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燃える応天門。

2016.04.12 23:52|文化・美術
前回記事の続き。
日本橋と銀座をウロウロした後、出光美術館へ行ってきました☆
2016idemitsu.jpg
仁清・乾山展以来なので1年半ぶりくらいかな?
有楽町駅前は賑やかだけど、この周辺は人通りも車の通りも少なくて静かで好きです。

開催中の展覧会は「開館50周年記念 美の祝典」。
出光美術館開館50年を記念して、7月まで3期にわたり名品が展示されます。
今は第1期「やまと絵の四季」を開催中で
日本の人物や四季などを描いた屏風や掛軸や彫刻が見られるのですが、
2016idemitsu2.jpg
わたしの目的はこれです!10年振りの公開、伴大納言絵巻!!
これを見るためだけに今回行ってきました!!!\(^o^)/
866年に実際に起こった応天門の変(放火された応天門が全焼し伴善男が犯人とされ流罪になった事件)を
平安時代末期に絵巻物として制作したものです。
(一説には後白河法皇の命により常磐源二光長という絵師が描いたとされます)
伴大納言絵詞とも呼ばれる国宝絵巻の全3巻を
1期に上巻、2期に中巻、3期に下巻とそれぞれ展示してくれるのですよ~。
特に上巻は群衆と応天門の描写が圧巻であることで有名で、
画集や研究書で何度も見ているあの場面がナマで見られると思うとテンションが爆上がりしすぎて
前日に胸やけと腹痛を起こすレベルで楽しみでした。。
いざ当日、絵巻の前に立ったらそれどころじゃなくなってお腹痛いのも吹っ飛んじゃったけどね…。

応天門の一大事ということで検非違使たちが出動していく場面から絵巻は始まります。
鎧をつけて武具を背負った騎馬武者や、武器や松明を手に徒歩で現場に向かう者など様々で
表情はもちろん、しぐさも走り方もみんな違ってて個性が見えるのおもしろい。
人々が朱雀門を駆け抜けていくとそこは風下で、真っ黒な煙がもうもうと迫ってきていて
吹き荒れる強風の中を火の粉と火のついた木屑が降りそそいでいて
人々の烏帽子の動きを見ると風は同心円上に渦を巻いているのがわかるし、
後ろの方の人はもっと近くで見たいのか押し合いへし合いしていて
前の人は黒煙で目がしみるのか顔を押さえたり扇子で防ごうとするポーズとったりしてて
この絵師たぶん、火事現場を見たことある人じゃないかなと思った。
逆に風上側の会昌門ではのんびり見物する野次馬がひしめいていて
でも最前列の人はやっぱり炎を避けようとしていました。
上巻のクライマックスともいえる炎上する応天門は絵師の筆が大暴れ、
平治物語絵巻の三条殿夜討の火災やジブリの定家と長明展の炎上する朱雀門をを思わせるような
文字どおり舐めつくすような炎と煙がすさまじく、
強風にあおられて風下へ流れていく動きまで見えてくる感じ。
やっぱり絵師は火事現場を知ってる人じゃないかな(2度目)。
それにしても絵の具の赤色がとてもしっかり残っていて、出光さんの保存努力が伺い知れます。

その様子を遠くから見つめるひとりの男がいて、事件の犯人とされる伴善男を描いたと思われますが
後ろ姿で表情も読めなくて意味深。
君はだれ、何を考えているのって背中へ問いかけたくなる。
あと、これ絵巻なので描かれた当時は右から左へスルスル開くと絵が出てくる仕組みなわけで
見物する群衆の後にふいにこの男が出て来たら「誰おま!?」って声出しちゃいそうな気がする。

場面は変わって、伴善男から「犯人は左大臣源信だ」と聞いた清和天皇に対して
藤原良房が真相をきちんと確かめるよう進言するシーン。
え、え、そうなの??ってなったところで上巻は終わります。
史実としても有名な事件なので、この先どうなるのかはもちろん知っているのですが
それでもドキドキしてしまう終わり方だなあと思いました。
「書きつづけたいのを我慢して最高に盛り上がったところでその章をきりあげる」のが
本を書くコツだというムーミンパパのセリフがありますが、
まさにそんな感じで終わってて次回予告を見たくなるレベル。
しかも天皇と良房の会話を部屋の外で謎の男が聞いているのですが
(頭中将だった藤原基経とか、源信とか、藤原良相とかいろいろ説があるようです)、
これ推理小説とかだったら間違いなく犯人かその子分だよね(笑)。
あと、謎の男のそばにさりげなく衝立が置いてありまして
真ん中が破損しちゃってわかりにくいんだけど、たぶん東大寺が描かれてたんじゃないかな…
屋根の鴟尾と、吹きさらしの中に立つ金剛力士像が描いてあったので。

出光美術館にしては珍しくあまり混んでませんし、絵巻の解説冊子も500円で買えますし
行ける人は見に行った方がいいです。圧巻です。
この機会を逃したら次また10年待つことになります。
人の顔や背景など、ところどころ破損してる部分も周囲の絵の豊かさを見ていれば
じゅうぶん脳内補完が可能です。たぶん絵師の技量のおかげ。
(3巻全部合わせると400人近い人物がいるそうだ)
ところで応天門は現在、京都の平安神宮に再現されていますが
平安時代に建っていた門はもっと大きかったらしいですね。
(そして当時の応天門に掲げられた額の文字を書いたのは空海だけど
点をひとつ入れ忘れたので筆を投げ上げてつけたというかっこよすぎるエピソードがありますな)

今思い出したけど応天門の変はちょうど今頃起こった事件なんよね…旧暦閏3月10日(新暦4月28日)。
毎年この時期は善男を思い出してソワソワします。
ちなみに今年は変から1150年目です。


他の作品もすばらしいものがたくさんありました。
室町時代の日月四季花鳥図屏風は作者がわからないけど
右隻に太陽と雉、左隻に月と鹿が描かれていて
太陽と月(三日月)は金色の金属板がはめ込まれてるのがかっこよかった!
四季花木図屏風は紅葉や竹や松など四季折々の植物が描いてあるんだけど
狩野探幽による「土佐光信筆」という紙中座がでかでかと描きこまれていてビビりました。。
書いちゃったんかい!(笑)
そうだったそうだった、探幽は鑑定家でもあるんだった…しかし自信満々の字でした。いやはや。
吉野龍田図屏風は吉野の桜と紅葉を画面いっぱいに描いたもので
樹齢を重ねたりっぱな古木がそれぞれ桜と紅葉をどっさり咲かせている様子は
近くで眺めていると花と紅葉に包まれて匂いまで香ってくるような気がしてくる。

橘直幹申文絵巻は文章博士の橘直幹が「民部大輔になりたいです」と村上天皇に申文を出す一部始終を
絵巻にしたものですが(結局なれない)、
その申文を書いたのが小野道風と聞いて!
ちなみに村上さんは内裏が火事になったときその申文を運び出したかどうか尋ねているらしく
キャプションには余程の名文だっのではと推測されていたけど、
半分は道風の価値だと思ってしまった小野氏クラスタはわたしです(笑)。
冷泉為恭の雪月花図は、花宴に朧月夜を訪ねる源氏で花と月を、
香炉峰の雪のくだりから簾を上げる清少納言で雪を表現した2幅の掛軸。
佐竹本三十六歌仙「柿本人麿」「僧正遍照」はどちらもゆったりとした人物像がほほえましい。
西行物語絵巻は烏丸光広が本多富正からの依頼で禁裏から借り出して
俵屋宗達に模写を制作させたものだそうで、西行の一生を描いた絵巻の第1巻目。
手前に男性貴族たちがずらりと並び、背景の襖には四季折々の美しい景色が
やわらかな色づかいで描かれていました。
宗達は絵の具をべったり塗る人だけど、色がとてもやさしい。

修復を終えて初公開となる真言八祖行状図は壁いっぱいの掛軸8幅のセット。
もともとは奈良の内山永久寺(現在は廃寺)の襖絵として使われていたらしく、
修復されたとはいえ長い年月を経ているので色もだいぶくすんでいるようでした。
それでも目を凝らすと細かい描写が見て取れます。
やっぱり目がいくのは恵果と空海ですけどね…
皇帝を説得するために自在天を呼び出す恵果と、疫病を鎮めるために般若心経を唱える空海かっこよすぎ。
同じく永久寺に伝わった慶派の増長天像と持国天像はムッキムキのいい体してる!
おふたりとも鎧の袖部分にくわっと口を開けた顔がついてて
増長天は鎧のお腹部分にも怖い顔がくっついてた。
棒を振り上げて左右対称なのでお寺で仲良く並んでいたのかも、ふおおこのまま叩かれたい…!!

象がぼや~っと口開けてる普賢菩薩騎象図かわいいし、
早く救わなくちゃ!とばかりに斜め走りポーズで翔けてくる阿弥陀来迎図はもっとかわいい。
阿弥陀聖衆来迎図はいわゆる「帰り来迎」というやつで既にお迎えの人は救われていて、
阿弥陀の隣にいる観音菩薩の手の上に往生者が乗って
菩薩と比べると人形みたいに小さいのがおもしろかったです。
十王地獄図はとにかく巨大な掛軸で、地獄の10人の王と彼らの足元に広がる地獄の様子が
さっきの伴大納言絵巻のようにリアルに描かれていました。
八大地獄ひとつひとつに往生要集からの引用を書いた紙が貼ってあったのと
三途の川にかかる橋の上で人々を救おうと導く地蔵菩薩の姿が印象的。

俵屋宗達の月に秋草図屏風は、1年前に抱一の同じ題材を見まして
あれも月が黒かったけどこちらも黒いですな…抱一はこれを参考にしたのかな。
単純化した秋の七草を空間を大胆に空けて配置し、すっきりまとめていました。
対照的に隣の四季草花図屏風は伊年印(宗達工房)の作品ですが
秋の七草がぎゅうぎゅうに詰まって描かれていて植物図鑑みたいだと思った。
尾形乾山の梅・撫子・萩・雪図はそれぞれ小さな掛軸に描かれた4幅セット。
床の間にある袋戸棚の小襖絵として制作されたのを掛軸に仕立て直したようです。
本名である「深省」のサインがあり、80歳のときの作品とのことで
えっじゃあ、江戸で描かれた作品ではないか!
あと乾山のこういう、小さな正方形の作品を見ると
兄の光琳と合作した角皿を思い出しちまってわたしァ泣けてくるんだ…!
この兄弟は本当に萌えのかたまりです。けしからん。一生愛す。


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出光美術館を堪能した後は、電車で池袋に行って
東急ハンズにて開催中の「ねこ路地2016」に行きました。
猫グッズを制作している作家さんたちや企業が作品や商品を展示していて買うこともできるイベントです。
うにゃー何もかも全部かわいい!(=^ω^=)

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ハンズ1階入口にどーん。「ねこ好きとねこにおくるクッション」だそうです。
今すぐ埋もれて眠りたい。

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フェリシモ猫部さんのブースまじ最高。
猫の肉球クリームなどのスキンケア用品からにゃしゅまろやニャー麺など食べ物まである!
この間行ってきた妹が猫耳ヘアバンドを買ってきてお風呂上がりに猫になってたのですが
あれもフェリシモさんのグッズだったっけ。

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一番の目当てはこちら。わちふぃーるどのダヤンのコラボケーキ!
コラボレーション専門のスイーツ屋さんが作っただけあってクオリティは最高潮です。うおお。

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むちゃくちゃ混んでて30分並んでゲットしましたよダヤンケーキ!ダヤン…ケーキっ…!!
クリームとチョコで再現されたお顔もおてても最高にかわいい、かわいすぎる!!
例によって「かわいい~~もったいない~~~」とぼやきながら食べました。むちゃくちゃ甘かった。

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さがおうじさんの「さすらいねこ」クリアファイルと
ゴーあやのさんの「猫の図書館ブックカバー」もゲット。
どうでもいいけど、さすらいねこの「寝なければ終わる」は寝ないで作業するという意味らしいけど
わたしには「寝なければ(体調こわして人生が)終わる」と読めるので逆に眠気が出る絵だったりします。
かわいい。

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こちらは別の日に妹が買ってきたお土産。
ダヤンマカロンと肉球クッキー!肉球クッキーはハート型なんです!最高なんです!!
この世は猫に満ちている。
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル:学問・文化・芸術

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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

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