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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


今、豚は太っていない。

  1. 2010/04/07(水) 00:05:57_
  2. 一般書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読みました。

すごかった。それしか言えない。
あくまで「おとぎばなし」なのにこの先見性は何だろう。
社会が崩壊していく様はかくも壮絶で無残なものかと思いました。

荘園農場で、過酷な労働を強いられてきた動物たちが
2匹の豚をリーダーに革命を起こして農場主を追い出し、
何でも自分たちで相談して決める「動物農場」をつくるのですが
平等な日々は次第に人間がいた頃のような階級社会に変貌していきます。
革命のリーダーはいつしか独裁者となり、
みんなで決めた「すべての動物は平等である」という戒律には
いつの間にか「しかし、ある動物はもっと平等である」と付け加えられてしまいます。
羊たちはその独裁者の声をロボットのように高らかに謳い上げるのみ。
逆らえばボディーガードの犬たちによって制裁され、
民主的だったはずの会議は形骸化して、
みんなは言いたいことが言えなくなっていく。

「こんな状態をつくるために人間を追い出したのではなかった。
自分たちが目指したのはこんな社会ではなかった」
雌馬がそんなことを独白するシーンがあります。
確かに、どうしてこんなことになってしまうんだろう。
物質的には恵まれているはずなのに、
どこかボタンをかけ違えたような違和感があるのです。
自分たちが正しいと思ってやってきたことが
気が付いたら自分たちの首を絞めているわけです。
そのことを、こんなになるまで、動物たちの誰も疑ってこなかった。

それでも「豊かにならないのは無能な自分のせいだ。明日からもっと早起きする」と
頑張ろうとした無垢な雄馬の突然死の理由さえはっきり知らされずに
みんなは動物農場で働くしかありません。
他に行く場所がないのですから。
そしてリーダーはとうとう、追い出したはずの人間たちと取引を開始して
農場の名前を聞き覚えのあるものに変えてしまいます…。

現代の政治思想はここまで極端ではないだろうけれど、
これに近いことはいつの時代どこでも起こりうるんだろう。
こうして歴史は繰り返されてきたのだなと思いました。

ラストは読んでください。ゾッとしますよ。

ジブリ美術館が出しているDVDも見てみようかな。
原作とラストがちょっと違うみたいなんですよね。


今日は鉄腕アトムの7回目の誕生日ですね。
ロボットと人間の関係はまだ発展途上のような気がします。
アトムとお茶の水博士のようにはいかないものか。。。
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テーマ : ぐっときた本    ジャンル : 本・雑誌

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Author:ゆさ
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歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
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