fc2ブログ
  • 2023_09
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • >>
  • 2023_11

ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


文化財のお医者さん。

  1. 2019/10/24(木) 23:54:41_
  2. 文化・美術
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
2019tohaku_37.jpg
前回記事に書いた正倉院の世界展の後、
同じく東博の本館にて開催中の「文化財よ、永遠に」展を見てきました。
住友文化財団の文化財修復事業助成30周年を記念して
東博・泉屋博古館(六本木・京都)・九博の4館で同時期に開催されている展覧会です。
京都と九博はちょっと行けないけど六本木の展示は行きます、日曜日までだから急がねば~。

2019tohaku_38.jpg
入口にあったパネルには展示されている作品の所在地と(結構、全国的だった)、
"修理"と"修復"の違いについて解説されていました。
修理も修復も、壊れたり傷んだりしたものを直して元の状態に戻すことを指しますが
個々の処置を"修理"というのに対し、環境保全なども含めた事業全体を"修復"と言っているそうです。
そうなんだ…いつもキャプションをぼんやり読んでるだけだから気づかなかった、勉強になりました。

今回の4館同時期開催では、各館それぞれで展示するテーマがある程度決まっていて
東博では仏像修復について展示しています。
伝統技術と最新科学により近年修理された約30点の仏像の展示と、
展示品のキャプションに修理前・修理後の画像や解説が掲載されているのでとてもわかりやすい。
修復について学習できるのと同時に
各地で地域の人々により大切に守られてきた仏像がたくさんあることも知ることができます。

まずは被災文化財から。
岩手県正音寺の七仏薬師如来立像7体(薬師如来と脇尊たち)は12世紀頃の制作で、
東日本大震災の揺れで転倒してしまったものです。
破損した部分を修理し、後世にほどこされた彩色を除去し、手足や光背を作り直したそうです。
福島県杉阿弥陀堂の阿弥陀如来坐像も東日本大震災で被災し修理されています。
お顔がふっくらしてかわいらしい、11世紀の仏像です。
同じく福島県楞嚴寺の釈迦如来坐像および迦葉立像・阿難立像の3体も
震災で頭部が傾いてしまったそうですが、2年かけて元通りに修理されています。
同じく福島県龍門寺の虚空蔵菩薩坐像は14世紀頃の小さな仏像で
震災のときに安置されていた壇上から落下してしまい、部品が飛び散り粉々になってしまったそうです。
キャプションに当時の写真がありましたがとても直視できませんでした…悲惨すぎる。
部材を接合して元に戻したとキャプションにあるように
展示されている同像は一度粉々になったとは思えないほどきちんと修復されていました。
一見しただけではかつて壊れたようにはとても見えない…プロの仕事はすごいな…!
石川県遍照寺の十一面観音菩薩立像は能登半島地震で被災していて
一木造だからバラバラにならずに済んだのかしら…こちらも綺麗な仏像でした。
頭の飾りが金ピカに輝いていて新しく見えましたが最近つけられたのかな。

経年劣化による調査と修復。
長野県不動寺の不動明王立像は木を強化し、補って自立できるようになったそうです。
千葉県福秀寺薬王院の薬師如来立像は修復の際の調査により像内に銘文があるとわかり、
1219年頃の制作であると判明しています。
埼玉県保寧寺の阿弥陀如来坐像および両脇侍立像は宗慶(運慶の兄弟弟子)による作品で
完成が1196年9月28日であることも発注者が四方田弘綱(武蔵国児玉郡の武士)であることも
調査した際に像内にあった銘文からわかったそうです。
神奈川県寶金剛寺の不動明王および二童子立像は像内に経巻18巻・文書・水晶五輪塔が入っていて
それらは1309年に納められて彩色もほどこされたとのこと。
像の表面を見ると髪や衣の一部に色が残っていて、当時の色なのかなァとロマンが広がります。
茨城県真壁町山口地区の虚空蔵菩薩坐像はX線で診断しながら部材を解体修理し、
後世の彩色を除去したところ下から当時の金箔が出てきたそうです。スゲー!
愛知県財賀寺の宝冠阿弥陀如来坐像は継ぎ目のゆるみを漆で埋めて
後世に補われた木は取り除いて、必要な部分の木を補う形で綺麗に整えられていました。
山形県向居薬師堂の薬師如来坐像も後世の彩色と和紙を除去し、虫や菌による破損を修復しています。
福井県髙成寺の千手観音菩薩立像は一度すべての腕を本体から解体して組み直し、
後世にほどこされた不適切な彩色を取り除き、表面の木目がそのまま見えるようになっています。
また、修復で本来の状態がわかったこともあり国の重要文化財にも指定されたそうです。スゲー!!
滋賀県西明寺の日光菩薩・月光菩薩立像は虫食いがひどかったので燻製され、
漆の剥落止めをして、木を補って虫損部を強化し、不適切な部材を元に戻すなどの修理をして
すべての作業を終えるのに4年かかったそうです。スゲーー!!!

仏像以外の修復品もありました。
三重県一色町能楽保存会(伊勢神宮に奉仕する系統)の能面の小面、小尉、山姥、大喝食の4点。
能面は写されることで新しいものが制作されますが、その際古い傷や剥落まで写す場合があるので
修復するときはそれらをうっかり消してしまわないように気を付けるそうです。
そんなところにまで神経使うんですね修復という作業は…気が遠くなりそう。
和歌山・熊野那智大社の家都御子大神坐像、天忍穂耳尊坐像は
虫や菌によって一度はスポンジみたいにスカスカになってしまったらしく、
合成樹脂で補ったそうです。
スポンジみたいな木って何度か見たことありますが、木として見てる分には自然現象ですが
作品がああなってしまった状態を想像するとゾッとします。
木として自然のなかにある木は好きだし朽ちるのはさみしいけど、
作品として神社や博物館にある木が朽ちるのはそれとは別の感情を覚えます。失われるのはいやだ。

最後に展示されていたベトナム国立博物館蔵の阿弥陀如来立像は、元々は東博が購入したもので
1944年のフランス極東学院と東博の文化財交換で陶磁器や刀の鍔などと一緒にヨーロッパに渡り、
その後は戦争もあって長いこと所在不明になっていたそうです。
6年前に九博の調査でベトナム博物館所蔵の同像がその可能性が高いとわかり、
修復の際に調査したところ東博が1902年に購入したラベルが発見されて確定したので
今回、76年ぶりに日本へやってきたとのことでした。
様々な事情から、制作された国ではなく別の国に渡っている美術品はたくさんあるけど
この仏像もそのひとつなんですね。
ちなみにその文化財交換でフランスからやってきたクメール彫刻は
今も東博の東洋館に展示されています。

2019tohaku_39.jpg
というわけで、東洋館へ。
地下1階にあるクメール彫刻の展示室のパネルに、フランスとの文化財交換について書いてありました。

2019tohaku_40.jpg
交換された彫刻どれだろう~?とひとつひとつ回ってみたけどキャプションのどれにも書いてなくて、
おかしいな見落としたかな、もう1回まわってみようかなと思ったところで
「あ、この展示室の全部か!」と気づきました。(遅)
さっきの里帰り仏像が1軀だったからクメール彫刻もてっきり1つなのかと思いこんでいました…よくない…。
(ちなみに来日したのはクメール彫刻のほかに金属工芸品などもあるそうだ)
フランスからはるばる、もっと言うとたぶんフランス領だった頃のカンボジアから来たんだなあと思うと
この彫刻たちがたどってきた数奇な道について考えずにはいられない。
文化と歴史をいっぺんに見られる展示室なのですな、ここは。

この後は本館に戻って常設展示を鑑賞しました。
2019tohaku_41.jpg
竹内久一「執金剛神立像」の後ろ姿(笑)。
シカゴ万博に出品された作品ですが、なぜ後ろ姿を載せたのかというと
衣に引っ張られてる邪鬼ちゃんが気の毒だったから。
台座にされて踏まれるのも気の毒ですけど引っ張られるのもやっぱり気の毒だなあ。
執金剛神はとてもかっこいい像ですが後ろではこんなことになってます、という話。

2019tohaku_42.jpg
古田織部が制作した竹茶杓。
真ん中がきゅっと曲がっている(蟻腰というらしい)のが特徴です。
櫂先も結構曲がってるしな…いかにも織部が好みそうな造形です。

2019tohaku_43.jpg
池玉瀾「蘭図扇面」。
紅い花のまわりにそよぐように描かれている葉、細筆で書かれた短歌が雅です。

2019tohaku_44.jpg
鈴木春信「かわらけ投げ」。
雲がきめ出しになって凸っと出ているから錦絵初期の作品かもしれません。

2019tohaku_45.jpg
京都・浄瑠璃寺旧蔵の十二神将立像(戌神)。
過去に運慶展でも見た仏像だ!(慶派、とくに運慶の系統と考えられているのです)
戌神はこの遠くを見張るようなポーズがかっこいいんですよね。
スポンサーサイト





<<秋の味覚。 | BLOG TOP | シルクロードの行き着くところ。>>

comment

No title

  1. 2019/10/25(金) 03:04:21 |
  2. URL |
  3. hippopon
  4. [ 編集 ]
蟻腰も持ったけど、、殿方は大喜びだったけど、
お茶の精神が伝わらない環境で 
維新、戦後、えらい坊さんに批判されるようなお茶になって、
今 残骸の様。

なんだかね。
銀座のど真ん中で遠州流の番頭が
利休が始めたのではなく、わが流派が、、とかいいだして
なかに粒粒がのこってる妙なぬるい茶を一杯500円でうってて
がっくりするようなことばかり。
家元がしっかりしてほしいですよね。

弟がくれたのが志野で どこに置いたかわからなくなっていて
あれで、いつかお茶をたててあげようと思ってるの。
広島の武家茶道も死に直面した人の厳しさがあるけど
私のはもっとおだやかなのがいいかなってこの頃思う。


Re: No title

  1. 2019/10/28(月) 23:15:41 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> hippopon様

お茶にも物にも歴史ありですね。
過去に見向きもされなかったものが脚光を浴びたり
大人気だったものが飽きられて流出したりするのは
何度も繰り返されてきたのだなと、文化史を見ていると思います。

志野、いいですね。
お茶に関しては素人なので何が良いのかよくわかりませんが、
わたしはあまり緊張せずゆっくりいただける環境がいいですね。
 
 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback




カレンダー

09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

プロフィール

ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

初めての方はブログご案内をどうぞ。
当ブログはリンクフリーです(宗教、アダルトサイトは×)。
文章や画像の加工、無断転載は禁止。
版権元の企業や団体とは一切関係ありません。

All Rights Reserved.
No reproduction or republication without written permission.
This blog is written only in Japanese.



にほんブログ村 イラストブログ オリジナルイラストへ
にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ


☆気が向いたらクリックお願いします

FC2カウンター

キリ番踏んだ方、報告いただければイラストのリクエストを受け付けます☆詳細はブログご案内をどうぞ。

「小倉百人一首」

問い合わせ先

月別アーカイブ

検索フォーム

« 2023 10  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード