マンガの記号。
こうの史代さんの『ギガタウン 漫符図譜』を読んでいます。
連載が始まった頃に「鳥獣人物戯画の動物たちをモチーフにしたキャラクターたちのマンガ」と聞いて
コミックスを楽しみに待っておりまして、
いざ買ってみたら想像していたのとは違う内容でしたけど結構、ほのぼのしててかわいかった。
全編通して筆で描かれているのも特徴ではないかと。
(ぼおるぺん古事記でボールペンを使い倒した後は筆ですか…
こうのさんてマンガに対して斜めから実験やチャレンジする人だよね)
鳥獣人物戯画に出てくるカエルやうさぎ、狐、猿、イノシシなどの動物たちが
通勤・通学したり買い物したりお料理したりブランコ乗ったり雪だるま作ったりと
まるで人間のように生活している様子が100余編の4コマ漫画で描かれています。
遅刻遅刻って学校へ走ったり、お勉強したり、放課後に外で遊んだり
お掃除してたら部屋の隅に積み重ねたがらくたに埋まっちゃったり
お餅焼いてみんなで食べたり、ヒマワリの種を植えて育てたり、お化け屋敷へ遊びに行ったり
特に大事件も起きない日常生活がのんびり描かれていてホッとする。
ウサギのみみちゃんがお調子者なダメっ子で、カエルのあおい君は割とクールで
猿のきい子ちゃんがしっかり者というか、性格付けもおもしろい。
そんな中、みみちゃんとあおい君が相撲をとったり海で泳いだりなど
ときどき挿入される原作(?)ネタもクスッと笑わせてくれます。楽しい。
もうひとつの特徴として、漫画表現に使われるいわゆる「漫符」の説明マンガにもなっています。
漫符とはマンガに描かれる記号のことで、たとえば
キャラクターの頭に「♪」が描いてあったら機嫌がいいとか歌っているとか、
「ZZz」と描かれていたらそのキャラクターは居眠りをしているとか、
頭上にハートが描かれていたら恋をしているとか、ハートにヒビが入ったら失恋とか、
顔に縦線や汗が描かれていたら衝撃を受けたとか血の気が引いてるとか疲れているとか、
頭の上にデフォルメされた小鳥が飛んでピヨピヨ鳴いていたらどこかに頭をぶつけてクラクラしているとか。
そういった記号のひとつひとつを、簡単な説明文とともに
鳥獣戯画の4コマ漫画にして教えてくれているマンガでもあるのです。
マンガのルールを意識したことはあまりなかったけど、
確かによく考えてみるとマンガのこの記号は何を表現してるんだろう、と思いながら読むのも楽しかったです。
たとえば、足や腕にグルグルの渦巻き記号が描かれていたら「ぐるぐる回っている様子」
「下半身がこうなっていたら、全速力で走っている様子」「目だったら目が回っている様子」。
ダイヤの形をしたキラキラ模様が描かれていたら「輝いている様子」
「美しさや清潔感、神秘性をあらわすこともある」。
顔が大きくなる表現の漫符のところに「ものすごい剣幕である様子」
「でかいツラ・顔が広い等を表現するものではない」とか説明があって笑ってしまった。
同じように、目の中が真っ白で睫毛だけが描かれていたら「白目になった状態」、
「大きな精神的衝撃を受けた様子」「呆れ果てた状態」「パロディ的表現と思われる」にも爆笑。
あれです、ガラスの仮面で狼少女ジェーンの役をつかんだ瞬間のマヤの表情とか
亜弓おねえさまが「マヤ…こわい子…!」って言ったときみたいなやつです。
鳥獣戯画のうさぎやカエルの目がそうなってるの想像してみてくださいよ、最高に楽しい^^
そもそもこのマンガ、こうのさんのお母様がマンガを全く読めなかったのがきっかけで企画されたのだそうです。
昔から文章を読めるようになるには数をこなせとよく言われますが、
マンガも読めるためには一定のリテラシーが必要なメディアだと思う。
ページのコマは右→左→下へ読んでいくとか、
吹き出しの形やフォントによって話し言葉とモノローグを表現するとか。
「ドキドキ」「シーン」「ガーン!」などの描き文字などもそうだけど
それらの意味するところがわからないと集中して読めないような気がします。
(背景が青空で「チュンチュン」と書き文字があったら朝の表現、というのはよく聞くと思う)
そんな漫符を説明しつつ見事に4コマに落とし込むこうのさんの技術は相当高いとみた。
説明文を読む前に4コマを見てどの漫符が解説されているのか予想しながら
読んでみるのもおもしろいのでオススメです。
自分がマンガを読み始めたのはいつか、はっきりとは覚えていないのですが本と同時期くらいかな…
保育園に通っていた頃から小学館の「ようちえん」とか「小学○年生」あたりの学習雑誌を読んでいて
あれらが始まりだった気がする。
今は当たり前を通り越して空気のように読んでおりますが子どもの頃はどうやって読み方を知ったのかな、
あまり苦戦した記憶がないので自然に覚えていったんだろうと思いますけども。
ノートにマンガめいたものを描き始めたのは小学生くらいですが
もちろんその頃は「漫符」という言葉など知る由もなく、
それでも当時のノートを見返すと「!」とか「ピヨピヨ」などの漫符が使われていて
一体どこで覚えたのか自分でもわからない。
それでも当時のわたしは、その時読んでいたマンガの表現からそれを学んで
たとえ言語化できなくても「たぶんこの記号はこういう意味」とか何とか初心者なりに考えて
使ってみていたのかもしれません。
最初は感覚的にしかわからなくても後になって「あれはこういうことだったんだ」って
言語化できるようになること、結構あるよね。

そういえば鳥獣戯画甲巻には1匹だけ猫がいるんですけど(烏帽子かぶってるやつ)、
マンガに出てくるかなァと期待おりましたが出てきませんでしたね。
虎はいたけど、同じネコ科ですけど厳密にはあの猫じゃないんだよな…
何か事情があるのかもしれませんが、こうのさんがあの猫をどんな風に描くか気になっていたので
そこだけちょっと残念。
狐やフクロウは出ていたのにな~もし続きがありましたらぜひ猫を描いてほしいです。
連載が始まった頃に「鳥獣人物戯画の動物たちをモチーフにしたキャラクターたちのマンガ」と聞いて
コミックスを楽しみに待っておりまして、
いざ買ってみたら想像していたのとは違う内容でしたけど結構、ほのぼのしててかわいかった。
全編通して筆で描かれているのも特徴ではないかと。
(ぼおるぺん古事記でボールペンを使い倒した後は筆ですか…
こうのさんてマンガに対して斜めから実験やチャレンジする人だよね)
鳥獣人物戯画に出てくるカエルやうさぎ、狐、猿、イノシシなどの動物たちが
通勤・通学したり買い物したりお料理したりブランコ乗ったり雪だるま作ったりと
まるで人間のように生活している様子が100余編の4コマ漫画で描かれています。
遅刻遅刻って学校へ走ったり、お勉強したり、放課後に外で遊んだり
お掃除してたら部屋の隅に積み重ねたがらくたに埋まっちゃったり
お餅焼いてみんなで食べたり、ヒマワリの種を植えて育てたり、お化け屋敷へ遊びに行ったり
特に大事件も起きない日常生活がのんびり描かれていてホッとする。
ウサギのみみちゃんがお調子者なダメっ子で、カエルのあおい君は割とクールで
猿のきい子ちゃんがしっかり者というか、性格付けもおもしろい。
そんな中、みみちゃんとあおい君が相撲をとったり海で泳いだりなど
ときどき挿入される原作(?)ネタもクスッと笑わせてくれます。楽しい。
もうひとつの特徴として、漫画表現に使われるいわゆる「漫符」の説明マンガにもなっています。
漫符とはマンガに描かれる記号のことで、たとえば
キャラクターの頭に「♪」が描いてあったら機嫌がいいとか歌っているとか、
「ZZz」と描かれていたらそのキャラクターは居眠りをしているとか、
頭上にハートが描かれていたら恋をしているとか、ハートにヒビが入ったら失恋とか、
顔に縦線や汗が描かれていたら衝撃を受けたとか血の気が引いてるとか疲れているとか、
頭の上にデフォルメされた小鳥が飛んでピヨピヨ鳴いていたらどこかに頭をぶつけてクラクラしているとか。
そういった記号のひとつひとつを、簡単な説明文とともに
鳥獣戯画の4コマ漫画にして教えてくれているマンガでもあるのです。
マンガのルールを意識したことはあまりなかったけど、
確かによく考えてみるとマンガのこの記号は何を表現してるんだろう、と思いながら読むのも楽しかったです。
たとえば、足や腕にグルグルの渦巻き記号が描かれていたら「ぐるぐる回っている様子」
「下半身がこうなっていたら、全速力で走っている様子」「目だったら目が回っている様子」。
ダイヤの形をしたキラキラ模様が描かれていたら「輝いている様子」
「美しさや清潔感、神秘性をあらわすこともある」。
顔が大きくなる表現の漫符のところに「ものすごい剣幕である様子」
「でかいツラ・顔が広い等を表現するものではない」とか説明があって笑ってしまった。
同じように、目の中が真っ白で睫毛だけが描かれていたら「白目になった状態」、
「大きな精神的衝撃を受けた様子」「呆れ果てた状態」「パロディ的表現と思われる」にも爆笑。
あれです、ガラスの仮面で狼少女ジェーンの役をつかんだ瞬間のマヤの表情とか
亜弓おねえさまが「マヤ…こわい子…!」って言ったときみたいなやつです。
鳥獣戯画のうさぎやカエルの目がそうなってるの想像してみてくださいよ、最高に楽しい^^
そもそもこのマンガ、こうのさんのお母様がマンガを全く読めなかったのがきっかけで企画されたのだそうです。
昔から文章を読めるようになるには数をこなせとよく言われますが、
マンガも読めるためには一定のリテラシーが必要なメディアだと思う。
ページのコマは右→左→下へ読んでいくとか、
吹き出しの形やフォントによって話し言葉とモノローグを表現するとか。
「ドキドキ」「シーン」「ガーン!」などの描き文字などもそうだけど
それらの意味するところがわからないと集中して読めないような気がします。
(背景が青空で「チュンチュン」と書き文字があったら朝の表現、というのはよく聞くと思う)
そんな漫符を説明しつつ見事に4コマに落とし込むこうのさんの技術は相当高いとみた。
説明文を読む前に4コマを見てどの漫符が解説されているのか予想しながら
読んでみるのもおもしろいのでオススメです。
自分がマンガを読み始めたのはいつか、はっきりとは覚えていないのですが本と同時期くらいかな…
保育園に通っていた頃から小学館の「ようちえん」とか「小学○年生」あたりの学習雑誌を読んでいて
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今は当たり前を通り越して空気のように読んでおりますが子どもの頃はどうやって読み方を知ったのかな、
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最初は感覚的にしかわからなくても後になって「あれはこういうことだったんだ」って
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そういえば鳥獣戯画甲巻には1匹だけ猫がいるんですけど(烏帽子かぶってるやつ)、
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