fc2ブログ
2018_05
29
(Tue)23:53

マンガの記号。

こうの史代さんの『ギガタウン 漫符図譜』を読んでいます。
連載が始まった頃に「鳥獣人物戯画の動物たちをモチーフにしたキャラクターたちのマンガ」と聞いて
コミックスを楽しみに待っておりまして、
いざ買ってみたら想像していたのとは違う内容でしたけど結構、ほのぼのしててかわいかった。
全編通して筆で描かれているのも特徴ではないかと。
(ぼおるぺん古事記でボールペンを使い倒した後は筆ですか…
こうのさんてマンガに対して斜めから実験やチャレンジする人だよね)

鳥獣人物戯画に出てくるカエルやうさぎ、狐、猿、イノシシなどの動物たちが
通勤・通学したり買い物したりお料理したりブランコ乗ったり雪だるま作ったりと
まるで人間のように生活している様子が100余編の4コマ漫画で描かれています。
遅刻遅刻って学校へ走ったり、お勉強したり、放課後に外で遊んだり
お掃除してたら部屋の隅に積み重ねたがらくたに埋まっちゃったり
お餅焼いてみんなで食べたり、ヒマワリの種を植えて育てたり、お化け屋敷へ遊びに行ったり
特に大事件も起きない日常生活がのんびり描かれていてホッとする。
ウサギのみみちゃんがお調子者なダメっ子で、カエルのあおい君は割とクールで
猿のきい子ちゃんがしっかり者というか、性格付けもおもしろい。
そんな中、みみちゃんとあおい君が相撲をとったり海で泳いだりなど
ときどき挿入される原作(?)ネタもクスッと笑わせてくれます。楽しい。

もうひとつの特徴として、漫画表現に使われるいわゆる「漫符」の説明マンガにもなっています。
漫符とはマンガに描かれる記号のことで、たとえば
キャラクターの頭に「♪」が描いてあったら機嫌がいいとか歌っているとか、
「ZZz」と描かれていたらそのキャラクターは居眠りをしているとか、
頭上にハートが描かれていたら恋をしているとか、ハートにヒビが入ったら失恋とか、
顔に縦線や汗が描かれていたら衝撃を受けたとか血の気が引いてるとか疲れているとか、
頭の上にデフォルメされた小鳥が飛んでピヨピヨ鳴いていたらどこかに頭をぶつけてクラクラしているとか。
そういった記号のひとつひとつを、簡単な説明文とともに
鳥獣戯画の4コマ漫画にして教えてくれているマンガでもあるのです。
マンガのルールを意識したことはあまりなかったけど、
確かによく考えてみるとマンガのこの記号は何を表現してるんだろう、と思いながら読むのも楽しかったです。
たとえば、足や腕にグルグルの渦巻き記号が描かれていたら「ぐるぐる回っている様子」
「下半身がこうなっていたら、全速力で走っている様子」「目だったら目が回っている様子」。
ダイヤの形をしたキラキラ模様が描かれていたら「輝いている様子」
「美しさや清潔感、神秘性をあらわすこともある」。
顔が大きくなる表現の漫符のところに「ものすごい剣幕である様子」
「でかいツラ・顔が広い等を表現するものではない」とか説明があって笑ってしまった。
同じように、目の中が真っ白で睫毛だけが描かれていたら「白目になった状態」、
「大きな精神的衝撃を受けた様子」「呆れ果てた状態」「パロディ的表現と思われる」にも爆笑。
あれです、ガラスの仮面で狼少女ジェーンの役をつかんだ瞬間のマヤの表情とか
亜弓おねえさまが「マヤ…こわい子…!」って言ったときみたいなやつです。
鳥獣戯画のうさぎやカエルの目がそうなってるの想像してみてくださいよ、最高に楽しい^^

そもそもこのマンガ、こうのさんのお母様がマンガを全く読めなかったのがきっかけで企画されたのだそうです。
昔から文章を読めるようになるには数をこなせとよく言われますが、
マンガも読めるためには一定のリテラシーが必要なメディアだと思う。
ページのコマは右→左→下へ読んでいくとか、
吹き出しの形やフォントによって話し言葉とモノローグを表現するとか。
「ドキドキ」「シーン」「ガーン!」などの描き文字などもそうだけど
それらの意味するところがわからないと集中して読めないような気がします。
(背景が青空で「チュンチュン」と書き文字があったら朝の表現、というのはよく聞くと思う)
そんな漫符を説明しつつ見事に4コマに落とし込むこうのさんの技術は相当高いとみた。
説明文を読む前に4コマを見てどの漫符が解説されているのか予想しながら
読んでみるのもおもしろいのでオススメです。


自分がマンガを読み始めたのはいつか、はっきりとは覚えていないのですが本と同時期くらいかな…
保育園に通っていた頃から小学館の「ようちえん」とか「小学○年生」あたりの学習雑誌を読んでいて
あれらが始まりだった気がする。
今は当たり前を通り越して空気のように読んでおりますが子どもの頃はどうやって読み方を知ったのかな、
あまり苦戦した記憶がないので自然に覚えていったんだろうと思いますけども。
ノートにマンガめいたものを描き始めたのは小学生くらいですが
もちろんその頃は「漫符」という言葉など知る由もなく、
それでも当時のノートを見返すと「!」とか「ピヨピヨ」などの漫符が使われていて
一体どこで覚えたのか自分でもわからない。
それでも当時のわたしは、その時読んでいたマンガの表現からそれを学んで
たとえ言語化できなくても「たぶんこの記号はこういう意味」とか何とか初心者なりに考えて
使ってみていたのかもしれません。
最初は感覚的にしかわからなくても後になって「あれはこういうことだったんだ」って
言語化できるようになること、結構あるよね。


gigatown.jpg
そういえば鳥獣戯画甲巻には1匹だけ猫がいるんですけど(烏帽子かぶってるやつ)、
マンガに出てくるかなァと期待おりましたが出てきませんでしたね。
虎はいたけど、同じネコ科ですけど厳密にはあの猫じゃないんだよな…
何か事情があるのかもしれませんが、こうのさんがあの猫をどんな風に描くか気になっていたので
そこだけちょっと残念。
狐やフクロウは出ていたのにな~もし続きがありましたらぜひ猫を描いてほしいです。
スポンサーサイト



2018_05
25
(Fri)23:51

一行のきらめき。

Twitterで「#美しいと思える小説のタイトル」なるハッシュタグがトレンドにあがってて
これだいたい年一回くらいのペースで浮上してくるタグですけど、
ずっと眺めていられるので流行るたびに毎回検索しております。
「そうそうこんな本あったね」とか「素敵タイトル!読んでみたい」とか「わかりみが強い(真顔)」とか
懐かしくなったり知らないタイトルに触れられたりはげどしたり、楽しい。
ご自宅の本棚の写真や、つぶやききれなくて背表紙をまとめて画像でアップしている人もいるし
初読のときの感想やその本をずっと愛してきた時間について一言添える人もいて
色んな本と色んな時間があるなあとしみじみします。
人と本に歴史あり。

本のタイトルを美しいと思うときって色んな理由があると思いますけど、
「文字面のバランスが良い」「リズムや響きが心地よい」「組み合わせの妙」「言葉チョイスのセンスが高い」
「詩的」「色が見える」「景色が浮かぶ」「内容を凝縮している」「シンプルイズベスト」などなど
パターンだったり好みだったり様々あるように思う。
わたしが美しいと思っているタイトルは、
サン・テクジュペリ『星の王子さま』
サマセット・モーム『月と六ペンス』
ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』
アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』
フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』
レイ・ブラッドベリ『十月はたそがれの国』
ハンス・C・アンデルセン『絵のない絵本』
ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
星新一『おせっかいな神々』
坂口安吾『桜の森の満開の下』
二木真希子『世界の真ん中の木』
松谷みよ子『花いっぱいになあれ』
芥川龍之介『文芸的な、余りに文芸的な』
伊藤遊『きつね、きつね、きつねがとおる』
梨木香歩『家守綺譚』『からくりからくさ』
伊勢英子『1000の風1000のチェロ』
阿部智里『烏に単は似合わない』
宮下奈都『よろこびの歌』
皆川博子『花闇』
あたりかなあ。
シンプルに美しいと思うのは上橋菜穂子『獣の奏者』、高楼方子『ルチアさん』、森絵都『DIVE!!』、遠藤周作『沈黙』、
ナサニエル・ホーソーン『緋文字』、フランツ・カフカ『変身』、レオ・レオニ『スイミー』などです。
秀逸だなあと思うのはジェイムズ・ティプトリー・Jr.『たったひとつの冴えたやりかた』、
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、
エドガー・アラン・ポー『アッシャー家の崩壊』、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』、
横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』、カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』、
天沢退二郎『光車よ、まわれ!』、柄刀一『殺意は砂糖の右側に』など。
情景が浮かんでくるのはハーラン・エリスン『世界の中心で愛を叫んだけもの』など。
字面からして不思議で響きも心地よいのは尾崎翠『第七官界彷徨』。タイトルも中身も官能的で好き。
アーシュラ・K・ル=グゥインの本で美しいと思うのは『闇の左手』。
作中の言葉がタイトルになっていて闇の左手、光の右手と続いていまして
ひだりてって読んでもいいと思うけどト書きは「ゆんで」というルビがふってあります。
「闇の左手(やみのゆんで)、光の右手(ひかりのめて)」、好きだ~。
あと『世界の誕生日』とか『世界の合言葉は森』も好きです。『ギフト』もシンプルでいいなあと思う。

エッセイで美しいなあと思っているタイトルは上橋菜穂子『明日は、いずこの空の下』、
白洲正子『たしなみについて』、梨木香歩『春になったら苺を摘みに』など。
歌集は俵万智『かぜの手のひら』、穂村弘『水中翼船炎上中』など。
詩集だったら谷川俊太郎『シャガールと木の葉』、蜂飼耳『隠す葉』、
茨木のり子の詩集タイトルで一番優雅と思ってるのは『食卓に珈琲の匂い流れ』で、
かっこいいと思うのは『倚りかからず』。
戯曲はシェイクスピアの「十二夜」。シンプルで響きも美しい。
というか、いわゆる古典と呼ばれるものはタイトルに技巧が凝らされていなくても
見ただけでわくわくしてしまいますね。
「文選」とか「山海経」とか「ラーマヤーナ」とか「神曲」とか「カンタベリ物語」とか
「クリスマス・キャロル」とか「ジキルとハイド」とか「不思議の国のアリス」とか。
日本の古典で好きなタイトルは『枕草子』がダントツです。なんて情景の浮かぶ呼び方だと思う。
それぞれの段の書き出しが「花は」「草は」「鳥は」「ありがたきもの」「うつくしきもの」
「すぎにしかたのこひしきもの」「近くてとほきもの」などタイトルっぽくなってて、
あれらの言葉の響きも好きですね。
源氏物語もそれぞれの巻名が美しいと思ってる。
桐壺、空蝉、夕顔、若紫、紅葉賀、花宴、賢木、花散里、澪標、絵合、松風、薄雲、玉鬘、初音、
胡蝶、蛍、常夏、篝火、藤袴、真木柱、横笛、鈴虫、幻、雲隠。 橋姫、早蕨、浮舟、手習、夢浮橋。
シリーズ名が美しいといえば十二国記も!
月の影影の海、風の海迷宮の岸、東の海神西の滄海、風の万里黎明の空、
図南の翼、黄昏の岸暁の天、華胥の幽夢、丕緒の鳥。
……新作を早く読ませてクレェ~~!!(十二国記の話題が出ると定期的に起きる発作)(自爆)

あと職業病というか、わたしはタイトルに図書館や美術館や博物館と入っているものに弱いです。
寺山修司『幻想図書館』、高田大介『図書館の魔女』、仲町六絵『からくさ図書館来客簿』シリーズ、
恩田陸『図書室の海』、辻村深月『図書室で暮らしたい』、緑川聖司『晴れた日は図書館へ行こう』、
柏葉幸子『つづきの図書館』、服部千春『トキメキ!図書館』、安東あや『あやかし図書館で待ってます』、
濱野京子・菅野雪虫・廣嶋玲子・まはら三桃・工藤純子『ぐるぐるの図書室』、
ミシェル・ヌードセン『としょかんライオン』、カズノ・コハラ『よるのとしょかん』、
ジャネット・ウィンター『バスラの図書館員』、ソフィア・サマター『図書館島』、
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『バベルの図書館』、ヴィッキー・マイロン『図書館ねこデューイ』、
埜納タオ『夜明けの図書館』、泉光『図書館の大魔術師』、芳崎せいむ『鞄図書館』、
原田マハ『デトロイト美術館の奇跡』、レーマン・バーバラ『ミュージアム・トリップ』、
行田尚希『海の上の博物館』、西山ガラシャ『日本博物館事始め』など、など。
こういうのは美しいかどうかはともかくとして(ヲイ)もうときめきすぎて胸がぎゅんぎゅんする。


マンガで美しいと思うタイトルは…
あき『アルオスメンテ』、有永イネ『かみのすまうところ。』、市川春子『宝石の国』、
梅田阿比『クジラの子らは砂上に歌う』、漆原由紀『蟲師』、大島弓子『綿の国星』、
鎌谷悠希『しまなみ誰そ彼』、喜多尚江『鬼がふり返った刻』、佐野絵里子『たまゆら童子』、
白井カイウ・出水ぽすか『約束のネバーランド』、田中相『千年万年りんごの子』、
鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』、野村あき子『倫敦館夜想曲』、
萩尾望都『メリーベルと銀のばら』、びっけ『極彩の家』、緑川ゆき『あかく咲く声』など。
有永さんとびっけさんはいつもタイトルが文学的で秀逸な印象があって、
喜多さんは一昔前のSFっぽくて、緑川さんは「その組み合わせ!?」っていう妙がある印象。
しまなみはヒバナで連載してたけど雑誌の休刊と同時に最終回だそうで…(´Д`)サミシイ
あ、「ヒバナ」は着火をイメージしたタイトルだと創刊した頃に聞いていいなあと思ったんでした。
あと雑誌で美しいなと思ってるのは「詩とメルヘン」ですな~。
休刊を経て今は「詩とファンタジー」になっていますが、メルヘンって言葉の響きがロマンがあり懐かしい。
「國華」「幽」「季節風」「飛ぶ教室」(エーリッヒ・ケストナーの小説のタイトルの引用だ)なども
シンプルで素敵なタイトルだと思う。
2018_05
21
(Mon)23:51

新緑の比叡山・近江坂本の旅。

滋賀へ日帰り旅行に行ってきました☆
6月末まで限定の琵琶湖ホテルの百人一首カクテルを飲みに行きたくて、
「せっかくだからずっと行きたかった紀貫之のお墓にも行こう☆」と、急に思いまして。
で、ちょっと調べたら三井寺の特別公開があったので、じゃあついでに近江神宮も行こうかなとか
あれよあれよと予定が増えて結局パンパンになりました。うん、いつものことだ。

例によって夜行バスで京都駅に到着、時間がギリギリでしたので朝ごはんは買い食い。
食べながらJRで膳所に移動して、京阪膳所駅にてびわ湖チケットをゲットしました。
shigasakamoto_73.jpg
今回は京阪電車を乗り降りするのでお得な切符があるの便利!
沿線の施設で割引も受けられますぞ。

shigasakamoto_1.jpg
京阪電車に乗って坂本比叡山口駅にやって来ました。

shigasakamoto_2.jpg
駅を出ましたらいきなり茶園が!地名から日吉茶園と呼ばれているそうです。
最澄が唐から持ち帰った茶の種を植えたのが始まりとかで、
延暦寺浄土院(最長の廟)にもここのお茶が献じられるそうだ。

shigasakamoto_3.jpg
比叡山に向かいますよ~写真は穴太衆積みの石垣のある道。
戦国時代の石工集団穴太衆!安土城の石垣を作った穴太衆!彼らの地元にも残ってるんですね。

shigasakamoto_4.jpg
せっかくなので石垣に沿って歩きます。
右に戦国時代の石垣、左に涼しげなせせらぎの水路、頭上には風にそよぐ緑と初夏の青空。最高です。

shigasakamoto_5.jpg
10分ほど歩いてケーブル坂本駅に到着。
ここからケーブルカーに乗って比叡山へ向かいます。坂本側から登るの初めてだよ(゜∀゜)☆

shigasakamoto_6.jpg
午前8時、始発のケーブルカー。目指すは紀貫之のお墓だ!
(切符を買うとき窓口にびわ湖チケットを出すと往復乗車券が2割引きで買えますぞ)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

続きを読む »

2018_05
15
(Tue)23:56

花は桜をのみ見るものかは。

前回記事で三鷹に行った件について書きましたが
実はあの後、上野へ移動して東博本館の展示も見てきたので一部をご紹介いたします☆
なぜ行ったかというと本館に土蜘蛛草紙がフルでばばーん!と出ているから!٩( ᐛ )و
大妖怪展にも展示されていたけど一部だけで全部は見られなかったし、
何より写真撮れなかったし!(そこ)
東博本館は所蔵品なら写真撮れるから好き^^ 土蜘蛛ちゃんの画像を家に持って帰れる喜び。

土蜘蛛草紙は平安京郊外の蓮台野や神楽岡を舞台に、源頼光と渡辺綱が
屋敷に出没する妖怪を次々に追い払って最後に土蜘蛛を退治する絵巻物です。
ストーリーだけみると王朝にまつろわぬ者を権力者がねじ伏せるイデオロギーが見え隠れしますが
今回は絵巻がすべて開かれて詞書も絵もたっぷり堪能できたことに感動してしまった。
鎌倉時代に制作され妖怪を描いた現存する絵巻の中でもかなり古いものだし、
妖怪たちの造形もおどろおどろしいというよりどことなく生モノっぽくてほのぼのしていて
器物の化け物がけらけら笑っていたり踊る鬼がいたり、芸能の影響が色濃いのも特徴でしょうか。
百鬼夜行絵巻に至る系譜。
2018tohaku_24.jpg
頼光が郊外の屋敷に立ち寄ると器物の妖怪がわらわら現れたり、

2018tohaku_25.jpg
綱と一緒に鬼の首とって運んだりして、

2018tohaku_26.jpg
最後に土蜘蛛を倒しにゆきます。
首を切ったら髑髏がごろごろ出てくるおっかない場面ですけど、絵がすごくゆるい。。
この土蜘蛛は頼光が訪ねた古屋敷にいた女性が化けたものなのですが
頼光に斬られてもなお8匹の子どもを産んでいるので雌だったということなのかな…
器物の化け物たちと一緒に住んでいるところを想像すると、ちょっと、かわいい。

あと、5月なので初夏の花をモチーフにした作品も展示されていました。
2018tohaku_28.jpg
狩野伯円「藤棚図屏風」。
大きな屏風いっぱいに藤棚が描かれています!白藤が多めだったような。

2018tohaku_29.jpg
藤棚蒔絵書見台(幕末)。透かしが入っているの珍しいなと思います。
よく見ると上部が葉っぱの形に沿って凸凹していて細かい。

2018tohaku_30.jpg
酒井抱一「四季花鳥図巻」から、藤の部分。2年前にも見たので久々の再会☆
風に揺れているような藤がとてもきれいです。

2018tohaku_31.jpg
同じく四季花鳥図巻から燕子花。
光琳の色よりもすっきり青々とした色遣いで江戸好みな抱一らしいなと思う。

2018tohaku_35.jpg
俵屋宗達「牡丹図」。こちらも2年振りの再会でした。
上部に大きな空白があるけどこれで完成なのか、
それとも鳥や虫を描くとか、更に花を増やすとか、何かを足す予定はあったのかどうか。

2018tohaku_32.jpg
上村松園「焔」。着物に蜘蛛の巣と藤の花が描かれています。
黄色い藤の花はあまり見かけない気がするけど(金鎖というらしい)松園は見たことがあるのでしょうか。
(この絵も何度か展示されているけど、そしてそのたびに見る機会に恵まれているのだけど
撮影するかどうか迷いに迷ってたけどとうとう撮ったど…!でもアップで見る勇気はまだない)

2018tohaku_33.jpg
鈴木春信「梶原源太景季と佐々木四郎高綱」。
紅摺絵で鳥居派様式だから若い頃の作品かなあ。
春信の武者絵はあまり残っていないので貴重な一枚だと思います!

2018tohaku_27.jpg
コップのフチ子、じゃなくて、古染付一閑人火入(部分)。
明の景徳鎮ですが微妙に歪んでいるのはわざとなのだろうか…しかしこのお人形かわいい。

2018tohaku_34.jpg
称徳天皇の発願による百万塔に納められた陀羅尼経。
百万塔陀羅尼というと入れ物の方がともすると有名だったりしますけど、
中味のお経も手書きではなく印刷されているというのが特徴でして
世界最古の印刷物のひとつなんですよね~。
当時のハイテクしぬほど積んでるけど何せ印刷物は100万巻なので完成まで6年かかっていて
出来上がったものは各所に奉納したんですけど、
それらもほとんど焼けたり散逸してしまって現在は数万点しか残っていないようです。
当時の印刷技術と供養の思いが偲ばれる貴重な作品だと思う。

週末にちょっと西へ行ってきます。帰って来たらレポします☆


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

続きを読む »

2018_05
11
(Fri)22:50

ジブリ飯と毛虫のボロ。

2018ghibli1.jpg
ジブリ美術館に行ってきました。
前回の訪問から1年ちょっと、なかなかチケットが取れなくて時間が経ってしまったけど
ようやく「食べるを描く」展と映画『毛虫のボロ』が見られる~ヤッホー!
(開館したばかりの頃は平日チケットなら前日、下手すると当日券も取れたりしましたけど
最近はチケット発売日から数日で完売とかおそろしい倍率でスピード勝負みたいになってるよね)
あとカフェ麦わらぼうしの限定メニューが最強に楽しみだったのだ^^

2018ghibli11.jpg
外壁にすでに蔦がからみつき始めている。1年ちょっとで変わるもんですなァ。

受付でいつものようにフィルムチケットをもらって(今回はアリエッティの虫たちでした)、館内へin。
企画展「食べるを描く。」を鑑賞します。
ジブリ映画に出てくる食べ物や食事シーンを紹介する展示で、
入口にはファミレスみたいに大きなケースがあって映画に登場するお料理の食品サンプルがどっさり並んでいたよ!
うおおおジブリ飯の食品サンプルうおおおおщ(゜ロ゜щ)☆
目玉焼き乗せパン(いわゆるラピュタパン)とリンゴ、キキのランチ、マダムのチョコケーキ、
フィオが飲んでたレモネード、サンの干し肉、千尋とリンさんが食べたあんまん、ハウルのベーコンエッグ、
ポニョのはちみつミルク、アリエッティの小さな紅茶まであらゆるジブリ飯が目の前に。
ススワタリに撒かれたコンペイトウのたらいにイモリの黒焼きが入っててうええってなったり
「ジコ坊の味噌雑炊」と書いてあるのを見てあれ雑炊だったんだ!と知ったり
ハクのおにぎりとマダムのチョコケーキが思ったより大きかったのが印象深いですね~。
ニシンとかぼちゃの包み焼きはサンプル制作者さんが「自信作です」とおっしゃったらしい出来栄えで
お言葉に違わず確かにすごくおいしそうだった…!
あとトシちゃんの激辛カレーまであってめっちゃ笑った(笑)見た目は普通のカレーなのになあ;;

ジブリ映画の食事シーンの原画も展示されていて、
パズーの家で勝手に宴会やってたドーラ一家とかマダムがキキにケーキをプレゼントするシーンなど
食べ物にまつわるシーンがどのような演出で制作されていたのかがわかります。
紅の豚で、ホテルアドリアーノでポルコがグラスにワインを注ぐ原画に描かれたワインの揺れとか
フィオが一気飲みするレモネードの色指定とかすっごいよ…!
「レモネードの色」「レモネードの影色」「瓶の向こう側に見える手の色」「瓶の厚みの色」「厚みの影色」
「レモネードの影色に瓶の厚みを加えた色」まで細かく指定されていて
ああだからあのレモネードはあんなにリアリティがあったんだなと思った。
本当にほんの数秒のカットにも手を抜かないよね…知ってるけど。
耳すまで西老人の作った鍋焼きうどんを食べる雫が
箸を運ぶたびに持ち上げるうどんの本数が2本→3本→4本と増えているのは知らなかったです!
食欲がわいてきたということなんでしょうね^^ 細かいところまでおもしろい。
千と千尋でカオナシがお大尽やってるときに出されるお料理も様々なのは知ってるけど
改めて見るといちいち細かくて感動します。
カエルたちが厨房で調理してるカットの後ろで運ばれるロールケーキに
「抹茶のスポンジ」「餡子」とか指示書きがあって楽しくなりました。
あれ抹茶ロールなんだ!実在する食材の名前を聞くと親近感がわくし
カオナシも抹茶好きなのかなあとか想像すると萌える。
となりの山田くんでお父さんがバナナを食べるカットの原画は341枚もあるそうです…積まれた枚数に戦慄。

「箸づかいを描くのは難しい」のパネルに興味津々。
ジブリ映画で和食のシーンは数多くありますが
その中でキャラクターたちがどのように箸を使っているかを比べて見ることができました。
勢いよく使ってるのはサツキちゃんや千尋パパや本条さん、無造作に使ってるのは釜爺やジコ坊、
きちんと使っているのは翔くんや二郎さんや海ちゃん、にぎり箸なのはポニョ(笑)。
キャラクターの性格や時代背景によっても色々ですな~。
個人的にはアシタカの箸の使い方が好きです…静かで礼儀正しい感じ。お育ちの良さが出てるよね。
こういうの見るとスプーンやフォークの使い方も比べてみたくなります。気になる~。

極めつけは草壁家とタイガーモス号の台所の立体再現!
実際にキッチンのセットに入って家具やお料理にさわれるんですよ☆
草壁家のちゃぶ台と台所を見て真っ先に思い出したのは3年前に訪れたサツキとメイの家ですが
今回の展示にはサツキちゃんが作った3人分の朝ごはんとお弁当が実際に置かれているんです!
中味は食品サンプルだけど焼きメザシも鮭のふりかけも映画そのまんまでテンション上がった\(^o^)/
係の人が「触っていいですよ」とおっしゃってくれたので持ち上げてみるとずっしり重くて感動みが強い、
メイちゃんのお弁当箱だけ赤いのいいね~いいね~~。
(お弁当箱の裏側には人の名前が書いてあって、係の人いわく「ご提供くださった人のです」とのこと)
台所も細部まで再現率高かったよ…。
食器や調理器具はもちろん、火おこしの団扇やサツキが刻んでいたホウレンソウまである!
流し台にあった4人分の歯ブラシに泣きそうになりました。お母さん早く帰ってくるといいね…。
外側にお庭もちょこっと再現されてて、メイちゃんが「焦げてる!」って言ったメザシが焼かれていたり
家の壁にはヤモリや蛾がいたり蜂の巣が作られかけていたりナメクジが這っております。細かい!
あとパンフレットに写真が載ってないけど台所の天井隅にススワタリが群がっているので
行った人たちぜひ見つけてみてくだされ~。

タイガーモス号の台所に入って最初に思ったのは「狭い!」でした。
映画だともう少し広かったような気がしますけどもこの空間に5人は無理だわ…
ドーラの息子たちにはお手伝いは遠慮して仕事に戻っていただくしかない^^;
草壁家同様、展示品のお触りOKで引き出しなども自由に開けていいとのことで
片っ端から開けまくりました(笑)。
扉には小麦粉やチーズや果物が入っていて壁には肉やトウガラシがぶら下がり、
引き出しには人数分のカップやお皿やカトラリーがぎっしり。
流し台の下を開けると生ゴミがあったりオーブンにはパンが焼かれて入ってたりして
今にも誰かが戻ってきて調理を再開しそうな感じがする。
そして大鍋には映画でシータが作っていたシチューがぐつぐつ煮えておりました…
これをあの人数でたいらげるんだから皆どんだけ食べるのっていう。
(そんなガス台の正面に小窓があってルイが覗いてるスチルが貼ってあるの笑った)


2018ghibli2.jpg
3階のマンマユートから外に出てカフェへ降りていく途中でいつも見かける窓に猫SPがいるのを
訪れるたびに撮影しておりますが、今回は2匹になってた!

2018ghibli3.jpg
カフェ麦わらぼうしにて「ちっちゃなマダムのチョコケーキを」注文☆
これがもう、もう、最っ高でした…!
うおおおおおあのケーキが現実に食べ物として再現されていただける世の中うおおおおお!!

2018ghibli4.jpg
映画よりは小さいサイズでしたけど食べたら中のスポンジぎっしりでクルミ入りで濃厚で
ものすごい食べ応えがありました。
これでホワイトチョコの模様が映画と同じホウキに乗ったキキだったら完璧だった!
企画した人のお誕生日を知りたい。プレゼントを考えたい。ありがとうございました。生きてるといいことあるね。

このケーキの他にもハウルのベーコンエッグやパズーの肉団子入りスープ、
麦わらぼうしのシベリア、ハチミツ入りホットミルクなどがいただけますので
ジブリ飯をリアルに楽しみたい方ぜひ行ってみてくだされ。
今月末で終わるメニューもあるのでお早めにー!

2018ghibli5.jpg
屋上に来ましたよ~ロボット兵を花越しに。腰や背中から草が生えていました。

2018ghibli6.jpg
奥の庭園にも花が咲いて新緑がきれい。

2018ghibli7.jpg
なんかこう、廃墟に咲く花みたいな感じがあるよね。
大好物ですこういう雰囲気…誰も知らない場所にそれでも植物は咲く…はああぁぁぁああ( ˘ω˘ )。


この後は館内に戻って土星座へ。映画『毛虫のボロ』を鑑賞します。
3月から上映が始まっていますがやっと見に来られました。
ボロが卵から孵るシーンから始まって、生まれてすぐにもぞもぞ動き出して
空気の粒ゼリーを食べたり日光を浴びたり無数の毛虫の先輩たちと大行進したり
カリウドバチに捕まりかけたり(先輩のうち2匹が連れ去られるのを堂々と描いてた)
アブやカマキリをかわしたり人間の女の子のスカートに引っかかってアパートの2階から落とされたり
落ちた先にあったタンポポを食べてヒャッハー!したり。
ナウシカの腐海とはまた全然違った虫の世界を、時にファンタジックに、時に気持ち悪くグロテスクに、
全体的にやっぱり緑を美しく描いていましたね。
ボロが食べる空気のゼリー(と宮崎さんは呼んでいる)がとても印象的でした。
透明な四角いゼリーのような、ナタデココのような、グミのような不思議な物体が空気中にふよふよ浮いていて
わずかに発光しているのかボロや植物に触れるとキラキラしたりします。
美術館の2階ギャラリーで見た宮崎さんのイメージボードによると
「飛んでいるというか漂っている。歪んでいたり色付きもある。
浮いている空気よりわずかに重い感じ。自重で壊れる。噛むと消えちゃう」みたいなものだそう。
虫には空気がこう見えているかもしれないという想像なのですって。
ボロに当たるとガラスのように崩れる作画もむちゃくちゃ美しかった…!
ゼリーの作画は「軸を回さない方がいい。浮遊感が大切。速度にバラつきを。3秒くらいかかる」など
イメージボードの段階から細かく指示されていたみたい。
夜明けの光にボロが包まれるシーンでも、光は光線というより棒や筒のように表現されていて
ボロがそれに包まれると柔らかく霧散していくのですが
この辺りはCGではなく手描きも使われているそうな。
(言い忘れましたが毛虫のボロはフルCGアニメーションです)
光合成したての葉っぱを食べるシーンがすごい!栄養素が透けて見えて葉脈もきらきらしているし
ボロがすごくおいしそうに食べるものだから思わず「葉っぱっておいしいのかな…」とか思ってしまった。
ボロの作画で毛の数は適当にとか、カリウドバチは「コミュニケーション不能の大人」とか
相変わらず宮崎さん、例えがアレだ。
最後にぐっとカメラが引いてボロがいた垣根から街の俯瞰の景色になっておおって思いました、
小さな虫の世界の大きな大冒険。
エンディングで「声と音 タモリ」と表示されたとき、土星座に笑い声が満ちました。
タモさん楽しそうだったなあ。

もともとボロの企画自体はずっと前からあって
紅の豚の後に宮崎さんはもののけ姫とボロどっちを作るかで真剣に悩んでいたんだよね。
結局そのときは鈴木さんが「アクション映画は年をとったらできない」と説得してもののけ姫にしたと
当時鈴木さんご本人が語るのをテレビ(もののけ姫公開記念番組だったと思う)で見たのを覚えていますが、
もしあのとき長編でボロを作っていたら今回みたいな作品になったかどうか、
前はまったく別の内容で考えていらっしゃったからなあ…。
(とある街路樹から別の街路樹へ旅をする1匹の毛虫を通して
彼らにも彼らの世界や冒険があることを描こうとした企画だったように記憶しています)
そっちも見てみたかったけど、そして今回は短編になったけど実現して本当によかったと思う、
わたしもずっと気になっていた企画でしたのでね。
土星座の映画はローテーションしますから、また機会が巡ってきたら見に行きたいです。

2018ghibli8.jpg
帰りに出口を振り向いたら面白い写真が撮れた^^
企画展が変わったらまた来たいです。

2018ghibli9.jpg
井の頭公園もちょこっとお散歩、新緑がきれいでした。
少し風のある日でしたがさわやかで気持ちよかったです。

2018ghibli10.jpg
ミュージアムショップ「マンマユート」にて購入したケーキとラピュタパンのマグネット!
見つけた瞬間にこ、これは何がなんでもおうちにお持ち帰りせねばならぬ!と使命感にかられて
値札も見ないでレジに持って行きました(笑)。
映画に出てきた食べ物がグッズになる!テンション最高潮だったよ☆
わたしはどちらかというとキャラクターがプリントされたものよりも
映画でキャラクターが食べたり使ったりしたもののグッズが欲しい派なので…
こういうのに本当に弱いです。どこにくっつけようかなあ^^


来週はここで高畑さんのお別れ会か…仕事で行けませんが、改めてご冥福を。


クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆

続きを読む »

2018_05
07
(Mon)23:38

ネコの夢。

nekonekoneko1.jpg
日本橋三越の「ねこ・猫・ネコまつり」に行ってきました。
すっかり毎年恒例のイベントになってきているみたいですな~。
去年は行きそびれてしまったのでおととし以来ですが、毎年ディスプレイが変わるので楽しみ。
写真は三越新館入口にいた三越ライオンならぬ三越ネコ。香箱座りしててかっちょいいです。
台座に「ネコの夢」というメッセージが添えられていて
三越のライオンにあこがれていつか自分たちも入口でお客様をお迎えするんだ…!という内容でした。
かわゆいなあ(^ω^)。

nekonekoneko2.jpg
通りに面した本館のショーウインドウは全部猫たちがジャック。
本館7階で開催中の岩合光昭の世界ネコ歩き展2に展示されている写真や映像の周りで
猫たちがゆったりと過ごしています。

nekonekoneko3.jpg
ネコ歩きを食い入るように見つめる猫さんたちもいた。
(同番組は猫の視聴率が高いことでも有名)

nekonekoneko4.jpg
三越前駅から地下入口のエスカレーターに乗ると巨大ニャンコ様が☆

nekonekoneko5.jpg
館内のお店に展示されているマネキンの側にもたくさんの猫たちがいます。
店内を歩いているとふとした場所にちょこんと猫さまがいてすごく楽しい^^
わたしが大好きなのは4階の着物売り場。猫着物に猫帯たくさん見られるのだ!

nekonekoneko6.jpg
7階では働くお兄さんカフェをやってた!
混雑のため入れなかったけど撮影ポイントがたくさんあって楽しかったです。
入口のタピオとクエ彦のパネルにはそれぞれ担当声優さんのサインがしてありました。にゃ~ん。

nekonekoneko7.jpg
店内にはアニメのキャラクター紹介や絵コンテ、設定資料などが展示されています。
写真は例のエンディングで実際に使われたお人形だ!
3月の感想記事で「OPEDのクオリティが最高オブ最高な短編」と書きましたけど
実物も最高オブ最高のクオリティだった。
これがちょこちょこ動いてアニメーションになると思うと感動しますし
そのアニメーションを作るためにものすごい手間暇がかかることも素人なりにわかるので倍感動する!
みんな大好きクレイアニメ。

nekonekoneko8.jpg
アニメ1話のアフレコ台本。
これにも出演者さんたちのサインがしてあって、皆さんキャラ名とともに書かれていますが
「名前を呼んではいけないその動物」のところは「名物」(たぶん名前の最初と最後の文字)と書いてあったのが
おもしろくて笑ってしまった(笑)そうだね~ある意味名物でしたもんね。
7月からの2期も楽しみです☆

nekonekoneko9.jpg
新館5階のカフェランドマークにてネコデコパンケーキ(ネコまつり期間限定メニュー)をたべるよ!
こちらはすぐに入れてよかったです。

nekonekoneko10.jpg
きたよー!かわいい☆

nekonekoneko12.jpg
金魚鉢の金魚を狙っている猫1・猫2という設定だそう^^
ネコたちはブルーベリーアイスとチョコアイス、金魚鉢はゼリーで
パンケーキには肉球の焼き印が押してありますよ!
ネコまつり特設サイトで見て何がなんでも食べたい!と思ったメニューですが
実物は想像以上におしゃれで刺激的でエキサイティングでした。ありがとうございました。

nekonekoneko13.jpg
地下のお菓子売り場も猫まみれでしたよ~。
三英堂「たまちゃん」、花園万頭「香箱座り」、KITAYA六人衆「ライオン饅頭」をゲット。
たまちゃんとライオンはお饅頭で香箱座りはスイートポテトです。スイートポテトで猫って作れるんだ…!

nekonekoneko14.jpg
上の写真ですと香箱座りがわかりにくいので単品写真をば。
すごい、猫が前足をくるりと仕舞っている姿ってちゃんとわかるよ!



130,000hitありがとうございます!
拍手コメントくださる方も、通りすがりの方も、そっと見守ってくれてる方にも本当にいつも感謝しています。
お好きな距離感でこれからもおつき合いいただけるとうれしいです。
物語も早く描きたいですが、「そこに描きたい推しがいる」という壁打ち煩悩の塊と
「せっかくなら訪問者さんたちが楽しめるお話を描きたい」と思う営業魂が葛藤しています。
今日も元気だ推しがかわいい。
2018_05
03
(Thu)23:50

歴史のタテヨコ。

大塚ひかり『女系図でみる驚きの日本史』を読みました。
歴史系ブロガーさんやフォロワーさんたちが割と「おもしろい」とおっしゃっているのを見かけたり
女系図から歴史をみる研究やそれについてまとめた本てあまり見かけなくて珍しいと思いましたので。
読み始めて早速、「平家は滅亡していない」という記述がとびこんできて
アッハイそうですね…ということまでは思ったものの
(滅亡したのはあくまで清盛の直系の子孫というだけで、
清盛は娘がいっぱいいたので藤原氏と結婚して生き残った人たちいるよね、程度の知識しかないけど)、
それが現天皇まで続いているとは知らなかった。
その藤原氏の子孫に南北朝時代の天皇と結婚した女性たちがいたみたいです。そうなのかあ。
あと、紫式部の血筋も何だかんだ現天皇まで続いているらしい…
彼女には一人娘がいて藤原賢子(大弐三位)という名前なのですが
この賢子が高階成章(先祖は高市皇子)と結婚して生まれた為家から6代後の女性が
後鳥羽天皇と結婚して土御門天皇を産んでいるのですね。
もうほんと、これだけでもものすごく楽しくなっちゃってこの先も夢中で読んでしまったよ!
だから歴史を学ぶのはやめられないんだ~。

天皇を女系図でたどる場合、よく見かける一族として有名なのは藤原氏かと思いますが
古代の天皇は渡来人や豪族や蘇我氏の血を引いていることが多かったりするんですね。
(このあたりは倉本一宏『蘇我氏』を読むとすごくよくわかる)
他にも公家や文化人の横のつながりとか、乳母の系図とか、伊勢物語や源氏物語の登場人物、
男色のつながりや手塚治虫『奇子』まで、あらゆる系図が紹介されていて楽しいです。
源氏と平氏の系図もおもしろい、彼らは例のキャットファイトのせいで犬猿の仲みたいなイメージがありますけど
女系図で見ると源頼朝のと結婚した北条政子は平氏だし(北条は名字であって姓ではない)
頼朝の先祖である義家は源氏と平氏のハイブリッドだし(父親が源頼義で母親が平直方の娘)
だから源氏vs平氏というのはあくまで頼朝と清盛一族のことなんだよね。
また、女系図を見慣れてくると気づくことなんですけど
どの女性が生んだかが子の人生を決めたりするというのもこの本では指摘されていまして。
たとえば藤原道長にはたくさんの結婚相手がいて、妻は源倫子、室のひとりに源明子がいるのですが
倫子の産んだ子はとんとん出世したり天皇や皇子と結婚したりしているけど
明子の産んだ子は源氏と結婚したりしていて、明らかに差があるのがエグい…。
栄花物語にはこのことについて明子が不満を持っていたという記述がありますが
実は倫子と明子の子孫は結婚した人たちもいて、そういうのもおもしろいですねェ。
あと、紫式部の孫と清少納言の孫が歌を贈り合っていたというのはびっくりした。。
藤原彰子に仕えていた小馬命婦(清少納言の娘)が、彼女の娘に代わって詠んだ歌
(その色の草とも見えず枯れにしをいかに言ひてか今日はかくべき・後拾遺和歌集)があるのですが
この歌を贈られた相手というのが高階為家、つまり紫式部の孫なんだそうです。
式部と少納言が宮中で顔を合わせたことはたぶんないけど、どこでどう繋がるかわからないものですね。

歴史の授業は昔から大好きでしたし、大学でも女性史の講義は選択したけど
教科書や資料集って結構、政権が誰から誰に移って~みたいな記述が中心ですし
その時代時代に政権を握っているのはほぼ男性で、
女性は志半ばで倒れた男性の意志を継いだ人とか誰それを育てた人とか文化人とかが載ってる程度ですが
よく考えなくてもこの世の男性も女性も全員、女性のお腹から産まれているので
決して歴史上で女性が活躍しなかったわけじゃないんですよね…。
平易な文章でとても読みやすかったし、縦のつながりだけじゃなく同時代の横のつながりもわかって
改めて女系図の重要性とおもしろさを再確認しました。
源氏物語や平家物語を読んだあとに読むとすごく楽しいので、同時の読書をおすすめします。

わたしが最初に女性の系図を意識したのはたぶん、
小説『創竜伝』の中で茉理ちゃんがランバート・クラークに言った「豊臣秀頼よ」からだと思う。
「徳川家光のいとこで母親と一緒に家康に倒されたのは誰か」という問いがその前にあって
クラークは答えられなかったんだけど、
わたしも首をかしげて次のページをめくって「おお~~そういえば」と感心したのでした。
秀頼の母淀の君と、家光の母お江は姉妹なんだよね。
そう考えると、淀君とお江の父浅井長政は織田信長に負けたけど豊臣と徳川両方の系図につながるわけで。
(ちなみに長政の妻は信長の妹の市)

あと、杉本苑子さんの『散華』を読んでいたときに面白かったのが紫式部と平安時代女性作家たちの系図。
ちょっとややこしいですが説明しますと、
・紫式部の母は藤原為信という人の娘
・その為信の兄弟に為雅という人がいて、藤原倫寧の娘と結婚してる
・藤原倫寧には娘が数人いて、うち一人は道綱母(蜻蛉日記作者)
・さらに菅原孝標と結婚した人がいて、孝標女(更級日記作者)を産んでる
・倫寧には息子もいて、うち一人の理能は清原元輔の娘と結婚してる
・その元輔女の姉妹には清少納言がいる
っていうのが最高におもしろかったのでよく覚えています。
あと紫式部と藤原道長の系図を上にたどっていくと藤原冬嗣にたどりつくので
2人は12親等くらいの親戚にあたるとか、
紫式部と彼女の夫藤原宣孝に至っては式部の祖母と宣孝の祖父がきょうだいなので
2人ははとこ同士で結婚しているというのを知ったのもこの本でしたな…。
わたしの説明だとわかりにくいと思うので気になる方はぜひ小説を読んでみてくだされ~。



そういえば先日やっと映画ゼロの執行人を観てきましたが
脚本が相棒の櫻井さんなせいかわりと社会派でした。(ただしコナンなので鬱エンドではない)
コナンの映画って最初から最後までミステリー要素で貫かれているか、
ミステリーはおまけみたいな扱いでアクションまみれかのどちらかが多いんですが、今回は後者だったね。
途中まで素敵なおっさんずラブだったのに後半そうでもなさそうな感じが出てきちゃって
それいらない…とか思った矢先に上戸彩さんの渾身の演技が聴けたのでよしとします←ちょろい
上戸さんすごかったねあれは…ちょっとびっくりするくらい声出てたもんね。
今回はおっちゃんが色々とばっちりくらったせいか、ランネー・チャンの出番はありませんでしたが
夫が捕まっても英理さんがずっと冷静だったのがプロの弁護士って感じで素敵だったし
栗山さんの調査能力がしっかり描かれていたのもよかったなぁ。
あとあの爆発映像に一瞬だけ映っていた安室さんを見逃さなかった哀ちゃんの組織センサーつよい。

で、今回キーマンになってる安室さんですがほぼ爆心地で爆風くらっても生きてるわ
風見さんを呼び出してアイタタなお説教するわ片手で盗聴器握りつぶすわ
モノレールの線路上でRX-7のメーター振り切ってぶっ飛ばすわ(あのときの武者震い顔まじ危険)
肘で飴細工みたいに強化ガラス割るわ、コナンを抱えたまま拳銃でビルのガラスぶち破って突入するわで
ハードなアクションを次々にこなしててとてもかっこよかったんだけど、
2年前に純黒を見てしまっているので
「でも今ここに赤井秀一が現れたらあなたそのポーカーフェイス台無しになるんでしょ…」とか思ってしまって
いまいち集中しきれなかったことを素直に告白します。
安室さんの魅力は赤井さんがいてこそ発揮されると思っているので(赤井さんは単独でもかっこいいけど)。
あ!でも、コナンに恋人いるのって聞かれた後の安室さんの返事は、あれはずるかったな。
(SNSで感想を検索したらあれにやられてすでに何度も執行しに行ってる人たちがいますね^^)
あとエンディングでサンドイッチ差し入れてきたときの笑顔がまぶしい。

そうエンディングの映像に珍しく後日譚が挿入されてた!初めてじゃないかな?だいたいエンディング後だもんね。
ましゃ兄の歌声をバックに草間彌生のカボチャが一瞬だけ映ってたけどロケ地はどこかしら。

あと、さらにどうでもいい余談ですが
映画を見終えて劇場を出た後、駐車場で駐車券を事前精算しようとしたのですが
劇場窓口でチケットを買ったとき3時間無料の手続きをしていただいたから駐車料金ゼロだよなって思ってやめて
思った後につい笑ってしまった。
しばらくゼロという言葉に反応する病に罹患する日々が続きそうです。