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2018_01
29
(Mon)23:57

喜びなさい、喜び踊りなさい。天においてあなた方の報いは大きいからだ。

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東京都美術館で開催中の「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」に行ってきました。
ピーテル・ブリューゲル1世に始まる親子4代150年の歴史をたどりながら
16~17世紀のフランドル絵画を概観できる構成になっていて、
直系の親子だけではなく孫や曾孫や子の結婚相手など関係者の作品まであって驚きました。
まさに一族郎党総アーティスト集団ですな。狩野派みたい。
(思えば去年のバベルの塔展でボスとピーテル1世について紹介し、
半年後にブリューゲル一族の回顧展をどーんともってくるのうまいなあと思う…
両方でフランドル絵画の歴史と美術史を学べるよね。
あらかじめ鑑賞者に事前知識を提供して次の企画につなげる主催者さんたち、さすがです)

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有難かったのがこの超わかりやすいキャプション!
ブリューゲルは昔から好きな画家ですけど、親とか子とかいまいち区別がついていない初心者なので
いつ誰の描いた絵か一目でわかるのは大変助かりました。
(後述しますがこれは写真撮影可ゾーンにて撮影したキャプションです、念のため)
あと、鑑賞しながら途中で気づいたんですけど
今回展示されている作品てほとんどが個人蔵なんですね!!
初公開の作品も多いそうで…持ち主の皆さんよく貸してくれたなあ。有難い。

まずはピーテル・ブリューゲル1世とその周囲の美術から。
バベルの塔展でピーテル1世の画風や人物については予習していたので
ああそうだったこういう感じの絵を見たなあ、などと感慨深く思いつつ鑑賞しました。
彼の生きた時代はヒエロニムス・ボスの版画が大流行していて(ボス・リバイバル)、
ピーテル1世もボス風の版画をたくさん制作し「第二のボス」と呼ばれた時期もあるんだよね。
ボスの「告解の火曜日-ワッフルを焼く人のいるオランダの厨房」は
謝肉祭の最終日にワッフルを作って食べる人々の様子を描いていて、
これは翌日から卵や乳製品を取らない断食の期間に入るので前日にワッフルを焼いて食べるという
フランドルの当時の習慣だそうです。
そんなボスの影響をもろに受けたピーテル1世の絵…
バベルの塔展にもあった七つの徳目シリーズからの「希望」や「最後の審判」は
洪水の傍らでびちびち跳ねていたり人々を地獄に飲み込む魚がまさにボスなんだよなあ。
「節制」は算術や天文学、舞台に立つ人や歌う人々など諸芸の中央に
頭に時計を乗せたTemperantiaの擬人化が立っていて
こういう概念の絵画化って昔のヨーロッパ絵画にはとても多いように思う。
「イカロスの墜落の情景を伴う3本マストの武装帆船」は
中央に黒々とした巨大帆船が遠近法を無視してそびえていてまるでバベルの塔の構図にそっくり、
帆船の足元にはボス風の魚が泳いでいます。
彼の周囲にいた人々や同時代を生きた画家の絵も展示されていて、
ピーテル・クック・ファン・アールスト(ピーテル1世の師)の工房による祭壇画は
人物がクローズアップされていて色彩も淡くて絵本の挿絵のような印象を受けました。
(ピーテル1世は師の娘マイケン・クックと結婚している)
ヘラルト・ダーフィット「エジプト逃避途上の休息」は
ユダヤ王ヘロデがベツレヘムの新生児を殺害させるために放った兵士から逃れるために
エジプトへ逃避行中のマリアと赤ん坊のイエスがひと休みしている様子を描いていて
こちらも人物のクローズアップと衣の描きこみがファンエイクを思わせるリアルさ。
マールテン・ファン・ファルケンボルフとヘンドリク・ファン・クレーフェによる「バベルの塔」は
ピーテル1世の同タイトル作品より後に発表されているので
おそらく彼らはピーテル1世の作品を見ているはず。
塔がコロッセオ風の建物に描かれているのは1世の影響を受けたのでしょうけども
手前に人々の生活を描いて塔を奥に配置し、青空に天使を飛ばしているので理想化したのかと思いきや
天使の陰にチラリと見える人物(おそらく神)は険しい表情をしていますから
次の瞬間この塔には雷が落とされるのかもしれない。
ピーテル1世の塔が未完成だったのに対しこの絵の塔は完成しかけているので
まさに現在進行中で神様激おこみたいな。ぶるぶる。

ピーテル1世の息子ピーテル2世、ヤン1世兄弟の時代になりますと
画家たちの興味は人間よりも自然の風景に移っていったようです。
父親のピーテル1世も風景画を残しているけど
「種をまく人のたとえがある風景」など、何となく宗教的なモチーフが取り入れられていて
手前に地面と樹木を、中央に川を、奥に街と山と空を描く構図が多いように思います。
そんな父親の影響を受けたピーテル2世とヤン1世は祖母マイケン・ヴェルフルストにも学びながら
やはり地面と植物、川(または海)、山と空といったモチーフを使いながら
小さな画面の中に風景を描き続けていたようです。
(ブリューゲル一族のキャンバスはほとんどが小さいサイズです)
植物画を多く手掛け花のブリューゲルと呼ばれたヤン1世の「水浴をする人たちのいる川の風景」は
川で水浴びや散歩をする人々や川にかかる橋やその向こうの街並み、
さらに奥には平原や高くそびえる山や空があるというひとつの世界のような絵になっていまして
舟に乗る人々が水面に映っている水影まで描き入れたりと、色々と挑戦している様子がみられます。
「エジプト逃避途上の休息」は中央に大木がどーんと描かれて
根元に小さく、赤ん坊のイエスを抱いたマリアが描かれていて人物画というより風景画になってる。
兄のピーテル2世は主に父親の作風を受け継いでコピーをよく制作したらしい。
「鳥罠」は父親の同タイトルからテーマを引用した作品で
真冬に凍った川の上でスケートやカーリングをする人々と、雪原に設置された板の鳥罠を対比させています。
罠にひっかかる鳥を人は笑うけれど氷の下は水のためいつ割れて落ちてもおかしくないわけで
身の危険を感じ取れない者たちという寓意が込められています。
ヤン1世も同じく「鳥罠」を制作しているけど、
彼の作品は紙の表と裏にそれぞれ鳥罠と氷上スポーツの人々を描いたものでした。
これ意味に気づくとドキッとするな…この時代の作品て本当に頭を使うというか、鑑賞に教養が必要なのですね。
また彼らの絵を見て影響を受けた画家もいまして、
ヨセフ・ファン・ブレダールの「川の風景」や「市場からの帰路につく農民たち」などは
ヤン1世・2世の同タイトルからモチーフが引用されていたりして、リスペクトが見られました。

ヤン2世は父親ヤン1世の自然の描写力を受け継ぎながら、
親のコピーではなく自然をひたすら美しく理想的に昇華しているような表現をする画家です。
「花輪に囲まれた聖家族」は、メインはキリストとマリアですが
彼らをぐるりと囲む花々は種類まではっきりそれとわかるような表現力だし、
「聖ウベルトゥスの幻視」は鹿の角の間に十字架のキリストを見る奇跡がテーマだけどキリストはすごく小さくて
明らかにウベルトゥスの周囲にいる動物や、彼らのいる森の描写に力がそそがれている。
「風景の中の聖母子と天使」もバラに囲まれた人物たちという感じだし
「聖母子と洗礼者ヨハネと天使のいる森」に至っては人物が小さすぎて主役は森だよ。。
(何だか中国の文人画を思い出しました…あれも人物が下手すると点々で描かれたりするよね)
父親と伯父が「鳥罠」に描いた対比も、ヤン2世が描くと「スケートをする人のいるフランドルの風景」となって
スケートの情景のみが描かれて鳥罠は省かれ教育的要素が見られなくなります。
たぶん当時の流行とかもあるだろうけど…お説教より楽しいものが見たいみたいな。。
とはいえ、彼は四大元素や寓意の絵画化も行っているので
そこはやはり父親たちや祖父の系譜なのですね。
「四大元素 大気」は雄大な風景の中を天文の神ウラニアが舞い、
「四大元素 火」は鍛冶神ヘファイトスが妻のヴィーナスと子のキューピッドに盾を見せていて
周囲にはたくさんの鎧と武器が転がり、画面奥には火山も描かれています。
「平和の寓意」は空を駆ける馬車にヴィーナスが乗り、キューピッドが地上に花を振りまいているし
「戦争の寓意」は鎧や死体が転がる傍らで肉食獣や猛禽類が草食獣や小禽類を捕食しているし
「聴覚の寓意」はたくさんの楽器の中にさえずり歌う鳥たちがいるし
「嗅覚の寓意」は籠にどっさり入れられた切り花が今にも香ってきそうなリアリティがあるし
風景だけで作品を終わらせないのが2世らしいなと思います。
ちなみに四大元素の絵は弟のアンブロシウス・ブリューゲルが模写していて
大気と火は構図もテーマもすっかり同じでしたから、
このぶんだと大地と水もそっくりなんじゃないかな。(2世の大地と水は展示されていませんでした)
アンブロシウスの大地はデメテルと、奥に稲刈りをする農民たちの姿が描かれていて
水はアンフィトリテと、魚やカニや貝殻が細かくリアルに描かれていました。
そんな中に、いきなりルーベンスの工房による「豊穣の角をもつ3人のニンフ」が展示されていると
キャンバスの大きさと人物全身図の大胆な構図と色遣いの明るさに圧倒される。
同時代にフランドルに住んでいた画家でもこんなに違うんだなー!
(ちなみにルーベンスの同作はプラド美術館の同タイトルを忠実に模写した数少ない作品だそう)

その後ヤン2世は宗教モチーフから離れて植物単体を描くようになっていきますが
それらはこの後のコーナーで爆発していました。
エスカレーターで2階フロアに上がりましたら、
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展示室入口にこの看板!
ほぼ1ヶ月もの間、このフロアは写真撮影ができるとのことです。わあ。

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待ってこんなにいっぱい絵があるよ全部撮っていいの???
主催者の企画力とコレクターの皆様の英断に感謝感謝、有難く撮影させていただきます。

かなりの数があるので全部は紹介しきれませんので、一部を。
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アンブロシウス・ブリューゲル「ガラスの花瓶に入った花束」。
バラや百合やチューリップなどが丁寧に描かれています。オランダといえばチューリップ。

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ヤン1世と2世の親子による合作「机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」。
ヤン1世は花の静物画というジャンルを確立した人のひとりといわれます。

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ヤン・ブリューゲル2世「籠と陶器の花瓶に入った花束」。
花も籠も色遣いが明るくて、リアルとは違う美しさがあるなあ。

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アブラハム・ブリューゲル「果物の静物がある風景」。
アブラハムはヤン2世の子で、オランダからローマ、ナポリに拠点を移して活躍したそうで
道理で南国風の鳥や果物が描かれていると思った。

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ヤン・ファン・ケッセル1世「蝶、カブトムシ、コウモリの習作」。
大理石に描かれた昆虫画です!
昆虫に混じってコウモリがいるのがおもしろい、当時は虫と同じと思われていたのでしょうか。

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ピーテル2世「七つの慈悲の行い」。
マタイによる福音書に書かれた七つの行いを市井の人々が行う様子を描いたもので
宗教行為をあくまで農村の様子として描いたところがミソなのかな。
父親の作風を受け継ぎながらも風俗画と組み合わせた2世の挑戦が見てとれます。

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ピーテル2世「野外での婚礼の踊り」。
今回展示されている中でルーベンス工房作品を除けば最も大きい作品です。
これぞブリューゲルとでもいえそうな、群衆の楽し気なダンスが生き生きと描かれているなあと思う。
(個人的にはブリューゲルって静物画というより群衆画のイメージなので
おお、やっとわたしの見慣れた彼らが出てきたぞという感じだったのだ)

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解説パネルに掲載されていたピーテル1世「野外での農民の婚礼の踊り」。
2世はこれを見て同タイトルの作品を描いたと思われますが
1世の絵で踊っていた花嫁が2世の絵では座っているんですよね。
2世が参照した版画には花嫁は妊娠しているため踊るのを諦めたという銘文があるそうです。


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美術館1FカフェのArtでいただける、コラボメニューのシュークリームとワッフル☆
断食前にワッフルを食べるフランドルの習慣から考案されたのでしょうか、
ボスの「告解の火曜日」も会場にあるしね。
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2018_01
25
(Thu)23:50

猫は窓辺で伸びをする。

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おわかりいただけるだろうか…。
ある晴れた日の朝の娘にゃんこ様のご様子です。何をやっているのかと思いきや。

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たぶんカーテンのこっち側で日向ぼっこするよりも
カーテンをめくり陽に直接あたる日向ぼっこをする方が暖かいということに気づいたのでしょうね。
にゃんこは暖かい場所を見つける天才だと思ってますけど
まさか家具まで利用するとは。天才オブ天才っ…!(うちの子贔屓)

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のびーっ。ご満悦。

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お腹を太陽に向けたポーズのまましばらく動きませんでした。
すごいぞ…人類は今、新しい日向ぼっこの形を目撃している!
これ今すぐ窓の向こう側に行ってどうなってるか確認したい、
真っ白いお腹だらけの猫さまが見られるに違いない(笑)。

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もちろんスタンダード(?)にこたつでぬくぬく暖まるのも猫様です。
母にゃんこ様はこたつの中が苦手なのですが(入れてもすぐ出てきてしまう)、
こたつに入っている人間の膝の上で寝るのは大好きです。これはそんな図です。
狭くないのかなァと思ってしまいますが、体にフィットする状態がお好きなようです。

(そういえばうる星やつらのこたつねこは冬が明けたらどうしているんだろう…
ものすごい怪力の持ち主なのにおユキちゃんに1回氷漬けにされて動けなくなったことがあるので
寒さには弱いと思うんだけど、春になればこたつに入らなくても大丈夫なんだろうか)


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話は変わりますが最近、ねこまみれのフチ子さんをお迎えしたのでパチリ。

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コップのフチ子5周年を記念して発売されたシリーズで
初めて造形を見たときの驚愕ったらなかったですよ。むちゃくちゃ猫にまみれているじゃないすか!
造形師さんに拍手を送りたい、これはものすごくいい仕事の作品だと思う。

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フチ子さんも6年目に突入ということで、6匹の猫にまみれています。
モフモフに囲まれていいなあこの世の天国…!と思ったけど
猫の平均体重はだいたい3~5kgなのでリアルに計算すると( ˘ω˘ )ってなる。
しかしこうして見ると猫って人間の体のどこにでもくっつける生き物ですなァ…フィッティングにゃんこ。萌え。

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娘にゃんことの対比。こうして見るとうちの猫さまも大きく見えるおもしろさ。
「猫は小さなライオンだ」 By 岩合光昭氏
2018_01
21
(Sun)23:55

和菓子はワンダフル。

今年も干支とお題の和菓子を買いまくりました☆
和菓子にハマって数年経つのでお正月にどういうお菓子が販売されるのかはだいたいわかってきて
たとえ買い逃してもまた来年買えそうなのとかだったらまだいいんですけど、
干支のお菓子は次に食べられるのは12年後ですからね!
…しかも世の中の流行や職人さんの腕は進化しますから
12年後にまた同じ形のお菓子に会えるかどうかはわからないのです…
お題の和菓子も、同じお題は二度と出されないから一月を逃したらもう会えないのです…
となれば今買っておくしかないよね!!まさに一期一会。

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菓匠花見の戌・羽子板・宝船。
わんこのお鬚がサンタさんみたいにモフモフしてるのかわいいし
宝船の帆がきちんと張ってるのもお見事。

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こちらも菓匠花見で別の日に買った紅梅と勅題。
勅題は今年のお題「語」にちなむお菓子ですがこれは…
吹き出しと虹ですから自由な想像力を語ろう!みたいな感じだろうか。

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花扇。戊戌はマンガから出てきたようなわんこ!かわいい!
お題のお菓子は「弾き語り」というタイトルでピアノでした。この発想とセンスはやばい。
苺大福はおまけで入れていただいたものです(*´︶`*)
お店に行くといつも御主人や店員さんがお茶を淹れてくださるのでいただくんですが
わたしがゆっくりできないときは「これおまけね」って必ず何か1つ入れてくださいます。
だから通うのやめられないのよ!熊谷が誇る本当に素晴らしいお店です。

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くらづくり本舗。戊戌のつぶらな瞳がかわいすぎて食べるのに罪悪感が^^;
お題のお菓子は語というテーマから「破顔一笑」をイメージして作られたそうです。
笑顔も時に色んなメッセージを語りますからね^^

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鶴屋八幡。わんこの小さいお口をツンツンしたい。
お題のお菓子は初音の源氏香だから源氏物語の「語」でしょうか。
(ちなみに初音は六条院のお正月を描いた巻ですね)

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鶴屋吉信の戌の賀。戯れるわんこがとってもキュート☆
何となく応挙の子犬を思い出すのは本店が京都にあるお店だからかな。

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番外編。
マツコの知らない世界で虎屋・鶴屋吉信・両口屋是清の特集を見たあとに
親戚からのお年賀を開けたらとらやの羊羹だった件。
長持ちするからゆっくり食べるよ!戌年パッケージかわいい。

そしてこちらはさらに番外編。
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先日、高麗屋さんの襲名披露興行を見に行った件について書きましたが
その舞台とAGFがコラボして「勧進帳」を題材にオリジナル和菓子コンクールが開催され、
埼玉の小松屋本店が優秀賞を受賞したと聞いて
「こ、これは超めでたいし何よりお菓子が超絶的にすばらしい買いに行かねば…!」と使命感にかられて
光の速さで注文して昨日受け取ってきました!
常時お店で販売しているわけではなくオーダーメイドのため電話で注文すると作ってくれます。
幸四郎さんが監修したそうで本店にはサイン色紙も飾ってあって間近で見せていただきました!最高。
(他のお店のデザインやグランプリ作品はAGFのサイトで見られます→こちら

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こちらが小松屋さんの「わがしばなし 勧進帳」。開けるよ!!

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開けたよ!!!
和菓子に合うというAGFのコーヒー「煎」がセットになった商品です。

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お菓子はこんなの!
すごい、勧進帳がテーマの和菓子がいただけるなんて夢みたいだ…!!

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左から、読み上げ:弁慶が読む白紙の勧進帳
詰め寄り:富樫に切りかかろうとする四天王
打ち据え:金剛杖で打たれる義経
酒宴:弁慶が延年の舞を舞う宴で振るまわれるお酒
個人的にすばらしいと思ったのが義経です。かわいくて雅で小さくて、叩いたら割れてしまいそう。
お店の人も義経が気に入っているみたいで「うちの社長がんばったと思います!」って力説してて
わたしも「おっしゃる通りです!」って盛り上がりました(笑)。
先日のお舞台を思い出してもこのまんまの義経がお舞台にいたなって思うくらいの出来。職人さんてすごい。

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Twitterにお菓子の写真をアップしたところ、
フォロワーさんが「四天王を割って食べるの楽しそう」とおっしゃったので割ってみましたら
何だかワラワラ感が出たなあと(笑)顔もついてるし。
左上に写っているのは和菓子ナイフです。とても綺麗に切れて使いやすいので気に入っています。

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義経の笠を外してみました。やばい最高にかわいい。
こんなかわいい子をぺしぺしするなんて無理だ!いや、ぺしぺしどころか食べるんですが。。

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小松屋さんの上生菓子もいただいてきたよ。日の出の鶴。
既に20日経ってしまいましたが今年がよい1年でありますように。
2018_01
17
(Wed)23:28

京都で初閻魔。

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はい新年早々、京都に行ってきました(笑)。
奇跡的にお休みが取れたのですが夜には関東で用事があったので
お昼過ぎまでのちょこっと滞在しかできなかったけど、
例によって六道珍皇寺さんの「お正月の初閻魔に御札と御朱印あげるからおいで」というお誘い(?)を
目にしておきながら涙を呑むことにならずに済んだのでよかった。
何回目だこういうの!楽しいからいいのだ!!(笑)

いつものように夜行バスで行きまして、京都の冬だから寒いだろうと思っていたのですが
この日は曇りで朝の気温があまり下がらず想像していたよりも過ごしやすかったです。
(とはいえ寒いことに変わりはないのでお腹と背中をホッカイロでサンドイッチして行動ですよ)
2018kyoto_3.jpg
閻魔・篁堂も初閻魔詣で仕様。
献灯台には火がともされ献香台からはお線香の香りもしていて、
堂内の閻魔王坐像の前には果物やお酒などのお供え物がされていました。

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ひととおり準備が整ったところでご住職がお経をあげて新年斎日の法要が行われました。
拝観者の延命・除災・除病を祈願するものだそうです。
冬の空に響く声明とチーンという鈴の音。ひんやり。

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矢二郎にいさんがいた!
アニメ放映の年が明けても受付に置いてくださるのうれしいです。

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鐘楼に鬼瓦がいたことに今更気づいた、落慶から半年も経ってるのに。。
怒ったり悲しんだりしてる風でもなく、穏やかなお顔でこちらを見下ろしている鬼さん素敵。

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法要で祈祷されたお札と銀紙御朱印も無事にいただけました。ありがたや。
お札は床の間に置いて今年の延命・除災・除病を祈願することにいたします。

この後は四条河原町へ移動~。
(いつもの朝ごはんの写真を載せてないけど撮り忘れてしまったからで、ちゃんと食べました。ご安心を)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2018_01
13
(Sat)23:54

博物館に初もうでその5。

2018tohaku_1.jpg
東博の「博物館に初もうで」に行ってきました!
今年のミュージアム始めも去年に続き東博からスタートです。
何だかんだで毎年来ているので、この垂れ幕もすっかり見慣れましたな^^

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一番見たかったのはこれ!新春特別公開の鳥獣戯画断簡。
もともとは鳥獣人物戯画の一部だったと考えられていて、現在は重要文化財に指定されています。
絵柄からすると甲巻から分かれたのでしょうか…
どの部分に挿入されていたのかな、甲巻に動物たちが食べ物を運んでいるシーンがあるけど
あれらの近くに配置されていたんだろうか。

2018tohaku_3.jpg
こちらも新春特別公開、国宝「釈迦金棺出現図」。
釈迦の入滅後に母親が駆けつけたところ、釈迦が一度だけ起きあがり説法をしたという
いわば涅槃図のその後を描いた絵です。珍しいなー!
中央にいるのが釈迦で、今まさに起き上がり何かを語りだそうとする様子はとても劇的。
もともとは京都の長法寺に伝わり現在は京博が所蔵している絵で、
国宝のうえだいぶ傷みもあるので滅多に展示されないそうです。大変貴重な機会でした☆

新年やお正月を意識した展示もありましたよ~。
2018tohaku_4.jpg
涛川惣助「七宝富嶽図額」。
これ絵の具で描かれたのではないんです、七宝でできた富士山なんです!
ちょっと見た目わかりにくいんですけど実物を見たときは表面が凸凹しておりました。綺麗だった。

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富士薄名月柄鏡と、鷹飾簪と、茄子に黄金虫水滴が並んでいる展示ケース。
一富士二鷹三茄子を美術で楽しめる趣向です。

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歌川豊春「新板浮繪七福神寶舟湊入之圖」。
初日の出の朝に七福神の乗った宝船がやってきていて
空には鶴が飛んでるし海の波には亀がいるという、おめでたいもの尽くしの図です。
初夢を見る夜は宝船を描いた絵を枕の下に置いて寝るとよいといわれますけど
この絵を置いてもいい夢が見られそう。

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今年は戌年ですので犬をテーマにした「犬と迎える新年」という特集陳列がありましたので
一部をご紹介していきます。
写真は「板彫狛犬」。鎌倉時代の制作と伝わる筋肉ムキムキのかっちょいいワンワンです。
檜の板に浮彫された狛犬で、伝来はわかっていないそうですが
ここに来る前はどんな社殿でお社を守るお仕事をしていたのだろうか。

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2018_01
09
(Tue)23:57

文化の祭典その2。

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東京国際フォーラムのJ-CULTURE FESTに行ってきました。
去年に引き続き入場料無料で開催されていたお正月イベントです。
写真はイベント会場で販売されていた、鎌倉にある手毬さんの和菓子だよ~☆
戌年のワンコにリンゴに水引のついた菊、それぞれとってもかわいい!

今年もEホールのロビーギャラリーは京都の井筒さんによる力の入った展示がたくさんあって
「宮廷文化・今昔物語」として内容も数もパワーアップしておりまして
去年も思ったけどほんとに無料で見ていいのかと!
写真撮影OKだったのでたくさん撮ってしまいました。勉強にもなるし目がしあわせ^^
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かさねの色目コーナー。
グラデーションが美しい…!と見とれると同時に、この枚数を重ね着していた当時の女性たちのパワフルさにも
もう何百回目かわからないけど思いをはせました。
当時は現代に比べて着物の生地が軽かったというけど、
これに唐衣と裳と長い髪が加わるわけで…いやはやすごい。しかし綺麗。
染料に使われる植物やそれで染めた糸玉なども展示されていて、和色好きなのでテンション上がった☆

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平安時代のお食事を再現したコーナー。
1137年9月に崇徳天皇が仁和寺の法金剛院御所に行幸して競べ馬を見た際の酒肴と御膳を
江戸時代の書物『類聚雑要抄指図巻』から再現したそうです。
天皇や皇太子の食事は再現されている事例を時々見かけるけど
大臣やその他公卿たちの膳があったのがワクワクしました。
天皇は御膳が4つもあるけど公卿さんたちは1つでコンパクトにまとまっているのよね。

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牛車もきてた~たぶん去年と同じものかな?
近くで写真を撮っているのは2日と3日にだけ行われていた装束体験の人たちです。
事前申し込みで平安~鎌倉時代の男女の装束を無料で楽しめたそうで(わたしは申込みそびれました)、
大人だけではなく子どもサイズもあったので十二単&壺装束とか、パパ烏帽子さんと少年烏帽子さんとか
平安親子や鎌倉親子がそこら中に溢れていました。目の保養。

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中から素敵な袖がチラリと。こういうのを出車というそうです。
乗っている人の顔が見えそうで見えないのが御簾のロマンだよね。

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「十二単の変遷」と題して宮廷女性たちの装束の移り変わりを等身大のお人形で紹介するコーナー。
手前が飛鳥時代、つまり天武・持統朝の女官朝服で
高松塚古墳壁画に描かれた女性の装束を参考に再現されたそうです。
さらに奥には奈良時代、平安時代…と、だんだん時代が新しくなっていきます。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2018_01
05
(Fri)23:15

こいつぁ春からその6。

2018kabukiza_1.jpg
お正月に歌舞伎座にて壽初春大歌舞伎を観てきました☆
新年一発目のお舞台は高麗屋さん三代同時襲名披露ですぞ!
幸四郎さんが二代目白鸚を、染五郎さんが十代目幸四郎を、金太郎さんが八代目染五郎を襲名なさる公演で
前回の高麗屋三代襲名から37年振りに再び三代一緒に襲名なさるのだそうな。
37年前って生まれてないや…!何という慶事。誠におめでとうございます☆

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木挽町広場にあった羽子板。
勧進帳の登場人物があしらわれています。富樫、弁慶、義経。

2018kabukiza_3.jpg
まずは幕見席に並んで昼の部最後の演目、寺子屋を観劇。
白鷗さんの松王丸が見たかったのですが、
もっと言うと去年左腕を骨折した猿之助さんが涎くり与太郎役で復帰なさると聞いて心配で
でもやっぱり見たかったという気持ちもありましたので。

寺子屋は過去にテレビで海老蔵さんの松王丸を見たのでストーリーは知っているのですが
今回は白鷗さんなので重厚な松王丸になりそう…などと想像しながら幕開け。
菅原道真の息子である秀才さんをかくまっている源蔵さんの寺子屋にて
小学生くらいの子どもたちが自習しているシーンから始まるのですが
その中にひとりだけ、明らかに年齢が他の子よりも高そうな男の子がひとりおりまして
「おりゃ、坊主天窓の清書したぞお」などと、墨書きしたへのへのもへじを自慢気に掲げたのが
涎くり与太郎こと猿之助さんでした(^◇^)☆
澤瀉屋~!の大向こうとともに大きな拍手、お帰りなさい~~~うわああああ。゚(゚´ω`゚)゚。
墨のついた手で鼻をこすって真っ黒になったり子どもたちに追い回されたり相変わらずのかわいさ無敵!
お迎えに来たパパ役の東蔵さんに「あの赤い顔したおっちゃん怖い!」(後述する左団次さん)って大泣きして
「歌舞伎座の高麗屋襲名の切符買うてやるから」って言われても「もう昼夜とも買っとるがな~」って泣いて
「三階のめでたい焼き買ってやるから」「やだ~~~」とかもう、もう、だだっ子ぶりめっちゃかわいい(^O^)☆
でも「坊、けがはもう大丈夫かいな?」と問われると
「おめでたい舞台に間に合うように精出して一生懸命リハビリしたんじゃ!」と元気いっぱいに答えていて
ここでも大きな拍手がおきました。
たぶんまだ完治してなさそうな左手はたどたどしくも不自然さを感じさせなくて流石でしたし、
与太郎ってこんなに豊かな役なんだなと思わせてくれました。
無理しないでゆっくり治しながらゆるゆる復帰していってくださいね~。

さて、秀才さんをかくまっている源蔵さんは菅原道真の一番弟子なのですが
色々あって今は山奥で寺子屋をしております。
梅玉さんのいぶし銀の芝居、何とかして秀才くんを守ろうと思案顔。
庄屋さんから「秀才がそこにいるのわかっとんじゃ首はねろオラァ」と物騒な命令を下されていまして
そんなこと言われても「せまじきものは宮使えじゃなあ」と悩んでいます。
でもって考えることがすごい、寺子屋に来ている子どもの中から誰かを身代わりにしようと思案顔…
ちょっとちょっとちょっとーー!子どもたち何の関係もないじゃないのよ~~~!!
これだから封建社会は。。
そこへ妻の戸浪さんが連れてきた小太郎という男の子が秀才くんによく似て品がいいということで
源蔵さんは小太郎くんを身代わりにしようと目をつけます。
「若君にはかえられない、子の母が止めるなら母子もろとも」という夫のたくらみを聞かされた戸浪さんはびっくり、
雀右衛門さんの手堅いお芝居もあっていっそう気の毒になりました。
これだから封建社会は!!

そこへ藤原時平の家来である春藤玄蕃と松王丸が首実検にやってきます。
左団次さんの玄蕃の方が身分が上のはずなのですが、とにかく松王丸の存在感がすごい!
籠から「お待ちなされ」の声が響くや、もうここから拍手喝采、高麗屋!の大向こうが飛び交って
白鷗さんがゆったりと現れたときには最高潮に盛り上がりました。
正直、さっきまで猿之助さんかわいい…とかホワンホワンとしていた空気を
白鷗さんが重厚なオーラで容赦なくふっ飛ばしていった気がします。高麗屋ー!しゅごいよーー!!
病気の設定なのでたまに咳き込んだりしながら「ごまかそうとしても無駄だぞ」とか凄んで
源蔵さんに小太郎くんの首を討たせるのですが、
その音が寺子屋の奥から聞こえた瞬間、眩暈を覚えたのかふらふらして
でも無様な姿は見せられないとすぐに直立不動の姿勢に戻るのはお見事でしたし
首桶を開けてそこに小太郎くんの首があるのを見たときも一瞬、ああっと驚きはするんだけど
「若君の首に相違ない、よくやった」と苦しそうな表情で源蔵さんに言葉をかける松王丸は
オチを考えるとしんどすぎてたまんない。
実は小太郎は松王丸の子で、秀才くんを守るため、ひいては菅原道真に忠義を尽くすために
松王丸とその妻千代さんが寺子屋に入れて身代わりにさせたのでありまして
(しかも小太郎くんは笑顔で討たれたっていうし)、
「倅がお役にたったわい」とか泣きながら喜んでいるかと思いきや
小太郎くんのために野辺送りをしようと舞台上で白装束にお着替えするのもすごいし
お焼香するとき白鷗さんほんとに泣いてらしたのもすごい。
熊谷陣屋のときも思ったけど、こういう、主君のために家族を犠牲にする物語は
当時の封建社会への痛烈な批判精神がないとできないよな…。
千代役の魁春さんも安定していましたし、
さらに秀才の母である園生の前(藤十郎さん)がとてつもない存在感を放っていた。

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お昼ごはんを食べた後は夜の部です!1階席のチケットだよ!!
ロビーには鏡餅を始め色とりどりのお正月飾りがあって華やかでした。

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2階ロビーにあった祝い幕を入れる箱。
実際に使われることはなくても(そもそもこの大きさではあの巨大すぎる幕は入らない)、
箱を作っておくっていう精神がいいよね。

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そんな祝い幕、今回はこちらです!
富士山と三歩の松原ですっきりとした新年らしいデザイン。

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今回はここから観劇します。
ほぼ舞台のど真ん中で、祝い幕の3つの家紋が目の前!
まさにお年玉のようなお席が戻ってきたもんです…待っててよかった。ほんとに。

幕開けは双蝶々曲輪日記の「角力場」から。
贔屓筋にあたる若旦那の恋愛をかなえるために、
芝翫さんの濡髪長五郎と愛之助さんの放駒長吉が対決するのが見どころのお芝居です。
大阪新町の遊女である吾妻さんには与五郎さんという大店の若旦那の恋人がいるのですが
与五郎さんは大の相撲好きで大関である濡髪のスポンサーもやっています。
しかし平岡郷左衛門という武士が吾妻さんを気に入って身請けしようとしているので2人は困っています。
平岡さんは長吉を贔屓にしていまして、
彼と濡髪を勝負させ長吉を勝たせて与五郎に恥をかかせ、吾妻さんを身請けしようと企んでおりました。

与五郎と長吉という正反対の2役をらぶさんがこなしているのが見どころのひとつです☆
与五郎さんは柳腰で品のある若者で、
濡髪がちょっとつついただけですってんころりんと転んで怪我をしかねないほどひ弱です。
お世辞にも弱くて、ちょっと誉められただけでお財布あげたり羽織あげたりしちゃいます。
濡髪が「若旦那を送ってやれい」とお供をひとりつけると、
そのお供が持っていた濡髪の浴衣を着せてもらって大喜びしてるのがとってもかわいい、
推しの着物を着られるとか何てすばらしい出来事…!!オタクとしてはうらやましい限り(笑)。
一方、長吉は米屋の息子から関取になったという設定なので立ち振る舞いも大ざっぱで
しかし一本筋の通った若者という感じ。
放駒の名前からイメージした将棋の駒をあしらった着物をもらって素直に喜んだり
濡髪に「わざと負けてやったんだ」と言われ激高するシーンは
メイクで特に顔が赤いわけでもないんだけど顔を真っ赤にしてカンカンに怒っているみたいな雰囲気が
全身から伝わってきましたよ~らぶさんすごい!
芝翫さんの濡髪は大柄で鷹揚で、与五郎さんに対してはとても穏やかですが
長吉に対してはやはり関取同士ということもあり貫禄を見せていてかっこよかったです。
2人が睨みあってすわ勝負か?というところで終わってしまうんですな。続きもあるみたいなので見てみたい。


続いては「口上」。
金屏風にお三方の家紋がでーんと描かれた背景がかっこよかったです!
勘九郎さんの「37年前の三代同時襲名のときに生まれました」とか七之助さんの「大好きな高麗屋さん」とか
愛之助さんの「幸四郎さんとは同世代なのでここで言えることも言えないこともいっぱいやった」とか
芝翫さんの「あーちゃん」呼びとか、年代が近しい人たちのトークは萌えます^^
3代同時襲名というおめでたい日でも左團次さんは安定してしゃべるしゃべる、
学校がずっと一緒だった白鸚さんは学級委員長をやったりしてずっと優等生だったけど
自分は高校生のとき踊りや長唄の稽古をやめてキャバレーに通ったりしたとか。隣で吉右衛門さんが笑ってた^^;
そんな吉右衛門さんは「勧進帳で父の白鸚に教わった富樫を演じます」とあっさりさっぱり。
東蔵さんの「新幸四郎さんが小さい時に絵を描いて送ってくれた年賀状を今も持ってる」とか
鴈治郎さんの「幸四郎さんはおもちゃ箱のようで何が飛び出してくるかわからない」など
お人柄やお芝居に関するお話も素敵でした。
最後に白鷗さんが「三人そろっての披露が再び盛大に行えてうれしい」、
幸四郎さんが「天に向かって舞台に立ち続ける所存にございます」、
染五郎さんが「これからもいっそう芸道に精進いたします」と締めくくられて
盛大な拍手と大向こうが餞のように注がれました。よい時間だったー!
(猿之助さんが参加されていなかったのが残念ですが英断だと思う、お大事にしてほしいです)

幕間にお弁当を食べながらイヤホンガイドのインタビューを聞いていたら
幸四郎さんが歌舞伎の登場人物で野球するなら誰をメンバーに入れるかみたいな話してて
「4番は関の戸の関兵衛がいいですね」とか「7番は五右衛門。盗塁してほしい」とかおもしろかったです。
話が長すぎてちょこちょこ早送りされてるのも笑った^^
自由すぎて大変おもしろいので夜の部に行く方は借りた方がいいですよ。

さ~てこの後はいよいよ勧進帳です!
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花道の引幕が五色になっていました☆松羽目ものだからかな。

勧進帳のストーリーはもう説明の必要がないほど有名ですので省きますが、
テレビで團十郎さんや幸四郎(現白鷗)さんの弁慶を何度か見たことがありまして
でも生で見るのは初めてだったのでせっかくなら生音を聴きたくてあえてイヤホンガイドを外して観劇しましたら
それが大正解だったと終幕後に思いました。
花道に弁慶が登場したときは劇場の隅から隅までずいいっと全部もっていってたし
ああ幸四郎さんものすごく気合い入ってるなって感じましたもん!
さっきの口上で梅玉さんが「芸の線が太くなった」とおっしゃっていたけど
その通りとても安定したお芝居でした。

相手役の富樫が吉右衛門さんなので、見どころのひとつは叔父と甥による丁々発止なわけですが
お互いに容赦なく全力でぶつかっていっている感じでした。
とにかくセリフの応酬が激しい!
富樫が勧進帳を読むように命じて弁慶が白紙の巻物にまるで字が書いてあるかのように朗々と読み上げるところ、
巻物を覗きこもうとする富樫に気づいてハッと隠して見得をするところ、
読み終えた巻物をするするっと巻いて不動(明王。修験道と関わりが深い)の見得をするところ、
さらに富樫が山伏について問いかけ弁慶がスラスラと答える禅問答のシーンは
弁慶は僧侶だから大丈夫とわかっていても「間違えたらどうしよう」という一抹の不安を覚えてハラハラした。
ここの弁慶のセリフむちゃくちゃ長いうえに最大限に張り上げていて声だけで空気を震わす勢い、喉がしんぱい。
しかも富樫が、これまた絶妙な間で質問をぶつけるんだけど負けてない。
とにかく自分に注意を引きつけてこの場をやり過ごさねば!みたいな気迫がビンビン伝わってきました。
義経を杖で打擲するのも一瞬ためらって、なるべく短く、しかし大胆にパッと叩いていて
関所を通過して海岸に至ってから大泣きして謝る姿はちょっと、かわいい。
自分はなぜこんな目に遭うのかと嘆く義経を励ますために
あなたはこんなに頑張ってきたと源平合戦について語るシーンも見得をしながら勇壮に語っていて
(勧進帳は附け打ちの少ない演目で、見得が決まるときも鼓と笛が鳴るのですが
ここはラストの六方以外で唯一附けが入るシーンでもあります)、
義経に対する情愛がとても深い。
追いかけてきた富樫がお酒をふるまってくれるときも大きな盃でうわばみのように飲んで
そんな場合じゃないのにひとさし延年の舞をいい気分で舞ってくれて
酔っぱらってるはずなのに足取りもしっかりしているのはさすが弁慶と思わせてくれるところ。
義経と四天王を逃がした後、花道にひとり残って見えなくなった富樫に一礼して
引っ込みで所作板をダン!と、壊れるんじゃないかというド迫力で足音を出したときは劇場が揺れたような迫力だった!
空気も客席も震えましたよあれは…ああわたしこの瞬間のためにチケット代払ったんだって思ったよ…!
豪快な飛び六方による引っ込みも心臓にビリビリくるほどにしびれてかっこよかったーー!!
あの弁慶と同じ空間にいることができたという喜びと感動は計り知れない、
ありがとうございました。ありがとうございました。

これまで見た(といっても数えるほどですが)どの弁慶よりも感情移入した弁慶でした。
というか弁慶ってこんなに深いキャラクターだったんですね…
ドラマや小説によっては義経に振り回される苦労人だったり脳筋にされたりしますけど
この演目の弁慶は非常に多くの面をもった人物だと思う。
そもそも比叡山で学んだならお経暗記してるだろうし、学問をした人だから頭よくて機転もきくし
僧兵で武道の経験もありますから人の闘志や殺気にも敏感で
仲間を押しとどめるパワーと聡明さを持ち、何より義経にとってマイナスになることは絶対にしない。
こんな複雑な人物を、そうとわかるように役者さんは演じてるんですね…!
弁慶がいかに難しい役なのかやっと少しわかった気がしました。

吉右衛門さんの富樫がとにかくすばらしくて、これまで見た中で最も強く厳しい富樫だと思いました。
関所で責任を全うしようとする仕事人であり、疑って悪かったとお布施をさしあげる人格者であり
「強力、とまれ!」と刀に手をかける武士であり、弁慶の心意気に涙するやさしさを持っている。
一行を義経主従だと完全に見抜きながら切腹を覚悟で見逃すときの表情の動きにやられました。かっこいい。
一行が関所を出たあと酒と肴を持ってきてくれるのもやさしい。義理人情に篤い男・富樫!かっこいい。
染五郎さんの義経は…あんな美少年だったらそりゃ一発でバレるわ…^^;
幕開け冒頭にて最初に花道に登場するのが義経で、
七三に止まって天を仰ぐ姿は光り輝いていてまさに貴公子☆
染五郎さんはまだ中学生だというのに歌舞伎座の花道にするりと立つだけで
客席の視線をぜんぶ掻っ攫っていく美少年だったよ!末恐ろしい役者さんです。
ていうかこの演目の義経ってほんと何もしないね(爆)偉い人だからでしょうけど。
四天王(亀井六郎・片岡八郎・駿河次郎・常陸坊海尊)も鴈治郎・愛之助・芝翫・歌六という強すぎるメンバーで
義経が疑われて刀に手をかける富樫に挑みかかろうとするのを弁慶が一人で止めていたけど
あれ4人があと数秒がんばってたら弁慶が力尽きて全員で富樫に斬りかかっていたかもしれない、
それくらい強そうな四天王でした。
彼らが仏像のように後ろに控え坐しているときの安心感ったらないよね!うちにセコムしにきてほしい。


続いての相生獅子もよかったです☆
大名家の座敷を舞台にした女形2人による所作で
初演は初代瀬川菊之丞といいますからたいへん古風で優雅な舞でした。
正直、勧進帳の興奮がまったく冷めていなかったので途中までよくわからなかったんですけど(汗)、
扇雀さんの落ち着いた&孝太郎さんのかわいらしい舞踊にポ~~っとなった☆
鈴のついた小さな獅子頭を持ってひらひらと舞うのも優雅だったし
差し金の蝶がヒラヒラ飛んでいるのを追っていったん引っ込んで再び登場してからの獅子狂いも
牡丹の花の中で舞う獅子を想像しながら見るとおもしろくなってきます。
最後の演目、三人形は雀右衛門さんの傾城、鴈治郎さんの若衆、又五郎さんの奴による舞踊で
お人形に魂が宿って踊りだす、という設定で特にストーリーはありませんが
夜桜が咲き誇る吉原仲之町にて夜更けまで大らかに踊る3人はとても楽しそう。
最後に総踊りとなり附け打ちの見得でフィナーレでした☆
とにかくお客さんに「きれいなものを見た」といい気分で帰ってもらいたいという趣向なのだそうで
確かにとてもいい気分になれましたし、高麗屋さんの襲名を祝う華やかなステージだったと思う^^


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千穐楽まで無事に走り抜けられますように。
帰りがけに歌舞伎稲荷神社に初詣、今年も一年皆様が息災でお芝居できますように。

とにかく勧進帳の衝撃が忘れられなかったので
帰路に着きながら電車の揺れさえ何だか気持ちよくてシートでうつらうつらしてしまって
帰宅してからも何ともいえない心地よい余韻に浸っておりました。こんなお舞台久しぶり。
何度か言ってますけど、染五郎さんはスーッと幸四郎になりそうってずっと思ってたけど
今日の高麗屋さんたちを見ていて皆さん今のお名前に全然違和感がなくてすごかった…
まさに機が熟した襲名だったんだなあと思いました。
コリャイイや、こうらいや。
2018_01
01
(Mon)23:33

2018年が明けました。

゚・:*:・。♪☆彡★Happy New Year★ミ☆♪。・:*:・゚
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2018年が皆様にとってすばらしい年になりますように。

で、毎年恒例。ゆさ的2018年はこんな年です↓

赤壁の戦いから1810年。
鑑真生誕1330年。
阿倍仲麻呂生誕1320年。
小野石根没後、小野岑守生誕1240年。
小野篁の遣唐使拒否から1180年。
伴善男没後1150年。
源博雅生誕1100年。
小野好古没後1050年。
藤原保輔没後、藤原彰子生誕1030年。
藤原佐理没後1020年。
菅原孝標女生誕1010年。
藤原行成没後990年。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン生誕920年。
西行と平清盛生誕900年。
平重盛と藤原成親と藤原師長と北条時政生誕880年。
平維盛生誕860年。
大姫生誕840年。
足利義満没後610年。
ヨハネス・グーテンベルク没後550年。
バーソロミュー・ディアスによる喜望峰の発見から530年。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」完成から520年。
マイケン・ヴェルフルスト・ペッセメルス生誕500年。
エリザベス1世の即位から460年。
ヤン・ブリューゲル1世生誕450年。
上杉謙信没後440年。
アルマダ海戦でイギリス艦隊がイスパニアの無敵艦隊を破ってから430年。
狩野孝信没後、菱川師宣生誕400年。
徳川光圀生誕390年。
江戸の定火消設置から360年。
ヤン・ブリューゲル2世没後340年。
外郎売の初演、歌舞伎の舞台に屋根がつけられてから300年。
仮名手本忠臣蔵の初演から270年。
鳥山石燕没後230年。
エミリー・ブロンテとマリア・ガエタナ・アニェージ生誕、司馬江漢と伊能忠敬没後、ナポレオンのセント・ヘレナ島への流罪、「フランケンシュタイン」出版から200年。
山本覚馬と大浦慶生誕、小林一茶とフランシスコ・デ・ゴヤ没後190年。
ジョルジュ・ビゼーと上野彦馬と九代目市川團十郎生誕180年。
井上円了とイーディス・ネズビットとセルマ・ラーゲルレーヴ生誕、歌川広重没後160年。
河鍋暁翠生誕、近藤勇と沖田総司没後、神仏分離令布告から150年。
菊池容斎没後、紀尾井坂の変、緋村剣心が東京に現れてから140年。
ゴッホの耳切り事件から130年。
マウリッツ・エッシャーとジョージ・ガーシュウィンとルネ・マグリット生誕、ルイス・キャロル没後、キュリー夫妻によるラジウム発見、日本美術院設立から120年。
オスカー・シンドラー生誕、ウィーダとエドモンド・デ・アミーチスとアーネスト・フェノロサと国木田独歩と榎本武揚没後、流刑の廃止、「アララギ」創刊、日本図書館協会発足、ニューヨークの紡績労働者たちによるパンと女性参政権要求デモから110年。
いわさきちひろ生誕、鈴木松年とグスタフ・クリムト没後、第一次世界大戦終結、富山の米騒動、ロマノフ家の処刑、森永ミルクチョコレート発売、「赤い鳥」創刊から100年。
澁澤龍彦とモーリス・センダックとジェームズ・コバーンと手塚治虫と土井たか子と福永令三生誕、ミュシャのスラヴ叙事詩完成、アメリア・イアハートの大西洋横断飛行、映画「蒸気船ウィリー」公開から90年。
カレル・チャペック没後、講談社設立、岩波新書創刊から80年。
ルース・ベネディクトと太宰治没後、世界人権宣言、国立国会図書館開館、第1回全日本合唱コンクール開催から70年。
横山大観没後、売春防止法施行から60年。
村岡花子とユーリ・ガガーリンとヘレン・ケラーと黒田チカとマーティン・ルーサー・キング没後、岩波ホール開館、『A Wizard of Earthsea』刊行、文化庁発足、小笠原諸島の復帰、稲荷山古墳鉄剣の出土、カール発売、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」放送開始から50年。
ジョルジョ・デ・キリコとハンナ・ヘッヒと花森安治没後、ILGA設立、イギリスで初の体外受精児誕生、東急ハンズ一号店の開店、アニメ「未来少年コナン」放映開始から40年。
ロバート・A・ハインライン没後、『空色勾玉』刊行、映画「となりのトトロ/火垂るの墓」公開、青函トンネルと瀬戸大橋の開通から30年。
近藤喜文と黒澤明と淀川長治とhideと白洲正子没後、Google設立、ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」公開から20年。
片岡球子と広川太一郎と石井桃子と角田文衞とイヴ・サン=ローランと氷室冴子と水野晴郎と佐竹昭広と緒形拳と筑紫哲也没後、映画「崖の上のポニョ」公開、アニメ「夏目友人帳」「墓場の鬼太郎」放送から10年。
(はいストップ)
今年も色んな記念の年です。


そして年明け早々に昆虫すごいぜで初笑いをもっていかれるという(笑)。
ラフレシア(カマキリ科)とかお花すごいぜとか衛兵、網くれ!とかEテレの夜中が埋まりまくりだとか
こういう車作ってくれないかなとかカマキリと人間ならカマキリが勝つとか、昆虫だけでなく名言も懐メロBGMも多い。
やっぱり土地によって昆虫の生態も体つきも変わりますね…。
仕込みじゃない現地のガチ昆虫ハンターとの出会いと一方的な勝負もアツかった。
あけおめ声優で朴璐美さんの生アフレコに大興奮したり(エドおおぉぉぉおお)
関さんが戸松さんに「普段はケータくんて呼んでるから」とかウィスみ出したり
平田さんと並んで座ってた森田さんが「虎と兎だから僕らもフレンズなんじゃないか」とか名言だしたり
こたつでアフレコ裏話が聞けたり(ガヤの話は貴重だと思う)、
勝手にオーディションで声優さんごとにアプローチが異なるのとか、楽しかったなあ。
ウルトラマンDASHで本物そっくりのお菓子を作る職人さんの技術が毎年すごいのと
遠藤さん小野さん中澤さんの黄金日本代表トリオが自転車の籠へパス回すのが最高でした。
ヤットさんのピンポイントパスにコントロール抜群のシンちゃんにダイレクトに合わせるボンさん!
惜しくも成功しなかったけど彼らのプロフェッショナルぶりに感動しました。
ボールと籠両方見る必要があったボンさんが一番大変だったよね。
「肝心なのオレだな」「惜しいよ、伸二」「ヤット、今ぐらいのボールで」「(サムズアップ)」
「佑二今のでいい?」「ナイスボール、今のでよかった」「雰囲気出てきたよ」「次で決めます」
的な、下の名前やニックネームで呼び合う皆さんがすてき。

CM初めは3年連続でauの三太郎新作、
読書始めはミネルヴァ書房の『小野妹子・毛人・毛野』でした。
買ったのは先月ですがせっかくなので今年の読み初めにしたかったので積んでおきまして
まず目次を見たら妹子からの三代と道風の時代までの小野氏がほぼまとまっているのがわかったし
巻末には索引がついている!!(これとても重要)小野氏クラスタ必読の書だ。
今年もたくさん読めますように。

としのはじめのよめる
「生酔の礼者をみれば大道を 横すぢかひに春はきにけり」大田南畝
(『蜀山百首』三〇七番)

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お年賀イラスト。
去年が鈴木其一でしたので、今年は谷文晁と風神雷神です。
一週間ほどフリー配布いたしますのでよろしければお持ち帰りください☆※イラストの配布期間は終了しています。

今年も色々なことがありますよ。
エッシャーとムンクとフェルメールの展覧会に行って
ジブリ美術館の展示が変わるから行って舞台も観たいし図書館巡りたいし本読んでお絵かきする!
あと石清水八幡宮行きたいしそろそろ琴平さんにも行ってあの階段をひたすら登りたい!