鏡のまこと、脳の嘘。

明治大学博物館の「見えているのに見えていない!立体錯視の最前線」に行ってきました。
錯視を研究テーマにしている杉原厚吉特任教授のチームによる研究成果の展示です。
ありえないと思われる形の立体は錯視によって作り出すことが可能であり、そのための数式が存在し、
立体を作ることにより新たな錯視の発見につながることを紹介しています。
そして展示は二部屋しかないのにこの内容で入場無料!撮影可!太っ腹すぎる。

鑑賞者はまず肉眼で展示物を見てから、カメラやスマホを通して錯視の視点を探します。
展示室で「スマホを出していい」と提示されるのがもう、楽しいし、
だまされたくて色んな角度から鑑賞するのも楽しいです。

不可能モーション立体「反重力2面屋根」。
上から見るだけですと普通の戸建て住宅のように見えますが、屋根に玉が乗っている??

横から見ると屋根は真っ平。
平らな紙に黒いラインを引き、矢羽根のような形に切って乗せると
↑の写真のように屋根が斜めに見えるのだそうです。

だまし絵立体「無限階段」。
左が上から見た図、右が横から見た図です。
凸凹なのになぜ上から見ると階段が続いているみたいに見えるんだろう…。
何だかエッシャーの絵を見てるみたいな気分でした。どこからともなくでんぐりでんぐりが歩きに来そうな。

だまし絵立体「4本の止まり木と四角の輪」。
正面から見ると四角い枠の中を棒が貫いているように見えますが、
上から見ると中央の縦棒から4本の横棒が突きだしているのがわかります。

パネルで錯視の解説もされていました。
これすごくよく見るやつだな~ミュラー・リヤーの錯視というのか。やっと名前がわかった。

変身立体「トランプの戯れ」。
手前の物体と鏡に映った物体が異なって見えています。

横から見るとこんな感じ。
上からは真っ平に見えた表面が実は凸凹になっていて、それを鏡が映すとああなるのですね。
変身立体の条件は筒状であることと、筒の高さが同じになるよう揃えることで
それで脳がエラーを起こして筒の切り口が平面に見えてしまうとのこと。

高さ反転立体「向きの変わる階段」。
鏡に映すと立体の高さが左右逆に写る現象。

横から見ると真っ平で、しかもこの角度から見ると左右逆ではなくそのまま映っている。

透身立体「消える鶏」。
左は上から見て消えてる状態、右は水平に見てちゃんと映っている状態。

鏡映合成返信立体「コウモリ」。
平らな鏡の上に立体を置き、実物と鏡像が合わさって意味のある形をなすというもの。

不可能モーション立体「なんでも反発4方向すべり台」。
中央に向けてすべり台が下がっているように見えますが、
横から見ると最も高い位置にあるのは中央であることがわかりました。
トリックアート美術館とかで床に穴の絵が描いてあるみたいなのに通じる気がする、
あれも一種の錯視ですよね。

軟体立体。
回転させても連続して変形するように見える立体で、鑑賞者が回して体験することができます。

軟体立体のうち「左を向きたがる鳥」を時計回りに回してみました。
こうして→こうして→こうじゃ。
……………ほんとに回したんだよ!!信じて!!!(滝汗)
証拠に動画を撮りましたので見てください→こちら
回しても回しても鳥が左を向きます。おもしろ~い。
動画の後半を見ていただくとおわかりいただけると思いますが
この立体、両端が鳥の嘴の形をしていて真ん中でひねってあるんです。
なので、角度によっては(特に上から見下ろすと)鳥が左を向いているように見えるんですね。
そんなわけでとても楽しくて、たった二部屋の展示室なのに1時間以上ぐるぐるしてしまった…。
さっさと錯視が見られる立体もあれば、あれこれ角度を変えないと錯視にならない立体もあって
自力で探したり隣の人と一緒に探したりしていると時間はあっという間に過ぎていきます。
何より鑑賞者のおしゃべりが気にならない!それどころじゃないから。。
あと、わたしが見に行った日の夜に放送された嵐にしやがれで松潤さんが杉原教授にお話を聞いていて
「錯視の研究が進めば車の運転などで見間違いが減るかもしれません」というお話を聞いて
なるほどなあと思いました。
本物とは違う形に見えているのに、そうと気づかず思い込みで行動してしまうと
大きな事故につながりかねないしなあ…。
当たり前ですが錯視は魔法でもなんでもなく、科学なんだよなあと思いました。
追記にシンカリオンな日々です。↓
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
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