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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


動く図書館。

  1. 2013/10/12(土) 23:13:41_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:1
前回記事で国際子ども図書館の建物を紹介しましたけれども、
最近、建物のない図書館について書かれた本を読みましたのでご紹介します。

まずはコロンビアの図書館から。
コロンビアには国立図書館や公共図書館、コロンビア大学図書館などがありますが
図書館がない地域もありまして、
『ろばのとしょかん-コロンビアでほんとうにあったおはなし』(ジャネット・ウィンター著)は
そんな一地域のことを描いた絵本。
コロンビアに住む本好き・ルイスさんが、自宅に本を買いすぎていっぱいになってしまったので
ある日、2頭のロバに本を積んで「Biblioburro(ロバのとしょかん)」と書いた看板をぶらさげて
山を越え川を越えて、図書館のない村へ本を届けに行くお話です。
ロバの名前がアルファとベットってかわいい(*´∀`)。
「いいものをもってきたよ!」と本を読み聞かせるルイスさんと、真摯に聴く子どもたちかわいい。
(あと、本を読むのが子どもたちだけじゃないっていうのがね、いいです。
誰が読んだかは秘密。ぜひ読んで確かめてみてください~)

このお話は実際にあったこと、というか、実際に今も続けられていたりします。→こちら
お話のモデルになったルイス・ソリアノ・ボルケスさんは、コロンビアの小学校で教師をしながら
今も各地の村に本を届けているそうです。
またこの絵本、お話もすばらしいのですが絵もすばらしいです!
コロンビアの自然が、カラフルではっきりくっきりした色で美しく描かれています。
ジャネット・ウィンターさんの色彩感覚、好きかも。『バスラの図書館員』もカラフルで良かったしなあ。


そんなロバ図書館をいつも楽しみに待っている女の子の視点で描いた絵本が
『こないかな、ロバのとしょかん』(モニカ・ブラウン著)です。
ある日突然、ふらりと現れたロバ図書館に戸惑いながらも喜んで本を借りて読んで
自由におおらかに想像をふくらませるアナがいとしい。

「このとしょかんに、たてものはないんだよ」っていうおじさん(ルイスさん)のセリフいいなあ。
図書館は何でもありだっていうメッセージに聞こえました。
「わたしも、かりていいの?」と問うアナに「もちろんさ」と笑顔で答えるおじさんとか、
「おじさんとロバのおはなしはないの?」「きみが、かいたら?」のやりとりとか
なんでもない言葉のひとつひとつにじんときます。
アナにとっておじさんは夢をくれる人なんですね。


また、『図書館ラクダがやってくる』(マーグリート・ルアーズ著)には
世界中の図書館員や図書館ボランティアさんたちによる
図書館が遠くて利用しにくい人々のため各地に本を届ける活動が紹介されています。
移動図書館というやつですね。図書館用語でブックモービル(BM)といいます。

紹介されているのはこんな移動図書館↓
・オーストラリア、アゼルバイジャン、パプアニューギニア:大型トラック
・北極圏:郵便
・イングランドの海岸でバカンスを楽しむ人々のところ:手押し車
・フィンランドの島々:船
・インドネシア:船、自転車
・ケニアの遊牧民:ラクダ
・モンゴルの遊牧民:馬車、ラクダ、ミニバス
・パキスタン:2階建バス
・ペルー:各地に本入りの袋が届く
・タイ:ゾウ
・ジンバブエ:荷車と、ロバの引く映像図書館

ちょっと補足しますと、イヌイットなどカナダの北極圏に住む人たちは
メールや電話で本をリクエストし、郵便で届けてもらうそうです。
返却も郵便ですが、同封された切手貼付済み返信用封筒を使うので無料です☆
公的サービスはこうでなくっちゃなあ…。
インドネシアの船の移動図書館、つまり水上図書館は川を行ったり来たりして本を運んでくれるとか。
パキスタンの女の子は初めて移動図書館を利用したとき、
またその本に巡り合えるかわからないから本の内容を書き写していたら
図書館の人が「バスは毎週来るから心配しないで」と言ってくれて嬉しかったそうです。
ペルーの図書館活動団体は、20冊の本が入った袋を家々に置いていき、
1か月経ったらまたやって来て新しい袋と取り換えるそうです。
パッケージ貸出みたいなもんかな。
ジンバブエの映像図書館は、太陽光発電で動くテレビやビデオを乗せた荷車をロバが引いています。
そのうちインターネットやファックスサービスも始めたいと書いてありましたが、
この本が出たのが2010年なので
今はもしかしたら何かしら実現しているかもしれません…してたらいいな…(*´Д`)。

世界のあっちこっちで、たくさんたくさんがんばっている人がいること、
本を待っている人たちがいること、
本が読めてメールやファックス、インターネットが使えることはとてもありがたいこと、
など、いろいろ考えました。
で、ちょっとそういうことに一枚かんでるところで仕事してる自分は
必要とされる働きをちゃんとしなきゃなって思いました。
図書館が来てくれるなんて申し訳ない、って言う人いるらしいんだけどそれはちょっと悲しい。
生き方を押しつけるつもりはないけど、
本や情報が欲しいなら「ぷりーず!」って主張していいんだよ!!って言いたい。


日本にも移動図書館はありますね~。
江戸時代には貸本屋さんが木箱をしょって回っていたし、
近代になって公共図書館サービスが根付きはじめる頃から少しずつ広まっています。
わたしの地元の公立図書館も月に1回、巡回車を出してくれていて、子どもの頃よく利用しました。
学校にもたまに来てくれたっけな…。

ちなみに、日本でも図書館(建物)を設置していない市町村はあります。
設置しない理由はいろいろ課題があるためだと思いますが、ここで
ゼロからサービスを作ってみた事例をひとつ。
島根県の隠岐諸島のひとつ海士町が「島まるごと図書館」なるプロジェクトを行っていまして
公立図書館をつくって移動図書館サービスを始めて、島の各地に返却ボックスを設置して
島内の所定の場所ならどこでも本を借りられる仕組みをわずか2~3年でやり遂げて
今もきちんと継続されているそうで。
人ってすごいなァ!
隠岐は小野篁さん縁の土地でもあるので、いつか図書館と合わせて訪れたいです。

以前に「ゆさ的最強のとしょかん」というのを妄想しましたけれども、
呼べば来る図書館、そのうちできたりしないかなあ。


本日のお絵かき↓
集合!※クリックで大きくなります
先月観てきた、歌舞伎座の陰陽師イラスト描きました~☆
ぜひ再演していただきたい演目のひとつですね。
客席にカメラが入っていた日があったそうだから、そのうち放送されるかもしれん。来たれ続報。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
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テーマ : 絵本    ジャンル : 本・雑誌

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Author:ゆさ
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