夕やけだんだん、猫はまんまる。
日暮里をウロウロしてきました。
朝倉彫塑館にて本日から開催される「猫百態」展に行きたかったのと
最近やたら猫推しの谷中界隈で猫のお菓子を買いたかったのと
久しぶりに有名人のお墓参りをしようと思ったのです。
谷中はお寺がいっぱいあるし、下町なので町人クラスの有名人がたくさん住んでいて住居跡もお墓もあって
しかもどれも歩いて回れる距離なのがいいよね~。

まずは日暮里駅東口から、江戸うさぎへ。
妖怪いちご大福で有名なお店で(いちご大福が出るのは冬のみ)一度来てみたかったんだ!
今の季節はあんず大福、こしあん大福、涼大福が販売されています。

げっと!
あんず大福と、せっかくなので生どら焼きを。

妖怪あんず大福ミルククリーム入り☆
白蛇がこちらを見上げているような、目がテンテンな不気味な表情がキュート、おキュート!
どうやって食べたらいいかわからなくて結局一口でいただきました。甘酸っぱくておいしかった^^

生どら焼きには鳥獣戯画のうさぎの焼き印が。
どら焼きって結構、ボリュームがあって完食後は胃が重たくなったりしますけど
これは皮も餡子もフワッとしていておいしかったです。
いったん駅へ戻って、西口から朝倉彫塑館へ。

着いた~徒歩5分くらいです。
館の存在はだいぶ前から知っていたけど来るのは初めてです!
ず~~~~~っと行きたい行きたいって思っててやっとタイミングが合いました、うれしい。

ポスター見てるだけでもワクワクするね!猫いっぱい。

ふと屋上を見上げたら見下ろされていた。ど、どちら様で…??
以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
いっとき19匹もの猫と暮らしていた朝倉文夫氏は、猫の彫刻をたくさん残していまして
今回は館が所蔵する58匹の猫彫刻すべてが一気に展示されています。
これだけ猫作品を作っておられるのだから過去にも猫展が開催されているのかと思いきや
1994年に開催された朝倉氏の没後30年展「猫百態展へ向かって」以来23年ぶりなのだそうで。
もともとは氏も生前に猫展を企画されたそうですが病気にかかり亡くなってしまわれたために
実現されなかったらしい…なんということ。
そんな氏が企画しようとした猫百態展がやっと実現するということで
関係者の皆様の尽力に感謝感謝。ありがとうございます。
氏はお空の上で見ておられるかな、満足していらっしゃるか、それとも自分でやりたかったと無念でいらっしゃるか。
朝倉氏の猫作品は過去にも何点か、別の場所で鑑賞しているので
氏の並々ならぬ観察眼と再現技術の高さには以前から舌を巻いているところでありますが
今回はそれらを360度から見せつけられて萌えしにそうになった。
展示室のどこを見ても猫、猫、猫!!かわいい、やばい、ときめいて息ができない。(して)
彫塑館は氏の邸宅兼アトリエを美術館にしたもので(氏の死後3年で開館したそうな)
アトリエや書斎、客間、寝室など各部屋の雰囲気に合わせて猫たちが展示されていて
学芸員さんのキュレーションが光っておられます。
中でもアトリエ展示室が最も広くて天井も高くて、猫たちが一番多くいました。
クリクリした目で見上げてきたり、ネズミをくわえていたり、片方の足を上げるポーズだったり
母猫が子猫にお乳をあげていたり、香箱座りして居眠りしてたり、丸くなって寝ていたり。
「餌ばむ猫」のリアルさといったらうちの仔かと思ったくらいのリアルさでしたよ、
そうそう猫って尻尾丸めて首かたむけながらハグハグ食べるんだよね…魚の頭が口から覗いてて完璧でした。最高かよ。
狩りのポーズにしても狙いをさだめている「眈々」と、飛びかかる寸前のポーズの「狙う」では
背中の丸みや耳の動きが全然違ってすごく細かいところまで見てるなあこの人…!
産後や病気の猫がげっそりしているのも、親子猫が固まって寝てるのも
こうあってほしいって理想じゃなくひたすら「猫はこう!こういう生き物」という氏の声が聞こえてきそうでしたし
わたしも「そう猫ってこうなの」って氏の手を握って握手したくなったくらい、よくわかりました。
石膏とブロンズで同じ形の作品も並んでいて(石膏からブロンズの形をとるので)
「たま(好日)」はおめめクリクリのたまちゃん2匹に見つめられてしぬかと思った、かわいすぎる。
笑ってしまったのが「眠る」の展示スペースにキャプションだけが置いてあって
「只今散歩に出ております。館内のどこかに居ります」との表示がされていたことでした。
こういう展示もありだよね!探しながら鑑賞するのも楽しかったです。
作品を鑑賞しながら館内を回っていると、自動的にお部屋のインテリアにも目が向きます。
書斎の壁一面が本棚になっているのに圧倒された…
美術史だけではなく歴史や科学や宗教などの資料がどっさりあって
(空海や宇多天皇、小野道風など歴史上の人物の筆跡本もあった…書の参考にされたのかな)
種類もハードカバーや雑誌、和綴じ本まで多岐にわたっていました。
和書は朝倉氏の蔵書、洋書は氏の美術学校時代の教師だった岩村透氏の蔵書だそうで
岩村氏の死後に散逸しそうだったのを朝倉氏が家を抵当にしてまで古書店から買い戻したらしい。
研究者の資料というのは人がいなくなると簡単に散逸してしまうので
朝倉氏の行動は資料の散逸を救ったわけで、なかなかできることではないです。すごいな。
長女の朝倉摂氏から文夫氏へ送られた手紙には
「水を呑むミー公の写真がよい」「中々よいのが撮れません」などと
ご家族で猫の写真を撮影していたような記述が^^
手紙の隣に水を呑む白黒猫さまの写真が展示されていて、あれがミー公さまだったのかな。
摂氏のスケッチした猫たちの写生帖も展示されていました。お父上よりスマートな猫たちだった。
他にも、玄関から廊下を望むとちょうど中庭が見える窓があって
季節ごとに景色の色が変わると思うと次に訪れる時期が楽しみだなあとか、
氏がもっとも多く時間を過ごした茶室には生前にゆったりくつろいでいた様子の氏の写真が飾られていて
同じ場所に座って中庭を眺めてみたりして氏の見た景色はこんなだったのかなあとか、
2階の素心の間の床の間に曲がった柱があってモダンだなあと思ったりとか
3階の朝陽の間のざらざらした瑪瑙壁や天井の裏張りの細工が見事だなあとか
各部屋の猫たちもですが建物や内装も見ていてすごく楽しい。
ここ…ほんとに個人宅なんだよな…??(^^;)
そしてどの部屋からでも見える中庭がとても素敵。
廊下の凸凹ガラス、茶室の障子越し、2階や3階から、様々な位置から見下ろせる中庭は緑にあふれていて
大きな錦鯉が泳ぐ池は絶えず水が流れていて心地よい流水音が聞こえていました。
氏は庭を設計するとき水の流れを意識したそうです。
あ。
アトリエ展示室にあった「散歩しています」の眠り猫は朝陽の間の床の間にいました。
ふかふか座布団の上で気持ちよさそうでした。

彫塑館の屋上に来ました。
朝倉氏が生前、菜園として使っていて(彫塑塾のお弟子さんたちに植物と接するように指導してたそうな)
氏が植えた大きなオリーブの木もあります。
さっき下から見えた彫刻の人は(「砲丸」というタイトルらしい)ここで背中が見られます。

屋上から見えたスカイツリー。

屋上から階段を下りて蘭の間へ入るとこんな光景が。
元々は朝倉氏が蘭を育てていた部屋で、最近は猫たちの彫刻を展示する展示室になってるそうなのですが
今回は猫たちが館内に散らばっているのでパネルのみの展示になっているもよう。
猫たちと戯れる氏のしあわせそうな表情^^
展示替えもあるそうなのでまた行かなくては~!
彫塑館を後にして谷中界隈をぶらぶらします。
住宅街の中に小さなお寺がぽつぽつ建っているのです。

長安寺にある狩野芳崖のお墓。
芳崖は木挽町狩野家10代目(最後の当主)だった狩野雅信の弟子で
岡倉天心とともに東京美術学校の設立に尽力しましたが開校前に亡くなっています。
お参りを済ませて帰ろうとしたらバサバサっと音がしたので、何だろうと振り向いたら
すぐ隣のお墓に供えられていたおはぎをカラスがつまんで持ち去ろうとしていたので慌てて近づいたら
おはぎを放置して飛び去っていきました。
生きるためっていうのはわかるけどお供え物はダメだなァきみ…。

板碑の群れ。
長安寺には鎌倉時代や室町時代の板碑があって、台東区有形文化財に指定されているそうな。

功徳林寺の前を通りかかって、小さく案内板があるなあ何だろうなと思って近づいたら
笠森稲荷が!ある!だと!!
まったくノーマークでしたのでうっかり声に出すところだった、もちろん突撃。

かわいらしいお社がありました。
長いこと改修工事をしていて去年から拝観を再開したそうです。
さらに「御朱印承ります」との掲示まであって「まじ!どこ!?」と辺りをキョロキョロしたら
まわれ左した客殿の壁に「こちらです」みたいな小さい矢印を発見、突撃(2回目)。

お住まいのインターホンを押したらお寺の方が出て来てくださって
ご住職がお休みとのことで書き置きをいただけました。
パンフレットもいただいてしまって、有難や有難や…!よかった寄って。よかった。

歩いてカフェ猫衛門へ。
猫ちゃんスイーツがいただけるカフェということでここもずっと来たかったんだ!念願。

ケーキセットを注文。猫レアチーズケーキとホットミルクティー☆
他にも猫エクレアやロールケーキがあるのでまたいただきに来たいです。

猫衛門の隣には谷中堂という招き猫屋さんがあります。大きいのから小さいのまでたくさんいたよ~。
圧巻はおみくじ付き366日招き猫です。顔も柄も全部違う!興味ある方は寄ってみてください。

ひと休みを終えて、全生庵に来ました。
落語家・三遊亭圓朝の幽霊画コレクションを所蔵し、
毎年夏に圓朝の命日に合わせて幽霊画展が開催されるお寺としても有名です。
圓朝の幽霊画は2年前のうらめしや展で見たけど
まだ本場(?)のここでの展示会は見たことないんだよな…来年以降は見に来たい。

ここにも有名人のお墓がいくつかあります。写真は弘田龍太郎のお墓。
春よ来い、鯉のぼり、靴が鳴るなどの作曲を担当した作曲家です。

三遊亭圓朝のお墓。墓石の戒名は山岡鉄舟が書いたそうです。

その山岡鉄舟のお墓もあります。何だか大きくて立派だった。
さらに歩いて大圓寺へ。
さっきの笠森稲荷でだいぶテンションが上がったままだったので、

鈴木春信の碑に会いに来たくなったのでした^^
過去に春信にハマってすぐ見学に来て数年振りかな?まったく変わりなくてよかったです。
てっぺんにでかでかとある「錦絵開祖鈴木春信」の文字がいつ見てもアツイ。中村春堂氏の字は美しい。

春信碑の隣にお仙の碑もあります。
永井荷風の撰で、笠森稲荷にあった茶屋かぎやの娘お仙を春信が絵に描いたことに触れていて
文中に春信が「都門の粋人」と表現されているの好き。

谷中銀座を通り越して、御菓子司むさしやへ。
谷中ねこまんという猫顔のお饅頭が買えるのですよ~画像は記事末尾にて。

谷中銀座に来ました。
食べ物や小物、生活用品のお店が多くて観光客もかなりいて混雑していました。
休日だったからなおさらかな。

お店の屋根に猫が置いてあったりします^^見つけて歩くの楽しい。

やなかしっぽや。
猫のしっぽを模した棒ドーナツを販売していて味も10種類以上あって選ぶのが大変だった!
なんとか3本に絞って購入、画像は記事末尾にて。

夕やけだんだんは人が多くて猫は1匹もいませんでした。。
普段から猫がいる階段として有名なはずなのに、しくしく( ;∀;)またの機会ですね。

日暮里駅方面へ戻ります。道路沿いにあった経王寺。

山門の両扉に残る穴は銃弾の跡。
幕末の上野戦争で逃げ込んできた彰義隊を追って新政府軍がおしかけ攻撃されたときのものだそうです。
蛤御門や伏見の某所みたいに当時のまま残してくれてるのは有難いですねえ…歴史を振り返れる。

谷中霊園に来ました。朝倉文夫氏のお墓があるのでお参りします。
霊園は広いのでお墓に短時間で辿りつけるように、一応事前にネットで調べていったのですが
どのレポやブログを見ても肝心の場所が具体的に書かれていなくて
手掛かりは「甲9号17側の近くの天王寺墓地の中にある」。
天王寺墓地のどこだよ!!とか突っ込みながら広い墓地の中をあっちこっち歩きまわって
たぶん20分くらい探したのかな、永遠に見つからないんじゃないかと不安になっていたら、

あった!!!+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
ほんとふいに現れてくれたとしか言いようがない出会いでした、よかったよかった。
時間がなかったので慌ただしいお参りになってしまったけど
すばらしい猫様たちを見せてくれて、ご自宅にお邪魔させていただきありがとうございましたとお礼を申し上げた。
なぜ見つけるまでこんなに時間がかかったかというと
谷中霊園と違って天王寺墓地は〇号〇側みたいな番号がついてないので
場所を知らない人は自力で探すしかないんですね。

霊園の看板地図を撮影して〇をつけてみましたが、ほんとに「このへん」としか言いようがない。
甲9号17・18側入口の右手側に鬱金桜の木がありまして
その後ろの道をひたすら歩いていったら右側にパッと見つけられたのでお参り予定の方はご参考までに。
↑の赤丸もわたしの感覚で付けた印なのでだいぶ大ざっぱです…たぶんあの辺りだと思うんだけど…。

鬱金桜の下に密集していた〇〇家墓地入口みたいな石碑の群れ。
左手に伸びている道を真っすぐ行けば着くはずです。健闘を祈ります。(誰の)

墓地の百日紅が咲き始めていました。秋はもうすぐ。

朝倉氏のお墓から戻る途中で猫様に遭遇!
どなたのお墓か存じませんが撮らせていただきました、ご容赦を。
気持ちよさそうに眠っておられました…夕やけだんだんでは会えなかったけど本日の僥倖はここだったのだな。

本日のお持ち帰り品。
こうして並べるといつになくお菓子を食べて買いまくった1日だったな…視覚化大事。
しっぽやの猫しっぽ焼ドーナツ、むさしやの谷中ねこまん2匹、猫衛門の肉球マドレーヌ。
しっぽやのドーナツは上から、
とら:ココア味にホワイトチョコクリーム味
おとめ:とちおとめ苺クリーム味
りも:イタリア産レモンクリーム味
だそうです。
おとめとりもに肉球の焼き印がついてるのが最っ高(^▽^)おいしくいただきました。
朝倉彫塑館にて本日から開催される「猫百態」展に行きたかったのと
最近やたら猫推しの谷中界隈で猫のお菓子を買いたかったのと
久しぶりに有名人のお墓参りをしようと思ったのです。
谷中はお寺がいっぱいあるし、下町なので町人クラスの有名人がたくさん住んでいて住居跡もお墓もあって
しかもどれも歩いて回れる距離なのがいいよね~。

まずは日暮里駅東口から、江戸うさぎへ。
妖怪いちご大福で有名なお店で(いちご大福が出るのは冬のみ)一度来てみたかったんだ!
今の季節はあんず大福、こしあん大福、涼大福が販売されています。

げっと!
あんず大福と、せっかくなので生どら焼きを。

妖怪あんず大福ミルククリーム入り☆
白蛇がこちらを見上げているような、目がテンテンな不気味な表情がキュート、おキュート!
どうやって食べたらいいかわからなくて結局一口でいただきました。甘酸っぱくておいしかった^^

生どら焼きには鳥獣戯画のうさぎの焼き印が。
どら焼きって結構、ボリュームがあって完食後は胃が重たくなったりしますけど
これは皮も餡子もフワッとしていておいしかったです。
いったん駅へ戻って、西口から朝倉彫塑館へ。

着いた~徒歩5分くらいです。
館の存在はだいぶ前から知っていたけど来るのは初めてです!
ず~~~~~っと行きたい行きたいって思っててやっとタイミングが合いました、うれしい。

ポスター見てるだけでもワクワクするね!猫いっぱい。

ふと屋上を見上げたら見下ろされていた。ど、どちら様で…??
以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
いっとき19匹もの猫と暮らしていた朝倉文夫氏は、猫の彫刻をたくさん残していまして
今回は館が所蔵する58匹の猫彫刻すべてが一気に展示されています。
これだけ猫作品を作っておられるのだから過去にも猫展が開催されているのかと思いきや
1994年に開催された朝倉氏の没後30年展「猫百態展へ向かって」以来23年ぶりなのだそうで。
もともとは氏も生前に猫展を企画されたそうですが病気にかかり亡くなってしまわれたために
実現されなかったらしい…なんということ。
そんな氏が企画しようとした猫百態展がやっと実現するということで
関係者の皆様の尽力に感謝感謝。ありがとうございます。
氏はお空の上で見ておられるかな、満足していらっしゃるか、それとも自分でやりたかったと無念でいらっしゃるか。
朝倉氏の猫作品は過去にも何点か、別の場所で鑑賞しているので
氏の並々ならぬ観察眼と再現技術の高さには以前から舌を巻いているところでありますが
今回はそれらを360度から見せつけられて萌えしにそうになった。
展示室のどこを見ても猫、猫、猫!!かわいい、やばい、ときめいて息ができない。(して)
彫塑館は氏の邸宅兼アトリエを美術館にしたもので(氏の死後3年で開館したそうな)
アトリエや書斎、客間、寝室など各部屋の雰囲気に合わせて猫たちが展示されていて
学芸員さんのキュレーションが光っておられます。
中でもアトリエ展示室が最も広くて天井も高くて、猫たちが一番多くいました。
クリクリした目で見上げてきたり、ネズミをくわえていたり、片方の足を上げるポーズだったり
母猫が子猫にお乳をあげていたり、香箱座りして居眠りしてたり、丸くなって寝ていたり。
「餌ばむ猫」のリアルさといったらうちの仔かと思ったくらいのリアルさでしたよ、
そうそう猫って尻尾丸めて首かたむけながらハグハグ食べるんだよね…魚の頭が口から覗いてて完璧でした。最高かよ。
狩りのポーズにしても狙いをさだめている「眈々」と、飛びかかる寸前のポーズの「狙う」では
背中の丸みや耳の動きが全然違ってすごく細かいところまで見てるなあこの人…!
産後や病気の猫がげっそりしているのも、親子猫が固まって寝てるのも
こうあってほしいって理想じゃなくひたすら「猫はこう!こういう生き物」という氏の声が聞こえてきそうでしたし
わたしも「そう猫ってこうなの」って氏の手を握って握手したくなったくらい、よくわかりました。
石膏とブロンズで同じ形の作品も並んでいて(石膏からブロンズの形をとるので)
「たま(好日)」はおめめクリクリのたまちゃん2匹に見つめられてしぬかと思った、かわいすぎる。
笑ってしまったのが「眠る」の展示スペースにキャプションだけが置いてあって
「只今散歩に出ております。館内のどこかに居ります」との表示がされていたことでした。
こういう展示もありだよね!探しながら鑑賞するのも楽しかったです。
作品を鑑賞しながら館内を回っていると、自動的にお部屋のインテリアにも目が向きます。
書斎の壁一面が本棚になっているのに圧倒された…
美術史だけではなく歴史や科学や宗教などの資料がどっさりあって
(空海や宇多天皇、小野道風など歴史上の人物の筆跡本もあった…書の参考にされたのかな)
種類もハードカバーや雑誌、和綴じ本まで多岐にわたっていました。
和書は朝倉氏の蔵書、洋書は氏の美術学校時代の教師だった岩村透氏の蔵書だそうで
岩村氏の死後に散逸しそうだったのを朝倉氏が家を抵当にしてまで古書店から買い戻したらしい。
研究者の資料というのは人がいなくなると簡単に散逸してしまうので
朝倉氏の行動は資料の散逸を救ったわけで、なかなかできることではないです。すごいな。
長女の朝倉摂氏から文夫氏へ送られた手紙には
「水を呑むミー公の写真がよい」「中々よいのが撮れません」などと
ご家族で猫の写真を撮影していたような記述が^^
手紙の隣に水を呑む白黒猫さまの写真が展示されていて、あれがミー公さまだったのかな。
摂氏のスケッチした猫たちの写生帖も展示されていました。お父上よりスマートな猫たちだった。
他にも、玄関から廊下を望むとちょうど中庭が見える窓があって
季節ごとに景色の色が変わると思うと次に訪れる時期が楽しみだなあとか、
氏がもっとも多く時間を過ごした茶室には生前にゆったりくつろいでいた様子の氏の写真が飾られていて
同じ場所に座って中庭を眺めてみたりして氏の見た景色はこんなだったのかなあとか、
2階の素心の間の床の間に曲がった柱があってモダンだなあと思ったりとか
3階の朝陽の間のざらざらした瑪瑙壁や天井の裏張りの細工が見事だなあとか
各部屋の猫たちもですが建物や内装も見ていてすごく楽しい。
ここ…ほんとに個人宅なんだよな…??(^^;)
そしてどの部屋からでも見える中庭がとても素敵。
廊下の凸凹ガラス、茶室の障子越し、2階や3階から、様々な位置から見下ろせる中庭は緑にあふれていて
大きな錦鯉が泳ぐ池は絶えず水が流れていて心地よい流水音が聞こえていました。
氏は庭を設計するとき水の流れを意識したそうです。
あ。
アトリエ展示室にあった「散歩しています」の眠り猫は朝陽の間の床の間にいました。
ふかふか座布団の上で気持ちよさそうでした。

彫塑館の屋上に来ました。
朝倉氏が生前、菜園として使っていて(彫塑塾のお弟子さんたちに植物と接するように指導してたそうな)
氏が植えた大きなオリーブの木もあります。
さっき下から見えた彫刻の人は(「砲丸」というタイトルらしい)ここで背中が見られます。

屋上から見えたスカイツリー。

屋上から階段を下りて蘭の間へ入るとこんな光景が。
元々は朝倉氏が蘭を育てていた部屋で、最近は猫たちの彫刻を展示する展示室になってるそうなのですが
今回は猫たちが館内に散らばっているのでパネルのみの展示になっているもよう。
猫たちと戯れる氏のしあわせそうな表情^^
展示替えもあるそうなのでまた行かなくては~!
彫塑館を後にして谷中界隈をぶらぶらします。
住宅街の中に小さなお寺がぽつぽつ建っているのです。

長安寺にある狩野芳崖のお墓。
芳崖は木挽町狩野家10代目(最後の当主)だった狩野雅信の弟子で
岡倉天心とともに東京美術学校の設立に尽力しましたが開校前に亡くなっています。
お参りを済ませて帰ろうとしたらバサバサっと音がしたので、何だろうと振り向いたら
すぐ隣のお墓に供えられていたおはぎをカラスがつまんで持ち去ろうとしていたので慌てて近づいたら
おはぎを放置して飛び去っていきました。
生きるためっていうのはわかるけどお供え物はダメだなァきみ…。

板碑の群れ。
長安寺には鎌倉時代や室町時代の板碑があって、台東区有形文化財に指定されているそうな。

功徳林寺の前を通りかかって、小さく案内板があるなあ何だろうなと思って近づいたら
笠森稲荷が!ある!だと!!
まったくノーマークでしたのでうっかり声に出すところだった、もちろん突撃。

かわいらしいお社がありました。
長いこと改修工事をしていて去年から拝観を再開したそうです。
さらに「御朱印承ります」との掲示まであって「まじ!どこ!?」と辺りをキョロキョロしたら
まわれ左した客殿の壁に「こちらです」みたいな小さい矢印を発見、突撃(2回目)。

お住まいのインターホンを押したらお寺の方が出て来てくださって
ご住職がお休みとのことで書き置きをいただけました。
パンフレットもいただいてしまって、有難や有難や…!よかった寄って。よかった。

歩いてカフェ猫衛門へ。
猫ちゃんスイーツがいただけるカフェということでここもずっと来たかったんだ!念願。

ケーキセットを注文。猫レアチーズケーキとホットミルクティー☆
他にも猫エクレアやロールケーキがあるのでまたいただきに来たいです。

猫衛門の隣には谷中堂という招き猫屋さんがあります。大きいのから小さいのまでたくさんいたよ~。
圧巻はおみくじ付き366日招き猫です。顔も柄も全部違う!興味ある方は寄ってみてください。

ひと休みを終えて、全生庵に来ました。
落語家・三遊亭圓朝の幽霊画コレクションを所蔵し、
毎年夏に圓朝の命日に合わせて幽霊画展が開催されるお寺としても有名です。
圓朝の幽霊画は2年前のうらめしや展で見たけど
まだ本場(?)のここでの展示会は見たことないんだよな…来年以降は見に来たい。

ここにも有名人のお墓がいくつかあります。写真は弘田龍太郎のお墓。
春よ来い、鯉のぼり、靴が鳴るなどの作曲を担当した作曲家です。

三遊亭圓朝のお墓。墓石の戒名は山岡鉄舟が書いたそうです。

その山岡鉄舟のお墓もあります。何だか大きくて立派だった。
さらに歩いて大圓寺へ。
さっきの笠森稲荷でだいぶテンションが上がったままだったので、

鈴木春信の碑に会いに来たくなったのでした^^
過去に春信にハマってすぐ見学に来て数年振りかな?まったく変わりなくてよかったです。
てっぺんにでかでかとある「錦絵開祖鈴木春信」の文字がいつ見てもアツイ。中村春堂氏の字は美しい。

春信碑の隣にお仙の碑もあります。
永井荷風の撰で、笠森稲荷にあった茶屋かぎやの娘お仙を春信が絵に描いたことに触れていて
文中に春信が「都門の粋人」と表現されているの好き。

谷中銀座を通り越して、御菓子司むさしやへ。
谷中ねこまんという猫顔のお饅頭が買えるのですよ~画像は記事末尾にて。

谷中銀座に来ました。
食べ物や小物、生活用品のお店が多くて観光客もかなりいて混雑していました。
休日だったからなおさらかな。

お店の屋根に猫が置いてあったりします^^見つけて歩くの楽しい。

やなかしっぽや。
猫のしっぽを模した棒ドーナツを販売していて味も10種類以上あって選ぶのが大変だった!
なんとか3本に絞って購入、画像は記事末尾にて。

夕やけだんだんは人が多くて猫は1匹もいませんでした。。
普段から猫がいる階段として有名なはずなのに、しくしく( ;∀;)またの機会ですね。

日暮里駅方面へ戻ります。道路沿いにあった経王寺。

山門の両扉に残る穴は銃弾の跡。
幕末の上野戦争で逃げ込んできた彰義隊を追って新政府軍がおしかけ攻撃されたときのものだそうです。
蛤御門や伏見の某所みたいに当時のまま残してくれてるのは有難いですねえ…歴史を振り返れる。

谷中霊園に来ました。朝倉文夫氏のお墓があるのでお参りします。
霊園は広いのでお墓に短時間で辿りつけるように、一応事前にネットで調べていったのですが
どのレポやブログを見ても肝心の場所が具体的に書かれていなくて
手掛かりは「甲9号17側の近くの天王寺墓地の中にある」。
天王寺墓地のどこだよ!!とか突っ込みながら広い墓地の中をあっちこっち歩きまわって
たぶん20分くらい探したのかな、永遠に見つからないんじゃないかと不安になっていたら、

あった!!!+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
ほんとふいに現れてくれたとしか言いようがない出会いでした、よかったよかった。
時間がなかったので慌ただしいお参りになってしまったけど
すばらしい猫様たちを見せてくれて、ご自宅にお邪魔させていただきありがとうございましたとお礼を申し上げた。
なぜ見つけるまでこんなに時間がかかったかというと
谷中霊園と違って天王寺墓地は〇号〇側みたいな番号がついてないので
場所を知らない人は自力で探すしかないんですね。

霊園の看板地図を撮影して〇をつけてみましたが、ほんとに「このへん」としか言いようがない。
甲9号17・18側入口の右手側に鬱金桜の木がありまして
その後ろの道をひたすら歩いていったら右側にパッと見つけられたのでお参り予定の方はご参考までに。
↑の赤丸もわたしの感覚で付けた印なのでだいぶ大ざっぱです…たぶんあの辺りだと思うんだけど…。

鬱金桜の下に密集していた〇〇家墓地入口みたいな石碑の群れ。
左手に伸びている道を真っすぐ行けば着くはずです。健闘を祈ります。(誰の)

墓地の百日紅が咲き始めていました。秋はもうすぐ。

朝倉氏のお墓から戻る途中で猫様に遭遇!
どなたのお墓か存じませんが撮らせていただきました、ご容赦を。
気持ちよさそうに眠っておられました…夕やけだんだんでは会えなかったけど本日の僥倖はここだったのだな。

本日のお持ち帰り品。
こうして並べるといつになくお菓子を食べて買いまくった1日だったな…視覚化大事。
しっぽやの猫しっぽ焼ドーナツ、むさしやの谷中ねこまん2匹、猫衛門の肉球マドレーヌ。
しっぽやのドーナツは上から、
とら:ココア味にホワイトチョコクリーム味
おとめ:とちおとめ苺クリーム味
りも:イタリア産レモンクリーム味
だそうです。
おとめとりもに肉球の焼き印がついてるのが最っ高(^▽^)おいしくいただきました。
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