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2017_02
26
(Sun)23:58

春はネコバスの窓から。

2017ghiblim1.jpg
ジブリ美術館に行ってきました。
前回の訪問から2年振りですが、やっと希望日のチケットが取れまして。
あと今月は、まだ見てなかった映画「たからさがし」が上映されていて
(ジブリ美術館の短編映画は毎月変わります)タイミングもばっちりだったので。

2017ghiblim2.jpg
去年の春~夏にかけて長期のリニューアルを行った美術館は
外観が2001年のオープン時みたいなカラフルさに戻っていました!
蔦がびっしりな状態も味があったけど、きれいになるとクレヨンみたいなかわいらしさが出て
どっちの外観も好き。
また10年かけてどう変わっていくか楽しみです。

2017ghiblim3.jpg
入口にあった鉢の中に油屋のジオラマ。
これ前は出口に置かれていたけど移動してきたのだね。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2017_02
22
(Wed)23:57

Cat's NapTime Day。

さても今年も猫の日です!にゃんにゃんにゃんの日です(=^・ω・^=)ニャー☆
じゃらんのにゃらん様に続いて22時22分に「にゃー」とつぶやくミッションを今年も無事クリアし、
ネット上にあふれる猫さま画像を1日中漁っておりました。
猫の本、猫グッズ、猫アート、猫イベント等色んなものが巷にあふれるようになってきて
何が欲しいかどこに行くか選択肢が増えすぎて熟考するようになったし
「猫大好き!」って周囲にオープンにすると自然に猫グッズもらえたりするので
オープンにしたかったらすればいいんだと思うようになった。
世の中ほんと数年で様変わりしますなァ。

2017nekonohi1.jpg
そんな人間たちの大騒ぎには目もくれずに、今日もにゃんこ様たちはこたつでぬくぬくです。
娘にゃんこが寝ていたところへ母にゃんこがいそいそとやって来てこうなりました。

2017nekonohi2.jpg
最初は娘にどいてもらおうと色々ちょっかい出していた母ですが
頑としてどかない娘の隣に結局おさまってしまって
ぶっちゃけここわたしの膝なんですが完全に動けなくなりました。なんでや~!
布団にされる下僕の気持ちなど頓着しない、なぜならそこがあったかいから!それが猫さまです。

2月は節分やバレンタインデーなど忙しい月でありますが、
最近は猫の日行事もだいぶ定着してきたとみえて
気がつくと各地で猫に関する催しが開催され食べ物が売られていてうっかり素通りできない。
何も知らずに帰宅して夜に素敵な情報を見かけて
「なんで寄ってこなかったんや」と断末魔を上げ頭を抱える日々です。
なるべく後悔のないように生きたいので、できるだけ情報チェックして
気に入ったイベントをピックアップして巡回していますが見落としてるものいっぱいある気がする。
なぜわたしの目はふたつしかなくて手も2本しかないの…千手観音になりたい。

2017nekonohi3.jpg
上野のアフタヌーンティーにていただいた期間限定のキャッツナップタイムアフタヌーンティーセット。
スイーツが4品選べるということでラズベリージェラートのフォンダンショコラや苺のケーキなどにして
お茶はピーチティーを注文。
みやこしあきこさん画の猫型クッキーめっちゃかわいい☆

2017nekonohi4.jpg
先着でもらえるピンバッジもいただけた!
「秘密のお茶会に参加したネコたちのペロリ顔」というコンセプトで
頭の上にティーカップが乗っています。かわいい。

また、東博で開催中の春日大社展では猫のいる金地螺鈿毛抜形太刀が見られますが
会場の特設ショップでも猫に会えます。
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大社のゆるキャラ、ニャデンとチュン、シカスガさんとシシコマくんがかわいすぎて
ポストカード買ってしまった。
ニャデンは毛抜形太刀の猫が、シシコマくんは獅子と狛犬がモデル。
シカスガさんは先日の式年造替の記念にデザインされたすがちゃんの延長かもしれない。

また本館の展示でもやたらと猫を見かけましたので一部をご紹介。
2017nekonohi5.jpg
橋本雅邦「竹林猫」。
竹の足元にゆったりと寝そべる白黒の猫は恍惚とした表情です。

2017nekonohi6.jpg
土方稲嶺「寿老・牡丹に猫・芙蓉に猫図」から「牡丹に猫」。
牡丹や猫は富の象徴らしくて好まれた画題だそうです。

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歌川豊国「炬燵美人図」。
こたつの上に猫が丸くなって眠っています。

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猫のアップ。ふわふわした毛並みの感触まで伝わってくる~かわいい☆

2017nekonohi10.jpg
去年の猫の日付近でもお伝えしましたが、
JR日暮里駅内にあるエキュート日暮里は猫の日前後の1週間ほど猫グッズで埋め尽くされますので
先週に寄って来ましたよ。
今年はフェルツのパン「ねこ、まっショコラ」と、
とんかつまい泉の「ネコの日限定ミニバーガーセット」をゲット。
他にもにゃっぽりマステとかケーキとかお菓子もグッズも色々あるので気になる方のぞいてみてね~。

2017nekonohi11.jpg
まい泉の袋についていた肉球柄のリボンがかわいかったのでとっておくことにしました。
うちの猫さまは首輪するとパニックになるので巻かないけど乗っけるだけなら平気。
おリボン似合うよ~。

今年も世界中の猫たちに幸せが訪れますように。

よく猫の絵描かないんですかって聞かれますけど、
本物と暮らしていると本物が至上すぎて自分で何描いても気に入らないんですよね…
ウサギとか熊はイラストでもかわいいと思うけど猫はぬいぐるみや写真集もほぼ買わない…
ここまで2次元と3次元の差が極端すぎる生き物もいないように思います。
菱田春草やアンリエット・ロナーやエンドレ・ペノベックや
宮崎駿氏や元祖ふとねこ堂さんや丹地陽子さんが描くように猫を描きたい。
2017_02
19
(Sun)23:53

竜宮小僧。

大河ドラマ『おんな城主直虎』を見ています。
キャスト発表時に主演が柴咲コウさんと聞いてすごく楽しみにしていたし、
去年の真田丸でも「彼らにも物語がある」とか言われて応援されてもいたし
何より女性の領主にスポットが当たる企画はうれしい~!
実際は未だに女性か男性かはっきりしてなくて元々謎の多い人ですけど
真田丸みたいに面白さとリスペクトに満ちた物語に仕上げてくれたらいいなと思ってます。

菅野よう子さんのオープニングテーマがピアノがメインの曲で感動した。
画面に咲いては消えていく花々が何かこう、美しいというより
植物の強さが感じられる演出でとてもかっこいい!
直虎と柴咲コウさんのクレジットが花びらでヒラヒラって表示されるの素敵です^^
椿が矢で射抜かれるカットに毎回、今川義元がかぶるの地味にじわるんですけど
義元がいなくなったらあの枠誰になるのだ…?今からどきどき。
あとラストの新芽がちょっとナウシカっぽいね。

主人公の3人はちょっとまだ未知数で今後に期待って部分もありますけど
子役の皆様はとてもかわいかった~!
新井美羽さんはひたすら元気なおとわで走ったり飛び降りたり髪ジャキジャキ切ったり
最初から最後まで全力ですごい体力ある子だなあと思いました。
蹴鞠で龍王丸(氏真)を負かすシーンも演技とはいえ撮影後はヘトヘトだったのでは、
お疲れさまでした。
おとわがなりたい竜宮小僧は浜松市周辺に伝わる農作業を手伝ってくれる不思議な子どものことで
西洋のこびとの靴屋みたいなものでしょうか。
亀の藤本哉汰くんは平清盛のとき少し見まして、大きくなりましたねえ。
おとわの言うことについ従ってしまうところは相当おとわが好きなんだなって思えるし
直満さんの首が戻って来たときの演技はすさまじかった…泣くわ…。
鶴の小林楓くんは守り人ドラマのときすげーって思った役者さんですけど今回もすごい、
パパ上を憎むには経験が足りないし友達が好きだけど婚約はチクリとくるし人の不幸は喜べないし
全方位に心配りができる聡い子を見事に演じていましたね。
パパ上に「なにを勘違いしておられるのか」って振り向いたときの表情とかゾッとした、
こりゃ高橋一生になってしまうわ…。
スタッフは鶴亀のどっちも応援してほしいかもしれないけど、わたしは今のところ鶴派です。

大きくなったおとわ…次郎が托鉢ちゃんとできるようになってたり
歌うようにお経を唱えられるようになって成長した感はあるものの、
目の前の出来事に振り回されたりいまいち鶴を信用しきれていなかったりと
まだ何となく小さい頃の余韻を残した人物設定なので、これからどんな風になっていくかな。
柴咲さんは個人的にすごく直虎のイメージにぴったりで
予告でやってる「我が井伊直虎である!」のセリフにたどり着く日を楽しみにしています。
初回冒頭の「いざ」って馬をかっとばしていくのも超かっこよかったしな!
亀、もとい帰ってきた直親は天然で脳筋なイケ侍に成長していて
おとわも鶴も自分のこと好きで守ってくれるはずと無条件に信じていて
しのさんのことを微塵も理解していなくてちょっと怖いどころの話じゃないサイコパス感。
生い立ちが生い立ちだけにそういう育ち方をせざるをえなかったんだろうけど
あれが無意識なのか計算なのか考えると沼どころか深海な気がする。
検地で問い詰められたとき鶴に丸投げしたのは
ノベルスでは「鶴ならなんとかしてくれる」と思って話を振ったらしいとTwitterで言ってる人がいたけど
伝わってないからー!とTLが総ツッコミ祭になっていた。
鶴が機転きかさなきゃどうなってたか…!小野でもってる井伊。知ってた。
(あと早くも #直親を井戸に投げ込め タグが荒ぶってますが
腹黒三浦春馬くんがお好きな方はこのドラマ最高に楽しいんじゃないかと思う)
そんな鶴、もとい政次。つらい。
結婚するはずだったのが亀の帰還でお流れになるし
指出で中野さんに「こんなんじゃ小野が力持っちゃいますよ」って忠告したら毒づかれるし
次郎は亀のことしか考えてないしでもうほんとこれ…裏切りたくもなるじゃない…!(号泣)
違うんだ鶴は言いたいことをオブラートどころかラップとホイルと新聞紙と段ボールでぐるぐる巻きにして
父ちゃんみたいに自分が悪者になる覚悟で言ってるんだよー!!
なぜみんな鶴の地雷を踏んでいくの…どうしてわからないんだ伝わらないんだ(Byドリカム)
亀に見透かされてカチンとくる鶴と上司が理解者と勘違いしてキュンとした玄蕃くんの対比も見事で
あの父と兄の下で弟くんがどんな生活してきたのかも一発でわかった。
ウギャー!小野きょうだい幸せになってほしい。。

龍潭寺がやばい。とてもやばい。
生臭で一見だらしないけど実は策略家の南渓和尚(+懐に猫さま)を筆頭に
頭脳派で苦労人だけど色んなこと教えてくれる昊天宗建、
腕力と笑顔がトレードマークの傑山宗俊と、各方面に対応できる人材配置の強さ。
特に市原隼人さん演じる傑山がイケ坊主すぎてマジでやばい。
配役発表を聞いたときハマる予感しかしませんでしたが見事にハマりました。やばい。(何回言うの)
一体どなたが腕力+坊主という市原さんの筋肉を最大限に活かせるキャスティングを思いつかれたのか、
ありがとうございます。(五体投地)
健康的に日焼けしていてニコって笑ったときの顔がとても爽やかなんじゃ~!!
直盛パパが南渓和尚から傑山レンタルしてるの見てわたしもレンタルしたいって思ったし
傑山の日常スピンオフドラマ作ってほしいくらいには好き…朝起きてから寝るまでをぜひ…。
あまり画面に映らないしおしゃべりしてくれないけど、
他のお坊さんたちに比べて1人だけ袖が短いというか腕まくりして動きやすそうで
そんな波動拳撃てそうなマッスル見るだけで煩悩がパーンする。
次郎に何か起こりそうな気配がするたび一切の気配を消してアルソックしてたのかしら、
脳筋となった亀にさえ気づかれない傑山ニキ…実においしい役どころなのでもっと映してください。
傑山も昊天も実在の人物で南渓和尚の後に龍潭寺の住職になった人たちで
傑山は強弓、昊天は長刀の名人で小牧長久手の戦いとかに井伊直政と参戦したらしいので
それならあの腕筋も納得がいくし、最終回まで死なない!
(小牧長久手の戦いは直虎の死後です)
そしてとどめのにゃんけい様。
初回で小林薫さんが懐に猫を入れて登場したときの衝撃たるや、
「ねこだああああ」とテレビの前でガチで叫びました(笑)。
一体どなたがにゃんこ抱っこ生臭坊主を小林さんにやらせようと提案したのか!ありがとうございます!!
いまのところ1話につき1にゃんけい様の登場率で猫クラスタとしては本当にありがたい。
ちなみに猫さまは2匹いらして動物専門プロダクションに所属する「のん」「りの」ちゃんというそうで
2匹ともおとなしい性格の子なのかじっと抱っこされてるし
次郎の枕元で籠に入って一緒に寝てるのすごいかわいい。
井伊氏はひこにゃんとか、猫に縁のあるおうちなので猫をもってきてくれたのはうれしいなあ。
(ただあの時代、猫を飼うのはお金持ちくらいしかできないことだったので
龍潭寺は相当裕福なお寺の設定と思われます。
にゃんけい様に何かあったら寺中の坊さんが強訴しかねないレベルです。やばい)
寺と袈裟とにゃんけい。(ダイイングメッセージ)

井伊の人々がなぜ今川をあんなに敵視しているかの描写があまりないのでよくわからなかったけど
ぐぐったらひいおじいちゃんの直平は花倉の乱のとき玄広恵探側だったのですね…
そりゃ義元さんと仲悪いわけですな。
今川の下にいるのは一時的でいつか自立してやるってガルガルしてるのが
すごく去年の真田昌幸っぽくて国衆って感じする。
孫の直盛さんは花倉の乱のときまだ子どもだったから、物心ついたら今の状態だったわけで
なかなかおじいちゃんみたいな気持ちになりにくいのかもしれないな…
妻の千賀さんが尻をひっぱたいて(比喩です)当主でいさせてるの大変だなあ…。
中野さんや奥山さんがおじいちゃんタイプで新野さんや千賀さんが冷静な対比も
国衆と太守側の出身地の違いみたいな温度差を感じます。

今川家は氏真がマッティと聞いて!
まだ一瞬しか出番はなかったけど苦難の多い人ですからめげずに生きてほしい。
昇太さんの義元は今のところおっかなくても強さをあまり見せておりませんが
桶狭間までにあの方の戦国武将っぷりは発揮されるのでしょうか。
あと義元様の目つきやジェスチャーから言いたいことを読み取って伝えてる
側近みたいな人の能力値がむちゃくちゃ高くて毎回感心してしまいます。
上司が扇で口元を隠していてもお気持ちがわかる部下が家中にいるのは心強いね。
雪斎さんもう寿命のはずなのであと1回くらいは出番あったらうれしいし、
その後はいよいよ寿桂尼さまの戦国大名っぷりが発揮されるはずなのでそれも楽しみ。
最新話に出てきた検地担当の岩松さんがちょっとやそっとじゃ懐柔されない鉄壁精神のビジネスマンで
「お手数でしたら我らだけで行きますけど」とか、勘で隠し田見つけたりすごかったけど
数学者で愛妻家というスペックで一気に人間的になった。
鶴が「ここは南朝の皇子が潜んでいたところで~」と言ったときに岩松さんが追及しなかったのは
ちょっと面倒なことになりそうって思った可能性もあるけど
岩松さんが新田岩松氏ではないかという推測や考察が
Twitterに奔流のごとくドバ~~っと流れてきてなんとなく納得がいきました。
南北朝時代に新田氏をかくまったのが当時あの地に逃げて潜んでいた宗良親王で
あの状況でそれがとっさに出てくる鶴は本当にすごい。
(ちなみにその親王を支えたのが当時豪族だった井伊道政というのも鶴は知ってそうだよな…)
当時の検地がいかにめんどくさいかは興福寺の僧侶たちが記した多聞院日記にチラリと出てきますが
織田信長の指出検地で「地獄の苦も同じ」みたいなことが書いてあって
指出でそれなら棹差し検地なんてさらにめんどくさいんじゃないか…
それをさせた昇太さん義元はやっぱりしゅごい。

そして三河のぼんやりこと今川に育てられている出世大名家康くんがじわじわ話にからんでくるのおもしろい。
瀬名さまは強く生きていきそうだな…
目的達成のために自分ができることをやるし回せる手は回す感じ。
築山殿はいろいろあって息子もろともノブ様に殺された人ですが菜々緒さんはとても強くて魅力的なので
今から瀬名ロスがこわい。

ところでムロツヨシさんの再登場はいつかな??
2017_02
15
(Wed)23:21

平安の正倉院。

kasuga1.jpg
東博にて「春日大社 千年の至宝」展を見てきました。
大社の創建から歴史、古文書、本地仏、奉納された神宝や武具、芸能、式年造替まで
あらゆる視点から春日大社を紹介する展覧会です。
金地螺鈿毛抜形太刀が見たくて行ったのですが、他の武器も結構かっこよかったり
春日権現験記絵が予想以上におもしろくてわーいたーのしー!ってテンション上がって
結局2時間近く滞在してしまった。
割と混んでいたのでお互いに譲り合いながらの鑑賞でした。最前列は亀の歩み。

春日大社といえば鹿、ということで最初は鹿さんの展示から。
御使いである鹿さんは様々な形で表現されています。
江戸時代の鹿図屏風は大社周辺に生息する鹿をほぼ等身大に描いたもので
のっぺりとしたタッチがのんびりして宗達みたいな雰囲気。
鹿島立神影図は鹿島神宮からタケミカヅチを乗せて春日の地に降り立った鹿さんの絵で
これは繰り返し描かれてきたモチーフのようで、複数展示されていました。
春日山と三笠山のふもと、鹿さんからいましも降りようとしているタケミカヅチは赤い束帯姿で
髭を生やした顔は唇を引き結んでいて割と恰幅のいいお姿。
大社においては普段、紙垂で顔を隠してお祈りされるとのことですが
今回は展覧会ということで直接お顔を見ることができるという、なかなかレアな機会です。
また、フツヌシ(タケミカヅチと対の神)と一緒に鹿に乗ってきたという掛軸もあって
2柱の神様のポージングがそっくりというかほぼ同じで
こういう風に描くみたいなルールとかあったのかな…。
また、春日鹿曼荼羅なるものも初めて知りました。
立派な鞍と鈴をつけた鹿さんの背中に榊の木が乗り紙垂が垂れている絵は
鎌倉時代の制作で現存最古。
鳥居を描いたものもあって、遠く京都から大社を遥拝するのに使われたとか
春日講の本尊として使われたものなどもあるそうです。

大社についての記録。
続日本紀の18巻にタケミカヅチが鹿に乗って春日へ来たという内容の記述があったり
延喜式に大和国286座のひとつとして春日大社の名前があったりして
この頃から歴史上にもぽつぽつ登場してくるのですね。
小右記の一条天皇の春日詣でとか、一条~崇徳(今上って書いてある)までの行幸記とか
御堂関白記では道長と一緒に女車が同行したとか(女性たちのお参りですね)、
藤原忠実が15歳のとき春日祭で上卿をつとめたことが栄華物語に書いてあったり
藤原の皆さんによる記録が多め。
藤原頼長の日記「台記」には1136年11月の春日詣でにて長櫃を持参し宝物を納めたとあって
そうして人々が納めてきた宝物の一部がここに展示されているんだなあと思うと
胸が熱くなってきた。

春日大社の本殿はひとつではなく第一~第五まで5つありそれぞれに神様が祀られていて
そのうち本殿第2殿が実物大で展示室に再現されていました→こちら
春日大社の監修だそうで、上野にいながら春日詣でできる…!
御簾に取り付けられた蝶や花の形をした金具が雅だったし
青いビーズが連なったような瑠璃燈籠が吊られておごそかな雰囲気。
(近くには室町~江戸期の金具や燈籠も展示されていました)
左右の御間塀には獅子牡丹図と神馬牽引図の2図が描かれていて
これらは去年まで実際に本殿に奉納され、
先日の式年造替の時に撤去された絵なのだそうです。
あと鎌倉時代の獅子や狛犬もいて、彼らも最近まで第一~第四殿に飾られていたけど式年造替にて撤下。
第一殿ペアは足をしっかり着いてどっしり構えているけど
二殿ペアはちょっと首をかしげてて、三殿はちょっと空を見上げてる感じで
四殿に至っては阿が立ち上がろうとして吽は座ったままという、
だんだんアクションが足されてくるのがおもしろかったです。

奉納された宝物類。
緑地彩絵琴箱は琴を入れる箱で、内部にシンプルな花鳥画が描かれていて
琴の展示はなかったけどどんなのが入ってたのかな…。
鏡台や笥、笏など普段の生活に使われそうなものも。
武器は梓弓、鏑矢、鎧、刀などたくさんあって
奉納された時代とともに形が少しずつ変わっていってるのも見どころで
時代ごとの流行や武器に対する思いも伝わってくるようでした。
藤原頼長が奉納した金地螺鈿毛抜形太刀は武器だけど武器として使うことは一切想定してないと思う。
鞘の装飾がほぼ純金と螺鈿で作られていて、1000年近く経つのに遠くからでも輝いて見える!
尻尾の長い猫が雀を追いかけて捕まえて満足☆みたいなストーリー性があって
狩りのポーズとか下がった耳とか雀を押さえた肉球とかすごくリアルで
この螺鈿職人は猫をきちんと観察して再現する能力が桁違いにカンストしている!
あるいは頼長たんの監修が入ってるかもしれぬ…彼のそばには猫がいましたからね。
(平安時代に猫好きはたくさんいましたが頼長は少年時代に飼い猫の葬式を行うほどの猫クラスタです)
そういえば日光東照宮の眠り猫の裏側には竹林に遊ぶ雀がいて
猫が寝ているから雀は安心して遊んでいられる、みたいな意味だったような。
小鳥遊と書いて「たかなし」と読む名字がありますが、そういうとこからきてたりするのかな…。

10柱の春日ゆかりの神と本地仏が描かれた春日本迹曼荼羅は
仏像の姿を借りて神を表現したものです(平安時代からの風習)。
たとえば春日神は不空羂索観音、二殿は薬師菩薩、三殿は地蔵菩薩、四殿は十一面観音、
若宮は文殊菩薩…などの姿で描かれます。
空海も八幡神の姿で表現されたりするけど、あれに近いのかな…神仏習合の極み。
文殊菩薩騎獅像および侍者立像は獅子に乗った文殊菩薩に善財童子などの侍者が付き従っており
つまり若宮ご一行なわけですな。
春日神鹿御正体も彫刻作品で、鹿さんの彫刻も見事なんだけど
鹿さんが背中に乗せている丸い御正体には春日の5柱の神が仏の姿で描かれていた。
また、神の全身図を描くのは本地仏と一緒にいるor本地仏そのものに変化している場合ですが
そのほかは体の一部を描くのみだったそうで、
興福寺の天狗草紙には春日神が烏天狗に日に三度甘露を振りかけたところ救われたという話が載っていて
絵巻に烏天狗たちの姿は描かれているけど神は手だけでした。
(ちなみに大社に縁のある人や信仰した人は春日野の地下にある春日野地獄に落ちて
春日神が毎日水を注いで助けてくれるらしい。すごい)

大社に伝わる芸能。
若宮おん祭を始め大社には様々な舞楽や能が奉納されます。
鼉太鼓(左方。複製)は源頼朝が奉納し今もおん祭で実際に使われる太鼓を忠実に再現していて
見上げるような大きさでよくここまで運んでこられたなあと思う、
いつか雅楽の演奏で使われてるとこ見てみたい…!
蘭陵王や納曽利をはじめ数々の舞楽で着用される面や装束も豪華で美しく、
鼻高で外国人がモデルとされる地久や鯉口をしている貴徳面など初めて見るのもあったし
興福寺に伝わる新鳥蘇面は唐招提寺の仏像修理をした印勝作ということがわかっているらしい。
太平楽の装束の肩喰が麒麟と狻猊で帯喰が龍と獅子なの最高にかっこいい!

春日権現験記絵巻。
皇室の名宝展や大神社展でもいくつか見たけど、さすがに今回の出品数はかなり多め。
春日の神々がどんな存在か、どんな力を持つ神かを物語とともに生き生きと描いてくれていて
人々が神々をどんな風に捉えていたかがダイレクトに伝わってくる。
地蔵菩薩の姿で牛車に乗った第三殿が御簾からチラリと顔をのぞかせていたり
十二単姿の第四殿が教懐という人の腰痛を治してあげて、雲に乗って帰ったり
僧侶に化けてきた何者かの正体を見抜いて追い払ったりと大活躍する様子が
細かく丁寧な筆致で描かれています。
ほとんど江戸時代の制作ですが、
1927年制作の13巻は童子姿で現れた第四殿が学問所を見学していく様子が描いてある。
藤原基通が平家都落ちの際に難を逃れたり
藤原光弘が竹林で十二単姿の第四殿に会ったり
藤原忠実が春日詣での際に11~12歳くらいの童子の姿をした春日神を見かけたりするとか
藤原氏の氏神らしい一面も。
興福寺の狛近真が大社に舞を奉納した「狛近真事」とか
貞慶から仏舎利を譲られる明恵を描いた「明恵上人事」みたいな
春日大社に関わった人や信仰した人なども絵巻になっています。
1301年に盗難に遭った神鏡を取り返す様子は
盗賊たちを追いかけて斬り殺したり3つぶんどったりする武人たちは白い衣装を返り血で真っ赤に染めてて
これ…奉納した絵巻だよな?って、ちょっとびっくり。
個人的に特に紀州本第六巻のおもしろさが振り切れてて好きー!
地獄に落ちた興福寺の狛行光を春日神が助けるという内容で
(興福寺も藤原氏とゆかりの深いお寺ですな)、
地獄の閻魔様のところへ直接赴いて行光を許してください~と直談判する春日神のフットワークの軽さよ。
閻魔様も春日神も顔の部分が霞で隠れて衣服だけが見えていて、
行光を冥府から連れだした後も春日神は後ろ姿で描かれているのとか徹底してますけど
チラリと見える横顔はハンサムメンの香りがして絵師も絶対引き目鍵鼻を意識して描いてると思う。
救済された行光は春日神とともに地獄見学ツアーをするのですが
六道の責め苦の場面に笏を向けて「ほらご覧」とでも言ってそうな雰囲気の春日神は
なんだか無邪気なようで少し怖くもありました。
あとヒラヒラなびく束帯がそりゃ…イイですよね…(突然の萌え語り)。

kasuga2.jpg
春日大社万燈籠を再現したコーナーは撮影ができます。
ほのかなライティングはおごそかで厳粛な儀式の場のよう。

kasuga3.jpg
黒かったり金色だったり。

kasuga4.jpg
燈籠の円窓部分にはひとつひとつ異なる彫刻がほどこされています。
写真は鹿さん、と、松かな?
笠が花びらだったりするのもオシャレです。

特別展の後は、いつものように本館も鑑賞。
kasuga5.jpg
春日大社展に関連して鹿の彫刻作品がいくつか展示されていました。
写真は竹内久一「神鹿」。背中に宝珠を乗せています。
さっき見た御正体の鹿さんを彷彿とさせるような美しさ、白は神様の色ですね。

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こちらは森川杜園「牝牡鹿」。
1893年のシカゴ万博に出品した作品で、森川さん当時73歳!
鹿の制作を得意とした人だそうで…葛飾北斎も高村光雲もかくやというほどのご活躍、かっこいい。

konparu1.jpg
本館特集展示も見に行きました。「奈良・金春家伝来の能面・能装束」。
南北朝時代から春日大社に芸能を奉納してきた金春流ゆかりの品々が展示されています。
写真は天冠と中啓。
雅楽や能に使われる冠はキラキラひらひらしていてすごく好き。
中啓は女性が主人公の能に使われる扇で表に玄宗と楊貴妃、裏に花々の花戦さ模様。

konparu2.jpg
女性面の迫力。泥眼と般若。

konparu3.jpg
鬼神面。
どれもすごく綺麗に残っていて大切に伝えられてきたんだな…。
金春流の能は1度しか見たことがなくて(ちなみに道成寺)もっと見に行きたいなあと思っています。
2017_02
11
(Sat)20:41

雪晴れの京都旅。

京都へ日帰り旅してきました!
例によって六道珍皇寺さんが「寺宝展と特別御朱印やります」とおっしゃったのと
相国寺さんの若冲展に行きたかったのと北野天満宮の宝物殿で久々に鬼切丸を見たくて
タイミングいいじゃん、ヒャッホー☆と夜行バスの予約を取った直後、
週末の西日本は大雪かもしれませんという天気予報が発表されまして(震)。
夜行バスからも「大幅な遅れが予想されます」とアナウンスされて
バスが遅れたら一泊してこようかな…などと呑気に考えて乗ったのですが
「あと5分で京都です」とのアナウンスで目を覚まして時計を見たら(いつになくよく眠れたバスでした)、
きちんと定刻通りに着いてくれました。
外へ出たら寒かったけど空の雲は薄いところと厚いところがあって雪は夜明けに止んでいて
お蔭で傘をささずに移動できてよかった~!(傘さすのがめんどくさい人)

2017kyoto1.jpg
朝ごはんは松原通のSAGANさんで卵かけごはん☆
不定休なのでどうかなあと行ったら開いてた!朝の8時過ぎに!うおお有難かった。

2017kyoto2.jpg
「雪の六道さんが見られるかもしれない…!」という淡い期待は夜明けの粉雪とともに消えました。
というわけでいつもの六道珍皇寺です。

ご本尊の薬師如来像や地蔵菩薩立像、毘沙門天像、十一面観音像などにお参りして
酉年ということで初公開された堂本印象「鷺図」を鑑賞。
印象氏は京都出身の画家で(立命館大学の近くに堂本印象美術館がある)、
お兄様が六道さんの役員を務めておられたことがあるそうで
そのご縁で印象氏も絵画を奉納されたようです。
水面に片足だけでスッと立つ白鷺の美しいこと!ふわっとした色遣いがすばらしかった。

2017kyoto3.jpg
境内にある玉垣の中に印象氏の名前があるのは以前から気づいていたけど
色々関わりがあったんですね。
そういえば印象氏は鳴滝の尾形乾山作陶址の石碑にも揮毫していたような。

2017kyoto4.jpg
お庭もいつも通り。冬の空気はパリッとして心地よい緊張感が漂います。
機会があれば雪のお庭も見てみたいな…。

2017kyoto5.jpg
いただいた限定御朱印。
六道さんは一体いくつ限定を出すつもりなのだ、次回をお待ちしています←

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2017_02
07
(Tue)23:09

小さな中村屋たち。

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前回記事で少し触れましたが、
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部の門出二人桃太郎を見てきました☆
同演目にて中村屋の七緒八くんが三代目勘太郎を、哲之くんが二代目長三郎を名乗り初舞台を踏まれます。
わたし七緒ちゃんを見るのは今の歌舞伎座杮落し公演のお祭り以来ですが
哲ちゃんはナマで見るのは初めてで、
歌舞伎界のお祝い事に立ち会うのは猿之助さんや芝翫さんの襲名公演を見ていますし
大人が中心でしたからドキドキよりワクワクの方が大きかったけど、
お子様の初舞台を見るのは初めてでいつになくド緊張していつもと違う汗かいてました。
こんなにドキドキする開演前ないんですけど!劇場内も心なしかソワソワしていたような。

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木挽町広場には桃太郎と鬼の手ぬぐいの展示。
チューリップってこの時期でも咲くんだ!

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吊るし雛や七段飾りの雛人形も展示されていました。
節分が終わったら桃の節句ですねえ。

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幕見席から。
黄色くかわいらしい祝い幕はひびのこづえさんのデザインだそうです。

柝が鳴ってお囃子が奏でられ、祝い幕がシャ~っと開いていきまして
ああ、始まっちゃった…!と緊張感も最高潮に高まって顔を覆いたくなって
なんでわたしこんなに緊張してるんだ??と自問自答とかする始末でした。
ギリギリのところでSAN値保ってた気がする^^;
あと、いつも開演前はイヤホンガイドさんの解説を聴いて鑑賞に備えるんですけど、
今回もそうしてたんですけど、もうそれどころじゃなかったので内容が全然頭に入ってこなくて
上演中も解説を色々聞いたはずなんですけどあまり覚えてないです。色々とダメだ。

季節は春、おばあさんが川で洗濯をしていると
山の芝刈りから帰って来たおじいさんがそろそろメシにしようぜ~と声をかけます。
芝翫さんはまだ何となく橋之助さんと呼びそうになってしまう、いい加減慣れなくては。
すると川の上流からドンブラコ~と桃が流れてきて(黒子さんのお仕事)、
もうこの時点で客席には笑いが起きていた(笑)。
おじいさんたちはなんじゃこりゃ~と、桃に手ぬぐいを引っ掛けて岸に上げて家に持って帰ります。
桃が描いてある暖簾をはねて息子夫婦が出迎えて、大きな桃ですねえとか言うんですが
勘九郎さんも七之助さんも既にただならぬ表情でここから先の舞台をすごく心配してらっしゃるのが
びんびん伝わってきてわたしもさらに緊張してしまった(笑)。
おじいちゃんたちが包丁で桃をパッカーンと斬りますと、
中から黒子さんに抱えられた2人のちびっこ桃太郎が赤フン姿で登場ー!
「中村屋!」の大向こうも飛んで劇場が割れんばかりの大拍手!!
桃太郎たちはビビリもせずに見得をきってみせると
「おじいさん、おばあさん、こんにちは!」「兄の桃太郎です」「弟の桃太郎です」と元気いっぱい挨拶。
また大きな拍手が起きて劇場いっぱいに響き渡りました。
すごいすごい幕見席まで2人の声届いてるよ、すごいよー!(゚Д゚;)ハラハラ
そして勘太郎くんが長三郎くんを気遣って「こうするんだよ」みたいに目くばせしてるのも
長三郎くんが必死についていこうとしてるのもわかって涙出そうになった。

「鬼が島へ鬼退治に行きます」と勇ましく言う桃太郎たちは
鎧姿に着替えるため、息子夫婦とともにいったん家の中へ引っ込みます。
そこへ花道から登場してきたのが犬彦・猿彦・雉彦☆
吉備神のお告げで桃太郎が生まれたことを聞いたという3人は自己紹介をします。
染五郎さんの犬彦はダルメシアン柄のかわいいお衣装とお化粧で→こちら
両手を犬みたいに丸くしながら「腕力でワン斬りにします」とか言うし
(ちなみに勘三郎さんの初舞台では白鷗さんがおじいさんを、
勘九郎・七之助さんの初舞台では幸四郎さんが犬彦を勤めている縁があるそうだ)、
松緑さんの猿彦は「カニをだましたその知恵を活かします」とか真っ赤なお化粧顔でおっしゃるし
菊之助さんの雉彦は一番いさましく隈取してて「空から物見をいたします」とか凛々しいし
常に袖をひらひらさせて軽やかに飛ぶ演技をなさっていて素敵☆
そこへ花道から菊五郎さん扮する吉備津神社の神主さんが来て
村人たちもわらわら集まって来て、みんなで桃太郎が生まれたのをお祝いします。
「どれ呼んでみましょう、桃太郎さ~ん」と菊五郎さんが家の中に声をかけますと
「「はーい!」」とかわいらしい返事が聞こえて
息子夫婦に促されながら隈取に鎧姿の2人桃太郎が再登場してきたよ~!拍手☆
(勘九郎さん七之助さんの鎧をそのまま着ているそうです)
この間わずか5分、すごい、お着替え間に合ったね!よかった!!
くるりと回って見得を切って見事に決まりまして、また拍手。

ここで初舞台の口上に入ります。
菊五郎さん、弥十郎さん、雀右衛門さん、梅玉さん、時蔵さん、芝翫さんなど
錚々たるメンバーがお子様たちを気遣ってか手短に順番に挨拶されていく中、
勘太郎くんは微動だにせず下を向いて正座していまして
長三郎くんも最初はじっとしてたけど時間が経つにつれキョロキョロしたり両手ついたりそわそわ…
後ろの七くんが長三郎くんの背中や足に合図すると元に戻ってました(゜ω゜;)ハラハラ
そんな七くんが「叔父のわたくしに取りましても」とか言うの、女形の拵えだからちょっとおもしろい。
(ベルばらのル・ルーちゃんがオスカルを叔母さまって呼ぶみたいなこそばゆさがあるというか)
かなり気が気じゃなかったのかパパの勘九郎さんもものすごい早口で口上述べてて客席がじわった(笑)。
最後に桃太郎ズの「中村勘太郎でございます」「中村長三郎でございます」の元気のいい挨拶に
もう何度目かの客席からの大向こうと大拍手!
いよいよ鬼が島へ行くということになって花道からの引っ込み、
勘太郎くんの踏み込みと見得が一瞬、六方踏むんじゃないかと思うくらいすごくかっこよかった!
客席の拍手に送られながら2人でのしのし歩きながら引っ込んでいきました。がんばれ。

場面転換中には浅黄幕が張られ、大薩摩連中の圧巻の演奏。うおおおかっこいいー!

再び幕が開くと、そこは鬼が島の入口。
門前に鬼たちがズラリと並んでいるところへ花道に登場したのはお供を連れた2人桃太郎。
「ものどもかかれぇ」というお言葉に3人の部下たちが立ち向かいます。
犬彦は鬼たちにガブリと噛みつき、猿彦は鬼をあやつって自分をおんぶさせてしまい、
雉彦はヒラヒラ舞いながら鬼たちを翻弄します。
門前の鬼を追い払ってみんなで見得を切る雰囲気になって2人桃太郎も舞台上に来たんですが
桃太郎たちの立ち位置がいまいちハマってなかったのを
松緑さんが長三郎くんを抱き上げてちょっと間合いを詰めたので客席から笑いが起きてた。
その後無事に猿・雉・犬・桃太郎でバッチリ決まりました。ホッ(;´∀`)
門から鬼が島に入った後もわらわら戦って
奈落から島を制圧した桃太郎たちが鬼たちとともにせり上がってきたときの決めポーズかっこよかったし
(縄は桃の形になってた)、
鬼たちとの立ち回りで縄を引いたり切ったりして(縄引きは平安時代からのおめでたい習わしです)、
最後に勘九郎さん扮する鬼の総大将との立ち回りもちゃんと山とか八の字に切ってて
見得もしっかり決まってたよ!
総大将を縛り上げて「まいったか」「降参、降参、お許しなされてくださりませ~」となって
勝どきをあげるシーンで「「いずれも勝どき」」まではよかったけどエイエイオーが絶妙な輪唱になって
お供の3人が「お、おう」みたいになってておもしろかった^^2日目のご愛敬ですね。
鬼たちによる宝物バケツリレーで車にもっさり宝物を積んで
縛られた総大将を挟んで日本一の幟をかかげ「さあ凱旋だ」と金の扇子で見得を決めると
背景の海から日の出が!
パーッと舞台が明るくなって、万雷の拍手とともに幕引きとなりました。
柝とお囃子が鳴り響く中、勘九郎さんが長三郎くんとチラチラ目を合わせてたのが最高におもしろかった。
鬼じゃなくてパパ目線になってるよ!無理もない^^

とてもいい舞台でした。
ベテラン役者さんも裏方さんも2000人近いお客さんもみんな勘太郎くん長三郎くんを応援してて
劇場がひとつになっていたよ(笑)。
勘太郎くんは本当に安定してきて、これまで何度か舞台に立った経験がしっかり活きていると思うし
弟を常に気遣ってアイコンタクトしてて頼もしさ倍増。
長三郎くんは飄々とマイペースながらも「こうか」「あ、こうか」みたいに
ひとつひとつ動作を確認しながらこなしている感じで謎の安定感がありました。
保育園とかでいえば年長さんと年少さんですからたいていのことはできる年齢と思いますし
自分の子どもの頃を思い出してもお遊戯会とかで劇やダンスや太鼓など
色々やった覚えがありますが(そして本番はみんなちゃんとできてた)、
勘太郎くんたちみたいな大声とかメイクや衣装に耐えられるかどうかは…あれは訓練だよねえ。

ちなみに勘九郎・七之助さんの初舞台で刀を持っていたのはお兄さんだけだったそうですが
今回は2人とも刀を持っていまして、
理由が「長三郎さんがほしがったので」とお兄さんがイヤホンガイドのインタビューでおっしゃってて
何だか微笑ましかったです。
哲ちゃんは普段から色々な意味で大物らしい。

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閉幕後に外へ出ようとしたらスタッフさんから「豆まきがございますのでどうぞそのまま」とアナウンスがあり、
じきに幕が再び開いて役者さんたちによる舞台からの豆まきが行われました☆
桃太郎に出演されていた役者さんたちは拵えのまま、
ほかに亀三郎さんや金太郎くんなど今月の歌舞伎座公演に出演なさっている役者さんも
みんな紋付きで出てきてくれて客席も大盛り上がりの賑やかな豆まき、
鬼役の勘九郎さんと亀蔵さんも豆をまく側だったのがちょっとおもしろかった^^
3階席や幕見席はスタッフさんが配ってくれて、
わたしは手違いで2ついただいてしまいました。楽しかったー!

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千穐楽まで無事に走り抜けられますように。

そういえば初日には松潤が黒スーツに黒帽子で来ていたとか
着物姿の大竹しのぶさんを見かけたとかいう目撃談をTwitterでチラホラ見かけました。
松潤は親友の子の、大竹さんはかつての共演者の孫の初舞台をそれぞれご覧になったのだなあと思うと
心がポカポカしました。
お空の上では勘三郎さんや小山三さんが見守っていらっしゃるだろうなあ。
(そういえば小山三さんは勘三郎さんの初舞台で雉のお役だったそうです)
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03
(Fri)23:45

立春前夜。

わたしは普段から鬼好きを公言してはばかりませんけど、
節分という日は世間の雰囲気もあって勝手にリミッターが解除されて突然鬼語りを始めてしまって
家族や友人や道行く人の時間を奪いかねないので最近はがんばって脳内語りにとどめております。
本日の脳内議題は「酒呑童子と別れた後の茨木童子について」という、
わかる人はわかると思いますが闇まっしぐらの議題でした。
なぜよりによって節分にこんなこと考えてるんだわたしは…。
というかわたしこの議題は日頃から折に触れて考えているせいか、
深入りしすぎて気分が落ち込んでしまうことがあって
適当なところで切り上げないと戻ってこられなくなるので、
そういうときは酒呑童子と茨木童子が一緒にいた頃のことを想像すると回復します。
落ち込むのも鬼のせいなら精神の底から這いあがれるのも鬼のお蔭なのじゃ…。
鬼のことはたぶん一生かけて考えていくだろうし、考えるのをやめられないと思う。

そんなわけで当方では「大江山さんちの鬼たちのバリエーション萌え」について語り合える方を常に募集しています。
星熊童子のアイドルポジションは譲れないとか、石熊童子の歌詠みポテンシャルの高さとか
そういう話をしてから小野篁さんに会いに行きたいです。

とまあ、固い話はそろそろ置いとくとして節分和菓子をもっさり買ったのですよ。
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おととい買った花扇の赤鬼・梅・バレンタイン。
和菓子界のパンツ枠を一手に引き受ける鬼さんのクオリティがすばらしい☆
ほっぺの金色にセンスが爆発しています。

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シャトレーゼの鬼ケーキ・お多福・赤鬼。
鬼ケーキは見た瞬間「買うしかない!」と拳を握ったお菓子です。
中味は苺ムースと苺ソースのイチゴづくし!おいしかった~。

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鬼大集合。
お店が違ってもみんな赤鬼というのが何だかおもしろいね。
鬼といえば赤鬼みたいなイメージは日本霊異記の頃には既にありますが
(体が赤いのではなく赤い着物を身に着けているとされます)、
たぶん中国からの輸入だと思いますが…そういうルーツもいつか辿ってみたい、今後の研究課題。
青鬼のお菓子もあるらしいですが未だに出会えてません~買いたい食べたい。


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毎年この時期、東京製菓学校和菓子科の学生さんたちが銀座三越で実演販売しているのを最近知って
本日行ってきましたよ~。
最終日だったのでお客さんいっぱいで混雑していましたが売り場にはお菓子がこんなに!
隣のブースで学生さんたちがせっせと手作りしていらっしゃいました。

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鬼サブレ・鬼鶏・鬼は外・豆まき・乙女をゲット。
すべて学生さんたちがデザインして作っていらっしゃるそうです。

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鬼サブレ。きゅって怒った顔もキバもかわいい☆

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左上から豆まき・乙女・鬼は外・鬼鶏。
豆まきは節分に使う豆を入れた枡がお菓子になっています。
乙女の丸いお腹の中には白桃の餡子。
鬼鶏はおじゃる丸のキスケみたいな表情がかわいい。

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上の写真で鬼は外だけよくわからなくなっちゃったので別撮り。
豆をぶつけられて泣く赤鬼さんを見事再現!うわあああん。゚(゚´ω`゚)゚。
これを食べろというのですか!(震)食べたけど。苺餡おいしかったけど。
きっと心優しい学生さんがデザインしたんだろうなあ…
鬼クラスタとしてはお礼を申し上げねばなりません、ありがとうございました。おいしかったです←

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こんだけ買ってるのにお店のカウンターで残り2個しかないのを見かけてしまってゲットするしかなかった、
とらやの椿餅です。間に合ってよかった!
道明寺製でもっちもち、かすかな椿の葉の香りもたまりません。

ソシャゲに課金する人の気持ちがわからないと思っていたけど、
よく考えたらわたし和菓子業界に年間かなりの金額を課金してると気づいた。
お金払えば素敵なお菓子が見られるし食べられる!すばらしい☆


そして。
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実は本日、某所の豆まきも見てきたのでした[壁]д ̄) チラッ
次回記事で詳しく書きますね。


本日のお絵かき↓
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酒呑童子(左から3番目)と仲間たち。
節分で追い出された鬼たちにも、どこかに暖かい居場所がありますように。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*