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2013_03
29
(Fri)23:38

キャットファイト。

見合って。
こたつ布団の上で寝ていた姉にゃんこの側へ、母にゃんこが寄っていきまして。

見合って見合って。
ふんふんと匂いを嗅ぎ始めました。

何を隠そう、これは「どけ」という意思表示なのですが(笑)、
姉にゃんこも向きは変えたものの、せっかく寝ているのに動きたくないので動きません。

一触即発。
はっ!

なによ…。
しばらくにらめっこをしていましたが、
姉にゃんこがテコでも動かないので諦めたのか、母にゃんこは身を引きまして。

ムスッ。
結局、別の場所に落ち着きました。最初からここに来ればいいのに(笑)。

安心。
「あーやっと平和になった」

我が家では2日に1回の割合でこのキャットファイトが開催されます。日時・場所は不定です。
始まっても、面白いからだいたい放っておきます。「あーやってるやってる」って感じ(笑)。


ところで最近、高校生たちが吹っ飛び画像なるものを楽しんでいるとtwitterで知りまして、
画像を見てみたらびっくりして、すっかり面白くなりました。
(あとで知ったんだけど火付け役は浦西の子たちらしいですね)
すごーい、飛び道具の魔貫光殺砲がフィールド技になってる(笑)。
これはぜひ原作やアニメに逆輸入してピッコロさんに使って欲しいものだ。

それにしてもどうやって撮っているのか、いっせーのでジャンプ!して撮るんでしょうねきっと。
みんな楽しそうでいいなあと思います。全力で高校生活を満喫してるんだなあ。よきかな。

で、せっかくだからにゃんこでやってみようということになりました。なんでだ。
さて魔貫光殺砲はできるかなァとにゃんこを床に座らせてみたのですが、
猫の足はとても柔らかくて、ガニ股で踏ん張れないので却下。
じゃあかめはめ波はどうかなとやってみようとしましたが
猫の前足の関節は固くてくるっと上を向かないので、これも却下。
結局、できそうなのは手を突き出す技かバンザイする技しかないな、ドラゴンボールにそんな技あったっけ、と
あれこれ考えてどどん波と気功砲と太陽拳と元気玉まで絞りまして、
もうどどん波しかないな、どどん波できるんじゃね!とほとんど投げやり状態で試すことに。

構え。
そんなわけでどどん波いきます。

主役は肉球。
「どどん波!」

猫パンチにしか見えなかった。
というか人差し指が出てないから、どどん波以前の問題でした。ぐぬぬ。

目がさめちゃった。
「騒がしいわよ」

この番組は、出演:母にゃんこ・姉にゃんこ、カメラ:ゆさ弟、音声:ゆさ、提供:ゆさ家でお送りしました。
にゃんこの全面協力により「猫はどどん波ができない」と証明されました。なんの役にたつの。


ところで、マカンコウサッポウ画像を見ていて、なんとなく思い出した方がいるのですけども。→こちら
人が浮遊する写真を撮り続けている林ナツミさんです。
いつだったか、ブーツ履いた足だけが写っている写真がありましてな…。
あのブーツの下の草むらに落ちていた、カラフルな紐の色彩が忘れられない。


明日はEテレの「つくってあそぼ」が最終回ですね。録画しよ。
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2013_03
26
(Tue)23:22

第1632回「本、作ったことある?」

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当ほうじょうです。今日のテーマは「本、作ったことある?」です。高校生のころの夏休みの宿題だったか、絵本を作る課題がありました絵の具を使った絵を描くのが苦手だったので難しかったのですが出来上がってみるとすごい達成感でした!本を作るのってお話を考えたりイラストをどうしようか考えたり、どんな装丁にしようか、ページ数はどうしようか…考えることがたくさんでとって...
FC2 トラックバックテーマ:「本、作ったことある?」


・小学校の美術の授業で絵本作り
・中学校の美術の授業で絵本作り
・高校の部活で部誌作り
・大学の図書館児童サービス論の授業で絵本作り

こんなもんかな…。
他にも小学校や中学校の修学旅行でしおり作ったり、高校の図書委員会で本紹介の冊子作ったり
大学の先生がわたしたちの学年を最後に定年退職するのでゼミ生で記念誌作ったり
学生時代は何かと本や冊子の制作現場に居合わせることが多かったような。
個人的に友達と合同誌(コピー本)とか作ったりもしましたが、あれどこやったっけなあ。

あと、自分の手で全部書いて製本したのはこちら↓
和装。
大学の卒論☆
(中身は方丈記への愛と厨二ドリームで溢れているのでしんでも公開できない)
うちのゼミは和紙で和装製本するのが決まりでした。にちぶん~。

表紙にする千代紙と厚紙を画材屋さんで、東急ハンズでたたみ針とたこ糸を買ってきて、
厚紙を和紙でくるんで見返しつけて三方折込表紙にして
ゼミ仲間やOBの先輩に手伝ってもらいながらおっかなびっくりドリルで穴あけて、
ちくちく縫って作りました。
原稿用紙をそのまま綴じた袋綴じというやつです。
表紙の内側にはやわらかい和紙で遊び紙も入れてあります。

ここがポイント。
背には花切れをつけて表紙を開きやすくしてあります。
あのとき確か、先輩が製本のハウツー(超うまいイラストつき)を紙に描いてくれたのですが
どこかへやってしまった…どこいったあれ。

和本リテラシーを提唱なさっている中野三敏氏が、著書『和本のすすめ』の中で
学生さん向けに「一度お手頃価格な和本を買ってきて自分でバラして、
その構造を理解してからもう一度自分の手で綴じ直してみる」実践をしていると書いておられました。
いいなあ楽しそうだなあ。
本のしくみがわかるし、何より「本ってこうやって作るんだ」というのがわかるではありませんか。
和本は表紙に上質紙を使うだけで身分がぐんと跳ね上がるといいますけれど、
ちょっと奮発して良い紙を使うとか、紐をカラフルにするとか、題箋をつけるとか
少し工夫するだけでも和本てすごくオシャレになるので
作るのが楽しくなってくるのですよね。
昔々は写本をどんな装丁にするかが、その人のセンスの見せどころでもあったしね。
(ちなみに中野氏の『和本のすすめ』ですが、初版と後版のくだりで
鳥山石燕の『鳥山彦』の初版と改題後修正版を比較しているので
気になる方は読んでみてくださいね。わたしはとびあがって喜びました)

そんなわたしは、すっかり和本作りに味をしめて『和装本のつくりかた』の本を買ったはいいけど
何年も本棚にしまいっぱなしで一度もチャレンジしていなかったりします。まあよくある話。
和紙買ってきて筆で文字書いて"純"な和本つくりたいなーとか、豆本つくってみたいなーとか
野望だけは大きな春先の夜。



御簾のこちらと向こうとの。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その9。8はこちら
904年4月6日。承香殿の東に設けられた編集所に、撰者たちは集まりました。
初日ということで力が入ります。

貫之「歌の背景はみんなバラバラだから、もっとざくざく分類できないかな」
躬恒「万葉集みたいに?」
貫之「より、細かく」
躬恒「続万葉の春歌は、花とか月とか鳥で分けたけど」
貫之「うーん…」
忠岑「悪くないが、もっとこう、移ろいが欲しいんだよなー」
貫之「そう、それ。春が来て、鶯が鳴いて、花が咲いて…とかさ」
躬恒「じゃあ、立春が最初だね」
忠岑「立春、雪解け、若葉のもえぎ。梅が咲く、桜が咲く、藤が咲く。鶯のさえずり、千鳥の来訪、雁が北へ帰っていく」
貫之「それだ。四季の巻は節分から始めるぞ。立夏、立秋、立冬」
躬恒「いいねー」

『貫之集』によると、古今集は編纂初日から議論が白熱し、撰者たちは夜半過ぎまでしゃべっていたそうです。
御簾の奥からにこにこしながら眺めているのは帝(醍醐天皇)。このとき19歳の青年君主でした。

貫之はこの日のことを、夜半にふと聴こえたホトトギスの声も詠みこんで歌にしています。
「こと夏はいかが鳴きけむ時鳥 今宵ばかりはあらじとぞ聞く」
(『貫之集』巻九・八一九番)
2013_03
23
(Sat)23:49

般若のかなたその2。

こわっ。
演能グループ神遊(かみあそび)さんによる国立能楽堂公演「道成寺」に行ってきました…!

4~5歳の頃にテレビで見た能番組で、落下する釣り鐘に白拍子がとびこむ姿に戦慄して以来、
ずっとずっとずーーーっと観たかったのですが、念願かなってやっと見られました…!
うおおお観てきたんだわたしうおおお!!(落ち着け)
あの鐘のシーンを見た当時は本当にポカーン(゜□゜)としてしまって、
でもあのとき一度見ただけなのに衝撃的すぎて忘れられず、今もはっきり思い出せます…まじ圧巻…。
(しかも実家じゃなく祖父母宅のテレビで見たってことも覚えてる)

例によって公演情報を知ったのが今月に入ってからだったので
チケットを探したら中正面席しか残っていなかったのですが(視界に目付柱がきちゃう席ね)、
道成寺は上演時間が105分と長いうえにあまり上演機会がなく、
今回を逃すと次はいつ観られるかわからず
「いつ行くの、今でしょ!」と神の声が聞こえたのでチケット取りました。後悔はしてない。


演目はまず仕舞があり、それから道成寺が演じられます。
仕舞とは、能の一部分を面や装束をつけずに紋付袴で舞うもので、伴奏も地謡のみ。
今回は「綱之段」と「西行櫻」で、
どちらも桜に関係のある春らしい演目でした。
(そういえば道成寺も桜の季節の物語という設定なのだった。桜づくしですな)
ちなみに西行櫻を舞った人は、道成寺でシテを演じる人のお父様なのだそうな。

そしていよいよ道成寺です☆
何もない能舞台に、この演目に欠かせない釣り鐘が鐘後見の人4人がかりで運ばれてきて
天井から吊り下げられるところから始まります。
さすが能で、御神輿みたいにワッショイするのではなくしずしずと摺り足で運んで
天井にセッティングするのも掛け声・合図一切なしで粛々と行われていた。
もはや儀式。
鐘後見さんたちにひとめぼれしました。たまらん…ただ歩いてるだけなのに好みすぎる。

道成寺のストーリーは説明し出すと長くなりますのでリンクを貼っておきます。→こちら
娘が山伏を焼き殺すくだりは「安珍と清姫」のタイトルでご存知の方が多いんじゃなかろうか。
ただ、あの昔話は現在進行形だけど、能は後日譚になっているのが特徴ですね。
昔話で安珍が清姫を供養する部分も、能ではカットされているし。

前半にシテの白拍子が舞う乱拍子が、今まで見たことない、不思議な舞だったな…。
しばらくじっとした後、ふいにくるりと舞って、また静止して、また舞う、の繰り返し。
たぶんテレビだと放送事故かと捉えられかねない静止と
くるくる舞う舞とのギャップが魅力的。
伴奏は小鼓のみですが、演奏者さんが時折「いよーーーっ!!」と裂帛の掛け声を発して
笛もたまに入ったりする。

やがて伴奏が激しくなり舞も激しくなって急展開をみせると、
それまで静かに舞台後ろに座っていた鐘後見さんたちが
釣り鐘を吊っているロープに手をかけたので
「わー来る来る、あのとき見たあの瞬間が来る!!」って心臓ばくばくでした。。
どどどどうしよう見られるの本当に見られるの、夢としか思えない!
今か今かととにかくハラハラ。待ち遠しすぎてやばかった。
白拍子がひたすら踊りつづけ、彼女のジャンプと同時に鐘が落下した「鐘入り」のシーンは
キターーーーーーー!!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*てなってた。
オペラグラスでガン見。ほんの一瞬でしたが心底しびれた。
これタイミングが合わないと首の骨折りかねないくらいの危険な技なんだよな確か…。
それを目の前で見ちゃったよ的な…あの瞬間の気持ちはどう説明したらいいかわかりません。
スペクタクル映画だこれ。鬼がくる…。

ここで間狂言(あいきょうげん)が入りまして、2人の狂言方がそれはもう笑わせてくれるのですけど
(鐘がドーン!と落ちたのでビックリ仰天したという設定でぺちゃくちゃおしゃべりしてくれる)、
半年前に観た「安達原」のワークショップで間狂言の人が言っていた
「(鐘が)落ちてござる!」のセリフがリアルに聴けたのも良かったです。
ああこれかって思った。
「~そうろう」の語尾で統一されている能セリフの中に「~ござる」がポンと出てくると印象的ですな。
もう狂言のセリフまわしマジで好きだ。発声も好きだ。能の中にあっても全然遠慮しないのが好き!

僧侶の鐘にまつわる長い昔語りが終わって、鐘がぐいと引き上げられると
中から鬼がうずくまった状態でご登場。
シテが白拍子から鬼の装束に着替えたわけですな。あんな窮屈な場所で。本当にすごい。
僧侶たちが数珠を鳴らして折伏しようとするのですけど
バッと起き上って髪を振り乱した鬼も負けずに応戦。
あれで場の空気がざわっと変わったよね。真っ赤な鬼の髪で舞台の彩度も上がったし。
ここからは舞もお囃子も最高潮です!バトルに合わせて力強く盛り上がる感じ。
かっこいい。もう全部がかっこいい。
鬼が羽織っていた長い装束を脱ぎ捨ててウロコ箔の唐織姿になったときは
「正体あらわした!」って感じで手に汗握った。
鬼の威圧感、存在感、しぐさ、すべてツボ。心臓の動きおかしかったです。
過去に『安達原』を見たときも思ったけど、鬼が僧侶たちよりずっと大きく見えました。
髪のボリュームと装束の豪華さに加えて、杖を振るなど激しい動作があるので
雰囲気的にも相当大きな存在という気がしていたのかもしれない。

そして見ているうちにこの鬼のスタンドアローン性に気づいてドキリとした。
その昔、裏切られた悲しみから恋人を焼き殺してしまったことを過去にもつこの鬼は
今なにを思って舞うのかと。
怒りも悲しみも抱えているであろう姿が何ともいえません。
大蛇になって釣り鐘に炎を起こしたときにはもう止められなかったんだろうなとか、
「おまえなんか」と「こんなことしちゃだめだ」の葛藤もあっただろうとか考えてしまいました。
この鬼ほど「孤高」という言葉を強く感じさせる鬼もいないように思う…。
最後には折伏されるけれど、それは僧侶たちの法力が勝ったからではなく
鬼が自分の気持ちについてあきらめた(明らかにするの意味で)からだろう、
そして日高川を渡るという行為はこの鬼にとって気持ちの決算なんだろうなという気もする。
女性の悟りの顔である般若の、その先を見せつけられるようでした。
なんて心にヒリヒリくる舞台なんだ…。
もう涙せずにはいられない。お囃子も雅なのにダイナミック。すごい。涙なみだ。

ラストで鬼が、腰をおとして大きくまたぐような動きをしながら揚幕の中へ引っこんでいったのを見て
あっ日高川に飛び込んで渡っていく動きだ…!と気づいてそういう風に見ることができて
良かったです。
能はいっさい説明がないので、自分で場面を想像しなければならなくて、でもそこがとても好きです。
ストーリーを知らずに見るのも色々発見があっていいけど、
知ってから見るのも別の発見があるので好き。

次回は、次回っていうかそもそも次の上演がいつどこかわからないのですが
絶対に正面席で観たいです。
そして次こそはもう少し気持ちを落ち着けて鑑賞したい…無理かもしれないけど。

さくらさくら。
能楽堂で買ってきた、日本橋の玉英堂彦九郎さん製の和菓子。「桜づくし」だそうです。
おいしそうっきれいっ食べるのもったいないっ(*´∀`)

そういえば能楽堂の前に桜の木がありましたが満開でした。綺麗だった。
今年は例年になく、すでに各地で桜が満開ですねえ。お花見に行きたい。



ぐー。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その8。7はこちら

友則「ごめんね、突然。貫之がいいと思うんだよ、わたしは」
貫之「無理だよ、経験がねぇもん」
友則「わたしも、みっちゃんも、岑くんもないよ。おんなじだよ」
貫之「でも」
友則「貫之はせっかく御書所預なんだから、経験が活かせるよ」
貫之「おまえだって、内記だろ」
友則「うん。だから記録と清書は慣れてる。で、その記録を書物に編集しなおして、整理して保存するのが、御書所だ」
貫之「………」
友則「ね、引っ張ってよ、わたしたちを」
貫之「………撰者を抜けるわけじゃあ、ないんだな」
友則「抜けないよ。こんな機会そうはないし」
貫之「ならいい」
友則「引き受けてくれる?」
貫之「引き受けた。その代わり、オレが訪ねたら必ず相談に乗れよ」
友則「もちろん。ありがとう」

ひとまず、話はまとまりました。古今集撰者代表、紀貫之の誕生です。
2013_03
20
(Wed)23:21

「かわいい」はじめました。

前回記事の続き。銀座でダヤン展を見た後に府中市美術館の「かわいい江戸絵画」を見てきました。
タイトルどおりお江戸の「かわいい」絵がいっぱいの展覧会でしたよー!
すべての絵にキュンキュンしてきましたこれはやばい。ドツボ。
府中市美さんは毎回上質な江戸絵画展をやってくれますね。大好きです☆

ちょっとこれどうしようかな、たぶんいつものようなレポにはならないですねf(;´∀`)。
以下だいぶテンションおかしいですが、気になった絵をいくつか挙げてみます。

まず伊藤若冲。托鉢図かわいいです!お坊さんが画面いっぱいにジグザグにうねうねしてます。
こんな托鉢図みたことない。お坊さん軍団かわいすぎ萌える。
鹿図は一匹の鹿が地面にぺたんと座り込んで、首をすっと空に向けているのですが
目がね、おかしいです。ギョロ目ちゃんです。くそうかわいい。
目といえば、布袋図の目が!(笑)
あれ若冲が虎描くときの虎の目だよ!どこ見てるのっていう目。まさにネコ科の目。胸キュン。

俵屋宗達の犬の絵が、だいぶ頭でっかちな犬で大村益次郎を連想しました。
あの造形はキュートであった…まさに芸術…!
尾形光琳の布袋図はわりと着込んだ布袋で、
どちらかというと大黒天というか、サンタクロースみたいな雰囲気。よい。
与謝蕪村の捨篝図もかわいい~。
蕪村せんせいは草花も生活用品も、何でもつくも神化しますね。
後期展示には、ゆさ的につくも神化最高峰と言っても過言ではない火桶図が出るらしいですが
見に行けるかなあ。
仙厓の虎はゴロニャンと頭を竹藪にこすりつけたりしてて、なんてなやましげな仕草。
ゴロゴロと喉をならす声が聞こえてくるようです。
そして喉ゴロゴロが聞こえてくるといえば!歌川国芳の猫でしょ!
夕涼みしたり歌舞伎したり、美女に遊んでもらったりして人生、いや猫生絶賛満喫中。
かわゆいなあ。国芳の遊び心パない。
あーもう猫もといネコ科の生き物は地球の宝だな、ネコ科パワーで世界が平和になればいいのに。

曽我蕭白の「山月に萩鹿図」、かわいいというより綺麗な絵、月の光が画面いっぱいに感じられました。
絵の中に「先祖の絵にオレが描き足した」との蕭白の言葉があるので合作っぽいです。
描き足しちゃったんかい!(笑)
白隠の「すたすた坊主」、じーっと見つめるとスタスタと音が聞こえる気がします。
これあれですね、以前に白隠展にもっさりあった絵のひとつですね。
どこから来てどこへ行くのか…。
岡本秋喗・鈴木其一の花鳥図、小さな小さな色紙に描かれていました。
江戸時代にも「小さいもの萌え」なる感情が流行した時期があったとキャプションにあった。
わたし絶対江戸時代の人と気が合うわ。
鈴木松年の「蛙と蟹図」の屏風がね!蛙と蟹が歌舞伎をやってて(たぶん題材は白浪物)、
もう本当に一生懸命な表情で笑った。いよっ○○屋!とか応援したくなる。
きっと蛙が「知らざあ言って聞かせやしょう~」とか、上下にゲコゲコ伸び縮みしながら言うんだよ!
ちくしょう…萌えるじゃねぇか…!(悶絶)

長沢蘆雪の虎は、過去に無量寺の虎図を見てから大好きなのですけども
今回の「豊干禅師図」の虎も相当かわいいと思います☆
豊干禅師は唐時代に実在したお坊さんで、虎を手なずけたことで有名だとか。
うんうん、わかるよ、豊干さんはきっと虎が好きな人だったんだね。
だって絵の中の虎はこんなに安心しきっているんだもの!
ネコ科の動物は人に相当なついていないと
人の傍ではあんな顔でまず寝ない。幸せな時間の図ですね~。
あともう1幅、「四睡図」。
地面に寝転がる寒山拾得の上に師匠の豊干禅師が乗って寝て、さらにその上に虎が乗って寝てます。
苦しくないのか寒山拾得(笑)。
師匠は幸せですね…だって虎のオフトンだぜ…超モフモフだぜ…かわいいぜ…☆
学生時代にクラスの男の子たちが教室でよくこんなことやってたなー。
極めつけは円山応挙。
子犬のコロコロふわふわモコモコっぷりが、写実な応挙の筆だから手触り感すごい。もえしぬ。
虎図もやばい。顔が猫そのもので頭身ちっちゃくて、足がもこもこ。萌え虎。
応挙先生は本当ずるいな!絶対狙って描いてるだろー。
あまりのかわいさに絵の前で心臓バクバクで心拍数上昇、一瞬だけど代謝あがってたと思う。
応挙ダイエット?ダイエットなの??そうなの??やばし。

あと、「鬼の念仏」なる大津絵がいくつかありまして。
鬼が僧衣を着て、鐘と撞木を持った姿を描いた絵です。
大津絵とは、江戸時代に素人絵師が描き、旅行者のおみやげ品として売られた絵で
鬼の念仏はなかなか人気のあるモチーフだったそうです。
応挙の「鬼の念仏」には「見るや人つのの生えたる鬼さえも かねを叩いて南無阿弥陀仏」とありました。
偽善を戒める教訓として描かれることの多かった鬼を、応挙はあたたかい目で見つめていたのかな…。
そして国芳の「鬼の念仏図」が胸キュンな件。

あっ忘れてた、狩野栄信の「月に波兎図」も良かった!
狩野派さんは雅で気品があってまじロイヤル。蕭白や蘆雪の虎に鼻息で飛ばされそうな優しいデザイン。
何より月・波・うさぎってどんなコンボですか。最高。

もうだめわたしの頭と心は度重なるかわいさ攻撃で地獄絵図です…。
府中市美さん責任とってまたこういう展覧会やってください。


展示会場にあった解説と、帰宅してから調べた古語辞典を参照しますと、
「かわいい」はもともと「顔映し」という言葉から派生していて
昔々は「恥ずかしい」という意味だったようです。
それがやがて、小さなものや儚いもの、なよっとした頼りないものへの共感や愛惜として認識されていき
「いたわしい、かわいそう」という意味になり、
やがて慈しむ気持ちをあらわす「いとおしい」の意味へと変化していったそうです。
ちょうどその「いとおしい」の意味として「かわいい」が使われ始めたのが江戸時代で、
お江戸の絵師たちは"かわいいものをかわいい形として描く"技術をみがいて確立していき、
絵を見た人たちもその"かわいさ"を、絵を通じて楽しんだのが伝わってきました。
うおお江戸絵画斬新すぎるだろ!
もう江戸絵画のえの字見るだけでニヤける。


で、かわいいものいっぱい見て幸せな気持ちに浸りながら企画展示室を出たら
常設展示室の前で「小特集 司馬江漢」の文字を発見、
吸い寄せられるように見に行きました☆
気に入ったのは「相州江之島児淵図」。
江ノ島の岩場から遠くをのぞむ風景画で、相模湾の向こうに富士山が描いてあります。
めずらしいのはこれ、双幅なのに連続したひとつの風景になっているのですねー。
そして別々に見てもちゃんと独立した絵になっているとか。
ああやっぱ江ちゃんは新しいわ…!


で、もはやキュン死しかけながら美術館を出てヨロヨロと府中駅行きのちゅうバスに乗ったのですが
(ちゅうバス安いよちゅうバス助かる)、
たまたま耳に入って来た車内のマダムたちのおしゃべりから
ちゅうバスのネーミングの由来を知ってさらにキュン死しそうに。
「府中市」の「中」からきているネーミングでもあるそうですが、
「住宅街の中をねずみのようにちょこまか走り抜ける」からちゅうバスとか、なにそれ萌える…!

そんなわけでバス乗ってる間もすごい胸焼けで瀕死でしたが、
帰りの乗換のときに山手線で伊右衛門の抹茶ラッピング電車を見たら治った。
あの緑は強烈ですね。胸焼けには抹茶。ちぃおぼえた。


あのね。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その7。6はこちら
よく晴れた秋の午後、貫之は友則から呼び出されました。何やら改まった話のようです。

友則「編纂の責任者をね、貫之にお願いしたいんだ」
貫之「なんで」
友則「んー、だって、わたしも年だし、ごらんの体調だし」
貫之「でも」
友則「最近、歩くのも難儀になってきたし」
貫之「え」
友則「そろそろ本格的に出仕も休むことにしたし」
貫之「おい待て」
友則「最後まで編纂につきあえないかもしれないし」
貫之「友則」
友則「一番年若い貫之なら、そういう心配はないでしょ」
貫之「………」

従兄の突然の告白。どうする貫之。続きます。



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2013_03
17
(Sun)23:48

タシルの祝祭。

ブロとものkanayanoさんが「チケットあるのでどうぞー」と譲ってくださったので、
松屋銀座で開催中の「ねこのダヤンと不思議の国 ダヤン誕生30年池田あきこ原画展」を見てきました☆
kanayanoさんいつもありがとうございます~(*^▽^*)。

わちふぃーるどは高校生の頃から大好きで、絵本も何冊かうちにあるのですが
実は作者の池田あきこさんの原画展に来たのは今回が初めて。
サイン会は何度か見かけたものの、あのとおり大人気なので整理券とれた例しはないし、
池田さんの作品がまとまって展示されている河口湖木ノ花美術館は遠いし…という具合に
あまり機会にめぐまれなかったのですけども
今回は都内でやってくれるということで念願叶って行けました。ヒャッホー。

中に入れます。
入口。たくさんの花と大きなダヤン。
ここはカメラ撮影OKゾーンなので、ダヤンとツーショットで写真が撮れます。

いえーい。
こんな感じ!

展示室に入ると、1983年にわちのシンボルとして池田さんが描いた一番最初のダヤンと
30年後(つまり今)のダヤンの大きなキャンバスが2枚、颯爽と並んでいて
素敵なツーショットでした。
昔はスリムで写実的だったダヤンが、今は頭身が縮んでまんまるくなっているのが
感慨深いです。

そしてここからがもうすごい。ダヤンと愉快な仲間達が本気出してた。
わちふぃーるどやタシルの街の地図とか、タシールエニット博物館の迷路とか
大きいものの展示があったのもすごく嬉しかったよー。
特に立体展示!
わちふぃーるど天球儀と、ダヤンの家の立体展示に感動した。
『スウィングタシル』という、八面体の凸凹展示にもっと感動した。
出口にあった、ボルネオがモチーフの絵+革でできた立体展示にもっともっと感動した。
あと、大きいものじゃないけど、ダヤンのフォーチュンカードにもっともっともっと感動した。
マザーグースが題材になっていて、
ロンドン橋やハンプティやパンチ&ジュディやキラキラ星のイラストが30枚も…なにこのかわいさ!
「ねこ、ねこ、こねこ」のダヤンのかわいさにKOされて、
ひねくれ男のダヤンたちが文字通りひねくれたデザインで笑った。
「ボビー・シャフトー」のジタンのポーズが『猫の島のなまけものの木』の表紙そのまんまで
やっぱり笑った。
ジタン!この!オトコマエ!!(バンバン!!←床叩)

『ピーターラビット』『たのしい川べ』『ナルニア国』『ムーミン』など
動物ものが好きなゆさとしては、こんなにたくさんのキャラクター(しかもかわいい)が
見られるだけでワクワクします。
しかも、わちは世界中の昔話がうまくちりばめられていて宝石箱みたいな世界観でいいなあ。
池田さんの想像力と創造力ってすごいと思う。本当に。

みんなのイケメン王子ジタン、おめめパッチリおしゃれなマーシィ、底抜けにいい奴なイワン、
みんなの天使バニラ、ダヤンの誕生日をとっちゃう魔女たち、おばあちゃん魔女のセ、
よみがえった郵便配達員ボーンも大好きですが
わたしはダントツで月のおばさん(マダム・ムーン)ですね!
「月にはウサギがいる」をリアルで体現してくださっている、あのお方です。
名前のとおり月に住み着いて自由気ままに空を散歩し、
時々降りてきていたずらしたり、誰かを助けたり、気まぐれに月に乗せてくれたりする、
何を考えているかわからないマーシィの伯母さんです。
高校時代にわちと出会った瞬間、その生き方に一目ぼれでした。
ダヤンとマーシィには無条件でやさしく、弟のオットーさんのこともなんだかんだで心配している。
絵本などでマダムが登場するとお話にユーモアが出てくるよなあ。胸熱。

映像展示もあって、天井から大きなスクリーンが2枚吊られて
池田さんが画用紙に描いたダヤンが画用紙を抜け出して冒険しに行くストーリーが展開されてました。
画面をくるくる動きまわるダヤンもかわいかったですが、
作家さんのメイキングを見るのも大好きなので面白かったですね。
池田さんの絵を見ていると結構、筆圧をかけて描く方だなあと思っていたのですけど
映像でもわりと紙をぐっと押すように色鉛筆を走らせていました。
あの独特の濃さが好きです。

また、池田さんは数年前に動物と自然を守るボルネオトラストの『緑の回廊』作りに協力し、
ボルネオ国内の土地を購入し「ダヤンの森」と名付けて保護する活動もなさっているそうです。
展示室には手描きのボルネオレポや、池田さんのインタビュー、
最新作『ねどこどこ』の絵本の原画展示がありました。
クッションひとつでボルネオを旅するダヤンはほんと、ふわふわしていてかわいかった☆

ミュージアムショップも本気出してた。。グッズの量がパない。そして広さがパない(笑)。
30周年なので大量の記念グッズも並んでおりました。
わたしはダヤンの小物入れをゲット。
そういえば昔、カシガリ山のランプを買おうとしてお値段見たらゼロが4つで仰天したのだった。
今思い出すとそれだけの手間暇はかかってるなとは思うけど。


パンをどうぞ。
松屋の屋上庭園にいたエプロンダヤン。

パンですよ。
ねずみパン持ってるよ!かわいい!!


で、この後、府中市美術館で「かわいい江戸絵画」展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事で書こうと思います。



よい秋日和。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その6。5はこちら
『続万葉集』奏上から半年。改めて「古今の歌をまとめるように」との詔が帝から下されました。
時平に相談して帰って来たものの、さてどうしようと思案顔の貫之たち。

萩「友則さんは?」
貫之「風邪」
萩「ふーん。どうなってるの、今」
躬恒「なんか、いろいろ注文されたよね」
忠岑「根本から並べ直しじゃね、これ」
躬恒「数も増やせって言われたね」
忠岑「経国集とか、サラッと言いやがったよな」
貫之「20巻か…。1000首は要るな」
躬恒「集めた歌家集だけじゃとても足りないよ。うちらも編纂しながら少し詠もう。人にも頼まなきゃ」
貫之「1年でできんのか、これ…」
萩「1年!」
貫之「急がないけどとは言われたな。どこが急がねぇんだっての」
躬恒「とにかく、こっからはうちら次第だね。たぶん続万葉集以上の構成力が要るし、献上したら御書所の蔵書になるからお偉いさんも読みに来るよ」
忠岑「マジかよー超怖えーよーもー」

おっかなびっくり、編集を始めることになりました。
ちなみに経国集は827年の勅撰漢詩集で、全20巻でした。(現在は散逸して6巻ほど残っています)

また、この時代は左大臣藤原時平の統治下にあり、
「荘園整理令」施行、『三代実録』撰進、『延喜格』『延喜式』の撰修などが行われていました。
『古今和歌集』の編纂も、そんな中で始められたものでした。
2013_03
14
(Thu)23:36

衣紋の道。

埼玉県立歴史と民俗の博物館「特別体験事業 十二単の着装体験」に行ってきましたー!

申込期間ギリギリにネットで申し込んだところ、
「申込が多かったので抽選です」というメールを先方から事前にいただいていたので
どうかなあと思っていたのですが、運良く当選できまして☆
あとで聞いたら、これかなりの人気イベントでほぼ毎回抽選らしくて(ちなみに今回で9回目)、
中には何度も応募してやっと当たった人もいるとか…。
わたしは初回で応募して初回で体験させてもらえました!うおおありがとうございます!

お邪魔します。
博物館の入り口。実は来るのは初めて。

着物の山。
受付をすませて案内された会場です。畳に金屏風に几帳!
ここで着装体験が行われます。
写真は、体験が終わったあとに撮らせていただいたもの。平安時代の虫干しみたいな雰囲気♪
着物がたくさん置かれていますが、これ、数人分ではありません。2人分です(笑)。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ♪

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2013_03
11
(Mon)23:03

Light pink Glory。

満開!
もうTシャツでいいよ日中は、みたいな陽気のおかげで、庭のしだれ梅が満開になりました!
毎年噴水のように咲いてくれますが、今年は例年より花が多いなあ。

ピンク。
アップ。
近づいてみると結構香ってきます。

青の背景。
空を見上げてみます。

お仕事なう。
忙しそうなミツバチ。

春はすぐそこよ。
母にゃんこは日向ぼっこ。
物干し台兼プランターなんですが、喉のゴロゴロが「ここあったかいわよ」と翻訳されて聞こえたので
わたしもつられて座ってみたらあったかかった件。
写真撮ってる時間より日向ぼっこの時間が長かったのは内緒です(笑)。
だが物干し台は干す場所である。


で、夜になって「そうだ夜も撮ろう」と唐突に思い至ったので。
夜の噴水。
夜にパチパチ。
…昼と打って変わってすごい雰囲気。フラッシュ焚いたからですね。
夜景モードの撮影は三脚がないとできないので諦めました。三脚持ち出してまで撮る気はない…。

ピンクですけど。
こう撮ると藤の花みたいだなと思う。

黒の背景。
ピントずれた…。フラッシュパワーで超光ってます。

底。
下から見上げて。
「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである」とか言いたくなりそうな雰囲気(笑)。
歌舞伎の奈落の底のような。(いや、テレビでしか見たことないですけど奈落の底…)
奥までとどかなかったフラッシュがかえって面白い効果になりました。

現在、京都にある菅原道真の邸宅跡地は「紅梅殿」というそうです。
道真がそう呼んでいたのだとか。
邸宅はとても広かったそうですから、たくさん紅梅が植えてあったのでしょう。


「花の香を風のたよりにたぐへてぞ 鶯さそふしるべにはやる」紀友則
(『古今和歌集』巻一・春歌上一三番)


にゃ~。
夜の姉にゃんこ。岩合さんの世界ネコ歩きに夢中でした(^ ^)。
次回放送は4月だそうな。楽しみです。



かんじんな部分。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その5。4はこちら
903年、春。
仕事の合間にみんなでコツコツと作業を進め、何とか歌集の形らしいものが10冊ほどできあがりました。
まずは時平に提出して見てもらうことにします。

躬恒「左府に連絡、頼んでいいですか」
友則「うん、やっとく」
牡丹「ねえ、それ何て呼ぶの」
4人「??」
牡丹「仮でもいいから名前つけなきゃ、○○を献上しますって奏上できないんじゃない」
忠岑「牡丹ちゃんいいこと言うー。貫之」
貫之「何でオレなんだよ」
忠岑「何となく」
貫之「……………続万葉集?」
忠岑「ダサ!!」
友則「うわ」
牡丹「バッサリ」
貫之「うるっせえな、じゃおまえが考えろよ!」
忠岑「いや!ダサい、けど、ほかに考えられねぇわ、もろドンピシャ」
貫之「お~ま~え~は~!!」
躬恒「まーまーまー。じゃ、続万葉集で決まりね」

真名序によると、古今和歌集の完成までには少なくとも2度の撰修があったことがわかっています。
大雑把に形をととのえた続万葉集がまず編まれ、
つづいて続万葉集を基にした古今集が作られていきました。

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2013_03
08
(Fri)23:52

白鳥は悲しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ。

上野誠さんの『天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険』を読みました。
Twitter上の、主に歴史クラスタさんたちの間で時々この本が話題になっていたので
少し前から気になっていたのですが、
これは、かなり、読み応えがありました!
遣唐使として唐に渡り、帰るときに嵐で遭難してしまい崑崙国(今のベトナム)に漂着して
流行病で部下を失ったり政府に幽閉されたりさんざんな目に遭いながらも
あきらめず旅をしつづけて中国の蘇州に戻り、阿倍仲麻呂に謁見して助けられて
渤海国使節団とともにようやく帰国することができた、平群朝臣広成が主人公の歴史小説です。
(その割に表紙の絵は「弘法大師行状絵詞」でしたけど^ ^;)

著者の上野氏は本業が大学の研究者なので
正直、読む前は「学術書みたく文語で書いてあるのかな」とか勝手に思っていたのですけど
蓋を開けてみたら全然そういうのじゃない、むしろちょうどよい具合にくだけた
大冒険小説でした。。
表紙の折り返し部分の内容紹介で、「学芸エンターテインメント」とあってああそれだって思った。
小説とも学術書とも違う感じがするのは、
登場人物(実在の人物なのでそう表現するのも何だかムズムズするけど)の会話が口語調で、
地の文が講義のプレゼン風(いい意味です)だからかもしれない。
章タイトルが「諸国の巨木、竊に伐られ、時に平群広成、私に多治比広成の邸を訪ふ」とか
漢詩の書き下し調なのも雰囲気があってよいなあ。

遣唐使の航路や、長安までの旅路、長安においての儀式や学習活動なども
こと細かく書いてあって、読むのが大変でしたが勉強になりました。
市販の研究書だと、「遣唐使がこういう航路で海を渡って、この道順で長安まで歩いて、
長安についたら皇帝に謁見して」などなど
物事の進行が一言で済まされていたりしますけれど、
この小説は、たとえば長安の儀式においても挨拶の言葉や献上品の内容や
並んでいる人たちの表情ひとつひとつにも気を配ってあって
見てきたような感じがしてリアリティあるなと。
多少は政治劇っぽい部分もありますけど、広成は大使や副使ではなく判官なので
あまり表舞台は書かれていなくて、でもこれくらいがいいんじゃないかと思いました。
タイトルにもあるけど、あくまで広成の冒険が主体なんだもんね。

安一族がすごくいい味を出していて大好きです。
特に安東が広成と三麻呂を崑崙国から連れ出した手段の鮮やかさがハイレベルでした。
かっこよかったよ安東~もう、好きっ☆
こういう、「外見からは何を考えているかわからないけれど
行動には筋がとおっている」人はゆさ的にはクリティカルヒットでして。
広成たちが安一族の手で蘇州に送り届けられるあたりは
タイムスクープハンターとか歴史秘話ヒストリアあたりで映像化すべきでしょ…。
特に安仁の一件を聞いて、広成が「かくや、かくや」と呟くシーンは
ナレーションではなく役者さんの声でやってくださいまし…。話がずれてきた…。

阿倍仲麻呂が広成を試しながらも広成の帰国に手を貸す、という構図は
同じく上野氏が脚本を担当されたオペラ『遣唐使』にも見られたので
ちょっと懐かしく思いました。
(あのオペラもっかい関東でやってくれないかな…観たい…)
仲麻呂と広成のやりとりはほぼ会話文だけで構成されていて
すいすい読めて楽しかったです。
わたしは「お互い、立場を理解しながらも相手のために全力を尽くす」というパターンに
ものすごく弱いのですが
仲麻呂が立場のボーダーラインギリギリのところまで歩み寄って来て
広成を助けようとする姿があまりにかっこよくて、
広成も最初は仲麻呂に頼るべきか判断しかねているけど
仲麻呂の真意に気づいてからは全面的に信頼していて、
「こういう関係いいなあ…」と2424しながら読んでいました。

広成たちが帰国していく部分には当時の外交関係もからんでくるので
「こういう形だとまずいから、こういう解釈でいかがでしょう」とか
当然のように行われているところがニヤリとしますね( ̄▽ ̄)。
広成も「しばらく考えて(考えるふりをして)」とかぬけぬけとやっちゃうし。
というか、仲麻呂と別れてからの広成はやたらと勘がはたらく人になっていてビックリした。
いろいろ経験して立ち回る術を身につけたのですなー。
(そもそも彼は遣唐使だから、日本を出発する前に外交教育は一通り受けているだろうけど
その知識の使い方を覚えたということでしょうか)

あと聖武天皇のキャラが新しすぎる件。
「ゆうゆうと俳優(わざおき)のように歩く」とかどういうことなの…!
今まで読んだどの歴史小説にも、こんなますらお全開な聖武天皇は出てこなかったぞ(笑)。

…というわけでだいたいの点においては面白かったし勉強にもなったのですが。
実は気になる点がひとつあったりします。
何かというと、吉備真備のキャラクター造形について。
わたしが真備びいきということもあるのですけど(というか最大の原因はそれだと思うけど)、
この小説の真備は広成に対して全然本心を明かさなかったり、
井真成がなくなったところへやって来て蔵書をごっそり持って行っちゃったりと
妙にいやらしく書かれていてあーこれ無理だわ…と本を閉じかけてしまった。。
たぶんわたしと上野氏の真備観が異なっているのでしょう。
あと、タイトル忘れちゃったのですが、以前に井真成が主人公の小説を読んだときも
なぜか真備や玄昉があまりいい人じゃなくてですね…。
山之口洋氏の『天平冥所図会』とか、高橋克彦氏の『風の陣』での真備は
前者はあたたかくやさしいおじさん、後者は老獪なデキるおじさんという感じだったので
個人的にとても好感が持てたのですが。

…とかなんとかで、100%満足とはいかないのですけれども
読み応えがあった!というのが総合的な感想です。
381ページと割と厚めな本ですが、時間をつくってあと2回は読み返したい。


ああでもない、こうでもない。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その4。3はこちら
明日のためのその2。まずは歌の分類を決めます。

貫之「四季・恋・賀・羇旅・離別・哀傷…」
友則「おおすじ、これでいいか。あとは分類しながらひとつひとつ決めよう。場合によっては範疇広げてもいいし」
躬恒「分類できなさそうな歌は?」
忠岑「むやみに外したくねぇしなー雑体でまとめるとか?」
貫之「それがいいな」
友則「よし決まり。明日は、みんな空いてる?」
貫之「暇」
忠岑「暇です」
躬恒「今夜宿直なんで、これから戻ります」
友則「じゃあ明日の午後からやろう。急ぎじゃないし、無理せず、ゆっくりね。無理だったらすぐ言ってね」

古今和歌集の撰者たちは編集所に常勤していたわけではなく、
それぞれの仕事とかけもちしながら資料の収集にあたっていました。
アフター5は別の顔(違)。
2013_03
05
(Tue)23:18

面白ければそれでいい。

前回記事の続き。21_21 DESIGN SIGHTのデザインあ展を見た後に、
サントリー美術館で開催中の「歌舞伎-江戸の芝居小屋」展に行ってきました。
4月に杮落としを迎える、五代目歌舞伎座の開場の記念展覧会です。
(ちなみにこの歌舞伎座、サントリー美術館と同じ建築家さんの設計なのだそうな)

展示内容は風俗屏風、浮世絵、歌舞伎の楽器や台本や衣装など様々。
江戸初期の出雲阿国の登場から、遊女歌舞伎→若衆歌舞伎→野郎歌舞伎へと変革していった歴史が
ゆるゆるとわかる構成になっています。
入ってすぐのあたりに「阿国歌舞伎図屏風」(重要文化財)がでーんとありました☆
実物を見るのは初めて。
歴史の教科書やテレビなどでよく見る阿国さん像はここからきていたのですね~。
異性装で颯爽と踊る阿国さんはかっこいい。
当時の芝居は屋内ではなく屋外で演じられるものだったので、
屋根はないし、幕も小さいし、すごくあけっぴろげ。
「四条河原遊楽図屏風」や「洛中洛外図屏風」を見てもだいたいそんな感じでした。
もともと、「芝の上に居て」見物するから「芝居」なんだもんね…。
舞台は能舞台を踏襲していて、お客さんも貴人から庶民までいて、鳴り物も能っぽかったですね。
三味線(とても高価だったらしい)も入ってないし。
あと、阿国さんは胸からロザリオをかけている絵が残っていますが
理由は「新しいものだから☆」とのこと。
お芝居はファッションの最先端といわれますけど、この頃からそうだったんだなあ。

時代が下ると、屋根がついたり花道や桟敷席が設置されたりと、
だんだん見たことのある建物になってきますね( ̄▽ ̄)wktkwktk
西村重長や歌川豊国や葛飾北斎や歌川広重などの浮世絵師が
にぎやかな芝居小屋を浮世絵に描いていました。
四角く区切られた枡の中にみんなぎゅうぎゅう詰めになって座って、
その中で煙管を吸ったり、お弁当や舟盛りを食べていたり、ケンカしていたり。
ピクニックですか!(笑)
現代は椅子席で静かに、携帯電話の音なんてもってのほかみたいな雰囲気ですが
江戸時代は世間話どころか大声でしゃべらないと隣の声が聞こえないくらい賑やかだったんだよね。
どこまでフリーダムなの江戸っ子。ちくしょうかわいい。
ちなみに江戸後期の芝居見物の観客の特徴は、それぞれ
「江戸っ子の流行、大阪人の一流、京都人の風流」だったと
式亭三馬が『客者評判記』に書いています。ほほう、なるほど、言い得て妙な(^ ^)。

ところでサントリー美術館さんは、4階の第一展示室から3階の第二展示室へ降りていく途中に
大きな吹き抜けのフロアがあるのですが、
今回はそこに芝居小屋が再現されて、太鼓やうちわや貝殻などの鳴り物が置かれていました♪
こういうの普段見る機会がないので、見られて良かったです。
たったこれだけで雨や風や雷雨なども表現してしまうんだな…。
芝居もだけど、ラジオドラマやドラマCDなどのSEって
意外なまでにお手軽なもので行われていることに毎回くらくらします。

役者絵もたっぷりありましたが、
中でも歴代の團十郎の無双っぷりがパネェです。。
二代目團十郎の「そがの五良」、四代目團十郎の「梅川のかもん」、
五代目團十郎の「暫」、うおおおーーーかっこいい!
絵師が鳥居派なので絵の迫力は折り紙付きですけれども(鳥居派はド迫力役者絵の系統)、
ちょっとこれらはインパクトが違いすぎた。
特に「暫」は團十郎の「にらみ」がバッチリ表現されていましたな。
これ風邪予防のお守りとして家とか施設とか電車とか空港のゲートとかに貼りまくればいいのに。
(團十郎ににらまれると1年中風邪をひかない、というおまじないが江戸時代にあったそうです)
五代目の描いた扇子や短冊もありましたよー。
この人は花道のつらねのペンネームで狂歌を詠んで、堺町連というグループまで作ってたらしい。
なんなの…五代目なんなの…芸達者だなあもう。
(今ふと思い出したんだけど「連中」という言葉は狂歌連からきていたような気がする)

七代目團十郎のたばこ盆、「鎌○ぬ(かまわぬ)」模様がオサレです。
七代目はこの模様が大好きだったそうで、舞台衣装にも使ったところ
観客がこぞって真似をして大流行したらしい。
しかもしかも、歌川豊国が書いた「七代目團十郎の暫」の掛け軸(めずらしい後姿の絵)に
大田南畝が賛を入れていてうきゃーーってなりました(≧▽≦)☆
そうだったすっかり忘れていたけど南畝先生は團十郎の大ファンだった。そりゃ入れるよね。
歌川国芳が描いた「八代目團十郎の死絵」…もう泣きそうでした。
八代目の苦悩を思うとドツボにはまって抜け出せなくなることもあるのですけど、
国芳が描くと何となくユーモラスな顔をしているからほっこりする。
この人の助六があれですな、伝説の助六ですな…(笑)。
(江戸一番の美形といわれた八代目が水入りの助六を演じた際には、江戸中の女性たちが先を争って
八代目が浸かった桶の水を買い求めたらしい)
逆に「荷宝蔵壁のむだ書」はもう、むだ書のむの字見ただけで笑います!
時勢が時勢とはいえ、役者さんたち怒ったりしなかったかな(^ ^;)。

国貞アニキの判じ絵が面白かったです。
市川團十郎と澤村宗十郎だったのですが、たとえば團十郎は
年の市で「市」、革羽織の上半分で「川」、階段で「團」、忠臣に濁点がついて「十」、
蝋燭の上半分で「郎」を表現しています。
この無理やり感がたまらんですなー江戸っ子の面白さですなー(*´∀`)。
しかもアニキの無理やり感はこれだけじゃないです、
平安時代の三十六歌仙を歌舞伎役者に見立てた絵も描いています☆
素性法師が、中務が、藤原兼輔が、マッチョマンな役者にアレンジされてて…(笑)。
いや、笑ったけどさ。。
どんな絵にも手を抜かないのが国貞のイケメンなところだと思います。
歌川芳幾の「三代目澤村田之助の源之助姉里江」で田之助が輿に乗っているのを見てウルッときた。
林芙美子の「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき」ではないですが、
田之助の努力を思うとガチで泣けてきます。
皆川博子さんが『花闇』の中で、手足が次々に腐蝕していく田之助を
「咲ききって地に落ちるほかなくなった花のよう」と書いていたっけ…。
美しくてやがて哀しき三代目。
(『JIN』のドラマではだいぶ高飛車だったけどねーたぶん本当にああいう人だったと思う)
そして個人的に見てみたかった歌川豊国「三代目尾上菊五郎舞台姿」。
当代市川猿ちゃんおすすめの肉筆画です。
展示期間が過ぎてしまっていたのですが、フレンドリートークのスライドで見ることができました。
かっこよかった!!本物見たかったな。

あと面白かったのは、本や資料や衣装など。
芝居小屋が密集していた猿若町の地図や、楽屋を描いた錦絵、
河竹黙阿弥をはじめ、幕末から近代の歌舞伎作者の台本や、戦後のGHQ検閲台本もありましたね。
マッカーサーが歌舞伎を賞賛した手紙もありました。ヒョエー。
九代目市川團十郎の頃に建てられた初代歌舞伎座の写真から、
現代にいたるまで4代の歌舞伎座の写真、模型もありました。
印象としては、最初は爽やかモダンだった建物が
時代が下るにつれ江戸懐古趣味が出てきたのか江戸情緒あふれる建物になっていって
でも現代っぽさはぬぐえない感じ。
押隈(役者の化粧を半紙に写したもの)もありました。うわー初めて見た。
汗のあととか如実にわかる…。
六代目中村歌右衛門が着た「助六」揚巻の打掛はいくつかあるらしいですが、
わたしが見に行ったときは橋本明治と東山魁夷が描いた着物でした。
橋本は大きな牡丹を、東山は波に松島を描いていた。

あと、個人的にテンション上がったのが、江戸時代に売られていた歌舞伎グッズ。
隈取の目がつらに、すごろくに、きせかえ!
特にきせかえはビックリした。顔のとこだけ丸くくりぬかれた紙の衣装を
役者に着せて遊ぶというもので、現代のきせかえとほとんど同じでした!
変わってないんだなあ。

あ、そうだ。五代目歌舞伎座の杮落とし公演、チケット無事にとれましたよー☆
4月に見に行ってきます。今から楽しみですv(^ ^)v
柿落としの舞台の上に中村勘三郎さんと市川團十郎さんがいらっしゃらないのが
正直とても淋しいしまだ納得できていないのですが、
そのことも、歌舞伎座の生まれ変わりに立ち会えることもたぶん何かの縁なので
微力ながらこれからも歌舞伎を応援しつづけていきたいです。


手始めに。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その3。2はこちら

明日のためのその一。まずは歌集と私家集(個人の歌をまとめた書物)を各自持ち寄ります。
貫之は、御書所の所蔵目録を持ってきました。

貫之「うちにあるのは、こんだけ」
忠岑「うちのは、これで全部」
躬恒「さて!何から始めますか…」
貫之「一応、簡単に説明とかつけた方がいいんだろうな。だいたいこんな感じでまとめます的な」
友則「どの歌を載せるかは、うちらに一任だって。まだ正式じゃないし、好きにやろうよ」
躬恒「どう並べますか。名前順?身分順?」
友則「内容別に分けるのは?季節とか恋とか」
躬恒「統一感とれるから、良さそうですね」
友則「大江の五位の家集とか、新撰が、確かそうだったから」

大江千里集や新撰万葉集は、収録歌が四季や恋で分類されています。
万葉集から古今集の間に存在する数少ない撰集なので、貫之たちも参考にしたのではといわれます。
2013_03
02
(Sat)23:50

解散!

あ♪
21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「デザインあ展」に行ってきました!
現在Eテレで放送中のテレビ番組(大好きでよく見ています♪)の展覧会で、
ネット上でも評判のいい催しなのでとても楽しみで、本日やっと行ったのですが。

な、なんじゃこりゃー!!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
すべての展示物からほとばしる面白さとワクワク感!
どれもクリエイターの「見せる」アイディアと技術が炸裂していました。やばかったマジ感動した。
童心に返るとかそんなレベルじゃなく、はしゃぎながら会場をグルグル回りました。はにゃー。
あまりに楽しくて気が付いたら2時間以上滞在していたよね…なんてこった(*´∀`)。

写真は「モノ・オトと映像の部屋」での「デザインあのテーマ」上映中の様子。
見入りました♪
コーネリアスの音楽は無意識に体でリズム刻んじゃうなあ。テクノ系やばし。


以下、面白いと思った部分の写真を載せてあります。異様に多いです。
クリックで開閉しますのでどうぞ~↓

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