流星少年。

歌舞伎座で七月大歌舞伎を観てきました!猿之助・巳之助・右近のお3方による「流星」が目的です。
(猿之助さんは先月に引き続き3か月連続宙乗りのふた月目だよ)
青い幟に花火の飾りと、木挽町広場も夏の装い。

花火の足元には酒井抱一の俳句があったよ。
「星一ツ残して落る花火かな」自撰句集『屠龍之技』からの引用です。
抱一は他にも「素麺にわたせる箸や銀河(あまのがわ)」(軽挙館句藻)とか詠んでて
お気楽で洒脱な句が多くて楽しい。

例によって幕見席から。
かなり混雑していて座れるかわからなかったけど無事に最前列に落ち着きました。
流星は舞踊劇なので、踊りに集中したかったので座って見られるのは有難いです。

流星さんが吊られるワイヤーを幕見席目線から。
猿之助さんはいつもどんな風に飛んでいくかわからないからワクワク。
流星の初演は江戸時代末期、新七と名乗っていた頃の河竹黙阿弥が書いた作品で
もともとは「宮島の日」(竹本)、「祭礼の月」(常磐津)、「夜這星」(清元)という
日と月と星の三段返しの構成だったのが今は星(流星にタイトル変更)だけが残っているそうです。
また初演時の市川小団次の宙乗りによる打ち出しは現代では省略されることが多いのですが
今回、猿之助さんはやってくれましたよ!
流れ星というだけあって空を飛んで帰っていくというのは最高のシチュエーションですな☆
幕が開くと、舞台には澄み切った夜空に金色の雲がふわふわ漂っていまして
(今月、舞台に上がってる清元の方が画像をつぶやいてくれてます→こちら)
たぶん1階席で見たら奥行きが感じられたのではないかと思う。
やがて1階からワーッと拍手が起こってイヤホンガイドさんが「牽牛は巳之助」「織女は右近」とか紹介し始めたけど
何ということ、お2人は舞台の奥からご登場なさったようで
幕見席からは見切れてるー!!(号泣)
上の写真からご想像いただくしかないのですが、舞台の奥は死角になってしまってるんだ…orz
イヤホンガイドさんが一生懸命、みっくんと右近ちゃんの衣装を説明してくれるんですが
肝心のお2人の姿がまったく見えないので早く出てきて!来て!!ってなってた。
そんなこんなで金色の雲の中をゆったりと舞台正面に降りていらっしゃった牽牛と織女、
みっくんは目元涼やかなイケメン、右近ちゃんは優雅な美女!
満を持してみたいな感じだったのでうおおお!ってテンション上がりました。
流星は古代中国のお話なので牽牛も織女も唐風の衣装を着てらっしゃって
みっくんは白が基調、右近ちゃんは赤とピンクが基調で衿と袖がレースみたいにヒラヒラしてました。
(猿三郎さんがブログに写真をアップしてくださってます→こちら)
「お懐かしや我が夫(つま)さま」と牽牛の手を取る織女たんかわゆす(*´︶`*)。
どうやら去年の七夕の夜は雨が降ってしまったので会えたのは3年振りらしいです。
喜びの舞をゆったりと踊ってラブラブな2人…のところへ
「御注進御注進!」と花道から流星が踊りながらやって来ます。
牽牛と織女が踊るのをやめて「何事ですか?」と尋ねると
「えっとね、こんなことがあったんです!」と、いきなり近所の雷神夫婦に起きた顛末を話し始めます。
「雲の上に雷夫婦が住んでるんですけど、夫がうっかり地上に落っこちちゃって
しかも雲をなくしてしまったので帰れなくなっちゃって、
落ちたところがたまたま端唄のお師匠さんの家だったのでついでにお稽古を受けて
やっとお空の上に帰ったと思ったら雷のゴロゴロ音が端唄のエェ~~ゴロゴロみたいな節になっちゃって
妻に「そんなへそで茶を沸かすみたいな音、ガラガラピシャって鳴らさなきゃ様にならない」って怒られて
夫は「うっせーそれは昔の音だ、今は端唄の節で鳴らすのが粋なんだよ」ってやっぱり怒って
出ていけ~とか言い始めるんだけど、
夫は婿養子だから妻が「ここはわたしの家だから出てくのはあんた」とか言ってると
子どもの雷ちゃんが「ケンカやめて~」って泣きながら出てきて、
近所のおばあちゃん雷もやって来て「やめなさい」と止めようとしたらその場で転んじゃって
弾みに入れ歯の牙を飲み込んで大慌てになって、それを見て笑ってるうちに2人は仲直りしましたとさ。
っていうのを御注進に来ました!
じゃあねー!」(by流星)
頭に銀色の玉(星をあらわしてる)を付けた猿之助さんの流星が花道から登場したとたんに
劇場の空気がガラッと変わるのがわかって、
そこからもうずーっとニヤニヤ笑いが止まらなかったです(*´∀`*)。
猿之助さんは1人で雷ファミリー4人を躍り分けるのですが、そのために後見さんが後ろについて
雷の夫・妻・子ども・おばあちゃんの4種類のお面を用意していて
そのお面をセリフの都度つけ替えながらの踊りとなります。
「ここは役者と後見のタイミングと息の合った技術が必要になります」とはイヤホンガイドさんの言。
しかしそこは猿之助さんですから安心して見ていられました^^
後見の段一郎さんとの息ぴったりな受け渡しと付け替えは見事としか言いようがなく、
「なによ」「なんだよ」「パパママやめて~」「やめなさいったら」など4人のセリフが連続するシーンは
クルクル回りながら次々に人が変わっておもしろかった!
(遠くて見えにくかったけど、お面は紐でつけるタイプではなく
内側に出っ張りがあってそこを役者が口にくわえる仕様になってたのでパッと替えられるのですな)
顔を変えると肩の上げ下げやステップも変わるので
体格も性格も、踊っていると表情も変わるように見えたし、
雷の音を足でトントン(端唄ver.)、ドンドン!(本物ver.)と表現するのもわかりやすかった。
スットコトンと鳴る雷っておもしろい^^
何より踊りの軽やかさ、きっと汗だくなのだろうけどお茶目にのびのび踊ってらっしゃったよ。
しなやかな指先とか機動力広そうな関節とか身体能力もすごいけど
今回括り袴ですから膝下をあらわになさっててむっちゃ綺麗な足してた、
特に足首。きゅっと締まった足首って言葉がありますが、あんな足首に一体どうやったらなれますか…!
語るだけ語って、お面を外して頭に星の簪をつけなおして
「ハヤおさらば!」って宙乗りで空をかけていく姿はまさに流れ星ですが、
サーフィンの波乗りみたいにフワ~フワ~と上下しながら飛んでいく姿がおかしくて笑ってしまった。
劇場も大拍手に包まれて手を振る人もいらしてワクワク感に満ちていたよ。
牽牛と織女が流星を見送ったところで幕切れなのですが、
この後彼らが「何だったんだろう…」と顔を見合わせるまでは想像しました。
流星ちゃんはたぶん、2人の邪魔をするつもりはまったくなくて
おもしろい話があるからって誰かに聞いてほしかったのかなァ…。
猿之助さんはとにかくかわいくてすばらしかったけど、流星ちゃんもう少し空気読もうぜ(笑)。
七夕のお話を7月の歌舞伎座で見られる素敵な機会です。
千穐楽まであと少し、気になる方ぜひ行ってみてください^^
クリックで拍手お返事。↓
皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆
>大海彩洋様
ありがとうございます~!7歳になりました☆
コメントお気になさらず、いつも読みに来てくださってありがとうございます(^O^)。
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