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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


こいつぁ春から。

  1. 2013/01/16(水) 23:24:13_
  2. 舞台鑑賞
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
アルス画房さんのポスカ展示が終了いたしました!
見に来てくださった方々、コメントくださった方々、ありがとうございました☆



お気に入りはいますか。
先日の3連休の最終日、天気予報は雪でしたが母親と歌舞伎を見に行ってきました(笑)。
現在、新橋演舞場にて公演中の「壽 初春大歌舞伎」です~♪

年末のかなりギリギリにチケット取ったので、席は後ろの方になってしまいましたが。
花のとおり道。
座ってみたら左端で、花道の脇でした!!
三津五郎、七之助、福助、幸四郎、吉右衛門、芝雀、友右衛門。
手を伸ばせば触れられるような距離を、役者さんたちが何人も駆け抜けて行きましたよ!
息遣いも衣擦れの音も、刀の鍔音も、草履でぐっと踏みしめる音も、全身で聞くことができましたよ。
いやー、楽しいね、楽しいね!

演舞場の顔。
くるりと後ろを向くと、そこは花道の出入り口。
演舞場座紋の「雪月花」が白で染め抜かれています。
幕が開くときはジャラジャラッ!と金属音がして、毎回ビクッとしながら振り向いてた。
たぶん幕を吊り下げている金具の音だな…。
そして開け閉めはおそろしく素早いです…スタッフさん神業。


幕が上がってまず最初に始まるのが、「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」。
物語式の歌舞伎ではなく、天下泰平・五穀豊穣・国土安穏を祈り、新年を寿ぐ舞踊です。
わたしたちが歌舞伎と聞いて連想するものよりも静かで荘厳な感じ。そして華やか!
三番叟は中村梅玉。鈴の舞が綺麗でした。
彼がくるくる回るたびにシャンと神楽鈴(稲穂を模した、15個の鈴がついた楽器)の音が響き渡り、
どんどん軽快になっていって楽しかったです。


続いて、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)車引の段」。
梅王丸・桜丸・松王丸の3人は三つ子の兄弟なのですが、
梅王&桜は菅原道真の、松王は藤原時平の舎人で、要するに敵同士。
道真の敵を討とうと時平の牛車に襲い掛かった梅王&桜vs松王が切ないよー。
そして荒事だから役者の化粧が派手だ。かっこいい。

坂東三津五郎さんは以前から贔屓にしている人なので、ナマで見られて感激でした☆
梅王丸は大迫力でした。常に睨みをきかせていた。
ぐっと腰を落として見得を切ったときに肩で息を切らしているのが後ろからでもわかるから
どんだけエネルギー使っているんだろう。
中村七之助の桜丸はやさしく楚々とした美少年です。少年ではありません。美少年です(2回言った)。
ああああ美しいよお七!!
(桜丸は初演当時から女形が演じることが多くて演者は女性にモッテモテだったらしい)
坂東彌十郎の藤原時平は、迫力がすごくてさながら大魔王のようであった。
あれきっと黒メイクしてたらフォースや暗黒面がどうとか言い出すよ…。
中村橋之助の松王丸が驚きの白さ!しかしそれ以上に驚きのかっこよさ!!
花道に来る演出はなかったのですが、遠目でもハッシーとわかったよねー(*´ω`)。
あの張りのあるお声はハッシーならでは。

ちなみに梅王・桜・松王の三つ子は台本を書いた竹田出雲の創作であり、
道真と時平に実際にそういう名の舎人がいたわけではないです。
なぜ三つ子が出てきたかというと、この歌舞伎が初演される1740年代に
大坂で三つ子が生まれたそうで、(当時三つ子といえば大変めずらしくセンセーショナルだった)、
その話題を盛り込んで創作されたということなのだそうです。
お芝居ってニュース番組でもあったのだな…。


お昼ごはんを挟んで午後から始まったのが「新古演劇十種の内 戻橋(もどりばし)」。
今回一番観たかった演目です(人*´∀`*)♪
なぜって、なぜって、戻橋といえば、茨木童子と渡辺綱の物語と決まっているから☆
動いている茨木と綱が見られるとか何というわたし得!!

(別段、この演目に出てくる鬼の名前が「茨木」と明記されているわけではないのですけども、
わたしは完全に「鬼=茨木」と脳内補完して鑑賞しました。お蔭でめっちゃ楽しかった)

中村福助は女のときは美しく妖艶で、くわっと表情が変わって鬼に変貌したら激しくて、
松本幸四郎の渡辺綱はキリリとしたかっこよさ!
オペラグラスで食い入るように見つめてしまったではないか。
(しかし幸四郎さん、昼の部で戻橋・夜の部で逆櫓と七段目って全然休む暇ないんだな…。
代役って大変だ)

芝居の途中で、役者が舞台から降りてきて客席を練り歩く「客席降り」がありまして、
わーい福助と幸四郎だ☆と喜んで目で追っていたのですが、
彼らが舞台に戻ったら、舞台の装置が戻橋から東屋に早変わりしてた!
会場から驚きの声が上がっていました。わたしも上げました。あれはびっくり。
お客が役者に気を取られている隙に変えるのですね。こういう演出が歌舞伎のいいところか。
ラストに鬼が飛んでいくときの演出もとっても面白い☆
ポーズがめっちゃ好みです。ポーズがね。あれはちょっとクオリティが違いすぎた。
なぜ両足跳ねたポーズで飛んでいったし福助…もはやウサギのかわいさだった。もえる。
あ、そうだ。綱が切る鬼の腕はどっちだろうと思っていたのですが、右腕でしたね。
なるほど、この演目では右腕ですか、そうなのか…。

「戻橋」は渋めの舞台なのであまり上演機会がないらしいのですけど(今回も数年ぶりとか)、
早くもゆさのもう一度見たい歌舞伎リストにストックされました。
個人的に鬼女は当代猿之助にやって欲しいです。だって澤瀉屋の女&鬼とかロマンじゃねえか…!

ちなみにこの「戻橋」、作者は幕末の歌舞伎作者である河竹黙阿弥なのですが
「黙阿弥がなんか面白いもの書いてるらしい」と聞きつけた五代目尾上菊五郎が鬼を演じて
当時は大ヒットしたらしいと、イヤホンガイドの解説で聞きました。
うあー五代目の鬼かっこよかったろうなあ!
お江戸歌舞伎の王道のような、荒々しい力に満ち満ちた芝居だったに違いない。
機会があれば当代菊五郎の綱も見てみたいですね。

あ、幕間(福助が女から鬼に着替える時間)に三味線の速弾き「大薩摩」も聴けました!
超かっこよかったです♪
普段座っている人が、立った状態で台に片足乗せて三味線を弾くのも
本を片手に持って朗々と歌う太夫も、両方ともマジかっこいいよーーー!!!
やってることは普段と同じなのに、ポーズが違うだけですごく印象が変わるのは萌え要素だと思う。


最後は、「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)土佐将監閑居の場」。
この演目に登場するおとくが当たり役だった、四代目中村雀右衛門一周忌の追善狂言です。

絵師の又平は師匠の持つ土佐の名字が欲しいのだけど、師匠がそれを許してくれなくて
死ぬ覚悟で手水鉢の裏に自画像を描いたら、それが表に抜け出てくる奇跡が起こって
師匠に免許皆伝をもらえてめでたしめでたし、というお話。
作者は近松門左衛門だし、上方の時代物だからか人情にあふれていましたね~。
しかし手水鉢に絵が浮き出てくる演出あれ一体どうやってるのだ。。

今回、おとくを演じるのは中村芝雀。
セリフがすごく多いように感じました。1人で3分くらいしゃべってた。
動きもどの登場人物よりもオーバーアクションで、半分立ったまま正座するとか
うずくまってじっとしてるとか、静かな動きも多かった。
ラスト、吉右衛門演じる又平と芝雀のおとくが一緒に花道を退場していくのですが、
2人とも汗びっしょりでした。
「戻橋」の綱と鬼のような大きな動きはないお芝居でも、
ひとつひとつの動作にものすごく神経を行き届かせているんだと思う。胸熱。

中盤で、師匠に見張りを命じられた又平がどっかと座りこんで花道を見据えるシーンがあるのですが
たぶんわたしの見間違えでなければ、吉右衛門さん、まばたき、してない…!?
えっちょっと待ってわたしの体感時計だと10分近く座ってたような気がしますよ?
かっと見開いた大きな目が血走っていました。役者魂が火を噴くぜ。
そうしている間にもお芝居は進行していたのですけど、
どうしても吉右衛門が気になってしまって他のセリフ全然聞いてなかったです(苦笑)。
友右衛門の雅楽之助が刀を手に走ってくる姿勢が、少しもぶれてなくてすごかった。
あの後どこへ駆け抜けて行ってしまったんだろう。
そして、トラ!!あの風貌は笑えた。会場のあちこちから笑いがおきていました。
いや、「絵の中から抜け出てきたトラ」という設定だし、あれでいいのかもしれないけど(笑)。


実は歌舞伎を見たのは今回が初めてだったのですが、
すごくステキな歌舞伎デビューができたなと思います。
演目も有名なものが多くて、荒事、和事、狂言、舞踊と様々だったし。
何より、役者さんたちが客席のすぐ側まで来てくれるのがいいよね!
オットコマエな役者がだだだだっと近くに来て見得切ったら、そりゃファンになっちゃうよ!!
ここぞという場面で大向うから屋号が叫ばれるのと、しょっちゅう盛大な拍手が送られる光景に
いちばん江戸を感じた。


以前に能と狂言を見た経験があるので、それらと比べながら見ることもできました。
全然違うと話には聞いていましたけど、やっぱり全然違いますねえ。
能は歌舞伎ほど派手な看板も舞台装置もないし、歌舞伎は能ほど格調高くないと思う。
能は江戸時代以前からずっとお偉いさんたちに継承されてきた大きな文化だから
ちょっとやそっとじゃびくともしない、大きく揺るぎない感じで
歌舞伎は江戸時代になってできた新しい文化で、主に庶民が楽しんだから
庶民が面白がれば面白がるほどダイナミックに変化していく感じ。
その2つの中間くらいに狂言があって3つが並ぶとちょうどよいバランスに見えてくる不思議。
面白いなー。


4月に杮落としを迎える新しい歌舞伎座の公演も、できれば見に行きたいなあ。
チケット取れるかな取れるかな。


で、そうしてさんざん楽しんだ後に外へ出たら案の定大雪、てか、吹雪でした(;´∀`)。
東銀座駅へは歩いて5分くらいなのに靴がびしょびしょになったよ。
地下鉄で移動中に運行情報を見ていたら見事に地上路線がバタバタと倒れていきました。。
ゆるゆると動いていた埼玉の星・東上線はわたしと母が最寄り駅で降りたとたんにコケました。
よくがんばってくれた…!
成人式の方々大変だっただろうな。みなさん寒い中お疲れさまでした。
まだ道路には雪が残っていますので、今週いっぱいは警戒した方がよさそうですね。
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テーマ : 歌舞伎    ジャンル : 学問・文化・芸術

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