fc2ブログ
2023_05
06
(Sat)23:51

つくりもののおばけたち。

kokuritsugekijo_1.jpg
国立劇場の伝統芸能情報館に行ってきました。
国立劇場所蔵の伝統芸能関連の資料を所蔵・公開している施設です。
来るの初めてだよ☆

kokuritsugekijo_2.jpg
入った目の前が展示室です。
2階に図書室がありますがこの日は閉まっていました。

kokuritsugekijo_3.jpg
企画展「怪談物のつくりかた~役者の芸と仕掛けの世界」を鑑賞します。
舞台で使われる小道具や模型、お芝居の錦絵や写真、役者の経歴や言葉などから
歌舞伎の怪談ものをどのように作っているかを紹介したもので
主に文化文政期~近代の怪談ものが紹介されていました。

kokuritsugekijo_4.jpg
国立劇場のゆるキャラ、くろごちゃん。
展示室の前にいて「展示こちらです」とご案内していただきました。

kokuritsugekijo_33.jpg
展示室は1フロアでこんな感じでした。
入館したときはちょうど誰もいませんでした。貸し切り状態☆

kokuritsugekijo_5.jpg
一部を除き写真撮影可です!太っ腹。
あと言い忘れてましたが入館料も無料です!!太っ腹。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

続きを読む »

スポンサーサイト



2023_04
29
(Sat)23:59

お気の毒でございますねぇ~~!!

鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部『新・陰陽師 滝夜叉姫』を生配信で見ました。
5代目歌舞伎座の開場10周年記念で上演されたものです。
…えっもう10年経ったの!?早くない!??Σ( ゚Д゚ ;)
待ってくれあの陰陽師を見たのがもう10年前とか信じられない…月日の経つのは早いものですな。

今月陰陽師やるってよ~って聞いたときはえっ10年前のあれを再演するの?って期待に胸が躍りましたが
蓋を開けたら夢枕氏の滝夜叉姫のストーリーを踏襲しつつ別の物語に仕上がっていました。
猿之助さんが演出を担当なさっているのですが、なんていうのかな、
10年前は原作に忠実で、演出も照明とかスモークとかいっぱい使って大掛かりなスペクタクル劇でしたけど
今回はセリフも文語調だし人物が座ってしゃべってるシーン多いし殺陣もさっぱりしてたりと
夢枕氏も特典映像で言ってらしたけど江戸時代から上演されてきた感があったといいますか、
こう、ノリが義経千本桜とか菅原伝授手習鑑に近い感じがしました。
見得や踊りを取り入れて役者をたっぷり見せつつ、義太夫や三味線もじっくり聞かせてくれて
最後に猿之助さんの見せ場もまあそこはお約束ですから、みたいにさらっと入れてきてさすがでした。
あと幕間のインタビューにもありましたが古典からの引用が多くて
全部はわからなかったんですけどこれまで歌舞伎を細々とでも見てきたからわかるんだなあと
自身の観劇・視聴歴を振り返ることもできて楽しかったです。

幕開けが困窮する東国の人々が役人に訴えを起こすシーンだったのもびっくりしてしまったし
その様子を見届けていた将門と秀郷がこれじゃいかんてなる流れがとてもわかりやすかったです。
義太夫に合わせたセリフと形は車引の本歌取りですね、「何と聞いたか俵藤(ひょうとう)の~」のとこ。
まだこの頃はグレてない将門、みっくんどんどんかっこよくなっていくね!
秀郷は配役見たら福之助くんで、え~~~っいつの間にこんなにかっこよくなっちゃってまあまあ、
2人の見得でみっくんの右手の反りと福之助くんの左手の構えが美しくてため息が出ました。
秀郷は都に恋人がいるので都へ、東国に残る将門と別れてしまいますが
福之助くんが舞台に残ってみっくんがスッポンまで歩いてきて2人してその場に坐して
「というのが発端でして、ここから7~8年くらい時間が経ちますのでそのつもりで見てね」みたいな
2人の遍歴を突然語り出したので客席に笑いがおきてました^^
そのままスッポンと奈落へご退場~つまり次に出てくるとき将門さんは人間やめてるってことね。

宮廷のシーンもあった!夢枕氏の原作にもあまりないからレアでは。
右大臣たちが集まって将門の乱をどうするか議論しているところへ秀郷が呼ばれて
押領使に任じるから下野国へ行ってきなさいと言われます。
桔梗の前とともに去ろうとすると「しばらく!」と猿之助さんの声が響いて蘆屋道満が登場、
このときの出が!四の切の狐忠信そのまんまで笑ってしまった。。
将門を倒すために金の鏑矢を秀郷に渡して、「急所を狙えば五体バラバラにできるよ」とのこと。
秀郷が「急所ってどこ?」と聞いても「わしゃ知らん」としらばっくれました。かわいい^^
10年前の陰陽師では矢を渡すのは晴明でしたが、今回は道満なのですね。

将門と興世王と秀郷の事情もしっかりやってましたね。「平新皇将門なり」のくだりは船弁慶かな。
将門は乱を起こして新皇を名乗ってから不思議な力が身についたみたいで
分身の術とか使ってひとさし舞ってくれたみっくんかっこいい~!
みっくんと同じ拵えの人たちが御簾からぞろぞろ出てきて7人の将門の見得が見られるとは思わなかったよ…!
しかしみっくんさん…ドスのきいた美声が出せるようになってしまわれて…すごかったです。
興世王が手を貸した事情や東国の役人たちとの小競り合いから謀反人とされて
将門の一族が殺害された事件も語られましたね。
10年前は一族皆殺しシーンとかバーンと出してましたけど今回は将門が語るにとどめられていて
かえって無念さがじわじわ伝わってきた感じ。
興世王が最初はスン…とした軍師なんだけどだんだんワル味が出てくるのいいですね、
右近くんもどんどん上手くなりますなあ!
秀郷がやってくると酒宴が始まり、桔梗の前のことを聞かれて動揺する秀郷に将門が言った
「つはものの交わり 頼みある仲の酒宴かな」の謡は棒しばりにありますね。
秀郷が将門に注いだお酒に毒が入っているのを見抜いた将門は「友とは思わぬ」と決別を宣言。
桔梗が道満にもらった矢を秀郷に渡して「急所は右のこめかみ」と伝えて秀郷が矢を放つと
将門のこめかみに命中、将門は階段で真っ赤な舌を見せてバ~~ッタリの見得。
(矢を体の後ろに隠してバッと出して当たったように見せる手法は歌舞伎でよく見る演出ですね)
秀郷に刀でバッサリ切られて狐忠信みたいにグルグル回って絶命、
興世王の介錯で首だけになって呵呵大笑しながら飛んでいきました。
「首が飛んでも笑うてみせるか」は「首が飛んでも動いてみせるわ」のオマージュかな…。
秀郷は将門の右腕を持っていました。いつの間に切り取ったの。

都に戻った秀郷、将門の首が見つからないことを宮廷に報告します。
将門の怨念を防ぐために屋敷に閉じこもりなさいと晴明に言われた、と秀郷が言うと
「あのいけすかねえ色男か!」と道満がすごい顔で叫んだので客席に笑いが。。
さらに「ちょっと陰陽寮に文句言ってくる」と立ち上がったところ「パワハラだめです」と制止されてさらに笑いが^^
秀郷は申し訳ということで将門の腕を入れた唐櫃を置いていきます。
朝廷は琴吹の内侍に腕の管理をさせようと内侍を呼びますがなぜか右近くんだったので
あれ、寿猿さんお休みかな…?と思っていたら、そこへようやく花道から安倍晴明登場!!
隼人くん~~~目元涼やか、かっこいい、美しい!
10年前の晴明様とおんなじ、スケスケ烏帽子に白い狩衣に紫の袴が素敵です。
かと思えば「『陰陽師』とあるからには主役はこの晴明なり。これ皆猿之助兄さんの脚本のト書き。
いずれも様もお待たせ申し、面目次第もございませぬ」って深々とお辞儀しちゃった。。
客席からは笑いと大きな拍手☆なんじゃこりゃー!!猿之助さん完全に遊んでるな( ̄▽ ̄)。
舞台にやってきて「琴吹の内侍~」と呼ぶと、袖から寿猿さんの琴吹の内侍が出てきた!
お休みじゃなかったよかった!なるほどね~。
そんな寿猿さんが「来月の5月20日には93歳になりますわいなぁ」とおっしゃったので
「「「それはそれはおめでとう存じまする~」」」って舞台上の人たちみんなで祝福の言葉を言って
「今のはほんの楽屋オチ」って隼人くんがまじめな顔でオチをつけたので客席はずっと拍手と笑いに包まれてました。
なんて素敵なんだ~~~~お元気でがんばってほしい^^
最初にいた内侍の正体は興世王であると晴明が見抜き、腕は彼をおびき寄せるための偽物と知ると
興世王は人々を振り切ってスッポンに飛び込んで逃げてしまいました。
女性に化けて腕を取り戻しに来るのは茨木童子のオマージュですな。

晴明の家。
(障子に「恋しくばたづねきてみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」と書いてあって葛の葉ネタですね)
手紙を受け取った蜜虫の笑也さんと蜜夜の笑三郎さんがなんというかこう、式神らしさをビンビンに感じましたね。
かわいくて綺麗でこの世のものではない雰囲気があるというか、人の生き死にとか全然頓着なさそうな…。
手紙から出てきた道満の虫は盗聴器の能力があるらしく、
「盗聴ならわたしが蝶々になって見てきますね」って白からピンクの着物にぶっかえって
着物の袖をヒラヒラさせながら引っ込んでいった笑也さん最強にかわいかったですね!!
蜜夜がハエたたきで虫を叩こうとしますが「またギックリ腰になるぞよ」って言われて
思わず腰に手をやった笑三郎さんに客席から笑いが起きていました。
「そのしたり顔腹立つわ~」って道満の声がして、虫は四散。
そこへ花道から博雅くんが笛を吹きながらやってきました♪
染五郎くんの博雅ピュアッピュアでしたね~続いて花道からやってきた糸滝に一目惚れしたり
糸滝ちゃんと道行を楽しみたかったのに晴明の家がすぐそこで
「やい、足め、なんで速く歩いた」って助六の白酒売みたいにぺしっと叩いててかわいかった。
晴明が自動ドアで迎えてくれて「なぜそのように赤くなっておるのだ」「えっ赤くなってますか」
「本気にするやつがあるか」とかじゃれ合ってるのかわいかったけど
今回の博雅くんは晴明さんに対して敬語なんですね。
糸滝ちゃんは三上山に出る大ムカデを何とかしてほしくて訪ねてきたらしく、
晴明は秀郷を紹介することにして糸滝を帰らせますが「あの娘は糸かもしれぬ」と疑います。

将門の首は京都の堀川に流れ着いて桜の木の下に埋められたようで
(桜の木の下には死体が埋まつてゐるってことかな)、
それを聞いた源八坊が首塚を掘り返していると糸滝ちゃん(実は滝夜叉姫)と鉢合わせ。
「わたしは妹の滝夜叉」と名乗って長刀をふるって源八坊を倒します。強いな!!
首塚の首に話しかけると(どう見ても首の下にみっくんの体がくっついてるみたいな感じですがまあ気づかない振りをして)
「仏果も回向もいらぬ」と首がカッと目を開けてしゃべって、滝夜叉ちゃんびっくり。。
そこへ晴明と博雅がやってきたので首を持って身を隠しますが辺りは真っ暗、だんまりの場面に。
興世王と秀郷も合流して首と長刀と腕が5人の間を行ったり来たりします。
腕を手にした滝夜叉ちゃんがうっとりしててああ、本当にお兄ちゃん大好きだなって思ったり
首を手にした博雅くんにあああそのまましっかり持ってて、いやでもお綺麗なかたに首とかって気持ちが忙しかったり
印を組んで退場した滝夜叉ちゃんかっこいいなあってなったりしました。
月が出て辺りが明るくなると、興世王はいなくなっていて滝夜叉ちゃんは大きなガマガエルに化けて秀郷と戦います。
晴明がお使い(?)の白狐ちゃんたちを呼ぶと(子役さんたちかな?エビぞりもしててかっこよかった)
ガマガエルは花道まで追い詰められ、スモークに包まれて滝夜叉ちゃんに戻ります。
そしてスッポンからは将門の首を持った興世王が!
2人して髪を振り乱してぶっかえり、七三で見得をして拍手喝采☆
ひとさし舞ってダブル六方で引っ込んでいきました~~~すごいすごい大迫力、これは花横で見たいやつ!!

大詰の三上山への道行きはたぶん吉野山だと思うんですけど、長唄と三味線と所作事をたっぷり見せてくれました。
花道からやってきた山伏が七三よりずっと前で軽やかにひらひら踊ってたのが本当に見事で
えっ誰って配役見たら鷹之資くんだった!え~~~~っこんなに上手くなったの…!
勘三郎さんかな?三津五郎さんかな?ってくらい体幹しっかりしてるのに重さを感じさせないのかっこよかった。
大蛇丸と名乗って秀郷のムカデ退治に協力するということで合流してきたようです。
その後も滝夜叉ちゃんがスッポンから出てきて、浮かれ坊主とか萬歳とかで一人一人の踊りをいっぱい見せてくれて
4人で見得をしてから相馬の錦旗を出した滝夜叉ちゃん、
大ムカデの話で秀郷をこの場所におびき寄せたと白状!
舞台セットが楼門五三桐の南禅寺山門みたいな極彩色の御殿に変わり、
花道から10人くらいのムカデダンサーさんたちがわらわら出てきて階段で並んでバーーッタリ、
大蛇丸はうろこ柄の着物、滝夜叉ちゃんはピンクの着物にぶっ返って髪を振り乱して見得!絵になるわ。。
大蛇丸と秀郷で舞台と花道を行ったり来たりしながら踊りながらムカデ退治をして
いやほんとムカデキャストさんたちが飛んだり跳ねたり見得をしたり担ぎ上げられて落っこちたりと凄まじかった~!
滝夜叉ちゃんは三上山の山姥に叱られて逃げてしまい、山姥は大蛇丸を通して秀郷に武器をくれて
小金丸が陰陽師の力と合わさるとき敵を倒せると教えてくれました。

浅葱幕が落ちてきたと同時に大薩摩が始まった~いやあいつ見てもかっこいいなあ!

将門をよみがえらせようとしている興世王と滝夜叉ちゃんのもとへ道満がやってきて
将門を不死の体にして思いのままに操るのが目的だったのさ~みたいなことを言うので滝夜叉ちゃんショック…!
道満の術でよみがえった将門、滝の背景とぶっ返った衣装からして元ネタは鳴神かな?
晴明と博雅がかけつけたときに「遅かりし安倍晴明、お気の毒でございますねぇ!」って
嫌みた~~っぷりな道満にめっちゃ笑ってしまった。セリフは忠臣蔵のパロディですね。
民のために戦った心を思い出して、と将門に語りかける滝夜叉ちゃんに将門が斬りつけて
おまえも鬼になれって言うんだけど、
「わたしは鬼にはなりませぬ!」ってきっぱり告げた滝夜叉ちゃんかっこよかった!
人間のまま死ぬって言う滝夜叉ちゃんは悲しいしそこで死んではならぬって言ってくれるのも博雅くんなんだな。
滝夜叉ちゃんに乞われて笛を聞かせると、「兄上、おさらば!」と滝壺に飛び込んでしまった…滝夜叉ちゃん…!
怒る博雅くんに「こりゃまたまた、お気の毒でございますねぇ!」って道満が言うから客席から笑いが。。
将門と晴明の一騎打ちではみっくんの肩にワイヤーがついてるからふわ~ふわ~と斬りかかってきて
晴明に吹っ飛ばされたりとかしてこういう戦い方もおもしろいな~!ってなりました。
将門の体を炎で焼いて消滅させてしまいました。強いな晴明!
興世王の正体を藤原純友と見抜くと(これは原作と同じ)、興世王→純友に真っ赤な衣裳でぶっ返って
さあバトルかと思いきや「続きは戦場でね☆」「純友さらばさらば!」っていきなり切りあがって
え?え??ってこっちが戸惑っていると舞台の皆さんが一斉に膝をついて深々とお辞儀しちゃって
え?????(;・∀・)ってなっていたら、
みっくん「まず今日はこれぎりと申すところにはございまするが」
壱太郎くん「これよりは宙乗りをご覧にいれまする」
右近くん「ご見物席の上を飛びまするは」
福之助くん「この人ならではの十八番」
染五郎くん「市川猿之助相務めますれば」
児太郎くん「切り口上ならぬその口上」
鷹之資くん「左様ご覧」
全員「「「くださりま~~せ~~~!!!」」」(会場めっちゃ拍手&笑い)

暗転。なんじゃこりゃー!!(*^▽^*)
最後に晴明が印を組むとスッポンから扇と髑髏を持った髪も衣装も真っ白にチェンジした猿之助さんが出てきて
そのうちまた将門よみがえらせるから覚えてろよー!みたいな捨て台詞を吐いてふわりと飛びあがりました。
やった~~宙乗り最高!!!(≧▽≦)ノ
ふわふわ上下しながら扇を振り宙を足で駆けて鳥屋に消えていきました。ありがとうございました!

おもしろかったです!
途中で10年前の舞台は完全に頭から吹っ飛んで楽しめたのでよかったです。
ストーリーは前回の方があったけど今回は新作でありながら古典を楽しむものでもあって
歌舞伎をよく見る人なら車引だねとか謡で田村や土蜘蛛もあったねとかわかるようになってて
それは猿之助さんが意図的に入れたって幕間の対談で言ってらしてやっぱそうだよねってなった。
というか道満さんのお気の毒でございますねぇが強烈すぎて頭から離れないんですが…!
(すごいから記事タイトルに使っちゃったよ)
対談で夢枕氏が鎌倉殿の13人の文覚がすごくよかったから
どんどん自由にやっちゃってくださいって言ってたけど本当に自由にやってらっしゃったなあ。
(夢枕氏に言わせると晴明と道満は表裏一体で道満は本性剥き出しの晴明なんだけど
晴明は博雅という友達がいるからすました顔をしていられる、ということらしい)
猿之助さんも道満は魅力的でつかみどころがなくて自由にやれると思ったそうですね。
あと、力をつけてきた若手さんたちをしっかり見せていただきました。
10年前の花形さんたちにも負けない、今の花形さんたちも本当にすばらしいです。
お稽古1週間とか信じられないけど歌舞伎界の新作あるあるなのでよくがんばったと思います。
歌舞伎界を引っ張っていく若手さんたちが大舞台で経験を積むのは大事ということで彼らが起用されたそうですが
福之助さんも鷹之資さんも松緑さんみたいな貫禄あるし右近くんはどんどん大きく見えてくるし
児太郎くんも壱太郎くんも色気と強さと華やかさとたおやかさが振り切れてるし
みっくんの成長が年々著しすぎてねえ彼マジでどこまでいくの!?楽しみがすぎる。
染五郎くんは声がお父さんにそっくりですね!たぶん電話とかで聞いたら間違えちゃうレベル。
10年前の陰陽師公演密着番組か何かであんなに小さかった金太郎くんがね、こんなに大きくなって
かつてお父さんが主演した舞台に博雅役で出るなんてもおぉ~~~感慨深い。
わたしが歌舞伎座に行けてない間に皆さんこんなに上手くなって…!
これからもどんどん上手くなって大きな役者さんになっていくのでしょうね。見届けなければ。

ああ~~~古典芸能への招待で放送してくれないかなあ!
でも2時間に収めなくちゃならないからあちこちカットされるかもしれない、でも放送してほしい。頼みます。


そういえば。
今年のニコニコ超会議の超歌舞伎2023も平将門の娘が主人公だったので
4月は銀座と幕張で平将門関連の物語をやってたことになりますね。
ってかもう8年目なのね!8年も獅童さんと國矢さん以下同じメンバーでやってるのすごいね。
ミクさんと役者さんの掛け合いが過去一合ってたと思うし獅童さんに続いて蝶紫さんも分身したし
というか超歌舞伎の分身はいい意味で目新しさがなくなって前はおもしろかったけどもうすっかりお馴染みというか
あるのが普通だけどないと物足りないみたいな感覚に視聴者がなってしまうレベルまで押し上げたのがすごい。
日舞の舞踊家さんたちも(超歌舞伎は女性も出ます)踊るとき振袖が揺れるのが
ミクさんのツインテや振袖とオーバーラップしてよかったしカテコでもすっごい綺麗でかわいかったです。
陽樹くんの金時かわいすぎてこれは蜘蛛役の人たちも仕事忘れて親心で倒されてくれるんじゃないかとか
ていうかジュニ屋って呼ばれてるのね、でもって獅童さんはちちお屋なのね!(笑)
獅童さんも認識してるらしくてコメントちゃんと読んでるんだなって思ったし
カテコで陽樹くんの挨拶のとき自分でジュニ屋とちちお屋って言っちゃって盛り上がってたすごい。
最後の10分はいつものようにカーテンコール&ミクさんのライブで
振袖ひらひらさせながらマイクとギターもって歌うミクさんまじミクさんでかっこよすぎました!
コメント入れられて大向こう叫べて役者がサイリウム振りながら舞台と花道を走り回って
観客も総立ちでサイリウム振れる歌舞伎は超歌舞伎しかないよ!
来年も楽しみにしています、ってか12月の歌舞伎座にとうとう超歌舞伎がくるね!!
去年の南座公演では大向う言えたりサイリウム振ったりカテコで撮影タイムがあったそうなので
ということはそれが歌舞伎座でもできる…?えっ歌舞伎座で人生初の大向う言えちゃう!?
詳細が楽しみだよ~~待ってます(^○^)☆
2022_08
14
(Sun)12:21

地獄にとび込むしかあるまい。

歌舞伎座7月大歌舞伎夜の部「風の谷のナウシカ~上の巻 白き魔女の戦記」をHuluで見ました。
配信ありがとうございます!!
2019年12月の新橋演舞場での初演から2年半、こんなに早く再演されるとは思わなくて
劇場に見に行けたらよかったんですがまだ無理よね…。
まして上演期間の後半は関係者の感染が確認されたためほぼ中止状態になってしまって
今回の配信も元々は千穐楽公演の予定だったのですが中止になってしまったので
期間中に録画したものを配信することになったそうです。
それでもいいよ~~~見たかったから見られてよかった…皆さんお大事にしてください。

サブタイトルに白き魔女とあるように、今回は構成がクシャナ殿下寄りになっていて
演舞場公演からカットされたシーンもありますが別のセリフやシーンが足されて
ナウシカの出番やセリフは少し減ってました。
演舞場公演ではナウシカを演じていた菊之助さんが今回はクシャナ殿下役で
ナウシカ役は演舞場でケチャを演じていた米吉くんで、今回のケチャは莟玉くんになってます。
ユパ様は彌十郎さん、王蟲の子役は丑之助くん、幼いナウシカ役は寺嶋知世ちゃんになってます。
追加配役としてトルメキアの王妃(クシャナの母)役に吉弥さんがいらっしゃいました。
米吉くんのナウシカかわいすぎてえっ…かわいい…待ってなにこの人かわいい…!ばっかり言ってました、
かわいくてやさしくて魔性の姫ねえさまだった!
そして今回の主役になっている菊之助さんのクシャナ殿下かっ…かっこよすぎか…!!
背が高くていらっしゃるので立ち姿が映える映える、母上とのシーンもあってなにあれ泣くわー!
え~~~んクシャナ殿下好きすぎる…立っても座っても歩いても戦っても全部かっこよかった。

以下、配信を見ながら考えたことをつらつら書きます。
演舞場公演と同じところは省いて、セリフや演出が変わっているところを中心に。

右近ちゃんの口上やタペストリーの説明は演舞場公演と同じで
ナウシカがスッポンから王蟲の抜け殻のところへやってくるのも同じでしたが、
今回の米吉くんのナウシカ、菊之助さんはロングヘアでしたが原作と同じで髪の短いナウシカです!
「何と気高く美しい」の発声がめっちゃ高くてかわいくて、あなたの声の方が気高いよ…!って顔を覆うところでした。
「怖くない」が映画のアングルになっているというか、
菊之助さんは右手をかまれてたけど映画は左手をかまれているので米吉くんもそうしたみたいですね。
ペジテの船が落ちてラステルが遺言するシーンでは「トルメキアに決して渡さぬように」のセリフだけになってて
兄に渡してほしいのセリフがなくなってました。
彌十郎さんのユパ様、今回はおひげが白いんですね。
重厚ある存在感でめちゃくちゃ頼りがいあって素敵でした~出番が減ってるのがちょっと残念。
テトを追いかけるシーンは今回はないんですね…あれちょっとやじゅさんで見てみたかったけどね。
ジル様の「11人の子ども」の件やユパ様が城ババ様に薬草を渡すシーンはカット。
ユパ様の帰還に「先生!ユパ様!」って笑顔で駆けてくるナウシカが超絶かわいいよ~~~!!
「虫は気高い生き物です」のセリフ、菊之助さんはやさしかったけど米吉くんはきっぱりと言ってました。

風の谷にやってきたトルメキア軍、「クシャナ殿下のお出で~~!」の呼びかけとともに
花道にやってきたクシャナ殿下かっっっっっこよすぎか…!!!!!(*´Д`)☆
「わらわはトルメキア王国の皇女クシャナなり」かっこいい~~~クシャナ様かっこいいよ!!
トルメキアの紋章が入った紅の扇を広げ「ヴ王陛下に従わぬと申すのか」って姿が
もう様になりすぎていてどうしたらいいのかわからなくなりました。
なんじゃー!なんじゃあのかっこよさと美しさ…!!
七さんも色気があって美しくて最の高でしたが菊之助さんはエレガントさと気高さが振り切れてました。
うわああああああん殿下やばい…今すぐお仕えしたい…!
問答無用と兵士をけしかけてナウシカが「躯を暴いたか、許さぬ!」って切りかかるシーンで
2人のトルメキア兵と一緒に見栄をするのが追加されてて姫ねえさまもかっこよかった☆
ユパ様が間に入って見栄して「双方待て!」って仲裁するシーン、
ユパ様のセリフが増えてるのでずいぶん長いことユパ様の腕に刀をぶっ刺したままだったな姫ねえさま…。
ジルに別れを告げたナウシカが「ミトじい、戦の支度じゃ」ってとっても明るい声で言うのちょっとうるっときました。
引き幕の外に出たユパ様が「腐海が広がり世界が滅びようとしているのに人と人とが争うのは愚かなことじゃ。
ナウシカ、きっとまた会おうぞ」ってセリフがあって
演舞場公演ではここでテトとのシーンになってるのでこのセリフは足されたんですね。
あと今回、ナウシカの研究室のシーンは全カットなのでユパ様は幕切れあたりまで出てきませんでした。

ガンシップでナウシカとミトじいが見栄したー!!
「良い年をして大人げないこと言うでない」「はあ」ミト爺しょんぼり、の流れは同じだったけど
「じいがそのようにすねるところ、わたしは嫌いではないぞ」の後に
「アハハハ」って笑いました米吉くん!菊之助さんのときよりからかった感が出てますね。
アスベルのガンシップでトルメキアのバカガラスが墜落させられて
メーヴェで飛ぶナウシカの、左右に振れながら照明で速さを表現するの好きなんですよね~。
演舞場公演ではここから腐海の下のシーンになりますが、
今回は酸の海でのクシャナ殿下の陣営シーンになってました。
偉そうに足組んで座ってる殿下、とんでもなく優雅なんですけど…!
クロトワに秘石の在り処を聞かれてしらばっくれて、ナウシカを探しに行きたいミト爺と会いますが
ミト爺に「姫様を救出しておふたりで話せばよろしい」って言われた後に
「味なことを申したな。ではナウシカがまだ生きていると」って返すセリフが足されてるし
ミト爺の「虫愛づる姫にございまする。かならずご無事です」のセリフも足されてた。
「そなたは主のおぞましき姿を見ることになるかもしれんぞ」「いいえ、姫様は虫にも愛されておられます」
「…おもしろい、ミトとやら、探しに行くがよい」のやり取りが増えててナウシカの神秘性が強調されてるなあと。
「今しばらくは秘石を風の谷に預けておくとしよう」ってセリフの後にクロトワが少し姿を見せて
警戒しているクシャナ殿下の様子も足されてました~うおお、なんか殿下の描写が深くなっておる。

腐海で戦うアスベルを助けに来たナウシカのセリフ、
「あなたは虫を殺しすぎた。これからお助けいたします」って短くなってて
ここでもラステルのこと言いませんね。
2人で腐海の穴に飛び込むシーンもあって、結構、堂々と突っ込んでいってました。
回想シーンで幼いナウシカを演じる寺嶋知世ちゃんがすっごくかわいかったし、
腐海の底で目を覚ましてアスベルと会話するナウシカ、さっきの花道でラステルのこと話してないので
演舞場公演からセリフが少し変わってました。
あとね!チコの実を食べるシーンがあってうれしくなりました!
「これはまた不思議な味だ」「滋養があって元気になりますよ」「味はともかく長靴いっぱい食べたいよ」「アハハハ」
からの、風が来たのでこの場を立ち退くという流れになってました。
「一緒にお乗りください」ってメーヴェに誘うナウシカがすっごいかわいかったです、なんだありゃ。

土鬼の浮砲台、花道に登場したケチャたちの説明セリフがかなり増えてました。
演舞場公演では舞台の上でクシャナの陣を囲んで攻撃することだけしゃべってたと思うんですけど
「われらは故郷を離れて他の部族とともに腐海のただなかを進んでいる。
トルメキアの辺境諸国をほろぼして土鬼の新境地とするためだ」
「我らが根を下ろすことは可能であろうか」「ミラルパ様の思し召しといえど俺は土鬼の大地が恋しい」
「悔やんでいても明日はない。マニ僧正さまが未来を導いてくださる」までの長い会話シーンになってて
ここでクシャナが酸の海に陣を張るという知らせがきて、演舞場公演のセリフにつながってました。
クシャナ殿下のところに王蟲の群れが向かっていると報告するのはミト爺じゃなくてトルメキア兵だし
殿下が怒りのあまり采配をバキッと折る仕草もカットされて、
代わりにセリフをぐーっと間延びさせて怒りを表現されてましたね。
すでに王蟲の群れの犠牲になった部下たちに「そのほうたちの無念は忘れぬ、手向けじゃ!」って
髪を切るあの仕草が足されていた~~うわ~~~~!!!
「これしきのことでわらわは死なぬ。兄たちへの恨み必ず晴らさでおくべきか」って花道へ移動して
切った髪を構えて見栄をする菊之助さんの全身から炎のような怒りを感じた…すごかった。

王蟲の群れのシーンと浄瑠璃がこの後に移動、演舞場公演にあったメーヴェに乗るシーンと浄瑠璃はカットでした。
王蟲の子がひとりで舞うシーンが追加!丑之助くんとっても素敵でした☆
いでたちが演舞場公演の獅子頭から髷になってたし
衣装も白から、王蟲の体の緑色をベースに赤と青の水玉模様がついてるものになってました。
ナウシカとともに舞って同時に衣裳の引き抜き、ナウシカは青い衣裳になり子は白い衣裳になって見栄をすると
王蟲の群れの幕が落ちて金色の布が下からブワ~~っと出てきて金色の野ができた!!
演舞場公演だとここでマニ僧正とケチャが花道から見てるんですけど
今回はクシャナ殿下がスッポンから出て見てた!(僧正とケチャは金色の野の中にいました)
「仲間のために命をとすのをいとわぬ。人間は親兄弟と殺しあう、下らぬ愚かしさよ」
「なれど、わらわは忘れぬ。兵士たちが虫に踏まれて犬死したことを忘れぬぞ」って原作のセリフが足されてて
ポ~ンと金色のテープが飛んで第一部は幕切れ、30分の休憩となりました。

第二部、クシャナ殿下と母上のシーンから始まります。ここは全部新規シーン!
紫のマントと鎧から白いドレスのようなヒラヒラ衣裳になったクシャナ殿下、
花道から母上のいるお庭へ向かいます。
夜空にかかる三日月、しだれ桜の木の下で赤ちゃんの人形を抱いている母上。。
「ねんねんころりよ~」って子守唄を歌ってるんですけどもしかしなくてもこれあれじゃん、
この後クシャナ殿下が兵士のために歌う子守唄がぐっときちゃうやつじゃん…!?
母上に、城に閉じ込められている鳥かごの姫たちのひとりと勘違いされたクシャナ殿下、
「何故この王妃の庭に忍び入った」と聞かれて
「迷い込んでしまいました。王妃様、おさらばでございます」って去ろうとするんですけど
「待って、今宵は心地よい夜、夜風にたなびくそなたの髪をわらわに梳かさせて」と申し出られて
言われるままに座って髪をといてもらう殿下…え…なんだこの美しくも切ない絵面…。
「美しい髪じゃ。そなたの母もさぞ美しいことであろう」「まるで王妃様のような美しい母でございます」
「そぞろ歩きも母を思ってのことか」「幼い頃母に髪をといてもらいました。
そのときだけは穏やかな時間でした。母から受けた愛を忘れたことはありません」
「わらわにも娘がある、先王の血を引くただ一人の娘」
「『おまえは先王のように王の道を歩まなければならない』あの日も母上は私の髪を丁寧に編み込み飾りをつけてくれました。
わたしの元服の席で、わたしの盃に毒を盛られているのに気づき、母上は自ら毒を飲まれた」
そこまで聞いた母上が「そなたは誰じゃ」と急に警戒し始めたので
「あなたの娘、クシャナでございます。名を呼んでくださいませ」と呼びかけるのですけど、
「さてはわが子を奪いにまいったのであろう。立ち去れ!誰にも渡さぬ」と、
人形を抱いてぷいっと背中を向けてしまう母上…ああ…クシャナ殿下…。
再度「我が名を呼んでくださいませ」と呼びかけると、母上はゆっくり振り返って「クシャナ…」と言ってくれました。
何かを決心したような様子の殿下は花道へつかつか歩いていって、舞台を振り返り、
「母上、あなたとあなたの娘を苦しめた毒蛇の牙を折るために、わたしは戦に参ります。どうか心穏やかな日々を。
わらわは先王の血を貫く血の道を行くのだ」と、きっと前を見据えて見栄をされました。
ああ~~~~~クシャナ殿下…つらい……!!!

…と、そんな夢を見てたクシャナ殿下でした。。
(つまりユパ様が酒場行くシーンもユパ様とアスベルの本水シーンもカット)
見張り台にいるナウシカのシーンもカットで
クシャナ殿下の「ナウシカはどうしている」と部下の人の「見張り台に」のセリフで説明されてました。
クロトワが尻尾を出しちゃうシーンでクロトワの後ろにいる刺客を銃で撃って
「殺される前に殺すのだ」っていうセリフまで足されててわたしはわたしは、、、
ああああ見栄するクシャナ殿下かっこいいんじゃーーー!!!
さあさあさあからの白浪で自分の殺害を命じたのが父親だと知って呆然とするクシャナ殿下の
「血まみれのわが手でひきむしってやる!」のセリフは、七さんは激情にかられた演技でしたが
菊之助さんは静かな怒りと憎しみをひたひたとにじませながら語尾でセリフを強めていて別の凄味があった…!
瘴気が戦に使われたことをナウシカが知らせに来たときの「地獄の門を開けてくれるわ」のセリフも
紫マントをひるがえる七さんもかっこよかったけど菊之助さんの白マントVer.もかっこいいかっこいい。
土鬼の踊りが終わって陣営が攻められているところへクシャナ殿下が駆けつけてくるんですけど
「者ども!かかれ」って花道をマントをひらめかせながら走ってくる菊之助さんのかっこよさよ!!
クロトワが捕虜の土鬼たちを連れていく理由が敵の盾にするためになってて
(演舞場公演では人身売買だった)、攻城砲台のチャルカとクシャナ殿下の殺陣は演舞場公演よりも長回しですね。
終わった後チャルカだけが花道で怒って粘菌の話してるのでちょっと唐突感があったかな。

えっつまり第三王子とミラルパ様全部カット??

引き幕の前でユパ様とアスベルがシュワの墓地と巨神兵の話をしてたけどいつ会ったんだろ、
僧正さまのところかな?
幕が開いて土鬼とクシャナ殿下が見守る中での姫ねえさまの宙乗り~~!
ここでクシャナ殿下とナウシカの交互のセリフになりました。
「見よ。ナウシカは空高く舞い上がった。これよりわらわは祖国を目指す」
「生きとし生けるものすべてのものよ、いのちの光をいつくしめ」
「母の思いを胸に秘め、からみあいし毒蛇の道をわらわの剣で断ち切らん。誇り高き明日のために」
「いざゆこう。この世の誠を見るために、はるかな南、かなたを差して」
メーヴェの上で見栄する姫ねえさまかっこいい~~みんなに手を振って南へ飛び去っていきました。
(テトが肩に乗ってなかったのにあとで気づいた)

あとメイキング映像が1時間もついててめちゃくちゃ楽しかった…!
お稽古風景はもちろん、漫画を読みながら役作りをする役者さんたちや
舞台美術や音楽、衣装、かつら…こんなに多くの人が関わって舞台ができているんだなと改めて。
菊之助さんがものすごい忙しそうで、色んな人たちと打合せしたり決断の連続で
演出をやりながらの主演ってこんなに忙しいんですね…。
花道で米吉くんの宙乗りリハーサルのときに「プログラムを少し変更したいんですが」と手をあげて
腕でZの形を描きながら「ちょっとおろして、戻して、また上げる」と変更を提案されていました。
演舞場と歌舞伎座は空間の広さが違うため距離感が変わるので、音楽に合わせて修正していくのだそうです。
今回の宙乗りはメーヴェと米吉くんを両方吊ってるんですけど
役者単独で宙乗りするのはあるけど小道具も吊るのはなかなかないらしい。
宙乗りのときにワイヤーの位置が違うとメーヴェに乗り切れずに体が浮いちゃうので
「足ついてる?」「上がりすぎ上がりすぎ」って色々調整されて大変そうでした。
というか演舞場と歌舞伎座って思った以上に違いがたくさんあるんですね…。
回り舞台が回るスピードが舞台の大きさの都合で20秒以上違うとか
搬入口の幅が違うのでガンシップは寸法を詰めてるとか、いろいろ知ることができました。
舞台美術担当の人が、演舞場と歌舞伎座で舞台の高さが違うので引き幕の制作では調整に苦労したそうです。
他にも、引き幕は一番時間がかかるのでプロデューサーから発注が降りる前から少しずつ描き始めてたとか
王蟲の群れの絵はプリントで拡大したので粗が見えるけどかえって雰囲気が出てるとか。
「普段は日本家屋ばかり描いていて、宮崎駿さんの世界は難しかった」そうな。
金の野原の表現も、舞台に金幕を仕込んで一気に覆う演出にしたとか
王妃の庭の桜はしだれ桜がいいねって菊之助さんと話してそう作ったとか、
とにかくファンから「違う」って言われないようにドキドキしながら作ったそうです。お疲れ様です!
衣裳担当の人はデザイン画も見せてくださって
今回の衣裳は有職模様なども使って模様が浮かび上がるような、
歌舞伎の衣装でありナウシカの世界観を損なわないようなものにデザインされているとのこと。
クシャナの衣裳は菊之助さんの要望でドレスでありながら着物のようなものになっていて
皇女から軍人への視覚的な変化を意識しているそうです。
既存のものを使いながらナウシカの世界観に合わせていくのは難しかったのではないかな…。
かつらも、どうすれば和の衣装に合うかつらができるか試行錯誤されたそうで
今回は「手向けだ」のシーンがありましたがあの三つ編みの髪は実は抜いてるだけらしいですが
どうすれば勢いよく切ったように見えるかを菊之助さんが考えてらっしゃいました。
菊之助さんと米吉くんがメイクから衣裳を身に着けて役になっていく様子も映してくださって
ナウシカとクシャナができあがっていくのも見ることができました~。
三味線さんと浄瑠璃さんと振付さん、三味線さんたちの楽譜が映ってて
全然読めないけど音が奏でられると久石さんのあの曲が流れておおお!ってなったし
音楽は和楽器を使うことが大前提で前回よりもスケール大きく、厚みを持たせているとのこと。
ナウシカは篠笛、ユパは尺八、クシャナは琴をイメージしていると作曲担当の人が言ってました。
他にも、アクション担当の役者さんたちが歌舞伎座ロビーの絨毯の上にあぐらかいて殺陣の打合せして
立ち回りだと歌舞伎の動きになるのでナウシカらしい形を取り入れたとか、
クシャナの陣営の天幕を裏で開け閉めしている裏方さんとか
王蟲の目の位置をCGで調整してる小道具さんとか
(王蟲の子は人形なんですけど目がスイッチのONOFFでチカチカするんですね、
光玉もスイッチONOFFで光ってた)、もうとにかく色んな裏側が映って舞台裏好きとしては大興奮!
スッポンに入って衣裳整えてクシャナのポーズとってウィ~~ンて上がっていく菊之助さんがかっこよかったです。

役者さんへのインタビューもあって、米吉くんは
「お話をいただいたときにすぐ菊之助お兄さんに電話して「本当に僕でよろしいんですか?」と聞いたら
「せひご一緒したいと思ってる」「一緒にがんばりましょうね」って言ってくださった」のだそうです☆
ナウシカという作品についても、「巨悪がない」のが特徴だと思ってらっしゃるらしく、
怪獣を倒す話でも悪の秘密結社を倒す話でもない、ナウシカという女の子が戦争に巻き込まれて
理想と現実の狭間を生きて世界の真実に辿り着いてみんながその姿を見て変わっていくものだと。
当時の漫画作品でもああいうヒロイン像は珍しい、強くてかっこいいしかわいい、包容力があるキャラクターで
宙乗りは初めてだったそうですが「よく皆様こんなものを何十回もやるなあ」と思ったと(笑)。
落ちないと信じているというか信じないとできない、スタッフとの信頼関係や細かい微調整が大切とおっしゃって
「宙乗りが最後にあるのはポイントなので、楽しんでもらうギミックで、恐れず楽しくやった」そうです。
あと今回はサブタイからクシャナがメインになると思ってたら最初はナウシカの出番の方が多いし
クシャナに立ち向かうナウシカなのかと思ってたら2人が柱になってるストーリーで、
それも面食らったみたいです。
ナウシカを表現するうえでも、原作みたいな服装は歌舞伎に存在しないので
女形としてどこに手があるのが美しいか、お姫様や娘や腰元だったら形があるけどその枠組みを外れるので
どうすればナウシカらしいかを、やりながら見つけていくしかなかったともおっしゃってました。
菊之丞さんと「これは正解がないんだよね」ってお話されたそうです。新作の難しさだなあ…。
「鳥の人にならないといけないのでがんばる」と意気込みをされてました。大丈夫だったよ!お疲れ様でした。
振付の菊之丞さんも「初演(2019年12月)が終わった直後くらいに色々な状況が変わって
激動の2年半を過ごして、ナウシカのメッセージが現状に符号することもあるし
歌舞伎の包容力やキャパシティが活かされたものになっている」とおっしゃってました。

ジブリの鈴木さんへのインタビューもありました。
ナウシカの物語には日本の時代劇の伝統が流れているという話を宮崎さんともしていて
歌舞伎はこの題材にすごく合っていると思ってらっしゃるそうです。
ナウシカとクシャナは「宮本武蔵と佐々木小次郎みたい」とも。なるほどなあ。
「クシャナを主人公にしたらどんなお芝居ができあがるんだろう、だって敵役ですよ。
敵役って目立つんですよ。得な役ですよね」ってニコニコおっしゃっていて本当そうだよなあってなりました。

そして、菊之助さん。
次の作品は何にしようか、自分が好きな作品を新作で作りたいと思ったのがナウシカ歌舞伎の始まりで
原作で描かれている人類が大事にしなければならない心と普遍性を歌舞伎と融合させたいということで
始まった企画とのこと。
今回の再演は丑之助くんとコーヒーを買いに行った帰りに鈴木さんとばったり会って
まだ何も決まってなかったのにナウシカを再演したいですと伝えたことがきっかけだったそうです。
(鈴木さんも「これはもうやらざるを得ないな」って思ったらしい)
初演から俳優を変えると物語が深まるということで今回は配役を一部変更したそうですが
演舞場公演で「ケチャを演じる米吉さんがとてもすばらしかった。心がけ、姿勢、教えを乞う心。
再演なら若い米吉さんにナウシカをやってもらいたい」ということでお願いしたそうです。
今回のクシャナ役について、「彼女は王の道を歩むべき人で優れているがゆえに命を狙われていて
自分の気持ちをひた隠しにしながら生きてきた人」という理解をされていて、
演舞場公演で七之助さんがとても素敵なクシャナを作り上げてくださったので
よりクシャナの内面を描くにはどうしたらいいかを考えて、
歌舞伎はメイクと衣裳が場面ごとに変わるのでクシャナの内面を衣裳で表現していったそうです。
王蟲の子の舞は演舞場公演よりも曲を伸ばして歌詞をつけて
ナウシカと心を通わせた王蟲がナウシカとどう対峙するかを表現したとのこと。
今回、王蟲の子役だった丑之助くんには「慈愛の心を持ってナウシカと接することを大事に演じてね」と伝えて
あとは本人も自分で考えてると思うのでお任せされたみたいです。
幼いナウシカ役の知世ちゃん、舞台に立つのが初めてなので
稽古場の雰囲気にのまれたり思うように演技ができなかったりしたようですが
「それは私の小さいときと同じ」とおっしゃっていました。
「稽古をしていくうちにほぐれて、初日は稽古の成果が出たんじゃないかというくらいよかったと思う」とのこと。
知世ちゃんも今後、菊之助さんの舞台に出演されるようになるのかな。楽しみです。

…待って、上の巻ってことは中の巻とか下の巻とかあるってことですよね?
まだ情報はないけど近いうちに上演されるのかな、見たいので待ってます。
あと今月の納涼歌舞伎も手塚治虫の新選組とか闇梅とかやじきたとか見たいものがいっぱいあるよ!
配信を待ちます。
2022_07
10
(Sun)02:15

ゼロになるからだ充たされてゆけ。

舞台『千と千尋の神隠し』を見ました。
御園座で行われた大千穐楽がライブとアーカイブで配信されましたので☆
3月の帝国劇場に始まって各地を回り名古屋で終わるというスケジュールが発表されたとき
行けるならどこか行きたかったけどやっぱりまだ劇場に行くのはためらわれるな…と思ってやめたので
配信していただいて本当に有難かったです。
大千穐楽の1週間前に出演者の新型コロナ感染が確認されたため、
公演が1週間中止になったのでこれはもう千穐楽まで中止かなと思ってたんですが
キャストを一部変更して上演されることになったそうです。現場大混乱だったろうな…。

ghiblichihiro3.jpg
舞台を見てから過去にお取り寄せしたプログラムと『熱風』2022年4月号を読むと
解消度がぐっと上がっておもしろい。

映画と舞台でどんな風に違うんだろうと思ってわくわくしていたのですが
始まりの車のシーンで車が出てこなかったのがもう、おおっそうくるか…てびっくりしたし
千尋とお父さんとお母さんが観客にずっと背中向けてお芝居してるのが新鮮でした。
千尋はたまに花束持って立ち上がったり客席に向けてセリフ言ったりしてましたが
運転中のお父さんは全然顔をこっちに向けませんでした。運転中だからね。
橋本環奈さんの千尋、イメージより声がちょっと高めなんですが舞台ではのびのびと動いていて
千尋が元気になったらこういう感じかなあと^^
あと聞いててやっぱり、セリフがはっきりくっきりだなあと…。
映画だとささやき声のセリフとかもあるんですけど、舞台はほぼ大声になってましたね。
役者さんたちマイクつけてましたけどウィスパーボイスだと2階席まで声が届かないもんね。
あと本当に、本っっっ当に、セリフが原作の映画に忠実で一字一句まったく変えられてなくて
(場面転換のために必要な部分のセリフが一言ふたこと足されたりしてたけど)
そこもファンとしてはうれしかったですね。
あとね!音楽!音楽が久石譲氏のオリジナルをアレンジした生演奏でした。それもよかった。

タイトルが映像で出るんですが、表示されたあとに文字が散って「千」の字が割れて白い鳥居になって
それを知らずにくぐった車が赤いトンネルにたどり着く演出ドキドキした…。
なるほどこうやってわかりやすくするんだな、と。
猿石が2つに増えてるしなんかくるくる回るし顔の部分から演者さんの顔がひょっこり出てるし
千尋が目が合ってドキッてしてるのとか、なるほどな~って。
トンネルを通って不思議の町を歩いていくのは黒子さんがセットをあちこち動かして移動してる感を出してるし
お店のお料理食べちゃうお父さんとお母さんの食べ方も映画の作画をそのまんま再現してて
そこまでやる!?って声出ちゃったし
油屋の下をプラレールみたいな電車が走って遠近感出してたりとか
ああなるほどなあ~~立体化おもしれえ!!ってなってたしずっと言ってた。
そして橋の上で例の謎の魔法をかけるハク様登場!かっこよかった美しかった☆
龍のうろこは手元でふって吹くのと照明でヒラヒラ~って散らばる効果がされてて
あとびっくりしちゃったのがハク踊ったんですよ!魔法をかけるときにクルクル回ったり手を動かして
ハク様のダンス!!!って刮目して見ちゃった(☆o☆)
他にもハクは千尋を導くときやただ歩いてるときだけでも踊るような動きが多くてなんでだ?て思ってたら
ハク役の三浦宏規さんはバレエ経験者だそうで…そりゃ美しいわけです。
豚になったお父さんとお母さんもなんかわけわからんことしゃべったりして
豚がしゃべった…!ってびっくりしてるのもつかの間、
黒い人たちがお父さんとお母さんだけでなく千尋のことも追いかけるので逃げるっていう流れになってて
「これは夢だ消えろ」って怖がる千尋が透けるところは半透明のベールをかぶってて
いや~なるほどなあ…舞台だとセリフだけじゃ説得力ないから視覚的にこう見せるのか…と。
ハクが来て助けてくれて(ベールがしゅっと抜かれる)棒で飛ぶ湯バードにフフッてなった^^
ハクが千尋を引っ張って走るシーンは映画だとあちこちのドアを開けて油屋まで走るんですけど
舞台のあちこちに出現するドア(黒子さんたちが持ってる)の間を2人が走り回る表現になってました。
宮崎アニメ高速Follow多いからな…立体にするのは大変だなあ。

油屋の玄関のシーンが賑やかで、映画に出ていたあのおねえ様この男たちが立ってて
うわ~~映画の人たちがそのまんまいる!って興奮してしまった。。
イメージアルバムの神々さまの歌をダンスつきで歌ってくださった~すげーミュージカルみたい☆
青ガエルちゃんはパペットでしたがおばたのおにいさんすごい!我修院さんに声めっちゃ似てた。
ハクが千尋にここで生きていくためにアドバイスをするシーン、
いやちょっとハク様は千尋の手を握りすぎじゃないですかね。顔も近いし(笑)。
例の外階段、あんなに長い階段はさすがにセットで作れないだろうとは思ってましたが
思いのほか短くて、はしごを使って高低差を表現したりしてて、ああなるほどなって。
あと電車いちいち走らせるの細かい。。(映画でもここのカットで走ってるけど)

釜爺が!歌った!!(今日一びっくり)
上條恒彦氏のイメージアルバムの歌を歌いながら仕事してましたわよ…ええ…しゅごいな…!
釜爺が歌うイメージは持ってなかったのでびっくりです。
橋本さとしさんめちゃくちゃいい声ですね。菅原文太氏とは違ってとても元気な釜爺でした。
6本の腕は4人の黒子さんが動かしていたので実質釜爺は5人1役なんですね。
腕を長く伸ばして箪笥の引き出しからやばそうなものを取り出すシーンもありましたよ。
千尋に見せた6本腕のグッドラックが強烈でした。映画だと1本なのに!サービスサービス。
ススワタリたちは床に引いた糸にくっつけられていて、竈の中に黒子さんがいて引っ張られていく表現になっていて
リンさんがコンペイトウをまくシーンもススワタリたちがわらわら寄ってきててかわいかったです。
リンさん…すごくやさしいというか愛情のある演技でしたね。
映画だとサバサバしつつもやさしい姉御的な感じですけど、舞台のリンさんは一貫して愛があった。
妃海風さん初めて拝見したのですがすごく品がある方だなと思いました。美しいリンさんをありがとう。
油屋を移動しながら上階をめざすリンさんと千尋を助けてくれたおしらさま、
背丈が…千尋とあまり変わらない…まあ仕方ないですね…。
着ぐるみが割とお疲れ気味というかボロボロっぽかったのが気になりました。長期公演だったしなあ。

ドアノブと湯婆婆に服を引っ張られるシーン、どうやるのかと思ってたら
ドアの一部からドアノブの仮面をつけた顔がついと出てきて
「ノックもしないのかい」(夏木さんの声に合わせて口パクしてる)って言いましたね。
千尋のTシャツも出っ張りがついて(たぶんつっかえ棒か何か入れるんだと思う)
ドアがどんどん開いていく奥に向かって走る、みたいになってました。
夏木さんの湯婆婆めっちゃ湯婆婆だったーーーーー!!!!!
いや20年前から本人だよって感じですが、ちゃんとあの髪型とあのファッションと真っ赤なマニキュアと指輪、
そして何より声が!ほんと湯婆婆で感動しました。また会えたよすごい…!
舞台なのでセリフが張ってる違いはあれどあとは全部いつもの湯婆婆(何それ)で
(インタビューで、アフレコと違って動きがつくとセリフも演技も大きくしたくなるみたいなことをおっしゃってた)
すげえ…ありがとうございました…みたいな気持ちになりました。
怒るとでかい顔が寄木造みたいなパペットでドーン!と出てきてそれもびっくりした、
夏木さんの声でしゃべってるパペット湯婆婆はなかなか強烈でしたよ。
あとこの映画の核といってもいい名前を奪うシーンは
荻野千尋の文字をパペットにして黒子さんたちがそれぞれ持って、ひとつひとつ消えていく演出になってましたね。
契約書の上で手を動かすだけだと伝わりにくいしね。
あと頭(カシラ)たち。頭と両手に人形を嵌めてお1人でやってましたね…パペットじゃないんだね。
夜にどこかへ出かけていく湯婆婆が夏木さんからパペットに変身するのも
マントをバサー!からの変身であまりにもスムーズで感心してしまいました。

真夜中に部屋で寝ていた千尋をわざわざ起こして
「橋のところへおいで」って語りかけるハクにじわってしまったんですけど(視覚を優先したんだな…)
はしごを登って帰るハクにもじわりました。彼にそんなイメージは持ってなかったので。
お父さんとお母さん豚、頭に豚のぬいぐるみをかぶっていて体は人間のままなのですね。
ハクが千尋に服を返したりおにぎり出したりするシーンですが懐からではなく虚空に手を伸ばして
さっと目の前に出すんですね…「いま手品しました?」って感じでおもしろかったです。
映画では橋のところで別れた千尋をハクが見送るんですが舞台では千尋がハクを見送っていて、
すたすた歩いていたハクが油屋の前で急にまた踊り出して
えっハク様…?て思ってたらクルクルって回って奥に消えていって
そこから龍が飛び出してきたのでうわあって声が出ちゃいました!
このシーン10回くらい巻き戻して見てしまったよ~~あまりにも鮮やかだったので!
龍→ハクになるシーンは映画でもあったけどハク→龍はなかったからやってくれてうれしかったです☆
歌舞伎の龍みたいに黒子さんの棒でヒラヒラしながら飛んで行ったハクを見送って千尋が油屋に入って
釜爺のところで寝てしまいますけど、
映画では腕を伸ばして座布団かけてましたけど舞台では千尋のそばまで来て座布団かけてましたね。
あとね…橋にやってきたカオナシが突然踊り始めたのもえっ!てなったけど
確か中の人はダンサー(しかもWキャスト2人とも)だったなと思ってほおぉ~~って声が出ました。
いや、ひとつひとつの動きがめっちゃやばかった…語彙がなくて申し訳ないんだけど
最初はカオナシがダンスするわけないって戸惑っちゃったんですが
見てるうちにいやこれカオナシだな、カオナシが動いてるんだ!って思わされちゃう説得力。
飛んだり跳ねたりな派手な動きではなくあくまで「カオナシが踊ったらこうなる」的な、
パントマイムに近い動きなんですけどあれ何かジャンルあるんですかね。ダンス詳しくないのでわからない…。
BGMもすごいなんかしっとりしててよかったです、カオナシのバラード。

飛んで帰ってきた湯婆婆がパペットから夏木さんに戻る演出も実に鮮やかでした。

雑巾がけも踊りながらやる湯屋の人たち!
(というか千尋に対する人くさいヘイトが映画よりやたら多めに出てくるんですがあれは一体…)
(縁側で千尋に「ここ開けときますね」って言われて踊りながら入ってくるカオナシが斬新すぎた)
大湯もきちんとセットとして再現されててびっくりするレベルで
お湯が出るときはスモークみたいな霧とザーーッていうSEで表現されてました。
「番台ってなに」「マジかよ…行きゃわかる」ってセリフ足されてて千尋が番台に行ってからも
カオナシがゆらりと出てきて札をぱらぱらって降らせるのドキドキしちゃったよね。
番台と電話する湯婆婆がささやき声じゃないのは舞台だからでしょうけど
夏木さんが手でしゃれこうべをカタカタ動かしながらしゃべってておもしろかったです。
そうだよね夏木さんが動かさないと動かないよね…^^
オクサレ様がちょっと想像以上にオクサレ様で巨大でした…あれはやばい。
お迎えする前に千尋に指示を出そうとして「いいかい?オウェ」って吐き気が出ちゃう湯婆婆のあれは
アドリブなんでしょうか台本にあるのでしょうか、夏木さんの演技が生々しくて笑っちゃったんですけど。。
オクサレ様の手をとってご案内する千尋まじかよがんばれ!ってなったし
歌舞伎の引き抜きみたいにシュッ!て腐る朝飯すごい、
じわじわ腐った映画よりも一瞬で腐った舞台の方がオクサレ様の威力が視覚的にも強い気がします。
釜爺からの大量のお湯のおごりはビニールとSEで表現されてて
湯婆婆がぐちゃぐちゃのまま投げたロープが一瞬で人々の手にわたり綱引き準備になったの手品みたいですごかったし
「引けやー!」っていう湯婆婆の叫びは映画より音量でかくて劇場中に響き渡ってました。
夏木さんすごいな…どっから声出てるんや…???
そーれそーれって綱引きも役者さんたちの演技とがんがん響き渡る劇伴と
舞台に満ち満ちるスモークと踊るビニールですごい迫力だったし
「善哉!」と湯船から巨大な河の神のパペット顔がゆら~~りと出現した後に
あっはっはと呵々大笑しながら白い蛇体が飛び立っていって
たぶんテグスとか引いてあるのかな、客席の天井に飛び出していきお客さんの頭上を一回りしてから
舞台の大扉からお帰りになっていきました。なるほどすごいなー!
やんや~!って油屋の人たち全員でダンスが始まったのも楽しかった☆
縁側で千尋とリンさんが海を眺めるシーンで電車のレールが光ってるのも街のあかりが見えるのも綺麗でした。
おねえさんたちが沼の底のBGMで歌っているのびっくりした、歌詞がついてる!

カオナシが青ガエルをパクってやっちゃう演出、黒いベールの下に取り込まれちゃう感じでしたね。
お大臣踊りの再現がだいぶ派手で、兄役さんちゃんと踊ってましたね!
兄役と湯女をパクってやるときのカオナシのでっかい口、
黒子さんたちが持つ形で再現されててちょっと引きました。あまりにもでかい。
ハク龍が大けがして帰ってくるところ、歌舞伎みたいに棒で黒子さんが動かしてたんですけど
踊るように棒をあやつって動いていて龍の速さが表現されていて美しかったです。
この舞台は踊りの表現がよく使われますなあ。
銭婆の式神、かなり大きくて千尋の肩に引っ掛けるタイプの小道具だったんですが
あれよくきちんとくっついてますな、走ってるときに落っこちないかヒヤヒヤしました。
ハクを助けるために外のパイプの上を走るシーンもどうやるのかと思っていたら
割と地上に近い部分にパイプがセットされてそこを走ってましたが
あれはたぶん、ここは高いところにあるパイプだと思ってください的な…そんな感じだったんだろうか。
式神が窓の鍵を開けるところも窓の奥から黒子さんがさっと出てきて千尋の肩の式神をとって
ひらりと鍵を開けた瞬間さっと身を窓から離して千尋が室内に転がり込むようになってて
タイミングばっちりですごかったです。
坊はてっきり頭も体も被り物でやるのかと思ってたんですが
実際は体だけ着ぐるみみたいな感じで顔だけ小さくてふえっ?ってなったし割と早口でしたね…。
でも声がでかいから「こんな手すぐ折っちゃうぞ」の迫力がすごかったです。
4人の黒子さんたちが動かすハク龍、暴れまくって血を流しておる。。
奈落から銭婆が出てきて坊をネズミに、湯バードをハエドリにするシーンも
役者さんとパペットが絶妙に入れ違いになっててお見事でした。
千尋とハクが奈落に落下するイメージ、あれきちんと見てないと穴に落ちたってわかりにくい気がして
千尋が一瞬だけ水の記憶を呼び覚ます表現もSEと照明で表現されてましたが
ちょっと映画見てない人にはわかりにくかったかもしれないな…。
宮崎アニメは上下移動もあるから大変だ。

釜爺渾身の「えんがちょーーーーー!!!」大声でした、すごかった。。
千尋ががんばって虫を踏みつぶしたあと、なんと2人でイエーイ!てハイタッチしてたんですが
釜爺の手は6本あるので千尋が6回ハイタッチする羽目になってておもしろかったです。
ニガダンゴをハク龍に飲ませて人の姿に戻ったハク、役者さんが奥から転がってくるのシュールだったし
寝ているハクの頭をなでなでする釜爺やさしかったなあ。
えんがちょ遊びをする坊ネズミやススワタリに「静かにせんか!病人がいるんだぞ」ってセリフが足されてて
銭婆のところに行きたいっていう千尋のために電車の切符を持ってくるところで笑いが起きてました。
リンさんがたらい船を出すって言ったときも「グッドアイディア」ってサムズアップしたりして
橋本さんの釜爺かなりお茶目キャラですな^^
ハクが目を覚ましたとき「いいなあ、愛の力だなあ」って釜爺がしみじみ言うセリフで映画は場面が切り替わるけど
舞台は少し続いててハクが「愛…」とかつぶやいててふええ!?ってなってしまった、
ハク様、愛とか言うんだ…そうか…(しみじみ)。
「ハク、養生するんじゃ」って釜爺がもう一度寝かしつけて、そこで場面転換でした。

カオナシ大暴れ、あれも映画では上下移動のシーンですが
(湯婆婆は攻撃したけどかめはめ波を使うことはなかったしヘドバーバの出現も回避された)、
階段を下りたりはしごを使ったり人ごみをよけたりしながら降りていく表現になってましたね。
ちゃんと坊ネズミもハエドリもついてきてて
橋本さんかなり足が速かったんですが黒子さんたちもがんばってついていってました。
リンさんと千尋がたらい船に乗って移動するシーンでカオナシがやってきますが
足だけで背泳ぎしながら泳いでついていくるのおもしろかったし中の人の身体能力に感心してしまった、
もはやリンボーダンスで移動するカオナシでしたよ!あんな動きどうやってやるの意味わからん…!?
電車は3両ではなく1両で、みんなで乗るんですがここでもカオナシはかわいい、
映画だとじっと座ってるだけですけど舞台では小刻みに動いて何かしら見てたりするんですよね。
このシーンは千尋もカオナシも終始無言で、尺をたっぷり取っていてゆったりしていました。
映画でも静かでゆったり、切なくなるようなシーンですが舞台でもそうなっててよかったです。

カオナシが置いていった金が一瞬で土くれになるのは
さっきのオクサレ様で腐った朝飯みたいに引き抜きで土くれになる演出でしたね。
坊がいないとわかった湯婆婆が狂乱するシーンは前半にもあった寄木造のパペットが好演して
カーテンの中から巨大な湯婆婆の顔が出てきて夏木さんの大声が轟いておりましたよ。
夏木さんは映画でもすごい声量だったけど舞台だと劇場中にビンビンに響いて
これ劇場で体験したかったなあ…と思いました。音が全身にびりびり響くのって心地いいんですよね。

沼の底で降りた千尋たちを迎えに来たカンテラさん、役者さんが黒子の衣装でしたが
バレリーナのようにクルクル回ったりステップ踏んだりしてのご登場ですごくかわいかった☆
踊るカンテラ…よい…!(新しい沼の予感)
銭婆の家に着くとそこにはあっという間に着替えた夏木さんが!(笑)
千尋が虫を踏みつぶしたことに対して呵々大笑するのも映画みたいに軽やかで
いやほんと…夏木さんの演技の振り幅とんでもねえなって思います。
ハエドリはパペットなので糸車の上に止まれるけどさすがに坊ネズミがホイールを走るのはできないので
糸車の横に立ってクルクル回す動作をしてました。かわいい。
銭婆がくれた髪留めが水色だったんですが映画では紫だったよね、
紫は舞台だとわかりにくいからより目立つ水色に変更されたのでしょうか。
迎えに来たハク龍に乗って帰るシーンは千尋もハクもムキムキの黒子さんたちに支えられてて
これ黒子さんたちもだけど千尋役もハク役もかなり体力が要求されますね…ハードな舞台だ。
ハクが名前を思い出した後、映画では2人は空を飛んで油屋まで帰りますけど
舞台では手をしっかりつないで歩いて帰ってきました。
並べられた豚の中からお父さんとお母さんを見つける儀式に成功して
ぽんっと音がして花吹雪とともに散る契約書と「やんや~」と踊ってくれる油屋の人々☆
千尋とハクの別れのシーンは「きっと」「きっとよ」「きっと」にたっぷり間をとっていました…
あれお2人のタイミングで演技できてるのかな。
トンネルを出た千尋が髪飾りをほどいてトンネルを振り返ると
トンネルの中央にハクが現れて「ふっ」と龍のうろこを吹いたら入口が消えてしまってええー!ってなった、
あらまあこれは…考えたことなかったな…もう行き来できないのかなあ。
ハク様どうやって帰ってくるの、そのときはまたトンネルが開くの?そうであってほしい。


あとこの日は大千穐楽だったので(?)カーテンコールが1時間もありました!!
カテコ1時間とか聞いたことない!(笑)
兄役の大澄賢也さんが挨拶され進行役をつとめられて、
まず油屋のセットの2階がウィ~ンて開いて、何だろうと思ったら
そこに演奏担当の皆さんがいらっしゃって手を振ってました。油屋の2階で生演奏してたんですね~!
続いてシングルキャストの皆さま25人が客席に挨拶、
油屋の人々として出演しながら場面転換に黒子にパペットなど舞台上のすべてを動かしていたそうです。
本日までの102回公演をやりきったとのこと本当にお疲れ様でした。
大澄さんが「油屋を支えるのは大変なんですけど、今日は3人いないんです」と残念そうにおっしゃられて
シングルキャスト代表としておばたのおにいさんが挨拶されて、
「この舞台は色んなジャンルの人たちがいて、
稽古の段階でもう無理だよって思ったことたくさんあって、でもできちゃったのがすごくて
トライできてよかった」って、途中から涙ぐみながらお話されました。
続いてWキャストの皆さま、まずは釜爺の橋本さとしさんからお話ということでしたが
いきなり「どうも、ぴよりんです」って挨拶されて会場が爆笑。。
「そういうプリンがあるんです!名古屋の!」っておっしゃってて、笑いを取ろうとしたみたいでした。
大丈夫です知ってますよ、今年で誕生11年目の名古屋スイーツですよね知ってますよ!!(ガチ勢)
続いてリン役の妃海さん。「わたしもう昨日からさみしくてさみしくてたまらないんですよ。
幸せをもらって出会いをもらいました。本当に楽しくて幸せでした」
近くに立ってたカオナシ役の菅原さんが既に泣き出してしまっているのを見て
「よかった同じく感受性豊かな仲間がいて」って、ちょっとほっとされたようでした^^
今回のカオナシ役の辻本さん、「宮崎さんの作品で最初に見たのはナウシカ、パンダ、コナンで
作品にあこがれていて、彼といつか話したいなあと思ってたんですけど、
この作品の舞台化の条件が宮崎さん本人は見に行かないことだったと聞いて
なんて天邪鬼なんだ…と思ったけどそこが好きです。
僕は踊る方が楽なんで、ダンスのテクニックでこの作品に出られてうれしいし
その人の人生の一部になればいいなあと。僕の人生の一部になりました」
続いてカオナシ役の菅原さん。今回出られなかったシングルキャスト3人のパートを埋めるために
本日の舞台では黒子として走り回っていたそうです。
もうコメント前からボロボロ泣いてらっしゃって「いや、幻だったのかなって…。
ずっと夢の世界でした。たくさん学ばせてもらいました。ほんとに、この作品すげえ。
最後に大きい声だしてもいいですか、愛してるー!!」って絶叫。会場から拍手が起こりました。
ハク役の三浦さん、「このカンパニーへのリスペクトがつきません」と言ったとたん泣き出してしまわれて
「ハク様!」「ハク様ー!」「がんばれー」って舞台と会場から声援が☆
(おばたのおにいさんが率先して青ガエルの声で「ハク様」って言っててみんなそれに続いてた)
「支えあって笑いあって、全員でこの舞台を作りました。幸せでした」って、やっぱり泣きながらおっしゃいました。
と、ここで、Wキャストの醍醐虎汰朗さん(ハク役)と田口トモロヲさん(釜爺役)が舞台上にご登場。
醍醐さん「客席から見ていて、めちゃくちゃよかったです。みんながキラキラしててかっこよかった」
田口さん「たどり着きましたね。お疲れさまでした。おめでとう。
全員でゴールできなかったけど、無念なメンバーもいるけどお客様が見てくださって演劇ができることが本当に幸せ。
幸せなチーム、幸せな公演だったと思います」とコメントされて、
出られなかった朴さん(湯婆婆役)と咲妃さん(リン役)が配信で見ているから拍手を送ろう!ということで
キャストと客席で拍手しました。
続いて夏木さん。「今日は見ていただいてよかったです。ありがとうございました。
今日は1本つけるからねって気分です(笑)。
あまりわたし泣いたことないんですけど、すばらしいメンバーと一緒にいて心が洗われて
こうして大千穐楽が迎えられて、皆様本当にありがとうございました。
見ていただけない日々は稽古をしてました。
ジョンがキャストを変えてやるなんてクレイジーだって言ってたけど、メンバーが神様に見えました。
20年前に湯婆婆を演じて、20年後にまたこうして実現するとは夢にも思いませんでした。
あれから20年も経って…疲れるわけだなと思っております(笑)。
生きていればいいことがある。もしこの舞台が続けばわたしも元気でまた参加したいと思います」
続いて演出のジョン・ケアードさんと今井麻緒子さんがご登場。
今井さん「初日を開けるにも今日も、並々ならぬ努力をしてくれた人たちがいます。
4年前にジブリへ来て舞台の許可をもらったことや、今日出られなかったみんなの顔も浮かんできて
スタッフの顔も浮かんできて、神々の話ですけど、何百という人々の精神が宿っています。ありがとうございました」
ジョンさん「すばらしい昼公演でした。このカンパニーが好きです。すばらしい人たちの集まりです。
すごい困難の中で稽古しました。本当に誇りに思います。愛してます。終わっても心でつながってますね永久に。
ここにいない人たちへ。宮崎駿さん、インスピレーションを与えてくれました。
鈴木敏夫さん、勇気を与えてもらいました。
すべてのクリエイティブチーム。2人の演出助手。彼らがいなかったら成り立ちませんでした。
ちなみに今日の舞台を補うために彼らは舞台に立っていました」と、舞台袖を手で示されて
そこへ演出助手と思われるお2人が油屋の住人の格好で舞台袖に少しだけ出て
ぺこりと頭を下げて下がっていかれました。お疲れ様でした!
そしてここで、大千穐楽に出演予定だった上白石萌音さん(千尋役)から手紙の朗読がありました。
「お客様、カンパニーのみなさんへ。大千穐楽おめでとうございます。
今すぐそこに行きたくてたまりません。いま配信を見守っているキャストもそうだと思います。
まさに神隠しにあっていたような気分の7か月で、千尋として走って宝物をたくさんいただきました。
最後まで挑みつづけた最強のスタッフ、キャストの皆さま、相棒でいてくれた環奈ちゃん、ありがとう。
お別れは千尋のようにさっぱりいきます。みんなありがとう、お世話になりました」
客席から拍手。キャストさんたちも涙ぐんでいらっしゃって、
なのにジョンさんが「サンキュー、萌音。そして、萌音ちゃんが泣かせた後は環奈さんが笑わせてくれるはずです」と
環奈さんに無茶振りを(笑)。
環奈さん「この条件で笑わせられるかー!」って言いなさったんですけど座長らしく気を取り直してきちんと挨拶されました。
「皆さま、本日は大千穐楽公演にお越しいただきありがとうございます。
ちゃんと今日しゃべろうと思ってたのに萌音ちゃんからの言葉があると思わなくて。。
3月帝国劇場から各地を回り御園座で、
始まる前は長い道のりだと思ってたのに本当にあっという間で毎日幸せな気持ちでした。
大きく2つ財産を得ました。お客様から拍手や反応、ご意見ご感想によって
舞台を始める前から学ぶことがあって、すごく新鮮な気持ち。役者としてすごくいい経験になりました。
カンパニーのみんな。初めての舞台、稽古初日、自己紹介をして、
毎日ともに戦い抜いてきてたくさん話し合い悩んだり笑いあって。
ゼロから1を目指すのはこんなに大変なんだと。つらいこともあったけど楽しく幸せな毎日でした。
今日の舞台に立てなかったメンバーや萌音ちゃんにもたくさん支えてもらいました。
萌音ちゃんの代演と決まった時に「たくさん背負わせてしまうね、ありがとう」って言ってくれたけど
前に博多座で萌音ちゃんが私の代演をやってくれたときも助けてもらったし
最後の最後まで助けてもらいました。萌音ちゃん本当にありがとう。
今日は普段やってない役をやっていた人たちもみんな完璧に仕上げてきててかっこいい!
最高のメンバーが周りにいてくれて、さみしいしまだやりたいって気持ちはあるけど
幕を閉じるということで、もしかしたら再演あるかもしれないけど
そのときはまた見ていてだけたらと思います。本当にありがとうございました」
深々と頭を下げる環奈さんとキャストの皆様に、会場に割れんばかりの拍手があふれて
キャストが手を振りながら退場、これで本当に幕切れとなりました。お疲れ様でした!


終始「うん」「ああ」「なるほど」「こうするのか」「こんなことできるんだ!」「おもしろーい」とか、とか
映画を思い浮かべながら見てしまったので純粋に舞台として楽しめたかどうかわからないし
演出が割と映画を見てる人向けというか、これ大丈夫かな映画知らない人いま何が起きてるかわかるかな?って
戸惑うところもあったんですけど、
でもやっぱり見られてよかったと思うし実現してくれた関係者の皆様に感謝したいし配信ありがとうの気持ちです。
やっぱり舞台っていいなあ!
遠くて見に行けないとか、事情で行けないけど後で見られるとか、別に現地じゃなくていいからとか
この状況でオンラインやアーカイブ視聴という選択肢が普及したことだけは本当にいいことなのですが
その場で安心して楽しめる環境に早く戻ってほしいです…劇場に行きたい。
2021_02
20
(Sat)23:51

小野のよし名乗らずとも。

2021kyoto1.jpg
京都観世会館の「第六回復曲試演の会(代替公演) 復曲能『篁』」を見てきました。
去年の4月に予定されていましたが今年の2月に延期になり、
こういう状況ですのでまた延期されるかオンライン配信でもないかと待っていましたが
どちらもないということでどうしても見たければ行くしかない…とのことで。
チケットは去年取っていて、行かずに寄付することも考えましたけど
会場の感染症対策を確認したり自分でできる対策を色々考えて、行ってきました。
(そんな風に割と決死の覚悟で行ったら現地で
「3月にEテレで舞台の一部放送があります」「7月に追加公演があります」というお知らせを見て
早く言って!!?!???(゚Д゚)ってなりました…早く、言って(゚Д゚)クワッ)

2021kyoto2.jpg
新幹線で京都まで行って、岡崎公園で市バスを降りて、平安神宮の大鳥居も久し振りに見ました。
目的地はこの鳥居を背に歩いて3分ほどの場所にあります。

2021kyoto3.jpg
京都観世会館。初めてだよ~。
お着物のお客さんも何人かいらっしゃいました。

2021kyoto4.jpg
館内にあった図書コーナー。
謡本や能狂言についての資料、DVDや小説やマンガなど幅広く置いてありました。
『花よりも花の如く』懐かしいな~途中までしか読んでないけど。憲人くん今いくつになったのかな…。
こういう状況でなければ手に取って読めるんですけどね。

2021kyoto5.jpg
六道珍皇寺さんからお花が届いていました。
去年12月に六道さんで謡奉納があったんですよね…行きたかったなあ六道さんで「篁」を見たかった…。

2021kyoto6.jpg
館内はロビーが狭くて結構な密だったので、公演が始まるまでは外にいました。
琵琶湖疎水を眺めながらコンビニおにぎりをもりもり。この先に乗船場があるんですよね。
京都近美や京セラ美術館にも行きたかったな…。

2021kyoto7.jpg
京都観世会館の感染対策は公式サイトからも見ることができますが、
入館前に検温と手指の消毒があり、連絡先を記入して提出し、
館内ではマスクをつけて会話を控えて人と距離を取ること、ロビーでの飲食も控えてほしい、など。
会場内では換気・消毒を徹底、座席は1席ごとに貼り紙があり隣り合って座ることができなくなっていました。
もし何かあれば提出した連絡先に連絡が来ると思いますが今のところ来ていません。

わたしが買ったチケットは自由席で、1階席がかなりの密だったので2階席の最前列に座りました。
左右はひとつずつ開けて人が座っていて、後ろは誰もいませんでした。
1階と比べて2階は人が少なく距離を取って座れまして、マスクつけて会話している人もいましたが
わたしの周囲はおひとり様が多かったのか、静かでした。


上演前に西野春雄氏(法政大学名誉教授)による講演がありました。
能楽・中世文学を専攻されている研究者のかたで、今回の『篁』復活にも関わられて
謡本の校訂や補綴などにも参加されたそうです。
『篁』の作者は不明で、世阿弥だとする資料もあるそうですが確定には至っていないことや
表現も難しく役者や音楽も揃いにくいため廃絶した可能性があることなどお話いただきました。
(室町時代以降は近代に丸岡桂が『古今謡曲解題』(1919年)で触れている程度らしい)
戦後に『篁』を再発見した評論家の堂本正樹氏と西野氏は交流があり、
堂本氏が番外曲中の名作と評した曲を今回復活させた理由についてはもう少し突っ込んで聞きたかったけど
特に質疑応答の時間もなかったのでちょっと残念。
(小野篁が京都の人というのも京都観世会が復活させる理由としては大きいかもしれないね)
長く上演が途絶えていた『篁』を現代に復活させる作業は約2年ほどかかったそうで
もし途絶えずに上演され続けていたらどのように演じられていたかを考えながら台本を決めて
面や衣裳、節や型や囃子をつけていき調整していったそうです。
モデルとなった小野篁についても「調べたけどなかなか魅力的な人物ですね」
「古今集真名序に「風流」とあることに注目しています」などなど、
そうだよねー!(≧▽≦)☆って同意しまくるコメントがあってうれしくなりました。
(ちなみに西野氏は『篁物語』や谷崎潤一郎の短編は「合いませんでした」とのこと)
ほかにも『篁』のストーリーの解説や史実とフィクションについて、型や衣裳についてなど
多方面からお話いただいてとても勉強になりました。
最後に「みなさま、これから誰も見たことのない『篁』が上演されます。
みなさまと立ち会えることをうれしく思います」とおっしゃって締めくくられたので
上演がとても楽しみになりました。素敵な講演をありがとうございました!

講演の後は、舞台で上演の準備をなさるスタッフの人々を見ながらドキドキしていました。
(2階席は演者さんからは遠いけど全体が見渡せていいですね)
お能を劇場で見るのが久し振りすぎて、やばいどんなだったっけと思ってましたけど
最初にピ~~ヒャラ…ポン、ポンと、笛太鼓が入ると会場がシーン…と静まり返って
地謡や後見の人たちが舞台に静かに出ていらっしゃって(布マスクをしていらっしゃった)、
鼓が入って「イヨォーーーーー」「ポンッ」と鳴ると、もう一気に能の世界へ。
ああ、この感じ…!とたまらなく懐かしくなりました。やっぱりわたしは能が好きだ。

『篁』の季節は晩春で、時代は鎌倉時代初期という設定。
承久の乱が終わり隠岐の島に流罪となった後鳥羽院を訪ねて、僧侶となった北面の武士(ワキ)が
出雲の千酌の浜にやってくるところから始まります。
ワキが「後鳥羽院に仕え申す者にて候」と自己紹介を終えて舞台の端に下がって
後見さんが舟の作り物(白い枠だけの簡素なもの)を持ってきて舞台に置きますと、
いよいとシテが橋掛かりから登場します。
よっ、篁さん!(心の声)
面は尉、腰に蓑をつけて棹を持っていました。漁師の格好ですね。
僧侶に隠岐に行ってほしいと頼まれて、これは釣舟だと言って断るのですが
隠岐に遅桜を見に行くと言っていた僧侶が実は後鳥羽院に会いに行くため出家したと聞いて
その心意気に感銘を受けて力になろうと海へ漕ぎ出します。
2人のやり取りから物語が動く感じがしてドキドキしたし
地謡の漕ぎ出す舟とか吹き付ける海風とか海に浮かぶ水鳥の描写がとてもかっこよかったです。
日本海に漕ぎ出す小さな舟の情景がありありと想像できました。
シテは島に着いて僧侶を下ろし、名前を聞かれて「さらば名乗り申さん。名字は小野」と力強く答え、
例の「わたの原八十島かけて~」の歌を朗々と歌い上げて去っていく姿が本当にかっこいい…!
なんで千酌にいたのかな。普段は漁師の姿で隠岐に渡る人の覚悟を試しているんだろうか。
説明がないので想像するしかないけど、気になってしまうね。

隠岐に着いた僧侶が後鳥羽院の配所を島の人(アイ)に聞いて
(このあたりは底本になかったけど必要だろうということで
西野氏が出しなさった原案を宝生氏と小笠原氏が修訂したらしい)、
島の人も親切に教えてくれて他に用事があれば承りますよとか言ってくれた。
この能の登場人物いい人ばかりだな…!

僧侶は高台にある屋敷で院と再会します。
(このとき「この島の島守か」「新島守は我なるに」というやり取りがされますが
これは後鳥羽院による『遠島百首』からの引用ですね)
院は都の様子と、僧侶がどうやってここまで来たのかを問います。
僧侶が小野と名乗る翁の舟に乗せてもらったと答えると、
院は「その歌人は小野篁。さる事ありてこの島に流されし」と推察して
隠岐にある篁を祀った塚に詣でて志を弔いましょうということになります。
2人は舞台を一周して、中央に用意されていた篁の塚(竹の骨組に布を巻いて草を乗せた作り物)に到着。
月が夜空に出ている深夜、院と僧侶による手向けがされて
鼓とイヨォーーーーッという一声とともに、塚を覆っていた幕が2人の後見さんにより引き下ろされて
鬼神姿の篁さんが登場!!
真っ黒な長髪、唐冠、金色の狩衣、右手に黒骨扇、左手に金札数枚。そして天神の面。
なんじゃなんじゃまるで神様のいでたちではないですか、
めっちゃ拍手したかった…鼓と謡がすさまじくてとてもそんな雰囲気じゃなかったけど…!
篁さんは院と僧侶にお辞儀をして詣でてくれたことへのお礼を言うと
(篁の方が2人より400歳ほど年上ですが相手は上皇なので敬語を使います)、
院をここに流罪にした人々を閻魔庁へ引き出して奈落の底へ押し入れて(院の)逆鱗を休めるので
「頼もしく思し召されよ」とか言っちゃったよ…!ここほんとシテの独壇場でした。
地謡と鼓に合わせて足で拍子をとりながら笏を振り、時にドン!と足を踏み鳴らし、
笏を放り投げてからは黒骨扇をひろげて(金色でした!)力強く舞台のあちこちを舞って回る姿が
本当に本当に、ほんっっっっっっっとうにかっこよすぎて好きになりそうでした\(^o^)/
足の向きもあちこち変わってあ、次こっち行く、次はあっちだ、とか色々わかってワクワクしたー!
西野先生がさっきの講演で見どころのひとつとおっしゃったけど本当にクライマックスだった、
篁さんかっこよかったよーーーーー!!!

やがて舞を終えた篁は妹が亡くなった際の「泣く涙~」の歌を詠じて
院が川=隠岐の海を渡って都へ帰れますように、と慰めて去っていきました。
「これぞ天地を動かし鬼神も感応なるとかや」と締めくくられる台本は歌の力を讃えていました。
和歌讃歌の物語なのだなあ。

はーーーーーーーーーーーーっすごかった…目の前で見られて本当によかったです。
史実のインパクトが強くて説話がまとめられて二次創作までされた小野篁みたいな人が
能になってないわけがない!と、昔から根拠なくずっと思っていたので
この作品の存在を知ったときは「やっぱりあったんだ!!」ってとてもうれしかったし
さらにそれを彼の故郷の京都で見られる日がくるとは。
実在の人物がモデルとはいえ創作色の強い作品で(篁そもそも隠岐で死んでないしね)、
書きだしの流れや登場人物の行動の動機に説得力があり、
クライマックスに霊が出現する必然性もそれが篁である必要性もわかるし
同じ隠岐に流された者同士、歌人同士、相通じる部分で慰め合う構成が非常に巧い。
お能は誰かを慰める芸能ですけど、多くはワキがシテを慰めますけど
『篁』はシテがツレを慰める珍しい構成なのもおもしろかった。
こんなによくできてるのに廃れてしまったのかよもったいない…と思うと同時に
源氏や平家や六歌仙みたいな題材に比べると確かにポイントを押さえるのが難しいというか
小野篁の史実や説話のあれこれ(歌とか流罪とか閻魔とか)も入っていておもしろかったけど
あまり入れすぎても全体としてはコントロールしづらくなるというか
シテは確かに篁ですけどツレの後鳥羽院の存在も大きくて主役どっち?というか
篁の話をやりたいのか後鳥羽院と和歌をやりたいのかわかりにくくなっていて
演者もですが当時の観客にとっても難しかったのかなーという気もします。
細かい要素を入れ込むよりもシンプルに構成した作品の方が残りやすいのかもしれないですね。
去年の4月に日の目を見るはずだった復活能『篁』、やっとお披露目で何となくまだ粗削りですが
これからも上演を重ねれば奥深くなっていくでしょう。

役者さんたちの存在感がすごくて、味方さんの篁は500歳の翁にも見えたし地獄の官吏にも見えたし
片山さんの後鳥羽院の帝王感ハンパなかったし
(味方さんがあくまで院をたてる演技で、でも権力者とは別の計り知れなさを出していたのがすごかった)、
宝生さんの僧侶と小笠原さんのアイの縁の下の力持ち感よ…。
この前おちょやんでもやってましたけど役を生きるとはこういうことかもしれないと思いました。
…あかん~~役者さんの演技を久々にナマで見てかなり当てられてしまった、
やっぱり劇場は大好きな場所です…。
特に今回は、もともと4月に見られるはずだったのが1年近く待ったこともあってかすごく心に沁みて沁みて…。
見に行きたかったけど諦めたたくさんの公演が消えていく中で
今日まで「篁」が見られるかもしれないことがどれだけ心の支えになっていたか。
どうなるかわからない中お守りみたいに残ってくれたチケットでした。ありがとうございました。

あと、今回は『篁』の後に仕舞と『葵上』も上演されることになっていて
そちらもぜひ拝見したかったのですが、
2階席とはいえそれなりに人がいる屋内に長居するのは気が引けましたし
新幹線が混まないうちに帰りたかったので
本当に申し訳ないとは思いましたが「篁」の後はすぐ会館を出て市バスに乗って京都駅に向かいました。
何度も言うけど『篁』は本当にすばらしくて
チケット代はもうこれでじゅうぶん楽しんだと思えたので後はもう寄付のつもりでした。
京都観世会のみなさま、お席をあけてしまい本当に本当にごめんなさい。
そして開催するのも延期や中止にするのもどっちも大変な状況の中本当に本当にありがとうございました。
明日からもがんばれるぞ!!!!!!

今回はずっと前にチケットを取っていたし、延期もオンラインもない公演でしたので行きましたけど
見てる間は楽しかったけどやっぱり外出してしまったという後ろめたい気持ちがあったし
混雑を避けたとはいえかなりの距離を移動しながら色々気を遣ってストレスもありましたので
余程のことがない限り遠出は控えます。体調にも注意。
はやく気軽にお出かけできる日々が戻ってきてほしい。


追記にお能とは全然関係ない新幹線トークです。↓

続きを読む »

2020_02
16
(Sun)23:55

ツバメもタカとして生きねばとぶこともかなわぬ世なのだ。

2020kabukiza1.jpg
歌舞伎座ギャラリーに行ってきました。なぜかって。

2020kabukiza2.jpg
ナウシカのメーヴェが展示されてるからですよ!!
去年の12月に新橋演舞場で上演された新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」にて
実際に使用された小道具ですよ。
ギャラリーのツイートで展示を知って何がなんでも見たくて早朝に電車に飛び乗り、
ギャラリーのオープンと同時に展示室に入ったので誰もいない状態で撮影できました!
最高です。

2020kabukiza3.jpg
ほんとにメーヴェだ~~すげ~~~~~!!!(゚Д゚)☆
ちゃんとエンジンに青い光がついてるよ。

2020kabukiza4.jpg
上から。
エンジンのアクセスハッチはさすがに省略されてるけども(宙乗り中につまづいたら危ないからね)、
それ以外はほぼパーフェクトにメーヴェのフォルムを再現していると思います。
重さどれくらいあるんだろうな。本物(?)は12kgくらいで人が持てる重さですけども。

2020kabukiza5.jpg
今にも回り出しそうな噴射口のデザイン。光球もここから出してましたっけ。

2020kabukiza6.jpg
後ろ。
ライフルと杖を収納する穴もちゃんと開いてる。

すごいなあ…!
今にも飛び立ちそうなメーヴェを間近で、展示ガラスとかもなしで見られて幸せいっぱいでした。
しかも写真まで撮れるなんて。
ところどころ塗装が剥げているのが、お舞台で使い込まれた感があってドキドキしたし
きっと本物のメーヴェもナウシカが乗り回しているうちにそうなってるかもしれないから
(映画でも腐海に突っ込むわ乗り捨てるわ、結構、大雑把に扱ってる描写が散見される)、
そういう意味でもすごく本物感がありました。
ギャラリーさん展示してくださってありがとうございます。

2020kabukiza7.jpg
歌舞伎座ギャラリーは5年前に訪れているので、特にレポはいたしませんが
前に来たとき三味線が置かれていた壁の一角が役者さんたちのサイン場所になっていました。
ギャラリーでは時々、役者さんのトークショーを行っていますからそのときのサインかな。

というわけで。
nausicaa_ka10.jpg
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」デイレイビューイング(前編)を見に来ましたよ☆
去年の12月に新橋演舞場で上演された昼の部にあたるシネマ歌舞伎です。
夜の部にあたる後編は来週から上映されますので、この日見たのは前編のみ。
わたしは上演時に夜の部だけ見ていて昼の部は見られなかったので、
せめてシネマで見たいと思って前売り券買いました。

nausicaa_ka11.jpg
劇場に舞台写真が展示されていた。
見覚えのない様子ばかりだったのでたぶん昼の部(前編)の写真だと思われ。

以下、ネタバレを含む長文レポ&感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆
(原作マンガのネタバレもしているので原作未読の方もご注意ください)

続きを読む »

2019_12
08
(Sun)23:58

いのちは闇の中のまたたく光だ!

nausicaa_ka1.jpg
新橋演舞場で新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」夜の部を見てきました☆
宮崎駿原作のマンガ『風の谷のナウシカ』全7巻を昼夜通し狂言で上演しています。
主演の尾上菊之助さんが5年以上あたため続けてやっと実現した企画だそうです、
おめでとうございます☆
チケットは争奪戦どころではなくまさに激戦で、しかも昼と夜それぞれ別々で取る必要があるため
両方取れればよかったのですが発売と同時に完売してしまい;;
戻りチケットも夜の部は何とか取れたけど昼の部はなかなかタイミングが合わず未だに取れていません。。
夜の部だけでも取れたのは奇跡に近いよな…。
ワンピースとかNARUTOもそうだったけど、ヒット作の歌舞伎化あるあるですね^^;

nausicaa_ka9.jpg
グッズ売り場も賑やかでした。
今回の上演における限定グッズやナウシカのマンガやDVDも販売されていました。
場慣れした人が多かったけど明らかに初めてっぽい人もいて
ジブリのファンも来てくれたのかな~とか、ちょっとうれしかったです。
これを機に古典も見に行ってみてほしい。
客席で原作マンガを広げている人もいて、ナウシカファンの人だと思われますが
歌舞伎ファンなら幕間に突然お弁当広げたり予約したレストランに走ったりするはずですが
えっ食べていいの?みたいにキョロキョロしてたのでたぶん初めてさんだと思われる。
動きが違う人はわかりやすいですね…恐る恐る食べ始めていらっしゃいました。
歌舞伎の劇場怖くないからぜひまた来てね。
あと、わたしの前に座っていた人たちの会話が聞こえてきたんですけど
「今日は1日ですか?」「はい」とおっしゃっていて、すごいな昼夜チケット取れたんだ…!
1日中座りっぱなしで少しお疲れのようでしたけど、でも楽しそうに見えました。

nausicaa_ka2.jpg
客席に入ったらこんな引き幕がー!
映画『風の谷のナウシカ』のオープニングのタペストリーが引き幕になってる!
(今回のための特注だそうです)

nausicaa_ka3.jpg
めっちゃ写真撮りまくりました。王蟲かわいいよ王蟲。

nausicaa_ka4.jpg
巨神兵と火の七日間。

nausicaa_ka5.jpg
青き衣をまとう鳥の人。

nausicaa_ka6.jpg
鳥屋。
主演の菊之助さんが宙乗りをするという情報は事前に得ていましたし、
ゲネプロ映像でメーヴェで飛ぶ姫ねえさまが映っていたので
夜の部も飛んでくれるのかな~とワクワク。

以下、ネタバレを含む長文レポ&感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆
(原作マンガのネタバレもしているので原作未読の方もご注意ください)

続きを読む »

2019_08
22
(Thu)23:56

やっぱり空飛ぶ東海道中。

2019kabukiza12.jpg
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました!
今年もチケットは激戦で、発売と同時に完売してしまい戻りチケットをひたすら待つ日々。
仕事の合間にチェックしてもなかなかタイミングが合わなくて戻ってきても秒で埋まってしまって
「んぐおおおあああぁぁぁ」と頭を抱える毎日でしたよ…今回もほんとよくゲットできたよ…。
「戻ってる!取らなきゃ!」って確保して申込み完了ボタン押してメール来るまでめっちゃ緊張しました…
みんなすごいなぁどうやってチェックしてるんだろう…裏ワザがあるなら教えてくらはい。

2019kabukiza13.jpg
演目はこちら!
3年前2年前去年に引き続き「東海道中膝栗毛」の4作目を鑑賞します。
祝4年目☆
去年で終わりと思われていたやじきたが今年もやると聞いたときはすごくうれしかったし
どうせまたバカ騒ぎをやってくれるんだろうなとワクワクしながら行きました。

気になったのは副題がないこと。
1作目からずっとラスベガスとか謎解きとか再び伊勢参りとか副題があったのに今回はシンプルにタイトルのみ。
あらすじも一切公開されていなかったのも気になりました。何をするつもりなのかな。ワクワク。

2019kabukiza14.jpg
開場まで木挽町広場をウロウロ。
6月に見かけた撮影スポットを探したのですが見つからなくて、あれ?と思っていたら
別の場所でお店になっているのを発見。
実際に使われていると雰囲気が出ていて、楽しい。

2019kabukiza15.jpg
第一部の「闇梅百物語」にちなんで妖怪グッズを販売するイベント「大怪展DE歌舞伎座」が開催中でした。
根付やがま口、ぬいぐるみなど小物が中心で大きさも様々。
可動盆栽は歌舞伎座のお舞台を意識した松の仕様になっていてかわいかった。

2019kabukiza16.jpg
今日はここから観劇。
花道は遠いけどお舞台が近くて通路も近い。楽しみ。

2019kabukiza17.jpg
鳥屋も毎回撮影してしまう。
1作目はラスト、2作目は冒頭、3作目はラストで天使とともに飛んで行ったやじきたが
今回はどんな風に飛んでいくのかも楽しみでした。
こんなに宙乗りが楽しみな演目もなかなかないです。

以下、ネタバレを含む長文感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆

続きを読む »

2019_06
09
(Sun)23:48

家の戸を開けるまでが旅だ。

2019kabukiza5.jpg
歌舞伎座で六月大歌舞伎夜の部「三谷かぶき 月光露針路日本~風雲児たち」を観てきました。
三谷幸喜氏の脚本による新作歌舞伎です。
もうポスターからぶっとんでて本当おもしろい、これは歌舞伎座のポスターか!?(笑)

「幕末を描くなら関ヶ原から描かねばダメだ」ということで40年前に描き始められ現在も続いている
(現在やっと幕末編を連載中)みなもと太郎氏による『風雲児たち』ですが(ゆさは未読)、
歌舞伎化されたのは江戸時代中期の大黒屋光太夫のエピソードです。
1782年に伊勢から江戸へ船で向かう途中、駿河湾で嵐に遭いアリューシャン列島まで流されてしまい
サンクトペテルブルクまでエカテリーナ2世に会いに行き帰国を願い出て帰って来たという
実話をもとにしたものですね。
マンガでは前半に描かれたエピソードのようですが、
最初だけ読んだことがあるらしいうちの母に聞いてみたら読んだのほんとに最初だけっぽくて
「そして戦は終わった。ってとこしか知らない」という、まったく参考にならない話を胸に
さて白鷗さん・幸四郎さん・猿之助さん・愛之助さんらをメインに三谷さんがどんな歌舞伎を書いたのかと
楽しみにしながら当日行きました。

三谷さん×風雲児たちといえば去年のNHK正月時代劇で前野良沢と杉田玄白のエピソードをやっていたよね。
あれにもらぶさん出てましたね。

kobikicho1.jpg
開演前に木挽町広場に行ったら撮影スポットができていました。
藤浪小道具さんが毎月、歌舞伎に登場するセットを作ってくれて
無料で見学できて撮影もできるそうです。

kobikicho2.jpg
セットは毎月変わるそうで、今月は帳場。
両替屋などが出てくるとこういうセットが置かれますよね。

kobikicho3.jpg
内側に入ってみました。
帳簿には「羽織並」「長火鉢釜」「桟留縞袷」などの品目や金額が書かれています。細かいね。

2019kabukiza6.jpg
今回はここから観劇。通しで見るのも1階席で見るのも久し振りです。

以下↓遠慮なしネタバレ感想になりますのでこれからご観劇予定の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞ☆

続きを読む »

2019_05
11
(Sat)23:56

源氏と音羽屋の御曹子。

2019kabukiza1.jpg
歌舞伎座で團菊祭五月大歌舞伎夜の部「絵本牛若丸」を観てきました☆
尾上菊之助さんの長男・和史くんが6代目丑之助を襲名し初舞台を踏むということで
楽しみに行ってきました。
丑之助だから牛若丸を演じられるのだろうか…お父様やおじい様も同じように初舞台を踏んだそうです。

2019kabukiza2.jpg
ポスター!かわいらしくも凛々しいお顔の牛若丸^^
手には鬼一法眼から与えられた秘術の巻物を持っています。

2019kabukiza3.jpg
幕見席から観劇。
今回は祝幕を見たかったという理由もあります。宮崎駿氏が描いているんです☆
今年の12月に新橋演舞場で風の谷のナウシカ(原作版)が歌舞伎化されるので、そのご縁でしょうね。
(今のところ菊之助さんがナウシカ、七之助さんがクシャナという配役のみ発表されていますが
マッティやみっくんさんも出るらしいですが誰役なんだろ、楽しみ)

2019kabukiza4.jpg
宮崎氏の描かれた牛若丸と弁慶。
かわいい~~~弁慶をおちょくってるみたいな牛若丸がめっちゃかわいい(*´︶`*)。
もともと絵本牛若丸には弁慶は登場しないそうなのですが、菊之助さんがこの絵を見て
弁慶の出番を作って演じることになさったそうです。すごいなー!
(初日には鈴木さんがいらっしゃって観劇されたそうです。宮崎さんは千穐楽までにいらっしゃるのかしら)

歌舞伎の御曹子の初舞台をナマで見るのは中村屋以来で
テレビで見たことのある初舞台は尾上左近くんや市川右近くん、坂東亀三郎くんで
みんな本当にしっかりしていてかっこよかったですが(特に左近くんの舞踊は未だに覚えてる…)
お子様の初舞台はいつ見てもドキドキします。。
そして来年には堀越勧玄くんの市川新之助襲名が控えている。。こわい。。見たい。。。
お父さんも團十郎になりますね。おめでとうございます^^
あと寺島眞秀くんもそのうちお名前を襲名するのでしょうか、楽しみ。


祝幕が開いて、舞台に現れたのは中央に浅黄幕、両脇に霞幕。
チョンチョンと前奏が始まりやがて霞幕が外されてお囃子の人々がズラリと登場。
全員、裃をつけて音羽屋の家紋である重ね扇に抱き柏をつけていました。
すると、浅黄幕の前にズラズラっと武装した6人の男たちがご登場。
彦三郎さんやマッティさんたち菊五郎劇団の皆様だったのですが
「鞍馬山の牛若丸が本当に強いのか試してやる」などと物騒なことを言って去っていきます。
向かう先は、鞍馬山。

浅黄幕が切って落とされると背景には鞍馬山の三門と満開の桜!春の設定なのですね。
奈落から菊五郎さん・吉右衛門さんとともに丑之助くんがご登場すると
客席から「音羽屋!」の大向こうとともにワ~~ッと拍手!!
丑之助くん、そんな客席の様子にもまったく身じろぎせずにどっしり腰かけていまして
5歳であの大物感はすごい…牛若丸は拍手ごときで動じないのだね(^◇^)☆
菊五郎さんの吉岡鬼次郎と吉右衛門さんの鬼一法眼によって、
今日は修行を終えた牛若丸が鞍馬山を出て奥州へ旅立つ日であると語られます。
「おともに弁慶をつけます。弁慶、出ておいで~」と鬼次郎さんが呼びかけると
花道から菊之助さんの弁慶がのっしのっしとご登場!
弁慶というと勧進帳の山伏のいでたちが有名ですが、
今回の演目の弁慶は下ろし髪に黒袴をつけた、武家のおともっぽいファッションでした。
「弁慶まかりこしました」と朗々と述べる声が低く低くぶっとい声でびっくりした!
菊之助さんあんな声出るんだ…一瞬海老さんかと思っちゃったよ。
と、ここで親子孫3代の4人が揃いましたので
「じゃあ皆様にもご挨拶を」と、皆さん急にお芝居モードを解かれて
舞台の前方に出てきて深々とお辞儀!
「ああ口上なんだな」とわかっている客席はクスクス笑いが漏れつつも拍手が起こりました^^

最初に菊五郎さんが「音羽屋にとって大切な丑之助を襲名し初舞台を踏みます。
将来は立派な役者になると思います。皆様ご指導・ご鞭撻のほどを」と、
続いて吉右衛門さんが「わたしにとっても孫にあたる丑之助が初舞台です。よろしくご愛顧・ご鞭撻のほどを」と、
菊之助さんが「ゆくゆくは両祖父のような役者になってほしい。何卒よろしくお願いします」と挨拶されて
最後に丑之助くんが菊之助さんに促されながら
大きな声で「どうぞよろしくお願いいたします!」と締めくくりました。おめでとうございます~☆
(菊之助さんがずっと「ご挨拶を」って合図してて大変そうだった…がんばれお父さん)

お芝居に戻ると、「常盤さまの御使いで参りました」と2人の女性が花道から歩いてきます。
時蔵さんと雀右衛門さんですよまた豪華なお使いですね^^;
常盤御前も牛若丸が旅に出るのを心配して、様子を見てくるようにと遣わされたとのこと。
そこへさっきの男たちがわらわらっとやって来て、牛若丸に戦いを挑んでくるのですが
最初は弁慶が牛若丸を守って戦っていたのを、牛若丸が制して
「ちょこざいな。牛若丸の手並みを見よ!」と勇ましく立ち向かってゆきました。
がんばれ、がんばれ牛若丸(5歳)!!
お兄さんたちが1人ずつかかってくるのを最初は素手で難なくいなして「強い牛若丸」という感じなのですが
黒子さんという、歌舞伎お約束の見えざる力を借りて(笑)軽々とジャンプして
お兄さんたちの背中にピョ~~ンと乗ったり、
お兄さんたちに担がれながら両肩に乗ってポーズ決めてみせたり、
黒子さんとお兄さんたち3人がかりで桜の木のところまで連れて行ってもらい枝を1本ポキッと折って
その枝を優雅に振り回しながら華麗に戦ってみせたりします。
両足をバッ!と開いてバ~~ッタリと見得をする姿は力強く決まって大喝采!
あの小さな体でも見得はぐわっと大きく見えるから不思議~。
お兄さんたちもきっちりアクションを合わせてくれるので全然問題なくて
こんなに微笑ましい殺陣シーンがこの世に存在するのかと(笑)めっちゃ笑いました。
そんなわけでボロボロにされた(笑)お兄さんたちですが、
急に態度が改まり跪いて牛若丸に頭を下げると
「実は自分たちは平氏ではなく源氏です。機会をうかがっていたのです」と正体を明かしました!
よかったね味方が増えたよ٩( ᐛ )و

やれめでたしと思いきや、そこへ2人の山法師が頭巾に薙刀という勇ましい姿でご登場。
海老さんと松緑さんだったのですが、何やらケンカしながらここまでやってきたご様子。
どうやら自分たちのどっちが牛若丸の旅のお供をするかでモメているらしくて
お師匠の阿闍梨蓮忍(左團次さん)も困り果てながらやってきました。
2人とも声がデカいから口喧嘩もド派手、「おれだ」「いやおれだ」と両方とも譲らず。おじさんたちかわいい☆
さらに今度は金売り吉次と渋谷金王丸までやって来て「おれたちもお供します!」とか言い出して
牛若丸めっちゃモテ期じゃん!(笑)
見かねた鬼次郎さんが「阿闍梨さまどうしましょう」と声をかけると
「もうみんな一緒に行ったらいいんじゃない?」という鶴の一声で
全員でおともすることになりました!!すごい賑やかな道中になりそうですね(^◇^)。

で、牛若丸は鬼一法眼さんに秘術について書かれた巻物をもらって
「魔王堂で7日間修行してから奥州へ向かいなさい」と言われて旅立つことになりました。
さあ引っ込みです☆
弁慶に連れられて舞台を去り、花道の七三に立ち止まった牛若丸が
激しい附け打ちの伴奏で飛び六方の構えをしたので「えっ六方で引っ込む?えっ???」と思っていたら
花道の途中で「くたびれた…」と立ち止まってしまいました。。
えええええ~~~っ!!最後までしないんだ…さっきめちゃくちゃかっこよかったのに(爆笑)。
しかも「弁慶、おれの馬になれ」とか言い出すものだから弁慶が戸惑っちゃって
「牛若さまそれは…」と勘弁してほしそうに言われても
「おれはいずれ平家の一門を滅ぼす男じゃ(だから大事にしろ)」とか何とか都合のいいことを言って
弁慶に肩車してもらいました!!!
もうこのやりとりの間中ずっと客席は爆笑、わたしも爆笑でした。お腹いたい;;たすけて;;;
音羽屋!の大向こうと万雷の拍手に送られて2人は引っ込んで行きました。すごいな。

丑之助くん、髪を頭の後ろに結った姿がめっちゃ似合ってたし
話し始めるとかわいいのに立ち回りで見得すると綺麗でかっこよくて
最初から最後までずーーーーっとニコニコさせられっぱなしでした。
菊之助さんの弁慶も、台本に弁慶の出番がないなんて信じられないくらいしっくりとハマっていて
これきりではもったいないから「弁慶がいるVer.」としてたびたび上演したらいいと思います。
丑之助くんを見る目が完全にパパ目線で、口上でハラハラしているのが遠目にもわかったし
最後の引っ込みがどう見ても親子で本当に微笑ましい(笑)いや、大変だなあ。。
両おじい様たちもお孫さんを暖かいまなざしで見守っておられたし
他の出演者さんたちも丑之助くんを見る目がやさしくて、なんて幸せなお舞台かと泣きそうになりました(*´ω`*)。
千穐楽まで無事に走り抜けられますように。


そしてナウシカ歌舞伎が今から楽しみすぎてこわい。
菊之助さんのナウシカなんて美しすぎて卒倒するし七之助さんのクシャナ殿下なんてもっと卒倒する。
ユパ様とかセルム様とかどなたがやるのかな、テトは出てくるのかな。
あとみんな言ってるけど王蟲は!市川中車さんがいいです!!よろしく!!!!!(笑)
2018_10
19
(Fri)23:56

以上、ゲゲゲの先生へ。でした。

gegeteacher1.jpg
東京芸術劇場で佐々木蔵之介さん主演の舞台「ゲゲゲの先生へ」を観てきました☆
蔵さんと付き合いの長い前川さんが脚本を担当されると聞いて楽しみに行きましたらば
水木しげる氏の短編をオマージュしつつ、人間も妖怪も神様もSFも現代批判も詰め込んで
次々に現れては消える現象(あえてそう言います)が目くらましのようでした。あっという間の休憩なし2時間だった。
仕事帰りだったので寝ちゃったらどうしようと思ってたけど杞憂に終わりました。ホッ。
わたし前川さんの本は空ヲ刻ム者に続いて2度目ですけど
今回も相変わらず怒涛のセリフ劇で飽きさせない工夫も随所にあって
演劇としてのレベルがかなり高かったように思います。
かぶりつき席でもないのに夢中で観てしまったのはセリフが引っ張ってくれたのかも。

gegeteacher2.jpg
夜の芸劇。初めてだよ。わくわく。

gegeteacher3.jpg
天井高くて吹き抜けも広いよ。わくわく。

gegeteacher4.jpg
公演は2階のプレイハウスにて。
劇場内はほどよい広さで役者さんとの距離も近くて、かといって圧迫感もなくて
ライブ感がビリビリ伝わってきました。
サザンシアターともパルコとも歌舞伎座とも違う、上演中はその世界観をぎゅっと濃縮するような空間で
思いっきり浸れてよかったです。いい劇場だ。


以下、ネタバレを含む感想です。これから観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックしてどうぞ~。↓

続きを読む »

2018_10
06
(Sat)23:54

鬼神に横道なきものをその2。

2018kabukiza_20.jpg
歌舞伎座で「芸術祭十月大歌舞伎」から「大江山酒呑童子」を観てきました!
去年に京都の顔見世でやっていて、それは行けなかったのですが
今年は東京でやってくれるということで狂喜乱舞して行きましたよ~。
鬼が出てくる歌舞伎は何度か見た経験がありますが
酒呑童子がピンポイントで出る歌舞伎って1度も見たことないので!楽しみでした。(鬼推し民)

2018kabukiza_21.jpg
今日はここから。
がんばって早起きしたので無事に幕見席最前列に座れましたよ。

幕が上がる前にイヤホンガイドを聴いたのですが、
この演目は17代目中村勘三郎さんに演じてもらうために萩原雪夫氏が当て書きしたものだそうです。
萩原氏によると17代目に「南座の顔見世で後シテの出る松羽目ものの踊りを考えてくれ」と言われて
パッと思いついた能「大江山」をもとに作ることにしたとか。
この話を17代目のところへ持っていったとき、17代目はちょうど「茨木」の真柴の化粧をしていて
つい刷毛を間違えて顔をまっ白に塗ってしまった…などと微笑ましいエピソードもあるそうです。
ともあれ、そうして完成した大江山酒呑童子は17代目によって見事な工夫がほどこされ
上演後は中村屋のお家芸にもなったそうです。
京都公演に引き続き今回も酒呑童子を演じる中村勘九郎さんは
「いつかこれを歌舞伎座でやりたい」とずっとおっしゃっていたそうで、
18代目勘三郎さんの七回忌追善として今回のラインナップに加わったのでしょうか。
お蔭で関東民のわたしも拝見できました。ありがとうございました。(深々)

お囃子に続いて幕が上がりまして、現れた舞台奥の壁には巨大な松の木の絵がかかり、
雛壇にズラリと長唄囃子連中が並び、
全員が中村屋の家紋をつけた黄色の裃を身につけていて早くも泣ける。。
舞台上には小さな萩小屋がぽつんとあって、「これは童子の住まう黒屋敷です」とイヤホンガイドさん。
想像してくださいということですね。能が元になっているお芝居ですからね。
花道には山伏の格好をした平井保昌が歩いてきて、さらに頼光も歩いてきて
垂らした髪に紫色の着物と、勧進帳の義経のようないでたちです。
「我は一条朝に仕える源朝臣頼光」と、能のお芝居がそうであるように歌舞伎でも名乗りを上げまして
なぜここへ来たのかの理由を語ります。
大江山に住む酒呑童子という鬼の一団が都で暴れまわって女性をさらっていくので
朝廷からの命令を受けて退治しに来ました、
持ってきたこの神便鬼毒酒は鬼が飲めば力を失い、自分たちが飲めば千人力とのこと。
続いて頼光四天王がご登場~!渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武のおなじみの4人。
金時がはーくんでびっくりしたよ!はーくんの赤っ面見たことないから…初めてかな。
あと、山伏風にアレンジしてあるけどみんな能装束を着ています。これも勧進帳みたいですね。

頼光一行が酒呑童子の屋敷にたどり着きますが(花道から舞台に入るとそこはもう大江山という設定)
屋敷はもぬけの殻で童子はおるす。
仕方がないので屋敷の前にみんなで座って待つことにします。
まだかなまだかな…と待っていると、スッポンがするりと開いて(幕見席からなのでよく見える!)
しゅるりと酒呑童子がご登場したのですが、
美 少 年 。 (落ち着け)
童髪に白い顔に紅を濃くひいて、やばいよ美少年の拵えですよ、
着物をぴっちり着ているせいかすごく着痩せして小さく見えました。お兄さんが小さく見えるなんて!
かわいらしい笑顔で片手を額に当てて客席をぐるりと見回すので(夜空の月を眺めている設定)
一瞬、目が合ったとか思っちゃったけどたぶん思い込みです。遠いし。
屋敷の前にいる頼光一行に気づいて君たち誰?と尋ねまして
頼光は山伏の一行ですが道に迷ったので休ませてほしい、お酒もあるし、と答えると
お酒あるの~!??とめっちゃ喜びながら舞台へ足取りも軽くinしていきます。現金だな。。
神便鬼毒酒とも知らずに四天王にすすめられるがままにごくごく飲んじゃう童子、あーあ。
(ここの所作は蓋を杯に、扇をとっくりに見立てています)
すっかりヘベレケでいい気分になった童子に
頼光が「あなたはなぜここに住んでいるのか」と尋ねます。
童子は「空を飛ぶ力が欲しくて比叡の山へ修行に入り、雲の上から都を見下ろした。
遥か鳥取から富士山まで、そして大江山にたどり着いて住んでいる。
おれは酒が好きだから酒呑童子だあ」とかベラベラしゃべってしまって
プライバシーも何もありはしない^^;
お酒をふるまったのだから舞を所望するという頼光のお願いもきいてくれて
表が昼の松、裏が夜の三日月という洒落た柄の扇を手にひとさし舞ってくれますが
ここからがお兄さんの真骨頂。
盃持ったまま千鳥足でふらつきながらも長唄の三味線に合わせて軽快に、リズミカルに、
しかも踊りとしてはおもしろいってすごい…!
足をタタンタンて鳴らすときなんか勘三郎さんの高坏を思い出したよ。
途中で片身を脱いで童子格子の紫を見せたり(後見は中村小三郎さん)
見た目も飽きさせない工夫が感じられます。
童子の後は頼光が、ここへ来た理由を語りがてらひとさし舞いまして
役行者が鬼を改心させた話を語ってくれたりするけど、
童子は四天王にお酒つがせてて全然聞いてないの笑った(笑)。

やがて童子は酔っぱらって萩小屋に入っていってしまい、頼光一行が残されると
そこへ間狂言風の濯ぎ女たちが3人ご登場。
みんな酒呑童子にさらわれてきた人たちです。
姫君として乳母や使用人にかしずかれる人生を送ってきたわたしが濯ぎ女だなんて、とか
仕事を持っていた女性たちも都に帰りたいと訴えます。
(どうでもいいけど2人は江戸時代の風俗だけどひとりだけ平安時代の拵えだった)
女性たちの話を聞いた一行、鬼よますますけしからん、退治してくれるということで
全員、お着替えのために花道を去っていきました。

ここで雛壇の長唄囃子から座ったままで大薩摩の演奏が!2人三味線の唐草は珍しいそうです。

しばらくして花道に戻ってきた頼光一行、
お着替えして袖をたくしあげ刀を持っています。
童子が寝てしまった小屋にじり、じりと近づきます。起きろー!童子起きろー!!
そこへ小屋の簾がスルスル開いていって、中には赤い盃で顔を隠した人物が身を起こしていて
盃をゆっくり下ろすと赤鬼に変化した酒呑童子でした!
うおおお起きてた!黒髪ざんばら!角2本ある!!つよい!!うおおおおおおおお+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
童姿は小さくて本当に少年みたいに見えたのに本性を現したら大きくなったというか
いつものお兄さんの大きさ(なんだそれは)でした!
狩野元信の絵巻でも酒呑童子は童姿だと人間サイズで鬼の本性出すと巨人化するので
それを3次元でやってくれたお兄さんに大感謝…役者さんってすごい…変幻自在ッ…!
戦う前に名乗る習慣のある平安時代ですので、頼光さんたちは各自名前を名乗ってから
酒呑童子に斬りかかってきます。
おいおいおいおい6人でやるのか、相手は1人ですぞ!
茨木童子ら仲間の鬼たちがいるはずですが屋敷から出てくる気配もないし…
ハッΣ(゚Д゚;)まさかみんなもう倒されちゃったとかいう裏設定あります…?泣きたい。
バタバタ斬りかかってくる頼光たちを眼光でひるませ杖を振りながら圧倒する童子、
最初は戦いながらお酒飲んでたりして余裕があったけど
それ神便鬼毒酒なので結局、力がどんどん抜けてしまってジリジリ追い詰められていって
花道で一度膝をつきましたがそのまま足でダアン!と鳴らしながら頼光を舞台に押し戻したりして
精一杯抵抗したんですけど、
最後に頼光の刀(鬼切かな?)を額に受けてその場にバッタリと仏倒れてしまった。
しかも最後に四天王全員でグサーとかやるんですよ…えええもうしんでるじゃん…なぜそこまでするの…。
で、これが能ならここで演目が終わって頼光たちが去って行くでしょうけど、これは歌舞伎なので
なんと倒された童子が起きあがって扇を広げて
上手にいる頼光に「大」、下手にいる保昌に「入」の文字を大きく書いて
後見が出した3段に昇り目をカッと見開き、盃のお酒を一気飲みして幕切れでした!
なんというサービスショット、ありがとうございました!

見終えて席から立ち上がったら体中が凝り固まっていたのがわかりました…
松羽目ものは見てるこっちも肩に力が入りますなァ!
あとたぶん怒りのあまり拳握りしめて見てたせいかもしれない、頼光おまえら!!
6人でよってたかって1人の鬼をフルボッコにしやがってそれが武士のやることかああ(やることです)
後味はよくないけど美少年の酒呑童子とか舞う酒呑童子とか戦う酒呑童子とか大入り書く酒呑童子とか
いっぱい見られたので満足した…とても満足した……(*´Д`*)。
お兄さんを美少年と思ったのは初めてでしたが本当に美少年でした。ありがとうございました。
あとやっぱり題材的に京都で見たかったなあ、機会があれば京都で観劇したいです。

2018kabukiza_22.jpg
木挽町広場の菓匠花見にて。あけびと秋の路。
紅葉のグラデーションがすばらしいしあけびの作り方が最高にお見事だと思います!
味ももちろんおいしかったよ~ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”


…で。
最近本当にシンカリオンシンカリオンうるさくて申し訳ないので
今朝の39話感想は下に仕舞っています。↓相変わらずテンションおかしいですがご覧になりたい方はどうぞ。

続きを読む »

2018_08
29
(Wed)23:52

GO!!!

narutokabuki1.jpg
新橋演舞場で「新作歌舞伎 NARUTO -ナルト-」を観てきました!
演舞場久し振りだなあと思ったらワンピース歌舞伎以来でしたよ。そんなに行ってなかったか。
チケットですが、正直やじきたよりも争奪戦だった…待てども待てども全然戻って来なくて
千穐楽間近のギリギリでやっと取れました。よかった。もう無理かと思った。ホッ。

narutokabuki2.jpg
原作者岸本斉史氏による描きおろし看板。
このポージングのフィギュアも制作中だそうですよ~。

narutokabuki3.jpg
グッズコーナーに原型が展示されていました。G.E.M.「うずまきナルト/うちはサスケ 歌舞伎EDITION」。
ワンピース歌舞伎もフィギュアがあってルフィのみでしたが、今回は2人とも立体化されるんだね^^

narutokabuki4.jpg
この角度からだと2人ともこっち見てくれる!

narutokabuki5.jpg
今回は2階席から鑑賞。
スッポンも奈落もよく見えて舞台全体が見渡せました。意外といいぞ2階席!

narutokabuki6.jpg
イヤホンガイドは天野ひろゆき氏による解説と
ナルトアニメのオリジナル声優さんたちによるメッセージ&特別授業仕様だったよ!
天野氏はナルトの設定や世界観を絶妙なタイミングで説明してくれまして、
わたし原作は中忍試験までしか読んでないので大変助かりました。ありがとうございます。
あと歌舞伎初心者向けでしょうか、ツケやお囃子についても解説があったのが新鮮でした。
(普段歌舞伎座でガイド借りるとそういうの当たり前すぎてわざわざ説明されないから…^^;)
開演5分前にナルト役竹内順子さんとサスケ役杉山紀彰さんのメッセージが流れまして
竹内さんが「ナルトと歌舞伎、相性よさそうですもんね」とおっしゃっててほんとそれな!って思ったし
ナルトの声で「巳之助最後までがんばれ!いざとなったら俺が駆けつけるからよ」って力強く声援を送っていて
「隅から隅まで楽しんでってくれ」とかおっしゃってくれたのもテンションあがった☆
杉山さんが「中村隼人…うちは一族の雰囲気あるじゃないか」とかサスケ声で偉そうにおっしゃった後に
急に「すいませんサスケくん偉そうですね」ってふにゃっとした地声でおっしゃるから萌えてしまった。謙虚な方だ^^
「僕も行きます!最後まで楽しみましょう」とご丁寧に言ってくださって和みました。
竹内さんはカカシ先生役の井上さんと一緒にご覧になったってツイートされていたし
あとボルト役の三瓶さんも見に行ったってツイートされてたなあ。

あと幕間にイルカ先生役関俊彦氏による一日体験授業が聴けまして、
最初の幕間(1時間目)はナルトの設定と世界観、2回目の幕間(2時間目)は忍術について
やさしく丁寧に解説してくれました。
関さんの声で忍術の説明されると土井先生の授業受けてるみたいに聞こえる(笑)。
ナルトたちの使う術を例に出すたびに「ナルト無茶してないかなあ」「サスケ大丈夫かなあ」って心配してて
もーイルカ先生なんて素敵なんだって改めて思いました。
忍術の印の説明してたとき「まあ俺たちはニンニンやらないけどね」とか言ってて笑ってしまった。
ハットリくんとかで有名なニンニンポーズ、そういえば忍たまもやらないね。

先日、千穐楽を迎えていますのでネタバレしても大丈夫かもしれませんが
来年には南座公演もありますのでやっぱり畳みます↓クリックで開きますのでどうぞ☆

続きを読む »

2018_08
12
(Sun)23:58

東海道中地獄旅。

2018kabukiza_13.jpg
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
今年もチケットは激闘に激闘を重ねたよ…パトラッシュもう疲れたよ…ゲットできたのが奇跡のようだよ…。
(意訳:戻りチケットがほぼ皆無でたとえ戻ったとしてもタイミングが合わないとゲットできず
戻ったのを確認して電話しても「そこ埋まってます…」と申し訳なさそうな声が返ってくるという。
オペレーターさんにいっぱい迷惑をかけてしまった2018年の夏も既に残暑ですね)

2018kabukiza_14.jpg
演目はこちら!
おととし去年に引き続き「東海道中膝栗毛」の3作目と、舞踊「雨乞其角」です。
やじきたは染五郎さんが幸四郎さんになったし今年はどうかなァと思っていたら
Twitterであっさりと今年も猿之助&幸四郎でやりますよ~みたいなノリで公式から情報がきて
「やんのかよ!」って声出して突っ込んでしまった。
幸四郎の名前でバカ騒ぎができるとは…!お偉い人たちの心意気に感謝します。

2018kabukiza_15.jpg
木挽町広場も夏の風景。

2018kabukiza_16.jpg
広場のお店「はなみち」にあった手描きポップが妖怪仕様でかわいい^^
他にもオバケやお菊さんが猫だったり夏祭りの様子が浴衣を着た猫たちで描かれてて和みます☆
お店の人は猫好きなのかな。

2018kabukiza_17.jpg
今日はここから観劇。
全体を見渡せるし花道も近いし、役者さんの顔も見られるしよいとこよい席☆

2018kabukiza_18.jpg
鳥屋。
やじきたはおととしはラストに飛んでいき、去年は冒頭で飛んできたので
さあ今年はどっちから来る?どっちからでも驚かないぞ!と気持ちを引き締めておりましたが
幕が上がって降りたらわたしの精神はもはやそんなことはどうでもよくなっておりました。
なぜかというと。

以下↓新作歌舞伎のため盛大なネタばらしになりますのでこれからご観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

続きを読む »

2018_03
19
(Mon)23:58

神田ばやしも気負いよく、来ても見よかし花の江戸。

2018kabukiza_10.jpg
歌舞伎座の幕見席で夜の部の「神田祭」を観てきました☆
片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの人間国宝カップルが始終いちゃいちゃする舞踊、と聞いて
いてもたってもいられなくなって気づいたら幕見席のチケット売り場に並んでいた。。
かつておふたりは「孝玉」「仁左玉」と呼ばれるほど息の合ったお芝居を何度もなさったらしいね…
わたしはその全盛期を映像でしか知らないけど
今回そのひとつが見られる機会がやってきたことがとてもうれしかったです。

2018kabukiza_11.jpg
今回はここから。
立ち見になってしまったけどたった20分だし、仁左玉のためならいくらでも立てる自信がありました。
(実際、幕があがったらそれどころではなくなった)

神田祭は色んなパターンがあり、大勢の鳶頭たち芸者たち若者たちによって上演される場合もあれば
少ない人数だけで舞う場合もあるそうで、
今回メインで舞うのは仁左衛門さんと玉三郎さんのおふたりのみ。
筋は特になくて、鳶頭(仁左衛門さん)と芸者(玉三郎さん)が祭礼の様子や手古舞のクドキを舞ったり
お江戸らしく若い者たちと喧嘩したりするという舞踊です。
セリフもいっさいなく、清元の謡と三味線が場を盛り上げてくれます。(今回の清元は延寿太夫と美治郎さん)

幕が開いて聞こえてくるのは祭囃子の笛太鼓。ぴーひゃらら。
浅黄幕が切って落とされると鳶頭の仁左衛門さんがいなせな立ち姿で舞台に立っています!
もうここだけで拍手すごいし「松嶋屋!」の大向こうもすごい。
草履を脱ぎすて牡丹の扇をパッと開き、肩に花笠をヒョイと担いで粋にクルクル舞い始めまして
その軽やかでかっこいいこと…!
背筋をぴっと伸ばし若々しく色気もあって、御年七十を超えているなんて信じられない。
ひとさし舞って床机に腰かけ、扇で顔をあおいでいると
花道からカランコロンと下駄の音がして芸者の玉三郎さんが登場~~!!
紋付の裾上げスタイルで、赤ラインに白の扇子を持ち、
見迎える仁左衛門さんも「来たね来たね、待ってたよ~」とニッコニッコして素敵な笑顔^^
下駄を脱いで(お座敷に上がったということです)ここから一緒に舞うのですが
近寄るなり手を繋ぐから「ほわっつ!?」って声出そうになったよね。
玉三郎さんが手踊りでお祭りの様子を踊ったり
鳶頭へのくどきで「もっと呼んでよ」って仁左衛門さんにもたれかかったり
かんざしを抜いて鳶頭の懐に落っことしたりする仕草ひとつひとつの破壊力、
大人のエロスだだ漏れで露もしたたるいいカップル。
鳶頭はかんざしを受け取って返すんだけど、芸者さんはそれを髪に戻しながら
この人何もわかってないわねって感じでむくれて
夫婦になってからの手ぬぐい踊りも惚れた弱みで全部許しちゃうみたいな、
見てるこっちが恥ずかしいくらい仲睦まじいし大人の色気パない。
「親分さんのお世話にて~」のとこで鳶頭が照れくさそうに親分に芸者さんを紹介する仕草をして
「これからは世間構わず人さんの目もはばからず」なんて清元が謡うもんだから
おふたりのあれやこれやを妄想してしまって頭が湧いた(笑)こんなお似合いカップル…!

そこへ神田祭の若い者たちがわらわらっと花道から登場、立ち回りとなります。
鳶頭は若者たちの振り回す錫杖を奪って片肌を脱いで(ここで両腕に鮮やかな牡丹の彫り物!)
次々に若者たちを倒していき、床机に座って若者たちに持ち上げられて扇をかまえ、見得をします☆
芸者さんは逃げるのかと思いきや、若い者たちの攻撃をひらひらとかわし、
手をつかまれても振りほどき、床机に座って見物していたけど
鳶頭の見得と合わせて立ち上がって決めポーズ☆
若者たちも負けずに何度も飛びかかってきますが、ことごとく鳶頭にひっくり返されて
とうとう一人残らず逃げていきました。
静かになったので2人は扇と花笠を下手に放って(ここで後見さんのナイスキャッチ)、
再びひとさし舞います。また2人きりになれたねえ☆

やがて草履と下駄を履いたおふたりによる終盤の引っ込み、
相変わらず仲良く手を繋いで花道の七三にやってきます。
ふと鳶頭が立ち止まって芸者さん着物の埃を払ったり帯を直してあげたりして
どこまでも仲睦まじい様子はキュンキュンするし、
いきなり頬と頬をくっつけ合ってニッコリしたりするから心臓バクバクし始めてやばかったし
いちゃついておきながら照れまくって「ごめんなさいよ」と言わんばかりに客席のあっちこっちへ頭を下げて
最後に鳶頭が両手を広げたところで拍手喝采!になったの最高潮だったし
やっぱり手を繋いで引っ込んでったの尊すぎて感無量で動悸息切れで倒れそうになり
「きゅーしん、救心♪」のメロディがものすごく久し振りに脳内を駆け巡ったよ。
うおおぉご両人ーー!未来永劫幸せになって…!!


なんだこのにざたま祭(笑)。
とろけるような、しかし粋で美しく、濃密な時間でございました。
始終こんな顔(*´︶`*)かこんな顔(º﹃º):.*೨かこんな状態_:(´ཀ`」 ∠):_で観ていたと思う。
おふたりが何かするたび叫びそうになるのを必死にこらえて心の中で「尊い」と叫び、
ただひたすらにため息をつくばかりでした。
手踊りしても手ぬぐい踊りしても、しょっちゅう見つめ合うし手を繋ぐんだけど
イチャついてるのに上品で、色気すごいのにしっとりして、何をやっても絵になる麗しさ。
20分しか見られないのかと思ってたけど20分で充分でしたわ…あれ以上見てたらわたしは窒息する。
そもそもなぜこの季節に神田祭?なんて野暮はもはや言うまい、
神田祭?神田??祭???ただのにざたま祭でしたよ…人間国宝カップルまじ尊かった。

仁左衛門さんと玉三郎さんは41年前と21年前におふたりだけの神田祭を舞っていて
つまり今回は約20年振りにおふたりだけの神田祭!
それを見られたってだけでもう、むちゃくちゃうれしかったし
同時にそれだけの長い年月をおふたりがお稽古と本番に重ねてきたことを思うとたまらない。
しかもおふたりのことだから満足されずにこれからも高みをめざして行かれるに違いない。すごい。

2018kabukiza_12.jpg
木挽町広場も春のよそおい。
来月で五代目歌舞伎座は5周年を迎えますが、わたしの歌舞伎デビューも同じ年なんですよね。
2013年から色々あったけど、歌舞伎界は変わらず走り続けていくだろうし
わたしも応援し続けたいと思います。
とりあえず夏のNARUTO歌舞伎が楽しみだー!


ところで春の和菓子が少しずつ出ておりますのでゲットしてますよ~。
hanaokashi1.jpg
とらやの嵐山。
白い薯蕷饅頭にちょこんとついた花びらが愛らしい、味ももっちりおいしかった☆

hanaokashi2.jpg
菓匠花見の紅梅、桜花、菜の花。お花づくしです!
特に梅のデザインが絵のようでとっても好き。

hanaokashi3.jpg
くらづくり本舗のつくし野、初桜、春小道、水温む。
久々に箱買いしてしまった…!色がどれもきれい、水に浮かぶ桜は美しい。

あと、この日は杉並アニメーションミュージアムにてみんなの歌の世界展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事に書きたいと思います。


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

続きを読む »

2018_01
05
(Fri)23:15

こいつぁ春からその6。

2018kabukiza_1.jpg
お正月に歌舞伎座にて壽初春大歌舞伎を観てきました☆
新年一発目のお舞台は高麗屋さん三代同時襲名披露ですぞ!
幸四郎さんが二代目白鸚を、染五郎さんが十代目幸四郎を、金太郎さんが八代目染五郎を襲名なさる公演で
前回の高麗屋三代襲名から37年振りに再び三代一緒に襲名なさるのだそうな。
37年前って生まれてないや…!何という慶事。誠におめでとうございます☆

2018kabukiza_2.jpg
木挽町広場にあった羽子板。
勧進帳の登場人物があしらわれています。富樫、弁慶、義経。

2018kabukiza_3.jpg
まずは幕見席に並んで昼の部最後の演目、寺子屋を観劇。
白鷗さんの松王丸が見たかったのですが、
もっと言うと去年左腕を骨折した猿之助さんが涎くり与太郎役で復帰なさると聞いて心配で
でもやっぱり見たかったという気持ちもありましたので。

寺子屋は過去にテレビで海老蔵さんの松王丸を見たのでストーリーは知っているのですが
今回は白鷗さんなので重厚な松王丸になりそう…などと想像しながら幕開け。
菅原道真の息子である秀才さんをかくまっている源蔵さんの寺子屋にて
小学生くらいの子どもたちが自習しているシーンから始まるのですが
その中にひとりだけ、明らかに年齢が他の子よりも高そうな男の子がひとりおりまして
「おりゃ、坊主天窓の清書したぞお」などと、墨書きしたへのへのもへじを自慢気に掲げたのが
涎くり与太郎こと猿之助さんでした(^◇^)☆
澤瀉屋~!の大向こうとともに大きな拍手、お帰りなさい~~~うわああああ。゚(゚´ω`゚)゚。
墨のついた手で鼻をこすって真っ黒になったり子どもたちに追い回されたり相変わらずのかわいさ無敵!
お迎えに来たパパ役の東蔵さんに「あの赤い顔したおっちゃん怖い!」(後述する左団次さん)って大泣きして
「歌舞伎座の高麗屋襲名の切符買うてやるから」って言われても「もう昼夜とも買っとるがな~」って泣いて
「三階のめでたい焼き買ってやるから」「やだ~~~」とかもう、もう、だだっ子ぶりめっちゃかわいい(^O^)☆
でも「坊、けがはもう大丈夫かいな?」と問われると
「おめでたい舞台に間に合うように精出して一生懸命リハビリしたんじゃ!」と元気いっぱいに答えていて
ここでも大きな拍手がおきました。
たぶんまだ完治してなさそうな左手はたどたどしくも不自然さを感じさせなくて流石でしたし、
与太郎ってこんなに豊かな役なんだなと思わせてくれました。
無理しないでゆっくり治しながらゆるゆる復帰していってくださいね~。

さて、秀才さんをかくまっている源蔵さんは菅原道真の一番弟子なのですが
色々あって今は山奥で寺子屋をしております。
梅玉さんのいぶし銀の芝居、何とかして秀才くんを守ろうと思案顔。
庄屋さんから「秀才がそこにいるのわかっとんじゃ首はねろオラァ」と物騒な命令を下されていまして
そんなこと言われても「せまじきものは宮使えじゃなあ」と悩んでいます。
でもって考えることがすごい、寺子屋に来ている子どもの中から誰かを身代わりにしようと思案顔…
ちょっとちょっとちょっとーー!子どもたち何の関係もないじゃないのよ~~~!!
これだから封建社会は。。
そこへ妻の戸浪さんが連れてきた小太郎という男の子が秀才くんによく似て品がいいということで
源蔵さんは小太郎くんを身代わりにしようと目をつけます。
「若君にはかえられない、子の母が止めるなら母子もろとも」という夫のたくらみを聞かされた戸浪さんはびっくり、
雀右衛門さんの手堅いお芝居もあっていっそう気の毒になりました。
これだから封建社会は!!

そこへ藤原時平の家来である春藤玄蕃と松王丸が首実検にやってきます。
左団次さんの玄蕃の方が身分が上のはずなのですが、とにかく松王丸の存在感がすごい!
籠から「お待ちなされ」の声が響くや、もうここから拍手喝采、高麗屋!の大向こうが飛び交って
白鷗さんがゆったりと現れたときには最高潮に盛り上がりました。
正直、さっきまで猿之助さんかわいい…とかホワンホワンとしていた空気を
白鷗さんが重厚なオーラで容赦なくふっ飛ばしていった気がします。高麗屋ー!しゅごいよーー!!
病気の設定なのでたまに咳き込んだりしながら「ごまかそうとしても無駄だぞ」とか凄んで
源蔵さんに小太郎くんの首を討たせるのですが、
その音が寺子屋の奥から聞こえた瞬間、眩暈を覚えたのかふらふらして
でも無様な姿は見せられないとすぐに直立不動の姿勢に戻るのはお見事でしたし
首桶を開けてそこに小太郎くんの首があるのを見たときも一瞬、ああっと驚きはするんだけど
「若君の首に相違ない、よくやった」と苦しそうな表情で源蔵さんに言葉をかける松王丸は
オチを考えるとしんどすぎてたまんない。
実は小太郎は松王丸の子で、秀才くんを守るため、ひいては菅原道真に忠義を尽くすために
松王丸とその妻千代さんが寺子屋に入れて身代わりにさせたのでありまして
(しかも小太郎くんは笑顔で討たれたっていうし)、
「倅がお役にたったわい」とか泣きながら喜んでいるかと思いきや
小太郎くんのために野辺送りをしようと舞台上で白装束にお着替えするのもすごいし
お焼香するとき白鷗さんほんとに泣いてらしたのもすごい。
熊谷陣屋のときも思ったけど、こういう、主君のために家族を犠牲にする物語は
当時の封建社会への痛烈な批判精神がないとできないよな…。
千代役の魁春さんも安定していましたし、
さらに秀才の母である園生の前(藤十郎さん)がとてつもない存在感を放っていた。

2018kabukiza_4.jpg
お昼ごはんを食べた後は夜の部です!1階席のチケットだよ!!
ロビーには鏡餅を始め色とりどりのお正月飾りがあって華やかでした。

2018kabukiza_5.jpg
2階ロビーにあった祝い幕を入れる箱。
実際に使われることはなくても(そもそもこの大きさではあの巨大すぎる幕は入らない)、
箱を作っておくっていう精神がいいよね。

2018kabukiza_6.jpg
そんな祝い幕、今回はこちらです!
富士山と三歩の松原ですっきりとした新年らしいデザイン。

2018kabukiza_7.jpg
今回はここから観劇します。
ほぼ舞台のど真ん中で、祝い幕の3つの家紋が目の前!
まさにお年玉のようなお席が戻ってきたもんです…待っててよかった。ほんとに。

幕開けは双蝶々曲輪日記の「角力場」から。
贔屓筋にあたる若旦那の恋愛をかなえるために、
芝翫さんの濡髪長五郎と愛之助さんの放駒長吉が対決するのが見どころのお芝居です。
大阪新町の遊女である吾妻さんには与五郎さんという大店の若旦那の恋人がいるのですが
与五郎さんは大の相撲好きで大関である濡髪のスポンサーもやっています。
しかし平岡郷左衛門という武士が吾妻さんを気に入って身請けしようとしているので2人は困っています。
平岡さんは長吉を贔屓にしていまして、
彼と濡髪を勝負させ長吉を勝たせて与五郎に恥をかかせ、吾妻さんを身請けしようと企んでおりました。

与五郎と長吉という正反対の2役をらぶさんがこなしているのが見どころのひとつです☆
与五郎さんは柳腰で品のある若者で、
濡髪がちょっとつついただけですってんころりんと転んで怪我をしかねないほどひ弱です。
お世辞にも弱くて、ちょっと誉められただけでお財布あげたり羽織あげたりしちゃいます。
濡髪が「若旦那を送ってやれい」とお供をひとりつけると、
そのお供が持っていた濡髪の浴衣を着せてもらって大喜びしてるのがとってもかわいい、
推しの着物を着られるとか何てすばらしい出来事…!!オタクとしてはうらやましい限り(笑)。
一方、長吉は米屋の息子から関取になったという設定なので立ち振る舞いも大ざっぱで
しかし一本筋の通った若者という感じ。
放駒の名前からイメージした将棋の駒をあしらった着物をもらって素直に喜んだり
濡髪に「わざと負けてやったんだ」と言われ激高するシーンは
メイクで特に顔が赤いわけでもないんだけど顔を真っ赤にしてカンカンに怒っているみたいな雰囲気が
全身から伝わってきましたよ~らぶさんすごい!
芝翫さんの濡髪は大柄で鷹揚で、与五郎さんに対してはとても穏やかですが
長吉に対してはやはり関取同士ということもあり貫禄を見せていてかっこよかったです。
2人が睨みあってすわ勝負か?というところで終わってしまうんですな。続きもあるみたいなので見てみたい。


続いては「口上」。
金屏風にお三方の家紋がでーんと描かれた背景がかっこよかったです!
勘九郎さんの「37年前の三代同時襲名のときに生まれました」とか七之助さんの「大好きな高麗屋さん」とか
愛之助さんの「幸四郎さんとは同世代なのでここで言えることも言えないこともいっぱいやった」とか
芝翫さんの「あーちゃん」呼びとか、年代が近しい人たちのトークは萌えます^^
3代同時襲名というおめでたい日でも左團次さんは安定してしゃべるしゃべる、
学校がずっと一緒だった白鸚さんは学級委員長をやったりしてずっと優等生だったけど
自分は高校生のとき踊りや長唄の稽古をやめてキャバレーに通ったりしたとか。隣で吉右衛門さんが笑ってた^^;
そんな吉右衛門さんは「勧進帳で父の白鸚に教わった富樫を演じます」とあっさりさっぱり。
東蔵さんの「新幸四郎さんが小さい時に絵を描いて送ってくれた年賀状を今も持ってる」とか
鴈治郎さんの「幸四郎さんはおもちゃ箱のようで何が飛び出してくるかわからない」など
お人柄やお芝居に関するお話も素敵でした。
最後に白鷗さんが「三人そろっての披露が再び盛大に行えてうれしい」、
幸四郎さんが「天に向かって舞台に立ち続ける所存にございます」、
染五郎さんが「これからもいっそう芸道に精進いたします」と締めくくられて
盛大な拍手と大向こうが餞のように注がれました。よい時間だったー!
(猿之助さんが参加されていなかったのが残念ですが英断だと思う、お大事にしてほしいです)

幕間にお弁当を食べながらイヤホンガイドのインタビューを聞いていたら
幸四郎さんが歌舞伎の登場人物で野球するなら誰をメンバーに入れるかみたいな話してて
「4番は関の戸の関兵衛がいいですね」とか「7番は五右衛門。盗塁してほしい」とかおもしろかったです。
話が長すぎてちょこちょこ早送りされてるのも笑った^^
自由すぎて大変おもしろいので夜の部に行く方は借りた方がいいですよ。

さ~てこの後はいよいよ勧進帳です!
2018kabukiza_8.jpg
花道の引幕が五色になっていました☆松羽目ものだからかな。

勧進帳のストーリーはもう説明の必要がないほど有名ですので省きますが、
テレビで團十郎さんや幸四郎(現白鷗)さんの弁慶を何度か見たことがありまして
でも生で見るのは初めてだったのでせっかくなら生音を聴きたくてあえてイヤホンガイドを外して観劇しましたら
それが大正解だったと終幕後に思いました。
花道に弁慶が登場したときは劇場の隅から隅までずいいっと全部もっていってたし
ああ幸四郎さんものすごく気合い入ってるなって感じましたもん!
さっきの口上で梅玉さんが「芸の線が太くなった」とおっしゃっていたけど
その通りとても安定したお芝居でした。

相手役の富樫が吉右衛門さんなので、見どころのひとつは叔父と甥による丁々発止なわけですが
お互いに容赦なく全力でぶつかっていっている感じでした。
とにかくセリフの応酬が激しい!
富樫が勧進帳を読むように命じて弁慶が白紙の巻物にまるで字が書いてあるかのように朗々と読み上げるところ、
巻物を覗きこもうとする富樫に気づいてハッと隠して見得をするところ、
読み終えた巻物をするするっと巻いて不動(明王。修験道と関わりが深い)の見得をするところ、
さらに富樫が山伏について問いかけ弁慶がスラスラと答える禅問答のシーンは
弁慶は僧侶だから大丈夫とわかっていても「間違えたらどうしよう」という一抹の不安を覚えてハラハラした。
ここの弁慶のセリフむちゃくちゃ長いうえに最大限に張り上げていて声だけで空気を震わす勢い、喉がしんぱい。
しかも富樫が、これまた絶妙な間で質問をぶつけるんだけど負けてない。
とにかく自分に注意を引きつけてこの場をやり過ごさねば!みたいな気迫がビンビン伝わってきました。
義経を杖で打擲するのも一瞬ためらって、なるべく短く、しかし大胆にパッと叩いていて
関所を通過して海岸に至ってから大泣きして謝る姿はちょっと、かわいい。
自分はなぜこんな目に遭うのかと嘆く義経を励ますために
あなたはこんなに頑張ってきたと源平合戦について語るシーンも見得をしながら勇壮に語っていて
(勧進帳は附け打ちの少ない演目で、見得が決まるときも鼓と笛が鳴るのですが
ここはラストの六方以外で唯一附けが入るシーンでもあります)、
義経に対する情愛がとても深い。
追いかけてきた富樫がお酒をふるまってくれるときも大きな盃でうわばみのように飲んで
そんな場合じゃないのにひとさし延年の舞をいい気分で舞ってくれて
酔っぱらってるはずなのに足取りもしっかりしているのはさすが弁慶と思わせてくれるところ。
義経と四天王を逃がした後、花道にひとり残って見えなくなった富樫に一礼して
引っ込みで所作板をダン!と、壊れるんじゃないかというド迫力で足音を出したときは劇場が揺れたような迫力だった!
空気も客席も震えましたよあれは…ああわたしこの瞬間のためにチケット代払ったんだって思ったよ…!
豪快な飛び六方による引っ込みも心臓にビリビリくるほどにしびれてかっこよかったーー!!
あの弁慶と同じ空間にいることができたという喜びと感動は計り知れない、
ありがとうございました。ありがとうございました。

これまで見た(といっても数えるほどですが)どの弁慶よりも感情移入した弁慶でした。
というか弁慶ってこんなに深いキャラクターだったんですね…
ドラマや小説によっては義経に振り回される苦労人だったり脳筋にされたりしますけど
この演目の弁慶は非常に多くの面をもった人物だと思う。
そもそも比叡山で学んだならお経暗記してるだろうし、学問をした人だから頭よくて機転もきくし
僧兵で武道の経験もありますから人の闘志や殺気にも敏感で
仲間を押しとどめるパワーと聡明さを持ち、何より義経にとってマイナスになることは絶対にしない。
こんな複雑な人物を、そうとわかるように役者さんは演じてるんですね…!
弁慶がいかに難しい役なのかやっと少しわかった気がしました。

吉右衛門さんの富樫がとにかくすばらしくて、これまで見た中で最も強く厳しい富樫だと思いました。
関所で責任を全うしようとする仕事人であり、疑って悪かったとお布施をさしあげる人格者であり
「強力、とまれ!」と刀に手をかける武士であり、弁慶の心意気に涙するやさしさを持っている。
一行を義経主従だと完全に見抜きながら切腹を覚悟で見逃すときの表情の動きにやられました。かっこいい。
一行が関所を出たあと酒と肴を持ってきてくれるのもやさしい。義理人情に篤い男・富樫!かっこいい。
染五郎さんの義経は…あんな美少年だったらそりゃ一発でバレるわ…^^;
幕開け冒頭にて最初に花道に登場するのが義経で、
七三に止まって天を仰ぐ姿は光り輝いていてまさに貴公子☆
染五郎さんはまだ中学生だというのに歌舞伎座の花道にするりと立つだけで
客席の視線をぜんぶ掻っ攫っていく美少年だったよ!末恐ろしい役者さんです。
ていうかこの演目の義経ってほんと何もしないね(爆)偉い人だからでしょうけど。
四天王(亀井六郎・片岡八郎・駿河次郎・常陸坊海尊)も鴈治郎・愛之助・芝翫・歌六という強すぎるメンバーで
義経が疑われて刀に手をかける富樫に挑みかかろうとするのを弁慶が一人で止めていたけど
あれ4人があと数秒がんばってたら弁慶が力尽きて全員で富樫に斬りかかっていたかもしれない、
それくらい強そうな四天王でした。
彼らが仏像のように後ろに控え坐しているときの安心感ったらないよね!うちにセコムしにきてほしい。


続いての相生獅子もよかったです☆
大名家の座敷を舞台にした女形2人による所作で
初演は初代瀬川菊之丞といいますからたいへん古風で優雅な舞でした。
正直、勧進帳の興奮がまったく冷めていなかったので途中までよくわからなかったんですけど(汗)、
扇雀さんの落ち着いた&孝太郎さんのかわいらしい舞踊にポ~~っとなった☆
鈴のついた小さな獅子頭を持ってひらひらと舞うのも優雅だったし
差し金の蝶がヒラヒラ飛んでいるのを追っていったん引っ込んで再び登場してからの獅子狂いも
牡丹の花の中で舞う獅子を想像しながら見るとおもしろくなってきます。
最後の演目、三人形は雀右衛門さんの傾城、鴈治郎さんの若衆、又五郎さんの奴による舞踊で
お人形に魂が宿って踊りだす、という設定で特にストーリーはありませんが
夜桜が咲き誇る吉原仲之町にて夜更けまで大らかに踊る3人はとても楽しそう。
最後に総踊りとなり附け打ちの見得でフィナーレでした☆
とにかくお客さんに「きれいなものを見た」といい気分で帰ってもらいたいという趣向なのだそうで
確かにとてもいい気分になれましたし、高麗屋さんの襲名を祝う華やかなステージだったと思う^^


2018kabukiza_9.jpg
千穐楽まで無事に走り抜けられますように。
帰りがけに歌舞伎稲荷神社に初詣、今年も一年皆様が息災でお芝居できますように。

とにかく勧進帳の衝撃が忘れられなかったので
帰路に着きながら電車の揺れさえ何だか気持ちよくてシートでうつらうつらしてしまって
帰宅してからも何ともいえない心地よい余韻に浸っておりました。こんなお舞台久しぶり。
何度か言ってますけど、染五郎さんはスーッと幸四郎になりそうってずっと思ってたけど
今日の高麗屋さんたちを見ていて皆さん今のお名前に全然違和感がなくてすごかった…
まさに機が熟した襲名だったんだなあと思いました。
コリャイイや、こうらいや。
2017_08
24
(Thu)23:15

舞台(いた)から始まるミステリー、別の話。

前回記事を書いてからブログのカウンターがかつてない数値を叩きだしていて
小野但馬守政次の退場の重さをひしひしと感じとっているゆさです、こんばんは。
みんな鶴ロスなんだね…ナカマ…!!
正直、わたしも今もまだちょっと立ち直れてない感がありまして
次の日曜6時にテレビつけるのが何となく怖かったりします。
確かに物語としてははっきりすっぱり、これ以上はないというくらい綺麗な形で終わったので悔いはないし
回想シーンとかで出てくるかもしれないけどそれは過去の鶴なんだ…
鶴の時間はもう更新されないと思うと涙がとまりません。
あっでも、三浦春馬くんだって新しい回想シーン(?)とか突然あったし
今後の回想シーンの出し方次第では高橋さんが呼ばれる可能性まだあるのでは…?
大河ドラマと朝ドラの撮影スタジオは隣同士だって聞いたことあるよ!やれそうだったらお願いします。
(次の朝ドラでも高橋さんは主人公とお相手を見守るお役だと聞いて今から血涙がとまらないぜ)



2017kabukiza16.jpg
さて先日、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎第二部・歌舞伎座捕物帖のAパターンの結末について書きましたが
このたび無事にBパターンを観劇できたので感想かきます。

以下↓盛大にネタばらししておりますのでこれからご観劇予定の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

続きを読む »

2017_08
12
(Sat)23:33

舞台(いた)から始まるミステリー。

2017kabukiza7.jpg
歌舞伎座で八月納涼歌舞伎第二部を観てきました☆
去年すごく楽しかった東海道中膝栗毛の続編が上演されると聞いたのと
来年、幸四郎を襲名する染さんが今の名前で猿之助さんと共演するのは最後かもしれないということで
何がなんでも見たくてがんばってチケット取ったどー!
木挽町広場も涼しげな景色で夏祭りみたいな雰囲気でした。

2017kabukiza8.jpg
「修禅寺物語」と「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」を鑑賞します。
歌舞伎座捕物帖のサブタイトルの読みは一般公募から選ばれたそうだ。

2017kabukiza9.jpg
今回はここから鑑賞。
お舞台のほぼど真ん中で通路も近いぞ!役者さん通ったらいいのにって思った。(ら、後でほんとに通ってくれた!)

まずは「修禅寺物語」。
伊豆の修禅寺にある「頼家の面」と伝わる面の話を聞いた岡本綺堂が取材のうえ脚本を書いたもので、
頼家が暗殺される前日譚のようなお話です。
面作り師夜叉王の娘として生まれた桂(猿之助さん)は、公家だったお母さんの性格を受け継いで気位が高く
「わたしこんな家で一生暮らすなんて嫌、絶対に出世する」と息巻いております。
妹婿の春彦(巳之助さん)は夜叉王の仕事を誇りに思っているのでそんな義姉と意見が合わなくて、
姉も姉で「ちぇっ」てやって去るシーンとかあっておいおい(^^;)って感じ。
妹の楓(新悟くん)はハラハラしながら見守りますが
夜叉王(彌十郎さん)は桂はああいう性格だからと諦めている様子。(リアルやじゅさん親子だね)

そこへ頼家(勘九郎さん)が花道からおともを連れてご登場。青い狩衣がとっても涼し気です☆
頼家の顔を写した面を作ってほしいと頼んだけどまだできないの?と催促に来たのでした。
夜叉王は「何度も打ったけどうまくできません。いつできるかわかりません。自分の心に叶ったものじゃないと渡したくないです」
などと、芸術に時はないみたいなことを言いまして
怒った頼家が斬りかかろうとしたところを「面はできてますよ!」と桂が止めます。
夜叉王が気に入らなかったその面を、頼家は「おれにそっくりじゃん!」と一目で気に入りますが
夜叉王は「それはダメです。何度打っても死人の面にしかならないんです…」と悲しげ。
頼家は構わず、面と一緒に桂のことも気に入って連れて帰ってしまいます。
花道を歩いていく頼家と桂はたいへん美しかったですが
引っ込みBGMによくある三味線も太鼓も奏でられなくて、非常に静かな引っ込みだったのが印象的でした。

場面は変わって桂川にかかる虎渓橋で、頼家が橋の石にひじをかけながら桂と何げない話をするのですが
この時の勘九郎兄さんの立ち姿がめっちゃ様になっててかっこよかった~☆
出世したかった桂は頼家にお礼を言いまして、
頼家は頼家で妻の若狭を争いで亡くしたばかりだったので
「おまえ今日から若狭局と名乗りな」と言われて桂ちゃん天にも昇るような気持ちになっちゃいます。よかったねえ。
そこへ北条の使いの金窪兵衛行親が頼家と桂を追ってやってきまして
取り合わずに2人は逃げますが、行親は頼家を暗殺するために追っていきました。
たまたま茂みに隠れて一部始終を見ていた春彦は「すわ一大事」と走り出そうとして、
頼家が心配で戻ってきた下田五郎景安(萬太郎さん)に気づきかくかくしかじか…としゃべっていると
行親の部下がどどっとやってきます。
「春彦、ここはおれが引き受けるから、おまえは将軍に注進しに行きなさい!」と
みっくんを逃がして戦う萬ちゃんの立回りがものすごくかっこよかったよー!
戦いながら直垂の袖をきゅっと締めて腕まくりして、たった1人で5~6人をバタバタとやっつけてしまいました。
附け打ちのないリアル殺陣も初めて見たかも…新歌舞伎って色々と挑戦したジャンルだったんですね。

将軍御所に夜討ちがかかったと聞いて、桂を心配する楓ちゃんのところへ
春彦が走って帰ってきて、義父と妻に報告するのですが
「姉はさておき、上様の安否もわかりませぬ」とか言っちゃって、おい弟ちょっと素直すぎないか(苦笑)。
そこへ花道から桂さんがふらふらと歩いてくるのですが(将軍御所から逃げてきたんですね)、
振り乱した髪に頼家の面をつけて、血まみれの着物の上に直垂をつけて長刀を持っておいたわしい…!
七三でぴたりと止まって周囲を見回した猿之助さんはとても雄々しく見えたし
でも家の戸口に辿りついてバッタリ倒れてしまったのが哀れでした。
妹夫婦に抱えられながら「一時でも将軍に仕えられて、局の名前ももらって本望。もうしんでもいい」って、
えええちょっとーーーせっかく出世できたんだから生きようよ…生きてよ…(´;ω;`)
楓ちゃんが「パパ~お姉ちゃんしんじゃう」って泣いてるのに、当のパパはなんと
「断末魔の顔を今後の面作りの手本にしたいから、おまえちょっとそのままじっとして」とか言い出して
客席からえええ…!?って声が上がってざわ…ざわ…って戸惑いの雰囲気が。
やっべえ何か地獄変の良秀みたいなこと言い出しちゃったよこのパパ…!
妹夫婦がポカンと見守る中、きっと顔を上げる桂とそれをスケッチする夜叉王という
何ともシュールな場面の幕切れでありました。
同じ岡本綺堂作の番町皿屋敷を見たときも思ったけど
やっぱり綺堂の歌舞伎はよくわからないです…まだまだ修行が足らないね( ˘ω˘ )。


幕間に鳥屋を間近で見たくて、休憩に入ると同時にエスカレーターで3階へかっ飛んでいったら
下手側の通路(思い出の役者さんパネルがあるとこ)が壁パーテーションで封鎖されていて
ちょっとした騒ぎになっていました。
何か大道具でも運び込むのかなあと思って気にしなかったんですが、
これ実はやじきたにおける最初のサプライズのための仕込みだったと開演後にわかって
スタッフさんが説明しなかったのもうなずけます。あれは何も言えないわ…。
(わたし3階席で鑑賞したことないので知らなかったんですが、
あそこの扉が使えない場合は下手席の人は中央扉へ回らないとお席に戻れないんですね…
3階席は狭いから客席を通る移動は大変だろう)

2017kabukiza10.jpg
その鳥屋。
去年に引き続きクライマックスでやじきたが飛んでいくんだろうなぁとワクワクしていたわたしの想像は
幕が上がったと同時にあっさり瞬殺されたのでした。
なぜかというと。

以下↓新作語りのため盛大にネタばらししておりますのでこれからご観劇の方はご注意ください。
大丈夫な方はクリックで開いてどうぞ☆

続きを読む »

2017_02
07
(Tue)23:09

小さな中村屋たち。

2017kabukiza1_2017020720070073d.jpg
前回記事で少し触れましたが、
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部の門出二人桃太郎を見てきました☆
同演目にて中村屋の七緒八くんが三代目勘太郎を、哲之くんが二代目長三郎を名乗り初舞台を踏まれます。
わたし七緒ちゃんを見るのは今の歌舞伎座杮落し公演のお祭り以来ですが
哲ちゃんはナマで見るのは初めてで、
歌舞伎界のお祝い事に立ち会うのは猿之助さんや芝翫さんの襲名公演を見ていますし
大人が中心でしたからドキドキよりワクワクの方が大きかったけど、
お子様の初舞台を見るのは初めてでいつになくド緊張していつもと違う汗かいてました。
こんなにドキドキする開演前ないんですけど!劇場内も心なしかソワソワしていたような。

2017kabukiza2.jpg
木挽町広場には桃太郎と鬼の手ぬぐいの展示。
チューリップってこの時期でも咲くんだ!

2017kabukiza3.jpg
吊るし雛や七段飾りの雛人形も展示されていました。
節分が終わったら桃の節句ですねえ。

2017kabukiza4.jpg
幕見席から。
黄色くかわいらしい祝い幕はひびのこづえさんのデザインだそうです。

柝が鳴ってお囃子が奏でられ、祝い幕がシャ~っと開いていきまして
ああ、始まっちゃった…!と緊張感も最高潮に高まって顔を覆いたくなって
なんでわたしこんなに緊張してるんだ??と自問自答とかする始末でした。
ギリギリのところでSAN値保ってた気がする^^;
あと、いつも開演前はイヤホンガイドさんの解説を聴いて鑑賞に備えるんですけど、
今回もそうしてたんですけど、もうそれどころじゃなかったので内容が全然頭に入ってこなくて
上演中も解説を色々聞いたはずなんですけどあまり覚えてないです。色々とダメだ。

季節は春、おばあさんが川で洗濯をしていると
山の芝刈りから帰って来たおじいさんがそろそろメシにしようぜ~と声をかけます。
芝翫さんはまだ何となく橋之助さんと呼びそうになってしまう、いい加減慣れなくては。
すると川の上流からドンブラコ~と桃が流れてきて(黒子さんのお仕事)、
もうこの時点で客席には笑いが起きていた(笑)。
おじいさんたちはなんじゃこりゃ~と、桃に手ぬぐいを引っ掛けて岸に上げて家に持って帰ります。
桃が描いてある暖簾をはねて息子夫婦が出迎えて、大きな桃ですねえとか言うんですが
勘九郎さんも七之助さんも既にただならぬ表情でここから先の舞台をすごく心配してらっしゃるのが
びんびん伝わってきてわたしもさらに緊張してしまった(笑)。
おじいちゃんたちが包丁で桃をパッカーンと斬りますと、
中から黒子さんに抱えられた2人のちびっこ桃太郎が赤フン姿で登場ー!
「中村屋!」の大向こうも飛んで劇場が割れんばかりの大拍手!!
桃太郎たちはビビリもせずに見得をきってみせると
「おじいさん、おばあさん、こんにちは!」「兄の桃太郎です」「弟の桃太郎です」と元気いっぱい挨拶。
また大きな拍手が起きて劇場いっぱいに響き渡りました。
すごいすごい幕見席まで2人の声届いてるよ、すごいよー!(゚Д゚;)ハラハラ
そして勘太郎くんが長三郎くんを気遣って「こうするんだよ」みたいに目くばせしてるのも
長三郎くんが必死についていこうとしてるのもわかって涙出そうになった。

「鬼が島へ鬼退治に行きます」と勇ましく言う桃太郎たちは
鎧姿に着替えるため、息子夫婦とともにいったん家の中へ引っ込みます。
そこへ花道から登場してきたのが犬彦・猿彦・雉彦☆
吉備神のお告げで桃太郎が生まれたことを聞いたという3人は自己紹介をします。
染五郎さんの犬彦はダルメシアン柄のかわいいお衣装とお化粧で→こちら
両手を犬みたいに丸くしながら「腕力でワン斬りにします」とか言うし
(ちなみに勘三郎さんの初舞台では白鷗さんがおじいさんを、
勘九郎・七之助さんの初舞台では幸四郎さんが犬彦を勤めている縁があるそうだ)、
松緑さんの猿彦は「カニをだましたその知恵を活かします」とか真っ赤なお化粧顔でおっしゃるし
菊之助さんの雉彦は一番いさましく隈取してて「空から物見をいたします」とか凛々しいし
常に袖をひらひらさせて軽やかに飛ぶ演技をなさっていて素敵☆
そこへ花道から菊五郎さん扮する吉備津神社の神主さんが来て
村人たちもわらわら集まって来て、みんなで桃太郎が生まれたのをお祝いします。
「どれ呼んでみましょう、桃太郎さ~ん」と菊五郎さんが家の中に声をかけますと
「「はーい!」」とかわいらしい返事が聞こえて
息子夫婦に促されながら隈取に鎧姿の2人桃太郎が再登場してきたよ~!拍手☆
(勘九郎さん七之助さんの鎧をそのまま着ているそうです)
この間わずか5分、すごい、お着替え間に合ったね!よかった!!
くるりと回って見得を切って見事に決まりまして、また拍手。

ここで初舞台の口上に入ります。
菊五郎さん、弥十郎さん、雀右衛門さん、梅玉さん、時蔵さん、芝翫さんなど
錚々たるメンバーがお子様たちを気遣ってか手短に順番に挨拶されていく中、
勘太郎くんは微動だにせず下を向いて正座していまして
長三郎くんも最初はじっとしてたけど時間が経つにつれキョロキョロしたり両手ついたりそわそわ…
後ろの七くんが長三郎くんの背中や足に合図すると元に戻ってました(゜ω゜;)ハラハラ
そんな七くんが「叔父のわたくしに取りましても」とか言うの、女形の拵えだからちょっとおもしろい。
(ベルばらのル・ルーちゃんがオスカルを叔母さまって呼ぶみたいなこそばゆさがあるというか)
かなり気が気じゃなかったのかパパの勘九郎さんもものすごい早口で口上述べてて客席がじわった(笑)。
最後に桃太郎ズの「中村勘太郎でございます」「中村長三郎でございます」の元気のいい挨拶に
もう何度目かの客席からの大向こうと大拍手!
いよいよ鬼が島へ行くということになって花道からの引っ込み、
勘太郎くんの踏み込みと見得が一瞬、六方踏むんじゃないかと思うくらいすごくかっこよかった!
客席の拍手に送られながら2人でのしのし歩きながら引っ込んでいきました。がんばれ。

場面転換中には浅黄幕が張られ、大薩摩連中の圧巻の演奏。うおおおかっこいいー!

再び幕が開くと、そこは鬼が島の入口。
門前に鬼たちがズラリと並んでいるところへ花道に登場したのはお供を連れた2人桃太郎。
「ものどもかかれぇ」というお言葉に3人の部下たちが立ち向かいます。
犬彦は鬼たちにガブリと噛みつき、猿彦は鬼をあやつって自分をおんぶさせてしまい、
雉彦はヒラヒラ舞いながら鬼たちを翻弄します。
門前の鬼を追い払ってみんなで見得を切る雰囲気になって2人桃太郎も舞台上に来たんですが
桃太郎たちの立ち位置がいまいちハマってなかったのを
松緑さんが長三郎くんを抱き上げてちょっと間合いを詰めたので客席から笑いが起きてた。
その後無事に猿・雉・犬・桃太郎でバッチリ決まりました。ホッ(;´∀`)
門から鬼が島に入った後もわらわら戦って
奈落から島を制圧した桃太郎たちが鬼たちとともにせり上がってきたときの決めポーズかっこよかったし
(縄は桃の形になってた)、
鬼たちとの立ち回りで縄を引いたり切ったりして(縄引きは平安時代からのおめでたい習わしです)、
最後に勘九郎さん扮する鬼の総大将との立ち回りもちゃんと山とか八の字に切ってて
見得もしっかり決まってたよ!
総大将を縛り上げて「まいったか」「降参、降参、お許しなされてくださりませ~」となって
勝どきをあげるシーンで「「いずれも勝どき」」まではよかったけどエイエイオーが絶妙な輪唱になって
お供の3人が「お、おう」みたいになってておもしろかった^^2日目のご愛敬ですね。
鬼たちによる宝物バケツリレーで車にもっさり宝物を積んで
縛られた総大将を挟んで日本一の幟をかかげ「さあ凱旋だ」と金の扇子で見得を決めると
背景の海から日の出が!
パーッと舞台が明るくなって、万雷の拍手とともに幕引きとなりました。
柝とお囃子が鳴り響く中、勘九郎さんが長三郎くんとチラチラ目を合わせてたのが最高におもしろかった。
鬼じゃなくてパパ目線になってるよ!無理もない^^

とてもいい舞台でした。
ベテラン役者さんも裏方さんも2000人近いお客さんもみんな勘太郎くん長三郎くんを応援してて
劇場がひとつになっていたよ(笑)。
勘太郎くんは本当に安定してきて、これまで何度か舞台に立った経験がしっかり活きていると思うし
弟を常に気遣ってアイコンタクトしてて頼もしさ倍増。
長三郎くんは飄々とマイペースながらも「こうか」「あ、こうか」みたいに
ひとつひとつ動作を確認しながらこなしている感じで謎の安定感がありました。
保育園とかでいえば年長さんと年少さんですからたいていのことはできる年齢と思いますし
自分の子どもの頃を思い出してもお遊戯会とかで劇やダンスや太鼓など
色々やった覚えがありますが(そして本番はみんなちゃんとできてた)、
勘太郎くんたちみたいな大声とかメイクや衣装に耐えられるかどうかは…あれは訓練だよねえ。

ちなみに勘九郎・七之助さんの初舞台で刀を持っていたのはお兄さんだけだったそうですが
今回は2人とも刀を持っていまして、
理由が「長三郎さんがほしがったので」とお兄さんがイヤホンガイドのインタビューでおっしゃってて
何だか微笑ましかったです。
哲ちゃんは普段から色々な意味で大物らしい。

2017kabukiza6.jpg
閉幕後に外へ出ようとしたらスタッフさんから「豆まきがございますのでどうぞそのまま」とアナウンスがあり、
じきに幕が再び開いて役者さんたちによる舞台からの豆まきが行われました☆
桃太郎に出演されていた役者さんたちは拵えのまま、
ほかに亀三郎さんや金太郎くんなど今月の歌舞伎座公演に出演なさっている役者さんも
みんな紋付きで出てきてくれて客席も大盛り上がりの賑やかな豆まき、
鬼役の勘九郎さんと亀蔵さんも豆をまく側だったのがちょっとおもしろかった^^
3階席や幕見席はスタッフさんが配ってくれて、
わたしは手違いで2ついただいてしまいました。楽しかったー!

2017kabukiza5.jpg
千穐楽まで無事に走り抜けられますように。

そういえば初日には松潤が黒スーツに黒帽子で来ていたとか
着物姿の大竹しのぶさんを見かけたとかいう目撃談をTwitterでチラホラ見かけました。
松潤は親友の子の、大竹さんはかつての共演者の孫の初舞台をそれぞれご覧になったのだなあと思うと
心がポカポカしました。
お空の上では勘三郎さんや小山三さんが見守っていらっしゃるだろうなあ。
(そういえば小山三さんは勘三郎さんの初舞台で雉のお役だったそうです)
2016_12
17
(Sat)23:10

歳末の舞踊劇。

2016kabukiza25.jpg
歌舞伎座で十二月大歌舞伎第三部を観てきました!
演目がまるっと玉三郎さんオンステージみたいになってて「こ、これは行かねばならぬ…!」と
使命感にかられたので。
チケットもそれなりに残ってたけどせっかくなら前方に座りたかったので戻りチケットを待ちまして
無事に前方&真ん中あたりの席をゲットできました。
木挽町広場にもクリスマスツリーが並んでいて年の瀬モード~。

2016kabukiza26.jpg
第一部で上演中のあらしのよるにのキャラクター、ガブとメイのぬいぐるみもいた☆
あらしのよるには去年の秋に京都南座で初演された演目で主演は獅童さんとマッティです。
しどさんはアニメに続いて実写でもガブを演じられるのですね。
(そしてアニメのメイの声は成宮くんだったと思い出してしまった…成宮くん…つらい…)


今月の第三部は花道大活躍ですよ!お席が近い人は幸せです。

まずは「二人椀久」。
江戸時代初期の大阪に実在した椀屋久兵衛(略して椀久)さんの人生を書いた浮世草紙から
膨らませて作られた舞踊劇です。
椀久さんは大坂の豪商の息子で、廓の松山太夫を好きになって通い詰めているうちに
お金をどんどん使ってしまったので家族によって座敷牢に入れられてしまうのですが
太夫に会えなくて気が狂ってしまって、大夫に会いたい一心で座敷牢を抜け出した…ところから
お芝居が始まります。
タイトルに二人とついていますが、
これは椀久と椀久の羽織を着た松山太夫が踊るためで椀久さんが2人ということではないです。
(初演の3代目瀬川菊之丞は松山太夫を演じた際に「君が定紋伊達羽織、男なりけり又女子なり」の部分で
片身を男、片身を女で演じ分けてみせたそうだ)

幕が開くと舞台は海辺、大きな松がど真ん中に立って枝の隙間から月が見えています。
太鼓がさざ波の音を奏でていると花道から勘九郎さんが摺り足でご登場。
長い杖を引きずるように持ち、頭に紫の頭巾をかぶって
浅黄の落ち葉模様の着物に黒い十徳を片肌脱いで(何かとりついてる人の表現)、
呆けたような表情が儚げできれいな佇まいでした。
たぶん座敷牢をふらふら抜け出して足の向くまま歩いてきたら浜辺だった…みたいな感じですかね。
(あらすじ見たとき「えっ束縛お兄さん見られる…!?」と一瞬でも期待してしまった自分を殴りたくなった)
花道でひとさし舞って、舞台にきて松の木の前でひとり舞をしますが
やっぱり寂しくなってしまったのか床にうずくまってしまいます。
するとそこへ、舞台奥の仄かな闇の中からじわりとせり上がってきたのは玉三郎さんー!
立兵庫に前帯という江戸時代初期の遊女のいでたちでしたよ、完璧だわ。。
椀久さんの側へ寄ってやさしく起こしてあげると、椀久さんは飛び起きて一緒に舞い始めます。
織部の椀「武蔵野」を手に出会った頃の話をしたり、
月夜と闇夜どっちが好き、あなたの顔が見える月夜がわたしは好き、と語り合ったり
伊勢物語の筒井筒のまねっこをして扇子を水鏡に見立てて遊んだりして
2人ともとっても楽しそうな雰囲気。
照明もいつの間にか明るくなってて、2人のしあわせな気持ちが表現されているかのようでした。

そうしてるうちに踊りもお囃子もだんだん早くなって、
松山太夫が長い恋文をばっと広げて追いかけっことか始めちゃって
これはあれか、「うふふ~さあわたしを捕まえてごらんなさ~い」「あはは、こいつぅ」とか
昔の少女漫画とかによくあるシーンではなかろうか(笑)。
そしてふいに椀久さんをヒラリとかわして太夫は花道のスッポンから引っ込んでいってしまいます…。
くるくる回転しながら引っ込む玉さまはそれはそれはお人形のように可憐でありました…!
舞台にポツンと残された椀久さんは再びうずくまって目を覚まします、
すべては夢だったのでした…わああ何ということ~。
どこを探しても恋人は見当たらなくて座り込んで空をあおいでしまう椀久さん…
照明もいつの間にか暗く落ちていました。

焦がれる勘九郎お兄さんほんと切なさMAXだった…玉様は美しさMAXだった。


幕間の後は「京鹿子娘五人道成寺」。
タイトルからもわかるように安珍と清姫の伝説が元ネタになっている舞踊劇です。
道成寺は昔からよく見ている演目で、3年前に国立能楽堂でも見たことありますが
歌舞伎の道成寺を見るのは初めてwktk。

ストーリーは能の道成寺と同じ。
安珍と清姫の事件から何十年も経過した後の紀州道成寺の鐘供養に現れた白拍子が
舞を奉納しながらやがて鐘に飛び込んで蛇になるという流れで、
能との違いは白拍子に花子という名前があることと、蛇になった後の鬼vs山伏がカットされてることかな。
1753年に初代中村富十郎が初演した京鹿子娘道成寺が歌舞伎の道成寺の始まりで
今回の五人道成寺は白拍子を1人から5人に増やしてしまったというもので
近年はほとんど上演されなかったのを先代歌舞伎座のさよなら公演で復活したそうです。

季節は春、満開の桜に紅白幕が下りた舞台に所化(若いお坊さん)たちがやって来て
「聞いたぞ聞いたぞ!」とかおしゃべりします。
先頭は亀三郎さんで、わたし亀兄さんのお坊さん役初めて見たんですけど若さの表現でしょうか、
やたら甲高く大きな声で鐘供養だね~とか桜キレイダナーとかしゃべっててびっくりしました。
あんな高い声出せる人だったんだ…!
般若湯や天蓋とかごまかしてお酒と蛸を持ってきちゃってる所化さんたちは
僧侶としてのご法度はどこへやら、でも楽しそうにお花見しちゃってるとこへ
花道から白拍子の花子さんがご登場~!
七くんですっ綺麗めっちゃ綺麗っかわいい(^◇^)☆
「道行」というくだりでして、花子さんが道成寺のあるお山へせっせと登山してきた設定です。
ひとさし舞ってポーズしますと、スッポンからお兄さんが出ていらっしゃって七くんと瓜二つのいでたちでした。
花子さん分身しちゃったよ!
というか中村屋ご兄弟が2人とも女形で踊るのはかなり貴重ではないでしょうか!!(力説)
お兄さんは大きな手振り、七くんはひたすら可憐で拍手喝采!
義太夫の語りが響く中、おふたりがお化粧をする振り付けで口紅を拭いた懐紙を
ぽいっと客席に放り込んだときは声にならない叫びが聞こえた気がしました。
わああ花道近くの人たちいいなあ!
しかも舞台側だけじゃなくドブ席側にも投げててサービス精神がすごい、
ほんとあれは近くの人たちよかったねえとしか言えない、やばい。
しばらく2人舞して、お兄さんは一旦スッポンから引っ込んでいって七くんはそのまま舞台へ。
所化さんたちに「鐘供養に参加させてください」と頼むのですが
女人禁制のためダメです~と断られてしまって
じゃあ問答に答えられたら入れてくださいということになる。
色即是空、空即是色、手のひらの中の雀は生きてるか死んでるか問題など一通り会話しても
花子さんは諦めずに「拝ませてくださんせ」とお願いし続けます。かーわーいーいー!!(ダァン!←床叩)
所化さんたちはすっかりほだされてしまって、じゃあ鐘を見せる代わりに踊りを見せてねと注文をつけて
門をあけてあげちゃいます。

門がひらくと同時に七くんと所化さんたちは左右にはけていってしまいますが
ここでやっと背景の紅白幕がするすると上がります。
幕の奥からはずらりと並んだお囃子連中をバックに、満を持しての玉三郎さんご登場!
真っ赤な着物に金色の烏帽子をつけた玉様の足元が見えるや否や「大和屋!」の大向こうがとんで
ものすごい拍手が起きました。みんな玉さま待ってたんだー!
一人舞ですオンステージです、乱拍子の舞ですよ!
踊り始めに背をピンと伸ばしているのは能の道成寺を意識してるとか
足の爪先を左右に動かすくだりは蛇の頭と舌とか、舞台をジグザグに移動するのはお寺の階段をのぼる蛇とか
イヤホンガイドさんが細かく教えてくださって
花子さんが最初から目的を隠そうともしないのがすごく花子さんだと思いました。
美しく舞いながら鐘をチラチラ見たり、あからさまに鐘を見つめて見得きって「あっいけない」と顔をそらすとか
花子さんがどんな覚悟でここまでやって来たかみたいなのまで伝わってくるのも
歌舞伎ならではだなあと…能はここまで見せないよね。
あと能の道成寺の乱拍子は一定の静止の後に激しい踊りがあったりする静と動の舞で結構厳格なんですけど、
歌舞伎の乱拍子は常に動き回って仕草も美しかったりかわいかったりして、違いもおもしろいなと思いました。
「言わず語らぬ~」の手踊りになると赤い着物を一瞬で引き抜いて浅黄色の春らしい衣装にチェンジ!
はあぁいつ見てもすばらしい技術だよ引き抜き~\(^o^)/
玉さまが恋の分里の手毬唄を歌いながら毬つきを始めたら
七くんに勘九郎お兄さん、続いて梅枝くんと児太郎くんも出てきてみんな毬つき始めるから
5人の花子ズが円になってくるくる回りながら毬つきダンス!
ああああみんなかわいいかわいいぃいあああああ+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚

花子さんたちがいったんはけると、児太郎くんだけが残り赤い笠をかぶって舞い始めます。
振り出し笠という、手に持った笠を振ると3つの笠が連なって出てくる笠を両手で使って
梅と桜を愛でる語りの中で可憐な舞を見せてくれました。
そこへ所化さんたちが再び登場☆
花子さんの踊りを見て浮かれてしまったのか、
赤の襦袢に衣をたくし上げ卵色の股引を思い切り見せるファッションで花傘踊りの始まりです^^
(これは初演時にはなくてのちに9代目團十郎がつけた演出だそうです)
楽しい群舞の後半は2人の所化さんが残ってあっちはなんだ、こっちはなんだとわちゃわちゃ笑わせてくれました。
亀兄さんと萬太郎くんさすがでしたー!

続いてお色直しした玉さまが再登場、
お化粧したりラブレターを読んだり恋の手習いのクドキを舞います。
もうこれだけでも美しいしかわいいしでお腹いっぱいなのですが
手ぬぐいを使ってひとさし舞った後に舞台上から後ろ向きに手ぬぐいをぽいっと3~4つ投げたときの
客席のざわめきっぷり!(笑)
それらは前列にかわいく落ちていったのですが、
その後に所化さんたちがわらわら出てきて手ぬぐいを投げるイベントが突如発生!
イヤホンガイドさんまで「お客様へのサービスです、リラックスして楽しんでください!」とか煽るもんだから
客席みんな諸手をあげてこっちこっちー!とか大騒ぎになりました。
舞台から花道までズラッと並んだ所化さんたちがぽんぽん投げまくって方々に降り注いで
最後に振りかぶった人のピッチングは3階席まで飛んでいってものすごい歓声おきてた!わー☆
わたしはもらえなかったけど近くの人が受け取ったのをこっそり見たら
5人の花子さんの家紋が入った絹の手ぬぐいだったみたいです→こちら
これ演じる役者さんによって手ぬぐいの名前も変わるみたいですから
この5人の手ぬぐいは今月しかもらえないのですな~いいなーいいなー!
次にこの道成寺が上演されるときはどなたの名前だろう、次回は欲しいぞ(゚∀゚)☆

続いて七くんと勘九郎お兄さんがお揃いの卵色の着物(雅楽の大太鼓の模様入り)に鞨鼓を胸に下げて登場、
鞨鼓の踊りが始まったよ!
お囃子に合わせてリズミカルに鞨鼓を鳴らしながらの舞はこれでもかとかわいさ爆発してた☆
またこのくだりは山尽くしといって、太鼓のバチで八の字をつくって吉野山や嵐山などの山を表現するのですが
途中で一瞬だけ鬼の角になってるのがブレない花子さんって感じだし、
仕舞いに舞台へ座り込んでお互いの片手を合わせてお祈りポーズするとこ最高に兄弟百合だった…尊い…(真顔)。
五人道成寺の至高は玉さまですが中村屋兄弟の尊いシーンもてんこ盛りでございます、
こんな道成寺次はいつ見られますか。やばい。
歌詞が変わって「ただ頼め~」の手踊りは梅枝くんの一人舞で、
神様に恋の成就をお願いしたりするくだりが最高にかわいい。
紫の着物から蛇の脱皮のように一瞬に着物を引き抜いて墨の桜柄の着物になると
同じ柄の着物を着た玉さまたちがさーっと再登場、
全員が両手に鈴太鼓を持って5人花子ズによる鈴太鼓踊りになりました!
2つの太鼓を打ち付けたり、鈴をジャラジャラ鳴らしたりしながら田植え歌にのって踊ります。
もう5人がそれぞれすばらしすぎてどこを見ればいいのか全然わからない、
視線を忙しく動かしてどの人を見ても目がしあわせでした。
あああああかわいいんじゃあ~~~!!(何度目)

やがてお囃子が激しくなって踊りも激しくなり、
明らかに花子たちの様子がおかしくなってきたのを所化さんたちも気づいて踊りを止めようとしますが
花子たちはヒラリヒラリとかわして逃げてしまいます。
と、ここで天井に吊られていた鐘がするするっと板の上へ降ろされ花子たちの姿が一瞬、隠されますが
鐘の後ろから出てきた花子たちは銀のウロコ箔の着物姿に髪を振り乱して
5人でわらわらと鐘に乗っていった!
玉さまとお兄さんが上にいて他のお3方が下にはべる光景はまさにとぐろを巻いたがごとく、
荒々しいとさえ思える巨大な大蛇が一瞬のうちに舞台に出現した感じでぞわぞわっ!としました。
(歌舞伎公式サイトに写真が載ってましたのでどうぞ→こちら
やっばいマジ炎出して鐘燃やせるよこの人たち!
能の道成寺でも戦慄したけど、歌舞伎の道成寺はまったく違う種類の戦慄を覚えて
あんまり驚いたのでここで幕切れというのに拍手するのも忘れてしまって、というか一瞬だけ拍手の音聞こえてなくて
嵐のような拍手が聞こえてきたときにようやくあ、手動かさなきゃと思ってやりました。
大蛇になった花子ズを所化さんたちはひたすら祈っておられましたがわたしも本当そんな気持ちでした…
拍手するより手を合わせたくなるというか、さっきまで「玉さま素敵ぃ」「七くんかわいい」と思って観てたのに
ラストだけはわたしの中で役者さんも花子さんも飛び越えて「清姫」になってしまったんだと思います。
これもある意味供養なんだろうなあ…役者さんてすごいなあ…。

2016kabukiza24.jpg
今年の観劇はこの日で終わり、よい歌舞伎納めになりました。
今年もおもしろく、楽しく、きれいな、かっこいいお芝居をたくさん見せてもらえて
役者のみなさま関係者の皆様に感謝感謝です。
来年も豊かな時間を過ごせますように。


ginzairumi.jpg
銀座4丁目の歩行者天国にもイルミネーションとクリスマスツリーがたくさん並んで綺麗でした。


あと、この日は己巳の日(1年の巳の日で一番縁起のよい日)だったので。
kamishinme1.jpg
歌舞伎座の前に品川の上神明天祖神社に行きました。
境内の小さな池に、その昔は白蛇が住んでいたという言い伝えがあって
その蛇のために弁天社も建てられています。(蛇と言えば弁財天の御使い)
道成寺観る日に蛇の神社にお参りという、たまたまですがおもしろい日になりました。

kamishinme2.jpg
撫で白蛇像。撫でるとご利益があるそうな。

kamishinme3.jpg
弁天社は拝殿の隣の池のほとりに建っています。

kamishinme4.jpg
御使いの白蛇は迫力あるけど手作り感にあふれています。
卵がお供えされていたのは蛇の好物だからかな。

kamishinme5.jpg
巳の日限定の御朱印とおみくじ。
社務所がむちゃくちゃ混んでて1時間くらい待ったけど無事にいただけました。。
弁天社の御朱印もいただいたら琵琶が。

uzuramochi.jpg
とらやの鶉餅もゲットしてきたよ^^
来年は酉年なので一足先にいただきました~もちもちしておいしかったです。
次の年の干支物が出てくると年越しの実感がじわじわ湧いてきます…年賀状がんばらねば。