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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


さあ、もう、なんにもいうことはない。

  1. 2014/06/21(土) 23:52:41_
  2. 絵本・児童書
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前回記事の続き。箱根の岡田美術館の後に星の王子さまミュージアムに行ってきました。
何年か前に妹がサークル仲間たちと行って、最近は母が友達たちと行ってきて
おみやげ話に聞くだけでもすごく素敵そうな場所と感じていたので
楽しみにしながら向かいました。

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小涌谷駅から箱根登山電車に乗って、終点・強羅駅をめざします。

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ゴトゴト揺られて強羅駅に到着!
扉が開いたとたん、小涌谷よりも強い硫黄のにおいがしました。やっぱりここも温泉地。

天井には友好のカウベルなるものがぶら下がっていました。
30年ほど前に箱根登山鉄道とスイスのレーティッシュ鉄道が姉妹鉄道提携を締結した記念に
スイスからいただいたものなんですって。
一時期はこれを鳴らして発車していたそうですよ。
(また強羅とスイスのベルンは標高がほぼ同じで、しかも温泉地帯という共通点もあるそうだ)

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明星ヶ岳の大文字。強羅駅から見えます。
お盆の送り火として戦前から毎年8月16日に点灯されているそうです。

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駅からバスに乗ってミュージアムを目指します!

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バスに揺られて箱根の山をくねくね進むこと約20分、とうとう着きました、やっほー☆
入口はこんなオシャレな門、フランス国旗が風にはためいていました。
サン=テクジュペリが子どもの頃に過ごしたサン=モーリス・ド・レマンス城の門を
イメージしているとか。
(彼は伯爵家の第三子として生まれましたが、4歳の時に父親が亡くなりまして
伯爵夫人である大叔母を頼って移り住んだのが同城だったそうです)

このミュージアムは1999年(サン=テグジュペリ生誕100年記念の年)にオープンしたそうです。
ということは、今年で開館15周年ですね。記念イヤーだ!

では早速中に入ってみます✧*。٩(ˊωˋ*)و✧*。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ٩( ᐛ )و
テーマ : 児童文学・童話・絵本    ジャンル : 小説・文学

カナダと日本とフィンランド。

  1. 2014/06/05(木) 23:40:31_
  2. 絵本・児童書
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日本橋三越で開催された「モンゴメリと花子の赤毛のアン展~カナダと日本をつないだ運命の1冊」に
行ってきました☆
ルーシー・モード・モンゴメリ生誕140周年と、日本&カナダ修好85周年記念の展覧会です。
2008年にも『赤毛のアン』出版100年記念で展覧会があってあれはアンの内容が中心でしたが
今回はアンの著者モンゴメリと翻訳者村岡花子さんの人生をたどる内容になっていました。

モンゴメリ『赤毛のアン』の「マリラ・カスバート驚く」の直筆原稿!
駅からアンを連れてきたマシュウにマリラが
「その子はだれ?男の子はどこ?」と言ってアンが大ショックを受ける場面ですね。
原稿は2008年の展示でも見ましたがやっぱり本物を見るのはドキドキします。
モンゴメリさんは割と字が細かくて流れるような筆跡だ…。
他にも新聞や雑誌の切り抜きを集めたスクラップブックや結婚式で着たウエディングドレス、
お手製のキルトやレースなどの展示がありまして、
特にレースの仕事の細かさにひたすらため息が出ました。
軽く絨毯レベルの大きさのとか編んでていったいどれだけ時間かけたのかと、
それともあの時代の女性たちはこれくらい朝飯前でできてしまったのでしょうか…。
陶器のマゴグやフルーツバスケットも2008年以来で久し振り、久し振り。
バラの花柄のおしゃれなティーセットはお客様用だそうですが
マリラが牧師夫妻に出したセットのモデルはこれだろうか、とか想像して楽しくなりました。

おふたりの蔵書の一部を展示したコーナーで大興奮!
モンゴメリはアガサ・クリスティ『ナイルに死す』とかワーズワース詩集やシェイクスピア、
村岡さんはブラウニング詩集やマーク・トウェイン、ワーズワース、シェイクスピア、不思議の国のアリスなど
同じ時代を生きたおふたりですしなかなか共通点があるではないですか。
モンゴメリがクリスティを読んでいたとか、村岡さんがアリスを読んでいたとか
もう~~うれしくてたまらない!
なぜってわたしもクリスティとアリスが大好きだから!!
昔の人が自分と同じ本を読んでいたってワクワクしませんか。本を通じたパルピテーション。

おふたりの書斎再現コーナーもテンションだだ上がり↑↑
モンゴメリの机にはペンと眼鏡、原稿用紙、スクラップブックの一部、
本棚も再現されていて大きな本や小さな本が。
作家の部屋の本棚ってなんでこんなにワクワクするんだろう。
村岡さんの机には眼鏡、原稿、ペン、墨、封筒、「原稿在中」と彫られた印鑑、
隣の椅子には夫から贈られたウェブスター大辞典。
机にあった、たぶんファンレターへのお返事につかったかもしれないハガキに
「わたしの訳した本を読んでくださってありがとう。どうぞたくさん読んでください。
そしてお友達にもたくさん紹介してください。若い時間を大切にそして美しくおすごしください。
ではごきげんよう。おしあわせに」って書いてあって
なんてきれいな言葉だろうと思った。
あと、村岡さんがラジオ番組「コドモの新聞」を担当していたときの映像も上映されていて
(いつだったか『花子とアン』の特番で流れていたやつ)、
「全国のお小さい方々、ごきげんよう。これから皆様方の新聞でございます」という
村岡さんの挨拶で始まるこちらも大変きれいな言葉。
お小さい方々って、リスナーさんたちも心が躍ったろうな…ソワァ。
村岡さんが「然し、私は大胆に申します。『行け!私の小さな書よ、行け!』と。」と
前書きに記し初出版した短編集『爐邊(ろへん)』も小さなかわいらしい本でした。
雪景色の表紙下部分に「SHORT STORIES By Hana Annaka」とあって、「花子」ではないのですが
前書きには「一千九百十七年十月 愛宕山麓の校舎にて 安中花子」と記されているとか。

村岡さんがミス・ショーから贈られた『赤毛のアン』原書もありまして、
2008年の赤毛のアン100周年展でも見たのでひさびさの再会でした。
(本は閉じられた状態でしたが、扉にはミス・ショーの署名があるそうです)
この本があったから、わたしがアンを読めたんだと思うと感慨もひとしお。
1952年に三笠書房から翻訳出版された『赤毛のアン』初版や再版、
続きのシリーズ(アン・ブックスと呼ばれるそうです)の翻訳本も箱つきで残されていて
「保存用」「初版」などと朱書きしてあったりして村岡さんの意気込みが感じられます。
他にも娘のみどりさんのために買った雛人形、ピクニックに出かけたときのお弁当箱、
着物に使っていた帯留めなどが展示されていました。
英語が堪能な村岡さんでしたが、服装は終生、和服をお召しになっていたとか。
アメリカに住むみどりさんを訪ねて渡米したときも着物姿で、
着物を着た小さな女性が流暢な英語を話す様子を海外の人も驚いたようです。

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グリーン・ゲイブルズの模型がありましたよ!こちらのみ撮影OK。
2階の奥の窓がアンの部屋ですね~。

朝ドラもどんどん面白くなってますね!毎朝楽しみです。
はなちゃんと蓮さまがやっと仲良くなってキャッキャしたり
「安東花子」「白蓮」とペンネームを決めるシーンがラブラブしててかわいかった~☆
当時はあと2週間くらいはこんな2人を見られるのかなと勝手に思ってたら蓮子さんが行ってしまって、
花子さんすごい喪失感だったと思うけどわたしもものすごい寂しかったです。
大文学会のロメオ&ヂュリエットも(醍醐さんのロミオかっこよすぎて倒れるレベル)、
甲府で釣りしたりみんなとはしゃいだことも(蓮さまの「て!」がかわいかった)、
蓮子さんすごく楽しかったろうな…。
ふじさんが蓮子さんを抱きしめるシーンは朝ごはん食べながら泣いてしまいました。
もう菩薩ですよねふじさん…どんな人のどんな事情も受け入れて抱きしめることのできる人。偉大。
蓮子さんが与謝野晶子の詩を兄やんにあげたときの兄やんの目がキラキラしててな、
録画だったら一時停止して5分くらい見つめたい気分でした。
賀来賢人くんはセリフを大切に丁寧に言う役者さんですね。

女学校の人たちも最高でした。
花子さんを新聞記者から守ってくれた茂木先生や
(その後ろでへっぴり腰でホウキ構えてるスコット先生にわたしは大注目してしまったよ)、
蓮子さんが一時的に戻っていることをこっそり知らせてくれた醍醐さん、
「集中できないなら出ていきなさい、Go to bed!」って行かせてくれた富山先生、
寄宿舎を無断で抜け出した花子さんを謹慎するだけで許してくれたブラックバーン校長先生、
卒業式で実は…って甲府ことばでしゃべりだした白鳥さま!!
感動的なシーンなのに笑ってしまってごめんなさい(^ ^;)。
あと、かよちゃんが花子さんの元に逃げてきたときの2人の服装というか雰囲気というか、
片方は英才教育を受けているのに片方は工場で働いているという対比が
2人のせいではないのですが何とも複雑でした。
醍醐さんがたまごサンド持ってきてくれるシーンで泣きそうになった。
だってたまごですよ!当時は貴重品だったのでごちそうですよね。
かよちゃん、東京で働けることになってよかった…幸せになってほしいです。

甲府に戻ったら戻ったで屋根の上を歩いたり、貧しい家の女の子を教会の図書室へ連れて行ったり
お見合いしたり、ももちゃんの応援をしたりと忙しい花子さん。
初めての童話「みみずの女王」を書いた動機が教え子のためっていうの、素敵ですね。
(ちなみに「みみずの女王」などを収めた『村岡花子童話集』(1938年刊)が
国会図書館の近代デジタルライブラリーで読めますよ。→こちら
花子さんを何かと気にかけてくれる天使な朝市がすばらしすぎてキュンとします。
もう朝市とくっつかないかな、いやでもそれじゃ赤毛のアンが生まれないし、などと考える平日の朝。
蓮子さんは蓮子さんで九州でえらい目に遭ってるし、いや夫の伝助さんもだからお互い様かな。
蓮子さんは自由に外出できないし、伝助さんも興味のない本や音楽を持ってこられてしんどいし
こりゃお互いにストレスたまっちゃうっていうか
あそこまで価値観が合わないと2人ともかわいそうになってくるよね…。
伝助役の吉田鋼太郎氏はかなり役に入ってらっしゃるようで
ドラマが始まった頃の特番で「そのへんの物を投げつけたくなりますね」と苦笑交じりにおっしゃっていたな。
じきに最悪な別れ方をする2人をどう描いていくのか。ドキドキです。
早くはなちゃんのもとへ戻って来て蓮さまー!!
そして村岡印刷さんの珍獣お宅っぷりちょっと何とかならないかな(;´∀`)。


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展覧会を見た後は、せっかく日本橋に来たので新しくできたコレド室町もぶらぶら。
提灯の道がありました。夜は綺麗に灯るのでしょうか。


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電車に乗って移動。後楽園駅で降りて、東京ドームシティ ラクーア内にある
ムーミンベーカリー&カフェに来ました。
着いたら1時半を過ぎていたのですが、ものすごい人気のお店なので入口に行列ができていて
お店の中に入れたのは2時半でした…おそるべしムーミン。

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お店に入るとこんなディスプレイが。黒いハットはムーミンパパがいつも被ってるのですね。
これにメニューを入れて店員さんが持ってきてくれます。

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席に案内されたら椅子の隣にスノークのおじょうさんが!フローレン!わああぃ。
他にもムーミンやリトルミィ、ママやパパ、スナフキン、スニフ、ニョロニョロ、ご先祖様など
色んなぬいぐるみがいて店員さんがどうぞ~と連れて来てくれるんですよ!
ムーミンファミリーとごはん食べられるとか幸せすぎる。

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サーモンスープとサラダのプレートを注文。フィンランドの家庭料理ですって♪
パンの食べ放題もついていたのでいっぱい取ってきてしまった。

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「そろそろ交代しま~す」と店員さんがやって来て、なんのことかと思ったら
ムーミンパパを連れて来てくれたのでした☆フローレンと交代。
フローレンは別のお客様たちのところに行ってそこでの写真撮影大会に参加していました(笑)。

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ニョロニョロのケーキ☆
ムーミン&スニフのクッキーとニョロニョロのクッキー、カトラリーの先にもニョロニョロ!

は~おいしかった…。
お店に入ったときはすでにランチが終わってティータイムの時間だったので
次回はランチの時間に来たいです。

あと、後楽園駅へ戻ったとき初めて東京ドームを間近で見ました…外からだけですけど。
よかったこれで「東京ドーム○○個分」ってニュースとかで言われても何となく想像できるぞ…。
(今まで見たことなかったから全然ピンとこなかったのです)
テーマ : 児童文学・童話・絵本    ジャンル : 小説・文学

ぼくらのなまえはぐりとぐら。

  1. 2014/02/14(金) 23:46:41_
  2. 絵本・児童書
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中川李枝子さんの「ぐりとぐら生誕50周年記念及びてんじつきさわるえほん刊行記念トークセッション」を
池袋のジュンク堂書店で聴いてきました。
絵本『ぐりとぐら』が雑誌「母の友」に掲載されてから50年を迎えた記念と
(雑誌掲載時は「たまご」というタイトルだったそうな)、
記念企画のひとつとして出版された『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の刊行記念のイベントです。
ぐりとぐらはもちろん、「そらいろのたね」「いやいやえん」「けんた・うさぎ」「三つ子のこぶた」
トトロの主題歌「さんぽ」の作詞、小学校の教科書に載っていた「くじらぐも」など
中川さんの作品の大ファンであるゆさには垂涎のイベントでして!
実際に中川さんにお会いできることにも楽しみに出かけました。

トークセッションはジュンク堂のカフェで行われるのですが、このカフェそんなに広くないので
講師の方のかなり近くでお話聴けてすごく好き。
おかげで人気の作家さんのトークなどはすぐ定員になってしまうので電話予約のときもドキドキでしたけど
何とか席を取ることができました。
イベント当日は満員御礼で満席でしたよ…やっぱりね。

中川さんはえんじのジャケット姿でご登場。
ぐりとぐらが50周年を迎えても、ご本人は特に変わりはなく普段どおりの生活だそうですけど
「お祝いしてくれるのは嬉しいです」とのこと。
「イベントや講演で色んなとこへ行くでしょ、読者さんに会うとみんないい人なの。
自分の絵本を読んでくれた人がみんな立派な人になった。それが自慢であり誇り」とおっしゃって
「子どもの頃に読みましたと読者さんから聞くと、その人が子どもだった頃の姿が見えるのよ」って
ニコニコ笑っていらっしゃいました。
さすが元・保育士さんだなって思う(´ω`)。

もともと日本一の保育士になりたかった中川さんの理想の保育園は
『ドリトル先生の楽しい家』みたいな賑やかな保育園だったそう。
子どもたちが元気に走り回る保育園を作りたかったので最初は園長になりたかったとのことですが
あるとき学校で「主任保母求む」の求人を見つけて迷わず応募、めでたく採用されたそうです。
「わたしの幸運の始まり☆」と嬉しそうにおっしゃいました。
(ちなみにここは、いやいやえんの舞台ちゅーりっぷほいくえんのモデルになった保育園だそうだ)
・子どもが毎日くる保育を
・親の期待を裏切らない
この2点をモットーに17年間勤務し、合間に子どもたちと一緒にお話を作って書いていたそうな。
「子どもの興味を引くのって大変なのよ、わたしだってメンツがあるからがんばったけど!」と
とても貫録たっぷりにおっしゃった(笑)。

作家で岩波少年文庫の編集者でもあったいぬいとみこさんにファンレターを出したところ
声をかけてもらって同人誌などに参加、
石井桃子さんの編集で『いやいやえん』を出版することになったそうです。
わーおービッグネーム!
その後、雑誌「母の友」などに作品を発表していた頃に
保育園で子どもたちにちびくろサンボの絵本を読み聞かせたところ大人気になり、
園長先生がホットケーキを焼いて振る舞ったこともあって
子どもたちにおいしいカステラを食べさせたいなあ~と思って書いたのが
後にぐりとぐらの元になる「たまご」だったそうです。
「子どもたちへのプレゼントした本が今まで読み継がれることになってびっくりしてます」とのこと。
(ちなみにホットケーキを焼いた園長先生は、『いやいやえん』のはるのはるこ先生のモデルだそうだ)

児童福祉を学んでいた頃に障害者施設にも実習に行かれたそうで、
実際に子どもたちに会うと教科書などの先入観は吹っ飛び、たくさんの発見があったそうです。
児童福祉法ができたばかりの頃で先生たちもみんな熱いスピリットの持ち主で
子どもたちも元気いっぱい、早く学校に行きたいよ~とかよく聞いたそう。
「『おれたちは児童憲章で守られてるんだ!』『そうだそうだ!』とか、子どもたちが言うのよ」と
懐かしそうに語っていらっしゃいました。
で、ここから『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の話題に。
「目の見えない親御さんが目の見えるお子さんに本を読み聞かせられるように」が
コンセプトになってできた絵本だそうです。

さわる絵本が完成したとき、中川さんはある女の子からもらったファンレターを思い出したそうです。
それには「わたしは毎日学校から帰ると、目の見えない弟に本を読んであげます」と書いてあったとか。
「もうずいぶん前だから、きっと成績優秀な人になっていると思います」と
しみじみ語る中川さんにキュンときました。
他にもローラ・ワイルダーの姉メアリーが失明しながらも学校の先生になったことや
ヘレン・ケラーとアン・サリバンの関係についてお話くださり、
話は山形にお住まいという目の見えないお友達のことへ。
その方は美術館にゴッホの絵を感じに行ったり点字図書館なども利用されるそうですが、
中川さんとは長いお付き合いでぐりとぐらのカレンダーなども贈っていらっしゃるそうな。
で、その方に『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』を送ったところ、
絵を手で見たこと、絵本の香りをかいだこと、
とても幸せな時間だったことなどをお手紙に書いてくださったとか。
いいなあ。

質問コーナーで『くじらとり』の話が出て(「この間宮崎(駿)さんとも話したけど」っておっしゃった!)、
たまたま子どもたちが機嫌の悪い日があって、
「じゃあお話作ろうか」って言ったらあっという間にできたそうです(笑)。
子どものお話づくりは現実と想像を行ったり来たりする、
想像力を豊かにする本を作りたい、
今の子どもをめぐる状況にはいつも怒っている…などと堰を切るようにダダッと語られて
隣に座ってた参加者の方にさりげなく「あなたも書けるのよ」っておっしゃって胸熱!


続いて、福音館書店の川崎康男氏から
『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の制作裏話もお話いただきました。
"てんじつきさわるえほん"という本そのものは何十年も前から出版されており、
技術もそれなりに確立されつつあるそうですが
去年、さわる絵本『さわるめいろ』『ノンタンじどうしゃ』『こぐまちゃんとどうぶつえん』が
3冊同時出版されることになったのがきっかけで
ぐりとぐらの50周年記念にさわる絵本を作ろうと企画したそうです。

しかしそこには想像以上の困難が。。
たとえば、ぐりとぐらをお読みになった方はおわかりかと思いますが
あの絵本はわりと絵が細かかったり、文章が長かったりするわけです。
触ることで絵を感じる(触図というそうです)にはどうしても活かすもの省略するものの取捨選択が必要で、
主人公のぐりとぐら、キーポイントのたまご、もうひとつの主役ともいえるカステラの4つは
何が何でも触図にする!と決めて絵本作りが始まったとか。

他にも、表紙でぐりとぐらが籠を持っていますが、目で見れば一目瞭然ではあるのですが
絵のまま触図として再現してしまうと、ぐり+籠+ぐらが繋がってしまうため
触るとかえってわかりにくいのだそうで
ぐり、ぐら、籠と独立させて配置する必要があったとか。
ぐりとぐらを触図化する際にも、ぐりが青・ぐらが赤なのは目で見ればわかるけど
色は触ってもわからないので
ぐりのズボンにはストライプ、ぐらにはドット模様をつけて区別できるようになっているそう。
また、絵の上部にたまに木が描いてあるのですけど
そのまま同じ個所に触図をつけると、見えない人は「空に何かあるの?」と思ってしまうそうで、
それらは省略したとか。
また、文章はなるべく全部入れたいとか、のどに絵がかからないようにとか、印刷に苦労したとか
聞けば聞くほど試行錯誤や工夫が伝わってきて本当に脱帽の思いです。
編集ってすごい!
そして絵に手を入れたり省略するときに「絵を翻訳するのね」っておっしゃった山脇百合子さんにも拍手。


トークセッションの後は中川さんのサイン会が行われました!
数年前に出版されたのにずっと買いそびれていた『ぐりとぐらとすみれちゃん』に
サインをいただいてしまって超うれしい。
大変きれいな字で筆ペンで「なかがわ りえこ」と書いてくださいました。
絵本の署名と同じくひらがなでですよ、ひらがな!もえる。


あ。トークセッションの前にジュンク堂の近くにある「古城の国のアリス」で夕ごはん食べてきました。
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こんな人がいた(笑)。
ハートの女王様のお店なので兵隊さんもハート。

以下、お料理の写真がありますのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ☆
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

魔法の呪文のことを考えて…。

  1. 2013/11/21(木) 23:45:51_
  2. 絵本・児童書
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ジークリート・ラウベ『庭師の娘』を読みました。
約250年前のオーストリアを舞台にした、庭師になりたい少女マリーの1年間の物語です。
1768年ということはマリア・テレジアの治世ですな。
ヨーゼフ2世とか、シュタルツァーとか、メスメル博士とか、ルソーとか、
世界史でおなじみのお名前がちらほら。
(ちなみに主人公マリーと同じ名前のマリー・アントワネットはこの2年後にフランスへ行って
ルイ王太子と結婚します)

岩波書店さんの新刊情報で見かけたときまず淡い色の表紙に一目ぼれしまして
(表紙絵の中村悦子さんは茂市久美子さんの「つるばら村シリーズ」でおなじみですね)、
あらすじもすごくわたし好みで、
読む前から何となくドキドキしていたのですけども。
岩波さんとこの児童書だしハードカバーだし大きい本かしらと想像していたのですが、
実際に手に取ったら両手にすっぽりなじむ大きさで
表紙をめくったら紫のパステルカラーの遊び紙で
目次にも春夏秋冬の植物の挿絵がありましてな…。
なんだ、なんだこの装丁フェチのツボを刺激しまくる(当社比)本は。どきどき。

マリーは植物が好きな女の子なのですが、庭師の父親の意向で修道院に通っています。
でも本当は庭の仕事をやりたいので授業中も窓の外の植物が気になるのですね。
シスターに怒られて同級生に笑われるのはよくあるパターン。
帰宅してお手伝いさんのブルジに雑になぐさめられるのもよくあるパターン。
(このブルジがかっこよくて…!彼女の「できる女オーラ」はすごい)
修道院の人たちやパン屋の親方、そして何より父親がかなりの壁になってはいるものの
パン屋の息子と、父親の雇主であるメスメル夫妻と、おチビさんのモーツァルト少年が味方で
マリーも素直になれたりする。
メスメル夫妻がマリーの能力を高くかって信じてくれているのがやさしくてあたたかいです(*´∀`*)。
モーツァルトとの出会いは最悪でしたけども(笑)、
お話の後半には「あの子は天才よ」ってヤーコプに言ってておおっ成長したなあって(笑)。
シュタルツァー夫人にモーツァルトをこきおろされて思わず庇っちゃうところとかね(´ー`)。
(でもその後、夫人とは思わぬ共通点があって何となく打ち解けたりする)
本気で庭師になりたくて植物への興味も人一倍強くて
でも壁を超えるやり方がわからないマリーのもどかしさが時々息苦しいけど、
だからこそ終盤の解放感がたまりません。
たぶんマリーには今後も色んなことがあるだろうけど、きっと未来もすてきだ、と思えました。

人物描写も丁寧でよかったですが、
マリーが庭師を目指す子なので植物の描写がたくさんあるのがいいなあと思います。
授業中や帰り道でマリーが妄想する庭とか、植木屋さんとか、
雑草を抜いたマリーが「草も首のところに寒気がしたろうか?」って地面に戻すのとか
早霜が降りそうな寒い秋の日に、植物が枯れないよう懸命に守るマリー&ヤーコプとか
ほんと細かくてすごい。
(ヤーコプの「僕らは魔法をかけてるんだよ」っていう明るさがいいですね)
メスメル夫妻が庭にいる描写がすごく美しいですよ。
この夫妻、素敵すぎるのでそれだけで絵のように感じられる。
植物の絵が描ける人は無条件で尊敬しますが、植物が美しく描写できる人も尊敬します。

あと、同じ庭でも、修道院の薬草園とメスメル博士の庭の雰囲気が全然違う。
当時のウィーンではフランス式庭園(ベルサイユ宮殿のような庭園)が流行っていて
植物が整然ときっちり並べられる形式なのですが、
マリーがめざしたのは植物をありのままに活かす風景式庭園で
ちょうど同時代にイギリスで流行りだしたものだそうです。
ラストでマリーがメスメル夫妻の庭に植えた植物なんだと思います?庭にかぐや姫がきちゃうよ。

モーツァルト少年はこのお話でも、史実に違わず自由に飛び回っていますが
作曲に詰まったり頑固になったり、時々なにか思い出すように黙ったりと表情がコロコロ変わります。
彼もマリーと似たようなもので、子どもだからとせっかく作ったオペラを上演する機会を奪われていて
(ウィーンではかなり有名な話だそうです)、
「どうにもならなくなっちゃった」ってシュンとしちゃうのかわいい。
本人の出番はそんなになくて、人々が語る描写が多いのですが
シュタルツァー夫人が「メロディを口ずさみながら、ペンにインクをぱちゃぱちゃつけて
あれよあれよと新しいアリアを書いてしまった」って首を横に振るのですが
わたしのイメージするモーツァルト像とぴったりで笑ってしまいました。
たぶん後半のクライマックスの作曲もそうしてたんだろうなあと思う。

メスメル博士…。
世間的にはこういう人を「いっちゃってる」と言うのかもしれないけど、
確かに付き合うには骨が折れそうだけど
それでも彼のような人が「誰かが最初にやらなくてはならない。勇気を出すだけだ。やってみよう」って
世間の壁をヒョイとぶち破ってやってきたことが
歴史の積み重ねなんだなあとつくづく。
いわゆる常識というものから外れた行動をした人は歴史上にいっぱいいる。たぶん小説やドラマ以上に。
若者への不条理に怒りを感じてかつらむしり取っちゃう博士かわいい。
マリーにブルーストッキングについてさらっと語って女性の庭師のグループを作ることを提案して
マリーが「本気ですか?」と聞き返すと「本気だとも。かなりね」と返す博士イケメン。
でも職業はお医者さんです(笑)。

作者のジークリートさんは歴史ものを得意とされる作家さんだそうです。
読みたい…岩波さんもっと紹介してほしい…。
オーストリアの方が書いたエリザベートやモーツァルトの本とか、本場すぎるじゃないか…。
(どっちも日本語未訳)



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年賀状始まってます…今年もこの季節がやってまいりました。
さあお前ら、大晦日というゴールテープへ向かってほふく前進で走ろうぜ…。
今年は江戸時代の女性文学者がテーマです。
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

動く図書館。

  1. 2013/10/12(土) 23:13:41_
  2. 絵本・児童書
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前回記事で国際子ども図書館の建物を紹介しましたけれども、
最近、建物のない図書館について書かれた本を読みましたのでご紹介します。

まずはコロンビアの図書館から。
コロンビアには国立図書館や公共図書館、コロンビア大学図書館などがありますが
図書館がない地域もありまして、
『ろばのとしょかん-コロンビアでほんとうにあったおはなし』(ジャネット・ウィンター著)は
そんな一地域のことを描いた絵本。
コロンビアに住む本好き・ルイスさんが、自宅に本を買いすぎていっぱいになってしまったので
ある日、2頭のロバに本を積んで「Biblioburro(ロバのとしょかん)」と書いた看板をぶらさげて
山を越え川を越えて、図書館のない村へ本を届けに行くお話です。
ロバの名前がアルファとベットってかわいい(*´∀`)。
「いいものをもってきたよ!」と本を読み聞かせるルイスさんと、真摯に聴く子どもたちかわいい。
(あと、本を読むのが子どもたちだけじゃないっていうのがね、いいです。
誰が読んだかは秘密。ぜひ読んで確かめてみてください~)

このお話は実際にあったこと、というか、実際に今も続けられていたりします。→こちら
お話のモデルになったルイス・ソリアノ・ボルケスさんは、コロンビアの小学校で教師をしながら
今も各地の村に本を届けているそうです。
またこの絵本、お話もすばらしいのですが絵もすばらしいです!
コロンビアの自然が、カラフルではっきりくっきりした色で美しく描かれています。
ジャネット・ウィンターさんの色彩感覚、好きかも。『バスラの図書館員』もカラフルで良かったしなあ。


そんなロバ図書館をいつも楽しみに待っている女の子の視点で描いた絵本が
『こないかな、ロバのとしょかん』(モニカ・ブラウン著)です。
ある日突然、ふらりと現れたロバ図書館に戸惑いながらも喜んで本を借りて読んで
自由におおらかに想像をふくらませるアナがいとしい。

「このとしょかんに、たてものはないんだよ」っていうおじさん(ルイスさん)のセリフいいなあ。
図書館は何でもありだっていうメッセージに聞こえました。
「わたしも、かりていいの?」と問うアナに「もちろんさ」と笑顔で答えるおじさんとか、
「おじさんとロバのおはなしはないの?」「きみが、かいたら?」のやりとりとか
なんでもない言葉のひとつひとつにじんときます。
アナにとっておじさんは夢をくれる人なんですね。


また、『図書館ラクダがやってくる』(マーグリート・ルアーズ著)には
世界中の図書館員や図書館ボランティアさんたちによる
図書館が遠くて利用しにくい人々のため各地に本を届ける活動が紹介されています。
移動図書館というやつですね。図書館用語でブックモービル(BM)といいます。

紹介されているのはこんな移動図書館↓
・オーストラリア、アゼルバイジャン、パプアニューギニア:大型トラック
・北極圏:郵便
・イングランドの海岸でバカンスを楽しむ人々のところ:手押し車
・フィンランドの島々:船
・インドネシア:船、自転車
・ケニアの遊牧民:ラクダ
・モンゴルの遊牧民:馬車、ラクダ、ミニバス
・パキスタン:2階建バス
・ペルー:各地に本入りの袋が届く
・タイ:ゾウ
・ジンバブエ:荷車と、ロバの引く映像図書館

ちょっと補足しますと、イヌイットなどカナダの北極圏に住む人たちは
メールや電話で本をリクエストし、郵便で届けてもらうそうです。
返却も郵便ですが、同封された切手貼付済み返信用封筒を使うので無料です☆
公的サービスはこうでなくっちゃなあ…。
インドネシアの船の移動図書館、つまり水上図書館は川を行ったり来たりして本を運んでくれるとか。
パキスタンの女の子は初めて移動図書館を利用したとき、
またその本に巡り合えるかわからないから本の内容を書き写していたら
図書館の人が「バスは毎週来るから心配しないで」と言ってくれて嬉しかったそうです。
ペルーの図書館活動団体は、20冊の本が入った袋を家々に置いていき、
1か月経ったらまたやって来て新しい袋と取り換えるそうです。
パッケージ貸出みたいなもんかな。
ジンバブエの映像図書館は、太陽光発電で動くテレビやビデオを乗せた荷車をロバが引いています。
そのうちインターネットやファックスサービスも始めたいと書いてありましたが、
この本が出たのが2010年なので
今はもしかしたら何かしら実現しているかもしれません…してたらいいな…(*´Д`)。

世界のあっちこっちで、たくさんたくさんがんばっている人がいること、
本を待っている人たちがいること、
本が読めてメールやファックス、インターネットが使えることはとてもありがたいこと、
など、いろいろ考えました。
で、ちょっとそういうことに一枚かんでるところで仕事してる自分は
必要とされる働きをちゃんとしなきゃなって思いました。
図書館が来てくれるなんて申し訳ない、って言う人いるらしいんだけどそれはちょっと悲しい。
生き方を押しつけるつもりはないけど、
本や情報が欲しいなら「ぷりーず!」って主張していいんだよ!!って言いたい。


日本にも移動図書館はありますね~。
江戸時代には貸本屋さんが木箱をしょって回っていたし、
近代になって公共図書館サービスが根付きはじめる頃から少しずつ広まっています。
わたしの地元の公立図書館も月に1回、巡回車を出してくれていて、子どもの頃よく利用しました。
学校にもたまに来てくれたっけな…。

ちなみに、日本でも図書館(建物)を設置していない市町村はあります。
設置しない理由はいろいろ課題があるためだと思いますが、ここで
ゼロからサービスを作ってみた事例をひとつ。
島根県の隠岐諸島のひとつ海士町が「島まるごと図書館」なるプロジェクトを行っていまして
公立図書館をつくって移動図書館サービスを始めて、島の各地に返却ボックスを設置して
島内の所定の場所ならどこでも本を借りられる仕組みをわずか2~3年でやり遂げて
今もきちんと継続されているそうで。
人ってすごいなァ!
隠岐は小野篁さん縁の土地でもあるので、いつか図書館と合わせて訪れたいです。

以前に「ゆさ的最強のとしょかん」というのを妄想しましたけれども、
呼べば来る図書館、そのうちできたりしないかなあ。


本日のお絵かき↓
集合!※クリックで大きくなります
先月観てきた、歌舞伎座の陰陽師イラスト描きました~☆
ぜひ再演していただきたい演目のひとつですね。
客席にカメラが入っていた日があったそうだから、そのうち放送されるかもしれん。来たれ続報。
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テーマ : 絵本    ジャンル : 本・雑誌

毒にもなれば薬にもなる。

  1. 2013/09/05(木) 23:56:04_
  2. 絵本・児童書
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まはら三桃さんの『わからん薬学事始』を読みました~。
マンガ『赤髪の白雪姫』を読んで以来、知識はないけど薬草そのものには興味のあるわたしにとって
パーフェクトにホイホイなタイトルだったわけですが、
本編も薬草と謎がいっぱいで楽しく、すいすい読めましたね。
まはらさんの本は『鉄のしぶきがはねる』『鷹のように帆をあげて』など数冊読んでいますが、
今までのと違って少しファンタジーが入ってます。
こういう本も書かれるんだなあ。
カバー画が大野八生さんでびっくりしました。イラストレーター兼造園家のあの方ですよね。
「じょうろさん」が好きです。

地図にも載っていない小さな島、久寿理島(通称:魔女島)にて
万病に効くといわれる「気休め丸」という秘薬を代々つくり続けてきた木場家に
八代目として400年ぶりに生まれた男の子という、設定てんこ盛りな主人公・草多くん15歳。
薬の製法は女性のみに受け継がれるため、草多は自力で秘薬の作り方を学ぼうと、
また顔も知らない父親の痕跡を探そうと、島を出て東京の和漢学園で薬学の勉強を始めます。
授業は座学のようですが、実習や牧野研究会の風景はハリポの栽培授業を思い出しますね。
マンドラゴラは出てこないけど。

草多には薬草の声が聴こえる力があって、薬草と他の草との区別がつきます。
学校の薬草園の草取りをしながら薬草たちと会話していて面白い。
「わたしはジギタリス、抜くな」「ジギタリス?」
「フランスのお城が懐かしい」「ヨーロッパ生まれか」
とか、楽しそうというわけじゃないけど、何気なくしゃべっていていいなあと思う。
(何となくピクミンとかなめこ栽培キットを連想しました)
しゃべる草はそのままにして、無言の草だけを抜けばいいって便利な力だなあ~。
他にも、牛のお腹から聞こえる「ここに、ここに」の声で胆石を見つけたり
真赤と真白の誤解を解こうとして、ペンダントの琥珀のミツバチに話しかけたり
(時空を超えた会話だったのでその後過労でひっくり返っちゃうんだけど)、
何かと突っ走りがちな主人公だなあ。
薬草たちも結構自分から草多に話しかけています。
ビンの蓋を開けようとすると「オニノヤガラです」と名乗ったり、
「キササゲ」「センナ」「エビスグサ」と自己紹介したり、
草多が探しているのがわかると「わしはここだ」って呼びかけたり。
気休め丸の声が気になるな…。
草多が無意識に力を振り絞って、気休め丸の薬草どころか成分の音まで聞いちゃう場面がありますが
水の中で鉄琴をたたくような音ってどんなん…気になる…。

草多の相棒(?)の竜骨も好き。
普段は物知り顔で、マーリンやガンダルフに似た賢者のような雰囲気で
割と大物っぽく振る舞っていますが
真赤の水晶玉を自分がかつて持っていた黄金の玉と勘違いして「わしの、わしの」って主張したり
泰蔵さんの玉が自分の玉かもしれないと聞いて「見たい見たい見たーい」ってダダこねたり
なんてかわゆいジジイ龍(*´ `*)。
かと思えば、草多がきこえなくなっている間もしょっちゅう話しかけていたり、
草多の大事なシーンで「言いたいことはそれだけじゃないだろう」って背中押したり。
やっぱりいい相棒。

学園の下宿「わからん荘」に草多と一緒に住んでいる人たちが個性的すぎる件。
動物が好きで動物実験ができない嵐さん、動物が嫌いで動物実験ができない伸太郎さん。
嵐さんのペットのモン吉に振り回される伸太郎さん。
真赤とブランカ(真白)は真赤がクール、ブランカが明るいって感じですが
真赤も結構熱いスピリットの持ち主だと思う。
草多が薬草の声を聴くとわかって、その倍の勉強をして薬を見分ける知識を身につけるあたり
ものすごい努力家だし。
(草多が3巻でそれを身をもって知るのがいいなあと思う)
しかし初対面で草多の根付(竜骨)に気づくあたり目はいいのかもしれません。
あと蘭さんの性格が好き~。
こんなおじいちゃんいたらたまらんけど楽しいだろうなあ。

結構長く続くのかなと勝手に思っていたので、3巻のラストで「完」の文字を見て
しばしあっけにとられました。
その前の草多とイラクサの会話がとても良かった。
口の中で薬草がものすごく大事なキーワードをしゃべるって何か官能的じゃありませんか。
草多の物語は始まったばかりなのですね。

作者のまはらさんは鹿児島市に住んでいたことがあるそうで、
久寿理島のモデルは屋久島と奄美大島だとか。
どちらも未踏の地なのでいつか行きたいです。
あと、この本は全3巻ですが3巻とも目次の後に本編に登場する薬草・生薬の一覧がありました。
カッコン、ヨモギ、レンギョウ、ドクダミ、ハトムギ、カミツレあたりはわかるけど
もし薬草園で探してくれって言われたら難しいだろうな…。
草多の耳が欲しい。



手古舞。※クリックで大きくなります
後ろ姿シリーズ7。6はこちら
埼玉県川越市のお祭と、川越稲荷神社巡りをごちゃまぜにしました。
川越祭りは江戸時代の「天下祭」を再現した300年以上続く祭礼、
稲荷神社巡りは川越市内に60社以上ある稲荷神社を狐の仮装で巡るイベントです。

衣装は手古舞の女性たちが着ているものです。片肌脱ぎにたっつけ袴、花笠が基本形。
着物の片袖を外して左右違う柄を見せるっていうのが粋で好き~。
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テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

ぼくが目になろう。

  1. 2013/08/08(木) 23:31:14_
  2. 絵本・児童書
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先週のことになりますが、Bunkamuraザミュージアムで開催されていた
「レオ・レオニ絵本のしごと Book! Art! Book!」展に行ってきました。
小学校の教科書で知った『スイミー』でレオニの描く世界が大好きになって以来、
彼の絵本はたくさん読んできたので
今回その仕事がまとまって見られるなんて!と喜んで行きました。

展示内容ですが、絵本原画はもちろん、油彩、スケッチ、リトグラフ、エッチングほか
レオニが使っていた道具なども展示されていましたよ。
展示室の真ん中にはレオニの絵本が読めるコーナーがあって皆さん熱心に読んでいまして、
わたしも久々にいっぱい読んできてしまった。
『スイミー』における、スイミーが仲間たちと共に大きな魚に立ち向かうときに言う
「ぼくが目になろう」のセリフがかっこよすぎて膝から崩れ落ちるかと思った。
スイミー、あなたこんなにイケメンだったのね!
レオニの絵本の翻訳はほとんど谷川俊太郎氏によるものですが、名訳が多いなあ…。
レオニの原文がいいのだろうけど、谷川さんの言葉選びもいい。
ト書きもセリフも至極なんでもない訳なんだけど
どんぴしゃりな、他に考えられない言葉を持ってきているなと改めて読んで思いました。
お子さんたちがキャッキャしながら読んだり、親御さんにねえこれ見てって話しかけていたのが
とても微笑ましかったです。

絵本原画。
フレデリック、マシューのゆめ、コーネリアス、アレクサンダとぜんまいねずみなど
見覚えのある原画がたくさん。
今まで忘れていても、絵を見るとストーリーを思い出すから不思議ですね。
フレデリックが仲間たちに世界の色を語る場面と、マシューが美術館の絵に衝撃を受ける場面が
何度見ても好きだー。
レオニの原画はコラージュが基本で、紙が重ねて貼られているので
印刷ではわからなかった立体感がありましたね。
おんがくねずみジェラルディンには上から別の紙を貼りつけて修正した痕跡も。
じーっと見ると下の絵がうっすら透けていたのでわかったのですが、
修正前は葉っぱが青々と茂っていたのを、ジェラルディンのフルートの音色に変えたみたいです。
赤やオレンジの色鉛筆で表現された音色いいなあ。
作家の思考の跡が見られるのが原画のいいところですね(´▽`)。

レオニが絵本を作り始めたのは50歳前後だそうですが(やなせたかしさんと同じだ)、
本職がグラフィックデザイナーなので画面構成などのデザインもすごいんですけど
あおくんときいろちゃんが合わさると緑になるとか、透ける紙で葉っぱに遠近感を出すとか
色で遊ぶのが本当にうまいと思います。
みどりのしっぽのねずみの、ねずみたちが仮面を燃やしてしまう場面の炎の色がすごい…。
炎をこんな色に描く人、世界中探してもレオニくらいだと思う。
それまでモノトーンに近かった絵がパーッと明るくなるのですよね。
落ち着いた色の中に突如として現れるカラフルがレオニの真骨頂だと勝手に思っているのですが
今回の展示でそれを再確認できたような気がします。本当にきれい。
じぶんだけのいろとかペツェッティーノもすごい、
全然統一感のない色の組み合わせがこんなにしっくりくるって一体どんな配色センスだよ…。
アレクサンダも、絵本で見ても十分きれいなんだけど、原画で見ると色がくっきりして一層きれい。

レオニはいつもコラージュ用の紙をかごに入れて持っていたそうで、
今回はその持ち物の展示もありました。
小さなかごの中に、ねずみの胴体や耳やしっぽの形をした紙がいくつか入っていましたよ。
アイディアを思いついたときすぐ形にできるようにしていたのでしょうか。
レオニ愛用のおもちゃや画材もいくつか展示がありました。
これらからあの世界が生み出されていたんだなあ…。
そしてレオニ、カラフルな原画もきれいですが鉛筆画もすごい。
『平行植物』の原画の精密さに呆然としました。彼のいつもの絵本からは想像もつかなかったから。
不思議な植物たちを丁寧に緻密に描いています。
やっぱり絵の単純化がうまい人は基礎的なことが一通りできるんだよね。
『はまべにはいしがいっぱい』のエッチングや鉛筆画に混ざって
石ころを描きつめた「空海に捧ぐ」っていう鉛筆画があって戦慄した。ど、どういうことだ…。

スイミーの原画展示はなかったのですが、
会場の一番奥に壁一面をスクリーンにした展示室があって
スイミーの海が投映されて魚たちがたくさん泳いでいるインタラクティブコンテンツがありました。
スクリーン前に人が来ると、展示室に設置されたカメラがそれを感知して
魚たちが逃げていくしかけです☆
お子さんたちが面白がって追いかけていて微笑ましかった。
わたしも展示室をグルグル回ってスイミーたちを追いかけました。楽しかった~!


ミュージアムショップで買ってきた折り紙。レオニの絵本の絵がプリントされています。
四折りにすると絵本っぽくなるのがいいな~。



本日のお絵かき↓
世界の音を聴こう。※クリックで大きくなります
オリジナル。
年に1度の後ろ姿描きたい症候群に罹患しています。何も考えず描き描き。

しばらく後ろ姿描きます。
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テーマ : 絵本    ジャンル : 本・雑誌

魔法の家のお留守番。

  1. 2013/06/06(木) 23:45:22_
  2. 絵本・児童書
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サッカーW杯最終予選、いい試合でしたね~(´∀`)。
お互いに攻めまくってキーパーと守備が動きまくってカードも最小限で、選手も主審も監督も紳士でした。
なかなかシュートが決まらなかったけど楽しかったです。
相手のハンドのとき本田の前にボール蹴ったのがわたしの贔屓の清武さんだったんだけど
あの瞬間(のようにわたしには見えた)にうちの父と弟が「PK!」って叫んで
「え?え?巻き戻して」ってなったのが母とわたし。(父弟はサッカー経験者で母ゆさはただのファン)
あんなハンドどうやって誘うんだよ…。
あとね、遠藤やっとさんが、いつもなら飄々と人をくったようなあの人が
試合終了後のインタビューで「みなさんありがとぅー!」ってはじけていて超笑った。
遠藤ちゃんステキすぎる。
いやーともかくめでたい!おめでとうおめでとう!来年の今頃はブラジルだ!!


今週はBSでアガサ・クリスティの特集番組があったりTwitterで池田屋事件が起きていたりと、
何かと面白いことがあってwktkです。
映画『風立ちぬ』も主役以外のキャストがやっと発表されたし。待ってた(*´∀`*)。
瀧本美織ちゃんはドラマ「妻はくの一」の織江役がすばらしくステキだったので
どんな菜穂子さんになるのか楽しみです。
(あと、どうでもいいけど相手役の市川染ちゃんのダメダメっぷりが大変良かった)
なんだかキャラと役者さんの雰囲気がみんな似てて、見れば見るほど顔がだぶってくるから面白い。
西島さんは「夜のとばりの物語」でジブリと縁がありますけれども
まだ見てないなあの映画、見てみようかな。
志田ちゃんはアリエッティ以来ですね~。
そして萬斎さんのイタリア人とか楽しみすぎる!キャラクターのお髭がのぼう様のようだ。


で、だからってわけじゃないですけども
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『チャーメインと魔法の家』が先月刊行されたので読みました。
『魔法使いハウルと火の悪魔』『アブダラと空飛ぶ絨毯』に続く、
ハウルの動く城シリーズ第3巻です。
5年前にイギリスで出版されたと聞いて、翻訳をずっと待っていたので嬉しい~。

あらすじですが、ジョーンズ作品特有のキャラも魔法もわらわら出てきて
誰が敵か味方かわからないごちゃまぜストーリーで説明できないのでリンクを貼っておきます。→こちら
読み進めていくうちに別の意味で心配になる本でしたよ…。
「ちょっと、あと20ページしかないけどどうやってまとめるのこの話、終わるの??」って
終盤で思いました。見事にまとまったけど。
(残りのページ数である程度ラストを予想できるのが紙の本の醍醐味でもあると思うけど
ジョーンズさんの本はそれがまったく通用しないから面白い)

主人公はハウルではなくチャーメインという14歳の女の子ですが
この子、どちらかというとハウルよりソフィーに近いような気がするな…。
しょっちゅう怒ってるのと、自分の魔法の力を自覚しないあたりが、特に。
活字中毒どころではない本の蟲で、いつも読みたい本を探していて
用が済むとすぐ「じゃ、わたし本を読むわ」って口癖のように言う。というか口癖。
わたしとは気が合いそう(^∀^)。
しかしジョーンズさんのお話の主人公は休む暇がないのが鉄則なわけで、
今回も例に漏れず次々ハプニングが起こるので、結局このお話の中でチャーメインがまじめに読めたのは
『パリンプセストの書』『十二に分かれた魔法の杖』と王室宛のお手紙くらいだったなあ。
きっと王室の事件が解決した後は、
おじさんの書斎で浴びるほど本を読みまくったんじゃないかと思う。
お嬢様で家事をまったくしたことがなくて、食器洗い後に手がふやけてびっくりしてたような子が
家事の経験を積むうちに面白くなってきたところでピーターに仕事とられて
激おこプンプン丸してるのがかわいいです。
「学習してるわたしの邪魔をしないで!」の理不尽感パない。ピーターに悪気はなかったのに。。
あとこの子、魔法の使い方がソフィーさんと同じく「話しかける方式」なのですねえ。
床にたまった水をなんとかしたくて
「ほら、蒸発して!排水溝に行って消えなさい!さもないと許さないわよ」って怒鳴ってて笑った。
(ソフィーさんが2巻で空気相手に似たようなことしてたっけ)
チャーメインのファミリーネームが「ベイカー」というところにもニヤリとしてしまいます。
イギリスでベイカーといえば条件反射でベイカー街を思い出すから!(笑)

途中で男の子が転がり込んでくるってカバー折り返しのあらすじで読んでいたから
てっきりマイケルかと思ったら、ピーターという子なのですね。初登場。
この子がまた、チャーメインと同じくらい、何しに来たのっていうくらい何もできない(;´∀`)。
家事レベルはハウルを下回る残念さで、
右と左がわからなくなると指に巻いた糸を見て確認するっていう。お坊ちゃんって。
イギリスでピーターといえばケンジントン公園の赤ちゃんと湖水地方のウサギですが
どっちも家事できそうにないイメージですね…(^ ^;)。
過去のウィリアムおじさんにアジサイのことを伝えたのは賢明だったのかどうか。
チャーメインが苦労するハメになったけど、ラストを見る限りは結果オーライかもしれません。

ハウルとソフィーは中盤で登場しましたけど、
…ハウルさん、ちょっと何やってるんですか。(爆)
過去にほんとに6歳だったときもあんな舌ったらずだったのかな…。
火かき棒でひっかいたみたいな文字も相変わらずなのね。
(1巻でソフィーが「ハウルが使ってるのはペンなの、それとも火かき棒?」と叫んでいたっけ)
ソフィーさんは、いつものことですが怒ってばかりで、最高にかっこよかったです!
スカートをたくし上げて走る姿がイケメンすぎる。
2巻で金髪だった髪の色があかがね色に戻ってましたね!戻したんですね。
あかがね色こそソフィーの髪って気がしているので感激でした☆
今回もだいぶハウルに振り回されていますが、
負けずに言い返しているのもさすがですね。
「ぼくのこと、かあいいと思わないの?(悲しそうな声)」
「(どすんと足を踏み鳴らして)思うわよ。吐き気がするほどかわいいわね!」のやりとりに爆笑。
ソフィーさんはハウルの顔をきれいだとは思ってるだろうけど、面食いじゃないからなー。
あと、2人が協力して魔法を使おうとするときの、「しかけてきた?」「しかけてきたわ」の
ただならぬやりとりも好きです。

カルシファーは2巻でほとんど出てこなかったけど、その反動からか、今回は大活躍でした。
めっちゃ「悪魔」だった!かっこよかった。
「ソフィーに命をもらったかいがないってもんだ」「へまをするわけにはいかない」も良かったけど
個人的に一番キュンときたのは「見せてみな」のセリフ。
どういうことなの、カルちゃんが貫録のある頼もしい兄貴に見えるじゃないの!
例えるなら『ダークホルムの闇の君』のキットのよう。

タイトルにもなっているウィリアムおじさんの魔法の家、便利だなあ。
食事やお茶が勝手に出てきて、物を落としても割れなくて…おじさん準備万端すぎます。
ヒルダさんは2巻に比べて性格づけがされていて、常に凛としたイメージでした。
しっかり者王女様。
2巻の終わりで彼女が雇ったジャマールも、イカ好きな飼い犬も登場しましたよ。
(たまにアブダラが遊びに来ていたら笑える)
根拠はないのですがイギリスのお年寄りってヒルダさんのような人が多いイメージがあります。
厳格で礼儀正しくてブラックジョークが神。

はあぁわたしやっぱりダイアナ・ウィン・ジョーンズさんが好きだ。ほんとに好きだ。
新作がもう読めなくてもずっと好き!
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

お店はじめました。

  1. 2013/04/25(木) 23:54:23_
  2. 絵本・児童書
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かこさとしさんの絵本『からすのパンやさん』が刊行40周年を記念して続編が出たので→こちら
今月あたまからニヤニヤが止まらないゆさです、こんばんは(*^ ^*)。
2年くらい前にかこさんがインタビューで「続編を構想中です」とおっしゃっていて
わーーいずみがもりのカラスたちが帰ってくるのーーマジですかーーきゃーー!!ってなって
あれから2年、首を長くして待っていました。
いや、待ったような、あっという間だったような…発売日を待っているといつもこんな感じですね。

『からすのパンやさん』は子どもの頃にボロボロになるまで夢中で読んで、
社会人になった今も、本棚を見ていてふと目につくと開いたりする本です。
ページをめくるたびに色んなパンが出てきてお腹がすきますが、懲りずに読みます。
特にお話の真ん中あたり、見開きでありとあらゆる形のパンがわーっと並んだページが大好き♪
もはやパン図鑑。やばし。

続編はパンやさんの子どもたち4羽が大きくなって、独立してそれぞれお店を開くお話です。
今月に2冊(チョコくんとリンゴちゃん)、来月に2冊(レモンちゃんとオモチくん)という
計4冊の刊行なのですよ!
1冊出てくれるだけでも嬉しいのに、一気に4冊も出てくれるとかどんなファンサービスですかかこさん。

そんな続編の刊行に関連してか、銀座の教文館さんで「からすのパンやさんのパン」が買えると聞いて
先日、ついカッとなって行ってきました♪
カニパン。
入荷が少ないのですぐ売り切れてしまうと聞いていましたが
お昼に行ったら無事買えましたよ!チョコクリーム入りのカニパン☆
おいしかった…木村屋さんマジありがとうございます…(*´∀`*)。

おめでとう!
パンについていたシール。いやーめでたい。
(そういえば福音館書店の「ぐりとぐら」シリーズも今年で50周年ですね。めでたい)

いずみがもり!
教文館を後にして池袋のリブロに来たら、児童書売り場の前にこんなディスプレイが!
ちょ、いずみがもりが出来ちゃってるよ…(笑)。
さすがリブロ、エネルギーが違います。

本屋さんや図書館やカフェなどの、気合いの入ったディスプレイを見るのが好きです。
もはやアートってレベルになっているとなお良し。

聞き入ります。
当日はからすのやおやさん・おかしやさんの読み聞かせ会も行われていました。

で、刊行されたばかりの「からすのやおやさん」「からすのおかしやさん」の2冊、
早速読んでみましたとも。
いや~いいですねいいですね!色とりどりの野菜とおかし!
かこさんは渋くてはっきりした色遣いなので、食べ物が抜群においしそうに見えます。
おいしそうな食べ物を見るとお腹がすくけど、元気も出てきますね。
来月刊行の絵本も読みますよ。
そして再来月には全5冊とトートバッグが入ったギフトセットが出るらしいから買うん!だ!!

かこさんの絵本は「だるまちゃん」のシリーズも好きですね。
数年前、十数年ぶりに新刊が出てものすごく嬉しくて、やっぱり読みました。てんじんちゃんかわいい。
そのうちまた何か出ないかな。


ところで…。
今年から、うちの母親が勤務先の学校の図書担当になったらしいので
からすのパンやさんとつづきのお話のチラシを見せたら
「あらいいわねぇ、図書室に入れようかな」と言い出しました。
よっしゃあ!
生徒のみなさんぜひぜひ読んでくださいね~☆
(しかも母は図書担当になったのが初めてで、選書もよくわからないらしいので
今度カタログ見せてもらうことにしました。
わたしにも何かできるかな。
というか、数年ぶりに分厚い児童書カタログが読めるかもしれない状況にわくわくしています。
子どもの本選ぶのって楽しいよねえ)



完成っ☆※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その16。15はこちら
905年4月。編集作業がすべて終了しました。
あとは友則の最終チェックだけです。

友則「…うん、いいんじゃない」
忠岑・躬恒「「よっしゃあ」」
友則「すごいよみんな、ここまでやってくれたんだ。…えっと、この序文」
躬恒「いいでしょ~3人で決めて、ゆっきーが書いたんです。ちょっと面白いことやろうよって」
貫之「歌は仮名で書くもんだろ」
友則「面白いよ。仮名序ってわけだね」
貫之「献上は今月半ばだ。花見には間に合わなかったが、きっと大騒ぎになるぜ」
友則「ありがとう、ありがとうね。急がせちゃったね。もっと、じっくり編集したかったよね」
貫之「お陰でみんなヘトヘトだ。当日は無理だが、次の日にはどんな塩梅だったか報告するな」
友則「待ってる」

長歌・短歌合わせて1005首、全20巻。貫之が序文を書き、貫之と忠岑が詠んだ長歌を巻末に付与した『古今和歌集』ができあがりました!
このあと、上質紙に清書・製本していよいよ本格的に完成です。撰者たち、もうちょっとがんばります。
テーマ : 絵本    ジャンル : 本・雑誌

始まりと終わり。

  1. 2013/04/19(金) 23:24:04_
  2. 絵本・児童書
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伊藤遊さんの『狛犬の佐助 迷子の巻』を読みました。
小さな神社の境内にいる阿吽の狛犬と、迷子の犬を探す青年と、どんぐりが好きな男の子の
現代が舞台のハートフルストーリーです。
獅子の「あ」には石工の親方の、狛犬の「うん」には弟子の佐助の魂が宿っているのですが
彼らが生きていたのが150年前というのが個人的にツボ♪
ちょうど幕末ではないかー。
別に歴史上の人物が出てくるわけでもないんですけど、なんかそういう設定って好きですね。
ストーリーも現代の情愛とお江戸の人情がまぜまぜです。ほっこり。

親方と佐助は絵に描いたような職人気質の師弟ですね。
佐助がいろいろ話しかけて、親方が「しょうがねぇな」って言いながら相手してる感じ(^ ^)。
「あ」を彫ったのは親方で、「うん」を彫ったのが佐助なので
彫った人の魂がそのまま残ってしまったわけで、
しかも神社の宮司さんは親方の「あ」の出来はすばらしいと褒めて
佐助の「うん」には首をかしげてしまうという。
親方の名に傷をつけたとヘコむ佐助を
「おれよりいいものを作ろうとやっきになってたくせに」と励ます親方がイケメンすぎてつらい。
一方、よく神社にどんぐりを拾いにやってくる少年を見て
「ようちえん、て、寺子屋みたいなものですかねえ。何の勉強をしているのでしょうねえ」
「そりゃやっぱり論語だろうよ」
「それって難しいんでしょう」
「難しいに決まってらあな」
のやりとりが呑気で微笑ましい~。
この人たちきっと、学問とか出世とか幕末の動乱とかどこ吹く風で
仕事に没頭していたんだろうなあと思います。
手には道具、目の前には石があるから彫って当たり前ですみたいな、愛すべき仕事バカ。粋。

大人には聞こえない佐助の声を、6歳の男の子が聴いたあたりから物語が急展開していきます。
この男の子の機微の描写がみごとでですね…。
自分に頼み事をしてくる佐助に内心びくつきながらも話を聞こうとするというか、
声が聞こえちゃうから耳を向けるしかないというか、
頼まれ事は断れない性格なんだろうなっていうのも伝わってきて
伊藤さんの筆が冴えているなあと。
心の動きを描くのが本当にうまい作家さんだな…。
岡本順さんのイラストも素敵です。
男の子と親方以外に自分の動く姿が見えていないのをいいことに、いたずらし放題の佐助と
佐助の笑った顔を見て、いーってしてる男の子がかわいい♪

(ところで、あまり子どもに話しかけるのを好まない親方に
「どうせ7つになったら、みんな忘れてしまいますよ」と佐助が言っているのは
"7歳までは神のうち"というやつですね)

青年が行方不明の飼い犬を探すシーンを読んでいるときは
「となりのトトロ」でいなくなったメイをサツキが探し回るシーンの音楽が脳内再生されていた。
そういえばあの音楽のタイトルも「まいご」でしたね…。
逆に、親方が佐助を探し回るシーンではネコバスの音楽が爆音で再生されました(笑)。
だって親方ったらものすごい全力疾走なんだもの!
ほとんど馴れ合いのない師弟の、ふと見せる思いやりとかやさしさに涙しそうになるのも
この本の魅力のひとつだなあと思います。
「おいら、まだ見たことのないもののことを考えるのが、大好きなんです」
「だからおまえだったんだよ」
の会話がじーんときました。師弟愛っ…!

ところで副題がついてるってことはシリーズと考えていいですか伊藤さん…!
佐助を助けてくれた大野神社の狛犬たちの話とか
(あの人たちたまらんですよ、何たるイケメン)、
親方と佐助が出会った狐の夫婦の話とか、もっと読みたいです。

伊藤遊さんの本は日常とファンタジーがうまく連続していて好きですねえ。
日常と非日常の間を反復横跳びするのが全然珍しくないというか、
どっちも同じ空間に存在しているからまあ当然こうなるよね、っていうか、くらくらする。
伊藤さんの本を読んでいると、ふとしたときにそういう瞬間が見えてしまうような感じがします。
これ癖になりますよ…。
『つくも神』や『きつね、きつね、きつねがとおる』は正にそういう本だったし、
『鬼の橋』も行って帰ってくる話だし。
『えんの松原』は異性装ものとして大変すぐれた本だと思いますけれども、
あれも異界を抱えた住居の中で生活する人々の話だしな…。


あ。狛犬が出てくる本といえば柏葉幸子さんの『狛犬「あ」の話』も面白いので
興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
狛犬の話も泣けるのですが、主人公のおばあちゃんがすごくかっこいいのです。
孫に敬語で接するおばあちゃんてステキ!と思ったのは『西の魔女が死んだ』以来だなあ。
西魔女のおばあちゃんも背筋が凛と伸びてそうな雰囲気をかもし出していて大好きだったりします。
(サチ・パーカーの映画はまだ見てませんけども…いつ見ようかな…)



tsurayuki69.jpg※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その14。13はこちら
午後の撰所。ふらふらになってやって来た貫之の顔を見て、びっくりの忠岑と躬恒。

忠岑「うわ、すげえ顔、寝てねぇの?」
貫之「うーん…」
躬恒「大丈夫?」
貫之「歌が足りない。勅からもうすぐ1年なのに、900ちょっとしかない」
躬恒「でも」
貫之「こんな計画、万葉集以来だぞ。後々まで生きる歌集を作るつもりでやってる。手は抜かない」
躬恒「体壊したらどうするの」
貫之「壊さない」
躬恒「だめだよ、最後まで無事にやらないと。帝や大臣も無理するなって仰せだったし、友則さんだって」
貫之「時間がないんだよ。あいつ、大内記辞める気なんだぞ」
躬恒「……」
貫之「おれたちは出来上がりが見られて、あいつは見られないなんて、そんなのあるか」
躬恒「……」
貫之「ごめん」
躬恒「……」
貫之「八つ当たりだ」
躬恒「こっちこそ」
貫之「……」
躬恒「ごめんね」

万葉集以来の歌集プロジェクト、撰者のプレッシャー、迫る期限、そして、友則の体調。
貫之にとっても、躬恒や忠岑にとっても、すべてが初めてのことばかりです。
みんな不安でいっぱいなのでした。
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

タシルの祝祭。

  1. 2013/03/17(日) 23:48:59_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
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ブロとものkanayanoさんが「チケットあるのでどうぞー」と譲ってくださったので、
松屋銀座で開催中の「ねこのダヤンと不思議の国 ダヤン誕生30年池田あきこ原画展」を見てきました☆
kanayanoさんいつもありがとうございます~(*^▽^*)。

わちふぃーるどは高校生の頃から大好きで、絵本も何冊かうちにあるのですが
実は作者の池田あきこさんの原画展に来たのは今回が初めて。
サイン会は何度か見かけたものの、あのとおり大人気なので整理券とれた例しはないし、
池田さんの作品がまとまって展示されている河口湖木ノ花美術館は遠いし…という具合に
あまり機会にめぐまれなかったのですけども
今回は都内でやってくれるということで念願叶って行けました。ヒャッホー。

中に入れます。
入口。たくさんの花と大きなダヤン。
ここはカメラ撮影OKゾーンなので、ダヤンとツーショットで写真が撮れます。

いえーい。
こんな感じ!

展示室に入ると、1983年にわちのシンボルとして池田さんが描いた一番最初のダヤンと
30年後(つまり今)のダヤンの大きなキャンバスが2枚、颯爽と並んでいて
素敵なツーショットでした。
昔はスリムで写実的だったダヤンが、今は頭身が縮んでまんまるくなっているのが
感慨深いです。

そしてここからがもうすごい。ダヤンと愉快な仲間達が本気出してた。
わちふぃーるどやタシルの街の地図とか、タシールエニット博物館の迷路とか
大きいものの展示があったのもすごく嬉しかったよー。
特に立体展示!
わちふぃーるど天球儀と、ダヤンの家の立体展示に感動した。
『スウィングタシル』という、八面体の凸凹展示にもっと感動した。
出口にあった、ボルネオがモチーフの絵+革でできた立体展示にもっともっと感動した。
あと、大きいものじゃないけど、ダヤンのフォーチュンカードにもっともっともっと感動した。
マザーグースが題材になっていて、
ロンドン橋やハンプティやパンチ&ジュディやキラキラ星のイラストが30枚も…なにこのかわいさ!
「ねこ、ねこ、こねこ」のダヤンのかわいさにKOされて、
ひねくれ男のダヤンたちが文字通りひねくれたデザインで笑った。
「ボビー・シャフトー」のジタンのポーズが『猫の島のなまけものの木』の表紙そのまんまで
やっぱり笑った。
ジタン!この!オトコマエ!!(バンバン!!←床叩)

『ピーターラビット』『たのしい川べ』『ナルニア国』『ムーミン』など
動物ものが好きなゆさとしては、こんなにたくさんのキャラクター(しかもかわいい)が
見られるだけでワクワクします。
しかも、わちは世界中の昔話がうまくちりばめられていて宝石箱みたいな世界観でいいなあ。
池田さんの想像力と創造力ってすごいと思う。本当に。

みんなのイケメン王子ジタン、おめめパッチリおしゃれなマーシィ、底抜けにいい奴なイワン、
みんなの天使バニラ、ダヤンの誕生日をとっちゃう魔女たち、おばあちゃん魔女のセ、
よみがえった郵便配達員ボーンも大好きですが
わたしはダントツで月のおばさん(マダム・ムーン)ですね!
「月にはウサギがいる」をリアルで体現してくださっている、あのお方です。
名前のとおり月に住み着いて自由気ままに空を散歩し、
時々降りてきていたずらしたり、誰かを助けたり、気まぐれに月に乗せてくれたりする、
何を考えているかわからないマーシィの伯母さんです。
高校時代にわちと出会った瞬間、その生き方に一目ぼれでした。
ダヤンとマーシィには無条件でやさしく、弟のオットーさんのこともなんだかんだで心配している。
絵本などでマダムが登場するとお話にユーモアが出てくるよなあ。胸熱。

映像展示もあって、天井から大きなスクリーンが2枚吊られて
池田さんが画用紙に描いたダヤンが画用紙を抜け出して冒険しに行くストーリーが展開されてました。
画面をくるくる動きまわるダヤンもかわいかったですが、
作家さんのメイキングを見るのも大好きなので面白かったですね。
池田さんの絵を見ていると結構、筆圧をかけて描く方だなあと思っていたのですけど
映像でもわりと紙をぐっと押すように色鉛筆を走らせていました。
あの独特の濃さが好きです。

また、池田さんは数年前に動物と自然を守るボルネオトラストの『緑の回廊』作りに協力し、
ボルネオ国内の土地を購入し「ダヤンの森」と名付けて保護する活動もなさっているそうです。
展示室には手描きのボルネオレポや、池田さんのインタビュー、
最新作『ねどこどこ』の絵本の原画展示がありました。
クッションひとつでボルネオを旅するダヤンはほんと、ふわふわしていてかわいかった☆

ミュージアムショップも本気出してた。。グッズの量がパない。そして広さがパない(笑)。
30周年なので大量の記念グッズも並んでおりました。
わたしはダヤンの小物入れをゲット。
そういえば昔、カシガリ山のランプを買おうとしてお値段見たらゼロが4つで仰天したのだった。
今思い出すとそれだけの手間暇はかかってるなとは思うけど。


パンをどうぞ。
松屋の屋上庭園にいたエプロンダヤン。

パンですよ。
ねずみパン持ってるよ!かわいい!!


で、この後、府中市美術館で「かわいい江戸絵画」展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事で書こうと思います。



よい秋日和。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その6。5はこちら
『続万葉集』奏上から半年。改めて「古今の歌をまとめるように」との詔が帝から下されました。
時平に相談して帰って来たものの、さてどうしようと思案顔の貫之たち。

萩「友則さんは?」
貫之「風邪」
萩「ふーん。どうなってるの、今」
躬恒「なんか、いろいろ注文されたよね」
忠岑「根本から並べ直しじゃね、これ」
躬恒「数も増やせって言われたね」
忠岑「経国集とか、サラッと言いやがったよな」
貫之「20巻か…。1000首は要るな」
躬恒「集めた歌家集だけじゃとても足りないよ。うちらも編纂しながら少し詠もう。人にも頼まなきゃ」
貫之「1年でできんのか、これ…」
萩「1年!」
貫之「急がないけどとは言われたな。どこが急がねぇんだっての」
躬恒「とにかく、こっからはうちら次第だね。たぶん続万葉集以上の構成力が要るし、献上したら御書所の蔵書になるからお偉いさんも読みに来るよ」
忠岑「マジかよー超怖えーよーもー」

おっかなびっくり、編集を始めることになりました。
ちなみに経国集は827年の勅撰漢詩集で、全20巻でした。(現在は散逸して6巻ほど残っています)

また、この時代は左大臣藤原時平の統治下にあり、
「荘園整理令」施行、『三代実録』撰進、『延喜格』『延喜式』の撰修などが行われていました。
『古今和歌集』の編纂も、そんな中で始められたものでした。

スタンドアローンコンプレックス。

  1. 2013/02/24(日) 23:55:40_
  2. 絵本・児童書
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荻原規子さんの『RDG(レッドデータガール)』シリーズ全6冊を読み終えました。
1巻の刊行が2008年だから6年かけて読んできた計算だなー。
長いような短いような。

荻原さんは基本的に本のタイトルを漢字でつける方なので、
今回のタイトルを最初に見たときは正直、まばたきしました。あら珍しいって感じ。
しかし紐解いてみると、物語の底辺には日本史のDNAがガッチリ流れて
そこに学校・生徒会・馬・犬・カラスという荻原文法も組み込まれていて
ああいつもの荻原さんだって思った(笑)。
髪を結ぶことが封印だとか、髪を切る行為とか、お化粧の意味とか、供物が持つ力とか、
強い気持ちで発せられた言葉は相手を縛るとか、笑いが破邪につながるとか
昔から言い伝えられてきていることをうまくからませてストーリーに息づかせている点が、
いつものことながらすごいなと思います。
「言い伝えが実際に起こるということがどういうことか」を実感させてくれるというか、
現代、今まさに目の前で起きたらたぶんこうなるだろうっていう手触り感とか
そういうのがひしひしと。
古刹の廊下を靴下や裸足で歩くときの、あのヒヤリとした感触のような感じがしますねぇ。
CLAMPの『xxxHoLic』とかもそうだけど。

泉水子が超がつく引っ込み思案な子というのも、歴代の荻原ヒロインから考えるとなかなか新鮮で
センセーショナルだなって思ったのですけども、
世界遺産候補になるという点でやっぱりセンセーショナルだった(笑)。
強い力を持って生まれたがゆえに周囲から追われるというのは荻原主人公の宿命ですけども
囲われて守られる対象になったのは泉水子が初めてじゃないでしょうか。
(あとメガネっ子ヒロインも初めてですね)
考えをまとめるのが苦手で、何か言うたびに後悔するっていうのも
歴代のヒロインにない特徴だし。
(たぶん狭也や遠子が泉水子と会話したら絶対に長続きしないと思う(^ ^;)。
あえて会話できるとしたら苑上くらいかな…)
しかし色々経験するうちにやり方がわかってきたらしく、話が進むごとにどんどん言動が強気になって
しまいには学校を自分フィールドで覆うまでに力をコントロールできるようになって、
「高校生活を送る間は、高柳くんに隠れ蓑にになってほしい」と言い出したときは
強かになったなぁこの子!ってちょっと感動した。
ただ、精神的にも社会的にもまだまだ子どもな部分がある子なので
アンジェリカが「チーム姫神」案を言い出したときには
(実際の名付け親は真夏だけど)、そ れ だ …! と思って安心しました。
深行、宗田きょうだい、生徒会、山伏組織、玉倉神社の人々、(あと戸隠とか、たぶん陰陽師もだよね?)
いやー最強の布陣やわ…。
その例えが紀伊山地であるところもまた荻原さんらしい。

ツンツンの深行が、泉水子に対してどうデレになっていくかというのが
読み始めた当初はものすごく気になっていましたが(笑)、
わりと最初から最後までツンツンな秀才男子だった感じですね。
頭脳明晰で社交的だけど、そんなに周囲に対して簡単には気を許さないっていうか
自分が確信を持っていないことや、いい加減なことは言わない子という印象もありました。
泉水子に何か説明するとき…たとえば忍者について尋ねられたときも
「どこまでさかのぼって忍者と呼ぶかによる」っていう言い方をするし。
親がああだからか、人間不信こじらせ系男子のようなセリフもあったけど
本人の諦観の方がまさって、結果的にはそんなに深刻ではなかったような。
泉水子の言動や行動が何から何まで自分とは違いすぎているために
「わけわかんねぇ」とかぶつぶつ文句言うことが多かった深行ですが、
彼女の傍で色んなこと(ほとんどが神霊系)を経験したり
姫神に振り回されたりしていくうちにあれよあれよと柔軟性が身に付き、
しまいには泉水子の頭を小突くまでに寛容になっちゃって
ついにここまで来たかみゆっきー…と思っていたらラストシーンでさらにびびりました。。
そうだったそうだった、最初からデレるなんて荻原ヒーローにはありえないけど
デレたら最強なのだった。。
とはいえ、きっと今後の泉水子と深行の関係も、今までがそうだったように
だいたいつかず離れず的な感じで続いていくんじゃないかと思います。

三つ子の宗田きょうだいの、一筋縄ではいかなさ加減もリアリティがあるなあと。
真響はしっかり者で、真夏はのんびりやで、真澄はマイペースで、3人とも頑固(笑)。
普段はものすごく仲良しで気の置けない会話もポンポンできるけど
だからこそ感情的になりやすい部分もあって
そうなったときの修復は泉水子と深行以上に超難関だったりする。
頭がよくて判断力もあるけどちょっと周りが見えてないときがある真響は
泉水子とは別の意味で危なっかしい感じがしますが
たぶんこれからもそうやって色んなことを乗り越えていきそうな頼もしさもあるように思う。
てっきりチョイ役だと思っていた真澄が想像以上に大きな存在だったのはびっくりでした。
九頭龍大神の頭ひとつが見る夢ってそれもはや本人なのか神様なのか…(^^;)
神霊をきょうだいにしてるって深行が言ってるのでまあそういうことなんだろうけど。
真夏は要所要所でいいことを言うやつだと思う。
彼が言った、「真響がひとりで、おれと真澄が半分ずつ」っていうのは
生物学的な考えからきてるだろうけどもっと根本的な部分もあるんだろうな…。
しかしそんな3人が、泉水子や深行がピンチになるとあっという間にまとまるのが
すごくわかりやすいというか、
自分の身近な誰かのためになら損得抜きで動ける子たちっていうところが好きです。
「あの2人の気持ちが一つになるとおれは無敵だよ」って言う真澄は最高にかっこよかった。

姫神がああいう性格なのは何でだろうと思っていたら
紫子さんのもとに長くいるせいで性格が染みついたからというのが何とも。。
何だろうその、『CCさくら』のケロちゃんが長いこと大阪で寝てたせいで
大阪弁がうつっちゃった、みたいな理由は。。
じゃあ姫神も泉水子の髪型をかわいいと思っているってこと…?(笑)
紫子さんは謎を明かすどころか、ネズミ算式に増やして去っていく人でしたな。
この物語で一番謎な人は誰かと問われたら、躊躇なく姫神じゃなく紫子さんと答えます。
姫神はカオスだけど、正体がわかってしまえばあれほどわかりやすい人もいないような。
あとは出現地点と日時さえ予測できれば…(笑)。

あと紫子さんの、「語尾がだ・である調で、強い霊能力を持っていて、
普段は家に全然いない」っていうお母さん像は
『結界師』の守美子さんに似ているな…とふと思いました。
主人公から離れて仕事しているけど、
その仕事が結果的に主人公や家族を守ることに繋がっているのも共通しているなあと。
いや、紫子さんと守美子さん、根本的な性格は全然違うんだけど。

ラストを読んで「この話、ここで終わってるけど、色々なことが始まったばかりだなあ」とか
ぼんやり考えましたら、
あとがきで荻原さんも同じようなことを仰っていて笑ってしまった。
「泉水子も深行もスタート地点の足場を固めたに過ぎない」。そうそう、そんな感じです。
というか、あとがきを読んでも思ったけど、荻原さんって『空色勾玉』の頃から全然ブレてないなー。
神話や民話や伝承を踏まえつつ自由に遊んでいらっしゃるよね。
鳥彦に始まるカラスたちはヤタガラスが原型と聞いて、やっぱりそうかと。

あと、このシリーズの表紙イラスト(酒井駒子さん画)はいつも泉水子がピンで飾っているのですが
5巻までの泉水子が横顔だったり何となくうつむきぎみなのに対して
6巻の泉水子は正面を向いているんですね。
こちら(読み手)と目を合わせることができるようになったのですねー(´ー`)。
そういう部分もすごく「スタート地点の足場を固めた」という感じがしました。
「もうちょっと生きよう」という顔なのかな。


「昔から伝えられた物語というのはみんな、じつは、はじまる前までの話なんですよ。
ほんとの人生というのはメデタシメデタシの後からはじまってくんですね。
(中略)あんたがたが自分で体験しなさい。物語はここで終わります。……
だけど要するに、子どもに対して、そういうふうに(メデタシメデタシで)やっていけるもんですよ、
というはげましなんですね、じつは」
(「漫画の手帖」10号、宮崎駿の発言より)



そしてお待たせすぎっ!って感じ満載ですが、本日からようやく開始です。
そっくりさん。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その1。前回までのお話はこちら
902年、春。
御書所預(図書館長)になった貫之のもとに、使いの童子がやって来ました。

童子「こんにちはー」
貫之「あれっ、おまえ…」
童子「お初にお目にかかります。友則さまの使いで参りました」
貫之「???…えっと、前に会わなかったっけ」
童子「橘と申します、以後お見知り置きを。主人から言づてがございまして」
貫之「なんだ」
童子「本日退庁されましたら、この文に書かれているものを持って邸までお越しくださいとのことです」
貫之「え、だってあいつ、風邪ひいて寝込んでるって」
童子「おっしゃる通りなのですが、今はお目覚めです。落ち着いたとのことで」
貫之「そうか…。わかった。行くと伝えてくれ」

さて友則は何の用事なのでしょう…。続きます。
ちなみにこの童子、過去に出てきたこの子と似ていますが別人です(笑)。
テーマ : 読書感想    ジャンル : 本・雑誌

女王様のおもてなし。

  1. 2012/12/02(日) 23:58:34_
  2. 絵本・児童書
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入口です♪
前回記事にて予告しましたが、ブロとものkanayanoさんと一緒に池袋の「古城の国のアリス」へ
行ってきました♪
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』からイメージした料理が出てくるお店です。

コンセプトレストランは何度か経験がありますけれども、
(アラビアンロックとか池田屋はなの舞とか監獄飲み屋とか)
ここは妹に先を越されて以来、行く機会を狙っていたお店でもありまして(笑)。
kanayanoさんおつき合いくださりありがとうございましたっ☆

以下、料理の写真が多いのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ☆
テーマ : ♪おすすめ♪    ジャンル : グルメ

日本のこども世界のこども。

  1. 2012/08/21(火) 23:54:20_
  2. 絵本・児童書
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ブロとものkanayanoさんと一緒に上井草のちひろ美術館に行ってきました♪
ドキュメンタリー映画「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」公開記念展ということで
彼女の人生にスポットをあてた内容の展覧会が開催中なのです。
日記とか絵はがきとか写真とか年表とか、彼女が手にしていたものがたくさんあったのですが
年代ごとの作品展示もあって眼福でありました。すごく良かったー♪

いわさきちひろ氏の人生については、過去にこの美術館を訪れた際に多少知る機会があったものの、
やはり日記やメモなどを見ると彼女の思考過程にダイレクトに触れられるので
テンションがかなり上がります。
いつも思うんだけど、ちひろさんの筆跡って丸くてかわいいよね…(*´w`*)。
絵に入っている「ちひろ」のサインの丸っこさと柔らかさが好きです。たまらん。
アンデルセンの故郷オーデンセから出した絵はがきがテンション高くて笑ってしまった。。
絵本を寄贈したら大歓迎を受けたとか、やっぱり自分の絵本が一番いいわとか
素直な感想が綴られています。いいなぁ。

疎開先での風景画とか自画像とか、家族や自宅をさらさら描いたものなど
スケッチが多かったのも今回の展示の特徴でしょうか。
ちひろさんはほとんど線を重ねずに作品を仕上げることが多いですけど
スケッチもほぼそんな感じですねー。1本の線だけで描いていく。
色つき原画ももちろんありまして、年代に沿って展示されていました。
例によってほとんどが子どもの絵ですが、
「ひとりでできるよ」の男の子のえっへんという感じとか
「あかちゃんのくるひ」のお姉ちゃんがとる行動とか
そうそう、小さい頃はこういうことしたし、言ったよね…って思ってしまいます。
30代前半には、主線も色もきっちりくっきり描かれていたのが
だんだん水彩のにじみやぼかしで表現されていくようになって
しまいには主線が消えて水彩一発描き(だよね?きっと)になっていったようです。
おもちゃのピアノのカラフルなにじみや、シクラメンの中の女の子の鮮烈な赤のぼかしを見て
うおおぉや、やってみてぇ!って思って、でも一朝一夕にはとてもできないこともわかりました。
高度な技やー。

いつだったかユーリ・ノルシュテイン氏がいわさきちひろの絵を見て
「吐息が紙に溶け込んだよう」と表現されていましたけれども。
「秀逸だなぁ」と思って以来、ちひろさんの絵を見るときはいつもその言葉が浮かんできます。
一番好きな作品を挙げろと言われたら「鶴の恩返し」「マッチ売りの少女」かなぁ…。
あと、「緑の風のなかで」の女の子が、さわやかであたたかくて好き~。

それからもうひとつ、企画展「奇想の絵本-夢幻とナンセンス」が同時開催中。
ちひろ美術館は絵本作品の原画の収集にも力を入れており、
今回はその収蔵品の中から、奇想というかナンセンスというか
ちょっと荒唐無稽な印象のアートがずらりと展示されていました。
年代は主に18~19世紀前半。キャロルの『アリス』が出てきた頃ですなぁ。
(アリスの展示もちゃんとありました)
すごく気に入ったのがドゥシャン・カーライの絵。今日初めて知った画家なのですけれども
静かで淡々としたタッチと色調なのに、配色が独特で強烈な存在感を放っていました!
一目で惹きつけられちゃった。。
展示されていたのは『魔法のなべと魔法のたま』の原画の一部だったのですが、
その中に出てくる猫がものすごーーーくかわいかった!
平べったい顔にくりくりした瞳で、体もコロコロしてるの!なんじゃあの無敵のかわいさ!!
カーライ、素敵だわ…猫を描く人に悪い人はいないと思うんだ…(=▽=)。←言うの何度目だこれ
鑑賞しながら、この人、アリスの挿絵とか描けそうだなぁとぼんやり考えていたのですが
帰宅してぐぐったら、すでに出版されていたみたいでした。

他にもイジィ・トルンカとかスタシス・エイドゥリゲヴィチウスとか、
初めて聞く画家の名前が多くて楽しかったです。
クヴィエタ・パツォウスカーの赤い猫とか、もう何なのっていうかわいさだった。
猫はナンセンスのモデルになりやすいのかもしれない。
そして、日本からは初山滋氏や長新太氏の絵本原画が。
長さんの展示原画は『ちへいせんのみえるところ』でした!ぎゃー好きすぎるこれ。
kanayanoさんが「頭の体操になりそうな絵本」とおっしゃって全力で首肯。
男の子とか飛行船とか太陽とか、ページをめくるまで、何が出てくるかわからない!
長さんのナンセンスの良さは身近なものが身近な場所から出てくるところにあると思う。
(そしてわたしの長さんバイブルは永遠に『ゴムあたまぽんたろう』です。キャーチョウサーン)

一通り見終わったあとは、緑豊かな庭が見える美術館のカフェで
バラのジャム入りロシアンティーと具だくさんのおかずタルトをいただきまして
(kanayanoさん、おやき御馳走さまでした!)、
もうマジでのどかすぎてリラックスしすぎてやばかった。周りに人がいなかったら確実に寝てた。
この美術館はもともと岩崎家があった住宅街に建てられているから
のどかで閑静な雰囲気全開なのですよねぇ。
窓の外に緑が見えるとホッとします。田舎っ子だもの。


本日の歌合。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」歌合編その9。8はこちら
998年、秋。待ちに待った朱雀院の女郎花歌合の日がやって来ました。
参加者が続々とやって来る中、プログラムを見ながら一喜一憂の4人の図です。

忠岑「おっふぇ~~怖ぇ~~お偉いさんめっちゃ来てる~~(汗)」
友則「なんかいつもより人数多いなぁ」
躬恒「そうなんですか?」
友則「3割増しって感じ。歌人が来てるからかな」
躬恒「へぇ。わたし歌合初めてだから、よくわかんないや」
貫之「世尊言ふ所の諸の菩薩とは何の法の埒語を爲れ菩薩なりと謂ひたまふや我法の菩薩摩訶薩と名付く可き有るを見ず亦法の般若波羅蜜多と名付く可き有るを見ず」
忠岑「げっ、夜、宴会じゃん!頭真っ白になって何も出てこなかったらどうしよ」
躬恒「大丈夫だよ、岑ちゃんの御主人だってみえてるんでしょ」
忠岑「だから怖いんだよ、恥かかせらんねぇし!」
貫之「我菩薩及び菩薩の法に於て見ず得ず亦復た般若波羅蜜多を見ず得ざるなり云何が我をして諸の菩薩摩訶薩衆の爲に般若波羅蜜多を宣示せしめたふや」

貫之が呪文のように唱えているのは大般若経の一部です。
緊張をほぐしているつもりで全然ほぐれてない(^ ^;)。

太陽のいちばん長い日。

  1. 2012/06/21(木) 23:52:43_
  2. 絵本・児童書
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ハウル(映画版)を落書き。毎年、夏至が来ると彼のことを思い出します。

「一万日」とつぶやくのが、聞こえました。「ちょうど夏至になる」
「夏至がなんですって?」ソフィーは聞いてみました。
「その日は僕が生まれてから一万日目なんだよ、お節介さん」

(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法使いハウルと火の悪魔』 p.158)

原作では最終決戦が夏至祭の日(ハウルの誕生日)なのですが、
映画だと特にあの戦争がいつのことなのか明確にされていなかったように思います。
秘密の庭にたくさん花が咲いていたから、暖かい季節だとは思うのですけども。
ハウルがちょっぴり魔法で助けているって言ってたから、そうとも限らないのかもしれないけど。
それにしても映画の空中散歩のシーンは問答無用でドキドキしてしまいます☆
青い空と風と浮遊感がたまらない。
ハウルが鳥になったり魔法を使ったりするときにただならぬ気配のある顔になるのも好きです。

あと、夏至と聞いて思い出すのはシェークスピアの『真夏の夜の夢』ですな。
(ワルプルギスの夜は夏至祭の日なのだそうな)
トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の夏まつり』も夏至祭がテーマですね。

あとは『精霊の守り人』かな。
ニュンガロイムの卵が孵るのがちょうど夏至だと、本編に書いてありますね。
卵が孵ることによって世界に及ぼされる影響のことを考えれば、
確かに春よりも盛夏よりも夏至が妥当な時期なんだろう。
(雷が大地に落ちる=大地と結婚すると稲穂が実るという言い伝えにも通じるものがあるような。
昔々は、稲穂が実るということは何か人知を越えた力がはたらいていると思われていたのかもな…)
作中でタンダが歌う、ナージ飛べ飛べ海まで飛べば、の、わらべ歌のような響きの歌が好きです。
アニメで再現されたときは、いかにも長く長く歌い継がれてきたような、深みのある歌になっていて
とても感動しました。
歌いやすいメロディでもあったし。

ナージの歌って最初からああいう歌だったんだろうか…。
歌詞の内容から考えても、ヤクーの誰かが作詞作曲したというよりは
いつの間にか歌われるようになってだんだんああいう歌詞とメロディになっていったんじゃないか。
歌詞も、やはり歌という形にする以上は
あらゆる言葉や要素を削ぎ落として口になじみやすい詞にしていく必要があったんじゃないか。
何にしても、基本的にどんな物事も口伝えで伝えていくヤクーにとっては
ああいう歌にするのが最良の方法だったのでしょう。
長い祝詞や文句も、暗記するだけじゃなくて謡や歌にするとスルリと覚えられたりするしなー。
CLAMPの『CLOVER』でもスウが(正確にはウィザードのおばあちゃんが)
「人は死んだら忘れられていくけど歌はずっと覚えて歌ってもらえる」と言っていましたっけ。

そして、あの歌は夏至祭に起こることのヒントを雄弁に語っているわけだけど、
お祭りが行われるのが100年に1度であるためか
歌の意味をリアルに理解して歌う人が100年の間に少しずついなくなっていくわけで。
それを考えると、伝えるって本当に難しいことだなと思います。
たつみや章さんの『裔を継ぐ者』でも、サザレヒコがあらわれるまでは
ポイシュマやワカヒコたちのことを語れる人が絶滅寸前だったしねぇ。
(そして何かを語るためには語る対象に対しての深い理解が必要だ)

昔語りや古典や資料を読むときに、
書いた人や語った人の心理や思いを汲み取ることの何と難解なことかといつも思います。
曲には作曲家の思いが込もっているんだよとオクレール先生に諭されるのだめのような気分になる。
いや、だからこそ惹かれてやまないのだけれど。
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きんぽうげきんぽうげ。

  1. 2012/06/17(日) 23:47:35_
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富安陽子さんの『かなと花ちゃん』を読みました。
加奈という女の子と、加奈が原っぱで拾った日本人形が2人だけの会話をしながら
縁日に行ったり、謎の仏師の家を訪ねたり、お菓子の家に遊びに行ったりするお話です。
少々ファンタジックな部分もあるのですが、読み進めていくと
「ああ、そうだったんだ」ってストンと腑に落ちるカタルシスがあってステキです。
個人的に、こういう構成の物語を書くのが非常にうまい作家さんは
この方と高楼方子さんと茂市久美子さんだと思ってる。

加奈と花ちゃんが行く原っぱとか縁日とか、生け垣に囲まれた街路とかは
うちの身近な光景なので目に浮かぶようでした。
夜のお寺の、背の高い杉木立に挟まれた階段を昇るときの空気の冷ややかさとか
濃い影とか、階段の上の灯籠のあかりだけがすごく鮮明に見えるとか。
(縁日のお店のおじさんがアセチレンランプを灯している描写を見て、
思わず手塚治虫の漫画に出てくるランプ氏を思い出して吹き出してしまった)
当たりくじを引き当てた加奈と花ちゃんが、お寺の本堂の中で体験したことは
おそらく人が立ち会ってはいけないことだったかもしれなくて、それはとても
(となりのトトロで草壁のお父さんが言うみたいに)「運がいいこと」だったんだなぁ。
くじで当たりを引くとは、本来はこういうことなのかもしれない…。
そして、鬼たちがお寺を出て遊び回っても余裕綽々な四天王のみなさま、さすがです。

よく仏師の人が、木の中には仏がいて自分は彫り出すだけと言いますが
今回のお話に出てきたおじいさんも同じことを仰っていて職人魂を感じました。
童子の人形の正体については読んでいる途中でわかりましたけど、
(というかきっと、わかるように演出されているんだろう)
加奈が童子に呼び掛けたときのくだりが、何だか夏目友人帳の露神様のエピソードとだぶって
ぶわーっと色んなものがこみ上げてきてしまった。
富安さんは民話や言い伝えや俗説や古典からの引用のタイミングと、
ストーリーへのからませ方が絶妙ですごいです。

青い目の人形については史実を知っているだけに泣けました。
富安さんが戦争について書くと、爆弾とか兵隊さんがどうとかいうよりも
そのとき町で生きていた人たちにスポットがあたっていることが多くて、
今とほぼ変わらない生活への思いが地続きで伝わってくるので頭の芯がじんじんします。
『盆まねき』を読んだときも、おじさんのこととか、話を聞いたなっちゃんのこととか考えてたら
脳みそのスペックが枯渇してウボアーってなっちゃったし。
あと、これは読んだわたしの想像ですけれども
たぶん『盆まねき』は富安さんのご実家の人々がモデルになっているような感じがする。
や、単に、以前に富安さんのトークセッションに参加したときに聞いたお話からの連想ですが…。
『盆まねき』は表紙イラストも素敵だなと思った本です。月がこんな風に見えるときってあるなと。

人形と女の子が会話しながら仲良くなる話で、わたしが今でも傑作と思っているのは
梨木香歩さんの『りかさん』ですけれども、
これにも青い目の人形アビゲイルのお話が載っていますね。
そしてもう、あれはアビィの傷と真っ直ぐさが直列回路に流れる電流みたいにビリビリ伝わってくるので
読み返すにはかなり体力が要ると思う。
本そのものはとてもいい本なのでおすすめしたい1冊です。
あ。『りかさん』で思い出しましたが
この本の続編というか、りかさんで主人公だった「ようこちゃん」が
大人になって「容子」として出てくる『からくりからくさ』という本もありまして
これはりかさんを読んだ後に読むのをおすすめしたいです。
とんとんからり、とんからりと、機織りの音が聴こえる本ですよ。


本日のお絵かき↓
左府様。※クリックで大きくなります
藤原時平。
描き始めるまではビジュアルがまったく思い浮かばなかったのですが、
いざ描き始めたら3分くらいでキャラデザできました。ふむ。
古今和歌集を語るうえで避けて通れない人です。

ご祝儀袋の水引みたいな、雅で繊細なイメージがある人なんだよなーとか考えつつ描いていたら
胸元の飾りがなんかそれっぽくなってしまった。。

*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

夢見る巫女。

  1. 2012/05/20(日) 23:37:37_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
菅野雪虫さんの『天山の巫女ソニン』シリーズを読みました。
全5巻+外伝という質量ながら、先がすごく気になる展開で次々に一気読みしてしまいました。
菅野さんの本を読んでいるといつも、レッカー車に牽引されている故障車みたいな気分になる。
(安心して引っ張って行ってもらう的な意味で)

巨山・江南・沙維の3つの国と、巫女たちの住まう天山が存在する世界を舞台に、
沙維国の七番目の王子であり、生まれつき言葉がしゃべれない少年イウォルと
巫女の才能がないと見なされある日突然天山から下りることになった少女ソニンの物語です。
イウォルと手を繋ぐと、なぜか彼の声が聞こえるソニンは
イウォルと交流する中で幾度もやっかいごと(主に国家レベル^ ^;)に遭遇したり
江南の王子クワンや巨山の王女イェラと出逢って心を通わせながら
やがて3つの国に起きようとする戦争を止めるために行動することになります…。

1巻のあらすじを見たときはすわ壮大な大スペクタクルファンタジーかしらと思ったのですが
魔法も魔物も出てこないし、奇妙な自然現象が起こるわけでもないので
(あるとすれば巫女たちの見る夢くらいだ)、
特に何ということはなくするりと入り込んで楽しむことができました。
いわゆる魔法使いのような人が英雄的なことを成し遂げるのではなく、
ごくごく一般の力しか持たない人たちが協力して、それぞれのできることを精一杯やりながら
必死に良い方向へ繋げていこうとするのもとても好感が持てます。
「まずはこうしてみよう」とか「これはダメだったから次はこうしてみよう」とか、
主人公たちが辿っていく過程がひとつひとつ丁寧に書かれているから
かなりリアリティもあるし。
巫女たちが見る「夢」が要所要所でキーポイントになっていますが
あれもただ見て話すだけではダメで、
「何を見たのか」「その場所はどこで、いつの出来事か」「そう思うのはなぜか」というのを
見てきた巫女が鮮明にわかりやすく説明できなくてはいけなくて、
そのためには夢に見た物の名前を知ることと、説明する経験が大切なのだ…という内容の描写には
ものすごい説得力を感じた。

ソニンとイウォルは、「根本的にちぐはぐな部分があるけど、
育った環境のせいか考え方が全然違うので
お互いに何でも『へーそうなんだ』って受け入れているからうまくいく」みたいな印象なのですが。
2人とも口喧嘩が下手なので、片方が自己主張しているときもだいたい片方が黙ってるし。
でも譲れないことはテコでも譲らないし。
いいコンビだと思います。
これがソニンとクワンになると、「ソニンが素直でもクワンが素直にならないから
話がややこしくなる」みたいな印象です。
ソニンがリアンと仲良くなってからは態度が柔らかくなったような気もしますが…。
逆にイウォルとクワンは、性格から何から正反対なので早々と打ち解けてしまった感じ。
クワンとイェラの場合は、作中にも「虎と狼が睨み合うよう」と書いてありましたが
「2人とも素直じゃなくて策士だからその凸凹がそのまま表に出ている」という印象です。
こいつには負けねぇ!!みたいなオーラをひしひしと感じる(笑)。

そんな一癖も二癖もある主人公軍団を差し置いて(笑)ゆさはサウォル王子のファンだったりしますが、
彼の兄でヘタレなパロル国王ももちろん好き。
あと、2巻に出てくる書庫番のおじいさん(ソニンが白じいさんと呼んでいる人)に
個人的にフォーリンラブです。
だって、それ、「図書館の老人」って書くだけでロマンじゃねぇか…!

時代背景は近世のアジア(たぶん韓国)あたりではないかと思います。
電気や自動車はないけど通信手段に手紙が使われていて、
食べ物も飴に煮物にうどんに焼き魚に丼物に、わりと何でもある感じ。
魚を塩漬けにして長持ちさせる習慣があって、そのために塩の取引でもめたりするのも
塩の道を彷彿とさせて面白いです。
こういう世界をモデルにしたファンタジーだと、
「あまり通信手段が発達していなくて一般人が気安く遠方へ旅行できるわけでもないので、
定住者にとって旅人や商人や旅芸人などは外部からの重要な情報源」みたいな設定を
よく見かけるけど、
ソニンの世界では隣国の噂があっという間に流れてきたり
沙維国でクワン王子の似顔絵が売られていたりするから、
人の口さえ達者ならそこまで情報が伝わりにくい世界でもなさそうだと思いました。
クライマックスでムサが名犬ラッシーのようなことをやっていたけど、
わずか数日で縦断しているので、三国合わせてもそんなに大陸面積が広くないのかもしれない。
国境を越えるのも、日本でいう都道府県を横断するような感覚なんだろうな。

あと、だから何ってわけじゃないけど、外伝を読んだときに
イェラの頑なさの理由のひとつがインナーマザーだったことが何かストンと納得がいきました。。
(あえて言えば『女王さまがお待ちかね』の女王様もそこにカテゴライズされそうだ)
で、イェラにとって父王が、王位継承者の立場としても子どもの立場としても
二重の意味で立ち向かう相手だとしたら、
(菅野さんもかつくらのインタビューでおっしゃっていましたが)そのへんはある意味ものすごく
『風の谷のナウシカ』のヴ王とクシャナの関係だなぁという気がなきにしもあらず。
そして『羽州ものがたり』のジオとカラスの関係にも似ているかなぁ、とも。
トラウマ返しというカタルシス。



ごはんは1日2食の時代。※クリックで大きくなります
歌人シリーズその22。21はこちら

夕暮れ時。
友則が帰った後の貫之邸です。夕御飯を食べながら夫婦の会話。

一子「今日、凡河内の北の方と一緒だったんだけど、あなた躬恒さんのこと聞いた?」
貫之「聞いた。甲斐行きだろ。7日後に発つんだって」
一子「急な話?」
貫之「いや。2月には除目が下りてたんだが、親戚か誰か亡くなったらしくて。落ち着くまで、上が待ってくれたんだよ」
一子「あらまあ…。何か差し上げた方がいいんじゃないかしら。東国だし、きっと寒いわよ。着る物か何か…」
貫之「そうだなー。おやじの袷からいくつか見繕って、綿たっぷり詰めるか」
一子「いいわね」
貫之「北の方と子どもは一緒に行くのかな」
一子「ううん、残るって聞いたわ。ご不安でしょうし、わたし、何でも相談に乗るつもりなの」
貫之「よろしくな」
一子「ええ。そうだ、牡丹ちゃん、今年は2週はいるつもりですって。躬恒さんに会いたがってたから、お忙しそうでなかったら、出発前にお招きしてくれる?」
貫之「わかった。がんばるなあ、牡丹のやつ」
一子「がんばりすぎて疲れないようにしてもらわないとね。来年に会えなかったらさみしいわ」

貫之の両親は、貫之が少年だった頃に亡くなっています。
妻の一子と、春の牡丹と秋の萩が、今の貫之の大事な家族です(^ ^)。
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地下室の女王陛下。

  1. 2012/03/25(日) 23:49:11_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
菅野雪虫さんの『女王さまがおまちかね』を読みました。

この作家さんの前作『羽州ものがたり』がとても好きなので
今度はどんな話かしらと思って読んでみたのですが、
ストーリーやキャラクターは違えど、子どもたちが大人の事情に巻き込まれ奮闘するという点では
2冊とも同じかなぁと思いました。
(巻き込まれると言っても、前作同様、主人公たちは別だん魔法使いでも何でもなくて
夏休みの宿題に四苦八苦するただの小学生なのですけれども)
前作は実際の事件をもとにした歴史小説でしたが
今回は「本」をテーマにしたリアル・ファンタジーでした。
読書感想文とか、図書館とか、本とか、お話を書くこととかがテーマになっていて
本好きの人は色々楽しめたり、ズキッときたり、えーこれないよって思ったり
うんうんこれわかるって頷けるような部分がたくさんあるのではないかと思います。
わたしはそんなんばっかりでした。

主人公3人の遠慮のない会話に気の置けなさが表れていて楽しいです。
特に荒太と現の男子コンビ。ちょっととっつきにくかった相手に憎まれ口を叩いているうちに
いつの間にか仲良くなっているのがいいなあー。
しかも感覚派と頭脳派だから、しっかり補い合えているし。
女王の世界へゆいを探しに行く男子2人の道中が、
小学校の先生と生徒みたいで笑ってしまった。
しかも揃って味オンチであることにますます笑った。

作中でゆいが「本を読み終えるとしばらくボーっとしてしまう癖がある」と言っていますが
この気持ち本当にわかるなぁ…。
あの、頭の中で色んな思いが交錯して言葉にならない感覚って
全然説明できないのですけど、妙に心地よい瞬間でもあるのですよね。
あれかな…。まず、読み終えたという達成感があるわけだ。
あと、読書という集中する行動から解放された爽快感もあるわけだ。
さらには世界をひとつ知ったなという満足感があるのかもしれないって思うわけだ。
ついでにこの硬派口調は、いい気になって乱用していると癖になって直らなくなるので
(女王の缶詰部屋みたいだ)そろそろ大概にしとこうってわけだ。

そして以前にここで書いた「日本のお話は下に降りると異界に通じている」シリーズに
新しい事例が加わりましたね~。
西洋料理店の地下室への階段を下りると女王のお城に通じている。※ただし梟の案内が必要

女王は主人公たちにとっては感じの悪い人のような描写になっていますが
わたしは(人格者と思っているわけではないですけども)彼女は嫌いではないです。
単に欲望のままに生きているだけかと思いきや、その後のキリヤさんをめぐる問答で
「わたしは望む者しか呼び寄せることはできない」とおっしゃっていて
ちょっと驚きました。
女王が呼び寄せる力よりも、現実の人の、城に来たいという思いの方が強いがゆえに
あの世界への扉が開いてしまうというのは女王ひとりのせいではないような気もするし。

女王のいる世界やお城については、ゆいたちの見た部分しか語られていなくて
詳細については大まかにしかわからないままですが、
でもそれがかえってあの世界の神秘性を際だたせているような気もします。
あの世界がいつできたのか、今後も存在し続けるのかどうか想像するのを
読み手に任せているところに好感が持てました。
壁が本棚だらけで本がぎっしり詰まっていて、城のふもとが崩れて本が溢れ出していて
紙が発明される前の本から現代のベストセラーまで所蔵しているとか、
本好きにはたまらない空間であることは間違いないのだけれども。

あと、冒頭とラストにちょっとだけ出てくる図書館司書さんの「できる司書オーラ」はすごい。
こういうところも手を抜かないのが菅野さんの真骨頂だと思います。


本日のお絵かき↓
君に逢はで。※クリックで大きくなります
紀貫之(奥)と凡河内躬恒(手前)。
古今和歌集をともに編纂した者同士で、大親友でもあります。

この2人の仲の良さったら親密すぎるくらい親密でもだもだする~。
自分たちを織姫と彦星にたとえて歌交わしてたりするし。
君たち何故そんなに仲が良いのかと。ロミオとアルフレドかと。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

それは幼ごころの君。

  1. 2012/03/14(水) 23:46:31_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
twitterで「#児童書おすすめ1つずつあげよ」というハッシュタグに遊びに行ったら、
懐かしいタイトルいっぱい聞きすぎてうっかり涙出てきたゆさです、こんばんわ。
やべぇ今すぐ児童書コーナーに飛んで行きたい。
(社会人になっても本屋さんや図書館の絵本・児童書コーナーは何の抵抗もなく行きます。
あそこは夢とあたたかさと少しの怖さと厳しさと懐かしさの宝庫だと思う)

ハッシュタグまとめはこちら↓
「#児童書おすすめ1つずつあげよ」まとめ
ものすごい数…!!主催者様お疲れさまでした。

一番ツイートが多いのはやっぱり『ぐりとぐら』ですね!
スクロールすると必ず画面のどこかにこのタイトルを見つけます。もはや定番を通り越して不動。
子どもの頃のわたしは、ぐりとぐらが作るカステラが食べたくて
気が狂いそうな思いをしていたことがあります。
山脇百合子さんの挿絵がやさしくて、カステラが本当においしそうで、
挿絵を見ているだけでお腹がすきます。うおぉ食べたい。。。
せなけいこさんの『ねないこだれだ』ってかなり癖のある絵本だと思うのですけど、
(トラウマって言ってる人がいて全力で首肯しちゃった)あのヒュードロドロ的な雰囲気はすごく好きだ。
『かぎばあさん』シリーズとか懐かしい!
わたしは小学生の頃かぎっ子だったので、学校の図書館でこの本借りて家で読みながら
「きっと来てくれる」って信じてたことがあったな…。
あと『モモ』『はてしない物語』の出現率の高さにエンデのすごさを思いました。鉄壁。


…ちょっとスイッチ入っちゃったので、思いつくままに好きな児童書タイトル挙げてみます。

『からすのパンやさん』『わたしのママは魔女』『わかったさん』『星新一ショートショート』
『ちいさいモモちゃん』『月神シリーズ』『勾玉三部作』『守り人シリーズ』『十一月の扉』
『十二国記』『ふーことユーレイ』『白狐魔記』『ルドルフとイッパイアッテナ』
『11ぴきのねこ』『はじめてのおつかい』『チョコレート戦争』『車のいろは空のいろ』
『童話物語』『ぼくは王さま』『魔女の宅急便』『霧のむこうのふしぎな町』
『ちいさなちいさな駅長さんの話』『合言葉は手ぶくろの片っぽ』『すみ鬼にげた』
『ノンタン』『かばくん』『鬼の橋』『えんの松原』『ふるさとは、夏』『サラシナ』
『花さき山』『シノダ!』『シェーラひめのぼうけん』『コンビニたそがれ堂』
『少女海賊ユーリ』『クレヨン王国月のたまご』『コロポックル物語』
『ねずみくんのチョッキ』『こぐまちゃんとしろくまちゃん』『ぞくぞく村』『水のしろたえ』
『ペチカはぼうぼう、猫はまんまる』『はれときどきぶた』
『旅の絵本』『ダヤン、わちふぃーるどへ』『あやかしの鏡』『とうすけさん、笛をふいて』
『羽州ものがたり』『送り人の娘』『ドラゴニア王国物語』『白い月の丘で』
『きんぎょがにげた』『ガンバの冒険』『100万回生きたねこ』『りかさん』
『つるばら村のくるみさん』『黒猫サンゴロウ』『えんぴつびな』『銀のくじゃく』

『エーミールと探偵たち』『ふたりのロッテ』『はてしない物語』『指輪物語』『ナルニア国物語』
『ハウルの動く城』『クレストマンシー』『大草原の小さな家』『秘密の花園』
『赤毛のアン』『あしながおじさん』『ハイジ』『子どもだけの町』
『マトリョーシカちゃん』『マフィンおばさんのパンや』『フランバーズ屋敷の人々』
『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』『グリーン・ノウの子どもたち』
『どろぼうの神様』『ゲド戦記』『時の旅人』『アナトールこうばへいく』
『すてきな3にんぐみ』『かいじゅうたちのいるところ』『くまのパディントン』
『オリビア』『としょかんライオン』『スイミー』『ふたりはともだち』『どろんこハリー』
『もぐらとずぼん』『りんごの木』『ロージーのおさんぽ』『おおきな木』
『しろいうさぎとくろいうさぎ』『はらぺこあおむし』『ピーターラビット』
『太陽へ飛ぶ矢』『あるきだした小さな木』『ロッタちゃんの引っ越し』
『おそうじをおぼえたがらないリスのゲルランゲ』『ちびくろサンボ』
『小石通りのいとこたち』『忘れ川を越えた子どもたち』『第八森の子どもたち』
『ブラッカムの爆撃機』『やかまし村の子どもたち』『ニルスのふしぎな旅』『てぶくろ』
『クラバート』『床下の小人たち』『スーホの白い馬』『タンタンの冒険』

うおぉ疲れたーすっきりした!すーはー。
今思いつくのはこんなもんです。たぶんたくさん書き忘れているので思い出したら足すかも。

大好きだったレーベルは、こどものとも、かがくのとも、岩波少年文庫、フォア文庫、
講談社青い鳥文庫かな。今も好きだけど。

好きな児童書挿絵画家は…
安野光雅さん、東逸子さん、伊勢英子さん、いとうひろしさん、小松良佳さん、酒井駒子さん、佐竹美保さん、
中村悦子さん、西巻茅子さん、林明子さん、二木真希子さん、藤城清治さん、葉祥明さん、とか。
アーサー・ラッカム、エドワード・アーディゾーニ、ランドルフ・コールデコット、
アーネスト・シェパード、ダイアナ・スタンレー、ターシャ・テューダー、バーバラ・クーニー、とか…。

うあぁぁあぁ書ききれない!!
テーマ : 児童書    ジャンル : 本・雑誌

燃える思春期。

  1. 2012/02/15(水) 23:17:16_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
上橋菜穂子さんの『炎路を行く者』を読みました。

この人の本はストーリーと伏線がしっかりしているタイプの本なので
なるべく時間を作って読むようにはしているのですけど、
うっかり時間のないときに読み始めて、途中でどうしても中断せざるを得なくなると
続きがものすごく気になってしまってどうにも落ち着かなくなります。
今回も通勤電車の中で読んでいたら、読み終える前に降車駅に着いてしまって
続きが読める暇ができるまであわあわしたりしました。はー心臓に悪い。

上橋さんが少年時代のヒュウゴの話を書いている、というのは
以前から上橋さんがあとがきや本の帯で言っていましたけど
守り人シリーズ完結後もなかなか出版されなかったので、満を持して読めたという感じでした。
待ちに待ったヒュウゴの少年時代を存分に堪能しましたとも…!
ほわあああいいなあああ思春期炸裂!!
『蒼路の旅人』の初登場シーンから癖のある人ではありましたが、
思春期も充分癖のある少年だったとわかって妙に納得してしまった。。
いや癖以前に、もっと切実なアイデンティティの問題を挟んでいるわけだけど…。
帝の盾の子だったことに人一倍こだわっているし、
タルシュ人に対して何か仕掛けたいけどお金も力も持ってなくてできないからイラついてるし、
だからこそ、仲間を傷つけた相手に仕返しするときはしばしば怒りに荒れるし、
そんな自分を遠くから冷静に見ている自分がいることもわかっているし。
そういう、めちゃくちゃ刹那的なところを抱えながらどうにかこうにか立っている、
みたいな少年時代だったのだなぁ。

ヒュウゴは自分が危険にさらされたり、死ぬかもしれないということに対する用心深さが
ほかの人より欠けているところがあるなぁと読んでいて感じました。
バトルになると頭がオーバーヒートして「傷つかないために、死なないためにどうしたらいいか」とか
「自分が死んだら周囲にこういうマイナスが及ぶだろう」とか、そういう思考がすっとんで
ひたすら闘争本能の赴くまま無茶な行動に走ってしまうというか。
(ゲームキャラに例えると素早さと攻撃力が異様に高くて防御とHPが低いタイプ)
そういう少年に育った理由として挙げられるのが彼の生い立ちであり、彼の父親の仕事であり、
家を焼け出されてからの紆余曲折なんだろうと思う。

で、そういう命知らずなところが、リュアンから見ると
ナユグを見る者の立場としてはちょっと注文つけたい点だったりするわけで。
タルシュに屈したくないヒュウゴの気持ちもわかるんだけど、
リュアンにしてみれば、国や政府のトップが誰であっても
そのことで自分の生活や精神に影響が出てくるということは特にないんじゃないかと思う。
(社会的な影響は受けるにしてもね)
ヨアルもそう。病気で治療費もないけど、ヒュウゴのお金を受け取らなかったのは
国がどうとかいうんじゃなくて、ヒュウゴの人生を見て「いらない」って言ったわけで。
たぶんヒュウゴはあのとき、自分の立ち位置についてものすごく考えたんだろうと思います。
自分が今ここにこうしているのはなぜか、ヒュウゴが一番ヒュウゴに聞きたかったかもしれないな…。

オウルとの出逢いはわりとスピーディーな展開でしたけども、
ヒュウゴが惚れ込むには充分な時間だったような。
オウルのあの冷静な采配ぶりは経験からくる余裕なのかな…成人したヒュウゴを見ているようでした。
冒頭の「運河沿いのあの家には~」の一文は反則だと思う。


バルサの少女時代もめいっぱい堪能しました。
『流れ行く者』でも13歳の彼女が少し垣間見られましたけれども
今回は一歩すすんで、15歳になったバルサのお話でした。
ジグロに支えられていることが日常的な日々でも、それを当然としないところが
バルサのいいところであり、いやちょっと待ちなよと言いたいところでもあります。
追われているという自覚もあるし、ジグロに対して負い目もあるから
とにかく何でもかんでも一人でできる&解決できるようにならなくちゃ!みたいな思いを
ずーっと持っていて、そのために先走ったり無茶をしすぎるので
かえってジグロの心配の種を増やしていることもあるし。。。
しかも、バルサのそんな気持ちをジグロはお見通しなんだな…。
この人には絶対かなわない、と思いながらも、ジグロと対等であろうとするバルサが
すごくいとしいです。
で、そんなバルサに対して「そんなことは考えなくていい」なんて野暮は言わずに
好きな詩人の詩で返答するジグロったらロマンティストだ。


本日のお絵かき↓
白息吐息。※クリックで大きくなります
先月に描いた人たちです。
前回は道風がメインでしたが、昨日が小野好古の命日だったので好古をメインに描き描き。

立春を過ぎましたがまだまだ寒いですね。
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テーマ : 読書感想    ジャンル : 本・雑誌

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