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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


もの言わぬ証人。

  1. 2015/02/02(月) 23:58:43_
  2. 文化・美術
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東京国立博物館で「みちのくの仏像」展を見てきました。
東北の三大薬師(黒石寺・勝常寺・双林寺)を始め東北6県から仏像・神像さんたちが
はるばる来てくださっています!
本館特別5室の開催ですので小規模ではあるものの、見どころはたくさんあって
入って出て来たら30分以上経過しておりました…まあいつものことだ。

入口で迎えてくださるのは聖観音菩薩立像(岩手)。
お顔や体の表面に、鉈彫といってあえてノミで彫ったときの跡を残してあるのが特徴です。
縄文土器がつくられた際に縄模様を残すのと似たような表現方法かな…。
鉈彫のため衣がひらひらせずペッタリしているせいかどことなくオリエンタルな香り、
なんかエジプトの神様たちと並べてもあまり違和感なさそうに感じました。
東北三大薬師のひとつ双林寺の薬師如来坐像と持国天・増長天のトリオは
荒削りな木肌と個性的なポーズが特徴。
ことに増長天のS字ポーズがもはやジョジョ立ち、どうやって立ってるの…仏師のバランス感覚パない。
3月11日の揺れは持ちこたえたそうですが4月の余震で持国天が薬師如来に倒れ込んでしまって
お寺の方が発見したときは如来がたくましい腕と胸とで持国天をがっしり受け止めていたらしい。
すぐに京都へ運ばれ2年間かけて修復されたそうですが、
薬師如来のお胸には部下を受け止めたときの傷が残っていました。
傷はとてもおいたわしいけど、これもあの日についての記録なのだ。

福島は勝常寺の薬師如来坐像および両脇侍立像は国宝に指定されています☆
お三方ともかなり大柄でどっしりしたお相撲さんみたい、かっこいい!
ガチムチじゃなくあくまでふっくらした筋肉ですが、みなさんかなりの体格なので
本当に一木造かと…どんなケヤキ使ったんだよと…。
岩手・黒石寺の薬師如来坐像と日光・月光菩薩のトリオも金箔はだいぶ剥がれてしまってますが
堂々と座すor立つ姿がとても美しいです。
薬師如来は制作されたのが862年と判明しているそうで、つまり1153年前ですね…おうおお…。
そして7年後の869年には東北で大地震(貞観の地震と呼ばれています)が起きていて
この薬師さんはそれも経験しているわけで。
(ちなみに翌年の京都で実施された方略試(官吏登用試験)には「地震を論じよ」との問題が出され
当時25歳だった菅原道真さんが解答し合格しています)
2011年のときはもう少しで台座から落ちるところだったとか。持ちこたえたんですね…。

秋田の聖観音菩薩立像さんと岩手の伝吉祥天立像さんは仲良く並んで
おふたりとも頭の上におもしろい飾りをつけていて、飾り物対決のようになっていました(笑)。
聖観音さんは東北の昔話に出てくる雪ん子のような生き物、吉祥天さんは象(たぶん白象)を2匹。
吉祥天さんはこちらに手のひらを向けてくださっているので思わず手を重ねたくなりました。
聖観音さんは片手が失われていますが、どんな手をなさっていたのかな…。

宮城の十一面観音さんは今回の展示の中でもっとも身長が高くて、色白できれいなお方。
なんとなく何かを見おろすような雰囲気だな…とキャプションを見たら
この観音さんのいる給分浜観音堂は海が見える高台にあって
この方は常に海を向いて立っていらっしゃるそうな。
その隣には円空が駆け出しの頃に彫ったという地蔵菩薩・釈迦如来(青森)・十一面観音(秋田)が。
円空というと2~3頭身の単純化された彫刻で有名ですが、このお三方は隅々まで細かく彫られていて
身長もいわゆる仏像の身長でした。
でも首がない(頭と肩がくっついてる)ところはやっぱり円空だなと(笑)。

くるりと後ろを向いて目に入った山形の十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神)が!かっ…こいい…!!
鎌倉時代の制作らしくて慶派の影響もろに受けてるなって感じですけど
4体だけでもド迫力がものすごく伝わってきすよー衣装も鎧も筋肉も動きが感じられる立体感!
これ12人勢ぞろいしたらどうなってしまうの…おそろしい…(誉め言葉です)。
特に卯神さん、棒を振り上げてるんですが今にも振り下ろされてくるかと錯覚するくらいの力強さ。
頭の上にはウサギ乗っけてるのに!ウサギ乗せたイケメン!なにそれかっこよすぎか!
(言い忘れてましたがこの4体はそれぞれ頭の上に動物の顔を乗せています。
他の3体は丑神:牛、寅神:トラ、酉神:ニワトリでした)
みなさん衣や兜に色が残っているので、きっとできたばかりの頃はカラフルで美しかったんだろうな。


そんなこんなで、たくさん考えた後は本館展示を堪能。
特別展に関連して、彫刻コーナーにも東北の仏像をはじめ様々な仏像が並んでいました。
junishin.jpg
神奈川県は曹源寺からお越しの十二神将立像さまたち!!
子から戌までの12人のイケメンが勢ぞろい、戦隊ヒーローみたい~~!(五体投地)
制作は鎌倉時代ですのでさっき見てきた山形の十二神将さんたちと同年代じゃないかぬ、
かっこよすぎてしばらくボーっと眺めていました。罰当たりたい。
(未年なのでヒツジさんがセンターかなと思ったらど真ん中は子年さんと巳年さんだった)

あと、同じく本館で開催されていた「3.11大津波と文化財の再生」も鑑賞。
1階には文化財レスキューの取り組みと修復の過程がパネルで展示され、
2階の特別展示室には実際に救い出された文化財が並んでいます。
土偶、油絵、蕨手刀、標本、算術書、釣り道具、青い目の人形、リードオルガン、隕石、
津波で止まった時計、高田歌舞伎の衣装とかつら、金田一京助が書いた石川啄木歌碑拓本などなど
大きなものから小さなものまで助け出されていました。
バラバラになった昆虫標本の修復前修復後の写真とか見ると、もう、言葉もありません。
ひとつひとつ汚れを落として修復するのがどんなに途方もない作業であることか、
関わったすべての人たちに本当に頭が下がります…。
あ。わたしが行った日はたまたま修復されたリードオルガンの演奏会があったので聴いてきました。
東博の1階~2階の大階段の真ん中で演奏されるアメイジング・グレイスの荘厳さ( ˘ω˘ )。

kamome.jpg
東博本館入口にあった、岩手県の高校の実習船「かもめ」。
あの日から太平洋を2年も漂流し、海藻まみれになりながらアメリカのカリフォルニア州まで流されたのを
現地の人々が見つけて里帰りさせてくれたそうです。
いまはこの通りピカピカになっています。よかったね。
発見時に付着していた海藻や貝の一部は標本として保管されるそうで、その展示も館内にありました。
そうか…「何が付着していたか」も歴史の証言になるもんね…。


あ。
話は変わりますが、そろそろ春の節分なので何か食べようとイオンに買い物に行って
こんなのを見つけて連れて帰ってきました↓
jibaeho1.jpg
_|д゚)チラッ

jibaeho2.jpg
じゃーん!ジバニャンの恵方巻☆
15cmとかずいぶん大きいなあと思ってレジに行ったら700円くらいしました(笑)さもありなん。
ツナやきゅうり、イクラ、エビなど具がたっぷりでおいしかったです。
本体に卵焼きシートが巻いてあるのがニャンジバさんの腹巻きみたいでかわいい。
あと、「鬼を悪としない地域や鬼を祀る神社は「鬼は内」と言うよ」的な解説を
パッケージの裏でウィスパーがやってて妖怪執事すばらしいって思いました。

実はわたし恵方巻って食べたことなくて(関東で販売が始まった時期に食べ損ねて以来タイミングがなかった)、
今日初めていただいたのですが、恵方を向いたままひたすら黙々とかじるの結構体力要りますね。。
来年食べるとしたらもう少し小さいのにしようかな(*´~`*)モグモグオイヒイ
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ゆさ

Author:ゆさ
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歴史やアートも溺愛中
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