今期アニメ感想。
ぼのぼの、ダイ大6クール目、王様と舞妓さんち2クール目、ヴァニタスと夜叉姫2期、
幽白とユーフォニアム再放送ほか、新作を。
平家物語。
アニメで平家物語をやるって聞いたときはどの部分をやるのかなと思ったのですが
池澤夏樹個人編集の日本文学全集の平家物語(古川日出男訳)が原案と知って
あっガチでそのままやるんだ、ってちょっとびっくりしました。
しかもTVシリーズということで、ああ、だったら主だったシーンはやれるんじゃないかなと。
(2時間映画とかじゃちょっと語り切れない長さですからね)
映像研のサイエンスSARUが作ってるからぬるぬる動くし監督が山田さんだからぬるぬる動くし
キャラデザの高野さんの絵がぬるぬるした動きにぴったりでとても良いです。好き。
今回のアニメではびわ、というオリジナルの女の子を登場させて
彼女の目から見た平清盛一族が描かれる形式になっています。
たぶん彼女は大河ドラマ義経にいた白石加代子さんみたいな、
平家のすべてを見届ける役目(そしてやがて琵琶法師になっていく)なんだろうなと思う。
悠木碧さんやっぱりめっちゃうまいですね…悠木さんの低い声すごく好きです。
あとTVシリーズとはいえやっぱりダイジェスト気味になってしまうのはもうどうしようもないな…。
すべて(たとえば延慶本)をアニメ化するとなるとやっぱり大河ドラマみたいな尺がほしいですね。
(ぶっちゃけると大河ドラマの尺でも描き切れるかわからんけどね)
シリアス一辺倒にならずにちょこちょこ笑えるシーンもあってシリアスな展開をぐっと引き立てているし
複雑な家系図をセリフだけで説明するの難しいだろうなって思うし
(たとえば天皇や法皇を後白河法皇とか高倉天皇とか安徳天皇とか後鳥羽天皇とか
諡つけちゃってるのは本当は間違いなんだけどそうしないと知らない人には伝わらないしな…とか)、
やっぱり古典の映像作品を「見ただけで物語やキャラクターをわかってもらう」のは
ほんと難しいなー!という気持ちで見ています。
あと女房を女御って言っちゃっててアレっと思ったな…。
キャストクレジットにも「女御1」「女御2」ってあったけど「女房1」「女房2」の間違いですよね。
あの部分のアフレコ録り直しとかは…されないんですかね…。
最初は早く続きが見たい気持ちがすごくあったけど、物語が進むにつれて
平家の先行きには修羅場しかなくなっていくので背筋がひんやりするようになってます。
原典でもそうですが重盛がいなくなってからの、平家唯一の良心みたいな軸を失って
坂を転がり落ちるようにぐちゃぐちゃになっていく様が…実に鮮やかですね…。
なんというかこう、手に入れた権力を当然のものとしておもしろく歌ったり踊ったりしてるときに
その権力にともなう責任というか自分たちの幸せと引き換えに何を奪っているかを一切考えなくて
今が永遠に続くと信じていて、信じられる環境にいることに無自覚でまさに"奢る平家は久しからず"で
新しく出現した別の力(源氏)に追い落とされていく盛者必衰がものすごい。
権力を持ったら責任に向き合わないといつか滅びるというのが意図的に描かれているし
"あっち死に"する清盛への因果応報とか祇王たちの出家とか維盛の熊野詣と入水とか、
最終回あたりで映像化されるかわからないけど灌頂巻の建礼門院の往生とか
改めて末法というか中世の仏教思想が根底にものすごくある物語だなと思いました。諸行無常。
びわ以外のキャラクターが割と「原典のままの人物像」なのもよくて
物語に描かれているキャラクターがそのままアニメになっているような印象です。
キャストさんのお芝居も現代劇的なとこが多くて(現代人がやってるんだから無理もないですが)
そんな中でやっぱり清盛と後白河のお芝居がダントツに上手い。
玄田さんの「おもしろかろう?」でぜんぶ相殺しちゃう清盛の愛嬌と残酷さとか
千葉さんの後白河の何とも言えない味わい深さみたいな雅さとか、
どこで平安時代っぽさを担保するのかみたいなバランスの取り方が果てしなく上手い…。
子どもたちも孫たちも原典から出てきたようなキャラクターで
「あっ重盛」「これは徳子」「まんま維盛」って感じなのがすごいですね。
重盛の子どもたちの中で一番大人に見えた維盛が実は全然成長できてなくて
一番精神的に幼かったはずの資盛がいつの間にかものすごい現実主義者になっててびっくりした、
えっ古典でこういうキャラだったっけ?もう1回読み返さなきゃな…。
資盛がびわに「出ていけ、おまえのこともおまえの琵琶の音も嫌いだった」って言ったのは
たぶん六波羅にいても危険だからと思ったからだろうし
びわもその気持ちをちゃんとわかっているの、ここまで来た感がありますね。
初回で父親を禿たちに殺されて平家を恨んでいたはずのびわが
自分と同じような目を持つ重盛と出会って過ごすことでチャラになってあまり引きずらないで
導入部分と今の感情ラインがいまいち繋がらないような印象があるけど
静たちに連れられて越後で母親と再会して見える者としての役割を見つけたみたいになって
これで最後まで果たしてどう繋がるかな~と思う。
そもそも平家物語なのでびわだけの物語にはできないし
でもびわの物語を語らないと彼女を物語に登場させた意味がなくなってしまうので
ストーリーラインの葛藤が難しいですよね。中盤以降は特に。
重盛と清盛とごっしーのドッタンバッタンキャラのうち2人が前半で退場してしまうので
その後がこう、どうしてもダイナミックさに欠けるというか…致し方ないのだけど。
あとこれネトフリ先行配信によると全11話だそうなので、今の放送ペースでいくと3/24に最終回なので
つまり壇ノ浦の日(1185/3/25)の近くに最終回をぶつけてるのだいぶ意図的だなと思います。
大河ドラマ鎌倉殿の13人と並列で進んでいくのも意図的。どうやってプロデュースしたんでしょうね。
先にアニメで平家側のあれこれに心をざっくりやられてから見る大河ドラマ(源氏側)は
一体どんな気持ちで見ていくことになるのかな。
薔薇王の葬列。
中世イギリスの薔薇戦争を舞台にしたシェークスピアの『ヘンリー6世』『リチャード3世』が原案。
原作マンガは読んでいませんが、薔薇戦争については多少知っているのと
シェークスピアの戯曲はリチャード3世を見たことがあって、その知識があれば何とかなりそうかなと。
王冠がランカスター(赤薔薇)とヨーク(白薔薇)の間をせわしなく行き来する中での
様々な人々の策謀や葛藤がどんな風に描かれるのかなあと見ています。
欧州の人々の習慣で親子で同じ名前の人とかいて気を付けてないと結構混乱するよね、
1話の時点で既にリチャードとエドワードが2人ずついますが
最終的にはリチャードは3人だしエドワードも5人、ヘンリーも3~4人とかに増えますよね。
中世って洋の東西を問わず戦争や小競り合いが多くて人の入れ替わりが激しいので
あれっリチャード〇世もういないの?ってなったりしますので…。
そういえば原作マンガの菅野氏が「マフィアの抗争だと思ってください」っておっしゃってたけど
日本の中世の内ゲバも一族郎党総ヤンキーみたいに言われたりするので
イギリスも似たようなものだったんですかね。
2クールっぽいですがシリーズ構成がかなり飛ばしてるのは
15巻以上あるっぽい原作マンガを全部アニメ化するつもりなのでしょうか?
制作陣はこの作品の何に注視して、どこにポイントを置いて物語を進めていくのか不安になるような。
原作マンガは無料公開されていたところは読みまして、人物描写には魅力がありましたが
アニメは色々すっ飛ばしているのでそれらがほとんど消えているような。
奥行きを感じず紙芝居のような作画にも何か演出意図があってそうしてるのか…。
そういうところも綿密に描写されるのか否か。それは制作側の見せたいところになるのか。
などとごちゃごちゃ考えておりますがしばらくは見続けていこうと思っています。
ようやっとキャラクターがエピソードを重ねて少しずつ深みが出てきた気もしますので。
戯曲でめちゃくちゃなピカレスクに描かれているリチャード(のちの3世)くん、
この作品では父親のリチャード2世(ヨーク公)を敬愛していますが
両性具有の体を持っているためか母親のセシリーさんからは悪魔の子と忌み嫌われていて
でも戦うと強いから兄たちからはあんまり見捨てられたりしないし
なぜか彼の周りに現れるジャンヌ・ダルクの亡霊(?)とも会話ができたりする。
なぜか羊飼いを名乗ってるヘンリー6世とは森で出会って(シェークスピアの作品て森のシーン多いよね)
戦うどころかラブラブになってしまったりしますので、そのへんもどう見せていくのかな~という感じですね。
後半はたぶん、バッキンガムとお友達になってあれやこれやがどう描かれるかだと思いますが
リチャードくんもですがキャラクターがみんな好戦的で誰もが何か企んでるしすぐ裏切るし
中世の歴史劇だし戯曲だな~って思います。
観客が飽きないようにひたすらハラハラさせて続きを見たいと思わせる。上手いです。
あとちょこちょこ出てくる白い猪は何なの。かわいい。
時光代理人。
写真を媒介に過去の世界にタイムスリップできる能力を持った主人公と
写真を使って過去の世界にタイムスリップさせる能力を持ったもうひとりの主人公と
クライアントから依頼を受ける時光写真館の大家さんの3人が織りなすタイムトラベルものです。
羅小黒戦記の上陸以来中国アニメも吹き替え放送が増えてきましたね~。
画面も作画も音楽もきれいなのでもっと色々な作品を見てみたいです。
何らかの理由で過去にやり残したことがある依頼人のために
光が小時を写真にダイブさせて依頼をこなしていくのですが、
小時が割と正義感のあるタイプでその場の感情に任せて動いてしまって
光に「過去に干渉するな」「過去を問うな」「未来を聞くな」ってお小言をもらうのがだいたいのテンプレ。
パラレルワールドや祖父のパラドックスはなくてドラえもん形式ですね、
過去から未来はひとつの線で繋がっているという設定のやつ。
小時も別に愚かではなくて、任務は任務としてきちんとこなすんだけど
どうしても目の前の出来事に心を寄せたり怒りを覚えたりして行動してしまうことがしばしばあって
過去を変えてしまわないかと光はハラハラしていたりもする。
でもその行動が結果的に依頼人のためになったりすることがあるのも、タイムスリップもののお約束。
あ、いっときだけ、明らかに過去を変えるレベルで干渉してしまってさすがに小時もドキっとしたときに
光には未来が変わった様子が見えなくて、
その後もどんどん道筋は変わっていくのにやっぱり変わらないらしいことがわかって何でだろうってなってたら
まさかその写真の中の時間が2008年5月だとは思わなかった。
四川大地震という絶対的なゴールがあって、その写真の中の人たちは全員亡くなると決まっているから
どんなに干渉しても未来に影響はないということなんですね…。
このエピソードは本国の放送だと、ゲストキャラクターが四川方言でしゃべっていたらしくて
ああ、それは気づけないなと思いました…吹き替えだと方言の表現ではなかったから。
小時が今は何年何月だってカレンダーを見たのも終盤だったので…そりゃ助けたくなりますね。
いやしかしお約束の活かし方がうまいなあと思います。
ゲストキャラがこの人救われないんだろうな…とか、この人たちズッ友なんだろうな…とか
この人たちきっと再会できるんだろうな…とか、この人たちきっと結婚しないだろうな…とか
視聴者が想像してるとだいたい当たるようなストーリー作りがされていて、
途中すごくドキドキする盛り上げ方になるんだけど(それも上手い)
着地点がいつもいい意味でやっぱりそうなったかーってホッとなります。
あと最初は依頼を受けてくるだけだった苓が最近は2人の仕事にからみ始めてきて
最終的に3人で手分けするようになったりするのかな…色々楽しみにしています。
(2期もあるらしくて、ぜひとも気兼ねなく楽しみたいので
アニプレックスはさっさと現地スタッフのクレジットをOPかEDに載せてください。よろしく)
リーマンズクラブ。
学生時代からバドミントンをやっていた主人公が、就職した先でも実業団バドミントンを続けていて
平日はサラリーマンをやりながら退勤後や休日は会社のチームでバドミントンをやるという、
"バドリーマン"を描くアニメです。
てっきりがっつりとバドをやるのかと思ってたら営業のお仕事がメインの回もあったりして
本当にタイトルのとおりサラリーマン×バドミントンなんだなと。
舞台が埼玉で、主人公が勤務している会社の最寄り駅が浦和駅で館林に工場があって
バドミントンの大会は深谷ビッグタートルで開催されていて親近感がわきます☆
わたしがテレビで見ていたときに後ろから覗きこんできた弟くんが
「ビッグタートルじゃん」て一発で言い当てたの、美術さんの仕事がちゃんとしてるからだなと思いました。
(弟くんが学生だったとき部活の県大会がここで開催されたことがあるのです)
主人公くんがすっごい典型的な不器用くんで
そんな不器用くんにものすごい陽キャの先輩がついてぐいぐい引っ張ってくれるっていう、
まあわかりやすいっちゃわかりやすいですけども安心して見ていられます。
学生時代のトラウマで立花くんに引け目を感じて試合でうまく能力が発揮できない白鳥くんを
宮澄さんが手と言葉で鼓舞するのめちゃくちゃ良かったですね。
同僚キャラクターも基本的に善人しかいなくて、企画書がうまく作れない白鳥くんのために
みんなで集まってわちゃわちゃしながらアイディア出して整理して組み立ててくれて、
あ~こんな人たちと仕事したいなって思います。
佐伯兄弟の兄は物静かで弟はめちゃくちゃ生活力あって(名前がそれぞれ髪の色なんですよね)
エンディングの止め絵で2人で並んで家庭用ゲームしてるときに
2人とも体ごとコントローラーを動かしていて何この兄弟超かわいいじゃんってなりました。
あまり会話はなさそうですがお互いの性格を理解してるっぽくて
兄はシングルスで弟は別の人とダブルス組んでるの、とても良好な関係性を感じる。
そんな弟くんがペアを組んでるあがり症の竹田さん、えっすごい良いにいちゃんですな…。
自分があがり症だって自覚ある人、これから伸びる予感しかしないじゃん。克服方法もわかったしね。
最新話で碓山さんのアツいハートを見せつけられて、碓山さん~~あなたそういう人だって思ってたよ!ってなったし
トマリ運輸の人たちが手伝ってくれたのもめっちゃアツくなりました。
バドミントンの大会ではバチバチ戦っていても、仕事の上では協力関係にあるの良き。
ユニシックスとミツボシ銀行にも色んな意味で拗らせた兄弟がいそうで、そっちも楽しみです。
内田さんと古川さんが同じチームなんだよなー!(BANANAFISH脳)
白鳥くんと宮澄さんはかなり前に一度会ったことがあるみたいですけど
あのエピソードが今後のキーになっていくのかな。
宮澄さんがバド辞めてしまうのかもしれないのはちょっと切ないエピソードになりそうですな…。
ネギジンジャーうまくいくといいね。
(そういえば先月の鬼滅でとてつもない声を聞かせてくれた逢坂さんが
このアニメでは全然違うタイプのかわいい声を出していらっしゃってひっくり返りそうになりました。
逢坂さん今放送されてるアニメで全部違う声でしゃべってるけど喉どうなってるの??
声優という人たちマジでとんでもねえです。
あと逢坂さんと杉田さんのキャラがバドのコート越しに会話しててフフってなってしまった、
一緒に収録とかできてるのだろうか。
あと村瀬さんと石川さんがシングルスで試合しててめっちゃ笑いました。
あなたたち先月のヴァニタスでも戦ってなかったっけ?ご縁のあるお2人おもしろい)
追記にシンカリオンZの39話・40話感想です。↓
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