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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと。

  1. 2019/05/23(木) 23:57:54_
  2. 一般書
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
ranpotei_1.jpg
旧江戸川乱歩邸に行ってきました。
かつて江戸川乱歩が暮らし、現在は立教大学の大衆文化研究センターになっている建物です。
毎週水曜日と金曜日に公開されていて、予約不要、入場料無料!有難いね☆
大学正門近くの道の角では池袋のシンボルふくろうが案内してくれています。

ranpotei_2.jpg
着いた…!門のあるおうち。
乱歩せんせいは生涯で26回ほど引っ越しているそうですが
池袋のこの家に移ってからは動くことなく住み続けたそうです。
住み始めたのは戦前で、その頃のこの周辺は住宅も少なく自然がのどかだったそうで
静かに小説を書くにはもってこいだったのかしら。

ranpotei_3.jpg
表札にはふたつのお名前。
平井太郎は乱歩の本名、平井隆太郎は乱歩の息子氏で立教大学名誉教授。
ちなみにこの乱歩邸を立教大学に帰属させたのは隆太郎氏だそうな。

ranpotei_4.jpg
アプローチをたどって玄関へ。ガラスがはめ込まれたモダンな雰囲気です。

ranpotei_5.jpg
入れるのは玄関先まで。
展示ケースには乱歩の著書や新聞記事などが展示されていました。
雑誌『探偵クラブ』はもうほとんど国内に残っていない貴重な雑誌だそうで
乱歩をはじめ横溝正史や夢野久作などが参加したリレー小説なども執筆されていたそうな。

ranpotei_6.jpg
壁に貼ってあった探偵小説トリック分類表。
「被害者が犯人」「被害者のひとりが犯人」「探偵が犯人」「双子トリック」「錯覚トリック」「時間トリック」など
現代の推理小説にもよくみられる手法がひとつひとつ記述されていました。
1950年9月に書いたらしいから戦争が終わって推理小説が書けるようになった頃のものですねえ…
乱歩せんせいの熱心な研究成果。

ranpotei_20.jpg
では、玄関を出てお庭へ向かいますよっと。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
 
 
 
ranpotei_7.jpg
玄関からお庭に回ってきました。
真ん中が母屋で、さっき見学した玄関は母屋の反対側にあります。
あと、写真では見切れちゃってるけど左側に土蔵があります。

ranpotei_8.jpg
応接間。中には入れませんが窓が開いていて外から見学できました。
落ち着いた色彩の内装に青いソファがよく映えて、光を柔らかく取り込んでいて居心地よさそう。

ranpotei_9.jpg
マントルピースの上に飾られている肖像画。松野一夫氏から還暦祝いに贈られたそうです。
松野氏といえば少年探偵団シリーズの本の表紙を描いていた方ですね!
ハードカバーに重厚な雰囲気の絵でした…なつかしい。

ranpotei_10.jpg
シャーロック・ホームズ像。
江戸川乱歩賞の受賞者に贈られるブロンズ像です。

ranpotei_11.jpg
2つのエドガー・アラン・ポー像。
奥が日本探偵作家クラブ賞の受賞者に贈られる像で、
真ん中の小さな白い顔のはアメリカ探偵作家クラブ賞の像だそうです。
手前の女の人は…ちょっと、よくわからない。。

ranpotei_12.jpg
母屋の一部もガラス扉の向こうに展示物があります。定期的に展示替えされるようです。
この日は乱歩の帽子コレクションが並んでいました。
(乱歩せんせいは40個以上もの帽子を持っていたらしい)

ranpotei_13.jpg
「Ranpo」の文字が刺繍されているハンチング。
ちょっとヨレッとしていたのが、実際に乱歩せんせいが被った感があって萌えました。
他にも中折れ帽やベレー帽などが展示されていました。

あと、撮影不可だったんですけど母屋の別の部屋にも展示室があって
乱歩せんせいの遺品とか新聞記事とか関連資料などが色々と展示されていておもしろかったです。
ポアロの扮装をした写真とか(アクロイド殺人事件と書いた紙を持っていた)
回転式本棚とか、愛用の三味線とか、箱入りの好色一代男セットとか
還暦祝いの派手な色のジャンパーとか。
一番おもしろかったのは推理作家たちによる舞台劇の写真や脚本です!いわゆる文士劇というやつですな。
横溝正史原作の「びっくり箱殺人事件」(1949年12月NHK放送)なる台本が展示されていて
乱歩せんせいは深山幽谷というお役で出演したらしい。
他にも山田風太郎や島田一男や香山滋など豪華出演者の名前が…!
乱歩せんせいは当時55歳だけど横溝や香山は40代で山田風太郎に至っては20代だったことを考えると
おじさんと若者が一緒になってわいわいモノづくりしてたんだなあと思うと微笑ましい。
台本の紙がわら半紙だったのも時代を感じさせますな…大切に保存していってほしい。

ranpotei_14.jpg
いよいよ土蔵へ。
建物は2003年に豊島区の有形文化財に指定されています。
乱歩せんせいはこの家に移ってから少年探偵団シリーズを書き始めていて
土蔵の上でも過ごすことが多かったようです。
すぐ近くにテニスコートがあるので天気のいい日はテニスボールの音が聞こえてきたとか。

ranpotei_15.jpg
内部や資料の保護のために見学できるのは入口まで。
ここのすごいところは書庫と蔵書をまるっと保存していることだよな…。
作家や研究者の蔵書を保存する事例はいくらでもありますが、
建物ごと保存するというのはあまり聞かない気がする。

ranpotei_16.jpg
中央の急階段を見上げると2階が少し見えます。
乱歩せんせいは江戸時代の古典籍を趣味で集めていて、本のサイズに合わせて箱も作るなどしたようで
現在その資料群は立教大学図書館に移され保管されているそうです。

ranpotei_17.jpg
1階の書庫。
中には入れませんが奥まで棚があって本がぎっしり詰め込まれています。

ranpotei_18.jpg
斎藤茂吉の柿本人麻呂論とか吾妻鏡とか江戸時代の文学論とか西洋文化史、
ヘロドトスの歴史書やアッシリア史、チェーホフ全集やゲーテ研究やキェルケゴール選集、
谷崎潤一郎の細雪も手に取りやすい棚に置かれているのが見えました。
ちょっと!なんでそこに置いたの?どんな顔して、どんな気持ちで読んだの!?とか
小一時間くらい問い詰めたくなる。
よく読む本とか使いやすい本は手に取りやすい場所に置くのが本好きの性だと思うので…
ここやばい乱歩せんせいの読書傾向研究ができてしまう!えらいこっちゃ。

蔵書というのはその人の性格も趣味も嗜好も学習方法も思想も、あらゆる部分が反映されてしまうので
(だから図書館は利用者の読書記録は残さないし残していたとしても絶対秘にしておく)
個人的には無理矢理見せるものではないと思っているのですけども、
その人を知るための最も手っ取り早い手段が蔵書であることも事実なわけで。
乱歩せんせいがこの蔵書のすべてに目を通したのかはわかりませんが
彼が読みたい、仕事で必要だから欲しい、手元に置きたいと思ったから今この蔵書はここに並んでいるわけで
これらは確実に乱歩せんせいという人を、彼の作品を形成せしめた資料群なんだなあ…。
蔵書は作家の頭の中。たぎる。

ranpotei_19.jpg
楽しかった…!結局閉門までウロウロしてしまいました。
乱歩せんせいはわたしが生まれる前に亡くなってしまったけど、
こうしてお宅を訪問できて読書の趣味まで見せていただけるの本当に有難い。
建物も現代建築に近いので、彼と地続きの時代を生きている感がありました。楽しかった。

rikkyoten.jpg
立教学院展示館も見学。(こちらも入場無料ですよ)
乱歩邸が楽しすぎてあまり時間がなかったのでサーッと見てきただけでしたが
大学の創立から現在までの歴史が史料や物品、タッチパネルの画像・映像などで紹介されていました。
教育理念を掲げての設立からの関東大震災、戦争、復興の生々しさ。女子学生の入学は戦後からだったのか…。
戦後に設立された立教中学校の学級日誌がおもしろくて、1970年12月のページが開かれていたのですが
「三島由紀夫の事件から一週間」とか書いてあってビビった。。
おそらく臨時で開かれたであろう学級座談会「三島由紀夫について」という時間割もあって
あの事件がいかに当時の人々に衝撃を与えたかが伝わってきます。
かと思えば日直の随筆欄に「これからウンザリするほどテスト」と書いてあって笑ってしまった^^
がんばれ中学生。
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comment

乱歩をたくさん

  1. 2019/05/25(土) 21:44:51 |
  2. URL |
  3. ヨリック
  4. [ 編集 ]
中学生の頃、乱歩を貸本屋から借りてたくさん読みました。
わけもなく屋根裏へ入ってみたり、自分が犯人になってみたり、
おどろおどろしい描写に背筋を寒くしてみたり、
エロな描写に興奮したり、・・・

70年程昔のことです。懐かしい!!!

Re: 乱歩をたくさん

  1. 2019/05/27(月) 21:47:43 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> ヨリック様

あー!わたしも乱歩にハマったの中学のときです。
少年探偵団シリーズが入口で、そこから他の本も読みました。

> わけもなく屋根裏へ入ってみたり、自分が犯人になってみたり
うちは屋根裏がないので、押入れに懐中電灯持って入ってみたりしました!
犯人妄想もしますよね。
 
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