小さな中村屋たち。

前回記事で少し触れましたが、
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部の門出二人桃太郎を見てきました☆
同演目にて中村屋の七緒八くんが三代目勘太郎を、哲之くんが二代目長三郎を名乗り初舞台を踏まれます。
わたし七緒ちゃんを見るのは今の歌舞伎座杮落し公演のお祭り以来ですが
哲ちゃんはナマで見るのは初めてで、
歌舞伎界のお祝い事に立ち会うのは猿之助さんや芝翫さんの襲名公演を見ていますし
大人が中心でしたからドキドキよりワクワクの方が大きかったけど、
お子様の初舞台を見るのは初めてでいつになくド緊張していつもと違う汗かいてました。
こんなにドキドキする開演前ないんですけど!劇場内も心なしかソワソワしていたような。

木挽町広場には桃太郎と鬼の手ぬぐいの展示。
チューリップってこの時期でも咲くんだ!

吊るし雛や七段飾りの雛人形も展示されていました。
節分が終わったら桃の節句ですねえ。

幕見席から。
黄色くかわいらしい祝い幕はひびのこづえさんのデザインだそうです。
柝が鳴ってお囃子が奏でられ、祝い幕がシャ~っと開いていきまして
ああ、始まっちゃった…!と緊張感も最高潮に高まって顔を覆いたくなって
なんでわたしこんなに緊張してるんだ??と自問自答とかする始末でした。
ギリギリのところでSAN値保ってた気がする^^;
あと、いつも開演前はイヤホンガイドさんの解説を聴いて鑑賞に備えるんですけど、
今回もそうしてたんですけど、もうそれどころじゃなかったので内容が全然頭に入ってこなくて
上演中も解説を色々聞いたはずなんですけどあまり覚えてないです。色々とダメだ。
季節は春、おばあさんが川で洗濯をしていると
山の芝刈りから帰って来たおじいさんがそろそろメシにしようぜ~と声をかけます。
芝翫さんはまだ何となく橋之助さんと呼びそうになってしまう、いい加減慣れなくては。
すると川の上流からドンブラコ~と桃が流れてきて(黒子さんのお仕事)、
もうこの時点で客席には笑いが起きていた(笑)。
おじいさんたちはなんじゃこりゃ~と、桃に手ぬぐいを引っ掛けて岸に上げて家に持って帰ります。
桃が描いてある暖簾をはねて息子夫婦が出迎えて、大きな桃ですねえとか言うんですが
勘九郎さんも七之助さんも既にただならぬ表情でここから先の舞台をすごく心配してらっしゃるのが
びんびん伝わってきてわたしもさらに緊張してしまった(笑)。
おじいちゃんたちが包丁で桃をパッカーンと斬りますと、
中から黒子さんに抱えられた2人のちびっこ桃太郎が赤フン姿で登場ー!
「中村屋!」の大向こうも飛んで劇場が割れんばかりの大拍手!!
桃太郎たちはビビリもせずに見得をきってみせると
「おじいさん、おばあさん、こんにちは!」「兄の桃太郎です」「弟の桃太郎です」と元気いっぱい挨拶。
また大きな拍手が起きて劇場いっぱいに響き渡りました。
すごいすごい幕見席まで2人の声届いてるよ、すごいよー!(゚Д゚;)ハラハラ
そして勘太郎くんが長三郎くんを気遣って「こうするんだよ」みたいに目くばせしてるのも
長三郎くんが必死についていこうとしてるのもわかって涙出そうになった。
「鬼が島へ鬼退治に行きます」と勇ましく言う桃太郎たちは
鎧姿に着替えるため、息子夫婦とともにいったん家の中へ引っ込みます。
そこへ花道から登場してきたのが犬彦・猿彦・雉彦☆
吉備神のお告げで桃太郎が生まれたことを聞いたという3人は自己紹介をします。
染五郎さんの犬彦はダルメシアン柄のかわいいお衣装とお化粧で→こちら
両手を犬みたいに丸くしながら「腕力でワン斬りにします」とか言うし
(ちなみに勘三郎さんの初舞台では白鷗さんがおじいさんを、
勘九郎・七之助さんの初舞台では幸四郎さんが犬彦を勤めている縁があるそうだ)、
松緑さんの猿彦は「カニをだましたその知恵を活かします」とか真っ赤なお化粧顔でおっしゃるし
菊之助さんの雉彦は一番いさましく隈取してて「空から物見をいたします」とか凛々しいし
常に袖をひらひらさせて軽やかに飛ぶ演技をなさっていて素敵☆
そこへ花道から菊五郎さん扮する吉備津神社の神主さんが来て
村人たちもわらわら集まって来て、みんなで桃太郎が生まれたのをお祝いします。
「どれ呼んでみましょう、桃太郎さ~ん」と菊五郎さんが家の中に声をかけますと
「「はーい!」」とかわいらしい返事が聞こえて
息子夫婦に促されながら隈取に鎧姿の2人桃太郎が再登場してきたよ~!拍手☆
(勘九郎さん七之助さんの鎧をそのまま着ているそうです)
この間わずか5分、すごい、お着替え間に合ったね!よかった!!
くるりと回って見得を切って見事に決まりまして、また拍手。
ここで初舞台の口上に入ります。
菊五郎さん、弥十郎さん、雀右衛門さん、梅玉さん、時蔵さん、芝翫さんなど
錚々たるメンバーがお子様たちを気遣ってか手短に順番に挨拶されていく中、
勘太郎くんは微動だにせず下を向いて正座していまして
長三郎くんも最初はじっとしてたけど時間が経つにつれキョロキョロしたり両手ついたりそわそわ…
後ろの七くんが長三郎くんの背中や足に合図すると元に戻ってました(゜ω゜;)ハラハラ
そんな七くんが「叔父のわたくしに取りましても」とか言うの、女形の拵えだからちょっとおもしろい。
(ベルばらのル・ルーちゃんがオスカルを叔母さまって呼ぶみたいなこそばゆさがあるというか)
かなり気が気じゃなかったのかパパの勘九郎さんもものすごい早口で口上述べてて客席がじわった(笑)。
最後に桃太郎ズの「中村勘太郎でございます」「中村長三郎でございます」の元気のいい挨拶に
もう何度目かの客席からの大向こうと大拍手!
いよいよ鬼が島へ行くということになって花道からの引っ込み、
勘太郎くんの踏み込みと見得が一瞬、六方踏むんじゃないかと思うくらいすごくかっこよかった!
客席の拍手に送られながら2人でのしのし歩きながら引っ込んでいきました。がんばれ。
場面転換中には浅黄幕が張られ、大薩摩連中の圧巻の演奏。うおおおかっこいいー!
再び幕が開くと、そこは鬼が島の入口。
門前に鬼たちがズラリと並んでいるところへ花道に登場したのはお供を連れた2人桃太郎。
「ものどもかかれぇ」というお言葉に3人の部下たちが立ち向かいます。
犬彦は鬼たちにガブリと噛みつき、猿彦は鬼をあやつって自分をおんぶさせてしまい、
雉彦はヒラヒラ舞いながら鬼たちを翻弄します。
門前の鬼を追い払ってみんなで見得を切る雰囲気になって2人桃太郎も舞台上に来たんですが
桃太郎たちの立ち位置がいまいちハマってなかったのを
松緑さんが長三郎くんを抱き上げてちょっと間合いを詰めたので客席から笑いが起きてた。
その後無事に猿・雉・犬・桃太郎でバッチリ決まりました。ホッ(;´∀`)
門から鬼が島に入った後もわらわら戦って
奈落から島を制圧した桃太郎たちが鬼たちとともにせり上がってきたときの決めポーズかっこよかったし
(縄は桃の形になってた)、
鬼たちとの立ち回りで縄を引いたり切ったりして(縄引きは平安時代からのおめでたい習わしです)、
最後に勘九郎さん扮する鬼の総大将との立ち回りもちゃんと山とか八の字に切ってて
見得もしっかり決まってたよ!
総大将を縛り上げて「まいったか」「降参、降参、お許しなされてくださりませ~」となって
勝どきをあげるシーンで「「いずれも勝どき」」まではよかったけどエイエイオーが絶妙な輪唱になって
お供の3人が「お、おう」みたいになってておもしろかった^^2日目のご愛敬ですね。
鬼たちによる宝物バケツリレーで車にもっさり宝物を積んで
縛られた総大将を挟んで日本一の幟をかかげ「さあ凱旋だ」と金の扇子で見得を決めると
背景の海から日の出が!
パーッと舞台が明るくなって、万雷の拍手とともに幕引きとなりました。
柝とお囃子が鳴り響く中、勘九郎さんが長三郎くんとチラチラ目を合わせてたのが最高におもしろかった。
鬼じゃなくてパパ目線になってるよ!無理もない^^
とてもいい舞台でした。
ベテラン役者さんも裏方さんも2000人近いお客さんもみんな勘太郎くん長三郎くんを応援してて
劇場がひとつになっていたよ(笑)。
勘太郎くんは本当に安定してきて、これまで何度か舞台に立った経験がしっかり活きていると思うし
弟を常に気遣ってアイコンタクトしてて頼もしさ倍増。
長三郎くんは飄々とマイペースながらも「こうか」「あ、こうか」みたいに
ひとつひとつ動作を確認しながらこなしている感じで謎の安定感がありました。
保育園とかでいえば年長さんと年少さんですからたいていのことはできる年齢と思いますし
自分の子どもの頃を思い出してもお遊戯会とかで劇やダンスや太鼓など
色々やった覚えがありますが(そして本番はみんなちゃんとできてた)、
勘太郎くんたちみたいな大声とかメイクや衣装に耐えられるかどうかは…あれは訓練だよねえ。
ちなみに勘九郎・七之助さんの初舞台で刀を持っていたのはお兄さんだけだったそうですが
今回は2人とも刀を持っていまして、
理由が「長三郎さんがほしがったので」とお兄さんがイヤホンガイドのインタビューでおっしゃってて
何だか微笑ましかったです。
哲ちゃんは普段から色々な意味で大物らしい。

閉幕後に外へ出ようとしたらスタッフさんから「豆まきがございますのでどうぞそのまま」とアナウンスがあり、
じきに幕が再び開いて役者さんたちによる舞台からの豆まきが行われました☆
桃太郎に出演されていた役者さんたちは拵えのまま、
ほかに亀三郎さんや金太郎くんなど今月の歌舞伎座公演に出演なさっている役者さんも
みんな紋付きで出てきてくれて客席も大盛り上がりの賑やかな豆まき、
鬼役の勘九郎さんと亀蔵さんも豆をまく側だったのがちょっとおもしろかった^^
3階席や幕見席はスタッフさんが配ってくれて、
わたしは手違いで2ついただいてしまいました。楽しかったー!

千穐楽まで無事に走り抜けられますように。
そういえば初日には松潤が黒スーツに黒帽子で来ていたとか
着物姿の大竹しのぶさんを見かけたとかいう目撃談をTwitterでチラホラ見かけました。
松潤は親友の子の、大竹さんはかつての共演者の孫の初舞台をそれぞれご覧になったのだなあと思うと
心がポカポカしました。
お空の上では勘三郎さんや小山三さんが見守っていらっしゃるだろうなあ。
(そういえば小山三さんは勘三郎さんの初舞台で雉のお役だったそうです)
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