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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


芸術家たちの祝祭。

  1. 2012/03/29(木) 23:45:54_
  2. 文化・美術
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  4. _ comment:2
東京国立博物館の「ボストン美術館 日本美術の至宝」展に行ってきました!
ボストン美術館所蔵の日本美術コレクションが約90点ほど見られる展覧会です。
いやー、もう、めっちゃくちゃ楽しかった!!これは会期中にまた行きたいレベル!!

午前中に行ったのですが、それでもわりと混雑ぎみでして
作品の正面に立って鑑賞するのがなかなか大変でしたけれども
タイミングを見て最前列に出たりしながら楽しんでまいりました。
(前回の北京展に比べればものすごくまともに鑑賞できたと思う)
まず始めに奈良時代や平安時代の仏画がいっぱいあったのですけど、
1000年以上前の絵となるとだいぶ色落ちしてしまっているのが
仕方ないこととはいえ切なかったです。おいたわしい。
「一字金輪像」とか、描かれたばかりの頃はものすごく美しかったんだろうと思う。
あ、でも「馬頭観音菩薩像」とかはわりとしっかり色が残ってる方かな…。
目をかっと見開いたかっこいい菩薩さんです。
しかしあの方はいつ見ても立派なアフロをしていなさるのう…ある意味見とれます(^ ^;)。
弁天様が龍に乗って波の上を行く「騎龍弁天」も良かったなぁ。
橋本雅邦がすごくいい仕事をしていると思う。
「地獄草紙」の断片とかよく残ってたなー。鬼さんたちの顔がユーモラスでした。

快慶の「弥勒菩薩立像」が!もうね!!いいのですよ!!(笑)
すらりとした立ち姿の仏像なのですが、ボディラインとか腰布とかのタッチが丸みを帯びていて
やさしい感じがするのです。弥勒菩薩だからかもしれないけれど。
快慶が若い頃の作品らしいですけれどももはやそれどころじゃないです。見とれた。
鎌倉時代の作品ですが体の金色がほぼ残っていました。とてもよい状態で保存されていたのだな。
快慶は運慶とセットで語られることが多い人ですが、
どちらかというと運慶よりもやさしく厳しく彫っているような気がします。
力強さを全面的に出すのではなくて、内に秘める感じ。
いいなぁ。
康俊の「僧形八幡神坐像」を見て、先日京都の平岡八幡宮に行った時に見た
空海像を一瞬だけ思い出した。あれも僧形八幡だった。
円慶の「地蔵菩薩坐像」はわりと力強いタイプの像で、どことなく運慶を連想したなぁ。
顔はとても穏やかだったのですけども。

「吉備大臣入唐絵巻」は久し振りに見ましたが、
今回は全4巻すべてがきっちり開かれて展示されていて
解説キャプションを追いながら絵巻が全部読めるようになっています。
うおーっ、楽しい!!
遣唐使として唐に渡った吉備真備が色々な試練を受けるというストーリーなのですが
時に漫画チックに、時に舞台チックに生き生きと描かれていて
見終えた後は「小説を1冊読んだな」という気がしました。
真備がとぼけているのか余裕なのか、よくわからない表情なのがかわいい。
真備が試練を乗り越えるたびに、被り物の纓がぴょん!と跳ねる唐の官吏たちかわいい。
皇帝が作戦会議をしている間、建物の外で昼寝してサボってる官吏たちもかわいい。
真備と鬼の仲麻呂が空を飛んでいるのがかわいい。
馬とか牛とか鬼とか、動物たちもかわいい。
とにかくみんなかわいい。これに尽きる。
作者はわからないのですがたぶん遊び心のある人だろうなぁ。鳥獣人物戯画の作者みたく…。

「平治物語絵巻」は初めて見たのですが、迫力がすごくてちょっと意外でした。
たぶんこれ「源氏物語絵巻」の車争図より緊迫感ある絵ですよ!!
三条殿に駆け込む公卿たちとか、武士たちでごった返した邸内とか、逃げまどう群衆とか
モブシーンが結構多いのですけれども
ぐちゃぐちゃにならずに誰が誰だかわかるようになっていてヒョエーと思った。
人や車の配置とかきちんと計算して描かないとこうはいかないんじゃないだろうか。
(あまりにも気に入ったのでミュージアムショップのカプセル玩具で
この絵のやつ買ってしまった)

狩野元信の「白衣観音図」が、顔を描く線は細かくて衣装の白衣は大胆タッチで描かれていて
どことなく雪舟の達磨図を連想させるものだったのですが、
白衣のタッチが迷いがなく、水が流れるみたいにするすると描いている感じがして
ものすごく模写してみたくなりました。絵魂がたぎる!!
久し振りに絵が描きたくなる絵に出会ったなあ。
狩野雅楽助の「松に麝香猫図屏風」のにゃんこがかわいかったので
ミュージアムショップでチャームを買ってしまったよ。

江戸時代の小袖もたくさんありました。能装束が多かったような。
どれも豪華で美しくて、羽織ってみたい衝動にかられました。
「白紅浅葱段燕花熨斗模様」の模様をかたどった風呂敷があったのでミュージアムショップで買(ry
「紅地流水芦菊槌車模様」とか、一見、刺繍のように見えましたが
これ織物なのですね。唐織。
信じられません。こんな模様の布、一体全体どうやって織るんだよ…。
あと刀剣コーナーに「太刀 銘安綱」があってほえ!!?!?ってなりました!
東博が所蔵する童子切を打った伯耆安綱の作品だよ~~~兄弟刀!見られてよかったです。
刀の知識はほとんどありませんが安綱だけは別です、名前を聞くと耳がダンボになります。
酒呑童子を斬ったという鬼切(北野天満宮蔵)などを打った刀匠ですから…鬼ファンは必見。

等伯の「龍虎図」と永徳の「韃靼人朝貢図屏風」が並んでいるのを見て笑いそうになった。
当時のライバル同士を並べるって、なかなかニクい演出ですな。
等伯と永徳は、絵よりも本人たちを眺める方が楽しい種類の人たちだと勝手に思っています。
お互い少し離れてガン飛ばし合っている間柄というか。
等伯が永徳の背中を睨み付けていて、永徳は後ろを振り向きたいんだけど
そんなみっともないことはできんとか考えてぐぬぬぬしていたらいいよ。主にわたしが。

狩野山雪の「十雪図屏風」はすごく山雪らしい絵だったなぁ。
山雪というと、やはりメトロポリタン美術館の「老梅図」の印象が強いため、
木や岩がカクカクごつごつしているところに山雪らしさを感じました。
尾形光琳の「松島図屏風」もすごく光琳らしい絵です。
私淑した俵屋宗達の同図を模写したもののひとつ(光琳は松島図を何度も描いています)ですが
波とか島とか、相変わらずのデザインセンス。
たぶんこれ、このまま着物とかに仕立てても全然違和感のない柄になるんじゃなかろうか。
特に波が良かったです。轟々と、途切れることのない波音が聞こえてくるようでした。
あれだ。耳に渦巻き貝を当てると海の波の音がするような、あんな感覚。
若冲の「鸚鵡図」のかわいさにキュンときた~。
頭から尾まで真っ白なオウムちゃん、目がくりくりしていてとってもキュートです。
「十六羅漢図」の羅漢さんたちはどことなく若冲のニワトリを彷彿とさせる感じがしました。
(あ、群鶏図のリアルなニワトリではなく、晩年に水墨でよく描いていたニワトリの方です)

そして最後に蕭白がズラリ!!
「見立久米仙人」とか「朝比奈首曳図屏風」などが蕭白らしいユーモアに溢れていて良かったです。
久米仙人がもうキモい(笑)。
いや、「虎渓三笑図屏風」の3人のキモさにはかなわないかな…(^ ^;)。
「風仙図屏風」は前から見たかったので感激でした。画面全体に風が吹き荒れていた。
蛸足のような黒い風の渦がもう、ヒュゴーッとか轟音が聞こえてきそうな、そんな勢いがある絵でした。
そして「雲龍図」。
遠目から見ても近づいて見ても威圧感があって、でも龍の目はギョロ目で全然怖くなくて
でもじーっと見つめているとやっぱり迫力がある感じ。
龍をとりまく風や波が、ラピュタを守る龍の巣の雲みたいでした。風の壁みたいな。
あと画面全体に墨がとばしてあった。波しぶきでしょうか。黒い波って新鮮。
胴体部分の絵は失われてしまっているらしいけれどもどんな風に描いてあったんだろう。


ところでこの展覧会、ブロとものkanayanoさんと2人でキャッキャしながら行ってきまして
この後に常設展を見て、上野駅構内にあるスープ屋さんでお昼ご飯を食べながら
ひたすらおしゃべりしまくりました。
久し振りにガチ歴史トークができて楽しかったです。kanayanoさんありがとうございましたー☆


本日のお絵かき↓
碁に興じる。※クリックで大きくなります
何となく前回記事の続きっぽく。
宿直中の2人、歌詠みだけでは退屈なので碁盤を引っ張り出してきました。

躬恒「さぁて、いくつ置こうかな」
貫之「えっ、置くのか」
躬恒「だってあなた強いじゃん」
貫之「あんたこそ強ぇだろ」
躬恒「ひいふうみい…と。じゃ、お手柔らかに~」
貫之「ちぇ」
躬恒「(パチ)」

躬恒のペースで進む夜です(笑)。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
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プロフィール

ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
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