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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


小さな山がたくさんある街。

  1. 2019/06/17(月) 23:53:08_
  2. 歴史
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  4. _ comment:0
edodeko1.jpg
太田記念美術館の「江戸の凸凹-高低差を歩く」展に行ってきました。
江戸時代に描かれた浮世絵から坂道や川、山、丘などの風景に着目し、
お江戸の地形をたどる展覧会です。
ブラタモリでタモさんがさんざん高低差高低差って宣伝しまくっているせいか、
近頃は各地で地形をたどる体験ツアーなども見聞きするようになりましたが
とうとう美術界でも高低差を取り上げ始めましたよ。こういうの大好き!(笑)

edodeko2.jpg
会場では「東京の地形と江戸の名所MAP」なるものが配布されていました。(裏側は展示作品リスト)
御茶ノ水や上野、深川など、浮世絵によく描かれたエリアの地形と名所が書かれたマップです。
高低差がわかるように色分けされているので山も谷も川もわかりやすい。

まずは坂道から。
歌川広重「東都名所坂づくし」から神楽坂、御茶ノ水の昌平坂、九段坂などを描いた作品が展示されていました。
神楽坂は飯田橋方面から長くゆるい坂道になっているし
昌平坂は湯島聖堂や神田明神に行こうとすると必ず通る坂道だし
神保町から靖国神社へ至る道も確かに坂道になっていますね。
伊皿子坂(港区)や江戸見坂(ホテルオークラの前の坂)などからは江戸湾が一望でき、
湯島天神の男坂などからは不忍池が見えたみたい。
名所江戸百景からは八景坂の鎧掛松、赤坂見附の坂、湯島天神の男坂、神田明神の夜明けなど。
虎ノ門葵坂というところはかつて武家屋敷があり、
葛飾北斎「諸国瀧廻東都葵ヶ岡の滝」によると大きな滝もあって
水流の周りには葵の花が植えられていたそうです。
滝があるということはそれなりに高低差があったってことよな…(虎ノ門はあまり行かないので詳しくないです)。
広尾ふる川の絵もあって、そうだ恵比寿駅から山種美術館へ行くときは坂道を登って行くんだったとか
広尾から六本木方面へ行くとやたら登り下りが多かったな…などと思い出したり。
恵比寿のおとなりの目黒も、エリアマップを見るとたいそうな高低差で
目黒ってあまりウロウロしたことないのでわからないんですが目黒川の両脇は高台になっているんですね、
確かに目黒駅から雅叙園に行くときに通る行人坂はものすごい下り坂だよね…。
ちなみにキャプションによると江戸時代と近代の坂道を地図などで見比べるとほぼ変わっていないようです。
景色は武家屋敷やお茶屋がなくなりビルが建ったりしてかなりの変化があった東京ですが、
丘を割るような工事は江戸初期あたりにしかされなかったということだろうか…。

「お江戸の名所は高台にあり、必ずお寺か神社がある」の法則。
名所江戸百景の飛鳥山や湯島天神、王子稲荷の不動の滝、芝の愛宕山や増上寺などを見ていると
お参りや観光、お花見などで有名な場所はだいたい山道や階段を登った場所にありますね。
飛鳥山は武蔵野台地の際にあって江戸の街が一望できるし、湯島天神は言わずもがなだし
王子稲荷も愛宕神社も長い石段を登った先にあります。
増上寺は港区なのでそうでもないのかと思ったら、あそこも武蔵野台地の際で
場所によっては海抜20mのとことかあるみたいですね。
五重塔・新堀川・赤羽橋が描かれた絵を見てみると
新堀川の蛇行から谷状の地形になっていることがわかります。
あ。川で思い出したんですが、御茶ノ水のど真ん中を通る神田川とその両脇の渓谷って
山を掘削して神田川を通した人工渓谷なんですね!キャプションで初めて知りました。
昇亭北寿「東都御茶ノ水風景」や広重の「東都名所御茶ノ水之図」などには
どまんなかに流れる神田川と、両脇にそびえ立つ渓谷が描かれていて
この高さの山を割ったのかよ昔の人は、とんでもねぇなと思いました。
名所江戸百景の神田川も今まで何気なく見ていたけどまさか土木工事の景色とは知りませんでした…。
すごい、この展覧会勉強になるなあ。

昔はあって今はない景色の絵も。
名所江戸百景に描かれた目黒爺々が茶屋という、今はないお茶屋さんを描いた絵があって
淀橋高台の崖沿いにあったお茶屋さんらしいんですけど
その先にあった富士塚に向かうお客さんが立ち寄っていたそうな。(富士塚も今はありません)
あと目黒の駅付近にあった千代が池という池には10メートルほどの滝があったらしい。(今は両方ともない)
江戸名所道外尽からは妻恋こみ坂の絵がありまして
かつてここは厠(公衆トイレ)があったようで絵の中の人たちはみんな鼻をつまんでいました。
歌川豊春「浮絵和国景夕中洲新地納涼図」に描かれた中洲新地は
隅田川の新大橋の下流にかつてあった歓楽街で、
中洲にたくさんの船が集ってお店もいっぱいあって夜はとても賑やかだったようです。
北尾政美「浮絵東都中洲夕景之景」によると、夏には花火大会もあったみたいですが
広重の名所江戸百景に描かれる頃には取り壊されて浅瀬になっているんですね。
浮世絵からビフォーアフターがわかるっておもしろい!
時間を感じさせる作品は他にもあって、品川の御殿山を描いた浮世絵がいくつかあったのですが
花見の桜でにぎわう絵を見た後で名所江戸百景の御殿山を見るとびっくりします。
ペリー来航後、江戸では防衛のために土を海へ運びお台場が作られたのですが
その土は御殿山の一部を切り崩して運ばれたのですね。
広重が絵に描く3年前のことだそうです…崖がむき出しになった御殿山は痛々しく見えました。

上空から見た絵も。
名所江戸百景「深川洲崎十万坪」は鷲が大空から江戸を見下ろしている有名な絵ですが
鳥の眼下に広がる景色は3年かけて埋めたてられた洲崎だったんですね。
はるか遠くに見える山は富士ではなく筑波山とキャプションにあって、そうなのかあ!と驚き。
北尾政美「江戸名所の絵」は手前に隅田川、奥に富士山があって
その間の江戸の街を名所とともに高低差込みで描いたおもしろい絵です。
川や谷や山などの凸凹がしっかり表現されていて、これ余程地理に詳しくないと描けないと思う。
二代目広重の「江戸名所一覧双六」はお江戸各地の名所がコマになっている巨大な双六で
振り出しと上がりがともに日本橋でした。

展示されていた浮世絵が一部(北斎、政美、北寿など)を除いてほぼ歌川広重一色だったのも
すごいなと思いました。
名所江戸百景や東都名所坂づくし、江都名所など
お江戸の風景画を数多く残した広重の絵は当時を知る貴重な資料にもなっているのだなあと。
名所江戸百景も何度も見ている作品なのに、高低差に着目して見たことはなかったので
新しい視点をもらえてよかったです。
浮世絵から読み取れるものってたくさんあるんだなあ…これだから美術館通いはやめられない^^
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