猫・本・歴史・アートなど、その日見たもの考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。
舞台(いた)から始まるミステリー、別の話。
2017年08月24日 (木) | 編集 |
前回記事を書いてからブログのカウンターがかつてない数値を叩きだしていて
小野但馬守政次の退場の重さをひしひしと感じとっているゆさです、こんばんは。
みんな鶴ロスなんだね…ナカマ…!!
正直、わたしも今もまだちょっと立ち直れてない感がありまして
次の日曜6時にテレビつけるのが何となく怖かったりします。
確かに物語としてははっきりすっぱり、これ以上はないというくらい綺麗な形で終わったので悔いはないし
回想シーンとかで出てくるかもしれないけどそれは過去の鶴なんだ…
鶴の時間はもう更新されないと思うと涙がとまりません。
あっでも、三浦春馬くんだって新しい回想シーン(?)とか突然あったし
今後の回想シーンの出し方次第では高橋さんが呼ばれる可能性まだあるのでは…?
大河ドラマと朝ドラの撮影スタジオは隣同士だって聞いたことあるよ!やれそうだったらお願いします。
(次の朝ドラでも高橋さんは主人公とお相手を見守るお役だと聞いて今から血涙がとまらないぜ)



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さて先日、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎第二部・歌舞伎座捕物帖のAパターンの結末について書きましたが
このたび無事にBパターンを観劇できたので感想かきます。

以下↓盛大にネタばらししておりますのでこれからご観劇予定の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆
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舞台(いた)から始まるミステリー。
2017年08月12日 (土) | 編集 |
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歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
去年すごく楽しかった東海道中膝栗毛の続編が上演されると聞いたのと
来年、幸四郎を襲名する染さんが今の名前で猿之助さんと共演するのは最後かもしれないということで
何がなんでも見たくてがんばってチケット取ったどー!
木挽町広場も涼しげな景色で夏祭りみたいな雰囲気でした。

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「修禅寺物語」と「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」を鑑賞します。
歌舞伎座捕物帖のサブタイトルの読みは一般公募から選ばれたそうだ。

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今回はここから鑑賞。
お舞台のほぼど真ん中で通路も近いぞ!役者さん通ったらいいのにって思った。(ら、後でほんとに通ってくれた!)

まずは「修禅寺物語」。
伊豆の修禅寺にある「頼家の面」と伝わる面の話を聞いた岡本綺堂が取材のうえ脚本を書いたもので、
頼家が暗殺される前日譚のようなお話です。
面作り師夜叉王の娘として生まれた桂(猿之助さん)は、公家だったお母さんの性格を受け継いで気位が高く
「わたしこんな家で一生暮らすなんて嫌、絶対に出世する」と息巻いております。
妹婿の春彦(巳之助さん)は夜叉王の仕事を誇りに思っているのでそんな義姉と意見が合わなくて、
姉も姉で「ちぇっ」てやって去るシーンとかあっておいおい(^^;)って感じ。
妹の楓(新悟くん)はハラハラしながら見守りますが
夜叉王(彌十郎さん)は桂はああいう性格だからと諦めている様子。(リアルやじゅさん親子だね)

そこへ頼家(勘九郎さん)が花道からおともを連れてご登場。青い狩衣がとっても涼し気です☆
頼家の顔を写した面を作ってほしいと頼んだけどまだできないの?と催促に来たのでした。
夜叉王は「何度も打ったけどうまくできません。いつできるかわかりません。自分の心に叶ったものじゃないと渡したくないです」
などと、芸術に時はないみたいなことを言いまして
怒った頼家が斬りかかろうとしたところを「面はできてますよ!」と桂が止めます。
夜叉王が気に入らなかったその面を、頼家は「おれにそっくりじゃん!」と一目で気に入りますが
夜叉王は「それはダメです。何度打っても死人の面にしかならないんです…」と悲しげ。
頼家は構わず、面と一緒に桂のことも気に入って連れて帰ってしまいます。
花道を歩いていく頼家と桂はたいへん美しかったですが
引っ込みBGMによくある三味線も太鼓も奏でられなくて、非常に静かな引っ込みだったのが印象的でした。

場面は変わって桂川にかかる虎渓橋で、頼家が橋の石にひじをかけながら桂と何げない話をするのですが
この時の勘九郎兄さんの立ち姿がめっちゃ様になっててかっこよかった~☆
出世したかった桂は頼家にお礼を言いまして、
頼家は頼家で妻の若狭を争いで亡くしたばかりだったので
「おまえ今日から若狭局と名乗りな」と言われて桂ちゃん天にも昇るような気持ちになっちゃいます。よかったねえ。
そこへ北条の使いの金窪兵衛行親が頼家と桂を追ってやってきまして
取り合わずに2人は逃げますが、行親は頼家を暗殺するために追っていきました。
たまたま茂みに隠れて一部始終を見ていた春彦は「すわ一大事」と走り出そうとして、
頼家が心配で戻ってきた下田五郎景安(萬太郎さん)に気づきかくかくしかじか…としゃべっていると
行親の部下がどどっとやってきます。
「春彦、ここはおれが引き受けるから、おまえは将軍に注進しに行きなさい!」と
みっくんを逃がして戦う萬ちゃんの立回りがものすごくかっこよかったよー!
戦いながら直垂の袖をきゅっと締めて腕まくりして、たった1人で5~6人をバタバタとやっつけてしまいました。
附け打ちのないリアル殺陣も初めて見たかも…新歌舞伎って色々と挑戦したジャンルだったんですね。

将軍御所に夜討ちがかかったと聞いて、桂を心配する楓ちゃんのところへ
春彦が走って帰ってきて、義父と妻に報告するのですが
「姉はさておき、上様の安否もわかりませぬ」とか言っちゃって、おい弟ちょっと素直すぎないか(苦笑)。
そこへ花道から桂さんがふらふらと歩いてくるのですが(将軍御所から逃げてきたんですね)、
振り乱した髪に頼家の面をつけて、血まみれの着物の上に直垂をつけて長刀を持っておいたわしい…!
七三でぴたりと止まって周囲を見回した猿之助さんはとても雄々しく見えたし
でも家の戸口に辿りついてバッタリ倒れてしまったのが哀れでした。
妹夫婦に抱えられながら「一時でも将軍に仕えられて、局の名前ももらって本望。もうしんでもいい」って、
えええちょっとーーーせっかく出世できたんだから生きようよ…生きてよ…(´;ω;`)
楓ちゃんが「パパ~お姉ちゃんしんじゃう」って泣いてるのに、当のパパはなんと
「断末魔の顔を今後の面作りの手本にしたいから、おまえちょっとそのままじっとして」とか言い出して
客席からえええ…!?って声が上がってざわ…ざわ…って戸惑いの雰囲気が。
やっべえ何か地獄変の良秀みたいなこと言い出しちゃったよこのパパ…!
妹夫婦がポカンと見守る中、きっと顔を上げる桂とそれをスケッチする夜叉王という
何ともシュールな場面の幕切れでありました。
同じ岡本綺堂作の番町皿屋敷を見たときも思ったけど
やっぱり綺堂の歌舞伎はよくわからないです…まだまだ修行が足らないね( ˘ω˘ )。


幕間に鳥屋を間近で見たくて、休憩に入ると同時にエスカレーターで3階へかっ飛んでいったら
下手側の通路(思い出の役者さんパネルがあるとこ)が壁パーテーションで封鎖されていて
ちょっとした騒ぎになっていました。
何か大道具でも運び込むのかなあと思って気にしなかったんですが、
これ実はやじきたにおける最初のサプライズのための仕込みだったと開演後にわかって
スタッフさんが説明しなかったのもうなずけます。あれは何も言えないわ…。
(わたし3階席で鑑賞したことないので知らなかったんですが、
あそこの扉が使えない場合は下手席の人は中央扉へ回らないとお席に戻れないんですね…
3階席は狭いから客席を通る移動は大変だろう)

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その鳥屋。
去年に引き続きクライマックスでやじきたが飛んでいくんだろうなぁとワクワクしていたわたしの想像は
幕が上がったと同時にあっさり瞬殺されたのでした。
なぜかというと。

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小さな中村屋たち。
2017年02月07日 (火) | 編集 |
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前回記事で少し触れましたが、
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部の門出二人桃太郎を見てきました☆
同演目にて中村屋の七緒八くんが三代目勘太郎を、哲之くんが二代目長三郎を名乗り初舞台を踏まれます。
わたし七緒ちゃんを見るのは今の歌舞伎座杮落し公演のお祭り以来ですが
哲ちゃんはナマで見るのは初めてで、
歌舞伎界のお祝い事に立ち会うのは猿之助さんや芝翫さんの襲名公演を見ていますし
大人が中心でしたからドキドキよりワクワクの方が大きかったけど、
お子様の初舞台を見るのは初めてでいつになくド緊張していつもと違う汗かいてました。
こんなにドキドキする開演前ないんですけど!劇場内も心なしかソワソワしていたような。

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木挽町広場には桃太郎と鬼の手ぬぐいの展示。
チューリップってこの時期でも咲くんだ!

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吊るし雛や七段飾りの雛人形も展示されていました。
節分が終わったら桃の節句ですねえ。

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幕見席から。
黄色くかわいらしい祝い幕はひびのこづえさんのデザインだそうです。

柝が鳴ってお囃子が奏でられ、祝い幕がシャ~っと開いていきまして
ああ、始まっちゃった…!と緊張感も最高潮に高まって顔を覆いたくなって
なんでわたしこんなに緊張してるんだ??と自問自答とかする始末でした。
ギリギリのところでSAN値保ってた気がする^^;
あと、いつも開演前はイヤホンガイドさんの解説を聴いて鑑賞に備えるんですけど、
今回もそうしてたんですけど、もうそれどころじゃなかったので内容が全然頭に入ってこなくて
上演中も解説を色々聞いたはずなんですけどあまり覚えてないです。色々とダメだ。

季節は春、おばあさんが川で洗濯をしていると
山の芝刈りから帰って来たおじいさんがそろそろメシにしようぜ~と声をかけます。
芝翫さんはまだ何となく橋之助さんと呼びそうになってしまう、いい加減慣れなくては。
すると川の上流からドンブラコ~と桃が流れてきて(黒子さんのお仕事)、
もうこの時点で客席には笑いが起きていた(笑)。
おじいさんたちはなんじゃこりゃ~と、桃に手ぬぐいを引っ掛けて岸に上げて家に持って帰ります。
桃が描いてある暖簾をはねて息子夫婦が出迎えて、大きな桃ですねえとか言うんですが
勘九郎さんも七之助さんも既にただならぬ表情でここから先の舞台をすごく心配してらっしゃるのが
びんびん伝わってきてわたしもさらに緊張してしまった(笑)。
おじいちゃんたちが包丁で桃をパッカーンと斬りますと、
中から黒子さんに抱えられた2人のちびっこ桃太郎が赤フン姿で登場ー!
「中村屋!」の大向こうも飛んで劇場が割れんばかりの大拍手!!
桃太郎たちはビビリもせずに見得をきってみせると
「おじいさん、おばあさん、こんにちは!」「兄の桃太郎です」「弟の桃太郎です」と元気いっぱい挨拶。
また大きな拍手が起きて劇場いっぱいに響き渡りました。
すごいすごい幕見席まで2人の声届いてるよ、すごいよー!(゚Д゚;)ハラハラ
そして勘太郎くんが長三郎くんを気遣って「こうするんだよ」みたいに目くばせしてるのも
長三郎くんが必死についていこうとしてるのもわかって涙出そうになった。

「鬼が島へ鬼退治に行きます」と勇ましく言う桃太郎たちは
鎧姿に着替えるため、息子夫婦とともにいったん家の中へ引っ込みます。
そこへ花道から登場してきたのが犬彦・猿彦・雉彦☆
吉備神のお告げで桃太郎が生まれたことを聞いたという3人は自己紹介をします。
染五郎さんの犬彦はダルメシアン柄のかわいいお衣装とお化粧で→こちら
両手を犬みたいに丸くしながら「腕力でワン斬りにします」とか言うし
(ちなみに勘三郎さんの初舞台では白鷗さんがおじいさんを、
勘九郎・七之助さんの初舞台では幸四郎さんが犬彦を勤めている縁があるそうだ)、
松緑さんの猿彦は「カニをだましたその知恵を活かします」とか真っ赤なお化粧顔でおっしゃるし
菊之助さんの雉彦は一番いさましく隈取してて「空から物見をいたします」とか凛々しいし
常に袖をひらひらさせて軽やかに飛ぶ演技をなさっていて素敵☆
そこへ花道から菊五郎さん扮する吉備津神社の神主さんが来て
村人たちもわらわら集まって来て、みんなで桃太郎が生まれたのをお祝いします。
「どれ呼んでみましょう、桃太郎さ~ん」と菊五郎さんが家の中に声をかけますと
「「はーい!」」とかわいらしい返事が聞こえて
息子夫婦に促されながら隈取に鎧姿の2人桃太郎が再登場してきたよ~!拍手☆
(勘九郎さん七之助さんの鎧をそのまま着ているそうです)
この間わずか5分、すごい、お着替え間に合ったね!よかった!!
くるりと回って見得を切って見事に決まりまして、また拍手。

ここで初舞台の口上に入ります。
菊五郎さん、弥十郎さん、雀右衛門さん、梅玉さん、時蔵さん、芝翫さんなど
錚々たるメンバーがお子様たちを気遣ってか手短に順番に挨拶されていく中、
勘太郎くんは微動だにせず下を向いて正座していまして
長三郎くんも最初はじっとしてたけど時間が経つにつれキョロキョロしたり両手ついたりそわそわ…
後ろの七くんが長三郎くんの背中や足に合図すると元に戻ってました(゜ω゜;)ハラハラ
そんな七くんが「叔父のわたくしに取りましても」とか言うの、女形の拵えだからちょっとおもしろい。
(ベルばらのル・ルーちゃんがオスカルを叔母さまって呼ぶみたいなこそばゆさがあるというか)
かなり気が気じゃなかったのかパパの勘九郎さんもものすごい早口で口上述べてて客席がじわった(笑)。
最後に桃太郎ズの「中村勘太郎でございます」「中村長三郎でございます」の元気のいい挨拶に
もう何度目かの客席からの大向こうと大拍手!
いよいよ鬼が島へ行くということになって花道からの引っ込み、
勘太郎くんの踏み込みと見得が一瞬、六方踏むんじゃないかと思うくらいすごくかっこよかった!
客席の拍手に送られながら2人でのしのし歩きながら引っ込んでいきました。がんばれ。

場面転換中には浅黄幕が張られ、大薩摩連中の圧巻の演奏。うおおおかっこいいー!

再び幕が開くと、そこは鬼が島の入口。
門前に鬼たちがズラリと並んでいるところへ花道に登場したのはお供を連れた2人桃太郎。
「ものどもかかれぇ」というお言葉に3人の部下たちが立ち向かいます。
犬彦は鬼たちにガブリと噛みつき、猿彦は鬼をあやつって自分をおんぶさせてしまい、
雉彦はヒラヒラ舞いながら鬼たちを翻弄します。
門前の鬼を追い払ってみんなで見得を切る雰囲気になって2人桃太郎も舞台上に来たんですが
桃太郎たちの立ち位置がいまいちハマってなかったのを
松緑さんが長三郎くんを抱き上げてちょっと間合いを詰めたので客席から笑いが起きてた。
その後無事に猿・雉・犬・桃太郎でバッチリ決まりました。ホッ(;´∀`)
門から鬼が島に入った後もわらわら戦って
奈落から島を制圧した桃太郎たちが鬼たちとともにせり上がってきたときの決めポーズかっこよかったし
(縄は桃の形になってた)、
鬼たちとの立ち回りで縄を引いたり切ったりして(縄引きは平安時代からのおめでたい習わしです)、
最後に勘九郎さん扮する鬼の総大将との立ち回りもちゃんと山とか八の字に切ってて
見得もしっかり決まってたよ!
総大将を縛り上げて「まいったか」「降参、降参、お許しなされてくださりませ~」となって
勝どきをあげるシーンで「「いずれも勝どき」」まではよかったけどエイエイオーが絶妙な輪唱になって
お供の3人が「お、おう」みたいになってておもしろかった^^2日目のご愛敬ですね。
鬼たちによる宝物バケツリレーで車にもっさり宝物を積んで
縛られた総大将を挟んで日本一の幟をかかげ「さあ凱旋だ」と金の扇子で見得を決めると
背景の海から日の出が!
パーッと舞台が明るくなって、万雷の拍手とともに幕引きとなりました。
柝とお囃子が鳴り響く中、勘九郎さんが長三郎くんとチラチラ目を合わせてたのが最高におもしろかった。
鬼じゃなくてパパ目線になってるよ!無理もない^^

とてもいい舞台でした。
ベテラン役者さんも裏方さんも2000人近いお客さんもみんな勘太郎くん長三郎くんを応援してて
劇場がひとつになっていたよ(笑)。
勘太郎くんは本当に安定してきて、これまで何度か舞台に立った経験がしっかり活きていると思うし
弟を常に気遣ってアイコンタクトしてて頼もしさ倍増。
長三郎くんは飄々とマイペースながらも「こうか」「あ、こうか」みたいに
ひとつひとつ動作を確認しながらこなしている感じで謎の安定感がありました。
保育園とかでいえば年長さんと年少さんですからたいていのことはできる年齢と思いますし
自分の子どもの頃を思い出してもお遊戯会とかで劇やダンスや太鼓など
色々やった覚えがありますが(そして本番はみんなちゃんとできてた)、
勘太郎くんたちみたいな大声とかメイクや衣装に耐えられるかどうかは…あれは訓練だよねえ。

ちなみに勘九郎・七之助さんの初舞台で刀を持っていたのはお兄さんだけだったそうですが
今回は2人とも刀を持っていまして、
理由が「長三郎さんがほしがったので」とお兄さんがイヤホンガイドのインタビューでおっしゃってて
何だか微笑ましかったです。
哲ちゃんは普段から色々な意味で大物らしい。

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閉幕後に外へ出ようとしたらスタッフさんから「豆まきがございますのでどうぞそのまま」とアナウンスがあり、
じきに幕が再び開いて役者さんたちによる舞台からの豆まきが行われました☆
桃太郎に出演されていた役者さんたちは拵えのまま、
ほかに亀三郎さんや金太郎くんなど今月の歌舞伎座公演に出演なさっている役者さんも
みんな紋付きで出てきてくれて客席も大盛り上がりの賑やかな豆まき、
鬼役の勘九郎さんと亀蔵さんも豆をまく側だったのがちょっとおもしろかった^^
3階席や幕見席はスタッフさんが配ってくれて、
わたしは手違いで2ついただいてしまいました。楽しかったー!

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千穐楽まで無事に走り抜けられますように。

そういえば初日には松潤が黒スーツに黒帽子で来ていたとか
着物姿の大竹しのぶさんを見かけたとかいう目撃談をTwitterでチラホラ見かけました。
松潤は親友の子の、大竹さんはかつての共演者の孫の初舞台をそれぞれご覧になったのだなあと思うと
心がポカポカしました。
お空の上では勘三郎さんや小山三さんが見守っていらっしゃるだろうなあ。
(そういえば小山三さんは勘三郎さんの初舞台で雉のお役だったそうです)
歳末の舞踊劇。
2016年12月17日 (土) | 編集 |
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歌舞伎座で十二月大歌舞伎第三部を観てきました!
演目がまるっと玉三郎さんオンステージみたいになってて「こ、これは行かねばならぬ…!」と
使命感にかられたので。
チケットもそれなりに残ってたけどせっかくなら前方に座りたかったので戻りチケットを待ちまして
無事に前方&真ん中あたりの席をゲットできました。
木挽町広場にもクリスマスツリーが並んでいて年の瀬モード~。

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第一部で上演中のあらしのよるにのキャラクター、ガブとメイのぬいぐるみもいた☆
あらしのよるには去年の秋に京都南座で初演された演目で主演は獅童さんとマッティです。
しどさんはアニメに続いて実写でもガブを演じられるのですね。
(そしてアニメのメイの声は成宮くんだったと思い出してしまった…成宮くん…つらい…)


今月の第三部は花道大活躍ですよ!お席が近い人は幸せです。

まずは「二人椀久」。
江戸時代初期の大阪に実在した椀屋久兵衛(略して椀久)さんの人生を書いた浮世草紙から
膨らませて作られた舞踊劇です。
椀久さんは大坂の豪商の息子で、廓の松山太夫を好きになって通い詰めているうちに
お金をどんどん使ってしまったので家族によって座敷牢に入れられてしまうのですが
太夫に会えなくて気が狂ってしまって、大夫に会いたい一心で座敷牢を抜け出した…ところから
お芝居が始まります。
タイトルに二人とついていますが、
これは椀久と椀久の羽織を着た松山太夫が踊るためで椀久さんが2人ということではないです。
(初演の3代目瀬川菊之丞は松山太夫を演じた際に「君が定紋伊達羽織、男なりけり又女子なり」の部分で
片身を男、片身を女で演じ分けてみせたそうだ)

幕が開くと舞台は海辺、大きな松がど真ん中に立って枝の隙間から月が見えています。
太鼓がさざ波の音を奏でていると花道から勘九郎さんが摺り足でご登場。
長い杖を引きずるように持ち、頭に紫の頭巾をかぶって
浅黄の落ち葉模様の着物に黒い十徳を片肌脱いで(何かとりついてる人の表現)、
呆けたような表情が儚げできれいな佇まいでした。
たぶん座敷牢をふらふら抜け出して足の向くまま歩いてきたら浜辺だった…みたいな感じですかね。
(あらすじ見たとき「えっ束縛お兄さん見られる…!?」と一瞬でも期待してしまった自分を殴りたくなった)
花道でひとさし舞って、舞台にきて松の木の前でひとり舞をしますが
やっぱり寂しくなってしまったのか床にうずくまってしまいます。
するとそこへ、舞台奥の仄かな闇の中からじわりとせり上がってきたのは玉三郎さんー!
立兵庫に前帯という江戸時代初期の遊女のいでたちでしたよ、完璧だわ。。
椀久さんの側へ寄ってやさしく起こしてあげると、椀久さんは飛び起きて一緒に舞い始めます。
織部の椀「武蔵野」を手に出会った頃の話をしたり、
月夜と闇夜どっちが好き、あなたの顔が見える月夜がわたしは好き、と語り合ったり
伊勢物語の筒井筒のまねっこをして扇子を水鏡に見立てて遊んだりして
2人ともとっても楽しそうな雰囲気。
照明もいつの間にか明るくなってて、2人のしあわせな気持ちが表現されているかのようでした。

そうしてるうちに踊りもお囃子もだんだん早くなって、
松山太夫が長い恋文をばっと広げて追いかけっことか始めちゃって
これはあれか、「うふふ~さあわたしを捕まえてごらんなさ~い」「あはは、こいつぅ」とか
昔の少女漫画とかによくあるシーンではなかろうか(笑)。
そしてふいに椀久さんをヒラリとかわして太夫は花道のスッポンから引っ込んでいってしまいます…。
くるくる回転しながら引っ込む玉さまはそれはそれはお人形のように可憐でありました…!
舞台にポツンと残された椀久さんは再びうずくまって目を覚まします、
すべては夢だったのでした…わああ何ということ~。
どこを探しても恋人は見当たらなくて座り込んで空をあおいでしまう椀久さん…
照明もいつの間にか暗く落ちていました。

焦がれる勘九郎お兄さんほんと切なさMAXだった…玉様は美しさMAXだった。


幕間の後は「京鹿子娘五人道成寺」。
タイトルからもわかるように安珍と清姫の伝説が元ネタになっている舞踊劇です。
道成寺は昔からよく見ている演目で、3年前に国立能楽堂でも見たことありますが
歌舞伎の道成寺を見るのは初めてwktk。

ストーリーは能の道成寺と同じ。
安珍と清姫の事件から何十年も経過した後の紀州道成寺の鐘供養に現れた白拍子が
舞を奉納しながらやがて鐘に飛び込んで蛇になるという流れで、
能との違いは白拍子に花子という名前があることと、蛇になった後の鬼vs山伏がカットされてることかな。
1753年に初代中村富十郎が初演した京鹿子娘道成寺が歌舞伎の道成寺の始まりで
今回の五人道成寺は白拍子を1人から5人に増やしてしまったというもので
近年はほとんど上演されなかったのを先代歌舞伎座のさよなら公演で復活したそうです。

季節は春、満開の桜に紅白幕が下りた舞台に所化(若いお坊さん)たちがやって来て
「聞いたぞ聞いたぞ!」とかおしゃべりします。
先頭は亀三郎さんで、わたし亀兄さんのお坊さん役初めて見たんですけど若さの表現でしょうか、
やたら甲高く大きな声で鐘供養だね~とか桜キレイダナーとかしゃべっててびっくりしました。
あんな高い声出せる人だったんだ…!
般若湯や天蓋とかごまかしてお酒と蛸を持ってきちゃってる所化さんたちは
僧侶としてのご法度はどこへやら、でも楽しそうにお花見しちゃってるとこへ
花道から白拍子の花子さんがご登場~!
七くんですっ綺麗めっちゃ綺麗っかわいい(^◇^)☆
「道行」というくだりでして、花子さんが道成寺のあるお山へせっせと登山してきた設定です。
ひとさし舞ってポーズしますと、スッポンからお兄さんが出ていらっしゃって七くんと瓜二つのいでたちでした。
花子さん分身しちゃったよ!
というか中村屋ご兄弟が2人とも女形で踊るのはかなり貴重ではないでしょうか!!(力説)
お兄さんは大きな手振り、七くんはひたすら可憐で拍手喝采!
義太夫の語りが響く中、おふたりがお化粧をする振り付けで口紅を拭いた懐紙を
ぽいっと客席に放り込んだときは声にならない叫びが聞こえた気がしました。
わああ花道近くの人たちいいなあ!
しかも舞台側だけじゃなくドブ席側にも投げててサービス精神がすごい、
ほんとあれは近くの人たちよかったねえとしか言えない、やばい。
しばらく2人舞して、お兄さんは一旦スッポンから引っ込んでいって七くんはそのまま舞台へ。
所化さんたちに「鐘供養に参加させてください」と頼むのですが
女人禁制のためダメです~と断られてしまって
じゃあ問答に答えられたら入れてくださいということになる。
色即是空、空即是色、手のひらの中の雀は生きてるか死んでるか問題など一通り会話しても
花子さんは諦めずに「拝ませてくださんせ」とお願いし続けます。かーわーいーいー!!(ダァン!←床叩)
所化さんたちはすっかりほだされてしまって、じゃあ鐘を見せる代わりに踊りを見せてねと注文をつけて
門をあけてあげちゃいます。

門がひらくと同時に七くんと所化さんたちは左右にはけていってしまいますが
ここでやっと背景の紅白幕がするすると上がります。
幕の奥からはずらりと並んだお囃子連中をバックに、満を持しての玉三郎さんご登場!
真っ赤な着物に金色の烏帽子をつけた玉様の足元が見えるや否や「大和屋!」の大向こうがとんで
ものすごい拍手が起きました。みんな玉さま待ってたんだー!
一人舞ですオンステージです、乱拍子の舞ですよ!
踊り始めに背をピンと伸ばしているのは能の道成寺を意識してるとか
足の爪先を左右に動かすくだりは蛇の頭と舌とか、舞台をジグザグに移動するのはお寺の階段をのぼる蛇とか
イヤホンガイドさんが細かく教えてくださって
花子さんが最初から目的を隠そうともしないのがすごく花子さんだと思いました。
美しく舞いながら鐘をチラチラ見たり、あからさまに鐘を見つめて見得きって「あっいけない」と顔をそらすとか
花子さんがどんな覚悟でここまでやって来たかみたいなのまで伝わってくるのも
歌舞伎ならではだなあと…能はここまで見せないよね。
あと能の道成寺の乱拍子は一定の静止の後に激しい踊りがあったりする静と動の舞で結構厳格なんですけど、
歌舞伎の乱拍子は常に動き回って仕草も美しかったりかわいかったりして、違いもおもしろいなと思いました。
「言わず語らぬ~」の手踊りになると赤い着物を一瞬で引き抜いて浅黄色の春らしい衣装にチェンジ!
はあぁいつ見てもすばらしい技術だよ引き抜き~\(^o^)/
玉さまが恋の分里の手毬唄を歌いながら毬つきを始めたら
七くんに勘九郎お兄さん、続いて梅枝くんと児太郎くんも出てきてみんな毬つき始めるから
5人の花子ズが円になってくるくる回りながら毬つきダンス!
ああああみんなかわいいかわいいぃいあああああ+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚

花子さんたちがいったんはけると、児太郎くんだけが残り赤い笠をかぶって舞い始めます。
振り出し笠という、手に持った笠を振ると3つの笠が連なって出てくる笠を両手で使って
梅と桜を愛でる語りの中で可憐な舞を見せてくれました。
そこへ所化さんたちが再び登場☆
花子さんの踊りを見て浮かれてしまったのか、
赤の襦袢に衣をたくし上げ卵色の股引を思い切り見せるファッションで花傘踊りの始まりです^^
(これは初演時にはなくてのちに9代目團十郎がつけた演出だそうです)
楽しい群舞の後半は2人の所化さんが残ってあっちはなんだ、こっちはなんだとわちゃわちゃ笑わせてくれました。
亀兄さんと萬太郎くんさすがでしたー!

続いてお色直しした玉さまが再登場、
お化粧したりラブレターを読んだり恋の手習いのクドキを舞います。
もうこれだけでも美しいしかわいいしでお腹いっぱいなのですが
手ぬぐいを使ってひとさし舞った後に舞台上から後ろ向きに手ぬぐいをぽいっと3~4つ投げたときの
客席のざわめきっぷり!(笑)
それらは前列にかわいく落ちていったのですが、
その後に所化さんたちがわらわら出てきて手ぬぐいを投げるイベントが突如発生!
イヤホンガイドさんまで「お客様へのサービスです、リラックスして楽しんでください!」とか煽るもんだから
客席みんな諸手をあげてこっちこっちー!とか大騒ぎになりました。
舞台から花道までズラッと並んだ所化さんたちがぽんぽん投げまくって方々に降り注いで
最後に振りかぶった人のピッチングは3階席まで飛んでいってものすごい歓声おきてた!わー☆
わたしはもらえなかったけど近くの人が受け取ったのをこっそり見たら
5人の花子さんの家紋が入った絹の手ぬぐいだったみたいです→こちら
これ演じる役者さんによって手ぬぐいの名前も変わるみたいですから
この5人の手ぬぐいは今月しかもらえないのですな~いいなーいいなー!
次にこの道成寺が上演されるときはどなたの名前だろう、次回は欲しいぞ(゚∀゚)☆

続いて七くんと勘九郎お兄さんがお揃いの卵色の着物(雅楽の大太鼓の模様入り)に鞨鼓を胸に下げて登場、
鞨鼓の踊りが始まったよ!
お囃子に合わせてリズミカルに鞨鼓を鳴らしながらの舞はこれでもかとかわいさ爆発してた☆
またこのくだりは山尽くしといって、太鼓のバチで八の字をつくって吉野山や嵐山などの山を表現するのですが
途中で一瞬だけ鬼の角になってるのがブレない花子さんって感じだし、
仕舞いに舞台へ座り込んでお互いの片手を合わせてお祈りポーズするとこ最高に兄弟百合だった…尊い…(真顔)。
五人道成寺の至高は玉さまですが中村屋兄弟の尊いシーンもてんこ盛りでございます、
こんな道成寺次はいつ見られますか。やばい。
歌詞が変わって「ただ頼め~」の手踊りは梅枝くんの一人舞で、
神様に恋の成就をお願いしたりするくだりが最高にかわいい。
紫の着物から蛇の脱皮のように一瞬に着物を引き抜いて墨の桜柄の着物になると
同じ柄の着物を着た玉さまたちがさーっと再登場、
全員が両手に鈴太鼓を持って5人花子ズによる鈴太鼓踊りになりました!
2つの太鼓を打ち付けたり、鈴をジャラジャラ鳴らしたりしながら田植え歌にのって踊ります。
もう5人がそれぞれすばらしすぎてどこを見ればいいのか全然わからない、
視線を忙しく動かしてどの人を見ても目がしあわせでした。
あああああかわいいんじゃあ~~~!!(何度目)

やがてお囃子が激しくなって踊りも激しくなり、
明らかに花子たちの様子がおかしくなってきたのを所化さんたちも気づいて踊りを止めようとしますが
花子たちはヒラリヒラリとかわして逃げてしまいます。
と、ここで天井に吊られていた鐘がするするっと板の上へ降ろされ花子たちの姿が一瞬、隠されますが
鐘の後ろから出てきた花子たちは銀のウロコ箔の着物姿に髪を振り乱して
5人でわらわらと鐘に乗っていった!
玉さまとお兄さんが上にいて他のお3方が下にはべる光景はまさにとぐろを巻いたがごとく、
荒々しいとさえ思える巨大な大蛇が一瞬のうちに舞台に出現した感じでぞわぞわっ!としました。
(歌舞伎公式サイトに写真が載ってましたのでどうぞ→こちら
やっばいマジ炎出して鐘燃やせるよこの人たち!
能の道成寺でも戦慄したけど、歌舞伎の道成寺はまったく違う種類の戦慄を覚えて
あんまり驚いたのでここで幕切れというのに拍手するのも忘れてしまって、というか一瞬だけ拍手の音聞こえてなくて
嵐のような拍手が聞こえてきたときにようやくあ、手動かさなきゃと思ってやりました。
大蛇になった花子ズを所化さんたちはひたすら祈っておられましたがわたしも本当そんな気持ちでした…
拍手するより手を合わせたくなるというか、さっきまで「玉さま素敵ぃ」「七くんかわいい」と思って観てたのに
ラストだけはわたしの中で役者さんも花子さんも飛び越えて「清姫」になってしまったんだと思います。
これもある意味供養なんだろうなあ…役者さんてすごいなあ…。

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今年の観劇はこの日で終わり、よい歌舞伎納めになりました。
今年もおもしろく、楽しく、きれいな、かっこいいお芝居をたくさん見せてもらえて
役者のみなさま関係者の皆様に感謝感謝です。
来年も豊かな時間を過ごせますように。


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銀座4丁目の歩行者天国にもイルミネーションとクリスマスツリーがたくさん並んで綺麗でした。


あと、この日は己巳の日(1年の巳の日で一番縁起のよい日)だったので。
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歌舞伎座の前に品川の上神明天祖神社に行きました。
境内の小さな池に、その昔は白蛇が住んでいたという言い伝えがあって
その蛇のために弁天社も建てられています。(蛇と言えば弁財天の御使い)
道成寺観る日に蛇の神社にお参りという、たまたまですがおもしろい日になりました。

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撫で白蛇像。撫でるとご利益があるそうな。

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弁天社は拝殿の隣の池のほとりに建っています。

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御使いの白蛇は迫力あるけど手作り感にあふれています。
卵がお供えされていたのは蛇の好物だからかな。

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巳の日限定の御朱印とおみくじ。
社務所がむちゃくちゃ混んでて1時間くらい待ったけど無事にいただけました。。
弁天社の御朱印もいただいたら琵琶が。

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とらやの鶉餅もゲットしてきたよ^^
来年は酉年なので一足先にいただきました~もちもちしておいしかったです。
次の年の干支物が出てくると年越しの実感がじわじわ湧いてきます…年賀状がんばらねば。
襲名の秋。
2016年10月05日 (水) | 編集 |
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歌舞伎座にて芸術祭十月大歌舞伎を観てきました。
中村橋之助さんが八代目中村芝翫を、息子さんたちがそれぞれ橋之助・福之助・歌之助を襲名なさる公演で
運良く初日のチケットも取れて有難や~。
役者さんの襲名披露公演を舞台で見るのは四代目猿之助さんの巡業以来で
歌舞伎座での役者さんの襲名を見るのは初めてでしたが、
テレビ局のカメラや取材の人数がハンパないし、インタビューされてるお客さんもいっぱいいたし
歌舞伎座でお着物のお客さんは珍しくありませんがあの日は妙に着物率が高かった。
たぶん団体でお着物とかお召しの人たちがたくさんいたんだと思う。

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まったくそんな予定なかったけど流れで入場がほぼ一番乗りになっちゃってわーいと劇場入りしたら
スタイリッシュな祝い幕!佐藤可士和さんのデザインだそうです。
佐藤氏は他にも手ぬぐいとか、今回の襲名にあたり諸々デザインとか担当なさっているらしい。
(配り物の扇子の絵は山口晃さんが描いているそう)

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花道セッティングが好きなので見ていたら桟敷席のカーテンがざわざわっと開いて
芸者さんたちが入っていらっしゃった!
初日は新橋組合総見の日でもあったようです。黒の引き着がズラリと並ぶ様は壮観。
襲名ってスゴイな…。

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2階ロビーには祝い幕を入れる箱がでーんと。
そんなに大きくはなくて、本当に幕を仕舞うわけではないそうですが
こういうのも作られるのですね。

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壁にはお祝いの絵馬がたくさん。
ざっと見ただけでも大竹しのぶ、北大路欣也、竹中直人、仲間由紀恵、西村雅彦、野田秀樹、若村麻由美…
襲名ってスゴイな!!

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今回はここから。舞台にも花道にも近くてラッキーでした。
芝翫さんが勇壮に登場したり、松禄さんが外郎を売りながら歩いて来たり
玉さまが優雅にひとさし舞って引っ込んで行ったりしました(*´ `*)。


幕が開いて、まずは歌舞伎十八番「外郎売」。
初演(1718年)は二代目市川團十郎です。
二代目が持病の咳が止まらず困っていたときに小田原の透頂香(通称:外郎)を飲んだら治ったらしくて
お店へのお礼にと宣伝も兼ねて「外郎売」のお芝居を作ったのが始まり。
(外郎はもともとは薬の名前で、お菓子の外郎が売られ始めたのは近代になってからです)
主役の外郎売が芝居の中盤でたたきだす早口言葉の口上が見どころで
現代ではこのセリフを俳優養成所やアナウンサーの研修などで引用することもあるそうだ。

浅黄幕が切って落とされると、箱根のとある神社にズラリと集まった人々のご登場。
真ん中にいる工藤祐経は大名や遊女たちに囲まれて宴会をしているところで
(頼朝さまからの覚えもよろしいですな~みたいなことも言われたりする)、
実はこれから登場してくる曽我兄弟の父親を殺した人だったりします。
歌六さん、貫禄のある佇まいで敵役ですがかっこいい☆
お酌している大磯の虎と化粧坂少将も七くんと児太くんでたいへん美しくて
特に七くんの襟足はなんだありゃ、
「着物姿の基本は襟足!うなじの色気が着物の醍醐味!」などと普段から力説しているわたしですが
いざ美しい人がうなじを見せている場面に出くわすと目のやり場に困ってどうしたらいいかわからなくなります。
神は七くんをなぜあのように作りたもうた…!
右近ちゃんの舞鶴も梅丸くんの喜瀬川もかわいすぎか。
と、そこへ花道から外郎売が商売のために声を張り上げるのが聞こえて
余興がほしいと言う工藤のために小林朝比奈と妹の舞鶴が呼びます。
亀寿さんが衣装をめっちゃ着込んで派手な隈取りしてるから倍近く大きく見えてハックリョク~。

呼ばれて花道から出てきたのが外郎売(名前を聞かれて松緑って名乗っちゃっておもしろかった)、
実は曽我兄弟の弟の五郎が変装した姿です。
外郎売は「寿曽我対面」が元になっている、いわゆる曽我もので
そこから一場面を抜粋してアレンジを加えたのが「外郎売」ということになります。
身をやつしてはいてもメイクと眼光は血気盛んな若者そのもので
松緑さん~~~~~かっこいいぞ!
「急いでこれへいらしゃんせ」と虎と少将が呼びつけまして(実は曽我兄弟と虎・少将は恋人同士)、
舞台の上へのしのしと歩いてくる外郎売。
ああ、ただの商人というより武者の貫禄がまったく隠せてないよ(笑)そこがいいんだけど。

中央までやって来ると松緑さんは客席に向かって両膝をつき、
「芝翫さん、橋之助さん福之助さん歌之助さん、襲名誠におめでとうござりまする。
このめでたい公演に市川宗家よりお許しをいただきまして、外郎売を勤めさせていただきます」と
深々とお辞儀しちゃった。拍手ー!
さっそく売り文句の口上を述べるのかと思いきや、
茶道珍斎とあれこれおしゃべりしてるうちに止まらなくなってスイッチオンしたみたいで
「そりゃそりゃそりゃ回ってきた回ってきた~」のところで待ってました!と絶妙なタイミングで大向こうが入り
とざいとーざーい、に続いて「そもそも早口の始まりは~」キター!+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
外郎の歴史や効能について武具馬具武具馬具とか麦ごみ麦ごみなど早口言葉を交えながら
10分くらい一人でしゃべってるんですが
どこで息継ぎしてるのかもわからない、朗々となめらかに、立て板に水のように、
初日のご愛敬でちょっと危なげなところもありつつ「ホホ敬って申す~」とよどみなく言いきった瞬間に
客席からワーッと割れんばかりの拍手がおきた!!
スゲー噂には聞いていましたが実際に目の前で役者さんが披露されるとドキドキ感が違ったし
千穐楽に向けてどんどんよどみなくなっていくと思うとそれもドキドキするし
何より松緑さんがかっこよすぎた。
大薩摩連中の演奏もよかったですよ~。

茶道珍斎は遊女たちを口説くため舌が回るようになりたいと外郎を一服たべますが
全然うまく早口言葉が言えなくて、
どうしようかな~とか言っちゃう吉之丞さんめっちゃかわいかった。
五郎は親の仇を目の前にしているので次第にカッカしてきて「覚悟しろ~」みたいなことを言い出すと
五郎の兄・十郎が工藤の手下たちに追われながら花道をやって来て
「今はその時期ではない」と弟を制止します。
亀三郎さん扮する十郎は裃に長袴の目元涼やかな超イケメンでした!気をしっかり持たないと虜にされそう。
それでも五郎は収まらず、工藤の手下たちに止められながらグギギ…と悔しそうで
勢いあまって飛び出そうとするのを十郎兄貴が手刀ひとつで止めててかっこよすぎました。
工藤が「じゃあおまえ後でここに来いや」と再会を約束して
最後は全員、それぞれの場所でポーズして絵のような幕切れ。ありがとうございました!

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幕間。
芝翫さんの襲名なので久々にめで鯛焼きを買いました。あんこと紅白餅の絶妙なハーモニー。

この後、売店に行こうとして通路を歩いていたら
1階席花道脇の一番後ろが梨園の人々ゾーンになっていて
全員はわからなかったけど芝翫さんのお母様の雅子さんや、前田愛さん、七緒ちゃん哲くん、
あとたぶん関係者の奥様方とか、ロビーで忙しそうに動き回る三田寛子さんを見ました。
わたしあまり詳しくないんですけど襲名披露中ってひょっとして寛子さん毎日いらっしゃるんだろか…。


幕があがって、次は口上。
金屏風や襖に水墨の龍がうねうねと描かれた背景がむちゃくちゃかっこよかったです。
七くんの「叔父といとこたちの襲名は本当にうれしい。小さいに兄いにと慕ってくれる後輩をよろしくお願いします」とか
玉さまの「幸ちゃん(芝翫さんの本名の幸二)」呼びとか
菊之助さんの「芝翫さんとは住んでるところが近いんです」とか
病気をおして懸命に語る我當さん(呂律が聞き取れなかったけど強い声だった)とか
菊五郎さんの「先代芝翫から六代目菊五郎の話をよく聞いた」とか
吉右衛門さんと東蔵さんの「先代芝翫から色々教わりました。芝居も競馬も」とか
児太郎くんの「父の福助(芝翫さんのお兄さま)も懸命にリハビリに励んでおります」とか
梅玉さんの「まだつい橋之助さんって呼んじゃう」とか、随所にポカポカした雰囲気でほのぼの。
芝翫さんの「とても大きな名跡ですが、名を汚さぬように精進いたします」という決意と
橋之助を継ぐ国生くんの「3人で一層、芸道に励みます」という頼もしい言葉や
最後に藤十郎さんの「歌舞伎をいついつまでも末永くご愛顧賜りますように」との
祈りのこもった言葉で幕切れとなりました。

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幕間にあさり炊き込みご飯。
と、とらやで買った御好梨木饅(1780年初出)。果物の梨は大好物ですがお菓子の梨も好き~。


続いて芝翫さんが主役を勤める「熊谷陣屋」。
吉右衛門さんと海老蔵さんが主役を演じた舞台を見たことがあるのですが
今回は芝翫さんの襲名公演なので「芝翫型」で演じられるとのこと。
「大芝翫」とも呼ばれた幕末の役者・四代目中村芝翫がつけた型で
團十郎の「團十郎型」とは少し違っていると数年前のインタビューにもありました。→こちら
わたしが見たことあるのは團十郎型で、首実検で制札を下げたり最後に花道の引っ込みがあるのですが
芝翫型では制札を上げたり、花道ではなく舞台の上で幕切れだったりします。
服装もちょっと違って、天鵞絨の着物に赤地錦の裃をつけて
顔も真っ赤に塗って芝翫隈といわれる隈取をほどこしたものだったり
出家後の僧侶になった姿が有髪だったりちょこちょこ違いが。
團十郎型は壮年の渋さがありますが、芝翫型は勇ましさが強調されているように感じました。

熊谷陣屋は直実が敦盛を殺した(ことになっている)あたりから出家の決心をするまでの話で
この演目で直実が何歳の設定なのかは不明ですけど
史実の直実は50代で出家していますので、いま芝翫さんが直実を演じると年相応なのかもなあと思った。
荒事の團十郎型と違ってどちらかというと抑制したセリフ回しで
花道で聞き慣れている「16年は夢だ、夢だ」のセリフも舞台で言うとしみじみ感があるし
直実の顔は赤いのに型は全体的にトーンが暗い。
だから制札を上げての見得が派手に見えるのかな…。
後半、雛壇がくるりと回り竹本葵太夫の語りになってから色々どんでん返しがあってのクライマックスでは
夫婦2人舞台に並んで花道に行かずに幕切れなので、
團十郎型とは異なる悲しみといたわりの表現が芝翫型にはあったと思う。
そして随所で成駒屋、八代目、神谷町!などいつになく大向こうが多くて盛り上がりました。
芝翫さん襲名本当におめでとう~~!

魁春さんの相模はつつましく愛情にあふれた人で
夫から子の首を受け取るのとか気の毒すぎて見てられなかったし
なんでや~小次郎ちゃんなんでこんな目に遭うんや~~!ってわたしも一緒に泣きたくなった。
菊之助さんの藤の方はきりっとした美人、敦盛の敵討ちのために斬りかかる勇猛さと凛々しさと
(この芝居の敦盛は後白河院の子という設定なので)気品も漂って
子を返せと叫ぶ声は劇場中に響いていてそうだそうだ~!とか応援したかった。かっこよかった。
弥陀六も相変わらず食えないおじいちゃんですけど今回は腹に一物感がすごい、
歌六さんは隠し事をする人を演じると誰にも負けないというか
隠し事がバレたときの表情とか良くも悪くも豹変する演技にものすごい説得力があると思う。
吉右衛門さんの義経との「目でやり合う」感がすごくて
互いに何かひとつズレたら刀抜くんじゃないかと思った、
大ベテラン同士のぶつかり合いは鎬を削るどころじゃないぜ!
からの、義経が直実に言う「堅固で暮らせよ」は精いっぱい声を絞り出した感があったな…。
義経の後ろに歌昇くん、右近ちゃん、福之助さん歌之助くんがおっかない顔でドレミファと並んで壮観。

勢揃いしての引っ張りの幕切れでは
最後の最後、幕が閉まる寸前に芝翫さんが両目を閉じくっと天を仰いでいました。
熊谷陣屋は子どもが酷い目に遭うので好きにはなれない演目だけど
一方で直実が「こうした方がいいに違いない」と想像して動くのとか、それを利用した義経とか見てると
封建社会や武家システムを批判してるような気もするから苦手というのも何か違う。
作者の並木宗輔は仮名手本忠臣蔵も書いてて一筋縄ではいかない芝居づくりの人だし、
それを二代目や四代目は各々の思想で再現しようとしたのかもしれないな…
ひとつのお芝居に色んな型があるの面白いし、時代や人によっても表現は変わるし
込められた思いもきっとひとつひとつ違うんだろうなとかぽつぽつ考えました。


続いて玉三郎さんによる「藤娘」。
正直に白状しますと一番楽しみにしていた演目だったりします(笑)。
江戸時代に大津で販売されていたお土産絵「藤かつぎ娘」がモチーフといわれていて
初演では連続舞踊のひとつで、絵から藤の精が出てきて踊るという内容だったのを
六代目菊五郎が独立した舞踊にしたのだそうです。(当時の舞台装置は小村雪岱が担当)
先代の七代目芝翫さんは女形だったので藤娘も何度か踊られたらしく
それで今回玉三郎さんも藤娘を、というお話があったとご本人のサイトにコメントがありました。
(あとシン・ゴジラ見に行かれたそうで…ゴジラをこんな美しい言葉で褒める方初めて見た)

柝が入ると徐々に照明が落ちて、劇場内は真っ暗に。
幕が上がる気配は何となくわかったものの、舞台に何があるのかもわからないまま
キキキキ、キッ…と柝が入ってワクワクしていたらパーーッと照明がついて
舞台いっぱいに枝を伸ばし花を咲かせた大きな藤と松の樹のセットの下に
藤の振袖をまとった玉さまがスッとポーズきめて立っていた!!
大和屋!の大向こうとともにわーっと嵐のような拍手が起きたよ、綺麗ー!!\(^o^)/
伴奏の長唄連中は、たいていの舞台では雛壇に乗って演奏しますが
舞台と一体感を出すためという六代目菊五郎の意向にしたがい床に座っての演奏で
その中にたったひとりの藤の精がたたずむ様はもはや錦絵。
あれぜひ舞台写真にして売っていただきたい…買ったことないけどあれならたぶん買う。

そのあと繰り広げられた舞踊はもう何を言えばいいのか…めくるめく美しさと神秘のオンステージ。
ままならぬ男性のつれなさを踊りに託しながらときどき樹の後ろに隠れてお色直しして
また出てきて踊るたびに客席から「ああ」とも「おお」ともつかぬどよめきが聞こえて
この世のものとは思えない夢のような一幕。
わたし踊りのことは全然わからないけど玉さまが妖精も天使も超越してるのはわかった、
マジたまんない、何も言えない。
お酒が入ってからの酔っぱらい演技(藤の精はお酒好きらしい)は
六代目による藤音頭です…というイヤホンガイドさんの解説もどうにかこうにか耳に入る程度には
ボーっとしていたように思います。
映像でしか見たことなかった玉さまの藤娘が目の前にいるのがうれしかったけど
見てるうちにうれしいとか素敵とかの気持ちさえも感じなくなって、あれは何だったんだろうとか
花道でひとさし舞ってするりと引っ込んで行かれて幕が下りてもしばらく頭がフワフワして現実感がなくて
イヤホンガイド返したり駅に降りて電車に揺られたりしてるうちに
夢から醒めるってこんな気分かな…とか、そんなことを考えたひとときでした。
よくドラマとかで物事に心酔して何話しかけても上の空な登場人物とかいるけど
ああなる人ほんとにいるのかなって思ったけど、いました!身をもって知った。
こんなに観劇後に引きずったの初めて!夢のような時間ってこの世に存在するんですね…。


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ライトアップ歌舞伎座。
初日おめでとうございます。皆様ご無事に千穐楽まで走り続けられますように。

実はまだ芝翫さんとお呼びするのが慣れなくて
この記事を書いてるときも何度か橋之助さんと打ってしまう始末なんですけど、
今回、芝翫さん演じる幕末の型の熊谷直実を通じて
わたしは幕末も四代目もまったく知らないのにあー今舞台にいるのは四代目なんだなって気持ちになって
その瞬間はわたしが慣れ親しんだ「橋之助さん」ではなくてものすごく「芝翫さん」だったなあと思った、
早く慣れたい。
空飛ぶ東海道中。
2016年08月12日 (金) | 編集 |
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歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
六月大歌舞伎の記事にちらっと書いたやじきた道中「お伊勢参りなのにラスベガス」が楽しそうだったし
10月に芝翫を襲名する橋之助さん親子の、今のお名前での最後の舞台が見たくて
がんばってチケット取りましたけど今回は大激戦だった……orz
6月から続く猿之助さん三か月連続宙乗りの最終月とか、橋之助さんの襲名前とか
そもそも納涼は普段よりチケットが安いとか色々重なったためでしょうか、
先月の一般発売日にあっという間に満席になってしまって戻りをひたすら待つ日々で
約1ヶ月間の激闘を経てわたしは!当日券をゲットしたぞおおおおおうおぉぉお\(^o^)/
(当日分て窓口でしか買えないんですね初めて知りました…
窓口の方にかなりご迷惑をおかけしてしまいましたごめんなさい本当にありがとうございました)

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チケット取れたのが奇跡のようでしばらく膝が笑ってたんですけど
どうにか寿月堂さんに辿り着いてランチにしました。
久し振りにたまごの茶巾寿司をいただいた~かんぴょう・胡瓜・海苔で定式幕の色になってるの。

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じゃん!お舞台も花道も目の前!
近いのが戻って来たらいいなと思ってたけどマジでこんな良席が戻ってくるとは思わなかった、
これで今年の運は使い果たしたなと思いました…たぶん宝くじ買っても当たらない。

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見上げると宙乗りセットが2つ。
今回は猿之助さんと一緒に染五郎さんが空を飛ぶと聞いてわたしァ頭がどうかなりそうだったよ、
生きてる間にあのおふたりが宙を舞う姿ってなかなか見られないと思うの。

以下↓新作歌舞伎のため盛大にネタばらしになりますのでこれからご観劇の方ご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆
[READ MORE...]
流星少年。
2016年07月23日 (土) | 編集 |
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歌舞伎座で七月大歌舞伎を観てきました!猿之助・巳之助・右近のお3方による「流星」が目的です。
(猿之助さんは先月に引き続き3か月連続宙乗りのふた月目だよ)
青い幟に花火の飾りと、木挽町広場も夏の装い。

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花火の足元には酒井抱一の俳句があったよ。
「星一ツ残して落る花火かな」自撰句集『屠龍之技』からの引用です。
抱一は他にも「素麺にわたせる箸や銀河(あまのがわ)」(軽挙館句藻)とか詠んでて
お気楽で洒脱な句が多くて楽しい。

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例によって幕見席から。
かなり混雑していて座れるかわからなかったけど無事に最前列に落ち着きました。
流星は舞踊劇なので、踊りに集中したかったので座って見られるのは有難いです。

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流星さんが吊られるワイヤーを幕見席目線から。
猿之助さんはいつもどんな風に飛んでいくかわからないからワクワク。


流星の初演は江戸時代末期、新七と名乗っていた頃の河竹黙阿弥が書いた作品で
もともとは「宮島の日」(竹本)、「祭礼の月」(常磐津)、「夜這星」(清元)という
日と月と星の三段返しの構成だったのが今は星(流星にタイトル変更)だけが残っているそうです。
また初演時の市川小団次の宙乗りによる打ち出しは現代では省略されることが多いのですが
今回、猿之助さんはやってくれましたよ!
流れ星というだけあって空を飛んで帰っていくというのは最高のシチュエーションですな☆

幕が開くと、舞台には澄み切った夜空に金色の雲がふわふわ漂っていまして
(今月、舞台に上がってる清元の方が画像をつぶやいてくれてます→こちら
たぶん1階席で見たら奥行きが感じられたのではないかと思う。
やがて1階からワーッと拍手が起こってイヤホンガイドさんが「牽牛は巳之助」「織女は右近」とか紹介し始めたけど
何ということ、お2人は舞台の奥からご登場なさったようで
幕見席からは見切れてるー!!(号泣)
上の写真からご想像いただくしかないのですが、舞台の奥は死角になってしまってるんだ…orz
イヤホンガイドさんが一生懸命、みっくんと右近ちゃんの衣装を説明してくれるんですが
肝心のお2人の姿がまったく見えないので早く出てきて!来て!!ってなってた。

そんなこんなで金色の雲の中をゆったりと舞台正面に降りていらっしゃった牽牛と織女、
みっくんは目元涼やかなイケメン、右近ちゃんは優雅な美女!
満を持してみたいな感じだったのでうおおお!ってテンション上がりました。
流星は古代中国のお話なので牽牛も織女も唐風の衣装を着てらっしゃって
みっくんは白が基調、右近ちゃんは赤とピンクが基調で衿と袖がレースみたいにヒラヒラしてました。
(猿三郎さんがブログに写真をアップしてくださってます→こちら
「お懐かしや我が夫(つま)さま」と牽牛の手を取る織女たんかわゆす(*´︶`*)。
どうやら去年の七夕の夜は雨が降ってしまったので会えたのは3年振りらしいです。
喜びの舞をゆったりと踊ってラブラブな2人…のところへ
「御注進御注進!」と花道から流星が踊りながらやって来ます。
牽牛と織女が踊るのをやめて「何事ですか?」と尋ねると
「えっとね、こんなことがあったんです!」と、いきなり近所の雷神夫婦に起きた顛末を話し始めます。

「雲の上に雷夫婦が住んでるんですけど、夫がうっかり地上に落っこちちゃって
しかも雲をなくしてしまったので帰れなくなっちゃって、
落ちたところがたまたま端唄のお師匠さんの家だったのでついでにお稽古を受けて
やっとお空の上に帰ったと思ったら雷のゴロゴロ音が端唄のエェ~~ゴロゴロみたいな節になっちゃって
妻に「そんなへそで茶を沸かすみたいな音、ガラガラピシャって鳴らさなきゃ様にならない」って怒られて
夫は「うっせーそれは昔の音だ、今は端唄の節で鳴らすのが粋なんだよ」ってやっぱり怒って
出ていけ~とか言い始めるんだけど、
夫は婿養子だから妻が「ここはわたしの家だから出てくのはあんた」とか言ってると
子どもの雷ちゃんが「ケンカやめて~」って泣きながら出てきて、
近所のおばあちゃん雷もやって来て「やめなさい」と止めようとしたらその場で転んじゃって
弾みに入れ歯の牙を飲み込んで大慌てになって、それを見て笑ってるうちに2人は仲直りしましたとさ。
っていうのを御注進に来ました!
じゃあねー!」(by流星)

頭に銀色の玉(星をあらわしてる)を付けた猿之助さんの流星が花道から登場したとたんに
劇場の空気がガラッと変わるのがわかって、
そこからもうずーっとニヤニヤ笑いが止まらなかったです(*´∀`*)。
猿之助さんは1人で雷ファミリー4人を躍り分けるのですが、そのために後見さんが後ろについて
雷の夫・妻・子ども・おばあちゃんの4種類のお面を用意していて
そのお面をセリフの都度つけ替えながらの踊りとなります。
「ここは役者と後見のタイミングと息の合った技術が必要になります」とはイヤホンガイドさんの言。
しかしそこは猿之助さんですから安心して見ていられました^^
後見の段一郎さんとの息ぴったりな受け渡しと付け替えは見事としか言いようがなく、
「なによ」「なんだよ」「パパママやめて~」「やめなさいったら」など4人のセリフが連続するシーンは
クルクル回りながら次々に人が変わっておもしろかった!
(遠くて見えにくかったけど、お面は紐でつけるタイプではなく
内側に出っ張りがあってそこを役者が口にくわえる仕様になってたのでパッと替えられるのですな)
顔を変えると肩の上げ下げやステップも変わるので
体格も性格も、踊っていると表情も変わるように見えたし、
雷の音を足でトントン(端唄ver.)、ドンドン!(本物ver.)と表現するのもわかりやすかった。
スットコトンと鳴る雷っておもしろい^^
何より踊りの軽やかさ、きっと汗だくなのだろうけどお茶目にのびのび踊ってらっしゃったよ。
しなやかな指先とか機動力広そうな関節とか身体能力もすごいけど
今回括り袴ですから膝下をあらわになさっててむっちゃ綺麗な足してた、
特に足首。きゅっと締まった足首って言葉がありますが、あんな足首に一体どうやったらなれますか…!

語るだけ語って、お面を外して頭に星の簪をつけなおして
「ハヤおさらば!」って宙乗りで空をかけていく姿はまさに流れ星ですが、
サーフィンの波乗りみたいにフワ~フワ~と上下しながら飛んでいく姿がおかしくて笑ってしまった。
劇場も大拍手に包まれて手を振る人もいらしてワクワク感に満ちていたよ。

牽牛と織女が流星を見送ったところで幕切れなのですが、
この後彼らが「何だったんだろう…」と顔を見合わせるまでは想像しました。
流星ちゃんはたぶん、2人の邪魔をするつもりはまったくなくて
おもしろい話があるからって誰かに聞いてほしかったのかなァ…。
猿之助さんはとにかくかわいくてすばらしかったけど、流星ちゃんもう少し空気読もうぜ(笑)。

七夕のお話を7月の歌舞伎座で見られる素敵な機会です。
千穐楽まであと少し、気になる方ぜひ行ってみてください^^


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆
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花の時間、狐の時間。
2016年06月04日 (土) | 編集 |
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歌舞伎座「六月大歌舞伎」第三部を観てきました☆
今月は三部制になってまして、一~三部まで通しで義経千本桜なのですが
最後の第三部にて猿之助さんが演じる狐忠信が宙乗りをするということで何が何でも行きたかったし
(狐忠信は3年前に1度見ていますが劇場の都合で宙乗りはなかったのだ)、
先月の春秋座にて「行きます」とご本人に面と向かってお伝えしたし、
約束を果たしに行く目的もあったので早いうちに行きたかったのでした。

さて、今日のお席はといいますと。
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ふふふ…(ここが一番の近道)

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じゃん!!
歌舞伎座初、というか人生初、1列目ほぼ中央にて観劇が叶いました☆
これまでは非常の人の2列目が最前記録だったのですが、ついに最前列になったよ~。
おおおここが伝説のかぶりつき席というやつか…!
首が痛いことになったけど前に人いない、足投げ出しても大丈夫、役者さん近くてオペラグラスいらない、
足音や衣擦れの響きやばい、附け打ちさんの音が爆音なみにビンビン聞こえる!
定式幕をこんなに間近に感じたのは初めてです。ヒャーハー!戻りチケットばんざい。

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3階席を見上げると既に鳥屋がセットされて、舞台からワイヤーが伸びていました。
おキツネちゃんが飛んでいく道だあ。

あと、今回はイヤホンガイドをあえて借りませんでした。
ストーリーは知ってるしお芝居に集中する日があってもいいなと思って。


柝が鳴って、まずは「道行初音旅」。こちらは初めて見る演目でした。
源氏に追われて義経とはぐれてしまった静御前が、義経が吉野山にいるという話を聞いて
家来の佐藤忠信(実は狐ちゃんが化けてる)を連れて旅をするというあらすじ。
舞踊劇なので踊りがたっぷり見られます!
幕が開くと浅黄幕が引かれていて、隙間から桜の花がチラチラ見え隠れしていて
上手に清元連中の三味線と謡が響きわたります。かっこいい~。
浅黄幕が切って落とされると、満開の吉野桜をバックに笠と杖を手にした旅姿の静御前が登場!
染五郎さんの静はエレガントで気品がありました。
旅姿をといて初音の鼓を打つお姿は指先まで優雅な佇まい、マジで好きになりそうだった…
そういえばわたし染さんの女形見るの初めてかもしれない!おおお(゚Д゚*)☆

お供の忠信は初音鼓を打つと必ず現れるので、静がポンポンと打つと
スッポンから忠信が登場!
この時点でもう人間じゃないよね(スッポンから出入りするのは人以外の生き物や妖怪、幽霊などです)。
「姿が見えなかったわね」と言われ「すみません、遅くなりました」と忠信は恐縮し、
静と一緒に男雛女雛みたいなポーズ(義経と静のつもり)とったりして舞うのですが、
時々ふいに狐手になったりヒョコヒョコ跳ねたりするので静にいぶかしがられます。
本性をおさえ切れてない^^
義経のことが大好きな2人は義経と一緒にいる雰囲気を味わおうと
近くにあった切り株に着長(大鎧)を置いて、静が鼓を上に乗せると(顔に見立てるわけですな)
まるでそこに義経がいるように見えるということで
2人の舞もどこか切ない感じでありました。
やがて静は屋島の合戦についての話を求めまして、
忠信は佐藤継信(忠信の兄)が義経をかばって矢に当たり戦死したことをジェスチャーつきで語ります。
開いた扇子で鎧の吹返を、閉じた扇子を胸に当てて刺さった矢を表現したりと
扇子が大活躍する語りでした。
また、この語りの部分から竹本連中が加わってかけあいの迫力が2倍になって
わたし1部観てないけど戦のすさまじさが再現されたような感じがした…もはや源平合戦。

そこへ猿弥さん演じる逸見藤太なる追手が部下を連れて花道からご登場。
敵役ですが、「腹が減っては戦はできぬ、そこらに茶屋があったら行きたいなー」とか言って
部下たちが先に進もうとしても花道を戻っちゃったりして
全然強そうに見えないのでピエロなのかもしれない^^
(藤太のたっつけ袴はワンピース歌舞伎でバギーも穿いてたね、道化役だからかな)
逆に部下たちはそんな上司に「じゃあオレたち先に行きますから」とか言っちゃうし
桜の枝(武器らしい)を持って着物の裾をたくし上げて動きやすそう、殺る気満々って感じ。
何とか舞台へやって来て忠信と静を見つけますが、ここ猿弥さんの言葉遊びがキレッキレで
「誰かと思えば1部と2部に引き続きのコンビ」(猿之助と染さんは今月は1部~3部通しで出演中)
「初の宙乗りの猿之助」「桜に染まる染五郎」とかたたみかけるように遊んでて
最後に「問うた、問うたーーー」と、自分のお役名の藤太に掛けてるのが見事でした!
染さんの口元が完全に笑っちゃってるの微笑ましかったし、
その隣で全力無表情管理の猿之助さんも面白すぎました(笑)あそこ見どころです。

忠信と藤太たちのバトルは忠信の圧勝に終わりますが(こっそり狐妖術使ってるしね)、
部下さんたちの飛んだり跳ねたりくるりと回って伏せたりのアクション超かっこよかった~!
藤太もクルクル翻弄されて、さっきまで静が持っていた笠と杖を舞台袖から持ってきて
静にナイスバトンタッチしてておもしろかった(笑)。
敵も静も去っていった舞台にポツンと残った忠信のもとに、1匹の黄色い蝶がひらひら飛んできて
忠信は目で追いかけて、そのうち我慢できなくなったのか狐手になって追いかけ始めて
スーッと花道に移動するのに合わせて黒子さんが2人も同じ動きでスーッと猿之助に近づいていったから
えっ何かある?と思ったら、ぶっ返りで狐火の衣装に早変わりして狐忠信の正体現した!!
すごいすごい感動のサプライズ、引っ込みも狐六法が鮮やかでした~。

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静と狐の去った後に落ちていた桜の花びら。
この後あっという間に定式幕の中へお掃除されてしまいました。

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今日のお弁当。すっかり気に入った手まり寿司です。


休憩を挟んで義経千本桜クライマックス川連法眼館の場、通称「四の切」始まりました~☆
もう幕が開いたところから御殿の階段や天井の戸袋に切り込みが入ってるのが目についてしまって
おキツネちゃん天井から来る気満々じゃん!と楽しみが倍増。
知らずに演目を見るのもいいけど、知ってると楽しめるのもお芝居の魅力ですな。
川連法眼と妻の飛鳥のやりとりは寿猿さんと吉弥さんの貫禄あるお芝居、
寿猿さんの声はひと固まりになって飛んでくる感じがする…元気玉キャッチするみたいな気分。

門之助さんの義経が「オレお前に静のこと預けたよね?鎧も名前もあげたよね??」と聞くと
忠信は「え、オレこの間まで破傷風で休暇もらってましたけど」ということになり
詮議のために亀井六郎と伊勢三郎が奥書院へ連行していくのですが
みっくんの亀井はむっちゃ声割れてたけど、地響き並みに劇場内に轟いていたし
マッティの伊勢はすっきりと上品な若武者っぽくてイケメンでした^^
笑也さんの静御前……道行の染さん静はひたすらエレガントでしたが
笑也さんの静は所作が丁寧だし小刀(義経からもらったもの)をキリっと振りかざすポーズも様になってるし
優雅さに強さと凛々しさが加わって、もうこの人ひとりで生きていけそうと思った。
ついていきます静さま!!
背が高くていらっしゃる笑也さんが武のお姫様を演じるとかっこよすぎてたまらん。
場面転換で出てくる6人の腰元さんの中に徳松さんと笑野さんがいらしてニッコリしちゃった(^ω^)ママー

狐忠信が出てくるシーンは3年前の後悔があるので
絶対に花道からの声には釣られないぞ!と観劇の1週間くらい前から決めてまして
静御前が鼓をポポポポンと軽やかに打ち始めた頃から黒階段を凝視していたら
(見逃すまいと緊張しすぎて心臓バクバクして変な汗までかいてた)、
「出があるよ!」の声と同時に階段上に猿之助さんが鮮やかに登場ーー!うおおお大拍手!!\(^o^)/
本当に一瞬だった、感無量です3年待った甲斐があったというものです…
来てよかった見られてよかった本当によかった。
あと、今回初めて気づいたんですけど狐忠信が出てくる直前に薄ドロが鳴って
階段から出現するとき大ドロが鳴るんですね!
四の切は劇場やテレビで何度か見ているため余裕があって、音に耳が向いたのだと思いますが
こういうのが楽しみでお芝居見ることもあります。

おキツネちゃんの身体能力とかわいさがすごかりし由良之助なのは知ってた、けど、
それらが進化してたのは知らなかった!!
猿之助さんは年齢と上演回数を重ねるたびに狐になっていく感じがして
わたしたちに見えないだけで黄色い尻尾ついてんじゃないかって気がする。
鼓の音に耳をすませ、音に合わせて頷いたりうれしそうにピョンピョン跳んだり階段を一段ずつ下りたり
「鼓の子に~~~~~……………ゴザイマスッ」とか、語尾がこうなるたび、
というか狐忠信が何かするたびに笑いが起きまくってて
お客さんたちが楽しんでいるのが背中からすごくわかったし、
鼓を返してもらって喜びまくるキツネちゃんがはしゃぎまくってるシーンで額からキラって何か飛んで
それが大量の汗と気づいたときのわたしの気持ちを想像してくださいよ、
こんなにこんなに楽しませるために動いてくれてもう……拝みたくなりました。
追手の6人の荒法師たちによるとんぼ返りや馬跳びやダンスも楽しかったし
(さすがにエグザイルはやらなかったです、巡業でやったのはサービスだったのかな)
彼らの薙刀が舞台からせり出してブルンブルン振られるので客席に飛んできそうな迫力でした、
空気が切り裂かれて動くのがわかるんだよ!1列目やばし。

そして3年前は劇場の都合で見られなかった宙乗りをやっとナマで拝見。
スッポンの手前、わたしのほぼ真横延長線上にて荒法師たちの手でワイヤーに吊られたキツネちゃんは
天使のようにフワリと宙に舞い上がったよ!
さあ幸せな時間の始まりだ!!
(このとき2階と3階の提灯がパーッと灯って劇場が明るくなったの素敵だった、
和風の昇天とかあったらこんなかなあ)
見得を切ってワイヤーをみょーんみょーんと揺らしまくりながら楽しげに宙を翔けていく様子を
竹本葵太夫さんが「爆翔」と表現していたけど、ほんとまさに爆翔だった。
さっきまでのお芝居もすごかったけど宙乗りはそれらを軽々と超えて全部もっていってしまった、まじ天使☆
(一瞬だけ手拍子が起きたけど自然現象だったみたいでその後はずっと拍手になってました、
猿之助さんがリズムを取り戻させたのかもしれない)
3階席では拍手の音が速かったり手を振る人がいたりお祭騒ぎのようなお出迎え、
鳥屋が開いて桜吹雪がワーッと降り注いだときはワーッと歓声が起きました。
道行に続いて桜舞い散る幕切れ!
おキツネちゃんは花びらと幸せを振りまきながら鳥屋へ引っ込んでゆきましたよ。バリかわ。

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狐が飛び去った後に落ちているのも桜の花びら。
床だけでなく花道や座席の背もたれ、お客さんの頭などにもちらほら。
お着物で結いあげた方の髪に花びらがはらりとかかっているのは大変すばらしい眺めでした←

そういえば、わたし3年前は義経や静の衣装が鎌倉風でないのが気になったり
義経こんなにのんびりしてないよなとか思ったりしてたんですが、
今回猿之助さんと笑也さんが素敵すぎてそんなこと全然考えなくなってて
だいぶ歌舞伎のカラーに慣れてきたかな?
あと、初音の鼓の音は染さんも笑也さんも吹き替えでしたけど
タイミングがばっちり合っていたのもすばらしいと思いました。裏方さんの底力。

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七月大歌舞伎と八月納涼歌舞伎の演目も発表されてたよ~。
猿之助さんは今月から3か月連続、歌舞伎座で奮闘するようですが
7月の流星で宙乗りするのはともかく(宙乗りも3か月連続です)、
8月のやじきた道中の「お伊勢参りなのにラスベガス」ってなんぞ!
今月も一緒の染さんと2人で宙を飛ぶようです、楽しみ☆

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拾ってきちゃった。右が道行、左が四の切に舞い散っていた花びらです。
素材と色がちょっと違っていました。
どうしたものかな、空海。
2016年04月20日 (水) | 編集 |
(100,000Hitありがとうございました!!お礼記事は次回かきます)

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ツイとものきうちさんと歌舞伎座で「四月大歌舞伎」夜の部を観てきました☆
仁左衛門さん主演の「彦山権現誓助剱」杉坂墓所・毛谷村と
染五郎さん主演の新作「幻想神空海-沙門空海唐の国にて鬼と宴す」ですよ!
主に空海が楽しみだったのですが毛谷村も仁左衛門さんだしどんなのかなあと楽しみにしていたら
まさかの超イケメンが出てきて倒れるかと思いました。やっぱりにざ様はにざ様だった。

お昼に木挽町広場できうちさんと待ち合わせしたのですが
わかりやすい格好がいいと思って着物で行きましたら無事に見つけてくださって、
てか初めてお会いするきうちさんはTwitterから想像していたとおりの
かわいらしくてふわっとして気遣いのやさしい素敵な方でした!+゚+。:.゚(*´︶`*).:。+゚ +゚
歌舞伎や歴史のこととか俳優さんや有頂天家族の話までたっぷりさせていただいて
気づいたら開演30分前で大慌てで移動するくらい時間忘れて楽しんでしまった。
歌舞伎はきうちさんの方が先輩なので今後も色々お話したいし教えていただきたいっ(゚∀゚)☆

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歌舞伎座5階の寿月堂さんでフレンチトーストのランチ。
ふわふわサクサクしておいしかったです。

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お茶もいただいた。
「飛騨のほまれ」という秘伝の青ほうじだそうでとっても香ばしくておいしかった…!
違いのわかる人になりたい。

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今回はここから観劇、花道のすぐ隣でした。
あと、今回2人とも別々の日にチケットを予約したのですが
座ったらまさかの隣同士だったことが判明して「「えええ~~~」」と開演前から大興奮。
幕間になったらきうちさんとこすっ飛んで行こうとか思ってたのに、こんなことってあるんですなー!
イッツァ・ミラコー…+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚


幕が開いて、まずは「彦山権現誓助剱」。
本来は文楽のとても長いお芝居だそうで、今回はそのうち八幕目と九幕目が演じられます。
吉岡一味斎という毛利藩の剣術指南役が京極内匠に殺され、仇討しようとした娘も返り討ちにされ、
吉岡さんの妻ともうひとりの娘は仇を探して別々に旅をしていて
その旅の途中に六助(仁左衛門さん)と出会う…のが、八幕目までの流れ。
六助は小倉藩毛谷村に住むお百姓ですが、剣がとても強くて
彼に勝つと500石くらいでお城に召し抱えてもらえたりするレベルの人らしいですが、
田舎に住んでいるためか師匠が殺されたことを全然知らないまま過ごしていて
そのせいで師匠の娘(婚約者)が訪ねてきても最初は気づかなかったりする。(でもそこが見どころ)
剣の達人、子どもにやさしい、親思いで正義感が強くてちょっと天然も入ってるハイスペック人物を
仁左衛門さんがとても大らかに演じていらっしゃいました。
母親のお墓参りの帰りにたまたま助けた弥三松くん(実は師匠の孫だけど六助は知らない)を預かって
抱っこしたりデンデン太鼓でお世話したり、
知らない人が突然家の中に入ってきても追い出すどころか「まいったなあ」とか腕組みしてて
どんだけ懐広いんだ(笑)。
弥三松くんに笑いかける表情がとっても素敵でやさしい人柄が伝わってきます。
寝起きだったり遊んでたり、自分が着替えてる時でさえも(まさかのにざ様ナマお着替えですよ)
常に弥三松くんを気にかけていて何というイクメン。
しかもそれがにざ様ってどんなご馳走ですか、どうもありがとうございました。(深々)

ところでこの六助さん、実在の人物なのですね。→こちら
加藤清正の家臣になって朝鮮出兵にまで行った人だとか。
「仕官して親を安心させたいから試合で負けてくれ」と微塵弾正(京極内匠)に言われて
その通りにしたら実はだまされていたと気づいて
「おのれこのままでおくべきか!」とカンカンになった六助が
地面の石を踏んづけると石がへこんで地面にめり込むという、彼の強さを表現する演出がありますが
この六助の石も実際に残っているそうです。
…師の死を知ってだまされたと気づいたとき一瞬、カッと目を見開くけどカーッと爆発はしない抑えた怒りが
かえって悲しみと怒りと凄みを感じさせてすばらしかったんだーーー仁左衛門さーん!!
(ここ見て初めて「あっこのお芝居すごく難しいんじゃないの…」って思った。遅い)

孝太郎さんのお園も花道から登場したときの虚無僧姿がものすごくかっこよくて
(女形さんが男装した女性を演じる妙の色気パない)、
父の仇討ちを目的にしてますからまなざしは鋭いし刀を使わせても強いし、
「親の仇を討って」ではなく「仇はわたしが討つ」感がすごいなと。
でも六助の家の前に子どもの着物が干してあったから六助を仇と思っちゃったり
六助が婚約者だとわかると急にかいがいしく浮かれてうっかり釜を空焚きしちゃったりと
結構、ドジッ子というか思いこみが激しい^^;
でも仇討ちに向かおうとするラストでは六助と一緒に見得を切っててかっこよかった!
(彼女の強さを表現するためにカラミ(直接話にからまない役者)と殺陣をやってて
あれはイメージ映像的なものなのでしょうか…カラミさんも飛んだりクルッと回ったり相当な動きだった)
東蔵さん演じる武家の貫禄たっぷりのお幸さんもかっこよかった。
六助さんの家に勝手に上がり込んで、実力を試すために不意打ちでお財布投げてみたり
投げ返されたお財布をがっちりキャッチしたりしてて、
達人のピッチングに対応できるのだからお幸さんも相当の達人とみた。
強い女性たちいいなあ!
歌六さんの微塵弾正(京極内匠)はワルでしたね…
自分が仕官するために六助にわざと負けてくれと言ったり
六助に紹介した母親は実は母親じゃなかったり、六助とは対照的な存在です。
ちなみにその母親、本当は誰のお母さんかというと杣斧右衛門(彌十郎さん)のお母さんで
微塵弾正に利用された後殺されてしまって
斧右衛門がご遺体と対面するシーンもあって彼大泣きするのですけど、
彌十郎さんの拵えが面白すぎて客席のあちこちから忍び笑いが起きていました。
何ですかあの雪が積もりそうな眉毛は!(爆笑)
笑っちゃダメだと思ってたらイヤホンガイドさんが「これ笑うところです」みたいな解説されてて
あっいいんだ!ってなりました。
「母の仇を」と六助にお願いする斧右衛門はさすがにウルっときました。

ラストで仁左衛門さんが紅梅を腰にさし白椿の枝を手に持ち弥三松くんを抱き上げて
六助・お園・お幸が天地人の見得を切るシーンがすごく絵になってて
舞台写真もいいけど錦絵にして売ってほしいレベルでかっこよかったです!
それにしてもこんなところにこんなイケメンがいたとは…歌舞伎はまだまだ奥が深いですの。


この後は新作歌舞伎「幻想神空海」を観劇したのですが
以下異様に長い&遠慮なくネタバレしていますのでこれからご観劇予定の方ご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞー☆
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こいつぁ春からその5。
2016年01月05日 (火) | 編集 |
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本年の歌舞伎初め!お正月に歌舞伎座の壽初春大歌舞伎を観てきました☆
目的は新古演劇十種の内「茨木」。今年生誕200年を迎えた河竹黙阿弥の作です。
玉三郎さんが茨木童子を、松緑さんが渡辺綱を演じられると聞いて
「美しすぎ&かっこよすぎるだろ!!」ってなって朝から並んで幕見席のチケットをゲットだぜ。
去年の棒しばりからすっかり幕見に目覚めてしまいました…見たいものは見たらいいのだ(^皿^)ウシシ)

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人生2度目、本日初日の垂れ幕。
初日という言葉にきらめきを感じるようになりました、これが沼か…。
着物姿の人をたくさん見かけてすてきだ~と萌えていたら
目の前を直衣に烏帽子を被った小学生くらいの男の子が着物の親御さんに手を引かれて歩いてて
思わずガン見してしまった。
お正月にまさかのちびっこ貴族様。あわわ。

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去年と同じく、初詣は歌舞伎稲荷大明神にて。
今年も役者の皆様、関係者の皆様、観客の皆様が無病息災で過ごせますように。

2016ibaraki2.jpg
木挽町広場もお正月の装いがきれいでした。

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チケットを買ってから開幕まで時間があったのでランチ。
今年の外食初めは喫茶youにて、去年もいただいたぷるぷる卵焼きのオムライス!
こんな風に卵焼いておうちでも食べてみたい。


初日のご愛敬というか、前の幕が15分近く押してて入場待ち時間がだいぶ長かったですが
幕見席は今回も無事に最前列に座れました。ホッ(´∀`)。
幕が開くと、能舞台のようなセットにお囃子の人たちがズラリと並んで背面の板には大きな松の絵が。
「茨木」は松羽目もの(能狂言を原作とした歌舞伎)ですが、能楽には茨木という作品はなくて
今回のは役者が能っぽく演じることを目的に作られた歌舞伎だそう。
初演は五代目菊五郎ですが、同じく彼が初演の新古演劇十種の内「戻橋」には背景セットがあったので
あれよりは厳格な印象を受けました。

舞台は渡辺綱の屋敷。
今昔物語集などでもよく知られているお話、渡辺綱が羅生門にて鬼と対決し片腕を切り落として持ち帰ると
安倍晴明から「鬼は7日のうちに必ず仕返しに来るから物忌みしなさい、腕も厳重に封印してね」とのことで
言われたとおりに腕を箱に入れてます…的なことを、家臣の宇源太くんが説明してくれます。
歌昇くんかっこいい~水色の裃姿もお似合いです^^

そんな綱のもとを、伯母の真柴という人が訪ねてきます。
能「通小町」のシテのような装束で、花道を音もなく静々と歩いてくる玉さまは枯れ葉のような雰囲気ですが
「伯母がはるばる訪ねてきたのだから案内しておくれ」と口調はしっかりしていてエレガント。
綱は「物忌み中なのでたとえ伯母上でも屋敷には入れられません。諦めてお帰りください」と
きっぱり断って頭を下げます。
松緑さん綱の大きな装束がとても似合ってるし振る舞いもすてきだし声も張りがあってかっこいい~~☆
真柴さんはがっかりして帰ろうとしますが
屋敷の門のところで「綱の両親が死んでから綱を育てたのはわたしなのにこの冷たい仕打ち、
どんなに強くても優しくなければ武士じゃないわ、もう縁を切ります」というつぶやきを聞いた綱は
「伯母上戻って来て~」と扇をヒラヒラさせて呼びます。
ここの松緑さんのしぐさが、福原にて太陽を扇で戻した清盛みたいなかっこよさで見とれてしまった(´▽`)。

真柴さんが屋敷に入ると、綱は上座に案内してお互いに息災をねぎらいまして
「伯母上はそういえば舞がお上手でしたね。よろしければ一さし」と舞を所望します。
真柴さんは「あなたが舞ったらわたしもやります」とおっしゃって
綱の代わりに太刀持ちの音若少年が舞を披露。
左近くん!左近くん大きくなりましたね軸もぶれなくなりましたね!
雅な柄の金扇を使って軽やかに、しかし武家の子らしく気品のある舞でした。
(お父様の松緑さんが間近で(役柄とはいえ)すごい目つきでガン見てらっしゃるのが
身内でもないのになんかドキドキしちゃった^^;)
続いて真柴さんの舞。
人の一生を春夏秋冬にたとえた静かな歌詞で、左手を使わず右手だけで舞います。
(なぜ左手を使わないかはもうわかるよね)
踊りの途中でハラリと扇を落としてしまうのですが
これは謡の「甲斐なく」の歌詞が「腕(かいな)」の掛け言葉になっているので
腕の入った箱をうっかり見つめてしまい一瞬、気が散ってしまったという演出のようです。
あれ恥ずかし、と扇を拾って再び舞い始めて終わります。

羅生門で鬼の腕を切り落としたときの話をしてほしいと頼まれた綱は
保昌(頼光四天王のひとり)にバカにされて売り言葉に買い言葉で行って茨木童子と対決したのを
勇壮な舞も混ぜながら語って聞かせます。
玉さまは無表情でした…鬼としては目の前で武勇伝っぽく語られるのはいい気分はしないよね(゚∀゚lll)。
「箱を開けて腕を見せておくれ」と頼む真柴さんを、綱は一度は諫めますが
「老い先短い身なのだから、冥途の土産に」と懇願されて
じゃあわたしここで見張ってますからねと真柴さんの側に腰かけて結局箱の蓋を開けてしまいます。
ああ、綱ったらもう(笑)。
ここで綱が蓋を開けたりしている間に、玉さまは舞台の後ろで後見さんの手を借りて髪をほどいて
ウロコ箔柄の着物姿になってアップを始めた感がじわじわと。
(ウロコ箔は能狂言で鬼や龍を演じる人が身につける柄です)

箱の中を見た真柴さん、ふいに両目をむきくわっと真っ黒な口を開けると
腕をつかんでクルクルっと舞台左の揚幕へ引っ込んでしまいます。
綱も慌てて追いかけて揚幕へin。
(チラッと見えた鬼の手は4本指でしたね。
5本指は貧欲、嫉妬、愚痴、知性、慈悲をあらわし鬼は慈悲と知性が欠けているため3本指とされますが
茨木童子は人に化ける知性があるため4本指なのだそう)
そこへ運藤さんと軍藤さんという町人の格好をした人たちが花道から出てきて
「鬼やべえたたりやばい怖い」みたいなおしゃべりをチャキチャキと繰り広げます。
雁治郎さんと門之助さんとってもおもしろかった☆
そして玉さまは今頃きっとおっかないお姿に変身中なのだわ…などと舞台裏に思いをはせたりした。

クライマックスは本性を現した茨木童子と渡辺綱の大立ち回り。
取り戻した片腕を小脇に抱え、右手で杖を振り回す茨木童子と刀を抜いて応戦する綱、
ギャー!!!おふたりともかっこよすぎる+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
玉さまはざんばらの長い白髪に2本の角を生やし、逆立ちした太眉、
能面をつけているのかと見間違えるほどリアルで黒々とした隈取(牙も墨で描いてた)が超迫力ありました。
待って待ってほんとに玉さまですか!想像を超えたおっかなさですけど!さっきと別人ですけど!!
派手な動きはないけど体の軸が強く侮れないような、妖気漂う手強い物の怪の雰囲気が伝わってきたよ。
松緑さんの綱も勇ましく刀を振るって、大股でのしのし歩いて殺陣も決まってたし
茨木童子に向けて刀を突き付け、舌を出してにらみつけるのマジかっこよすぎか。
(松緑さんの今回のお役は玉さまも誉めていらっしゃるそうな)
茨木童子が花道へ逃げたところで定式幕が引かれて
取り戻した腕を改めてうれしそうに眺めてくわーーっと真っ赤な口を開けて見得を切ると
ねっとりじわじわくる感じの六方で揚幕へ引っ込んで行かれました。

いやあこんな玉さま初めて見た…。
初芝居で役者ににらまれると1年間無病息災で過ごせるという俗説がありますけど
たぶん今回の茨木童子の見得で客席の邪気ぜんぶ祓われちゃったと思う(笑)。
鬼が出てくる能や歌舞伎は何度も見ていますが、玉さまが鬼をやると
肉体的な強さとかじゃなく強大な妖気に圧倒されて戦意喪失しちゃう的な、
精神的に勝てない気がしてくる。
今まで見たり読んだりしたどの茨木童子よりも強く感じました。恐怖というか畏怖。

そして黙阿弥生誕200年祭は始まったばかりですね!
今月は新橋演舞場で白浪五人男、浅草公会堂で三人吉三をやっていますね。
今年は彼の作品がたくさん上演されるといいな。
ついでに言うと今年は「茨木」からペンネームを取った茨木のり子さんの没後10年なので
(ラジオから流れてきたセリフを聞いて「あ、これ」と採られたそうだ)、
何かイベントがあるかもしれないのでこまめにチェックしていこう。


torayashin.jpg
銀座のとらやさんに寄ったらこちらにもお正月飾りが。大きな鏡餅と伊勢エビ。

torafo.jpg
右はとらやさんの「心百花」(歌会始のお題「人」にちなむ)で
左は日本橋高島屋でゲットしたFAUCHONの招き猫エクレア。
年末年始だけの限定販売で、去年は買えなかったから今年こそ!と思ってて
無事に連れ帰って来られました。
ぱくっと食べたらクリームの中からほんのりお酒の香り、甘酒が入っていたみたいです。
「Bonne Chance!」のピンク色の文字はフランス語で「幸運を!」の意味だとか。

tokyomon1.jpg
東京駅GRANSTAの銀の鈴広場に登場していた孫悟空も見に行ってきました。
太田記念美術館所蔵の月岡芳年「月百姿」から「玉兎 孫悟空」を
立体フィギュアにして再現したものだそうです。
ふつうに人間サイズだし筋肉も服の上からちゃんとわかるし、松の木も大きくてすばらしかった。

tokyomon2.jpg
前と後ろから見るとこんな感じ。
展示は今日までですが、せっかくこんなにしっかりした作りですし
それこそ太田さんに所蔵されてどこかに展示され続けてほしいなあ。


2016kura.jpg
本年一発目の川越くらづくりのお菓子です。花びら餅と、お猿と、お題「人」。
今年も通うよくらづくり!うふふふふ
ウィーアー!
2015年10月14日 (水) | 編集 |
onepi1.jpg
新橋演舞場にてスーパー歌舞伎II『ワンピース』を見てきました~!
いやあ面白かった!
観る前は期待と不安半々でしたが、そんなの一息で吹っ飛ばす内容に仕上がってて
最初から最後まで脳みそ揺さぶられっぱなし\(^o^)/
舞台化されたのは原作コミックス51~59巻収録のマリンフォード頂上決戦編で
上演時間が前作『空ヲ刻ム者』を凌ぐ5時間という超大作でございます。
途方もない時間のように感じますが最近はわたしも歌舞伎を見慣れてきて
まあまあかな?としか思わなくなってる。こわい。

ずいぶん前ですが、鈴木敏夫氏のジブリ汗まみれに尾田栄一郎氏が出演したとき
「任侠映画が好き」とおっしゃってて、あ~それでワンピースはああなんだなと
妙に納得がいったのを覚えてますが。
去年の年末に歌舞伎化が発表されたときは「ええええ!?」ってリアルに声出て
えーと、えーと、なんか、ぴったり!的な納得と、どうやるの?的な動揺と
どのエピソードか(絶対オリジナルじゃないと思った)、誰が誰を演るのか、早変わりするのかなど
一気に色んなことが脳内を駆け巡って大混乱だったし、
ついった開けたら原作ファンは不安がってるけど歌舞伎ファンは1ミリも不安がってなくて
その温度差もおもしろかったです(^^)。
何よりも江戸歌舞伎は当時のニュースや流行り物が芝居化されていましたから
江戸時代の人の気持ちを追体験できていると思ったらすっかり楽しくなっちゃって
スーパー歌舞伎だしきっと派手なお芝居だぞ!とワクワクして待っていました。

で、幕が開いたら想像以上だったよ!
上演中はやばい、えええ、うそー、スゲー!の単語ばかり連発してて
次々にドヤサ!と出してくれる演出に頭がおかしくなりそうでした。
キャラクターの再現度高いし主題歌もダンスもプロジェクションマッピングもワイヤーアクションもあって
もはやテーマパーク!
つらねや立ち回りなど歌舞伎イズムも散りばめられてちゃんと歌舞伎になってるし
猿之助もインタビューで言ってますけど「何でも取り入れた」舞台だったよ。
わたし原作そんなに興味ないのですが(アラバスタまで読んで後で頂上決戦読んだ程度)、
知らなくても演出がしっかりしてるので問題なかったと思う。
スーパー歌舞伎はわかりやすさと外連が見どころだなあ、ツボ突かれまくりでした。


当日は窓口でチケット交換の予定だったので開演1時間前に演舞場に行ったら
すでに入口前はお弁当を買う人や劇場の写真を撮る人たちで大混雑。
えっこんな演舞場初めて…!
あと、常連さんぽい人がもちろん多いんだけど家族連れや若者も多くて
お弁当やグッズを買うのに戸惑う人たちが続出してて明らかに客層が違うのがわかりました。
こんな演舞場、初めて!!
onepi2.jpg
グッズ売り場も大混雑。
写真はONE PIECEポートレートオブパイレーツKABUKI EDITIONのルフィ少年です。
現在制作中で価格未定とのこと。
ちなみに歌舞伎ワンピース公式グッズは他にも色々ありましたよ→こちら

以下、いつものように長い&遠慮なくネタバレしてますので観劇予定の方ご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞ☆↓
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あの夏へその2。
2015年08月25日 (火) | 編集 |
先日の歌舞伎座の棒しばりがとても楽しくて
「もう1回行きたいなァでもお財布がなァ」とモヤモヤしていたのですけど、
かぶきリストTLを眺めていたらその日に限って「幕見」の文字がやたら目についたので
前から気になっていた観劇を試してみることにしました。
人生初!幕見席!

幕見はお値段は庶民に優しいけど、4階席のため役者さんがマッチ棒なのは想像ついたので
できるだけ目の前で楽しみたい人間としてはすみません敬遠していたんですが、
いざ行ってみたら舞台全体が見渡せるし役者さんの声も届くし、オペラグラスあれば何とかなるしで
思いのほかよかったよ!
あの日ついったで幕見とたくさん呟いてくれた方々ありがとう。何事も実践あるのみだと思いました。


今月の幕見はかなり混んでいるとの情報をあらかじめTLから得ていましたが、
発売時間前に歌舞伎座に着いたら想像以上の大行列ができていて
待ち時間が表示されている看板にも「お立ち見です」と書かれていて心が折れそうになったけど
ここまで来たら立ち見だろうが何だろうが見る!と決めてチケット買いました。
棒しばり1幕1野口英世氏。何というお手頃価格。と、演目始まってもいないのに感動した(笑)。

2015noryo6.jpg
幕開けまで時間があったので、歌舞伎座のすぐそばにある喫茶youさんにてランチ☆
お昼時だったせいか行列ができていましたけど、割とすぐ入れていただけて
役者さんたちがよく注文なさるというオムライスをいただきました。
写真からおわかりいただけるでしょうか、卵は外側だけかろうじて焼いてある感じで
お皿を揺らすと卵もぷるぷる揺れて
さくっとスプーンを入れるとトロットロの中身がドバっとチキンライスにかぶさります。
できたてホカホカ、ちょっと病みつきになるレベルのおいしさで
これは人気のメニューなのもわかるなあと思いました…また食べに来たい!

お腹もいっぱいになったところで、歌舞伎座へ戻りました。
2015noryo7.jpg
幕見席にin!舞台はこんな風に見えます。

幕見席は自由席で、チケットに書かれている番号順に入場したら後は早い者勝ちですので
入場が遅ければ立ち見になってしまう可能性が高いのですけど、
わたしが入場したのも100番より後で、すでに立見の場所取りをしている人たちも何人かいて
あー座れないな…と思っていたら、わたしの斜め前に座っていたお兄さんが
「ここ空いてますよ」と近くの席を教えてくださって何とか確保することができたよー(゚∀゚)☆
かなり通い慣れておられる雰囲気のお兄さんでしたありがとうございました!
客層も若者からお年寄り、字幕ガイドを手にした外国の人まで様々でした。

勘九郎&巳之助棒しばり2週間ぶりでしたがやっぱりおもしろい☆
初日から3日目に観た前回よりずっとお芝居が練られて余裕があって
お兄さんもみっくんも先輩方の影響のもと自分たちの踊りとして楽しんでおられる様子で、
自由にのびのび踊っている感じがしました。
いい意味で狂言に近づいてきてますね。
「これは如何なこと、飲もうとすれど口が届かぬ。はて気の毒な、何としよう」「あ、よいことがある」
「心得た」「飲むぞ飲むぞ」「飲め飲め」「アテクシは存知やせん」の辺りでやっぱ声出して笑っちゃった☆
もう~太郎冠者も次郎冠者も本当にいとしい(´▽`)。
後見さんが棒や酒樽を用意したり、みっくんの懐から盃を出したり
お兄さんとみっくんが放り投げた扇をナイスキャッチしている動きも無駄がなく美しい。
袴の男性が無言で事務的作業をすすめる姿がすきです。

あと、いつもはイヤホンガイドで片耳がふさがっているけど
解説は前回聴いたからいいやって今回は借りなかったので、
おふたりの声も常磐津の伴奏もすんごいクリアに聴こえてよかったです。セリフにも集中できたし。
解説つきと両耳で聴くのと両方できたのも今月の納涼歌舞伎が初めて!
色んな意味で転機な8月になりました。


観劇の後は渋谷に移動して、東急ハンズで開催されていた「渋谷モノノケ市」へ。
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妖怪をテーマにアート作品やグッズを制作している作家さんたちが集まって
展示や販売を行う即売会です。
イベントとコラボしている妖怪メニューをいただきにハンズカフェに来たら
メインキャラクターの夜行童子ちゃんが出迎えてくれました。わーテンションあがる\(^o^)/

コラボカフェでは目競ケーキお狐ココアなどの妖怪スイーツが食べられまして
本当は目競ケーキをいただきたかったけど完売だったので、注文したのがこちら↓
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どうしようめっちゃ本格的なのきちゃったよ…!唐傘お化けパフェです。
もう造形からしてたまらない(笑)この完成度なんなんですか、最高かよ。

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傘と目玉、赤い舌、足はチョコレートで、口の中のアイスはカシスシャーベットで
掘っていくとクリームとシリアルが甘くて、ヨーグルトとジャムでさっぱり感も味わえるという
サービス精神にあふれたパフェでした。おいしい&楽しい。
傘チョコレート壊すのもったいなかったけど、壊さないと食べられないのでパキパキ割ったら
手がチョコだらけになった(;´∀`)。

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カフェを楽しんだ後は会場を物色。
本やお菓子やポストカード、クリアファイル、ステッカーにマグネット、文房具、缶バッチ、アクセサリー、
着物、手ぬぐい、狐のお面、幽霊用三角布ほか大きなものから小さなものまでズラリ。
たくさんのグッズの中にあるディスプレイも楽しいです。こちらは目目連と影絵ぬらりひょん。

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暖簾にぶら下がる提灯。
ちょうどよい雰囲気に古びてていいですね。赤い舌がびろ~ん。

shibumono5.jpg shibumono6.jpg
会場にいらした作家さんたちが最高にロックでしたうおおお!
「お、お写真よろしいでしょうか」と豆腐メンタルで話しかけたら「いいですよー♪」って
快くポーズとってくださいましたヒャッホウ!!
赤い着物の猫又さんはスコティッシュフォールドのスコニャンさんだそうです。かわいい☆
緑着物の川獺さんはシーラカンスをmgmgして頭に花札かぶってる方は正面が鳳凰札だった。
おふたかたの後ろには最初誰もいなかったのですが、
わたしがシャッターを押したら狐面さんがいつの間にかフラッシュボムなさってて笑っちゃった(^^)。
鳳凰さんが「う、後ろに気配が…」と振り向かれたら「バァ」ってやっててやっぱり笑った(^w^)。
なんて素敵な人たちなんだー!
他にも色んな妖怪姿の作家さんをお見かけして目が幸せでした。
お着物に魚のお面つけた人とスチームパンクな虚無僧さんがよかった。→こちら

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ゲットしてきた妖怪マカロン。
夜行童子は抹茶味、天狗はチョコレート味のクリームが入っていました( ̄▽ ̄)。
全部で6種類ありまして→こちら お狐さんが欲しかったけど完売だった…
こういうイベントは「完売御礼」「売切れです」に耐えられるメンタルが必要。
あと耳飾りとか一筆便箋とかおみくじとか色々買い込んでしまってお財布ユルユル(^ω^)。
イベント行くと歯止めがきかなくなりますね。でも素敵なものお持ち帰りできる幸せ。


で。
この後は帰宅する予定だったのですが、さっき幕見のおいしい味を知ってしまったので
カッとなって銀座へ戻り歌舞伎座の幕見席のチケット買うために行列に並びました^^
今月は坂東三津五郎に捧ぐと題された演目が第1部の棒しばりの他にもうひとつ、
第3部の「芋堀長者」があるのです。
「渋谷~銀座間は電車で25分だろう観ればいいよ、ハハッ」て思っちゃったよね( ˘◡˘ )。
ちょっと並ぶの我慢すれば野口英世で素敵なお芝居が見られるシステムほんとずるい、
こうしてファンは泥沼にハマっていくのです…いいの本望だから…。
2015noryo8.jpg
50番以内に入れるとお席もスムーズに取れるね!
というわけで無事最前列に座れました。電車で読んでた小説と一緒にパチリ。
(カブキブは高校生が部活で傾くために全力をそそぐ青春小説です。劇場で歌舞伎小説を読む喜び!
本の感想については次回書きます)

芋堀長者は加賀に伝わる昔話を元にした舞踊劇で、
舞の好きな姫に思いを寄せるお百姓さん(舞がとても下手)が友人(舞がとても上手い)に代役を頼んで
友人がお面をつけてお姫様の前で舞ってみせると
「ぜひお面を取って踊りを」と言われてあたふたして正体がバレちゃうけど、
最終的にはその人柄で両思いになるというストーリー。
歌舞伎座で最後に出されたのが40年以上前で、それきり演じられなかったそうですが
三津五郎さんが当時の録音テープや台本、舞台写真などから振りをつけて
2005年の十八代勘三郎襲名披露公演で復活させたそうです。
当時は藤五郎を三津五郎さん、友人の治六郎を橋之助さんが演じていて
今回は橋之助さんが藤五郎を、巳之助さんが治六郎を演じておられました。

どうしても舞に自信がないから友達に代役を頼む藤五郎くんのヘタレかわゆさ、
橋之助さんのコメディ演技初めて見ましたけどとってもいいなあ!
友達のために一肌脱ぐ頼もしい舞い手のみっくんはアニキ肌でかっこよい、
式尉面をつけ扇を開いて舞う姿も腰がしっかり安定してかっこよかったです。
(みっくんが使う扇は表が金地にさつまいも2つ、裏が銀地に月とつがいの雁で
三津五郎さんが注文した扇をそのまま使っているそうだ)
3度の飯より舞が好きなお姫様は七之助だしお付きの腰元は新悟くんだし、
お姫様へ求婚するお侍さんたちは鶴松くんや国生くんでフレッシュ感満載。
七くんのお母さん役は高麗蔵さんであれって思いましたが(第1部おちくぼ物語の親子コンビね)、
おちくぼでは七くんをさんざんいじめていた高麗蔵さんが
「姫や、おまえの気持ちは?」「好きな人と結婚しなさい」ってやさしくてホワンときた(笑)。

「ぜひお面を外してわたしと連れ舞してちょうだい」と姫に言われて
マジ?って挙動不審になる橋之助さんとみっくんがかわいいー!
藤五郎がドキドキしながら姫の前に出て、治六郎が衝立に隠れて指導しようとするんだけど
腰元さんがあなたそこで何やってるのって治六郎を覗きに来るから
いやいや何でもないですって手を振ったらそれを藤五郎が真似しちゃったりして客席大爆笑☆
何とか3人で踊りだすもののやっぱり姫と治六郎がテンポ合うから一緒に踊っちゃって
焼きもち焼いた藤五郎がダメーって割って入って
「ぼかぁ本当は舞はできないんです、でも芋堀りならできます!」ってヤケになって
どじょうすくいの要領で芋堀ダンスを披露したらお姫様が気に入ってくれて
侍たちも腰元さんも加わって6人で一緒に踊りだす幸せな光景♪
厳粛な舞の雰囲気はとっぱらわれ盆踊りのような振りになって
手をヒラヒラさせたりやんやと拍手したり6つのお尻が客席に向かってフリフリされるのすんごいかわいい、
笑ってホッとできる内容でした。

幕見観劇者は1~3階のお店には入れないとかイヤホンガイドは500円で借りられるとか
わかったこともいくつかありましたので、また来るときは心得ておきたい。
あと、棒しばりは花道を使わないのでまあいっかと思ったけど
芋堀長者は藤五郎と治六郎の登場シーンだけ花道が使われるのですな。
幕見席からはかろうじてスッポンが見える程度なので
白浪五人男や勧進帳など花道に見所がある演目の幕見はやめた方がいいかもなあと思いました。
それから、わたし大向こうさんがいつもどこに座ってらっしゃるのかわからなかったのですが
今回はわたしの2列斜め前のおじさんが絶妙な間合いでずっと叫んでました。
3階席にいらっしゃるのか!道理でいつも後ろから声が飛んでくるわけだ。

2015noryo9.jpg
地下2階の木挽町広場に降りたらスッカラカン。
夜の部はあまり観劇しないのでたまにしか見ない光景ですが、
昼間の賑やかさを知っているとほんとに同じ場所かなっていつもびっくりします。

このスペースは「木挽町 御助蔵前広小路」という名前がついていて
災害時には広場と劇場内に合わせて3000人の帰宅困難者を受け入れるため、
コンビニとタリーズを除きすべてのお店は毎日夕方に片づけて翌朝組み立てているそうです。
お水や毛布や簡易トイレなども完備しているそうだ。
もしもの備えは大切ですが、どうか一度も使われずにすみますように。


本日のお絵かき↓
tokikin.jpg※クリックで大きくなります
お盆は終わりましたがまだ描いてます、
源氏物語を知らないご先祖様がお盆に帰って来たので読み聞かせようシリーズ。
今回は藤原時平と藤原公任。
きんとうくんは「あなかしこ、この辺りに若紫やさぶらふ」とお酒の席でふざけて言っていたのを
作者の紫式部に聞かれて日記に書き残されちゃったウッカリさんです。
でも1008年のその記述がきっかけで、2008年に源氏物語千年紀という大規模イベントが開かれたので
彼のひとことは未来に多大な影響をおよぼしたわけだな…。

公任のおばあちゃんが時平の娘で、彼女は藤原忠平の息子藤原実頼と結婚していますが
時平と忠平は兄弟なのでいとこ婚ですな。
というわけで公任は忠平の子孫でもあるのですが、
忠平は後日、別の子孫たちと一緒に描く予定なので時平との組み合わせにしました。
藤原さんちの系図は本当にややこしい。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
あの夏へ。
2015年08月09日 (日) | 編集 |
2015noryo1.jpg
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎1部「おちくぼ物語」「棒しばり」を観てきました☆
写真は木挽町広場にあった顔はめパネル。一番右下の顔が空いてて納涼歌舞伎の一員になれます。
低い位置なのはお子様を意識してのことでしょうか、大人はしゃがんでハイチーズですね^^

2015noryo2.jpg
広場のディスプレイがいつも楽しみなのですが、今月はとっても楽し気&涼し気。
この日も電車の中は浴衣姿の人たちがいました。全国でお祭&花火大会シーズン。

2015noryo5.jpg
今回のお席は前から5列目、舞台のほぼ真正面でした~。
上村淳之氏が原画を描いた緞帳いいなあ。

まずは「おちくぼ物語」。
平安時代前期に成立したとされる『落窪物語』を歌舞伎化したものです。
源中納言の娘が主人公で、彼女は中納言の後妻や連れ子たちから毎日のようにいじめられて
床が落ちくぼんだ部屋に移され「落窪の姫」と呼ばれています。
見かねた召使いの夫婦が都一の貴公子である左近少将に姫を紹介して2人は結ばれますが、
実は北の方は左近少将と娘の三の君を結婚させるつもりだったらしくてカンカンに怒って
2人の仲を裂こうと、自分の兄と落窪姫を結婚させようとします。
しかし色々あってお酒を飲まされた落窪姫はなんか元気になっちゃって
北の方や伯父を大立ち回りで翻弄し、少将と手を取り合って二条の屋敷へ去っていくというお話。
継子いじめで暗いのかと思ってたら結構コメディ色強くて、クスクス笑いもたくさん起きていました。
BGMがお琴と笛で雅だった(´▽`)♪

主演の七之助くんがもうパワー全開、
質素な衣装で縫い物してても楚々とした佇まいから気品があふれ出て
高貴な生まれというのが見て取れて(原作では確か母親が天皇の娘だったはず)、
口癖の「お許しください(か弱い声)」でさえキラキラして聞こえるからすごい。
美しくかわいいお姫様が最初から最後まで観客を翻弄するぜ!本望だぜ!!(笑)
少将からの手紙を「知らない」って言いつつ実は読んでて歌も全暗記してるのかわいい。
お付きの衛門に少将と三の君の話を聞いたときは大ショック受けても
懸命に無表情を装って動揺を悟られまいとする一連の表情がすばらしかった!
もうずっといじめられてるから叱られる前に謝る癖がついちゃってるらしくて
少将に「あなたはこういう人だね」って褒められても「ありがとう」じゃなく「ごめんなさい」が出てしまうけど
自分は幸せになってもいいのだと気づいた時からぐんぐん変わっていくのが爽快でした。
そんな姫とラブラブになる隼人くんの左近少将がいい人すぎる。
ああいう時代ですから姫に信じてもらうのも四苦八苦してたけど、
お許しくださいばっかり言ってる姫が好きですって素直に告白してて超イケメンでした。
屏風への忍び方を心得てたり、ろうそくの灯りを消した扇で2人の顔を隠してキスしてたり
結構、恋愛に長けた一面も見せててさすがです。あとやたら蚊取るのうまい(笑)。

落窪姫の味方のみっくん新悟ちゃん夫婦がむちゃくちゃいいです!MVPあげたい。
みっくんの帯刀は乳兄弟のつてを使ってお姫様を助けてくれる人を探してて
新悟ちゃん阿漕はお姫様に悪い虫がつかないように気を遣ってて
「いっときの戯れだったらどうするのよ!」「少将様はそんなお方じゃねえよ!」とか
ぶつかることもあるんですけど、
何気ない会話も夫婦喧嘩もチャキチャキして気持ちいいです。本音で語り合える夫婦って感じ。
三日夜の餅を一緒に「よいしょ、よいしょ」と運んでくるとこかわいすぎるし
姫がピンチの際はすわ一大事と大声で駆けつけたり
姫が少将と結婚するときはあたたかい笑顔で見送っててもはや天使。
若手さんたちのお芝居は明るくて元気が出ますね^^
ツボだったのが、帯刀が笑顔で少将に姫の人柄を語るシーンの
「お気の毒な方で…」って言うとき一瞬だけ顔がうつむくのが
本当にどうということのない仕草なんだけどそれだけで彼の暖かさとやさしさが伝わってきて
胸がぎゅーんてなりました。みっくんほんといい役者になったなー!
皆さまみっくんを、坂東巳之助をよろしくお願いいたします!!(選挙カーに乗りながら)

北の方(高麗蔵さん)と三の君(鴈成さん)が「おちくぼ!」ってヒステリックに叫ぶたびに
うわあって思っちゃったからお役としては大成功ですね~。
赤い袴をたくしあげて音を立てながら大またに歩き、ドスのきいた声も迫力満点で
怪獣みたいにおっかなかったけど、後半はなんだか滑稽に見えてきて笑いも起きていました。
亀蔵さんの典薬助もだめんずっぷりが際立ってるし、
宗之助さんの兵部少輔の破壊力が(笑)たいへん立派なお鼻でした。完全に道化役。
源中納言は後妻にまったく頭が上がらないというか、どうしたらいいかわからないっぽい不器用な人で
姫の部屋に向かって笛を吹いてなぐさめることしかできないみたいで
笛吹いとる場合かー娘が大変な目に遭っとるじゃろ!!って怒りたかったけど
彌十郎さんが四苦八苦しながら笛を吹きなさってると聞いて→こちら
お、おう…それはお疲れさまですってなった。(人の努力に弱い)

おちくぼ物語歌舞伎ver.は落窪姫と少将が結婚するまでのお話ですが、
原作はその後が結構長くて、少将が姫の家族にすごい復讐して
(牛車に石を投げたり清水詣での際に宿泊部屋を横取りしたり
家族が引越しのため綺麗にした邸宅へ先に落窪姫と引越してきちゃったりとにかくえげつない)、
家族が反省すると今度は大量のプレゼントをしたり娘たちの結婚相手を世話したりと手を尽くして
最終的には姫と家族が和解もするんだよね。
どんだけ姫のこと好きなんだ少将…!
あと、原作は少将と帯刀が力を合わせて姫を助け出して二条邸まで車で運ぶのですが
歌舞伎は姫の酒癖で難を脱するというのが何とも(;´∀`)。
(少将はきっと「この人お酒飲ましたらあかんやつや」って思ったに違いない)
「おちくぼ~!」って叫ぶ北の方に花道で振り返った姫が
「お母さま、お許しあそばせ」って口癖で返事してて笑っちゃいました☆

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今回のお弁当。「地雷也 月てまり」でございます。
天むすは幕間に食べるのにちょうどよい大きさで有難い(╹ω╹)ノ


続いて「棒しばり」。
主人の留守中に勝手に酒を飲んでしまうため両手を縛られた太郎冠者と次郎冠者が
何とかしてお酒を飲もうと奮闘(?)する、狂言でおなじみの演目を歌舞伎にしたものです。
台本は岡村柿紅、初演は六代目尾上菊五郎と七代目坂東三津五郎で
踊りのうまかった2人に当て書きした演目でもあるとか。
(稽古で興行主から「おもしろくない」と言われて六代目が「一晩待ってください、おもしろくします」と
豪語して次の日には爆笑させたという逸話をイヤホンガイドさんが教えてくださった)
亡くなられた勘三郎さんと三津五郎さんもずいぶん前の納涼歌舞伎で踊っておられますが
今回はおふたりの御子息である勘九郎&巳之助による棒しばりです。
もうね、2か月前に演目と配役が発表されたとき涙出そうになったね…絶対見るって決めちゃった。
チラシにも「十世坂東三津五郎に捧ぐ」と詞書がありました。

狂言の棒縛は去年に野村萬斎さんが演じたのを見て大笑いしたので、
さて歌舞伎はどんだけはっちゃけてるのかとワクワクしてましたが想像以上だったよー笑った笑った!
おちくぼ物語は割としっとりしたお芝居で大向こうもあまりなかったけど、
棒しばりは大向こうが飛び随所で拍手が起き笑いの絶えない内容で劇場中が賑やか!
客席が大爆笑してセリフが聞こえない場面もありましたよ~たぶん1週間分くらい笑ったと思う^^
長唄囃子連中の笛と三味線が完全に狂言のそれだったのも笑いを誘う要素になっている気がしますね。
次郎冠者が得意の棒術踊りを披露するところで拍手して
大名やじゅさんと太郎冠者みっくんが次郎冠者お兄さんを棒に縛りつけるところで笑って
どさくさで太郎冠者も後ろ手に縛られてしまうので笑って
まだ最初なのにこんなに笑ってどうしよう、これからもっと笑う場面あるのに!って思ったけど
心がほんとにウキウキワクワクして早く笑いたくてたまらなかったりした。

舞台向かって左側には5色の引幕が用意され、彌十郎さん演じる大名がそこから出入りしたり
「舞台を一周回ったら場所を移動している」「ガラガラと口でしゃべったら扉が開いている」
「役者が後ろで座ったらいないものとみなす」などの設定や
「この辺りに住む大名」「それは一段とよかろ」「さてもさても」「心得た」などのセリフもあったりして、
狂言の名残が随所に見られました。
酒を飲むじゃなく食べるっていう言い方も狂言から引き継がれていますね~。
縛られたまま器用に酒樽をあけて、知恵を働かせてお酒をたらふく飲んで
酔っぱらって踊り始める太郎&次郎冠者がとにかくかわいい☆
勘九郎兄さんもみっくんも声がよく通るから気持ちいいです。

みっくんは手を縛られてるから首と足を使って軽やかにダンス、
首をくりくりさせる動作めっちゃかわいいしステップもリズミカルで腰が安定していましたよ。
次郎冠者の踊りのとき、手が使えないので仰向けにひっくり返って両足を打って「やんや~」と拍手してた。
お兄さんは棒を天秤棒に見立てて「汐汲み」を踊りまして
ヘリコプターのプロペラのようにクルクル回りながら舞台を走ったりしてかっこいい~。
太郎冠者の踊りのときは蝶々のように手をパタパタさせて「やんや~」と拍手。
2人で番舞をするとき扇子の広げ方がみごとで
まず次郎冠者が閉じた扇子を片手で持ってバッと広げて太郎冠者に手渡し、
次郎冠者が太郎冠者の腰から抜いた扇子が持ち手と逆だったのでクルッと投げて持ち直して
バッと広げて、さらに左手から右手へ投げてナイスキャッチ~~ブラボー、拍手喝采!
こういうの見てると、こいつらきっとどんな時も知恵と力を合わせて乗り越えてきたんだなと思う。
盃が重すぎて床に置いて、口をつっこんでゴクゴク飲むのですが
片方が飲んでるときは片方が足で持ち上げてあげたりして助け合いの精神に満ちてて
ほんといとしいわー!
そんな風に感動していましたが、オペラグラスで見たらお兄さんもみっくんも滝のような汗で
まさにまさに、今のおふたりの全身全霊をかけた踊りだと思いました。

帰ってきた彌十郎さんが激おこで「おまえら酒たべたじゃろー」と2人を問い詰めますが
「アテクシは存じやせん」とか「あたくしは食べとりませぇん」とか呂律回ってなくて爆笑(^◇^)。
でも大名が打擲してやる~と武器(に見立てた扇子)を次郎冠者に振り上げると
縛られた棒をヒュッと喉元につきつける動作はすばやかった!お兄さんかっこよす。
次郎冠者に頭ガツンとやられてプッツンした大名が「おのれ~」と2人を追い回しますが
すっかり出来上がってる2人のヘベレケダンスに巻きこまれて
てんやわんやの大ゲンカになって幕が下ります。
「この後は一体どうなってしまうのでしょう」とイヤホンガイドさんが苦笑交じりにつぶやいてて
ほんとだねって突っ込みそうになった(笑)。

演技中ずーっと勘九郎兄さんとみっくんに勘三郎さんと三津五郎さんがだぶって見えるから
最終的には舞台に5人の役者が踊ってるような感じがしたよ。笑って泣けました。
「飲め飲め」「心得た~」で次郎冠者が足をヒョッとやるシーン、
確か勘三郎さんはアレッ飲めないって顔してたと思いますが
勘九郎さんはエッ飲めない!って心底悲しそうな顔してて余計に笑いを誘ってた気がする。
太郎冠者の踊り、三津五郎さんはどんなに踊っても乱れませんでしたが
次郎冠者のターンで後ろに下がったみっくんは肩で息をきらしてるのが遠目にもわかって
それだけハードな踊りなのだと胸にしみました。
演じれば演じるだけどんどん変わっていくとおもうので、
これからも長きにわたっておふたりの棒しばりが見られたらいいなあ。

勘三郎さんと三津五郎さんが納涼歌舞伎を始められたのは1990年のことです。
当時、勘三郎さんはお父様をなくされたばかりだったそうですが
初日に満員御礼になった客席をご覧になって三津五郎さんと一緒に泣いたと何かで聞きましたっけ。
そういえば去年の納涼には三津五郎さんがいらしたので観たんでした…あれからもうすぐ1年か。
思い出の役者さんコーナーはまだ見に行ってません。


2015noryo4.jpg
歌舞伎座3階にある花見さんで買ってきた上生菓子!金魚ともらい水だそうです。
「朝顔につるべ取られてもらい水」(『千代尼句集』朝顔より)

10月からのワンピース歌舞伎のチラシが歌舞伎座になかったので新橋演舞場まで行ったのですが
あの短距離を歩いただけで汗だくになりました(~д~;;)。
立秋とはいえお昼時に地上を歩くのはまだ無謀だったか…。
とはいえチラシは無事にゲット。猿之助があのマンガをどう解釈して演出するのか、とても楽しみです。

この後は丸の内の三菱一号館美術館に移動して、画鬼暁斎展を見てきました。
長くなりますので次回記事に書きます☆
シーッ!呪文のネジは巻ききった。
2015年07月28日 (火) | 編集 |
macbeth.jpg
パルコ劇場にて佐々木蔵之介主演舞台「マクベス」を観てきました☆
とある精神病院の病室の中でひとりの患者がシェイクスピアの「マクベス」のセリフを
2時間近くひとりで語るという、ナショナルシアターやブロードウェイで上演されたほぼ一人芝居です。
2月の情報解禁で蔵さんが演じるとわかった時はうおー楽しみだうおー!ってなって
チケット発売日には数か月先の自分の予定とかまったくわからないまま取りましたとも。
しかもスケジュールの前半が早々と完売してしまったので中日以降の観劇でした。
(が、これが結果的にとてもよかったと後でわかりました)

以下、まとまりのない感想です。
盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。


当日のチケットももちろん完売、奇跡的に取れた前から4列目の席から後ろを振り向くと
空いてる席が視認できなかったのでたぶん満員御礼だったと思う。
やれめでたや、と自分のことのように喜びながらマクベスの文庫本とオペラグラスを膝に置いて
幕開けを待ちました。
(今回のお芝居は松岡和子氏の訳書が台本に使われていると聞いて、
おお、わたしの読み慣れたマクベスではないかとちょっとうれしかった☆
松岡氏のシェイクスピア全集は流れるような口語体で訳されてて解説も含蓄がありおすすめです)

舞台上には精神病院の病室がセッティングされ、
いくつかのベッドと洗面台、鏡、キャスターのついたテーブルと椅子、バスタブ、赤ちゃんの人形があり
壁には小さな窓、ときどき看護師が様子を見に来る大きな窓、階段の先には外への扉。
そして天井に設置された3台の監視カメラと、患者を映し出すモニターが3つ。
これらすべてを駆使して蔵さん演じる謎の患者が「マクベス」のセリフを語ります。
舞台装置も衣装もスコットランドで上演されたのと同じ、まさに本場そのままってわけで
そんな舞台で蔵さん演技するの?って思うだけで心臓がどっかへ飛んで行ってしまいそうになった。
松岡氏も「こんなにドキドキするマクベスは初めて」とコメントを寄せてらしたね→こちら

幕開けは蔵さん扮するスーツ姿の男性が医師と看護師にベッドへ連れて来られ、
言われるがままにその場でお着替えさせられまして
(このとき胸元にチラッと、手でつけたような赤い液体の跡が見えて意味深)
白シャツと白ジャージの姿になります。
小さな茶色の紙袋をずっと大切そうに抱えていて、ああそのうち中身がわかるのかなとwktk。
医師たちは患者に何か話しかけていますが、客席側にはほとんど聞こえてこなくて
事務的な話とかしてるのかな…という程度の理解でいいのかなと思いました。
一通り済んで医師たちがきびすを返すと、ふいに患者が「いつまた会おう、3人で」と語りかけますが
医師たちは返事をせず階段から扉を開けて出ていきます。
患者は一眠りした後しばらくボーっとしてあらぬ方向を眺めていますが、やがて立ち上がって
部屋の中を歩き回りながら「きれいはきたない、きたないはきれい」と魔女のセリフをしゃべり始めて
ここからは一人芝居開始。

「マクベス」にはおよそ20人ほどの主要人物がいますが
蔵さんはそれらを声色やしぐさ、動きをつけるほか、病室の小道具を使うなどして演じ分けていました。
マクベス夫妻のやりとりが個人的には一番よかった~。
マクベスよりレディマクベスを演じる時のほうがちょっと声が張っているといいますか、
夫が思いつめるようにしゃべるのに対して妻は明るく低くアップダウンな声色になってて
(蔵さんはインタビューで「マクベスより彼女の方が欲が強い」と言っている)、
なんかやたら自信満々なのがおもしろかった。
というか登場シーンがお風呂っていうのがすごいね…。
いきなり蔵さんが舞台上で服を脱いでバスタブに浸かったときは何が始まるんだろうと思ったし
髪とかびしょ濡れのままタオル1枚で水からあがってもセリフしゃべり続けて
胸元まで隠しているときはレディマクベス、腰を隠しているときはマクベスという演じ分けもあって
おお、こういうやり方もあるのかと感心しました。

ダンカン王は老人であるのと王様であるということで椅子に座った状態で、
大きく口を開けてとても楽しそうにしゃべるおじいちゃんだった。
マクベスと王様の会話シーンは蔵さんが椅子に座ったり立ち上がったりを繰り返してて
ちょっと忙しそうでしたね。
「マクベス」は群像劇ですので会話のシーンが多いのですけど
蔵さんが立ち位置と向きをクルクル変えながら演じてくれますので
「ああ、今別の人になったんだな」とわかります。
相手の名前をセリフに入れて呼ぶこともしてなかったけど(原本のセリフがそうだからね)、
ストーリーを知ってますから何となく誰になったかわかってそんなに苦労はしなかったかな…。
バンクォー(マクベスの同僚)になるときはリンゴを手の上でもてあそんでいたり
マルカム(ダンカン王の子)のときは赤ちゃん人形を手にしたり(数少ない笑いの場面です^^)、
マクベスがマクダフの子を殺す場面は子ども用セーター(患者が抱えていた紙袋に入ってた)を
バスタブに沈めたりとかしてまして、
観ているうちにどんどん人物が舞台に増えてくるので、あれここ病院だっけスコットランドだっけ?と
くらりとする瞬間もありました。
蔵さんすごいよ…たったひとりで舞台に何人も出現させててまさに群像劇。
バーナムの森が動くシーンは地響きが聞こえてきそうな気がしました。

魔女たちの演技がコミカルでかわいい~。
目をかっと開いて両腕を広げて、いちいち天に向かって大げさに語る魔女たちは
常にシャシャシャと笑っていて歌でも歌いだしそうな雰囲気でした。
うれしい楽しいとかじゃなく、何がどうなっても別に構わないからどんな悲惨な状況でも笑うんだろうな。
(シェイクスピアが生きていた時代は魔女狩りの全盛期だったはずだけど
当時の役者さんは魔女をどう演じたかなあ、とかちょっと考えた)
わたし第一幕第三場の♪運命あやつる三姉妹~の歌がすごく好きなんですが
あれを蔵さんの声で聴ける日が来るなんて!
クルクル踊るように歌って「シーッ…」は観客に背を向けながら唇に指をあててるのがわかるし
「呪文のネジは巻ききった」は決然としてバッチリ決まってたし。
うおお呪文が完成したぜうおお~~って感動しちゃいました☆
あと「親指がちくちくする、何か悪いものがこっちへ来る…」のセリフは
アガサ・クリスティが小説のタイトルに使ってますね。トミーとタペンス!

とまあ、そんな風にすべての人物が一目でわかるようにキャラクター付けされているから
決まったしぐさも小道具も持っていないマクベスが主役として活きるのかもしれないな…。
彼、割と無個性といいますか、カラーがなくて何も染まっていない人物で
個性的な大勢のなかにいると浮いて見えるから「ああ、あれがマクベスだな」とパッとわかって
そういう空虚感というか虚無感がすごく主役って気もする。
だからいざ何かに染まるときは綿が水を吸うように一気にぐわっと染まって
あっという間に縮んでしまうのかもしれません。
罪を犯すことで正気から狂気へ崩れ落ちていくのが、自分でまいた種とはいえ業のようで
改めて思いましたが生真面目な人間の転落を具現化したような人だなあ…。
小窓でつかまえたカラスの内臓をいちいち取り出しながらしゃべるとこなんか倒錯的だ。。

マクベスがダンカンを殺して独白するシーンで、突然患者にピンスポが当たったと思ったら
蔵さんの両手が血まみれになっていたのはびっくりしたー!うわああ。
とたんにマクベスは患者に戻ってしまって、叫び声を聞きつけた医師と看護師がとんできて
注射したり抱きかかえるなどしてなだめていました。
看護師がトレイに乗せて運んできたパンと水がテーブルに置かれると
患者がマクベスの城の晩餐会を語り始めるシーンもありまして、
現実と患者の精神世界が交錯するのって大好物なのでわくわくした。
時々、監視カメラがウィーンと動いて天井の3台のモニターに患者を映す演出もおもしろいです。
レディマクベスのお風呂シーンや魔女、幻影が出てくる場面でよく動いていたかな…。
舞台上におびえた表情の蔵さんしかいないのに
モニターには蔵さんと覆面の男が映っているというホラー演出もありまして、
リアルタイムで映しているのか録画なのかはよくわかりませんでした。両方かな?

クライマックスのマグダフとマクベスの決闘は、口論の後にしばらく戦いの動きがあった後
半裸状態になった患者がバスタブへ仰向けにダイブして
まるで水死体になったように微動だにしない様子が監視カメラのモニターに映し出されます。
つまり決着がついてマクベスが負けたわけですが、
ここで蔵さんが全然水から上がってこなくて、会場もざわ…ざわ…と落ち着かなくなってたら
「プハァ!」って水しぶきとともに出てきてくれて心の底からホッとしました!
たぶん1~2分くらいだったと思いますが超長く感じた…よかった、この患者死ぬつもりはなかったんだ。

マルカムの戴冠式でマクダフが「スコットランド王、万歳!」と叫ぶと
患者は火が消えたようにシュンとしてしまいます。
たぶん彼の中で演技が終わったんじゃないかな…。
そこへ、まるで終わるのを待っていたかのように医師と看護師が扉から現れまして
患者をベッドに寝かせて、床に散らばった小道具を元の場所に戻して2人が去ろうとすると
再び患者が口を開いて冒頭でも言ったセリフ「いつまた会える?3人で」をつぶやきます。
2人は声を聞いて一度足を止めますが、やはり無言で出ていきます。
患者も無言でベッドに横たわって、暗転。

終わった…のかな…と思う間もなくワーッ!と盛大な拍手が起こりました☆
カーテンコールでは医師と看護師はそのままの格好で、蔵さんはバスローブ姿で出てきて
3回も頭を下げてくださいました。
125分しゃべりっぱなしでくたくたでしょうに微笑んで挨拶する蔵さんすごすぎた。。
バスタブの中身が水かお湯かわたしの席からはわかりませんでしたが(湯気は出てなかった)、
お疲れ様お疲れ様、早くお風呂入ってね!って拍手しながら思ってた。

演出をつけたアンドリュー・ゴールドバーグがGreat!って誉めまくったわけだよ…。
こんなに体力の要る舞台はピスタチオ時代以来ではないでしょうか。すごいよー!

観終えた後はくたくたで胸がいっぱいでぼんやりしたまま劇場を出たのですが、
帰宅して他の人の感想などを眺めていたら演出補の谷氏はじめ皆さん蔵さんの演技に感動していて
ああやっぱりって思いました。
なんだろう、なんだろう、もう、とにかく、色んな理由で蔵さんがノッてた。
個人的な感想ですが、あの日は蔵さんにとって最高のコンディションだったような感じがしたのです。
体調もメンタルもマクベスを演じるためにちょうどバランス良い状態だったというか、
演技やセリフも最高すぎず最低すぎず、マクベスを演じるうえでベストだったというか…。
うまく言えません。
蔵さんはプロですから舞台の時間に向けて体調は万全にしていると思いますけども、
それにしてもあの日は役者と演目のシンクロ率120%を目の当たりにした気がしました。ちょっと感動。

いつもは「できるだけ役者さんが元気なうちに観よう」などと考えて
初日に近いチケットを取る傾向があったのですけども
今回、中日を過ぎた舞台を久し振りに観て何て失礼なことを考えていたのかと反省しました。。
日にちが経っているなら役者さんも演技を磨くし演出も練られていくわけで
同じ演技や演出は二度と見られない、板の上は一期一会だなあと改めて思いました。
舞台というのは進化していくのだ…。
今度から予定が合えば中日や千秋楽のチケットも取ってみよう^^

あ。
帰りの電車に揺られながら色々思い出していたら
「いつまた会おう、3人で」というセリフが冒頭とラストにあったってことは
もしかしたら患者はあの部屋にいる間ずっとエンドレスで「マクベス」を演じ続けるのかもしれない…
とか考えて背筋が凍りついたのでストップストップ!と慌ててそれ以上考えるのやめました。
だって演じるたびにあの覆面の人間を見ていたら
彼が一生あの部屋から出てこられないような気がして…。
たぶん患者の人生に何か関係ある人物だと思いますが、誰だったのかな。
精神病院で患者が云々というと映画『カリガリ博士』を思い出しますけど
今回のマクベスは特に患者のバックボーンとか明かされないまま終わってたね。
たぶん観客が考えることなのでしょう。
わたしは、たぶん彼は家族を殺すか殺されるか何らかの現場を目撃するかしていて
あの覆面の人は目撃者か犯人か、あるいは患者の幻想じゃないかなあと思いました。
医師や看護師がマクベスの登場人物のセリフをしゃべってるのも
彼にそう聞こえてるだけかもしれなくて、実際は全然違うことしゃべってる可能性もあるし…。
まだよくわかってないから時間をかけて考えていきたい。

会場のロビーでフォトブック『動く森』のロケで撮影した映像がモニターに流れていまして
エディンバラ城の庭園に放し飼いにされている孔雀の後をついていく蔵さんがかわいかった☆
羽を閉じたまま歩いている孔雀に「こうしてほしいね」って手を扇形にしてた。
城内の展示室では剥製の熊の前を通るたびにビビってたけど
2回目以降は明らかにわざとやってる感じで笑っちゃいました(笑)。
何だかんだで人を楽しませることを忘れない人だな~一生ついていく\\٩( 'ω' )و//


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「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その13。12はこちら
1704年8月。江戸の内蔵助から緊急の手紙が届きました。

光琳「内蔵助が12月まで帰れなくなったらしい」
乾山「えっ」
光琳「まいったな。この家、来月には売るんだ」
乾山「ええっ」
光琳「江戸の住まいは用意したと書いてあるし…来月行くしかないか」
乾山「そう…だね。急なことになっちゃったね」
光琳「まったくだ。あー多代がなんて言うかな…」
乾山「がんばって~」
光琳「他人事と思いやがって」
乾山「他人事だし」
光琳「まあ一度行ってみたかったしな、江戸は」
乾山「素敵なとこだといいね」
光琳「どうだか。内蔵助の話じゃそれなりに物騒らしいぞ。だいぶ復興したらしいが去年はなゐがあったし、2年前だっけか、赤穂の討入りは」
乾山「別にお殿様のお屋敷に住むわけじゃないでしょ」
光琳「まあな」

風雷はいつものようにニコニコしていました。
翌日、光琳が目覚めると2人の姿はなく、どこへ呼びかけても返事はありませんでした…。

光琳の言っているなゐは地震の昔の呼称で、
去年の地震というのは1703年の暮れに関東で発生した元禄大地震のことをさしています。
赤穂の討入りは、ご存じ、赤穂浪士が吉良邸を襲撃した事件のことです。
それからどうした。
2015年07月08日 (水) | 編集 |
201507kabu1.jpg
歌舞伎座で母と一緒に七月大歌舞伎夜の部を観てきました☆
「通し狂言 怪談牡丹燈籠」を坂東玉三郎さんが演出&出演されるとのことでしたし、
何より牡丹燈籠を生きてるうちに1回は観ておきたかったので^^
木挽町広場には七夕飾りがたくさん飾ってあって涼しげでした。
いつぞやのくまモンはもういなかったけど、藤娘ふなっしーがいてかわいかった(笑)。

201507kabu2.jpg
観劇前に歌舞伎座ギャラリーを見学。現在、「歌舞伎にタッチ!」展が開催中でした。
体験型展示というやつで、歌舞伎に出てくる動物やお道具をさわったり動かしたり
写真も撮ったりできるのですよ~!

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歌舞伎の馬に乗ってみました!(この日は着物で行きました)
結構高かった…昔、動物園でポニーに乗りましたがあんな感じですな。

201507kabu4.jpg
お船やお駕籠のコーナー。
真ん中にある長い茶色の籠はひとかたまりの小豆が入っていて、
左右に揺らすと「ザザー」と波の音を表現できるというもの。
母が舟に乗り込んで漕ぎ始めたのに合わせてわたしが籠を動かして波音を表現して
「波だー」「うおー」などと盛り上がったりしました。

201507kabu5.jpg
助六に出てくる揚巻の着物。ぜんぶ身につけると28kgもあるそうです!ひいぃ。
女形の人って舞台の上では華奢に見えるけど、
立役より体力要ることあるから実際はがっしり系の人多いと思う。

201507kabu6.jpg
花道もあります!白浪五人男の傘と藤娘の藤を抱えてはいポーズ。
傘も藤も結構ずしっと手にきました…役者さんはこんなの担いで演じてらっしゃるのだなあ。
あと、役者さんがやるみたいに足元をトン!と踏んでみたらいい音がしました。うおお。

201507kabu7.jpg
花道は舞台に続いていて、寺子屋のセットにも上がれますよ。暖簾の内側へも出入りできます。
檜板は前の歌舞伎座で実際に使われていた板だそうだ!

201507kabu8.jpg
竹本用の見台。三味線をチントンシャンと鳴らすこともできます。
三味線はいつだったか触った経験があるのですが、書見台は初めてで
太夫さんはいつもこんな景色を見てるんだなあとしみじみ(*´ `*)。

たっぷり楽しんで時計を見たら1時間近く経過していて、開演時間も迫っていたので1階席に移動。
今回も早々にチケットが完売してしまっていたため戻りチケットを待っていたら
ラッキーなことに前から4列目という驚異的なお席が取れまして、
花道も結構近くて役者さんのお顔や衣装の模様までバッチリ見られたので
わたしも母も大変満足でした!
なんかもう、始めから戻りチケット狙った方がいいような気がしてきたよ(*´Д`*)。

以下、盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。

まずは「熊谷陣屋」。
源平合戦の熊谷直実と平敦盛のエピソードが元になっている演目です。
弁慶が書いた「一枝を切れば一指を切る」という意味深な木札が立っている桜の木の隣にある
熊谷直実の陣屋が舞台。
史実ですと直実は一ノ谷の合戦の折に敦盛を斬り殺しているのですが
この物語では実は直実が敦盛を助け、代わりに直実の一子・小次郎の首を義経に差しだして
しかもそれは「一枝(いっし)を切れば一指(いっし)を切る」→「一子(いっし)を切れば一子を切る」との
意味が隠されている義経の指示だったという内容。
こういう演目が作られる江戸時代まじ怖えええって柿葺落公演で見たときも思ったな…。

また、柿葺落では直実が吉右衛門さんで義経が仁左衛門さんでしたけど
今回は直実を海老蔵、義経を梅玉さんが演じていらっしゃいました。
直実は花道をのっしのっし歩いてきたり、舞台で何度も見得を切ったりとダイナミック演技が多めですが
海老ちゃんは体が大きいから何をやっても迫力があります。かっこいいなー!
「ああ16年は一昔、夢だ」と叫びながら花道を引っ込むラストシーンは
目元にちらりと光るものが見えましたが涙なのか汗なのか…
家族か主命かの葛藤と最後に爆発する悲しみがこの演目のクライマックスだと思います。泣ける。
梅玉さんの義経は有無を言わさぬ存在感があって、巌のように不動だなと思いました。
あれは誰も逆らえないよなあ…。
芝雀さんの相模は味があったし魁春さんの藤の方は立ち姿が美しすぎてガン見した、
髪を降ろして着物の片肌脱いだ姿ってなぜあんなに色気があるのでしょう!考え出したら沼。
義経の背後に控えている四天王、巳之助さんや種之助さんもかっこいいかっこいい^^
セリフも各々ひとことだけですけど、だからこそかえって緊張もあるだろうけど
ほんと4人ともよく通る声をしていなさるから唐突にしゃべられるとびっくりする(笑)。
左團次さんの弥陀六が食えないおじいちゃんで、飄々と登場するのですけど
義経に正体を見破られた時の目の動きとか唐櫃(敦盛入り)の中を覗くときのリアクションすごい、
梅玉vs左團次とっても迫力ありましたよー!

2年前とはいえ結構内容を覚えていたのと、2回目だったので余裕を持って見られましたから
舞台のあちこちに目を向けることができました。
弥陀六の着物に平家の人々の名前が書かれてるの今回やっと気づけた。供養かなあ。


休憩を経て、さあ!牡丹燈籠のはじまりだよ!\(^o^)/
幕末の落語家・三遊亭円朝が中国の昔話をもとに1861年に創作した怪談噺を
歌舞伎に仕立て直したものです。
旗本の娘さんであるお露さんが浪人の新三郎にものすごい大恋愛をして焦れ死にしたあげく
成仏できずに幽霊になって、毎夜毎夜、牡丹の燈籠を灯して新三郎に会いに行くところから
お話が始まります。
このままでは新三郎が生気を吸い取られ死んでしまいかねないということで、
お医者さんが気を利かせて彼の家にお札を貼り海音如来(架空の仏様)を持たせると
お露さんは入って行けなくなってしまいます。
そこで、新三郎の下人である伴蔵のもとへ夜な夜な「お札を剥がしてちょうだい」と会いにいって
怖くて断れないでいる伴蔵に妻のお峰が「お金くれたらやりますって言えばいいじゃない」と
アドバイスして伴蔵が行動に移る…までが前半のストーリー。
元々の噺はお露と新三郎、伴蔵とお峰、飯島家のお家騒動という
3つの物語が交互に進んでいくのが特徴だそうですが、
今回はお家騒動は省かれて伴蔵とお峰の話に終始してわかりやすくなっていました。
(大西信行氏の文学座初演脚本を改訂して上演しているらしい)

さっそく驚いちゃったのが幕開けの舟の演出。
お露(坂東玉朗さん)と乳母のお米(上村吉弥さん)が隅田川で舟遊びを楽しむ場面だったのですが
2人が乗っている舟が舞台上をすいすい進んでいくのは
下の見えないところで何か仕掛けがあるのかなとか想像ついたのですけども、
舞台から花道へさしかかりそのまま花道へすべりこんでいったのは予想外!
ざわ…ざわ…とどよめく客席をよそにホホホと笑うお露さんたちの舟は花道を引っ込んでいきました。
あれ一体何をどうやってるのだ…??
その後、焦れ死んだお露さんと後追いしたお米さんがぬううっとスッポンから出てくるのですが
真っ白な照明がぴかーっと当たってて、
おふたりともさっきと同じ着物着てるはずだけど色がピンクにも紫にも見えなくて
顔も着物も元々白塗りではあるんだけど輪をかけてむちゃくちゃ青白く見える!
牡丹燈籠を灯して新三郎さんの家に会いに行くと、
出迎えた新三郎さんはノーマル照明が当たってるから肌色とかふつうに健康そうで
でもお露さんたちはガチで顔色悪くてものすごい対比でした。
照明効果すごすぎるだろ!こんなことできるんですね。
というか牡丹燈籠がヒラヒラ透ける布とかついててゴージャスでした…ああいうのほしい。
九團次さん演じる新三郎さんは引きしまった顔のイケメン、そして筋金入りのいい人だった。
お露さんは死んだと聞かされていたのに「生きていたのか」って微塵も疑わずにハグしちゃって
かなり恋人を信じ切っている感じ。
幽霊とどうやってするんだろう…とか考えた腐った頭のわたしをよそに
障子の向こうでふつうにラブラブしてて愛は次元を超えるなって思いました。
というかこの2人、単に恋人同士ってだけで何も悪いことしてないよな…。

で、そんな2人の様子を下人の伴蔵(市川中車さん)がうっかり見てしまって
しかもお露さんの顔は思いっきりガイコツでギャアアアって上げた悲鳴がすごい。
(中車さんは香川照之さんとしては何度も拝見していますが、歌舞伎で拝見するのは初めてで
今回はそれもとても楽しみでした)
お札を剥がすよう頼みに来るお露さんお米さんの幽霊と鉢合わせるたびに全力で
「こんばんは~お早いおつきで!(震え声)」とか「いってらっしゃいませ~(震え声)」とか叫んでて
悲鳴のプロだねって母と言ってた。
(でも幽霊からもらった小判を「木の葉じゃいけねえ」って確認するのは抜かりないなと思った)
そして相手役のお峰さん(坂東玉三郎さん)ですよ!
セリフから仕草からてきぱきと様になりすぎててかなりこのお役やり慣れているんじゃないかな、
夫にわけを話せと半分イラつきながらなじるのとか
「百両くれたらお札をはがします、とか言ったらどうなんだい」と唐突に提案するのとか
間やタイミングに無駄がなくて、流れるようなお芝居だと思いました。
そして何かするたびに客席に笑いが湧いた。
夫から事情を聞く中での「それからどうした」で大爆笑がおこったり
天井から降って来た小判を数える「ちゅうちゅうたこかいな」でまた笑いが起きたり。
(しかも何度も繰り返しながらはけていくのかわいすぎた)
これ…怪談噺だよね?^^;
そんなこんなで、伴蔵がお札を剥がしてしまったので
お露さんお米さんは再び新三郎さんの家に入ることができるようになり、
とうとう新三郎さんはあの世へ召されてしまうのでした…ギャー、怖。
ヒュードロドロという例の効果音とともに恍惚とした表情でゆっくり倒れ込んでいく新三郎さんの動きが
実になめらかでした。九團次さんすごいな~。

201507kabu9.jpg
幕間に久々にめでたい焼き。
前にいただいたのがこの日だから1年半ぶりくらいだね~紅白餅おいしい。

幕が開いて後半スタート。
伴蔵の実家がある栗橋に引っ越した夫婦が
荒物商「関口屋」を開いて数年後、倦怠期を迎えているところから始まります。
久々に再会したお六さんに「あたし今はお金があってとても恵まれた生活してるけど
夫が料理屋のお国さん(市川春猿さん)に入れあげてミツグ君になっちゃった、
こんなことなら貧乏だったあの頃の方がよかった」って愚痴を言う玉さまが切ない…。
通りかかった馬子の久蔵(海老ちゃん)にカマをかけて
伴蔵の行動からお国さんのプロフィールから洗いざらい聞きだして
(海老ちゃんはさっきまであんなにかっこよかったのに久蔵はのっぺりメイクで
いかにもちょっと抜けてる感じがすごいかわいくて、
例によって「金があったら歌舞伎座へ行って芝居観てえなァ」とか言ってておもしろかった)、
帰って来た伴蔵に背中を向けたまま無言で内職してる姿のソンザイ・カーン。
ごまかす夫を問いただして「あんたが今そうなのは誰のおかげ、あたしがアイディア出したからなのに」
「あたしだって言いたくて言ってるんじゃない、お前さんに捨てられたらひとりで生きていけない」と
ひとりで3分くらいノンストップでしゃべってワーッて泣き出したら客席から大拍手!
すごいすごいあのテンションであの長ゼリフ、玉さまかっこよす~!!
伴蔵がすっかり反省して、自分のしたことを申し訳ない、おまえはずっと支えてくれたのになって
改めてお互いに大切な存在だとわかりあえてうわあよかったなあ!と感動しました。
よかったねえよかった、あれ、これ怪談ですけどもしかしてこのまま終わっちゃうの?とか思ってたら
とんでもなかったと大詰めで判明するのでした。

そんな大詰めはちょっともったいないような気がしたな…。
ふいに牡丹燈籠が空から現れて、カランコロン…という下駄の音もして
お六さんがお米さんに、お峰さんがお露さんに見えてしまうという錯乱をおこした伴蔵が
2人を刺し殺してしまって、
あれ?せっかく仲直りしたのになんで?てかお露さんたち成仏したんじゃなかったの?とか
彼女たちがまた現れた理由がわからなくてちょっと引いてしまった。
まあ怪談である以上、ハッピーエンドにはならないだろうと思っていましたが
あと少しセリフや場面が足されていれば説得力が増したかもなあ、と
花道を行く牡丹燈籠をフラフラした足取りで追いかける中車さんを見ながら思いました。

場面の合間にはザンギリ頭の圓朝(市川猿之助さん)によるストーリー解説がございました~。
猿ちゃんこのまま一席語っちゃえばいいのにと思ってしまうくらいのすばらしい話しぶり、
粋のいい江戸弁で、昼と夜→しるとよるだったりと徹底して、しっかり研究されたんだと思う。
(さすがに萩原さま、など人名はハヒフヘホをしっかり発音してたけど)
この人はどこまですごいのか…。

幕間にイヤホンガイドさんが圓朝についてざっと説明してくださったのですが
なかなかアップダウンな人生を送った人ですな。
落語の修行を始めてすぐに頭角をあらわしたのはいいけれど、なんと師匠に妨害されて
圓朝が高座に上がる前に師匠が圓朝が話す予定だった噺を全部やってしまうので
「よし、じゃあ誰もやってない噺をやるしかない」ということで創作落語を始めたとか。
師匠の名前は別の弟子に継がせて、圓朝自身は既成の噺はやらず創作落語をずっと続けて
今回の牡丹燈籠も圓朝のそんな行動から生まれたみたいです。
そうして作られた無数の噺は難度が高く現代でも演じる噺家さんは大変らしい。
(数年前から桂歌丸さんが圓朝の落語を復活させる試みをなさってますけども、
通しで演じると10時間以上かかる噺とかあってまじ体力勝負だと思う)
そういえば今月から圓朝の幽霊画を紹介する展覧会も開かれるので行きたいな~→こちら

あと、九團次さんが演じてらした新三郎さんがとても細面の美男子に見えたのですが
ご本人はかなり鍛えてらっしゃるようで→こちら
メイクや着物で着やせするタイプなのかもしれないね^^
みっくんも種之助くんもちょっと緊張気味だけどとってもいい顔。
段之さんが着てらっしゃるのは単に女形だからだと思う、女の子は体冷やしちゃいけません←
(しかし左團次さんが「キャー」とか絵文字とか入力なさってると思うとすんごいかわいいな)


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「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その11。10はこちら
1704年3月。中村内蔵助が仕事の都合で江戸へ行くことになりました。
お祝いのために肖像画を描いてプレゼントした光琳です。

内蔵助「これはいい、ありがとうございます」
光琳「どういたしまして」
内蔵助「尾形さん」
光琳「はい」
内蔵助「あなたも、いらっしゃいませんか」
光琳「?」
内蔵助「酒井のお殿様が江戸のお屋敷で絵を描く人間を探していらっしゃいます。風流人たちの集まりもございます」
光琳「………」
内蔵助「生活は、保障いたします」

びっくりの光琳。風雷は、ニコニコしながら聞いています。

中村内蔵助は弱冠30代で銀座の年寄役を勤めており、
この頃は江戸と京都を往復する多忙な日々を送っていました。
(1700年頃から、銀座年寄は1年半在京し3月と9月に交代することになっていました)
光琳が江戸に下ることを考えたのは、新しい顧客の開拓を期待したからとも言われています。
千穐楽。
2015年02月26日 (木) | 編集 |
mitsu.jpg
前回記事のときは脳みそフリーズ状態で何一つまともなことが言えそうになかったので
文字色薄くして追記に書いてから5日が経ちましたが、
21日に亡くなられた十代目坂東三津五郎さんのことはあまりに唐突すぎて
何も考えられないまま日々を過ごしています。
ひたすらな喪失感。呆然。。
あの日のTwitterと夜のニュースで速報を見てからは、テレビの報道は一切見ていません。
徹子の部屋の追悼特集や、新聞やネットで多くの方が三津五郎さんのお人柄や思い出を語っているのは
食い入るように読んだり見たりしていますけども。
(すごく心に響いた言葉ばかりだったのはこちらのブログ様の講演会記事です)
特にずっと三津五郎さんをお近くで見てらした役者さんたちの言葉が胸に響きます…。
お忙しい中語ってくださるのは本当に有難いことです。記録にもなるしね。

わたしはにわか歌舞伎ファンですので、三津五郎さんの歌舞伎のお仕事については
あまり詳しく知っているわけではないのですが、
映像やご著書も含めて、この際覚えている限りのことを書いてみようと思います。
まだ(というか全然)いなくなられたという実感が皆無のため
例によってお聞き苦しい点もあるかもしれないので、また追記に仕舞ってみました。
クリックで開閉しますのでよろしければどうぞ。(長いです)↓

[READ MORE...]
こいつぁ春からその4。
2015年01月05日 (月) | 編集 |
お正月に歌舞伎座にて壽初春大歌舞伎・夜の部を観てきました。
人生初の初日ですよ、初日!なんていい響きなんだ!(ライオンキングのティモン風に)
ほんとにチケット残ってなくて取れたのが奇跡のようでした…戻りチケット待ち続けてよかった。

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うっはあ~初めてナマで見ました、「本日初日」の垂れ幕(^▽^)。
初芝居を見ると1年間無病息災で過ごせるという縁起のよい言い伝えもあるので
やった!これで年末まで無事だぞ!
(たぶんお江戸の興行主たちの戦略でしょうけど、そういう何でもあり感は大好きです^^)

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そんなわけで初詣は歌舞伎座右手にちょこんと鎮座ましましてるお稲荷様でした~。
去年の浅草寺とは違ってゆっくりお参り。
今年も役者の皆様、裏方の皆様、観客の皆様が無病息災で過ごせますように!

2015kabu3.jpg
築地本願寺にも行きました。歌舞伎座から歩いて5分くらいかな。
これから見る初日のお芝居に中村屋のお兄さん、つまり勘九郎さんが出演されているのですが
こちらはその中村屋さんの菩提寺なのです。
今年も中村屋ファミリーが無病息災で過ごせますように!

あと、境内にある酒井抱一のお墓にもお参りしました。ずっと来よう来ようと思っててやっと叶った。
今年は琳派誕生400年ですよ~☆


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歌舞伎座に戻ってわたしのお気に入りのお店、5階の寿月堂さんでゴハーン☆
シーフードサンドに漬け物に温かいスープ、抹茶ロールケーキ(゚∀゚)ウマー

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木挽町広場をうろうろしてお土産を物色し、入場時間になったので会場入りすると
中はお正月飾りでいっぱい!今年の干支である羊の飾りもありました。

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おっきな鏡餅。

お客さんたちの装いもお着物やドレスなどいらして目の保養(*´ω`*)ミンナキレイ
歌舞伎座は着物のお客さんを年中見かけますが、お正月は特に多いような気がします。
芝居見物は別におしゃれしなくてもいいけど、おしゃれすると楽しいよね。

あ。イヤホンガイドを借りようとロビーを歩いていたらロバート・キャンベル先生をお見かけしました。
(席に戻って気づいたのですがわたしと同じ列に座ってらっしゃった)
あと、この日は大阪松竹座と歌舞伎座のお芝居がNHKで生中継される日だったので
2階ロビーにお花が飾られてアナウンス席ができていたりテレビカメラが並んでいたのは見かけましたが
アナウンサーの方が中継したのは上演中でしたので直接は見られず、
帰って録画を確認したらこの日の最後の演目「黒塚」のクライマックスが放送されたのですね~。
ご覧になった方いらっしゃいますでしょうか、
阿闍梨たちとのバトルで花道へ追いやられた鬼の足元にいたのがわたしです(わからんて)。

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席は花道脇でした☆スッポンが目の前~わーい✧*。٩(ˊωˋ*)و✧*。

まずは「番町皿屋敷」。
よく知られている「いちま~い、にま~い」の江戸時代の怪談を元に岡本綺堂が脚本を書いたものですが
エッセンスは残っていたけどお話はだいぶ別物でした。怪談要素ゼロだし。
主人公は中村吉右衛門さん演じる青山播磨で、
市川染五郎演じる放駒四郎兵衛らと日夜けんかに明け暮れる25歳の青年旗本のお役でした。お、おう。
染ちゃんは馬が描かれた絵馬の着物をお召しであった。だから名前に「駒」がついてるのかな。
2人がケンカしてるところへ播磨の伯母さんが仲裁に現れたので
染ちゃんが伯母さんの顔をたてて「おめぇら勘の虫を降ろせ」って子分に言うとみんな「はぁい」って返事して
たぶん「ヘイ」なんだけどはぁいに聞こえて笑っちゃった(笑)。

播磨に縁談が持ち込まれる中、播磨と相思相愛の腰元・お菊さんはすっかり気が動転しちゃって
青山家の家宝であるお皿10枚一揃いのうちの1枚を
「このお皿が割れたらあの人どうするかしら…」と考えてパリンと割ってしまいます。
おいおい。。
で、あっけなく播磨さんにバレて、最初はわざとではなくうっかりだと話していたのですが
お菊さんがお皿を割るのを目撃していた女中さんがいたのでやっぱりわざとだとバレる。
「あなたの気持ちを試してごめんなさい」と泣くお菊さんに
播磨さんは「そりゃお前の疑いは晴れたろうけどおれが疑われた恨みは晴れねぇぞゴルァ」的なセリフを
大事なことなのか2回も繰り返してお菊さんをバッターと畳に押さえつけて斬ろうとしたら
同じくお家の奴さんが来て止めてくれるのですが、
完全にスイッチオンになっちゃってる播磨さんはお菊さんに皿を出させて
「よし、1枚」ってつぶやいて、刀の鍔をがつんと当ててパリンと割っちゃった!
次、と命令されて出すしかないお菊さん、しぶしぶ「に、2枚…」と出して、また播磨さんがパリン。
3枚目もパリンとやると、奴さんが「3枚」。
続いて播磨さんがまた割って「4枚」。
5枚目を出せと迫られてお菊さんはすっかり怖がっちゃって、また斬ろうとする播磨たんを奴さんが止めて
(この奴さん急に出てきてかばってくれたんですけど、お菊さんのこと好きなんですかね…
それとも同僚として心配してるんすかね…よくわからなかった)
しかし奴さんが止めるのも聞かずお菊さんはバサーと斬られてしまいます…うーわー…。
たぶん元のお話へのオマージュでしょう、2人がかりで庭の井戸の中にお菊さんをするりと落として
もうどうにも止まらない播磨さんは「もはや自分の生きる道はケンカしかない!」と顔を真っ赤にして
花道をぴゃーっと走っていってしまったのでした。

疑われたのくやしい→わかる 疑われた恨みは晴れない→まあわかる
お菊皿を出せ→? お菊いないからケンカする→???
やばい岡本綺堂わからないわ…わたしもまだまだ修行が足りませんな…(゚∀゚)。

都内にはお菊さんのお墓がいくつかある(!)らしいのでそのうち行けたらいいな。

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本日のお弁当。柿の葉寿司と隈取チーズ蒸しパンをいただきました☆


続いて「女暫」。
團十郎歌舞伎十八番のひとつ「暫」の男性主人公を、女性主人公に変えて演じられるものです。
もともとは江戸時代の毎年11月に行われる顔見世興行の演目だったらしく、
セリフの随所に「吉例」「顔見世」などがあり当時の演目であることがしのばれます。
顔見世は1年間の雇用契約を結んだ新規の役者たちが初めて行う最初の興行のことで、
女性主人公の演目の主役は立女形(座のトップの女形)がつとめたそうです。
今回の主役は坂東玉三郎様ですよー美人様ですよっ☆

平家追討の武功を上げた源範頼が、部下たちと北野天満宮で宴会をしているところから幕開け。
局の唐糸(笑也さんきれいだったー!)を始め、部下たちが祝儀を言う中、
清水義高(錦之助さんの若武者姿は端正で美しい)に「横柄ですよ」とか何とか諌められ、
義高の恋人紅梅姫(梅丸くん初めて見ましたが愛らしい姫様)に求婚するもフラれて機嫌を損ねた範頼は
お相撲さんみたいな太鼓腹(腹出しというらしい)の成田五郎とその部下たちを呼び出して
こいつらを斬れーと命じます。
男女蔵さんの成田五郎は花道からのっしのっしとご登場。強そうでした!

そこへ「しーばーらーくー」と花道の奥から声が!
さらに「しーばーらーくー」「しばらく、しばらく、しーばーらーくー」と声がしてシャリーン!と揚幕が開くと
裾の長い着物をたくしあげ、男ver.と同じく盛りに盛った髪型に柿色の長素襖を抱えた
勇ましい巴御前がのしのしと歩いてきます!
出たー!!玉さまーーうわああああかっこいい(*^▽^*)☆
幕が開くと同時に飛ぶ「大和屋!」の大向こうと万雷の拍手。盛り上がりましたよー!
おめえら義高さんに何すんじゃワレェ(意訳)とスッポン近くに陣取ってものすごい目つきで舞台を睨むので
成田さんたち何もできなくなっちゃいます。。
(巴さんが「赤いぽっぽの兄さんたち」と呼ぶところで笑いが起きてました)
範頼の部下の震斎(耳元から長い髭が出ていて鯰と呼ばれているから震斎?)が
「あっち行けよ」と言っても、お顔をプイッとそむけちゃってガン無視。かわゆい☆
それどころか、本番中なのに茶後見の團子ちゃんにお茶持ってきてもらってくつろいでるし(笑)。
そこへ同じく範頼の部下若葉(七之助)が「あら~誰かと思えば大和屋の姉さん」と玉さまに近づくから
一気に楽屋っぽくなって客席大爆笑!
玉さまも「おや、中村屋の姉さん」と応じてました。
「ちょいと下がって」「どこへ」「揚幕の方へ」「あい、と言いたいところでござんすが、イヤでござんす」
「そんなこと言わずに」「んん?(ひと睨み)」「アレー」
と、若葉は逃げてしまって、震斎に「わたしではダメでござんす」と訴えます。
そんな、七之助が無理なら一体誰ができるんだよ…というわたしの気持ちをよそに(おまえのは関係ない)、
震斎がチャレンジするも、やっぱり巴さんのひと睨みで退散しちゃう(笑)。
上司に顔向けできなくて若葉に頭で鞠つきしてもらってごまかすのですが
七之助と又五郎のタイミングがなんとなく合ってないのは初日ゆえのご愛嬌かな^^

その後も成田五郎とか奴連中とか(巴さんが刀を振るだけで奴凧のように飛ばされてた)、
敵をひとりでバタバタ倒しながら舞台にやって来て
「巴がここにあるからには、ご安心召されませ」と義高さんに語りかけ、
範頼に「義高さんの刀・くりから丸をどこへやった、返せ」と迫る巴さんマジかっこいい。
すると若葉ちゃんが「わたしがくりから丸を隠していました。持ってきて~」と花道に向けておっしゃる。
七之助は味方だったのねーうきゃー☆
花道から手塚太郎(この人は実在の人物で手塚治虫氏のご先祖だそうだ)がくりから丸を持ってくると、
義高さんは満足して紅梅姫と部下たちを連れて花道を帰っちゃいます。。
七之助がスッポン付近で一旦立ち止まりしゃなりと着物を揺らしての引っ込みで猛烈美しかった(´Д`)。
巴さんは大刀を一振りして敵軍団全員の首をバッサーって飛ばして勝利のポーズ!
(ゴロゴロした首は後見さんたちがせっせと回収していってた)
花道に戻って来た玉さま、再びくるりと舞って勝利のポーズ☆
このとき初めて気づいたのですが刀が客席にはみ出さんばかりの長さでした!
重たいだろうな…などと思っていたら、万雷の拍手とともに定式幕が引かれ大盛り上がりだったのですが
終幕とともに玉さま、花道にへたりこんじゃった!
「ああ疲れた。衣装重いし刀も重いし、早く楽屋行って着物脱ぎたいわ」などと楽屋の雰囲気でおっしゃって
なんだこれかわいすぎるだろ(五体投地)!!!!!
そこへ舞台番(舞台を監視する人)の格好をした吉右衛門さんが舞台袖からご登場~☆
アナタちゃんと引っ込みしなきゃダメよ、早く六法やりなさいヨ、え、できないの?ってことで
花道での六法稽古がいきなり始まっちゃった!
こうした幕切れ後の寸劇は「ご馳走」と呼ばれるそうです。
「ぼくは成田屋や播磨屋(ご自分・笑)の兄さんので覚えましたからね、こうしてこうして、バーッタリ」とか
吉右衛門さんから一通り教えてもらった玉さま、
「オオ恥ずかし」と言いながら見事に六法を決めて引っ込まれましたが、刀を置き忘れて帰っちゃった(笑)。
仕方がないので吉右衛門さんが持って帰ってました。

かっこかわいい玉さまとか、美しすぎる七之助とか、人間国宝同士による寸劇とか
なんだこりゃ新年早々どんなサービスデーなの、まさにご馳走のような一幕でした☆
玉さまは背が高くていらっしゃるので巴御前のようなお役は映えますな!

そういえば、亡くなった十二代目團十郎さんの「暫」をテレビで見たことがあるのですが
「女暫」とはやっぱりいくつか異なる点がありますね。
震斎と照葉(女暫では若葉)が花道の男に声をかける順番が逆だし、刀の名前が「いかづち丸」だし
刀を持ってくるのは小金丸行綱です。
あと、わたしが見たときは照葉(女暫では若葉)を当代三津五郎さんがつとめておられたので
花道でのやりとりは「まあ、成田屋の夏雄兄さん」、團十郎さんが「おや、大和屋の寿兄さん」でした。
ここは演じる役者さんごとに異なるのでしょう。
ラストは男が花道で見得を切り六法で引っ込んで、ご馳走はなし。
男性版と女性版、どちらもおもしろい内容です。気になる方は見比べてみてくださいね。


休憩を挟んで、最後はいよいよ「黒塚」です!
新しい歌舞伎座が開場して2年弱!とうとう!四代目猿之助が襲名披露公演で演じた「黒塚」をひっさげて
この舞台にやってきましたよ!!
一体いつ来てくれるのかと首をなが~~くして待っていました。めでたい\(^o^)/
染ちゃんもブログでお祝いコメントを寄せてくださってました→こちら
何にしてもめでたい!おめでとうおめでとう!今後は定期的に出演するのかなあ。

黒塚は能「安達原」を歌舞伎化した舞踊劇で、
初代猿之助がロシアに留学したときロシアンバレエで見た爪先で回る演技などを取り入れて
さらに能にはない鬼の心情を語るくだりも加えて作られています。
かなり能よりわかりやすいんじゃないかな…イメージが固定しやすいということでもあるけど。

舞台と客席の照明を全部おとした真っ暗な幕開けで、
風を表現する太鼓のトントントントン…という音だけが響きます。ドキドキ。
やがて灯りがぽつぽつともって、花道から阿闍梨祐慶ら3人のお坊さんが宿を求めて歩いて来ます。
祐慶は中村勘九郎兄さん。美坊主(´∀`)☆
(猿之助・勘九郎は亀治郎・勘太郎時代に浅草でよく一緒に舞台に立っていましたけど、
お互いに襲名してからの共演は今回が初めてだそうです。
ちなみに猿之助襲名披露公演のときの祐慶は亡くなられた十二代目團十郎さんでした)
ススキ野原に一軒のあばら屋を見つけた祐慶たち、
一晩泊めてくださいな~と家主に声をかけますと
ここでスルスルと御簾が上がり老婆・岩手に扮した猿之助が糸車を回していたー!!
「澤瀉屋!」「四代目!」と、待ってました的な大向こうが飛び交い大きな拍手が起こって
岩手がセリフしゃべってたんですけどほとんどかき消されてました(笑)。
やっぱり待ってた人たちいっぱいいたんだなーいたよねーわたしも待ってたよっ(´▽`)。

で、岩手が祐慶たちを家に招き入れるのですがこの演目、歌舞伎にしては珍しくセットが簡素で
舞台上には岩手の小さな家と垣根、ススキしかないのですね。
「能を意識しているので、垣根をくぐったらもう部屋の中と思ってください」と
頼もしいイヤホンガイドさんが教えてくれました。なるほどー。
ささやかな身の上話をした岩手は、阿闍梨たちのために山へ薪を拾いに行こうとするのですが
奥の部屋を指さしてお決まりの文句「あれなる閨を決してご覧じあるな」とつぶやいて
さらに垣根のところで「ゆめゆめ…」と釘をさして出かけていきます。
阿闍梨さんたちは言いつけを守って閨を見ないのですが、連れの強力さんは気になって仕方なくて
軽妙な動きで阿闍梨さんたちの目を逃れて閨を覗いてしまって、
室内が死体だらけなのに驚いて「ギャー!」と叫び声を上げて腰を抜かしてしまいます。
これきっと、能の安達原でいうところの間狂言(狂言師がつとめる場面)なんだと思う(笑)。
わかるよ強力さん、妖怪不祥事案件でいうところの「押すなよ、絶対に押すなよ」というか
禁じられるとかえってやりたくなって、ついやってしまって後悔するアレですね(違)。
寿猿さんはこういう愛嬌のあるお役が本当にかわいらしい(´ω`)。
で、阿闍梨さんたちが「さては噂に聞く鬼のすみかであったか!」と戦闘態勢に入って、暗転。

第2場。
三日月をバックにススキ野原を行く岩手が、
先ほど祐慶に「罪を償って仏の教えを守れば成仏できるよ」と教えてもらったのを思い出しながら
ふと地面に落ちている自分の影に気づいて戯れ舞い始めるという美しい場面。
もう、もう、猿之助の踊りのセンスが思いっきりはじけてましたー!
月影とともに舞う鬼ってだけでもツボなのに
それが猿之助で、しかもナマで見られるとか!今日はご馳走デーですか。
さっきまでの沈んだ表情はどこへやら、すっかり童心に戻ってクスクス笑いながら舞う鬼を
猿之助が柔らかな踊りとしぐさで表現していました。
とても品があって軽やか、おばあちゃんなのでそんなに激しい動きはないんだけど
しっとり豊かな感情がすごく伝わってきましたよ。
人生で一番気分がいい日とでも言うような、
祐慶たちに出会えたことでわたしでも成仏できるかも…と心からうれしそうな。
踊っている拍子に、一瞬、白杖を頭の上にくいと上げて自分の影を見たら角のように見えて
しまった本性を出してしまったか…と勘違いするけど
頭に手をやってああ、影かとホッとする一連の表情の演技がすごい!

そんなだから、ヒャーヒャー叫びながら山を登って来た強力が
閨を覗いてしまったとわかったときの怒りの表情がとてつもなくおっかなかった。。
客席を向いて仁王立ちになり、くわっと目をむいて口をぱっくり開くと舌が真っ赤!
同時に青白い照明がパーッと猿之助にピンスポで当たっておどろおどろしさ倍増!!
寿猿さんだけじゃなく客席も叫んでましたよ、うおおお。
さらに祐慶たちも駆けつけて来ておのれ鬼めーとか言うから
完全に怒った岩手はススキ野原の向こうへトンボ返りで消えてしまい(これがパーフェクトな身のこなし!)、
腰が抜けて動けないながらもコサックダンスのようなパフォーマンスを見せてくれた強力さんにも拍手。
信じられますか、80代ですよ寿猿さん…澤瀉屋一門ってのは一体どうなってるんすか…。

第3場。
暗転した舞台袖にスポットが当たり、伴奏の大薩摩さんたちが見せつけてくれました~。
琴と三味線をかき鳴らして岩手の心情を歌い上げてくれます。
(このときイヤホンガイドさんが「大薩摩はすでに後継者が絶えて長唄連中がつとめています」と
まるでご近所でも紹介するようにさらりとおっしゃって、
「ふーんそうなんだ……ゔあ!?」って声出るところだった)
舞台中央にはススキ野原に囲まれて鐘がひとつ。(能『道成寺』へのオマージュだそうです)
祐慶たちが駆け込んでくると、鐘がぱっくり割れて
中からざんばら髪をふり乱し派手な隈取をほどこした鬼(猿之助)が現れた!
さあ阿闍梨vs鬼バトルの始まり~!
ここでも猿之助の身体能力は花が咲くように爆発していて、
阿闍梨たちにやり込められそうになって膝立ちでグルグル回ったり
鉄杖をブンブン振りながら襲い掛かったりと忙しい。
なにしろ髪の量が多いし着物も大きくて袴の裾さばきが難儀だろうなと思うんですけど、
少なくとも見た目は難なくこなしていく猿之助まじ…神かよ…。
鬼が袴をバサー!とするだけで風が起きるような迫力があります。やっべー!!
阿闍梨たちも負けずに数珠を鳴らして応戦、
勘九郎兄さんの祐慶がどっしり構えて他の2人がサポートする形で
鬼をじりじり追い詰めていきます。
花道のスッポンまで追い詰められた鬼がわたしの目の前でもだえ苦しんで
急にふっ…と力が抜けて棒立ちになり、そのまま海老ぞりで後ろに倒れるかと思いきや
ひゅっと前向きに、真っ正面からバッタリ倒れちゃって客席から悲鳴が上がりました!
仏倒しといって仏像がバタリと倒れるような演技とのことです。なんという演技名。かっこよすぎか。
あと、この倒れる場面は3年前の襲名披露公演だと一瞬だけ暗転してたんですけど
その演出やめたのね、
倒れ込む寸前すばやく両手をついてパッと立ちあがり、そのまま花道で阿闍梨たちとともに見得!
かかかっこいいーーーーー!大拍手!!!
阿闍梨たちの法力で舞台に引き戻されるときも、ただ引っ張られるだけじゃなくて
後ろ向きにジャンプしながら舞台まで立て膝でダンダンダンダンッ! と戻っていく
あの身体能力マジどうなってんの…。
かつて「うますぎるから下手に演じてください」と某演出家に注文つけられた伝説を持つ彼は
一体どこまでいくんだろう、と根本的なことを考えたりしました。たぶん答えは出ない。

そして力尽きて阿闍梨たちに鎮められてしまう鬼の悲しさ切なさは
能でも見たけど泣くねえ…。
あー負けちゃった…って泣いてるみたいで、こちらも涙が出てきました。
三味線の音がりょうりょうと響き、最後はしいん、と静まり返った舞台の真ん中で鬼が、
阿闍梨たちが舞台袖付近で見得を切って幕切れでした。
さっきまでの戦いが嘘のような、とても余情のあるラスト。拍手喝采。すばらしい。

猿之助が歌舞伎座に来るのをずっと待っていた観客の期待に応える以上の熱演だったと思うよ!
襲名披露公演はテレビで見ていて、テレビでも充分すばらしかったのですけど
今回ナマで、しかも花道脇で衣擦れや息遣いさえ全身で感じられるあの席で観劇できて
本当によかったです。
彼はよく「走り続ける勇気」という言葉を使いますが、
そうだね色んなもの背負いながら調子のいいとき悪いときもありながら舞台に立ち続けるんだろうな…。
立ち止まらずに進化してゆく様をしっかり見せていただきました。
なんていうのかな、新聞のインタビューでも語ってたけど座が新しくなろうが古くなろうが関係なく
彼はいつものようにお稽古して芸を高めてこれからも走り続けていくのだろうな。とても楽しみです。
長生きしなきゃ…(´ω`)。

「黒塚」は元になった能「安達原」を3年前に見ましたけども
能が静かで底冷えする怖さでドキドキするのに対して
歌舞伎は派手な動きで「うおお回った!跳ねた!倒れた!戻った!うわー」ってひたすら興奮して
特に鬼と阿闍梨たちのバトルはずーっと心臓バクバクしてて終わったら汗かいてて寒かったです…。
新年早々の観劇でこんなに消耗するとは思いませんでしたが、
新年早々の観劇が今日のこの演目でほんとによかったなあ、とも。

あと、歌舞伎座初出演の方は猿之助だけではなかったみたいです。→こちら
お琴を弾く人たちが3人いらして、うちおふたりが女性でした。どちらかがおばあさまだったのかな。


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本日のいでたち+初売りでゲットした風呂敷バッグ。
着物に合うのが欲しかったからうれしい~。

以上、2015年の歌舞伎初めレポでした!
今年もちょこちょこ演目さがして、いっぱいいいものを見ていきたいな。
たったひとりの五十三驛。
2014年10月17日 (金) | 編集 |
新橋演舞場で「市川猿之助奮闘連続公演 十月花形歌舞伎」を観てきました☆
四代目市川猿之助が昼の部・夜の部のほぼ全編にわたって大活躍する演目を
今月だけでなく来月まで続けるという過酷な公演です(^ ^;)。
猿ちゃん体力ある人ですけどマジ大丈夫なのか…無事に千穐楽を迎えられますようにgkbrgkbr

わたしが観たのは夜の部「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」といって
弥次郎兵衛と喜多八が旅をする十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を
鶴屋南北がおもしろおかしく歌舞伎にしたものです。
江戸時代の歌舞伎は長い1演目を2~3日かけてやることがあって
大当たりして大ヒットすると続きを書いていたみたいですが、
書いているうちに南北さん、収拾がつかなくなったのかお客が入らなくなったのか
上演が3幕で中断されてしまい(この時点で箱根までしか帰って来てなかった)それきりだったのを
先代の猿之助(現猿翁)が4幕目を追加して復活させたそうですね。
で、結局4幕53場、幕間も入れて上演時間は約5時間!
しかも6役くらいだったのを12役付け足して計18役にしてしまったという…もうなんなの…(;´∀`)。

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いつものようにチケットで席を確認して「あーここだここだ」って座ろうとしたら
椅子の背にビニールがくっついていた件。
舞台から水が飛んでお客さんがビニールで防御する様子は何度か見たことありますが
実際に浴びる側になったのは初めてでした(笑)。
今回の席は花道に近かったのでこれは花道でも水飛ばすのかな…とちょっと覚悟を決めた。

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ちなみに立ちあがるとスッポンがこの位置にあります。なんということなの。

1人18役早変わり+宙乗りってチラシに書いてありましたから
ほほう、幕ごとに早変わりして合計18役なのかなって軽く考えていたら
3幕までは6役くらいを何度か演じていて(たまに早変わりがある)、
大詰め「写書東驛路」で12役連続早変わり踊り分けという超頭おかしい企画だった……('Д')。
それだけじゃなくスッポン、人力クレーン、本水使った大立ち回りなど使えるもの全部使い倒して
「面白いものとりあえず全部板の上に乗せてみました!」な和洋中大盛りフルコースって感じで
次々に場面も話も変わるので観る方も体力を消耗するという(笑)。
芝居の名場面パロディ(ほとんどおいしいとこ取り)もあるからお芝居好きな方はニヤリとするし
(大詰めでは「お染の七役」と「白波五人男」を知っていると楽しいよ)、
こういう、おもしろいけど支離滅裂の演目を「ないまぜ狂言」または「闇鍋」というそうです。
鶴屋南北がこの演目を書いたのが70歳のときで
さらに2年後には四谷怪談を書いているとイヤホンガイドさんに聞いてもう何が何だか、
南北は真面目と不真面目の差が極端だな…。
南北も、復活どころかパワーアップさせちゃった猿翁さんも頭おかしい。でも楽しい。

幕開けは春猿さんの茶屋女房おきちと錦之助さんの鶴屋南北がおしゃべりしているシーンから。
そして万雷の拍手とともに猿之助が馬を連れて花道からご登場~☆
スッポン付近で立ち止まって「みなさまようこそいらっしゃいました、市川猿之助でございます」とか
挨拶してくれました!
うおーめっちゃ近い息遣いとか聞こえるじゃないの…スッポン席やばい(勝手に名付けた)。
猿之助が舞台に移動すると南北さんとの掛け合いが始まります。
猿之助が「あなたがこんな芝居書いちゃったから舞台裏は火事場の如き大わらわです」と苦情を言うと
南北が「役者がそんなこと言っちゃダメよ~ダメダメ♪」っておっしゃるから客席大爆笑!
猿之助も「芝居で生きられるのは本望です」と思い直したようでここから口上。
南北の作品を猿翁が復活させたこと、18役早変わり、本水を使うなど説明してくださり
「スーパー歌舞伎IIの原田さんの新しい照明とともに、懐かしくて新しい、“なつかあたらしい芝居”を
上演する次第にございます」と朗々とご挨拶いただきました。

序幕。
十返舎一九の小説は江戸日本橋から始まりますが、五十三驛は京都三条大橋から始まります。
ストーリーは丹波国・由留木家で起こった跡目争いで相続に必要な宝物の奪い合いをしながら
東海道を京都から江戸へ下っていくという感じ。
宝物は2つあってうち1つ「九重の印」は日本駄右衛門に盗まれてしまい、
もうひとつ宝物である刀「雷丸」は丹波与惣兵衛が持って逃げようと三条大橋にさしかかると
男女蔵さんと猿四郎さん扮する赤堀官太夫・源吾親子に殺され奪われてしまいます。
で、与惣兵衛の長男・与八郎(猿之助)は門之助さん扮する石井半次郎から父親の死を聞かされて
石山寺から恋人の重の井姫を連れ出して敵討ちの旅に出ます。
猿之助の与八郎かっこよかってん…笑也さんの重の井姫は美しすぎてしねる…!
ここで重の井姫をくどいてくる由留木家長男・馬之助も猿之助が演じているのですが
もう絵に描いたような、ネジが2~3本飛んでそうなバカ殿でした。でもかわいい。
あと与八郎→馬之助→与八郎と、1分足らずの早変わりも始まっておりまして
早変わりは8月納涼歌舞伎で勘九郎にびっくりさせられまくったので
楽しすぎてドキドキが止まらないよ。

で、旅に出たはいいものの当然、追手がかかるわけで
姫を葛籠に入れて逃げていた与八郎、さっそく追手に姫を葛籠ごと奪われてしまいます。
このとき姫がうっかり落とした着物を拾って持って行っちゃうのがなんと
旅で路銀が尽きて困り果てていた弥次郎兵衛と喜多八!
この人たち幕間とかにちょこちょこ出てくるのですが、最初から最後までおもしろすぎました(^ω^)。
弥次「よっ、澤瀉屋」喜多「ありがとう☆」ってセルフ大向こうしたり
客席から大向こうがかかると「ありがとう☆」ってすっごいいい笑顔で返事したりね。
後半に猿之助がスッポンから登場して花道に去っていくお役があるのですけど
「おい今、猿之助に似たやつが通ってったよな」って言いながら自分たちも引っ込んでいって笑った。
(ここでイヤホンガイドさんが「これはその通りですね」って絶妙に突っ込んでもいて2度笑った)

どうにか雷丸を手に入れた与八郎、桑名の渡し場で九重の印をめぐって官太夫とバトルするのですが
突然ですがこの印、龍が欲しがるような代物だったようで(!)、
いきなり花道から龍が現れてひとしきりどんしゃん踊りまくると
川の水がザッパーンと溢れて2人は波に呑みこまれてしまいます。えええ~~~~~!
ここで1つ目の名場面、水中立ち回りキター!!
海底に沈んだ印を追って与八郎と官太夫がすいすい泳いでるのですけど
こちらの2枚目の写真をご覧ください。上からクレーンで吊られています(笑)。
ぶくぶく息しながら戦っているうちに海老やヒトデやタコ(全部着ぐるみ)とか出てきて
クジラ(先ほどのページの1枚目の写真をご覧ください)に乗って見得まで切っちゃって
国芳のクジラかよ!!って全力で突っ込むところだった。
与八郎が雷丸を抜くとビカビカビカーーッ☆と雷が鳴って稲光の照明が舞台をかけめぐって
ものすごい迫力だった!
猿翁演出パない。頭おかしいでしょう。最高かよ。
海老のクオリティが異様に高くて無性に食べたくなりました…あと印はタコが吸盤にくっつけていた。

第二幕は猿三郎さんのおもしろセリフで開けました。
熊鷹半長という盗賊役なのですが、与八郎の部下の奴逸平(亀鶴さん)を追いかけて来て
「わしが熊鷹半長だ。ハンチョウと言っても、佐々木蔵之介じゃねぇぞ」って凄んで
逸平に「わけのわからぬシャレを言う奴よ」って突っ込まれてた。ありがとうございます!(笑)
花道を走って逃げる逸平を追いかけていく部下たちには
「あいつ捕まえたらよ、ノーベル賞やるわ」って言って引っ込んでいって大爆笑!
錦之助さんのエレキテル連合もそうですが、ああいうちょっとした時事アドリブは
役者さんに任されているそうですね。

弥次喜多が女衒の次郎作(寿猿さん)に重の井姫の着物を売る場面を経て
池鯉鮒(愛知県)までやってまいりました。
与八郎には姉と妹がいて、妹のお袖(米吉くん)は藤助という男と恋仲なのですが
最近彼が会いに来ないのと、しかも吉原の傾城と恋仲になったらしいと聞いて
傾城に呪いをかけようと夜な夜な肖像画に釘を打っています。。やばい怖い。
姉のお松(猿之助)がやめるよう諭していると(このとき猫を抱いています)、
花道から中村隼人くんが登場☆
お松の恋人で民部之助と名乗るのですが、その顔を見たお袖はびっくり仰天、
実は民部之助は藤助だったと判明したのです。
ショックを受けたお袖ちゃんが楚々と恨みつらみを言う(当たり前ですね)のですが
米吉くんマジやばいんですけど、こんな魔性の人だったの…!!
目が小さく小顔で仕草がなよやかで狂気もあって大輪の百合の花が揺れているようでしたよ。
1月の浅草歌舞伎で壱太郎くんを見たときのような衝撃を受けました。彼らは逸材。
それに引き換え民部之助まじクズ、隼人くんがイケメンだからギリだけど。
あと、人形だけど猫が着物にイタズラしててかわいかった。

お松とお袖の母親は罪を犯して牢屋に入れられているため、
父親が「奉公してこい」と女衒の次郎作にお松を売りとばしてしまいます。
父親は欣弥さんなんですが、どうも余計なことをするタイプのようで
お袖が釘を打っていた傾城の絵を壁に飾るつもりで何気なくコーンと釘を打ってしまい、
満願となったためお松が顔にひどい傷を負ってしまうのです。。
しかし籠に乗せられ、まるで「仮名手本忠臣蔵」6段目のお軽のようにドナドナされていくお松。。
お松を追って民部之助とお袖は岡崎の無量寺に到着。
宿を求めますが、中から出てきたお三(猿之助)が白髪ざんばら、着物もぐちゃっと着てて
子年の女性に反応したり、行灯に入れるため買ってきた魚油に舌なめずりしたりと
もう見るからに怪しい(苦笑)。
夜になってみんなが寝静まった頃、こっそり起きて行灯に頭をつっこんで魚油をなめ始めると
シルエットが猫の横顔になった!
それを、民部之助とお袖を案内してくれた女性おくら(段一郎さん)に目撃されて
彼女の喉を噛み切ってしまい、妖術でユーラユーラと遺体を揺らして遊んだりして怖い怖い。
ひたすらここは猿之助の独壇場でした。。猫耳も生えてるしね。

音に驚いた民部之助とお袖が起きてくると、お三はたちまち2人に襲い掛かって
ついに、ざんばら髪に猫耳、口は耳まで裂け爪を光らせ、十二単を身にまとった化け猫が登場☆
あたしの大事なお松の顔をよくも傷つけたね、末代まで祟ってやる!という言い分で
民部之助と立ち回りを繰り広げます。
刀でとどめを刺されそうになってスッポンへ逃げて、ここできましたーー宙乗り☆
おお…十二単に緋袴姿の化け猫が…サーチライトを浴びながらニャンニャンポーズで飛んで行く…!!
客席からは大拍手。「澤瀉屋ー!」の大向こうも飛びまくって大盛り上がりでした。
(猫+十二単というアイディアは南北が台本を書いているときに
飼い猫が十二単の絵を持ってきたことから思いついたという逸話があるそうだ)
あの猫はまたどこかで生き続けるんだろうか、100万回生きたねこみたいに。

あとここら辺から「ええと、目的なんだったっけ?」って完全に筋がどうでもよくなっていた(笑)。
ストーリーらしいストーリーはないと聞いてはいたけど本当に途中からどっか行っちゃってたなー。
おもしろいからもう何でもいいけど。

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本日のお弁当。ちらし寿司をいただきました。
演舞場のお弁当はお手頃価格が多くてうれしい。

休憩時間中に大道具さんたちがせっせと花道に所作台を並べてから
第3幕が始まりました。
別れ別れになっていた重の井姫と与八郎が、盗賊のごたごたに巻き込まれて再会しますが
与八郎は江戸兵衛(猿之助)の鉄砲で足を撃たれて立てなくなってしまいます。
何とか箱根の温泉に辿り着いて療養をして、逸平・半次郎とも無事合流。
重の井姫は与八郎の傷が治るよう滝壺にお百度参りをしている…とイヤホンガイドさんが解説すると
舞台セットがゴウンゴウンと動いてザアアア…という音とともに流れ落ちる水と滝壺のセットに変化。
おお、ビニールの用意をしなくてはととりあえず広げて握りしめて鑑賞継続。
滝壺の姫のもとに江戸兵衛がやって来て姫をくどくのですが
拒絶されたので腹いせに斬ってしまいます!ギャー。
与八郎たちが滝壺へ辿り着くと、息も絶え絶えの姫は「どうか足が治りますように!」と叫んで
滝壺へ落下!ええええええ!!!
するとぱああっという照明とともに与八郎が光につつまれ
姫の願いが通じたのでしょうか、足が治って立てるようになりました!!ええええええ。
そこへ追手の官太夫・源吾親子も駆けつけて来て滝壺の中で右へ左への大騒ぎになっちゃって
とうとう大勢で立ち回りが始まりましたよ、
10人くらいで本水の中で打ちかかってかわして転んでもがいて反撃して、とものすごい迫力、
でも皆さん濡れようが何だろうが超楽しそう、足滑らせないでね!とかハラハラしながら観ました。
きったはったを繰り返しとうとう官太夫・源吾親子を倒した与八郎たちは喜びの表現でしょうか、
舞台から観客に向かってばっしゃばっしゃと水をかけ始めました。。゚(^▽^)゚。。わはははは
みなさん慌ててビニール被ってたけど間に合ってなかったと思う(笑)。
次に3人で花道に駆けてきてスッポン付近で見得をきり、びしょびしょの着物の袖を振り回して
ぱぱーっと水を飛ばしてさらに口からも噴いて本当にびっくり!
案の定、わたしはとっさにビニール上げられなくて結構しずく被りました(笑)でもおもしろかった٩( ᐛ )و
最後に3人が舞台に戻ると、本水の滝がドバーっと割れて
中から死装束の重の井姫が板に乗って登場☆
滝壺に男3人、割れた滝に姫というなんとも絵になる構図でびしっと見得を切ってくれました!
笑也さんの美しさが最高潮に光っていましたよ…ほんとこの方は舞台上ではお姫様ですよね。

そして「とざい、とうざーい」の掛け声とともに大詰の「写書東驛路」開始。
常磐津の伴奏が光り輝く第4幕です。
箱根からやっとたどり着いた小田原から品川までの間に怒涛の12役20回の早替わりですよ!

弥次喜多が登場して「滝壺で終わると思ってたでしょ?終わりませんから~」って叫んでくれて
みんなで盛り上がりました。
あとはひたすら猿之助の八面六臂早変わりを楽しむだけの簡単なお仕事。
丁稚にお店の跡取娘、芸者、弁天小僧菊之助、渡し守、町人女房、鳶頭、雷様(!)、船頭など
まるで手品みたいに次々に早変わりしていくんですよ!
1つのお役をわずか2~3分程度しか扮していなくて衣装もかつらも人格もクルクル変わって
8月に勘九郎がやったみたいにバトルしながら交互に入れ替わったり
傘と蓑を使って一瞬で変わったり、舞台裏に引っ込んだかと思うとスッポンから現れたりと
まさに縦横無尽でした。
いつも思うんだけど猿之助はサービス精神が旺盛で女形も二枚目もチョイ悪もうまくて
何より踊りの時の手の動きが完璧すぎる。
ただ、さすがに最後の方はバテてたみたいでちょっと声がかすれてました。
でもあんな早変わりを涼しい顔で毎日やってるとかすごい…。

最後の最後でようやく日本橋へ辿り着いた与八郎たち、
やはりここでも追手の水右衛門と戦いまして決着がつきそうなところでスッと芝居が止まり、
猿之助をはじめ全員がその場に手をついて観客に向かって「まず今日はこれぎり!」

おしまい!!

もう頭もお腹もパンパンで何も考えられなかったよね…。
「何じゃこりゃ全然分かんない!でも笑える!ほんとに2ヶ月やるのこれを!」って戦慄するレベル。
超スピーディーな展開で、お家騒動に始まり水中チャンバラ化け猫バトル本水チャンバラと
ストーリーは二の次で猿之助充をたっぷりできた5時間でした。
宝物はどうなったの?お家騒動は??って聞きたいこと言いたいことは山ほどあったんですけど
もうくたくたでどうでもよくなってた。。
猿之助の着物にカエルがいたり、右近さんの着物がトランプ(?)柄だったり
ファッションも相変わらず眼福。
役者の衣装だけじゃなく場面も次々変わるので背景画もすごい枚数。大道具さんっ…!
あとそろそろ歌舞伎のステージではプロジェクションマッピングが使われ始めるに違いない。
今日の照明でも海とか滝壺とか、そんな感じのが使われていたし。

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本日の着物。化けニャンコの出る演目なのでお気に入りの猫着物に猫帯しめていきました☆
ペンダントは通販で購入した百鬼夜行です。

そして。
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つ、ついに買ってしまいましたっ…。
美容液つき2枚入り、『暫』と『船弁慶』の隈取がプリントされたフェイスパックが入っていました。
これをペタンと顔にパックすると歌舞伎役者になれます(´ー`)。
パッケージの裏にも【歌舞伎役者になりきりましょう】ってイラスト入りで書いてあるし(´ー`)。

わたし化粧品によってはアレルギー出ちゃうこともあるんですけど、これは大丈夫でした!
きっと敏感肌にやさしいエキスを選んでくださったんだ。染ちゃんありがとう~☆
(歌舞伎フェイスパックは市川染五郎監修製品です)


sotatsu15.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その14。13はこちら
光悦に養源院の障壁画をお披露目した宗達。三十三間堂の前を通りながら帰ります。

光悦「がんばったじゃん」
宗達「でしょう」
光悦「宗雪くん、ずいぶん達者に描いたじゃないの」
宗達「でしょう」
光悦「…」
宗達「…」
光悦「風と雷は?」
宗達「何日か前から、見あたらない」
光悦「そっか」
宗達「…」
光悦「…」
宗達「どこかの神さんだったのかな」
光悦「うおっと」
宗達「まさかな」
光悦「…そいや、ここ(三十三間堂)にも雷神と風神がいたな」
宗達「やべ」
光悦「?」
宗達「おれ遊んでばっかいたもん。すげー罰当たり」
光悦「神さんてのは遊び好きだろ。祭だって遊びの延長だし」
宗達「そうかな」
光悦「きっと楽しかったと思うよ」
宗達「だと、いいなあ」

蓮華王院(三十三間堂)の千体観音像の前に安置されている風神・雷神像は鎌倉時代の作だそうです。
宗達の風神雷神図は、この2像の影響を強く受けているといわれます。

次回で宗達・光悦編はひと区切りです。
たったひとりのエンタテイメント。
2014年10月09日 (木) | 編集 |
先月末のことになりますが、さいたま芸術劇場で「白石加代子の百物語ファイナル」を観てきました!
白石さんがこれまで22年にわたり続けて来られた語り舞台「百物語」シリーズが
とうとうラストを迎えるという、さみしいけどめでたい公演です。
百物語シリーズは何年も前から知っていて興味もあったのですが、
タイミングが合わなくて行けずにいるうちにファイナルになってしまったな…。
白石さんのライフワークが終わるというのに行かない理由がありましょうか、いや、ない。
そして行ってよかったです…今思うとわたし行けなかったら一生後悔してたと思う。

百物語というのはご存知の方もいらっしゃると思いますが、
100本の蝋燭に火をともしてひとつ話をするごとに1本の蝋燭の火を吹き消していって
すべてを語って火を消してしまうと本物のオバケがあらわれるので99話でやめなければならない、
というものです。
そんなわけで、白石さんの百物語も99話でおしまいだそうです。
これまでに語られた物語は夢枕獏、筒井康隆、芥川龍之介、与謝野晶子、宮沢賢治、星新一ほか
近代の文豪から現代作家までさまざま。
過去にテレビで白石さんが語る百物語をを少し見たことがありまして
そのときも「すごいな~これナマで見たらもっとすごそうだなあ」と感じたりしていたのですが
実際にナマの演技を目にしてみてもう、あれは、なんと言えばいいのか…。
かわいく、美しく、柔らかく、気高く、不気味で、醜く、気持ち悪く、何より妖しさに満ち満ちていた
あの空間は一体なんだったんだ…。
白石さんのエネルギーとこちら(観客)の感情がぐーるぐーると渦巻いて
うわーとんでもない場所に来ちゃった!って息をのんで
お腹の底から叫び声がフルチャージされたりして心を落ち着かせるのが大変でした。
語りとか演技とか、一言で言い表せるものを通り越して、ものすごいものを見せてもらいました。
あんな物語り聴いたことがない!!
白石さんはこれを22年間続けてこられたのか…脱帽を通り越してひれ伏すしかない。


始まりの鐘の音とともに照明が落ちて、今か今かと舞台を見つめていた観客(わたし含む)が
ふいっと客席に降臨された白石さんにびっくりして開幕(笑)。
「ようこそ、ようこそ」とお辞儀なさりながら優雅に客席の間を通って舞台へ歩いていく白石さん、
真っ白なお化粧に真っ赤な口紅、白いお着物に群青の帯がたいへんお似合いでした^^
「百物語は100話やると本物が出てくるそうです…(くるっと回って)出ました」とか
お茶目なこともしてくださって会場がどっと湧いた(笑)。
白石さんは「よかったー笑ってもらえて」と満足そうでした。なんてかわいい方なの。

まず1幕目。百物語98話は三島由紀夫の短編「橋づくし」。
(BGMはドビュッシーの月の光でした。おごそかでちょっと奇妙な三島の物語にぴったり)
八月十五日の夜に、満佐子・小弓・かな子・みなという4人の女性が願掛けに出かけるお話です。
願掛けのルールは7つの橋を渡るときに同じ道を2度通らないこと、
願い事を口にしないこと、知り合いに話しかけられたら願は破れる、
橋を渡る前と渡った後にお祈りをする、の4つ。
しかし歩いている途中でお腹が痛くなったり、知り合いに話しかけられたりして
ひとり、またひとりと脱落していくのがなんだかゲームみたいでおもしろかったし
他の3人の願いは明かされているのにみなの願い事だけ最後までわからない。
それがまたおもしろいなと思いました。

白石さんが演じ分ける4人がすごくかわいい、ていうか仕草がほんとかわいい!
言い忘れてましたけど百物語シリーズはじっと座って読んだりしません。
歩いたり走ったりはもちろん、畳に座って書見台に台本置いて読んだり、
お蕎麦を食べながら読んだりするので横向いたり客席に背を向けることもしばしば。
百物語の舞台美術はとてもシンプルで(お能みたいだなと思った)、
話に応じて小道具を移動させたり出し入れする黒子さんがいらっしゃって、
白石さんが舞台を行ったり来たりするたびに景色がどんどん変わっていくようで
ひたすらドキドキしながら見て聴いていました。
ト書きは三人称で特に誰が主人公というわけでもないのですけど、
たぶん中心にいるのは満佐子だろうな…なんか取り立てて特徴のない性格がキーになってる感じ。
逆に小弓やかな子ははっきりしていた。
みなはセリフがないのですけど、白石さんがト書きの表情をそのまま再現してみせるから
笑ったりぞくっとしたりしちゃいましたね。
全体的に笑いが多くてちょっと後味を引きずるお話でした。
いつも思うんだけど三島の文章って肉食系というか肉体美だなあ…骨太。


休憩をはさんで、いよいよ99話です。泉鏡花「天守物語」。
姫路城の天守に住む妖怪富姫と、主君の鷹を追って天守にやって来た姫川図書之助との恋愛物語で
歴史もので妖怪がいっぱい、わたしの大好きな一編です☆
(実写映画とノイタミナのアニメ見たことあるけどすっげえ怖かった)
幕が開くと舞台の真ん中にでーんと巨大な青い獅子頭が置いてあって存在感がすごい、
そこへ白石さんの「泉鏡花。天守物語!」の力強い声が
書き出しの「不詳。ただし封建時代、晩秋。日没前より深更にいたる」へと続くのを聴くと
橋づくしの奇妙な雰囲気が一掃されてより厳粛な雰囲気に。
白石さんは群青の着物にほつれ毛のかつらを被ってなんとなく青白い印象でぞくぞく…
…かと思いきや、照明がパーッと明るくなって
天守に住む妖怪ちゃんたちが仲良く花釣りを楽しむ場面になってかわいい☆
でも主の富姫が蝶々を伴って「出迎えかい、御苦労だね」と登場すると空気が引き締まって
おお、なんかすごい人来た…ってなる。
と、ここまで白石さんはすでに10人近くを演じ分けていました。ひええ。
そして登場人物は20人以上いる。ひええ。

天守物語は戯曲ですので、ト書きとセリフ形式で書かれていますので
下手すると会話が延々と続いたりするのですけど、
亀姫も朱の盤坊も舌長姥も女童も薄も萩も桔梗もみんなキャラと声色が違って
次々に登場人物たちが想像できるのすごい!鴨下演出パない~。
白石さんはただ読むだけじゃなくて顔の向きや体の向き、表情や声色を一瞬のうちに細かく変えて
歯を鳴らしたり蓑をつけたり生首の血をなめたり煙管吸ったりする動作もあるから
誰が何をしゃべってるかすぐわかるんだな…てかよく混乱しないなと思いました。やばい。

図書之助が登場すると照明が変わりBGMもシンプルに切なげになって
富姫と図書之助の対話のみになるんですけど、
白石さんが富姫を美しく、図書之助を凛と演じられてることにすばらしく感動して
気がついたら目が潤んでいて、でも悲しいとか切ないとかじゃなくてなんだあれは、
説明できない涙を浮かべたまま舞台を見つめるしかなくてそんな自分に驚いたりもしました。
(たぶん感情が整理できなくて色々ごっちゃになって溢れてきたんだと思う)
クライマックス、武士団が天守に攻めてきて獅子頭の目を射られて失明しちゃった富姫が
図書之助をひしと抱きしめて(舞台には打掛の袖で抱くポーズを表現する白石さんしかいないのに
ほんとに抱き合ってるように見える!)、
「あなたのまつげ一筋なりと…」と泣くのがもうやばい、
白石さんは涙を流しているわけじゃないのに今まで見たどんな役者さんよりも泣いてるように見えた。
終幕、突然登場した老人・桃六が2人の目を治してくれて
「世は戦でも蝶が舞う、撫子も桔梗も咲くぞ。馬鹿めが!ここに獅子がいる。
お祭礼だと思って騒げぇ!」ときっと目を細めて歯をむく白石さんの!表情!!
鬼気迫るとはああいう表情だと思いました。
鏡花ってなんて難しいんだ…。

語り終えてすっ…と床に台本を置いた白石さんが
「長い間のご贔屓本当にありがとうございました!」と深々とお辞儀をしたとたんに
割れんばかりの大拍手!
スタンディングオベーションなさる方もいました。
(この時点ではまだ千穐楽公演が残ってたけど)ああ本当に終わっちゃうんだ…とさみしくなる反面、
とうとう99話まで語り切った白石さんの道のりを思ってやっぱりうわああって顔を覆ってしまった。
白石加代子さんはがんばりました。本当にお疲れさまでした。

おもしろかったのが黒子のおふたり。
橋づくしで幕が上がるとお月見のお酒を勝手に飲んでたり
(幕が上がったことに気づいてやべって感じで引き揚げていくのおもしろかったです)、
衝立を使って橋を表現したり、白石さんが拝む演技してるときに代わりに台本を持ってたり
天守物語ではお花の釣りしたり、行灯持ってきたり
観客に見えないように白石さんに飲み物渡したり、着物着せたり脱がせたりしたりと大活躍。
きっと白石さんとのお付き合いも長いのでしょう、息がぴったりでお見事でした。
カーテンコールで白石さんがおふたりを紹介されると
背筋をぴっと伸ばして腰を落とし、バッと顔の布を上げたらすごい美人さんでいらっしゃった。

そしてカーテンコールでもうひとつサプライズが。
万雷の拍手が贈られる中、ひとりの男性が客席通路からついーっと舞台に向かわれて
白石さんにバラの花束を渡されたのですが
それが何とジャンパー&ジーンズ姿の市村正親氏で、気づいた会場からどよめきが!(笑)
「いっちゃん?うそ、いっちゃん??」て白石さんもびっくりされて
「上がって上がって」っておっしゃってましたけど、
市村氏は終始無言で白石さんをぎゅってハグして
颯爽と客席後方に下がっていってずっと笑顔で拍手なさってました。
かかかっこいいーーーーーナマ白石さんに加えてまさかのナマ市村氏!!
今回の公演、本当は千穐楽を観たくて、でも予定が合わなくて前日のチケット取ったのですけども
良かった~今日来て本当によかった!!って脳内で叫びまくっていた。
なんという善き日。
(後で広報Twitterを見たんですがバラは99本だったそうです。市村氏かっこよすぎか…!)

パンフレットにも野田秀樹さん、大竹しのぶさん、中嶋朋子さん、古田新太さん、藤原竜也さん、
野村萬斎さんなど多くの方から寄稿があって改めて白石さんの人望に感動するなど。
わたしが白石さんを初めて知ったのは大河ドラマ『義経』のお福&ナレーションですが
今思い出してもゾクゾクするくらい不気味でかわいらしいお役でしたな~。
やばいDVD見たくなってきた…平家一門と頼朝&政子が超かわいいんすよ…あと少年期の頼朝が(ry


ところで話は変わりますが皆様、昨日の皆既月蝕ご覧になりましたか(^▽^)☆
わたしは父から双眼鏡を借りて6~8時過ぎまでフィーバーしておりました。
今回は3年前より月の位置が低いし1時間も皆既状態が続く天体イベントということで
ゆさの心は大ハッスル!
赤いうさぎ。
父撮影。皆既真っ最中の写真です。
ちょっとわかりにくいかもですが、右側に天王星が写っています。青い星です。
(今回はたまたま月と天王星が近くに並んでいたそうです。
満月だと見えないのですが、皆既には暗くなるので見つけることができるのですね)
Twitterを見たらたくさんの人が月を見て感想を述べたり会話したりしていて
こんな風にシェアできるのすてきだなあと思った夜でした。

次回の皆既月蝕は来年4月4日だそうです!*\(^o^)/*

それにしても今年はお月様イベントが充実している…。
9月8日の十五夜、10月6日に十三夜、8日に皆既月蝕ときて
さらに今年は後の十三夜があるんですね。11月5日です☆
月の満ち欠けで計算する陰暦では陽暦とのズレを修正するために3年に1度閏月を入れるのですが
9月の後に閏月を入れて閏9月13日が出現するのは171年ぶりだそうですな。
前回、後の十三夜があったのは1843年で(新島襄が生まれて10年後には黒船が来る年だよ)、
今世紀中は二度とないそうですから必見だ!晴れてくれ~。

「いむといひて影にあたらぬ今宵しも われて月みる名や立ちぬらむ」西行
(『山家集』1154番)


sotatsu12.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その12。11はこちら
養源院の仕事も大詰め。
ラストスパートに張り切る宗達のそばを、風雷が紙をぴらぴらさせて飛んでいます。
宗達の画材を勝手に借りて絵を描いたようです。

宗達「見せてみな。…そいつは、たらし込みか。よくできたな」
風雷「(にこにこ)」
宗達「姿絵が欲しいのか」
風雷「(うなずく)」
宗達「わかった、この仕事が終わったら描いてやるよ」
風雷「!!」
宗達「約束な」

小さな手のゆびきり。

現在も日本画によく使われるたらし込みは、宗達が編み出した技法といわれます。
先に塗った墨が乾かないうちに別の墨や顔料を垂らしてにじみを出すというもので、
いかにその偶然の変化を造形性の高いものとするかは絵師の腕次第です。
フリーア美術館蔵「雲龍図屏風」や、京博蔵「蓮池水禽図」、建仁寺蔵「風神雷神図屏風」などでは
大きなたらし込みを見ることができます。
夏の季語。
2014年08月12日 (火) | 編集 |
青々。
歌舞伎座で納涼歌舞伎夜の部「勢獅子」「怪談乳房榎」を見てきました☆

4月に歌舞伎座に復帰された坂東三津五郎さんが今月も出演されるので拝見したかったのと、
去年の7月に四谷怪談を見ましてすっかり歌舞伎の怪談にハマってしまったのとで
「三津五郎さん~怪談~Fuuu!!」ってチケット取りました。
贔屓の役者さんが出るならたとえ銀座の夜の街だろうと演目が苦手な怖い話ものだろうと
なりふり構わず乗り込むのがファンの使命というものですからね!gkbr←
東銀座駅から直結の木挽町広場も青いのぼりとアサガオの夏仕様でどことなくひんやりした感じ。

真ん中!
今回取った席がいざ座ったらほぼ舞台の正面だった件!おかげで舞台がよく見渡せた件!
花道は遠くなりにけり。

夜の部は2演目ありまして、まずは「勢獅子」。
日枝神社の山王祭で賑わう江戸の町で、
鳶職や芸者たちが飲めや歌えとドンチャカ騒ぎを織り成す賑やかな舞踊劇です。
(そういえば歌舞伎における「どんちゃん」は宴会ではなく合戦の音楽であると
イヤホンガイドさんに教えていただきました。いつも勉強になります!)
定式幕がさーっと開いて浅黄幕が切って落とされると、
桜も満開のお祭仕様のお茶屋さんをバックに鳶職と手古舞たちがズラリ!の華やかな幕開け☆
この浅黄幕が落ちる演出って誰が考え出したんだろう、すっごい好きだ~~(^▽^)

鳶頭の三津五郎さんと橋之助さんの舞がすてきでした☆
三津五郎さんは4月以来の歌舞伎座出演で今月から本格復帰ということですが、
4月よりぐっと踊りもセリフも力がこもって指先ひとつひとつまで神経が行き届いてるのがわかるし
力を入れる部分は入れるけど抜くところはいい具合に抜けていて、
扇子を使うときも手で扇子を動かすのではなく
扇子の重力をうまく利用してすすいっと舞っておられるのが伝わってきて惚れ惚れ!
うああ三津五郎さんが、三津五郎さんが本格的に帰って来たーーうわあああ!って
周りに誰もいなかったら叫んでた。きっと。
橋之助さんは、いつも思うのですが両手を広げるとすごく大柄な印象で
背も高くていらっしゃるからおとなしい踊りでも派手に見えるふしぎ。
着物も大きいから袖がバサバサして距離が近かったら風が吹いてくるんじゃないかと思いました。
おふたりで赤煉瓦模様の着物に着替えて手をダウジングのように突き出して
体をくねくねさせる「ボウフラ踊り」がおもしろかったです(笑)。

手古舞と鳶者たちの踊りはきらきらしくて美しいです☆
鳶者は若手役者さんが多くて、鉢巻きを締めてきびきび飛んだり跳ねたりして
後半で獅子と一緒に踊ってクルッと獅子に転がされたりする。かわいい。
手古舞は女物のメイクにたっつけ袴姿という、男性が女性に化けてさらに男装したというもので
踊りも魅力と色気があってよいわあ。
芸者の踊りは扇雀さんと七之助!
特にピンで踊る七之助の芸者うおおお!かわいすぎて叫びながら倒れそうになった。

後半には獅子舞が出てきまして、頭が巳之助で後ろが勘九郎という若手花形コンビ。
獅子の動きが実に愛くるしくて、
巳之助の操る頭が勘九郎の足をなめなめしたり、体ひねって毛づくろいのポーズしたり
大あくびして体をたたんで眠ってしまったり、でも耳はピコピコ動かしたりとめっちゃかわいい。
お獅子だもんねライオンだもんねネコ科だもんね!!hshs
鶴松くんの手古舞が扇子を片手に2つ持って蝶々のようにひらひらさせてみせると
ゆるゆる目を覚まして猫みたいにぐ~~~って伸びして起き上がって
手古舞たちの扇子の蝶々と一緒にシャンシャンと踊りだすのがかわいくてかわいくて
しかも頭を操る巳之助も重たくて大変だしずっと腰曲げてる勘九郎も大変だなーって相乗効果で
客席から駆けて行ってぎゅーってしたかった!
やがて獅子の頭を脱いだ巳之助がおかめ、勘九郎がひょっとこのお面をつけてかっこよく見得を切ったら
後ろに座ってた彌十郎さんと扇雀さんがパチパチって軽く拍手されてた!
いつもなさってるのかわからないんですけどあれは感動。ベテランさんたち大好きです(^^)。

最後に鳶頭・鳶者・芸者・手古舞の全員で扇子を広げて決めポーズ。拍手喝采vvv
優雅で粋でユーモアのある華やかな舞踊劇でした。


おいしい。
今回のお弁当。久し振りに幕の内弁当をいただきました。
紫蘇のふりかけがかけてあるごはんおいしかったです☆


続いては、「怪談乳房榎」。
落語家の初代三遊亭圓朝が創作した怪談噺を歌舞伎にアレンジしたものです。
今回主演の勘九郎が、一昨年亡くなった勘三郎さんから教わって勘九郎襲名公演で披露し、
先月のニューヨークの中村座公演でも大盛況だった演目で、演じる役者もほぼNY公演のままとか。
辛口で知られるニューヨークタイムズの劇評が「顎が外れるほど素晴らしい」と絶賛したらしくて
ああもう中村屋ったら何をどんだけやったんだ!と興味津々だったのと
そんなにすごいならぜひ舞台を見てびっくりしたいと思ったので
あえて事前にストーリーや仕掛け等の情報はいっさいチェックせずに行きました。
結果的にそうして本当によかった。たくさんびっくりできたので(´∀`)。

ストーリーは長いうえに色々と複雑ですので例によってリンクを貼っておきます→こちら
絵師菱川重信の妻お関に一目ぼれしてしまった浪人の磯貝浪江が、重信に弟子入りして
下男の正助とうわばみ三次の手を借りて重信を殺害してしまいますが
重信は未完成の絵を完成させるために幽霊に化けて出てくる…までが前半のストーリー。
チンピラにからまれている重信の妻お関たんを磯貝浪江が助けるシーンから始まるのですが
七之助マジ楚々とした美人でしてな!
重信が元武士という設定のためかお関も凛とした人物造形なのでしょう、
落ち着いた色と柄の着物に背筋をすっと伸ばして、でも物腰はやわらかくて色気と気品がありました。
こりゃ浪江じゃなくても惚れっちまう。
浪江を演じる獅童はかっこいいながらも胡散臭さがあって悪役っぽさ満々、
隈取がいつもより濃くてそこも胡散臭いなあと思いました。たぶん役としては大成功ではないかと。

重信に弟子入りした浪江、重信がお寺の天井画を描く仕事で出張してる間に
下男の正助にお金を渡して盃を交わし、義兄弟の契りを結んで重信殺しを手伝わせようとするのですが
勘九郎兄さんの正助たんぐうかわ、
お人好しで人を疑うことを知らず着物がやぼったくて完全に不意打ちくらいました。萌えキャラ決定。
言葉足らずながらも一生懸命しゃべって重信先生のことすごく尊敬してるのが伝わってくるし
こんな純朴な下男にひどいことさせる獅童テメーはだめだ!ってなる←まんまとハマっている
浪江にすすめられるままにお酒ごくごく飲んじゃって「too much 酒」ってゲップしてて大爆笑でした。
(ニューヨーク公演の名残だと思うのですが、ちょくちょく英語のセリフがあって吹き出しちゃいます)
でもその後に重信殺害を命じられて蒼白になっちゃう演技が
いつだったかテレビでやってた髪結新三のクライマックスの勘三郎さんにそっくりでした…。
お兄さんそうやってすぐお父様みたいになるのやめてください。涙腺がもげる。

それにしても菱川重信・下男の正助・うわばみ三次の3役をつとめている勘九郎の早変わりは
芸術的すぎます。
去年の四谷怪談でも、菊之助さんが3役を早変わりしていましたけど
今回お兄さんはそれを上回るスピードと回数で変身しまくって大奮闘でした。
たとえば、

・奈落への階段を降りていく三次→奈落から上がってくる正助。わずか数秒
・舞台から逃げる正助→舞台へ走ってくる三次。くるりと交差し一瞬で
・幽霊の重信が絵の龍に目を入れて完成させて消える→1分後に正助が登場
・三次が正助を殺そうとする小屋と滝壺のシーン。三次と正助を何度も入れ替わりながら立ち回り
・滝壺で重信の幽霊が登場するシーン。正助→重信、重信→正助へ一瞬で

お兄さん変わりすぎー!
幽霊の重信が奈落に消えるとすぐ「ぎぃゃあああああ」って正助が悲鳴あげるし
三次と正助のバトルで正助が「ひゃあああ」って叫んだと思うと三次が「オラアアアア」って追いかけるし
もう舞台の上が勘九郎だらけで、途中からどれが勘九郎かわからなくなって
頭が大混乱でしたよ。
というか、なにしろ3役なので芝居がほぼ勘九郎で構築されている件。
役者名だけであらすじを書くと、獅童が七之助に惚れて勘九郎を手なずけて勘九郎の手を借りて
勘九郎を殺して、それを勘九郎が語るという何ともややこしい設定なわけで(笑)。
(やばい勘九郎言いすぎてゲシュタルト崩壊してきた)

階段ですれ違う早変わりの前に、座敷で浪江と飲んでいた三次が
奥からの「浪江さん~正助さんが来ましたよ」との女中さんの声を聞いて
目を白黒させていたのがおかしかった(笑)。
まるで「正助?おれ?おれが来たの?」て勘九郎の素が見えたみたいな表情だったんです。
ああいう、芝居なのか現実なのか一瞬わからなくなる演出だいすき、たまらない☆
その後、奈落への階段を降りながら三次が「あ、おれが先に降りるのか、わかったよ」って
ニヒルに下に声かけて(たぶん下から登ってくる正助を迎える演技なんだと思う)、
三次が奈落に消えてものの数秒で正助に早変わりした勘九郎が階段を登ってくると
「いやーこんにちはァ!」ってとても明るくはっちゃけた声で
まったく別のキャラクターになってて「おーっ!」って客席が歓声をあげてた。
というかこれ演じ分け大変だよなあ…。
ご本人も「早変わりショーになるなと言われた」とインタビューでおっしゃってるけど
そうだよね、「勘九郎」じゃなくて重信であり正助であり三次でなくてはならないわけで
重信は気品があり武士っぽく、正助は素直でちょっと頼りなく、
三次は欲望むきだしの悪党っぽくなくちゃいけなくて
それを頭こんがらからずに演じられる役者さんはやっぱりすごいと思います!
わたしなら「あれ、今わたしどっちの役だっけ」ってなる自信ある。(なくていい)

一番すごいと思った早変わりは重信が殺害され正助が悲鳴を上げて逃げるシーンで
灰色の着物にゴザを被った勘九郎がヒャーヒャーわめきながら(これがお父様そっくりの声…)、
舞台から花道へ走っていくと
花道からも白い着物に傘をかぶった人が登場して舞台に向けて走ってくる。
2人が花道の真ん中で出会いがしらにくるくるっと交差して
ひゅっと灰色の着物が揚幕へ引っ込んでいき、白い着物に傘の人が舞台へ走って行って
くるりと傘(なかむらやって書いてある)を回して客席に顔をさらすと勘九郎になってて
客席がワーッと歓声あげて大拍手!
え、え、あの一瞬で着物もカツラもどうやって変えたの、すげー!って巻き戻ししたくなった。
わたしの説明だとわかりにくいと思いますので百聞は一見に如かず、動画をご覧ください。→こちら
1分12秒くらいから花道の早変わりが始まります。ほんとに一瞬です。お見逃しなく。

幕間には、これまた珍しく4人の役者さんたちによる演目説明がありまして、
ニューヨーク公演の演出として追加されたものなのでセリフがほとんど英語だった!
で、途中で気が付いたように「ここ、Japan!日本!」って日本語になったりするんだけど(笑)。
一番最後に出てきた役者さんなんてスマホいじってましたよ、ブログ書いてる海老蔵みたい(笑)。
大詰め前には「次の場面では本物の水を使いますよ~。
役者が水かけっこしますので前の方の席に結構景気よくばしゃばしゃきますよ~」とか
やけにノリノリであおりながらアナウンスをしてくれて、
お蔭でビニールシートが配布された最前列~3列目くらいまでのお客さんたちは
水の場面がきたとき慌てず騒がずビニールを構えて防御していたのが
後ろから見ていておもしろかったです^^
わたしは全然水が来ない席に座っていたのですが、
前列でも水が盛大にかかるエリアとそうでもないエリアがあるらしく
観終えた人によっては濡れていたりそうでなかったりしました。
ニューヨークで上演されたときは、水をかぶるのも醍醐味のうちといいますか
わざわざ豪快に水を被る席に座ったお客さんもいるらしいですけども。

大詰め。
舞台上手に大きな滝壺がセッティングされ、上から本物の水がザーザー流れ落ちています。
もうこの時点で何が起こるかだいたい想像つくよね(笑)。
重信の子を滝壺に落としてこいと浪江から命じられた正助が
花道から追いかけてきた三次に殺されそうになって逃げ惑います。
このバトル、さっきもちらっと言いましたけど勘九郎vs勘九郎です(笑)。
勘九郎が正助になってる間は別の役者さんが三次を(顔が見えないように腕とかで隠しながら)演じ、
勘九郎が三次になると別の役者さんが正助になるという、猛スピードでの入れ替わり演技で
早変わりする勘九郎もすごいけどそれに付き合える相手の役者さんも相当すごいと思うし
ものすごい練習量も感じられてしびれました。
というかこの死闘すごすぎてびっくりしてひたすら笑いまくり&感心しまくりでした!
やってるお兄さんと相手役者さんが舞台セットを隅から隅まで走り回って
水に入っても早変わりしながら水かけっこして早変わりして笑い取って早変わりして刀振り上げて叫んで
早変わりして笑い取って叫んでの繰り返しなのですよ。
すごいよ本当2人ともなんでこんなことできるの!!
クライマックスで滝壺に追い詰められて叩きつけられるような水を浴びながら
見得を切る三次がグワーッて目をむいてマジかっこいい!→こちら
こんなびしょ濡れになった後で髪サラッサラの重信の幽霊になったりするんだぜ…。
(でも顔とか微妙に濡れてて「あっ」て思いました)
正助がどうしてもできなくて泣きだしそうになりながらも思い切って赤ちゃんを滝壺に放り込むと、
滝の水がザーッてモーセの十戒みたいに割れて赤ちゃんを抱いた重信の幽霊が登場するのですが
しつこいようですが両方とも勘九郎です(;´∀`)。
重信が正面向いてしゃべってるときは別の役者さんが正助になって観客に背を向けてます。
うっすら紫色に輝く照明がとにかくかっこよかった。
奇跡的に生きていた赤ちゃんを託された正助が「よしこの子を立派に育てるぞ!」と決意して
花道から退場して幕切れ~。

ラストに勘九郎扮する圓朝がずずいっと登場、重信の子と正助のその後を落語形式で語ってくれます。
(3時間演技と早変わりで汗びっしょりなのでしょう、額を手ぬぐいで拭いてるのおもしろかった)
赤ちゃんを抱いた正助は松月院というお寺に逃げ込み、
その境内にあった乳房の形をしたコブのある榎からしたたる甘い雫を乳代わりにして子どもを育てあげ、
やがて5歳になった子と2人で浪江を討って重信の仇を取ったとのことです。
ここでようやくタイトルが活きてくるんですねえ。
圓朝の背景にでかでかと星条旗がぶら下がってて
ビルと自由の女神と「三遊亭円朝さん江」「紐育支局より」とかわざわざ書いてあるの笑っちゃいました。
どこまでも笑いを取りにくる中村屋の精神に脱帽。

あー面白かった!
幽霊が出てくるから確かに怪談なのですけど全然怖くなくて
むしろ笑ったり歓声上げたり濡れたりして怪談エンタテイメントって感じでした。
勘九郎兄さんのエネルギーと勘三郎さんの芝居精神が随所に感じられましたね。
よく映画のラストシーンとかで、亡くなった登場人物に主人公が「ずっと見ていてくれ」とか言って
カメラがそのまま青空にPANすると空をバックに半透明の人物が笑顔で浮かび上がる演出ありますけど
今回も勘三郎さんがそんな風にニッコリ笑って見守ってくれている…感じは全然しなくて
むしろ「おれにも演らせろ!!」ってお空の上でのたうち回るお姿が手に見て取れる気がした。

あと、怪談でも笑いのシーンがあるのが歌舞伎のいいところ~。
今回も、茶屋の女将お菊に扮した小山三さんにお七の扮するお関が
「まあーお菊さん、いつもお若くて結構ですねえ」と声をかけてて客席大爆笑だった^^
四谷怪談のときも思ったけど小山三さんはいけしゃあしゃあとした女性を演じさせたら天下一品ですな。
(追記:小山三さんの94回目のバースデーだった8/20は、
七之助が「おまえさん今日はお誕生日だってねえ」とアドリブを出して
小山三さんも「まあ、サプライズですよう」と返して客席から大拍手が湧いたそうです。
どうぞいつまでもお元気でね^^)

そういえば三遊亭圓朝という人は幽霊画のコレクターでもあったらしく、
彼のお墓のある谷中の全生庵では毎年8月、虫干しも兼ねてコレクションを公開しているそうで
(圓朝の命日は8月11日)、今年も開催されています。→こちら
(圓朝の怪談噺を演じつづけている桂歌丸さんは今年も師匠のお墓参りをなさったのだろうか…)
この時期は各地の美術館や博物館でも妖怪ものや怪談ものの展示が行われていて
ほんとこの手の話題に事欠かないなー。
モノノ怪のDVDが見たい。

 「耳しいて聞きさだめけり露の音」 (三遊亭圓朝辞世)


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「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その2。1はこちら
首をかしげる宗達と光悦をよそに、キャッキャと宗達の家に入ってきてしまったへんな生きものたち。
お腹が減ってるかなあと宗達がお粥を用意するとニコニコしながらもりもり食べます。

宗達・光悦「(食うんだ…)」

ひさびさに2人でお酒でも飲むはずだったのがそれどころではなくなってしまいました。。
さて、次は何をしましょう(長くつ下のピッピ風に)。続きます。