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来世へ歩いてゆく。

2012.07.22 23:42|文化・美術
このごろ流行りの女の子。
行こうかどうしようか迷っていたところへ
鍼灸師の先生から有難いことに招待券をいただいたので(先生ありがとうございます!)、
森アーツセンターギャラリーの「大英博物館古代エジプト展」に行ってきました♪
写真は戦利品のエジプト展ジュニアガイドとヒエログリフの指輪です。
表紙でウインクしている女の子は、
この展覧会の目玉でもある「グリーンフィールド・パピルス」の主人公である
神官ネシタネベトイシェルウのゆるキャラ版(?)でイシェルウちゃんというらしい。
アイシャドーがもえ。

展示品は主に死者の書のパピルス、神像、供養碑、柩、ミイラ、副葬品、アクセサリーなど
古代エジプトの葬送に関する展示品でまとめられていました。
ことに死者の書の断片が多く、布や柩に書かれた碑文や呪文がたくさんありました。
ヒエログリフはまったく読めませんけども、そこに呪文が書かれていると思うとドキドキした。
死者が来世で復活するためにはそれらの呪文を一文字でも間違えて書いたらアウトなわけで
制作する職人たちの緊張感が偲ばれます。
(あ。今日初めて知ったのですがヒエログリフって左から書いても右から書いても
文章として問題なく読める文字なのだそうです。すご)
ミイラは背の高い男性と小柄な女性の2体がいらっしゃいまして。
本物を見るのは初めてでしたがやはりグッときます。拝見するのが失礼な気がしてしまった。
心臓とみなして死者の首にかけるスカラベのペンダントの裏側に
びっしりヒエログリフが書き込まれていて
(“わたしの心臓よ、わたしを裏切るな”とか、そんな内容の文章らしいと図録に書いてあった)
でも名前を書く部分だけ空欄になっているのは展示品が流通品であることを示しているそうです。
これを市場で買うエジプト人を想像してちょっと微笑ましく思った。

死者の書はいわゆる「来世へうまく生まれ変わろうマニュアル」みたいなもので、
亡くなって冥界に行った死者がイアルの野という楽園に生まれ変われるように
色々な副葬品とともに柩に納められたのだそうです。
逆にいえばそれだけ「死後も豊かであるように」との遺族の思いが込められているんだろう。
今回展示のグリーンフィールド・パピルス(全長37m!)のネシタネベトイシェルウも
冥界でオシリスのもとへ行くために舟に乗ったりワニやヘビを退治したりしながら
大冒険を繰り広げ、
冥界の王オシリスの厳しい審判を受けて合格し、晴れてイアルの野に生まれ変わって
畑を耕しながらのどかに暮らすまでの姿が描かれていました。
(彼女のように身分の高い人だと農作業を召使いに手伝ってもらうこともできるらしい)
生き返るために試練を受けなければならず、生まれ変われば楽園で暮らせるという思想は
古今東西を問わないのですな…。なんだか感慨深くなりました。
イシェルウの時代から1000年後の職人たちが
イシェルウの時代の死者の書を写したパピルスも展示されていまして、
それらには写し間違いや書き間違いが見られるものもあるそうです。
書物は200年経つと読めなくなる、というのは
藤原俊成・定家親子と源氏物語の関係のようでキュンときました。
あの2人もさんざん苦労して注釈書を作っていたっけ…。

エジプトの神様たちもなかなか個性豊かです。
オシリスの存在感がやっぱり一番強烈でしたねぇ。
彼が行う審判の場面がカラー映像化されて展示室の壁に投影されていました。キラキラしてた。
冥界の王様なので、巨大な冠のようなものを被っていますが
オシリス像の前でわたしの後ろの鑑賞者の人が「被りものがイカ」と呟くのを聞いてしまって
そこからはどうがんばってもイカにしか見えなかった…オシリスごめん。
トトは普段はヒヒの姿をした神で、冥界での仕事の時はトキの頭をした人型をとると聞いて
神様のオンオフかぁとか妄想が広がりました(笑)。
サラリーマンがスーツ着て出勤するみたいな。
(余談ですがパピルスの中でトトが持っている筆記用具の展示もありまして、
葦のペンにパレットとインクに硯で、ナイフでペンを削って書きやすくしていたとのことで
やっぱり書くことの基本ってこういうものなのだなーと思った)
ラー・ホルアクティが頭に太陽を乗っけているのは地平線の神様だからなのだろうか…。
その太陽もクチバシと尾が生えていてニワトリみたいでかわいいです。

パピルスに描かれた動物たちもいました。
動物たちが2足歩行で農業をしたり、セネトという盤上ゲームで遊んでいたり。
ライオンや猫は死者の書のどの部分でもリアルに描いてありましたね。
特に「お尻をつけて座る2頭のライオン」というモチーフが多かったかな。
2頭のうち片方は昼を、片方は夜を表していて1日を象徴することから
よく描かれるモチーフだったそうな。
神様が化けるワニとか、はやぶさの頭のホルスとか
神様に関係している動物たちは制作者たちも気合いを入れて描いていたらしくリアルでした。
グリーンフィールド・パピルスにおける、オシリスの審判の場面で元気良く(?)飛び跳ねる
スカラベくんがかわいいです。
大事な場面なのにあの緊張感のなさは何だろう…(^ ^;)。
あと、ヘビ。冥界では死者に対するエネミーとして描かれていますが
復活後の世界であるイアルの野にいるヘビは楽園の守り神とのことで、
そういうところも面白いなと思いました。

全体を通して知らなかったことばかりで、とても勉強になりました。
最初は「ここが違うな」「アジアやヨーロッパだとこうかな」という感じでしたが
だんだん「あ、ここ同じ」「これはあれに似てる」などなど
共通点を探せるようになるのが楽しくてたまりませんでした☆
おなじ人間が作るものなんだし、似通ってても全然おかしくないよね。
むしろ似ているからこそ共感できるんだしねぇ。

あと、これは非常に余談になりますけれども。
ホルスで『太陽の王子ホルスの大冒険』を、トトで『TPぼん』を思い出すのはいいとしても
ホルスとラーが一体化するとラー・ホルアクティになると書かれていたキャプションを見て
立川恵氏の『夢幻伝説タカマガハラ』を思い出した人はいるのかなあと。
実はわたし、あの漫画で「地平線の少女」と書いて「ホルアクティ」とルビがふってあった理由が
全然わからないまま大人になってしまったのですが、
ホルスが地平線の神であることを今日初めて知って
「あーそれで地平線の少女(ホルアクティ)か!」とやっと謎が解けてすっきりできました。
まさか古代エジプトにヒントがあったとは。。
それから、グリーンフィールド・パピルスのイシェルウのバーを見たときにふと
「これどっかで見たことあるなぁ、どこだっけなぁ」とか考えて思い出せなかったのですが、
帰宅して自室の本棚を見て思い出しました。ヘルベルト=ホルツィングだ。



↓本日から貫之のお話の新シリーズ開始です。
タイトルもつきましたので、改めてよろしくお願いいたします☆
呼び出し。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」歌合編その1。前回までのお話はこちら

ある昼下がりの貫之。仕事中、自分を呼びとめる声が聞こえたので立ち止まりました。
振り返ると、使いの童子が何かを手にしてやって来ています。

童子「こんにちは、友則さまの使いで参りました」
貫之「友則の?…えっと」
童子「桜と申します、以後お見知り置きを。主人から言づてがございまして」
貫之「なんだ」
童子「本日退庁されましたら、この文に書かれているものを持って邸までお越しくださいとのことです」
貫之「え、あいつ、寝込んでんじゃねぇの。今日も休暇届出てたし」
童子「おっしゃる通りなのですが、先ほど起きあがられました。だいぶ回復したとのことで」
貫之「心配かけやがって。…わかった。行くと伝えてくれ」
童子「かしこまりました。では」

さて友則は何の用事なのでしょう…。続きます。


クリックで握手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル:学問・文化・芸術

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