ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、その日見たもの考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。

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根拠のない楽観は禁物です。

shingodzi.jpg
去年、劇場に観に行った弟くんにあれこれ解説してもらいながら
先日やっと映画『シン・ゴジラ』を観ました。
予告編とずいぶん印象が違うなと思いましたが、
特撮と日本のいちばん長い日とエヴァンゲリオンと野村萬斎を知っている人と
現美の特撮博物館を鑑賞した人にはものすごく見ごたえのある映画だと思います。
キャストがメイン~ワンカットしか出ない人まで「どこかで見たことある」人ばかりだし
(パンフレットのクレジットで「この人どこに出てた?」って思って
もう一度見返して「あーいた!」って見つけた俳優さんも何人かいました)、
スタッフも庵野・樋口両監督を始め野口さん柘植さん神山さん摩砂雪さんほか
やっぱり「どこかで見たことある」人ばかり。
音楽に鷺巣さんを起用しながら本編のそこかしことEDTに
伊福部さんのオリジナル音源を使ってくれた庵野さんと握手して乾杯したい。
ギドラにメカゴジにラドンに怪獣大戦争!ぐぎゃあ~~(ゴロンゴロンゴロン)
ありがとうございますありがとうございます!!
伊福部さんはコントラバスの使い方が超かっこいいよね。

以下とりとめのない所感。
ネタバレどっさりですので未見の方はご注意ください。


タイトルロゴのデザインからしてドッキドキ~のわっくわく!
「東宝映画作品」→「シン・ゴジラ(初代の鳴き声つき)」→「映倫」→本編→「終」の流れ最高。
庵野氏はこの映画の日本を「円谷英二がいなくて怪獣映画が存在しない」としているらしく、
つまり1954年のゴジラをみんな知らない世界なわけですが
随所に54年ゴジラの引用やオマージュがみられて往年のファンはニヤリとするのでは。
(わたしはニヤニヤしっぱなしだった)
登場人物がみんな「想定外の生物を初めて見た人たち」だったり
ゴジラの名前が、大戸島の老人が伝説の怪物の名前としてあげている呉爾羅からとられていたり
「巨大生物をゴジラと呼称します」とか「生命の保証はできません」とか。
和光の時計を始め銀座4丁目が爆発四散したのに歌舞伎座は無事っぽいのが何だかもう。。
…なんて言ってたらわたしよりも遥かに特撮力高い人々の発見がまとめられてました。
『シン・ゴジラ』で見つけたオマージュや小ネタ
制作側も楽しんで仕込んでる感じするし、受け手に届いてるのもたまりませんね。
(そういえば東京タワーやスカイツリーを壊すシーンがなかったけど、
スカイツリーは壊すのに色々手続きが要るからかもしれないけど
東京タワーはあれかな、巨神兵の映画で満足しちゃったのかな…想像ですが)

蒲田くんの第一印象は「これがゴジラ!?」と一瞬引いてしまったけど
よく考えてみれば歴代ゴジラもはじめからあの姿だったわけじゃなくて
放射性物質を吸収したり食べたりした結果巨大化して二足歩行になったわけで、
蒲田くんはそうなる前から描かれたゴジラと考えればいいんだな。
まんまる白目で意志が感じられず「生きてる」だけというか、ひたすら前進する生き物で
泳いでてたまたま上陸したのが日本だったみたいな感じ。
進化前に一度倒れたときのバターン!ってSEが
ウルトラマンとか怪獣とかが倒れたときのあの音にそっくりだったよ!(細かすぎて伝わらない以下略)
品川で両手が生えて立ちあがったときの鳴き声が54年の声で
その後も鎌倉くんは84年→東京駅くんは95年と変化してるのがツボです。
第4形態の尻尾は歴代ゴジラのデザインの中で一番長そうですが、先端がああなってるのは
パンフレットに「すべての生物の要素が入っている解釈」とありますね…まじかよ。
そしてゴジラと言えば熱線☆ですが事前情報で非常に良い出来栄えと聞いていて
どれどれと思っていたんですけど該当シーンを見てびっくりしました。
あれは見事だった…!庵野さんの真骨頂ですね。
下顎があんな風にパカっと開いちゃうのはあんまりゴジラっぽくないけど
人智を超えた生き物っぽさは伝わってきました。
「生態系の頂点にいるので耳も瞼もなく手が小さいし咬み合わせもズレてる」というパンフの解説とか読むと
あ~だからエネルギー切れで止まっちゃっても他の生き物に襲われる心配がないから
安心して停止したまま空気エネルギーチャージできるんだなと思った。
そんなゴジラのスーツアクターが萬斎さんと聞いたのは公開日でしたが→こちら
実際に映像を見たら薩摩剣八郎さんみたいな、腰を落として摺り足で重心が超安定してました。
手が上向きなのは「神仏や龍が宝玉を持つイメージ」と自ら提案されたとおっしゃってたし
「狂言で狐など四足歩行の獣が神になると二足になる」というお話も聞いたときゾクッとした、
蒲田くんも這った後で二足になったから。
ゴジラのカメラワークというか見せ方も、地響き→足→手元→頭(+咆哮)とかじゃなく
いきなり蒲田くんの全身が画面にバーンと出てその異様さにぎょっとしたんですよね。
ああいう驚かせ方は庵野さんの手法だなと思う。

ロケ地はしっかりテロップが出て「あ~ゴジラ今あのへんか」とか何となくわかるのは
歴代ゴジラ映画もそうでしたけど、
登場人物の氏名・役職名はおろか建造物名、メカの名前、略称や愛称まで表示されるとは。。
(子どもの頃は怪獣以外どうでもよかったけど最近、舞台設定や人間模様とかが楽しみになってるのです)
ハセヒロ氏がやってた矢口さんは54年ゴジラでいう宝田明ポジションでしょうけど
平田昭彦や志村喬に当たる人物は出てこなかったね。
カヨコ・パタースンは河内桃子さんとは正反対のタイプだし、
赤坂さんを始め政治家や官僚たちはかなり割り切ってる人物像な感じがしました。
立場や思惑の差はあれどみんな早口で頭が回るのは庵野さんのキャラクターたちだなあ、
基本的にはまじめで愚か者がいなくて
パニック映画とかでよくある「どうなってるんだ!」とか怒鳴り散らす演出がなくて気持ちいい。
わたし映画でも小説でも、プロ集団を描くときは
大声によるコミュニケーションを極力なくして欲しいなと常々思ってまして…。
どんなに大変な状況でも淡々と仕事するのがプロだよね。
あ。ちょっと首をかしげたのが、
生物学の有識者として呼ばれた3人のモデルが押井守・宮崎駿・高畑勲なんだろうけど
(演じたのは映画監督の犬童一心氏・原一男氏・緒方明氏)、
風刺にしてもパロディにしてもちょっと悪趣味かなと(笑)宮崎さんたちは観たのかなあ。

映画の前半は会議ばかりですが、発言で一番印象に残ってるのは「議事録は残るんだ」。
こういう意識を総理大臣がちゃんと言葉にするのいいね!(職業病)
政府の会見にL字で字幕が流れるのも、手話通訳がいるのもリアルだったし
(ゴジラの名前がついたら手話も両手を曲げた表現になってた)、
初期対応のときオドオドしてた官僚たちが(無理もない)防災服着たらシャキッとしてたけど
そうそう官僚の防災服って強い色だよね…と思ったらそこもきちんと考証入ってるそうで。
パンフの解説で、とにかく現場を取材しまくって可能な限り現場に近いものを再現することに凝ったとかで
柘植さんが「数十年後にこの映画が時代劇になったときドキュメンタリーのような価値が出る」
みたいなことをおっしゃってて、確かにそうだなと思いました。
あ。あと会議室に片岡球子の「めでたき富士」が掛かっていて
霞ヶ関落ちの際に運び出されている演出にホッとした。
警察庁長官の部屋にあった額の「人皆知有用之用而莫知無用之用也」(荘子第四編)の字は
石飛博光氏が書いたのかな…そしてあれは無事だったのかな。

巨災対の会議でネルフの戦闘配置BGMが流れるの胸アツ。デーンデーンデーンデーンドンドン('◇')ゝ
鷺巣さんはティンパニーの使い方が超かっこいいんじゃ!
政府の会議と違ってこっちは打ち合わせっぽい雰囲気なのよね。
人事に影響はないから自由に発言してくださいってなって
通称"首を斜めに振らない"人たちから情報がどんどん出てくるのワクワク。
森さんがメンバーにいちいちニックネームつけながら仕切るのおもしろすぎるし
尾頭さんがピクリとも顔の筋肉動かさずに仕事するのかっこいいし
間さんがゴジラについて模造紙に書きなぐった先の「分かりそう!」が切実だし
安田さんの「あ゙ーっ!あ゙ーっ!!こんなんありかよ」かわいい。
志村さんが矢口さんの前では善良な官僚ですが裏取引を辞さないところ、
俗物感まる出しの泉さんが「まずは君が落ち着け」とか
矢口さんを送り出す時の「幹事長なら任せておけ」って言ったのがギャップ萌え。
愛すべきメンバーたちだなと思います。
緊急事態の連続ですから作業中はみんな表情がほとんどなくて
折り紙だ…のとことかカタルシスになりそうですがあくまで冷静に分析・判断していくのが生々しいよね。
(余談ですが最近"#巨災対の日常"なるハッシュタグを見つけてしまった…あれは力作ぞろいだ。沼だ)

矢口さんが立川に移動する途中でゴジラを初めて目視するシーンにぞわってした…。
映像でしか見たことなかった彼もきっと肌で実感したでしょう。
官房長官に「這ってでも行きます」って言ったら本当に歩いていくハメになったシーンとかも
なぜだろうな、彼が体を動かしているせいか妙に肌触り感がありました。
(官房長官で思い出したけど柄本さんはスペゴジ以来のゴジラ映画ですぬ~。
渡辺さんもキンゴジやモスゴジにいらしたっけ)
あとゴジラが停止したり去ったりした後も人々の意識はゴジラ一色ってわけではなく
電車は走るし人々は通勤通学するし電気も物流も止まらないし証券取引所も動くとか
そういうとこ強調するのもすごく庵野さんだなと思いました。
戦後や震災後がそうだったみたいに「各自できることをする」みたいな、世界の行動。

クライマックスが科学技術館の屋上で伊福部さんのオリジナル音源まで流れたのは感動した!
(福生の滑走路で髪をなびかせながら見守るカヨコさんのかっこいいこと)
タバ作戦にしてもヤシオリ作戦にしても庵野さんは総力戦がお好きだなあとつくづく思います。
N700系など無人車両が突っ込むのがやりたくてクライマックスを東京駅に持ってきたのかな…
ゴジラと電車の縁は切っても切れませんからね。
白眉だったのが自衛隊の攻撃が全部命中していたこと。
前に歴代ゴジラ映画で自衛隊の攻撃があまりに当たらないことに現場からお叱りがあって
平成ガメラシリースのレギオン映画は一発も外さない攻撃が描かれたことで有名ですな。
建物が壊れて土埃が舞ったりする方が画面的には派手に見えるとかの効果もあるだろうけど
あくまで建物を壊すのはゴジラだけで人間は(ヤシオリ時以外)壊さないというのが徹底されてましたね。
レギオンを撮った樋口さんが特技監督やってる影響もありそう。
(どうでもいいけど特技監督というクレジットに樋口さんの特撮愛を感じます)

キャストクレジットが50音順!!
メインキャストは肩書長いから役名と俳優を並べて表示するのは難しかったんだろうな…。
名無しのキャストもたくさんいて「東京湾で何あれ?って言った女性」とか
「巨災対事務員の全員避難を確認して最後に事務室を出た自衛隊員」とか
「アクアラインから避難するとき動画撮ってた人」とか「おばあさんを負ぶって踏切渡ったおじさん」とか
そういうことになるからやっぱり難しいと思う。
音楽は伊福部メドレーですが、伊福部さんの名前と引用曲名の中に平成メカゴジを見つけて
えっいつ使われたっけ?ってびっくりしてるとラストで流れ始めたところで
うおおお!って鳥肌立つまでが本編です。庵野さん最後までありがとうありがとう。

牧悟郎…。
マキゴロウの発音は84年ゴジラでチラッと出てますが別人かしら。
「私は好きにした、君らも好きにしろ」のメッセージもあれだけど、とりあえず彼に言いたいのは
「芹沢博士以下ゴジラ映画に登場する科学者を見習え」かな…。
彼らはマッドサイエンティストで化学兵器や生物の理論を完成させはしても
最終的には実現を望まない人たちなのでな。
(それらを第三者が実現させて大変な目に遭うという教訓になってるのもシリーズ通して描かれ続けて来ている)

そんなわけで大体においては非常に見ごたえあったのですが、どうにもモニョッとしてしまうのは
たぶんタンクローリーがゴジラにとどめを刺した前例がないからだと思う。
東京駅丸の内駅舎にへたれこむゴジラに凝固剤を流し込む大型車の群れは
従来の怪獣映画とはほど遠い絵ヅラで、
そんなわけでわたしにとってこの映画はゴジラ映画でも怪獣映画でもなく、災害対策映画になりました。
ゴジラが最後の力を振り絞るように立ち上がって屹立しながら固まったとこは
ゴジラの生き物としての意地のような気もしたし(結局見せ物みたいになっちゃうけど)、
何だかんだでやっぱり庵野さんゴジラの立つ姿が好きなんだろうな。
あと、作戦が終了した後も巨災対や官僚たちは「バンザーイ!」とかやらないで
「はあ~終わった…」みたいに脱力してて、それもリアリティあった。
尾頭さんが「半減期が20日だから除染のめども立つ、よかった」って微笑んだけど
実際はいつまたゴジラが動き出すかわからない&国連の核攻撃も中断でスタンバイはとかれず
全然めでたしめでたしじゃないのよね…。
矢口さんも「事態の収束にはほど遠いからまだ(政治家は)辞めない」って言ってるし。


あと、これは余談になりますけども。
シンゴジを観た後でLWAの眠れる森のスーシィ回を見ると
「すぐ真似するスーシィ」が内閣総辞職ビームをパロってるのがよくわかります。
ちゃんとご丁寧に墜落するヘリまで描いてあるよ…大河内総理~。
(そういえば大河内ってメカゴジラやデストロイアを撮った大河原氏にちなんでいるのだろうか)

あと、男性におんぶされて踏切を渡っていたおばあさんは原知佐子さんだったと最近知って
弟と一緒に「えええー!」って声出ました。。
彼女の夫はウルトラシリーズでやたら変化球な演出ばっかりやってた実相寺昭雄氏ですよ!!
氏の演出したジャミラや怪獣墓場の回は涙なしには見られません…メトロン星人は笑ったけど^^
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Author:ゆさ
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