祈りのかたち。
東京国立博物館で開催中の「日本国宝展」を観てきました。
現在、国宝に指定されている絵画や彫刻、工芸、書、建築などから
人々の祈りや信仰に関する約120件を選りすぐって展示してくれています!
また、今回は奈良の正倉院宝物が久し振りに東京へ出張してきてくれるとのことで
しかも展示期間が前期だけと聞いて大慌てで行ってきたわけです。
(他にも前期のみや後期のみ、2週間のみなど限定公開のものがたくさんあるので
見たい展示品がある方は東博のサイトをよくチェックした方がいいと思う)
普段の展覧会ですと、展示品のキャプションを見て「あ、これ国宝なんだ」とか
「おお、重要文化財ですか」とか知ってホホウとなるのですけども
今回は展示品すべてが国宝なので特にキャプションにもそういう記述はなかったですね~。
代わりに国宝に指定された年月日が記されていまして、
去年国宝指定されたばかりのピカピカの一年生から指定され幾星霜の殿堂入りレベルまで
幅広く集めて展示されているのがわかって
なんだかいつもの展覧会とは違った趣向で、そういうところもワクワクしました。
何しろわたし、見るものすべてが国宝という展覧会自体が初めてでしたので
(ちなみに東博での国宝展開催は過去に何度もあるそうだ)、
こんなに見られるなんてヒャッハー!この機会に大感謝!と大はしゃぎでしたよ。
次回はいつかな、何が出るかな。(鬼が大爆笑)
入口には薬師寺の仏足石がでーんと鎮座ましましてお出迎え。
相変わらず大きいなあと感心して進むと、
目の前に法隆寺の玉虫厨子がやっぱりでーんと鎮座ましましていて
うわあ、相変わらず大きいなあ!ってびっくりしました。
両方とも奈良で拝見したことがあるので久々の再会。うれしかったです。
厨子の付近には正倉院宝物がいくつか並んでいて
楓蘇芳染螺鈿槽琵琶がやっぱり一番ガン見しちゃったな…。
鳥毛立女屏風は第1扇・第3扇が出品されていて
ほとんど色落ちしてしまっていますけど女性のふっくら顔やゆったりした衣装は温かみが感じられて
素敵なタッチだなあと思った。
(薬師寺の吉祥天女像とお顔がそっくりだなあと思ったら、制作時期はあちらと同年代だそうだ)
屏風はあと2扇あるのですが、それらは今月末から開催される奈良の正倉院展に出品されるそうで
それを見に行けばコンプリートできるのですね。
…実は今週末にコンプリートしに行ってきます(*^ω^*)楽しみだ~。
地獄草紙と餓鬼草紙は画集などで知っていましたが、本物は想像以上に繊細な筆致でした…。
餓鬼草紙はやせ細りお腹がぽっこり膨れた餓鬼が死者の体や生者の精神エネルギーとか食べてて
地獄草紙は罪人が血を流したり炎に焼かれたりする場面が開かれていました。
だいぶ色褪せてしまってましたが
これらきっと彩色したばかりの頃はもっと鮮やかでくっきりしていたのだろうな…。
地獄草紙の雲火霧地獄の炎とかどんな色をしていたのだろうと想像するだけでぞくぞくっとして
見たいような見たくないような、
でもきっと当時見られる環境にいたら見ただろうと思います。怖い物見たさ。
仏画もありまして、東博の孔雀王図や普賢菩薩像に思わず手を合わせたり
中尊寺の金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図(宝塔が金字で描かれてるやつ)に再会して
奥州藤原氏のパンチぶりに改めて驚くなど。
帝釈天・閻魔天はセットで京博から来てくださったそうですが
この2人が並んでいる図はめったに見ないのでおもしろかった。
お寺の文書関係だと、やっぱり東寺百合文書がよかったですね。
わたしが行ったときは「東寺伝法供家牒」「北畠親房仏舎利奉請状」「後醍醐天皇綸旨」の3点が
展示されていました。
こちらは時期により展示が変わるそうです。
神様の形についての展示や神社に奉納された品もありました。
縄文のビーナスの異名を持つ長野県茅野市の土偶は予想より小さくてかわいくて
キューンとしました☆
青森県の合掌土偶は手足が長く、体育座りのような格好で両手を合わせて上を向いてて
何を祈っているのかな。
出雲の青銅器銅鐸とか、福岡の三角縁神獣鏡の巨大さにもびっくり、
古代は何でも巨大ですな~それだけ資源があったってことかな。
東照宮の正宗や熱田神宮の短刀、丹生都比売神社の太刀など刀剣も何振か来ていて
どれも装飾や刀身が美しかった。
京博の日本書紀は平安時代の写本で、推古天皇が厩戸豊聡耳皇子を皇太子・摂政にしたとか
皇子が10人の訴えを一度に聞いたとか、憲法や冠位十二階を定めたとか
小野妹子を筆頭とした遣隋使を隋に送ったことなどが書いてありました。
藤原定家筆の後撰和歌集は、ええと、わたし定家の字は結構見慣れているのですが
ここまで乱雑な筆致は初めてかも(^ ^;)相変わらず四角い字ではありましたけど。
支倉常長の肖像画は仙台旅行で仙台市博物館を訪れたときに見たので1年半ぶりの再会です☆
源氏物語絵巻は柏木巻で、病気の柏木を夕霧が見舞うシーンが開かれていて
よりによってここかいって突っ込むところだった。。
一遍上人伝絵巻と法然上人伝絵巻がお隣同士で並んでいたのは
ぜひ比較してみてね☆という東博さんからのメッセージでしょうか、
一遍さんは地に足着いて地道に踊念仏を広めている様子が描かれているのに対して
法然さんは極楽からお迎えが来る場面で、なんというかこう、理想と現実みたいな印象でした。
長谷川等伯の「松に秋草図」も大迫力の大きさと筆致。
先日、BSプレミアムの等伯の番組でこの図をを見たばかりだったので
本物が見られてうれしかったです。
とどめは建築と彫刻ですよ…。
平等院の雲中供養菩薩像も久々の再会、琴を弾く北13号様と鼓を打つ南14号様。
なよやかで暖かなぬくもりが感じられて大好きな彫刻です。
(平等院も修理が終わったらしいのでそのうちまた拝観に行きたい)
元興寺極楽坊五重小塔、これよく持ってきたな!!すごい!!ってまずそこに感心しました。
過去に元興寺を訪れた際に見てきたのですが、5メートルはある建築物ですよ~。
(東京で展示されるのも初めてだそうな)
屋根から壁から精巧な作りがかっこよくて、グルグル回って見て来てしまった。
法隆寺の広目天立像と浄瑠璃寺の広目天立像、どちらも同じ広目天の彫刻ですが
法隆寺は身長が高く目と口をくわっとむいて餓鬼を踏みつけるコワモテのマッチョマンで
浄瑠璃寺のは小ぢんまりした体格で餓鬼の上にちょこんと乗っかってて
なるほど飛鳥時代と平安時代でこんなに違うものか…と。
三千院の観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像がこれでもかとキンキラキンでまぶしい、
正座してるけどお体を少し前かがみになさって訪問者の声をよく聞こうとしているかのようで
拝まずにはいられなかった。
(わたしの他にも何人か手を合わせている方がいらっしゃいました)
極めつけは快慶の善財童子立像・仏陀波利立像、一体全体こりゃなんなのだ…。
目にした瞬間、さっきまで見てきた像とまったく違ったものであることがわかって
背中をぞわぞわって何かが通り抜けていきましたよ。
広目天像や観音菩薩像が理想化された仏の姿で、土偶がデフォルメされた人の姿とすると
快慶はひたすらリアルな人の姿を彫ったんだなと。
童子の体つきや仏陀波利の皺だらけの顔や手、着古しているのまでわかる衣服から
彼らの生きてきた年月が感じられてビリビリしびれちゃった。
童子像は一歩踏み出した瞬間をとらえていて今にも歩き出してどこかへ行ってしまいそうだったし
仏陀波利は勇ましい立ち姿で握りしめた錫杖を今にもシャン!と振って説法とか始めそうだった。
あああああ快慶~~~!!!(顔を覆い泣き出す)
この2体、普段は奈良の安倍文殊院というお寺にいて
いつもは象に乗った文殊菩薩の側に眷属として安置されているとキャプションにあって
それらももちろん快慶とその工房の作品だそうです。
うわ何それ文殊院で全員集合している様子をぜひ見たい、
でも見たらわたしきっと仏さんたちと快慶のパワーに当てられて失神するかもしれない!!
最後の最後にいいもん見ました…東博さん彼らを招待してくれてありがとうございました。
あと、関連展示として1階で「国宝再現-田中親美と模写の世界」も開催されていました。
近代に源氏物語絵巻や平家納経など国宝絵巻を復元模写する活動を行った
田中親美の模本の一部を展示したものです。
平家納経の星空のような料紙を再現するの大変だったと思うけど
楽しくもあったろうな~俵屋宗達の鹿もかわいく描かれていました。
遠藤貫周が模写した宮女図、男装した女官を描いたものでとてもかっこいいです、
原本は銭選という元の画家によるものだとか。
横山大観の孔雀明王像、菱田春草の普賢延命像もありました。
東京美術学校の校長だった岡倉天心が東博の美術部長だったことが縁で
生徒たちに実際に実物を見せながら模写させたそうですが、
これ本人たちもうれしかったろうなあ、本物を見ながら模写できたわけですから…。
興奮と緊張に顔を赤くして何度も実物を見ながら筆を走らせる大観や春草を想像してもえた。
それから、東博本館の展示もみてきました~。
国宝展示室には「寛平御時后宮歌合」十巻本の一部(書き出しが紀友則の歌だった!)が、
平安時代の展示室には紫式部日記絵巻、伝紀貫之筆や伝藤原行成筆の掛軸が
(それぞれ重要文化財)並んでいてテンションアップアップ↑↑
紫式部日記絵巻は国宝展に源氏物語絵巻が出品されているから出してくれたんだろうな~。
東博は特別展に関連した本館陳列をよくやりますので、
最近は特別展の後に本館を見に行くのも忘れないようにしています。
(特別展のチケットでそのまま入れるのですよ)

俵屋宗雪「秋草図屏風」もありました。重要文化財ですよ☆
あと琳派関連では本阿弥光悦の和歌巻が展示されていて喜々として見ていたら
キャプションに「川井玉堂氏寄贈」とあってびっくり!
ミュージアムに収められるまで作品がどこにいてどんな人が見たかってすごくワクワクするので
作品履歴がわかっているものは今後もどんどん表示してほしいです(´ω`)。

帰りには、東上線で途中下車して川越まつりを見に行きました。
実は初めて行ったのですが、もうとにかく人がすごくて
前に進むのが、というより転ばないようにするのが大変でした(;´∀`)。
写真は本川越駅前にいた山車2鉾です。
左が今成の鈿女(アメノウズメ)の山車で、右が菅原町の菅原道真の山車。

3鉾目。仙波町の仙波二郎(源氏に仕えた坂東武者の仙波二郎安家)の山車。
おキツネさんの舞が軽やかでした☆
川越まつりの山車一覧は公式サイトで見られますので興味のある方はどうぞ(´▽`)。
※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その15。14はこちら。
半年後。
宗達は養源院での仕事が認められて法橋の位を授与されることになりました。
光悦がお祝いがてら小川通の家を訪ねると、宗達、私的に屏風を制作中のようです。
光悦「お、あいつらか」
宗達「わかる?」
光悦「もちろん。誰からだ」
宗達「ううん、うちに置いとく。また会えたら見せたい」
光悦「ふーん。いい絵だ」
宗達「だろ」
光悦「風と雷、笑い声、音楽が聞こえる」
宗達「うれしいね」
光悦「金箔の効果が…って言ったら、おまえの筆に失礼かな」
宗達「いやいや、絵屋冥利につきますよ」
光悦「そうか」
宗達「法橋もさ」
光悦「?」
宗達「あいつらが、くれたのかなー、なんて」
光悦「いいな、それ」
宗達「いいだろ」
光悦「うん、いい」
宗達「(笑)」
法橋は朝廷から僧に授与される位階のひとつで、近世には仏師や絵師にも与えられるようになりました。
1630年以降とされる宗達の作品には「法橋宗達」の落款がみられます。
来年、つまり2015年は本阿弥光悦が徳川家康から鷹峯の土地を拝領し移住してから
400年目の記念の年です。
琳派Yearということで美術界では色々と企画が動いているようです。楽しみだー。
琳派400年記念祭サイト→こちら
宗達・光悦編は今回でおしまいです。続きは、年明けから開始予定の尾形光琳・乾山編にて。
(年内は怒涛の年賀状マラソンが行われますので連載はお休みです)
よろしければ見てやってください~。
現在、国宝に指定されている絵画や彫刻、工芸、書、建築などから
人々の祈りや信仰に関する約120件を選りすぐって展示してくれています!
また、今回は奈良の正倉院宝物が久し振りに東京へ出張してきてくれるとのことで
しかも展示期間が前期だけと聞いて大慌てで行ってきたわけです。
(他にも前期のみや後期のみ、2週間のみなど限定公開のものがたくさんあるので
見たい展示品がある方は東博のサイトをよくチェックした方がいいと思う)
普段の展覧会ですと、展示品のキャプションを見て「あ、これ国宝なんだ」とか
「おお、重要文化財ですか」とか知ってホホウとなるのですけども
今回は展示品すべてが国宝なので特にキャプションにもそういう記述はなかったですね~。
代わりに国宝に指定された年月日が記されていまして、
去年国宝指定されたばかりのピカピカの一年生から指定され幾星霜の殿堂入りレベルまで
幅広く集めて展示されているのがわかって
なんだかいつもの展覧会とは違った趣向で、そういうところもワクワクしました。
何しろわたし、見るものすべてが国宝という展覧会自体が初めてでしたので
(ちなみに東博での国宝展開催は過去に何度もあるそうだ)、
こんなに見られるなんてヒャッハー!この機会に大感謝!と大はしゃぎでしたよ。
次回はいつかな、何が出るかな。(鬼が大爆笑)
入口には薬師寺の仏足石がでーんと鎮座ましましてお出迎え。
相変わらず大きいなあと感心して進むと、
目の前に法隆寺の玉虫厨子がやっぱりでーんと鎮座ましましていて
うわあ、相変わらず大きいなあ!ってびっくりしました。
両方とも奈良で拝見したことがあるので久々の再会。うれしかったです。
厨子の付近には正倉院宝物がいくつか並んでいて
楓蘇芳染螺鈿槽琵琶がやっぱり一番ガン見しちゃったな…。
鳥毛立女屏風は第1扇・第3扇が出品されていて
ほとんど色落ちしてしまっていますけど女性のふっくら顔やゆったりした衣装は温かみが感じられて
素敵なタッチだなあと思った。
(薬師寺の吉祥天女像とお顔がそっくりだなあと思ったら、制作時期はあちらと同年代だそうだ)
屏風はあと2扇あるのですが、それらは今月末から開催される奈良の正倉院展に出品されるそうで
それを見に行けばコンプリートできるのですね。
…実は今週末にコンプリートしに行ってきます(*^ω^*)楽しみだ~。
地獄草紙と餓鬼草紙は画集などで知っていましたが、本物は想像以上に繊細な筆致でした…。
餓鬼草紙はやせ細りお腹がぽっこり膨れた餓鬼が死者の体や生者の精神エネルギーとか食べてて
地獄草紙は罪人が血を流したり炎に焼かれたりする場面が開かれていました。
だいぶ色褪せてしまってましたが
これらきっと彩色したばかりの頃はもっと鮮やかでくっきりしていたのだろうな…。
地獄草紙の雲火霧地獄の炎とかどんな色をしていたのだろうと想像するだけでぞくぞくっとして
見たいような見たくないような、
でもきっと当時見られる環境にいたら見ただろうと思います。怖い物見たさ。
仏画もありまして、東博の孔雀王図や普賢菩薩像に思わず手を合わせたり
中尊寺の金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図(宝塔が金字で描かれてるやつ)に再会して
奥州藤原氏のパンチぶりに改めて驚くなど。
帝釈天・閻魔天はセットで京博から来てくださったそうですが
この2人が並んでいる図はめったに見ないのでおもしろかった。
お寺の文書関係だと、やっぱり東寺百合文書がよかったですね。
わたしが行ったときは「東寺伝法供家牒」「北畠親房仏舎利奉請状」「後醍醐天皇綸旨」の3点が
展示されていました。
こちらは時期により展示が変わるそうです。
神様の形についての展示や神社に奉納された品もありました。
縄文のビーナスの異名を持つ長野県茅野市の土偶は予想より小さくてかわいくて
キューンとしました☆
青森県の合掌土偶は手足が長く、体育座りのような格好で両手を合わせて上を向いてて
何を祈っているのかな。
出雲の青銅器銅鐸とか、福岡の三角縁神獣鏡の巨大さにもびっくり、
古代は何でも巨大ですな~それだけ資源があったってことかな。
東照宮の正宗や熱田神宮の短刀、丹生都比売神社の太刀など刀剣も何振か来ていて
どれも装飾や刀身が美しかった。
京博の日本書紀は平安時代の写本で、推古天皇が厩戸豊聡耳皇子を皇太子・摂政にしたとか
皇子が10人の訴えを一度に聞いたとか、憲法や冠位十二階を定めたとか
小野妹子を筆頭とした遣隋使を隋に送ったことなどが書いてありました。
藤原定家筆の後撰和歌集は、ええと、わたし定家の字は結構見慣れているのですが
ここまで乱雑な筆致は初めてかも(^ ^;)相変わらず四角い字ではありましたけど。
支倉常長の肖像画は仙台旅行で仙台市博物館を訪れたときに見たので1年半ぶりの再会です☆
源氏物語絵巻は柏木巻で、病気の柏木を夕霧が見舞うシーンが開かれていて
よりによってここかいって突っ込むところだった。。
一遍上人伝絵巻と法然上人伝絵巻がお隣同士で並んでいたのは
ぜひ比較してみてね☆という東博さんからのメッセージでしょうか、
一遍さんは地に足着いて地道に踊念仏を広めている様子が描かれているのに対して
法然さんは極楽からお迎えが来る場面で、なんというかこう、理想と現実みたいな印象でした。
長谷川等伯の「松に秋草図」も大迫力の大きさと筆致。
先日、BSプレミアムの等伯の番組でこの図をを見たばかりだったので
本物が見られてうれしかったです。
とどめは建築と彫刻ですよ…。
平等院の雲中供養菩薩像も久々の再会、琴を弾く北13号様と鼓を打つ南14号様。
なよやかで暖かなぬくもりが感じられて大好きな彫刻です。
(平等院も修理が終わったらしいのでそのうちまた拝観に行きたい)
元興寺極楽坊五重小塔、これよく持ってきたな!!すごい!!ってまずそこに感心しました。
過去に元興寺を訪れた際に見てきたのですが、5メートルはある建築物ですよ~。
(東京で展示されるのも初めてだそうな)
屋根から壁から精巧な作りがかっこよくて、グルグル回って見て来てしまった。
法隆寺の広目天立像と浄瑠璃寺の広目天立像、どちらも同じ広目天の彫刻ですが
法隆寺は身長が高く目と口をくわっとむいて餓鬼を踏みつけるコワモテのマッチョマンで
浄瑠璃寺のは小ぢんまりした体格で餓鬼の上にちょこんと乗っかってて
なるほど飛鳥時代と平安時代でこんなに違うものか…と。
三千院の観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像がこれでもかとキンキラキンでまぶしい、
正座してるけどお体を少し前かがみになさって訪問者の声をよく聞こうとしているかのようで
拝まずにはいられなかった。
(わたしの他にも何人か手を合わせている方がいらっしゃいました)
極めつけは快慶の善財童子立像・仏陀波利立像、一体全体こりゃなんなのだ…。
目にした瞬間、さっきまで見てきた像とまったく違ったものであることがわかって
背中をぞわぞわって何かが通り抜けていきましたよ。
広目天像や観音菩薩像が理想化された仏の姿で、土偶がデフォルメされた人の姿とすると
快慶はひたすらリアルな人の姿を彫ったんだなと。
童子の体つきや仏陀波利の皺だらけの顔や手、着古しているのまでわかる衣服から
彼らの生きてきた年月が感じられてビリビリしびれちゃった。
童子像は一歩踏み出した瞬間をとらえていて今にも歩き出してどこかへ行ってしまいそうだったし
仏陀波利は勇ましい立ち姿で握りしめた錫杖を今にもシャン!と振って説法とか始めそうだった。
あああああ快慶~~~!!!(顔を覆い泣き出す)
この2体、普段は奈良の安倍文殊院というお寺にいて
いつもは象に乗った文殊菩薩の側に眷属として安置されているとキャプションにあって
それらももちろん快慶とその工房の作品だそうです。
うわ何それ文殊院で全員集合している様子をぜひ見たい、
でも見たらわたしきっと仏さんたちと快慶のパワーに当てられて失神するかもしれない!!
最後の最後にいいもん見ました…東博さん彼らを招待してくれてありがとうございました。
あと、関連展示として1階で「国宝再現-田中親美と模写の世界」も開催されていました。
近代に源氏物語絵巻や平家納経など国宝絵巻を復元模写する活動を行った
田中親美の模本の一部を展示したものです。
平家納経の星空のような料紙を再現するの大変だったと思うけど
楽しくもあったろうな~俵屋宗達の鹿もかわいく描かれていました。
遠藤貫周が模写した宮女図、男装した女官を描いたものでとてもかっこいいです、
原本は銭選という元の画家によるものだとか。
横山大観の孔雀明王像、菱田春草の普賢延命像もありました。
東京美術学校の校長だった岡倉天心が東博の美術部長だったことが縁で
生徒たちに実際に実物を見せながら模写させたそうですが、
これ本人たちもうれしかったろうなあ、本物を見ながら模写できたわけですから…。
興奮と緊張に顔を赤くして何度も実物を見ながら筆を走らせる大観や春草を想像してもえた。
それから、東博本館の展示もみてきました~。
国宝展示室には「寛平御時后宮歌合」十巻本の一部(書き出しが紀友則の歌だった!)が、
平安時代の展示室には紫式部日記絵巻、伝紀貫之筆や伝藤原行成筆の掛軸が
(それぞれ重要文化財)並んでいてテンションアップアップ↑↑
紫式部日記絵巻は国宝展に源氏物語絵巻が出品されているから出してくれたんだろうな~。
東博は特別展に関連した本館陳列をよくやりますので、
最近は特別展の後に本館を見に行くのも忘れないようにしています。
(特別展のチケットでそのまま入れるのですよ)

俵屋宗雪「秋草図屏風」もありました。重要文化財ですよ☆
あと琳派関連では本阿弥光悦の和歌巻が展示されていて喜々として見ていたら
キャプションに「川井玉堂氏寄贈」とあってびっくり!
ミュージアムに収められるまで作品がどこにいてどんな人が見たかってすごくワクワクするので
作品履歴がわかっているものは今後もどんどん表示してほしいです(´ω`)。

帰りには、東上線で途中下車して川越まつりを見に行きました。
実は初めて行ったのですが、もうとにかく人がすごくて
前に進むのが、というより転ばないようにするのが大変でした(;´∀`)。
写真は本川越駅前にいた山車2鉾です。
左が今成の鈿女(アメノウズメ)の山車で、右が菅原町の菅原道真の山車。

3鉾目。仙波町の仙波二郎(源氏に仕えた坂東武者の仙波二郎安家)の山車。
おキツネさんの舞が軽やかでした☆
川越まつりの山車一覧は公式サイトで見られますので興味のある方はどうぞ(´▽`)。

「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その15。14はこちら。
半年後。
宗達は養源院での仕事が認められて法橋の位を授与されることになりました。
光悦がお祝いがてら小川通の家を訪ねると、宗達、私的に屏風を制作中のようです。
光悦「お、あいつらか」
宗達「わかる?」
光悦「もちろん。誰からだ」
宗達「ううん、うちに置いとく。また会えたら見せたい」
光悦「ふーん。いい絵だ」
宗達「だろ」
光悦「風と雷、笑い声、音楽が聞こえる」
宗達「うれしいね」
光悦「金箔の効果が…って言ったら、おまえの筆に失礼かな」
宗達「いやいや、絵屋冥利につきますよ」
光悦「そうか」
宗達「法橋もさ」
光悦「?」
宗達「あいつらが、くれたのかなー、なんて」
光悦「いいな、それ」
宗達「いいだろ」
光悦「うん、いい」
宗達「(笑)」
法橋は朝廷から僧に授与される位階のひとつで、近世には仏師や絵師にも与えられるようになりました。
1630年以降とされる宗達の作品には「法橋宗達」の落款がみられます。
来年、つまり2015年は本阿弥光悦が徳川家康から鷹峯の土地を拝領し移住してから
400年目の記念の年です。
琳派Yearということで美術界では色々と企画が動いているようです。楽しみだー。
琳派400年記念祭サイト→こちら
宗達・光悦編は今回でおしまいです。続きは、年明けから開始予定の尾形光琳・乾山編にて。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
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