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2013_07
31
(Wed)23:35

学び舎探検。

先週、仕事の講習会で東京大学へ行ってきました~。
お昼休憩の散策中にキャンパス内を撮影してきたので、写真をいくつかアップしてみます。

赤あか。
あっかも~ん。
東大といえばまずはここでしょうね。

この赤門、言わずと知れた旧加賀藩邸の御守殿門です。
(加賀藩の御算用者一家を描いた映画『武士の家計簿』にも赤門の話題がちょこっと出ています)
現在は国の重要文化財に指定されています☆
わたしがこの門をくぐったときも、写真を撮っている人たちが何人かいました。


こっちが東大正門。
赤門からさらに5分ほど歩いたところにあります。

東大はもともと国立の大学(帝国大学)なので、昔の卒業式には天皇が来ていたそうです。
で、そのとき馬車で通行したのがこの門だとか。
よく見ると菊紋がついていたりします。なるほどなあ。


肝心の講習会ですが、1日中椅子に座って講義を聴くので
午前中が終わるころにはすでに体中がバリバリに固まってしまい、
こりゃいかんとお昼休憩中にお散歩がてらキャンパスの中をウロウロ探検してまいりました。
東大に来る機会もなかなかないしね~(´∀`)。

ではレッツキャンパス拝見!

まずはここ!総合図書館!
ロックフェラー財団がくれた図書館!!初めて見ました。
蔵書数約120万冊。古代ローマの建築物のような、かなり年季の入った建物です。
うおお関東大震災の教訓の水道管とかちゃんとくっついとるー。
少しだけパイプオルガンを連想しました。

学校関係者ではないので中には入れませんでしたが(手続きすれば入れるけど)、
入口からチラッと見た限りでは赤い絨毯の敷かれたモダ~ンな内装ですな。
いいなーいいなー。
東大生諸君、大いに図書館を利用してくださいね。

コンデル君。
正門近くの広場にいるジョサイア・コンドル氏☆
帝大(東大)で工学を教え、鹿鳴館や三菱一号館を設計した建築家として有名ですが、
わたしがこの人を好きなのはずばり「河鍋暁斎の弟子」だから!
ロンドンからお雇い外国人としてやって来た超エリートの若者(当時29歳)が
お江戸の浮世絵師に弟子入りしちゃうっていいよね、もえる。
21歳年上の暁斎からは「コンデル君」と呼ばれてかわいがられていたそうです。
なにそれかわいい。親子か。

暁斎の絵師としてのすごさや、暁斎先生とコンデル君の仲良しこよしな数々のエピソードは
ジョサイア・コンドル著『河鍋暁斎』で読めます。
先生が好きすぎて伝記書いちゃうコンドルさんかわいい。
(今も暁斎の作品解説にはコンドルさんの書いたものが引用されることが多いそうだ)

スパスパ。
葉巻持ってるよ!細かい!


正門を入ってすぐの銀杏並木。秋には綺麗な金色に染まるんだろうなあ。
まっすぐ歩いていくと時計堂(安田講堂)に着きます。


その安田講堂。本物見るのは初めてだ~。
講堂の名前は建設のとき多額の寄付をした安田善次郎氏に由来するそうな。

なんか思ったより小さいなあ、というのが最初の感想でした。
学園闘争の写真でしか見た経験がないのでアレですけども
あの写真のせいでものすごく大きな建物に感じていたみたいです。
近づくと結構ごつごつして、迫力のある建物でした。


安田講堂のそばにある育徳園心字池。通称、三四郎池。
大きな木々に囲まれた静かな場所です。
もともとは加賀藩邸の庭園にあった池で、3代目加賀藩主前田利常が整備したそうです。
夏目漱石の小説『三四郎』で、主人公の三四郎とヒロイン美禰子が出会う場所でもあります。


鴨が羽づくろいをしていたのでパチリ。
ふわふわの羽毛かわいい。さわってみたい。

で、この三四郎池から安田講堂の下をぐるりと回っていくと
山川健次郎氏の銅像があるはずなので嬉々として見に行きますと。

なにこれ。

なにこれ!!!!!

講堂の改装工事中のため健次郎さんも、その隣のノーベル賞記念碑も見られない状態とか!
えええええええそんなのないでしょおおお。
個人的に総合図書館の次に来たかった場所だったのですが。残念。
(ちなみに山川健次郎さんとは元会津藩士・白虎隊士で、日露戦争前に東大の総長を務めた方で
現在、大河ドラマ『八重の桜』にも出ていたりします…。
おおぉい山川健次郎が大河ドラマに出るなんて今年くらいだよ東大~。
今年見せないでいつ見せるの~今でしょ~うおああぁもううorz)


工事現場の後ろに回って、隙間から撮影した後姿の山川健次郎像。
工事が終わったら真っ先に会いに来よう。ぐぬぬ。

と、そんな感じでテンションがた落ちで安田講堂に戻ってきたら。

にゃんこだーーー(*゚▽゚*)☆にゃんこ発見!!
一気にテンションが最高潮に(笑)。
ぴんと伸びた姿勢、つぶらな瞳、きれいなキジトラ模様!もゆる。
にゃーんと話しかけたら、にゃーんとあくびしつつ答えてくれました。いい子や。
触りたかったけど、触らせてはもらえませんでした。でもいいや。かわいいから。
にゃんこは心の栄養剤。


東大にはレストランやカフェがたくさんあります。
わたしは13階にあるイタリアンレストランで昼食をいただきました。
サーモンとブロッコリーのパスタおいしかったです☆


レストランから見えた風景。
曇っててあいにくの天気でしたが、スカイツリーが見えました。


東大広報センター。東大に関する広報資料がたくさんあります。
関東大震災後に建てられた、割とがっしりした建物。
現在は都の選定歴史的建造物に指定されています。


講習会が終わってから行きました。東京大学出版会。
仕事でこちらの図書にはいつもお世話になっております。


東大工学部キャンパスにある、弥生式土器発掘ゆかりの地碑。
このあたりは地名を弥生といって、近代に土器が発掘され、関係者がその地名をとって
現在わたしたちが教科書で習う「弥生時代」「弥生式土器」と名付けられたのだとか。
初めて知りました^^;
現在はまるっと「弥生町遺跡」として指定されているそうな。


というわけで、講習会に来たのか観光に来たのかよくわからなくなりましたけども(笑)、
東大本郷キャンパス訪問記でした。
時間がなくてあまり回れなかったけど、他にも面白い遺跡や銅像やカフェがたくさんあります。
(東大のホームページにマップがあるよ!PDFで重いけど興味のある人は見てみてください)
何かの機会にまた訪れてみたいです~。
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2013_07
27
(Sat)23:57

60000ヒットお礼絵。

カウンターが六万回を超えましたーースゲーーー!!!
6万というとあれだ、もうちょっとで埼玉スタジアムの収容人数だ!
(埼スタの席数は63,700(車いす席を含む)です)
えらいこっちゃ。
これまでそんなにたくさんの方が訪問してくださったのか…胸熱…。
いつも来てくださる皆様、拍手やコメントくださる皆様、何となく通りすがっちゃった皆様、
本当に本当にありがとうございます!

今回はキリ番報告をしてくださったブロとものTOM-Fさんにイラストのリクエストをいただきました。
こちらです↓

60000hitありがとうございます☆※クリックで大きくなります

リクエストは「スーツを着た桜ちゃん」でした。
まだ描き慣れない感があって申し訳ないのですが、
つい先日出てきたばかりのこの子に声をかけていただいたのが嬉しかったので楽しんで描きました。
耳にくっつけているのは桜のヘッドフォンです。
花の音を聴く。
(昔、朝顔やクロッカスを育てていたのですが
つぼみが開いて花が咲くとき音がしたら面白いのにって思っていた時期がありました)

桜は先日まで連載していた貫之1111首の一気読みページにのみ出てきていて、
わたしにとってもまだ未知の子だったりします。
何か思いついたら少し描いてみようかな…。

TOM-Fさん、お見事でした。ご報告ありがとうございました。
よろしければお持ち帰りくださいませ。

今後も「あ、踏んじゃった」ってなった方、遠慮なく報告してくださいね☆
できるだけお応えしていきたいと思います(*´▽`*)。

*歌人のイラスト記事一覧はこちらです*
2013_07
23
(Tue)23:54

さてはそなたは狐じゃの。


高崎で「松竹大歌舞伎 市川亀治郎改め四代目市川猿之助襲名披露」を観てきました☆
市川猿之助の四代目襲名披露の全国巡業公演のひとつで、澤瀉屋の皆さんが勢ぞろいですよ!
猿ちゃんはドラマや舞台や映画ではさんざん見ていますけども
本業の歌舞伎を見るのは今回が初めてだったのでwktkでした。
綺麗でケレン味あふれるすばらしい舞台だった。

まずは「義経千本桜 河連法眼館(四ノ切)」。
川連法眼の館に匿われている源義経のもとへやって来た静御前が鼓を打つと、
どこからか家臣の佐藤忠信が現れるのですが、
実はこの忠信、狐の子どもが化けた姿だったりします。
静が持つ鼓の皮に使われたのが子狐の両親だったとのことで、
子が親を慕って忠信に化けて、静御前に付き添っていたことを知った義経は
静を守った褒美として狐に鼓を与え、狐は喜んで帰っていく…というストーリー。

猿ちゃんの狐忠信→子狐への早変わりと2度の海老反りと、子狐ダンスがいいですね~。
欄干をつかんでくるりと上がったり、膝立ちでグルグル回ったり、爪先で欄干の上を歩いたり、
狐手だったり語尾を伸ばして尋常のなさを表現したりと「狐っぽさ」も面白いし。
中村梅玉さんの義経はものすごい存在感。
3代目猿之助さんと一緒の舞台に立ったこともあるそうで、ベテラン中のベテラン役者さん!
かっこいいです。
市川門之助さんの静御前、ちょっと声が低めでした。ハスキーボイスの静ちゃん☆
場面が昼から夜に変わるときは、舞台に腰元さんが6人出てきて灯りを持っているのですが
これが全員めちゃくちゃ綺麗!
背がすらりと高くて顔つるっつるで、鳥居清長の美人画みたいだった。すてき。

狐忠信の登場シーンで面白い演出がありました。
花道の黒子さんから「出があるよ!」と、役者の出があることを伝える声がかかって
当然、観客は花道に注目するのですが、そこには誰もいません。
同時に舞台からガタリと音がしてふり向くと、舞台中央の階段上に狐姿の猿ちゃんが出現していた!
えええええあああああ出てくるとこ見逃したあああああ!(; ゚Д゚)
なんてもったいない。
いや、これがこの演目の醍醐味なんだろうけど。
江戸時代には「今度こそ騙されないぞ」とか意気込んでリピートしちゃう人とかいたかもな。
現代にもいるだろうな。ああ面白い。
(ちなみにこの「出があるよ!」の声は昔の舞台にはいっぱいあったけど
今はこの演目にしか見られない演出らしい、とイヤホンガイドの解説で聞きました)

静御前に「さては狐じゃな」と問い詰められた狐忠信がコーン!と一声鳴いて
ヒュッと奈落に落ちたかと思うと、一瞬でふさふさ毛皮の白狐姿に早変わりして舞台下から再登場!
拍手が起こりましたねえ。
ふさふわ着物は毛縫というそうです。さわってみたい。
静から鼓がもらえないとわかると、悲しみのあまり号泣しながら退場した狐の猿ちゃんが
ものの1~2分で佐藤忠信に早変わりして襖から顔だけ見せていて
やっぱり拍手が起こりましたねえ。
狐の泣くもラブリーな表情、かーらーの、忠信の憂いを帯びた表情。もう最高。

義経が鼓を授けようと呼ぶと、なんと、欄間からくるりと降りて再登場する狐ちゃん☆
けしからんかわいさ!
義経から鼓を受け取った狐ちゃん、「焦がれ慕いし親鼓、ご辞退申さず頂戴せん」と
嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねます。すごい喜びよう(笑)。
ここで鼓がひとりでにポンポンポンと鳴って、義経に追手がきたと知らせてくれたとわかると
子狐は鼓をくれたお礼にと追手を退治すると言い出します。
ここからは狐の楽しい時間~♪
6人の荒法師たちが義経を捕まえようとやってくるのですが
全員が子狐の神通力に操られてしまい、
とんぼ返りしたり、でんぐり返ったり、踊ったり、組体操したり、エグザイルしたり。
猿之助演出パネェ(笑)。
猿ちゃんが本当に楽しそうで、荒法師さんたちもひょっとしたら楽しかったんじゃないかと思うくらい
明るく滑稽なダンスでした。
お囃子も軽妙な音色で笑いを誘っていました♪

やがて、さんざん荒法師を翻弄した子狐の「アヤ、おさらば!」で気持ちのいい幕切れ。
新橋演舞場でやっていた宙乗りによる猿ちゃんの退場は今回はなし。
引っ込む手前でニコニコ笑っていてかわいかったです。
うおおぉ子狐えぇうちの子になってくれぇええ。

そういえば子狐無双のシーン、着物のふさふさを外して上半身だけ着物姿になるのですが
(記事トップ↑の写真中央がそれです)
猿ちゃん、客席に背を向けて黒子さんとちゃちゃっと支度していたんですけど
たぶんできたよって合図なのかな、黒子さんが猿ちゃんの肩をポンとたたいてから退席されたのを
わたしは見逃さなかった(笑)。
素敵だなと思いました。

縁の下の力持ち。※クリックで大きくなります
観劇中のらくがき。(舞台に集中しなさい)
わたしの席から見えた人たちです。
ツケさんって普段は幕に隠れて見えないんですけど、今回は舞台袖に出て演奏されてました。
ババン!バン!とか、拍子木を床に打ちつけて役者さんの見栄に華を添えていました。
キャーカッコイイー。


次は襲名披露口上。
猿ちゃんからは今後の抱負について、梅玉さんから猿之助の名跡の歴史についてのお話が、
笑三郎さんからはなんでも鑑定団inこんぴら歌舞伎のお話がありましたね~。

休憩時間には舞台のセッティングがあり、
幕内から「オーライオーライ、ストップ!」とかスタッフさんの声が聞こえてました。
お疲れさまです!


続いて歌舞伎十八番の内「毛抜」。
主人公の粂寺弾正が、小野春道の娘である錦の前の病気の謎を解くストーリー。
錦の前は髪の毛が逆立つ病気にかかったというので、
考え事をしつつ毛抜で髭を抜いていた弾正が、毛抜が突然ふわりと宙に浮いたのを見て
天井裏に隠れていた忍者と巨大な磁石に気づき、姫の鉄製のかんざしが磁石に反応したと判明して
病気は治ってめでたしめでたし。
合間に小野家の宝物である短冊が行方不明になったり、姫を病気にした犯人を探し出したりと
推理ものっぽい要素もあって面白かったです。

お姫様の髪の毛や弾正の毛抜がふわふわ飛ぶのは
黒子さんが長い棒につけてふわふわさせていたので笑っちゃった。
ワイヤー使うとかじゃなくて、人が堂々と舞台上でそういうことをやってのけてしまうのは
文楽などにも見られますね。
「え、ちょ、なに、ありえないんだけど?」な顔になった弾正とセットで楽しめます。
面白いー。
ラストでは犯人が判明して首がとぶシーンもあって客席がざわっ!ってなりました。
こういうところが歌舞伎の、いや江戸時代のすさまじさですね。

弾正は頭はいいんですが、いかんせん性根がなあ。
春道を待つ間、弾正のもとへ伽に来た前髪の若衆(春猿さん)に
デレデレ言い寄ってタッチしたりしてたし。
うにゃあああああああああ何するんだわたしの春猿ねえさんに!!(お前のではない)
だって春猿さん超かわいい青年だったんだ…!
普段女形やってる人が立役やると色っぽくていけませんね。
ってか、弾正ったら、前髪の若衆だけじゃなく腰元(笑三郎)も好きっぽい。
うにゃあああああああああ何さらすんじゃわたしの笑三郎さんに!!(お前のではry)
腰元さんにセクハラしてバシッとひっぱたかれても
(春猿さんに叩かれたときよりキツイ叩かれ方だったにも関わらず)、
「面目次第もございませぬ~」とか悪びれてないし。
だめだこいつ早く何とかしないと。。
「毛抜は踊る、小柄が踊る、煙管は踊らぬ、合点がゆかぬ」と首をかしげる仕草はかわいかったけど。
市川右近さんはよく声の通るすてきな役者さんでした。

あと、個人的に楽しみにしていた市川笑也さんの小野春風☆
美青年でした。青年ではありません。美青年でした。(2回言った)
ああああ美しいよ笑也さん~!
父親役の猿弥さんがものすごくオヤジの貫録あるんですけど、その隣に息子役の笑也さんが立つと
より清楚な青年っぽさが際立ちますね。
うおわあぁ春風えぇうちに来てくれえぇぇ。


ましゃ兄より。
福山雅治氏からの祝幕。
初代~4代目(当代)猿之助4人の隈取を合体させたデザインで、赤青黄色でDNAの色だって
猿ちゃんが口上で言ってました。
『龍馬伝』での斬られる人(龍馬)から斬った人(今井信郎)へのプレゼントとかたぎる。


よし、あとでお正月に録画した義経千本桜(大阪公演)のDVDをつけて
今日見逃した「出があるよ!」を観よう~。
ついでに副音声つけてイヤホンガイド代わりにするんだ!
あと荒法師たちのダンスがおかしすぎてもー笑いがとまらない!
2013_07
19
(Fri)02:53

ブログ4周年。

ブログを始めて4年が経ちました!わー。

子どもの頃から3日坊主ばかりで日記も続かなかったわたしが
まさかこんなに長く続けられるなんて想像もつかなかったです。
この4年でブロとも様、相互リンク様を始め遊んでくれる方が増えて
いつもご来訪くださったり拍手やコメントくださったりと、幸せ&嬉しい限りです。
本当に本当にありがとうございます。
m(_ _)m

ブログ開設も好きなことや気に留めたことなど書こうというのが最初の目的だったのですが
この数年でオタク生活に拍車がかかり、
色んなものにハマってあっちこっちに出かけて、本も持ち物も膨大に増えてきて
ここに書くこともかなりカオスになりつつあります。
ますますどこへ行くのか方向性が定まらなくなっていますけれども
今後も続けられる限りは、好き勝手にのんびり続けていきたいと思います。
どうぞ末永くよろしくお願いいたします~。
ヽ(´▽`)ノ


4周年です☆※クリックで大きくなります
4周年記念絵。
3周年が貫之と躬恒だったので、今回は『貫之1111首』よりお花ちゃんズ。
画面に花びらを飛ばしたらだいぶ賑やかになりました。
牡丹と萩はお話の中で一度も顔を合わせていないので、なるべく一緒に描きたいと思っていて
やっぱり今回もそうなりました。
真ん中の子は一気読みページの最後に出ています。
よろしければどうぞ。宣伝です(笑)。

この絵は1週間ほどフリー配布いたします。
「もらうよ~」というお優しい方いらっしゃいましたらどうぞお持ち帰りください☆

※イラストの配布期間は終了しています。


*歌人のイラスト記事一覧はこちらです*
2013_07
14
(Sun)23:30

イラストボード展示2013。

※期間限定トップ記事。最新記事はこの下です↓

よろしくお願いします~☆
(これは出品イラストではなく宣伝用です…毎日暑いからキンキンに冷えた絵が描きたくなったの…)


現在、熊谷市のアルス画房さんで開催されている
第23回コミックイラストコンペ」にてイラストボードを展示させていただいています☆
コンペの内容は「手描き」「ティーンズ」「CG」「豆うちわ」の4部門で
参加者の皆様が、渾身のオリジナルイラストを展示していらっしゃいます。

展示作品一覧ページ→こちら わたしは手描き部門参加で1点描きました。

展示期間中は、部門ごとに好きな作品に投票することもできます。
わたしも先日参加してきました(´∀`)ノ☆


【アルス画房】 HP→<http://www.arsgabou.com/
埼玉県熊谷市鎌倉町152
10:00~19:00 毎週水曜日定休
コンペイラスト展示期間:2012/7/14(日)~8/4(日)

お店へのアクセス:こちら
JR熊谷駅から徒歩7分
駅北口のロータリーを左方向へ、線路に平行して歩いてください。一方通行出口右角。

お近くの方や興味のある方、お時間がございましたらぜひお越しください♪
ヽ(*^∀^*)ノ
2013_07
12
(Fri)23:55

浮わりと生きませう。

浮わ浮わ。
先週、四谷怪談を見る前に三菱一号館美術館に行って
「浮世絵 Floating World-珠玉の斎藤コレクション」を観てきました。
会期は1期~3期に分かれ、それぞれ浮世絵誕生、北斎・広重、江戸から東京への3つがテーマ。
2期3期も気になりますが、わたしがどうしても見たかったのは1期。
だってよくある浮世絵の展覧会って北斎や広重や国芳が多くて
江戸初期の浮世絵が見られる機会ってあまりないんだもの~。
そんなわけで1期のレポをお届けします(´∀`)。

展覧会のキャッチコピー「浮わりと生きませう」がキュンときたので記事タイトルに採用。
なんて浮世絵にぴったりなコピーなのか。

第1期は浮世絵の誕生から全盛期までの軌跡をたどります。
菱川師宣から西村重長、鳥居清倍、奥村政信、鈴木春信、磯田湖龍斎、
鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、鳥文斎栄之、歌川豊春、勝川春章などが紹介されています。

まずは浮世絵が白黒や紅絵だった江戸初期から。
多いのはやっぱり菱川師宣ですね~。
師宣は「見返り美人図」が有名で、絵本の挿絵や屏風絵もたくさん描いていますが
今回の展示はほとんど墨絵。
版画の線も太くて力強いのがこの時代の浮世絵の特徴ですな。
奥村政信や鳥居清倍の頃になると、役者絵の顔に紅をさしたり衣装に黄色や綠が入りますが
まだフルカラーにはほど遠い感じ。
それでも、絵の中の人々は生き生きしています。
鳥居派の役者絵はよいね~。ギョロ目ひんむいて見得を切ってる。もはやグリ目。

次の展示室は錦絵誕生、もとい、鈴木春信部屋(´▽`)☆
部屋の真ん中に立って360度ぐるりと春信の絵に囲まれるこの幸福感よ。
きゃー春信がいっぱい、春信がいっぱい、どうしよう~~~春信がいっぱい!
黒や紅一色だった浮世絵がフルカラーの錦絵になった時代ですよ~。
江戸中がびっくりの時代ですよ~。
春信の「風流やつし七小町」がフルセットで見られるのも今展示の目玉ですね。
画集でしか見たことがなかった七小町が、目の前に、ナマ絵が目の前に!
わあああんかわいいよ~。
落書きの手紙もってる男の子かわいい、清水詣する女の子カップルかわいい、関寺の母子かわいい、
耳打ちで内緒話するおねえさんと妹かわいい、どうしようみんなかわいいっ!
春信の魅力に取りつかれて久しいですが、
やっぱり現物はいいですね。版画のぬくもりがダイレクトにわかって。
特に春信は柔らかく細いタッチなので
ふわふわ美しく、夢のような世界がそこにあっていつまででも浸っていたいです。
ぴゃー春信大好きだー。

やがて技術が発展してくると、錦絵の色遣いに深みが出てきます。
歌麿の時代にはすでに、色をいくつも重ね摺る絵が制作されていますね。
青楼十二時の遊女たちはほっそり美しく、きれいな着物を着て色艶ばつぐん。
立ちのぼる色気とはかくあれかし…なんかドキドキしちゃうねえ。
「女職蚕手業草」は、女性たちが蚕から糸を作って布にするまでを描いていて
当時の仕事の様子が細かくわかります。
浮世絵は風俗資料でもあるのよね。
鳥文斎栄之や勝川春章はきりっとした美人画ですね~。
栄之の美人新造とか、背筋ぴっと伸ばして、きれいを通り越してかっこいいよ!
春章は「中村富十郎の娘道成寺」が超美人さんだった、惚れる。

肉筆画部屋もありました。
まずは何といっても西川祐信ですーー誰が何と言おうと祐信ーー!(誰も何も言ってない)
キセルを悠然と持つ遊女が外を眺めているのですがね、
くねりとした身体に外へついと向けた顔が愛らしいであります。
歌麿ほどじゃないけど色香が匂いたってるよね…ほのかな色香ってロマンですね…(*´∀`*)。
そして隣に!山崎龍女が!!
ええええええええええええええええええ龍女の肉筆画はじめて見た!しあわせ!!
龍女は大坂の稲垣つる女と並んで東西女性浮世絵師の双璧と言われる人で
作品はあまり残ってないのですが、まさかお会いできるとは。ひゃーい。
遊女と禿が颯爽と歩く様子を太いタッチで描いています。
禿が口に手をあてて、笑い声が聞こえてきそうでした。
宮川長春の遊女や、川又常正のやつし女三宮もきれいでしたな。
肉筆画は版画と違って絵師の細かいタッチまでわかるので、見るときは緊張しつつもwktkする。
絵師の息遣いに触れているような気がするので。

あと、面白いなあと思ったのが錦絵の間にちょこちょこ外国人作家の絵が飾ってあったことですね。
春信の母子とピエール・ボナールの家族が並んでいたり、
歌麿の遊女とロートレックの娼婦の絵が並んでいたりします。
これ、新しいな。

グラスきれいー。
美術館のカフェ1894でいただいた展覧会特別メニュー、浮き浮きちらしセット☆

ひんやり。
ゼリーおいしかった☆



……ところで、話は全然変わるのですけども。
さっきまでテレビでジブリのぽんぽこを放送していまして、これ子どもの頃から好きなのですが
今見るとわかることがたくさんありますね!
図書館で権太が見ていた錦絵が国芳の「其面影程能写絵 猟人にたぬき」だとか、
正吉とおキヨがやる双子の星作戦の元ネタは宮沢賢治の「双子の星」&「星めぐりの歌」だとか、
禿狸の踊り念仏は一遍だとか、
六代目金長と玉三郎がワンダーランドの社長を連れこんだ招き猫の中で
鯛やタコやフグが飛んでいたけど、元ネタは国芳の「魚の心」だとか。
魚の心は、水野忠邦の改革のために役者絵を描けなくなった国芳が
魚の顔を團十郎や菊五郎など役者の顔に描いたという、あの絵ですな。→こちら
そして招き猫が飛んでいくときには
「どっどど どどうど どどうど どどう」を延々繰り返しているし(笑)。
宮崎さんの賢治好きは有名な話ですが、高畑さんも賢治がお好きなのだろうか。

圧巻が物語中盤の妖怪大作戦パレードですねえ。
日本美術や文学に描かれてきた画像妖怪たちが大集合!
再現率200%の現代妖怪絵巻だと思います。ほんとに楽しい、すばらしい。
ぽんぽこってこんなにすごい映画だったんだ…。
ちなみに妖怪大作戦の一連のシーンは水木しげる御大の全面監修だそうですよ。なんという。
本編にもご本人っぽいコメンテーターが出ていたよね。

子どもの頃に観ていてわかったのは花咲爺、狐の嫁入り、阿波踊り、宗達の風神雷神、福助、七福神、
どさくさに紛れてキキ、ポルコ、トトロなどでしたが
今回わかったネタ。

・マンションに石燕のぶるぶるの影がうつる
・北斎の提灯お岩さんが燃えてた
・国芳の「流行達磨遊び」の達磨たちが天狗と歩いてた
・百鬼夜行絵巻の付喪神も飛んでた
・その下でベカ太郎や傘おばけがアカンベーしながら通ってた
・石燕の『画図百鬼夜行』シリーズから諸々出てた
・歩道橋に現れたのが国芳の「相馬の古内裏」のガイコツ(ポーズまで完璧にトレース)
・おじさんたちが飲んでる後ろで鳥獣人物戯画のウサギとカエルがビルの上飛んでたり国芳の両面相が回ってる
・月夜のでんしんばしらの大行進
・賢治の銀河鉄道

他にもあるかもしれませんが、今回気づいたのはこれだけ。
またしばらく経って見直したら、何か発見があるかもしれません。楽しみです。

それにしても、ぽん吉とおろくばあちゃんの
「葉っぱを頭に乗せないんですか?」「それは初心者のやることじゃ」のやりとりには
いつも笑ってしまう(^ ^)。
2013_07
09
(Tue)23:54

つがもねえこったい。

hijo1.jpg
パルコ劇場で「非常の人 何ぞ非常に~奇譚 平賀源内と杉田玄白」を観てきました☆
大好きな蔵さんの舞台で、しかも源内先生だなんて行くっきゃないよー!
舞台時代劇を見るのは久々だったので楽しかったです。
席も前から2列目で、役者さんたちのお顔も衣装も道具もよく見えて
息遣いや衣擦れの音まで聞こえましたよ~。
オペラグラス持ってったけどな!舞台の隅々まで見たかったからな!(^▽^)ノ

以下、盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。


エレキテルを修理しようとする平賀源内と、解体新書を刊行しようとする杉田玄白を主人公に
玄白の成功と源内の挫折、2人の友情と、2人をとりまく人間模様を描きます。
出演は男ばっかり5人。
佐々木蔵之介さん(源内)と岡本健一さん(玄白)と小柳友さん(菊千代)は1役ですが
奥田達士さんと篠井英介さんは場面ごとに違う役をこなしていました。
篠井さんの5変化は見ごたえありましたよ~うふふふ(*´∀`*)。

開幕と同時にかかるBGMがエレキでロックでアコースティック。
全然時代劇っぽくなく、お江戸青春グラフィティって感じで面白かったです。
玄白のつぶやきで幕が上がり、「非常の人 何ぞ非常に」の題字が
真っ赤な文字でステージ背後に映りました。うおードキドキしたー!

舞台セットは2種類あって、前半70分が陰間茶屋で、後半85分が源内の家。
前半は、源内がお茶屋のお座敷で寝そべって玄白を待つシーンから始まるのですが
もうエレキテル手に入れちゃってる…。
2度目の長崎遊学の帰りってことは1770年より後だなー鈴木春信はもういないのか。
…え、てことは、源内さんほとんど晩年じゃん!
ここから転がる石のように人生真っ逆さまだよな…そうか…これからそれを見るのか…。
と、覚悟ができたところで集中して鑑賞開始。

まず感動したのが、蔵さん扮する源内の髪型です。あれは、あれはまさに、肖像画のアレだ!
紫に星をちりばめたような着物着ちゃって、あれも肖像画のアレだ!
ちゃんと赤い煙管すってるし!肖像画のアレ(ry

おい衣装担当誰ですここまで完璧に源内を再現しやがって心臓もたねぇじゃねえかどうしてくれるって
パンフレット確認したら、
hijo2.jpg
あ な た で す か !!
どこまで仲いいんでしょう蔵さんと猿ちゃん。
所作も尾上菊之丞丈とかパーフェクトな布陣ではないか。
源内さんが一瞬だけ歌舞伎っぽく振る舞うシーンがあるのだけど、あの監修もされたのかな。

そんな源内に扮した蔵さん、かわいかったですよー!
大喜びしたり大ボラ吹いたり、お酒飲んだり寝転がったりグチ言ったり、しゅんとしたりシャキッとしたり
史実の源内に負けず劣らず表情も態度もコロコロ変わって
色んな蔵さんが見られて俺得でした。
「どうだエレキテルだ見ろそして驚けー!」って、両手をばたつかせて舞台を行ったり来たりして
すごいオーバーアクションだった。
夢いっぱい、元気はつらつ。源内先生はこうでなくっちゃね(^v^)☆
奥田さん扮する菊千代のストーカーが「思いが叶わぬのならしんでやるー」と言えば
「願ってもない、玄白から腑分けの話を聞いてぜひ見たかったんだ。ひとつ綺麗に頼むよ」
とか脅しててもう大爆笑でした。そんな脅し文句聞いたことない!
(結局その人は無事でした)
源内が芳町に出入りしていたのは史実で、確か恋人もいたはずですが
今回はそれが菊千代にあたるのかな。
絵心についてはさんざんバカにされていてちょっと気の毒でした(^ ^;)。
小田野直武と比べちゃいけないけど、それにしても。

川越藩から依頼されて秩父鉱山の開発に携わって、色々モメたのは本当ですね~。
秩父鉱山は源内の時代には何も出なかったけど、数十年後には本当に鉱物がザクザク出てきて
今も運営されている鉱山だよ!

自称大天才のため高慢でプライドも高く、おれはあれもこれもできるって息巻いていても
玄白のこととなると版元にためらいなく頭を下げる潔さも持っていて
いいなーと思いました。
自分の大望には躊躇しているのに、玄白のためだったら何でもできるんだなって。
蔵さんもインタビューで言ってらしたけど、この頃の源内は色んなことに挫折していて
それでもエレキテルを抱えて何とかしようともがいていたから
必死に自分を鼓舞して自信を保とうとしていたんだと思う。
玄白を助けていたはずが、いつの間にか玄白に追い抜かれていて
励まされる立場になっている自分が嫌で、助けて欲しいんだけど見栄をはってしまう。
どんなときも玄白と対等でいたくて爆発しそうになってる。
おれは博物誌を作る、おまえは蘭書を作る、ともに成功しようって笑いながら語り合ったのに
玄白はどんどん先に行ってしまう。
切ないです。
(演出のマキノノゾミ氏は源内と玄白を「ウサギとカメ」と評している)
菊千代に対しても、菊千代にというよりは過去の遺恨に対してのやさしさで接していて
菊千代を通して過去の人たちに償いをしているのが切なくてたまりませんでした。
この話を玄白にするときの蔵さんの芝居がね…神がかってたね…!
大工を殺害した菊千代を抱きしめて「おれがやった、おまえは何もやってない」って
とっさに庇っちゃう演技も神がかってたね…!
しかもとってつけた理由が「大工に図面を盗まれそうになったからやりました」。
目撃してないのにあってる(笑)。
(このシーンを見たとき、ああマキノ氏は非情になれなかったんだって思いました。
それがとてもマキノ氏のお人柄を感じさせたし、とても嬉しかった)

源内先生のお宅のセットが!もー、眼福でしてな!
無数の蘭書はもちろん、火浣布、タルモメエトル、油絵、地球儀、源内焼、国倫織、物類品隲。
オペラグラスで食い入るように見つめてしまったではないか。
大道具さん小道具さんの技が光ってますね☆
床の間の掛軸はもしかして直武?と思っていたら、源内が「おーい武助」と奥に声をかけて
本当に直武が出てきてびっくりした(笑)。
ちゃんと武助って通称で呼ばせてるよーすばらしいよこの脚本☆

岡本さんの玄白。
不器用でまっすぐで真面目な人柄。この玄白から真面目を取ったら何が残るのか。
常に正座して、背筋をぴっと伸ばして、誰に対しても礼節を尽くす。
源内にずっと敬語で話しかけていましたね。親友を大事にする人なんですね。
かと思えば、ねじり鉢巻きして裾たくし上げて、中川淳庵と一緒に「盛り上がってますかー!」って
源内のところに転がり込んできたのは大爆笑でした。
翻訳のしすぎで頭がおかしくなりかけて、源内にアドバイスをもらいに来た設定です。
こんな暑苦しい玄白見たことないよ!(笑)
(史実の玄白はもうちょっと、いやかなり大ざっぱな性格だし^ ^;)
源内に励ましてもらいながらターヘル・アナトミアの翻訳を続け、
絵師も版元も源内のおかげで見つかって出版できて大感謝しまくる頃には
親友はすでに挫折していて。
何とか立ち直ってもらいたくても、愚直だから正論しか言えない。
正論を言えば源内は傷つくとわかっていても、
真正面から翻訳と戦い続けてきた玄白は、他の励まし方を知らないんだろうな。
「エレキテルの何がすごいかわからない」のセリフには
わかりたいのにわかってあげられない自分を責めるような響きがあって切なかった。
後半からラストにかけての岡本さんの演技が深かったです。
ラストの衣装とか雰囲気とか、重要文化財の肖像画そのまんまだったよね!!
岡本さんはこの舞台のために本当に剃髪なさったそうな。恐るべし役者魂。

嬉しかったのが、玄白の回想記『蘭学事始』のネタをちゃんとやってくれたこと。
鼻の項にあるオランダ語「フルヘッヘンド」がどうしても訳せなくて
木の枝を切り取るとフルヘッヘンド、ほうきで掃除すると塵芥がフルヘッヘンド、
何のこっちゃと半年も悩んで、菊千代の一言で「盛り上がる」の意味だと判明して大喜びし、
しかも「連城の玉を手に入れたような心地」のセリフまで出てきたよー!
「1日に10行も、時にはそれ以上も訳せるようになった」のも
解体新書の出版前に解体約図(広告チラシ)を出したのも
『蘭学事始』にある回想ですよー!
マキノ氏ありがとうございますありがとうございます。
(ちなみにフルヘッヘンドは鼻の項ではなく胸の項に出てくる単語です。
これ回想したときの玄白は83歳だからまあ仕方ないよね)

玄白の息子が障害者だったのは本当です。杉田家は娘の結婚相手が継いでいます。

小柳さんの菊千代は厨二病真っ盛り、人に絶望していて誰にも心を開かない若者ですが
源内にやたらとタッチしたりキスしたり、結構、お客の扱いに長けた面がありましたね。
起請文持った元贔屓がおしかけてくるくらいだから
陰間としては相当な手練手管だったんだろう。
篠井さん扮する元恋人が「あの冷たい目がたまらなくてねぇ」って評してたから
放置プレイかSMタイプで仕事してきた感じかな。
(江戸時代にはすでに束縛プレイがあったとどこかで読みました)
グレて店も役者もやめて源内の家に転がりこんで博打のイカサマやって、それも鮮やかな手口って。
どんな手してるのってオペラグラスで見たら細っそい手でした。
小柳さんって手足長いよね。背も高いけどね。
周りがベテラン役者さんたちだらけな中でがんばっている印象でした。
陰間だったり役者だったり小者だったり、衣装チェンジも良かったです。
役者姿の菊千代きれいだったなー。

奥田さんの中川淳庵が面白かった!
さっきも書いたけど、玄白と一緒にねじり鉢巻きして裾たくし上げて
「盛り上がってますかー!」で大爆笑だったよ。
あんなに暑苦しい淳庵は初めて見ました(笑)。
前野良沢がターヘル・アナトミアの翻訳を退いてからは、ほとんど玄白と2人でやってたはずだから
息もぴったりだったろうなあ。
奥田さんは幕ごとに役が違って、善人だったり悪人だったりしたのですが
どれもハマってて良かったです。
小田野直武はぜひとも出てきて欲しかったので、3幕目でやってくれて嬉しかった!
秋田弁がなんだかアレでしたが(;´∀`)素直で気が利く直武、かわゆいなあ。
秋田藩主の佐竹曙山とセットで源内の弟子っていう話もしてくれてねー。
歴史ファンサービスばっちりですね(^ ^)。
極めつけは大工のおっさんですよ。あんなに重要な役割だとは思わなかった。

篠井さんの女将と瀬川菊之丞が美しすぎる件。
1幕目の女将さん良かったですよーおきゃんな商売人って感じがよく出てた。
篠井さんは日本髪が似合いますね。
そして2幕目の菊之丞のフェアリーっぷりマジやばかった…!
紫の着物をふわりとまとって裾を引いて、帯をきゅっと結んで典型的な女形スタイル。
言葉もしぐさも女そのもの、乙女チックで色気もあってまじ天使。
源内といちゃついててかわいかったです。史実でも公認カップルだよねーこの2人。
面白かったのは、菊之丞が「ごめんくださいまし」と引っ込んだ後で
舞台袖から篠井さんの声で「先生ー!」って声がしたので、蔵さんが
蔵「どうした、忘れ物か?」
篠「やですよ、あたしは女将ですよぅ」
蔵「んだよ、ややこしいな!」
客席中で大爆笑でした!これぞ演劇の醍醐味(^-^)。

4幕目は雰囲気をがらりと変えて、前野良沢に扮してご登場。学者肌の立役。
玄白と一緒にターヘル・アナトミアを翻訳しましたが、自分の名前を外させたのは本当です。
解体新書は時間の都合もあり完訳ではなかったので、良沢は完訳すべきと言ったんだけど
玄白はともかくまず出版したかったんだよね。
2人の意見がぶつかるシーンを、源内も交えてうまくやっていたなと思いました。
解体新書の出版後、奥医師である漢方医の反論次第では幕府からお咎めがあるかもしれない、
自分たちが咎められても良沢が無事であれば蘭学は潰れることはないから袂を分かつ、という
脚本の解釈は一理あるなと思いました。
しかし篠井さんは下ろし髪も似合いますね。

ラストのすばらしさよ…。
獄死して舞台の上でパッタリ倒れた源内さんの側に、玄白がつかつかとやって来て
おもむろに懐から紙を取り出したと思ったら、まさかの墓碑全文朗読!
浅草の総泉寺に今も残る、玄白から源内への送辞が刻まれた墓碑の朗読ですよーーーうおおお!!
(総泉寺は過去に訪れたことがあるので泣きそうになりました)
源内の生まれや人生を述べたあと、最後に述べる次の言葉が圧巻。
「ああ、非常の人、非常の事を好み、行い是非常、何ぞ非常に死するや!」
感動のあまり頭がパンクしそうでした。
とうとう玄白の声であの送辞を聞けましたよ。感無量。生きてて良かった。
送辞を読み終えた玄白が「源内さんと一緒に酒が飲みたいなー…」ってつぶやいて、
くるりと背を向けたとたんにものすごい嗚咽。
ああ…玄白かなしいなあ…かなしいなあ…源内さん起きないでね…と思っていたら
案の定、源内がパッと起き上がって
源「じゃ、飲もうぜ!」
玄「(泣きそうな顔で振り向いて)…源内さぁ~ん…」
源「つがもねえこったい!」

おしまい!!

ラスト、得意顔であぐらかいた蔵さんをすかさずオペラグラスでガン見。
とってもまぶしい笑顔でした(*´艸`)。

カーテンコールは2回。スタンディング・オベーションしたい気持ちでした。しなかったけど。
楽しくて笑いが多くて、堅実で誠実で、ワイワイした男子校みたいな仲の良いノリで
何ともかんとも「人生」の物語だなあと思いました。
華々しくかなしく走り続けた源内と、側にいながらも遠い玄白に
楽しいやら切ないやら胸が熱くなるやら、しみじみと鑑賞させていただきました。

源内が、玄白からも世間の誰からも理解されずに終わるのは
史実を知ってはいてもやっぱり涙が出ます。
生まれるのが早すぎたとか、周囲が理解できなかったとか、現代の研究書には書いてありますが
100年のち、200年のちの人々ならきっと理解されるはず、と言われても
それが源内にとって何のなぐさめになるだろう…。
一方で、終盤、獄中で自分の人生を顧みる源内が独白しながら笑うのですが
この人はどんな状況でも笑うんだな、
無理に笑おうとするんじゃなくて、この人にとって自然なことなんだろうなと感じられる笑い方で
「まあこんなもんか」的な、あっけらかんとした人生観が垣間見えた気もします。
源内の晩年が急降下だったかどうかなんて誰が決められるだろう。
きっと本人もわからなかっただろうなあ、とか、蔵さんを見ながら思いました。
(江戸時代は人の生死には割とあっけらかんとしていたらしくて
そこが江戸人のお気楽さでありダークな面でもあります)
派手なBGMも手伝って、あまり深刻な雰囲気でもなくて
そういう意味でもリアリティを感じました。
喜劇か悲劇かは後になってからわかることで、それが起きているときって人間いっぱいいっぱいで
なかなか評価できなかったりするよね。
源内がいなくなったあと、玄白が源内を理解できたかどうかはわかりませんけども
それがあの送辞に結実していくのかと思うと本当にたまらなくこそばゆい、もだもだ。
あー!いいもん観た!!

わたしは平賀源内びいきなので、脚本に言いたいことはそれなりにありますけれど
150分強でこれだけのものを詰め込んでくれたのは見事と思わざるをえない。
専門用語の使い方や人物の功績なども、すべて研究した上で省略や置き換えをしていることが
伝わってくる内容だったので
あれこれ考えるのも途中でどうでもよくなってやめました。
しかし…ヨハン・クルムス、カピタン、田沼意次は予想していたけど
吉雄幸左衛門(耕牛)の名前が出るとは思わなかった!
あれは不意打ち。
太田南畝も司馬江漢も宋紫石も押しのけて、まさかの吉雄耕牛ですよ!
耕牛は当時のオランダ通詞の最高峰で、ものすごいエリートですが
今じゃ源内の大河ドラマでもやらない限り出てこないレベルの人だよ。
やっぱりマキノ氏わかって作ってらっしゃる。感動しました。すばらしいです。

お江戸はロック!


劇場のロビーにはお花がたくさん。
松嶋菜々子さん、BS歴史館、救命病棟24時、テレ朝、平幹二朗さん、
仲村トオルさん、市川猿之助さん、ほかたくさんのお花がきていました。
撮影できなかったけど、みんな綺麗でした(^ ^)。

救命病棟は録画してあるから後で見るよ蔵さん!



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皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

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2013_07
06
(Sat)23:53

うらめしや伊右衛門様。

納涼の夏!
歌舞伎座で「通し狂言 東海道四谷怪談」を見てきました。
生きてるうちに1回は見ておきたかったので。
右下はタリーズ歌舞伎座店でゲットした鳥獣戯画手ぬぐい。
動物たちがコーヒーカップ持ってるデザインですよ(´∀`)☆

かわいい☆
鑑賞前に歌舞伎座のカフェで休憩。
写真はKABUKUーヘン。『籠釣瓶』に登場する八ツ橋花魁の履物をイメージしたバームクーヘンです。
おいしかった☆

通路だらけ。
わたしの席から見た風景。
前も右側も通路になっていて、花道が左側にありました。
役者さんたちがパタパタ駆けていくのが近くで見られて良かったよ~。
大入で席はほとんど埋まっていました。

以下、盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。

ストーリーはあまりにも有名なので説明は省いてリンクを貼っておきます→こちら、画像つきだよ!
事前学習はほとんどせず、
過去に江戸博で見た四谷怪談のしかけ模型が等身大で見られるんだわーいヤッホーと
それだけを情熱に見に行ったのですが、
今回見てみて、『仮名手本忠臣蔵』のサイドストーリーという設定だったことにびっくりしました。
伊右衛門や与茂七って赤穂浪士なんですね!
伊右衛門が惚れるお梅の祖父・伊藤喜兵衛は吉良上野介の家来なんですね!
全然知らなかったよ。
1825年の初演では、『仮名手本忠臣蔵』と『四谷怪談』を1場面ごとに交互に上演し、
四谷怪談の大詰の後に討入りがくる展開だったらしい。
また、伊右衛門とお岩さん夫婦には実在のモデルがいるそうで
(実在の2人は四谷怪談の2人とは真逆でラブラブ夫婦だったようですが)
お岩さんが勧請したとされる於岩稲荷田宮神社は現在も残っているとか。
ちょっと行ってみたい。

さて、四谷怪談本編ですが、前半は忠臣蔵設定をベースにした世話物になっています。
説明すると長くなるので詳細は↑のページを参考にしていただければと思いますが
簡単に言うと、伊右衛門が藩の金を横領したことを知っている義父を伊右衛門が殺害し、
お岩さんの妹お袖ちゃんと結婚したい直助が、お袖ちゃんの夫の与茂七(実は別人)を殺害し、
それぞれ夫婦になるけれど
産後の肥立ちが悪くて病気になったお岩さんに伊右衛門が飽きて
こともあろうに主君の仇である吉良上野介の家来・伊藤の孫娘・梅と結婚することにして、
その伊藤がお梅ちゃんの願いを叶えたくてお岩さんに毒薬を飲ませる、までが
前半のストーリー。

今回、お岩さんを演じるのは尾上菊之助さん、伊右衛門は市川染五郎さんです。
初演時のお岩さんは3代目尾上菊五郎だったそうで、菊様はその御子孫にあたるので
お家芸というわけですな。
菊様のお岩さんはなよやかな儚げ美人でした。色じけがぽろりと落ちていてね…見とれちゃうよね。
菊様きれい~すてき~(*´∀`*)。
(先日のいいともに染ちゃんが出演したとき、「伊右衛門様へ お岩より」ってお花贈ってて笑った)
伊右衛門がとにかくダメ男でした。染ちゃん、がんばって悪人になってた。
たぶんこの役は、観客に「おまえ滅べ!」って思わせられれば大成功なんだと思う。

伊右衛門以外にも色んな人の思惑がはたらきながら話がすすむので
正直「なんだか怪談というよりカルマの話だなあ」とか、眠くなりかけながら見ていたのですが
前半のクライマックスで伊右衛門がお岩さんに対して
着物を奪ったり赤ん坊を赤ん坊とも思わなかったりと、かなり手ひどいはねつけ方をします。
(前に伊右衛門を演じた中村吉右衛門には、客席から「悪党!」の大向こうがかかったそうな)
伊右衛門が出て行ったあと、お岩さんは自分の顔が薬によって変形させられたことを知って
阿鼻叫喚するわ絶望するわで、そこから一気に怪談じみてきました。
gkbrgkbr((((;´へ`))))

お岩さんが特効薬と信じて毒薬を飲もうとするシーンで「ダメー!飲んじゃダメー!」、
毒薬を飲ませた伊藤に恨みつらみを述べようと、身支度のため髪をとかそうとするシーンで
「ダメー!とかしちゃダメー!」とか思いながら見ていました。
もうフラグ立ちまくりですよ。
やることなすこと裏目に出るお岩さんがかわいそうで…鶴屋南北ってドSなのか…?
「(こんな目に遭わされて)恥ずかしや恥ずかしや恥ずかしや」と繰り返すお岩さんの言葉が
とうとう「口惜しや!」に変わったときはドキーン!でした。
お岩さん目覚めた…!
かの有名な「うらめしや~」のセリフがここで出ましたが、後半では言わなかったですね。1回だけ。
もっと無数に言いまくってるイメージがあったので意外でした。
そして、そんなお岩さんの顔をチラ見するたび悲鳴を上げる按摩宅悦。きみちょっと黙ってようか。
この狂言にはヘタレorダメ男しかいないんですかね。

場面転換やセリフの間に、お寺の鐘の音が舞台に響きます。ごーん。
アニメ『モノノ怪』の鵺の巻みたいだ。

お岩さんのいなくなったまさにその日、伊右衛門の屋敷にお梅ちゃんが嫁入りに来ます。
はあああ右近ちゃんきれいねえ☆
さっきまでお岩さんが恨みの言葉を吐いていた部屋で結婚式が行われ、
お岩さんの亡くなった部屋がなんと初夜の場所に。
南北ってエログロなのか…?
いや南北の作品、まだこれしか見たことないからわからないんだけど。
(ちなみに四谷怪談を書いた当時、南北は71歳だったそうだ)

そしていよいよ幽霊お岩さんが人魂を従えて登場!
唐突すぎてびっくりしました。背筋がぞわわっとした。
伊右衛門がお梅ちゃんの白無垢を外したら、中身がお岩さんだった!
伊右衛門、悲鳴を上げて斬りつけた!したら倒れたのはお梅ちゃんだった!
お梅ちゃんがお岩さんに見えただけだった!
そしてまた幽霊お岩さんが現れた!
伊右衛門、悲鳴を上げて斬りつけた!したら倒れたのはお梅ちゃんの祖父・伊藤だった!
伊藤がお岩さんに見えただけだった!
とか、まあ何ともお約束な展開なのですが役者さんたちが素早い動きであっという間の出来事で
かなり怖かったです。
特に角隠しをとった瞬間にユラリと立ちあがったお岩さんの迫力は圧巻。
底冷えのする声も響いていたし。
身の毛がよだつとはこういうことを言うのだと思いました…菊様すげぇ。

ところでお岩さん役の菊之助さんは、今回の四谷怪談で
身内の病気を治したくて伊右衛門家の薬を盗んでしまう小者・小平と、
お袖ちゃんの夫・与茂七も演じています。
合計3役の早変わりがこの演目の見どころのひとつで、ここでその早変わり1回目が出てきます。
前半で、薬を盗んだのを伊右衛門に咎められた小平が押入れにおしこめられるシーンがあるのですが
お岩さんが亡くなったあと、伊右衛門が押入れの戸を開けると
そこにはものの数分で小平に早変わりした菊様が!
伊右衛門がお岩さんを罵倒する様子を、押入れの中で全部聞いていたために
「旦那様お薬くだせぇ」と断末魔を上げながら染ちゃんに斬られました。
菊之助は2度しぬ。すげぇ。初役だなんて信じられない。

で、ここまで見ていてはたと気がついたのですけど
いつもなら饒舌なイヤホンガイドが、この場面ではまったく解説をしませんでした。ほとんど無言。
たぶん観客に気を遣ってくれたんだろうな。
(歌舞伎座のイヤホンガイドは録音ではなく、担当の方が実況形式でやってくれます)
客席からも拍手もほとんどなかったし、大向こうもいつもより少なかったな…。
確かに「高麗屋!」とか景気づけてる場合じゃなかったしなあ。

季節のお弁当。
30分休憩に入ったので幕の内弁当をオープン。
食欲なくてどうしようかと思いましたが、がんばって食べました。
強烈な殺害シーンを見た後でごはん食べるのは気力と体力が要る。


後半開始。ここからお岩さん、もとい菊之助無双が始まります。
菊様はここで早変わりを3回、立ち回りを2回、幽霊になって空を飛ぶなど
やることがいっぱいありました。
隠亡堀の戸板の上でお岩さんから小平、小平から与茂七への早変わりの速さが秒単位だった!
女から男へ、死人から生きている人へ、ものの数秒、まさに全身全霊をかけた演技。
特に水門から現れた与茂七のイケメンっぷりやべーーーーー水もしたたるいい男!!
菊様も裏方もすごすぎる。あれ一体どうやってるんだろう。
席が舞台に近かったら確実に惚れてた。
「首が飛んでも動いてみせるわ」と見得を切る染ちゃんもかっこいいんだけど、
わたしはここから完全にお岩さんを応援していました。
がんばれ、がんばれ僕らのお岩さん。
(この隠亡堀の場面は浮世絵にもなっていて、以前に見たことがあります。→こちら
あと、この幕と大詰に1匹のネズミが出て人間たちをおちょくるのですが
これはお岩さんが子年生まれなので、ネズミ=お岩さんの化身、ということらしい。

大詰。
客席の照明は非常口も含めスイッチオフ。舞台のほのかな灯りだけが頼りです。
お岩さんと伊右衛門の声が、前半と比べてかなりトーンダウンしていましたね。
いきなり若き日の伊右衛門とお岩さんのラブシーンから始まります。
まだ恋人同士だったころの幸せな2人。
しかしお岩さんの顔がガラリと変わり、怯えた伊右衛門の派手な立ち回りとともに
暗いオンボロ屋敷に場面転換。
どうやら伊右衛門の夢だったらしいです。夢オチってこの頃からあるんだな…。

舞台は本所の蛇山庵室で、玄関に提灯、仏壇に南無阿弥陀仏の掛軸、同じく南無阿弥陀仏の襖。
ああ、もう、嫌な予感しかしない(笑)。
お岩さんの命日に「どうか成仏してくれ」と念仏を唱え続ける伊右衛門。
しかし祈りが届くはずもなく、
玄関先の提灯がバッと燃えあがって中からお岩さんがウルトラマンのジュワッチポーズで登場!
「提灯抜け」という仕掛けだそうです。
あれたぶん本火だよな…菊様やけどしないでね…。
(この仕掛けが北斎のこの絵の元になってるらしい)
で、「岩、迷うたか!」とか、この期に及んでまだそんなこと言ってる伊右衛門。
しかし伊右衛門への恨みのため、すっかり行動的になっているお岩さん。
ワイヤーで吊られてゆ~らゆ~らと宙を舞い、伊右衛門の母をどこかへ連れて行ってしまいます。
足を隠して、ほんとに幽霊みたい!

それにしてもわたし舞台から席遠くて良かったな、近かったら怖くて直視できなかったなとか
考えていたら
わたしの背後から、

長兵衛「ぎゃあああああああ(;; ゚Д゚)」

ゆさ&客席「ぎゃあああああああ(@Д@;;)」

びびびっくりしたーーー!!何事!!
長兵衛役の役者さんが客席の扉をバーン!と開けて飛び込んできたのですよ。
わたしの目の前の通路でぎゃああああとか叫びまくってるわけですよ。
猛烈びっくりして他のお客さんと一緒に悲鳴上げました。お化け屋敷でも叫んだことないのに!
たぶん役者さんたちは「よし!」って思っただろうけど(笑)。
(しばらく心臓バクバクでオペラグラスを持つ手がブルブル震えてしまったよ)
その後、長兵衛は舞台に走って上がり、
南無阿弥陀仏の掛軸から飛び出てきたお岩さんによって、掛軸の中に引きずり込まれてしまいます。
仏壇返しという仕掛けらしい。

そこへ、横領の罪で伊右衛門を追いかけていた同心たちがわらわら出てきて激しい立ち回り。
(歌舞伎や時代劇で同心が十手を振り回すのって、
現代ドラマで警察官が拳銃ぶっぱなしまくるのと似ている気がするな…。
どちらもありえないんだけど、ドンパチが好まれるのは昔も今も変わらないんだなあと思う)
伊右衛門が同心を追い払ったあとは、お岩さんから与茂七に早変わりした菊様登場。
やはり伊右衛門と立ち回りを演じ、伊右衛門の額を与茂七がガツンと突いたところで勝負あり。
そこでスッと芝居が止まり、染ちゃんと菊様がその場に手をついて
「まず今日はこれぎり!」と客席に頭を下げたとたん、客席と舞台の照明が一斉にパーッとつきました。
拍手喝采!!

この後、与茂七は討入りに参加するんだろうな。


いやーすごかった怖かった業が深かった。
通し狂言は鑑賞者も体力勝負だなと思いました。途中で帰る人もいたけど最後まで見て良かった。
複雑な人間模様や伏線が張られているとか、
菊之助が1人3役を演じるのも後半の早変わりを観客に楽しんでもらうための趣向だったりとか
イヤホンガイドの解説で教えてもらって勉強になりました。
仕掛けが面白く、おどろおどろしく恐ろしく、もつれた人間関係の怖さ、お岩さんの恨みと悲しみ。
一言で言い表せない舞台を久々に観ました。

役者さんはもちろん、舞台セットも囃し方も隅々まで作りこまれてすばらしかったです。
後半のからくり良かったなー。役者さんと裏方さんのタイミングがぴったり合っていた。
歌舞伎ってこんなに色んなことできるんだ!と再発見できました。
あれは演劇でしか表現できないと思う。
お囃子はずっと下座音楽で、黒御簾の中で演奏されて演奏家さんたちのお顔は見えませんでした。
効果音も怖かったよ!
この手の怪談ものに欠かせないサウンド(笛と太鼓でヒュードロドロドロというやつ)も
バッチリありました。
ナマで聴いたのは初めてですが、あれ聴くとパブロフの犬よろしく背筋がぞくっとしますね。

ちょこちょこ笑いのシーンもありました。
前半のお茶屋シーンで、地獄宿の女将に扮した中村小山三さんがお袖ちゃんを
「いま流行りの中村梅枝にそっくりなんだよぅ」って言ってた。
そっくりも何も梅枝本人が演じてるんですが(笑)、
オーシャンズ12のジュリア・ロバーツのネタみたいで笑えた。小山三さん面白いなあ。
与茂七とお袖ちゃんの再会も笑ったー。
暗闇でお互いがお互いとわからない間のかみ合わない会話に、会場で笑いが起きていました。
そしてここでも小山三さんがいけしゃあしゃあとしていい味。

四谷怪談が通しで上演されたのは久しぶりだそうですけども、
昔から四谷怪談を上演する際、役者さんたちはかならずお岩稲荷にお参りをし、
幕内では祈祷が行われ、お札なども貼ってあるそうです。
役者のみなさま関係者のみなさま、どうぞけがのないように千秋楽を迎えてくださいね。

真っ白ピカピカ。
上演が終わって外へ出ると、すっかり陽が暮れていました。
ライトアップ歌舞伎座。

絽。
本日のいでたち。帯にさしてあるのは髪飾りです。
暑かったけど地下鉄や地下道を駆使して移動したので熱中症にならずにすみました。ホッ。
歌舞伎座にも和服の人がたくさんいて、浴衣着てる人もいましたよ。かわいかった。


そういえば本日、関東は梅雨明けしたそうですね。
怪談観て心の底から涼しくなったことだし、そろそろ本気で夏を迎えねばならぬ。
2013_07
03
(Wed)22:25

歌人たちのイラスト記事一覧。

「貫之1111首」のページへ
平安時代初期の歌人・紀貫之と古今和歌集撰者たちの絵物語の一気読みページです。
画像クリックでとびます↑

一気読みページには、ブログ連載分に加えて
・表紙
・扉絵
・おまけ
など、絵とストーリーをいくつか描きおろしてあります。よろしかったらどうぞ(^-^)☆

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ブログ内の歌人イラスト記事一覧は以下です。

●本編(ブログ内連載)●
【日常編】(連載中のタイトル:歌人シリーズ)
その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10
その11 その12 その13 その14 その15 その16 その17 その18
その19 その20 その21 その22 その23 その24 その25 その26 その27

【歌合編】
その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10
その11 その12 その13 その14 その15 その16 その17 その18
その19 その20 その21 その22 その23 その24 その25 その26
歌合について

【古今集編】
その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10
その11 その12 その13 その14 その15 その16 その17 その18
その19 その20 その21 その22 その23 その24 その25 その26


●その他●(※順次増えていきます)
紀貫之  凡河内躬恒  壬生忠岑  紀友則  藤原兼輔  藤原時平
牡丹と萩  貫之と躬恒  忠岑2  貫之と躬恒(ブログ3周年記念絵)  2013年賀絵
歌人RPG風ステータス  ハロウィン絵  牡丹と萩(40,000hitお礼絵)  忠岑(50,000hitお礼絵)
お花ちゃんズ(4周年記念絵)  桜(60,000hitお礼絵)  ハロウィン絵  2014年賀絵
友則(70,000hitお礼絵)

●素敵いただき物●
kanayano様より貫之・躬恒  kanayano様より忠岑・友則  kanayano様より貫之&牡丹
若野史様より牡丹&萩  若野史様より牡丹&萩(生絵)


追記にキャラクター紹介があります。クリックでどうぞ。↓

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