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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


砂と同じくこの本には、はじめもなければ終りもないのです。

  1. 2011/01/18(火) 23:55:18_
  2. 一般書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
内澤旬子さんの『センセイの書斎』を読みました。
著者の内澤さんが、作家や研究者や建築家やイラストライターや古書店や小規模文庫など、
合計31人の本棚や書斎を、イラストつきで紹介していらっしゃる本です。
林望さんとか養老孟司さんとか佐高信さんとか上野千鶴子さんとか現役バリバリの方々の他に
数年前に鬼籍に入られた米原万里さんとか石井桃子さんとか金田一春彦さんのレポもあって
あれ何でかなと思っていたら、単行本として出版されたものが今回、文庫になったとのこと。
お陰で彼らのことばで彼らの本棚が語られるのを聞くことができて、とても嬉しかったです。
こういう本はアーカイブにまわした方がいいと思う。

大ざっぱな感想から言えば、皆さん、本棚との付き合い方は多種多様。
開架式の本棚を見ると並べ替えをしたくなるから扉をつけちゃったとか(南伸坊さん)、
よく旅をするので必要な分だけ旅先にダンボールで送ってもらうとか(小嵐九八郎さん)、
棚に本を二重に置くのが嫌で、さっき本棚を注文してきちゃったところとか(逢坂剛さん)、
棚がいっぱいなので、新しい本がくると納めるまでに3時間かかるとか(深町眞理子さん)、
「なんだそりゃ」と思うものから「それすごくわかる!」と思うものまであって
改めて本とつきあう面白さを教えていただいたような気がしています。
あと、合間合間に必ず挿入される内澤さんのイラストの緻密さときたら!!
本棚の間取りや先生方の似顔絵や、本のタイトルの他に
先生のお仕事道具とか、お部屋に置かれている小物や楽器などもちょこちょこ描かれていて
それぞれのお人柄が想像しやすくなっているので、すごく楽しんで読める。
先生方も、本棚を紹介されるとき、自慢げだったり生き生きしていたり
照れくさそうになさったりしているのも、微笑ましくていいなと思います。

個人的に、ああ、こういう付き合い方いいなぁ~と思ったのが
小沢信男さんが本棚の一番上の棚を「神棚みたいなもの」と呼んでいること。
小沢さんが文章を書き出すきっかけになった先人たちの著書をずらっと並べているそうで、
「上から見守ってもらっている感じだね」っておっしゃるのがすてき。
本や人を深く尊敬していらっしゃるから、こんな言葉がするりと出るのだな…と思いました(*^ ^*)。

内澤さんは足かけ7年かけてこの本の原稿を完成されたそうですが、
これだけのそうそうたるメンバーの本棚をこんな風に紹介されてしまうと
「あの人の本棚もこの人の書斎も、内澤さんのレポで見てみたい!」と
思ってしまうのが本の蟲の性なわけですが。
(今回の本についても、おそらくはこの内容の倍以上の取材をなさったはずだし
原稿にまとめるにあたって泣く泣く削られたであろう部分も見てみたいんだけどな…とも)
たぶん「ごめんなさい」とお断りされた方もいらした中で、
(本棚ってすごく個人的な部分が出るので、仕事場の本棚は見せてもいいけど
自宅のはダメっていう人もいたみたいだし)
こんなにたくさんの人たちの本棚を紹介してくださったのはやっぱり有難いと思うわけでして。
あとがきに「(先生方にお話を伺った時間は)至福にして珠玉の体験だった」と
書かれているところを見ても、すごくそのお気持ちがわかる気がします。
わたしも大学時代、大学図書館やゼミの先生の書棚を拝見するのがとても楽しかったので…。
人様の知的人生に触れるのって、わくわくしてしまうのですよね。
本棚にはそれがあると思います。だから、やっぱり本と付き合うのってやめられないのですね。


彫り彫り。※クリックで大きくなります
鈴木春信の周辺事情その39。38はこちら
彫師の緑さんと打ち合わせ。
源さんからもらったアドバイス通りに、春さんが下絵に見当を入れてみたら、
彫り作業がスムーズに進んだようです。
五緑「下絵のこれ、便利っすねェ。何で今まで気がつかなかったんでしょ」
春信「おれもだよ。源ちゃんに感謝しなきゃね~。…右上、あと一彫り」
五緑「下絵より細くなりやすよ。いいんすか」
春信「うん。模様は細ければ細いほどいいんだ。糸みたく見えたら、しめたものだよ」
五緑「承知しやした。直したら、また連絡しやす」
春信「わかりました。楽しみだなぁ」
五緑「何せ、こんな何枚も彫るのは初めてっすからねェ。うまくいくといいっすね」
春信「大丈夫、うまくいくよ。あ、でも、摺ってみて具合が悪かったら、ちょっと手ェ加えるかも」
五緑「構いませんよ。後で連絡くださると、こっちも今後の参考になりやす」
春信「うん!」
ものづくりでわくわくする職人たちです。


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テーマ : オススメの本の紹介    ジャンル : 本・雑誌

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