歳末の京都旅その3。
年の瀬京都日帰り旅行の季節になりましたので(何だそれ)行ってきました。
例によって六道珍皇寺さんの「小野篁忌に限定御朱印あげます」につられたわけです^^
墨書きの御朱印は去年と同じ御影入りのでしたけど、
今年は7月に鐘楼を修復したから特別に篁と閻魔様の金紙御朱印に御影スタンプ入れちゃうよっていう
最高級にお得感あふれるお知らせが公式サイトに載ってたんだもん!!
ちくしょう「今年限り」というやつにめっぽう弱いわたしですとも…!
というわけで夜行バス予約して飛び乗りましたとさ。

朝の京都駅に到着したときはまだ暗かったけど
バス停へ移動する間に日の出を迎え一気に明るくなったので思わず見上げる。
よく考えたらちゃんと見たことなかったかもここの天井…幾何学的なデザインだよね。
(そしてガメラ3でバトル中に落っこちてきたガメラとイリスにぶち抜かれる場所でもある)

バスで六道さんに到着。
すでに行列ができていたので並んで拝観を待ちます。寒い。。
ご住職がお堂にお茶を供えたりお経を上げたりなさる姿も見かけました。忌日だなあ。

去年までは本堂にお焼香がありましたけど、今年は閻魔堂への献灯になっていました。
蝋燭の火をお供えすると「篁の智慧の光で照らして」もらえるらしい。
お参りしたら去年まで本堂にいらっしゃった小野篁木像が
今年はこちらの閻魔像と篁像の間に鎮座していらっしゃいました。なむなむ。

無事に御朱印をいただく。
7月にいただいた金紙の、梵字の部分が御影スタンプになっていました。
こういうちょっとした違いに弱いのですよファンは…課金待ったなし。むふふ。

SAGANさんの朝ごはん!だし巻卵焼きのおいしさにすっかりハマってしまいました。
お店を見つけたのがちょうど去年のこの日で、訪れてから早1年になるのですね~。
これからもきっとお世話になり続けると思います。京都のおすすめ朝ごはんのお店^^
以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

四条河原町へ歩いていく途中で南座をパチリ。
現在修復中のため今年の顔見世とまねき上げはロームシアター京都で行われたけど
南座には絵看板が掲げられていました。
提灯に照らされるまねき上げと顔見世を楽しみに訪れる人々の宵闇。すてきだ。

四条大橋にてサンタの集団に遭遇!
トナカイではなくオートバイに乗り沿道に手を振るサンタさんたち、どこへ行くのかな。

てくてく歩いて三条の矢田寺へ。
毎年この日にかぼちゃ供養が開催されると聞いていて、なかなか来られずにいたのですが
今年やっと来ることができました。
2年前に訪れたときは静かだったけど、この日はお祭なのでお飾りも賑やかです。
およそ20年前から行われているというかぼちゃ供養は朝10時に御祈祷が行われますが
その前から大混雑すると聞いたので少し時間をずらして行ってみたのですけど、

わあ。
仕方がないので並んで待ちます。寒い。。
いい天気でしたがアーケード街のため日光も入らないのでお腹と背中に貼ったホッカイロが頼りでしたが
彼らはとてもいい仕事をしてくれました。ホッカイロのサンドイッチ最強。

先着1,000人ということですが午前中にはなくなるらしい。
冬至の季節になると各地のお寺で大根やかぼちゃが振る舞われますし
その場合もだいたい拝観料が必要だったりするけど、矢田寺さんは無料なのだよね~。
奉仕の志に感謝。

順番がきました。
まずは巨大な撫でかぼちゃ(勧修寺から奉納)を撫でます。諸病退散。諸病退散。

本堂の鐘をついて参拝。
内外陣には大きさも色も多種多様なかぼちゃがどっさり。こんなに種類があるんですね。

お参りを終えるとかぼちゃとお茶がいただけます☆

御朱印とお参りで1時間くらい並んだかなあ。
「熱いので気をつけてどうぞ」といただいたお茶とかぼちゃはとても温かくておいしかったので
志納箱に少し入れて帰ろうとしたら2杯目のお茶をいただいてしまいました。
お寺の方の心づくしに感謝。

アーケード街に点々と飾られていた来年の干支絵。
クリスマスも近いけど新しい年を迎える準備も同時進行。まさに師走。
この後はバスに乗って京博に移動。

特集展示の「いぬづくし」「御所文化を受け継ぐ」を鑑賞します。
「いぬづくし-干支を愛でる」は来年の干支である戌(犬)に関する作品を一足先に紹介。
唐時代に制作された白釉犬たちは現代の犬の形とほぼ変わらない造形、
等身もリアルでビクターの犬みたいな素朴な雰囲気がかわいい。
麻呂子親王の三上山鬼退治を絵画化した清園寺縁起と等楽寺縁起絵巻には
額に鏡をつけた犬がその光で鬼たちを追い払ったり、犬を連れた斎大明神がいたりと
犬が重要な役割を果たすシーンがちょこちょこ描かれています。
ちなみに清園寺縁起は源頼光の大江山征伐のモデルにもなったといわれていて
お寺の縁起絵が御伽草子などに発展する事例のひとつではないかとのこと。
(余談ですが鬼(奠胡・槌熊・迦楼夜叉というらしい)たちの肌の色は赤や青や緑などカラフルでした)
高祖大師秘密縁起は空海が高野山で狩場明神と出会った場面を描いていて
明神の両脇には白と黒の犬たちが控えているという、空海の絵画化でもよく描かれるテーマ。
犬追物図屏風は騎馬から犬を追いかけ弓で射るという武士の行事を描いていて
狩場の周囲には見物人もたくさん描かれているのでよくあるイベントだったのかも…残酷。。
(犬追物は流鏑馬、笠懸と並ぶ馬上三物として武家ではたびたび行われた行事らしい)
加彩婦女立俑は子犬を抱いた女性の彫刻。かわいい☆
獅子と狛犬もいくつかあって、中でも鎌倉時代の作品は体がだいぶムキムキしていましたね。
嵯峨人形の犬は首にマフラーを巻いて、正面から見ると微笑んでいるようにも見えます。おしゃれかわゆい。
長沢蘆雪の狗犬図が!白黒と茶色の、ふわもこでコロコロした3匹の子犬たちが
じゃれあって遊んでいる姿はとても愛らしくて最っ高にかわいかったです。
師匠の応挙による子犬もむちゃくちゃかわいいんだよぬ~~来年は応挙の子犬も見られたらいいな。
そんな応挙の曾孫にあたる国井応文と望月玉泉による花卉鳥獣図巻は
ちんと水犬の絵の部分が開かれていました。
長毛の2匹がゆったりくつろぐ様は平和そのもの。わんこのかわいさで世界が平和になればいいのに。
鎌倉時代の涅槃図にはたくさん集まった動物たちの中に白犬がちょこんと座っていた。
(そして目ざといわたしは猫も見つけてきました。後ろ姿でうずくまっていたあれはきっと猫です)
続いて「御所文化を受け継ぐ-近世・近代の有職研究」。
応仁の乱や戦国時代によって失われつつあった公家文化の継承や復興を
江戸時代以降の人々がどのように行っていたかを紹介するもの。
復元考証を試みつつも江戸時代や近代の美意識が反映された装束や調度は
時代ごとに少しずつ異なっていて面白かったです。
たとえば装束の形はずっと同じなんですけど、時代や人によって大きさや模様が様々で
色や柄によっては誰の持ち物か一目でわかるものなども。
東福門院の持ち物である五衣唐衣よりも秩父宮妃の同装束の方が大きかったり
後水尾天皇や有栖川宮が着ていた装束には菊が入っていたりします。
延喜式や装束抄、藤原頼長の台記別記(宮中行事を抜粋したもの)、
後水尾院当時年中行事、大内裏図考証(高御座の絵があった)などの記録からは
儀式のプログラムや進行、参加者の服装、行列の並び順や供物などがわかるので
こういうのも参考にしながら試行錯誤で再現された儀式もたくさんあるんだろうな。
諸殿調度図はおそらくそういうもので、
皇太子の元服時に紫宸殿に用意する調度品や装束について、ひとつひとつ絵入りで記録されています。
建物の全体図や装飾品の配置、調度品の形や色、装束の模様などまで細かく描かれていて
この巻物があれば儀式はオールオッケーですよ☆みたいな頼もしさを感じました。
周囲には参考品として江戸時代の椅子や唐櫃、盃などが展示されていて
特に元服加冠臣下用の椅子がきれいでした。これも過去の記録などを参考に再現されたものなのかな。
面白かったのが笏の雛型で、天皇や官僚が持っていた笏の形や大きさの記録なんですが
菅原道真の笏が小さくて、貞信公の笏が一番でかくて、天皇の笏はその中間サイズだった。
采女服…江戸時代の采女は儀式など多忙な時期に置かれる臨時職だったそうで
掛衣と千早で動きやすそう、古代の采女服よりも華やかでした。
俵屋が寄贈したという有職裂帖や、和染鑑とその略解などからは衣の模様や染色方法が、
童装束雛型からは子ども服の形がわかるのですね。
有職雛や雛道具もいくつかあって、雛人形の束帯姿は今も見ますけど
直衣姿の雛人形もありました~ちょっと肩の力が抜けた感じでいいですね。
王朝文化の復元って資料や研究が少なかったり(そもそも資料が間違ってることもあるし)
見聞きした人がいなくて話が聞けなかったり材料も手に入りにくい状況など試行錯誤の中行われるので
必ずしも「当時の復元」というわけではないですけど、
前時代への否定とか郷愁とか自立とか色々入り混じったような意識が見え隠れするし
そうして生み出された文化もまた文化になっていったりして、そこがまた深いなあと思うわけです。
そしてそういう復元を前にするとこれを作った人たちは何考えてたんだろうと妄想してしまう…
こんなはずじゃない、もっともっとできるはずって思った研究者や職人もいたろうなあとか
でも仕事は会心の出来をめざす!みたいなジレンマを抱えながらやってたんじゃないかなあとか…
過去を探るって本当に難しいプロジェクトなのでね。

トラりんにも会えました。肉球見せてくれた~~かわいい☆

「イケトラを目指してるんだよね」と案内の人に言われてしばらくこのポーズで静止していました。かわいい。

博物館から歩いて2分のところにある七條甘春堂さんへ。
甘味処「且坐喫茶」にて和菓子つきのランチがいただけると聞いて来ました。
(且坐喫茶とは禅から生まれた言葉で「まあ座ってお茶をどうぞ」という意味だそうな)

お昼の御膳「お赤飯セット」。この日の季節の和菓子は栗羊羹でした。
噂では夏に販売される羊羹がとても美しいらしいのでそのうち夏に訪れて食べてみたいです。→こちら

お腹もいっぱいになりましたので、バスで岡崎の細見美術館へ移動。
会期ギリギリになってしまいましたが「末法Apocalypse-失われた夢石庵コレクションを求めて」を鑑賞します。

展覧会名を最初に見たときはてっきり「末法展というくらいだから
1000年前に大流行した末法思想に関する展示なのかな」とか単純に考えていたし、
Twitterで「やられた」「行ってよかった」「会期終わるまで口外しちゃダメ」など様々な感想がみられて
でも展覧会の内容を呟いてる人がまったくいないのも気になっていて
よくわからないけど面白そう…という軽い気持ちで展示室に入りました。
コレクターである夢石庵という人のコレクションから選りすぐったという今回の展示、
内容は奈良時代~室町時代にかけての仏教美術が中心で
展示数もそんなに多くなく作品と作品の幅が広くゆったり取られていてだいぶ贅沢だなと思ったし、
そもそも夢石庵て聞いたことないしググっても全然情報が出てこない不思議。
あと見ていて気付いたのですが、キャプションが作品タイトルと年代、制作技法などのみで
作品の由来や作者について、文化財指定や所蔵元などの説明が一切ありませんでした。
近頃の特別展などではだいたい説明されている項目が省かれているのもなかなか挑戦的な感じ。
ミュージアムに通い慣れていたり自分好みに鑑賞したい人には
鑑賞を妨げられなくていい雰囲気なんじゃないかな。
「ものを見ていないと寂しくて仕方ない、新しいものが見たい」と語ったという夢石庵は
仏像や仏画、法具、経典や経筒、鏡像など様々なものを集め、
「その尽きることのない渇望はある種の地獄だ」とも語っているとか。
まあ確かに、救いをもたらすため作られた仏教美術を見て「もっと美を!」などと欲望を持ってしまうのは
仏教の思想から考えれば本末転倒のような気もする。
そんなコレクションですが内容は優品揃いです。
瓔珞の細かい弥勒菩薩像、顔がひとつしかない十一面観音像、2匹の邪鬼の上に立つ天部像などは
すべて等身大あるいは子どもほどの背丈で、室内で鑑賞するにはもってこい。
中でもあちこち欠けた迦陵頻伽像のファンキーさといったらなかった!
衣がフラゴナールのブランコの女性みたいにふわっふわした造形でした。こんな迦陵頻伽見たことない。
弓を構えた随身立像はかつてどこかの神社にいたのだろうか…味のある表情だったし
やっぱり子どもほどの背丈の蔵王権現立像も、いつも思うけどよくあのポーズで立ってるよなあの像…。
誕生釈迦仏立像も小さかったのでしゃがんで鑑賞したら
手前に小さな鏡が設置してありちょうど釈迦の顔に反射した光が当たっていました。いいね。
阿弥陀二十五菩薩来迎図も、中央の如来が正面を向いている姿なの珍しいし
大きな蓮弁に乗った親指ほどの化仏もかわいい。
法華種字曼荼羅図は大きな宝塔を中心に雲に乗った宝珠が大集合している絵なんですけど
宝珠の中に種字が書かれているという、やっぱり今まで見たことのない図。
金銀鍍透彫光背の、鳥の羽のような、植物のような細く優美な装飾がほどこされているのが
たまらなく美しくてしばらく見入ってしまった…こんな光背がこの世に存在するんだ。
やばい。仏教美術の奥深さを久しぶりに味わっている。
若宮像の掛軸の前には小さな如意輪観音像がいたり
平治物語絵巻断簡の前には法華経方便があったり
さて関連性は、と考えてしまうキュレーションも。
春日若宮曼荼羅は若宮社にお参りする一行の最後尾に
若宮の本地仏である文殊菩薩がひとりの僧に巻物を渡しているという、
これは…曼荼羅なのか…?と首をかしげたくなる作品もありました。
そしてそんな仏教美術の中に突然展示される室町~江戸絵画。
印地打図屏風は子どもたちが石を投げ合う遊びの絵で、金地がキラキラするライティングが素敵だったし
長谷川等伯の四季柳図屏風も金地に空間をたっぷり使った雄大さがあるし
与謝蕪村の枯木叭々鳥図は樹にとまる8羽の黒い鳥たちが不思議に不気味だし
酒井抱一の流水図団扇は「行く川のながれは絶えずして」みたいな感じがするし
円山応挙の駿雨江村図は空の雲のグレーが本物みたいな描写で
風にあおられる木々や動きのある波、片隅にたたずむ小さな家は今にも壊れそうな。
さらに突然の聖武天皇。賢愚経断簡は小さく礼儀正しそうな文字が並んでいるし、
無量義経断簡は小野道風の書風ということで彼の出身地から愛知切と呼ばれるそうですが
道風にしてはちょっと優雅ではないかな…でも"風"だからいいのかな。
金峯山経塚遺宝がちょっとすごい、仏具や鏡像や瓦などの破片が
まるで箒で集めた落ち葉のようにぐちゃぐちゃのまま集められ展示されていました。
たぶんこのまま出土したということなんだろうけど…こんな収集・展示もありなんだな。
藤原道長が金峯山寺に自ら登って奉納したと伝わる弥勒上生経の残闕は
御堂関白記1007年8月の記述を裏付けるものなんだろうか、
下半分がボロボロでしたが道長の末法思想に対する思いを見たというか。
(この残闕が納められていた経筒は先月の国宝展に出品されていたよね)
藤原師通や平基親の願経も道長のと同じように紺紙に金色の文字で法華経が書かれていました。
顔が3つある牛頭天王坐像や、懸仏や鏡像、経筒なども近くに展示されていて
何だか平安貴族たちが必死の思いで納めたお経と経筒を仏様たちが見守っているかのような空間演出。
風鐸付経筒は風が吹いたらきれいな音がするんだろうか…。
夢石庵なる人物が誰だろうと、もういいや。いいもん見た。いい空間で見た。いやはや☆
そんなヒタヒタとする満足感を覚えて展示室を出ますと
ミュージアムショップの一角に「本展の種明かしです。一部ずつお持ちください」と書かれた看板があり
その下には種明かしと書かれ折りたたまれた紙が並んでいました。

これがその種明かしです。
末文に「会期終了まで皆様の胸のうちにおさめておいてください」とも書かれておりまして、
一応、昨日で終わっておりますのでもう言っても大丈夫なんだろうけど
もしもという場合がありますので反転文字にします↓大丈夫という方はドラッグでお読みください。
開けてびっくり、最初の一文が「架空のコレクターとしての夢石庵」。
(゚Д゚)………
(つД⊂)ゴシゴシ
さらに、「夢石庵というコレクターをめぐる夢は、ここで醒める」。
( ゚д゚)……
(つд⊂)ゴシゴシ
( ;゚д゚)………
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
さらにさらに、「末法は、通常の展覧会ではなく、アートプロジェクトとして企画されました」。
_, ._
(;゚ Д゚)…………!?!?!?!?!?
簡単に説明しますと、この末法展は学芸員や作家、研究者、編集者などの有志が
「夢石庵」という架空のコレクターを作り上げて
その人が美しいと思ったものや魅せられたものというテーマで開催したコレクション展だそう。
昨今よく騒がれる、「〇万人動員!」「〇時間の大行列!」「初公開!」「国宝!」のような指標で
美術が語られる現状に戸惑いを感じている企画者たちは
誰かが「美しい」と思い収集した、いわば「一人称の美の世界」がどんどん衰退している、
つまり現代は「美術にとっての末法」なのではないかと言っています。
そんな末法にあえて理想のコレクターを作り「一人称の美」の展覧会を行うことで
ひとりの美意識で語られる愉しさをこの世に召喚したい…というのが
企画した有志と美術館の思いだったようです。
これよく企画通したよなあ…!
Twitterで誰かが「裏国宝展」とか言っていたけど、テーマを考えるとまさに裏も裏。
片や大混雑の国宝ばかり、片やゆったり鑑賞できる個人蔵作品群。
文化財指定というある意味わかりやすいアイコンを取っぱらってなるべく静かに作品と向き合い
「国宝だから美しい」ではなく「美しいかどうかは鑑賞した自分が決める」ことができる展覧会。
文化財にはもちろん、指定されるだけの価値や歴史や美があるわけですが
他人が決めた価値ではなく自分が感じた美意識を大切にする鑑賞方法があることを忘れるなと
世の中に提示しようとしたのかな…とか思いました。
美術館を出てバス停に向かって歩く間も色んなこと考えました…。
今年鑑賞した中で一番びっくりした展覧会かもしれない!全部忘れてもう一度びっくりしに行きたい。
この後はバスで京都駅に戻りました。

新幹線乗り場に向かっていたところへ、突然のガラスの仮面。
駅ビルで開催されていた原画展の宣伝でパネルが出ていたようです。

数々の亜弓おねえさまの名場面の中でわたしが一番好きなシーンだ~~!
濡れ衣のスキャンダルで演劇界から追放され仲間からも見放されたマヤをただ1人信じて
吸血鬼カーミラで共演した黒幕の乙部のりえを完膚なきまでに飲み込む演技をみせて
「マヤ…仇はとったわよ」というモノローグでしびれた。
なるべく恨みをかわずに生きていきたいけど、もし仇を取ってもらうなら亜弓おねえさまがいいです。
あと夢宴桜で台本をすり替えられたマヤがセリフ言えなくて大ピンチだったときに
舞台上で「あなたは黙ってわたしの話を聞けばいいの」と、セリフ言わなくてもいいようにして
「こんなとこ出てってやる」ってマヤに言わせるために怒鳴られるべきなセリフばんばん積み上げるとこも大好き。
亜弓おねえさまは本番まで血のにじむような稽古をするし、本番ではさらなる力を発揮する人なのだよ…!
かっこいいかっこいい。
というわけで新幹線に乗って京都を後にしました~。

今月のnikinikiはサンタクロース。
去年は手ぶらなサンタさんでしたが今年はプレゼントの袋がつきました。ツリーもかわいい☆

京都高島屋でゲットしたクリスマス和菓子いろいろ。
左上から時計回りに千本玉寿軒「雪輪」、二条若狭屋「聖夜」、長久堂「子どもの夢」、本家玉寿軒「リーフ」。
今年の旅行納めは去年に引き続き京都になりました。今年もあちこちに旅行ができてよかったです。
さあ、来年はどこへ行こうかな…^^
例によって六道珍皇寺さんの「小野篁忌に限定御朱印あげます」につられたわけです^^
墨書きの御朱印は去年と同じ御影入りのでしたけど、
今年は7月に鐘楼を修復したから特別に篁と閻魔様の金紙御朱印に御影スタンプ入れちゃうよっていう
最高級にお得感あふれるお知らせが公式サイトに載ってたんだもん!!
ちくしょう「今年限り」というやつにめっぽう弱いわたしですとも…!
というわけで夜行バス予約して飛び乗りましたとさ。

朝の京都駅に到着したときはまだ暗かったけど
バス停へ移動する間に日の出を迎え一気に明るくなったので思わず見上げる。
よく考えたらちゃんと見たことなかったかもここの天井…幾何学的なデザインだよね。
(そしてガメラ3でバトル中に落っこちてきたガメラとイリスにぶち抜かれる場所でもある)

バスで六道さんに到着。
すでに行列ができていたので並んで拝観を待ちます。寒い。。
ご住職がお堂にお茶を供えたりお経を上げたりなさる姿も見かけました。忌日だなあ。

去年までは本堂にお焼香がありましたけど、今年は閻魔堂への献灯になっていました。
蝋燭の火をお供えすると「篁の智慧の光で照らして」もらえるらしい。
お参りしたら去年まで本堂にいらっしゃった小野篁木像が
今年はこちらの閻魔像と篁像の間に鎮座していらっしゃいました。なむなむ。

無事に御朱印をいただく。
7月にいただいた金紙の、梵字の部分が御影スタンプになっていました。
こういうちょっとした違いに弱いのですよファンは…課金待ったなし。むふふ。

SAGANさんの朝ごはん!だし巻卵焼きのおいしさにすっかりハマってしまいました。
お店を見つけたのがちょうど去年のこの日で、訪れてから早1年になるのですね~。
これからもきっとお世話になり続けると思います。京都のおすすめ朝ごはんのお店^^
以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆

四条河原町へ歩いていく途中で南座をパチリ。
現在修復中のため今年の顔見世とまねき上げはロームシアター京都で行われたけど
南座には絵看板が掲げられていました。
提灯に照らされるまねき上げと顔見世を楽しみに訪れる人々の宵闇。すてきだ。

四条大橋にてサンタの集団に遭遇!
トナカイではなくオートバイに乗り沿道に手を振るサンタさんたち、どこへ行くのかな。

てくてく歩いて三条の矢田寺へ。
毎年この日にかぼちゃ供養が開催されると聞いていて、なかなか来られずにいたのですが
今年やっと来ることができました。
2年前に訪れたときは静かだったけど、この日はお祭なのでお飾りも賑やかです。
およそ20年前から行われているというかぼちゃ供養は朝10時に御祈祷が行われますが
その前から大混雑すると聞いたので少し時間をずらして行ってみたのですけど、

わあ。
仕方がないので並んで待ちます。寒い。。
いい天気でしたがアーケード街のため日光も入らないのでお腹と背中に貼ったホッカイロが頼りでしたが
彼らはとてもいい仕事をしてくれました。ホッカイロのサンドイッチ最強。

先着1,000人ということですが午前中にはなくなるらしい。
冬至の季節になると各地のお寺で大根やかぼちゃが振る舞われますし
その場合もだいたい拝観料が必要だったりするけど、矢田寺さんは無料なのだよね~。
奉仕の志に感謝。

順番がきました。
まずは巨大な撫でかぼちゃ(勧修寺から奉納)を撫でます。諸病退散。諸病退散。

本堂の鐘をついて参拝。
内外陣には大きさも色も多種多様なかぼちゃがどっさり。こんなに種類があるんですね。

お参りを終えるとかぼちゃとお茶がいただけます☆

御朱印とお参りで1時間くらい並んだかなあ。
「熱いので気をつけてどうぞ」といただいたお茶とかぼちゃはとても温かくておいしかったので
志納箱に少し入れて帰ろうとしたら2杯目のお茶をいただいてしまいました。
お寺の方の心づくしに感謝。

アーケード街に点々と飾られていた来年の干支絵。
クリスマスも近いけど新しい年を迎える準備も同時進行。まさに師走。
この後はバスに乗って京博に移動。

特集展示の「いぬづくし」「御所文化を受け継ぐ」を鑑賞します。
「いぬづくし-干支を愛でる」は来年の干支である戌(犬)に関する作品を一足先に紹介。
唐時代に制作された白釉犬たちは現代の犬の形とほぼ変わらない造形、
等身もリアルでビクターの犬みたいな素朴な雰囲気がかわいい。
麻呂子親王の三上山鬼退治を絵画化した清園寺縁起と等楽寺縁起絵巻には
額に鏡をつけた犬がその光で鬼たちを追い払ったり、犬を連れた斎大明神がいたりと
犬が重要な役割を果たすシーンがちょこちょこ描かれています。
ちなみに清園寺縁起は源頼光の大江山征伐のモデルにもなったといわれていて
お寺の縁起絵が御伽草子などに発展する事例のひとつではないかとのこと。
(余談ですが鬼(奠胡・槌熊・迦楼夜叉というらしい)たちの肌の色は赤や青や緑などカラフルでした)
高祖大師秘密縁起は空海が高野山で狩場明神と出会った場面を描いていて
明神の両脇には白と黒の犬たちが控えているという、空海の絵画化でもよく描かれるテーマ。
犬追物図屏風は騎馬から犬を追いかけ弓で射るという武士の行事を描いていて
狩場の周囲には見物人もたくさん描かれているのでよくあるイベントだったのかも…残酷。。
(犬追物は流鏑馬、笠懸と並ぶ馬上三物として武家ではたびたび行われた行事らしい)
加彩婦女立俑は子犬を抱いた女性の彫刻。かわいい☆
獅子と狛犬もいくつかあって、中でも鎌倉時代の作品は体がだいぶムキムキしていましたね。
嵯峨人形の犬は首にマフラーを巻いて、正面から見ると微笑んでいるようにも見えます。おしゃれかわゆい。
長沢蘆雪の狗犬図が!白黒と茶色の、ふわもこでコロコロした3匹の子犬たちが
じゃれあって遊んでいる姿はとても愛らしくて最っ高にかわいかったです。
師匠の応挙による子犬もむちゃくちゃかわいいんだよぬ~~来年は応挙の子犬も見られたらいいな。
そんな応挙の曾孫にあたる国井応文と望月玉泉による花卉鳥獣図巻は
ちんと水犬の絵の部分が開かれていました。
長毛の2匹がゆったりくつろぐ様は平和そのもの。わんこのかわいさで世界が平和になればいいのに。
鎌倉時代の涅槃図にはたくさん集まった動物たちの中に白犬がちょこんと座っていた。
(そして目ざといわたしは猫も見つけてきました。後ろ姿でうずくまっていたあれはきっと猫です)
続いて「御所文化を受け継ぐ-近世・近代の有職研究」。
応仁の乱や戦国時代によって失われつつあった公家文化の継承や復興を
江戸時代以降の人々がどのように行っていたかを紹介するもの。
復元考証を試みつつも江戸時代や近代の美意識が反映された装束や調度は
時代ごとに少しずつ異なっていて面白かったです。
たとえば装束の形はずっと同じなんですけど、時代や人によって大きさや模様が様々で
色や柄によっては誰の持ち物か一目でわかるものなども。
東福門院の持ち物である五衣唐衣よりも秩父宮妃の同装束の方が大きかったり
後水尾天皇や有栖川宮が着ていた装束には菊が入っていたりします。
延喜式や装束抄、藤原頼長の台記別記(宮中行事を抜粋したもの)、
後水尾院当時年中行事、大内裏図考証(高御座の絵があった)などの記録からは
儀式のプログラムや進行、参加者の服装、行列の並び順や供物などがわかるので
こういうのも参考にしながら試行錯誤で再現された儀式もたくさんあるんだろうな。
諸殿調度図はおそらくそういうもので、
皇太子の元服時に紫宸殿に用意する調度品や装束について、ひとつひとつ絵入りで記録されています。
建物の全体図や装飾品の配置、調度品の形や色、装束の模様などまで細かく描かれていて
この巻物があれば儀式はオールオッケーですよ☆みたいな頼もしさを感じました。
周囲には参考品として江戸時代の椅子や唐櫃、盃などが展示されていて
特に元服加冠臣下用の椅子がきれいでした。これも過去の記録などを参考に再現されたものなのかな。
面白かったのが笏の雛型で、天皇や官僚が持っていた笏の形や大きさの記録なんですが
菅原道真の笏が小さくて、貞信公の笏が一番でかくて、天皇の笏はその中間サイズだった。
采女服…江戸時代の采女は儀式など多忙な時期に置かれる臨時職だったそうで
掛衣と千早で動きやすそう、古代の采女服よりも華やかでした。
俵屋が寄贈したという有職裂帖や、和染鑑とその略解などからは衣の模様や染色方法が、
童装束雛型からは子ども服の形がわかるのですね。
有職雛や雛道具もいくつかあって、雛人形の束帯姿は今も見ますけど
直衣姿の雛人形もありました~ちょっと肩の力が抜けた感じでいいですね。
王朝文化の復元って資料や研究が少なかったり(そもそも資料が間違ってることもあるし)
見聞きした人がいなくて話が聞けなかったり材料も手に入りにくい状況など試行錯誤の中行われるので
必ずしも「当時の復元」というわけではないですけど、
前時代への否定とか郷愁とか自立とか色々入り混じったような意識が見え隠れするし
そうして生み出された文化もまた文化になっていったりして、そこがまた深いなあと思うわけです。
そしてそういう復元を前にするとこれを作った人たちは何考えてたんだろうと妄想してしまう…
こんなはずじゃない、もっともっとできるはずって思った研究者や職人もいたろうなあとか
でも仕事は会心の出来をめざす!みたいなジレンマを抱えながらやってたんじゃないかなあとか…
過去を探るって本当に難しいプロジェクトなのでね。

トラりんにも会えました。肉球見せてくれた~~かわいい☆

「イケトラを目指してるんだよね」と案内の人に言われてしばらくこのポーズで静止していました。かわいい。

博物館から歩いて2分のところにある七條甘春堂さんへ。
甘味処「且坐喫茶」にて和菓子つきのランチがいただけると聞いて来ました。
(且坐喫茶とは禅から生まれた言葉で「まあ座ってお茶をどうぞ」という意味だそうな)

お昼の御膳「お赤飯セット」。この日の季節の和菓子は栗羊羹でした。
噂では夏に販売される羊羹がとても美しいらしいのでそのうち夏に訪れて食べてみたいです。→こちら

お腹もいっぱいになりましたので、バスで岡崎の細見美術館へ移動。
会期ギリギリになってしまいましたが「末法Apocalypse-失われた夢石庵コレクションを求めて」を鑑賞します。

展覧会名を最初に見たときはてっきり「末法展というくらいだから
1000年前に大流行した末法思想に関する展示なのかな」とか単純に考えていたし、
Twitterで「やられた」「行ってよかった」「会期終わるまで口外しちゃダメ」など様々な感想がみられて
でも展覧会の内容を呟いてる人がまったくいないのも気になっていて
よくわからないけど面白そう…という軽い気持ちで展示室に入りました。
コレクターである夢石庵という人のコレクションから選りすぐったという今回の展示、
内容は奈良時代~室町時代にかけての仏教美術が中心で
展示数もそんなに多くなく作品と作品の幅が広くゆったり取られていてだいぶ贅沢だなと思ったし、
そもそも夢石庵て聞いたことないしググっても全然情報が出てこない不思議。
あと見ていて気付いたのですが、キャプションが作品タイトルと年代、制作技法などのみで
作品の由来や作者について、文化財指定や所蔵元などの説明が一切ありませんでした。
近頃の特別展などではだいたい説明されている項目が省かれているのもなかなか挑戦的な感じ。
ミュージアムに通い慣れていたり自分好みに鑑賞したい人には
鑑賞を妨げられなくていい雰囲気なんじゃないかな。
「ものを見ていないと寂しくて仕方ない、新しいものが見たい」と語ったという夢石庵は
仏像や仏画、法具、経典や経筒、鏡像など様々なものを集め、
「その尽きることのない渇望はある種の地獄だ」とも語っているとか。
まあ確かに、救いをもたらすため作られた仏教美術を見て「もっと美を!」などと欲望を持ってしまうのは
仏教の思想から考えれば本末転倒のような気もする。
そんなコレクションですが内容は優品揃いです。
瓔珞の細かい弥勒菩薩像、顔がひとつしかない十一面観音像、2匹の邪鬼の上に立つ天部像などは
すべて等身大あるいは子どもほどの背丈で、室内で鑑賞するにはもってこい。
中でもあちこち欠けた迦陵頻伽像のファンキーさといったらなかった!
衣がフラゴナールのブランコの女性みたいにふわっふわした造形でした。こんな迦陵頻伽見たことない。
弓を構えた随身立像はかつてどこかの神社にいたのだろうか…味のある表情だったし
やっぱり子どもほどの背丈の蔵王権現立像も、いつも思うけどよくあのポーズで立ってるよなあの像…。
誕生釈迦仏立像も小さかったのでしゃがんで鑑賞したら
手前に小さな鏡が設置してありちょうど釈迦の顔に反射した光が当たっていました。いいね。
阿弥陀二十五菩薩来迎図も、中央の如来が正面を向いている姿なの珍しいし
大きな蓮弁に乗った親指ほどの化仏もかわいい。
法華種字曼荼羅図は大きな宝塔を中心に雲に乗った宝珠が大集合している絵なんですけど
宝珠の中に種字が書かれているという、やっぱり今まで見たことのない図。
金銀鍍透彫光背の、鳥の羽のような、植物のような細く優美な装飾がほどこされているのが
たまらなく美しくてしばらく見入ってしまった…こんな光背がこの世に存在するんだ。
やばい。仏教美術の奥深さを久しぶりに味わっている。
若宮像の掛軸の前には小さな如意輪観音像がいたり
平治物語絵巻断簡の前には法華経方便があったり
さて関連性は、と考えてしまうキュレーションも。
春日若宮曼荼羅は若宮社にお参りする一行の最後尾に
若宮の本地仏である文殊菩薩がひとりの僧に巻物を渡しているという、
これは…曼荼羅なのか…?と首をかしげたくなる作品もありました。
そしてそんな仏教美術の中に突然展示される室町~江戸絵画。
印地打図屏風は子どもたちが石を投げ合う遊びの絵で、金地がキラキラするライティングが素敵だったし
長谷川等伯の四季柳図屏風も金地に空間をたっぷり使った雄大さがあるし
与謝蕪村の枯木叭々鳥図は樹にとまる8羽の黒い鳥たちが不思議に不気味だし
酒井抱一の流水図団扇は「行く川のながれは絶えずして」みたいな感じがするし
円山応挙の駿雨江村図は空の雲のグレーが本物みたいな描写で
風にあおられる木々や動きのある波、片隅にたたずむ小さな家は今にも壊れそうな。
さらに突然の聖武天皇。賢愚経断簡は小さく礼儀正しそうな文字が並んでいるし、
無量義経断簡は小野道風の書風ということで彼の出身地から愛知切と呼ばれるそうですが
道風にしてはちょっと優雅ではないかな…でも"風"だからいいのかな。
金峯山経塚遺宝がちょっとすごい、仏具や鏡像や瓦などの破片が
まるで箒で集めた落ち葉のようにぐちゃぐちゃのまま集められ展示されていました。
たぶんこのまま出土したということなんだろうけど…こんな収集・展示もありなんだな。
藤原道長が金峯山寺に自ら登って奉納したと伝わる弥勒上生経の残闕は
御堂関白記1007年8月の記述を裏付けるものなんだろうか、
下半分がボロボロでしたが道長の末法思想に対する思いを見たというか。
(この残闕が納められていた経筒は先月の国宝展に出品されていたよね)
藤原師通や平基親の願経も道長のと同じように紺紙に金色の文字で法華経が書かれていました。
顔が3つある牛頭天王坐像や、懸仏や鏡像、経筒なども近くに展示されていて
何だか平安貴族たちが必死の思いで納めたお経と経筒を仏様たちが見守っているかのような空間演出。
風鐸付経筒は風が吹いたらきれいな音がするんだろうか…。
夢石庵なる人物が誰だろうと、もういいや。いいもん見た。いい空間で見た。いやはや☆
そんなヒタヒタとする満足感を覚えて展示室を出ますと
ミュージアムショップの一角に「本展の種明かしです。一部ずつお持ちください」と書かれた看板があり
その下には種明かしと書かれ折りたたまれた紙が並んでいました。

これがその種明かしです。
末文に「会期終了まで皆様の胸のうちにおさめておいてください」とも書かれておりまして、
一応、昨日で終わっておりますのでもう言っても大丈夫なんだろうけど
もしもという場合がありますので反転文字にします↓大丈夫という方はドラッグでお読みください。
開けてびっくり、最初の一文が「架空のコレクターとしての夢石庵」。
(゚Д゚)………
(つД⊂)ゴシゴシ
さらに、「夢石庵というコレクターをめぐる夢は、ここで醒める」。
( ゚д゚)……
(つд⊂)ゴシゴシ
( ;゚д゚)………
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
さらにさらに、「末法は、通常の展覧会ではなく、アートプロジェクトとして企画されました」。
_, ._
(;゚ Д゚)…………!?!?!?!?!?
簡単に説明しますと、この末法展は学芸員や作家、研究者、編集者などの有志が
「夢石庵」という架空のコレクターを作り上げて
その人が美しいと思ったものや魅せられたものというテーマで開催したコレクション展だそう。
昨今よく騒がれる、「〇万人動員!」「〇時間の大行列!」「初公開!」「国宝!」のような指標で
美術が語られる現状に戸惑いを感じている企画者たちは
誰かが「美しい」と思い収集した、いわば「一人称の美の世界」がどんどん衰退している、
つまり現代は「美術にとっての末法」なのではないかと言っています。
そんな末法にあえて理想のコレクターを作り「一人称の美」の展覧会を行うことで
ひとりの美意識で語られる愉しさをこの世に召喚したい…というのが
企画した有志と美術館の思いだったようです。
これよく企画通したよなあ…!
Twitterで誰かが「裏国宝展」とか言っていたけど、テーマを考えるとまさに裏も裏。
片や大混雑の国宝ばかり、片やゆったり鑑賞できる個人蔵作品群。
文化財指定というある意味わかりやすいアイコンを取っぱらってなるべく静かに作品と向き合い
「国宝だから美しい」ではなく「美しいかどうかは鑑賞した自分が決める」ことができる展覧会。
文化財にはもちろん、指定されるだけの価値や歴史や美があるわけですが
他人が決めた価値ではなく自分が感じた美意識を大切にする鑑賞方法があることを忘れるなと
世の中に提示しようとしたのかな…とか思いました。
美術館を出てバス停に向かって歩く間も色んなこと考えました…。
今年鑑賞した中で一番びっくりした展覧会かもしれない!全部忘れてもう一度びっくりしに行きたい。
この後はバスで京都駅に戻りました。

新幹線乗り場に向かっていたところへ、突然のガラスの仮面。
駅ビルで開催されていた原画展の宣伝でパネルが出ていたようです。

数々の亜弓おねえさまの名場面の中でわたしが一番好きなシーンだ~~!
濡れ衣のスキャンダルで演劇界から追放され仲間からも見放されたマヤをただ1人信じて
吸血鬼カーミラで共演した黒幕の乙部のりえを完膚なきまでに飲み込む演技をみせて
「マヤ…仇はとったわよ」というモノローグでしびれた。
なるべく恨みをかわずに生きていきたいけど、もし仇を取ってもらうなら亜弓おねえさまがいいです。
あと夢宴桜で台本をすり替えられたマヤがセリフ言えなくて大ピンチだったときに
舞台上で「あなたは黙ってわたしの話を聞けばいいの」と、セリフ言わなくてもいいようにして
「こんなとこ出てってやる」ってマヤに言わせるために怒鳴られるべきなセリフばんばん積み上げるとこも大好き。
亜弓おねえさまは本番まで血のにじむような稽古をするし、本番ではさらなる力を発揮する人なのだよ…!
かっこいいかっこいい。
というわけで新幹線に乗って京都を後にしました~。

今月のnikinikiはサンタクロース。
去年は手ぶらなサンタさんでしたが今年はプレゼントの袋がつきました。ツリーもかわいい☆

京都高島屋でゲットしたクリスマス和菓子いろいろ。
左上から時計回りに千本玉寿軒「雪輪」、二条若狭屋「聖夜」、長久堂「子どもの夢」、本家玉寿軒「リーフ」。
今年の旅行納めは去年に引き続き京都になりました。今年もあちこちに旅行ができてよかったです。
さあ、来年はどこへ行こうかな…^^
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