
川越市立美術館の猫まみれ展を見てきました(ФωФ)。
猫に関する美術品のコレクター・招き猫亭小銀氏が40年かけて収集したコレクションの展示で
錦絵、彫刻、油絵、日本画、エッチング、コラージュ、スケッチまでたくさんの猫たちに会えました。
夕方に駆け込んだら展示室の壁と床に猫アートがみっしり並んでいて、鑑賞者もほどほどでしたので
展示室のあっちこっちを行ったり来たりしながら
好みの猫を探したり、気になる猫を見に戻ったり、思いもよらぬ作品に感動したりウロウロしてきました。
好きなところへ好きなように好きな時間だけいる…なんだか猫みたいな行動だ(ФωФ)。
入口で出迎えてくれたのは写真↑のチラシにもいる白猫ちゃんで
高橋弘明「ジャパニーズ・ボブテイル」という版画作品です(ФωФ)。
歌川国芳の描く猫もそうだけど、日本猫は尻尾が短いのが特徴なのよね。
錦絵の展示は国芳がやっぱり一番多くて、どれも愉快な内容でした。
擬人化した猫、怪談の猫、芝居の猫、女性のそばにいる猫など
フィクションからリアルまで様々な猫の姿を追求した絵師だなあと改めて思いました。
国芳の弟子だった河鍋暁斎の「戯画」は七福神の宴会などにいる猫の図で
大黒天がネズミを猫にとられてアワアワしてるのとか描いてるけど(ネズミは大黒天の御使いですね)、
掛軸の「猫」は白猫がつんとおすましした雰囲気で背中向けてちょこんと座ってて
あれは普段から猫を観察していないと描けないと思いました。
こういう絵も描けるから暁斎は本当ずるいな~~ギャップ萌えたまんない。
小林清親の「猫と提灯」は
3年前にも見たから久し振りの再会、
提灯にちょっかい出してる猫ちゃんほんとにリアルでかわいいです。
尾形月耕の「鼠 陸州黒石常教寺の猫」は猫vs鼠のバトルで迫力ありますが
それよりも右上に書き込まれた随筆の挿絵にある机の脚が猫足でしかもめっちゃリアル!
揚州周延の「二品親王女三宮」は柏木が女三宮を垣間見る例のシーン。
歌川広重の「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」で窓辺にちょこんと丸まってる猫いつ見てもかわいい。
竹久夢二の「黒猫を抱く女」有名なアレだ…あとこの人猫の豆本も作ってたらしくて
それもかわいかったです(ФωФ)。
3年前に
まるごと猫展でも見た新田猫絵が今回は6点も展示されててびびった(ФωФ)。
養蚕が盛んだった上野国の岩松氏の殿様4代がネズミ除けの猫絵を描いて藩の収入としていた話は有名ですが
こんなにいっぱい見られるとは思いませんでした。
浮世絵と同じで消耗品だったので現存数が少ないのだよね。
水墨画で首輪だけが赤くて、太いラインで一気に描いたような筆致が生き生きしてて
どのお猫さまもかわいいです。
何より殿様が描いてたっていうのがいいよね(ФωФ)。
テオフィル・アレクサンドラ・スタンラン「猫と少女」は素描集『猫』の表紙で、
小銀氏が猫コレクションを収集するきっかけになった絵だそう(ФωФ)。
ご飯を入れたタライを持った少女(スタンランの娘コレットがモデル)のスカートに群がる猫たちが
とても生き生きと描かれていて、ニャーニャーおねだりする声が聞こえてくるようでした。
(スタンランは猫を多頭飼いしていたらしい)
同じくスタンランが猫を単体で描いた絵は手すりやクッションの上でご満悦の様子で
金色の目は虎や豹のようにするどくて、猫は小さい虎だなあと思い出させてくれた。
『アンリエット・ロナーの猫と子猫』はアンリエット・ロナー=ニップの猫画集で
ページは開かれてないけど表紙の猫がもうかわいい。
彼女は猫の絵を他にもい~~っぱい描いているそうで、いいなあいつかまとめて見てみたい。
シャガールの「猫と2羽のスズメ」はラ・フォンテーヌの寓話からとっていて
ダークな色彩の中で猫がネズミをむしゃっと捕まえていた。
オーブリー・ビアズリーの黒猫はエドガー・アラン・ポーの小説『黒猫』の挿絵で
片目を奪われた猫のすさまじさが伝わってくる。
レオノール・フィニ「飛ぶ魔女」はほうきで飛んでいる魔女の背中に猫がゆったり乗っかっていて
主はわたしであると言わんばかりのかっこよさ、
未完成の絵なのか試し書きや下書きみたいなのがいくつか残ったままでした。
藤田嗣治は「猫十態」からいくつか展示されてて、どれも猫の周囲にうっすら光環のようなものが描いてあって
まるで発光しているかのような美しさ。
生涯で20匹以上の猫と暮らしたアンディ・ウォーホルの「Sam」は
ウォーホルが描く猫たちの中で最も多くの作品に登場する猫ですね。
ほんとに好きだったんだろうなあ…どんな猫だったのかな。
フジ子・ヘミングの「猫十態(ソニア)」はちょっと不意打ちだった、ヘミングさん絵も描くのか~(ФωФ)。
籔内佐斗司「猫も歩けば」は猫が一歩一歩あるく姿を4パターンの彫刻で表現した立体作品で
床に展示してあったのでしゃがみこんで猫の視点で鑑賞(ФωФ)。
「尻上がり寧子」も首にリボンが結んであってかわいい。
小泉淳作「猫」の目がすごく人間ぽくてこういう人の顔どこかで見たな…としばし考えたけどわからなかった。
横尾忠則「日の本の猫」はこれは…ポスターなのかな…?
真っ赤な日の出と鳥居をバックに陶器の招き猫と国芳の猫がコラージュされていて
招福ならぬ「招猫」の筆文字が勇ましい。
靉嘔の猫たちは虹色というか色見本帳みたいな配色で強烈なインパクトがあって
特に「怒」の猫の顔は額から耳にかけての赤が強烈だった。
蔡國華「ある日心地良い」は腰かける女性の傍らにぽってり猫ちゃんが気持ちよさそうに寝てるし
「孤高」はお尻を向けた猫が振り向いたときの一瞬をとらえていて
そうそう猫ってこういう顔や目をする…って思った。
西誠人「伸太郎」が前足を伸び~~ってしてる猫の立体作品で
気持ちよさそうな表情や筋肉の動きまでリアルで一瞬後には動き出すんじゃないかと錯覚したし
「燐太郎」は腰を低くして歩く猫の姿で、ハンティングにでも出かけるような気配があった。
弘屋光渓「アルチンボルドに捧ぐ五題のうち 猫」は猫を寄せ集めて猫の横顔の形を作っていました。
安元亮佑のコラージュはどの作品も猫が半月型にうにょ~んと伸びていて
特に「月を呼ぶ猫」「蒼い猫」がおもしろかった。
鈴木敦子「光る」はバケツの水面に映る夜空の星を物珍しそうに眺める猫が
ちょこんと前足をバケツにひっかけていてかわいかったです。
山田純嗣「TURN AROUND」は樹脂やパール粉を使って描かれていて
林の中にたたずむ白猫が浮き出している立体的な作品でした。
秀島由己男「美しき野生(片耳リリー)」は片耳をなくした猫が凛々しくこちらを見つめていたし
「猫の鎧武者」のかっこよさパないし、
「猫の平家物語」は猫たちが平安時代の風俗に扮した景色を布に描いていて
十二単を着た猫たちは美しいし、牛車の御簾に映る影が猫型になってて笑えました。
大森暁生「月夜のテーブル」はテーブルにぽっかり空いた青い穴を猫が覗きこむ微笑ましい立体作品だし
「ぬけない棘の山猫」はユニコーンのような角を生やした猫の頭蓋骨がかっこいい(ФωФ)。
カメラ目線よりも好きなことしてる猫の姿を表現した作品が多くて
そういうところも含めてすごく「猫の展覧会」って感じでした(ФωФ)。
猫はどこにいても、どんな人と一緒にいても自分の好きなことしかしないのだろうなあ、
そんな猫たちだからわたしは好きなのだな(ФωФ)。
あとさっき思い出したけど、猫のアートといえば
朝倉文夫氏の彫刻が抜群にすばらしいからよろしくな!→
これとかな!!(ФωФ)
空前絶後のォォ!超絶怒涛の表現力ゥゥ!!猫を愛し!!猫に愛された男!!!
そう彼こそは!!朝倉!!文夫ッ!!イェェェエエエーーーーーイ!!ジャスティス!!!
谷中の朝倉彫塑館にそのうち行きたい(ФωФ)。
あと本日ようやく初詣に行ってきました、すっかり遅くなってしまった。

今年の初詣は川越氷川神社。
お正月限定の御朱印をいただけたよ~節分までは書き置きをいただけるそうです。
すてきなお守りができた☆
パンフレット表紙の江野梅雪「川越氷川祭祭礼絵巻」(1826年)は埼玉県指定文化財ですよ、
人物たちのこけしみたいな風貌がかわいい。

猫といえば先日『猫の日本史』を買ったので
手持ちの『猫の古典文学誌』も読み返したくなって引っぱり出してきました。
休日は猫まみれになろう。