ぼくらのなまえはぐりとぐら。

中川李枝子さんの「ぐりとぐら生誕50周年記念及びてんじつきさわるえほん刊行記念トークセッション」を
池袋のジュンク堂書店で聴いてきました。
絵本『ぐりとぐら』が雑誌「母の友」に掲載されてから50年を迎えた記念と
(雑誌掲載時は「たまご」というタイトルだったそうな)、
記念企画のひとつとして出版された『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の刊行記念のイベントです。
ぐりとぐらはもちろん、「そらいろのたね」「いやいやえん」「けんた・うさぎ」「三つ子のこぶた」
トトロの主題歌「さんぽ」の作詞、小学校の教科書に載っていた「くじらぐも」など
中川さんの作品の大ファンであるゆさには垂涎のイベントでして!
実際に中川さんにお会いできることにも楽しみに出かけました。
トークセッションはジュンク堂のカフェで行われるのですが、このカフェそんなに広くないので
講師の方のかなり近くでお話聴けてすごく好き。
おかげで人気の作家さんのトークなどはすぐ定員になってしまうので電話予約のときもドキドキでしたけど
何とか席を取ることができました。
イベント当日は満員御礼で満席でしたよ…やっぱりね。
中川さんはえんじのジャケット姿でご登場。
ぐりとぐらが50周年を迎えても、ご本人は特に変わりはなく普段どおりの生活だそうですけど
「お祝いしてくれるのは嬉しいです」とのこと。
「イベントや講演で色んなとこへ行くでしょ、読者さんに会うとみんないい人なの。
自分の絵本を読んでくれた人がみんな立派な人になった。それが自慢であり誇り」とおっしゃって
「子どもの頃に読みましたと読者さんから聞くと、その人が子どもだった頃の姿が見えるのよ」って
ニコニコ笑っていらっしゃいました。
さすが元・保育士さんだなって思う(´ω`)。
もともと日本一の保育士になりたかった中川さんの理想の保育園は
『ドリトル先生の楽しい家』みたいな賑やかな保育園だったそう。
子どもたちが元気に走り回る保育園を作りたかったので最初は園長になりたかったとのことですが
あるとき学校で「主任保母求む」の求人を見つけて迷わず応募、めでたく採用されたそうです。
「わたしの幸運の始まり☆」と嬉しそうにおっしゃいました。
(ちなみにここは、いやいやえんの舞台ちゅーりっぷほいくえんのモデルになった保育園だそうだ)
・子どもが毎日くる保育を
・親の期待を裏切らない
この2点をモットーに17年間勤務し、合間に子どもたちと一緒にお話を作って書いていたそうな。
「子どもの興味を引くのって大変なのよ、わたしだってメンツがあるからがんばったけど!」と
とても貫録たっぷりにおっしゃった(笑)。
作家で岩波少年文庫の編集者でもあったいぬいとみこさんにファンレターを出したところ
声をかけてもらって同人誌などに参加、
石井桃子さんの編集で『いやいやえん』を出版することになったそうです。
わーおービッグネーム!
その後、雑誌「母の友」などに作品を発表していた頃に
保育園で子どもたちにちびくろサンボの絵本を読み聞かせたところ大人気になり、
園長先生がホットケーキを焼いて振る舞ったこともあって
子どもたちにおいしいカステラを食べさせたいなあ~と思って書いたのが
後にぐりとぐらの元になる「たまご」だったそうです。
「子どもたちへのプレゼントした本が今まで読み継がれることになってびっくりしてます」とのこと。
(ちなみにホットケーキを焼いた園長先生は、『いやいやえん』のはるのはるこ先生のモデルだそうだ)
児童福祉を学んでいた頃に障害者施設にも実習に行かれたそうで、
実際に子どもたちに会うと教科書などの先入観は吹っ飛び、たくさんの発見があったそうです。
児童福祉法ができたばかりの頃で先生たちもみんな熱いスピリットの持ち主で
子どもたちも元気いっぱい、早く学校に行きたいよ~とかよく聞いたそう。
「『おれたちは児童憲章で守られてるんだ!』『そうだそうだ!』とか、子どもたちが言うのよ」と
懐かしそうに語っていらっしゃいました。
で、ここから『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の話題に。
「目の見えない親御さんが目の見えるお子さんに本を読み聞かせられるように」が
コンセプトになってできた絵本だそうです。
さわる絵本が完成したとき、中川さんはある女の子からもらったファンレターを思い出したそうです。
それには「わたしは毎日学校から帰ると、目の見えない弟に本を読んであげます」と書いてあったとか。
「もうずいぶん前だから、きっと成績優秀な人になっていると思います」と
しみじみ語る中川さんにキュンときました。
他にもローラ・ワイルダーの姉メアリーが失明しながらも学校の先生になったことや
ヘレン・ケラーとアン・サリバンの関係についてお話くださり、
話は山形にお住まいという目の見えないお友達のことへ。
その方は美術館にゴッホの絵を感じに行ったり点字図書館なども利用されるそうですが、
中川さんとは長いお付き合いでぐりとぐらのカレンダーなども贈っていらっしゃるそうな。
で、その方に『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』を送ったところ、
絵を手で見たこと、絵本の香りをかいだこと、
とても幸せな時間だったことなどをお手紙に書いてくださったとか。
いいなあ。
質問コーナーで『くじらとり』の話が出て(「この間宮崎(駿)さんとも話したけど」っておっしゃった!)、
たまたま子どもたちが機嫌の悪い日があって、
「じゃあお話作ろうか」って言ったらあっという間にできたそうです(笑)。
子どものお話づくりは現実と想像を行ったり来たりする、
想像力を豊かにする本を作りたい、
今の子どもをめぐる状況にはいつも怒っている…などと堰を切るようにダダッと語られて
隣に座ってた参加者の方にさりげなく「あなたも書けるのよ」っておっしゃって胸熱!
続いて、福音館書店の川崎康男氏から
『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』の制作裏話もお話いただきました。
"てんじつきさわるえほん"という本そのものは何十年も前から出版されており、
技術もそれなりに確立されつつあるそうですが
去年、さわる絵本『さわるめいろ』『ノンタンじどうしゃ』『こぐまちゃんとどうぶつえん』が
3冊同時出版されることになったのがきっかけで
ぐりとぐらの50周年記念にさわる絵本を作ろうと企画したそうです。
しかしそこには想像以上の困難が。。
たとえば、ぐりとぐらをお読みになった方はおわかりかと思いますが
あの絵本はわりと絵が細かかったり、文章が長かったりするわけです。
触ることで絵を感じる(触図というそうです)にはどうしても活かすもの省略するものの取捨選択が必要で、
主人公のぐりとぐら、キーポイントのたまご、もうひとつの主役ともいえるカステラの4つは
何が何でも触図にする!と決めて絵本作りが始まったとか。
他にも、表紙でぐりとぐらが籠を持っていますが、目で見れば一目瞭然ではあるのですが
絵のまま触図として再現してしまうと、ぐり+籠+ぐらが繋がってしまうため
触るとかえってわかりにくいのだそうで
ぐり、ぐら、籠と独立させて配置する必要があったとか。
ぐりとぐらを触図化する際にも、ぐりが青・ぐらが赤なのは目で見ればわかるけど
色は触ってもわからないので
ぐりのズボンにはストライプ、ぐらにはドット模様をつけて区別できるようになっているそう。
また、絵の上部にたまに木が描いてあるのですけど
そのまま同じ個所に触図をつけると、見えない人は「空に何かあるの?」と思ってしまうそうで、
それらは省略したとか。
また、文章はなるべく全部入れたいとか、のどに絵がかからないようにとか、印刷に苦労したとか
聞けば聞くほど試行錯誤や工夫が伝わってきて本当に脱帽の思いです。
編集ってすごい!
そして絵に手を入れたり省略するときに「絵を翻訳するのね」っておっしゃった山脇百合子さんにも拍手。
トークセッションの後は中川さんのサイン会が行われました!
数年前に出版されたのにずっと買いそびれていた『ぐりとぐらとすみれちゃん』に
サインをいただいてしまって超うれしい。
大変きれいな字で筆ペンで「なかがわ りえこ」と書いてくださいました。
絵本の署名と同じくひらがなでですよ、ひらがな!もえる。
あ。トークセッションの前にジュンク堂の近くにある「古城の国のアリス」で夕ごはん食べてきました。

こんな人がいた(笑)。
ハートの女王様のお店なので兵隊さんもハート。
以下、お料理の写真がありますのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ☆
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