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四月ウサギは島原にいるか。

斉藤洋さんの『白狐魔記天草の霧』を読了~。
4年ぶりのシリーズ5作目。
白駒山の仙人の弟子になり、化学を学んだ狐の白狐魔丸が
平安末期から様々な人間たちに会いながら歴史を見つめていくシリーズです。
源平時代は佐藤忠信。
鎌倉初期は北条時輔。
南北朝時代は楠木正成。
戦国時代は織田信長。
そして今回、江戸初期は天草四郎です。

数作ぶりに師匠の仙人様が、天竺から帰って参りましたvv
再会したときの白狐魔丸が嬉しそうだった。ずっと待ってたんだもんね。
しかし、久々の再会だったのに早々に仙人様はまた旅に出てしまわれました。
白狐魔丸は、ひょんなことから弟子にするはめになった煙之丞を追って
九州の島原へ行き、幕府の弾圧に苦しむキリシタンたちの蜂起を知ります…。

今回は島原の乱か~。また重いテーマを。。
この出来事が書かれるときはたいてい宗教戦争っぽいけど、
この本はそんなことはなくきちんと史実が踏まれていました。
戦をやめさせるため、白狐魔丸が天草四郎に会って話をしたときに
どうしても言葉が通じなくて(本心が伝わらないという意味です)、
こんなに近くにいるのに距離が遠く感じられた、というのが哀しかった。
人間、わかりあうのは難しいと頭ではわかっているけれど
ここまで話が通じないというのも歯がゆいものですね。
「話は終わりか…」との四郎の問いに白狐魔丸が溜め息をつくのが、また哀しい。
まぁそういう構成だから、島原側から脱走する人たちを
(史実ではものすごい数の脱走者がいたんですよね確か。。。)
白狐魔丸が手引きして逃がすくだりが、説得力を持ってくるわけですね。
吉野の雅姫も存在感がありました。愛は狐をも変えますね。
ラストが壮絶だった。どうぞ生きていてくらはい…。
次回は『元禄の雪』とのこと。赤穂浪士ですねきっと。今度は誰と会うんだろう。


やえがしなおこさんの『なぞなぞうさぎのふしぎなとびら』も読了。
なぞなぞの好きな四月ウサギと、主人公の少女のオハナシ。
いつもなぞなぞばかり出題している気まぐれなウサギが
自分勝手で面白いですvv
スプーンが後をついてきたり、ウサギのお祭りに行ったり、
ならの木大公のお屋敷に連れて行かれたり
色々と忙しい少女ですが、結構その状況を楽しんでいます。
やえがしさんはデビュー作の『雪の林』からファンでして。
宮沢賢治を思わせる文章がたまらなく好きです。
印象的なのは、作中に必ずキーになる詩があるんですけれども
どれもリズムが綺麗で思わず口ずさみたくなります。
いちばん面白いと思ったのは『ペチカはぼうぼう猫はまんまる』の
「ペチカはぼうぼう猫はまんまる おなべの豆はパチンとはじけた」です。
作中に何度も出てきて、タイミングも絶妙。
ロシアを思わせる北国が舞台の、ふしぎなオハナシです。おすすめ。
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テーマ: 児童書 | ジャンル: 本・雑誌