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2020_11
28
(Sat)23:59

お取り寄せな日々の過ごしかたその4。

※しばらくブログの更新をゆっくりにします。次回は12月5日に更新予定です。


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菓匠花見の参道と秋の宵。
参道はこの時期になると買えるので毎年楽しみにしていて、今年もゲットできてよかった。
秋の宵はそぼろから十三夜の月に見立てた栗が覗いています。美しい。

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くらづくりの銀杏並木と山茶花。秋の色と秋の花。
そういえば今年はマスクをしていることが多かったから、銀杏の匂いにも気づかなかったなあ。

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かんだ和彩の龍田姫と秋の街。
秋の神様の着物の色をイメージした白い外郎の中には三色の餡子、
薯蕷饅頭の表面には銀杏並木の絵が描かれていました。

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花扇の竜田川…と、店長さんが「これ、おまけね!」と袋に入れてくださった巨大おはぎ。
「余りものだから!お金いらないから!」ということだったのでいただいてしまったのですが
とても一人では食べきれないので、帰宅して家族でいただきました。

また、別の日に「おもしろいお菓子が入りましたよ!」と
お電話をいただいたので行ってみたのですが。
(先日、店員さんととうとう電話番号を交換してしまいました…
このお店本当に生菓子が売り切れるのが早くて…買い逃したくなくて…)
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何だかお寿司屋さんのカウンターみたいですが、和菓子屋さんのショーウインドウです(笑)。
とうとうイクラとウニのお菓子を作ってしまったよ花扇さんは!
過去に大トロのお菓子も買いましたがあれを上回るクオリティだなと。個人的に。

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すごいどこからどう見てもイクラ!
イクラは寒天で、シャリは道明寺(白餡入り)で、海苔は練りきりと聞いてひっくり返りそうになった。
食べたら全然しょっぱくなくて甘くて(当たり前)すごく不思議な気持ちでいただきました…。
見た目イクラのお寿司なのにシャリをかじったら白餡とか…脳が解釈違い起こして風邪ひきそうでした。
和菓子職人ってすごいな。

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どこからどう見てもウニ…!
わたし実はお寿司のウニって苦手なんですが(味が苦手)、この甘いウニはおいしくいただけました。
和菓子職人ってすごいなァ!(2回目)
また食べたいなあぁ~~~でも売り切れるの早そうだよな…!

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お寿司のほかに白玉椿も一緒に買いました。かわいい。
あとこの日は「焼きたてだから食べてって!」ということでどら焼きをその場でいただいたり(熱かった)、
先日の巨大おはぎに続いて巨大塩あんびんを「お金いらないから!」と袋に入れられそうになって
そのあまりの大きさにビビッてしまい(手のひら広げたくらいのサイズあった)
「ごめんなさいこのお店のお菓子本当に好きだしお気持ちすごく有難いですけど食べきれないです」って
ほぼ一息にお断りしたら
「じゃあこっちあげる」って半分サイズの塩あんびんを結局いただくことになりました。じゃあ、って何だ。

花扇さん本当に大好きなお店で一生通うつもりだし店長さんも店員さんもとても良い方々ですが
たまに強引なところがある…でもお菓子おいしい…本能には逆らえないっ…!!


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さる11/11~17の1週間、銀座三越にて
坂木司さんの小説『和菓子のアン』シリーズと本和菓衆のコラボイベントがありましたので、
平日の午前中なら混雑が少ないということだったので代休を使って行ってきました。
過去に2回開催されているイベントですが、先月にシリーズ最新作『アンと愛情』が刊行されたので
その記念としてイベントが復活。
本和菓衆のブースは小説に出てくるデパ地下のお店「みつ屋」の看板を下げていました。
(会場も三越の地下2階だったので本当にデパ地下ですね)

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佐藤屋さんのブースでは佐藤屋八代目による『和菓子のアン』への愛情あふれるトークが聞けました(笑)。
小説の中で主人公アンちゃんが働いている和菓子屋はバックヤードがあるのですが、
今回のコラボ企画で売り場を決めるときにこの場所を見た八代目が「絶対にここがいい!」と猛プッシュして
めでたくここに決まったのだそう。
言われてみればバックヤードがチラッと見えますね…!
「お客さんからは見えにくいですけど奥にはパソコン置いてありますから!椿店長いますから!」と
めっちゃくちゃ高いテンションで語る八代目が本当におもしろくて、楽しくお買い物させていただきました。
あとわたしが亀屋さんのどら焼き買えるかどうか心配してくださってありがとうございました…!
(売り場が佐藤屋さんとは反対側にあって、在庫があるかどうかはお店に行かないとわからなかった)
八代目すごく細かくていい方です。

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ゲットしたお菓子たち。
きよめ餅総本家の「春告鳥」と「こい」は抹茶の羽二重餅とチョコ餡入り桃山のセットでかわいいし
ペパン工房のアイシングクッキーはアンと愛情の文字が入っている。
亀屋さんのどら焼きもみつ屋の焼き印が押されている今回だけの限定品で
ホットケーキみたいなふわふわの皮にめっちゃ柔らかい餡子が入っていました。絶品。

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あと前回のイベントでは売切れ多数で涙をのみましたが
今回はオンラインでも注文できるとのことでたくさん注文してしまった!
佐藤屋さんの「お饅頭」「光琳菊」「紫陽花」「未開紅」「落とし文」「秋の道行き」「はじまりのかがやき」は
すべて小説に出てくるお菓子で、
小説のト書きをそのまま再現したものばかりで本当にすばらしい☆
わたし特に「はじまりのかがやき」(右下のお菓子)がコンセプトもひっくるめて大好きでして
過去のイベントでも1度買ってとてもおいしかったので、また会えてうれしいです。
金沢21世紀美術館のスイミング・プールがモチーフで、北陸新幹線の名前がついたお菓子。
前回は薄曇りだったけど今回は透き通ったプールの水が表現されていて
水面の水紋も金箔のきらめきも綺麗で本当に食べるのがもったいなくて、いつまでも眺めていたかった。
佐藤屋八代目によると毎回同じお菓子を出すのではなく少しずつ改良を加えているとのことです。
挑戦なさってるんだなあ…!

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大野屋さんの「アンのつぶやき」セット。
「こぶ巻き」「赤のお守り」「生々流転」「春告鳥」の4種類のお菓子を6個詰めてくださっています。
個人的に最高だったのは「こぶ巻き」です!
最新作『アンと愛情』の中でアンちゃんが買った成人式用の緑色の振袖の柄だ!!!
あのシーンとてもよくて、どうやって着物を選んだらいいかわからないアンちゃんに
お店の店員さんが着物の色合わせや柄の歴史まで細かく説明して
アンちゃんがちゃんと納得して振袖を選べるサポートをしていて、素敵だ~と感動しながら読んだので
それがお菓子になってすごくうれしかった。
「生々流転」も作中に出てきた加賀友禅と京友禅を表現しているそうです。着物の和菓子!いいね☆

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彩雲堂さんの「アンと愛情 特製生菓子」。
「春告鳥」「懸想文」「こころ」「こい」の4種類で、すべて最新作に出てくるお菓子です。
特に「こころ」とかびっくりしてしまった…!
小説で「日本酒とシロップで甘く煮た金柑の中にホワイトチョコ入りの白餡」って説明されてるんですが
そのまんまのお菓子じゃないかあああああ+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
梅の花があしらわれた懸想文も緑の春告鳥もハート型のこいもかわいいぃぃぃいいい☆

本和菓衆のみなさん本当に本当にありがとうございました…!
ぜひまたコラボイベントやってほしいので坂木司さんには続編を書いてほしいし、
光文社さんはイベントを企画してほしい!よろしくお願いします。

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三越入口のライオンさんが毎年この時期になると消防服を着るのはいつものことですが
今年はマスクもしていらっしゃった。

…で、そうだ銀座に来たからには!と思って。
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歌舞伎座まで歩いていきました。
8月から公演を再開していて、現在は2部構成ではなく1幕ごとの総入替え制で上演中なんですよね。
軒下に垂れ幕(11月は顔見世)が下がっているとなんだか日常って感じがしてホッとする…。

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歌舞伎座の感染症対策。
客席を減らしてソーシャルディスタンスを取り1幕ごとに劇場内を消毒、
お客さんができるのは拍手のみで大向こうも掛け声も禁止、客席での会話も控えるようにとのこと。
飲食もできないそうですが実質、幕間がないからお弁当も持ち込めないよなあ…。
大向こうがないと役者さんもちょっと変な感じがしてそう…調子出ないとか…大丈夫だろうか…。
今の歌舞伎座がどんな様子なのかは興味があるけど(たぶん今しか見られない歌舞伎座が見られると思うけど)、
ちょっとまだ劇場での観劇は様子見中なのでしばらくはオンライン観劇で応援しようと思います。

(あと今、大河ドラマに出演中の玉三郎様を毎週楽しみにしていたりします。
役者さんを歌舞伎座で拝見できないけどテレビで見られる有難さよ☆
しかしさすが玉様というか、過去から本物を連れてきたかのように高貴で雅で、佇まいが「帝王」だなと…。
比叡山の戦は自分と弟の戦いだと言って、ノブ様の本質を見抜いたうえで振る舞って
自分が美しいとわかっていて他人に向けて己がどうあるべきか知っているえげつなさをお持ちの帝すごい…。
やばい掌握されてしまう…どこまで逃げても仏の掌の上みたいな…。
この世のものとは思えない美しさと決して誰にも御されない強さと恐ろしさが
玉様がこれまで積み重ねてきた圧倒的鍛錬により出力されている気がします。圧巻)

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木挽町広場はどうなってるだろう、と思って行ってみましたが
お店とお店の間にビニールシートが張られていたり一部のベンチが使えなくなっていたりしたけど
それ以外はいつもの雰囲気でした。
観劇のお客さんが少ないせいか人もあまりいなくて賑わってはいなかったですね…。
安心してお買い物できる日がはやく来てほしい、いつになるだろう。
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2020_11
21
(Sat)23:50

走る美術館と新幹線のお医者さん。

※しばらくブログの更新をゆっくりにします。次回は28日に更新予定です。


本日は推し活の記事。
先々週と先週、大宮駅・上野駅で現美新幹線に、東京駅でEast-iに会ってきました☆
(あとシンカリオンな日々も合間にちょっとあります)

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まずは大宮駅で現美新幹線を。
入場券で改札内に入場してから、列車停車位置を確認します。
現美さんは6両編成なので16番線に向かいます。

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ホームの掲示板には「現美新幹線の乗車位置でお待ちください」というテロップが流れていて
駅員さんも同じ文言をアナウンスしてくれますので、
足元を確認して「現美」と張り紙がしてある位置を見つけて待つことにします。

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現美さんが来るまでに時間があったのでホームをうろうろ。
ハヤトくんホクトさん親子でパチリします。
よく考えたらシンカリオン聖地になってから大宮駅の新幹線ホーム写真撮りに来るの初めてですよ自分!??
もっと早く来ればよかったなあ。

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「団体列車が到着いたします」のアナウンスの後にファーン!というタイフォンとともに、
き、来ました…黒い彼が……!!!

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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2020_11
14
(Sat)23:57

今を見つめて記憶のなかに。

※しばらくブログの更新をゆっくりにします。次回は21日に更新予定です。


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原美術館に行ってきました。
現代美術専門の美術館で、実業家・原邦造の邸宅として戦前に建てられた洋館が
そのまま美術館になっています。
(設計者は東博や銀座和光を設計した渡辺仁だそう)

ずーーっと気になっていた美術館で、なかなか訪れる機会がなかったのですが
去年の11月に建物の老朽化のため閉館することと
閉館後は渋川にある別館のハラミュージアムアークと統合して活動することが発表されたので
せめて最後の展覧会は見たいと思って訪問しました。

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前庭には屋外作品が点在しています。
右手前にある多田美波「明暗 No.2」(1980年)は
ステンレス製の三角錐に周りのお庭の景色が映ってきれいです。
その奥には関根伸夫「空相」があって、四角い金属の上に大きな石が絶妙なバランスで乗っていて
こちらもお庭の景色が映ってきれいですが、倒れないのかな…とちょっと心配になった。
これまで経ち続けているみたいなので大丈夫なんだろうけど。

あと玄関の脇にあった飯田善國「風の息吹」(1980年)は
金属でできた長方形の板状のオブジェが1本のポールに奇妙なバランスでいくつもくっついていました。
キース・ソニア「エスセシポール 1」(1982年)。ピンク色の公衆電話とブラウン管のテレビが並んでいました。
設置当時はテレビも点いたらしいですが、今はつかないそうです。電話は使えるそうです。
(この記事の1枚目の写真↑の左側にチラッと写っています)

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感染症対策のため、1日に入館できる人数は決まっていて
チケットは日時指定の予約制(ネット予約)です。
入館時に検温とアルコール消毒があり、館内ではマスク必須、人との距離を取って会話を控えます。
わたしが行ったのは平日のお昼過ぎだったので、そんなに混んでませんでしたけど
館内は元個人宅のため決して広くはないし天井もあまり高くなかったので
いつも以上にソーシャルディスタンスには気を遣いました。
小さな展示室の入口には一度に入れる人数が「2人まで」「4人まで」などと掲示されていました。

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「展覧会を記憶にとどめてほしい」という美術館側の希望により、館内は撮影禁止。
人数制限されてるとはいえ人はまあまあ入ってましたし、撮影しているとぶつかったりする危険もあるので
さもありなん。

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最後の展覧会「光-呼吸 時をすくう5人」を鑑賞します。
1~2Fのそれぞれの展示室と廊下に3人の写真家と2人の現代アーティストによる作品が展示されていました。

リー・キット「Flowers」(2018年)。
小さな展示室の壁にひとつだけアクリルのキャンバスが掛けられ、鉛筆で女性の横顔が描かれていて
それを部屋の隅に置かれたプロジェクターの白い光が照らしています。
たぶんその光もキャンバスも、部屋にもともとある暖炉も、白いレースのカーテンがかけられた窓も
全部が「Flowers」という作品の展示物として構成しているんだろうな…。
インスタレーションに添えられた「花か枝かの選択」の意味するものはなんだろう…。
昨今の香港(作者の出身地)に思いを馳せながら見ると色々考えてしまいます。

城戸保「梅と小屋」(2018年)ほか写真46点、Cプリント。
日常風景を写したものが中心ですが、いわゆる風景写真ではなくて
花や鳥、牛舎、建物の屋根、750円と書かれた金額表示、ガードレール、じょうろ、壊れた車、
傘を干した風景、木越しのモリゾーの絵、揺れるプールの水面、何かの光など
景色を独特な視点で切り取って撮影した写真が多かったです。
「ま」(2019年)の写真はたぶん、アスファルトに白ペンキで書かれた「止まれ」の字の一部だろうな…。
あと写真のほとんどにハレーションや逆光が差し込んでいたのもおもしろくて
樹や電柱や牛の顔などに赤やオレンジの光が被さっていました。
原美術館のどこかを撮影した写真もあったそうですが、どれかはわからなかった。

佐藤雅晴「東京尾行」(2015-2016年)。
昨年亡くなった作者が東京各地の風景を定点カメラで映像として撮影し、
写りこんだものの一部をトレースしてアニメーション表現にして実写に紛れ込ませています。
公園の風景の中でブランコだけがアニメーションで揺れていたり
犬の散歩をしている人が街を歩いているけど犬だけアニメーションだったり
誰もいないどこかの事務室でキャスターつきの椅子だけがアニメーションでくるくる回っていたり
テーブルの上の小さな卓上鏡だけがアニメーションでくるくる回って部屋の中に光を振りまいていたり。
展示室のサンルームにあった自動演奏ピアノがドビュッシーの「月の光」を演奏していたのですが、
このBGMを聴きながら作品を見ると見事にマッチしていてすごかった。
これも作品の一部で、この音色がないと完成しないんですね…。

佐藤時啓「光-呼吸 Harabi」シリーズほか写真9点。
作者がペンライトや鏡を持って原美術館の展示室内を、ハラミュージアムアークの庭を歩きまわって
カメラのシャッターを開け放しにして撮影した写真を大きく引き伸ばして展示しています。
美術館の床や芝生に細いコードのような光があふれてかえっていて、
光の海みたいだなと思いました。
「こんな夢を見た-親指と人さし指は、網目のすき間の旅をする」(2020年)は映像作品で、
加工された原美術館の建物のあっちこっちをふわふわ飛びながら移動しているような印象。
そうだね夢を見てるときってこういう動きすることありますね…。
どこにでも飛んでいける、でも意外と遠くへは行けないような、あの感じ。
建物にぼやけた加工がされているのも、背景がはっきりしない夢の世界のようでした。

今井智己「Semicircle Law」(2011~2020年)シリーズ、写真24点。
作者は福島第一原発から30km圏内にある場所、
阿武隈山や大倉山ほか数ヶ所の山頂から原発方面に向かって定期的に写真を撮り続けている人で
事故当時から現在まで撮影された写真が展示されていました。
日付はバラバラでしたが各月の11日が多かったです。
(一番近い距離は2020年2月に撮影された原発から12km地点の写真で
一番遠い距離は2017年に9月に撮影された原発から33kmの地点)
数年ごとに同じ場所から撮影された写真は、木が伸びていたり街に変化があったりして年月を感じさせます。
展示室で上映されていたプロジェクトの記録映像は固唾をのんで見入ってしまったし
映像の近くには方位磁石と日本地図が置かれていて、地図には赤い線が引いてあって
原発と撮影地点を結んでいました。
事故は今も続いている。


あと、常設展も鑑賞しました~。
(企画展示の間に常設展示物がヒョイっと置かれているので、常設展と言っていいのかわかりませんが…)

まずは1F。
鈴木康広「募金箱 『泉』」(2011年)。
美術館1Fの階段横、白い壁にとても小さくて細~~い穴が空いているだけの展示で
最初はそんなところに展示があるとは知らず素通りしていたのですが、
見学しているお客さんがいたので気づけました。ありがとう。
よく見ると穴の上に鉛筆で文字が書いてありました。以下引用。
「コインは自分の分身です。それを投入することは自分自身が原美術館の活動に参加すること。
自分の投じたコインによる一滴の雫が、その活動に波紋を生み、そこから新しいアートの世界が広がるのです。
壁面に空いたスリットの中にコインを投入してください」
ほうほう…と思って、試しにお財布から10円玉を出して入れてみましたら中からポチャンと水音がしたので
穴を覗くと、細い穴の奥で水面の映像がゆらゆら揺れていました。
コインを入れることで壁の中にある映像に変化が起きて、それを鑑賞できるアートなんですね。
(ちなみにこの作品、鈴木さんが美術館のために寄付したもので
投じられたコインは美術館の活動支援金として使われるそうですが
設置した2011年は東日本大震災が起きたのでこの年だけは義援金として被災地に寄付されたとか)
コインを入れると見られる映像は、すべて原美術館のどこかで撮影されたものだそうです。素敵だ。

森村泰昌「輪舞」(1994年)は、元々トイレだった部屋に作品を設置してしまったもの。
部屋の壁も天井も鏡張りになっていて、真ん中にはマネキンが床に腰を下ろして足を広げていて
マネキンの足の間に便器(特注)が置いてあります。
マネキンは作者の森村さんが取ったポーズを石膏で型を取ったもので、つまり作者本人なのですね。
ちなみに便器はトイレとして今も使えて、水も流れるみたいですがわたしはとても使えないですね。
部屋中が鏡張りで落ち着かないし、何より作者に見られながらというのがキツイ。

ナム・ジュン・パイク「ニーシェインT」(1984年)。
カラーテレビとビデオディスクとコンピューターを使った作品で、作者はビデオアートの先駆者だとか。
表面にいくつもの小さなモニターが設置された大きな黒い箱が置いてありまして
様々な映像を映すことで情報社会を表現していたそうですが
現在、使用機材が製造中止になっているため修復ができず箱のみ展示しているとのこと。
マシンを使うアートはその時代をズバリと表現するものだと思いますが
部品が故障したとき直せる人やメーカーがいないと展示できなくなるリスクがあるんだよね…
保存と展示の課題。

2F。
須田悦弘「此レハ飲水ニ非ズ」(2001年)。階段を登ってすぐ、左手にありました。
2000年9月に美術館のイベントで集められた寄付により実現した作品です。
元々は写真を現像するための暗室だった部屋だそうで、壁はタイル張りになっていて
部屋の奥には2本の水道管がむき出しになっており、そこに紫色の花が2輪添えられていました。
まるで水道管から芽を出して花を咲かせたみたいだ…花にとっては水源だからね。
(ちなみに花は定期的に変えられているそうです)
気になったのが壁に貼ってあった「This water unfit for drinking」という小さな紙だったのですが
後でぐぐったら、この建物が戦後にGHQに引き渡され外国の大使館として使用されていた際の名残で
つまり当時の人が書いた水道管が使えないというメモを今もそのまま残しているのだそう!
エーーーーーっもっとよく見てくればよかった…なんという歴史…!

宮島達男「Time Link(時の連鎖)」(1989年/1994年)。
壁も天井も真っ黒で明かりもついてない、奥行きのある真っ暗な小部屋(奥がカーブしている)の天井と床付近に
赤と緑のLEDのデジタルカウンターが奥に向かって無数にずらーーーーーっと並んでいて、
それぞれが1~99までの数をカウントしています。
カウントのスピードは個々のLEDによって差があり、時計の秒針の速度からいっこうに動かないものまであって
共通しているのは99になると消えてしまうところ。
すぐに1からまた始まりますが、何のカウントなんだろうと考え始めると止まらないです。
これだけカウンターが並んでいると、数字の組み合わせもそのとき見たものが最初で最後というか
同じ組み合わせは二度と見られないと思うとその一瞬がとても大切に思えてきます。
時間はどんどん過ぎ去っていってしまうんだ。

奈良美智「My Drawing Room」(2004年8月~)。
バスルームだった部屋を奈良さんのアトリエのような展示室にしたもの。
壁や天井は木製で白いペンキが塗られていて、部屋の奥に机があって(椅子はない)、
さらに窓があって外の景色が見えます。
床には描きかけのドローイング、真っ白なキャンバス、色鉛筆、カセットテープやCD、
人形、ダンボール、ポット、帽子、飲みかけワインの瓶などが雑然と置かれています。
2004年に奈良さんが原美術館で個展を開催した際に制作されて
その後もときどきご本人が来たときに物を置いていったりするらしい。
床にあおもり犬が7匹いて、それもある時から急に出現したらしいから設置当初はいなかったんだろうな。
訪れるたびに変化する展示室は楽しい!
「Lanila」の文字で始まる外国語で書かれたA4サイズの紙が壁に貼ってあったんですが
書き足りなかったのか、紙をはみ出して壁に続きを書いていたのがおもしろかったです。

3F。
ジャン=ピエール レイノー「ゼロの空間」(1981年)。
部屋全体が純白のタイル張りになっている真っ白な空間の壁に
同じくタイル張りの正方形が4つ設置されていて、数字の「0」の形をした金属プレートがぶら下がっていました。
(金属プレートのレプリカはミュージアムショップで買えます)
真っ白で何もなくてまったりしてしまいましたが、長くいるとたぶん虚無を感じる場所だと思う。
元々は建物の屋上に出るためのスペースだったみたいです。


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1F中庭に面したカフェ「d' Art」にて
「ベリーX2 クレームダンジュ」(フレンチスタイルのチーズケーキ)をいただきました。
カフェの厨房は個人宅だった頃の配膳室を利用しているそうです。
この日は少し肌寒かったけど、屋内はやめてテラス席を選んで座らせてもらいました。

中庭にも常設の屋外展示作品がありました。
三島喜美代「Newspaper-84-E」(1984年)。
土の新聞というシリーズのうちのひとつで、シルクスクリーンで陶器に新聞の記事をプリントしたものです。
くしゃくしゃっと丸められた新聞が陶器でできている凄まじさ。どうやってあの形を作るんだろ…。
(ちなみにプリントされていたのは1984年8月31日のニューヨークタイムズで
アポロ13号の月面着陸記事などが載っている)
あとお名前に聞き覚えがあったと思ったらあれだ、直島旅行でゴミ箱の作品を見たのでした。再会に感謝。
イサム・ノグチ「PYLON」(1959-81年)。アルミニュームに亜鉛メッキで制作されたモニュメント。
李禹煥「関係項」(1991年)。芝生に置かれた正方形の鉄板を挟んで石が2つ。
ソル・ルウィット「不完全な立方体」(1971年)。
白い棒を使って骨組みのように立方体を作っていますが、
立方体を構築するうえで必要な12本の辺のうち4本が外されているオブジェ。
ダニエル・ポムロール「自分に満足しない私」(1982年)。
ガラスのような透明な素材と、黒光りする石のような素材を組み合わせて壁のように並べたもの。
アドリアナ・バレジョン「空想の万能薬」(2007年)。
横に長く並んだタイルのひとつひとつに薬草(幻覚作用のあるもの)の絵が描かれていました。

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正門を出てしまった。。何だかさみしいです。


元々個人宅だったせいもあると思うのですが、
かつては書斎や居間、厨房だったところが展示室になっていたりカフェになっていたり
(展示室のフローリングは当時の床板のままらしい)、
壁の中とかお手洗いとか水道管とか、えっそこにそんなもの置く…?みたいな驚きもあって
日常生活の中にアートが点在しているようでとても楽しかった。
閉館は寂しいですが、作品は渋川のアークに移動すると聞いてちょっと安心しました。
レイノーや宮島達男、奈良美智など部屋ごと展示室になっている作品も移築されるそうですし。


ところで。
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美術館までは地図を見ながら行ったので気づかなかったけど、
北品川駅と原美術館の間にはJRの線路が通っていて、その上の鉄橋(御殿山橋)を渡るんですが
金網越しに電車が見下ろせることに帰り道で気づきました。

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在来線も新幹線も見られる!
写真は東京方面に向かって走っていくN700a X50編成です。
屋根がぴかぴか真っ白だ~!全検明けとかでお掃除してもらえたのかな。

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帰りの電車に揺られながら外を見ていたら、田町駅の向かいのホームで京浜東北線の試運転が。
最近、こういう車両に気が付くようになりました…わたしたちが気が付いていないだけで
営業車両に紛れてひっそり走っているんでしょうね。お疲れさまです。
2020_11
07
(Sat)23:58

トーハクで一緒に旅行しましょう(月曜日以外で)その2。

※しばらくブログの更新をゆっくりにします。次回は14日に更新予定です。


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トーハク×びじゅチューン!「なりきり日本美術館リターンズ」を見てきました。
2年前に開催された展覧会の第2弾で
前回同様、東博本館の中でびじゅチューンのキャラクターたちが遊びまくっています。
写真&動画撮影OK、SNSアップもOKです。

この展覧会は本館で開催されているので本館の入場料金で鑑賞できます。
現在、東博は日時指定の予約制をとっていますので、こちらの展示を見るにも予約が必要です。
(人数に余裕があれば当日券が買えます)
入場時に検温と手指の消毒があり、マスク必須でソーシャルディスタンスに気を付けるとのこと。
びじゅチューン展もさわる展示がありますので消毒液が置いてあります。
特に会話が必要な展示はないですが展示の説明を受けるときは距離を取ったほうがいいかな…。
平日の昼間で混雑もしていなかったので鑑賞はしやすかったです。

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展示室の入口にいた、たらしこみの雲カーでデートする風神雷神。
わたしの大好きな「風神雷神図屏風デート」の展示がついにきた!
も~~こいつら何度見てもかわいい。めんこい。

動画も撮りましたのでよかったらご覧ください→こちら
車のライトがついてる間はぬるぬる動いてます。かわいい。

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壁にもいました。
今回は展示と展示の間に彼らがうろちょろしているゾーンがあって楽しいです。

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びじゅチューンの題材になった本物を東博で探してみよう!の図。
あとで探してみようと思います。

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最初の展示室。
手前の黒い■の中に鑑賞者が立つと、風神雷神図屏風に何かが起こる…という展示です。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

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