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2021_02
20
(Sat)23:51

小野のよし名乗らずとも。

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京都観世会館の「第六回復曲試演の会(代替公演) 復曲能『篁』」を見てきました。
去年の4月に予定されていましたが今年の2月に延期になり、
こういう状況ですのでまた延期されるかオンライン配信でもないかと待っていましたが
どちらもないということでどうしても見たければ行くしかない…とのことで。
チケットは去年取っていて、行かずに寄付することも考えましたけど
会場の感染症対策を確認したり自分でできる対策を色々考えて、行ってきました。
(そんな風に割と決死の覚悟で行ったら現地で
「3月にEテレで舞台の一部放送があります」「7月に追加公演があります」というお知らせを見て
早く言って!!?!???(゚Д゚)ってなりました…早く、言って(゚Д゚)クワッ)

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新幹線で京都まで行って、岡崎公園で市バスを降りて、平安神宮の大鳥居も久し振りに見ました。
目的地はこの鳥居を背に歩いて3分ほどの場所にあります。

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京都観世会館。初めてだよ~。
お着物のお客さんも何人かいらっしゃいました。

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館内にあった図書コーナー。
謡本や能狂言についての資料、DVDや小説やマンガなど幅広く置いてありました。
『花よりも花の如く』懐かしいな~途中までしか読んでないけど。憲人くん今いくつになったのかな…。
こういう状況でなければ手に取って読めるんですけどね。

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六道珍皇寺さんからお花が届いていました。
去年12月に六道さんで謡奉納があったんですよね…行きたかったなあ六道さんで「篁」を見たかった…。

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館内はロビーが狭くて結構な密だったので、公演が始まるまでは外にいました。
琵琶湖疎水を眺めながらコンビニおにぎりをもりもり。この先に乗船場があるんですよね。
京都近美や京セラ美術館にも行きたかったな…。

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京都観世会館の感染対策は公式サイトからも見ることができますが、
入館前に検温と手指の消毒があり、連絡先を記入して提出し、
館内ではマスクをつけて会話を控えて人と距離を取ること、ロビーでの飲食も控えてほしい、など。
会場内では換気・消毒を徹底、座席は1席ごとに貼り紙があり隣り合って座ることができなくなっていました。
もし何かあれば提出した連絡先に連絡が来ると思いますが今のところ来ていません。

わたしが買ったチケットは自由席で、1階席がかなりの密だったので2階席の最前列に座りました。
左右はひとつずつ開けて人が座っていて、後ろは誰もいませんでした。
1階と比べて2階は人が少なく距離を取って座れまして、マスクつけて会話している人もいましたが
わたしの周囲はおひとり様が多かったのか、静かでした。


上演前に西野春雄氏(法政大学名誉教授)による講演がありました。
能楽・中世文学を専攻されている研究者のかたで、今回の『篁』復活にも関わられて
謡本の校訂や補綴などにも参加されたそうです。
『篁』の作者は不明で、世阿弥だとする資料もあるそうですが確定には至っていないことや
表現も難しく役者や音楽も揃いにくいため廃絶した可能性があることなどお話いただきました。
(室町時代以降は近代に丸岡桂が『古今謡曲解題』(1919年)で触れている程度らしい)
戦後に『篁』を再発見した評論家の堂本正樹氏と西野氏は交流があり、
堂本氏が番外曲中の名作と評した曲を今回復活させた理由についてはもう少し突っ込んで聞きたかったけど
特に質疑応答の時間もなかったのでちょっと残念。
(小野篁が京都の人というのも京都観世会が復活させる理由としては大きいかもしれないね)
長く上演が途絶えていた『篁』を現代に復活させる作業は約2年ほどかかったそうで
もし途絶えずに上演され続けていたらどのように演じられていたかを考えながら台本を決めて
面や衣裳、節や型や囃子をつけていき調整していったそうです。
モデルとなった小野篁についても「調べたけどなかなか魅力的な人物ですね」
「古今集真名序に「風流」とあることに注目しています」などなど、
そうだよねー!(≧▽≦)☆って同意しまくるコメントがあってうれしくなりました。
(ちなみに西野氏は『篁物語』や谷崎潤一郎の短編は「合いませんでした」とのこと)
ほかにも『篁』のストーリーの解説や史実とフィクションについて、型や衣裳についてなど
多方面からお話いただいてとても勉強になりました。
最後に「みなさま、これから誰も見たことのない『篁』が上演されます。
みなさまと立ち会えることをうれしく思います」とおっしゃって締めくくられたので
上演がとても楽しみになりました。素敵な講演をありがとうございました!

講演の後は、舞台で上演の準備をなさるスタッフの人々を見ながらドキドキしていました。
(2階席は演者さんからは遠いけど全体が見渡せていいですね)
お能を劇場で見るのが久し振りすぎて、やばいどんなだったっけと思ってましたけど
最初にピ~~ヒャラ…ポン、ポンと、笛太鼓が入ると会場がシーン…と静まり返って
地謡や後見の人たちが舞台に静かに出ていらっしゃって(布マスクをしていらっしゃった)、
鼓が入って「イヨォーーーーー」「ポンッ」と鳴ると、もう一気に能の世界へ。
ああ、この感じ…!とたまらなく懐かしくなりました。やっぱりわたしは能が好きだ。

『篁』の季節は晩春で、時代は鎌倉時代初期という設定。
承久の乱が終わり隠岐の島に流罪となった後鳥羽院を訪ねて、僧侶となった北面の武士(ワキ)が
出雲の千酌の浜にやってくるところから始まります。
ワキが「後鳥羽院に仕え申す者にて候」と自己紹介を終えて舞台の端に下がって
後見さんが舟の作り物(白い枠だけの簡素なもの)を持ってきて舞台に置きますと、
いよいとシテが橋掛かりから登場します。
よっ、篁さん!(心の声)
面は尉、腰に蓑をつけて棹を持っていました。漁師の格好ですね。
僧侶に隠岐に行ってほしいと頼まれて、これは釣舟だと言って断るのですが
隠岐に遅桜を見に行くと言っていた僧侶が実は後鳥羽院に会いに行くため出家したと聞いて
その心意気に感銘を受けて力になろうと海へ漕ぎ出します。
2人のやり取りから物語が動く感じがしてドキドキしたし
地謡の漕ぎ出す舟とか吹き付ける海風とか海に浮かぶ水鳥の描写がとてもかっこよかったです。
日本海に漕ぎ出す小さな舟の情景がありありと想像できました。
シテは島に着いて僧侶を下ろし、名前を聞かれて「さらば名乗り申さん。名字は小野」と力強く答え、
例の「わたの原八十島かけて~」の歌を朗々と歌い上げて去っていく姿が本当にかっこいい…!
なんで千酌にいたのかな。普段は漁師の姿で隠岐に渡る人の覚悟を試しているんだろうか。
説明がないので想像するしかないけど、気になってしまうね。

隠岐に着いた僧侶が後鳥羽院の配所を島の人(アイ)に聞いて
(このあたりは底本になかったけど必要だろうということで
西野氏が出しなさった原案を宝生氏と小笠原氏が修訂したらしい)、
島の人も親切に教えてくれて他に用事があれば承ると言ってくれた。
この能の登場人物いい人ばかりだな…。

僧侶は高台にある屋敷で院と再会します。
(このとき「この島の島守か」「新島守は我なるに」というやり取りがされますが
これは後鳥羽院による『遠島百首』からの引用ですね)
院は都の様子と、僧侶がどうやってここまで来たのかを問います。
僧侶が小野と名乗る翁の舟に乗せてもらったと答えると、
院は「その歌人は小野篁。さる事ありてこの島に流されし」と推察して
隠岐にある篁を祀った塚に詣でて志を弔いましょうということになります。
2人は舞台を一周して、中央に用意されていた篁の塚(竹の骨組に布を巻いて草を乗せた作り物)に到着。
月が夜空に出ている深夜、院と僧侶による手向けがされて
鼓とイヨォーーーーッという一声とともに、塚を覆っていた幕が2人の後見さんにより引き下ろされて
鬼神姿の篁さんが登場!!
真っ黒な長髪、唐冠、金色の狩衣、右手に黒骨扇、左手に金札数枚。そして天神の面。
なんじゃなんじゃまるで神様のいでたちではないですか、
めっちゃ拍手したかった…鼓と謡がすさまじくてとてもそんな雰囲気じゃなかったけど…!
篁さんは院と僧侶にお辞儀をして詣でてくれたことへのお礼を言うと
(篁の方が2人より400歳ほど年上ですが相手は上皇なので敬語を使います)、
院をここに流罪にした人々を閻魔庁へ引き出して奈落の底へ押し入れて(院の)逆鱗を休めるので
「頼もしく思し召されよ」とか言っちゃったよ…!ここほんとシテの独壇場でした。
地謡と鼓に合わせて足で拍子をとりながら笏を振り、時にドン!と足を踏み鳴らし、
笏を放り投げてからは黒骨扇をひろげて(金色でした!)力強く舞台のあちこちを舞って回る姿が
本当に本当に、ほんっっっっっっっとうにかっこよすぎて好きになりそうでした\(^o^)/
足の向きもあちこち変わってあ、次こっち行く、次はあっちだ、とか色々わかってワクワクしたー!
西野先生がさっきの講演で見どころのひとつとおっしゃったけど本当にクライマックスだった、
篁さんかっこよかったよーーーーー!!!

やがて舞を終えた篁は妹が亡くなった際の「泣く涙~」の歌を詠じて
院が川=隠岐の海を渡って都へ帰れますように、と慰めて去っていきました。
「これぞ天地を動かし鬼神も感応なるとかや」と締めくくられる台本は歌の力を讃えていました。
和歌讃歌の物語なのだなあ。

はーーーーーーーーーーーーっすごかった…目の前で見られて本当によかったです。
史実のインパクトが強くて説話がまとめられて二次創作までされた小野篁みたいな人が
能になってないわけがない!と、昔から根拠なくずっと思っていたので
この作品の存在を知ったときは「やっぱりあったんだ!!」ってとてもうれしくかったし
さらにそれを彼の故郷の京都で見られる日がくるとは。。
実在の人物がモデルとはいえ創作色の強い作品で(篁そもそも隠岐で死んでないしね)、
書きだしの流れや登場人物の行動の動機に説得力があり、
クライマックスに霊が出現する必然性もそれが篁である必要性もわかるし
同じ隠岐に流された者同士、歌人同士、相通じる部分で慰め合う構成が非常に巧い。
お能は誰かを慰める芸能ですけど、多くはワキがシテを慰めますけど
『篁』はシテがツレを慰める珍しい構成なのもおもしろかった。
こんなによくできてるのに廃れてしまったのかよもったいない…と思うと同時に
源氏や平家や六歌仙みたいな題材に比べると確かにポイントを押さえるのが難しいというか
小野篁の史実や説話のあれこれ(歌とか流罪とか閻魔とか)も入っていておもしろかったけど
あまり入れすぎても全体としてはコントロールしづらくなるというか
シテは確かに篁ですけどツレの後鳥羽院の存在も大きくて主役どっち?というか
篁の話をやりたいのか後鳥羽院と和歌をやりたいのかわかりにくくなっていて
演者もですが当時の観客にとっても難しかったのかなーという気もします。
細かい要素を入れ込むよりもシンプルに構成した作品の方が残りやすいのかもしれないですね。
去年の4月に日の目を見るはずだった復活能『篁』、やっとお披露目で何となくまだ粗削りですが
これからも上演を重ねれば奥深くなっていくでしょう。
役者さんたちの存在感がすごくて、味方さんの篁は500歳の翁にも見えたし地獄の官吏にも見えたし
片山さんの後鳥羽院の帝王感ハンパなかったし
(味方さんがあくまで院をたてる演技で、でも権力者とは別の計り知れなさを出していたのすごかった)、
宝生さんの僧侶と小笠原さんのアイの縁の下の力持ち感よ…。
この前おちょやんでもやってましたけど役を生きるとはこういうことかもしれないと思いました。
…やばい。役者さんの演技を久々にナマで見てかなり当てられてしまった、
これだから劇場通いはやめられないのだ。


あと、今回は『篁』の後に仕舞と『葵上』も上演されることになっていて
そちらもぜひ拝見したかったのですが、
2階席とはいえそれなりに人がいる屋内に長居するのは気が引けましたし
新幹線が混まないうちに帰りたかったので
本当に申し訳ないとは思いましたが「篁」の後はすぐ会館を出て
市バスに乗って京都駅に向かいました。
何度も言うけど『篁』は本当にすばらしくて
チケット代はもうこれでじゅうぶん楽しんだと思えたので後はもう寄付のつもりでした。
京都観世会のみなさま、お席をあけてしまい本当に本当にごめんなさい。

今回はずっと前にチケットを取っていたし、延期もオンラインもない公演でしたので行きましたけど
見てる間は楽しかったけどやっぱり後ろめたい気持ちがあったし
混雑を避けたとはいえかなりの距離を移動しながら色々気を遣ってストレスもありましたので
余程のことがない限り遠出は控えます。体調にも注意。
はやく気軽にお出かけできる日々が戻ってきてほしい。


追記にお能とは全然関係ない新幹線トークです。↓

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2020_02
16
(Sun)23:55

ツバメもタカとして生きねばとぶこともかなわぬ世なのだ。

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歌舞伎座ギャラリーに行ってきました。なぜかって。

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ナウシカのメーヴェが展示されてるからですよ!!
去年の12月に新橋演舞場で上演された新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」にて
実際に使用された小道具ですよ。
ギャラリーのツイートで展示を知って何がなんでも見たくて早朝に電車に飛び乗り、
ギャラリーのオープンと同時に展示室に入ったので誰もいない状態で撮影できました!
最高です。

2020kabukiza3.jpg
ほんとにメーヴェだ~~すげ~~~~~!!!(゚Д゚)☆
ちゃんとエンジンに青い光がついてるよ。

2020kabukiza4.jpg
上から。
エンジンのアクセスハッチはさすがに省略されてるけども(宙乗り中につまづいたら危ないからね)、
それ以外はほぼパーフェクトにメーヴェのフォルムを再現していると思います。
重さどれくらいあるんだろうな。本物(?)は12kgくらいで人が持てる重さですけども。

2020kabukiza5.jpg
今にも回り出しそうな噴射口のデザイン。光球もここから出してましたっけ。

2020kabukiza6.jpg
後ろ。
ライフルと杖を収納する穴もちゃんと開いてる。

すごいなあ…!
今にも飛び立ちそうなメーヴェを間近で、展示ガラスとかもなしで見られて幸せいっぱいでした。
しかも写真まで撮れるなんて。
ところどころ塗装が剥げているのが、お舞台で使い込まれた感があってドキドキしたし
きっと本物のメーヴェもナウシカが乗り回しているうちにそうなってるかもしれないから
(映画でも腐海に突っ込むわ乗り捨てるわ、結構、大雑把に扱ってる描写が散見される)、
そういう意味でもすごく本物感がありました。
ギャラリーさん展示してくださってありがとうございます。

2020kabukiza7.jpg
歌舞伎座ギャラリーは5年前に訪れているので、特にレポはいたしませんが
前に来たとき三味線が置かれていた壁の一角が役者さんたちのサイン場所になっていました。
ギャラリーでは時々、役者さんのトークショーを行っていますからそのときのサインかな。

というわけで。
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新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」デイレイビューイング(前編)を見に来ましたよ☆
去年の12月に新橋演舞場で上演された昼の部にあたるシネマ歌舞伎です。
夜の部にあたる後編は来週から上映されますので、この日見たのは前編のみ。
わたしは上演時に夜の部だけ見ていて昼の部は見られなかったので、
せめてシネマで見たいと思って前売り券買いました。

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劇場に舞台写真が展示されていた。
見覚えのない様子ばかりだったのでたぶん昼の部(前編)の写真だと思われ。

以下、ネタバレを含む長文レポ&感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆
(原作マンガのネタバレもしているので原作未読の方もご注意ください)

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2019_12
08
(Sun)23:58

いのちは闇の中のまたたく光だ!

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新橋演舞場で新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」夜の部を見てきました☆
宮崎駿原作のマンガ『風の谷のナウシカ』全7巻を昼夜通し狂言で上演しています。
主演の尾上菊之助さんが5年以上あたため続けてやっと実現した企画だそうです、
おめでとうございます☆
チケットは争奪戦どころではなくまさに激戦で、しかも昼と夜それぞれ別々で取る必要があるため
両方取れればよかったのですが発売と同時に完売してしまい;;
戻りチケットも夜の部は何とか取れたけど昼の部はなかなかタイミングが合わず未だに取れていません。。
夜の部だけでも取れたのは奇跡に近いよな…。
ワンピースとかNARUTOもそうだったけど、ヒット作の歌舞伎化あるあるですね^^;

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グッズ売り場も賑やかでした。
今回の上演における限定グッズやナウシカのマンガやDVDも販売されていました。
場慣れした人が多かったけど明らかに初めてっぽい人もいて
ジブリのファンも来てくれたのかな~とか、ちょっとうれしかったです。
これを機に古典も見に行ってみてほしい。
客席で原作マンガを広げている人もいて、ナウシカファンの人だと思われますが
歌舞伎ファンなら幕間に突然お弁当広げたり予約したレストランに走ったりするはずですが
えっ食べていいの?みたいにキョロキョロしてたのでたぶん初めてさんだと思われる。
動きが違う人はわかりやすいですね…恐る恐る食べ始めていらっしゃいました。
歌舞伎の劇場怖くないからぜひまた来てね。
あと、わたしの前に座っていた人たちの会話が聞こえてきたんですけど
「今日は1日ですか?」「はい」とおっしゃっていて、すごいな昼夜チケット取れたんだ…!
1日中座りっぱなしで少しお疲れのようでしたけど、でも楽しそうに見えました。

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客席に入ったらこんな引き幕がー!
映画『風の谷のナウシカ』のオープニングのタペストリーが引き幕になってる!
(今回のための特注だそうです)

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めっちゃ写真撮りまくりました。王蟲かわいいよ王蟲。

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巨神兵と火の七日間。

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青き衣をまとう鳥の人。

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鳥屋。
主演の菊之助さんが宙乗りをするという情報は事前に得ていましたし、
ゲネプロ映像でメーヴェで飛ぶ姫ねえさまが映っていたので
夜の部も飛んでくれるのかな~とワクワク。

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(原作マンガのネタバレもしているので原作未読の方もご注意ください)

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2019_08
22
(Thu)23:56

やっぱり空飛ぶ東海道中。

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歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました!
今年もチケットは激戦で、発売と同時に完売してしまい戻りチケットをひたすら待つ日々。
仕事の合間にチェックしてもなかなかタイミングが合わなくて戻ってきても秒で埋まってしまって
「んぐおおおあああぁぁぁ」と頭を抱える毎日でしたよ…今回もほんとよくゲットできたよ…。
「戻ってる!取らなきゃ!」って確保して申込み完了ボタン押してメール来るまでめっちゃ緊張しました…
みんなすごいなぁどうやってチェックしてるんだろう…裏ワザがあるなら教えてくらはい。

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演目はこちら!
3年前2年前去年に引き続き「東海道中膝栗毛」の4作目を鑑賞します。
祝4年目☆
去年で終わりと思われていたやじきたが今年もやると聞いたときはすごくうれしかったし
どうせまたバカ騒ぎをやってくれるんだろうなとワクワクしながら行きました。

気になったのは副題がないこと。
1作目からずっとラスベガスとか謎解きとか再び伊勢参りとか副題があったのに今回はシンプルにタイトルのみ。
あらすじも一切公開されていなかったのも気になりました。何をするつもりなのかな。ワクワク。

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開場まで木挽町広場をウロウロ。
6月に見かけた撮影スポットを探したのですが見つからなくて、あれ?と思っていたら
別の場所でお店になっているのを発見。
実際に使われていると雰囲気が出ていて、楽しい。

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第一部の「闇梅百物語」にちなんで妖怪グッズを販売するイベント「大怪展DE歌舞伎座」が開催中でした。
根付やがま口、ぬいぐるみなど小物が中心で大きさも様々。
可動盆栽は歌舞伎座のお舞台を意識した松の仕様になっていてかわいかった。

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今日はここから観劇。
花道は遠いけどお舞台が近くて通路も近い。楽しみ。

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鳥屋も毎回撮影してしまう。
1作目はラスト、2作目は冒頭、3作目はラストで天使とともに飛んで行ったやじきたが
今回はどんな風に飛んでいくのかも楽しみでした。
こんなに宙乗りが楽しみな演目もなかなかないです。

以下、ネタバレを含む長文感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2019_06
09
(Sun)23:48

家の戸を開けるまでが旅だ。

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歌舞伎座で六月大歌舞伎夜の部「三谷かぶき 月光露針路日本~風雲児たち」を観てきました。
三谷幸喜氏の脚本による新作歌舞伎です。
もうポスターからぶっとんでて本当おもしろい、これは歌舞伎座のポスターか!?(笑)

「幕末を描くなら関ヶ原から描かねばダメだ」ということで40年前に描き始められ現在も続いている
(現在やっと幕末編を連載中)みなもと太郎氏による『風雲児たち』ですが(ゆさは未読)、
歌舞伎化されたのは江戸時代中期の大黒屋光太夫のエピソードです。
1782年に伊勢から江戸へ船で向かう途中、駿河湾で嵐に遭いアリューシャン列島まで流されてしまい
サンクトペテルブルクまでエカテリーナ2世に会いに行き帰国を願い出て帰って来たという
実話をもとにしたものですね。
マンガでは前半に描かれたエピソードのようですが、
最初だけ読んだことがあるらしいうちの母に聞いてみたら読んだのほんとに最初だけっぽくて
「そして戦は終わった。ってとこしか知らない」という、まったく参考にならない話を胸に
さて白鷗さん・幸四郎さん・猿之助さん・愛之助さんらをメインに三谷さんがどんな歌舞伎を書いたのかと
楽しみにしながら当日行きました。

三谷さん×風雲児たちといえば去年のNHK正月時代劇で前野良沢と杉田玄白のエピソードをやっていたよね。
あれにもらぶさん出てましたね。

kobikicho1.jpg
開演前に木挽町広場に行ったら撮影スポットができていました。
藤浪小道具さんが毎月、歌舞伎に登場するセットを作ってくれて
無料で見学できて撮影もできるそうです。

kobikicho2.jpg
セットは毎月変わるそうで、今月は帳場。
両替屋などが出てくるとこういうセットが置かれますよね。

kobikicho3.jpg
内側に入ってみました。
帳簿には「羽織並」「長火鉢釜」「桟留縞袷」などの品目や金額が書かれています。細かいね。

2019kabukiza6.jpg
今回はここから観劇。通しで見るのも1階席で見るのも久し振りです。

以下↓遠慮なしネタバレ感想になりますのでこれからご観劇予定の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞ☆

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2019_05
11
(Sat)23:56

源氏と音羽屋の御曹子。

2019kabukiza1.jpg
歌舞伎座で團菊祭五月大歌舞伎夜の部「絵本牛若丸」を観てきました☆
尾上菊之助さんの長男・和史くんが6代目丑之助を襲名し初舞台を踏むということで
楽しみに行ってきました。
丑之助だから牛若丸を演じられるのだろうか…お父様やおじい様も同じように初舞台を踏んだそうです。

2019kabukiza2.jpg
ポスター!かわいらしくも凛々しいお顔の牛若丸^^
手には鬼一法眼から与えられた秘術の巻物を持っています。

2019kabukiza3.jpg
幕見席から観劇。
今回は祝幕を見たかったという理由もあります。宮崎駿氏が描いているんです☆
今年の12月に新橋演舞場で風の谷のナウシカ(原作版)が歌舞伎化されるので、そのご縁でしょうね。
(今のところ菊之助さんがナウシカ、七之助さんがクシャナという配役のみ発表されていますが
マッティやみっくんさんも出るらしいですが誰役なんだろ、楽しみ)

2019kabukiza4.jpg
宮崎氏の描かれた牛若丸と弁慶。
かわいい~~~弁慶をおちょくってるみたいな牛若丸がめっちゃかわいい(*´︶`*)。
もともと絵本牛若丸には弁慶は登場しないそうなのですが、菊之助さんがこの絵を見て
弁慶の出番を作って演じることになさったそうです。すごいなー!
(初日には鈴木さんがいらっしゃって観劇されたそうです。宮崎さんは千穐楽までにいらっしゃるのかしら)

歌舞伎の御曹子の初舞台をナマで見るのは中村屋以来で
テレビで見たことのある初舞台は尾上左近くんや市川右近くん、坂東亀三郎くんで
みんな本当にしっかりしていてかっこよかったですが(特に左近くんの舞踊は未だに覚えてる…)
お子様の初舞台はいつ見てもドキドキします。。
そして来年には堀越勧玄くんの市川新之助襲名が控えている。。こわい。。見たい。。。
お父さんも團十郎になりますね。おめでとうございます^^
あと寺島眞秀くんもそのうちお名前を襲名するのでしょうか、楽しみ。


祝幕が開いて、舞台に現れたのは中央に浅黄幕、両脇に霞幕。
チョンチョンと前奏が始まりやがて霞幕が外されてお囃子の人々がズラリと登場。
全員、裃をつけて音羽屋の家紋である重ね扇に抱き柏をつけていました。
すると、浅黄幕の前にズラズラっと武装した6人の男たちがご登場。
彦三郎さんやマッティさんたち菊五郎劇団の皆様だったのですが
「鞍馬山の牛若丸が本当に強いのか試してやる」などと物騒なことを言って去っていきます。
向かう先は、鞍馬山。

浅黄幕が切って落とされると背景には鞍馬山の三門と満開の桜!春の設定なのですね。
奈落から菊五郎さん・吉右衛門さんとともに丑之助くんがご登場すると
客席から「音羽屋!」の大向こうとともにワ~~ッと拍手!!
丑之助くん、そんな客席の様子にもまったく身じろぎせずにどっしり腰かけていまして
5歳であの大物感はすごい…牛若丸は拍手ごときで動じないのだね(^◇^)☆
菊五郎さんの吉岡鬼次郎と吉右衛門さんの鬼一法眼によって、
今日は修行を終えた牛若丸が鞍馬山を出て奥州へ旅立つ日であると語られます。
「おともに弁慶をつけます。弁慶、出ておいで~」と鬼次郎さんが呼びかけると
花道から菊之助さんの弁慶がのっしのっしとご登場!
弁慶というと勧進帳の山伏のいでたちが有名ですが、
今回の演目の弁慶は下ろし髪に黒袴をつけた、武家のおともっぽいファッションでした。
「弁慶まかりこしました」と朗々と述べる声が低く低くぶっとい声でびっくりした!
菊之助さんあんな声出るんだ…一瞬海老さんかと思っちゃったよ。
と、ここで親子孫3代の4人が揃いましたので
「じゃあ皆様にもご挨拶を」と、皆さん急にお芝居モードを解かれて
舞台の前方に出てきて深々とお辞儀!
「ああ口上なんだな」とわかっている客席はクスクス笑いが漏れつつも拍手が起こりました^^

最初に菊五郎さんが「音羽屋にとって大切な丑之助を襲名し初舞台を踏みます。
将来は立派な役者になると思います。皆様ご指導・ご鞭撻のほどを」と、
続いて吉右衛門さんが「わたしにとっても孫にあたる丑之助が初舞台です。よろしくご愛顧・ご鞭撻のほどを」と、
菊之助さんが「ゆくゆくは両祖父のような役者になってほしい。何卒よろしくお願いします」と挨拶されて
最後に丑之助くんが菊之助さんに促されながら
大きな声で「どうぞよろしくお願いいたします!」と締めくくりました。おめでとうございます~☆
(菊之助さんがずっと「ご挨拶を」って合図してて大変そうだった…がんばれお父さん)

お芝居に戻ると、「常盤さまの御使いで参りました」と2人の女性が花道から歩いてきます。
時蔵さんと雀右衛門さんですよまた豪華なお使いですね^^;
常盤御前も牛若丸が旅に出るのを心配して、様子を見てくるようにと遣わされたとのこと。
そこへさっきの男たちがわらわらっとやって来て、牛若丸に戦いを挑んでくるのですが
最初は弁慶が牛若丸を守って戦っていたのを、牛若丸が制して
「ちょこざいな。牛若丸の手並みを見よ!」と勇ましく立ち向かってゆきました。
がんばれ、がんばれ牛若丸(5歳)!!
お兄さんたちが1人ずつかかってくるのを最初は素手で難なくいなして「強い牛若丸」という感じなのですが
黒子さんという、歌舞伎お約束の見えざる力を借りて(笑)軽々とジャンプして
お兄さんたちの背中にピョ~~ンと乗ったり、
お兄さんたちに担がれながら両肩に乗ってポーズ決めてみせたり、
黒子さんとお兄さんたち3人がかりで桜の木のところまで連れて行ってもらい枝を1本ポキッと折って
その枝を優雅に振り回しながら華麗に戦ってみせたりします。
両足をバッ!と開いてバ~~ッタリと見得をする姿は力強く決まって大喝采!
あの小さな体でも見得はぐわっと大きく見えるから不思議~。
お兄さんたちもきっちりアクションを合わせてくれるので全然問題なくて
こんなに微笑ましい殺陣シーンがこの世に存在するのかと(笑)めっちゃ笑いました。
そんなわけでボロボロにされた(笑)お兄さんたちですが、
急に態度が改まり跪いて牛若丸に頭を下げると
「実は自分たちは平氏ではなく源氏です。機会をうかがっていたのです」と正体を明かしました!
よかったね味方が増えたよ٩( ᐛ )و

やれめでたしと思いきや、そこへ2人の山法師が頭巾に薙刀という勇ましい姿でご登場。
海老さんと松緑さんだったのですが、何やらケンカしながらここまでやってきたご様子。
どうやら自分たちのどっちが牛若丸の旅のお供をするかでモメているらしくて
お師匠の阿闍梨蓮忍(左團次さん)も困り果てながらやってきました。
2人とも声がデカいから口喧嘩もド派手、「おれだ」「いやおれだ」と両方とも譲らず。おじさんたちかわいい☆
さらに今度は金売り吉次と渋谷金王丸までやって来て「おれたちもお供します!」とか言い出して
牛若丸めっちゃモテ期じゃん!(笑)
見かねた鬼次郎さんが「阿闍梨さまどうしましょう」と声をかけると
「もうみんな一緒に行ったらいいんじゃない?」という鶴の一声で
全員でおともすることになりました!!すごい賑やかな道中になりそうですね(^◇^)。

で、牛若丸は鬼一法眼さんに秘術について書かれた巻物をもらって
「魔王堂で7日間修行してから奥州へ向かいなさい」と言われて旅立つことになりました。
さあ引っ込みです☆
弁慶に連れられて舞台を去り、花道の七三に立ち止まった牛若丸が
激しい附け打ちの伴奏で飛び六方の構えをしたので「えっ六方で引っ込む?えっ???」と思っていたら
花道の途中で「くたびれた…」と立ち止まってしまいました。。
えええええ~~~っ!!最後までしないんだ…さっきめちゃくちゃかっこよかったのに(爆笑)。
しかも「弁慶、おれの馬になれ」とか言い出すものだから弁慶が戸惑っちゃって
「牛若さまそれは…」と勘弁してほしそうに言われても
「おれはいずれ平家の一門を滅ぼす男じゃ(だから大事にしろ)」とか何とか都合のいいことを言って
弁慶に肩車してもらいました!!!
もうこのやりとりの間中ずっと客席は爆笑、わたしも爆笑でした。お腹いたい;;たすけて;;;
音羽屋!の大向こうと万雷の拍手に送られて2人は引っ込んで行きました。すごいな。

丑之助くん、髪を頭の後ろに結った姿がめっちゃ似合ってたし
話し始めるとかわいいのに立ち回りで見得すると綺麗でかっこよくて
最初から最後までずーーーーっとニコニコさせられっぱなしでした。
菊之助さんの弁慶も、台本に弁慶の出番がないなんて信じられないくらいしっくりとハマっていて
これきりではもったいないから「弁慶がいるVer.」としてたびたび上演したらいいと思います。
丑之助くんを見る目が完全にパパ目線で、口上でハラハラしているのが遠目にもわかったし
最後の引っ込みがどう見ても親子で本当に微笑ましい(笑)いや、大変だなあ。。
両おじい様たちもお孫さんを暖かいまなざしで見守っておられたし
他の出演者さんたちも丑之助くんを見る目がやさしくて、なんて幸せなお舞台かと泣きそうになりました(*´ω`*)。
千穐楽まで無事に走り抜けられますように。


そしてナウシカ歌舞伎が今から楽しみすぎてこわい。
菊之助さんのナウシカなんて美しすぎて卒倒するし七之助さんのクシャナ殿下なんてもっと卒倒する。
ユパ様とかセルム様とかどなたがやるのかな、テトは出てくるのかな。
あとみんな言ってるけど王蟲は!市川中車さんがいいです!!よろしく!!!!!(笑)
2018_10
19
(Fri)23:56

以上、ゲゲゲの先生へ。でした。

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東京芸術劇場で佐々木蔵之介さん主演の舞台「ゲゲゲの先生へ」を観てきました☆
蔵さんと付き合いの長い前川さんが脚本を担当されると聞いて楽しみに行きましたらば
水木しげる氏の短編をオマージュしつつ、人間も妖怪も神様もSFも現代批判も詰め込んで
次々に現れては消える現象(あえてそう言います)が目くらましのようでした。あっという間の休憩なし2時間だった。
仕事帰りだったので寝ちゃったらどうしようと思ってたけど杞憂に終わりました。ホッ。
わたし前川さんの本は空ヲ刻ム者に続いて2度目ですけど
今回も相変わらず怒涛のセリフ劇で飽きさせない工夫も随所にあって
演劇としてのレベルがかなり高かったように思います。
かぶりつき席でもないのに夢中で観てしまったのはセリフが引っ張ってくれたのかも。

gegeteacher2.jpg
夜の芸劇。初めてだよ。わくわく。

gegeteacher3.jpg
天井高くて吹き抜けも広いよ。わくわく。

gegeteacher4.jpg
公演は2階のプレイハウスにて。
劇場内はほどよい広さで役者さんとの距離も近くて、かといって圧迫感もなくて
ライブ感がビリビリ伝わってきました。
サザンシアターともパルコとも歌舞伎座とも違う、上演中はその世界観をぎゅっと濃縮するような空間で
思いっきり浸れてよかったです。いい劇場だ。


以下、ネタバレを含む感想です。これから観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞ~。↓

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2018_10
06
(Sat)23:54

鬼神に横道なきものをその2。

2018kabukiza_20.jpg
歌舞伎座で「芸術祭十月大歌舞伎」から「大江山酒呑童子」を観てきました!
去年に京都の顔見世でやっていて、それは行けなかったのですが
今年は東京でやってくれるということで狂喜乱舞して行きましたよ~。
鬼が出てくる歌舞伎は何度か見た経験がありますが
酒呑童子がピンポイントで出る歌舞伎って1度も見たことないので!楽しみでした。(鬼推し民)

2018kabukiza_21.jpg
今日はここから。
がんばって早起きしたので無事に幕見席最前列に座れましたよ。

幕が上がる前にイヤホンガイドを聴いたのですが、
この演目は17代目中村勘三郎さんに演じてもらうために萩原雪夫氏が当て書きしたものだそうです。
萩原氏によると17代目に「南座の顔見世で後シテの出る松羽目ものの踊りを考えてくれ」と言われて
パッと思いついた能「大江山」をもとに作ることにしたとか。
この話を17代目のところへ持っていったとき、17代目はちょうど「茨木」の真柴の化粧をしていて
つい刷毛を間違えて顔をまっ白に塗ってしまった…などと微笑ましいエピソードもあるそうです。
ともあれ、そうして完成した大江山酒呑童子は17代目によって見事な工夫がほどこされ
上演後は中村屋のお家芸にもなったそうです。
京都公演に引き続き今回も酒呑童子を演じる中村勘九郎さんは
「いつかこれを歌舞伎座でやりたい」とずっとおっしゃっていたそうで、
18代目勘三郎さんの七回忌追善として今回のラインナップに加わったのでしょうか。
お蔭で関東民のわたしも拝見できました。ありがとうございました。(深々)

お囃子に続いて幕が上がりまして、現れた舞台奥の壁には巨大な松の木の絵がかかり、
雛壇にズラリと長唄囃子連中が並び、
全員が中村屋の家紋をつけた黄色の裃を身につけていて早くも泣ける。。
舞台上には小さな萩小屋がぽつんとあって、「これは童子の住まう黒屋敷です」とイヤホンガイドさん。
想像してくださいということですね。能が元になっているお芝居ですからね。
花道には山伏の格好をした平井保昌が歩いてきて、さらに頼光も歩いてきて
垂らした髪に紫色の着物と、勧進帳の義経のようないでたちです。
「我は一条朝に仕える源朝臣頼光」と、能のお芝居がそうであるように歌舞伎でも名乗りを上げまして
なぜここへ来たのかの理由を語ります。
大江山に住む酒呑童子という鬼の一団が都で暴れまわって女性をさらっていくので
朝廷からの命令を受けて退治しに来ました、
持ってきたこの神便鬼毒酒は鬼が飲めば力を失い、自分たちが飲めば千人力とのこと。
続いて頼光四天王がご登場~!渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武のおなじみの4人。
金時がはーくんでびっくりしたよ!はーくんの赤っ面見たことないから…初めてかな。
あと、山伏風にアレンジしてあるけどみんな能装束を着ています。これも勧進帳みたいですね。

頼光一行が酒呑童子の屋敷にたどり着きますが(花道から舞台に入るとそこはもう大江山という設定)
屋敷はもぬけの殻で童子はおるす。
仕方がないので屋敷の前にみんなで座って待つことにします。
まだかなまだかな…と待っていると、スッポンがするりと開いて(幕見席からなのでよく見える!)
しゅるりと酒呑童子がご登場したのですが、
美 少 年 。 (落ち着け)
童髪に白い顔に紅を濃くひいて、やばいよ美少年の拵えですよ、
着物をぴっちり着ているせいかすごく着痩せして小さく見えました。お兄さんが小さく見えるなんて!
かわいらしい笑顔で片手を額に当てて客席をぐるりと見回すので(夜空の月を眺めている設定)
一瞬、目が合ったとか思っちゃったけどたぶん思い込みです。遠いし。
屋敷の前にいる頼光一行に気づいて君たち誰?と尋ねまして
頼光は山伏の一行ですが道に迷ったので休ませてほしい、お酒もあるし、と答えると
お酒あるの~!??とめっちゃ喜びながら舞台へ足取りも軽くinしていきます。現金だな。。
神便鬼毒酒とも知らずに四天王にすすめられるがままにごくごく飲んじゃう童子、あーあ。
(ここの所作は蓋を杯に、扇をとっくりに見立てています)
すっかりヘベレケでいい気分になった童子に
頼光が「あなたはなぜここに住んでいるのか」と尋ねます。
童子は「空を飛ぶ力が欲しくて比叡の山へ修行に入り、雲の上から都を見下ろした。
遥か鳥取から富士山まで、そして大江山にたどり着いて住んでいる。
おれは酒が好きだから酒呑童子だあ」とかベラベラしゃべってしまって
プライバシーも何もありはしない^^;
お酒をふるまったのだから舞を所望するという頼光のお願いもきいてくれて
表が昼の松、裏が夜の三日月という洒落た柄の扇を手にひとさし舞ってくれますが
ここからがお兄さんの真骨頂。
盃持ったまま千鳥足でふらつきながらも長唄の三味線に合わせて軽快に、リズミカルに、
しかも踊りとしてはおもしろいってすごい…!
足をタタンタンて鳴らすときなんか勘三郎さんの高坏を思い出したよ。
途中で片身を脱いで童子格子の紫を見せたり(後見は中村小三郎さん)
見た目も飽きさせない工夫が感じられます。
童子の後は頼光が、ここへ来た理由を語りがてらひとさし舞いまして
役行者が鬼を改心させた話を語ってくれたりするけど、
童子は四天王にお酒つがせてて全然聞いてないの笑った(笑)。

やがて童子は酔っぱらって萩小屋に入っていってしまい、頼光一行が残されると
そこへ間狂言風の濯ぎ女たちが3人ご登場。
みんな酒呑童子にさらわれてきた人たちです。
姫君として乳母や使用人にかしずかれる人生を送ってきたわたしが濯ぎ女だなんて、とか
仕事を持っていた女性たちも都に帰りたいと訴えます。
(どうでもいいけど2人は江戸時代の風俗だけどひとりだけ平安時代の拵えだった)
女性たちの話を聞いた一行、鬼よますますけしからん、退治してくれるということで
全員、お着替えのために花道を去っていきました。

ここで雛壇の長唄囃子から座ったままで大薩摩の演奏が!2人三味線の唐草は珍しいそうです。

しばらくして花道に戻ってきた頼光一行、
お着替えして袖をたくしあげ刀を持っています。
童子が寝てしまった小屋にじり、じりと近づきます。起きろー!童子起きろー!!
そこへ小屋の簾がスルスル開いていって、中には赤い盃で顔を隠した人物が身を起こしていて
盃をゆっくり下ろすと赤鬼に変化した酒呑童子でした!
うおおお起きてた!黒髪ざんばら!角2本ある!!つよい!!うおおおおおおおお+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
童姿は小さくて本当に少年みたいに見えたのに本性を現したら大きくなったというか
いつものお兄さんの大きさ(なんだそれは)でした!
狩野元信の絵巻でも酒呑童子は童姿だと人間サイズで鬼の本性出すと巨人化するので
それを3次元でやってくれたお兄さんに大感謝…役者さんってすごい…変幻自在ッ…!
戦う前に名乗る習慣のある平安時代ですので、頼光さんたちは各自名前を名乗ってから
酒呑童子に斬りかかってきます。
おいおいおいおい6人でやるのか、相手は1人ですぞ!
茨木童子ら仲間の鬼たちがいるはずですが屋敷から出てくる気配もないし…
ハッΣ(゚Д゚;)まさかみんなもう倒されちゃったとかいう裏設定あります…?泣きたい。
バタバタ斬りかかってくる頼光たちを眼光でひるませ杖を振りながら圧倒する童子、
最初は戦いながらお酒飲んでたりして余裕があったけど
それ神便鬼毒酒なので結局、力がどんどん抜けてしまってジリジリ追い詰められていって
花道で一度膝をつきましたがそのまま足でダアン!と鳴らしながら頼光を舞台に押し戻したりして
精一杯抵抗したんですけど、
最後に頼光の刀(鬼切かな?)を額に受けてその場にバッタリと仏倒れてしまった。
しかも最後に四天王全員でグサーとかやるんですよ…えええもうしんでるじゃん…なぜそこまでするの…。
で、これが能ならここで演目が終わって頼光たちが去って行くでしょうけど、これは歌舞伎なので
なんと倒された童子が起きあがって扇を広げて
上手にいる頼光に「大」、下手にいる保昌に「入」の文字を大きく書いて
後見が出した3段に昇り目をカッと見開き、盃のお酒を一気飲みして幕切れでした!
なんというサービスショット、ありがとうございました!

見終えて席から立ち上がったら体中が凝り固まっていたのがわかりました…
松羽目ものは見てるこっちも肩に力が入りますなァ!
あとたぶん怒りのあまり拳握りしめて見てたせいかもしれない、頼光おまえら!!
6人でよってたかって1人の鬼をフルボッコにしやがってそれが武士のやることかああ(やることです)
後味はよくないけど美少年の酒呑童子とか舞う酒呑童子とか戦う酒呑童子とか大入り書く酒呑童子とか
いっぱい見られたので満足した…とても満足した……(*´Д`*)。
お兄さんを美少年と思ったのは初めてでしたが本当に美少年でした。ありがとうございました。
あとやっぱり題材的に京都で見たかったなあ、機会があれば京都で観劇したいです。

2018kabukiza_22.jpg
木挽町広場の菓匠花見にて。あけびと秋の路。
紅葉のグラデーションがすばらしいしあけびの作り方が最高にお見事だと思います!
味ももちろんおいしかったよ~ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”


…で。
最近本当にシンカリオンシンカリオンうるさくて申し訳ないので
今朝の39話感想は下に仕舞っています。↓相変わらずテンションおかしいですがご覧になりたい方はどうぞ。

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2018_08
29
(Wed)23:52

GO!!!

narutokabuki1.jpg
新橋演舞場で「新作歌舞伎 NARUTO -ナルト-」を観てきました!
演舞場久し振りだなあと思ったらワンピース歌舞伎以来でしたよ。そんなに行ってなかったか。
チケットですが、正直やじきたよりも争奪戦だった…待てども待てども全然戻って来なくて
千穐楽間近のギリギリでやっと取れました。よかった。もう無理かと思った。ホッ。

narutokabuki2.jpg
原作者岸本斉史氏による描きおろし看板。
このポージングのフィギュアも制作中だそうですよ~。

narutokabuki3.jpg
グッズコーナーに原型が展示されていました。G.E.M.「うずまきナルト/うちはサスケ 歌舞伎EDITION」。
ワンピース歌舞伎もフィギュアがあってルフィのみでしたが、今回は2人とも立体化されるんだね^^

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この角度からだと2人ともこっち見てくれる!

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今回は2階席から鑑賞。
スッポンも奈落もよく見えて舞台全体が見渡せました。意外といいぞ2階席!

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イヤホンガイドは天野ひろゆき氏による解説と
ナルトアニメのオリジナル声優さんたちによるメッセージ&特別授業仕様だったよ!
天野氏はナルトの設定や世界観を絶妙なタイミングで説明してくれまして、
わたし原作は中忍試験までしか読んでないので大変助かりました。ありがとうございます。
あと歌舞伎初心者向けでしょうか、ツケやお囃子についても解説があったのが新鮮でした。
(普段歌舞伎座でガイド借りるとそういうの当たり前すぎてわざわざ説明されないから…^^;)
開演5分前にナルト役竹内順子さんとサスケ役杉山紀彰さんのメッセージが流れまして
竹内さんが「ナルトと歌舞伎、相性よさそうですもんね」とおっしゃっててほんとそれな!って思ったし
ナルトの声で「巳之助最後までがんばれ!いざとなったら俺が駆けつけるからよ」って力強く声援を送っていて
「隅から隅まで楽しんでってくれ」とかおっしゃってくれたのもテンションあがった☆
杉山さんが「中村隼人…うちは一族の雰囲気あるじゃないか」とかサスケ声で偉そうにおっしゃった後に
急に「すいませんサスケくん偉そうですね」ってふにゃっとした地声でおっしゃるから萌えてしまった。謙虚な方だ^^
「僕も行きます!最後まで楽しみましょう」とご丁寧に言ってくださって和みました。
竹内さんはカカシ先生役の井上さんと一緒にご覧になったってツイートされていたし
あとボルト役の三瓶さんも見に行ったってツイートされてたなあ。

あと幕間にイルカ先生役関俊彦氏による一日体験授業が聴けまして、
最初の幕間(1時間目)はナルトの設定と世界観、2回目の幕間(2時間目)は忍術について
やさしく丁寧に解説してくれました。
関さんの声で忍術の説明されると土井先生の授業受けてるみたいに聞こえる(笑)。
ナルトたちの使う術を例に出すたびに「ナルト無茶してないかなあ」「サスケ大丈夫かなあ」って心配してて
もーイルカ先生なんて素敵なんだって改めて思いました。
忍術の印の説明してたとき「まあ俺たちはニンニンやらないけどね」とか言ってて笑ってしまった。
ハットリくんとかで有名なニンニンポーズ、そういえば忍たまもやらないね。

先日、千穐楽を迎えていますのでネタバレしても大丈夫かもしれませんが
来年には南座公演もありますのでやっぱり畳みます↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2018_08
12
(Sun)23:58

東海道中地獄旅。

2018kabukiza_13.jpg
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
今年もチケットは激闘に激闘を重ねたよ…パトラッシュもう疲れたよ…ゲットできたのが奇跡のようだよ…。
(意訳:戻りチケットがほぼ皆無でたとえ戻ったとしてもタイミングが合わないとゲットできず
戻ったのを確認して電話しても「そこ埋まってます…」と申し訳なさそうな声が返ってくるという。
オペレーターさんにいっぱい迷惑をかけてしまった2018年の夏も既に残暑ですね)

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演目はこちら!
おととし去年に引き続き「東海道中膝栗毛」の3作目と、舞踊「雨乞其角」です。
やじきたは染五郎さんが幸四郎さんになったし今年はどうかなァと思っていたら
Twitterであっさりと今年も猿之助&幸四郎でやりますよ~みたいなノリで公式から情報がきて
「やんのかよ!」って声出して突っ込んでしまった。
幸四郎の名前でバカ騒ぎができるとは…!お偉い人たちの心意気に感謝します。

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木挽町広場も夏の風景。

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広場のお店「はなみち」にあった手描きポップが妖怪仕様でかわいい^^
他にもオバケやお菊さんが猫だったり夏祭りの様子が浴衣を着た猫たちで描かれてて和みます☆
お店の人は猫好きなのかな。

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今日はここから観劇。
全体を見渡せるし花道も近いし、役者さんの顔も見られるしよいとこよい席☆

2018kabukiza_18.jpg
鳥屋。
やじきたはおととしはラストに飛んでいき、去年は冒頭で飛んできたので
さあ今年はどっちから来る?どっちからでも驚かないぞ!と気持ちを引き締めておりましたが
幕が上がって降りたらわたしの精神はもはやそんなことはどうでもよくなっておりました。
なぜかというと。

以下↓新作歌舞伎のため盛大なネタばらしになりますのでこれからご観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

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2018_03
19
(Mon)23:58

神田ばやしも気負いよく、来ても見よかし花の江戸。

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歌舞伎座の幕見席で夜の部の「神田祭」を観てきました☆
片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの人間国宝カップルが始終いちゃいちゃする舞踊、と聞いて
いてもたってもいられなくなって気づいたら幕見席のチケット売り場に並んでいた。。
かつておふたりは「孝玉」「仁左玉」と呼ばれるほど息の合ったお芝居を何度もなさったらしいね…
わたしはその全盛期を映像でしか知らないけど
今回そのひとつが見られる機会がやってきたことがとてもうれしかったです。

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今回はここから。
立ち見になってしまったけどたった20分だし、仁左玉のためならいくらでも立てる自信がありました。
(実際、幕があがったらそれどころではなくなった)

神田祭は色んなパターンがあり、大勢の鳶頭たち芸者たち若者たちによって上演される場合もあれば
少ない人数だけで舞う場合もあるそうで、
今回メインで舞うのは仁左衛門さんと玉三郎さんのおふたりのみ。
筋は特になくて、鳶頭(仁左衛門さん)と芸者(玉三郎さん)が祭礼の様子や手古舞のクドキを舞ったり
お江戸らしく若い者たちと喧嘩したりするという舞踊です。
セリフもいっさいなく、清元の謡と三味線が場を盛り上げてくれます。(今回の清元は延寿太夫と美治郎さん)

幕が開いて聞こえてくるのは祭囃子の笛太鼓。ぴーひゃらら。
浅黄幕が切って落とされると鳶頭の仁左衛門さんがいなせな立ち姿で舞台に立っています!
もうここだけで拍手すごいし「松嶋屋!」の大向こうもすごい。
草履を脱ぎすて牡丹の扇をパッと開き、肩に花笠をヒョイと担いで粋にクルクル舞い始めまして
その軽やかでかっこいいこと…!
背筋をぴっと伸ばし若々しく色気もあって、御年七十を超えているなんて信じられない。
ひとさし舞って床机に腰かけ、扇で顔をあおいでいると
花道からカランコロンと下駄の音がして芸者の玉三郎さんが登場~~!!
紋付の裾上げスタイルで、赤ラインに白の扇子を持ち、
見迎える仁左衛門さんも「来たね来たね、待ってたよ~」とニッコニッコして素敵な笑顔^^
下駄を脱いで(お座敷に上がったということです)ここから一緒に舞うのですが
近寄るなり手を繋ぐから「ほわっつ!?」って声出そうになったよね。
玉三郎さんが手踊りでお祭りの様子を踊ったり
鳶頭へのくどきで「もっと呼んでよ」って仁左衛門さんにもたれかかったり
かんざしを抜いて鳶頭の懐に落っことしたりする仕草ひとつひとつの破壊力、
大人のエロスだだ漏れで露もしたたるいいカップル。
鳶頭はかんざしを受け取って返すんだけど、芸者さんはそれを髪に戻しながら
この人何もわかってないわねって感じでむくれて
夫婦になってからの手ぬぐい踊りも惚れた弱みで全部許しちゃうみたいな、
見てるこっちが恥ずかしいくらい仲睦まじいし大人の色気パない。
「親分さんのお世話にて~」のとこで鳶頭が照れくさそうに親分に芸者さんを紹介する仕草をして
「これからは世間構わず人さんの目もはばからず」なんて清元が謡うもんだから
おふたりのあれやこれやを妄想してしまって頭が湧いた(笑)こんなお似合いカップル…!

そこへ神田祭の若い者たちがわらわらっと花道から登場、立ち回りとなります。
鳶頭は若者たちの振り回す錫杖を奪って片肌を脱いで(ここで両腕に鮮やかな牡丹の彫り物!)
次々に若者たちを倒していき、床机に座って若者たちに持ち上げられて扇をかまえ、見得をします☆
芸者さんは逃げるのかと思いきや、若い者たちの攻撃をひらひらとかわし、
手をつかまれても振りほどき、床机に座って見物していたけど
鳶頭の見得と合わせて立ち上がって決めポーズ☆
若者たちも負けずに何度も飛びかかってきますが、ことごとく鳶頭にひっくり返されて
とうとう一人残らず逃げていきました。
静かになったので2人は扇と花笠を下手に放って(ここで後見さんのナイスキャッチ)、
再びひとさし舞います。また2人きりになれたねえ☆

やがて草履と下駄を履いたおふたりによる終盤の引っ込み、
相変わらず仲良く手を繋いで花道の七三にやってきます。
ふと鳶頭が立ち止まって芸者さん着物の埃を払ったり帯を直してあげたりして
どこまでも仲睦まじい様子はキュンキュンするし、
いきなり頬と頬をくっつけ合ってニッコリしたりするから心臓バクバクし始めてやばかったし
いちゃついておきながら照れまくって「ごめんなさいよ」と言わんばかりに客席のあっちこっちへ頭を下げて
最後に鳶頭が両手を広げたところで拍手喝采!になったの最高潮だったし
やっぱり手を繋いで引っ込んでったの尊すぎて感無量で動悸息切れで倒れそうになり
「きゅーしん、救心♪」のメロディがものすごく久し振りに脳内を駆け巡ったよ。
うおおぉご両人ーー!未来永劫幸せになって…!!


なんだこのにざたま祭(笑)。
とろけるような、しかし粋で美しく、濃密な時間でございました。
始終こんな顔(*´︶`*)かこんな顔(º﹃º):.*೨かこんな状態_:(´ཀ`」 ∠):_で観ていたと思う。
おふたりが何かするたび叫びそうになるのを必死にこらえて心の中で「尊い」と叫び、
ただひたすらにため息をつくばかりでした。
手踊りしても手ぬぐい踊りしても、しょっちゅう見つめ合うし手を繋ぐんだけど
イチャついてるのに上品で、色気すごいのにしっとりして、何をやっても絵になる麗しさ。
20分しか見られないのかと思ってたけど20分で充分でしたわ…あれ以上見てたらわたしは窒息する。
そもそもなぜこの季節に神田祭?なんて野暮はもはや言うまい、
神田祭?神田??祭???ただのにざたま祭でしたよ…人間国宝カップルまじ尊かった。

仁左衛門さんと玉三郎さんは41年前と21年前におふたりだけの神田祭を舞っていて
つまり今回は約20年振りにおふたりだけの神田祭!
それを見られたってだけでもう、むちゃくちゃうれしかったし
同時にそれだけの長い年月をおふたりがお稽古と本番に重ねてきたことを思うとたまらない。
しかもおふたりのことだから満足されずにこれからも高みをめざして行かれるに違いない。すごい。

2018kabukiza_12.jpg
木挽町広場も春のよそおい。
来月で五代目歌舞伎座は5周年を迎えますが、わたしの歌舞伎デビューも同じ年なんですよね。
2013年から色々あったけど、歌舞伎界は変わらず走り続けていくだろうし
わたしも応援し続けたいと思います。
とりあえず夏のNARUTO歌舞伎が楽しみだー!


ところで春の和菓子が少しずつ出ておりますのでゲットしてますよ~。
hanaokashi1.jpg
とらやの嵐山。
白い薯蕷饅頭にちょこんとついた花びらが愛らしい、味ももっちりおいしかった☆

hanaokashi2.jpg
菓匠花見の紅梅、桜花、菜の花。お花づくしです!
特に梅のデザインが絵のようでとっても好き。

hanaokashi3.jpg
くらづくり本舗のつくし野、初桜、春小道、水温む。
久々に箱買いしてしまった…!色がどれもきれい、水に浮かぶ桜は美しい。

あと、この日は杉並アニメーションミュージアムにてみんなの歌の世界展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事に書きたいと思います。


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

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2018_01
05
(Fri)23:15

こいつぁ春からその6。

2018kabukiza_1.jpg
お正月に歌舞伎座にて壽初春大歌舞伎を観てきました☆
新年一発目のお舞台は高麗屋さん三代同時襲名披露ですぞ!
幸四郎さんが二代目白鸚を、染五郎さんが十代目幸四郎を、金太郎さんが八代目染五郎を襲名なさる公演で
前回の高麗屋三代襲名から37年振りに再び三代一緒に襲名なさるのだそうな。
37年前って生まれてないや…!何という慶事。誠におめでとうございます☆

2018kabukiza_2.jpg
木挽町広場にあった羽子板。
勧進帳の登場人物があしらわれています。富樫、弁慶、義経。

2018kabukiza_3.jpg
まずは幕見席に並んで昼の部最後の演目、寺子屋を観劇。
白鷗さんの松王丸が見たかったのですが、
もっと言うと去年左腕を骨折した猿之助さんが涎くり与太郎役で復帰なさると聞いて心配で
でもやっぱり見たかったという気持ちもありましたので。

寺子屋は過去にテレビで海老蔵さんの松王丸を見たのでストーリーは知っているのですが
今回は白鷗さんなので重厚な松王丸になりそう…などと想像しながら幕開け。
菅原道真の息子である秀才さんをかくまっている源蔵さんの寺子屋にて
小学生くらいの子どもたちが自習しているシーンから始まるのですが
その中にひとりだけ、明らかに年齢が他の子よりも高そうな男の子がひとりおりまして
「おりゃ、坊主天窓の清書したぞお」などと、墨書きしたへのへのもへじを自慢気に掲げたのが
涎くり与太郎こと猿之助さんでした(^◇^)☆
澤瀉屋~!の大向こうとともに大きな拍手、お帰りなさい~~~うわああああ。゚(゚´ω`゚)゚。
墨のついた手で鼻をこすって真っ黒になったり子どもたちに追い回されたり相変わらずのかわいさ無敵!
お迎えに来たパパ役の東蔵さんに「あの赤い顔したおっちゃん怖い!」(後述する左団次さん)って大泣きして
「歌舞伎座の高麗屋襲名の切符買うてやるから」って言われても「もう昼夜とも買っとるがな~」って泣いて
「三階のめでたい焼き買ってやるから」「やだ~~~」とかもう、もう、だだっ子ぶりめっちゃかわいい(^O^)☆
でも「坊、けがはもう大丈夫かいな?」と問われると
「おめでたい舞台に間に合うように精出して一生懸命リハビリしたんじゃ!」と元気いっぱいに答えていて
ここでも大きな拍手がおきました。
たぶんまだ完治してなさそうな左手はたどたどしくも不自然さを感じさせなくて流石でしたし、
与太郎ってこんなに豊かな役なんだなと思わせてくれました。
無理しないでゆっくり治しながらゆるゆる復帰していってくださいね~。

さて、秀才さんをかくまっている源蔵さんは菅原道真の一番弟子なのですが
色々あって今は山奥で寺子屋をしております。
梅玉さんのいぶし銀の芝居、何とかして秀才くんを守ろうと思案顔。
庄屋さんから「秀才がそこにいるのわかっとんじゃ首はねろオラァ」と物騒な命令を下されていまして
そんなこと言われても「せまじきものは宮使えじゃなあ」と悩んでいます。
でもって考えることがすごい、寺子屋に来ている子どもの中から誰かを身代わりにしようと思案顔…
ちょっとちょっとちょっとーー!子どもたち何の関係もないじゃないのよ~~~!!
これだから封建社会は。。
そこへ妻の戸浪さんが連れてきた小太郎という男の子が秀才くんによく似て品がいいということで
源蔵さんは小太郎くんを身代わりにしようと目をつけます。
「若君にはかえられない、子の母が止めるなら母子もろとも」という夫のたくらみを聞かされた戸浪さんはびっくり、
雀右衛門さんの手堅いお芝居もあっていっそう気の毒になりました。
これだから封建社会は!!

そこへ藤原時平の家来である春藤玄蕃と松王丸が首実検にやってきます。
左団次さんの玄蕃の方が身分が上のはずなのですが、とにかく松王丸の存在感がすごい!
籠から「お待ちなされ」の声が響くや、もうここから拍手喝采、高麗屋!の大向こうが飛び交って
白鷗さんがゆったりと現れたときには最高潮に盛り上がりました。
正直、さっきまで猿之助さんかわいい…とかホワンホワンとしていた空気を
白鷗さんが重厚なオーラで容赦なくふっ飛ばしていった気がします。高麗屋ー!しゅごいよーー!!
病気の設定なのでたまに咳き込んだりしながら「ごまかそうとしても無駄だぞ」とか凄んで
源蔵さんに小太郎くんの首を討たせるのですが、
その音が寺子屋の奥から聞こえた瞬間、眩暈を覚えたのかふらふらして
でも無様な姿は見せられないとすぐに直立不動の姿勢に戻るのはお見事でしたし
首桶を開けてそこに小太郎くんの首があるのを見たときも一瞬、ああっと驚きはするんだけど
「若君の首に相違ない、よくやった」と苦しそうな表情で源蔵さんに言葉をかける松王丸は
オチを考えるとしんどすぎてたまんない。
実は小太郎は松王丸の子で、秀才くんを守るため、ひいては菅原道真に忠義を尽くすために
松王丸とその妻千代さんが寺子屋に入れて身代わりにさせたのでありまして
(しかも小太郎くんは笑顔で討たれたっていうし)、
「倅がお役にたったわい」とか泣きながら喜んでいるかと思いきや
小太郎くんのために野辺送りをしようと舞台上で白装束にお着替えするのもすごいし
お焼香するとき白鷗さんほんとに泣いてらしたのもすごい。
熊谷陣屋のときも思ったけど、こういう、主君のために家族を犠牲にする物語は
当時の封建社会への痛烈な批判精神がないとできないよな…。
千代役の魁春さんも安定していましたし、
さらに秀才の母である園生の前(藤十郎さん)がとてつもない存在感を放っていた。

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お昼ごはんを食べた後は夜の部です!1階席のチケットだよ!!
ロビーには鏡餅を始め色とりどりのお正月飾りがあって華やかでした。

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2階ロビーにあった祝い幕を入れる箱。
実際に使われることはなくても(そもそもこの大きさではあの巨大すぎる幕は入らない)、
箱を作っておくっていう精神がいいよね。

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そんな祝い幕、今回はこちらです!
富士山と三歩の松原ですっきりとした新年らしいデザイン。

2018kabukiza_7.jpg
今回はここから観劇します。
ほぼ舞台のど真ん中で、祝い幕の3つの家紋が目の前!
まさにお年玉のようなお席が戻ってきたもんです…待っててよかった。ほんとに。

幕開けは双蝶々曲輪日記の「角力場」から。
贔屓筋にあたる若旦那の恋愛をかなえるために、
芝翫さんの濡髪長五郎と愛之助さんの放駒長吉が対決するのが見どころのお芝居です。
大阪新町の遊女である吾妻さんには与五郎さんという大店の若旦那の恋人がいるのですが
与五郎さんは大の相撲好きで大関である濡髪のスポンサーもやっています。
しかし平岡郷左衛門という武士が吾妻さんを気に入って身請けしようとしているので2人は困っています。
平岡さんは長吉を贔屓にしていまして、
彼と濡髪を勝負させ長吉を勝たせて与五郎に恥をかかせ、吾妻さんを身請けしようと企んでおりました。

与五郎と長吉という正反対の2役をらぶさんがこなしているのが見どころのひとつです☆
与五郎さんは柳腰で品のある若者で、
濡髪がちょっとつついただけですってんころりんと転んで怪我をしかねないほどひ弱です。
お世辞にも弱くて、ちょっと誉められただけでお財布あげたり羽織あげたりしちゃいます。
濡髪が「若旦那を送ってやれい」とお供をひとりつけると、
そのお供が持っていた濡髪の浴衣を着せてもらって大喜びしてるのがとってもかわいい、
推しの着物を着られるとか何てすばらしい出来事…!!オタクとしてはうらやましい限り(笑)。
一方、長吉は米屋の息子から関取になったという設定なので立ち振る舞いも大ざっぱで
しかし一本筋の通った若者という感じ。
放駒の名前からイメージした将棋の駒をあしらった着物をもらって素直に喜んだり
濡髪に「わざと負けてやったんだ」と言われ激高するシーンは
メイクで特に顔が赤いわけでもないんだけど顔を真っ赤にしてカンカンに怒っているみたいな雰囲気が
全身から伝わってきましたよ~らぶさんすごい!
芝翫さんの濡髪は大柄で鷹揚で、与五郎さんに対してはとても穏やかですが
長吉に対してはやはり関取同士ということもあり貫禄を見せていてかっこよかったです。
2人が睨みあってすわ勝負か?というところで終わってしまうんですな。続きもあるみたいなので見てみたい。


続いては「口上」。
金屏風にお三方の家紋がでーんと描かれた背景がかっこよかったです!
勘九郎さんの「37年前の三代同時襲名のときに生まれました」とか七之助さんの「大好きな高麗屋さん」とか
愛之助さんの「幸四郎さんとは同世代なのでここで言えることも言えないこともいっぱいやった」とか
芝翫さんの「あーちゃん」呼びとか、年代が近しい人たちのトークは萌えます^^
3代同時襲名というおめでたい日でも左團次さんは安定してしゃべるしゃべる、
学校がずっと一緒だった白鸚さんは学級委員長をやったりしてずっと優等生だったけど
自分は高校生のとき踊りや長唄の稽古をやめてキャバレーに通ったりしたとか。隣で吉右衛門さんが笑ってた^^;
そんな吉右衛門さんは「勧進帳で父の白鸚に教わった富樫を演じます」とあっさりさっぱり。
東蔵さんの「新幸四郎さんが小さい時に絵を描いて送ってくれた年賀状を今も持ってる」とか
鴈治郎さんの「幸四郎さんはおもちゃ箱のようで何が飛び出してくるかわからない」など
お人柄やお芝居に関するお話も素敵でした。
最後に白鷗さんが「三人そろっての披露が再び盛大に行えてうれしい」、
幸四郎さんが「天に向かって舞台に立ち続ける所存にございます」、
染五郎さんが「これからもいっそう芸道に精進いたします」と締めくくられて
盛大な拍手と大向こうが餞のように注がれました。よい時間だったー!
(猿之助さんが参加されていなかったのが残念ですが英断だと思う、お大事にしてほしいです)

幕間にお弁当を食べながらイヤホンガイドのインタビューを聞いていたら
幸四郎さんが歌舞伎の登場人物で野球するなら誰をメンバーに入れるかみたいな話してて
「4番は関の戸の関兵衛がいいですね」とか「7番は五右衛門。盗塁してほしい」とかおもしろかったです。
話が長すぎてちょこちょこ早送りされてるのも笑った^^
自由すぎて大変おもしろいので夜の部に行く方は借りた方がいいですよ。

さ~てこの後はいよいよ勧進帳です!
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花道の引幕が五色になっていました☆松羽目ものだからかな。

勧進帳のストーリーはもう説明の必要がないほど有名ですので省きますが、
テレビで團十郎さんや幸四郎(現白鷗)さんの弁慶を何度か見たことがありまして
でも生で見るのは初めてだったのでせっかくなら生音を聴きたくてあえてイヤホンガイドを外して観劇しましたら
それが大正解だったと終幕後に思いました。
花道に弁慶が登場したときは劇場の隅から隅までずいいっと全部もっていってたし
ああ幸四郎さんものすごく気合い入ってるなって感じましたもん!
さっきの口上で梅玉さんが「芸の線が太くなった」とおっしゃっていたけど
その通りとても安定したお芝居でした。

相手役の富樫が吉右衛門さんなので、見どころのひとつは叔父と甥による丁々発止なわけですが
お互いに容赦なく全力でぶつかっていっている感じでした。
とにかくセリフの応酬が激しい!
富樫が勧進帳を読むように命じて弁慶が白紙の巻物にまるで字が書いてあるかのように朗々と読み上げるところ、
巻物を覗きこもうとする富樫に気づいてハッと隠して見得をするところ、
読み終えた巻物をするするっと巻いて不動(明王。修験道と関わりが深い)の見得をするところ、
さらに富樫が山伏について問いかけ弁慶がスラスラと答える禅問答のシーンは
弁慶は僧侶だから大丈夫とわかっていても「間違えたらどうしよう」という一抹の不安を覚えてハラハラした。
ここの弁慶のセリフむちゃくちゃ長いうえに最大限に張り上げていて声だけで空気を震わす勢い、喉がしんぱい。
しかも富樫が、これまた絶妙な間で質問をぶつけるんだけど負けてない。
とにかく自分に注意を引きつけてこの場をやり過ごさねば!みたいな気迫がビンビン伝わってきました。
義経を杖で打擲するのも一瞬ためらって、なるべく短く、しかし大胆にパッと叩いていて
関所を通過して海岸に至ってから大泣きして謝る姿はちょっと、かわいい。
自分はなぜこんな目に遭うのかと嘆く義経を励ますために
あなたはこんなに頑張ってきたと源平合戦について語るシーンも見得をしながら勇壮に語っていて
(勧進帳は附け打ちの少ない演目で、見得が決まるときも鼓と笛が鳴るのですが
ここはラストの六方以外で唯一附けが入るシーンでもあります)、
義経に対する情愛がとても深い。
追いかけてきた富樫がお酒をふるまってくれるときも大きな盃でうわばみのように飲んで
そんな場合じゃないのにひとさし延年の舞をいい気分で舞ってくれて
酔っぱらってるはずなのに足取りもしっかりしているのはさすが弁慶と思わせてくれるところ。
義経と四天王を逃がした後、花道にひとり残って見えなくなった富樫に一礼して
引っ込みで所作板をダン!と、壊れるんじゃないかというド迫力で足音を出したときは劇場が揺れたような迫力だった!
空気も客席も震えましたよあれは…ああわたしこの瞬間のためにチケット代払ったんだって思ったよ…!
豪快な飛び六方による引っ込みも心臓にビリビリくるほどにしびれてかっこよかったーー!!
あの弁慶と同じ空間にいることができたという喜びと感動は計り知れない、
ありがとうございました。ありがとうございました。

これまで見た(といっても数えるほどですが)どの弁慶よりも感情移入した弁慶でした。
というか弁慶ってこんなに深いキャラクターだったんですね…
ドラマや小説によっては義経に振り回される苦労人だったり脳筋にされたりしますけど
この演目の弁慶は非常に多くの面をもった人物だと思う。
そもそも比叡山で学んだならお経暗記してるだろうし、学問をした人だから頭よくて機転もきくし
僧兵で武道の経験もありますから人の闘志や殺気にも敏感で
仲間を押しとどめるパワーと聡明さを持ち、何より義経にとってマイナスになることは絶対にしない。
こんな複雑な人物を、そうとわかるように役者さんは演じてるんですね…!
弁慶がいかに難しい役なのかやっと少しわかった気がしました。

吉右衛門さんの富樫がとにかくすばらしくて、これまで見た中で最も強く厳しい富樫だと思いました。
関所で責任を全うしようとする仕事人であり、疑って悪かったとお布施をさしあげる人格者であり
「強力、とまれ!」と刀に手をかける武士であり、弁慶の心意気に涙するやさしさを持っている。
一行を義経主従だと完全に見抜きながら切腹を覚悟で見逃すときの表情の動きにやられました。かっこいい。
一行が関所を出たあと酒と肴を持ってきてくれるのもやさしい。義理人情に篤い男・富樫!かっこいい。
染五郎さんの義経は…あんな美少年だったらそりゃ一発でバレるわ…^^;
幕開け冒頭にて最初に花道に登場するのが義経で、
七三に止まって天を仰ぐ姿は光り輝いていてまさに貴公子☆
染五郎さんはまだ中学生だというのに歌舞伎座の花道にするりと立つだけで
客席の視線をぜんぶ掻っ攫っていく美少年だったよ!末恐ろしい役者さんです。
ていうかこの演目の義経ってほんと何もしないね(爆)偉い人だからでしょうけど。
四天王(亀井六郎・片岡八郎・駿河次郎・常陸坊海尊)も鴈治郎・愛之助・芝翫・歌六という強すぎるメンバーで
義経が疑われて刀に手をかける富樫に挑みかかろうとするのを弁慶が一人で止めていたけど
あれ4人があと数秒がんばってたら弁慶が力尽きて全員で富樫に斬りかかっていたかもしれない、
それくらい強そうな四天王でした。
彼らが仏像のように後ろに控え坐しているときの安心感ったらないよね!うちにセコムしにきてほしい。


続いての相生獅子もよかったです☆
大名家の座敷を舞台にした女形2人による所作で
初演は初代瀬川菊之丞といいますからたいへん古風で優雅な舞でした。
正直、勧進帳の興奮がまったく冷めていなかったので途中までよくわからなかったんですけど(汗)、
扇雀さんの落ち着いた&孝太郎さんのかわいらしい舞踊にポ~~っとなった☆
鈴のついた小さな獅子頭を持ってひらひらと舞うのも優雅だったし
差し金の蝶がヒラヒラ飛んでいるのを追っていったん引っ込んで再び登場してからの獅子狂いも
牡丹の花の中で舞う獅子を想像しながら見るとおもしろくなってきます。
最後の演目、三人形は雀右衛門さんの傾城、鴈治郎さんの若衆、又五郎さんの奴による舞踊で
お人形に魂が宿って踊りだす、という設定で特にストーリーはありませんが
夜桜が咲き誇る吉原仲之町にて夜更けまで大らかに踊る3人はとても楽しそう。
最後に総踊りとなり附け打ちの見得でフィナーレでした☆
とにかくお客さんに「きれいなものを見た」といい気分で帰ってもらいたいという趣向なのだそうで
確かにとてもいい気分になれましたし、高麗屋さんの襲名を祝う華やかなステージだったと思う^^


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千穐楽まで無事に走り抜けられますように。
帰りがけに歌舞伎稲荷神社に初詣、今年も一年皆様が息災でお芝居できますように。

とにかく勧進帳の衝撃が忘れられなかったので
帰路に着きながら電車の揺れさえ何だか気持ちよくてシートでうつらうつらしてしまって
帰宅してからも何ともいえない心地よい余韻に浸っておりました。こんなお舞台久しぶり。
何度か言ってますけど、染五郎さんはスーッと幸四郎になりそうってずっと思ってたけど
今日の高麗屋さんたちを見ていて皆さん今のお名前に全然違和感がなくてすごかった…
まさに機が熟した襲名だったんだなあと思いました。
コリャイイや、こうらいや。
2017_08
24
(Thu)23:15

舞台(いた)から始まるミステリー、別の話。

前回記事を書いてからブログのカウンターがかつてない数値を叩きだしていて
小野但馬守政次の退場の重さをひしひしと感じとっているゆさです、こんばんは。
みんな鶴ロスなんだね…ナカマ…!!
正直、わたしも今もまだちょっと立ち直れてない感がありまして
次の日曜6時にテレビつけるのが何となく怖かったりします。
確かに物語としてははっきりすっぱり、これ以上はないというくらい綺麗な形で終わったので悔いはないし
回想シーンとかで出てくるかもしれないけどそれは過去の鶴なんだ…
鶴の時間はもう更新されないと思うと涙がとまりません。
あっでも、三浦春馬くんだって新しい回想シーン(?)とか突然あったし
今後の回想シーンの出し方次第では高橋さんが呼ばれる可能性まだあるのでは…?
大河ドラマと朝ドラの撮影スタジオは隣同士だって聞いたことあるよ!やれそうだったらお願いします。
(次の朝ドラでも高橋さんは主人公とお相手を見守るお役だと聞いて今から血涙がとまらないぜ)



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さて先日、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎第二部・歌舞伎座捕物帖のAパターンの結末について書きましたが
このたび無事にBパターンを観劇できたので感想かきます。

以下↓盛大にネタばらししておりますのでこれからご観劇予定の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

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2017_08
12
(Sat)23:33

舞台(いた)から始まるミステリー。

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歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
去年すごく楽しかった東海道中膝栗毛の続編が上演されると聞いたのと
来年、幸四郎を襲名する染さんが今の名前で猿之助さんと共演するのは最後かもしれないということで
何がなんでも見たくてがんばってチケット取ったどー!
木挽町広場も涼しげな景色で夏祭りみたいな雰囲気でした。

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「修禅寺物語」と「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」を鑑賞します。
歌舞伎座捕物帖のサブタイトルの読みは一般公募から選ばれたそうだ。

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今回はここから鑑賞。
お舞台のほぼど真ん中で通路も近いぞ!役者さん通ったらいいのにって思った。(ら、後でほんとに通ってくれた!)

まずは「修禅寺物語」。
伊豆の修禅寺にある「頼家の面」と伝わる面の話を聞いた岡本綺堂が取材のうえ脚本を書いたもので、
頼家が暗殺される前日譚のようなお話です。
面作り師夜叉王の娘として生まれた桂(猿之助さん)は、公家だったお母さんの性格を受け継いで気位が高く
「わたしこんな家で一生暮らすなんて嫌、絶対に出世する」と息巻いております。
妹婿の春彦(巳之助さん)は夜叉王の仕事を誇りに思っているのでそんな義姉と意見が合わなくて、
姉も姉で「ちぇっ」てやって去るシーンとかあっておいおい(^^;)って感じ。
妹の楓(新悟くん)はハラハラしながら見守りますが
夜叉王(彌十郎さん)は桂はああいう性格だからと諦めている様子。(リアルやじゅさん親子だね)

そこへ頼家(勘九郎さん)が花道からおともを連れてご登場。青い狩衣がとっても涼し気です☆
頼家の顔を写した面を作ってほしいと頼んだけどまだできないの?と催促に来たのでした。
夜叉王は「何度も打ったけどうまくできません。いつできるかわかりません。自分の心に叶ったものじゃないと渡したくないです」
などと、芸術に時はないみたいなことを言いまして
怒った頼家が斬りかかろうとしたところを「面はできてますよ!」と桂が止めます。
夜叉王が気に入らなかったその面を、頼家は「おれにそっくりじゃん!」と一目で気に入りますが
夜叉王は「それはダメです。何度打っても死人の面にしかならないんです…」と悲しげ。
頼家は構わず、面と一緒に桂のことも気に入って連れて帰ってしまいます。
花道を歩いていく頼家と桂はたいへん美しかったですが
引っ込みBGMによくある三味線も太鼓も奏でられなくて、非常に静かな引っ込みだったのが印象的でした。

場面は変わって桂川にかかる虎渓橋で、頼家が橋の石にひじをかけながら桂と何げない話をするのですが
この時の勘九郎兄さんの立ち姿がめっちゃ様になっててかっこよかった~☆
出世したかった桂は頼家にお礼を言いまして、
頼家は頼家で妻の若狭を争いで亡くしたばかりだったので
「おまえ今日から若狭局と名乗りな」と言われて桂ちゃん天にも昇るような気持ちになっちゃいます。よかったねえ。
そこへ北条の使いの金窪兵衛行親が頼家と桂を追ってやってきまして
取り合わずに2人は逃げますが、行親は頼家を暗殺するために追っていきました。
たまたま茂みに隠れて一部始終を見ていた春彦は「すわ一大事」と走り出そうとして、
頼家が心配で戻ってきた下田五郎景安(萬太郎さん)に気づきかくかくしかじか…としゃべっていると
行親の部下がどどっとやってきます。
「春彦、ここはおれが引き受けるから、おまえは将軍に注進しに行きなさい!」と
みっくんを逃がして戦う萬ちゃんの立回りがものすごくかっこよかったよー!
戦いながら直垂の袖をきゅっと締めて腕まくりして、たった1人で5~6人をバタバタとやっつけてしまいました。
附け打ちのないリアル殺陣も初めて見たかも…新歌舞伎って色々と挑戦したジャンルだったんですね。

将軍御所に夜討ちがかかったと聞いて、桂を心配する楓ちゃんのところへ
春彦が走って帰ってきて、義父と妻に報告するのですが
「姉はさておき、上様の安否もわかりませぬ」とか言っちゃって、おい弟ちょっと素直すぎないか(苦笑)。
そこへ花道から桂さんがふらふらと歩いてくるのですが(将軍御所から逃げてきたんですね)、
振り乱した髪に頼家の面をつけて、血まみれの着物の上に直垂をつけて長刀を持っておいたわしい…!
七三でぴたりと止まって周囲を見回した猿之助さんはとても雄々しく見えたし
でも家の戸口に辿りついてバッタリ倒れてしまったのが哀れでした。
妹夫婦に抱えられながら「一時でも将軍に仕えられて、局の名前ももらって本望。もうしんでもいい」って、
えええちょっとーーーせっかく出世できたんだから生きようよ…生きてよ…(´;ω;`)
楓ちゃんが「パパ~お姉ちゃんしんじゃう」って泣いてるのに、当のパパはなんと
「断末魔の顔を今後の面作りの手本にしたいから、おまえちょっとそのままじっとして」とか言い出して
客席からえええ…!?って声が上がってざわ…ざわ…って戸惑いの雰囲気が。
やっべえ何か地獄変の良秀みたいなこと言い出しちゃったよこのパパ…!
妹夫婦がポカンと見守る中、きっと顔を上げる桂とそれをスケッチする夜叉王という
何ともシュールな場面の幕切れでありました。
同じ岡本綺堂作の番町皿屋敷を見たときも思ったけど
やっぱり綺堂の歌舞伎はよくわからないです…まだまだ修行が足らないね( ˘ω˘ )。


幕間に鳥屋を間近で見たくて、休憩に入ると同時にエスカレーターで3階へかっ飛んでいったら
下手側の通路(思い出の役者さんパネルがあるとこ)が壁パーテーションで封鎖されていて
ちょっとした騒ぎになっていました。
何か大道具でも運び込むのかなあと思って気にしなかったんですが、
これ実はやじきたにおける最初のサプライズのための仕込みだったと開演後にわかって
スタッフさんが説明しなかったのもうなずけます。あれは何も言えないわ…。
(わたし3階席で鑑賞したことないので知らなかったんですが、
あそこの扉が使えない場合は下手席の人は中央扉へ回らないとお席に戻れないんですね…
3階席は狭いから客席を通る移動は大変だろう)

2017kabukiza10.jpg
その鳥屋。
去年に引き続きクライマックスでやじきたが飛んでいくんだろうなぁとワクワクしていたわたしの想像は
幕が上がったと同時にあっさり瞬殺されたのでした。
なぜかというと。

以下↓新作語りのため盛大にネタばらししておりますのでこれからご観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

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2017_02
07
(Tue)23:09

小さな中村屋たち。

2017kabukiza1_2017020720070073d.jpg
前回記事で少し触れましたが、
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部の門出二人桃太郎を見てきました☆
同演目にて中村屋の七緒八くんが三代目勘太郎を、哲之くんが二代目長三郎を名乗り初舞台を踏まれます。
わたし七緒ちゃんを見るのは今の歌舞伎座杮落し公演のお祭り以来ですが
哲ちゃんはナマで見るのは初めてで、
歌舞伎界のお祝い事に立ち会うのは猿之助さんや芝翫さんの襲名公演を見ていますし
大人が中心でしたからドキドキよりワクワクの方が大きかったけど、
お子様の初舞台を見るのは初めてでいつになくド緊張していつもと違う汗かいてました。
こんなにドキドキする開演前ないんですけど!劇場内も心なしかソワソワしていたような。

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木挽町広場には桃太郎と鬼の手ぬぐいの展示。
チューリップってこの時期でも咲くんだ!

2017kabukiza3.jpg
吊るし雛や七段飾りの雛人形も展示されていました。
節分が終わったら桃の節句ですねえ。

2017kabukiza4.jpg
幕見席から。
黄色くかわいらしい祝い幕はひびのこづえさんのデザインだそうです。

柝が鳴ってお囃子が奏でられ、祝い幕がシャ~っと開いていきまして
ああ、始まっちゃった…!と緊張感も最高潮に高まって顔を覆いたくなって
なんでわたしこんなに緊張してるんだ??と自問自答とかする始末でした。
ギリギリのところでSAN値保ってた気がする^^;
あと、いつも開演前はイヤホンガイドさんの解説を聴いて鑑賞に備えるんですけど、
今回もそうしてたんですけど、もうそれどころじゃなかったので内容が全然頭に入ってこなくて
上演中も解説を色々聞いたはずなんですけどあまり覚えてないです。色々とダメだ。

季節は春、おばあさんが川で洗濯をしていると
山の芝刈りから帰って来たおじいさんがそろそろメシにしようぜ~と声をかけます。
芝翫さんはまだ何となく橋之助さんと呼びそうになってしまう、いい加減慣れなくては。
すると川の上流からドンブラコ~と桃が流れてきて(黒子さんのお仕事)、
もうこの時点で客席には笑いが起きていた(笑)。
おじいさんたちはなんじゃこりゃ~と、桃に手ぬぐいを引っ掛けて岸に上げて家に持って帰ります。
桃が描いてある暖簾をはねて息子夫婦が出迎えて、大きな桃ですねえとか言うんですが
勘九郎さんも七之助さんも既にただならぬ表情でここから先の舞台をすごく心配してらっしゃるのが
びんびん伝わってきてわたしもさらに緊張してしまった(笑)。
おじいちゃんたちが包丁で桃をパッカーンと斬りますと、
中から黒子さんに抱えられた2人のちびっこ桃太郎が赤フン姿で登場ー!
「中村屋!」の大向こうも飛んで劇場が割れんばかりの大拍手!!
桃太郎たちはビビリもせずに見得をきってみせると
「おじいさん、おばあさん、こんにちは!」「兄の桃太郎です」「弟の桃太郎です」と元気いっぱい挨拶。
また大きな拍手が起きて劇場いっぱいに響き渡りました。
すごいすごい幕見席まで2人の声届いてるよ、すごいよー!(゚Д゚;)ハラハラ
そして勘太郎くんが長三郎くんを気遣って「こうするんだよ」みたいに目くばせしてるのも
長三郎くんが必死についていこうとしてるのもわかって涙出そうになった。

「鬼が島へ鬼退治に行きます」と勇ましく言う桃太郎たちは
鎧姿に着替えるため、息子夫婦とともにいったん家の中へ引っ込みます。
そこへ花道から登場してきたのが犬彦・猿彦・雉彦☆
吉備神のお告げで桃太郎が生まれたことを聞いたという3人は自己紹介をします。
染五郎さんの犬彦はダルメシアン柄のかわいいお衣装とお化粧で→こちら
両手を犬みたいに丸くしながら「腕力でワン斬りにします」とか言うし
(ちなみに勘三郎さんの初舞台では白鷗さんがおじいさんを、
勘九郎・七之助さんの初舞台では幸四郎さんが犬彦を勤めている縁があるそうだ)、
松緑さんの猿彦は「カニをだましたその知恵を活かします」とか真っ赤なお化粧顔でおっしゃるし
菊之助さんの雉彦は一番いさましく隈取してて「空から物見をいたします」とか凛々しいし
常に袖をひらひらさせて軽やかに飛ぶ演技をなさっていて素敵☆
そこへ花道から菊五郎さん扮する吉備津神社の神主さんが来て
村人たちもわらわら集まって来て、みんなで桃太郎が生まれたのをお祝いします。
「どれ呼んでみましょう、桃太郎さ~ん」と菊五郎さんが家の中に声をかけますと
「「はーい!」」とかわいらしい返事が聞こえて
息子夫婦に促されながら隈取に鎧姿の2人桃太郎が再登場してきたよ~!拍手☆
(勘九郎さん七之助さんの鎧をそのまま着ているそうです)
この間わずか5分、すごい、お着替え間に合ったね!よかった!!
くるりと回って見得を切って見事に決まりまして、また拍手。

ここで初舞台の口上に入ります。
菊五郎さん、弥十郎さん、雀右衛門さん、梅玉さん、時蔵さん、芝翫さんなど
錚々たるメンバーがお子様たちを気遣ってか手短に順番に挨拶されていく中、
勘太郎くんは微動だにせず下を向いて正座していまして
長三郎くんも最初はじっとしてたけど時間が経つにつれキョロキョロしたり両手ついたりそわそわ…
後ろの七くんが長三郎くんの背中や足に合図すると元に戻ってました(゜ω゜;)ハラハラ
そんな七くんが「叔父のわたくしに取りましても」とか言うの、女形の拵えだからちょっとおもしろい。
(ベルばらのル・ルーちゃんがオスカルを叔母さまって呼ぶみたいなこそばゆさがあるというか)
かなり気が気じゃなかったのかパパの勘九郎さんもものすごい早口で口上述べてて客席がじわった(笑)。
最後に桃太郎ズの「中村勘太郎でございます」「中村長三郎でございます」の元気のいい挨拶に
もう何度目かの客席からの大向こうと大拍手!
いよいよ鬼が島へ行くということになって花道からの引っ込み、
勘太郎くんの踏み込みと見得が一瞬、六方踏むんじゃないかと思うくらいすごくかっこよかった!
客席の拍手に送られながら2人でのしのし歩きながら引っ込んでいきました。がんばれ。

場面転換中には浅黄幕が張られ、大薩摩連中の圧巻の演奏。うおおおかっこいいー!

再び幕が開くと、そこは鬼が島の入口。
門前に鬼たちがズラリと並んでいるところへ花道に登場したのはお供を連れた2人桃太郎。
「ものどもかかれぇ」というお言葉に3人の部下たちが立ち向かいます。
犬彦は鬼たちにガブリと噛みつき、猿彦は鬼をあやつって自分をおんぶさせてしまい、
雉彦はヒラヒラ舞いながら鬼たちを翻弄します。
門前の鬼を追い払ってみんなで見得を切る雰囲気になって2人桃太郎も舞台上に来たんですが
桃太郎たちの立ち位置がいまいちハマってなかったのを
松緑さんが長三郎くんを抱き上げてちょっと間合いを詰めたので客席から笑いが起きてた。
その後無事に猿・雉・犬・桃太郎でバッチリ決まりました。ホッ(;´∀`)
門から鬼が島に入った後もわらわら戦って
奈落から島を制圧した桃太郎たちが鬼たちとともにせり上がってきたときの決めポーズかっこよかったし
(縄は桃の形になってた)、
鬼たちとの立ち回りで縄を引いたり切ったりして(縄引きは平安時代からのおめでたい習わしです)、
最後に勘九郎さん扮する鬼の総大将との立ち回りもちゃんと山とか八の字に切ってて
見得もしっかり決まってたよ!
総大将を縛り上げて「まいったか」「降参、降参、お許しなされてくださりませ~」となって
勝どきをあげるシーンで「「いずれも勝どき」」まではよかったけどエイエイオーが絶妙な輪唱になって
お供の3人が「お、おう」みたいになってておもしろかった^^2日目のご愛敬ですね。
鬼たちによる宝物バケツリレーで車にもっさり宝物を積んで
縛られた総大将を挟んで日本一の幟をかかげ「さあ凱旋だ」と金の扇子で見得を決めると
背景の海から日の出が!
パーッと舞台が明るくなって、万雷の拍手とともに幕引きとなりました。
柝とお囃子が鳴り響く中、勘九郎さんが長三郎くんとチラチラ目を合わせてたのが最高におもしろかった。
鬼じゃなくてパパ目線になってるよ!無理もない^^

とてもいい舞台でした。
ベテラン役者さんも裏方さんも2000人近いお客さんもみんな勘太郎くん長三郎くんを応援してて
劇場がひとつになっていたよ(笑)。
勘太郎くんは本当に安定してきて、これまで何度か舞台に立った経験がしっかり活きていると思うし
弟を常に気遣ってアイコンタクトしてて頼もしさ倍増。
長三郎くんは飄々とマイペースながらも「こうか」「あ、こうか」みたいに
ひとつひとつ動作を確認しながらこなしている感じで謎の安定感がありました。
保育園とかでいえば年長さんと年少さんですからたいていのことはできる年齢と思いますし
自分の子どもの頃を思い出してもお遊戯会とかで劇やダンスや太鼓など
色々やった覚えがありますが(そして本番はみんなちゃんとできてた)、
勘太郎くんたちみたいな大声とかメイクや衣装に耐えられるかどうかは…あれは訓練だよねえ。

ちなみに勘九郎・七之助さんの初舞台で刀を持っていたのはお兄さんだけだったそうですが
今回は2人とも刀を持っていまして、
理由が「長三郎さんがほしがったので」とお兄さんがイヤホンガイドのインタビューでおっしゃってて
何だか微笑ましかったです。
哲ちゃんは普段から色々な意味で大物らしい。

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閉幕後に外へ出ようとしたらスタッフさんから「豆まきがございますのでどうぞそのまま」とアナウンスがあり、
じきに幕が再び開いて役者さんたちによる舞台からの豆まきが行われました☆
桃太郎に出演されていた役者さんたちは拵えのまま、
ほかに亀三郎さんや金太郎くんなど今月の歌舞伎座公演に出演なさっている役者さんも
みんな紋付きで出てきてくれて客席も大盛り上がりの賑やかな豆まき、
鬼役の勘九郎さんと亀蔵さんも豆をまく側だったのがちょっとおもしろかった^^
3階席や幕見席はスタッフさんが配ってくれて、
わたしは手違いで2ついただいてしまいました。楽しかったー!

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千穐楽まで無事に走り抜けられますように。

そういえば初日には松潤が黒スーツに黒帽子で来ていたとか
着物姿の大竹しのぶさんを見かけたとかいう目撃談をTwitterでチラホラ見かけました。
松潤は親友の子の、大竹さんはかつての共演者の孫の初舞台をそれぞれご覧になったのだなあと思うと
心がポカポカしました。
お空の上では勘三郎さんや小山三さんが見守っていらっしゃるだろうなあ。
(そういえば小山三さんは勘三郎さんの初舞台で雉のお役だったそうです)
2016_12
17
(Sat)23:10

歳末の舞踊劇。

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歌舞伎座で十二月大歌舞伎第三部を観てきました!
演目がまるっと玉三郎さんオンステージみたいになってて「こ、これは行かねばならぬ…!」と
使命感にかられたので。
チケットもそれなりに残ってたけどせっかくなら前方に座りたかったので戻りチケットを待ちまして
無事に前方&真ん中あたりの席をゲットできました。
木挽町広場にもクリスマスツリーが並んでいて年の瀬モード~。

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第一部で上演中のあらしのよるにのキャラクター、ガブとメイのぬいぐるみもいた☆
あらしのよるには去年の秋に京都南座で初演された演目で主演は獅童さんとマッティです。
しどさんはアニメに続いて実写でもガブを演じられるのですね。
(そしてアニメのメイの声は成宮くんだったと思い出してしまった…成宮くん…つらい…)


今月の第三部は花道大活躍ですよ!お席が近い人は幸せです。

まずは「二人椀久」。
江戸時代初期の大阪に実在した椀屋久兵衛(略して椀久)さんの人生を書いた浮世草紙から
膨らませて作られた舞踊劇です。
椀久さんは大坂の豪商の息子で、廓の松山太夫を好きになって通い詰めているうちに
お金をどんどん使ってしまったので家族によって座敷牢に入れられてしまうのですが
太夫に会えなくて気が狂ってしまって、大夫に会いたい一心で座敷牢を抜け出した…ところから
お芝居が始まります。
タイトルに二人とついていますが、
これは椀久と椀久の羽織を着た松山太夫が踊るためで椀久さんが2人ということではないです。
(初演の3代目瀬川菊之丞は松山太夫を演じた際に「君が定紋伊達羽織、男なりけり又女子なり」の部分で
片身を男、片身を女で演じ分けてみせたそうだ)

幕が開くと舞台は海辺、大きな松がど真ん中に立って枝の隙間から月が見えています。
太鼓がさざ波の音を奏でていると花道から勘九郎さんが摺り足でご登場。
長い杖を引きずるように持ち、頭に紫の頭巾をかぶって
浅黄の落ち葉模様の着物に黒い十徳を片肌脱いで(何かとりついてる人の表現)、
呆けたような表情が儚げできれいな佇まいでした。
たぶん座敷牢をふらふら抜け出して足の向くまま歩いてきたら浜辺だった…みたいな感じですかね。
(あらすじ見たとき「えっ束縛お兄さん見られる…!?」と一瞬でも期待してしまった自分を殴りたくなった)
花道でひとさし舞って、舞台にきて松の木の前でひとり舞をしますが
やっぱり寂しくなってしまったのか床にうずくまってしまいます。
するとそこへ、舞台奥の仄かな闇の中からじわりとせり上がってきたのは玉三郎さんー!
立兵庫に前帯という江戸時代初期の遊女のいでたちでしたよ、完璧だわ。。
椀久さんの側へ寄ってやさしく起こしてあげると、椀久さんは飛び起きて一緒に舞い始めます。
織部の椀「武蔵野」を手に出会った頃の話をしたり、
月夜と闇夜どっちが好き、あなたの顔が見える月夜がわたしは好き、と語り合ったり
伊勢物語の筒井筒のまねっこをして扇子を水鏡に見立てて遊んだりして
2人ともとっても楽しそうな雰囲気。
照明もいつの間にか明るくなってて、2人のしあわせな気持ちが表現されているかのようでした。

そうしてるうちに踊りもお囃子もだんだん早くなって、
松山太夫が長い恋文をばっと広げて追いかけっことか始めちゃって
これはあれか、「うふふ~さあわたしを捕まえてごらんなさ~い」「あはは、こいつぅ」とか
昔の少女漫画とかによくあるシーンではなかろうか(笑)。
そしてふいに椀久さんをヒラリとかわして太夫は花道のスッポンから引っ込んでいってしまいます…。
くるくる回転しながら引っ込む玉さまはそれはそれはお人形のように可憐でありました…!
舞台にポツンと残された椀久さんは再びうずくまって目を覚まします、
すべては夢だったのでした…わああ何ということ~。
どこを探しても恋人は見当たらなくて座り込んで空をあおいでしまう椀久さん…
照明もいつの間にか暗く落ちていました。

焦がれる勘九郎お兄さんほんと切なさMAXだった…玉様は美しさMAXだった。


幕間の後は「京鹿子娘五人道成寺」。
タイトルからもわかるように安珍と清姫の伝説が元ネタになっている舞踊劇です。
道成寺は昔からよく見ている演目で、3年前に国立能楽堂でも見たことありますが
歌舞伎の道成寺を見るのは初めてwktk。

ストーリーは能の道成寺と同じ。
安珍と清姫の事件から何十年も経過した後の紀州道成寺の鐘供養に現れた白拍子が
舞を奉納しながらやがて鐘に飛び込んで蛇になるという流れで、
能との違いは白拍子に花子という名前があることと、蛇になった後の鬼vs山伏がカットされてることかな。
1753年に初代中村富十郎が初演した京鹿子娘道成寺が歌舞伎の道成寺の始まりで
今回の五人道成寺は白拍子を1人から5人に増やしてしまったというもので
近年はほとんど上演されなかったのを先代歌舞伎座のさよなら公演で復活したそうです。

季節は春、満開の桜に紅白幕が下りた舞台に所化(若いお坊さん)たちがやって来て
「聞いたぞ聞いたぞ!」とかおしゃべりします。
先頭は亀三郎さんで、わたし亀兄さんのお坊さん役初めて見たんですけど若さの表現でしょうか、
やたら甲高く大きな声で鐘供養だね~とか桜キレイダナーとかしゃべっててびっくりしました。
あんな高い声出せる人だったんだ…!
般若湯や天蓋とかごまかしてお酒と蛸を持ってきちゃってる所化さんたちは
僧侶としてのご法度はどこへやら、でも楽しそうにお花見しちゃってるとこへ
花道から白拍子の花子さんがご登場~!
七くんですっ綺麗めっちゃ綺麗っかわいい(^◇^)☆
「道行」というくだりでして、花子さんが道成寺のあるお山へせっせと登山してきた設定です。
ひとさし舞ってポーズしますと、スッポンからお兄さんが出ていらっしゃって七くんと瓜二つのいでたちでした。
花子さん分身しちゃったよ!
というか中村屋ご兄弟が2人とも女形で踊るのはかなり貴重ではないでしょうか!!(力説)
お兄さんは大きな手振り、七くんはひたすら可憐で拍手喝采!
義太夫の語りが響く中、おふたりがお化粧をする振り付けで口紅を拭いた懐紙を
ぽいっと客席に放り込んだときは声にならない叫びが聞こえた気がしました。
わああ花道近くの人たちいいなあ!
しかも舞台側だけじゃなくドブ席側にも投げててサービス精神がすごい、
ほんとあれは近くの人たちよかったねえとしか言えない、やばい。
しばらく2人舞して、お兄さんは一旦スッポンから引っ込んでいって七くんはそのまま舞台へ。
所化さんたちに「鐘供養に参加させてください」と頼むのですが
女人禁制のためダメです~と断られてしまって
じゃあ問答に答えられたら入れてくださいということになる。
色即是空、空即是色、手のひらの中の雀は生きてるか死んでるか問題など一通り会話しても
花子さんは諦めずに「拝ませてくださんせ」とお願いし続けます。かーわーいーいー!!(ダァン!←床叩)
所化さんたちはすっかりほだされてしまって、じゃあ鐘を見せる代わりに踊りを見せてねと注文をつけて
門をあけてあげちゃいます。

門がひらくと同時に七くんと所化さんたちは左右にはけていってしまいますが
ここでやっと背景の紅白幕がするすると上がります。
幕の奥からはずらりと並んだお囃子連中をバックに、満を持しての玉三郎さんご登場!
真っ赤な着物に金色の烏帽子をつけた玉様の足元が見えるや否や「大和屋!」の大向こうがとんで
ものすごい拍手が起きました。みんな玉さま待ってたんだー!
一人舞ですオンステージです、乱拍子の舞ですよ!
踊り始めに背をピンと伸ばしているのは能の道成寺を意識してるとか
足の爪先を左右に動かすくだりは蛇の頭と舌とか、舞台をジグザグに移動するのはお寺の階段をのぼる蛇とか
イヤホンガイドさんが細かく教えてくださって
花子さんが最初から目的を隠そうともしないのがすごく花子さんだと思いました。
美しく舞いながら鐘をチラチラ見たり、あからさまに鐘を見つめて見得きって「あっいけない」と顔をそらすとか
花子さんがどんな覚悟でここまでやって来たかみたいなのまで伝わってくるのも
歌舞伎ならではだなあと…能はここまで見せないよね。
あと能の道成寺の乱拍子は一定の静止の後に激しい踊りがあったりする静と動の舞で結構厳格なんですけど、
歌舞伎の乱拍子は常に動き回って仕草も美しかったりかわいかったりして、違いもおもしろいなと思いました。
「言わず語らぬ~」の手踊りになると赤い着物を一瞬で引き抜いて浅黄色の春らしい衣装にチェンジ!
はあぁいつ見てもすばらしい技術だよ引き抜き~\(^o^)/
玉さまが恋の分里の手毬唄を歌いながら毬つきを始めたら
七くんに勘九郎お兄さん、続いて梅枝くんと児太郎くんも出てきてみんな毬つき始めるから
5人の花子ズが円になってくるくる回りながら毬つきダンス!
ああああみんなかわいいかわいいぃいあああああ+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚

花子さんたちがいったんはけると、児太郎くんだけが残り赤い笠をかぶって舞い始めます。
振り出し笠という、手に持った笠を振ると3つの笠が連なって出てくる笠を両手で使って
梅と桜を愛でる語りの中で可憐な舞を見せてくれました。
そこへ所化さんたちが再び登場☆
花子さんの踊りを見て浮かれてしまったのか、
赤の襦袢に衣をたくし上げ卵色の股引を思い切り見せるファッションで花傘踊りの始まりです^^
(これは初演時にはなくてのちに9代目團十郎がつけた演出だそうです)
楽しい群舞の後半は2人の所化さんが残ってあっちはなんだ、こっちはなんだとわちゃわちゃ笑わせてくれました。
亀兄さんと萬太郎くんさすがでしたー!

続いてお色直しした玉さまが再登場、
お化粧したりラブレターを読んだり恋の手習いのクドキを舞います。
もうこれだけでも美しいしかわいいしでお腹いっぱいなのですが
手ぬぐいを使ってひとさし舞った後に舞台上から後ろ向きに手ぬぐいをぽいっと3~4つ投げたときの
客席のざわめきっぷり!(笑)
それらは前列にかわいく落ちていったのですが、
その後に所化さんたちがわらわら出てきて手ぬぐいを投げるイベントが突如発生!
イヤホンガイドさんまで「お客様へのサービスです、リラックスして楽しんでください!」とか煽るもんだから
客席みんな諸手をあげてこっちこっちー!とか大騒ぎになりました。
舞台から花道までズラッと並んだ所化さんたちがぽんぽん投げまくって方々に降り注いで
最後に振りかぶった人のピッチングは3階席まで飛んでいってものすごい歓声おきてた!わー☆
わたしはもらえなかったけど近くの人が受け取ったのをこっそり見たら
5人の花子さんの家紋が入った絹の手ぬぐいだったみたいです→こちら
これ演じる役者さんによって手ぬぐいの名前も変わるみたいですから
この5人の手ぬぐいは今月しかもらえないのですな~いいなーいいなー!
次にこの道成寺が上演されるときはどなたの名前だろう、次回は欲しいぞ(゚∀゚)☆

続いて七くんと勘九郎お兄さんがお揃いの卵色の着物(雅楽の大太鼓の模様入り)に鞨鼓を胸に下げて登場、
鞨鼓の踊りが始まったよ!
お囃子に合わせてリズミカルに鞨鼓を鳴らしながらの舞はこれでもかとかわいさ爆発してた☆
またこのくだりは山尽くしといって、太鼓のバチで八の字をつくって吉野山や嵐山などの山を表現するのですが
途中で一瞬だけ鬼の角になってるのがブレない花子さんって感じだし、
仕舞いに舞台へ座り込んでお互いの片手を合わせてお祈りポーズするとこ最高に兄弟百合だった…尊い…(真顔)。
五人道成寺の至高は玉さまですが中村屋兄弟の尊いシーンもてんこ盛りでございます、
こんな道成寺次はいつ見られますか。やばい。
歌詞が変わって「ただ頼め~」の手踊りは梅枝くんの一人舞で、
神様に恋の成就をお願いしたりするくだりが最高にかわいい。
紫の着物から蛇の脱皮のように一瞬に着物を引き抜いて墨の桜柄の着物になると
同じ柄の着物を着た玉さまたちがさーっと再登場、
全員が両手に鈴太鼓を持って5人花子ズによる鈴太鼓踊りになりました!
2つの太鼓を打ち付けたり、鈴をジャラジャラ鳴らしたりしながら田植え歌にのって踊ります。
もう5人がそれぞれすばらしすぎてどこを見ればいいのか全然わからない、
視線を忙しく動かしてどの人を見ても目がしあわせでした。
あああああかわいいんじゃあ~~~!!(何度目)

やがてお囃子が激しくなって踊りも激しくなり、
明らかに花子たちの様子がおかしくなってきたのを所化さんたちも気づいて踊りを止めようとしますが
花子たちはヒラリヒラリとかわして逃げてしまいます。
と、ここで天井に吊られていた鐘がするするっと板の上へ降ろされ花子たちの姿が一瞬、隠されますが
鐘の後ろから出てきた花子たちは銀のウロコ箔の着物姿に髪を振り乱して
5人でわらわらと鐘に乗っていった!
玉さまとお兄さんが上にいて他のお3方が下にはべる光景はまさにとぐろを巻いたがごとく、
荒々しいとさえ思える巨大な大蛇が一瞬のうちに舞台に出現した感じでぞわぞわっ!としました。
(歌舞伎公式サイトに写真が載ってましたのでどうぞ→こちら
やっばいマジ炎出して鐘燃やせるよこの人たち!
能の道成寺でも戦慄したけど、歌舞伎の道成寺はまったく違う種類の戦慄を覚えて
あんまり驚いたのでここで幕切れというのに拍手するのも忘れてしまって、というか一瞬だけ拍手の音聞こえてなくて
嵐のような拍手が聞こえてきたときにようやくあ、手動かさなきゃと思ってやりました。
大蛇になった花子ズを所化さんたちはひたすら祈っておられましたがわたしも本当そんな気持ちでした…
拍手するより手を合わせたくなるというか、さっきまで「玉さま素敵ぃ」「七くんかわいい」と思って観てたのに
ラストだけはわたしの中で役者さんも花子さんも飛び越えて「清姫」になってしまったんだと思います。
これもある意味供養なんだろうなあ…役者さんてすごいなあ…。

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今年の観劇はこの日で終わり、よい歌舞伎納めになりました。
今年もおもしろく、楽しく、きれいな、かっこいいお芝居をたくさん見せてもらえて
役者のみなさま関係者の皆様に感謝感謝です。
来年も豊かな時間を過ごせますように。


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銀座4丁目の歩行者天国にもイルミネーションとクリスマスツリーがたくさん並んで綺麗でした。


あと、この日は己巳の日(1年の巳の日で一番縁起のよい日)だったので。
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歌舞伎座の前に品川の上神明天祖神社に行きました。
境内の小さな池に、その昔は白蛇が住んでいたという言い伝えがあって
その蛇のために弁天社も建てられています。(蛇と言えば弁財天の御使い)
道成寺観る日に蛇の神社にお参りという、たまたまですがおもしろい日になりました。

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撫で白蛇像。撫でるとご利益があるそうな。

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弁天社は拝殿の隣の池のほとりに建っています。

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御使いの白蛇は迫力あるけど手作り感にあふれています。
卵がお供えされていたのは蛇の好物だからかな。

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巳の日限定の御朱印とおみくじ。
社務所がむちゃくちゃ混んでて1時間くらい待ったけど無事にいただけました。。
弁天社の御朱印もいただいたら琵琶が。

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とらやの鶉餅もゲットしてきたよ^^
来年は酉年なので一足先にいただきました~もちもちしておいしかったです。
次の年の干支物が出てくると年越しの実感がじわじわ湧いてきます…年賀状がんばらねば。
2016_10
05
(Wed)23:53

襲名の秋。

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歌舞伎座にて芸術祭十月大歌舞伎を観てきました。
中村橋之助さんが八代目中村芝翫を、息子さんたちがそれぞれ橋之助・福之助・歌之助を襲名なさる公演で
運良く初日のチケットも取れて有難や~。
役者さんの襲名披露公演を舞台で見るのは四代目猿之助さんの巡業以来で
歌舞伎座での役者さんの襲名を見るのは初めてでしたが、
テレビ局のカメラや取材の人数がハンパないし、インタビューされてるお客さんもいっぱいいたし
歌舞伎座でお着物のお客さんは珍しくありませんがあの日は妙に着物率が高かった。
たぶん団体でお着物とかお召しの人たちがたくさんいたんだと思う。

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まったくそんな予定なかったけど流れで入場がほぼ一番乗りになっちゃってわーいと劇場入りしたら
スタイリッシュな祝い幕!佐藤可士和さんのデザインだそうです。
佐藤氏は他にも手ぬぐいとか、今回の襲名にあたり諸々デザインとか担当なさっているらしい。
(配り物の扇子の絵は山口晃さんが描いているそう)

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花道セッティングが好きなので見ていたら桟敷席のカーテンがざわざわっと開いて
芸者さんたちが入っていらっしゃった!
初日は新橋組合総見の日でもあったようです。黒の引き着がズラリと並ぶ様は壮観。
襲名ってスゴイな…。

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2階ロビーには祝い幕を入れる箱がでーんと。
そんなに大きくはなくて、本当に幕を仕舞うわけではないそうですが
こういうのも作られるのですね。

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壁にはお祝いの絵馬がたくさん。
ざっと見ただけでも大竹しのぶ、北大路欣也、竹中直人、仲間由紀恵、西村雅彦、野田秀樹、若村麻由美…
襲名ってスゴイな!!

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今回はここから。舞台にも花道にも近くてラッキーでした。
芝翫さんが勇壮に登場したり、松禄さんが外郎を売りながら歩いて来たり
玉さまが優雅にひとさし舞って引っ込んで行ったりしました(*´ `*)。


幕が開いて、まずは歌舞伎十八番「外郎売」。
初演(1718年)は二代目市川團十郎です。
二代目が持病の咳が止まらず困っていたときに小田原の透頂香(通称:外郎)を飲んだら治ったらしくて
お店へのお礼にと宣伝も兼ねて「外郎売」のお芝居を作ったのが始まり。
(外郎はもともとは薬の名前で、お菓子の外郎が売られ始めたのは近代になってからです)
主役の外郎売が芝居の中盤でたたきだす早口言葉の口上が見どころで
現代ではこのセリフを俳優養成所やアナウンサーの研修などで引用することもあるそうだ。

浅黄幕が切って落とされると、箱根のとある神社にズラリと集まった人々のご登場。
真ん中にいる工藤祐経は大名や遊女たちに囲まれて宴会をしているところで
(頼朝さまからの覚えもよろしいですな~みたいなことも言われたりする)、
実はこれから登場してくる曽我兄弟の父親を殺した人だったりします。
歌六さん、貫禄のある佇まいで敵役ですがかっこいい☆
お酌している大磯の虎と化粧坂少将も七くんと児太くんでたいへん美しくて
特に七くんの襟足はなんだありゃ、
「着物姿の基本は襟足!うなじの色気が着物の醍醐味!」などと普段から力説しているわたしですが
いざ美しい人がうなじを見せている場面に出くわすと目のやり場に困ってどうしたらいいかわからなくなります。
神は七くんをなぜあのように作りたもうた…!
右近ちゃんの舞鶴も梅丸くんの喜瀬川もかわいすぎか。
と、そこへ花道から外郎売が商売のために声を張り上げるのが聞こえて
余興がほしいと言う工藤のために小林朝比奈と妹の舞鶴が呼びます。
亀寿さんが衣装をめっちゃ着込んで派手な隈取りしてるから倍近く大きく見えてハックリョク~。

呼ばれて花道から出てきたのが外郎売(名前を聞かれて松緑って名乗っちゃっておもしろかった)、
実は曽我兄弟の弟の五郎が変装した姿です。
外郎売は「寿曽我対面」が元になっている、いわゆる曽我もので
そこから一場面を抜粋してアレンジを加えたのが「外郎売」ということになります。
身をやつしてはいてもメイクと眼光は血気盛んな若者そのもので
松緑さん~~~~~かっこいいぞ!
「急いでこれへいらしゃんせ」と虎と少将が呼びつけまして(実は曽我兄弟と虎・少将は恋人同士)、
舞台の上へのしのしと歩いてくる外郎売。
ああ、ただの商人というより武者の貫禄がまったく隠せてないよ(笑)そこがいいんだけど。

中央までやって来ると松緑さんは客席に向かって両膝をつき、
「芝翫さん、橋之助さん福之助さん歌之助さん、襲名誠におめでとうござりまする。
このめでたい公演に市川宗家よりお許しをいただきまして、外郎売を勤めさせていただきます」と
深々とお辞儀しちゃった。拍手ー!
さっそく売り文句の口上を述べるのかと思いきや、
茶道珍斎とあれこれおしゃべりしてるうちに止まらなくなってスイッチオンしたみたいで
「そりゃそりゃそりゃ回ってきた回ってきた~」のところで待ってました!と絶妙なタイミングで大向こうが入り
とざいとーざーい、に続いて「そもそも早口の始まりは~」キター!+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
外郎の歴史や効能について武具馬具武具馬具とか麦ごみ麦ごみなど早口言葉を交えながら
10分くらい一人でしゃべってるんですが
どこで息継ぎしてるのかもわからない、朗々となめらかに、立て板に水のように、
初日のご愛敬でちょっと危なげなところもありつつ「ホホ敬って申す~」とよどみなく言いきった瞬間に
客席からワーッと割れんばかりの拍手がおきた!!
スゲー噂には聞いていましたが実際に目の前で役者さんが披露されるとドキドキ感が違ったし
千穐楽に向けてどんどんよどみなくなっていくと思うとそれもドキドキするし
何より松緑さんがかっこよすぎた。
大薩摩連中の演奏もよかったですよ~。

茶道珍斎は遊女たちを口説くため舌が回るようになりたいと外郎を一服たべますが
全然うまく早口言葉が言えなくて、
どうしようかな~とか言っちゃう吉之丞さんめっちゃかわいかった。
五郎は親の仇を目の前にしているので次第にカッカしてきて「覚悟しろ~」みたいなことを言い出すと
五郎の兄・十郎が工藤の手下たちに追われながら花道をやって来て
「今はその時期ではない」と弟を制止します。
亀三郎さん扮する十郎は裃に長袴の目元涼やかな超イケメンでした!気をしっかり持たないと虜にされそう。
それでも五郎は収まらず、工藤の手下たちに止められながらグギギ…と悔しそうで
勢いあまって飛び出そうとするのを十郎兄貴が手刀ひとつで止めててかっこよすぎました。
工藤が「じゃあおまえ後でここに来いや」と再会を約束して
最後は全員、それぞれの場所でポーズして絵のような幕切れ。ありがとうございました!

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幕間。
芝翫さんの襲名なので久々にめで鯛焼きを買いました。あんこと紅白餅の絶妙なハーモニー。

この後、売店に行こうとして通路を歩いていたら
1階席花道脇の一番後ろが梨園の人々ゾーンになっていて
全員はわからなかったけど芝翫さんのお母様の雅子さんや、前田愛さん、七緒ちゃん哲くん、
あとたぶん関係者の奥様方とか、ロビーで忙しそうに動き回る三田寛子さんを見ました。
わたしあまり詳しくないんですけど襲名披露中ってひょっとして寛子さん毎日いらっしゃるんだろか…。


幕があがって、次は口上。
金屏風や襖に水墨の龍がうねうねと描かれた背景がむちゃくちゃかっこよかったです。
七くんの「叔父といとこたちの襲名は本当にうれしい。小さいに兄いにと慕ってくれる後輩をよろしくお願いします」とか
玉さまの「幸ちゃん(芝翫さんの本名の幸二)」呼びとか
菊之助さんの「芝翫さんとは住んでるところが近いんです」とか
病気をおして懸命に語る我當さん(呂律が聞き取れなかったけど強い声だった)とか
菊五郎さんの「先代芝翫から六代目菊五郎の話をよく聞いた」とか
吉右衛門さんと東蔵さんの「先代芝翫から色々教わりました。芝居も競馬も」とか
児太郎くんの「父の福助(芝翫さんのお兄さま)も懸命にリハビリに励んでおります」とか
梅玉さんの「まだつい橋之助さんって呼んじゃう」とか、随所にポカポカした雰囲気でほのぼの。
芝翫さんの「とても大きな名跡ですが、名を汚さぬように精進いたします」という決意と
橋之助を継ぐ国生くんの「3人で一層、芸道に励みます」という頼もしい言葉や
最後に藤十郎さんの「歌舞伎をいついつまでも末永くご愛顧賜りますように」との
祈りのこもった言葉で幕切れとなりました。

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幕間にあさり炊き込みご飯。
と、とらやで買った御好梨木饅(1780年初出)。果物の梨は大好物ですがお菓子の梨も好き~。


続いて芝翫さんが主役を勤める「熊谷陣屋」。
吉右衛門さんと海老蔵さんが主役を演じた舞台を見たことがあるのですが
今回は芝翫さんの襲名公演なので「芝翫型」で演じられるとのこと。
「大芝翫」とも呼ばれた幕末の役者・四代目中村芝翫がつけた型で
團十郎の「團十郎型」とは少し違っていると数年前のインタビューにもありました。→こちら
わたしが見たことあるのは團十郎型で、首実検で制札を下げたり最後に花道の引っ込みがあるのですが
芝翫型では制札を上げたり、花道ではなく舞台の上で幕切れだったりします。
服装もちょっと違って、天鵞絨の着物に赤地錦の裃をつけて
顔も真っ赤に塗って芝翫隈といわれる隈取をほどこしたものだったり
出家後の僧侶になった姿が有髪だったりちょこちょこ違いが。
團十郎型は壮年の渋さがありますが、芝翫型は勇ましさが強調されているように感じました。

熊谷陣屋は直実が敦盛を殺した(ことになっている)あたりから出家の決心をするまでの話で
この演目で直実が何歳の設定なのかは不明ですけど
史実の直実は50代で出家していますので、いま芝翫さんが直実を演じると年相応なのかもなあと思った。
荒事の團十郎型と違ってどちらかというと抑制したセリフ回しで
花道で聞き慣れている「16年は夢だ、夢だ」のセリフも舞台で言うとしみじみ感があるし
直実の顔は赤いのに型は全体的にトーンが暗い。
だから制札を上げての見得が派手に見えるのかな…。
後半、雛壇がくるりと回り竹本葵太夫の語りになってから色々どんでん返しがあってのクライマックスでは
夫婦2人舞台に並んで花道に行かずに幕切れなので、
團十郎型とは異なる悲しみといたわりの表現が芝翫型にはあったと思う。
そして随所で成駒屋、八代目、神谷町!などいつになく大向こうが多くて盛り上がりました。
芝翫さん襲名本当におめでとう~~!

魁春さんの相模はつつましく愛情にあふれた人で
夫から子の首を受け取るのとか気の毒すぎて見てられなかったし
なんでや~小次郎ちゃんなんでこんな目に遭うんや~~!ってわたしも一緒に泣きたくなった。
菊之助さんの藤の方はきりっとした美人、敦盛の敵討ちのために斬りかかる勇猛さと凛々しさと
(この芝居の敦盛は後白河院の子という設定なので)気品も漂って
子を返せと叫ぶ声は劇場中に響いていてそうだそうだ~!とか応援したかった。かっこよかった。
弥陀六も相変わらず食えないおじいちゃんですけど今回は腹に一物感がすごい、
歌六さんは隠し事をする人を演じると誰にも負けないというか
隠し事がバレたときの表情とか良くも悪くも豹変する演技にものすごい説得力があると思う。
吉右衛門さんの義経との「目でやり合う」感がすごくて
互いに何かひとつズレたら刀抜くんじゃないかと思った、
大ベテラン同士のぶつかり合いは鎬を削るどころじゃないぜ!
からの、義経が直実に言う「堅固で暮らせよ」は精いっぱい声を絞り出した感があったな…。
義経の後ろに歌昇くん、右近ちゃん、福之助さん歌之助くんがおっかない顔でドレミファと並んで壮観。

勢揃いしての引っ張りの幕切れでは
最後の最後、幕が閉まる寸前に芝翫さんが両目を閉じくっと天を仰いでいました。
熊谷陣屋は子どもが酷い目に遭うので好きにはなれない演目だけど
一方で直実が「こうした方がいいに違いない」と想像して動くのとか、それを利用した義経とか見てると
封建社会や武家システムを批判してるような気もするから苦手というのも何か違う。
作者の並木宗輔は仮名手本忠臣蔵も書いてて一筋縄ではいかない芝居づくりの人だし、
それを二代目や四代目は各々の思想で再現しようとしたのかもしれないな…
ひとつのお芝居に色んな型があるの面白いし、時代や人によっても表現は変わるし
込められた思いもきっとひとつひとつ違うんだろうなとかぽつぽつ考えました。


続いて玉三郎さんによる「藤娘」。
正直に白状しますと一番楽しみにしていた演目だったりします(笑)。
江戸時代に大津で販売されていたお土産絵「藤かつぎ娘」がモチーフといわれていて
初演では連続舞踊のひとつで、絵から藤の精が出てきて踊るという内容だったのを
六代目菊五郎が独立した舞踊にしたのだそうです。(当時の舞台装置は小村雪岱が担当)
先代の七代目芝翫さんは女形だったので藤娘も何度か踊られたらしく
それで今回玉三郎さんも藤娘を、というお話があったとご本人のサイトにコメントがありました。
(あとシン・ゴジラ見に行かれたそうで…ゴジラをこんな美しい言葉で褒める方初めて見た)

柝が入ると徐々に照明が落ちて、劇場内は真っ暗に。
幕が上がる気配は何となくわかったものの、舞台に何があるのかもわからないまま
キキキキ、キッ…と柝が入ってワクワクしていたらパーーッと照明がついて
舞台いっぱいに枝を伸ばし花を咲かせた大きな藤と松の樹のセットの下に
藤の振袖をまとった玉さまがスッとポーズきめて立っていた!!
大和屋!の大向こうとともにわーっと嵐のような拍手が起きたよ、綺麗ー!!\(^o^)/
伴奏の長唄連中は、たいていの舞台では雛壇に乗って演奏しますが
舞台と一体感を出すためという六代目菊五郎の意向にしたがい床に座っての演奏で
その中にたったひとりの藤の精がたたずむ様はもはや錦絵。
あれぜひ舞台写真にして売っていただきたい…買ったことないけどあれならたぶん買う。

そのあと繰り広げられた舞踊はもう何を言えばいいのか…めくるめく美しさと神秘のオンステージ。
ままならぬ男性のつれなさを踊りに託しながらときどき樹の後ろに隠れてお色直しして
また出てきて踊るたびに客席から「ああ」とも「おお」ともつかぬどよめきが聞こえて
この世のものとは思えない夢のような一幕。
わたし踊りのことは全然わからないけど玉さまが妖精も天使も超越してるのはわかった、
マジたまんない、何も言えない。
お酒が入ってからの酔っぱらい演技(藤の精はお酒好きらしい)は
六代目による藤音頭です…というイヤホンガイドさんの解説もどうにかこうにか耳に入る程度には
ボーっとしていたように思います。
映像でしか見たことなかった玉さまの藤娘が目の前にいるのがうれしかったけど
見てるうちにうれしいとか素敵とかの気持ちさえも感じなくなって、あれは何だったんだろうとか
花道でひとさし舞ってするりと引っ込んで行かれて幕が下りてもしばらく頭がフワフワして現実感がなくて
イヤホンガイド返したり駅に降りて電車に揺られたりしてるうちに
夢から醒めるってこんな気分かな…とか、そんなことを考えたひとときでした。
よくドラマとかで物事に心酔して何話しかけても上の空な登場人物とかいるけど
ああなる人ほんとにいるのかなって思ったけど、いました!身をもって知った。
こんなに観劇後に引きずったの初めて!夢のような時間ってこの世に存在するんですね…。


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ライトアップ歌舞伎座。
初日おめでとうございます。皆様ご無事に千穐楽まで走り続けられますように。

実はまだ芝翫さんとお呼びするのが慣れなくて
この記事を書いてるときも何度か橋之助さんと打ってしまう始末なんですけど、
今回、芝翫さん演じる幕末の型の熊谷直実を通じて
わたしは幕末も四代目もまったく知らないのにあー今舞台にいるのは四代目なんだなって気持ちになって
その瞬間はわたしが慣れ親しんだ「橋之助さん」ではなくてものすごく「芝翫さん」だったなあと思った、
早く慣れたい。
2016_08
12
(Fri)23:07

空飛ぶ東海道中。

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歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
六月大歌舞伎の記事にちらっと書いたやじきた道中「お伊勢参りなのにラスベガス」が楽しそうだったし
10月に芝翫を襲名する橋之助さん親子の、今のお名前での最後の舞台が見たくて
がんばってチケット取りましたけど今回は大激戦だった……orz
6月から続く猿之助さん三か月連続宙乗りの最終月とか、橋之助さんの襲名前とか
そもそも納涼は普段よりチケットが安いとか色々重なったためでしょうか、
先月の一般発売日にあっという間に満席になってしまって戻りをひたすら待つ日々で
約1ヶ月間の激闘を経てわたしは!当日券をゲットしたぞおおおおおうおぉぉお\(^o^)/
(当日分て窓口でしか買えないんですね初めて知りました…
窓口の方にかなりご迷惑をおかけしてしまいましたごめんなさい本当にありがとうございました)

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チケット取れたのが奇跡のようでしばらく膝が笑ってたんですけど
どうにか寿月堂さんに辿り着いてランチにしました。
久し振りにたまごの茶巾寿司をいただいた~かんぴょう・胡瓜・海苔で定式幕の色になってるの。

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じゃん!お舞台も花道も目の前!
近いのが戻って来たらいいなと思ってたけどマジでこんな良席が戻ってくるとは思わなかった、
これで今年の運は使い果たしたなと思いました…たぶん宝くじ買っても当たらない。

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見上げると宙乗りセットが2つ。
今回は猿之助さんと一緒に染五郎さんが空を飛ぶと聞いてわたしァ頭がどうかなりそうだったよ、
生きてる間にあのおふたりが宙を舞う姿ってなかなか見られないと思うの。

以下↓新作歌舞伎のため盛大にネタばらしになりますのでこれからご観劇の方ご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

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2016_07
23
(Sat)23:28

流星少年。

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歌舞伎座で七月大歌舞伎を観てきました!猿之助・巳之助・右近のお3方による「流星」が目的です。
(猿之助さんは先月に引き続き3か月連続宙乗りのふた月目だよ)
青い幟に花火の飾りと、木挽町広場も夏の装い。

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花火の足元には酒井抱一の俳句があったよ。
「星一ツ残して落る花火かな」自撰句集『屠龍之技』からの引用です。
抱一は他にも「素麺にわたせる箸や銀河(あまのがわ)」(軽挙館句藻)とか詠んでて
お気楽で洒脱な句が多くて楽しい。

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例によって幕見席から。
かなり混雑していて座れるかわからなかったけど無事に最前列に落ち着きました。
流星は舞踊劇なので、踊りに集中したかったので座って見られるのは有難いです。

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流星さんが吊られるワイヤーを幕見席目線から。
猿之助さんはいつもどんな風に飛んでいくかわからないからワクワク。


流星の初演は江戸時代末期、新七と名乗っていた頃の河竹黙阿弥が書いた作品で
もともとは「宮島の日」(竹本)、「祭礼の月」(常磐津)、「夜這星」(清元)という
日と月と星の三段返しの構成だったのが今は星(流星にタイトル変更)だけが残っているそうです。
また初演時の市川小団次の宙乗りによる打ち出しは現代では省略されることが多いのですが
今回、猿之助さんはやってくれましたよ!
流れ星というだけあって空を飛んで帰っていくというのは最高のシチュエーションですな☆

幕が開くと、舞台には澄み切った夜空に金色の雲がふわふわ漂っていまして
(今月、舞台に上がってる清元の方が画像をつぶやいてくれてます→こちら
たぶん1階席で見たら奥行きが感じられたのではないかと思う。
やがて1階からワーッと拍手が起こってイヤホンガイドさんが「牽牛は巳之助」「織女は右近」とか紹介し始めたけど
何ということ、お2人は舞台の奥からご登場なさったようで
幕見席からは見切れてるー!!(号泣)
上の写真からご想像いただくしかないのですが、舞台の奥は死角になってしまってるんだ…orz
イヤホンガイドさんが一生懸命、みっくんと右近ちゃんの衣装を説明してくれるんですが
肝心のお2人の姿がまったく見えないので早く出てきて!来て!!ってなってた。

そんなこんなで金色の雲の中をゆったりと舞台正面に降りていらっしゃった牽牛と織女、
みっくんは目元涼やかなイケメン、右近ちゃんは優雅な美女!
満を持してみたいな感じだったのでうおおお!ってテンション上がりました。
流星は古代中国のお話なので牽牛も織女も唐風の衣装を着てらっしゃって
みっくんは白が基調、右近ちゃんは赤とピンクが基調で衿と袖がレースみたいにヒラヒラしてました。
(猿三郎さんがブログに写真をアップしてくださってます→こちら
「お懐かしや我が夫(つま)さま」と牽牛の手を取る織女たんかわゆす(*´︶`*)。
どうやら去年の七夕の夜は雨が降ってしまったので会えたのは3年振りらしいです。
喜びの舞をゆったりと踊ってラブラブな2人…のところへ
「御注進御注進!」と花道から流星が踊りながらやって来ます。
牽牛と織女が踊るのをやめて「何事ですか?」と尋ねると
「えっとね、こんなことがあったんです!」と、いきなり近所の雷神夫婦に起きた顛末を話し始めます。

「雲の上に雷夫婦が住んでるんですけど、夫がうっかり地上に落っこちちゃって
しかも雲をなくしてしまったので帰れなくなっちゃって、
落ちたところがたまたま端唄のお師匠さんの家だったのでついでにお稽古を受けて
やっとお空の上に帰ったと思ったら雷のゴロゴロ音が端唄のエェ~~ゴロゴロみたいな節になっちゃって
妻に「そんなへそで茶を沸かすみたいな音、ガラガラピシャって鳴らさなきゃ様にならない」って怒られて
夫は「うっせーそれは昔の音だ、今は端唄の節で鳴らすのが粋なんだよ」ってやっぱり怒って
出ていけ~とか言い始めるんだけど、
夫は婿養子だから妻が「ここはわたしの家だから出てくのはあんた」とか言ってると
子どもの雷ちゃんが「ケンカやめて~」って泣きながら出てきて、
近所のおばあちゃん雷もやって来て「やめなさい」と止めようとしたらその場で転んじゃって
弾みに入れ歯の牙を飲み込んで大慌てになって、それを見て笑ってるうちに2人は仲直りしましたとさ。
っていうのを御注進に来ました!
じゃあねー!」(by流星)

頭に銀色の玉(星をあらわしてる)を付けた猿之助さんの流星が花道から登場したとたんに
劇場の空気がガラッと変わるのがわかって、
そこからもうずーっとニヤニヤ笑いが止まらなかったです(*´∀`*)。
猿之助さんは1人で雷ファミリー4人を躍り分けるのですが、そのために後見さんが後ろについて
雷の夫・妻・子ども・おばあちゃんの4種類のお面を用意していて
そのお面をセリフの都度つけ替えながらの踊りとなります。
「ここは役者と後見のタイミングと息の合った技術が必要になります」とはイヤホンガイドさんの言。
しかしそこは猿之助さんですから安心して見ていられました^^
後見の段一郎さんとの息ぴったりな受け渡しと付け替えは見事としか言いようがなく、
「なによ」「なんだよ」「パパママやめて~」「やめなさいったら」など4人のセリフが連続するシーンは
クルクル回りながら次々に人が変わっておもしろかった!
(遠くて見えにくかったけど、お面は紐でつけるタイプではなく
内側に出っ張りがあってそこを役者が口にくわえる仕様になってたのでパッと替えられるのですな)
顔を変えると肩の上げ下げやステップも変わるので
体格も性格も、踊っていると表情も変わるように見えたし、
雷の音を足でトントン(端唄ver.)、ドンドン!(本物ver.)と表現するのもわかりやすかった。
スットコトンと鳴る雷っておもしろい^^
何より踊りの軽やかさ、きっと汗だくなのだろうけどお茶目にのびのび踊ってらっしゃったよ。
しなやかな指先とか機動力広そうな関節とか身体能力もすごいけど
今回括り袴ですから膝下をあらわになさっててむっちゃ綺麗な足してた、
特に足首。きゅっと締まった足首って言葉がありますが、あんな足首に一体どうやったらなれますか…!

語るだけ語って、お面を外して頭に星の簪をつけなおして
「ハヤおさらば!」って宙乗りで空をかけていく姿はまさに流れ星ですが、
サーフィンの波乗りみたいにフワ~フワ~と上下しながら飛んでいく姿がおかしくて笑ってしまった。
劇場も大拍手に包まれて手を振る人もいらしてワクワク感に満ちていたよ。

牽牛と織女が流星を見送ったところで幕切れなのですが、
この後彼らが「何だったんだろう…」と顔を見合わせるまでは想像しました。
流星ちゃんはたぶん、2人の邪魔をするつもりはまったくなくて
おもしろい話があるからって誰かに聞いてほしかったのかなァ…。
猿之助さんはとにかくかわいくてすばらしかったけど、流星ちゃんもう少し空気読もうぜ(笑)。

七夕のお話を7月の歌舞伎座で見られる素敵な機会です。
千穐楽まであと少し、気になる方ぜひ行ってみてください^^


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

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2016_06
04
(Sat)23:42

花の時間、狐の時間。

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歌舞伎座「六月大歌舞伎」第三部を観てきました☆
今月は三部制になってまして、一~三部まで通しで義経千本桜なのですが
最後の第三部にて猿之助さんが演じる狐忠信が宙乗りをするということで何が何でも行きたかったし
(狐忠信は3年前に1度見ていますが劇場の都合で宙乗りはなかったのだ)、
先月の春秋座にて「行きます」とご本人に面と向かってお伝えしたし、
約束を果たしに行く目的もあったので早いうちに行きたかったのでした。

さて、今日のお席はといいますと。
2016kabukiza5.jpg
ふふふ…(ここが一番の近道)

2016kabukiza6.jpg
じゃん!!
歌舞伎座初、というか人生初、1列目ほぼ中央にて観劇が叶いました☆
これまでは非常の人の2列目が最前記録だったのですが、ついに最前列になったよ~。
おおおここが伝説のかぶりつき席というやつか…!
首が痛いことになったけど前に人いない、足投げ出しても大丈夫、役者さん近くてオペラグラスいらない、
足音や衣擦れの響きやばい、附け打ちさんの音が爆音なみにビンビン聞こえる!
定式幕をこんなに間近に感じたのは初めてです。ヒャーハー!戻りチケットばんざい。

2016kabukiza7.jpg
3階席を見上げると既に鳥屋がセットされて、舞台からワイヤーが伸びていました。
おキツネちゃんが飛んでいく道だあ。

あと、今回はイヤホンガイドをあえて借りませんでした。
ストーリーは知ってるしお芝居に集中する日があってもいいなと思って。


柝が鳴って、まずは「道行初音旅」。こちらは初めて見る演目でした。
源氏に追われて義経とはぐれてしまった静御前が、義経が吉野山にいるという話を聞いて
家来の佐藤忠信(実は狐ちゃんが化けてる)を連れて旅をするというあらすじ。
舞踊劇なので踊りがたっぷり見られます!
幕が開くと浅黄幕が引かれていて、隙間から桜の花がチラチラ見え隠れしていて
上手に清元連中の三味線と謡が響きわたります。かっこいい~。
浅黄幕が切って落とされると、満開の吉野桜をバックに笠と杖を手にした旅姿の静御前が登場!
染五郎さんの静はエレガントで気品がありました。
旅姿をといて初音の鼓を打つお姿は指先まで優雅な佇まい、マジで好きになりそうだった…
そういえばわたし染さんの女形見るの初めてかもしれない!おおお(゚Д゚*)☆

お供の忠信は初音鼓を打つと必ず現れるので、静がポンポンと打つと
スッポンから忠信が登場!
この時点でもう人間じゃないよね(スッポンから出入りするのは人以外の生き物や妖怪、幽霊などです)。
「姿が見えなかったわね」と言われ「すみません、遅くなりました」と忠信は恐縮し、
静と一緒に男雛女雛みたいなポーズ(義経と静のつもり)とったりして舞うのですが、
時々ふいに狐手になったりヒョコヒョコ跳ねたりするので静にいぶかしがられます。
本性をおさえ切れてない^^
義経のことが大好きな2人は義経と一緒にいる雰囲気を味わおうと
近くにあった切り株に着長(大鎧)を置いて、静が鼓を上に乗せると(顔に見立てるわけですな)
まるでそこに義経がいるように見えるということで
2人の舞もどこか切ない感じでありました。
やがて静は屋島の合戦についての話を求めまして、
忠信は佐藤継信(忠信の兄)が義経をかばって矢に当たり戦死したことをジェスチャーつきで語ります。
開いた扇子で鎧の吹返を、閉じた扇子を胸に当てて刺さった矢を表現したりと
扇子が大活躍する語りでした。
また、この語りの部分から竹本連中が加わってかけあいの迫力が2倍になって
わたし1部観てないけど戦のすさまじさが再現されたような感じがした…もはや源平合戦。

そこへ猿弥さん演じる逸見藤太なる追手が部下を連れて花道からご登場。
敵役ですが、「腹が減っては戦はできぬ、そこらに茶屋があったら行きたいなー」とか言って
部下たちが先に進もうとしても花道を戻っちゃったりして
全然強そうに見えないのでピエロなのかもしれない^^
(藤太のたっつけ袴はワンピース歌舞伎でバギーも穿いてたね、道化役だからかな)
逆に部下たちはそんな上司に「じゃあオレたち先に行きますから」とか言っちゃうし
桜の枝(武器らしい)を持って着物の裾をたくし上げて動きやすそう、殺る気満々って感じ。
何とか舞台へやって来て忠信と静を見つけますが、ここ猿弥さんの言葉遊びがキレッキレで
「誰かと思えば1部と2部に引き続きのコンビ」(猿之助と染さんは今月は1部~3部通しで出演中)
「初の宙乗りの猿之助」「桜に染まる染五郎」とかたたみかけるように遊んでて
最後に「問うた、問うたーーー」と、自分のお役名の藤太に掛けてるのが見事でした!
染さんの口元が完全に笑っちゃってるの微笑ましかったし、
その隣で全力無表情管理の猿之助さんも面白すぎました(笑)あそこ見どころです。

忠信と藤太たちのバトルは忠信の圧勝に終わりますが(こっそり狐妖術使ってるしね)、
部下さんたちの飛んだり跳ねたりくるりと回って伏せたりのアクション超かっこよかった~!
藤太もクルクル翻弄されて、さっきまで静が持っていた笠と杖を舞台袖から持ってきて
静にナイスバトンタッチしてておもしろかった(笑)。
敵も静も去っていった舞台にポツンと残った忠信のもとに、1匹の黄色い蝶がひらひら飛んできて
忠信は目で追いかけて、そのうち我慢できなくなったのか狐手になって追いかけ始めて
スーッと花道に移動するのに合わせて黒子さんが2人も同じ動きでスーッと猿之助に近づいていったから
えっ何かある?と思ったら、ぶっ返りで狐火の衣装に早変わりして狐忠信の正体現した!!
すごいすごい感動のサプライズ、引っ込みも狐六法が鮮やかでした~。

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静と狐の去った後に落ちていた桜の花びら。
この後あっという間に定式幕の中へお掃除されてしまいました。

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今日のお弁当。すっかり気に入った手まり寿司です。


休憩を挟んで義経千本桜クライマックス川連法眼館の場、通称「四の切」始まりました~☆
もう幕が開いたところから御殿の階段や天井の戸袋に切り込みが入ってるのが目についてしまって
おキツネちゃん天井から来る気満々じゃん!と楽しみが倍増。
知らずに演目を見るのもいいけど、知ってると楽しめるのもお芝居の魅力ですな。
川連法眼と妻の飛鳥のやりとりは寿猿さんと吉弥さんの貫禄あるお芝居、
寿猿さんの声はひと固まりになって飛んでくる感じがする…元気玉キャッチするみたいな気分。

門之助さんの義経が「オレお前に静のこと預けたよね?鎧も名前もあげたよね??」と聞くと
忠信は「え、オレこの間まで破傷風で休暇もらってましたけど」ということになり
詮議のために亀井六郎と伊勢三郎が奥書院へ連行していくのですが
みっくんの亀井はむっちゃ声割れてたけど、地響き並みに劇場内に轟いていたし
マッティの伊勢はすっきりと上品な若武者っぽくてイケメンでした^^
笑也さんの静御前……道行の染さん静はひたすらエレガントでしたが
笑也さんの静は所作が丁寧だし小刀(義経からもらったもの)をキリっと振りかざすポーズも様になってるし
優雅さに強さと凛々しさが加わって、もうこの人ひとりで生きていけそうと思った。
ついていきます静さま!!
背が高くていらっしゃる笑也さんが武のお姫様を演じるとかっこよすぎてたまらん。
場面転換で出てくる6人の腰元さんの中に徳松さんと笑野さんがいらしてニッコリしちゃった(^ω^)ママー

狐忠信が出てくるシーンは3年前の後悔があるので
絶対に花道からの声には釣られないぞ!と観劇の1週間くらい前から決めてまして
静御前が鼓をポポポポンと軽やかに打ち始めた頃から黒階段を凝視していたら
(見逃すまいと緊張しすぎて心臓バクバクして変な汗までかいてた)、
「出があるよ!」の声と同時に階段上に猿之助さんが鮮やかに登場ーー!うおおお大拍手!!\(^o^)/
本当に一瞬だった、感無量です3年待った甲斐があったというものです…
来てよかった見られてよかった本当によかった。
あと、今回初めて気づいたんですけど狐忠信が出てくる直前に薄ドロが鳴って
階段から出現するとき大ドロが鳴るんですね!
四の切は劇場やテレビで何度か見ているため余裕があって、音に耳が向いたのだと思いますが
こういうのが楽しみでお芝居見ることもあります。

おキツネちゃんの身体能力とかわいさがすごかりし由良之助なのは知ってた、けど、
それらが進化してたのは知らなかった!!
猿之助さんは年齢と上演回数を重ねるたびに狐になっていく感じがして
わたしたちに見えないだけで黄色い尻尾ついてんじゃないかって気がする。
鼓の音に耳をすませ、音に合わせて頷いたりうれしそうにピョンピョン跳んだり階段を一段ずつ下りたり
「鼓の子に~~~~~……………ゴザイマスッ」とか、語尾がこうなるたび、
というか狐忠信が何かするたびに笑いが起きまくってて
お客さんたちが楽しんでいるのが背中からすごくわかったし、
鼓を返してもらって喜びまくるキツネちゃんがはしゃぎまくってるシーンで額からキラって何か飛んで
それが大量の汗と気づいたときのわたしの気持ちを想像してくださいよ、
こんなにこんなに楽しませるために動いてくれてもう……拝みたくなりました。
追手の6人の荒法師たちによるとんぼ返りや馬跳びやダンスも楽しかったし
(さすがにエグザイルはやらなかったです、巡業でやったのはサービスだったのかな)
彼らの薙刀が舞台からせり出してブルンブルン振られるので客席に飛んできそうな迫力でした、
空気が切り裂かれて動くのがわかるんだよ!1列目やばし。

そして3年前は劇場の都合で見られなかった宙乗りをやっとナマで拝見。
スッポンの手前、わたしのほぼ真横延長線上にて荒法師たちの手でワイヤーに吊られたキツネちゃんは
天使のようにフワリと宙に舞い上がったよ!
さあ幸せな時間の始まりだ!!
(このとき2階と3階の提灯がパーッと灯って劇場が明るくなったの素敵だった、
和風の昇天とかあったらこんなかなあ)
見得を切ってワイヤーをみょーんみょーんと揺らしまくりながら楽しげに宙を翔けていく様子を
竹本葵太夫さんが「爆翔」と表現していたけど、ほんとまさに爆翔だった。
さっきまでのお芝居もすごかったけど宙乗りはそれらを軽々と超えて全部もっていってしまった、まじ天使☆
(一瞬だけ手拍子が起きたけど自然現象だったみたいでその後はずっと拍手になってました、
猿之助さんがリズムを取り戻させたのかもしれない)
3階席では拍手の音が速かったり手を振る人がいたりお祭騒ぎのようなお出迎え、
鳥屋が開いて桜吹雪がワーッと降り注いだときはワーッと歓声が起きました。
道行に続いて桜舞い散る幕切れ!
おキツネちゃんは花びらと幸せを振りまきながら鳥屋へ引っ込んでゆきましたよ。バリかわ。

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狐が飛び去った後に落ちているのも桜の花びら。
床だけでなく花道や座席の背もたれ、お客さんの頭などにもちらほら。
お着物で結いあげた方の髪に花びらがはらりとかかっているのは大変すばらしい眺めでした←

そういえば、わたし3年前は義経や静の衣装が鎌倉風でないのが気になったり
義経こんなにのんびりしてないよなとか思ったりしてたんですが、
今回猿之助さんと笑也さんが素敵すぎてそんなこと全然考えなくなってて
だいぶ歌舞伎のカラーに慣れてきたかな?
あと、初音の鼓の音は染さんも笑也さんも吹き替えでしたけど
タイミングがばっちり合っていたのもすばらしいと思いました。裏方さんの底力。

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七月大歌舞伎と八月納涼歌舞伎の演目も発表されてたよ~。
猿之助さんは今月から3か月連続、歌舞伎座で奮闘するようですが
7月の流星で宙乗りするのはともかく(宙乗りも3か月連続です)、
8月のやじきた道中の「お伊勢参りなのにラスベガス」ってなんぞ!
今月も一緒の染さんと2人で宙を飛ぶようです、楽しみ☆

2016kabukiza12.jpg
拾ってきちゃった。右が道行、左が四の切に舞い散っていた花びらです。
素材と色がちょっと違っていました。
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