fc2ブログ

キャットオブメニーバイタリティーズその2。

2018.10.15 23:51|古典・歴史
nekogamihiyori.jpg
八岩まどかさんの『猫神さま日和』(青弓社)を読みました。
日本全国に点在する猫神を祀る神社や猫に縁のあるお寺、猫塚や猫がみつけた温泉(!)まで
猫の言い伝えや伝説のある場所が散文的に紹介されている本です。
著者が各地の猫神を実際に訪ねて地元の人に話を聞いたり写真を撮るなどしていて
まるでフィールドワークのレポートを読んでいるようですし、
場所も最寄り駅より徒歩数分から電車もバスもバリアフリーもなさそうなところまで載ってて
よくぞここまで調べたなあとひたすら尊敬。
(役所に問い合わせてもわからないと言われたけど諦めずに根気強く探して
地域の人から「あの山の中」という情報を得て山道を登りようやく見つけた、なんて描写もある)
立派な建物がある寺社から、前は建物があったけど今は塚のみ残る場所、もともと塚だけだった場所など
落差の激しさもさりながら人々の信仰についても追想できる内容でした。色んな形があるものですね。

まずは養蚕の守り神として祀られている猫神。
蚕の天敵であるネズミを捕まえる猫は農家、特に養蚕をいとなむ農家にとっては
神様のようなものだったらしく、ネズミ除けや商売繁盛の願いをこめて祀る地域が多かったようです。
(そういえば我が家も昔から猫を飼っていたと親から聞いたのだけど
祖父の代までは養蚕をやっていたのでそのためってこともあったかもしれない)
蚕からとれる絹糸は高級織物の材料になるため農家にとっては貴重な収入源で
ネズミにとられるわけにはいかなかったのですね。
おもしろかったのが京都の木島神社に伝わる猫神さまの話(=^ω^=)。
この神社は境内に狛猫がいるそうなのですが
理由は江戸時代、丹後にいた佐平治という人が当時流行していた縮緬織りの技術を学ぼうと
西陣織の門をたたきますが秘伝だと言われ教えてもらえなかったけれど
ある日誰かが閉め忘れたのか織り場の鍵が開いていて
これは観音様のお導きだと感動してようやくこっそり見ることが叶い、
技術を丹後に持ち帰り縮緬織りとして成功させたことから丹後で養蚕業が発達し栄えた…ことから
木島神社が養蚕の神様として建てられたとのこと。
それなら狛猫が守っていても不思議ではないよね~。
他にも、養蚕の神様を祀る青梅の琴平神社や長野の安宮神社の近くに住む農家の人などは
「お蚕さまを育てている間は花火をすることができなかった」などという話もあるそうで…。
なんでも花火の火薬の匂いが蚕を刺激してうまく成長しなくなるという科学的な理由があるらしい、へえーっ。

猫又と化け猫。
猫も一定の年月を生きると尻尾が割れて2本足で立ち、言葉をしゃべるというお話は各地にありますね。
栃木の金花猫大明神の碑にいる猫は尻尾が2つに割れているそうだし、
新潟の南部神社付近には猫又権現信仰があって
村人が亡くなると遺体を神に捧げなければ猫又が取りに来るという話があるそうです。
静岡の函南地域の猫神はお祭の日にだけ現れて踊りを踊るというし、
京都の光清寺の絵馬に描かれた猫は
かつて遊郭に飾られていた際には芸者の三味線の音色につられて美女の姿で絵から抜け出して踊っており
困った人々がお寺に持って行くと今度は和尚さんの前に武士の姿で現れたといいます。
相手に合わせて姿を変えられるとは高度な技能をお持ちの神様だな…。
また猫の恨みをかって祟られるという話も、形は違えど各地で聞きますね。
過去に平木浮世絵美術館で岡崎の化け猫騒動の絵をたくさん見たし、
鍋島の猫騒動も有名ですけど、相良藩にも似たようなお話があったんですね。
殺された飼い主の血をなめた猫に飼い主の魂が乗り移り復讐するという話のパターンがこんなにあるとは。。
熊本の生善院は、無実の罪で殺された城主の弟の無念を晴らそうと猫の霊が祟るので
お寺を建てて代々の藩主が参詣したということです。
(ちなみに生善院は人吉にあるそうですね~夏目友人帳のモデルになった町だ。
ニャンコ先生は猫神さまの話とか聞いたことあるんだろうか。
そして化け猫といえば!最近見てないけどモノノ怪の化け猫がとんでもなくすごい話だからみんな見てくれよな!)

猫の恩返し。
かわいがってもらったお礼に人間に恩返しをする猫の話もよく聞きますね。
静岡の御前崎や福岡の宮若には、飼い主だったご住職を守るために
天井裏に住み着いていた巨大ネズミと死闘のすえ倒した猫たちの話が伝わっているようだし
鳥取の転法輪寺には、実は2本足で立って踊れることを隠していた猫がお寺を出て行かざるを得なくなって
でもやはり和尚さんにかわいがってもらったのは忘れられなかったらしく、
とある長者のお葬式が転法輪寺で行われるよう嵐を起こすなどして仕向けて
お寺にお布施を奉納させたという話があるそうです。
長野の法蔵寺に伝わる袈裟猫の話もおもしろくて、
そこは信州の猫寺と言われていて代々ご住職が三毛猫を飼っているそうなのですが
昔々にお寺にいた三毛猫が夜な夜な和尚さんの袈裟を借りて本堂でお経を唱えていたという
言い伝えがあるようです。
しかもお経の唱え方が言葉をしゃべるんじゃなく「ニャオン、ニャオン」と猫の鳴き声だったんだとか(笑)。
なんだかほのぼの^^
その猫はお経を唱えているところが見つかるとお寺を出て行ってしまったようですが
数年後に武士の姿で現れ「〇〇さんという人を檀家にします」と言い残して去り、
その後色々あって本当にそのお家が檀家になってくれたという後日譚もあるそうです。
お寺には袈裟をつけた三毛猫の石像が立っているそうです。見に行きたいなあ。

守り神。
立川の阿豆佐味天神社の話は聞いたことある~山下洋輔さんのエピソードでしたっけ。
飼い猫がいなくなったときこの神社にお参りして絵馬を奉納すると戻ってくる、という
猫返しというご利益(?)があるのですよね。
(ちなみにこの阿豆佐味天神社、元々は養蚕の神様だったそうですが
今ではすっかり猫返し神社みたいになってお参りする人が絶えないとか)
宮城の田代島(ひょうたん島のモデルになった島)は人間よりも猫の数の方が多いと有名ですが
山の中に美与利大明神という社があって猫神様が祀られているそうです。
島の漁師さんにとって猫は昔から大切な存在で、
猫がおとなしい日は大漁で、逆に騒ぐ日は時化るということで海に出なかったそうです。
その年に最初に捕れたマグロやカツオは必ず猫神に奉納するくらい篤い信仰を集めている神様だとか。
(7年前の震災では田代島も被災していますが、猫たちはいち早く高台に逃げてほとんど無事だったそうだ)
鹿児島の仙厳園には猫神神社があるそうですが
これは戦国時代に島津家が飼っていた猫たちを祀っているそうです。
(猫の目は時計代わりになるので戦場に連れて行った武将は当時割とたくさんいました)
朝鮮出兵の折に同家が7匹の猫を同行させたのは有名ですが、まさか祀られた社があるとは思わなかった。
祀られているのは帰国した2匹ということです。あと5匹は帰ってこられなかったのね。。
沖縄のシーサー!うちにもいます。過去に沖縄へ旅行した際に父親が買った阿吽の小像が。
そうか獅子の姿をしているから彼らも猫神か…!(笑)
シーサーが祀られるようになったのは江戸時代初期あたりからだそうです。結構新しいんですね。
スフィンクスやライオン像と同じく魔除けや守り神として門などに置かれたほか、
琉球王朝の王の墓にもシーサーがいるそうです。

貴人と猫。
お姫様と猫の事例が多く、だいたいは恩返しの項と似たようなお話が多く紹介されています。
特に「かわいがってもらったので屋根裏にいた大蛇を退治した」話の多いこと。
宮城の角田には首だけになっても飛んで大蛇を噛み殺した猫を祀った猫神権現があるそうな。
福島の猫啼温泉は、その昔玉世姫という人が京都へ引っ越す際に
飼っていた病気の子猫を連れて行けなくてそのまま置いていってしまったところ、
子猫は姫がいつも通っていた泉を訪れてはニャーニャー鳴いていたのですが
その泉に浸かるうちに病気が治って美しい猫に成長したとのことで
村の人は病気が治る泉の水ということで汲んで入浴するようになったのが始まりと言われるとか。
ちなみにこの玉世姫は京都へ行ったのち和泉式部と名を変えたということです。わあ。
あと、これは本の話ではなくただの余談ですけど
偉い人と猫の組み合わせというと宇多天皇とか一条天皇とか藤原頼長を思い出します。
特に宇多ちゃんは「うちの子の歩く様は雲の上の黒竜みたいでスゴイ」とか書き残しているくらい
飼い猫の黒猫が大好きだった人です。
頼長は子どもの頃に飼っていた猫が亡くなると大泣きしてお葬式をした人ですね。

そういえば今戸神社や回向院の猫塚が載ってなかったけど、あれはもう有名すぎるから
「みんなもう知ってるだろうからはしょるね」的なテンションだったということだろうか…
とか思っていたら著者が過去にだした『猫神様の散歩道』という本があるそうで
そちらの目次を見たら2か所とも載っていました。
こっちは重版未定らしいのであとで図書館で探してみよう~。
豪徳寺と自性院は両方とも載っていますね。
自性院いきたい~~~猫のお地蔵様に会いたいし太田道灌と黒猫のお話に思いを馳せたい。



先日のシンカリオン40話感想は例によって下にしまいました。
前回よりさらにテンションがおかしくなってますがよろしければどうぞ。↓

続きを読む >>

スポンサーサイト



テーマ:猫の本・雑誌
ジャンル:本・雑誌

カレンダー

09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

プロフィール

ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

初めての方はブログご案内をどうぞ。
当ブログはリンクフリーです(宗教、アダルトサイトは×)。
文章や画像の加工、無断転載は禁止。
版権元の企業や団体とは一切関係ありません。

All Rights Reserved.
No reproduction or republication without written permission.
This blog is written only in Japanese.



にほんブログ村 イラストブログ オリジナルイラストへ
にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ


☆気が向いたらクリックお願いします

FC2カウンター

「小倉百人一首」

問い合わせ先

最新記事

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

検索フォーム

応援中

最新コメント

最新トラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード