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東京都写真美術館で映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」(字幕版)を見てきました。
中国で制作されたアニメーション映画で、最近じわじわと話題になってきているので気になって
やってるところを探したら単館上映か?ってくらい上映館が少なくて
東京は今月いっぱいは写美ですが来月はどこでやるんだろう。
すごく力の入った作品なので色んな人に見てほしいです。

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シャオヘイかわいいよかわいい。

観る前にさらっとあらすじだけ読んでから行ったのですが、妖精が存在する世界が舞台で
人間の開拓のために森を追われた猫の妖精の羅小黒(ロシャオヘイ)が
旅の途中で妖精の仲間や人間の師匠(になる人)に出会って世界を知っていく物語…みたいな感じです。
公式サイトにめちゃくちゃかわいい予告編がありますのでどうぞ→こちら
予告編はやさしいシーンが多めに編集されていたので、
てっきりひとりぼっちの猫ちゃんが仲間に囲まれて幸せになるような
ハートフルでソウルフルでほのぼのするストーリーかしらと思っていたら全然違って
師匠と弟子バディ×ロードムービー×能力バトルというめちゃくちゃド派手な内容でした。
わんわん物語とか名犬ラッシーみたいなのじゃなく、ドラゴンボールとかジョジョとかタイバニみたいなジャンル。
もっと上映館多かったら大流行して薄い本がバンバン出ると思う。

以下、ネタバレを含む感想ですのでこれからご覧になる予定の方はご注意ください。



主人公のシャオヘイ。
かわいい。動いてるだけでかわいい。とにかく何をしてもどこにいてもかわいい!
黒猫姿のコロコロした見た目も、よく動く耳も尻尾も、まっくろくろすけみたいなパッチリしたお目々も
「ミャオミャオ」って鳴く声も何もかもがかわいいっ!!!\\ ٩( 'ω' )و //
そんな子が、興奮したり恐怖を感じたりすると一瞬で戦闘態勢になったり
化け猫のように体を巨大化するのはまさに猫だなあと思っていたら
監督のMTJJさんが飼っている猫がモデルなんだそうで。
道理で猫の描き方が神がかってるわけだ…!
食べ物食べるときにめちゃくちゃ幸せそうに目をキラーン☆ってきらめかせるのかわいいし
仲間たちに出会えてすりすりするのもかわいいし、お部屋をもらって丸くなって眠るのかわいいし
そしてときどき船酔いする(乗ったことないもんね)。
あと尻尾の一部が独立してコミュニケーションが取れるミニ猫になってるのもかわいいです。
ムゲンとの出会いは最悪でしたけど(ミニ猫だけは最初からなついていた)、
無理矢理連れてかれて館への旅をするうちにどんどん知恵をつけて強くなって能力も使いこなせるようになっていって
フーシーが霊域を展開させてからのラストバトルにおいて
ムゲンを助けるために猫の手がグワーーーって出てくるシーンはまさにクライマックスだった!
髪も白くなって貫禄出ちゃってさ…強くなったねえシャオヘイ。すごいね。
フーシーに能力を奪われた後に黒猫から白猫になってラストまで変わらなかったけどもうずっとあのままなんだろうか、
中国で白というと仙人を連想するので神の領域に入ったかのような…。
でも最後にムゲンに抱きつく姿はまだまだ子どもだった。かわいい。

ムゲン。
たぶん100歳以上。強くて顔が崩れない、焦らない。やたら金属をつきつける。そしてやたら食い逃げする。
人間だけど妖精みたいな能力を持っていて、とてつもない強さのために妖精からも恐れられていて
でもおいしいものを見つけるのが苦手で、狩ってくるものすべてシャオヘイにペッてされるのがちょっとかわいそうだった。
(たぶん監督の経験なんだろうな)
(そういえば何で執行人として館に所属してるのかは最後までよくわからなかった)
あと、隙あらば逃げようとするシャオヘイを(物理的に)縛って館まで旅をしているうちに
方向音痴であることまで判明してしまった。。バトル以外はポンコツらしいです。
たぶん最初はシャオヘイのことを、フーシーたちに対する感覚と一緒で警戒しながら連れていこうとしたんだろうけど
シャオヘイの才能に気づいてからは明らかに自分の意思で連れていこうとしているのが
今回の出会いでシャオヘイだけではなく彼も変わっていくんだなと思いました。
「生き方を間違ってほしくない」とか。(どういう意味かはこの映画のテーマでもある)
地下鉄で初めてシャオヘイに車内の人々の保護を任せるところは彼の信頼を感じましたし
フーシーに立ち向かう表情は完全にシャオヘイのために怒っていて
シャオヘイが駆けつけてからのタッグバトルがすさまじかったです。アツい展開!

館の妖精たち。
人間と妖精のターミナルとしての機能を果たしている場所で
でも人間には妖精の存在は隠されているので、
妖精が何か事件を起こしそうになる前に予防したり、場合によっては隠蔽したりもするという
人間と妖精の間に存在するなかなかしんどい立場の組織。
館長のパンジンさん素敵なメガネのおじさま!
冷静沈着な敏腕館長という印象で、妖精と人間の間で常にトラブル絶えなくて胃がキリキリしてそう。
今回は龍游の街が半分以上吹っ飛ぶほどの被害が出たけど、うまいこと収めてしまわれるんでしょうね。
館にも色んな妖精たちがいて、シュイみたいに人間が好きな妖精もいれば
キュウ爺みたいに、好きじゃないけど共存を目指すしかないからと一緒にいる妖精もいれば
嫌いだけど生きるためとか居場所のために行動をともにしている妖精たちもいるみたい。
坩堝なんだなと思いました。
そして…ナタさんが…ナタさんが超イケメンだった…!
自信家で口が悪くて、自分が強いことをわかっていて(実際強い)そして何よりか わ い い (大事)。
足に何くっつけて飛んでるんだろうと思ってたんですけど
公式さんによる設定を見ると混天綾らしい!エーーーーーーーーッ( ゚Д゚)
封神演義クラスタとしては刮目せざるをえません…つまり哪吒ってことじゃねえかあああぁぁぁああぁああ
よくわかった…ナタさんがああいう口調で炎を武器にするのは哪吒だからだ…そうか…。
本当にありがとうございました。
中国に封神演義が今も生きていることがわかってわたしゃ本当にうれしいよ…。
そんな個性的なメンバーだらけの館ですが人間は歓迎されない場所とのこと…
ムゲンは見つけた妖精を送り届けてはいるけど館にはあまり近づいてないみたいですね。

そういえば館の美術デザインが個人的にとんでもないクリティカルヒットでして。
青空のど真ん中に浮いていて、大きな屋根と大きな鐘があって、周囲は雲しかなくとても凪いだ世界で
桃源郷とでも言えばいいのか…それにしてはデザインやカラーリングがポップでとても現代的でした。
というかこの映画は背景の美しさがとんでもねえんだ…。
最初にシャオヘイが住んでいた、高い木がたくさん群生して動物たちも多かった深い森。
フーシーたちがいた離島の中の、たくさんの植物と苔むした世界。
白い蝶がいるところはたぶん妖精が住めるしるしというか(もののけ姫のコダマみたいな感じ)、
自然が豊かな証拠でもありそうな。
そんな緑の描写から一転、現代の大都会を思わせる龍游の街(天津市がモデル)はリアリティがものすごい。
(人間の世界と行き来できる出入口が妖精たちによっていくつか作られていて、
シャオヘイはそこから街に迷い込んでフーシーに助けられている)
てっきりファンタジーの世界かと思いきや現代社会と繋がっている世界だと判明するのは映画後半なので
突然の妖精の世界とテクノロジーの融合にびっくりします。
執行人たちはスマホも使うしコカ・コーラのお店にも入るしハンバーガーも食べるしスクーターも運転する。
(大陸に上がったシャオヘイとムゲンが食事したお店の店員の「スマホで支払えますよ」のセリフで
ムゲンが懐からびしょびしょのスマホを出したのはびびりました。あ、持ってるんだ、って)
空を飛べたり、樹を生やせたり、氷や金属を操ったり、空間を創りだしたりと
妖精たちやムゲンの使う技が明らかに五行思想というか、神話や伝説やファンタジーのそれなので
街に来て地下鉄でバトルおっぱじめたのはびっくりしました。おまえら電車の上でケンカすんな。。
(だからムゲンは氷属性のシューファイとは戦わないんだなと思ったし、
金属性のムゲンとシャオヘイに木属性のフーシーは勝てないんですね)
あと個人的に、ガコさんのお店で水墨画から飛び出してくる龍と鳥とカエルの一連のシーンが
夢があってとってもよかったです。(ガコさんはそれどころじゃなかったけど)
あの背景の書や絵画は引用ではなく全部アニメーターさんたちがデザインしたらしい。かわいかった。

作画。
戦闘シーンは素早く、無駄がなく、鮮やかなアクションの連続で
画面を縦横無尽に暴れまわるキャラクターたちを目で追うのが大変でした。
日本のアニメなら1カット差し挟みこみそうなシーンでもそういうのが省かれているから
速さが感じられるというか、スピード感が全然違いました。
日本の作品なら、たとえば人が相手に飛びかかる作画なら踏ん張る顔→踏ん張る足→飛び出す!みたいに
3カットくらい使いそうなシーンを、この映画では最初から飛び出す作画になっているから凄まじく速く見える。
感情の省かれた動きだと思いました。
しゃべりながら戦わず、モノローグが一切入らず、ひたすら目の前の戦いに集中する動きだった。
かと思えば食べたり眠ったりするなどの日常生活のゆったりした動きが滑らかできれいでしたね…
たぶん日常シーンの方が作画枚数が多かったりするんじゃないかな。
シャオヘイが猫になったり人間体になったり、妖精たちが姿を変えるときのなめらかな作画もホレボレする…。
変身シーンはアニメーション表現でもっとも難しい作画のひとつだと思ってますが
この映画はまったく違和感がなくてきれいだった。うん。
中国の妖精は西洋のフェアリーとは違い「化ける物」の類というか意味があるので
(封神演義を通った人なら妖精→道士→仙人の流れとかご存知だと思う)、
その部分を大切に描いてくれてうれしいですね。
あとムゲンとシャオヘイを見ていると、師匠と弟子という関係性が
中国の人々にとっていかに強い影響力を持っているかということも感じられました。
ジャッキーの映画にあるみたいな、指導者の偉大さというか大きさというか
師をあおぐことの精神性みたいなものがひしひしと伝わってくるというか。
(そして弟子は物理的にも精神的にも最後まで師匠を超えられないお約束)
あと中国における達人という人たちはやたらと手を後ろに組んで立つポーズしたり
やたらと尖ったものの上に爪先立ちしたがるのは何故なの。
海の上でひっくり返った筏の先っちょに立つムゲンみたいに。

離島の妖精たち。
みんなのリーダーのフーシー、明るくていいお兄ちゃん的なロジュ、
冷静で聡明なシューファイ、「おにく」「おさけ」しか言わないテンフー。
人間によって住処も尊厳も、何もかも奪われた妖精たちで
人間に対して強い憎しみを抱いていて、街にされてしまったかつての住処を奪い返そうとしている。
なんという酒呑童子的な存在…ド直球で好みです←
だから館に行くのは嫌がって執行人たちとのコミュニケーションを拒否していて
暴力や犠牲をともなうやり方で自己表現するしかなくて、でもそれを誰が責められるだろう。
森を追い出されて別の場所を見つけて、の繰り返しばかり何百年もさせられたら怒って当たり前だし
今回の行動もキレて始めたっておかしくないのに用意周到に計画をたてているから頭は冷静だろうし
(フーシーもシャオヘイに「考えたさ」って言ってるしね)、
考えて考えて今回の行動を起こしたフーシーが選んだ最期があの結末ならあまりにも悲しい。
そんな彼の精一杯の抵抗も「人間に切られて終わりだ」「公園になるかもしれない」
「有料のな」で片付けられてしまう悲しさ…。
他の妖精たちも捕まってしまって、彼らを救えないなら何のための館なんだろうと思いました。
そりゃ確かに、歩み寄りは繊細なものですよ…うまくやらないとすぐ壊れるのわかりますよ、
館の人も「話し合ってみたい」って言ってたけど
ここまでこじれた人と妖精の共存がどんなに難しいかって、わかるけども
シャオヘイを連れて行かれてしまったときとか
ムゲン(というか館側)の考えに同調し始めたシャオヘイを見たときのフーシーの気持ちとか考えるとね…。
悲しかっただろうなあとか、シャオヘイと戦いたくなくてやめてくれって言ったり
最後の最期に「ごめん」て謝ったのもつらくて。
ロジュがシャオヘイのことすごく好きで巻き込みたくないって
フーシーに最後まで抵抗してたのとか思い出すと、彼も今どんな気持ちなんだろうな…。
フーシーが、下心があったとしてもシャオヘイに「お酒は駄目」って言ったのは本心だったと思うんだ。
…でもね。
シャオヘイの力を勝手に奪って泣かせたのはダメです。
自分の都合を優先してシャオヘイから力を奪って行動してはいけなかったと思うよ。
シャオヘイは話せばわかる子なのだから、きちんと目的を話して了解を得てから行動してくれ~~!
ムゲンさまもだぞ~~ラスト、シャオヘイが泣くとわかっていて置いていこうとしてんじゃねえや~~!!
(子どもを泣かせる大人に我慢がならない日々です)

最後にシャオヘイがムゲンを師匠と呼ぶシーンは確かに感動的でしたけど、
それよりもわたしが泣いたのは
ムゲンに焼鳥を差しだされたシャオヘイがフーシーたちと過ごした夜をふと思い出すシーンだよ…。
あのときのシャオヘイは森を追い出されたばかりで、人間の世界に迷いこんで誰のことも信じられなくて
フーシーが助けてくれたときも威嚇して巨大化してて、
だからフーシーたちと過ごせた時間がとてもとても大切な時間になっていたわけで、
なんであの時間が奪われてしまったんだろうとめちゃくちゃ泣けてしまった。。
あの時間がずっと続いたらよかったのに。
フーシーは結果的にシャオヘイをあざむいたけど、あの時間は嘘ではなかったと思います。
ロジュが赤い花を降らせてくれて、テンフーにお肉を焼いてもらって、
フーシーに頭をなでてもらってあたたかい部屋で寝られて、シャオヘイは幸せだったのだから。

現代社会に溶け込んで暮らす妖精たちを見ていると狸合戦ぽんぽこやMr.インクレディブルを思い出すけど
これはずっと考えられていくテーマだなあ…。
そういえばミン先生とモモはあの後平穏に過ごせているんだろうか。


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実は写真美術館に行ったのはこれが初めてだったりします。
今回は映画しか見なかったけど、興味のある展示があったらまた行きたい。
(右の大きな写真はロバート・キャパが1944年にノルマンディー海岸で撮影したアメリカ軍)

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恵比寿ガーデンプレイスに行ったのも初めてだったので周囲を散策。
サッポロビール社の後ろにある恵比寿神社は会社を立ち上げた際に西宮神社から勧請したそうです。
1994年に恵比寿ガーデンプレイスができたときに社殿も新しくしたそうな。

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そのサッポロビール。
ガーデンプレイス内にはビールが楽しめるお店がたくさんありました。

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プレイス内にあったクリスマスツリー。
写真を撮っている人がたくさんいました。

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映画を見終えて美術館を出てきたらライトアップされていました☆
お昼よりももっとたくさんの人が写真を撮っていて、恵比寿駅に向かうのが大変でした。
恵比寿駅は山種美術館に行くときくらいしか下りないから…なので広尾方面しか知らないから…
ガーデンプレイスはやっぱり混んでますね。楽しかったです。
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