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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


寒梅に神は舞う。

  1. 2014/02/10(月) 23:55:37_
  2. 舞台鑑賞
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
国立能楽堂の企画公演「女性能楽師による」を観てきました。
女性の能楽師が国立の舞台に立つ数少ない機会だと聞いて(定例公演は年1回)、
ウヒョーーッ行ーくー!とチケット予約しましたよね。
加えていつでしたか、ひみつの嵐ちゃんに出演していた鵜澤光さんも地謡で出演されるとのことで
余計に行くしかないってなった。
(とてもかわいらしく品のいい方だったんです。ナマで見られるとかwktk)

席は前から6列目でした。
いつもより前の席が取れて能楽師さんたちを近くで見られて嬉しかった✧*。٩(ˊωˋ*)و✧*。
近くだと衣擦れとか息遣いとか聞こえるんだよね。

演目は仕舞「花筐」と「清経」、そして能「巻絹」の3つでした。
まずは仕舞が演じられます。
シテはもちろん女性で、山階弥次さん。重要無形文化財総合指定保持者☆です。
仕舞「花筐」は、別れた天皇を慕って花籠を持ち追いかけた照日前が
官人に花籠を打ち落とされ、なんということを!と自らの思いを訴える場面を舞います。
(上村松園さんの同タイトルの絵をご覧になった方いらっしゃるでしょうか、あれです)
能だったらシテが手に花籠を持っているのでしょうけど、今回は仕舞のため扇子のみ。
派手ではなく静かに舞うシテの姿にかえって凄みを感じました。
なんだろう、どこからともなく物腰柔らかに現れた人にああやさしそうな人ってホッとするけど
ひたと据えられた双眸の強さに気づいてそのまま動けなくなるような。
照日前の思いの強さがじわじわ伝わってくる舞でした。
(ちなみに作者の世阿弥はシテに「打ち落し給ふ人々こそ、我よりもなほ物狂よ」と言わせている)

続いて仕舞「清経」、シテは影山三池子さん。
源平合戦で入水した平清経(清盛の孫)の霊が、都にいる妻のもとに現れる場面を舞います。
なぜ死んでしまったのかと尋ねる妻に、都落ちをした平家と入水の理由を語る清経が
力強い舞で表現されていてすごかった。
合戦は重々しく、入水はきりりとしつつも優雅さがあった。
そういえば入水のとき清経は21歳だったよね…。
(月岡芳年がこのときの清経の様子を錦絵に描いていてすごく好き)


そしていよいよ、能「巻絹」。シテは鵜澤久さん。
あらすじはこちらにもありますが、熊野三社に千疋の巻絹を奉納する役目をおおせつかった勅使が
巻絹を持ってきた都からのお使いが日にちを遅刻してきたことを咎め縛り上げてしまうのですが
そこへ神が宿った巫女(シテ)が現れて
その人はうちの神社に和歌を奉納していて遅くなったのだから許してあげてね☆と諭して
和歌の徳を語りながら舞う…というもの。
ひとつ詠めば煩悩も苦難も消してしまう和歌の力や
婆羅門と行基のやりとりやスサノヲの八重垣の歌など事例も挙げられ、
熊野の神様への祝詞も捧げられて荘厳な内容でした。
クライマックスとかどんどんすごい雰囲気になって、言葉には力があるんだなあと感じられましたね~。
ちなみにこの演目、シテ・笛・小鼓・地謡が女性で、ツレ・ワキ・大鼓・太鼓・後見が男性でした。
地謡衆の中には鵜澤光さんもいらっしゃいました☆わーい。

寄り道しちゃうお使いさん、巻いた白い水衣(巻絹)を棒にはさんで担いだ姿がナイスであります。
神社の梅の花の香りに惹かれてフラフラ吸い寄せられてしまうのですが
「や、冬梅の匂ひの聞こえ候」ってセリフがおもしろいです。
香道などで香りは嗅ぐものではなく(自分に)聞くといいますけど
謡曲でも聞くと書くんだなあ。
梅をみてふと浮かんできた歌を心の中で捧げるというのもいいなあと思いました。
心の中でつぶやいても神様にだけは聞こえるわけで
神通力って言っちゃえばそれまでなんですけど、すごいなんかこう、官能的。
巫女(正確には巫女に降りた神)から勅使がお使いが遅れた理由を聞いたときに
「こいつが歌詠めるの?」って疑ったので
お使いさんに上の句「音無にかつ咲き初むる梅の花」を言ってもらい、
神様が下の句「匂はざりせば誰か知るべき」と継ぐことで証明して
神様自らお使いさんの縄を解いててマジ感動した。神様ああああ。゚(゚´ω`゚)゚。
やだ惚れっちまう。
しかも和歌の力について歴史上のエピソードを交えながら舞つきで説明してくださる太っ腹さ。
よっぽど梅の歌が気に入ったんでしょうね(*´∀`*)。
ハッピーエンドすてき!
梅の花の歌が題材になっていて春も連想されますし☆

シテは真っ白な装束に梅の花がついた幣を持ち、厳しさの中にやさしさのある巫女さんでした。
登場シーンから太鼓がドン、ドン!と大きく打ち鳴らされて、只者じゃない感が出ていた。
でも舞う姿は、鵜澤さんもインタビューでおっしゃっていたけど美しくてせくすぃ。
舞う音楽は神楽でしたよ。神様に喜んでもらうための音楽ですね~。
巫女に憑依した神様は誰か、はっきりとは示されないのですけども
舞の様子からしてたぶん1柱や2柱じゃない気がするな、次々に現れて去っていってそう。
熊野の神様は和歌が好き。いいですねぇ。
そして巫女を通した神様の口から、仏とか阿弥陀如来とかの単語が飛び出してシュールな感じもしますが
よく考えれば熊野ってそういう場所だったなあと思いました。
シテがクライマックスで「満山護法」と唱えるのは満山=熊野全山のことで
熊野には護法が、つまり神仏が満ちているという意味だそうです。

鵜澤久さんは2004年に重要無形文化財総合指定保持者に指定された女性能楽師22人の中で
当時最年少であり、
この勢いを後輩につなげていきたいと語っていらっしゃいます→こちら
舞台の他にも能の教室を開いたり、北米やバンクーバーで能を演じるなどして活躍されているそうです。
しゅごいよー!

…そんなわけで能は大変満足だったのですけども。
実はこの日の関東は、というか日本列島は低気圧の影響で大雪でして
朝から警報がじゃんじゃん出て交通機関がほぼマヒしていまして。。
それでも観に来てしまったのは単にチケットをむだにしたくなかったからです。
(当日買うとかだったら絶対あきらめてた)
幸いにも地下鉄が動いていたので電車の移動は特に問題なく、
駅から能楽堂へ、能楽堂から駅へ歩いて戻るのが大変でした(;´∀`)。

しんしん。
雪の国立能楽堂。きれいでした。吹雪いてたけどきれいでした。

しんしん。
中庭も真っ白。

雪の中の帰路って何年ぶりだろう…。
地下鉄は本数少なめでしたが遅れながらも動いてくれて良かったです。関係者の皆様のありがたみ。
俺たちの東上線は各駅停車のみの運行、途中何度も緊急停車したり踏切の前で必ず安全確認をするなど
のろのろ運転でやっと最寄り駅に到着して駐車場までやってきたら。

オワタ。
マイカーwwwwwww(写メ撮ってる場合じゃない)
フロントガラスの雪を落とすのにものすごく時間かかりました。
手袋忘れてしまっていたので手でかいたら、1分で両手終了のお知らせが流れたので後は傘でやりました。
車の周りと下とで雪の差がすごかった。ブーツ履いてて良かった。
屋根の雪は放っとけば落ちるだろうと信じて放置。

一応、まだ降ってるしスタッドレスタイヤだし雪踏んで走ってくれるだろうとふんで
勇気を出して国道に繰り出し、たくさんの車が踏みならしたツルツルの轍にタイヤをとられながらも
のろのろ運転で帰宅しました。ら。

どっさり。
庭ガー!!
家に入るのに雪かきが必要でした。

ちなみにわたしが帰宅したとき、父と弟がすでにせっせと雪かきをしていて
わたしも着替えて加わって庭と車庫と国道までの細道を何とか確保したのですが、
作業中もずっと吹雪いていたので
一通り済んでああ疲れたって振り返ると雪かきした道にうっすら雪が積もっていて
3人のHPとMPがゼロになる音がしました。シューン。
ちょ、こんな雪、ひさびさすぎ…!
てか4時間の重労働で全身が悲鳴をあげて腰が折れかけていたので
もうどうにでもなれ、物すべて白に包まれるがよいとスコップ放り出して夕ご飯食べてそのまま寝ました。
オフトゥンのありがたみ。

以下、次の日に撮影した写真を載せてあります↓クリックで開閉しますのでどうぞ。
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テーマ : 能楽    ジャンル : 学問・文化・芸術

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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

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