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ジブリの色とポニョとボロと、それから…。

2019.08.04 23:57|ジブリ
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ジブリ美術館に行ってきました。
最近は先着順で取るのも四苦八苦するほどチケットが取りにくくなってますが
7~8月は先行抽選販売をしてくださるとのことで申し込んだら当たったのです☆
8月は短編映画がボロなのでまた見たかったし、企画展「映画を塗る仕事」展も見たかったし。
ありがたや~。

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今回のフィルム切符はポニョ。
「ポニョ、そ~すけ、すき~」の場面でした!名シーンではないですか~ありがたや。

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「映画を塗る仕事」展は映画の彩色にスポットを当てた展覧会であり、
かつてジブリで色彩設計を担当していた故・保田道世さんのお仕事を紹介する内容でもありました。
キャラクターはもちろん、映画に出てくる建物、食べ物、乗り物、自然描写や水しぶきや月光の色、
物が吹き飛んだ際に飛び散る破片の一粒に至るまで、色指定は細部にわたるんですよね。
すさまじい計算と色彩感覚に裏打ちされた色彩設計の仕事が
当時の設定資料とセル画とパネル解説で紹介されていて、本当に勉強になりました。
(今回の企画展は見て触ってというよりもお勉強的な内容でしたね…)

まずは基本から。
映画は作品ごとに雰囲気が異なるので、キャラクターの色も世界観に合わせて変化します。
明るい魔女宅の彩色。おもひでの引き算の彩色。紅の豚やもののけ姫の原色メインの彩色。
光の当たる部分と影になる部分の色も、キャラクターの立体感を出したり
背景と組み合わせることで状況を表したり(木陰にいるとか)、大きさを対比させたり(神様と人とか)
キャラの心や感情を表現したり(右腕が勝手に動き出してハッと見るアシタカの顔にさす影とか)
影にも様々な役目があります。
それを踏まえて、キャラの「昼間色」「黄昏色」「夕方色」の違いを見ると
色で時間を表現することもできるのだなァと感じられます。
「昼間色」:いつものキャラクターの色。
「黄昏色」:。陽が傾き始めた頃の色。光があたる部分は昼間色と同じで、影のみコントラストを濃くする。
「夕方色」:太陽は沈んだけどまだ辺りは少し明るい頃の色。
光の当たる部分は昼間色よりワントーン明るくして(ただし彩度は低く)、
影は昼間色と同じだけど影の部分を増やして、明るい部分と影の差を少なくする。
差が少なくなることで太陽の光が弱くなったことを表現しているのですね。
今のアニメみたいに撮影で光らせるのではなく、絵の具だけで光を表現しているわけです。
ともすると、陽が沈んだのなら辺りは暗くなるから色は暗くして影も濃くして…みたいな画面作りをしがちだけど
強い光の下では濃い色の影ができて、光がなくなると影も消えるという当たり前の理屈を思い出せました。
真っ暗闇では影どころじゃないもんね…。

セル画に色を塗る仕事も映像で紹介されていて(ナレーションがかぐや姫の朝倉さんでした)、
ヤックルに乗って矢を射るアシタカの線画をカーボンでトレースし、
1枚1枚絵の具で塗っていく様子がダイジェストで上映されていました。
はみ出さず、間違えず、丁寧に手早く塗る作業はいつ見てもホレボレする…
あの映像の人はあの技術の境地に至るまで一体どれだけ修行なさったのだろう…気が遠くなる。
気が遠くなるといえば(?)シシ神の足元に生えては枯れていく草花とか
ハウルのベッドのクッションやアクセサリーなどの色数がもう、多すぎて眩暈がしてきます。
これを1枚1枚全部仕上げていく現場のすさまじさーー!
趣味の絵を1枚仕上げるのにヒィヒィ言ってるわたしと違って、この人たちはお仕事だもんなァ…。
かと思うと、魔女宅クライマックスの群衆シーンはいくつかの色パターンで塗り分けていたり
トトロのトウモロコシ畑は葉の裏表や色の塗り分けで奥行きを表現していたりと
様々な工夫で画面づくりをしていることもわかりました。
すべてを塗り分けることが色指定ではない…深いです。
曇りや雨など、天候によっても色は変わるので
雨の中を飛ぶキキや雨に濡れるアシタカ、雨の中を走るサツキとメイなど
濡れる前濡れた後で色はどう変わるかを表現するのですが
「この物が濡れたらこの色になる」ではなく、あくまで「それらしく塗る」ことを心掛けるのだそうです。
水の色も難しいですな…。
ひといきに水と言っても様々で、水中や水面、深さと浅さ、澄んでいるのか濁っているのかなど
様々に考えることがあるようです。
シシ神の池の深いところまで沈んだアシタカは暗い色彩になっていて、
殴り合い後に浅瀬に倒れ込んだポルコとカーチスはあまり色彩を落とさず鮮やかに、
飛行艇が墜落した海の水面はかき回されたような青い色に、
キキが掃除をした床に人物が鏡のように反転して映るカットは、木目なので暗い色に。
水の周りに、水の下には何があるかで色はここまで違ってくるんですね。
光と影についても。
夜に草壁一家が川の字で眠るカットはあえて布団が明るく塗られています。
(普通は暗闇では布団の色は判別できませんが、あえての色指定)
日光と月光の下でも、千尋とリンさんが縁側でおまんじゅうを食べるシーンでは
外からの満月で2人の姿が明るく照らされていたり
エボシとアシタカが屋根の上で語るときは昼間色よりもワントーン柔らかい色になっています。
ポルコがフィオに過去話をするシーンではランプの光が出てきますが
光源が小さいのでキャラの一部分だけが明るく、影は濃い色に指定されています。
飛行石に照らされるパズーとシータ、ポムじいさんのカットは
飛行石が青い光を放っているので3人の服も青い色に染まっていますが、肌はいつもの昼色でした。
ここもあえての色指定。

過去に保田さんの著書を読んだりドキュメンタリー番組を見たこともあって
改めて彼女の仕事を見せていただいたなぁと思うと同時に
やはり色彩設計の仕事は万物の性質を理解する必要があるのだなぁと改めて思いました。
説明文を読んだり、セル画を見比べたりするのでかなり頭と目を使いましたが
絵を描く人や色彩に興味がある人はものすごく勉強になると思います。
展示は11月までやっていますので興味のある方はぜひに~。
あとこの展示で初めて、俊夫さんの車はスバルだとわかったし
メイちゃんと出会ったばかりの透ける小トトロはエアブラシだと知ることができました。
エアブラシのトトロ!(なんか感動)

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2Fのマンマユートから1Fのカフェへ降りていくときに通る屋外の道でいつも見る猫SPたち。
去年も2匹だったけど今年も2匹でした。

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テイクアウトスペースにいたポルコ・ロッソの蚊取り豚。夏になると置かれる風物詩です。
だいぶ前の商品ですが今も買えるんだろうか…うちにもあるけど。(うずまき線香がないので使ってないけど)

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10年以上通ってるけど初めて出くわしました!メニューを書いてるところ。
あと、これも初めて見ましたがカフェ入口の隣に飲料水の無料サービスが設置されていて
紙コップも置かれて自由に飲めるようになっていました。
暑い中オープンまで待つのでありがたや。

カフェは11時のオープンですが、開店前にお客さんがどんどん並ぶので
いつも早めに行って並ぶようにしているのですが、
今回も買い物を済ませてから行ったら(10:20くらいだったかな)既に待機用の椅子はいっぱいで
後ろにもどんどん人が増えていたので慌てて最後尾へ。
合間にお水をいただきながら待って、有難いことにギリギリ1巡目で入店できました。
相席OKにすると結構、入れてもらいやすかったりします。
(わたしはおひとり様なのでだいたいカウンターに案内される)

2019ghibli5.jpg
大麦入りのおひさまスープ。
チキンブイヨンに季節の野菜がどっさり入っています。おいしい~☆
ど真ん中の白いかたまりは卵の白身かとおもったらモッツァレラチーズでした!
パンも焼きたてでホカホカしていたので早めにいただきました。外はカリッ、中はモチッ☆

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ふしぎ玉を乗せたレアチーズ。
ケーキの上に乗っているのは常温で固まるゼラチンにブルーベリーを閉じ込めたもので
美術館内の階段の手すりなどに入っているふしぎ玉をイメージしているそうです。
見た目も味もひんやりでおいしかった☆

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ランチの後は屋上へ。ロボット兵も暑い中お疲れさまです。

館内に戻って、土星座で『毛虫のボロ』を鑑賞しました。
初めて見たのは去年で約1年ぶりの鑑賞ですが、忘れている部分も結構あって楽しかったです。
やっぱり空気のゼリーと夜明けの光の表現がすばらしくてな…。
ボロに当たってキラキラ散るゼリーは柔らかそうだな、触るとひんやりしてそうだな、とか
朝の光も昼間と違って柔らかそうで、少しひんやりしつつも暖かそうだな、とか。
あと今更ですがボロかわいいよね!
モフモフいいながら茎を登って空気食べたり葉っぱ食べたり、糸を器用に使って下へ降りたり
タンポポの花にダイブしてぱあぁぁ…☆ってなったり。かわいい!
ボロが動き回るたびに子どもたちがキャッキャ楽しそうにしていたのが忘れられないです。
そしてエンディングで「声と音 タモリ」と表示されたときの大人たちのどよめきがやっぱり楽しい。

2019ghibli10.jpg
基本的にジブ美には企画展とカフェの季節のメニューを楽しみに来るので
常設展の映画の生まれる場所はだいたいいつも最後になりがちなのですが、
今回もいつものように「よし、じゃあ常設展見て帰りますか」という軽い気持ちで行きまして。
少年の部屋は前に比べて物がどんどん増えてるなあとか
(スタッフさんによると「少年が成長して青年になった」ということらしい)、
美術室の今回の背景画はあの映画が中心かなとか、ジブリブリ相変わらず埋もれてるなァとか
いつものようにさらっと鑑賞して終わると思っていたのです、が。

仕上げ室に展示されているアニメーターの作業机は、いつもは原画が数枚置かれて
誰でもパラパラとめくれるようになっているのですが
今回は何だか人だかりができていて、なんだろうと思って近づいたら
机に座って熱心に絵を描いている男性がいるではないですか。
ん??と思ってその人の手元を見たら、千尋を描いているではないですか!!
え???ってなって、そのとき初めて気づいたのですが
机の上に「アニメーター実演中」「話しかけても大丈夫です」という表示が英語とともに書いてあって
ええと、つまり、この人は本職のアニメーターさん…。

( ゚д゚)……

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)………!?!?!?!????

あまりにびっくりしてその人と絵を5度見くらいしちゃって、声も出せなかったのですけど
その人も静かに描いていらっしゃったし周りのお客さんも静かに見学していたから
出さなくて本当によかったです。
話しかけていいってことだけど、とてもそんな雰囲気ではなかったので
近くに立っていたスタッフさんにお聞きしてみたら
「夏休み特別企画で5日間だけの実演で、今日は3日目です」とのこと。
割と最近決まったので特に広報もしてないみたいでした。(Twitterにはあったけど)
こういうことってあまりなかったように思ったのでそれも伺ってみたら
「ずっと前に吉田さん(ポニョの美術監督)に来て描いていただいたことはあります。それ以来ですね」とのこと。
なので8/1~5に来た人ラッキーです、幸せです!本職の技術をぜひ見にいってください。
(ていうか吉田さん来てたのかよ~~~知らなかった…見たかった…!)

今回、実演されていた齋藤昌哉さんはおもひでぽろぽろからジブリに参加した方で
今は美術館で働いているそうですが、ジブリにいた頃は主に動画を担当されていたそうです。
おもひでから参加っていうとあれだ、宮崎さんたちが今のスタジオ建てて給料制敷いて
本格的にスタッフの育成を始めた頃ではないですか~!
(それまでのジブリは作品ごとにスタッフを集めて終わると解散する体制だった)
まさにジブリで技術を磨いてきた方だ…すごい…!
とか、そんな風に思ってしまってますます緊張してとても質問とか無理、と思ったのですが
「午前中は子どもたちが色々質問してましたよ~本当、大丈夫ですよ」というスタッフさんに押されて
齋藤さんが3枚ほど描き終わったタイミングで思い切って声をかけてみました。
(質問できなかったのは緊張もあったけど、齋藤さんが絵を描くところをとにかく眺めていたかったっていうのもある)
そのとき齋藤さんが描いていたのは、映画後半でタタリ虫を踏み潰す千尋のカットだったので
「このシーンを描かれた方ですか?」と聞いてみたら「いや、僕ではないです」とのことでした。
作業机にあった動画をトレースしてみました、とのこと。
どうしよう、聞きたいこといっぱいあるけど何聞いたらいいんだろう、でもとにかく何か、と思って
「ジブリには色んな監督がいますけど、皆さんどんな感じですか?」とお聞きしたら
「高畑さんは朝ドラほど理屈っぽくないです。委ねてくれて、OKならそのまま通るし、ダメなら書き直しです。
宮崎さんは明確なビジョンがあってご本人も描く人なので、ダメならご自分で(原画を)直しちゃうタイプです」とおっしゃって
おおおスタッフ目線の監督…高畑さん思ったよりソフトだ…てか朝ドラご覧になってるの…とか
なんかもう色々感慨深すぎて言葉が出なくなっちゃいました。
(ぽんぽこ・もののけで高畑・宮崎両監督の映画に出演された石田ゆり子さんも
アフレコのときの両者の演出の違いを過去に何かの番組で述べていらっしゃったっけ…。
高畑さんはブースの中からの指示出しでソフト、宮崎さんは扉をガラッ!と開けてすぐ近くまで来るらしい)
齋藤さんは他にも「今は業務体制がシステム化されてるから割と静かに描いてて(会話はするけど)、
昔は体制が未完成で手探りだから和気あいあいとやってたみたいですね。朝ドラみたいに」
「3Dアニメとかある時代ですけど、宮崎さんは新作も鉛筆でやってます。ずっとそうだと思います」
などなど、スタジオの今と昔の違いみたいなこともお話くださったり
思いがけず新作のお話も聞けたのでもう、ほんと、すっかり頭がパンパンになってしまいました。
でも「スタッフから見た監督」のイメージをスタッフさんから直接お聞きしたいとずっと思っていたので
叶ってよかったです。
齋藤さん本当に本当にありがとうございました!!

頭がボーっとしたまま展示室を出て、帰路につこうと屋外へ出たとたん猛烈な暑さが襲ってきて
その衝撃かわかりませんが頭がいくらかクリアになったんですが、
「握手してもらうの忘れた」「舘野さんのこと聞き忘れた」「美術館のお仕事で何してるか聞き忘れた」等々、
後になって色々聞きたいこと浮かんでくるのほんと何なん…!
なぜ人間の脳は物事が過ぎた後に突然働きだすのか。ぐぬぬ。
あと齋藤さんが描いてる間ずっと動画撮りてぇ…!って思ってた。
浦沢直樹の漫勉みたいな、アニメーターの手元を撮影した1時間番組のシリーズを誰か作ってください。(他力本願)

2019ghibli9.jpg
マンマユートでゲットしたSOU・SOUコラボのマックロクロスケ足袋ソックス☆
なかなか斬新なデザインです。いつ下ろそうかな~楽しみ^^

しかし…。
・チケットの抽選あたった
・ポニョの名シーンきた
・メニュー書くとこ見られた
・アニメーターの実演見られたうえに質問できた
2019年もまだだいぶ残っているのにこんなに色々連続してしまってわたし大丈夫だろうか、
残り5ヶ月がんばって生きねば。
とりま来週の感謝祭だな…健康に気を付けて冷たいもの食べ過ぎないで、早寝を心がけようと思います。
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テーマ:スタジオジブリ
ジャンル:映画

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歴史やアートも溺愛中
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