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ノーと言えるようになりたいその3。 

2018, 07. 23 (Mon) 23:55

Gorey1.jpg
八王子市夢美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました。
ゴーリーの死後から世界を回り、2年前に日本に上陸して伊丹市を出発した展覧会が
2年かけて関東へ巡回してきましたよ~やったあ、待ってた☆

過去にも何度かゴーリーの展覧会は行ってますけど
今回は原画がたくさん展示されるのが楽しみで行きました☆
展示室に入ったら目の前の大きな壁にゴーリーと飼い猫さんの写真が飾ってありましたよ~。
ゴーリーファンならよく知る窓辺のあの写真です^^
壁の後ろに回ったら猫に囲まれたゴーリーの後ろ姿の自画像があって
ああ、この展覧会の主催者はファンの心をよくわかってらっしゃると思った。
Gorey7.jpg
こんな自画像。
(ミュージアムショップでこの絵のクリアファイルが売られてたので買ってしまった)

とにかく原画がたくさんありまして、中でもやっぱり見どころは絵本の原画ですね。
ゴーリーは絵本を作る際に原画を引き延ばしたり縮めたりせずそのままの大きさで絵本に印刷しているので
ひとつひとつがとても小さいのですが
絵と鑑賞者の間にパーテーションやラインもなくて、ぎりぎりまで近づいて見られるしあわせ(*´︶`*)。
最初に展示されていたのが弦のないハープの表紙原画とのことでしたが
どうも見覚えがないなと思ったら未使用の絵だった!うおお!!
出版された絵本とは表情やしぐさが少し違っていたので気づいたんですが…試行錯誤の形跡ですね。
未発表原画を見られるしあわせ(*´︶`*)。
イアブラス氏が抱えているハープの中の紙がくりぬかれて切り貼りしたみたいで
これひょっとして出版したのもそうなのかしらと思って手持ちの絵本を観察してみましたけど
印刷だとよくわかりませんでした…やっぱり原画はナマで見るに限る。
具体例のある教訓も、実際に出版された絵本の表紙は
タイトル文字にウサちゃんぬいぐるみがぶら下がっているシンプルなものなんだけど
未使用の表紙絵は登場人物たちの集合で、しかもこれから何かが始まりそうな予感がする印象でした…どきどき。
(ゴーリーは「意味をもたない作品は他のほとんどの作品よりも難しい」的な言葉を残している)

アルファベットの絵本シリーズも、ゴーリーは迷ったらアルファベットをやると言っているくらい好んでよく作っていて
でも登場人物はだいたいろくな目に遭わないのですが、それをエロくもグロくもなく淡々と描くゴーリーは本当にすごい…
殺人や恐怖って感情抜きに描くのなかなか難しいテーマだと思うので。
鉄分強壮薬はグリーティング作家だった曽祖母ヘレン・ジョン・ガーベイに捧げられた絵本で
構成がグリーティングカード風になっているのはそのためだそうです。
ガーベイの作品てまとめて見ることはできるんだろうか~見てみたい。
折れたスポークはポストカード風の絵のどこかに必ず自転車を入れるというテーマの絵本で
原画のひとつに水墨画のような空の絵があって
おお、ゴーリーおじさんが線以外で空を描いている…!とちょっと意外でした。
ビネガー・ワークスはウェストウイング・蟲の神・ギャシュリークラムをセット販売したときのポスターですが
描かれている大人も子どもも動物たちもすがすがしいまでにガイコツばかりで一周回って笑えてくる。。
うろんな客はかわいいな~原画は印刷よりもインクが濃く見える気がします。
この絵本は、というかゴーリーは自分の作る絵本を大人向けとは全然思っていなくて
うろんな客も「どうして児童書にしないんだ」などと出版社に意見したことがあるらしい。
あと展示ケースにゴーリーが使っていたメモ帳やペン先(Hunt#204)やインク壺などがありましたが
ちょこんとうろんな客ぬいぐるみが座っていたのもかわいかった☆
出品一覧表に個人蔵とあったけどあれ濱中氏の所蔵品だろうか…とても見覚えがありました。

動物の絵もかわいい☆
子ども部屋の壁模様のカバみたいなキャラがむちゃくちゃかわいくてこんな壁紙ほしいって思いました。
(実際にカバがモデルらしくて、カバのスケッチとキャラ設定の走り書きが並んで展示されていた)
この絵本はゴーリーが自分の絵本を出版するために作ったファントッド・ブレス社から出しているので
割と自由な作りになっているそうです。
キャッテゴーリーのかわいさは相変わらずでした!
人間はバッドエンドにばかり描いてるのに猫はハッピーエンドにしかしないゴーリーおじさん、ぶれないね。
失われたライオンたちも、ライオンがネコ科であるためかゴーリーのタッチはやさしくて
主人公に抱っこされたり甘えたり隣で寝てしまっていたりしてかわいい。
あとゴーリーはイギリスのナンセンス詩集や小説の表紙・挿絵も手掛けていまして、
特にエドワード・リアが好きだったらしくジャンブリーズや輝ける鼻のどんぐなどに挿絵をつけているのですが
実はリアも猫好きな人だったとのことで、ジャンブリーズはリアの猫フォスに、
どんぐはゴーリーの猫たち(リヴィア・アグリッピナ・カンズケ)に捧げられています。
猫好き同士のケミストリー☆
ちなみにゴーリーの猫カンズケは源氏物語宿木に出てくる上野の親王からとられています。
(ゴーリーの愛読書はクリスティとアリスと源氏物語なんだよね)
キャッツポッサムおじさんの実用猫百科(ミュージカル『キャッツ』の原作)のどの原画も猫がかわいい、
作者のT・S・エリオットは猫になりたかった人なんだよね^^

出版物以外の原画もおもしろかったです。
母親宛てにゴーリーが出した手紙の封筒がいくつかあって、封筒の表に何かしらイラストが描かれていて
空中ブランコに乗る鳥たちとか、葡萄の木にワインをそそぐ天使たちとか
カノン砲に突っ込まれた男とか、雲の中のはしごを登っている人とか
いちいちユーモアにあふれていてかわいい!
こんな封筒もらったら捨てずにとっておきますよ…直筆ならなおさら。いいなあ。
プレゼント交換するドラゴンと人のイラストがもう、もう、最高にかわいくてかわいくて
何の目的で描かれた絵かはわからないけどこんなクリスマスカードほしい!って思った。
(ネッシーがモデルだそうで、ゴーリーはネス湖にも旅行に行っているけど
ネッシーを見られなかったことを残念がる言葉も残しています)
アイススケートをするワニはタイトル通り4本足にスケート靴つけて滑ってるワニがいるけど
別にワニが主人公の絵ってわけでもなくて構図は陸の人間たちが中心なのが、なんともゴーリーの味わい。
ドッグイヤー・ライド・ポストカードは刈込造形、つまり庭の生垣を動物の形にカットしたものが
命を吹き込まれたらどうなるかがテーマの連作になっていて
でもゴーリーのことだから人間が刈込造形と仲良くなるとかキャッキャする絵は全然なくて
犬に噛まれたり蛇にまとわりつかれたり熊に抱きつかれたり大砲に入れられたりと
みんなさんざんな目に遭っていて、ああやっぱりなって思った。
ゴーリーがバスタブの形をした生垣描いた時点で嫌な予感しかしないよ!案の定人の姿はない絵でした。
あとバレエやオペラも大好きだったゴーリー、贔屓のバレリーナがいたみたいだし
ニューヨークシティバレエ団の振付師ジョージ・バランシンに憧れて自分もニューヨークへ移住して
バランシンの参加する舞台を欠かさず見るほどの熱の入れぶりはすごい。
当時ゴーリーは「私にとって悪夢とは新聞にジョージの訃報をみつけること」とも語っていて、
数年後にそれが現実になったときはショックを受けてケープコートに引っ越しますが
地元の大学で開催されたオペレッタ「ミカド」に舞台美術と衣装デザインで参加するなどしていて
行動が完全にオタクなゴーリーおじさんまじ慕わしいな…!
ミカドの衣装デザインは冠被ってるし足袋穿いてるしで色々おもしろいんですが、
中でも自転車に乗るミカド(ロートレックを意識したのかな?)の冠の襞が「M」になって
MIKADOのタイトル文字に被っているポスターデザインは秀逸でした。
NYシティバレエ団の50シーズン記念にファンとして描いた回想「薄紫のレオタード」は
子どもと手を繋いだおじさん(たぶんゴーリー本人)がいましも出かけようとしている後ろ姿に見えました。

今回、ゴーリーの原画をこんなにたくさん見たのは初めてだったのですけど
ほとんど修正のあとが見られないのが何だかものすごく印象的でした。
鉛筆じゃなくペン描きですから消しゴムで消すこともできないはずで、
きっとものすごく構想立てて下調べして下書きもしっかり描いて準備万端にしてからペン入れ始めるんだろうな…
とか思っていたのですが、いくつか展示されていた下書きを見ると
原画の緻密さとは似ても似つかないほど雑な走り描きばかりで、意外と大ざっぱな一面も見られました。
優雅に叱責する自転車のためにおしゃべりする自転車のスケッチをしたり
自転車が街をどのように移動したかを住宅の配置図に矢印で描きこんでいたりと
絵本に直接描かないこともしっかり設定してあってさすがだなと思った(スケッチは雑ですが)。
あと絵本タイトルや著者名を手書きでレタリングしているのマジ感動する!
文字も絵本の一部です。

鑑賞中は会場でずっとメモをとっていたのですけど、わたしがやたら紙をひらひらさせていたせいか
見かねた監視員さんがクリップボードを貸してくださいました!
お蔭でむちゃくちゃメモがとりやすくて助かりました…ありがとうございました。

Gorey2.jpg
中国風オベリスクに出てくるゴーリーおじさんのパネル。
毛皮コートにスニーカー、髭もじゃの顔はお気に入りの自画像の姿だそうです。

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うろんな客もいます。

Gorey4.jpg
ここにもいます。

Gorey5.jpg
ギャシュリークラムのちびっこのひとり、Aではじまる名前の子エイミー。
この子を始めとして子どもたちがアルファベットの順に酷い目に遭う絵本で
展示は他にも表紙のラフ画とかありましたけど、ざくざく描いてあるぶん完成絵よりも怖かった。
(ちなみに裏表紙は26の墓石である)

Gorey6.jpg
パネルのあるスペースにはテーブルと椅子が用意されていて
ゴーリー絵本の日本語訳が読めます。
わたしが行ったときも熱心に読んでいる人たちがいました。夢中になっちゃうよね。
実は展示室の中にも各国で刊行された書籍がガラスケースに展示されていたけど
やっぱり椅子と日本語訳絵本が用意されていたのがよかったです。
展示室の中で作家の絵に囲まれながら絵本が読み放題とか!なんという素敵サービス。
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