2016-06-29 (Wed)
富安陽子さんの『天と地の方程式』がおもしろいです。
3冊とも発売とほぼ同時に読んで、たまたまですけど全3巻読み返したのが先週の夏至だったので
ちょっと感想めいたもの書いてみることにします。
(物語のクライマックスが夏至の日の出来事なのだ)
ちなみに1巻を読んだのは歌舞伎座で幕見席のチケット買うために並んだ時だったと記憶してる…
本のページをめくりながら目の端に映っていた風景の記憶が待機列の椅子なので。
夏至に読み返したい本がまた増えましたお~。
真夏の夜の夢とか、ムーミン谷の夏祭りとか、ハウルの動く城とか、精霊の守り人とか。

ニュータウンにできた小中一貫校に通い始める男の子とクラスメイトが
ある日学校の廊下でヒョイと異空間「カクレド」に迷いこむところから物語が動き始めます。
やがて現れた「頭の中に日本語で話しかけてくる猿」によって
それは天ツ神と黄泉ツ神の戦いにカンナギとして選ばれたためと判明します。
カクレドは黄泉ツ神がもっさり入っている繭であり、あの手この手で容赦なく襲いかかってくるので
彼らをかわしながら繭のほころびを探して穴をうがち脱出する…と書くとRPGみたいだし、
カンナギ同士でタッチするとカクレドに放り込まれるのはわかっても
カンナギは目印がついてるわけじゃないからタッチするまでわからないジレンマもあれど
次第に一人、また一人と仲間が増えていくのも何だかRPGみたいですが
黄泉ツ神の攻撃が意識を乗っ取るとかカンナギの恐怖を食べるとかの精神系のため
ドキドキというよりちょっと、怖い感じ。
冨安さんの物語は神や妖怪を親しみやすく感じさせてくれますけど
同時に彼らは理不尽であり祟るものであるというのも思い出させてくれますな。

カンナギは巫(神子のこと)だし、選ばれるのは6~14歳の子どもに限られていたりするし
黄泉ツ神たちがみんな片目だったり、鏡の光が脅威だったり
米粒で結界張るとか稲荷祭文との関係性とか、閏年生まれの子は誕生日にしか年を取らないとか
ルールがいちいち神話的民俗学的なのも相変わらずの富安文法。
クライマックスで円周率を唱え、フルートを奏し、千引岩に見立てた巨大柱で黄泉ツ神を封印するのは
黄泉比良坂と天岩戸を現代ヴァージョンでやるとこうなる、みたいなひとつの形式みたいな…。
引用先の心当たりが無数にありすぎて想像すればきりがありませんが
それらと、これまで富安さんが書いてこられた物語の要素がてんこ盛りになっているなと
読み終えて思いました。

アレイは富安さんの物語によくいる典型的な巻きこまれ型主人公ですけど
富安さんの男の子主人公、久し振りに読んだ気がする。
(他に男の子主人公ってムジナ探偵局とかオバケ科シリーズとか、あと2~3冊くらいですよな)
記憶媒体並みの記憶能力は彼にとって強さであり重荷でトラウマでもあったのが
Qがコントロールできるようになれば大丈夫ってアドバイスしたとき救われるとまではいかなくても
考え方として腑に落ちたみたいだったのが少し安心しました。
名前が森有礼(アリノリ)と同じって最初に出てきたけど
古事記から見つけた稗田阿礼を意識してアレイと自称してるのがおもしろいし、
名前の設定をここぞというところやクライマックスで思ってもみないほどに活かすのが
富安さんのすごいところだと思う。
音楽と円周率をつなげるとか誰が思いつきますか…!
学者やクラスタさんが数字や数式を音楽にたとえるのはよく聞きますけど
それを(物語の中とはいえ)実際にやってくれて
しかもπを数百桁ぶん唱えるアレイむちゃくちゃかっこいいんですけど!
「○○できるのはおまえしかいない」っていうセリフは汎用性高いなと思うし
無数の物語で合計数千、いや数万回以上言い尽くされてる言葉でしょうけど
聞くたびにうおおお!!ってたぎる。
それにしても天音をどこかで聞いたことあるって言ってていざ思い出したら
ドレミを数字に置き換える癖から円周率だと導き出すくだりはわたしにはとてもできない発想でした。
数学クラスタさんだったら気づくのかな…。

でもQの話を聞いてると数学おもしろそうって思えるから不思議。
すべての法則や公式は発明ではなく発見だとか、
オウム貝の渦巻きを拡大するとハリケーンになり、さらに拡大すると星雲になるとか。
数学は神の設計図であり世界システムかあ…。
彼が口にする用語にいちいち「そんな問題あるんだ」「そんな定理あるんだ」などと
つぶやいてる程度には数学オンチなので、注釈あったらよかったなと初読時は思ったのですが
再度読み返したときに展開があまりにもスピーディーなことに気づいて
これ注釈ついてるとかえって物語に集中できないからこのままでいいかなとも思いました。
気になる人は辞書引いたり教科書見れば載ってるかもしれないよね。
3巻のラストで「超新星爆発の音はファ、赤ちゃんの泣き声はラ。宇宙では死と生がハモっている」とか言い出したときは
「へー」と「どうしたんだQ、ポエマーじゃないか」と同時に思いました、
マンガで読んだって言ってたけどそれ現実に存在しますか…読みたい。
…というかこの本で一番謎だらけなのはQのお姉さんですよ…。
Qが電話かけたり事後報告する時しか出てこないけどコロンボの「うちのかみさん」レベルに姿なき存在感。
お姉さんのカンナギ経験については目覚めずに終わった人という推理をイナミがしてたけど
もし経験済みでQに秘密にしてるだけだったとしたら前日譚が書けそうだなと思った。
ぜひ検討してほしい~。

ヒカリは頭脳派というより感覚派の天才肌なのかな、
ピアノ弾いてるシーンは音楽の申し子のような描写だし、自分のイメージのままに奏でてそう。
自身のトラウマからピコを助けに行こうとするあたりが人の良さが出ていて好き。
「ピコくんが混乱するから」と自分を名字じゃなくヒカリ呼びにしていいと言う場面は心がポカポカしました。
アレイもアレイ呼びでいいって言いやすくなったしね。
春来は戸籍名はハルコだけど訓読みにするとハルクになって、普段から力持ちな子ですが
みんながハルクって呼んでる時の方がとんでもない力を発揮してる感じ。
アレイもだけど、ハルコも名前の力を感じずにはいられませんでした。
本人の意志は真逆ですが^^;
ピコくんは大きいお兄さんお姉さんに囲まれているのであまりしゃべりませんが
お兄さんお姉さんたちから全幅の信頼を一身にあびて仕事してるのすごいかわいい。
安川くんは最初ただのチンピラかと思ってましたごめんなさい、
猿を介してお話してたのはみんなに信じやすくさせるためだったけど
日輪と猿が切っても切れない関係という言い伝えが背景にあると思います。
猿田彦とか日吉丸(豊臣秀吉の幼名)とかの。
関西ことばでしゃべるのも、日本神話や古事記は関西から生まれたものだしなあ。
というかイナミ…名探偵コナン君でさえ「見た目は子ども、頭脳は大人」ってちょっとややこしい設定だけど
イナミは「見た目は大人、中味は子ども、でも子どものときは大人の時の記憶とカンナギの知識があって
大人のときは子どもの記憶はなくて子どもの人格の方が無駄に頭がいい」という、更にややこしい設定で
本人による説明セリフ3回くらい読み返しました。。
4年に1度の誕生日に年を取るって、ありそうでなかった設定ですよな…。
よく物語に出てくる、主人公より長く生きて知識のある人たちって渋かっこいい場合が多いけど
(ジグロとかハヤとか、または雪政みたいな残念なイケメンとか)、
富安さんがそういう人を書くとイナミとか菜の子先生とかムジナ探偵とかホオズキ先生とか
夜叉丸おじさんみたいになるのはなぜなんだぜ。
いや、おもしろいんですけど(笑)。

あとここにもちょっと書いたような、富安さんの古典と科学と神話の混ぜこぜっぷりも健在でした。
結界をテリトリーと言ったり、黄泉ツ神たちをザコキャラとボスキャラにたとえたり
カクレドのほころびを「靴下に穴があくみたいなもの?」ってまとめちゃったり
天ツ神はこの世のどこにでも宿ってるという点で細菌と同じようなものって言っちゃってるのは
この本くらいじゃないかぬ(笑)。
ファンタジーや冒険ぽいところからいきなり現実へ引き戻されるこの感覚…嫌いじゃないぜ…!
(わたしが今まで一番秀逸と思った言い回しは、
荻原規子さんのRDG3巻で泉水子が姫神をうまくおろせなくて言った「山側だと入らないとか」に対する
深行のセリフ「携帯の電波が入らないみたいな言い方だな」です)

あと少し戸惑ったところがあって、
ハーメルンの笛吹きについてイナミが結構細かく生徒たちに説明してたんだけど
もしかして笛吹きの話ってすでに説明が必要なくらい「みんなが知ってるお話」ではなくなってる…?
何をどこまで説明するかは著者と編集者の判断だと思いますがあえて入れたってことは。うむむ。

五十嵐大介さんの表紙画、ポップな感じとおどろおどろしさが共存してておもしろいです。
漫勉でもザクザク描いてらしたタッチがいい感じに出ている。
イナミがやたらイケメンなんですけど、この口から子どもの声が出ると思うとシュールだな…。
1巻に数字、2巻に音符、3巻に惑星記号が飛び交ってる装丁デザインもすてき。


さて、さて。
2016mina.jpg
夏越の祓が近いので花扇さんにて水無月をゲットしました。
白い外郎は氷をかたどったもので、小豆の赤い色は魔除けになるそうです。
雨が降らなければどこかの茅の輪をくぐりに行きたい。

himuro.jpg
先週の玉川高島屋「若き匠たちの挑戦(通称:ワカタク」のお菓子たち。
巌邑堂「紫都」と高林堂「煌」は福島県産ブルーベリーを使った和菓子で甘酸っぱかったし、
雅風堂「氷室饅頭」は加賀藩の氷室にまつわる金沢銘菓です。
江戸時代、毎年7月1日に加賀藩は江戸城に雪氷を献上する役割があって
無事に届けられるようにと神社にお饅頭をお供えして祈願したのですって。
期間限定で買えるかわかりませんでしたが無事ゲット。いただくの初めて(*´∀`*)。

2016年がもう半分終わるわけで時の流れに神秘を感じますが、
この厄除けが終われば本格的に夏が始まりますね。
今年も夏への扉が開くぜ、ピート。
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2016-06-24 (Fri)
何人かのブロとも様やリンとも様たちがやってらっしゃる「創作者バトン」をいただいてきました。
今までもお絵かき方法や裏話的な創作バトンはいただきましたが
今回のは質問数も多いし創作についての総合的な質問が揃っているのでやってみたくなって。
(他に書きたい記事があったり回答に時間がかかったのもあって遅くなってしまいました)


【創作者バトン】

Q1.小説、漫画などの創作媒体は何ですか、またそれを選んだ理由はありますか。

学生時代から小説、マンガ、イラストなどぼちぼち手を出していまして
今は絵本?紙芝居?みたいな、わたしは絵物語と呼んでますが、なんかそんな形で描いてます。
理由は、ブログで連載するにあたりしっくりきたからです。

Q2.主に行っているのは一次創作ですか二次創作ですか。

一次なのか二次なのか…歴史上の人を好きにデザインして描いたり
たまにオリジナルで好きに描いてます。

Q3.得意なジャンルは何ですか、また苦手なジャンルは何ですか。

得意というか、好きで描き慣れてきたのは歴史ジャンル。
不思議系やファンタジー系も好きで要素を入れたりがっつり描いたりします。
苦手というか描けないのはSFとか電脳系、科学の知識が壊滅的にないので。読むのは好き。
読むのも描くのも苦手なのはホラーとかバイオレンス系。

Q4.作品を作る際にプロットや設定資料のような物を作りますか。

プロットは作るときと作らないときがあります。歌人と琳派は作ってます。
過去記事で回答したときは歌人シリーズが念頭にありました)
遣唐使と浮世絵師は作ってなくて、アイディアと時代考証を同時進行させながらやってました。

Q5.創作中に設定の練り直しや、文章の推敲等は行いますか。

キャラクターが勝手に動き出して(わたしにとっては望ましいこと)会話が止まらなくなったときに
それまでのあらすじとつき合わせることがあります。

Q6.Q5を答えた方でその際に修正に気がとられて創作が先に進まなくなることはありますか。

今は基本的に会話劇でやってますので、パッとセリフが決まるときはそれでいいのですが
しっくりこないといつまでもいじくってたりします。

Q7.ジャンル、メディアを問わず、自分に大きな影響を与えていると思う作品はありますか。

こことかこことか過去記事にいくつか好きなもの書いてますが、読んだもの見たものだいたい影響受けてます。
強烈に受け取っちゃったと思われるのは童話や昔話の絵本(登場人物ではなく十二単やドレス)、
児童書の挿絵、ディズニーのアリス、ジブリ(音楽込み)、ホームズとポアロ、なかよし、りぼん、
日本美術、写実主義や印象派絵画とかかなあ。

Q8.スランプ等は経験したことがありますか、その原因は何だと思いますか。

後から考えたらあれスランプだったかもっていう時間は何となくありますが
ただ描いてなかっただけって気もしますのでやっぱり違うかも…。
あれかな、興味持ったり気に入ってる子ばっかり描いたりしてるから(楽しいので)感じてないだけかな。
体調や気分しだいでは悪い意味でムラやがんばり感が出ちゃうので明日にしよ~ってなったりする。

どうでもいい余談ですがアップした後ちょっとしたミスに気づくことが最近増えてしまって
毎回あんなミスやこんなミスがないかどうか確認作業に追われます。
なぜ人の推敲能力は作業中ではなく保存ボタンを押したとたんに発揮されるのか。謎だ。

Q9.自分が創作を行う際の目的や原動力はなんだと思いますか。

描きたいな~~描こうかな~~~描くかあって気持ち。
「気に入ってくれるかな」って誰かに向けて描くこともあります。

Q10.作った作品は公開していますか、またその方法は何ですか。

学生時代は部誌に載せていました。今はブログとpixivと、たまにTwitterです。

Q11.こういった作品は好きになれない、苦手だというようなものはありますか。

パラ見して直感的にあ、これ無理とか、わたしとは考え方が(悪い意味で)違うなと思ったもの。
これは小説マンガ映画問わず同じです。
バイアスにあふれたものとか、バイオレンスやスプラッタ系に多いかも。

Q12.あなたの作品を色にたとえると何色だと思いますか。

なんだろう渋そう…。
単色に見えて、読んでみたら虹色だったらいいなという願望はあります(笑)。

Q13.あなたの作品を風景にたとえるとどのような風景だと思いますか。

日常風景。
背景は貴族の邸宅だったり町家だったり長屋だったりします。

Q14.自分的には良い出来だと思う作品、真剣に作った作品が、他人からは評価を受けなかった場合はありますか。

お話は有難いことにたくさん読んでいただけてます!皆様いつもありがとうございます☆
絵はコメントいただいたりいただけなかったりします。

Q15.Q14とは逆に自分では失敗作だと思った、手を抜いていた作品が、他人から評価された場合はありますか。

なんとなく描いた絵にコメントやリプがついたときはびっくりして、とてもうれしく思います。
ありがとうございます(^◡^)。

Q16.自分の作品はどういった人に評価してほしいですか、またどのような人に見てもらいたいですか。

どなたでも。

Q17.科学的な根拠や、現実性の追求等、リアリティにこだわりますか。

歴史ものを描くときは「その時代に何があり何がなかったか」を考えます。
あったものは記録に残ってますが、ないものは残らないのでどこまで描いていいものかなあとか。
資料を読んだり取材に行ったりして、描きたいものとすり合わせて
都合のいい考証をちょこちょこいただいてしまったりしながらやってます。
オリジナルを描くときはあんまり気にしないかな…
だいたい現代に存在しているものをモチーフに描くことが多いので。

Q18.創作を始めたきっかけは何ですか、またそれはいつ頃ですか。

覚えてないです…。
気づいたら保育園児の頃からクレヨンでスケブにお絵かきしてて小学生のときに4コマ漫画を、
中学生のときノート1冊を使って長編マンガを描き始めました。
高校時代はマンガ研究部でガシガシ描いたし、大学に入ってから文章を少し書いて
社会人になってぼちぼち描いて書いて今に至ります。

Q19.ストーリーを前半、中半、後半に分けた場合、それぞれの場面でどういったことに注意しますか。

あまり分けないので何ともいえないですが、
注意点とか盛り上がりよりもすごく描きたいことがあったりラストシーンだけ決まってて
そこへどう落とすかだけ考えることが多いです。
お話って何となく作ってても見方によってはスリリングだったりしますからそれでいいかなと。

Q20.創作をしていてよかったことはありますか、また苦労したことや悩みはありますか。

楽しい。
キャラクターの気持ちがわかってもらえたときや
こっそり仕込んだ小ネタに気づいてもらえたときは「よっしゃ伝わった☆」と飛び上がって喜びます。
〆切のあるお絵かきは余裕を持って描けるときはいいですが、
ギリギリの時は仕上がるまで「うわー!」「やべー!!」とか言いながらとにかく手を動かして
何とかせないかんので何とかしてます。これ苦労かな?(笑)

Q21.自分の作品に共通するようなテーマやキーワードはありますか。

日常+ちょっとした不思議。たまにどえらい不思議。エブリデイマジックみたいな。

Q22.自分の作品の気に入らないところ、改善したいところはありますか。

これちょっとどう答えればいいかわからないんですが
技術は上達したいしもっと色んなもの描けるようになりたいですけど、自分の絵は好きなんです。
文章もやたら同じ言葉や言い回しを多用したりしますが、自分で書いたものだからやっぱり好き。
作業中は「オレ天才」とか思ってるけど、描き終えてしばらく放置すると「これ誰が描いたの」って思うから
創作はおもしろい。

つまりあれだ、建物描くのにコンプレックスがあるせいで現代もの描くのにためらいがあるとか
描写できないからアクション小説は考えられないとか動物描くの苦手だから主人公にしたくないとか
技術面で制限している場合がやたら多いので直したいです。

Q23.過去の創作で一番気に入っている作品は何ですか、またその作品のどのような点が気に入っていますか。

今のところこれ

Q24.その作品のキャッチコピーを考えてみてください。

「色褪せた壁と本 色鮮やかにわたしの花」かな…。
センスないので本当こういうの苦手です…どなたか…(他力本願寺)。

Q25.主要登場人物の年齢や性別に傾向はありますか、また作中の人物の男女比などを気にしますか。

わたしのレパートリーが少ないため若者しか描けないので、年齢的には若者が多め。
たまたまですが今のところ主人公が男性ばかりなのでそろそろ女性で描きたい。

Q26.未完成で投げてしまった作品はありますか、またその作品を完成できなかったのはなぜだと思いますか。

ラフや下書き、ペン入れ、塗りかけのまま放置してる絵も書きかけの物語もたくさんありますが
ここにも書いたけど、「アイディア止まりの時は放置、仕上げるモチベーションが上がったら描く」
というやり方だからだと思います。
ので、そのうち完成させたくなるかもと思って保存してあります。
忘れた頃に発掘して「今ならできるかな」と手を加えることもあるし。

Q27.その時の流行等を意識して作品を作りますか、またそういった作品に対してどういった考えを持っていますか。

流行ものを見てお絵描きすることはよくあります。
お話を作るときは完全に自分の趣味です。流行と被るときもありますがだいたい外れてます。

Q28.その時自分が熱中している物事の影響が作品に出やすいですか。

はい。

Q29.自分の作品が販売されることになったとします、表紙等はどのようにしたいですか。

うおお!?
せっかくですから手に取ってほしいので売れ筋とかは参考にするかもですが
たぶんそんなに目立つ絵は描けないだろうな。
10人いたら5人くらいは立ち止まって、3人くらいは手に取ってくれたらいいな…(弱気)。

Q30.登場人物を作る際、どのようにして人柄やイメージを作りますか、また人物で重要視することは何ですか。

歴史もののときは本人が遺したもの(遺品や日記や歌集や手紙や絵)が最も参考になります。
特に直筆の手紙とか日記とか残ってたら最高ですね…!ほとんど例がないけど。
あと本人を描いた肖像画とか。幕末や近代人だったら写真撮ってる人もいますけどね。
重要視するのは、何度か言ってますけどその人がかつて生きていた人であること、
現代の評価や先入観をできるだけ外して本人たちの視点に降りていくことです。
ちゃんと三大欲求持ってそうに見えたらいいなとか、
朝起きて仕事してごはん食べて寝る、みたいな雰囲気が風貌やセリフから感じられたらいいなと。

オリジナルのときは絵に起こしてみて、その子が何かしゃべりだしたら聞き役に徹して進めます。
そうするとだいたい好き勝手に動いてくれるので。
体温とか三大欲求ありそうに見せたいのは、歴史もの書くときと同じ。

あとこれは、意識してなくても自然にそうなってしまうのですが根っからのワルが作れない。
作ろうとしても結局「実はいい人」「運が悪かった人」みたいになって悪のまま突っ走る人にならないのは
たぶんわたしでは手に負えないからでしょうね…難しい。

Q31.自分は登場人物を殺す方だと思いますか。登場人物を殺すことに対してどのような考えを持っていますか。

遣唐使と歌人シリーズでお別れを描きましたけど
あれは史実ですので普段はそこまで殺す方ではないかな…。
人が亡くなるシーンて結構、難しいし体力要ります。個人的に。

Q32.暴力やグロテスクな表現、性描写に対してどのようなスタンスを持っていますか、また自分は使用しますか。

今のところ必要ないのと描写能力がないので使いません。
ドラマやアニメでそういうシーンを演じる役者さんを見ると大変そうだな…とか思うことがあります。

Q33.日常的(食事風景等)な描写に対してどのような価値観を持っていますか、また自分は使用しますか。

食事シーンとか、キャラが何か食べてるシーンは頻繁に使いますねえ。
わたしが食べることが好きというのもありますけど
そういうシーンて読んでると味や匂いや香りがしてリアリティが感じられたりするし、
食べる行動というのは無防備ですからキャラがくつろいだりリラックスしてるのが伝わってきて好き~。
あと寝ること。寝転がったり昼寝したり、お布団で寝たりするシーンとか
わたしが大好きなのでキャラクターにもついついさせてしまいます。
…基本的にわたしの描くキャラはスポーツしないな…(スポーツ観戦は好きですが自分はあまりやらない)。

Q34.作品の評価ポイントはどこにあると思いますか、他人の作品を見る際はどのような点に注目して見ていますか。

個人的には好きか苦手か。
社会的には技術力と構成力。

Q35.意図的であるなしにかかわらず作中で多用する表現、台詞、描写などはありますか。

さっきも書きましたけど食事シーンと寝るシーン。
あと数人がわちゃわちゃ会話するのも楽しいのでよくやります。

Q36.登場人物と自分とを切り離して考えていますか、性格や思考などが登場人物に出やすいことはありますか。

歴史上の人を描く場合はわたしとは別人ですので、できるだけ史実や遺品を調べて
そこから立ちのぼる雰囲気をつかんで描いてる感じですけど
でもそれはわたしから出てきたものですからどのキャラもどこかにわたしの一部が反映されてると思う。
史実部分はともかく、性格やセリフは「わたしがこう想像した」のを出力してますので。
オリジナルの子はわたしっぽいと思う部分と全然違う部分とあるなあ、
どこからこんな性格の子ができたのかわからない時あるけどきっとわたしの中にあった知識や情緒なんでしょうね。
知らないことは書けない。

Q37.他の創作を行っている人に対して聞いてみたいことはありますか。

いつ寝てますか!!(割と本気)
仕事や家庭経営しながら創作してる人多いと思う。

Q38.今後はどのように創作と関わっていきたいと思いますか、あなたにとって創作とは何ですか。

友達であり息抜きであり、どこまでも飛べる翼であり、ストレスたまったときの逃げ場であり、
自分の技術を目の当たりにする瞬間であり、大好きな場所です。
ありえない設定やアイディアが降ってくることもあるし、思うように進まない時もありますけど
これからも息をするように妄想していくと思う。
働いてお給料もらいながら趣味で創作続ける選択肢もありますので
学生の皆様はあまり焦らずに進路を考えてくださいな。(突然のアドバイス)

Q39.おつきあいくださり有り難うございました。バトンを回したい方がいましたらあげてください。

39問もあったのかー!
長いですが、やってみたい方ぜひどうぞ。
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2016-06-20 (Mon)
uehashi1.jpg
世田谷文学館にて開催中の上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展に行ってきました。
守り人シリーズを中心に上橋さんの作品世界や研究内容、お人柄に迫る展覧会です。
この文学館が行う作家展はキュレーションが本当にすばらしくて
ファンの「そう!それが知りたかったの!!」という部分を見事についてくれるので
今回も色々びっくりさせてもらいたくて事前情報はあまりチェックせずに行きました。
(上橋さんのエッセイや講演会などでお人柄については何となく存じ上げているという理由もありますが)

入口の真っ青なポスターは旅人シリーズの佐竹美保さん描きおろし、
向かい側に原画も展示されていて間近で見られます。
ポスター前にはドラマ守り人で使われたバルサの短槍(レプリカ)もありました。
ドラマご覧になった方はおわかりかと思いますが、綾瀬はるかさんの身長よりちょっと低めの長さ。
照明で尖端がギラリと輝いてかっこよかったです。

展示は上橋さんあての2通のお手紙(1979年6月と1982年1月)から始まっていて、
差出人はルーシー・M・ボストン!
高校のとき学校の研修旅行でイギリスに行った上橋さんは事前にボストンさんに手紙を出したら
「ぜひいらっしゃい」とお返事があったそうでケンブリッジのマナーハウスに会いに行っているのですよね。
ボストンさん(当時80代)直筆のお手紙!すげー本物!
マナーハウスの外観やボストンさんとツーショットのお写真も展示されていました。
グリーンノウの子どもたちが遊んでいた木馬に乗った高校生の上橋さん、楽しそう(^ω^)。

上橋さん曰く「偕成社から奇跡的に見つかった」精霊の守り人初稿(1993~1994年)。
バルサは35歳だし(出版後は30歳)新ヨゴ国も別の名前だったなど裏話もキャプションにありました。
隣に再現されたシリーズ原稿の束と、虚空の頃まで愛用されていたノートパソコンも。
会場に流れていたインタビュー映像でもおっしゃってたけど
上橋さんは編集者さんと特に打ち合わせしないで、まず物語をまるっと書き上げてから
「1冊書けたけど読みますか?」と連絡を入れるんだそうです。
まず午前中に前日書いたものを読み返して、続きを書いて
午後にまたイメージが浮かぶこともあれば浮かばない日もあるとか。
あと、原稿は400字詰原稿用紙ではなく実際に読者のもとに届くレイアウトで書くんだそうで
ほほうつまり、わたしの本棚にある守り人と上橋さんが読む原稿は同じスタイル…
ちょっと、たのしい。

上橋さんは守り人を始め数々の賞を受賞されていますが、
賞のトロフィーや賞状を展示したコーナーはどこかの博物館のようだった。
産経児童出版文化賞と路傍の石文学賞のトロフィー超かわいい…!本屋大賞のスケルトンきれい。
国際アンデルセン賞を受賞されたときのメダルや賞状、
デンマーク女王マルガレーテ2世からのサイン本のお礼のお手紙もありました。
上橋さんは眼鏡ウォンバットつきのサインをなさったらしい、かっこいい。
(著書にときどき出てきますが上橋さんの自画像は眼鏡をかけたウォンバットです。かわいい)

uehashi2.jpg
撮影コーナー☆
ドラマ守り人で俳優さんたちが着用された衣装が並んでいます。
バルサ、チャグム(旅姿)、チャグム(皇太子姿)、新ヨゴ王家紋章つき瓔珞、狩人、新ヨゴ王家の旗。
チャグムの旅衣装はNHK衣装部が所蔵していた経年変化した布を組み合わせているとのこと。
狩人の鎖帷子は3㎏もあって、俳優さんはこれをつけて殺陣の撮影をされたそうで
松田悟志さんはその重さに耐えておられたと思うと個人的に萌えポイント高し←

uehashi3.jpg
バルサの衣装のベストは皮を編みこんだものだそうで、
宮城の南三陸の人々によって制作されたとキャプションにありました。
後ろに回ると背中がちょっと見られましたがザックリ切れていて
1~2話の激しい戦闘時に確かバルサが背中を斬られるシーンがあって、その殺陣の痕かな…。
次回シリーズの放送は来年ですがバルサはまたこの衣装で活躍するのでしょうか、
背中の切れ目はタンダが縫ってくれるに違いない…。
あっでも、シーズン1のラストでログサムに短槍投げちゃったのでそんな暇はないかしら。
獅童ちゃんの王様姿完璧すぎて今も思い出し笑いする。

ドラマの小道具もありまして、
ツツジがモデルというシグ・サルアの白い花とか(ツツジは蜜がおいしいからかな)、
青々とした精霊の卵とか(ドラマでは卵の中に小さな地球と雲がCGでついてたよね)、
新ヨゴの夏至祭で使われるトルガル王のお面とか(魔物と王の顔が表裏一体になってるやつ)、
チャグムの部屋にあったおもちゃ、ヨゴ文字の石板、帝の冠(ビショップの冠と卵の形がモデル)、
星読ノ塔や最上階、タンダの家の木の模型なども精巧に作られていました。
星読ノ塔は133m(ビル30階建て)という設定らしい。

uehashi4.jpg
衣装コーナーの隣、黒いカーテンの向こうはどうなっているかというと。

uehashi5.jpg
床一面にドラマのキービジュアル!

uehashi6.jpg
実はこれ、ナユグを体験できるインスタレーションです。
人が入るとセンサーが感知して映像が動きだします。
こんな風に波がおこって、白から緑、青、赤、黄色、紫など次々に色が変化して
壁が合わせ鏡になっているので世界や道がどこまでも続いているように感じる。

uehashi7.jpg
わたしはナユグに行くとこんな姿に見えるんだろうか…ゴボゴボいってるけど…(笑)。

uehashi8.jpg
こちらは展覧会の入場チケットですが、
インスタレーションの部屋に行くと新ヨゴ王家の紋章が浮かび上がるようになってます。
いやはや楽しい。

インスタレーションの一部は文学館のTwitterで見られますのでどうぞ→こちら

守り人・旅人シリーズの挿絵もいくつか展示されていました。
二木真希子さんの守り人シリーズやっぱり最高です…。
精霊からは最終ページの挿絵、バルサがカンバルへ戻る途中で雨に降られるカットで
個人的にこの本で一番好きな絵なので原画が見られてうれしかった!
他にも表紙の卵を抱くチャグムとか、守り人世界の地図とか。
佐竹美保さんの旅人シリーズも挿絵や設定画まであって
軽く寄りかかるヒュウゴのラフに惚れそうになったよ…かっこよすぎるよヒュウゴ。
(ドラマのシーズン2で鈴木亮平さん演じる彼が楽しみで仕方ない)
あと萩尾望都さんと対談なさったときにモー様から贈られた直筆のバルサとチャグムの色紙とか
上橋さん自らイメージスケッチされたキャラクターたちのスケッチブックもありました。
二木さんにも見せたというティティ・ラン、オコジョに乗った人かわいい( *°∀°)و✧
(ちなみにイメージの固定を避けるため他の絵は見せていないそうです)
タンダとチャグムがドラマの俳優さんにそっくりだったのがまるで予想したかのようでびっくりしました、
そんなわけで上橋さんは東出さんがタンダにぴったりと思ったのですって。

そして…。
守り人出版前の1994年5月、上橋さんが偕成社に出した「挿絵を二木さんにお願いしたい」というお手紙が
全文が展示されていてマジ感動。
こ、ここからすべてが始まったんだー!二木さん…!!
上橋さんはデビュー作『精霊の木』を出版された際に二木さんの『世界の真ん中の木』を読んだそうで
同時期だったのかなと思ってぐぐったら同じ1989年出版なんですね。
「二木さんはお忙しいが(この時ぽんぽこか耳すまの制作真っ最中)お願いしたい、
もしお引き受けいただいても挿絵が遅れるかも、それでも可能なら…」など熱い思いに満ちていました。
どういう経緯で二木さんに決まったのか知らなかったのですが上橋さんのリクエストだったんですね、
二木さんの挿絵は海外で翻訳出版された守り人でも使われているそうです。

文化人類学の研究についても、フィールドワークに使う地図やサングラスやカメラ、調査ノート、
写真や現地でもらったブーメランなどが展示されていました。
『隣のアボリジニ』の表紙を飾ったドット・ペインティング「Honey art Dreaming」の実物は
思っていたよりも結構大きかったです。アボリジニのご友人のお手製だそう。
各誌に発表された論文や著書、分厚い博士論文「ヤマジ」などを見ていると
うわ本当に研究者なんだ…などと当たり前のことを今更のように考えたりしました。
わたしはどちらかというと作家としての印象が強いですけど
大学で上橋さんの講義を受けている学生さんたちにとっては教授でもあり作家でもあるのですよな…。
(Ciniiで上橋さんのお名前を検索すると論文がいくつかヒットするしね)

海外文献コーナー。
守り人をはじめ上橋さんの著書は英語や中国語、フランス語、イタリア語ほか各言語に翻訳出版されてて
(アメリカ版の表紙は個人的に五条大橋の義経を思い出すような迫力です→こちら
英語版は翻訳にあたり平野キャシーさんが担当されたそうで、
最初はメールでやりとりをしていたのがだんだん確認事項が増えて長くなってきたため
「やりますか!」と高松のホテルで缶詰なさったとインタビュー映像でおっしゃっていた。
(ホテルのロビーでバルサの槍ポーズをとったりしたらしい)
会場にやりとりの一部がパネルで紹介されていましたけど
平野さんが細部まで読み込んで翻訳しようとなさっている奮闘ぶりがうかがえました。
ルイシャの青はBlueかGreenか?→Blueで、とかきっぱりお答えなさる場合もあれば
こういう印象なんです、と言葉を尽くして説明された事項もあったようで…。
また別のインタビュー映像では、自国では出版されてないけどアメリカの友達に送ってもらって読んだという
ウクライナのティーンエイジャーから熱烈な感想と続きが読みたいという願いがお手紙に綴られてきて
物語が広がっていくのはうれしいともおっしゃっていました。

持ち物コーナー。
再現されたご自宅の本棚にはサトクリフやル=グゥインなど岩波系が多かったり
イランやポーランドから持ち帰られたという小箱やティッシュケースはカラフルなデザインだし
「上橋菜穂子の目」のタイトルで旅先で撮影された写真群は
建物や料理、馬車や刀剣など多岐にわたっています。
アルハンブラ宮殿を見たときの圧倒された感はチャグムがタルシュ帝国を訪れた時の驚きだとか
鹿の王を書いていたときはヴィエリチカ岩塩坑の風景が浮かんでいたとか
中世の騎士が履いていたサンダルが知りたくて銅像の足を撮影したとか
コメントも楽しかったです。
海外と日本では水質が違うため旅先に必ず持って行くというリトルポコポコ(携帯湯沸かし器)欲しい…。
高校時代の文化祭で悲劇の脚本を書いて主演したそうですが
同級生だった片桐はいりさんが見事に喜劇にしてしまったという裏話も(笑)。
国語科文集の開かれていたページで、上橋さんは「人間の歴史」の感想文を書いていたけど
片桐さんは「堕落論」を書いてて何というか、その後のおふたりの進路を考えるとさもありなんという気がした。
(展覧会図録では片桐さんが上橋さんについて文章を寄稿しています)
また、『明日は、いずこの空の下』の表紙を飾ったグラナダの空の絵は
お父様で画家の上橋薫さんが描いたものだそうで、本物の展示もありました。

メディアミックスコーナーにはアニメの設定資料、ドラマのイメージボードや制作資料がたくさん。
アニメ資料は余白に書かれたスタッフさんのメモがおもしろくて
「ラルンガ:冬眠する」に一瞬、笑いそうになった(笑)。
グロくなく獣にしたいという書きこみと、色をキレイにしたいという熱意に胸キュン、
うーん個人的な感想としてはちょっとグロかったけど色はカラフルでしたね…。
他にもトーヤとサヤは定食屋が捨てた箸を再利用してるとか
細かすぎて視聴者に伝わらない(たぶん伝わらなくても問題ない)ネタが随所にあった。
アニメのドイツ語版DVDとかあってびっくり、翻訳されてるんですね。
ドラマのイメージボードも、そのまま実写にしたらこういう絵になるなあと思ったくらい細かくて
これを設計図にあの迫力が再現されたのかと思うとwktk。
藤原カムイさんと結布さんによる精霊、闇の漫画原稿もやっぱりわくわくしました。
狐笛のかなたが舞台化されたのはどこかで聞いた覚えがありますが
会場が新歌舞伎座で主演が早乙女太一くんとは知りませんでした(滝汗)。
うおお早乙女くんの野火めっちゃ見たかった…!

出口付近にスケッチブックがひとつ置いてあって
今回のために描かれた上橋さん直筆の「眼鏡ウォンバット自画像」があった(笑)。
書斎にいる姿を、ということでパソコンの前に座ったウォンバット上橋さんだそうです。
かわいい。

出口に小さな立て札があったので見たら
5月に亡くなった二木真希子さんへの、上橋さんからの追悼文でした。
早すぎるとのお言葉にうなずきながらわたしも先月のショックを思い出したんですけど、
さっきまで二木さん推しのお手紙や原画を鑑賞していて、うれしいのと同じくらい実は悲しかったけど
でも原画を拝見できるなんて次はいつかわからないので時間をかけて見せてもらいました。
またこういう機会があったらいいな。
(二木さんの原画で好きなのはナウシカと王蟲の子、ラピュタのシータと鳩、トトロのドンドコ踊り、
草花に寝転がるキキ、波の上を疾走するポニョです。
あと毎年作られるトトロのイヤープレートも二木さんが描いていたそうです。
二木さんがどういう人かは『世界の真ん中の木』解説で宮崎駿氏が書いてますのでそちらをどうぞ)

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展示を堪能した後はゴジラ2000ミレニアムで実際に使われた着ぐるみが(なぜか)展示されている
文学館の喫茶どんぐりに入店。
すげ~スーツアクターさんが中に入ってたのかあれ…(実はゆさはスーツアクタークラスタ)。

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ランチにトーストを注文。
守り人に出てくるバム(無発酵パン)や獣の奏者のファコ(同)の気分でいただきました。
上橋さんの「住める世界を書きたい」という思いは作品にも表れていて
おいしそうな食べ物がたくさん出てくるよね。

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展覧会限定のフルーツタルト。

そういえば明日は守り人でも重要な日の位置づけになっている夏至ですね。
どこかで誰かから無事に卵が生まれますように。
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2016-06-16 (Thu)
半年ぶりに東博三昧してきました。
ちょっと個人的にこの日は豊作だった!わたしの好きな作家がたくさんいましたので
いくつかご紹介いたします。
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俵屋宗達「牡丹図」。
大きな牡丹と葉が地面いっぱいに。
画面にかっちり収めずに端が切れているのは風神雷神図がそうであるような意図だったりして。

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本阿弥光甫「藤・牡丹・楓図」。
長く垂れた藤がきれい、牡丹の構図も、楓の木のたらし込みのグラデーションも美しかった。
光甫は本阿弥光嵯(光悦の養子)の子で『本阿弥行状記』を編纂した人です。

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酒井抱一「四季花鳥図巻」(部分)。
春と夏の部分が開かれていて、写真は水辺に咲く燕子花。
絵の具がすごくきれいで、桜の枝を飛び交う鳥たちや藤の花に飛ぶ虫も描かれていました。

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松村景文「青梅図」。
たわわに成った実と、天に向かってすっと伸びた枝がかっこいい。
水墨のグラデーションに一目惚れしてしばらく眺めてしまった。

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清原雪信「牡丹小禽・蓮雀図」。
牡丹に飛び交う鳥と、蓮の花にとまっているスズメ。
落ち着いた作品で、お茶会の床の間に飾ってあったら素敵だな。

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山崎龍「二美人駒引き図」。
2人の女性が馬を引いて歩いています。旅の途中かな?
14歳のときの作品だそうで完成度高くてびっくりしました!
「風になびく富士の煙の空に消えて ゆくへもしらぬわが思ひかな」という西行法師の歌が書いてある。

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鈴木春信「小野道風」「見立小野道風」。
柳の枝に飛びつくカエルを見つめている、花札にもある小野道風の題材を絵にしたもので
見立~のほうは道風を当世風の町娘に置き換えています。
これもし現代バージョンやるとしたら柳の木の下にいるのはアイドルや俳優さんとかになるのだろうか。

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葛飾北斎「芍藥 カナアリ」。
鳥は飛びたったばかりなのか、それとも今から花に舞い降りようとしているのか。
カナリアは江戸時代にオランダ人によって長崎から国内へ持ち込まれたようですが
北斎も見たことあるのかな。

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「仁清」印「色絵波に三日月文茶碗」。
箱書きによると、野々村仁清が金森宗和の指導を受けて作ったとされる茶椀です。
色彩といいデザインといいたいへん美しくてホレボレ(*´▽`*)。
中央の三日月が強烈すぎて伊達政宗の兜を思い出した(笑)仁清が見たことあるかわかりませんが。

他にも、写真は撮れませんが国宝室にて良源の遺告(遺言状)とか
久隅守景の山水図屏風、湛慶らの千手観音菩薩立像(蓮華王院蔵)などを見てきました。
2年前にイタリアで発見され現在特別公開中の伊東マンショの肖像は彼が16歳の時の絵だそうで
髭が生えていて凛々しかったです。
あと年代が近いのと経歴が似ているのとで、
仙台市博物館にある支倉常長の肖像画をなんとなく思い出しました。行きて帰りし男たち。


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表慶館の「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」にも行きましたよ。
行こう行こうと思っていたけど結局会期末になってしまって
入場待ちはなかったけど展示室は結構、混雑していました。
軍事介入や度重なる内戦(ロケット弾で博物館の屋根を吹き飛ばされたりしたらしい)や
略奪や、時には命の危機に見舞われながらも
アフガニスタン国立博物館の学芸員さんたちや協力者さんたちがせっせと運び出して
国の中央銀行の地下に保管されていた文化財が今回、海を渡ってきてくれています。
展覧会を見るときはいつも、作品をつくった人や受けついで残してくれた人々のスピリットを感じますけど
今回は事情が事情なだけにしみじみ感じてしまったな…。

シルクロードのど真ん中にあって「文明の十字路」とも言われたアフガニスタンは
洋の東西を問わず人々や物、文化が集まる土地だったようで
展示品のモチーフはエジプトやギリシャの神々、ブッダ、羊、象、馬、ドラゴンにイルカまで多種多様。
アレキサンダー大王によってつくられた都市アイ・ハヌム(月の女性の意)の文化財は
ヘラクレス立像やヘルメス柱像などギリシャ風のモチーフが多いですが、
キュベーレ女神円盤はトルコの神キュベーレ、ギリシャの神ニケとヘリオス、西アジア風の神官、
ペルシャ風の馬車がひとつの円盤に集合しているオリエントっぽさ全開の作品。
瓦の端飾はその名のとおり屋根瓦の装飾品で
ヤシの葉や天使の翼などがデザインされた飾りはどんな建物に設置されていたのかな…。
石でつくられた日時計は照明がちょっとずつ動いて使い方が想像できるような展示になってました。
仮面付樋口は人の顔なんですが、よくあるライオンや真実の口みたいなかっこいい系というよりは
大酒でも飲みそうな雰囲気のおっちゃん顔でした…これが「くぱぁ」ってやつか(違)。

ティリヤ・テペ(黄金の丘の意)の遊牧民の王族の墓から発掘された黄金の副葬品の数々。
耳飾りや首飾り、指輪、飾板、足輪、冠、刀剣、コインに至るまで
すべてが黄金と宝石で彩られていて展示室がピカピカまぶしかった。
古代エジプト展に行ったときもエジプトのお墓の副葬品に驚いたものですが
アフガニスタンも女性4人と男性1人のお墓からこれだけのものが出てくるという驚き。
ハート型耳飾りかわいい~~この頃からハート型アクセサリーってあったんですね。
黄金の靴底の大きさが現代女性とあまり変わらなかったりするのもおもしろい。
冠は飾りがジャラジャラついてるけど分解して運べるというのは遊牧民の持ち物って感じ。
牡羊像はチラシで見たときは大きいのかなと思っていましたが、
実物は5センチの小さな小さなムフロンでした。頭にもりっとついた2本の角が強そう。
ドラゴン人物文ペンダントは2匹のドラゴンを従えた姿の遊牧民があしらわれていて
名前はペンダントですが実際は冠を飾っていたのではないかとのこと、
ドラゴンの瞳や鱗にトルコ石やラピスラズリが使われていて権力の象徴のよう。
メダイヨン付腰帯は豹に乗ったデュオニソス(と思われる)9つの立体メダイヨンがあしらわれたベルトで
金でできているためすごく重たそうですが、見た目ほど重くないんだそうで。
帯の部分は糸のように細くした金を編み込んであるそうです…どんな技術ですか…!
中国風の靴留金具は男性が乗っている戦車の一部のデザインがどう見ても竹で
この金具を作った職人はどこで竹を見たんだろうとか想像してしまった(アフガニスタンに竹はない)。
女神アテナのスタンプ印章がついた指輪は実際にスタンプとして使われることはあったんだろうか、
隣に紫水晶の指輪がありまして大きなアメジストが埋め込まれた金地に琥珀、トルコ石、ラピスラズリ。
美しすぎて見とれた…特にアメジストのあのゼリーみたいな輝きは何なのだ。ほしい←

ベグラムの都からは象牙やガラス製品が多く来日しています。
エジプトの技法で作られた脚付彩絵杯はナツメヤシの収穫の図が描かれているガラス杯ですが
色がくっきり残っていて(遺跡の入口がレンガで密封され奇跡的に風化を免れたらしい)、
最近作られたとか言われたら信じちゃうかもしれないレベル。
魚形フラスコも2000年前のガラスだなんて思えないくらいきちんと形が残ってて
目がテンテンとついてておちょぼ口もかわいい^^
把手付鉢は両手持ちのカンタロスという杯で、ガラスかと思ったら水晶の丸彫りだそうで
こんなでっかい水晶を彫っちゃったこともびっくりだし装飾の一部に金が使われてるのもびっくり、
ディオニュソスが使うといわれる杯はやっぱり一味違うぜ…!
象牙でつくられた象形家具脚部は何かの家具に使われていたようですがモデルはインド象とか。
レオグリフ形腕木(まるっと象牙)は椅子のひじかけを支える部分に彫刻をほどこしたもので
背にヤクシーとヤクシャを乗せたレオグリフをインドの怪魚マカラが一口に食べようと大口を開けていて
こんなところまで装飾していた古代人やばい。
アクアリウムとも呼ばれる魚装飾付円形盤は中央のメドゥーサを魚たちがぐるりと囲んでいる青銅板で
(メドゥーサはポセイドンの愛人でもある)、
九博の学芸員さんたちが再現してくれたレプリカが隣にあって実際に動かしてみることができます。
円盤の下に小さい無数の分銅が設置され、左右に振ると魚たちの尾ヒレや背ヒレがひらひら動きます!
ちなみに本物を展示ケースに入れる際にも分銅はヒラヒラ動いたとのこと。
同じく青銅製の騎馬人物像は馬に乗った体勢の2人の人物のみで馬は見つかっていないらしく
プラスチックの馬に乗せて展示されていました。
あまりに生き生きしたゴール人の彫刻で、久しぶりに馬に乗った気分はどう?と聞いてみたくなった。

博物館から国外に持ち出された「流出文化財」の展示もありました。
(今回の展覧会の後、アフガニスタンに返還されることになっているそうです)
ゼウス神像左足断片は、左足の指先から甲の真ん中くらいまでが残っていて
サンダルに雷霆模様がほどこされていることからゼウスの像であることがわかっているとか。
推定では4~5メートルはあった像ではないか、とのことらしい。
カーシャパ兄弟の仏礼拝は上下2段の浮彫作品で
下に釈迦、上に弥勒菩薩を中心に祈る人々が表現されています。
かつてアフガニスタン博物館の正面に展示されていたそうですが、いつの間にか流出し
どうやってかわかりませんが日本で保存されていたらしい。
焔肩仏坐像は両肩に炎を燃やしている釈迦の彫刻、こんなアツイ釈迦初めて見たよ!不動明王みたい。
平山郁夫氏が生前行っていた文化財保護活動についても紹介されていました。
氏は流出文化財を「難民」と呼んでいたそうな。

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「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」
再開されたアフガニスタン国立博物館に掲げられている言葉が表慶館の入口にもありました。
かっこいい。
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2016-06-12 (Sun)
吉川弘文館の現代語訳『小右記』を読み始めました。
このブログでもたびたび書いている藤原実資(957~1046)がつけていた日記です。
タイトルの由来は「小野宮の右大臣が書いた日記」ということで「小右記」。
(小野宮は烏丸にある、滋賀の小野に隠棲した惟喬親王の邸があった土地で
実資の祖父実頼がそこに住むようになり一族が小野宮家と呼ばれるようになって
実資も小野宮の右大臣と呼ばれたわけです)
小右記は当時の世の中を知る貴重な資料であるとともに、実資の意見や感慨もぽつぽつ書いてあって
平安時代ファンと実資ファンとしては2度おいしいのですが、
注釈つきの本がいくつか出版されてはいるけどわたしの知る限り現代語訳は初めてで
刊行に踏み切ってくれた吉川弘文館さんには感謝の言葉もありません!
だってこれで実資の日記がスラスラ読めるんだもの!!
少しでも本人に近づきたいなら原文を読むのが一番ではありますが、
ドナルド・キーン氏が折に触れておっしゃる「古典に親しむには現代語訳を読めばいいのです」のおことばが
本当に胸にしみる。

現代語訳は全16巻の予定だそうで、現在1~2巻が刊行済み。
1巻の書き出しは977年3月、実資は20歳の青年でした。
20歳ってことは高梨沙羅さんや橋本愛さんや玉井詩織さん、ポケモン赤緑と同い年で
えっこの時つまりかみっきーや羽生くんやエマ・ワトソンより年下なんだ!ひえぇ~。
当たり前ですが歴史上の人物にも青少年だった頃があると思うと胸熱です。
そして右大臣まであと44年。

基本的にはその日に仕事先で見聞きした出来事と、実資の行動についての記述がほとんどで
朝廷の儀式、貴族の冠婚葬祭、年中行事や徐目などの公式イベントについての記録は
前日までの準備から当日のプログラムまで細かく書いてあって、
こういう風に進められていたんだなあと。
時々「いかがなものか」「奇妙な出来事である」「知らんがな」「前例ないけどどうかな」
などなど、その日のつぶやきみたいな言葉も見られてクスッと笑うことも^^
よく見られる記述として2~3日に1回は穢・物忌み・修法イベントが発生していることと
(内裏に牛が乗りつけたとか犬の死骸があったとかで陰陽師がしょっちゅう呼ばれて
占ったり祓ったりして安全を確かめたりしている)、
月一くらいの頻度で清水寺に詣でていること。
982年3月18日には沐浴の後、馬に騎って行ったと書いてありまして
清水さんにお参りする25歳の青年実資を妄想するとなかなか楽しいです。
行った日だけでなく行かなかった日も「参らなかった」と書いてるから相当気にしていた様子。
あと、室町にお姉さんが住んでいたらしく時々相談事を持ち込んでいて
仲の良さそうな雰囲気もあります。
(少し後のことですが、お姉さんが亡くなったとき実資は服喪のため仕事を休もうとして不受理になっている)


以下、個人的におもしろかった箇所を適当にメモしてみます。

982年1月17日。
射遺に参議(藤原佐理)を召すように奏上があって蔵人(藤原宣孝)に伝えて帰宅した記録。
(このとき実資は右少将や蔵人頭を兼務している)
三跡の佐理に、紫式部の夫の宣孝!
実資25歳、佐理38歳、宣孝は生年不明ですが実資と同年代じゃなかったか…紫式部はまだ子どものはず。
ちなみに次の日、佐理はちゃんと射遺所に参入しました。
この4ヶ月後に申文帖(藤原頼忠への長文詫び状)を書いていると思うと訳もなく楽しくなってくる。

984年10月19日、武蔵秩父駒牽。
ちょっと武蔵国民としては注目せざるを得なかった^^
駒牽というのは東国4国にある勅旨牧から献上される馬を天皇が見る儀式で
この日は秩父からの馬が来ていたようです。
上野や甲斐にも勅旨牧があったみたいでこの前後も何日か連続して行われています。

986年6月には花山天皇の退位騒動があったはずですが
それらしい記述がほとんどなくて(というか986年は記事がものすごく少ない)、
実資が書いていないのか散逸してしまったのか…。
前年7月に天皇の女御だった藤原忯子が亡くなった記事は細かく書いてあるし
筆まめな本人のことを考えると後者かもしれない。
(現存する小右記は他にも983年の記事が丸ごとなかったり、年によって記事が多かったり少なかったりする)
12月にすうっ…と一条天皇の読書始めについて書かれていて
ああ天皇代わってもう半年経ってすでに日常になってるな、と思った。
990年1月に11歳の一条天皇が笛を吹く姿を眺める33歳の実資やばし。

988年閏5月9日、藤原保輔の強盗露見。6月14日に追補宣旨。
で、出たー!保輔!(゚Д゚)
北花園寺にて保輔が剃髪出家した通報を受けて検非違使が駆けつけたとき、
彼はすでに逃亡した後で出家のため切り捨てた髪と衣と指貫だけが残っていたっていう話に
ドラマかよ!って突っ込んだ学生時代の思い出(笑)。
実資は書いてませんが、このとき保輔の父藤原致忠が簾のない車に乗せられて監視される事態になって
致忠も保輔を見つけ次第差し出すっていう請文を提出してるんですが、
それでも本人が出てこないので朝廷は捕らえた者に歓賞を与えるという宣旨を出してるんですね。
直後に保輔の出家がわかって、4日後に彼は足羽忠信の邸を訪ねたところを捕まって
次の日獄死しちゃうんですけど。
藤原保輔を知ったのは杉本苑子さんの小説『散華』ですが
わたしがアウトロー好きということもあるんですけど、すごくわたし好みなセンチメンタルヤクザ男子になってて
そこから史実調べたりするうちにいつの間にかハマった人物だったりします。
あと彼の一族は曲者が多すぎる(元方とか陳忠とか保昌とか)。

989年1月23日、藤原兼家が雑談のさなかに出家の本意について実資たちに語ったそうですが
語りながら泣いていたそうで、実資は「宿願を催したてまつったのか」と書いています。
このとき兼家は還暦を迎えていて、実資は32歳。
青年が壮年期に入りそろそろ年齢や人生について考え始めたのではないかな…。
(ちなみに年末に太政大臣になりますけどね兼家)
また、2月11日に尊勝法・泰山府君祭があり御祭について安倍晴明が行っています。
晴明も儀式の日時を勘伸したり吉日を調べたりと、たびたび小右記に名前が出てきまして
御祭のときは68歳。
あと、985年4月25日に藤原為時、987年6月6日に藤原為頼、989年6月21日に藤原伊祐の名前があって
うおお~~紫式部のパパと伯父さんと従兄くんではないか!と興奮ひとしきり。

990年7月に実資は長女を亡くしていて
(毎日祈祷したり穢に気をつけたり栄養のある食事を用意したり
仏師を10人あつめて長女の等身大不動尊(フルカラー彩色)を作らせたり色々していた)、
「悲嘆・泣血」「悲慟に耐えない」「心神不覚」など悲しい記述が続くのですが
17日の初七日に「諷誦を珍皇寺で修した」の記述に一瞬、いろんなものが頭から全部吹っ飛びました。
六道珍皇寺じゃないすか!!( Ꙩ௰ꙩ )
長女の遺体は東山に置かれたとのことで(当時東山や鳥部野辺りは風葬墓地だった)、
東山のお寺で法事が行われるのはまあ当然ですが、まさか珍皇寺とは。
もしかしなくても小野篁のこと聞いてたり知ってたのかなああぁぁ実資、ありがとうございます(混乱)。
また8月3日には紫宸殿に異鳥が飛んできたとあって
カワセミのような姿形をしたそれは「水乞鳥(アカショウビン)」ではないかと物議をかもし、
次の日にどこへともなく飛び去って行ったそうで…
その鳥がそうだったかはともかく、アカショウビンがこの頃から日本にいたことにびっくりしたし
その時行われた占いが「病気や火事があるかも」という結果だったらしいのもびっくりした。
あと989年10月に着裳の儀を行った藤原定子が
1年後の990年10月に皇后になったときは「きたきた~~」ってテンション上がりました☆
実資は立后の儀式を記録しまくって(誰がいつ来て何をして退出したっていうのを数十人ぶん書いてる)、
定子や一条天皇については全然書いてないんだけど。

食べ物に関する描写もありまして、
985年6月18日に子どもの五十日の儀でお餅を準備したり
990年10月21日は亥の日なので尚侍の藤原綏子が亥子餅を用意していたり
993年7月28日に公卿たちに甘瓜が下賜されたり。
(饗応の記録もたくさんあるけど実資たんお酒のことしか書いてない)
あと食べ物関係というか、990年11月16日に実資は左大臣の話を聞きに行くはずが
二日酔いがひどくて行けなかったとか、
993年4月18日に風脚病(痛風)のため呵梨勒丸(正倉院にもある香薬)を飲んだとか
病気の治療が加持祈祷だけではなかったことも裏付けられますな。
ちなみに呵梨勒丸は医心坊(984年の医学書)にも書いてあって風病に効くとされていたものです。
(風病はすきま風のように人の体に入って頭痛や発熱を引き起こす邪気、つまり風邪のことで
呵梨勒丸はそれを撃退すると考えられていたそうな)

993年6月25日、菅丞相に贈位・贈官。
903年に亡くなった菅原道真に正一位左大臣と太政大臣が贈られたわけで、没後90年ですな。
実資のメモは「託宣によって行われるものである、ということだ」で、
翌7月5日の記事に外記多米国定が書いた贈位・贈官の儀式についての日記の一部を転写しています。
太宰府天満宮への勅使は菅原幹正、道真のひ孫にあたる人ですな。

藤原道長と藤原伊周の記述がぐっと増えた995年(実資38歳)の記事で2巻が終わっています。
とうとうあの騒動に向かっていくのだな…。
そして賢人右府まであと26年。

999年9月に一条天皇が猫のために行った産養の儀を「奇怪」って言っちゃったりとか(嗚呼)、
1018年5月に殿上が暑すぎて氷水を飲んだとか(真夏ですからね)、
同年10月の宴会で道長の望月歌をうっかり書いちゃったとか(お蔭で現代まで伝わりました)、
1019年のお正月に養子の資平が藤原彰子を訪問したら為時女が取り次いだとか
(お蔭で紫式部がこの頃まで生きていたと現代人は知ることができています)、
はやくその辺りも読んでみたいものだ。

…とか楽しんでたら国立公文書館さんが小右記の画像をツイートしてた、何というタイムリーな。
982年1月1日の画像ですから円融天皇の物忌みがあった日で
公卿は本来慶賀を奏上するのにしなかった、旧事を知らんのかと正月早々文句言ってる記事です。
このとき実資たん26歳。
今日は日記の日でしたか…入唐求法巡礼行記、土佐、紫式部、更級、
アンネやオルコットの日記あたりをまた読みたい。
そして…いつかどなたか出してください明月記の全現代語訳を~~!(他力本願)
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2016-06-08 (Wed)
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寝てる~~って思ってカメラ向けたら寝てなかった件。
何度も騙されているのにすっかり忘れて今回も騙されました。ぐぬぬ。だがかわいい。

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外で遊んできて人の膝に乗ってくたーっと寝る日々です。
順番待ちで並んでいる子がいますが気にしないのです。彼女は女王様ですから。


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先日、歌舞伎座の観劇の前に日本橋三越の猫フェスティバルへ再訪しまして
前回買いそびれた青柳正家のねこ和菓子ゲットしてきました!!
写真は上から撮影してるのでちょっとよくわかりにくいですが
茶と黒の三毛猫模様のにゃんこが丸まって寝てる様子をお菓子にしたものです。
甘楽のさくらんぼ大福もゲット、さくらんぼが丸ごと入ってて甘くてもっちりもちもち、おいしかった☆

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ねこ和菓子の正面。これだけでも充分かわいいんですが、

waganeko5.jpg
ほぼ一致。
売り場で和菓子を見たとたん娘にゃんこのミケ模様が脳内をよぎって買わざるを得ませんでした、
これはうちの子、そして全国の茶黒ミケ猫様たちのためのお菓子なのだ。

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運動がてら日本橋から歩いて銀座熊本館にも。
初めて行きましたが1階が熊本商品売り場、2階がくまモングッズ売り場になっています。
ショーウインドウに巨大くまモンがいてあらあら素敵ね~と寄ってみたら
お店の張り紙に熊本産商品はデパートやスーパーでも販売しているので買ってください、
大分と東北のことも忘れないでください…との熱いメッセージがあった。

ginkuma2.jpg
ポチポチお買い物。おつりは募金箱に入れてきました。
デコポンゼリーがつるんとしてめっちゃおいしかったのでもう1個買ってくればよかった…
次回はもう少しお財布に中味つっこんでいこう。


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また別の日に行った足利市のうさぎやさん。
足利学校の近くにあって着物や小物を売っているお店なのですが
週末になると和菓子が入荷するというのを最近知って、車をとばして行ってみました。

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縁側に碁盤と碁石が置いてあるお店^^

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うさぎマカロン!通称「うさろん」!!
月に1度の「う・サロンの日」だけ特別に入荷されるお菓子だそうです。
中味には和製グレープフルーツともいわれる晩柑が果肉ごと入っていて
甘酸っぱい香りと味でジャムつきマカロンをいただいてる気分になりました。
味が毎回変わるらしいのでまたタイミングが合えば買いに行きたい。

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和菓子もゲットしたよ~。
この前ことりっぷで見た記事に「銘仙着物の柄をイメージした和菓子」ということで紹介されていた
市松模様の「カクカク」と、矢絣模様の「矢羽根」。
着物の柄の和菓子なんて初めて☆

本当は3種類あって、縞模様のシマシマがこの日は早々に売り切れてしまったとのこと。
店員さんにお尋ねしたところ予約をすれば3種類お取り置きしておきますよ~とのことなので
次回は予約して再訪するべきかもしれない、
しかもお店の顔本見てたら4つめが鋭意制作中らしくて、
もしレギュラー販売が決まれば4種類のお菓子を一度にゲットして並べてみたいし
あわよくば着物姿でいただきたい。
あと季節の生菓子も時々あるらしくてもーー沼の予感しかしない!

最近本当に和菓子店開拓が楽しくなってきました……
季節も景色も動植物も民族衣装も表現できてしまうお菓子をわたしは他に知らない、
いいお店ご存知の方いらっしゃいましたら教えてくださいまし~。
関東じゃなくてもぜひ、現地へ旅行したとき寄りたいと思いますので!
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2016-06-04 (Sat)
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歌舞伎座「六月大歌舞伎」第三部を観てきました☆
今月は三部制になってまして、一~三部まで通しで義経千本桜なのですが
最後の第三部にて猿之助さんが演じる狐忠信が宙乗りをするということで何が何でも行きたかったし
(狐忠信は3年前に1度見ていますが劇場の都合で宙乗りはなかったのだ)、
先月の春秋座にて「行きます」とご本人に面と向かってお伝えしたし、
約束を果たしに行く目的もあったので早いうちに行きたかったのでした。

さて、今日のお席はといいますと。
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ふふふ…(ここが一番の近道)

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じゃん!!
歌舞伎座初、というか人生初、1列目ほぼ中央にて観劇が叶いました☆
これまでは非常の人の2列目が最前記録だったのですが、ついに最前列になったよ~。
おおおここが伝説のかぶりつき席というやつか…!
首が痛いことになったけど前に人いない、足投げ出しても大丈夫、役者さん近くてオペラグラスいらない、
足音や衣擦れの響きやばい、附け打ちさんの音が爆音なみにビンビン聞こえる!
定式幕をこんなに間近に感じたのは初めてです。ヒャーハー!戻りチケットばんざい。

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3階席を見上げると既に鳥屋がセットされて、舞台からワイヤーが伸びていました。
おキツネちゃんが飛んでいく道だあ。

あと、今回はイヤホンガイドをあえて借りませんでした。
ストーリーは知ってるしお芝居に集中する日があってもいいなと思って。


柝が鳴って、まずは「道行初音旅」。こちらは初めて見る演目でした。
源氏に追われて義経とはぐれてしまった静御前が、義経が吉野山にいるという話を聞いて
家来の佐藤忠信(実は狐ちゃんが化けてる)を連れて旅をするというあらすじ。
舞踊劇なので踊りがたっぷり見られます!
幕が開くと浅黄幕が引かれていて、隙間から桜の花がチラチラ見え隠れしていて
上手に清元連中の三味線と謡が響きわたります。かっこいい~。
浅黄幕が切って落とされると、満開の吉野桜をバックに笠と杖を手にした旅姿の静御前が登場!
染五郎さんの静はエレガントで気品がありました。
旅姿をといて初音の鼓を打つお姿は指先まで優雅な佇まい、マジで好きになりそうだった…
そういえばわたし染さんの女形見るの初めてかもしれない!おおお(゚Д゚*)☆

お供の忠信は初音鼓を打つと必ず現れるので、静がポンポンと打つと
スッポンから忠信が登場!
この時点でもう人間じゃないよね(スッポンから出入りするのは人以外の生き物や妖怪、幽霊などです)。
「姿が見えなかったわね」と言われ「すみません、遅くなりました」と忠信は恐縮し、
静と一緒に男雛女雛みたいなポーズ(義経と静のつもり)とったりして舞うのですが、
時々ふいに狐手になったりヒョコヒョコ跳ねたりするので静にいぶかしがられます。
本性をおさえ切れてない^^
義経のことが大好きな2人は義経と一緒にいる雰囲気を味わおうと
近くにあった切り株に着長(大鎧)を置いて、静が鼓を上に乗せると(顔に見立てるわけですな)
まるでそこに義経がいるように見えるということで
2人の舞もどこか切ない感じでありました。
やがて静は屋島の合戦についての話を求めまして、
忠信は佐藤継信(忠信の兄)が義経をかばって矢に当たり戦死したことをジェスチャーつきで語ります。
開いた扇子で鎧の吹返を、閉じた扇子を胸に当てて刺さった矢を表現したりと
扇子が大活躍する語りでした。
また、この語りの部分から竹本連中が加わってかけあいの迫力が2倍になって
わたし1部観てないけど戦のすさまじさが再現されたような感じがした…もはや源平合戦。

そこへ猿弥さん演じる逸見藤太なる追手が部下を連れて花道からご登場。
敵役ですが、「腹が減っては戦はできぬ、そこらに茶屋があったら行きたいなー」とか言って
部下たちが先に進もうとしても花道を戻っちゃったりして
全然強そうに見えないのでピエロなのかもしれない^^
(藤太のたっつけ袴はワンピース歌舞伎でバギーも穿いてたね、道化役だからかな)
逆に部下たちはそんな上司に「じゃあオレたち先に行きますから」とか言っちゃうし
桜の枝(武器らしい)を持って着物の裾をたくし上げて動きやすそう、殺る気満々って感じ。
何とか舞台へやって来て忠信と静を見つけますが、ここ猿弥さんの言葉遊びがキレッキレで
「誰かと思えば1部と2部に引き続きのコンビ」(猿之助と染さんは今月は1部~3部通しで出演中)
「初の宙乗りの猿之助」「桜に染まる染五郎」とかたたみかけるように遊んでて
最後に「問うた、問うたーーー」と、自分のお役名の藤太に掛けてるのが見事でした!
染さんの口元が完全に笑っちゃってるの微笑ましかったし、
その隣で全力無表情管理の猿之助さんも面白すぎました(笑)あそこ見どころです。

忠信と藤太たちのバトルは忠信の圧勝に終わりますが(こっそり狐妖術使ってるしね)、
部下さんたちの飛んだり跳ねたりくるりと回って伏せたりのアクション超かっこよかった~!
藤太もクルクル翻弄されて、さっきまで静が持っていた笠と杖を舞台袖から持ってきて
静にナイスバトンタッチしてておもしろかった(笑)。
敵も静も去っていった舞台にポツンと残った忠信のもとに、1匹の黄色い蝶がひらひら飛んできて
忠信は目で追いかけて、そのうち我慢できなくなったのか狐手になって追いかけ始めて
スーッと花道に移動するのに合わせて黒子さんが2人も同じ動きでスーッと猿之助に近づいていったから
えっ何かある?と思ったら、ぶっ返りで狐火の衣装に早変わりして狐忠信の正体現した!!
すごいすごい感動のサプライズ、引っ込みも狐六法が鮮やかでした~。

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静と狐の去った後に落ちていた桜の花びら。
この後あっという間に定式幕の中へお掃除されてしまいました。

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今日のお弁当。すっかり気に入った手まり寿司です。


休憩を挟んで義経千本桜クライマックス川連法眼館の場、通称「四の切」始まりました~☆
もう幕が開いたところから御殿の階段や天井の戸袋に切り込みが入ってるのが目についてしまって
おキツネちゃん天井から来る気満々じゃん!と楽しみが倍増。
知らずに演目を見るのもいいけど、知ってると楽しめるのもお芝居の魅力ですな。
川連法眼と妻の飛鳥のやりとりは寿猿さんと吉弥さんの貫禄あるお芝居、
寿猿さんの声はひと固まりになって飛んでくる感じがする…元気玉キャッチするみたいな気分。

門之助さんの義経が「オレお前に静のこと預けたよね?鎧も名前もあげたよね??」と聞くと
忠信は「え、オレこの間まで破傷風で休暇もらってましたけど」ということになり
詮議のために亀井六郎と伊勢三郎が奥書院へ連行していくのですが
みっくんの亀井はむっちゃ声割れてたけど、地響き並みに劇場内に轟いていたし
マッティの伊勢はすっきりと上品な若武者っぽくてイケメンでした^^
笑也さんの静御前……道行の染さん静はひたすらエレガントでしたが
笑也さんの静は所作が丁寧だし小刀(義経からもらったもの)をキリっと振りかざすポーズも様になってるし
優雅さに強さと凛々しさが加わって、もうこの人ひとりで生きていけそうと思った。
ついていきます静さま!!
背が高くていらっしゃる笑也さんが武のお姫様を演じるとかっこよすぎてたまらん。
場面転換で出てくる6人の腰元さんの中に徳松さんと笑野さんがいらしてニッコリしちゃった(^ω^)ママー

狐忠信が出てくるシーンは3年前の後悔があるので
絶対に花道からの声には釣られないぞ!と観劇の1週間くらい前から決めてまして
静御前が鼓をポポポポンと軽やかに打ち始めた頃から黒階段を凝視していたら
(見逃すまいと緊張しすぎて心臓バクバクして変な汗までかいてた)、
「出があるよ!」の声と同時に階段上に猿之助さんが鮮やかに登場ーー!うおおお大拍手!!\(^o^)/
本当に一瞬だった、感無量です3年待った甲斐があったというものです…
来てよかった見られてよかった本当によかった。
あと、今回初めて気づいたんですけど狐忠信が出てくる直前に薄ドロが鳴って
階段から出現するとき大ドロが鳴るんですね!
四の切は劇場やテレビで何度か見ているため余裕があって、音に耳が向いたのだと思いますが
こういうのが楽しみでお芝居見ることもあります。

おキツネちゃんの身体能力とかわいさがすごかりし由良之助なのは知ってた、けど、
それらが進化してたのは知らなかった!!
猿之助さんは年齢と上演回数を重ねるたびに狐になっていく感じがして
わたしたちに見えないだけで黄色い尻尾ついてんじゃないかって気がする。
鼓の音に耳をすませ、音に合わせて頷いたりうれしそうにピョンピョン跳んだり階段を一段ずつ下りたり
「鼓の子に~~~~~……………ゴザイマスッ」とか、語尾がこうなるたび、
というか狐忠信が何かするたびに笑いが起きまくってて
お客さんたちが楽しんでいるのが背中からすごくわかったし、
鼓を返してもらって喜びまくるキツネちゃんがはしゃぎまくってるシーンで額からキラって何か飛んで
それが大量の汗と気づいたときのわたしの気持ちを想像してくださいよ、
こんなにこんなに楽しませるために動いてくれてもう……拝みたくなりました。
追手の6人の荒法師たちによるとんぼ返りや馬跳びやダンスも楽しかったし
(さすがにエグザイルはやらなかったです、巡業でやったのはサービスだったのかな)
彼らの薙刀が舞台からせり出してブルンブルン振られるので客席に飛んできそうな迫力でした、
空気が切り裂かれて動くのがわかるんだよ!1列目やばし。

そして3年前は劇場の都合で見られなかった宙乗りをやっとナマで拝見。
スッポンの手前、わたしのほぼ真横延長線上にて荒法師たちの手でワイヤーに吊られたキツネちゃんは
天使のようにフワリと宙に舞い上がったよ!
さあ幸せな時間の始まりだ!!
(このとき2階と3階の提灯がパーッと灯って劇場が明るくなったの素敵だった、
和風の昇天とかあったらこんなかなあ)
見得を切ってワイヤーをみょーんみょーんと揺らしまくりながら楽しげに宙を翔けていく様子を
竹本葵太夫さんが「爆翔」と表現していたけど、ほんとまさに爆翔だった。
さっきまでのお芝居もすごかったけど宙乗りはそれらを軽々と超えて全部もっていってしまった、まじ天使☆
(一瞬だけ手拍子が起きたけど自然現象だったみたいでその後はずっと拍手になってました、
猿之助さんがリズムを取り戻させたのかもしれない)
3階席では拍手の音が速かったり手を振る人がいたりお祭騒ぎのようなお出迎え、
鳥屋が開いて桜吹雪がワーッと降り注いだときはワーッと歓声が起きました。
道行に続いて桜舞い散る幕切れ!
おキツネちゃんは花びらと幸せを振りまきながら鳥屋へ引っ込んでゆきましたよ。バリかわ。

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狐が飛び去った後に落ちているのも桜の花びら。
床だけでなく花道や座席の背もたれ、お客さんの頭などにもちらほら。
お着物で結いあげた方の髪に花びらがはらりとかかっているのは大変すばらしい眺めでした←

そういえば、わたし3年前は義経や静の衣装が鎌倉風でないのが気になったり
義経こんなにのんびりしてないよなとか思ったりしてたんですが、
今回猿之助さんと笑也さんが素敵すぎてそんなこと全然考えなくなってて
だいぶ歌舞伎のカラーに慣れてきたかな?
あと、初音の鼓の音は染さんも笑也さんも吹き替えでしたけど
タイミングがばっちり合っていたのもすばらしいと思いました。裏方さんの底力。

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七月大歌舞伎と八月納涼歌舞伎の演目も発表されてたよ~。
猿之助さんは今月から3か月連続、歌舞伎座で奮闘するようですが
7月の流星で宙乗りするのはともかく(宙乗りも3か月連続です)、
8月のやじきた道中の「お伊勢参りなのにラスベガス」ってなんぞ!
今月も一緒の染さんと2人で宙を飛ぶようです、楽しみ☆

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拾ってきちゃった。右が道行、左が四の切に舞い散っていた花びらです。
素材と色がちょっと違っていました。
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