役者と光と影の魔術師。
少し前のことになりますが、東京国立博物館の「写楽」展と、
国立西洋美術館の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展に行ってきました!
どちらも午後に行ったので、館内が人・人・人だらけでしたが
鑑賞者の年齢層はまったく違っていて少々びっくりでした。。。こんなに違うものなのかぁ。
写楽展は年配の方々や家族連れが多くて
(着流しに帽子を被った40代くらいのおじ様2人が、すごく様になっていてストーカーしかけた)、
逆にレンブラント展は若い人やカップルだらけだった気がする。
作品の前で専門用語を炸裂させてデッサンやエッチングがどうとかトークしてたのは
たぶん東京芸大の学生さんではないかな。
(ところで、どうでもいい余談ですが芸術系の学校に通う人って
とても個性的で奇抜で、でも妙にしっくりくるファッションをされるよなぁと思います。
「この着こなしで違和感が仕事しない!すげぇ!!」といつも思ってしまう)
「写楽」展。彼の作品を、いわゆる一期から四期まで、そしてこれだけの量を
いっぺんに見るのは初めてだったので、絵の変遷をじっくり見られて感激でした(´∀`)。
国内だけではなく、アメリカ、イギリス、ベルギー、オランダなど世界各国の絵が来ていました。
中には同じ図柄の絵が2~3枚並んで比較展示されていましたが
同じ人物でも着物の色が違ったり、柄がついていなかったり、
背景が雲母摺りではなかったり省略されていたりして、
当時の出版事情を彷彿とさせる展示になっていたと思います。
そうすると、版画というのは大量生産物ではなくて、1点ものなのだな…とも改めて思えて、
そこも印象的でした。
写楽の絵で文句なしに迫力を感じるのは、やっぱり第一期の大首絵ですね。
大谷鬼次の江戸兵衛と市川男女蔵の奴一平の一対は、何度みてもわくわくする。
(現代人が写楽と聞いてパッと思い浮かべるのも、江戸兵衛の図が多いんじゃなかろうか)
そして、第二期や第三期の絵の、役者の立ち振る舞いや風俗なども
江戸っ子が見ていたであろう景色が目の前にあると思うと、楽しくて仕方なかったvvv
あと、歌川豊国や勝川春英の役者絵も一緒に並べて展示されていて
絵師による役者の描き方の対比がみられて良かったです。
たとえば、春英の沢村宗十郎はおっとりした印象を受けましたけど
逆に写楽の宗十郎はのっぺりとしていて、何となく背が高そうな感じがします。
そして豊国の宗十郎は扇子をバッと広げた立ち姿で、
いかにも江戸っ子が好みそうな、粋なポーズだなぁと思いました。
他にも春章や歌麿や北斎や栄松斎長喜や鳥文斎栄之や
たくさんの絵師の絵があって燃えて萌えてたまらんかった☆
江戸の錦絵業界はこんな猛者たちであふれかえっていたのだな…江戸時代わくわく。
そんなこんなで眼福満腹状態になって、ふらふらとレンブラント展へ行ったのですが
ここの展示も写楽展に負けないくらい充実していて、
満腹だったことなどすっかり忘れて楽しんでしまいました。
(あれだ、デザートは別腹ってやつ・笑)
わたしは今まで銅版画をあまり見たことがなかったのですけど、
それでもレンブラントの版画がすごいというのはわかりました!
何なんだあれは。光と影を表現するとか、そんなレベルじゃないぞ。。。
光の表現が一番美しいなと思ったのは「ラザロの復活」。
空の光と地中からの光がぶつかって拡散するさまが美しいです。
窓辺で手紙を読む男性を描いた「ヤン・シックス」も
窓の外と室内の明暗がはっきりくっきりしているのが目を引くなぁと思いました。
手紙を読む姿を描かせたらスゴイのはフェルメールですが、
レンブラントもスゴイです。
「蝋燭の明かりのもとで机に向かう書生」は、遠くから見ると真っ黒なのですが
近づくとだんだん書生さんの姿形が見えてくるから不思議。
明るい部屋から暗い部屋に入って、暗闇に目が慣れてくる感覚に似ているかもしれません。
(トニー・ラズロ氏が「抜かれるなら度肝がいいよね」と言っていたことがあるけれど
あれはこういうときのための言葉じゃないかと思う)
あと、レンブラントは和紙も結構好んで使っていたらしく、和紙に刷られた版画もありました。
洋紙の版画もきりっとした色合いでとても美しいのですが、同じ絵を和紙で刷ると
グラデーションが洋紙よりも淡く柔らかい色合いで出ていて
朝焼けや夕焼けの空みたいだなぁと思いました。
はふぅ~綺麗だった(*´∀`*)。
思わずミュージアムショップで和紙版画のポスカを買いまくってしまったよ…。
白黒版画のほかに、レンブラントの色彩絵画の展示もいくつかありました。
『音楽を奏でる人々』の前に人混みができていたので何だろうと思ったら、
学生(たぶん芸大生)さんたちが「この人(絵の中の女性)どこ見てるのかなぁ」と
議論をされていたのでした。。。
3人の楽師と1人の聴き手が描かれているのですが、聴き手の女性だけが
ややうつむき気味に視線を落としていて、楽師も景色も見ていないので
この人の視線の行く先はどこだろうと、わたしも気になりました。
(展覧会の混雑って、稀にこういう話がこっそり聞けるから捨てたもんじゃないと思う)

↑戦利品。写楽展の和紙ファイルと、レンブラント展のポスカと、キャラメルワッフル。
ワッフルのパッケージは展覧会仕様だそうですよ~オシャレvvv
※クリックで大きくなります
「行きて帰りし遣唐使・後日」その6。5はこちら。
マッキーと玄ちゃん、国府近くの藤井寺に住んでいるまぁくんの両親の家を訪ねました。
唐から持ち帰ってきたまぁくんの遺品を渡すためです。
積もる話もありましたが、ないしょで宿舎を抜け出してきたので
「また来ます」とだけ告げて帰る2人。
春先の夜は更けてゆきます。
続きはこちら。
*遣唐使のイラスト記事一覧はこちらです*
国立西洋美術館の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展に行ってきました!
どちらも午後に行ったので、館内が人・人・人だらけでしたが
鑑賞者の年齢層はまったく違っていて少々びっくりでした。。。こんなに違うものなのかぁ。
写楽展は年配の方々や家族連れが多くて
(着流しに帽子を被った40代くらいのおじ様2人が、すごく様になっていてストーカーしかけた)、
逆にレンブラント展は若い人やカップルだらけだった気がする。
作品の前で専門用語を炸裂させてデッサンやエッチングがどうとかトークしてたのは
たぶん東京芸大の学生さんではないかな。
(ところで、どうでもいい余談ですが芸術系の学校に通う人って
とても個性的で奇抜で、でも妙にしっくりくるファッションをされるよなぁと思います。
「この着こなしで違和感が仕事しない!すげぇ!!」といつも思ってしまう)
「写楽」展。彼の作品を、いわゆる一期から四期まで、そしてこれだけの量を
いっぺんに見るのは初めてだったので、絵の変遷をじっくり見られて感激でした(´∀`)。
国内だけではなく、アメリカ、イギリス、ベルギー、オランダなど世界各国の絵が来ていました。
中には同じ図柄の絵が2~3枚並んで比較展示されていましたが
同じ人物でも着物の色が違ったり、柄がついていなかったり、
背景が雲母摺りではなかったり省略されていたりして、
当時の出版事情を彷彿とさせる展示になっていたと思います。
そうすると、版画というのは大量生産物ではなくて、1点ものなのだな…とも改めて思えて、
そこも印象的でした。
写楽の絵で文句なしに迫力を感じるのは、やっぱり第一期の大首絵ですね。
大谷鬼次の江戸兵衛と市川男女蔵の奴一平の一対は、何度みてもわくわくする。
(現代人が写楽と聞いてパッと思い浮かべるのも、江戸兵衛の図が多いんじゃなかろうか)
そして、第二期や第三期の絵の、役者の立ち振る舞いや風俗なども
江戸っ子が見ていたであろう景色が目の前にあると思うと、楽しくて仕方なかったvvv
あと、歌川豊国や勝川春英の役者絵も一緒に並べて展示されていて
絵師による役者の描き方の対比がみられて良かったです。
たとえば、春英の沢村宗十郎はおっとりした印象を受けましたけど
逆に写楽の宗十郎はのっぺりとしていて、何となく背が高そうな感じがします。
そして豊国の宗十郎は扇子をバッと広げた立ち姿で、
いかにも江戸っ子が好みそうな、粋なポーズだなぁと思いました。
他にも春章や歌麿や北斎や栄松斎長喜や鳥文斎栄之や
たくさんの絵師の絵があって燃えて萌えてたまらんかった☆
江戸の錦絵業界はこんな猛者たちであふれかえっていたのだな…江戸時代わくわく。
そんなこんなで眼福満腹状態になって、ふらふらとレンブラント展へ行ったのですが
ここの展示も写楽展に負けないくらい充実していて、
満腹だったことなどすっかり忘れて楽しんでしまいました。
(あれだ、デザートは別腹ってやつ・笑)
わたしは今まで銅版画をあまり見たことがなかったのですけど、
それでもレンブラントの版画がすごいというのはわかりました!
何なんだあれは。光と影を表現するとか、そんなレベルじゃないぞ。。。
光の表現が一番美しいなと思ったのは「ラザロの復活」。
空の光と地中からの光がぶつかって拡散するさまが美しいです。
窓辺で手紙を読む男性を描いた「ヤン・シックス」も
窓の外と室内の明暗がはっきりくっきりしているのが目を引くなぁと思いました。
手紙を読む姿を描かせたらスゴイのはフェルメールですが、
レンブラントもスゴイです。
「蝋燭の明かりのもとで机に向かう書生」は、遠くから見ると真っ黒なのですが
近づくとだんだん書生さんの姿形が見えてくるから不思議。
明るい部屋から暗い部屋に入って、暗闇に目が慣れてくる感覚に似ているかもしれません。
(トニー・ラズロ氏が「抜かれるなら度肝がいいよね」と言っていたことがあるけれど
あれはこういうときのための言葉じゃないかと思う)
あと、レンブラントは和紙も結構好んで使っていたらしく、和紙に刷られた版画もありました。
洋紙の版画もきりっとした色合いでとても美しいのですが、同じ絵を和紙で刷ると
グラデーションが洋紙よりも淡く柔らかい色合いで出ていて
朝焼けや夕焼けの空みたいだなぁと思いました。
はふぅ~綺麗だった(*´∀`*)。
思わずミュージアムショップで和紙版画のポスカを買いまくってしまったよ…。
白黒版画のほかに、レンブラントの色彩絵画の展示もいくつかありました。
『音楽を奏でる人々』の前に人混みができていたので何だろうと思ったら、
学生(たぶん芸大生)さんたちが「この人(絵の中の女性)どこ見てるのかなぁ」と
議論をされていたのでした。。。
3人の楽師と1人の聴き手が描かれているのですが、聴き手の女性だけが
ややうつむき気味に視線を落としていて、楽師も景色も見ていないので
この人の視線の行く先はどこだろうと、わたしも気になりました。
(展覧会の混雑って、稀にこういう話がこっそり聞けるから捨てたもんじゃないと思う)

↑戦利品。写楽展の和紙ファイルと、レンブラント展のポスカと、キャラメルワッフル。
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