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色々いろいろ。

昨日また上野の国立博物館に行く機会がありまして、
(上京してきたブロとものびたみんさんと一緒にキャッキャしてきたのです*^ ^*)
常設展示の掛け軸とか屏風絵とか絵巻物とか絵本とか一枚絵とかを見ていると、
日本人が絵に使う色彩の美しさについて、改めてすばらしいなぁ~と思いました。

ふつうの顔料の他に、金とか銀とかを贅沢に使った絵巻物は
遠くから見ても「あっあれ金銀使ってるわ」と、すぐにわかるからすごいと思います。
しかしああいうものって、表向きは絢爛豪華には決して見せないのですよね…。
じーっと見ていると、「ここに金がある。…ん?ここにも。あ、ここにも」みたいに
だんだんわかってきて、実は豪華な絵だとわかる仕組みになっているような。
光悦が作ったとされる蒔絵の小物にも金が使われていましたけど、
やっぱりこちらもそんな感じな気がする。
(というか、光悦の作るものはしっとりとした黒の中にさりげなく金を入れていることが多いですね。
さすが千利休の孫弟子…決して派手には作らないのだなぁ)

浮世絵のコーナーで歌川広重の風景画がどっさりあって
それだけでもものすごくテンションアップアップだったのですけど、
彼の使う海や空の藍色の深さを見ていると、本当に吸い込まれそうになってきます~。
(ちなみに広重の浮世絵の藍は「ヒロシゲブルー」と呼ばれているそうだ)
当時は青い色の顔料を作り出すのにすごく手間暇をかけていたはずだから、
青系の色がふんだんに使われている絵はとても高貴な印象がありますネ。
そして、富士や海の色は水平線に沿って平行にグラデーションがつけられているけど
あれ一体全体どうやって塗る(摺る)のだ。

あと、雪舟の「秋冬山水図」や狩野山雪の屏風絵などを見て
水墨画の白黒もやっぱり面白いなぁ~と思いました。
墨というたった1種類の絵の具で、山とか川とか木とか人とか、質感の全然違うものを
まるごと表現する技法って東洋にしかないような気がします。
もちろん、西洋の、目の覚めるように色鮮やかな絵画も高度な技法で描かれていますが
水墨画は白と黒だけで無数の色彩を表現できているってことなわけで…。
ってか、水墨画ってパッと見たとき、画面のどこか(川とか海とか木とか空の部分)に
まるで鮮やかな色がついているみたいに見えたりすることってありませんか。
いや、わたしだけかもしれないのですけど…。
(たとえば雪舟の天橋立図とか達磨図は基本的に白黒しか使われていないけど、
しばらくじーっと見つめているとだんだんフルカラーで想像できてくるから不思議)

黒はその色彩から、現代では不吉だとか悪だとかネガティヴな印象を持たれがちですが
東洋(特に中国)では万物を支配する色として高級感や聖職の象徴とされていたのだ、というのが
わたしの持っている本に載っていました。
(そういえば平安時代の男性の束帯は黒だし、頭につける冠や烏帽子も黒だし、
昔は女性を美しいとほめるときはまず「何て綺麗な黒髪!」という風に髪をほめるし、
古代中国がモデルの『十二国記』でも泰麒が儀式の折に黒い衣装を身につける描写が出てくるし、
「黒は女を美しく見せる」って『魔女の宅急便』のオソノさんもおっしゃっていますな)
あと、江戸時代の薄墨や墨色には100以上もの色の名前があったとされる、とも書いてあった。
ギョエー。


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鈴木春信の周辺事情その44。43はこちら
絵暦交換会が無事に終了し、いつもの日常に戻った春さんのもとへ
今度は版元さんがやって来ました。
版元「実はですね、このたび、両番の大久保様から『夕立』の版木を譲っていただきまして、当方で出版することに相成りましたので、ごあいさつに伺いました」
春信「ふえ?」
版元「風来先生から、あの錦絵を描いたのはあなただと伺ったものですから…」
うわ~、何だかすごいことになってきちゃったな…の春さんです。
("風来先生"は源さんのペンネーム)
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