トラりんと都の鬼門とTeam申。
日帰りで京都に行ってきました。
佐々木蔵之介さんの演劇ユニットTeam申が前回から3年ぶりの公演を京都で行うので
ついでに行きたいところへ行って来ようと思って☆
夜公演なので夜行バスで帰ることにして、朝は新幹線で行ったのですが
いつもより少し遅い時間に出たら自由席の乗車率が異様に高くてアイエェ?ってなったけど、
10時過ぎに京都駅に着いたらバス乗り場はびっくりするくらいすいててスムーズに移動できました。
京都駅のバス乗り場が最も混むのは朝8~9時前後なのかもしれない…。

バスで京博に到着~。さっそく中へ入りますと、

公式キャラクターのトラりん☆
開催中の禅展に合わせて作ったトラりん達磨を持って現れました。
自慢げにポーズ撮ってくれたのでパチリ。

寝転がったり、

お尻ふりふりしたりと今回も大はしゃぎしてくれました。かわいいー!

ツーショットを係の人に撮ってもらいました。
着ぐるみがモフモフで柔らかくて洗い立てみたいに触り心地いいのだ…!
大人には全力ハグして子どもには座ってやさしくハグするジェントルマンなトラりん、
この後ロビーにいた修学旅行生に手を振ってから外に出ていきました。
これから暑くなるし中の人も大変だ…。

係の人に名刺をいただいたら、前は3つまでだったトラりんの秘密が5つに増えていました。
これからも増えていくのかな、またもらいに行けるといいなあ。
以下、長いので畳んであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
あまり時間がなかったので、特別展「禅−心をかたちに−」展は流し見しかできませんでしたが
それでも興味がわくものはたくさんありました。
入口で出迎えてくれた良全の「釈迦三尊像」3幅は色がくすんでいたけど
文殊・普賢を乗せた獅子と象が安心して和んでいるような表情だったのがかわいかった。
雪舟の「慧可断臂図」教科書や資料集、禅に関する文献の中でよく見かけるものの、
実際に見たのは今回が初めて。
達磨の岩に立体感があることや慧可が切り落とした手に血がついてるのを初めて知りました、
印刷ではだいたい色がとんでしまっているので。
雪舟は他にも「梁楷黄初平図」がおもしろかった~、
画題の黄初平さんは石を羊に変える術を使う仙人だったそうな。
自賛入りの一休宗純像は全身が描かれて、よく見かける右向きポーズだったので
「一休さんといえばこれ」みたいなイメージが定着していたのかもしれない。
一休さんの遺戒もあって「おれは誰にも印可与えてないから勝手に布教するな」(意訳)という内容が
アグレッシブな字で書いてあって本当、書きたいこと書いてた人だったんだなと。
自賛入りの愚中周及像は頭をポリポリかいてる図で珍しいなと思っていたら
その展示室の中央に木彫りの愚中周及坐像がちょこんと座っていて(手は頭ではなく膝の上)、
何だかかわいらしかった。
隠元さん所用の玉虫払子(虫を踏まないために足元を払う道具)とか
線唐草鎗金洗面架および金銅製洗面器(立って顔を洗う道具)は
位の高いお坊さん用というだけあって象牙や金が使われていて豪華だった。
豊臣棄丸のお霊屋がある妙心寺からは棄丸所用の小型鎧と倶利伽羅龍守刀が出品されていて
小型鎧は着用目的ではなく飾り物としての意味が大きいそうな。
守刀は蒲生氏郷が贈ったもので俵藤太(氏郷の先祖)が大ムカデを退治するとき使った矢の根(鏃)を
刀に仕立て直したものらしく、刀身は鎌倉時代製で鞘は桃山時代製だとか。
足利義満坐像は結構大きくて、でも垂れ目で半開きの目元は教科書の肖像画そのまんまで笑った^^
伊達政宗倚像は松島の瑞巌寺で見て以来だから10年ぶりくらいの再会だった!
愛姫の発願で、「両目を開けた姿で作るように」との遺言に従ったともいわれます。
狩野永徳の織田信長像は秀吉が作らせたものですが、
有名なひき目鉤鼻の肖像画とは違って目も鼻も大きくて髭も濃くて
飾らない表現がかえって本人に近そうな印象。
(もともとは半身色違いの着物で大小も差していたと調査でわかったそうだけど
完成品は落ち着いた水色の着物に刀も1振りのみになっている…さて、さて)
奈良博からいらした伽藍神立像は走り大黒天(ご利益届けるためにダッシュしてるポーズ)で
今にもガラスケースをぶち破って飛び出していきそうというか、風がみえる彫刻でした。
(3年前に泉涌寺雲龍院を訪ねたときも小さな走り大黒天を見たけど、あれみたいだなと思った)
隣にいた韋駄天像は豪華な鎧に身を包んで、抜き身の直刀を両手で横向きに持って
こちらに前のめりになっているポーズが迫力。
萬福寺の蘇賓陀尊者・羅怙羅尊者・賓頭盧尊者のお三方のうち印象的なのは羅怙羅(釈迦の子)で
肩から衣を脱いでるわお腹から仏様の顔出てるわですごいインパクト、
体内から仏というと京博で時々展示される宝誌和尚立像がいますが、ちょっとあれを超えるレベル。
白隠と仙厓の自由さは禅の思想と本人たちの考えがシンプルに構築されたところからきてそう。
白隠のずんぐりむっくりな関羽像や、寿を色々な書体で書いた百寿字とか(キャンベル缶のポスターみたいと思った)、
もし発表されたのが現代ならポップアートだと思う。
仙厓の龍図とか落書きにしか見えないけど、本人も真面目に描いたのかわからないけど
たぶん筆の向くまま描いてて「巫山戯てんのか」って言われたら「ちがう」って言ってそう。
雪村の瀟湘八景図帖や長谷川等伯の竹林猿猴図屏風は
人々やお猿の周りにまるで湿気が見えるような墨の濃淡だったし、
狩野山楽の龍虎図はギロリと睨みつけてくる龍の顔と爪がギラギラしていたし
つがいの虎は威嚇するみたいに吼えていてかっこいい。
伊藤若冲の竹図はかつて鹿苑寺大書院の障壁を飾っていた絵のひとつで
若冲ミラクルワールドの検証によると月に照らされた竹の葉っぱの影は三角形になる、
というのを絵画化したということだっけな。
この竹図の襖を開けると月の襖が見える配置になっていたらしいので、鹿苑寺では。

博物館入口にあるカフェ からふね屋にてランチをいただきました~BLTサンド。

デザートの白桃ケーキと白桃アールグレイティー、季節限定だそうです。
そろそろ桃がおいしい季節ですな^^

電車とバスを乗り継いで左京区高野にやって来ました。
写真は早良親王(崇道天皇)が祀られている崇道神社の鳥居。
早良親王は藤原種継暗殺事件にて流罪になった、桓武天皇の弟です。
実際は流罪先に向かう途中でハンガーストライキのために亡くなったのですが
その後凶事が相次いだため神社が建てられています。
内裏から見ると鬼門にあたる方角に祀られているのが何とも。
(他に内裏の鬼門には上賀茂・下鴨神社や御霊神社、さらに比叡山がありますな)
早良親王をはじめ怨霊を祀る御霊神社は各地にありますが、だいたい何人かセットになってて
早良単身で祀っている神社はここだけらしいです。

拝殿を下から。
隣には小さな社が2つあって、伊勢神宮や出雲高野神社が歓請されています。

境内にある小野神社。小野氏の祖先を祀っています。
(これを見たくて崇道神社に来たといっても過言ではない)
この辺りはかつて山城国愛宕郡小野郷という地名でして、
小野氏が住んでいた里のひとつだったようです。
本拠地は滋賀県の和邇にある小野ですな。
ここは小野妹子の子である毛人のお墓が見つかった場所でもありまして(墓誌は京博が所蔵している)、
今回はそれが見たくてやって来たわけで、山を登るらしいのですがさあどこかと見回したら。

お゛お゛お゛ん!?(ニャンちゅうの声で)
ちょっと想像以上に山だった。けど、ここまで来たので登ってみることにします。

わたしは京都にいるはずなのだが…!
さっきの石碑には「山中140メートル」と書いてありましたが140メートルって具体的にどれくらいなのか
まったく実感のないまま登ってまして(ゆさは数字が壊滅的に苦手)、
一応、階段みたいなものはありますが木の根と枯葉のために道がよくわからなかったけど
途中で木に巻いてある赤い布が目印と気づいてからはスムーズに辿れました。

10分ほど登ったらあった!小野毛人のお墓。
発見されたのは江戸初期ですが、石碑は近代に建てられたものです。

ほんとに毛人って書いてある…!!
彼は677年に亡くなったといわれていて、つまり飛鳥時代の人なわけですが
墓誌にある「朝臣」が毛人の死後に作られた称号であることと、墓誌が奈良時代製であることから
毛人の息子の毛野が父親の功績を称えるために新たにお墓をつくって
この地に埋葬しなおしたのではないかと考えられているそうです。
乙巳の変や壬申の乱を見聞きして太政官になってる人だからなあ…激動を見た小野氏のひとりだよね。
ロマンは尽きませんがこのお墓が少なくとも奈良時代からここにあり続けてきた年月を思うと
何だか涙が出そうでした。
篁ほか小野氏の子孫もお参りすることとかあったろうか…。

お墓から見える景色。いい天気でいい眺め。

崇道神社を後にして三宅八幡駅へ歩き始めたところ、
蓮華寺なるお寺を見かけて時間に余裕がありましたので寄ってみようと門をくぐったら
ものすごい緑色が目にとびこんできて立ち尽くしまして。
そうだった今の時期は小満だった…万物次第に長じて満つる。新緑が一番きれいな季節ですね。
(そして1ヶ月後には夏至であります。ひいぃ)

お座敷に上がらせていただきました。室内から眺める緑も格別。

蓮華寺はもともと八条にあったそうですが応仁の乱のとき荒廃してしまい、
この地に移され再興されたそうです。
写真は石川丈山が関わったとされる庭園。
ここから京都駅方面へ少し下ると丈山の家だった詩仙堂があり1年前に訪ねたことがありますが
彼がこちらのお庭も手掛けていたかもと考えると楽しい^^
ちなみに本堂や鐘楼堂、庭園はほとんど江戸時代の創建当時のままらしい。

池の周りも美しい緑でいっぱいで、なんかもう何も考えず、というか考えられなくなって
頭カラッポのまま風に吹かれながら縁側でボケーっと過ごしました。
本当にいい時期に来たなあ、きっと紅葉の季節も見事だろうな。

池には鯉が泳いでいて、時々小さな魚が跳ねていました。

本堂。お庭を通って拝観します。(お庭に下りると写真撮影は禁止です)
ご本尊は釈迦如来像ですが、厨子の扉が閉められてお姿は拝見できませんでした。
天井を見上げると仏師・西村公朝によるポップな八方睨み龍が描いてあって、なんだか和んだ(´ω`)。

叡山電車に乗って京都造形芸術大学へやって来たよ~。
駅から歩いてくると道路沿いにパルテノン神殿みたいな建物が見えてスゲーって叫ぶところでしたよ、
市川猿之助が芸術監督を務める春秋座です!
先代猿之助(現猿翁)が大学の中に歌舞伎ができる劇場を、との希望で建てられたもの。すごい。

Team申番外公演IV「男たちの棲家~ドッコイ!俺たちはここに居る~」です!
ポスターの三猿が「見て聞いて言う」になってるのかわいい。

公演限定のお弁当とお菓子がありましたのでゲット!
春秋座公式キャラクター「このすけ」(猿之助の当たり役・義経千本桜の狐忠信がモデル)のお弁当と
このすけのしっぽ和菓子と、Team申のお猿たちモナカサブレ。ほくほく☆
お弁当はしばらく残っていたけど、お菓子は販売開始の16時からわずか5分で完売してて震えた。

お狐しっぽ超かわいい~~~一乗谷中谷さん製の上生菓子!!
もったいないけど傷んでもいけないからその場でいただきました。

春秋座の入口。(劇場内は撮影禁止です)
座席数は歌舞伎座の半分くらいで、2階席のところに提灯がずらりと灯って歌舞伎の劇場って感じ。
花道の取り外しができたり廻り舞台やオーケストラピットもあるそうです。

どきどき。
始まる前はあっという間に感じた1時間50分。終わったらとても濃厚だった1時間50分。
(ここから公演内容ネタバレしてますので八千代座待ちの方ご注意ください)
IIIまでの公演がすべて朗読だったので、今回も朗読なのかと思ったら
チラシにも春秋座サイトにも詳細が掲載されず、
代わりに「今年は申年なので盛りだくさんな内容のお祭公演をやります」的なメッセージがあり
???となったまま当日を迎えたのですが、
暗転後にチョンチョンと析が鳴り幕が開いてパッとライトがついたら
天井に縄が下がり舞台の真ん中には娘道成寺の白拍子に扮した猿之助さんが登場してワーッと大拍手!
(絶妙なタイミングで「澤瀉屋っ」の大向こうをかけた人もいました)
10~15分くらいかな、たっぷりガッツリ踊りを見せてくれましたよ~すばらしかった!
白拍子の花子が手ぬぐいを使って「恋の手習い」を舞う設定で
ときめいたりきょとんとしたり嫉妬したりする心の動きがじわじわと伝わってきました。
最後の最後に手ぬぐいを回して激しい舞になったの、あれ蛇になったんと違うかな…。
猿之助さんが退場して再び暗転すると、舞台セットは変わりどこかの楽屋に。
誰もいない室内で、なぜかルンバだけがウィ~ンと動いていまして
そこへ背の高い男(蔵さん)がやって来てマクベスの動く森のセリフをしゃべり始めます。
おおー去年の7月から1年も経たないうちに蔵さんのマクベスに再会できるなんて!
剣に見立てた木の枝を振って、時々ルンバに話しかけるみたいになってるのが楽しかったです^^
そこへお掃除担当の清掃員(隆太さん)がめんどくさそうにやって来て
「あんた誰、勝手に入ってきちゃダメだよ」と声をかけます。まあ当然だ。
すると背高男は「おれは役者だ」と言います。
「いや、今日公演ないよ」「出番を待っている」「とにかく帰ってよ、ここもうじき閉まるから」
ということで、清掃員くんは床のゴミを片付けて背高男の投げ捨てた枝も一緒に捨てようとします。
すると、背高男が「それは捨てるな」と制止します。「なんで?」「それは剣だ」「いや、枝でしょ」「剣だ」
よくわからないまま清掃員くんは枝を背高男に手渡すと、
男は壁にあった掃除用具箱に枝をしまって深々とお辞儀しちゃった(笑)。
その後もよくわからないセリフをしゃべってる蔵さんと
絶妙なツッコミを入れる隆太さんの丁々発止が繰り広げられていると、
消灯時間になってしまいシステムが自動的にガシャンと鍵をかけて楽屋に閉じ込められてしまいます。
仕方がないので清掃員くん、いったん舞台へ出てそこを通って外へ出ようと考えて
舞台袖に通じている扉を開けたら、
そこに浴衣姿の男(白塗りの猿之助さん)が立っていて「ギャー!!!」ってびっくり、観客もびっくり(笑)。
しかも猿之助も「舞台は光だらけでこわい」「セリフが飛ぶ」などぶつぶつ言っていて
蔵さんと「次は何でいく?」「白浪だ!」とかしゃべって、舞台中央にある机にでんと腰かけて片肌脱いで
「知らざぁ言って聞かせやしょう!」からの弁天小僧の畳みかけるセリフキター!!
うわーまさかまさか、猿之助さんの弁天小僧が見られるなんて、こんな日が来るなんて!!\(^o^)/
しかも「続いて後に控えしは」って忠信利平もちょっとやってくれたし
「四谷怪談は?」ってふっかけられたら
「首が飛んでも動いてみせるわ!!」って伊右衛門のセリフと見得を披露してくれたよ~!
も、もももももうここまでで充分盛りだくさんのお祭公演ですありがとう、しかもまだ続くとか最高。
蔵さんと猿之助さんはリアルでも仲良しですが、今回の舞台でも仲のいい役者仲間の設定で
隆太さんの話全然聞かずに手ぬぐいパタパタしたりドライヤー使ったりメイク落としたり
軽々と机に乗ってセリフしゃべったりかりんとう食べたり、好き勝手なことしちゃいます。
(猿之助さんが一回、イラついて袋ごとかりんとう落っことして床にバラ撒いちゃうんだけど
拾ったのもポリポリかじってた)
背高男はかつて恋をしていて、「ああロミオ様~」「こんな塀くらい軽い恋の翼で飛び越えました」って
その様子をロミジュリのセリフで表現するんだけど、
途中から浴衣男がジュリエットになってすう…っと参加したのもおもしろかったし
(いつの間にか尻端折りほどいて裾をズルズル引きずりながら女形の体になってるの見事でした)、
相手の女性にふられたけど最後の望みをかけて主演舞台のチケット渡したら
彼女が婚約者と一緒に来ちゃったっていうオチで、
本番中にジュリエットと言うセリフを間違えて「よねちゃーーーん」って彼女の名前呼んじゃって
轟沈したという、更にオチ。
「貫一とお宮じゃねぇか」って話になって、蔵さんは学生帽を被り風呂敷をマントにして
猿之助さんは相変わらず浴衣をズルズル引きずりながら手ぬぐいをくっと咥えて
「お前でも酷いと云う事を知っているのかい、宮さん!」
「そんな酷いことを、貫一さん、余りだわ、余りだわ~~~!」とか
むちゃくちゃ迫真でやってくれるからもーーーみんな大笑い(^O^)。
猿之助さんは歌舞伎のまま、蔵さんも自分のままお芝居しながら呼吸もタイミングもぴったりなのが
やっぱりこの2人すごいって思うし、
「久々に歌舞伎やらない?」って猿之助さんに台本を渡された蔵さんが
「…空ヲ刻ム者か…」っていうところでも笑いが起きたし、
「どう?どう??」って薦められたけど「いや、まだいい…」って口ごもったの最高にかわいかった(笑)。
親友同士が好き勝手やってる頃に清掃員くんは何をしていたかというと、
2人に付き合っていられなくなり舞台へ出ていってしまうのですが
ここで、何と、隆太さん、客席に降りてきた!!(*゜▽゜*)
通路を歩いてふと歩みをとめ、お客さんが座っている座席の肘掛けにヒョイと腰かけて
「話聞かないし」「意味わかんないし」とかブツブツ文句を言っていると
どこからか底冷えのする低音ヴォイスで「…コーデリア、お前のような娘は…」のセリフが…。
しかも平幹二郎さんの声だったからほわあああぁって叫びそうになった。ヤバイ!
他にも「あなたは私に対してとんでもないことを…」「我々は待っている、我々は退屈している…」
「自分ばかりが勝手次第にああかこうかと夢をかいて…」「わたしはカモメ…」など
舞台のあちこち(身もふたもないこと言うと要するにスピーカー)から
高い声低い声、無数の俳優たちのセリフが響き渡って
びっくりして大慌てで楽屋に走って戻る清掃員くん。
背高男たちから「眩しかったろ~」「向こうまで行くの難しいよなあ」とか言われて
混乱している清掃員くんのために浴衣男が提案したのが、なぜか、しりとり(笑)。
蔵さんから「舞台」「いいねえ。じゃあ、稲」「いいな、舞台からの稲はいい」とか続いて
清掃員くんに順番が回って来ます。
「……ネズミ」「はいダメー!」「なんでだよ!」「ネズミは舞台をかじる」とか基準がよくわからないまま
ネコ(隆)→コネコ(蔵)→コイヌ(猿)→ぬれせんべい(隆)→イノシシ(蔵)ときて
「し」は…と2人が考え始めたところ、清掃員くんが澄んだ声で「芝居」と。
それまでさんざん清掃員くんの回答をこき下ろしていた男たちはそれを聞いて
「いいな」「芝居はいいな」と笑顔になっていきました。
あれ、すがすがしい笑顔でよかったなあ…。
(実はわたしも芝居かな、ってこっそり予想したんだけど
隆太さんが本当に芝居って言ってくれてうれしかったんだぁ(*´ω`*))
そんなことをやっていると突然、「誰かいるんですか?」と楽屋アナウンスがかかって
清掃員くんが「いますー!」「他に誰かいますか」「えっと…」「不審者ですか?」「いやー、その」
とか何とかやり取りしていても浴衣男と背高男はあっけらかんとした表情。
この辺りから、実は浴衣男と背高男はずっと昔に体が滅んでいて
心や魂や志などが楽屋に棲みついた役者たちということがわかってきます。
(さっき舞台で聞こえた無数のセリフも、かつてその舞台に立った役者たちの声だったわけです)
清掃員くんが「警察来たら捕まるぞ」と言っても「奴らにおれたちは見えない」とケロリとしていて
「じゃあなぜオレにはおまえたちが見える?」「おまえ、舞台に出たかったんだろ」と返されて
実は清掃員くんはかつて役者を目指していたことが明らかになりまして。
オーディションを受けたけど落ちてしまって、こっちからやめてやると突っぱねたけど
心のどこかに舞台への気持ちがあって、それに浴衣男と背高男が気づいた。
「できるさ、おまえはまだ生きてる」とサラッと言う浴衣男はイケメンだったな…^^
警備会社の人が外から呼びかけるので楽屋のドアを開けようとする清掃員くんでしたが
「おまえの行くところはそっちじゃない」と2人から背中を押され、
煌々と照明に照らされた舞台へ力強く踏み出していくのでありました………暗転。
この後、警備の人と警察はガランとした楽屋で狐につままれたように顔を見合わせるんだろう。
スゲェなんかガッツリお芝居でした!さすが12年に1度の申祭り。
作・演出の長部さんによると、今回のお芝居は清水邦夫の「楽屋」という
楽屋での女優たちの会話劇を元にしたとのこと。
女優ではなく男優たちがいたらどうなるだろうとやってみたら今回のようなのができあがったそうです。
蔵さんと猿之助さんの息ぴったりな掛け合いが本当にすばらしくて、
この2人はちょっと斜め上なセリフと演技をあさっての方向に向けてやるのが最高にハマっている。
隆太さんも番外公演初期の頃はエネルギー全開で蔵さんたちが丸く収めてる感じでしたけど
今はすっかりやりあうようになったし、
なんだか2人の申年+1人の猿ユニットの成長をゆるゆると見せていただいてる感じで幸せだ…。
終演後は声の出演もされていた段一郎さんが進行役になって
お三方が「澤瀉屋」と書いてある紺色の法被を着て登場~。
蔵さんが「京都までようこそお越しやす」と挨拶され、ゆったりトークをしてくださいました。
猿之助さんが「京都以外から来た人~?」と挙手を求めると結構な人数の手が挙がって
「京都のお土産はね~~佐々木酒造の聚楽第がいいね!」とか
「8月の京都クソ暑いけどBENT見に来てね」とか「松竹では珍しく当たった参勤交代2も見てね」とか、
なんかやたらと蔵さん関連の宣伝ばかりしてて笑いました。
(でもそのあと六月大歌舞伎の宣伝もしっかりやってた。
彼にとって「歌舞伎は生活のためにお金を得る手段だけど
高いチケット代の分しっかり楽しませる」がモットーなのだよね)
蔵さんと隆太さんが出演中のヤバ妻の話題では
隆「ぼくら1週間近く現場空けてるから、東京戻ったらすぐ撮影行かないと」
蔵「ねぇ誰が犯人?刑事だし知ってるでしょ?オレお酒作ってるだけだからわかんないんだ」
隆「知らなーい。ぜひ最後まで見てください^^」
とか、お茶目な会話もありました。
恒例の抽選会はチケット半券の座席番号からランダムに選ばれるといういつものやり方で、
わたしは当たらなかったけど、オールフリーやソルマックなど色んな景品があって
めちゃくちゃ盛り上がりました☆
猿之助さん曰く「スポンサーからふんだくってきた」結構なお値段のエアマットやクッション、枕などもあって
「僕も愛用してます!」とか言いながらめっちゃアピールしてて笑ったし、
各1名様にプレゼントだったんだけど、クッションと枕を背後のセットから猿之助さんが出してきたのも笑って
隆太さんが掃除用具箱にお辞儀してから扉を開けてエアマットを出したときは会場大爆笑。
(さっきのお芝居で蔵さんがやったやつのパロディだよね)
しかも猿之助さんがバサーっと床に敷いたら「どれどれ」って蔵さんが寝転がってそのままいびきかいて
やっぱり笑いが起きました。この人たち最高だー!
当たった2階席の人が「ヤッター!」と立ち上がったときは
猿之助さんが「皆さん、あれ(喜び方の)見本ね」と言ってました(笑)。
最後に猿之助さんが、先月の博多座のスーパー歌舞伎公演中に体験した揺れのことを話してくださって
2千万を超えた募金はニュースにもなったので知ってはいたものの、
「一緒に来るはずだった人の写真を持ってきた人がいた」「家が壊れたけど来た、という人も」など
当時の活動で交わされた会話も少し紹介してくれました。
さらっと言うだけだったけどきっともっとたくさん現場の声を聞いたんだろうな…。
あと、今回は京都公演の後に熊本の八千代座で公演が予定されていて
幸い八千代座は無事だったので上演することにしたそうですが、
蔵さんが「そういうわけで皆さんご協力お願いします、3人の猿がくまモンに届けます!」と
お三方が募金箱を持ってロビーに出られるというお話があり会場が大騒ぎに(笑)。
慌てて客席からロビーへ駆けつけましたがすでに大混雑で
スタッフさんが掲げる「○○さん最後尾こちら」のカードを頼りにもみくちゃになりながら行列に並んで
なんとか協力させていただきました。
人の流れが速くて誰ともほとんど言葉を交わせなくて、しかも緊張のあまり手が冷えてたけど
蔵さんのところで「今日楽しかったですありがとうございました!」とだけやっと伝えたら
「ありがとうございます」と、がっしりした暖かい手で包み込むように握手してくれました。
うおお冷たい手でごめんなさい蔵さん~~こちらこそありがとうございました!!
猿之助さんは募金箱を抱えていたので握手はできなかったけど
お礼を言われた後に夢中で「来月、歌舞伎座行きますね!」とだけやっと伝えたら
素敵な笑顔で「あ、お待ちしてます~!」と言ってくれてこちらが元気もらいました、たくましい人たち。
八千代座ではぜひくまモンに会えますように。
そういえば招待席のあたりにお坊様を2人見かけたけど、
おひとりはひょっとして猿之助さんと対談本を出版なさった延暦寺のお坊様じゃなかろうか…。
いや、ちゃんとお顔見たわけじゃないんですが。

興奮のあまり手の震えが止まらなくて自販機で飲み物買うのも一苦労でしたが何とか買って、
ロビーの休憩スペースでこのすけ弁当をいただきました。
たけのこや天ぷらなどから麩饅頭や三色だんご、わらび餅など甘いものも入ってて
いつも歌舞伎座で食べるみたいな本格的な幕の内弁当だったよ~おいしかった☆

こちらは帰宅してから開けたTeam申のモナカサブレ。
木苺とチョコと抹茶味の、かわいくお座りしたお猿さんたちでした^^
一乗寺中谷さんが今回の公演のために特別に作られたそうです~今度お店行ってみたい!

夜の春秋座。ライトアップされると一段と迫力ありますな。

バスで京都駅に戻ってくると、京都タワーが「Dawn Purple(夜明けの紫色)」になってました。
「リレー・フォー・ライフ・ジャパン・京都」の活動の一環ということで
この土日限定でシンボルカラーの紫色にライトアップされていたそうです。きれい。

今月のnikinikiは舞妓さんと千鳥でした^^
この後は夜行バスに乗って帰宅したのですが、
先日訪れた宝蔵寺さんの伊藤若冲生誕300年記念御朱印が4月までピンク色でしたが
5月・6月は緑色らしいというのを帰宅してから知りまして;;
うおお行けばよかった~~通販始まったらゲットしたいのでこまめにチェックしよう。
佐々木蔵之介さんの演劇ユニットTeam申が前回から3年ぶりの公演を京都で行うので
ついでに行きたいところへ行って来ようと思って☆
夜公演なので夜行バスで帰ることにして、朝は新幹線で行ったのですが
いつもより少し遅い時間に出たら自由席の乗車率が異様に高くてアイエェ?ってなったけど、
10時過ぎに京都駅に着いたらバス乗り場はびっくりするくらいすいててスムーズに移動できました。
京都駅のバス乗り場が最も混むのは朝8~9時前後なのかもしれない…。

バスで京博に到着~。さっそく中へ入りますと、

公式キャラクターのトラりん☆
開催中の禅展に合わせて作ったトラりん達磨を持って現れました。
自慢げにポーズ撮ってくれたのでパチリ。

寝転がったり、

お尻ふりふりしたりと今回も大はしゃぎしてくれました。かわいいー!

ツーショットを係の人に撮ってもらいました。
着ぐるみがモフモフで柔らかくて洗い立てみたいに触り心地いいのだ…!
大人には全力ハグして子どもには座ってやさしくハグするジェントルマンなトラりん、
この後ロビーにいた修学旅行生に手を振ってから外に出ていきました。
これから暑くなるし中の人も大変だ…。

係の人に名刺をいただいたら、前は3つまでだったトラりんの秘密が5つに増えていました。
これからも増えていくのかな、またもらいに行けるといいなあ。
以下、長いので畳んであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
あまり時間がなかったので、特別展「禅−心をかたちに−」展は流し見しかできませんでしたが
それでも興味がわくものはたくさんありました。
入口で出迎えてくれた良全の「釈迦三尊像」3幅は色がくすんでいたけど
文殊・普賢を乗せた獅子と象が安心して和んでいるような表情だったのがかわいかった。
雪舟の「慧可断臂図」教科書や資料集、禅に関する文献の中でよく見かけるものの、
実際に見たのは今回が初めて。
達磨の岩に立体感があることや慧可が切り落とした手に血がついてるのを初めて知りました、
印刷ではだいたい色がとんでしまっているので。
雪舟は他にも「梁楷黄初平図」がおもしろかった~、
画題の黄初平さんは石を羊に変える術を使う仙人だったそうな。
自賛入りの一休宗純像は全身が描かれて、よく見かける右向きポーズだったので
「一休さんといえばこれ」みたいなイメージが定着していたのかもしれない。
一休さんの遺戒もあって「おれは誰にも印可与えてないから勝手に布教するな」(意訳)という内容が
アグレッシブな字で書いてあって本当、書きたいこと書いてた人だったんだなと。
自賛入りの愚中周及像は頭をポリポリかいてる図で珍しいなと思っていたら
その展示室の中央に木彫りの愚中周及坐像がちょこんと座っていて(手は頭ではなく膝の上)、
何だかかわいらしかった。
隠元さん所用の玉虫払子(虫を踏まないために足元を払う道具)とか
線唐草鎗金洗面架および金銅製洗面器(立って顔を洗う道具)は
位の高いお坊さん用というだけあって象牙や金が使われていて豪華だった。
豊臣棄丸のお霊屋がある妙心寺からは棄丸所用の小型鎧と倶利伽羅龍守刀が出品されていて
小型鎧は着用目的ではなく飾り物としての意味が大きいそうな。
守刀は蒲生氏郷が贈ったもので俵藤太(氏郷の先祖)が大ムカデを退治するとき使った矢の根(鏃)を
刀に仕立て直したものらしく、刀身は鎌倉時代製で鞘は桃山時代製だとか。
足利義満坐像は結構大きくて、でも垂れ目で半開きの目元は教科書の肖像画そのまんまで笑った^^
伊達政宗倚像は松島の瑞巌寺で見て以来だから10年ぶりくらいの再会だった!
愛姫の発願で、「両目を開けた姿で作るように」との遺言に従ったともいわれます。
狩野永徳の織田信長像は秀吉が作らせたものですが、
有名なひき目鉤鼻の肖像画とは違って目も鼻も大きくて髭も濃くて
飾らない表現がかえって本人に近そうな印象。
(もともとは半身色違いの着物で大小も差していたと調査でわかったそうだけど
完成品は落ち着いた水色の着物に刀も1振りのみになっている…さて、さて)
奈良博からいらした伽藍神立像は走り大黒天(ご利益届けるためにダッシュしてるポーズ)で
今にもガラスケースをぶち破って飛び出していきそうというか、風がみえる彫刻でした。
(3年前に泉涌寺雲龍院を訪ねたときも小さな走り大黒天を見たけど、あれみたいだなと思った)
隣にいた韋駄天像は豪華な鎧に身を包んで、抜き身の直刀を両手で横向きに持って
こちらに前のめりになっているポーズが迫力。
萬福寺の蘇賓陀尊者・羅怙羅尊者・賓頭盧尊者のお三方のうち印象的なのは羅怙羅(釈迦の子)で
肩から衣を脱いでるわお腹から仏様の顔出てるわですごいインパクト、
体内から仏というと京博で時々展示される宝誌和尚立像がいますが、ちょっとあれを超えるレベル。
白隠と仙厓の自由さは禅の思想と本人たちの考えがシンプルに構築されたところからきてそう。
白隠のずんぐりむっくりな関羽像や、寿を色々な書体で書いた百寿字とか(キャンベル缶のポスターみたいと思った)、
もし発表されたのが現代ならポップアートだと思う。
仙厓の龍図とか落書きにしか見えないけど、本人も真面目に描いたのかわからないけど
たぶん筆の向くまま描いてて「巫山戯てんのか」って言われたら「ちがう」って言ってそう。
雪村の瀟湘八景図帖や長谷川等伯の竹林猿猴図屏風は
人々やお猿の周りにまるで湿気が見えるような墨の濃淡だったし、
狩野山楽の龍虎図はギロリと睨みつけてくる龍の顔と爪がギラギラしていたし
つがいの虎は威嚇するみたいに吼えていてかっこいい。
伊藤若冲の竹図はかつて鹿苑寺大書院の障壁を飾っていた絵のひとつで
若冲ミラクルワールドの検証によると月に照らされた竹の葉っぱの影は三角形になる、
というのを絵画化したということだっけな。
この竹図の襖を開けると月の襖が見える配置になっていたらしいので、鹿苑寺では。

博物館入口にあるカフェ からふね屋にてランチをいただきました~BLTサンド。

デザートの白桃ケーキと白桃アールグレイティー、季節限定だそうです。
そろそろ桃がおいしい季節ですな^^

電車とバスを乗り継いで左京区高野にやって来ました。
写真は早良親王(崇道天皇)が祀られている崇道神社の鳥居。
早良親王は藤原種継暗殺事件にて流罪になった、桓武天皇の弟です。
実際は流罪先に向かう途中でハンガーストライキのために亡くなったのですが
その後凶事が相次いだため神社が建てられています。
内裏から見ると鬼門にあたる方角に祀られているのが何とも。
(他に内裏の鬼門には上賀茂・下鴨神社や御霊神社、さらに比叡山がありますな)
早良親王をはじめ怨霊を祀る御霊神社は各地にありますが、だいたい何人かセットになってて
早良単身で祀っている神社はここだけらしいです。

拝殿を下から。
隣には小さな社が2つあって、伊勢神宮や出雲高野神社が歓請されています。

境内にある小野神社。小野氏の祖先を祀っています。
(これを見たくて崇道神社に来たといっても過言ではない)
この辺りはかつて山城国愛宕郡小野郷という地名でして、
小野氏が住んでいた里のひとつだったようです。
本拠地は滋賀県の和邇にある小野ですな。
ここは小野妹子の子である毛人のお墓が見つかった場所でもありまして(墓誌は京博が所蔵している)、
今回はそれが見たくてやって来たわけで、山を登るらしいのですがさあどこかと見回したら。

お゛お゛お゛ん!?(ニャンちゅうの声で)
ちょっと想像以上に山だった。けど、ここまで来たので登ってみることにします。

わたしは京都にいるはずなのだが…!
さっきの石碑には「山中140メートル」と書いてありましたが140メートルって具体的にどれくらいなのか
まったく実感のないまま登ってまして(ゆさは数字が壊滅的に苦手)、
一応、階段みたいなものはありますが木の根と枯葉のために道がよくわからなかったけど
途中で木に巻いてある赤い布が目印と気づいてからはスムーズに辿れました。

10分ほど登ったらあった!小野毛人のお墓。
発見されたのは江戸初期ですが、石碑は近代に建てられたものです。

ほんとに毛人って書いてある…!!
彼は677年に亡くなったといわれていて、つまり飛鳥時代の人なわけですが
墓誌にある「朝臣」が毛人の死後に作られた称号であることと、墓誌が奈良時代製であることから
毛人の息子の毛野が父親の功績を称えるために新たにお墓をつくって
この地に埋葬しなおしたのではないかと考えられているそうです。
乙巳の変や壬申の乱を見聞きして太政官になってる人だからなあ…激動を見た小野氏のひとりだよね。
ロマンは尽きませんがこのお墓が少なくとも奈良時代からここにあり続けてきた年月を思うと
何だか涙が出そうでした。
篁ほか小野氏の子孫もお参りすることとかあったろうか…。

お墓から見える景色。いい天気でいい眺め。

崇道神社を後にして三宅八幡駅へ歩き始めたところ、
蓮華寺なるお寺を見かけて時間に余裕がありましたので寄ってみようと門をくぐったら
ものすごい緑色が目にとびこんできて立ち尽くしまして。
そうだった今の時期は小満だった…万物次第に長じて満つる。新緑が一番きれいな季節ですね。
(そして1ヶ月後には夏至であります。ひいぃ)

お座敷に上がらせていただきました。室内から眺める緑も格別。

蓮華寺はもともと八条にあったそうですが応仁の乱のとき荒廃してしまい、
この地に移され再興されたそうです。
写真は石川丈山が関わったとされる庭園。
ここから京都駅方面へ少し下ると丈山の家だった詩仙堂があり1年前に訪ねたことがありますが
彼がこちらのお庭も手掛けていたかもと考えると楽しい^^
ちなみに本堂や鐘楼堂、庭園はほとんど江戸時代の創建当時のままらしい。

池の周りも美しい緑でいっぱいで、なんかもう何も考えず、というか考えられなくなって
頭カラッポのまま風に吹かれながら縁側でボケーっと過ごしました。
本当にいい時期に来たなあ、きっと紅葉の季節も見事だろうな。

池には鯉が泳いでいて、時々小さな魚が跳ねていました。

本堂。お庭を通って拝観します。(お庭に下りると写真撮影は禁止です)
ご本尊は釈迦如来像ですが、厨子の扉が閉められてお姿は拝見できませんでした。
天井を見上げると仏師・西村公朝によるポップな八方睨み龍が描いてあって、なんだか和んだ(´ω`)。

叡山電車に乗って京都造形芸術大学へやって来たよ~。
駅から歩いてくると道路沿いにパルテノン神殿みたいな建物が見えてスゲーって叫ぶところでしたよ、
市川猿之助が芸術監督を務める春秋座です!
先代猿之助(現猿翁)が大学の中に歌舞伎ができる劇場を、との希望で建てられたもの。すごい。

Team申番外公演IV「男たちの棲家~ドッコイ!俺たちはここに居る~」です!
ポスターの三猿が「見て聞いて言う」になってるのかわいい。

公演限定のお弁当とお菓子がありましたのでゲット!
春秋座公式キャラクター「このすけ」(猿之助の当たり役・義経千本桜の狐忠信がモデル)のお弁当と
このすけのしっぽ和菓子と、Team申のお猿たちモナカサブレ。ほくほく☆
お弁当はしばらく残っていたけど、お菓子は販売開始の16時からわずか5分で完売してて震えた。

お狐しっぽ超かわいい~~~一乗谷中谷さん製の上生菓子!!
もったいないけど傷んでもいけないからその場でいただきました。

春秋座の入口。(劇場内は撮影禁止です)
座席数は歌舞伎座の半分くらいで、2階席のところに提灯がずらりと灯って歌舞伎の劇場って感じ。
花道の取り外しができたり廻り舞台やオーケストラピットもあるそうです。

どきどき。
始まる前はあっという間に感じた1時間50分。終わったらとても濃厚だった1時間50分。
(ここから公演内容ネタバレしてますので八千代座待ちの方ご注意ください)
IIIまでの公演がすべて朗読だったので、今回も朗読なのかと思ったら
チラシにも春秋座サイトにも詳細が掲載されず、
代わりに「今年は申年なので盛りだくさんな内容のお祭公演をやります」的なメッセージがあり
???となったまま当日を迎えたのですが、
暗転後にチョンチョンと析が鳴り幕が開いてパッとライトがついたら
天井に縄が下がり舞台の真ん中には娘道成寺の白拍子に扮した猿之助さんが登場してワーッと大拍手!
(絶妙なタイミングで「澤瀉屋っ」の大向こうをかけた人もいました)
10~15分くらいかな、たっぷりガッツリ踊りを見せてくれましたよ~すばらしかった!
白拍子の花子が手ぬぐいを使って「恋の手習い」を舞う設定で
ときめいたりきょとんとしたり嫉妬したりする心の動きがじわじわと伝わってきました。
最後の最後に手ぬぐいを回して激しい舞になったの、あれ蛇になったんと違うかな…。
猿之助さんが退場して再び暗転すると、舞台セットは変わりどこかの楽屋に。
誰もいない室内で、なぜかルンバだけがウィ~ンと動いていまして
そこへ背の高い男(蔵さん)がやって来てマクベスの動く森のセリフをしゃべり始めます。
おおー去年の7月から1年も経たないうちに蔵さんのマクベスに再会できるなんて!
剣に見立てた木の枝を振って、時々ルンバに話しかけるみたいになってるのが楽しかったです^^
そこへお掃除担当の清掃員(隆太さん)がめんどくさそうにやって来て
「あんた誰、勝手に入ってきちゃダメだよ」と声をかけます。まあ当然だ。
すると背高男は「おれは役者だ」と言います。
「いや、今日公演ないよ」「出番を待っている」「とにかく帰ってよ、ここもうじき閉まるから」
ということで、清掃員くんは床のゴミを片付けて背高男の投げ捨てた枝も一緒に捨てようとします。
すると、背高男が「それは捨てるな」と制止します。「なんで?」「それは剣だ」「いや、枝でしょ」「剣だ」
よくわからないまま清掃員くんは枝を背高男に手渡すと、
男は壁にあった掃除用具箱に枝をしまって深々とお辞儀しちゃった(笑)。
その後もよくわからないセリフをしゃべってる蔵さんと
絶妙なツッコミを入れる隆太さんの丁々発止が繰り広げられていると、
消灯時間になってしまいシステムが自動的にガシャンと鍵をかけて楽屋に閉じ込められてしまいます。
仕方がないので清掃員くん、いったん舞台へ出てそこを通って外へ出ようと考えて
舞台袖に通じている扉を開けたら、
そこに浴衣姿の男(白塗りの猿之助さん)が立っていて「ギャー!!!」ってびっくり、観客もびっくり(笑)。
しかも猿之助も「舞台は光だらけでこわい」「セリフが飛ぶ」などぶつぶつ言っていて
蔵さんと「次は何でいく?」「白浪だ!」とかしゃべって、舞台中央にある机にでんと腰かけて片肌脱いで
「知らざぁ言って聞かせやしょう!」からの弁天小僧の畳みかけるセリフキター!!
うわーまさかまさか、猿之助さんの弁天小僧が見られるなんて、こんな日が来るなんて!!\(^o^)/
しかも「続いて後に控えしは」って忠信利平もちょっとやってくれたし
「四谷怪談は?」ってふっかけられたら
「首が飛んでも動いてみせるわ!!」って伊右衛門のセリフと見得を披露してくれたよ~!
も、もももももうここまでで充分盛りだくさんのお祭公演ですありがとう、しかもまだ続くとか最高。
蔵さんと猿之助さんはリアルでも仲良しですが、今回の舞台でも仲のいい役者仲間の設定で
隆太さんの話全然聞かずに手ぬぐいパタパタしたりドライヤー使ったりメイク落としたり
軽々と机に乗ってセリフしゃべったりかりんとう食べたり、好き勝手なことしちゃいます。
(猿之助さんが一回、イラついて袋ごとかりんとう落っことして床にバラ撒いちゃうんだけど
拾ったのもポリポリかじってた)
背高男はかつて恋をしていて、「ああロミオ様~」「こんな塀くらい軽い恋の翼で飛び越えました」って
その様子をロミジュリのセリフで表現するんだけど、
途中から浴衣男がジュリエットになってすう…っと参加したのもおもしろかったし
(いつの間にか尻端折りほどいて裾をズルズル引きずりながら女形の体になってるの見事でした)、
相手の女性にふられたけど最後の望みをかけて主演舞台のチケット渡したら
彼女が婚約者と一緒に来ちゃったっていうオチで、
本番中にジュリエットと言うセリフを間違えて「よねちゃーーーん」って彼女の名前呼んじゃって
轟沈したという、更にオチ。
「貫一とお宮じゃねぇか」って話になって、蔵さんは学生帽を被り風呂敷をマントにして
猿之助さんは相変わらず浴衣をズルズル引きずりながら手ぬぐいをくっと咥えて
「お前でも酷いと云う事を知っているのかい、宮さん!」
「そんな酷いことを、貫一さん、余りだわ、余りだわ~~~!」とか
むちゃくちゃ迫真でやってくれるからもーーーみんな大笑い(^O^)。
猿之助さんは歌舞伎のまま、蔵さんも自分のままお芝居しながら呼吸もタイミングもぴったりなのが
やっぱりこの2人すごいって思うし、
「久々に歌舞伎やらない?」って猿之助さんに台本を渡された蔵さんが
「…空ヲ刻ム者か…」っていうところでも笑いが起きたし、
「どう?どう??」って薦められたけど「いや、まだいい…」って口ごもったの最高にかわいかった(笑)。
親友同士が好き勝手やってる頃に清掃員くんは何をしていたかというと、
2人に付き合っていられなくなり舞台へ出ていってしまうのですが
ここで、何と、隆太さん、客席に降りてきた!!(*゜▽゜*)
通路を歩いてふと歩みをとめ、お客さんが座っている座席の肘掛けにヒョイと腰かけて
「話聞かないし」「意味わかんないし」とかブツブツ文句を言っていると
どこからか底冷えのする低音ヴォイスで「…コーデリア、お前のような娘は…」のセリフが…。
しかも平幹二郎さんの声だったからほわあああぁって叫びそうになった。ヤバイ!
他にも「あなたは私に対してとんでもないことを…」「我々は待っている、我々は退屈している…」
「自分ばかりが勝手次第にああかこうかと夢をかいて…」「わたしはカモメ…」など
舞台のあちこち(身もふたもないこと言うと要するにスピーカー)から
高い声低い声、無数の俳優たちのセリフが響き渡って
びっくりして大慌てで楽屋に走って戻る清掃員くん。
背高男たちから「眩しかったろ~」「向こうまで行くの難しいよなあ」とか言われて
混乱している清掃員くんのために浴衣男が提案したのが、なぜか、しりとり(笑)。
蔵さんから「舞台」「いいねえ。じゃあ、稲」「いいな、舞台からの稲はいい」とか続いて
清掃員くんに順番が回って来ます。
「……ネズミ」「はいダメー!」「なんでだよ!」「ネズミは舞台をかじる」とか基準がよくわからないまま
ネコ(隆)→コネコ(蔵)→コイヌ(猿)→ぬれせんべい(隆)→イノシシ(蔵)ときて
「し」は…と2人が考え始めたところ、清掃員くんが澄んだ声で「芝居」と。
それまでさんざん清掃員くんの回答をこき下ろしていた男たちはそれを聞いて
「いいな」「芝居はいいな」と笑顔になっていきました。
あれ、すがすがしい笑顔でよかったなあ…。
(実はわたしも芝居かな、ってこっそり予想したんだけど
隆太さんが本当に芝居って言ってくれてうれしかったんだぁ(*´ω`*))
そんなことをやっていると突然、「誰かいるんですか?」と楽屋アナウンスがかかって
清掃員くんが「いますー!」「他に誰かいますか」「えっと…」「不審者ですか?」「いやー、その」
とか何とかやり取りしていても浴衣男と背高男はあっけらかんとした表情。
この辺りから、実は浴衣男と背高男はずっと昔に体が滅んでいて
心や魂や志などが楽屋に棲みついた役者たちということがわかってきます。
(さっき舞台で聞こえた無数のセリフも、かつてその舞台に立った役者たちの声だったわけです)
清掃員くんが「警察来たら捕まるぞ」と言っても「奴らにおれたちは見えない」とケロリとしていて
「じゃあなぜオレにはおまえたちが見える?」「おまえ、舞台に出たかったんだろ」と返されて
実は清掃員くんはかつて役者を目指していたことが明らかになりまして。
オーディションを受けたけど落ちてしまって、こっちからやめてやると突っぱねたけど
心のどこかに舞台への気持ちがあって、それに浴衣男と背高男が気づいた。
「できるさ、おまえはまだ生きてる」とサラッと言う浴衣男はイケメンだったな…^^
警備会社の人が外から呼びかけるので楽屋のドアを開けようとする清掃員くんでしたが
「おまえの行くところはそっちじゃない」と2人から背中を押され、
煌々と照明に照らされた舞台へ力強く踏み出していくのでありました………暗転。
この後、警備の人と警察はガランとした楽屋で狐につままれたように顔を見合わせるんだろう。
スゲェなんかガッツリお芝居でした!さすが12年に1度の申祭り。
作・演出の長部さんによると、今回のお芝居は清水邦夫の「楽屋」という
楽屋での女優たちの会話劇を元にしたとのこと。
女優ではなく男優たちがいたらどうなるだろうとやってみたら今回のようなのができあがったそうです。
蔵さんと猿之助さんの息ぴったりな掛け合いが本当にすばらしくて、
この2人はちょっと斜め上なセリフと演技をあさっての方向に向けてやるのが最高にハマっている。
隆太さんも番外公演初期の頃はエネルギー全開で蔵さんたちが丸く収めてる感じでしたけど
今はすっかりやりあうようになったし、
なんだか2人の申年+1人の猿ユニットの成長をゆるゆると見せていただいてる感じで幸せだ…。
終演後は声の出演もされていた段一郎さんが進行役になって
お三方が「澤瀉屋」と書いてある紺色の法被を着て登場~。
蔵さんが「京都までようこそお越しやす」と挨拶され、ゆったりトークをしてくださいました。
猿之助さんが「京都以外から来た人~?」と挙手を求めると結構な人数の手が挙がって
「京都のお土産はね~~佐々木酒造の聚楽第がいいね!」とか
「8月の京都クソ暑いけどBENT見に来てね」とか「松竹では珍しく当たった参勤交代2も見てね」とか、
なんかやたらと蔵さん関連の宣伝ばかりしてて笑いました。
(でもそのあと六月大歌舞伎の宣伝もしっかりやってた。
彼にとって「歌舞伎は生活のためにお金を得る手段だけど
高いチケット代の分しっかり楽しませる」がモットーなのだよね)
蔵さんと隆太さんが出演中のヤバ妻の話題では
隆「ぼくら1週間近く現場空けてるから、東京戻ったらすぐ撮影行かないと」
蔵「ねぇ誰が犯人?刑事だし知ってるでしょ?オレお酒作ってるだけだからわかんないんだ」
隆「知らなーい。ぜひ最後まで見てください^^」
とか、お茶目な会話もありました。
恒例の抽選会はチケット半券の座席番号からランダムに選ばれるといういつものやり方で、
わたしは当たらなかったけど、オールフリーやソルマックなど色んな景品があって
めちゃくちゃ盛り上がりました☆
猿之助さん曰く「スポンサーからふんだくってきた」結構なお値段のエアマットやクッション、枕などもあって
「僕も愛用してます!」とか言いながらめっちゃアピールしてて笑ったし、
各1名様にプレゼントだったんだけど、クッションと枕を背後のセットから猿之助さんが出してきたのも笑って
隆太さんが掃除用具箱にお辞儀してから扉を開けてエアマットを出したときは会場大爆笑。
(さっきのお芝居で蔵さんがやったやつのパロディだよね)
しかも猿之助さんがバサーっと床に敷いたら「どれどれ」って蔵さんが寝転がってそのままいびきかいて
やっぱり笑いが起きました。この人たち最高だー!
当たった2階席の人が「ヤッター!」と立ち上がったときは
猿之助さんが「皆さん、あれ(喜び方の)見本ね」と言ってました(笑)。
最後に猿之助さんが、先月の博多座のスーパー歌舞伎公演中に体験した揺れのことを話してくださって
2千万を超えた募金はニュースにもなったので知ってはいたものの、
「一緒に来るはずだった人の写真を持ってきた人がいた」「家が壊れたけど来た、という人も」など
当時の活動で交わされた会話も少し紹介してくれました。
さらっと言うだけだったけどきっともっとたくさん現場の声を聞いたんだろうな…。
あと、今回は京都公演の後に熊本の八千代座で公演が予定されていて
幸い八千代座は無事だったので上演することにしたそうですが、
蔵さんが「そういうわけで皆さんご協力お願いします、3人の猿がくまモンに届けます!」と
お三方が募金箱を持ってロビーに出られるというお話があり会場が大騒ぎに(笑)。
慌てて客席からロビーへ駆けつけましたがすでに大混雑で
スタッフさんが掲げる「○○さん最後尾こちら」のカードを頼りにもみくちゃになりながら行列に並んで
なんとか協力させていただきました。
人の流れが速くて誰ともほとんど言葉を交わせなくて、しかも緊張のあまり手が冷えてたけど
蔵さんのところで「今日楽しかったですありがとうございました!」とだけやっと伝えたら
「ありがとうございます」と、がっしりした暖かい手で包み込むように握手してくれました。
うおお冷たい手でごめんなさい蔵さん~~こちらこそありがとうございました!!
猿之助さんは募金箱を抱えていたので握手はできなかったけど
お礼を言われた後に夢中で「来月、歌舞伎座行きますね!」とだけやっと伝えたら
素敵な笑顔で「あ、お待ちしてます~!」と言ってくれてこちらが元気もらいました、たくましい人たち。
八千代座ではぜひくまモンに会えますように。
そういえば招待席のあたりにお坊様を2人見かけたけど、
おひとりはひょっとして猿之助さんと対談本を出版なさった延暦寺のお坊様じゃなかろうか…。
いや、ちゃんとお顔見たわけじゃないんですが。

興奮のあまり手の震えが止まらなくて自販機で飲み物買うのも一苦労でしたが何とか買って、
ロビーの休憩スペースでこのすけ弁当をいただきました。
たけのこや天ぷらなどから麩饅頭や三色だんご、わらび餅など甘いものも入ってて
いつも歌舞伎座で食べるみたいな本格的な幕の内弁当だったよ~おいしかった☆

こちらは帰宅してから開けたTeam申のモナカサブレ。
木苺とチョコと抹茶味の、かわいくお座りしたお猿さんたちでした^^
一乗寺中谷さんが今回の公演のために特別に作られたそうです~今度お店行ってみたい!

夜の春秋座。ライトアップされると一段と迫力ありますな。

バスで京都駅に戻ってくると、京都タワーが「Dawn Purple(夜明けの紫色)」になってました。
「リレー・フォー・ライフ・ジャパン・京都」の活動の一環ということで
この土日限定でシンボルカラーの紫色にライトアップされていたそうです。きれい。

今月のnikinikiは舞妓さんと千鳥でした^^
この後は夜行バスに乗って帰宅したのですが、
先日訪れた宝蔵寺さんの伊藤若冲生誕300年記念御朱印が4月までピンク色でしたが
5月・6月は緑色らしいというのを帰宅してから知りまして;;
うおお行けばよかった~~通販始まったらゲットしたいのでこまめにチェックしよう。
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