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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


この辺りに若紫や。

  1. 2013/11/01(金) 23:52:16_
  2. 古典・歴史
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
今日は古典の日だったので、Twitterで色んな人たちが色んな古典を語っていて
TLに次々流れてくる書名や作品名を見てわくわくしていたゆさです、こんばんは。
皆さんそれぞれ思い入れがあっていいですなあ。古典ばんざい。

古典の日とは。
『紫式部日記』1008年11月1日の記述に、貴族たちの宴会に参加した紫式部が
酔っぱらった藤原公任の「この辺りに若紫はいらっしゃいませんか」というつぶやきを聞いて
「光源氏のような人もいらっしゃらないのに、あのお方がいるものですか」と思った…と
書き記しているのですが、
これが、源氏物語の日本史上における最初の記録だったりします。
で、それから1000年後の2008年に源氏物語千年紀委員会が
日本の古典文学を顕彰する日として11月1日を「古典の日」と宣言し、
祝日にはなっていませんが、記念日として2012年に法律で定められ今に至ります。
このブログにも応援リンクを貼っていますが、詳細はこちら→「古典の日宣言

人生で一番初めに触れた古典てなんだろうと思い返すと、やっぱり竹取物語だと思います。
子どもの頃読んでいたのは「かぐや姫」のタイトルですけども。
(5人の貴公子たちの魅力がまったくわからなくてズルはダメでしょうと思ったりとか
かぐや姫が翁たちと別れて月に帰ってしまうのがものすごく悲しくて泣いたこともありました)
中学校の古典の授業で最初に勉強したのも、確か竹取物語でした。
「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ
よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける…」
まだ暗唱できますねえ(´ー`)。
翁の「さぬきの造」の名前がかっこいいとクラスで妙に人気だったのを覚えてます。
成立時期は平安初期で日本最古の物語文学と言われていて、
紫式部が源氏物語の中で「物語の出で来はじめの祖」と源氏に言わせています。
確かに今読んでみると起承転結のはっきりしたテンプレのような物語だと思う。

竹取物語と古今和歌集の完成時期は被っているという説があるらしくって
竹取の作者の候補の1人に紀貫之の名前が挙がってるそうですが
個人的には、貫之の人物や歌や土佐日記と竹取物語を見比べると
ちょっと違うような気はしているんですけども。
古今和歌集は先日までブログ連載していたお話を描いているうえで何度も読みましたが
なんだかなあ、月並みな表現ですが宝石を並べて埋め込んだような歌集だと思います。
読み手の個性がここまで強烈に出ている歌集もないような。
ちなみに万葉集は玉(ぎょく)、新古今和歌集は植物が並べて埋め込まれてるイメージ。

日本霊異記、今昔物語集、平家物語、十訓抄、御伽草子はどこから読んでも面白い。
霊異記は著者が僧侶で、勧善懲悪な短編集って感じです。
奇跡や怪異についての話がほとんどで、鬼や幽霊、極楽や地獄とか出てきますが
大丈夫、ちゃんと一般人の話もあるよ!(でもだいたい役人か盗人です^ ^;)
今昔でよく読むのは「本朝付霊鬼」の巻。
これにも鬼に悪人に幽霊、妖怪、オバケ、精霊、神様など変なものがいっぱいいるんです!!
それらがみんな自然に当たり前に存在する話が多くて
まあ人間とうまくいったりいかなかったりするんですけど、
どの話もちょっと教訓が入っててワサビが効いたような読後感があって癖になる。
平家物語はなんでこのカテゴリかっていうと、まあ鵺とか牛頭馬頭とか出てくるし、
ぶっちゃけると白河院がもののけだし、清盛はその子どもって説があるし
後白河院は大天狗だし崇徳院は怨霊だし、ほらみて!妖怪カテゴリ!!(笑)
御伽草子は、紫式部の言い方を借りるなら「現代の昔話絵本の祖」。
一寸法師、ものぐさ太郎、鉢かづき姫、酒呑童子、浦島太郎などが
現代の絵本とはすこし違う形で記されています。
どこがどういう風に違うのか読み比べると楽しいかもしれません。わたしは楽しかった(*´∀`*)。
(ちなみに瘤取じいさんの話が収められているのは宇治拾遺物語だ)

語り物だと江談抄が好きで、やっぱり幽霊やオバケがたまに出てくるんですが
あれはオバケよりも人間たちのキャラが濃くて楽しいです。
平安時代人って生への執着が尋常じゃない、こいつらちょっとやそっとじゃ死なないなって思う(笑)。
大鏡の平安ぶっとび狂騒曲ぶりもなかなかですけど、
語り部が200歳近く生きてる設定っていう時点で
日本ってこの頃から攻めてるなあと思ったりもします。
わたしはこの本で花山天皇の出家にまつわるエピソードを知って背筋が凍りついた。

大和物語や堤中納言物語もいいなあ。
大和は平安初期の歌物語で、短編ごとに歌が1首くっついています。
(伊勢物語もこの形式ですね)
主に宇多天皇の周辺にいる人たちの日常や悲哀を描く、じわりとくる一品。
堤中納言は虫めづる姫君(風の谷のナウシカのモデルになった話)の近辺しか読んでないですが
あれだけ読んでも楽しいです。姫君が生き生きしていますよ~。

物語も好きですが随筆や日記文学も好き~。
枕草子、紫式部日記、更級日記、方丈記、徒然草、奥の細道、大好きです。
個人的に読んでて一番楽しいのは枕草子かな!
いつも、うんうん、わかるわかるってうなずきながら読みます。
好きなもの、きれいなもの、苦手なものについてなんでそう思うかとか、
オフィスあるあるというか、働く人にとってすごく普遍的なこととか書いてある。
そして半分以上が中宮定子への敬愛で埋め尽くされている。Everyday定子様。定子様は世界の天使。
紫式部日記は人間関係に多く筆が割かれて
悩み多き人だった式部の人柄をしのばせます。
いくら漢字を書くことがためらわれる職場環境だったからって、
「一」も書けないふりをするとか涙ぐましいよあなた…!!
更級の作者の、源氏物語へのフィーバーっぷりに脱帽ですが
これ回想してるときの作者は晩年なので
「あのときの自分ちょっとイタイ」とか書いてるあたり本人にとっては黒歴史なのかもなあ、とも思う。
方丈記と徒然草は大学で学んで好きになったのですが、
鴨長明と卜部兼好の人間性が正反対なのでどっちも読んでて楽しい。
あとね、2人とも世を捨てているようで全然捨てきれなくて気になってしょーがないっぽいのが
文章の端々からうかがえて微笑ましいです。
おまえら絶対俗世のこと好きだろって(笑)。
奥の細道はまだ半分くらいしか読んでませんが
行く先々で「芭蕉さまいらっしゃいませ☆」ってもてなされる芭蕉がすごい。
どんだけ名前知られてるんだよ…。
あと、これ読んで白河の関がいかに難攻不落かというのが身にしみてわかったので
幕末史を勉強しているとき白河の戦いのところで情景がありありと想像できてウボアーってなった。

世阿弥の風姿花伝は最初読んだときさっぱりわからなかったですが
馬場あき子さんの解説つき本を読んだらするする頭に入ってきて
今では心の書のひとつになりました。
それでも世阿弥の言葉はすごく遠くにある感じで未だに掴みきれずにいます。
有名な「秘すれば花なり」のくだりとか、まだ完全には理解できてないだろうな自分…。
なんでもないときにふと予想外の感動が押し寄せてくるのはわたしも経験がありますが
そういう絵を描きたいってずっと思っていたりします。
思ってるだけ。思うだけならタダ。←
それ以前にわたしはデッサンをやれ。ぐぬぬ。
よく写真家さんが「いい1枚は明日撮れるんです」とかおっしゃるけど
絵もおなじで常に描きたい絵や憧れの絵はあってもゴールはないっていうのが
描き続けることなのかもしれませんね。
ゆるくいこう。


本日のお絵かき↓
仏師。※クリックで大きくなります
運慶&快慶。
紫式部が源氏物語について日記に書いてから約200年後に
この2人をリーダーとする仏師集団が東大寺の金剛力士像を制作した記録が
『東大寺別当次第』に書かれます。
身長8メートルもある阿吽像ですが、わずか2ヶ月ほどで作り上げたとされているそうな。
熱い現場だったんだろうなあ。

金剛力士像の落慶供養が10月3日(新暦11月8日)なので本当は10月に描くはずでしたが
うっかりしてしまったのでせめて新暦に間に合うようにと思って描いた次第です。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
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テーマ : 古典    ジャンル : 学問・文化・芸術

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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

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