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2017_11
30
(Thu)23:55

ひとは一生に一度、胸おどる旅にでる。

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「旅かえる」をプレイし始めました。
ねこあつめを制作したHitPoint社のゲームで、
ふらりと旅に出ては写真やお土産を持って帰ってくるカエルちゃんのお世話をするというものです。
きっとわたし好みの放置ゲーだろうなと思ったらこれがねこあつめ以上の放置ゲーだった…
この雰囲気、嫌いじゃないぜ(サムズアップ)。

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プレイヤーが机の上にお弁当や旅の道具を用意しておくと、
かえるはその中から好きなものを選んで自由に出かけていきます。
その間家は空っぽになります。ガランとした室内を眺めるのはさみしいです(泣)。
彼の帰還をひたすら待ちますが数時間~1日経たないと帰ってきません。さながら気分は恋人のよう。

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あ、名前は「たかむら」にしました。あえて漢字じゃなくてひらがな。かわいいから^^
(名前の変更はかえるをタップするとできるようです)

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荷物を用意してさしあげる。
お弁当や旅グッズはお買い物で手に入れるのですが、
お金の代わりになるのはお庭に勝手に生えてくるクローバーの葉です。ねこあつめのニボシみたいだ。

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かえるがどんな旅をしているのかは、時々送られてくる写真でわかります。
この日は名古屋城に行ったみたい。

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鞄に手ぬぐいを入れておいたら使ってくれた!かわいい!!

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お土産もくれます。
この日はお米や地酒、果物。一緒に入道崎の写真が送られてきたから秋田に行ってたのかな?
いっぴんが影になってて形からみてきりたんぽだと思うんだけど、買ってこなかったみたい。

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お庭にあるクローバー群生地。生えるたびにせっせと摘みます。
かえるのお買い物のためならエンヤコラ~♪
普段は生えているのは三つ葉ばかりですが時々四つ葉のクローバーが生えてきまして
これは旅のお守りとして持たせてあげられます。安全で快適な旅ができますように。

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たまにかたつむりのまいまいが遊びにきます。かえるのお友達だそうです。
たまに郵便ポストに広告や福引チケットを入れてくれることもあります。
かたつむりの友達がメールを持ってくるなんてアーノルド・ローベルみあるな…
がまくんとかえるくんかよ…おてがみかよ…(*´︶`*)ホッコリ
そもそもこのゲームのグラフィックがすごく絵本みたいなデザインなので、そういうとこも大好き☆

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まいまいにかえるが持って帰ってきたお土産をふるまうとお礼がいただけるとのことで
まいまいをタップしてういろう(名古屋土産?)を差し上げたところ、
四つ葉のクローバーをいただけました~速攻でかえるの鞄にセットしたよ、ありがとう☆

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旅から帰ってきても彼は自由に過ごしています。工作したり。

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ごはん食べたり。

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書きものしたり。

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本を読みながら舟をこいだり。この動作が最強にかわいい(*´∀`*)。

何というかこう、とにかくやることが少ないゲームだ…こんなの初めてだ…!
クローバーを摘んでお弁当やグッズを買って用意しておくだけだもんね。
彼も本当にマイペースに出かけて帰ってくるだけで、
朝早く出かけることもあれば真夜中に帰宅していることもありますので
タイミングが合わないと1日中会えずにすれ違ったりする。
放置ゲーというとプレイヤーが放置するイメージですがこれはプレイヤーが放置されるゲームではないのか…?
でもそこが、何事も飽きっぽいわたしにはとても合っている気もしますので
しばらく彼の旅に付き合ってみようと思います。…一緒に行けるわけじゃないけど…^^;
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2017_11
26
(Sun)23:39

紅葉と国宝の旅。

京都に日帰り旅してきました☆
目的は京博の国宝展ほか随心院や聖護院の限定御朱印で、
さて他にどこへ行こうかと観光サイトを開けたら紅葉特集が目に飛び込んできて
じゃあいい機会だからかねてから気になっていた東山の紅葉を見てこよう!と思い至ったのでした。
当日は天気もよくて絶好の行楽日和だった!ありがたい。

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いつものごとく夜行バスで早朝に市内入りして朝ごはん。
からふね屋さんのモーニング初めてだよ~。
このお店のメニューはボリュームがあって(当社比)1000円以下でこんだけ食べられます、
卵はふわふわでパンは厚切りもちもちでした。

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バスで随心院へ。小野小町が余生を過ごした土地と伝えられています。
7年前にも訪れていますので小町関連の史跡などは省いて、今回は紅葉を中心に。
入口からこんなに綺麗^^

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小町祭の限定御朱印^^
曼荼羅殿の字は普段もいただけるそうですが小町の料紙に書かれるのはこの時期だけですってよ!
数量限定とのことでしたが無事いただけてよかった^^

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お庭の紅葉も見頃でした。

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池にかかる紅葉と、水に映る紅葉と、水に落ちた紅葉の3つを楽しめる贅沢な空間。
寒くて朝も早かったせいか人が全然いなくてゆっくりできました。
冬が近いから空気も澄んでる気がした。

この後は電車で蹴上に移動。
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南禅寺へ向かいますよ!写真は蹴上駅向かいにあるネジリマンポです。
中に入ってびっくりしたのですが、耐久性を高くするため煉瓦が奥に向けてぐるりと斜めに積まれているんですね。
(ちなみにこの上には蹴上インクラインが走っていたようです…それで丈夫に積む必要があったのか)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2017_11
22
(Wed)23:46

How many were there going to St. Ives?

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帰宅してドアを開けたら娘にゃんこのお尻が目の前にあって
香箱座りしてるのかなと思って前に回ったらスフィンクス座りだった。
何が彼女に起こってここでこうしていたのか。

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「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足になる生き物はなぁに?」
というのがスフィンクスが旅人によくするクイズとされていますが
あれどこでどんな風に生まれてどうやって現代まで伝わってきてるんだろう…みたいなことを
たまに真夜中に考えてドツボにはまります。
(余談ですがスフィンクスはギリシャ語で「きつく縛る」「絞め殺す」を意味するスピンクス(sphink、Sphinx)に由来し、
現代アラビア語では「畏怖の父」を意味するアブ・ル・ハウル(Abu al-Haul)ともいうのだそうな)

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両親のオーストラリア土産のカンガルーバイオリン弾きと一緒に。

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ふんふんと匂いをかぐ。念入りです。
たまに「食べられるのかしら」的なノリでぱくっと甘噛みされる場合もありますが
このカンガルーは無事でした。ホッ。

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まんまる。
先日こたつを出したら布団で早速丸まって眠るようになりました。
もはやアンモナイトならぬニャンモナイト。

娘にゃんこは冬になると「ここはわたしの居場所」と言わんばかりに
こたつの半径3m以内から動かなくなります。
春や夏はよく外出するのに冬になると一切しなくなるので運動不足がちょっと心配。
人間がこたつに入ると70%の確率で娘にゃんこの頭やお尻をうっかり蹴ります。
理由:彼女がだいたいこたつのど真ん中を陣取っているから
そういうときに布団をめくると目が覚めた彼女と目が合って
「ああ…ここはわたしの場所だけどあなたの足くらいは入れさせてあげてもよろしくてよ」的な視線を感じます。
人間が用意して電気代も払っているというのに完全に主導権は猫様です。
仕方ない。かわいいから仕方ない。

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別のまんまる。
母にゃんこは娘と違ってあまりこたつの中は好きではないようで、
冬の居場所はお昼は窓辺、椅子の上。夜は人の膝の上か羽毛布団によくいます。
たぶんその時の気分で行きたい場所を選んでいるんだと思う。

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母の膝にいたお姿があまりにも気持ちよさそうだったので激写。
冷え込む夜は「冷えるわね…」とでも言いたそうな百面相をしながら
さも座布団に座るかのようなノリで人の膝にのそのそと乗っかってきて
そのうちカックーンと寝落ちます。
うちの猫様はそんなに太ってないけど熟睡時に全体重をかけられるとやはり重い。でも立てない。
仕方ない。かわいいから仕方ない。(2回目)

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ぐっすり。しあわせ。
2017_11
18
(Sat)23:11

光をご存じないのですか?それは永遠のもの、輝くもの、奇跡の力、世界を革命する力。

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池袋の東武百貨店催事場で開催中の
「少女革命ウテナTVアニメ放送20周年記念展~薔薇と革命の記憶、絶対運命黙示録~」展に行ってきました。
ウテナの放送から20年を記念して開催される展覧会です。
何ということだ、あれから20年も経ったのかよ信じられないよチュチュ…。
セル画や設定資料はもちろん、台本や当時のグッズなども展示されていたし
何より数多くの撮影スポットが「これ!?」みたいな危うさがあって
企画した方々も作ってくれた方々も「わかってる」感があるなあとすごくすごく伝わってきた。
あと音楽が!会場には輪舞とか光さす庭とか絶対運命黙示録が延々と流れていたよ~♪
今でも歌詞やメロディ口ずさめます…いつ聴いてもかっこいいねあの曲たちは。
そんなわけで会場全体がむちゃくちゃウテナの世界でした。楽しかった!

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監督の幾原氏や原作者さいとうちほ氏へのお祝いのお花もいっぱい来てました。
ウテナの世界には花が似合う。

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鳳学園の校門のような入口。
アニメは新学期にウテナが登校してくるシーンから始まりますが、
彼女は制服が在校生と違ってスカートは履かず黒い学ラン+赤いスパッツで
時間が経過しても学園のセーラー服は着ないでずっとあの格好だったよね。
(桐生会長に負けたとき1回だけ着てたけど)
そんなウテナの気分で校門をくぐります。

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撮影禁止の影絵にすげぇ笑った(笑)。
今回の展覧会は額装展示されているセル画や原画、制作に関する資料等は撮影禁止ですが
それ以外の装飾物の写真撮影は可でした☆ありがたい。

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ちなみに撮影OKゾーンはこちらの影絵。女の子たちはしゃいでますな(笑)。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2017_11
14
(Tue)23:43

久し振りにいただきもの☆

ブロとものあやのさんが先月の遣唐使船カードの記事を見て絵を描いてくださいました!
どうぞクリックして大きくしてご覧くださいやばいぞおおおおお(お持ち帰りは不可です)

ayanosan-ke1.jpg1枚目

ayanosan-ke2.jpg2枚目

ままままま真備に玄昉に仲麻呂に真成の!4人を!!描いてくださいましたよ~~☆
こんなにたくさん、大変だったろうに…!(島本須美ヴォイス)
真備の笑顔は青空に輝く太陽よりもまぶしいし、
玄昉の錫杖がかっこよすぎる件。いや持ち主も負けずにかっこいいんですが。
仲麻呂と文学談義をする真成のかわいさが天元突破、
そうですうちの真成は弟分です…細かく読み込んでくださっていて感激です。あわわ。
そしてさりげなく帰還組と帰還できない組がそれぞれメインになってて泣けてきます…あわわわわ。
ちなみにそれぞれの絵にはあやのさんの随想が綴られています…でもお見せしません…(^v^)
原画をもらったわたしだけの秘密です。ふっふ~~♪

あやのさんは遣唐使の物語が一段落したとき大変すばらしい感想をくださって
今も時折読み返しては元気と勇気と癒しをもらっております。ありがとうございます。
彼らを描いたのが7年前という驚愕の事実にわたしが一番びびっとりますけど
覚えていてくださる人がいらっしゃるのもびっくり&心の底からうれしいです。
思い返してみると当時は(いや今もだけど)たいした知識もなかったのに
ドラマ大仏開眼で突如目覚めた遣唐使への愛だけで描いておりまして、
我ながらえらいものに挑戦していたなと感心してしまう。
たぶん今描こうとすると知らないことが多すぎると知ってしまっているので筆が止まる気がします。
ある程度の知識で行動してみるというのも、時と場合によってはいい経験になるよね。

(歴史に限らず「○○が好き」と言うと「じゃあ詳しいんですね」と言われることが多いのですが
わたしは「手の届く範囲で手当たり次第に情報集めるだけでまったく詳しくないけど好き」なものばかりで…;;
「よくわからないけどそれを見て色々想像や妄想をするのが好き」な性分なんだと思います、根っから。
なので他の歴創クリエイターさんたちに比べて圧倒的に読書量が不足してるし史料批評が未だにできない。
もちろん歴史というのは恣意的な記述をいくつもいくつも積み重ねた上にしか
客観的に存在しえないというのもわかっているつもりなので
読むことはやめず、しかし焦らずあらゆる資料に謙虚な姿勢でやっていこうと思ってます)

あやのさん本当に本当に本っっっ当にありがとうございました!!
大切に眺めさせていただきます~~~!!!

*遣唐使のイラスト記事一覧はこちらです*
2017_11
10
(Fri)23:55

雨がくる虹がたつ。

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丸木美術館に行ってきました。
彩の国民でありながら一度も行った覚えがなく(遠足や課外授業とかでも行ってない気がする)、
ずいぶん時間がかかってしまいましたがようやくの訪問です。

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きっかけはこちら。「丸木スマ展 おばあちゃん画家の夢」を見たくて行きました。

丸木スマは丸木位里の母で、息子たちにすすめられて70歳頃から絵を描き始めていて
特に絵の教育を受けた人ではないけど水彩やクレヨンでたくさんの絵を描いたおばあちゃんだそう。
丸木夫妻は有名ですが、スマさんについては今回の展覧会を知るまで全然知らなくて
絵を見る機会をくださった丸木美術館さんに感謝。
広島に生まれ育ったスマさんは夫とともに船宿と農業をしながら暮らしていたそうです。
70歳の時に被爆し、翌年に夫を亡くして「何もすることがなくなった」とこぼしていたら
既に画家だった位里・俊夫妻が絵を描くことをすすめたのだそう。
73歳のときメバルの絵を家族に褒められたのをきっかけに本格的に絵を始めて
1950年には女流画家協会展にて初入選・特別陳列となり、
「簪」で院展にも初入選しその後3年連続で院展に入選しています。すげえ。

鉛筆による「自画像」が歯を見せてニコ~っと笑った皺だらけの顔でかわいい^^
画風はアンデパンダン的というか、遠近法など何するものぞというような、童画のような素朴さがあって
主に水彩とクレヨンで描かれる故郷広島や自然の風景、動物たち、木や花などの色彩は豊かです。
スマさんが暮らした三滝村の風景は牛のいる農家とか夕暮れの畑にごろごろ並べられた野菜とか
馬喰や柿もぎなどで働く人々の溌剌とした表情もよかったし、
「一粒百万倍」の花いっぱいのバンザイ感が幸せそう~!
四季の花たちも木蓮やツツジ、夏みかん、紫陽花、カンナ、ひまわり、山ごぼう、菊、紅葉、水仙など
カラフルな色遣いで楽しんで描いたんだろうなあというのが伝わってくる。
河童の絵が、手足長くて全身緑色という河童が~!
広島の妖怪はヒバゴンしか知らないけど河童の昔話もあるんだろうか。
仙人の絵も、瓢箪や笠を持ったひげもじゃのおじいちゃんたちがひしめいていて
本当に子どもがスケブに思い切り描いたような奔放さがあった。

動物の多くはつがいや家族などの構成で描かれていて
1枚の絵の中にピンで描くことは少ないみたい。
院展に入選した「簪」は虫や鳥たち、黒猫、ネズミ、蛇たちが咲き乱れる花のなかにいるし
「おんどり」は花の中に鶏たちがひしめいているし
「母猫」は子猫たちに授乳する母猫がじーっとこちらを見つめているし
「めし」は猫だかネズミだかよくわからない生き物が4匹いて同じ釜の飯を食っているし
「菊と猫」は菊の花に黒猫が寄り添っているし
「雀と猿」はまるで猫みたいな造形の猿がおもしろいし
「野」は白いウサギたちがとってもかわいい。
スマさんはよく猫を描いてるけど一緒に暮らしていたんだろうか、
展覧会を紹介する新聞記事には黒猫と一緒に写った写真が載っていました→こちら
(そういえば丸木夫妻もシャム猫を飼っていたけど(よりによってピカ(雌)とドン(雄)という名前をつけてた)、
子猫も生まれてかわいがっていたというのをどこかで読んだ覚えがある…。
松谷みよ子さんの『黒ねこ四代』も俊さんが挿絵を描いていたよね)
最後の最後にあった「丸木スマ個展ポスター」が最高にたぎった!
1952年1月に福屋というお店で6日間だけ開催された個展で
「絵は誰でも描ける 八十のおばあさん」「院展入選作等150点陳列」とかコピーもよかったし
主催はおばあさん画伯を支える会だし後援も中国新聞社とか広島市教育委員会とかしっかりしてて
おばあちゃんすげえよ!ってなった。
というか、わたしが全然知らなかっただけなんですが
スマさんの展覧会って現代でも定期的に開かれてるみたい…おばあちゃんすげえよ。

「ピカーゆうれい」と「原爆の図デッサン」はこれスマさん自身の経験が元になってるのかな…
原爆の図デッサンはこれまでずっと横向きに展示されていたようですが
ピカドンが発見されたことで縦向きだったとわかり今回から初めて縦向きに展示されるそうです。
横に寝ていると思われていたのかな?展示されている様子はこちらに画像があります。
最近発見された「ピカドン」は広島市三滝町にある丸木家の親族宅にあったそうです。
中央に橋がかかり川が流れていて(三滝橋と太田川でしょうか)、
ピカーゆうれいと原爆の図デッサンによく似た人たちも描きこまれています。
8月6日に自宅で被爆したスマさんは三滝の川の下へ逃げたということなので
その情景なのではと考えられているそうです。
「カニの図」は3匹のカニが波打ち際にたたずんでいる絵で吉川英治氏の旧蔵品だったらしい。
関係者によると吉川氏の秘書の1955年11月の業務日誌に
「赤松俊子(丸木俊)氏来訪、(中略)その折丸木スマ女史筆のカニの図贈らる」とあるそうです。
長らく行方がわからなくなっていましたが3年前に吉川氏の旧宅から発見されて今回が初公開とのこと。


あと、展示室をうろうろしていたとき一角に「小高文庫↑」と書かれた館内表示を見かけて
みしみしと音を立ててきしむ階段を登っていきましたら。
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2階に丸木夫妻のアトリエがありました。

もともとこの美術館の建物は武州松山本陣小高家の書庫だったらしく、
丸木美術館に寄贈された際に1階を展示室にして、2階をアトリエとして夫妻が使っていたようです。
室内には夫妻の遺品である机や画材、画集や絵本、関連資料などが展示されています。
大きな窓からは都幾川が見え、夫妻もこの景色を眺めたんだろうなァとしみじみしました。


そして2階の別室には丸木位里・俊夫妻による「原爆の図」の展示室があります。
原爆の図は第1部~第15部までの連作になっていて
最初は「幽霊」(1950年)1作だけの予定だったそうですが後に3部作の構想となり、
その後も夫妻が折に触れて描き進め、およそ32年をかけて15部のシリーズになったそうです。
丸木美術館ではそのうち1~14部を鑑賞できます。(第15部「長崎」は長崎の原爆資料館が所蔵)

夫妻による原爆関連の作品に関しては、学生時代に修学旅行で長崎へ行った際に「長崎」を見たのと
広島旅行で見た再制作版や、絵本『ひろしまのピカ』などで触れている程度ですし
原爆の図も社会科の資料集とかでは見たことありましたけど本物を鑑賞するのは今回が初めて。
きちんと鑑賞できるかな…という不安もあって長らく先延ばしにしていましたが
スマさんがきっかけをくれたと思って展示室に入りました。
四曲一双の屏風がズラリと並んで、すべてが主に白と黒で表現され、時々赤やオレンジが入っていて
たぶん位里さんが水墨画家なのでああいう表現になったのかな…などと。
わたしが展示室にいた時間にたまたま学芸員さんのギャラリートークがあったので聞いたのですが
「この絵にはきのこ雲や原爆ドームが描かれていない。雲の下にいる人たちがどうなったかを描いている。
屏風は縦1.8m×横7.2mだがこれは人間や動物を等身大に見せるためです」という説明が印象深かった。

丸木夫妻は戦時中は関東に住んでいて、原爆投下3日後には広島に入り救援活動を行っています。
5年後に発表された原爆の図第1部「幽霊」は原爆投下直後の様子を描いていて
あれは夫妻の経験が元になっていそう。
あと資料集とかで見ていたときはまったく気づかなかったのですが人の足元に猫の死体が描かれていた…
とてもつらかったけど気づけてよかったとも思いました。
全体的にデッサンがしっかりしていてぐにゃりと曲がった人間も骨格や肉付きがよくわかったし
表情とか手とかも筋肉を意識して描いてるように見えて余計に生々しさを感じました。
画風はキュビスムやフォーヴィスムとか近代日本画とかの影響がありそうに思う…
あまりはっきり影がついてなくて奥行きもないし、どちらかというとのっぺりとしたタッチでしたね。
すべての屏風が印象深かったけど特に強く残ったのはやっぱり色がついてる絵かもしれない、
第4部「虹」はきのこ雲が湧いた後に黒い雨が降って虹が出たという話が元になっていて
黒い空の片隅に赤と青のすじがすっと引かれているのとか。
第12部「とうろう流し」の、鎮魂のため燈籠を流す人々が抱える燈籠の色彩がきれいで
人の顔や骨が描いてあるのは何となくわかる気がするんですが猫が入った燈籠もあってやっぱりつらかった。
第9部「焼津」や第10部「署名」は人々の強い表情から目が離せなかった…
焼津の絵の隣には和光市中学校の生徒が制作した第五福竜丸の模型(2007年寄贈)が展示されていて
焼津の絵に亡霊のように描かれている同船と対比しているように見えた。
(他にも美術館には鶴ヶ島市の高校による平和記念公園の模型や
松山女子高校の旅行班による広島市産業奨励館(原爆ドーム)の模型、
朝霞市の中学生による千羽鶴と手を繋ぐ男女の絵などが寄贈され展示されています)

こんなのもあるんだ、と思ったのが西陣織で制作された原爆の図。
大阪の実業家の福西さんという人が広島に知り合いが多く、供養のため緞帳を作りたいということで
夫妻に下絵を注文したらしい。
西陣織は2年間かけ制作され1978年に完成・寄贈されていまして
福西さんの希望できのこ雲や原爆ドームが描かれているのが特徴でしょうか。
また、別室の展示室には「水俣の図」(1980年制作)や「南京大虐殺」(1975年)、
「アウシュビッツの図」(1977年)などもありました。
キャプションは夫妻が絵に寄せた言葉が書かれていたのですが
「水俣・原発・三里塚」の絵に「成田空港は半分ほどできましたが」とあって
おお、この絵が描かれた当初は成田はまだ完成してなかったのか…と歴史を垣間見た思いがした。

あと、夫妻は別に原爆の絵ばかり描いていたわけではなく他のテーマの絵も見られました。
俊さんの「鳩笛」(1960年)はとてもよかった!
鳩笛を吹く着物姿の女性の絵で、アヤメの花が添えられていて素敵でした。
位里さんの妹・大道あやさんの絵もあって(越生に住んだ人で美術館もあるよね)、
「解放」(1980年)は梅の花が画面いっぱいに咲いた中を鶏や犬が走り回っている絵で
画風もテーマも明らかにスマさんの影響がある作品でした。
彼女は生前「犬や猫がいていっぱい花が咲いてる絵を見たらみんな『平和がええのう』と思うじゃろ」と話していたそうな。


2階の展示室の一部はアートスペースとなっていて「富丘太美子展 鋳物工場」が開催中でした。
富丘さんは仕事を定年退職してから油絵を描き始めたそうで
亡くなった夫の三郎さんが描いていた鋳物工場や、そこで働く鋳物師に惹かれ描き続けているとか。
圧倒されたのが光の表現で、工場の内部に飛び散る光と背景のコントラストとか
天井から降り注ぐ陽の光とか、光の当たらない工場奥の青さとか。
溶湯の赤やオレンジの色彩がとても強烈で、工場にいるわけでもないのに熱さを感じました。
100号作品が多いせいか余計にそう思えたような…大きい作品は臨場感があるよね。


そういえば吉永小百合さんが今年5月に丸木美術館にいらっしゃったらしく、
直筆の色紙がミュージアムショップに飾られていました。
「今、私達にできることは丸木夫妻の絵をしっかりと受け止め、次の世代に伝えていくことです」という
力強い一文が文末に記されていました。
あと高畑勲氏も9月にいらっしゃったとかで感想を語ってらっしゃいます→こちら

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美術館の向かいに立つ原爆観音のお堂。
左奥にあるのは流々庵といって夫妻が晩年にアトリエとして使った建物で
今は来館者の休憩所になっています。

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石でできた観音像。
スマさんの「ピカは人が落とさにゃ落ちてこん」という言葉の色紙も飾られていた。

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建物の外観には鳩や魚、貝殻などのレリーフが飾られています。
原爆の図の「とうろう流し」や「署名」などにも鳩が描かれていたっけな…。

「翔べ 翔べ 鳩よ 高くあこがれながら
翔べ 翔べ 白い鳩よ 明日は虹色の空へ」
(ダ・カーポ『鳩の詩』)より
2017_11
06
(Mon)23:12

358色のマーチ。

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これも先月の話になりますが、六本木AXISビル地下のギャラリーSYMPOSIAで
4日間だけ開催されていたDISCOVER COPIC展に行ってきました。
コピックが誕生して今年で30年、これまでの歴史と現在を資料や広告などから紹介していて
製品の変遷の様子や今は手に入らない貴重な限定グッズなども見られまして、
わたしもずっとお絵かきに使っているマーカーなので楽しかったです。
クリエイティブな展示はともかく画材の展示会ってあまり行かないので新鮮でした。

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入口。

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会場は撮影可能。そんなに広くはなくさらっと見学できました。

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ファッションデザイナーMarina Meliksetovaさんのデザイン画。彩色にコピックを使っているようです。
マリナ氏のインスタにも同じようなデザイン画がupされていて
こうして色んな場所にコピックユーザーがいるのを知ると何だか楽しくなってきます。
去年でしたっけ、Tooに世界中から注文が来て一時品薄になったりしてたくらい
今では人気な画材になっているので、関係者の皆様にはうれしい悲鳴だろうなあ。

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建築会社のデザインパース作画の彩色に使われている一例。
絵は絵の具で描いてももちろん綺麗ですが、
コピックの良さはパレットや筆バケツを使わずにペン立てに立てておけたりペンケースに入れておけて
その場でキャップを取ればすぐ色が塗れる簡単さにあると思うのでデザインの現場にはもってこいなのでしょう。

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クリエイターさんたちによるコーナーがやっぱり充実していましたね~。
コピックはコミックイラストやクラフト、ホビーなど様々な制作の場でユーザーさんを見かけますが
中でも絵を描く人たちに特に重宝されているように思います。
インクが長持ちするしきちんと保存すれば長く使えるしニブが劣化しなければバリオスインクでいけるし。
高河ゆん氏や峰倉かずや氏による30周年おめでとう色紙(直筆)もあったよ!

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エアブラシキットの隣に月刊ニュータイプの不思議の国の美幸ちゃんカラーメイキング特集がー!
うおお懐かしい…読んだよリアルタイムでこの号…!!
CLAMPさんのメイキングはわかりやすくて、影のつけ方とか葉っぱの水滴の透ける色とか
当時コピック初心者だったわたしにはとても参考になったのでした。
この号買ったと思うんだけどどっかへやっちゃったな…家中探したら出てくるだろうか。

キャプションにも「CLAMPさんが使い始めたことでコミックイラスト制作現場において
コピックが爆発的に人気になった」と書いてあったけど
CLAMPさんの絵を見てコピックを使い始めたという人はわたしの周囲にも一定数、存在します。
実はわたしも例に漏れずCLAMPさんの画集、
もっと言えば過去に連載されていた魔法騎士レイアースの画集の巻末に載っていたメイキングで
作画担当のもこな氏が使っていたのを見てこの世にコピックなる画材があるのを初めて知ったわけでして。
どこで買えるんだろうと近所の文房具屋さんに行ったけど見つからなくて
クラ友の友人に聞いたらアニメイトに売ってるよ~と教えてもらったので飛んでいって
棚に陳列された約300色のコピックを見つけたのが現物との出会いです。
第一印象は「高っけえ!」だったのですが(税込1本399円(当時)はお小遣い民にとって高額でした)、
お財布と相談して3本だけ買って帰りました。
番号今でも覚えてるんですがそれがRV29・B29・G09(赤・青・緑)との出会いだったのよ…
大好きだったレイアースの光ちゃん海ちゃん風ちゃんから勝手にイメージしたベースカラーです。

そこから少しずつ買い集めて近年やっと300色を超えまして(2017年現在コピックは全358色)、
もう少しで全色が揃います。
ブログやpixivや年賀状に使っているアナログ絵の彩色は全部コピックでやっております!
軽いし発色もよくて、重ねるといい感じの色も作れて本当に助かってる。

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キービジュアルの窪之内英策氏の作品。お花がいっぱいでとてもかわいい☆
窪之内氏は上目遣いでこっちを見つめる女の子の絵をよく描いてる人だなという印象。

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タイピンや記念ピンズ、ポーチ、マグカップ、蛍光色セットなどの記念品。
これまでの周年記念やキャンペーンの時に制作されたグッズの一部です。
コピック25周年記念時のブラックボディ(限定モデル)はかっこよかったな~!

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コピックができるまでの展示。
「コピートナーを溶かさないマーカーが欲しい」というユーザーの意見から開発された様子が
設計図や広告、打合せメモなどからわかるようになっています。
カラーチャートも初期から割と多めに企画されていたらしい。

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これが第一号コピック(現コピッククラシック)だ!
わたしが初めてコピックを買いに行ったときもクラシックとスケッチ両方が売ってたなあ。
(ちなみに当時のわたしは軽くて使いやすそうという理由からスケッチを購入したのでした)
だからこの四角い形のコピック使う人を見かけると「おお、年季の入ってる人だ」と思ったりします。

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続いてコピックスケッチが1993年に、チャオが1998年に発売。
レイアースの連載も1993年からですからCLAMPさんは素早く目をつけて使い始めたのだな…。
チャオはスケッチより安いし軽量なので、
小学生や中学生が蛍光ペンを使うみたいな気分で使っているのをたまに見かけます。

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コピック全色。壮観です…。
改めて見るとこれだけの色があるんだなあ…でもまだまだ欲しい色あるんだよなあ…。
次の新色はいつ出るのだろうか、楽しみにしてます。

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コピックプラスチックカラー・ソリッドチップ。
プラスチックにコピックの色を使うとこうなるよ、みたいな色見本として開発されたそうです。
文房具から大道具まで、立体物の試作品を制作する際などに使われたりするらしい。

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宮崎吾朗氏のコクリコ坂からの絵があったー!これも30周年キービジュアルらしい。
吾朗さんがコピック使ってたのは何かの記事で読んだけど
ここで会えるとは思わずちょっと不意打ちだった。
吾朗さんはあまり影つけないけど奥行き感ある絵を描くよね…すっきりしてきれいな絵をね。

ちなみにわたしは影はリアルではなくリアリティでつけたい派。
影のつけ方を聞くとプロアマ問わず「光の向きを考えて」とか「グラデを意識して」とかいう返事がくるし
最終的には「適当」とか無責任なことしか言われなくてどうすりゃいい影描けるんだって悩んだ時期もありましたが
20年描いてみてわかりましたよ。適当だよ。それ以外の言葉が見つからない。
そうして適当な影をつける判断と技術を身につけるにはひたすら作品を見てひたすら描くしかないって
やっぱり20年描いてみてわかりましたよ。近道などないのだ。

あと影関連で思い出しましたが、最近うまく使えなくなったのがスクリーントーンで
マンガ描かずにカラーばかり描いてるせいもあるのでしょうけど
たまに効果的にトーン使おうとするとものすごく手間を感じてしまう。
何種類ものトーンを的確に使いこなすにはセンスと丁寧な作業能力が不可欠ですよな…。
(逆にペンとコピックさえあればどこでも原稿ができるのは便利と言えば便利)
あとこれも余談ですが、以前にどこかで「原作版ナウシカはトーンの量がかなり多いけど人に言われないと気づかない」
みたいな意見を見かけた覚えがあります。
確かに宮崎駿氏は雰囲気づくりや効果を出すような「トーンで絵を描く」手法じゃなくて
「水彩絵の具でグレーを塗る代用としてトーンを使ってる」感があるよね。
マンガの原稿用紙は絵の具使うとふやけちゃうから…代わりなんだと思うよ。

(あと、これも余談になりますけども
いつだったか水木しげる氏が「鬼太郎アニメの色は強いけどナウシカの色はうまい」と
おっしゃっていたのを読んだことがあって
映画ナウシカを水木氏がご覧になっていたと知ってとてもうれしかったのを覚えています。
水木氏の翌年に亡くなった保田道世氏の仕事がきちんと伝わっているのもうれしかった)
2017_11
01
(Wed)23:53

招き猫のお寺。

先月、世田谷の豪徳寺に行ってきました。
招き猫のお寺として有名なので知ってはいて、ずっと行きそびれていたのですが
リンともの橘右近大夫さんが記事に書いていらっしゃったので「うおお行きてえ!」と触発されまして。
あと、先日から世田谷線で走っている招き猫電車にも乗ってみたかったし^^

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小田急線豪徳寺駅の改札を出たら早速招き猫が!

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豪徳寺駅から徒歩1分、山下駅のホームへ。
青や緑の電車が何本か通り過ぎていくのを見送って待っていましたら。

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反対側の車線に招き猫電車キタ~~!
世田谷線の前身である玉川線が今年で開通100周年であることを記念して
9月から毎日1編成だけ走っているラッピング電車です。
思ったよりものすごく猫顔してるぞ…!すばらしいね。

下り電車は山下駅を出ると終点の下高井戸駅まで2駅ですから
すぐ折り返して戻ってくるはずと思って見送って待っていたら、
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戻ってきた~~~乗!れ!る!!+゚+。:.゚(^◇^).:。+゚ +゚

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車体も猫だらけデザインです最高です。
わずかな停車時間にバシャバシャ写真を撮りまくるわたしは
乗り降りする人たちの目には大変奇異に映ったことでしょう、大変失礼いたしました。
わたしはある条件が整うと突発的撮り鉄になります。主に「ローカル線」「新幹線」「限定車両」という名前に反応する。
特に新幹線とローカル線はやばい…番組とかやってたらたいていは見ます。

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乗った!!
つり革も招き猫の耳と手がぶら下がってるよ…欲しい…素敵すぎる。(語彙力)

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車内の床には肉球の足跡が。
列車最後部にいた車掌さんから「陰になってるところが撮りやすいですよ」とアドバイスいただきました、
ありがとうございました!

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むちゃくちゃテンションあがったまま宮の坂駅で招き猫電車を降りて
名残惜しくもふらふらと豪徳寺へ。
さっきの興奮冷めやらず頭が沸騰している上に大量の招き猫に会えると思うと胸が苦しくなってきました。
わたしはもうだめだ。(がんばれ)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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