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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


書店と5つの物語。

  1. 2019/02/28(木) 23:53:27_
  2. 絵本・児童書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
『ぎりぎりの本屋さん』を読みました。
前作『ぐるぐるの図書室』から1年、あの2006年デビュー組が、
まはら三桃さん・菅野雪虫さん・濱野京子さん・工藤純子さん・廣嶋玲子さんの5人が
再びリレー小説を執筆されましたぞ~☆
お話は全部で5つ、登場人物たちはそれぞれ別の日別の時間に同じ書店を訪れて
本を買ったり誰かと言葉を交わしたり不思議な冒険をしたりします。
ぐるぐるよりもファンタジー色が強めで、前後のお話の繋がりがちょっとずつあって
(まはらさんと濱野さん、工藤さんと廣嶋さんのお話は
前作で主人公だった子が後作では脇役として出てきたりする)、
ぐるぐるに比べて一歩進んだ編集がされているなと思いました。
工藤さんのツイートによると既に第3弾を企画中かも…??楽しみです。

子どもたちが訪れる書店の名前は最後のページになるまで明かされないんですけど、
お話がすすむごとに「…書店」「…り書店」「…ぎり書店」「…りぎり書店」と
少しずつ見えるようになっていくのもじわじわおもしろい。
ぐるぐるの狂言回しは図書室の司書さんでしたけど、ぎりぎりは本屋さんのレジにいる少年で
お客さんにちょっと困ったことがあるのを見抜いて本を薦めたり薦めなかったりします。
彼のその能力が人をたくさん見てきた経験からなのか、彼個人の特性によるものなのかは
結局わからずじまいでしたね。もしかすると両方かもしれないね。
「試し読みOKだよ」「役に立つ本だけがいい本じゃない」「あの本を持っている限りはね」
「思いが強すぎると厄介。『本』に『気』がつくと『本気』になるだろ」とか
いちいち名言が多くて付箋つけたくなるレベル!
「先に知っておけばいくらかは備えることもできる。備えておけば減らすことはできるんだ」と
「そのとき興味を持ったことが書いてある本を読めばいいのさ」は全地球民に贈りたい言葉だと思いました。
お客さんに声をかけるときは決まって「ぎりぎりでしたね」というのが口癖で
何がぎりぎりなのかはお客さんによって異なり、そこからお話が広がっていくのですが
一度だけ「わたしたちぎりぎりだったね」と先にお客さんが言ってしまったことがあって
そのときは「先に言われちゃったな」と呟いていてかわいかったです。
自分の決めゼリフみたいに思っているのかしら、1日1回言わないとすっきりしないとか^^
あと彼がいつもつけている青いエプロンは一反木綿みたいな存在だったりするんだろうか。

ぐるぐるの主人公たちも小学5年生でしたけど、ぎりぎりの主人公たちも同じくみんな5年生で
ちょっとした悩みから深刻な問題を抱えている子まで、色々な子が登場します。
これはぐるぐるとの共通点ですが、その書店に入ったり本屋さんの少年を見ることができるのは
「いま、その書店を必要としている人」たちなのでしょうね。
まはらさんのお話で、主人公以外にもその書店にやって来る人たちが何人か描かれますが
皆さんせっぱつまった「ぎりぎり」状態で本を求めている切実さが伝わってくるので。
各話の主人公の子どもたちはお手洗いを借りて泣いたり、お葬式で本の言葉を引用してえらい目に遭ったり
その本を持ち歩いて厄除けしたり、かみかくしに会ったり、書店から脱走した本を虫取り網で捕まえたりと
本屋さんの少年を介して様々な体験をします。
「立ち読みOKだよ」と少年に言われて、うなずいたりドキドキしたり叫びそうになりながら物語を読んだり
買った実用書が使い物にならなかったと少年に言うと「誰にでもいい本なんてない」と返されたり
(彼がお話のラストで見つけた『雨にも負けて風にも負けて』という本がとても気になる)、
いじめを受けていた女の子が少年に薦められた本を持ち歩いたらいじめが消えたり
本の中に閉じ込められて、紙の山を「おれのもの」と言う神様から逃げ回ったり
本の中から出てきた魔女や鬼、狐のキャラクターと交流したりと
みんな本との関わり方が実に豊かです。
書店に来たきっかけも、誰かに紹介されたりとか、ふらっと入っちゃったとか
入ったことなかったけど入ってみようとか、雨宿りしたらたまたまその書店だったとか色々ですが
でもきっとそれさえも、その後の展開を考えると必然だったりするんだろう、
彼らは気づいていないかもしれないけど。
(あと菅野さんのお話に葬式鉄の子がちょっと出てきたのでこたつで倒れるかと思いました、
「〇〇鉄」という言葉に興味を持ったのは某アニメの影響ですが…ちょっと不意打ちすぎた、当社比で。
あと何となく『女王さまがおまちかね』との地続きを感じたのですが気のせいかしら)

ラストを飾る廣嶋さんのおはなし、その最後で少年の正体と書店の本当の名前が明かされますが
とても平凡な名前だったのが拍子抜けするやらホッとするやら。
店主のおじいさんはまだあの少年に会ったことがないみたい…会えると、いいな。


巻末に5人の作家さんへの質問と回答が掲載されていておもしろかったです。
「子どもの頃に通っていた本屋さんのイメージ」の質問では
まはらさんの「階段の一段目で店番の人がマンガを読んでいた」とか
廣嶋さんの「大型書店で、建物全体が書店というのが子ども心に魅力的で絵本や児童書が充実していた」とか
わかるわかるって頷いてしまいました。
菅野さんが「本屋=何でも売っているイメージ」とおっしゃっていて
確かに地元の本屋さんは事務・学校用品も文房具も記録媒体も切手も売ってる…!と思い出したり。
「本屋さんに行って最初に見るコーナーは?」では
新刊、児童書、入ってすぐのコーナー、目的の本がある棚など様々で
皆さん自分の本が置いてあるかどうかを気にされているのがやっぱり作家さんだなと。
「本屋さんにいるとトイレに行きたくなる説は本当だと思うか」には
廣嶋さんが実際に体験されたとおっしゃっていて
おお、作家さんにもそういう人がいるのか!と感慨を覚えました。わたしもたまになる生理現象です。
「本の世界のキャラクターに会えるとしたら誰がいいか?」という質問には
工藤さんの「星へ行く船に出てきた探偵が理想の男の人だった」とか
まはらさんの「サマータイムで主人公が作ったゼリーが食べたい」とかもすごくわかるし
濱野さんの「自作の登場人物に会ってみたい」も
廣嶋さんの「好きなキャラが多すぎて決められない」もすごく、すごくわかる!
「経営するならどんな本屋?」という質問には
4人の方がそれぞれ理想の本屋さん像を語る中、
菅野さんだけが「ぜったいに潰すと思うので経営したくない」と回答してらしたのエッジ効きすぎ…!
「ブックカフェはやってみたい」(落合恵子さんを尊敬なさっているそう)ともおっしゃりながら
「やっぱり潰すかな」って、結局そこに落ち着いているのがおもしろくて笑ってしまった。
菅野さんは百貨店で働いた経験もおありなのでリアルに考えなさるんだろうな…。
(そういえば女神のデパートの新刊読んでなかった!読まなければ)

わたしの理想の書店は…。
あらゆるジャンルの図書が一通りそろっていて、在庫がなければワンクリックで取り寄せできて
カフェが併設されていて一休みしたりランチしたりしながら本を楽しめる滞在型のお店かな。
みんなただ本をめくったり読んだりしていて、お話する人たちもいるけど
たまにしぃん、となって本のページをパラパラッとめくる音がするだけの時間が発生している感じの。
(でもきっと、菅野さんがそうおっしゃったようにわたしも経営センスは1ミクロンもないので潰すと思う)
ゆさ的最強のとしょかんは過去に考えたことがあるけど、あれはファンタジーですけども
書店は経営しなきゃならないのでちょっとリアル目線で考えてしまいますね。
あ。でも廣嶋さんがおっしゃっていた魔女の図書室コンセプトのお店はちょっとおもしろそう…
洞窟のような内装にハーブや大がまを飾って、きのこの形の椅子を置いたり
店主が魔女のコスプレしてるとかすごく楽しそう。見てみたいです(笑)。
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テーマ : 絵本・児童書    ジャンル : 本・雑誌

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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
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