4年と312日の年の差。
ブロとものkanayanoさんと世田谷&赤坂で展示巡りしてきました~☆
まずはこちら↓

世田谷文学館の「齋藤茂吉生誕130年記念 齋藤茂吉と『楡家の人びと』展」です。
チラシ超かわいい~~~~~(人*´∀`*)♪
茂吉は近代の人なので写真がたくさん残っているのですが、
このチラシのイラストそっくりな写真(晩年の頃ですね)もありましたよ。好々爺♪
遺品であるメガネや帽子もあった。帽子ちっちゃかった。ちっちゃいおじいちゃんか…キュン。
茂吉の息子である北杜夫氏の小説『楡家の人びと』(齋藤一家がモデル)を中心に、
北氏の著作から茂吉を見つめるというコンセプトの展覧会です。
『楡家の人びと』は未読ですが、茂吉の遺品とか手紙とか、家族の写真とか
小説の年表&茂吉の年表を並べた展示などを見ていると読みたくなってきますね☆
これがどんな風に小説の中で再現されているのかなぁ、とか。
青山脳病院の模型にビックリしました。ものすごい巨大施設…もはや要塞。
茂吉の書や絵画に興味津々。
短冊や公用の手紙、掛け軸、色紙の茂吉の字は割と四角いのですが、
家族宛などの私的な手紙は走り書きだったりして、使い分けが垣間見えました。
(過去に冷泉家展で藤原定家の字を見ましたけど、定家も似たようなことしてたな…)
絵も、画家になりたかったらしくかなりのレベルです。凧の金太郎が迫力あって良かった。
遺品の絵の具のメーカー名が「SHISEIDO」だったことにちょっと衝撃。
茂吉の歌集って正直、『赤光』しか知らなかったのですけども
生涯に出した無数の歌集や短冊歌が、茂吉の故郷山形の写真とともに展示されていました。
ざっと見ただけな、ざっくばらんな感想を言うと、雄々しくあろうとしている印象ですね。
万葉集や正岡子規を深く敬愛していたらしくて、その影響もあるかな…。
『赤光』は違ったけど、ほとんどの歌集が岩波書店から発行されているのも印象的だった。
後ろの方の展示にもありましたが、茂吉は岩波で講座も持っていたみたいです。
芥川龍之介が茂吉の患者だったことも、今回初めて知りまして。
茂吉が芥川に出した処方箋が展示されていました。残ってるんだ…感動…(*´Д`)キュン
5種類の薬が処方されていたようで、「重曹」もあった。重曹ってこの頃からあるんだ。
短歌を交えた手紙を何度もやりとりしており、12~3通くらい展示されていましたね。
芥川が「今、フランス絵画の展示があるので見にいってくださいな」とか書いていて
茂吉が「教えてくれてありがとう、行けたら行きます」的な返事をしていて
とても微笑ましく思いました。
ライブ感のある記述って好きです。
自殺する1年くらい前から、芥川の手紙にはだいぶ切羽詰まった感が出てきていました。
あー、「ぼんやりとした不安」を抱えていた頃だな…。
芥川の自殺を聞いた茂吉が、あわただしくその旨書き込んだ手帳もあって
単純に訃報を聞いた的な一文のみで、かえって茂吉の受けたショックが伝わってくるようだった。
齋藤家の人々の遺品や写真展示もいっぱいあったのですが、
ここのへんはもう、kanayanoさんと一緒に大爆笑しながら見てきまして。。
なんというか、
母SUGEEEEEEeeeeeeeee!!
これに尽きます(;´▽`)。
ええとつまり、輝子さん(茂吉の妻で北氏のお母さん)のことなのですけども。
旅行好きな人だったらしいんですが、いやそれは別にいいんですが
南極行ってみたりとか、エベレスト登ってみたりとか、
旅行土産のダチョウの卵とか、どこの部族の国から出したのかわからない絵はがきとか、
(いや待て、水木しげる氏のお友達か誰かで似たような人見たことあるぞ)
スリリングなエピソードや持ち物がたくさんありまして。
お孫さんが書いた本『猛女と呼ばれた淑女』そのまんまだと思いました。たくましい母…!
中でも戦慄したのは旅行トランク。茂吉と、北氏と、輝子さんの3つがあったのですが
サイズが、
茂吉<北氏<<<<<<越えられない壁<<<<<<輝子さん
だった…まぎれもなく…。
国旗のペナントとかくっついてて、丈夫そうでオシャレなトランクでした。欲しい。
ご家族は他に、長男の茂太氏と次男の杜夫氏に関する展示が。
モタさんが飛行機オタクだったことは生前から有名でしたね~。
コレクションの飛行機会社のフライトバッグは傷ひとつなかったです。愛がすごい。
北氏の展示は著作や原稿、船医の身分証明書、昆虫採集ノート、聴診器など。
高校時代のテストの答案や松本高校卓球部のゴム印もあったよ。大事な青春の思い出ですなァ。
『どくとるマンボウ青春記』『航海記』『昆虫記』などを思い出しながら
楽しませていただきました。
『楡家の人びと』ノートの表紙には北氏の住所と一緒に
「重要品」「おとどけ下さった方には謝礼を致します」って書いてあって笑った。
マブゼ共和国のスペースでもっと笑った。茂吉の歌入り旅行券もらってきたよー☆
あ、それから、『怪盗ジバコ』が映画化されたときの記念カードがあって
映画化とか全然知らなかったのですごいビックリして、
しかもキャストがハナ肇&クレイジーキャッツで更にビックリした!えええぇぇうそおおぉぉ
い、いいいいやでもジバコだから、何せジバコだから、
むしろ彼ら以外には考えられないくらいドンピシャリなキャスティングなのかも…!
原作の小説とは内容が全然違う映画らしいですけども、
なんかそれもある意味ものすごくジバコらしいというか(笑)。
最後の最後までネタだらけだなぁ…最強だなぁこの一家…はあー笑った笑った。
そんなこんなで文学館をたっぷり堪能した後は、電車で赤坂に移動して、
kanayanoさん行きつけのお店でしゃぶしゃぶランチ(絶品)をいただいてから
こちらに行きました↓

ニューオータニー美術館の「小村雪岱展 大正・昭和のグラフィック・デザイン」☆
およそ100年前に東京で活躍していた小村雪岱の仕事を紹介する展覧会です。
雪岱は川越生まれで、泉鏡花の小説『日本橋』の装幀を手がけたことでデビューし
主に装幀や挿絵、舞台美術、広告などを手がけるようになっていったそうです。
『日本橋』の本、確かに、素敵な装幀でした☆
表紙には川沿いの並び蔵に舞うツバメ、表紙をめくれば芸者の部屋と、長屋上に輝く満月。
風景はお江戸を思わせますが、雰囲気はモダンそのもの。
線を削ぎ落としてシンプルな画面にしているので情景がわかりやすく、
読み手が想像を拡げていくことのできる絵だと思います。
挿絵ってこうじゃなくちゃね。
ってか、雪岱さん、鏡花とめっちゃ仲良しだったんですな…!
一緒に何十冊も本作ったり、雪岱が模様を描いた着物に鏡花が賛を入れたり、
九九九会という名の泉鏡花ファンクラブを作っちゃったり(笑)。
なんなの雪岱のこの鏡花大好きキャッキャウフフ感はなんなの、けしからん!!
だが気持ちはよくわかる。
今回、ポスターやチラシのメインビジュアルにもなっている
小説『おせん』の装幀や挿絵もありましたよー☆
そうです、おせんとは言わずと知れた彼女です…( ̄▽ ̄)ニヤリ
江戸時代中期に実在した、水茶屋「鍵屋」で働いていた笠森のお仙ですよ~♪
お仙の小説が出ていたなんて全然知りませんでした。探して読まなければ…!!
彼女は鈴木春信がよく絵にしたことで有名なのですが、
雪岱は小説の挿絵を描くにあたり、春信のお仙を勉強したらしいです。
それもあってか、雪岱は“昭和の春信”という通り名があったとか。
(kanayanoさん情報ありがとうございます☆)
↑の写真の右に写っている半券が、『おせん』の表紙です。
想い人は瀬川菊之丞という設定らしい。なにそれおいしい。
展示内容は、とにかく装幀のオンパレードで頭がクラクラしました。すごかった。
無数の表紙や裏表紙、中扉などを見ながら、この本はどんな内容かとあれこれ想像してしまいます。
絵が好きな人だけでなく、本好きな人とかデザイナーさんも楽しめるんじゃないかな…。
共通しているのが、決して目を引くようなデザインではないことですね。
目立ってはいないけど、埋もれてもいないような。
忙しくしていてもふと目を留めてしまうような。
賑やかな喧噪ではなく、しいん、という音が聞こえてきそうな。
うまく言えません。
じつは雪岱についてはほとんど何の知識も持たずに行ったので、
これだけ多くの種類のデザインを手がけているとは露知らず、
展示を見ている間は雪岱がどういう人なのかよくわからなかったのですけれども。
確かに鈴木春信や歌川豊国の影響は受けているし、
日本画風だったりプリント柄だったりするデザインが多いですから
傾向としてそういうデザインを得意とした人ではあるんでしょうけど。
女性の全身図は春信を、女性のバストアップは歌麿を、歌舞伎の男役は豊国を連想させるし
平安女性の図は源氏物語絵巻の女性っぽく見えるし、
風景画は広重とクリソツだし、大きな芍薬や牡丹は宋画っぽいし
まるでコピペしたようなプリント柄やワンポイント柄は琳派を思わせるし、
でも全体的に漂うのは、いわゆるハイカラとかモダンと呼ばれる風の雰囲気だし…。
(モダン文化の時代に生きていたので、当たり前っちゃ当たり前ですけども)
たぶん雪岱って、「自分はこういう仕事だけやる」みたいなオレ様デザイナーではなく
注文主がどういうデザインを求めているかきちんと理解して
その通りにデザインするタイプなのではないかな、と個人的に思いました。
雪岱が鏡花の本を装幀するとき「鏡花先生は注文が難しくて大変だった」という
内容の言葉を残している、と図録の解説にもあったので
徹底して注文主の意図を汲む人だったらしい。
得意な絵の傾向はあらかた決まっているけれど、その範囲がものすごく広くて
本を見れば「この本はあの模様が似合う」とかパッとわかるような、
引き出しの多い人だったんじゃないかなぁ。
(でなきゃこれほど多種類のデザインができた理由が説明できない)
鏑木清方が「雪岱さんに肉筆画をつくれと何度かすすめたけど、『億劫でしてね』と言われる」
みたいな随筆を残していることから見ても
ああこの人は心の底からデザインをやりたいのだな…と思った。
しかし絵は春信や豊国で、仕事は琳派ですか…(当社比)。
お江戸の良いところをいい具合に吸い上げて、自分の感性とリンクさせていたのだなぁ。
すてきな人生だなぁ(*´w`)。
いっぺんにファンになってしまいました。もっとこの人のこと知りたいです。
齋藤茂吉と小村雪岱はほぼ同時代の人なわけですが、
まったく違う世界を堪能できて楽しかったし、勉強になりました☆
みんな違ってみんないい。
で、この後、池袋に移動して「古城の国のアリス」で晩ごはんにしたのですが
……こっ…言葉にならないくらいすばらしかったっ……!(ダアアァン!!←床叩)
長くなりますので次回記事で書こうと思います。
クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆
まずはこちら↓

世田谷文学館の「齋藤茂吉生誕130年記念 齋藤茂吉と『楡家の人びと』展」です。
チラシ超かわいい~~~~~(人*´∀`*)♪
茂吉は近代の人なので写真がたくさん残っているのですが、
このチラシのイラストそっくりな写真(晩年の頃ですね)もありましたよ。好々爺♪
遺品であるメガネや帽子もあった。帽子ちっちゃかった。ちっちゃいおじいちゃんか…キュン。
茂吉の息子である北杜夫氏の小説『楡家の人びと』(齋藤一家がモデル)を中心に、
北氏の著作から茂吉を見つめるというコンセプトの展覧会です。
『楡家の人びと』は未読ですが、茂吉の遺品とか手紙とか、家族の写真とか
小説の年表&茂吉の年表を並べた展示などを見ていると読みたくなってきますね☆
これがどんな風に小説の中で再現されているのかなぁ、とか。
青山脳病院の模型にビックリしました。ものすごい巨大施設…もはや要塞。
茂吉の書や絵画に興味津々。
短冊や公用の手紙、掛け軸、色紙の茂吉の字は割と四角いのですが、
家族宛などの私的な手紙は走り書きだったりして、使い分けが垣間見えました。
(過去に冷泉家展で藤原定家の字を見ましたけど、定家も似たようなことしてたな…)
絵も、画家になりたかったらしくかなりのレベルです。凧の金太郎が迫力あって良かった。
遺品の絵の具のメーカー名が「SHISEIDO」だったことにちょっと衝撃。
茂吉の歌集って正直、『赤光』しか知らなかったのですけども
生涯に出した無数の歌集や短冊歌が、茂吉の故郷山形の写真とともに展示されていました。
ざっと見ただけな、ざっくばらんな感想を言うと、雄々しくあろうとしている印象ですね。
万葉集や正岡子規を深く敬愛していたらしくて、その影響もあるかな…。
『赤光』は違ったけど、ほとんどの歌集が岩波書店から発行されているのも印象的だった。
後ろの方の展示にもありましたが、茂吉は岩波で講座も持っていたみたいです。
芥川龍之介が茂吉の患者だったことも、今回初めて知りまして。
茂吉が芥川に出した処方箋が展示されていました。残ってるんだ…感動…(*´Д`)キュン
5種類の薬が処方されていたようで、「重曹」もあった。重曹ってこの頃からあるんだ。
短歌を交えた手紙を何度もやりとりしており、12~3通くらい展示されていましたね。
芥川が「今、フランス絵画の展示があるので見にいってくださいな」とか書いていて
茂吉が「教えてくれてありがとう、行けたら行きます」的な返事をしていて
とても微笑ましく思いました。
ライブ感のある記述って好きです。
自殺する1年くらい前から、芥川の手紙にはだいぶ切羽詰まった感が出てきていました。
あー、「ぼんやりとした不安」を抱えていた頃だな…。
芥川の自殺を聞いた茂吉が、あわただしくその旨書き込んだ手帳もあって
単純に訃報を聞いた的な一文のみで、かえって茂吉の受けたショックが伝わってくるようだった。
齋藤家の人々の遺品や写真展示もいっぱいあったのですが、
ここのへんはもう、kanayanoさんと一緒に大爆笑しながら見てきまして。。
なんというか、
母SUGEEEEEEeeeeeeeee!!
これに尽きます(;´▽`)。
ええとつまり、輝子さん(茂吉の妻で北氏のお母さん)のことなのですけども。
旅行好きな人だったらしいんですが、いやそれは別にいいんですが
南極行ってみたりとか、エベレスト登ってみたりとか、
旅行土産のダチョウの卵とか、どこの部族の国から出したのかわからない絵はがきとか、
(いや待て、水木しげる氏のお友達か誰かで似たような人見たことあるぞ)
スリリングなエピソードや持ち物がたくさんありまして。
お孫さんが書いた本『猛女と呼ばれた淑女』そのまんまだと思いました。たくましい母…!
中でも戦慄したのは旅行トランク。茂吉と、北氏と、輝子さんの3つがあったのですが
サイズが、
茂吉<北氏<<<<<<越えられない壁<<<<<<輝子さん
だった…まぎれもなく…。
国旗のペナントとかくっついてて、丈夫そうでオシャレなトランクでした。欲しい。
ご家族は他に、長男の茂太氏と次男の杜夫氏に関する展示が。
モタさんが飛行機オタクだったことは生前から有名でしたね~。
コレクションの飛行機会社のフライトバッグは傷ひとつなかったです。愛がすごい。
北氏の展示は著作や原稿、船医の身分証明書、昆虫採集ノート、聴診器など。
高校時代のテストの答案や松本高校卓球部のゴム印もあったよ。大事な青春の思い出ですなァ。
『どくとるマンボウ青春記』『航海記』『昆虫記』などを思い出しながら
楽しませていただきました。
『楡家の人びと』ノートの表紙には北氏の住所と一緒に
「重要品」「おとどけ下さった方には謝礼を致します」って書いてあって笑った。
マブゼ共和国のスペースでもっと笑った。茂吉の歌入り旅行券もらってきたよー☆
あ、それから、『怪盗ジバコ』が映画化されたときの記念カードがあって
映画化とか全然知らなかったのですごいビックリして、
しかもキャストがハナ肇&クレイジーキャッツで更にビックリした!えええぇぇうそおおぉぉ
い、いいいいやでもジバコだから、何せジバコだから、
むしろ彼ら以外には考えられないくらいドンピシャリなキャスティングなのかも…!
原作の小説とは内容が全然違う映画らしいですけども、
なんかそれもある意味ものすごくジバコらしいというか(笑)。
最後の最後までネタだらけだなぁ…最強だなぁこの一家…はあー笑った笑った。
そんなこんなで文学館をたっぷり堪能した後は、電車で赤坂に移動して、
kanayanoさん行きつけのお店でしゃぶしゃぶランチ(絶品)をいただいてから
こちらに行きました↓

ニューオータニー美術館の「小村雪岱展 大正・昭和のグラフィック・デザイン」☆
およそ100年前に東京で活躍していた小村雪岱の仕事を紹介する展覧会です。
雪岱は川越生まれで、泉鏡花の小説『日本橋』の装幀を手がけたことでデビューし
主に装幀や挿絵、舞台美術、広告などを手がけるようになっていったそうです。
『日本橋』の本、確かに、素敵な装幀でした☆
表紙には川沿いの並び蔵に舞うツバメ、表紙をめくれば芸者の部屋と、長屋上に輝く満月。
風景はお江戸を思わせますが、雰囲気はモダンそのもの。
線を削ぎ落としてシンプルな画面にしているので情景がわかりやすく、
読み手が想像を拡げていくことのできる絵だと思います。
挿絵ってこうじゃなくちゃね。
ってか、雪岱さん、鏡花とめっちゃ仲良しだったんですな…!
一緒に何十冊も本作ったり、雪岱が模様を描いた着物に鏡花が賛を入れたり、
九九九会という名の泉鏡花ファンクラブを作っちゃったり(笑)。
なんなの雪岱のこの鏡花大好きキャッキャウフフ感はなんなの、けしからん!!
だが気持ちはよくわかる。
今回、ポスターやチラシのメインビジュアルにもなっている
小説『おせん』の装幀や挿絵もありましたよー☆
そうです、おせんとは言わずと知れた彼女です…( ̄▽ ̄)ニヤリ
江戸時代中期に実在した、水茶屋「鍵屋」で働いていた笠森のお仙ですよ~♪
お仙の小説が出ていたなんて全然知りませんでした。探して読まなければ…!!
彼女は鈴木春信がよく絵にしたことで有名なのですが、
雪岱は小説の挿絵を描くにあたり、春信のお仙を勉強したらしいです。
それもあってか、雪岱は“昭和の春信”という通り名があったとか。
(kanayanoさん情報ありがとうございます☆)
↑の写真の右に写っている半券が、『おせん』の表紙です。
想い人は瀬川菊之丞という設定らしい。なにそれおいしい。
展示内容は、とにかく装幀のオンパレードで頭がクラクラしました。すごかった。
無数の表紙や裏表紙、中扉などを見ながら、この本はどんな内容かとあれこれ想像してしまいます。
絵が好きな人だけでなく、本好きな人とかデザイナーさんも楽しめるんじゃないかな…。
共通しているのが、決して目を引くようなデザインではないことですね。
目立ってはいないけど、埋もれてもいないような。
忙しくしていてもふと目を留めてしまうような。
賑やかな喧噪ではなく、しいん、という音が聞こえてきそうな。
うまく言えません。
じつは雪岱についてはほとんど何の知識も持たずに行ったので、
これだけ多くの種類のデザインを手がけているとは露知らず、
展示を見ている間は雪岱がどういう人なのかよくわからなかったのですけれども。
確かに鈴木春信や歌川豊国の影響は受けているし、
日本画風だったりプリント柄だったりするデザインが多いですから
傾向としてそういうデザインを得意とした人ではあるんでしょうけど。
女性の全身図は春信を、女性のバストアップは歌麿を、歌舞伎の男役は豊国を連想させるし
平安女性の図は源氏物語絵巻の女性っぽく見えるし、
風景画は広重とクリソツだし、大きな芍薬や牡丹は宋画っぽいし
まるでコピペしたようなプリント柄やワンポイント柄は琳派を思わせるし、
でも全体的に漂うのは、いわゆるハイカラとかモダンと呼ばれる風の雰囲気だし…。
(モダン文化の時代に生きていたので、当たり前っちゃ当たり前ですけども)
たぶん雪岱って、「自分はこういう仕事だけやる」みたいなオレ様デザイナーではなく
注文主がどういうデザインを求めているかきちんと理解して
その通りにデザインするタイプなのではないかな、と個人的に思いました。
雪岱が鏡花の本を装幀するとき「鏡花先生は注文が難しくて大変だった」という
内容の言葉を残している、と図録の解説にもあったので
徹底して注文主の意図を汲む人だったらしい。
得意な絵の傾向はあらかた決まっているけれど、その範囲がものすごく広くて
本を見れば「この本はあの模様が似合う」とかパッとわかるような、
引き出しの多い人だったんじゃないかなぁ。
(でなきゃこれほど多種類のデザインができた理由が説明できない)
鏑木清方が「雪岱さんに肉筆画をつくれと何度かすすめたけど、『億劫でしてね』と言われる」
みたいな随筆を残していることから見ても
ああこの人は心の底からデザインをやりたいのだな…と思った。
しかし絵は春信や豊国で、仕事は琳派ですか…(当社比)。
お江戸の良いところをいい具合に吸い上げて、自分の感性とリンクさせていたのだなぁ。
すてきな人生だなぁ(*´w`)。
いっぺんにファンになってしまいました。もっとこの人のこと知りたいです。
齋藤茂吉と小村雪岱はほぼ同時代の人なわけですが、
まったく違う世界を堪能できて楽しかったし、勉強になりました☆
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
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