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2015_07
28
(Tue)23:56

シーッ!呪文のネジは巻ききった。

macbeth.jpg
パルコ劇場にて佐々木蔵之介主演舞台「マクベス」を観てきました☆
とある精神病院の病室の中でひとりの患者がシェイクスピアの「マクベス」のセリフを
2時間近くひとりで語るという、ナショナルシアターやブロードウェイで上演されたほぼ一人芝居です。
2月の情報解禁で蔵さんが演じるとわかった時はうおー楽しみだうおー!ってなって
チケット発売日には数か月先の自分の予定とかまったくわからないまま取りましたとも。
しかもスケジュールの前半が早々と完売してしまったので中日以降の観劇でした。
(が、これが結果的にとてもよかったと後でわかりました)

以下、まとまりのない感想です。
盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。


当日のチケットももちろん完売、奇跡的に取れた前から4列目の席から後ろを振り向くと
空いてる席が視認できなかったのでたぶん満員御礼だったと思う。
やれめでたや、と自分のことのように喜びながらマクベスの文庫本とオペラグラスを膝に置いて
幕開けを待ちました。
(今回のお芝居は松岡和子氏の訳書が台本に使われていると聞いて、
おお、わたしの読み慣れたマクベスではないかとちょっとうれしかった☆
松岡氏のシェイクスピア全集は流れるような口語体で訳されてて解説も含蓄がありおすすめです)

舞台上には精神病院の病室がセッティングされ、
いくつかのベッドと洗面台、鏡、キャスターのついたテーブルと椅子、バスタブ、赤ちゃんの人形があり
壁には小さな窓、ときどき看護師が様子を見に来る大きな窓、階段の先には外への扉。
そして天井に設置された3台の監視カメラと、患者を映し出すモニターが3つ。
これらすべてを駆使して蔵さん演じる謎の患者が「マクベス」のセリフを語ります。
舞台装置も衣装もスコットランドで上演されたのと同じ、まさに本場そのままってわけで
そんな舞台で蔵さん演技するの?って思うだけで心臓がどっかへ飛んで行ってしまいそうになった。
松岡氏も「こんなにドキドキするマクベスは初めて」とコメントを寄せてらしたね→こちら

幕開けは蔵さん扮するスーツ姿の男性が医師と看護師にベッドへ連れて来られ、
言われるがままにその場でお着替えさせられまして
(このとき胸元にチラッと、手でつけたような赤い液体の跡が見えて意味深)
白シャツと白ジャージの姿になります。
小さな茶色の紙袋をずっと大切そうに抱えていて、ああそのうち中身がわかるのかなとwktk。
医師たちは患者に何か話しかけていますが、客席側にはほとんど聞こえてこなくて
事務的な話とかしてるのかな…という程度の理解でいいのかなと思いました。
一通り済んで医師たちがきびすを返すと、ふいに患者が「いつまた会おう、3人で」と語りかけますが
医師たちは返事をせず階段から扉を開けて出ていきます。
患者は一眠りした後しばらくボーっとしてあらぬ方向を眺めていますが、やがて立ち上がって
部屋の中を歩き回りながら「きれいはきたない、きたないはきれい」と魔女のセリフをしゃべり始めて
ここからは一人芝居開始。

「マクベス」にはおよそ20人ほどの主要人物がいますが
蔵さんはそれらを声色やしぐさ、動きをつけるほか、病室の小道具を使うなどして演じ分けていました。
マクベス夫妻のやりとりが個人的には一番よかった~。
マクベスよりレディマクベスを演じる時のほうがちょっと声が張っているといいますか、
夫が思いつめるようにしゃべるのに対して妻は明るく低くアップダウンな声色になってて
(蔵さんはインタビューで「マクベスより彼女の方が欲が強い」と言っている)、
なんかやたら自信満々なのがおもしろかった。
というか登場シーンがお風呂っていうのがすごいね…。
いきなり蔵さんが舞台上で服を脱いでバスタブに浸かったときは何が始まるんだろうと思ったし
髪とかびしょ濡れのままタオル1枚で水からあがってもセリフしゃべり続けて
胸元まで隠しているときはレディマクベス、腰を隠しているときはマクベスという演じ分けもあって
おお、こういうやり方もあるのかと感心しました。

ダンカン王は老人であるのと王様であるということで椅子に座った状態で、
大きく口を開けてとても楽しそうにしゃべるおじいちゃんだった。
マクベスと王様の会話シーンは蔵さんが椅子に座ったり立ち上がったりを繰り返してて
ちょっと忙しそうでしたね。
「マクベス」は群像劇ですので会話のシーンが多いのですけど
蔵さんが立ち位置と向きをクルクル変えながら演じてくれますので
「ああ、今別の人になったんだな」とわかります。
相手の名前をセリフに入れて呼ぶこともしてなかったけど(原本のセリフがそうだからね)、
ストーリーを知ってますから何となく誰になったかわかってそんなに苦労はしなかったかな…。
バンクォー(マクベスの同僚)になるときはリンゴを手の上でもてあそんでいたり
マルカム(ダンカン王の子)のときは赤ちゃん人形を手にしたり(数少ない笑いの場面です^^)、
マクベスがマクダフの子を殺す場面は子ども用セーター(患者が抱えていた紙袋に入ってた)を
バスタブに沈めたりとかしてまして、
観ているうちにどんどん人物が舞台に増えてくるので、あれここ病院だっけスコットランドだっけ?と
くらりとする瞬間もありました。
蔵さんすごいよ…たったひとりで舞台に何人も出現させててまさに群像劇。
バーナムの森が動くシーンは地響きが聞こえてきそうな気がしました。

魔女たちの演技がコミカルでかわいい~。
目をかっと開いて両腕を広げて、いちいち天に向かって大げさに語る魔女たちは
常にシャシャシャと笑っていて歌でも歌いだしそうな雰囲気でした。
うれしい楽しいとかじゃなく、何がどうなっても別に構わないからどんな悲惨な状況でも笑うんだろうな。
(シェイクスピアが生きていた時代は魔女狩りの全盛期だったはずだけど
当時の役者さんは魔女をどう演じたかなあ、とかちょっと考えた)
わたし第一幕第三場の♪運命あやつる三姉妹~の歌がすごく好きなんですが
あれを蔵さんの声で聴ける日が来るなんて!
クルクル踊るように歌って「シーッ…」は観客に背を向けながら唇に指をあててるのがわかるし
「呪文のネジは巻ききった」は決然としてバッチリ決まってたし。
うおお呪文が完成したぜうおお~~って感動しちゃいました☆
あと「親指がちくちくする、何か悪いものがこっちへ来る…」のセリフは
アガサ・クリスティが小説のタイトルに使ってますね。トミーとタペンス!

とまあ、そんな風にすべての人物が一目でわかるようにキャラクター付けされているから
決まったしぐさも小道具も持っていないマクベスが主役として活きるのかもしれないな…。
彼、割と無個性といいますか、カラーがなくて何も染まっていない人物で
個性的な大勢のなかにいると浮いて見えるから「ああ、あれがマクベスだな」とパッとわかって
そういう空虚感というか虚無感がすごく主役って気もする。
だからいざ何かに染まるときは綿が水を吸うように一気にぐわっと染まって
あっという間に縮んでしまうのかもしれません。
罪を犯すことで正気から狂気へ崩れ落ちていくのが、自分でまいた種とはいえ業のようで
改めて思いましたが生真面目な人間の転落を具現化したような人だなあ…。
小窓でつかまえたカラスの内臓をいちいち取り出しながらしゃべるとこなんか倒錯的だ。。

マクベスがダンカンを殺して独白するシーンで、突然患者にピンスポが当たったと思ったら
蔵さんの両手が血まみれになっていたのはびっくりしたー!うわああ。
とたんにマクベスは患者に戻ってしまって、叫び声を聞きつけた医師と看護師がとんできて
注射したり抱きかかえるなどしてなだめていました。
看護師がトレイに乗せて運んできたパンと水がテーブルに置かれると
患者がマクベスの城の晩餐会を語り始めるシーンもありまして、
現実と患者の精神世界が交錯するのって大好物なのでわくわくした。
時々、監視カメラがウィーンと動いて天井の3台のモニターに患者を映す演出もおもしろいです。
レディマクベスのお風呂シーンや魔女、幻影が出てくる場面でよく動いていたかな…。
舞台上におびえた表情の蔵さんしかいないのに
モニターには蔵さんと覆面の男が映っているというホラー演出もありまして、
リアルタイムで映しているのか録画なのかはよくわかりませんでした。両方かな?

クライマックスのマグダフとマクベスの決闘は、口論の後にしばらく戦いの動きがあった後
半裸状態になった患者がバスタブへ仰向けにダイブして
まるで水死体になったように微動だにしない様子が監視カメラのモニターに映し出されます。
つまり決着がついてマクベスが負けたわけですが、
ここで蔵さんが全然水から上がってこなくて、会場もざわ…ざわ…と落ち着かなくなってたら
「プハァ!」って水しぶきとともに出てきてくれて心の底からホッとしました!
たぶん1~2分くらいだったと思いますが超長く感じた…よかった、この患者死ぬつもりはなかったんだ。

マルカムの戴冠式でマクダフが「スコットランド王、万歳!」と叫ぶと
患者は火が消えたようにシュンとしてしまいます。
たぶん彼の中で演技が終わったんじゃないかな…。
そこへ、まるで終わるのを待っていたかのように医師と看護師が扉から現れまして
患者をベッドに寝かせて、床に散らばった小道具を元の場所に戻して2人が去ろうとすると
再び患者が口を開いて冒頭でも言ったセリフ「いつまた会える?3人で」をつぶやきます。
2人は声を聞いて一度足を止めますが、やはり無言で出ていきます。
患者も無言でベッドに横たわって、暗転。

終わった…のかな…と思う間もなくワーッ!と盛大な拍手が起こりました☆
カーテンコールでは医師と看護師はそのままの格好で、蔵さんはバスローブ姿で出てきて
3回も頭を下げてくださいました。
125分しゃべりっぱなしでくたくたでしょうに微笑んで挨拶する蔵さんすごすぎた。。
バスタブの中身が水かお湯かわたしの席からはわかりませんでしたが(湯気は出てなかった)、
お疲れ様お疲れ様、早くお風呂入ってね!って拍手しながら思ってた。

演出をつけたアンドリュー・ゴールドバーグがGreat!って誉めまくったわけだよ…。
こんなに体力の要る舞台はピスタチオ時代以来ではないでしょうか。すごいよー!

観終えた後はくたくたで胸がいっぱいでぼんやりしたまま劇場を出たのですが、
帰宅して他の人の感想などを眺めていたら演出補の谷氏はじめ皆さん蔵さんの演技に感動していて
ああやっぱりって思いました。
なんだろう、なんだろう、もう、とにかく、色んな理由で蔵さんがノッてた。
個人的な感想ですが、あの日は蔵さんにとって最高のコンディションだったような感じがしたのです。
体調もメンタルもマクベスを演じるためにちょうどバランス良い状態だったというか、
演技やセリフも最高すぎず最低すぎず、マクベスを演じるうえでベストだったというか…。
うまく言えません。
蔵さんはプロですから舞台の時間に向けて体調は万全にしていると思いますけども、
それにしてもあの日は役者と演目のシンクロ率120%を目の当たりにした気がしました。ちょっと感動。

いつもは「できるだけ役者さんが元気なうちに観よう」などと考えて
初日に近いチケットを取る傾向があったのですけども
今回、中日を過ぎた舞台を久し振りに観て何て失礼なことを考えていたのかと反省しました。。
日にちが経っているなら役者さんも演技を磨くし演出も練られていくわけで
同じ演技や演出は二度と見られない、板の上は一期一会だなあと改めて思いました。
舞台というのは進化していくのだ…。
今度から予定が合えば中日や千秋楽のチケットも取ってみよう^^

あ。
帰りの電車に揺られながら色々思い出していたら
「いつまた会おう、3人で」というセリフが冒頭とラストにあったってことは
もしかしたら患者はあの部屋にいる間ずっとエンドレスで「マクベス」を演じ続けるのかもしれない…
とか考えて背筋が凍りついたのでストップストップ!と慌ててそれ以上考えるのやめました。
だって演じるたびにあの覆面の人間を見ていたら
彼が一生あの部屋から出てこられないような気がして…。
たぶん患者の人生に何か関係ある人物だと思いますが、誰だったのかな。
精神病院で患者が云々というと映画『カリガリ博士』を思い出しますけど
今回のマクベスは特に患者のバックボーンとか明かされないまま終わってたね。
たぶん観客が考えることなのでしょう。
わたしは、たぶん彼は家族を殺すか殺されるか何らかの現場を目撃するかしていて
あの覆面の人は目撃者か犯人か、あるいは患者の幻想じゃないかなあと思いました。
医師や看護師がマクベスの登場人物のセリフをしゃべってるのも
彼にそう聞こえてるだけかもしれなくて、実際は全然違うことしゃべってる可能性もあるし…。
まだよくわかってないから時間をかけて考えていきたい。

会場のロビーでフォトブック『動く森』のロケで撮影した映像がモニターに流れていまして
エディンバラ城の庭園に放し飼いにされている孔雀の後をついていく蔵さんがかわいかった☆
羽を閉じたまま歩いている孔雀に「こうしてほしいね」って手を扇形にしてた。
城内の展示室では剥製の熊の前を通るたびにビビってたけど
2回目以降は明らかにわざとやってる感じで笑っちゃいました(笑)。
何だかんだで人を楽しませることを忘れない人だな~一生ついていく\\٩( 'ω' )و//


korin13.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その13。12はこちら
1704年8月。江戸の内蔵助から緊急の手紙が届きました。

光琳「内蔵助が12月まで帰れなくなったらしい」
乾山「えっ」
光琳「まいったな。この家、来月には売るんだ」
乾山「ええっ」
光琳「江戸の住まいは用意したと書いてあるし…来月行くしかないか」
乾山「そう…だね。急なことになっちゃったね」
光琳「まったくだ。あー多代がなんて言うかな…」
乾山「がんばって~」
光琳「他人事と思いやがって」
乾山「他人事だし」
光琳「まあ一度行ってみたかったしな、江戸は」
乾山「素敵なとこだといいね」
光琳「どうだか。内蔵助の話じゃそれなりに物騒らしいぞ。だいぶ復興したらしいが去年はなゐがあったし、2年前だっけか、赤穂の討入りは」
乾山「別にお殿様のお屋敷に住むわけじゃないでしょ」
光琳「まあな」

風雷はいつものようにニコニコしていました。
翌日、光琳が目覚めると2人の姿はなく、どこへ呼びかけても返事はありませんでした…。

光琳の言っているなゐは地震の昔の呼称で、
去年の地震というのは1703年の暮れに関東で発生した元禄大地震のことをさしています。
赤穂の討入りは、ご存じ、赤穂浪士が吉良邸を襲撃した事件のことです。
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2015_07
24
(Fri)23:46

感謝!

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わたしがジュンク堂池袋本店と同じくらい大好きな、ロゴの青白コントラストがまぶしいリブロ池袋が
今月20日をもって閉店するということで!最終日に行ってきましたよ!
いつも混んでいる書店ですが、この日はいつにも増して混雑していて
会計待ちの行列も入口から蛇みたいに伸びまくった大行列ですごかった。
この数時間後に閉店とかまったく信じられなかったけど、
レジで店員さんの名札についてた「40年間ありがとうございました」の文字でドカンと実感わきました。
わーん。

わたし書店は大型小型を問わず好きですし
膨大な品数誇るお店からオレ様平積みまで幅広くおいしくいただいてますけど、
リブロ池袋に対しては愛のバロメーターも熱量もすぽーんとアップしててレベルがちょっと違う。
埼玉の奥地に生まれ育ったわたしが最初に体験した(あえて体験と言います)大型書店が
池袋東武の旭屋書店で、その次がリブロ池袋だったのでした。
あああ職場が都内だったとき毎日のように通っていたリブロ池袋が、
大山のぶ代さんや上橋菜穂子さんにサインをいただいたリブロ池袋が、
からすのパンやさんの朗読聴いたリブロ池袋がー!
新宿のジュンク堂や渋谷のブックファーストが閉店したときも悲しかったけど
リブロは小学生の頃から当たり前にあった書店なので悲しみが大きすぎる。
こう、慣れ親しんだ家や学校が跡形もなく取り壊されるみたいな、そんな気分。

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西武池袋線側の入口からリブロへ向かって歩いていくと、最初に目にする明るい柱。
先月から多くの作家さんが訪れてメッセージを寄せておられるのがtwitterに上がっていました。
3月に閉店が発表されてからわたしも意識して行くようにしてたんですけど、
ここ通るたびに柱のメッセージが増えていて泣きそうだった。

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谷川俊太郎さんのサイン。
他にも長友佑都さん、高橋源一郎さん、上野千鶴子さんなど寄せ書きがいっぱい。
つぶやいてる作家さんやニュースのまとめができていましたのでどうぞ→こちら

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子どもの頃からの思い出いっぱいの児童書売り場「わむぱむ」。
壁にはぐりぐら、ババール、ノンタン、はらぺこあおむし、エルマーと龍、星の王子さま、
11ぴきのねこなど絵本のキャラクターたちのシルエットが別れを惜しんでおりました。
備え付けの用紙に影絵になってるキャラクターの名前を書くとプレゼントがもらえるクイズとかやってて
わむぱむスタッフさんは最後まですごい。
最後のわむぱむ通信(7/20号)をもらってきたら
「子どもの世界を360°見渡せるような売り場をつくる」ことがわむぱむの目指したものと書いてあり
ああ、本当にそうだったなあと思いを馳せるなど。

児童書の新刊はここへ来ればほぼ揃っていたので好きな作家さんの新刊チェックとか
仕事の選書の参考にするのにも定期的に寄らせてもらってたし
(カタログも使いますけどやっぱり実物をめくる方が内容がわかって納得して選べたりするのです)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんや富安陽子さん、高楼方子さんの他たくさんの本を買ったな…。
絵本ときどき立ち読みしててごめんなさい。大好きです、絵本…。

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閉店前の1ヶ月だけ2Fに復活していた詩の書店「ぽえむ・ぱろうる」にも
谷川俊太郎さんのメッセージが。
詩の本のスペースこれだけとれる書店って専門店でもない限りあまりよく知らない…。
営業不振で閉店するわけではないから店員さんたちも残念だろうなあ。

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1Fのカルトグラフィアで開催されていた「本棚から見る、リブロ池袋本店の40年」展。
セゾン時代からの40年間を本と年表で振り返っていました。
このスペースのフェアは毎回テーマがおもしろかったけど、これも最後。
わたしはセゾン時代はよくわからないけれど、
2階までだった書籍館が90年代後半に4階まで増えたときは心の底から感動したぞ!
それまで人文書・児童書・コミック売り場を階数で記憶していたから慣れるまで迷子になったぞ!
(でもすぐ慣れて半年後には目をつぶっても店内歩けるようになった)

たくさんの本とわたしを出会わせてくれてありがとうございましたリブロ池袋。
時間がなくて閉店時間まで店舗にいられなくてごめんなさいリブロ池袋。
スタッフの皆様最後まで本当に本当にお疲れさまでした。
午後9時の閉店の様子もTwitterで見ることができました…ありがたい世の中です。
こんなに盛大にフィナーレが行われるなんてすごい。
あのフロアは来月には三省堂になりますが、リブロ池袋店の店長さんは閉店のあいさつで
「いつかまた池袋に戻ってきます」と…力強くおっしゃったそうで…。
書店にもいろいろドラマがあるものです。

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ごそごそとゲット。
1巻から買ってるのと、ジャケ買いと、買おうと思ってて忘れてたけど
棚の間をぼんやり眺めていたら再会したので買ったのと。
リブロは新刊の入荷数も豊富ですけども、十年二十年前の本とか普通に置いてくれてて
何というか「ここへ来れば20~30年くらいの出版物の歴史がわかる」書店だったなあ。
最終日まですてきな出会いをありがとうございました。

そして29日には三省堂書店がやってくる…。
せめて本屋さんが続いてくれるというのは本当に有難いしうれしい。オープンしたら行きます。


korin12.jpg※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その12。11はこちら
光琳が乾山の工房を訪ねています。

乾山「景徳鎮の氷裂文がきれいだったからやってみたんだ~すごくうまくいったの」
光琳「そりゃいい、大事なのは心だ。自分で美しいと思ったように絵付けするのが一番だよ」
乾山「うん。兄ちゃん次いつ来れる?」
光琳「明日」
乾山「早っ」
光琳「できるだけ来る。内蔵助が戻って来るのが9月だから、それまではな」
乾山「……行くことにしたの」
光琳「ああ」
乾山「東下りだね」
光琳「道中、八橋を見てくるよ。…家のものをあっちへ運ぶから、しばらくは行ったり来たりになるが」
乾山「忙しいね。多代さんたちは」
光琳「江戸の家が落ち着いたら呼んでくれって」
乾山「はは、それがいいね」
光琳「何かあったら文で知らせろよ」
乾山「うん。兄ちゃんも書いてね」

乾山が景徳鎮に取材したという色絵石垣文皿は1700年前後に制作されたとされ、
現在はMIHO MUSEUMが所蔵しています。

鳴瀧窯ほか御庭窯など忙しい乾山に、光琳はたびたび手紙を書きアドバイスをしています。
乾山が二条家から注文を受けろくろを回していた時には
「自らの心より出てし正しき貴志の工を祈り申者也(自分が美しいと思ったものを絵付しなさい)」と書き送っています。
2015_07
19
(Sun)23:50

ブログ6周年。

ブログを始めて6年が経ちました☆
5年いけるかもわからなかったのに6年でございます!小学生になったよ!
長いような短いような楽しかったようなしんどかったような、でもやっぱり楽しいかな^^
6年続けてきて果たして少しは綴り方経験値を積めているのかわかりませんが、
たまに必要があって前の記事読み返してあれこれ直したくなるのは進歩と思っていいのでしょうか。
九九って五の段までは覚えるの簡単だけど六の段から急に難しくなるよね!(何の話だ)

相変わらずわたしの好きなことや萌えを書いてお絵かきや写真載っけるだけのブログですけど
この6年で色んな人に出会えて拍手やコメントもいただけて励みになっています。
皆様いつも本当にありがとうございます!
Twitterやpixivともども、7年目ものんびりやっていきますのでよろしければおつき合いくださいませ。
どうぞ末永くよろしくお願いいたします~\\٩( 'ω' )و //

6thanniversary.jpg※クリックで大きくなります
6周年記念絵です☆
5年目は宗達でしたので、今回は現在連載中のお話の人々を引っ張ってきました。
乾山がクローズアップされているのは乾山展がツボすぎたからです。
「彼は器作りにおいて美しさよりも面白さを追求している印象があるよな~」とか考えつつ描いたら
こうなりました。
背景は、尾形乾山作「色絵石垣文皿(MIHO MUSIUM所蔵)」を参考にしています。

お話のほうもまとめに入っておりますので最後までご覧いただければ幸いです。
まあいつものゆさ的文法で進んでいくと思います、お察しください。
そしてその先の抱一のこともそろそろ考えたくてぼちぼち準備を始めていまして、
資料を探し出すと止まらなくなっています。江戸が舞台のお話は久し振りで楽しい。
あと抱一は何となく手がきれいなイメージがあるので手を!わたしの理想とする手を!描くぞ!!
焦らずがんばる。

記念絵は1週間ほどフリー配布いたします。
もらってくださる方いらっしゃいましたらどうぞお持ち帰りください☆
※イラストの配布期間は終了しています。

*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
2015_07
16
(Thu)23:05

イラストボード展示2015。

※期間限定トップ記事。最新記事はこの下です↓

conpekotoshi.jpg
(こちらは告知用の絵です)

毎年恒例、アルス画房(熊谷市)の「第25回コミックイラストコンペ」にて
イラストボードを展示させていただきます☆
コンペの内容は「手描き」「ティーンズ」「CG」「豆うちわ」の4部門です。
毎年力作が集まっていますが今年も楽しみですよ。わくわく。

展示作品一覧ページ→こちら
わたしはいつものように手描き部門参加で1点描きました。→こちら

展示期間中は、部門ごとに好きな作品に投票することもできます。
(店頭の投票用紙にご記入いただいて、お店の投票箱に入れていただきます)
わたしも先日投票してきました☆


【アルス画房】 HP→<http://www.arsgabou.com/
埼玉県熊谷市鎌倉町152
10:00~19:00 毎週水曜日定休
コンペイラスト展示・投票期間:2014/7/17(金)~8/4(火)

お店へのアクセス:こちら
JR熊谷駅から徒歩7分
駅北口のロータリーを左方向へ、線路に平行して歩いてください。一方通行出口右角。
先日、駐車場ができたそうなのでお車でもお越しいただけますぞ。

この夏も熊谷が熱いぜ!
お近くの方や興味のある方、お時間がございましたらぜひお越しください♪
ヽ(*^∀^*)ノ
2015_07
12
(Sun)23:36

風鈴祭と金魚祭。

2015furin1.jpg
わたしが猫とオフトゥンと三度の飯の次くらいに好きな川越の氷川神社が
今年も縁むすび風鈴を開催するというので見てきたよ!
昨年は夜に行ってライトアップ風鈴がとても美しかったので、
今年は日光に美しく輝いている風鈴が見たくてお昼にお参りすることにしました。

2015furin2.jpg
鳥居をくぐるとこんな景色が頭上に広がっています。カラフル☆
風が吹くと無数の風鈴がいっせいにチリンチリンと鳴り始めて涼感MAX。暑さ吹っ飛べ~。
(この日の天気予報は前日までの涼しさから一転、猛暑日になるとのことで
わたしは午前中に来ましたけどそれでもかなり気温が高かった)

2015furin3.jpg
本殿の隣の風鈴スポットも明るい光のなかで輝いていたよ。
木枠が二重になっていて、鳥居のとこの倍以上の風鈴が吊るされていて圧巻です。

2015furin4.jpg
緑と風鈴のコラボ。もはや雨というかシャワーのようだ!
浴びるように風鈴が見られるスポットって川崎や西新井の風鈴市くらいだと思ってましたが
このイベントを知ってから遠出しなくても風鈴に囲まれる体験ができてほんとうれしい^^

2015furin5.jpg
風鈴の回廊も日差しがあってとても明るかった。
狭いので日傘を閉じて歩きます。涼感MAXなら日焼け注意報もMAX。

2015furin6.jpg
風鈴には参拝者の皆様が吊るした願い事木札が下がっています。
氷川神社は恋愛、結婚、受験、就職ほか各種縁結びのご利益が揃ってますので
興味のある方はどうぞ。

2015furin7.jpg
本殿の後ろに、去年はなかった新しい風鈴スポットができていました(^◇^)。
上下にはライトアップ用のライトが既にスタンバイしてたので
これは夜間にまた来るしかないではないか。なんということ。

2015furin8.jpg
ここの風鈴は回廊とかと違って透明な色のものです。夜はどんな色に輝くのかな。

2015furin9.jpg
氷川会館むすびCafeのスイーツ「彩り風鈴」。
ものすごい人気で昨年は売切れ続出でいただけなかったので、
どうしても食べたくて今年は朝一に来ました(笑)。
味が4種類ありまして、夏気分を味わいたくて桃味を注文。
たっぷりのフルーツにババロアも入っていて甘酸っぱい、おいしかったです!


風鈴を堪能した後は川越駅から電車で日本橋に移動しまして、
コレド室町で開催中のアートアクアリウム2015に行ってきました☆
aquarium1.jpg
アクアリストの木村英智さんが2010年から日本橋で始めたアートアクアリウム金魚シリーズは
知ってはいましたが毎年タイミングが合わなくて、開催5回目にして初鑑賞(゚∀゚)☆
写真は駅のポスターです。なにこれファンタスティック。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

続きを読む »

2015_07
08
(Wed)23:39

それからどうした。

201507kabu1.jpg
歌舞伎座で母と一緒に七月大歌舞伎夜の部を観てきました☆
「通し狂言 怪談牡丹燈籠」を坂東玉三郎さんが演出&出演されるとのことでしたし、
何より牡丹燈籠を生きてるうちに1回は観ておきたかったので^^
木挽町広場には七夕飾りがたくさん飾ってあって涼しげでした。
いつぞやのくまモンはもういなかったけど、藤娘ふなっしーがいてかわいかった(笑)。

201507kabu2.jpg
観劇前に歌舞伎座ギャラリーを見学。現在、「歌舞伎にタッチ!」展が開催中でした。
体験型展示というやつで、歌舞伎に出てくる動物やお道具をさわったり動かしたり
写真も撮ったりできるのですよ~!

201507kabu3.jpg
歌舞伎の馬に乗ってみました!(この日は着物で行きました)
結構高かった…昔、動物園でポニーに乗りましたがあんな感じですな。

201507kabu4.jpg
お船やお駕籠のコーナー。
真ん中にある長い茶色の籠はひとかたまりの小豆が入っていて、
左右に揺らすと「ザザー」と波の音を表現できるというもの。
母が舟に乗り込んで漕ぎ始めたのに合わせてわたしが籠を動かして波音を表現して
「波だー」「うおー」などと盛り上がったりしました。

201507kabu5.jpg
助六に出てくる揚巻の着物。ぜんぶ身につけると28kgもあるそうです!ひいぃ。
女形の人って舞台の上では華奢に見えるけど、
立役より体力要ることあるから実際はがっしり系の人多いと思う。

201507kabu6.jpg
花道もあります!白浪五人男の傘と藤娘の藤を抱えてはいポーズ。
傘も藤も結構ずしっと手にきました…役者さんはこんなの担いで演じてらっしゃるのだなあ。
あと、役者さんがやるみたいに足元をトン!と踏んでみたらいい音がしました。うおお。

201507kabu7.jpg
花道は舞台に続いていて、寺子屋のセットにも上がれますよ。暖簾の内側へも出入りできます。
檜板は前の歌舞伎座で実際に使われていた板だそうだ!

201507kabu8.jpg
竹本用の見台。三味線をチントンシャンと鳴らすこともできます。
三味線はいつだったか触った経験があるのですが、書見台は初めてで
太夫さんはいつもこんな景色を見てるんだなあとしみじみ(*´ `*)。

たっぷり楽しんで時計を見たら1時間近く経過していて、開演時間も迫っていたので1階席に移動。
今回も早々にチケットが完売してしまっていたため戻りチケットを待っていたら
ラッキーなことに前から4列目という驚異的なお席が取れまして、
花道も結構近くて役者さんのお顔や衣装の模様までバッチリ見られたので
わたしも母も大変満足でした!
なんかもう、始めから戻りチケット狙った方がいいような気がしてきたよ(*´Д`*)。

以下、盛大にネタバレしていますのでこれからご覧になる予定の方ご注意ください。

まずは「熊谷陣屋」。
源平合戦の熊谷直実と平敦盛のエピソードが元になっている演目です。
弁慶が書いた「一枝を切れば一指を切る」という意味深な木札が立っている桜の木の隣にある
熊谷直実の陣屋が舞台。
史実ですと直実は一ノ谷の合戦の折に敦盛を斬り殺しているのですが
この物語では実は直実が敦盛を助け、代わりに直実の一子・小次郎の首を義経に差しだして
しかもそれは「一枝(いっし)を切れば一指(いっし)を切る」→「一子(いっし)を切れば一子を切る」との
意味が隠されている義経の指示だったという内容。
こういう演目が作られる江戸時代まじ怖えええって柿葺落公演で見たときも思ったな…。

また、柿葺落では直実が吉右衛門さんで義経が仁左衛門さんでしたけど
今回は直実を海老蔵、義経を梅玉さんが演じていらっしゃいました。
直実は花道をのっしのっし歩いてきたり、舞台で何度も見得を切ったりとダイナミック演技が多めですが
海老ちゃんは体が大きいから何をやっても迫力があります。かっこいいなー!
「ああ16年は一昔、夢だ」と叫びながら花道を引っ込むラストシーンは
目元にちらりと光るものが見えましたが涙なのか汗なのか…
家族か主命かの葛藤と最後に爆発する悲しみがこの演目のクライマックスだと思います。泣ける。
梅玉さんの義経は有無を言わさぬ存在感があって、巌のように不動だなと思いました。
あれは誰も逆らえないよなあ…。
芝雀さんの相模は味があったし魁春さんの藤の方は立ち姿が美しすぎてガン見した、
髪を降ろして着物の片肌脱いだ姿ってなぜあんなに色気があるのでしょう!考え出したら沼。
義経の背後に控えている四天王、巳之助さんや種之助さんもかっこいいかっこいい^^
セリフも各々ひとことだけですけど、だからこそかえって緊張もあるだろうけど
ほんと4人ともよく通る声をしていなさるから唐突にしゃべられるとびっくりする(笑)。
左團次さんの弥陀六が食えないおじいちゃんで、飄々と登場するのですけど
義経に正体を見破られた時の目の動きとか唐櫃(敦盛入り)の中を覗くときのリアクションすごい、
梅玉vs左團次とっても迫力ありましたよー!

2年前とはいえ結構内容を覚えていたのと、2回目だったので余裕を持って見られましたから
舞台のあちこちに目を向けることができました。
弥陀六の着物に平家の人々の名前が書かれてるの今回やっと気づけた。供養かなあ。


休憩を経て、さあ!牡丹燈籠のはじまりだよ!\(^o^)/
幕末の落語家・三遊亭円朝が中国の昔話をもとに1861年に創作した怪談噺を
歌舞伎に仕立て直したものです。
旗本の娘さんであるお露さんが浪人の新三郎にものすごい大恋愛をして焦れ死にしたあげく
成仏できずに幽霊になって、毎夜毎夜、牡丹の燈籠を灯して新三郎に会いに行くところから
お話が始まります。
このままでは新三郎が生気を吸い取られ死んでしまいかねないということで、
お医者さんが気を利かせて彼の家にお札を貼り海音如来(架空の仏様)を持たせると
お露さんは入って行けなくなってしまいます。
そこで、新三郎の下人である伴蔵のもとへ夜な夜な「お札を剥がしてちょうだい」と会いにいって
怖くて断れないでいる伴蔵に妻のお峰が「お金くれたらやりますって言えばいいじゃない」と
アドバイスして伴蔵が行動に移る…までが前半のストーリー。
元々の噺はお露と新三郎、伴蔵とお峰、飯島家のお家騒動という
3つの物語が交互に進んでいくのが特徴だそうですが、
今回はお家騒動は省かれて伴蔵とお峰の話に終始してわかりやすくなっていました。
(大西信行氏の文学座初演脚本を改訂して上演しているらしい)

さっそく驚いちゃったのが幕開けの舟の演出。
お露(坂東玉朗さん)と乳母のお米(上村吉弥さん)が隅田川で舟遊びを楽しむ場面だったのですが
2人が乗っている舟が舞台上をすいすい進んでいくのは
下の見えないところで何か仕掛けがあるのかなとか想像ついたのですけども、
舞台から花道へさしかかりそのまま花道へすべりこんでいったのは予想外!
ざわ…ざわ…とどよめく客席をよそにホホホと笑うお露さんたちの舟は花道を引っ込んでいきました。
あれ一体何をどうやってるのだ…??
その後、焦れ死んだお露さんと後追いしたお米さんがぬううっとスッポンから出てくるのですが
真っ白な照明がぴかーっと当たってて、
おふたりともさっきと同じ着物着てるはずだけど色がピンクにも紫にも見えなくて
顔も着物も元々白塗りではあるんだけど輪をかけてむちゃくちゃ青白く見える!
牡丹燈籠を灯して新三郎さんの家に会いに行くと、
出迎えた新三郎さんはノーマル照明が当たってるから肌色とかふつうに健康そうで
でもお露さんたちはガチで顔色悪くてものすごい対比でした。
照明効果すごすぎるだろ!こんなことできるんですね。
というか牡丹燈籠がヒラヒラ透ける布とかついててゴージャスでした…ああいうのほしい。
九團次さん演じる新三郎さんは引きしまった顔のイケメン、そして筋金入りのいい人だった。
お露さんは死んだと聞かされていたのに「生きていたのか」って微塵も疑わずにハグしちゃって
かなり恋人を信じ切っている感じ。
幽霊とどうやってするんだろう…とか考えた腐った頭のわたしをよそに
障子の向こうでふつうにラブラブしてて愛は次元を超えるなって思いました。
というかこの2人、単に恋人同士ってだけで何も悪いことしてないよな…。

で、そんな2人の様子を下人の伴蔵(市川中車さん)がうっかり見てしまって
しかもお露さんの顔は思いっきりガイコツでギャアアアって上げた悲鳴がすごい。
(中車さんは香川照之さんとしては何度も拝見していますが、歌舞伎で拝見するのは初めてで
今回はそれもとても楽しみでした)
お札を剥がすよう頼みに来るお露さんお米さんの幽霊と鉢合わせるたびに全力で
「こんばんは~お早いおつきで!(震え声)」とか「いってらっしゃいませ~(震え声)」とか叫んでて
悲鳴のプロだねって母と言ってた。
(でも幽霊からもらった小判を「木の葉じゃいけねえ」って確認するのは抜かりないなと思った)
そして相手役のお峰さん(坂東玉三郎さん)ですよ!
セリフから仕草からてきぱきと様になりすぎててかなりこのお役やり慣れているんじゃないかな、
夫にわけを話せと半分イラつきながらなじるのとか
「百両くれたらお札をはがします、とか言ったらどうなんだい」と唐突に提案するのとか
間やタイミングに無駄がなくて、流れるようなお芝居だと思いました。
そして何かするたびに客席に笑いが湧いた。
夫から事情を聞く中での「それからどうした」で大爆笑がおこったり
天井から降って来た小判を数える「ちゅうちゅうたこかいな」でまた笑いが起きたり。
(しかも何度も繰り返しながらはけていくのかわいすぎた)
これ…怪談噺だよね?^^;
そんなこんなで、伴蔵がお札を剥がしてしまったので
お露さんお米さんは再び新三郎さんの家に入ることができるようになり、
とうとう新三郎さんはあの世へ召されてしまうのでした…ギャー、怖。
ヒュードロドロという例の効果音とともに恍惚とした表情でゆっくり倒れ込んでいく新三郎さんの動きが
実になめらかでした。九團次さんすごいな~。

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幕間に久々にめでたい焼き。
前にいただいたのがこの日だから1年半ぶりくらいだね~紅白餅おいしい。

幕が開いて後半スタート。
伴蔵の実家がある栗橋に引っ越した夫婦が
荒物商「関口屋」を開いて数年後、倦怠期を迎えているところから始まります。
久々に再会したお六さんに「あたし今はお金があってとても恵まれた生活してるけど
夫が料理屋のお国さん(市川春猿さん)に入れあげてミツグ君になっちゃった、
こんなことなら貧乏だったあの頃の方がよかった」って愚痴を言う玉さまが切ない…。
通りかかった馬子の久蔵(海老ちゃん)にカマをかけて
伴蔵の行動からお国さんのプロフィールから洗いざらい聞きだして
(海老ちゃんはさっきまであんなにかっこよかったのに久蔵はのっぺりメイクで
いかにもちょっと抜けてる感じがすごいかわいくて、
例によって「金があったら歌舞伎座へ行って芝居観てえなァ」とか言ってておもしろかった)、
帰って来た伴蔵に背中を向けたまま無言で内職してる姿のソンザイ・カーン。
ごまかす夫を問いただして「あんたが今そうなのは誰のおかげ、あたしがアイディア出したからなのに」
「あたしだって言いたくて言ってるんじゃない、お前さんに捨てられたらひとりで生きていけない」と
ひとりで3分くらいノンストップでしゃべってワーッて泣き出したら客席から大拍手!
すごいすごいあのテンションであの長ゼリフ、玉さまかっこよす~!!
伴蔵がすっかり反省して、自分のしたことを申し訳ない、おまえはずっと支えてくれたのになって
改めてお互いに大切な存在だとわかりあえてうわあよかったなあ!と感動しました。
よかったねえよかった、あれ、これ怪談ですけどもしかしてこのまま終わっちゃうの?とか思ってたら
とんでもなかったと大詰めで判明するのでした。

そんな大詰めはちょっともったいないような気がしたな…。
ふいに牡丹燈籠が空から現れて、カランコロン…という下駄の音もして
お六さんがお米さんに、お峰さんがお露さんに見えてしまうという錯乱をおこした伴蔵が
2人を刺し殺してしまって、
あれ?せっかく仲直りしたのになんで?てかお露さんたち成仏したんじゃなかったの?とか
彼女たちがまた現れた理由がわからなくてちょっと引いてしまった。
まあ怪談である以上、ハッピーエンドにはならないだろうと思っていましたが
あと少しセリフや場面が足されていれば説得力が増したかもなあ、と
花道を行く牡丹燈籠をフラフラした足取りで追いかける中車さんを見ながら思いました。

場面の合間にはザンギリ頭の圓朝(市川猿之助さん)によるストーリー解説がございました~。
猿ちゃんこのまま一席語っちゃえばいいのにと思ってしまうくらいのすばらしい話しぶり、
粋のいい江戸弁で、昼と夜→しるとよるだったりと徹底して、しっかり研究されたんだと思う。
(さすがに萩原さま、など人名はハヒフヘホをしっかり発音してたけど)
この人はどこまですごいのか…。

幕間にイヤホンガイドさんが圓朝についてざっと説明してくださったのですが
なかなかアップダウンな人生を送った人ですな。
落語の修行を始めてすぐに頭角をあらわしたのはいいけれど、なんと師匠に妨害されて
圓朝が高座に上がる前に師匠が圓朝が話す予定だった噺を全部やってしまうので
「よし、じゃあ誰もやってない噺をやるしかない」ということで創作落語を始めたとか。
師匠の名前は別の弟子に継がせて、圓朝自身は既成の噺はやらず創作落語をずっと続けて
今回の牡丹燈籠も圓朝のそんな行動から生まれたみたいです。
そうして作られた無数の噺は難度が高く現代でも演じる噺家さんは大変らしい。
(数年前から桂歌丸さんが圓朝の落語を復活させる試みをなさってますけども、
通しで演じると10時間以上かかる噺とかあってまじ体力勝負だと思う)
そういえば今月から圓朝の幽霊画を紹介する展覧会も開かれるので行きたいな~→こちら

あと、九團次さんが演じてらした新三郎さんがとても細面の美男子に見えたのですが
ご本人はかなり鍛えてらっしゃるようで→こちら
メイクや着物で着やせするタイプなのかもしれないね^^
みっくんも種之助くんもちょっと緊張気味だけどとってもいい顔。
段之さんが着てらっしゃるのは単に女形だからだと思う、女の子は体冷やしちゃいけません←
(しかし左團次さんが「キャー」とか絵文字とか入力なさってると思うとすんごいかわいいな)


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「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その11。10はこちら
1704年3月。中村内蔵助が仕事の都合で江戸へ行くことになりました。
お祝いのために肖像画を描いてプレゼントした光琳です。

内蔵助「これはいい、ありがとうございます」
光琳「どういたしまして」
内蔵助「尾形さん」
光琳「はい」
内蔵助「あなたも、いらっしゃいませんか」
光琳「?」
内蔵助「酒井のお殿様が江戸のお屋敷で絵を描く人間を探していらっしゃいます。風流人たちの集まりもございます」
光琳「………」
内蔵助「生活は、保障いたします」

びっくりの光琳。風雷は、ニコニコしながら聞いています。

中村内蔵助は弱冠30代で銀座の年寄役を勤めており、
この頃は江戸と京都を往復する多忙な日々を送っていました。
(1700年頃から、銀座年寄は1年半在京し3月と9月に交代することになっていました)
光琳が江戸に下ることを考えたのは、新しい顧客の開拓を期待したからとも言われています。
2015_07
04
(Sat)23:57

キャットガーデンその3。

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「ねこあつめ」順調にプレイ中です。
先月に再びバージョンアップが行われまして新しい猫様と新しいグッズが増えましたよ~。
ビーチパラソルや和傘やクールシートが増えたのは夏用ってことかなとか
テントが4つも増えたのは夏休みのアウトドアからの連想かなあとか
すいかボールは猫様の爪でパチンと割れたりしないのかなとか色々楽しいです。
パラソルの下の猫様たちはちゃんと影になってるしさ~細かいディテール。

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新しいグッズ、カフェデラックスの中にお出でくださったのは新しい猫さま、カフェさん。
看板で隠れちゃってますけど銀色のお盆をお持ちです!かわいい~☆
あと、アプ前はストーブにしかいらっしゃらなかった香取くん(エプロンが緑なのでそう呼んでいます)に
おニューのポーズが増えました。
ガラス花瓶を置いておくとこんなにゴージャスなパフェを作ってくださいます!なんという贅沢!
でもストーブのピザと同じで置いて帰ってはくれない(゚∀゚)。

ねこあつめはゲームそのものがとてもすばらしいコンセプトですが、
新しい猫様やグッズを増やすだけじゃなく既存の猫様やグッズにも新しい要素を足してくれる心意気が
すてきだと思います。
「おお、あのグッズにこんな猫様が!」って発見するの楽しい。

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ちょっとおもしろかった図。
左は香取くんのパフェを「おいしそうおいしそう」って全力待機している猫様たちが
別の日はなぜかみんなお尻を向けて「だが断る」状態でした。食べてさしあげて~(;´∀`)

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新しく創設されたフリーアルバムにがんがん保存している猫パフェこれくしょん。
今、世の中のコレクターさんたちの気持ちがすんごいわかる気がします^^
花瓶に誰が来てるか確認するの楽しい。情報によるとあかげさんも来るらしいけどいつかな…。

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金魚鉢これくしょんもあるよ。テラかわゆす。

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こちらも新しい方です、すふぃさん。
スフィンクスってネコ科か!体はライオンですからそりゃそうか(爆笑)。
プロフィールの性格欄に「クイズ王」とあるうえに
戦闘力はねこまたさんの222を上回る230ということでファラオ様とお呼びしています。
ううむ、猫の世界で222は最強の数字かと思っていましたが…上には上が。
この調子でバージョンアップごとに最強猫様が更新されていったらどうなってしまうのか、
4桁とか5桁とかまさかあるのか。戦闘力53万とか。猫耳フリーザ様が出そうだ。気が気じゃない。

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ついでにうちのすふぃさん。ポーズが完全に一致。

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バージョンアップ前は全然いらっしゃらなかったくりーむさんが
アプ後は何度も来てくださるようになりました!ひゃっほう☆
あああやっとお背中のハート模様が拝めたよ…!かわいいっ…!!
しかしお気に召すグッズは相変わらず気まぐれすぎて
一体何をご用意すれば来てくださるか未だに不明であります。まさに猫の中の猫です。

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たからものも順調にいただいています。ありがたや。
忠岑さんから貰い物だなんて受け取るしかないやろ~☆
あと、カフェさんは7回という、こいこいさんに次ぐ早さでくださいました!

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あいことば機能にもちょっと変化が。
今までは、あいことばを送信するとニボシがもらえるだけだったのですが
アプ後はあいことばを5つ(つまり5日間)送信するとニボシ+猫缶をひとつもらえるようになりました。
わーい!
猫缶はまんぞくさんにしょっちゅう食べられてしまうので(笑)いくつあっても足りないから助かります。

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浮世絵師あつめ。
そろそろ歌人あつめや学者あつめもやりたいなと思っています。

あと、「ねこあつめ日和」と「ねこだらけ図鑑」を無事ゲットしましたよ~。
ねこあつめ日和は四季折々のねこ川柳(目次が七十二候に分かれていて72首ある)とともに
かわいらしい猫様たちが季節の行事に精を出す写真が、
ねこだらけ図鑑は猫様たちの性格や普段の生活風景、好きなこと苦手なこと、
人生、じゃなくてニャン生のモットーなどが紹介されています。
風薫るにぼしも薫る初夏とか、秋の夜長の猫集会とか、猫舌の鍋奉行とか
神社に間借りしていたり魚屋のおっちゃんと仲良しだったり小説家の家にいたり王家の出身だったり
来てほしいときはいなくて気にしていないとやって来たりするとか。
むり。かわいい(撃沈)。
そして両冊とも表紙がまんぞくさんなうえに巻末にオリジナルシールがついているのですが
かわいすぎるしもったいなさすぎてとても使えそうにありません。


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「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その10。9はこちら
1701年2月27日、二条家への訪問が功を奏して、光琳は念願の法橋に叙せられました。
張り切って叙位後初の作品を描きます。

乾山「燕子花」
光琳「そう」
乾山「へええ!もう注文来たの」
光琳「そう。八橋の段」
乾山「………え、誰もいないけど、男は?」
光琳「描かない」
乾山「八橋は?」
光琳「それも、描かない」
乾山「へーえ」
光琳「人や橋なんざ想像すりゃいいんだ」

風雷は伊勢物語八橋段ごっこをしています。風ちゃんが男役で雷ちゃんが泣く人役。

現代に伝わる光琳の作品のほとんどは法橋に叙せられた44歳以降の作品です。
燕子花図屏風は叙任後まもなくの制作とされ、大きさは各150.9cm×338.8cmもあります。

雁金屋は呉服商だったので、染織の型紙がたくさんありました。
光琳の燕子花図屏風は型紙を利用し、同じ柄を繰り返す手法で制作されたといわれます。
のちに光琳自身がリメイクした「八橋図屏風」には橋が描かれています。