」に笑った(^ ^;)。
ジェローム・オペニャのスケッチは「このエヴァっぽい生き物は何ぞや」と思ったけど
次ページのピーター・グェンを見たらそれ以上にカオスなスケッチでやっぱり笑った。。
綺麗だなぁと思ったのがセバスチャン・ケラスコエット。少女と、魚と、水中と、本!
色遣いが柔らかくて見とれてしまいました(*´▽`*)。
宮崎駿氏はやはりというか何というか(笑)少年と飛行機と青空の絵でした。
いい具合に曲がった線に味があるんだよなーこのお方は。
ベン・ブッチャーの作品は、原本ではとび出す仕掛け絵本のようになっていたみたいですけど
さすがに印刷本だと仕掛けの写真が載っているだけでした。むうぅ残念。。

ちなみに原本は去年チャリティオークションにかけられ、
収益金は「Room To Read」(途上国に図書館を建てている団体)に寄付されたそうです。
(その時の落札者を、ゲルレ氏は「72番目の寄稿者」とおっしゃっている)

ところでこの本、「コンセプトとしては交換日記みたいなものなんだろうか」とか、
ページをめくりながら何となく考えていました。
わたしも小学生や中学生だった頃、友達3~4人くらいで自由帳に文を書いて絵を描いて
手渡しで次の子に回して楽しんでいましたが、やはりあの頃も何ともいえずわくわくしたものです。
そしてみんな何気にハイレベルな絵心を持っているわけで。どうしろとって感じだった。
スケッチトラベルの参加アーティストたちも、何人かが「場違いだったらどうしよう」とか
考えつつ描いていたみたいですが、何を言うのだみんな違うからいいんだよ…!
世の中はすごい人たちで溢れている。



きーんこーんかーんこーん♪※クリックで大きくなります
「貫之1111首」歌合編その10。9はこちら
いよいよ女郎花歌合の開始です。2人の童女が朗々と口上を述べます。

「亭子の帝におかれましては下り位の又の年、世ますます豊かなること、祝着至極に存じまする。
このたびは花および歌を左右より合わせたてまつりまする。勝ち負けはございますまい。
左の頭、帝。右の頭、中宮。方の人、大納言、中納言。恐れながらおつとめいただきまする。
花を大切にいたしまする。歌を大切にいたしまする。争いはいたしますまい。
めでたく、めでたく、ここに、申し上げたてまつりまする」

緊張しつつも楽しみな4人。
自分たちの歌がいつ場に出るのかは、方人がきめるのでまだわかりません。
さて最初に詠みあげられるのは誰の歌でしょう…。

続きます。あ、歌合についてはこちらをどうぞ。