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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


こいつぁ春からその3。

  1. 2014/01/13(月) 23:20:16_
  2. 舞台鑑賞
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
昨日、母と祖父母と一緒に浅草公会堂で新春浅草歌舞伎を観てきました☆
昨年に襲名披露公演を終えた市川猿之助と、同じく昨年に半沢直樹で有名になった片岡愛之助を筆頭に
若手花形役者たちが勢ぞろいしてますよ~。
最初に言っちゃいますけど、明るく華やかで楽しかったです!
2014年の観劇の幕開けが浅草でよかった…千秋楽までまだありますので興味のある方ぜひ。

新品。
観劇の前に浅草寺で初詣。雷門には10年に1度の張り替え新調を終えたばかりのピカピカの提灯が!
下輪には龍の彫り物が施されていましたよ。
門松の大きさも本気すぎる。どうやって立てたんだろ!

仲見世通りから浅草寺本堂まではお正月明けの3連休ということもあって激混みでした。
去年の神田明神と同じく遠くからオリャーとお賽銭投げてお参りしてきました。
でもお正月三ヶ日は雷門を見るのも大変というから、それに比べるとましな方なのかなあ。

赤い建物。
お昼ごはんを食べて、やって来ました浅草公会堂!
中に入るの初めてだよ~。
建物の前には役者さんのお名前を書いたのぼりが風にはためいていました。

ちょっと遠かった。
今回は2階からの観劇。

まずは中村壱太郎くんが定式幕をくぐりご登場、浅草歌舞伎名物のお年玉挨拶です☆
一応、役者全員で代わりばんこに務めるそうですが
壱太郎くんだけなぜか16回もやることになっているらしく(笑)、
あまり続くと話題がなくなってくるんですよ~と苦笑する姿に笑いが起きていました。
鈴太鼓のお話をしてくれまして、今回の演目のひとつ「屋敷娘」で使う鈴太鼓は
壱太郎くんが子どもの頃におばあ様からプレセントされたものだそうです。
(おうちで日舞を舞うおばあ様が使っているのを見て、あれ欲しいって言ったのだとか)
家紋が赤で入っているけど、子ども用で小さいですと苦笑されてました。
「本日は日曜日、赤の日ですのでこれを使って舞いますのでご注目を。
猿之助さんが出なくなっても、愛之助さんが出なくなっても(客席爆笑)、
どうぞ最後までお楽しみください~」と深々とお辞儀されてご退場。おつかれ様でしたー。

やがて幕が上がり、三代目市川猿之助作「博奕十王」長唄囃子連中の始まりです!
舞台は六道の辻。近ごろは仏を信じる者が多くなったため地獄は閑古鳥が鳴く状態。
髭ボーボーの閻魔大王が暇だよ~仕事したいよ~誰でもいいから地獄に落としたいよ~とだだをこねながら
獄卒2人を連れて待ち構えています。
男女蔵さん超キュート(*´ω`)。
こんな可憐な閻魔様見られるの、ああ素敵しあわせ…と最初からノックアウトされましたとも☆
ってか、「六道の辻」という道しるべだけでもう充分笑えるのですが
これ舞台セットがすごく面白いんですよ。
地獄なので背景に炎やカラスが描かれ、大きな松の樹は茶色に変色、
後ろに並ぶ長唄や鳴物、後見さんなどがみな幽霊のように三角布を頭につけているというシュールな図(笑)。
BGMも幽霊のピーヒョロロロとかヒュードロドロとかが多いのですが
あくまでコメディ舞踊劇なのでヒュードロドロも明るいアレンジになっています。面白い♪

そして花道から登場した猿ちゃん扮する博奕打(やっぱり幽霊の三角布つけてる)が
「皆様、本日は浅草歌舞伎にようこそお越しくださいました。俗名市川猿之助でございまする」と
のっけからパンチの効いた挨拶!(爆笑)
閻魔様が手ぐすね引いて待ち構えているのにと心配になりました。
でも、浄玻璃鏡の前に引ったてられても喉乾いたからお酒ちょーだいとか言ってて
ちっとも怖がってなくて杞憂に終わりましたが(笑)。
閻魔様がおまえ、なぜ地獄へ来たとおっかなく問うと
博奕で喧嘩になって殺されちゃったんですテヘッ☆と、舞いを交えながら説明する博奕打。
んー、猿ちゃんの舞は安定しててよいですな。
ここらへんは最初に着ていた白装束を脱いで花札柄の着物にさいころ模様の袴姿でした。
先代猿之助のデザインだそうです。オシャレかわいいっ(*'▽')。
(猪鹿蝶とか、小野道風のカエルが跳ねているところとかセリフに出てました)
扇子を持って舞い、ヒョイと後ろに投げると後見さんが表情ひとつ変えずに受け取って回収してたのも
かっこよかったです☆
あの後見…できる…!(何様)
で、博奕?なにそれおいしいの?と閻魔様が興味をもつと
じゃあやってみますかと博奕打が巨大サイコロを出してきます。
でかかった…サッカーボールサイズだろあれ…。
で、何か賭けろと言われた閻魔様が笏を賭けて1の目だと宣言するのですが4の目が出てしまって負け~。
ぐぬぬと意固地になった閻魔様、今度は冠じゃ!冠を賭ける!と、まあ、案の定(笑)。
男女蔵さんのコミカルな演技ほんと良いです(´▽`)。

サイコロ振るのも色々やり方があって楽しい。
博奕打がリフティングして、笏でぽーんと上にあげて、カキン、打ったーーーいい当たり☆ってなって
閻魔様の冠に直撃、「イデッ」って悲鳴あげた閻魔様お気の毒でした(;´∀`)。
他にもサッカーの要領でサイコロ蹴るなどして、閻魔様は冠、浄玻璃鏡など次々に巻き上げられ、
獄卒も大慌てで参戦したものの金棒からやっとこ柄の着物から全部はぎとられて
虎のパンツ一丁になってしまいます。
ここでイヤホンガイドさんが教えてくれたのですが、いつの間にか博奕打が閻魔様の椅子に座って
閻魔様は下座で情けない声を出しているんですね。
足とか開いちゃって、すっかり態度がでかくなってる博奕打が面白かった。

サイコロ以外の博奕はないのか!と閻魔様がリクエストすると
じゃあ国姓爺合戦をやりましょうと博奕打。
いわゆる、トラト~ラトラトラ♪と歌いながら虎・和藤内・婆のポーズで勝負するやつですな。
「後世に言うじゃんけんのようなものです」って説明されてて笑っちゃった。
博奕打がポーズ取ってみせるのをえっえっ、こう?こうやるの?みたいに真似する閻魔様テラかわゆす。
で、実戦したらやっぱり博奕打の連戦連勝。
とうとう身ぐるみ剥がされて下着姿になっちゃった閻魔様から
最後の勝負で極楽行きの金札を手に入れた博奕打は
意気揚々と浄玻璃鏡をかついで笏と金棒を持って、荷物の重さにフラフラしながら
ドヤ顔したり顔で花道を引っ込みつつ極楽へ旅立っていきました。
…いやちょっと待ってこんなに煩悩丸出しだけどちゃんと極楽行けるの!?(笑)

もうだめ爆笑しすぎて涙出た。
猿之助は安定の良さで閻魔様マジかわいかった、歌舞伎随一の可憐な閻魔様や…。
あとすごいでかい浄玻璃鏡に地獄の本来のスケールを感じられたし、
何より閻魔を除く出演者全員の三角布姿の破壊力パないので皆様これは観ないと損ですよ…。


続いては『恋飛脚大和往来』の一場「新口村」を愛之助さんと壱太郎さんの主演で。
(当時実際に起こった事件がモデルになっていて、
近松門左衛門作の人形浄瑠璃『冥土の飛脚』の改作でもあるそうです)
上方歌舞伎なのでしっとりと情愛のある悲恋物語ですな。
大坂の飛脚問屋の若旦那忠兵衛は遊女の梅川と恋仲になるのですが、
他に梅川を身請けしようとした男と張り合って公金の封を切って店の金を横領してしまいます。
当然、追われる身となって梅川と逃避行を続けてやって来たのが故郷の新口村…という設定。

雪がしんしんと降る中、おそろいの黒い着物で身を寄せ合って逃げてきた忠兵衛と梅川が
相合傘のように被っていた蓑をふわりと開いて顔を見せるしぐさが猛烈に美しかった!
「松嶋屋!」「成駒屋!」と拍手が起こりましたよ。
追われる身のため家族に直接会うのは大変危険なので、
とりあえず知り合いの家に身を隠してよよと泣くのがまた哀れ。
らぶさんの忠兵衛は色っぽくかっこよく、壱太郎くんの梅川は楚々としてかわいらしさパない。

そこへ忠兵衛の父親の孫右衛門が帰って来てしまい、
転んでけがをした孫右衛門に、忠兵衛が止めるのも聞かず駆け寄り、黙って介抱する梅川。
なぜこんなに手厚く…と思って息子の妻ってわかったときの孫右衛門の顔がね…!
橘三郎さんが情感たっぷりに父親を演じてましたよ。
息子が近くにいるのを察したのか大声で文句を言ったくせに
会ってしまったら通報しなければならないから会うことはかなわない、
でも本当は一目会いたい、手だけでも握りたい…と吐露するのが泣ける。
そこで梅川がめんない千鳥で会うことを提案。
孫右衛門に目隠しをして、家から忠兵衛を連れて来て手を握らせると
梅川がヒョイと目隠しを取っちゃった!父と子は熱く抱擁し号泣。
わーん。゚(゚´ω`゚)゚。
そこへ追手の太鼓の音が聞こえたので、あっちに道があるから逃げなさいと言う父親に
何度もとりすがって息子が泣くのでまた熱く抱擁(本日2回目)。
わーん。゚(゚´o`゚)゚。
だんだん遠ざかっていく息子たちを見送る孫右衛門が切なかった。

ていうか、壱太郎くんナマで初めて見たのですがなに、なんなのあの子は!!
今回は猿ちゃんとらぶさん目当てで見に来たんですけど、いやらぶさんもかっこいいんだけど
壱太郎くんの梅川にすっかりやられてしまいました…天使…。
寒さに身を震わせたり、転んだ孫右衛門を見かねて飛び出していって助け起こしたり
切れた鼻緒を繕う姿がまじキュート。
こんな若手がおったんや…歌舞伎界まだまだいけるよ大丈夫だよずっと応援するよ!

あ、そうだ、白い黒子さんがいました!何言ってるかわからないかもですがつまり白装束の黒子さんです。
ふだんは黒着て闇に紛れるお役目の人が雪景色では真っ白装束で保護色つかうんですな。
あと幕切れの降雪量まじ、ドバーッと大雪状態でした…見送る相手の顔見えないレベル。

ひらひら。
雪拾ってきた。四角いんですね。


続いては、若手役者たちによる舞踊「屋敷娘」と「石橋」を連続で。
「屋敷娘」は屋敷勤めから宿下がりするお春・お蝶・お梅の3人娘を
壱太郎さん、米吉さん、梅丸さんが演じます。
娘たちの振袖が青、赤、緑とよく映える衣装で豪華できれい!模様も3人おそろい~。
お花がきれいねとか、あの人イケメンよね(コイバナですな)とか、
花で作った毬をついて手毬歌を歌ったりとかのクドキから、
お色直しのためくるりと客席に背を向けて、紐抜いたりしてまた正面を向くと
一気に着物を引き抜いて萌黄、ピンク、黄色の振袖に!うおおお!
客席から歓声と拍手が起こりました。
あれ一体どうやったんだろ…帯はそのままだったのに…すごいよあの技ぜひ後世に伝えるべき…。

ここでお春がひとり中央に出て来て扇を開き、後見さんの操る蝶とたわむれるように舞います。
(このためこの演目は「蝶々娘」とも呼ばれるそうです)
うおお壱ちゃん~壱ちゃんかわゆすぎる!
そしてまた3人で着物の片肌を脱ぎ、鈴太鼓を持って楽しげに舞います。
鈴太鼓、壱太郎くんは冒頭のお年玉挨拶で言ってた小さな鈴太鼓を使ってまして、
妙に客席がざわざわしてた(笑)。
で、日が暮れてきたので着物をちゃんと着直して傘をさし、3人仲良く花道を去っていきました。
明るく美しく目にやさしい、すてきな舞踊でした☆


いったん浅黄幕が下り、舞台セッティングをする間に大薩摩が舞台袖に登場して
これから始まる「石橋」の説明をしてくれました。
「石橋」は能を題材にした長唄舞踊で、「春興鏡獅子」の原型にあたるものです。
舞台は大輪の牡丹が咲き乱れる中国の清涼山。
岩が自然に削れてできた石の橋がどーんと存在し、橋の向こうには文殊菩薩の住む世界があるという
なんとも霊験あらたかな世界ですよ。
しかし大薩摩まじかっこいい、片足立ちで三味線弾くんですよ、もえの境地。

浅黄幕が切って落とされると、赤髪の獅子の種之助さんと隼人さんがビシッとポーズ決めて立っていて拍手!
若手の獅子はいいですな~。
そして花道から白髪獅子の歌昇さんが勇ましくご登場。
白が1頭、赤が2頭の計3頭の獅子が舞台に出そろい、勇壮な舞を披露してくれました。
(ふつうは白が親または師匠で赤が子または弟子とのことですが、今回は白が兄貴分のようなものだとか)
牡丹の花の露をあびる獅子のしぐさ、首ふって気持ちよさそう。
獅子が牡丹に戯れると牡丹は花を咲かせ、牡丹の露を飲むことによって獅子も元気になるという
両者は切っても切れない関係にあるとイヤホンガイドさんが教えてくれました。
(イソギンチャクとクマノミみたいなものでしょうか)
加えて牡丹は花の王、獅子は百獣の王ということで、とてもめでたい組み合わせなわけで
そういうのもお正月らしいなと思いました。
そして待ち望んでいた毛振り!
前に振り出して左右に振る「髪洗い」や舞台にたたきつけるように振る「菖蒲打ち」、
最大の見せ場である「巴」など、紅白の長髪がぐるんぐるん回ってましたよ~。
特に巴はひたすら派手に回しててすごかった。
若獅子のため迫力には欠けますが、ナマで見られた感激はひとしお☆
ってか3人はあんなのもう10日間も続けてるの…あと2週間も振り続けるの…。
けがしないようにダイナミックかつエネルギッシュに、しかも面白く魅力的に。歌舞伎ってハードだ。

よく獅子舞に頭をかぷかぷされると1年無病息災と言われますが
同じ理屈で芝居の獅子の毛振りには邪気を払う力があると江戸時代には言われたそうです。
去年は江戸博で獅子に頭かぷかぷ、今年は浅草で獅子のおめでたい邪気払い。
ありがたや~(^人^)。
またこの「石橋」、本来なら修行中の僧侶が登場して獅子を見る奇跡を喜んだという裏設定があって
(獅子は文殊菩薩のお使いのため滅多に姿を現さない生き物とされている)、
つまりわたしたちは奇跡を見せてもらえたんだなあと…。
こいつぁ春から縁起がいいわえ。

屋敷娘までわたしの隣で眠そうだった祖父が獅子が出たとたんバチっと覚醒してちょっと面白かったです。
じいちゃん良かったね、大きい動物好きだもんね。


夜のお寺。
たっぷり楽しんで公会堂を出たら、浅草寺がライトアップされているのが遠くから見えたので見物に。
お昼とはまた違った雰囲気、きれいでした。

ぴかーっ。
テライケメンとは照らされるイケメンの略である。
…阿形様カコイイ!
この方の裏に回ると山形県から奉納された巨大草履が吊るされていました。誰が履くんだろう。

まだ登ったことはない。
東武線浅草駅の屋上から見たスカイツリー。この日は紫のライティング。
風もなく過ごしやすい夜でした。

あ('Д')お天気がよかったので着物きて行きましたけど写真撮っておくの忘れてしまいました…。
もにょ。
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テーマ : 歌舞伎    ジャンル : 学問・文化・芸術

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