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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


吉備真備という人について。

  1. 2011/03/30(水) 23:57:19_
  2. 歴史
  3. _ tb:0
  4. _ comment:4
巻物を広げ持つ姿が似合う人だと思う。※クリックで大きくなります
*遣唐使のイラスト記事一覧はこちらです*

吉備真備について「こんな人じゃないかなぁ」というわたしのイメージをまとめてみたら
何だかすごい長さになりました。。。
ので、ちょっと(どころじゃないけど)語ってみようと思います。
(↑のイラストはうちの真備ですが、↓で語るのは「歴史上の真備」であって
「うちの真備」ではない、ということを予めお断りしておきます。紛らわしくてすみません。
ただ、うちの真備のモデルは歴史上の真備ですので、
うちの子と共通している部分もいくつか出てくると思います)

・常識人。おだやかで、責任感強し。真面目が服を着て歩いているような人。
 でもわりとしたたか。転んでもただでは起きない。
 どちらかというと頭脳派で、少年漫画でいえばパーティのブレーンタイプ。
 漫画におけるそういうタイプは、あまり人に弱みを見せなかったりするけれど
 真備はどんなに緊迫した場面でも自分にできないと判断したら
 「わたしできませんからあなたやってください」とか、さらっと振っちゃうと思う。
 (もちろん、振った相手が問題を解決できるスキルを持っていることを知っていて、
 且つ何とかできる設備や機会が整っていることも判断して振るだろうけど)

・リアリスト。何事も思慮分別、理路整然とする。ローリスクローリターン。
 ひとつのことに集中していても常にそのいくつか先のことを考えている。
 学んだことを誰かに教授したり、多数の意見をまとめるのは得意。
 深謀遠慮が癖になっているぶん、カンが鈍い。何かを選ぶときも束の間、考えたりする。
 抜きん出た特技はないけど、できないことは学べば一定レベルまでできるようになる感じ。
 セミプロ。アマチュア以上プロ未満。
 よくある六角形型のグラフで真備の能力値を表すと、わりと円に近い形になる。

・勉強が好き。文系で実学、雑学向き。学問は広く深く手堅く。
 (真備が唐から将来した漢籍を1冊の本にまとめたら間違いなく雑学辞書になる)
 遣唐留学生時代は、留学生だからどうのこうのではなく、
 儒学と法律と儀礼と軍学と築城と天文学と音楽を、純粋に学びまくっていた模様。
 太学で先生についたり、長安中を走り回って現物を集めまくっているうちに
 ネズミ算式に友達や知り合いが増えたんじゃないかと思う。
 (じゃなきゃたぶん、あれだけの漢籍は持ち帰れなかったろう)
 逆に芸術に関する造詣は乏しい。文人官僚の必須教養だった作詩や作歌が大の苦手。
 作ったらしい形跡はあるけど、『懐風藻』にも『万葉集』にも残っていないので
 そっちの才能はなかったとみえる。

・大陸に2度も行って帰ってきた男なので、体力と持久力にもまあまあ自信あり。
 体格に関しては『続日本紀』の薨伝に特筆がないので、たぶん中肉中背。腕力も人並み程度。 
 「米俵や材木を担ぐ」「シャベルで穴を掘る」「長距離を走って郵便物を届ける」みたいな
 ガテン系労働には向かないんじゃないかな…。
 畑仕事とか、自分より小さい体格の人を背負って歩くとか、そういうことはできそう。
 (あ、でも唐物とか教科書だったら喜々として運びまくるかもしれない)

・無口ではないけど、おしゃべりでもない。必要な分だけ会話する人。
 めったに声を荒げないが、荒げるとそれはそれで凄みがあったりする。
 「普段めったに動じない人がたまに本気で怒るとものすごく怖い」の典型例。
 誰に対しても愛想よくするわけではないので、他人からみた第一印象はあんまりよくない。
 でも意外と面倒見がよかったり世話焼きだったりするから
 一度仲良くなった人や信頼関係を築いた人との友情は長続きすることが多い。
 (玄とか仲麻呂とか阿倍内親王とか)
 会話の相手が家族でも同僚でも身分の違う人であっても、たぶん態度はそのまま。
 一定の礼節が整っている人となら、老若男女、誰とでもそつなく打ち解ける。
 ただし無礼な相手には無礼で返す相互主義者。

・目立つことは好きじゃない。というか、目立った行動をほとんどしない。
 政治的改革や改造には不向きで、与えられた仕事を淡々とこなすタイプ。
 暴走しがちな人々をなだめることが多いけど、いわゆる「苦労人」とはちょっと違う。
 いつどこでどの問題に口を出すかはちゃんと考えていて、
 大丈夫と思う件には関わるけど、関わればかえってやっかいになる件は放っておく。
 誰かから解決を頼まれても関わらない。ノンリーズナブルを地で行く男。
 反面、一度関わると決めたら最善の方法を探して事態を円滑に運んでいこうとする。
 左遷先での築城や政策立案や、藤原仲麻呂の乱における采配がいい例。

・自分のことを語るのは苦手。若い頃はともかく、
 老年期とか立場が立場なのに自伝も残していないところをみると
 自分の心のうちや人生を語るときは口下手になる人だったんじゃないか。
 逆に他人を語るとき、特に自分の尊敬する人物を語るときはおそろしく雄弁になる。
 (太宰府にて書いたらしい『道璿和上伝纂』とかね)
 ただ、全面的に尊敬しているかというと別にそうでもなく、
 その人の評価について筋を通すところは通している。
 「この人のここは評価できる。ここはいけないけどね」ってさらっと言いそう。

他にも色々ありますが、きりがないのでこの辺にしておこうと思います。

最後に、宮田俊彦氏の『吉備真備』冒頭に書かれていた真備評に感動したので引用します↓
よろしければ一緒に感動してください(*^_^*)。

「真備の一生には秋霜・烈火の如き切れ味を発揮した事蹟が殆どない。
政界の激動に押し流されはしたけれども、大波小波にゆられながらも、
堅固な一枚の板子は手から離していない。
しかも手近かに浮沈する人々を救って、己れの板子を分けてこれにすがらせようとする努力を
惜しんではいない。良い人の一人で、真備はあった」
(宮田俊彦『吉備真備』吉川弘文館 p.6より)
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テーマ : 歴史上の人物    ジャンル : 学問・文化・芸術

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